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特許7102287原子炉のジェットポンプアセンブリのノズルの洗浄方法
<図1>
  • 特許-原子炉のジェットポンプアセンブリのノズルの洗浄方法 図1
  • 特許-原子炉のジェットポンプアセンブリのノズルの洗浄方法 図2
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  • 特許-原子炉のジェットポンプアセンブリのノズルの洗浄方法 図4
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  • 特許-原子炉のジェットポンプアセンブリのノズルの洗浄方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】原子炉のジェットポンプアセンブリのノズルの洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/28 20060101AFI20220711BHJP
   G21C 15/25 20060101ALI20220711BHJP
   B08B 9/043 20060101ALI20220711BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
G21F9/28 522C
G21C15/25
B08B9/043 433
B08B3/02 F
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018159962
(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2019060857
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】15/696,537
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・マーティン・ウェルシュ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-55986(JP,A)
【文献】特開平8-197009(JP,A)
【文献】特開2003-270380(JP,A)
【文献】特開2007-178191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/28
G21C 15/25
B08B 9/043
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉のジェットポンプアセンブリを洗浄する方法であって、
第1の液体で満たされたジェットポンプアセンブリの内部を、該内部から前記第1の液体をパージすべくガスを注入することによって空にし、空にされた表面をもたらすステップ(210)と、
前記空にされた表面へと第2の液体の噴流を案内するステップ(220)と
を含む方法。
【請求項2】
前記空にするステップ(210)は、前記ガスを注入して前記ジェットポンプアセンブリのノズル(308)の内面(316)を露出させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空にするステップ(210)は、前記第1の液体をパージすべく前記ガスとして空気を注入するステップを含み、前記第1の液体は水である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記空にするステップ(210)は、前記第1の液体の高さ(318)を前記ジェットポンプアセンブリのノズル(308)の遠位端まで下方へと駆動するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記空にするステップ(210)は、前記ジェットポンプアセンブリのすべてのノズル(308)から前記第1の液体を同時にパージするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ジェットポンプアセンブリは、入口上昇管(304)および2つの入口ミキサ(314)を含み、前記空にするステップ(210)は、前記第1の液体を前記入口上昇管(304)および前記2つの入口ミキサ(314)において同じ高さまで下方へと駆動するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記空にするステップ(210)は、前記第1の液体の高さ(318)を前記2つの入口ミキサ(314)の各々のスロート部(312)まで下方へと駆動するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記注入するステップは、約10~35ポンド/平方インチの範囲の圧力で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記注入するステップは、前記ガスが前記ジェットポンプアセンブリのノズル(308)によって定められる容積の少なくとも95%を占めるように実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記案内するステップ(220)は、少なくとも20,000ポンド/平方インチの圧力