(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】画像検査装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20220711BHJP
G01N 21/892 20060101ALI20220711BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220711BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20220711BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20220711BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
B41J29/393 103
G01N21/892 A
G03G15/00 303
G03G21/16 138
B41J29/00 A
B65H7/14
(21)【出願番号】P 2018161642
(22)【出願日】2018-08-30
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】川井 宗明
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-338006(JP,A)
【文献】特開2010-096953(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0170077(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
G01N 21/892
G03G 15/00
G03G 21/16
B41J 29/00
B65H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の被検査物を搬送する搬送面が上面側となるように配置された第1搬送部と、
シート状の被検査物を搬送する搬送面が下面側となるように被検査物の搬送方向に沿って前記第1搬送部の前記搬送面と隣接して配置された第2搬送部と、
前記搬送方向に関する前記第1搬送部の上流側端部に設けられ、前記第1搬送部に搬送される被検査物の表面を検査する第1検査部と、
前記搬送方向に関する前記第2搬送部の上流側端部に設けられ、前記第2搬送部に搬送される被検査物の裏面を検査する第2検査部と、
を有することを特徴とする画像検査装置。
【請求項2】
シート状の被検査物を搬送する搬送面が上面側となるように配置された第1搬送部と、
シート状の被検査物を搬送する搬送面が下面側となるように被検査物の搬送方向に沿って前記第1搬送部の前記搬送面と隣接して配置された第2搬送部と、
前記搬送方向に関する前記第1搬送部の下流側端部に設けられ、前記第1搬送部に搬送される被検査物の表面を検査する第1検査部と、
前記搬送方向に関する前記第2搬送部の下流側端部に設けられ、前記第2搬送部に搬送される被検査物の裏面を検査する第2検査部と、
を有することを特徴とする画像検査装置。
【請求項3】
駆動ローラにより駆動され、シート状の被搬送物を、その片面のみに接触することによって搬送する第1搬送ベルトを有し、前記第1搬送ベルトの上面に配置されたシート状の被検査物を搬送する第1搬送部と、
駆動ローラにより駆動され、シート状の被搬送物を、その片面のみに接触することによって搬送する第2搬送ベルトを有し、前記第2搬送ベルトの下面に配置されたシート状の被検査物を搬送する第2搬送部であって、被検査物の搬送方向に沿って前記第1搬送部と重ならないように、被検査物の搬送方向に沿って前記第1搬送部と隣接して配置された前記第2搬送部と、
前記第1搬送部に搬送される被検査物の表面を検査する第1検査部と、
前記第2搬送部に搬送される被検査物の裏面を検査する第2検査部とを有し、
前記第1検査部と前記第2検査部は、それぞれ前記第1搬送部の上流側端部と前記第2搬送部の上流側端部に設けられ、又はそれぞれ前記第1搬送部の下流側端部と前記第2搬送部の下流側端部に設けられ、それぞれ被検査部の表面と裏面を検査することを特徴とする画像検査装置。
【請求項4】
シート状の被検査物を搬送する単一の搬送面が上面側となるように配置され、前記単一の搬送面がシート状の被検査物の裏面に接触する第1搬送部と、