で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記案内するステップ(220)は、前記第2の液体としての水を前記空にされた表面へと押し進めることで、前記空にされた表面から酸化物の付着物を除去するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記水を押し進めるステップは、前記空にされた表面から前記酸化物の付着物の少なくとも80%が除去されるように実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記空にするステップ(210)は、前記ジェットポンプアセンブリの第1のノズル(308)へとパージツール(302)を挿入して前記ガスを注入するステップを含み、前記案内するステップ(220)は、前記ジェットポンプアセンブリの第2のノズル(308)へと洗浄ツール(310)を挿入して前記第2の液体の噴流を供給するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、原子炉のジェットポンプアセンブリの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1が、沸騰水型原子炉(BWR)の原子炉圧力容器内の従来からのジェットポンプアセンブリの切断図である。図1を参照すると、誘因流体(原子炉圧力容器の外側の液体冷却剤)の駆動流102が、入口上昇管104に進入し、入口エルボ106へと上方に流れる。駆動流102がノズル108を通って下方へと放出されるとき、吸引流体(原子炉圧力容器の内部の液体冷却剤)の同伴流110が、入口ミキサ114のスロート部112へと引き込まれ、駆動流102と混合する。混合流は、ディフューザ116へと下方に進み、ディフューザ116において、混合流の運動エネルギが圧力に変換される。
【0003】
沸騰水型原子炉が保守のために停止させられたとき、ジェットポンプアセンブリは、駆動流102および同伴流110の液体を依然として含む。結果として、ジェットポンプアセンブリの洗浄は、典型的には、洗浄のための所望の表面への適切なアクセスを可能にするために、ジェットポンプアセンブリの分解を必要とする。ジェットポンプアセンブリを分解することなく洗浄するための努力がなされているが、ジェットポンプアセンブリを適切に洗浄する能力は、このような状況において依然として課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6,622,941号明細書
【発明の概要】
【0005】
原子炉のジェットポンプアセンブリの洗浄方法が、第1の液体で満たされたジェットポンプアセンブリの内部を、内部から第1の液体をパージすべくガスを注入することによって空にすることで、空にされた表面をもたらすステップを含むことができる。さらに、この方法は、空にされた表面へと第2の液体の噴流を案内するステップを含むことができる。
【0006】
ジェットポンプアセンブリの内部を空にするステップは、ガスを注入してジェットポンプアセンブリのノズルの内面を露出させるステップを含むことができる。
【0007】
ジェットポンプアセンブリの内部を空にするステップは、第1の液体をパージするためのガスとして空気を注入するステップを含むことができる。第1の液体は、水であってよい。
【0008】
ジェットポンプアセンブリの内部を空にするステップは、第1の液体の高さをジェットポンプアセンブリのノズルの遠位端まで下方へと駆動するステップを含むことができる。
【0009】
ジェットポンプアセンブリの内部を空にするステップは、ジェットポンプアセンブリのすべてのノズルから第1の液体を同時にパージするステップを含むことができる。
【0010】
ジェットポンプアセンブリは、入口上昇管および2つの入口ミキサを含むことができる。ジェットポンプアセンブリの内部を空にするステップは、第1の液体を入口上昇管および前記2つの入口ミキサにおいて同じ高さまで下方へと駆動するステップを含むことができる。
【0011】
ジェットポンプアセンブリの内部を空にするステップは、第1の液体の高さを2つの入口ミキサの各々のスロート部まで下方へと駆動するステップを含むことができる。
【0012】
ガスの注入を、約10~35ポンド/平方インチの範囲の圧力で実行することができる。
【0013】
ガスの注入を、ガスがジェットポンプアセンブリのノズルによって定められる容積の少なくとも95%を占めるように実行することができる。
【0014】
第2の液体の噴流を案内するステップを、少なくとも20,000ポンド/平方インチの圧力で実行することができる。
【0015】
第2の液体の噴流を案内するステップは、第2の液体としての水を空にされた表面へと押し進めることで、空にされた表面から酸化物の付着物を除去するステップを含むことができる。
【0016】
水を押し進めることを、空にされた表面から酸化物の付着物の少なくとも80%が除去されるように実行することができる。
【0017】
ジェットポンプアセンブリの内部を空にするステップは、ジェットポンプアセンブリの第1のノズルへとパージツールを挿入してガスを注入するステップを含むことができる。第2の液体の噴流を案内するステップは、ジェットポンプアセンブリの第2のノズルへと洗浄ツールを挿入して第2の液体の噴流を供給するステップを含むことができる。