シート状の被検査物を搬送する単一の搬送面が下面側となるように被検査物の搬送方向に沿って前記第1搬送部の前記搬送面と隣接して配置され、前記単一の搬送面がシート状の被検査物の表面に接触する第2搬送部と、
前記第1搬送部によって搬送されるシート状の被検査物を基準として前記第1搬送部の反対側に配置されて前記第1搬送部に対向し、前記第1搬送部の前記単一の搬送面に搬送される被検査物の表面を検査する第1検査部と、
前記第2搬送部によって搬送されるシート状の被検査物を基準として前記第2搬送部の反対側に配置されて前記第2搬送部に対向し、前記第2搬送部の前記単一の搬送面に搬送される被検査物の裏面を検査する第2検査部とを有し、
被検査物を水平な一搬送経路に沿って連続的に搬送するように、前記第1搬送部と前記第2搬送部は、水平な前記各搬送面が略一致するように水平方向に隣接して配置されており、
前記第1検査部と前記第2検査部は、それぞれ前記第1搬送部の上流側端部と前記第2搬送部の上流側端部に設けられ、又はそれぞれ前記第1搬送部の下流側端部と前記第2搬送部の下流側端部に設けられ、それぞれ被検査部の表面と裏面を検査することを特徴とする画像検査装置。
【請求項5】
シート状の被検査物を搬送する単一の搬送面が上面側となるように配置され、前記単一の搬送面がシート状の被検査物の裏面に接触する第1搬送部と、
シート状の被検査物を搬送する単一の搬送面が下面側となるように被検査物の搬送方向に沿って前記第1搬送部の前記搬送面と隣接して配置され、前記単一の搬送面がシート状の被検査物の表面に接触する第2搬送部と、
前記第1搬送部によって搬送されるシート状の被検査物を基準として前記第1搬送部の反対側に配置されて前記第1搬送部に対向し、前記第1搬送部の前記単一の搬送面に搬送される被検査物の表面を検査する第1検査部と、
前記第2搬送部によって搬送されるシート状の被検査物を基準として前記第2搬送部の反対側に配置されて前記第2搬送部に対向し、前記第2搬送部の前記単一の搬送面に搬送される被検査物の裏面を検査する第2検査部とを有し、
被検査物を直線状の一搬送経路に沿って連続的に搬送するように、前記第1搬送部と前記第2搬送部は、直線状の前記各搬送面が略一致するように直線状に隣接して配置されており、
前記第1検査部と前記第2検査部は、それぞれ前記第1搬送部の上流側端部と前記第2搬送部の上流側端部に設けられ、又はそれぞれ前記第1搬送部の下流側端部と前記第2搬送部の下流側端部に設けられ、それぞれ被検査部の表面と裏面を検査することを特徴とする画像検査装置。
【請求項6】
上流側から水平方向に搬送されてきたシート状の被検査物を水平方向に搬送する搬送面が、上方側に設けられて上面側となるように配置された第1搬送部と、
前記第1搬送部から水平方向に搬送されてきたシート状の被検査物を水平方向に搬送する搬送面が、下方側に設けられて下面側となるように被検査物の搬送方向に沿って前記第1搬送部の前記搬送面と隣接して配置された第2搬送部と、
前記第1搬送部に搬送される被検査物の表面を検査する第1検査部と、
前記第2搬送部に搬送される被検査物の裏面を検査する第2検査部とを有し、
前記第1搬送部と前記第2搬送部は、前記上面側の搬送面の高さと、前記下面側の搬送面の高さが略一致し、隣接して配置されており、
前記第1検査部と前記第2検査部は、それぞれ前記第1搬送部の上流側端部と前記第2搬送部の上流側端部に設けられ、又はそれぞれ前記第1搬送部の下流側端部と前記第2搬送部の下流側端部に設けられ、それぞれ被検査部の表面と裏面を検査することを特徴とする画像検査装置。
【請求項7】
前記第1搬送部及び前記第2搬送部は、被検査物の搬送方向に沿ってそれぞれ上流側及び下流側に配置されており、
前記第2搬送部の搬送面は、前記第1搬送部の搬送面に対して被検査物の安定搬送に必要な下流側に向けた下方への傾斜角度を有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の画像検査装置。
【請求項8】
前記第1検査部が取り付けられ、前記画像検査装置のフレームに対して3箇所で回転可能に支持され、前記第1搬送部に対して位置決めされる第1支持部と、
前記第2検査部が取り付けられ、前記画像検査装置のフレームに対して3箇所で回転可能に支持され、前記第2搬送部に対して位置決めされる第2支持部と、
を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載の画像検査装置。
【請求項9】
被検査物の搬送方向に関して前記第1検査部とは異なる位置に配置され、被検査物の表面を検査する第3検査部と、
被検査物の搬送方向に関して前記第2検査部とは異なる位置に配置され、被検査物の裏面を検査する第4検査部と、
をさらに有し、
前記第1搬送部において、前記第1検査部と前記第3検査部のうち、相対的に高い配置精度が求められる一方の検査部を被検査物の搬送方向に関して相対的に下流側に配置し、他方の検査部を被検査物の搬送方向に関して相対的に上流側に配置し、
前記第2搬送部において、前記第2検査部と前記第4検査部のうち、相対的に高い配置精度が求められる一方の検査部を被検査物の搬送方向に関して相対的に下流側に配置し、他方の検査部を被検査物の搬送方向に関して相対的に上流側に配置したことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載の画像検査装置。
【請求項10】
前記第1搬送ベルトの上面と前記第2搬送ベルトの下面が、前記第1搬送部の上面に対して垂直である高さ方向について実質的に同一の位置に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の画像検査装置。
【請求項11】
前記第1搬送部と前記第2搬送部の間に被検査物を導く中間ガイド板を備え、前記第1搬送部及び前記第2搬送部は、前記被検査物を搬送面上で吸着しながら搬送することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載の画像検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の被検査物を搬送しつつ、被検査物に形成された画像を検査する画像検査装置に係り、特に搬送経路の途中で被検査物が詰まった場合であっても、容易にこれを排除することができる画像検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シートの表裏両面に画像を形成する機能を備えた画像形成装置においては、シートを搬送しながらシートの表裏両面の画像を検査する必要性が生じる場合がある。そのような場合、シートに形成された画像を撮像するカメラやセンサを1台とし、シートを搬送する経路に反転部を設け、センサで表の画像を検査した後、シートを反転させて再びセンサを通過させて裏面を検査する構成をとることができる。しかし、このように反転部でシートを搬送して裏返す手法は、機構が複雑かつ大型になるという問題がある。
【0003】
特許文献1には画像形成装置の発明が開示されている。この画像形成装置はジャムリカバリ装置を備えており、先頭のジャムシートが、シート検査装置150よりも下流側にある場合は、ユーザからの印刷再開の指示を条件に、先頭のジャムシートに形成されていた画像から印刷を再開させるものである。
【0004】
この画像形成装置は、カメラユニット230を有しているが、このカメラユニット230には、上流から下流へ一方向にシートを搬送するシート搬送パス223が設けられ、その上下の同一位置に2台のカメラ231,232が対向するように配置されている。すなわち、1台のカメラと搬送経路の反転部でシートの表裏両面を検査する構成とは異なり、カメラユニット230では、シートは反転することなく一方向に搬送され、その間に2台のカメラ231,232が、搬送されるシートの上面及び下面の各画像をそれぞれ読み取る。シート検査装置150はカメラユニット230から送られたシートの撮影画像を用いてシートに印刷された画像を検査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された画像形成装置のカメラユニットでは、シート搬送パスを挟んで上下の同一位置に2台のカメラが対向して配置されており、シートの同一箇所の表裏両面を2台のカメラで撮像するようになっている。このため、シート搬送パスのカメラが設けられた位置では、シートの表裏両面をカメラに対して十分な面積で露出させているが、シート搬送パスの2台のカメラが設けられた位置でシートがジャム(詰まり)を起こすと、シート自体は搬送パスから十分露出しているが、シート搬送パスの上下何れの側からもカメラが障害になってシート搬送パスに接近できず、詰まったシートをシート搬送パスから排除する作業を行うことが難しいという問題があった。
【0007】