【0018】
本明細書における実施形態(ただし、これらに限られるわけではない)の種々の特徴および利点は、「発明を実施するための形態」を添付の図面と併せて検討することで、さらに明らかになるであろう。添付の図面は、例示を目的として提供されているにすぎず、添付の図面を、特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものと解釈してはならない。添付の図面は、とくに明示されない限り、必ずしも縮尺どおりに描かれていないと考えるべきである。分かり易くする目的で、図面のさまざまな寸法は、誇張されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】沸騰水型原子炉(BWR)の原子炉圧力容器内の従来からのジェットポンプアセンブリの切断図である。
図2】典型的な実施形態による原子炉のジェットポンプアセンブリの洗浄方法のフロー図である。
図3】典型的な実施形態による原子炉のジェットポンプアセンブリの洗浄方法の別のフロー図である。
図4】典型的な実施形態による洗浄方法の最中のジェットポンプアセンブリの断面図である。
図5】従来からの洗浄方法の後のジェットポンプアセンブリのノズルの実物大模型の写真である。
図6】典型的な実施形態による洗浄方法の後のジェットポンプアセンブリのノズルの実物大模型の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
或る要素または層が、別の要素または層に対して「上に(on)ある」、「接続される(connected to)」、「結合する(coupled to)」、または「覆う(covering)」と言及される場合、その要素または層は、他の要素または層に対して直接的に上にあり、接続され、結合し、あるいは覆っても、介在の要素または層が存在してもよい。反対に、或る要素が別の要素または層に対して「直接的に上にある」、「直接的に接続される」、または「直接的に結合する」と言及される場合、介在の要素または層は存在しない。本明細書の全体を通して、類似する符号は類似する要素を指す。本明細書において使用されるとき、用語「および/または」は、関連して列挙される項目の1つ以上からなるあらゆるすべての組み合わせを含む。
【0021】
本明細書において、「第1の」、「第2の」、「第3の」、などの用語が、種々の要素、部品、領域、層、および/または部分を説明して使用されるかもしれないが、これらの要素、部品、領域、層、および/または部分は、これらの用語によって限定されるものではないことを理解されたい。これらの用語は、或る要素、部品、領域、層、または部分を別の領域、層、または部分から区別するために使用されているにすぎない。したがって、以下で論じられる第1の要素、部品、領域、層、または部分を、典型的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、部品、領域、層、または部分と呼ぶことが可能である。
【0022】
空間的に相対的な用語(例えば、「真下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」、など)は、本明細書において、図面に示されているとおりの或る要素または特徴の別の要素または特徴との関係を記述するための説明を容易にするために使用され得る。空間的に相対的な用語が、図面に示されている向きに加えて、使用時または動作時の装置の種々の向きを包含するように意図されていることを、理解すべきである。例えば、図中の装置が上下逆さまにされた場合、他の要素または特徴の「下方」または「真下」にあると記述される要素は、他の要素または特徴の「上方」に位置すると考えられる。したがって、「下方(below)」という用語は、上方および下方の両方の向きを含むことができる。装置を他の向きにする(90度回転させる、または他の向きに回転させる)ことも可能であり、本明細書で使用される空間的に相対的な記述は、それに応じて解釈される。
【0023】
本明細書で用いられる用語は、種々の実施形態の説明だけを目的とし、典型的な実施形態の限定を意図していない。本明細書において使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「前記(the)」は、そのようでないことが文脈から明らかでない限り、複数形も含むように意図される。さらに、用語「・・・を含む(includes)」、「・・・を含んでいる(including)」、「・・・を備える(comprises)」、および/または「・・・を備えている(comprising)」は、本明細書において使用されるとき、そこに記載された特徴、完全体、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを規定するが、1つ以上の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはこれらの組の存在または追加を除外しないことを、理解できるであろう。
【0024】
典型的な実施形態が、典型的な実施形態の理想的な実施形態(および、中間構造)の概略図である断面図を参照して、本明細書において説明される。したがって、例えば製造技術および/または公差の結果としての図示の形状からの変形が想定される。したがって、典型的な実施形態は、本明細書に示される各領域の形状に限定されると考えられてはならず、例えば製造により生じる形状の変更を含む。