本願発明者等は、このような従来の技術及びその課題を認識した後、このような従来の技術の検討とは別途進めていた新規な画像検査装置について、具体的な着想を得るに至った。この新規な画像検査装置は、複雑な機構を用いることなく被検査物を搬送部で一方向に安定して搬送しつつ、搬送部の搬送面の近傍に配置した検査部によって被検査物の画像を必要な精度で検査できる従来にない構成を備えている。ところが、この新規な画像検査装置について、先に述べた特許文献1の発明におけるカメラユニットが有する課題、すなわちジャム発生時にシート搬送パスからジャム用紙を排除することが困難であるか否かという課題を再度検討してみると、この新規な画像検査装置においても、依然として同様の問題が存在する可能性があることに思い至った。すなわち、本願発明者等による画像検査装置によれば、搬送部の搬送面の近傍に検査部を設けたため、被検査物が搬送面の何れかの位置でジャムを起こした場合、検査部の位置及びジャム発生の位置によっては、搬送面から詰まった被検査物を除去する作業を行うことが難しい場合があるという問題である。
【0008】
本発明は、従来の技術の課題を検討して発見した課題を、本発明者等が発明した画像形成装置において解決すべく、これをさらに改良したものであって、シート状の被検査物を搬送部で一方向に搬送しつつ、被検査物に形成された画像を検査部によって高精度で検査できる画像検査装置において、搬送面に被検査物が詰まった場合であっても、検査部が障害となることなく、詰まった被検査物を容易に除去できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載された画像検査装置は、
シート状の被検査物を搬送する搬送面が上面側となるように配置された第1搬送部と、
シート状の被検査物を搬送する搬送面が下面側となるように被検査物の搬送方向に沿って前記第1搬送部の前記搬送面と隣接して配置された第2搬送部と、
前記搬送方向に関する前記第1搬送部の上流側端部に設けられ、前記第1搬送部に搬送される被検査物の表面を検査する第1検査部と、
前記搬送方向に関する前記第2搬送部の上流側端部に設けられ、前記第2搬送部に搬送される被検査物の裏面を検査する第2検査部と、
を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載された画像検査装置によれば、第1搬送部と第2搬送部の搬送面の側は開放されていて搬送部の構成要素としては障害物となるようなものは存在しない。そして、その開放された各搬送面のうち、第1検査部と第2検査部が配置されているのは、上流側端部である。従って、第1搬送部と第2搬送部の搬送面でシート状の被検査物がジャムを起こす可能性は小さいが、仮にジャムを起こしたとしても、搬送面の大部分は開放されており、第1搬送部と第2搬送部の上流側端部にそれぞれ配置された第1検査部と第2検査部が、詰まった被検査物を搬送面から除去する障害になることはなく、ジャム解除作業は容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の画像検査装置を含む画像形成システムの全体構成図である。
【
図2】実施形態の画像検査装置の模式的構造図である。
【
図3】
図2の模式構像図にさらに検査部の支持部を加えて表した画像検査装置の模式的構造図である。
【
図5】実施形態の画像検査装置を斜め上方から見た斜視図である。
【
図6】実施形態の画像検査装置を斜め下方から見た斜視図である。
【
図7】実施形態の画像検査装置の上流側の吸着搬送部及び検査部等を斜め上方から見た斜視図である。
【
図8】実施形態の画像検査装置の吸着搬送部と検査部を斜め下方から見た斜視図である。
【
図9】実施形態の画像検査装置の上流側の保持部及び検査部を斜め下方から見た斜視図である。
【
図10】実施形態の画像検査装置の上流側の保持部及び吸着搬送部を斜め上方から見た分解拡散斜視図である。
【
図11】実施形態の画像検査装置において、吸着搬送部による被検査物の検査部に対する搬送方向を調整する搬送方向調整手段の模式的斜視図である。
【
図12】実施形態の画像検査装置において、吸着搬送部による被検査物の検査部に対する搬送方向を調整する搬送方向調整手段の模式的平面図である。
【
図13】実施形態の画像検査装置の第1の変形例を示す模式的正面図である。
【
図14】実施形態の画像検査装置の第2の変形例を示す模式的正面図である。
【
図15】実施形態の画像検査装置の第3の変形例を示す模式的正面図である。
【
図16】実施形態の画像検査装置の第4の変形例を示す模式的正面図である。
【
図17】実施形態の画像検査装置の第5の変形例を示す模式的正面図である。
【
図18】実施形態の画像検査装置の第6の変形例を示す模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
《画像形成システムの基本構造について》
本発明の実施形態を
図1~
図12を参照して説明する。
図1に構造を簡略化して模式的に示すように、本発明の実施形態は、印刷装置100と、画像検査装置200と、後処理装置300を含む画像形成システムに関するものであり、特に、後に詳述するように画像検査装置200の構造に特徴を有している。
【0013】
印刷装置100は、インク色が異なる複数のインクジェットヘッド101と、画像検査装置200の被検査物であるシート状の媒体(印刷用紙)を搬送する搬送経路102と、インクジェットヘッド101の直下に搬送経路102と接続して設けられた吸着搬送部103とを有している。印刷用紙の供給手段等、その他の構成の図示は省略している。後処理装置300は、印刷装置100で画像が印刷され、画像検査装置200で当該画像が検査された印刷用紙に対し、種々の後処理を加えて排出する装置である。後処理の内容としては、ソート・スタック等の仕分け作業、ステープル、合紙の挿入、各種態様の紙折り、封筒への挿入等があり、目的に応じて必要な機能を備えた後処理装置300を設けることができる。
【0014】
《画像検査装置の基本構造について》
まず、
図2及び
図3を参照して画像検査装置200の基本的構成を説明する。
この画像検査装置は、シート状の被検査物(シート状の媒体、すなわち印刷用紙)の搬送手段として2台の吸着搬送部(第1吸着搬送部1及び第2吸着搬送部2)を有している。まず
図2に示す範囲で、第1吸着搬送部1を簡易に説明する。第1吸着搬送部1は、下流側の駆動ローラ3と、上流側の従動ローラ4と、その他の2個の小従動ローラ5に搬送ベルト6を掛け回したベルトコンベアを有している。第1吸着搬送部1の上側の搬送ベルト6の下面には、後に他図に示すように(例えば
図5参照)、樹脂製の中間板7が接しており、この中間板7の下面には板材であるプラテン8が接している。搬送ベルト6と中間板7とプラテン8には、それぞれ多数の貫通孔が形成されている。さらに、プラテン8の下面には図示しないチャンバが取り付けられ、チャンバの内部は、チャンバ下部に取り付けられた図示しないファンで吸引されて負圧を維持するようになっている。従って、ファンが駆動されれば、空気は搬送ベルト6の上方から、搬送ベルト6と中間板7とプラテン8の各貫通孔を経てチャンバに吸い込まれるため、被検査物は搬送ベルト6の搬送面に吸着され、搬送ベルト6を駆動すれば被検査物を搬送することができる。
なお、前述した上流側及び下流側とは、吸着搬送部による被検査物の搬送方向における上流側及び下流側の意味で使用しており、以下の説明でも同様である。
【0015】
図2に示すように、図中左から右に向かう被検査物の搬送方向において、上流側にあるのが第1吸着搬送部1であり、下流側にあるのが第2吸着搬送部2である。第1吸着搬送部1及び第2吸着搬送部2は機能的に同一の構造であるが、第1吸着搬送部1は、被検査物を吸着して搬送する搬送面が上面側となるように水平に配置されている。従って、第1吸着搬送部1によって搬送される被検査物は表面を上方に向けて搬送される。これに対し、第2吸着搬送部2は、第1吸着搬送部1とは上下が逆となるように配置されている。すなわち、第2吸着搬送部2は、被検査物を吸着して搬送する搬送面が下面側となるように水平に配置されている。従って、第2吸着搬送部2によって搬送される被検査物は裏面を下方に向けて搬送される。第1吸着搬送部1と第2吸着搬送部2は、各搬送面が略一致するように互いに隣接して配置されており、被検査物を水平な一搬送経路に沿って連続的に搬送することができる。
【0016】
図2に示すように、この画像検査装置は、被検査物の検査手段として2台の検査部(第1検査部11及び第2検査部12)を有している。第1検査部11は、第1吸着搬送部1の上流側の端部の上方に、搬送ベルト6に対向するよう下向きに設けられている。第2検査部12は、第2吸着搬送部2の上流側の端部の下方に、搬送ベルト6に対向するよう上向きに設けられている。これら第1検査部11及び第2検査部12は同じ仕様のCIS(密着イメージセンサ、Contact Image Sensor)であるが、被検査物に形成された画像を検査のために読み取る検査部としては、CISに限らず、その他の原理又は構造のセンサでもよいし、後述するようにカメラを用いることもできる。
【0017】