【0025】
とくに定義されない限り、本明細書において用いられるすべての用語(技術的な用語および科学的な用語を含む)は、典型的な実施形態が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。さらに、一般的に用いられる辞書で定義された用語を含む用語が、関連の技術の文脈における意味に矛盾しない意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書において明示的に定義されない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味では解釈されないことを、理解できるであろう。
【0026】
図2が、典型的な実施形態による原子炉のジェットポンプアセンブリの洗浄方法のフロー図である。図2を参照すると、原子炉のジェットポンプアセンブリの洗浄方法は、空にするステップ210および案内するステップ220を含む。さらに、洗浄に先立ってジェットポンプアセンブリを分解する必要がないため、時間およびコストが節約される。
【0027】
空にするステップ210は、原子炉のジェットポンプアセンブリの内部を空にして、空にされた表面をもたらすステップを含む。空にするステップ210の実行に先立って、ジェットポンプアセンブリの内部を、第1の液体で満たしてもよい。案内するステップ220は、原子炉のジェットポンプアセンブリの空にされた表面へと第2の液体の噴流を案内することを含む。第1の液体は、第2の液体と同じ物質(または、異なる物質)であってよい。
【0028】
図3が、典型的な実施形態による原子炉のジェットポンプアセンブリの洗浄方法の別のフロー図である。図3を参照すると、空にするステップ210は、挿入サブステップ212および注入サブステップ214を含むことができる。挿入サブステップ212は、パージツールをジェットポンプアセンブリの第1のノズルへと挿入することを含む。注入サブステップ214は、パージツールによってガスを注入することでジェットポンプアセンブリの内部から第1の液体をパージして空にされた表面をもたらすことを含む。
【0029】
案内するステップ220は、挿入サブステップ222および供給サブステップ224を含むことができる。挿入サブステップ222は、洗浄ツールをジェットポンプアセンブリの第2のノズルへと挿入することを含む。供給サブステップ224は、第2の液体の噴流を供給してジェットポンプアセンブリの空にされた表面を洗浄することを含む。
【0030】
典型的な実施形態によれば、原子炉のジェットポンプアセンブリの洗浄方法は、第1の液体で満たされたジェットポンプアセンブリの内部を、内部から第1の液体をパージすべくガスを注入することによって空にすることで、空にされた表面をもたらすことを含むことができる。空にすることは、ガスを注入することによってジェットポンプアセンブリのノズルの少なくとも内面を露出させることを含むことができる。注入を、ガスがジェットポンプアセンブリのノズルによって定められる容積の少なくとも95%を占めるように実行することができる。例えば、空にすることは、第1の液体をパージするためのガスとして空気を注入することを含むことができる。注入を、約10~35ポンド/平方インチの範囲の圧力で実行することができる。第1の液体は、水であってよい。
【0031】
加えて、この洗浄方法は、ジェットポンプアセンブリ内の空にされた表面へと第2の液体の噴流を案内することを含むことができる。案内を、少なくとも20,000ポンド/平方インチの圧力で行うことができる。例えば、案内は、第2の液体としての水を空にされた表面へと押し進め、この表面から酸化物の付着物を除去することを含むことができる。水を押し進めることを、空にされた表面から酸化物の付着物の少なくとも80%が除去されるように実行することができる。
【0032】
図4は、典型的な実施形態による洗浄方法の最中のジェットポンプアセンブリの断面図である。図4を参照すると、ジェットポンプアセンブリは、1対の入口エルボ306を含む二股構造へと接続された入口上昇管304を含む。各々の入口エルボ306は、入口ミキサ314のスロート部312の中へと延びるノズル308に変化する。各々の入口エルボ306に関して、図4には1つのノズル308しか示されていないが、他の構成も可能であることを理解すべきである。例えば、ジェットポンプアセンブリを、各々の入口エルボ306に関して複数のノズル(例えば、5つのノズル)が設けられてもよいように構成することができる。
【0033】
原子炉が運転されているとき、第1の流体が、入口上昇管304を通って上方に流れ、各々の入口エルボ306に向かって分割され、ノズル308を通って流れ出る。結果として、(少なくとも入口上昇管304、入口エルボ306、およびノズル308によって定められる)ジェットポンプアセンブリの内部は、原子炉の運転中に第1の液体で満たされる。さらに、第1の液体は、原子炉が保守のために停止させられたとき、ジェットポンプアセンブリ内に依然として存在する。
【0034】