図2に示すように、この画像検査装置200は、第1吸着搬送部1の上流側の隣に、上流の印刷装置100から送られた被検査物を搬送面に導く導入ガイド板13を備えている。また、第1吸着搬送部1の従動ローラ4の上方には、導入ガイド板13を経て導入された被検査物の先端の浮き上がりを押さえ込む押さえローラ14が設けられている。押さえローラ14は、搬送ベルト6に従動して回転している。
【0018】
図2に示すように、この画像検査装置200は、第1吸着搬送部1と第2吸着搬送部2の間に、第1吸着搬送部1から送られた被検査物を第2吸着搬送部2の搬送面に導く中間ガイド板15を備えている。また、第2吸着搬送部2の従動ローラ4の下方には、中間ガイド板15を経て導入された被検査物の先端の垂れ下がり防止する垂れ下がり防止部材として、後に他図を参照して説明するように(例えば
図6及び
図8等参照)、垂れ下がり防止ローラ16が設けられている。
【0019】
図2に示すように、この画像検査装置200は、第2吸着搬送部2の下流側の隣に、第2吸着搬送部2で搬送された被検査物を排出する排出ガイド板17が設けられている。
【0020】
次に、
図3を参照して、
図2には示していない画像検査装置200の基本的構成を説明する。前述した第1検査部11及び第2検査部12は、第1吸着搬送部1及び第2吸着搬送部2に対してそれぞれ位置決めされる第1支持部21及び第2支持部22に取り付けられている。第1支持部21及び第2支持部22は機能的には実質的に同じ構造であるが、互いに上下を逆にして配置された第1吸着搬送部1と第2吸着搬送部2の各搬送面に対向するように、互いに上下を逆にして第1吸着搬送部1と第2吸着搬送部2の各搬送面に対面するように配置されている。また、後に他図を参照して説明するように(例えば
図5等参照)、第1支持部21及び第2支持部22は、それぞれ長支持軸23の両端において、装置の図示しないフレームに支持点A,Bで回動可能に支持されている。
図3において長支持軸23の中心軸は紙面に垂直であり、第1支持部21及び第2支持部22はこの中心軸を中心として左右両方向に回動可能な状態でフレームに支持されている(
図5に示す矢印を参照して後に説明する)。また、第1支持部21及び第2支持部22は、それぞれ短支持軸24によって、装置の図示しないフレームに支持点Cで回動可能に支持されている。
図3において短支持軸24の中心軸は紙面に平行かつ略水平であり、第1支持部21及び第2支持部22はこの中心軸を中心として紙面手前方向及び奥行き方向の両方向に回動可能な状態でフレームに支持されている(
図5に示す矢印を参照して後に説明する)。詳細は後述するが、第1支持部21及び第2支持部22の支持点A、B、Cにおける支持状態は固定的なものではなく、フレームに外力が加わって変形した場合には、第1支持部21及び第2支持部22が前述した2つの方向に回動可能であることにより、第1支持部21及び第2支持部22が変形したり、両者の配置関係に有害な変化が生じないようになっている。
【0021】
以上説明した基本構造を備えた実施形態の画像検査装置200によれば、被検査物は、第1吸着搬送部1の上面側である搬送面に吸着保持されて安定的に搬送され、次に第2吸着搬送部2に受け渡され、その下面側である搬送面に吸着保持されて安定的に搬送される。このように被検査物は吸着搬送されるので搬送中に位置や姿勢が不安定化することがなく、被検査物を反転させる複雑な機構を用いずとも、被検査物を一方向に安定して搬送しながら、その表裏両面を2台の検査部11,12によって必要な精度で検査することができる。
【0022】
また、この画像検査装置200によれば、各検査部11,12は各吸着搬送部1,2の上流側端部の近傍に配置されているため、各吸着搬送部1,2の搬送面の大部分は開放された状態にあり、障害物がない。このため、この装置を管理する管理者又はこの装置の保守等を行う作業者は、各吸着搬送部1,2の搬送面に容易にアクセスできる。従って、「従来の技術」の項で説明したように、特許文献1に開示された画像形成装置のカメラユニットのように被検査物の搬送経路102が検査部に挟まれていないので、搬送中の被検査物にジャムが発生しても問題箇所に容易に手を差し入れて詰まった被検査物を除去することができる。
【0023】