ジェットポンプアセンブリの洗浄方法において、初期の空にするステップは、パージ用のガスを注入するために、ジェットポンプアセンブリの第1のノズル(例えば、図4の左側のノズル308)へとパージツール302を挿入することを含む。さらに、その後の案内するステップは、洗浄用の第2の液体の噴流を供給するために、ジェットポンプアセンブリの第2のノズル(例えば、図4の右側のノズル308)へと洗浄ツール310を挿入することを含む。反対に、パージツール302および洗浄ツール310の位置を入れ換えることによって、第1のノズルを洗浄することができる。
【0035】
第1のノズルおよび第2のノズルが、別々の入口エルボ306に位置している必要はないことを、理解すべきである。例えば、ジェットポンプアセンブリが各々の入口エルボ306に関して複数のノズルを含むように構成される場合、第1のノズルおよび第2のノズルは、同じ入口エルボ306に位置しても、異なる入口エルボ306に位置してもよい。さらに、第2のノズルの洗浄後に、ジェットポンプアセンブリ内の空にされた表面を維持するためにパージツール302を第1のノズルに残しつつ、洗浄ツール310を別のノズルを洗浄するために移動させることができる。さらに、パージツール302および洗浄ツール310を、干渉の可能性を回避するために、パージおよび洗浄のための別々のノズルへと挿入することが有益であり得るが、典型的な実施形態がこれに限定されないことを、理解すべきである。
【0036】
パージツール302は、湾曲棒(bent wand)を含むことができ、湾曲棒の遠位端に注入ヘッドが取り付けられている。パージツール302を、湾曲棒を介して操作することができる。典型的な実施形態において、湾曲棒は、第1の角度部分、第2の角度部分、およびU字形部分を含むことができる。施設の運転員は、湾曲棒の近位端によってパージツール302を操作し、U字形部分をスロート部312へと降下させ、注入ヘッドを第1のノズル(例えば、図4の左側のノズル308)へと下方から導入することができる。
【0037】
同様に、洗浄ツール310は、湾曲棒を含むことができ、湾曲棒の遠位端にスプレーヘッドが取り付けられている。パージツール302と同様に、洗浄ツール310を、湾曲棒を介して操作することができる。典型的な実施形態において、湾曲棒は、第1の角度部分、第2の角度部分、およびU字形部分を含むことができる。施設の運転員は、湾曲棒の近位端によって洗浄ツール310を操作し、U字形部分をスロート部312へと降下させ、スプレーヘッドを第2のノズル(例えば、図4の右側のノズル308)へと下方から導入することができる。
【0038】
ジェットポンプアセンブリの内部を空にするとき、パージツール302が、内部の第1の液体を少なくともジェットポンプアセンブリのノズル308の遠位端に一致する高さ318まで下方へと駆動すべくガスを注入するために使用される。さらに、ノズル308の遠位端が水平方向に整列している場合、パージツール302によってガスを注入することで、ジェットポンプアセンブリのすべてのノズル308から第1の液体を同時にパージすることができる。さらに、ジェットポンプアセンブリが入口上昇管304および2つの入口ミキサ314を含む場合、空にすることは、入口上昇管304および2つの入口ミキサ314において同じである高さ318まで第1の液体を下方へと駆動することを含むことができる。例えば、空にすることは、第1の液体の高さ318を2つの入口ミキサ314のそれぞれのスロート部312まで下方へと駆動することを含むことができる。
【0039】
ジェットポンプアセンブリからの第1の液体のパージの結果として、各々のノズル308の内面316が露出する。次いで、洗浄ツール310を使用して第2の液体の噴流を内面316へと案内し、ジェットポンプアセンブリを洗浄することができる。
【0040】
上述したように、空にするステップおよび案内するステップは、ジェットポンプアセンブリを分解することなく実行することが可能である。この洗浄方法は、ジェットポンプアセンブリを分解することなく実行できるため、停止時間を短縮することができ、原子炉をより迅速に通常運転に復帰させることができる。
【0041】
図5は、従来からの洗浄方法の後のジェットポンプアセンブリのノズルの実物大模型の写真である。図5を参照すると、従来からの洗浄方法の後のノズルの実物大模型には、かなりの量の模擬付着物が依然として残っている。
【0042】
図6は、典型的な実施形態による洗浄方法の後のジェットポンプアセンブリのノズルの実物大模型の写真である。図6を参照すると、ノズルの実物大模型からの模擬付着物の除去は、典型的な実施形態による洗浄方法の後で、(図5と比較して)大幅に改善されている。
【0043】
いくつかの典型的な実施形態を本明細書において開示したが、他の変種も可能であることを理解されたい。そのような変種を、本開示の技術的思想および技術的範囲からの逸脱と考えてはならず、当業者にとって自明であると考えられるそのような変更のすべては、以下の特許請求の範囲の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0044】
102 駆動流
104 入口上昇管
106 入口エルボ
108 ノズル
110 同伴流
112 スロート部
114 入口ミキサ
116 ディフューザ
302 パージツール
304 入口上昇管
306 入口エルボ
308 ノズル
310 洗浄ツール
312 スロート部
314 入口ミキサ
316 内面
318 高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6