また、この画像検査装置200によれば、各検査部11,12は各吸着搬送部1,2の上流側端部の近傍に配置されているため、検査部11,12による画像の検出結果を下流側で利用する場合には時間的な余裕が得られて好都合である。例えば、画像検査装置200の後段にある後処理装置300において、検査結果が好ましくない被検査物をNG品として選別する場合には、NG品か否かを判定するために検査部11,12からの情報はなるべく早く得たい。本実施形態によれば、検査部11,12が吸着搬送部1,2の上流側にあるため、これらが下流側にある場合に比べれば、制御部はより早く検査結果を取得して必要な後処理を遅滞なく実行することができる。
【0024】
《画像検査装置の構造の詳細について》
次に、以上説明した基本構造を有する画像検査装置200のさらに具体的な構成を
図4~
図12を参照して説明する。まず、第1検査部11及び第2検査部12がそれぞれ取り付けられた第1支持部21及び第2支持部22と、これら支持部21,22を吸着搬送部1,2に位置決めする構造等について、
図4~
図9を参照して説明する。
【0025】
特に
図5及び
図9に表れるように、第1支持部21は、第1吸着搬送部1の平面形状に略合致した略正方形状の外形を有する枠体である。第1支持部21の4つの壁部のうち、搬送方向に直交する上流側の壁部の内側には、搬送方向と直交する方向(被検査物の幅方向)を長手方向とする第1検査部11が取り付けられている。第1検査部11の検査素子は搬送ベルト6の方向に向けられている。
【0026】
特に
図9に表れるように、第1支持部21の4つの隅部には、第1吸着搬送部1と対向する側に、所定の寸法に設定された支持脚部25が、それぞれ突出して設けられている。支持脚部25には、縦方向に溝26が形成されている。特に
図4及び
図5に表れるように、第1支持部21の4本の支持脚部25は、第1吸着搬送部1の中間板7からはみ出したプラテン8の上面であって搬送ベルト6を挟む各2カ所の位置(合計4カ所)にそれぞれ当接している。そして第1支持部21は、以下に説明し、特に
図4に距離Dで示すように、第1吸着搬送部1を支持脚部25に押し付けて保持することにより、前記第1検査部11と第1吸着搬送部1の搬送面との距離を一定に保持している。
【0027】
特に
図4、
図5及び
図7に表れるように、まず第1支持部21には、第1吸着搬送部1と反対側であって、搬送方向と平行な一方の壁部に、搬送方向と平行に巻き取り軸27が設けられている。特に
図5及び
図7に表れるように、巻き取り軸27の両端には、各2個の滑車28a,28bが設けられている。また第1支持部21には、第1吸着搬送部1と反対側であって、搬送方向と平行な他方の壁部の2つの隅部に、それぞれ滑車29,29が設けられている。巻き取り軸27の滑車28a,28bには吊線30が基端部を連結されて巻かれている。巻き取り軸27の両端の各2個の滑車のうち、外側の2つの滑車28a,28aの2本の吊線30,30は、搬送方向と直交する方向に引き出され、巻き取り軸27と反対にある2つの滑車29,29にそれぞれ掛け回され、2本の支持脚部25,25に形成された2本の溝26,26に沿って下方の第1吸着搬送部1に導かれ、2本の支持脚部25,25が当接しているプラテン8の2カ所に、その各先端部で連結されている。また、巻き取り軸27の両端の各2個の滑車のうち、内側の2つの滑車28b,28bの2本の吊線30,30は、直下にある2本の支持脚部25,25に形成された2本の溝26,26に沿って下方に導かれ、2本の支持脚部25,25が当接しているプラテン8の2カ所に、その各先端部で連結されている。
【0028】
第1支持部21には、巻き取り軸27が設けられた壁とは搬送ベルト6を挟んで反対側の壁部に、360度回動自在のハンドル31が設けられている。詳細は図示しないが、このハンドル31の回転軸は、ベルト、プーリ、ウォーム及びホイール等の伝達機構を介して巻き取り軸27に連動連結されている。従って、ハンドル31の操作によって巻き取り軸27を所定方向に回動させれば、吊線30を滑車28a,28bに巻き取ってプラテン8を持ち上げ、第1支持部21の4本の支持脚部25の先端に所要の力で押し付けて位置決めすることができる。ここで、吊線30は支持脚部25の溝26内に配置されてプラテン8に連結されているため、吊線30がプラテン8を引き上げる力は、支持脚部25が当接している位置に直接働く。このため、プラテン8(すなわち第1吸着搬送部1)を支持脚部25に固定する作用は確実となる。なお、吊線30で第1吸着搬送部1を持ち上げる力は、各部の重量等にもよるが、例えば、1本の吊線30について7N、4本で合計28Nとすることができる。
【0029】
このように、第1検査部11を搭載した第1支持部21は、4本の支持脚部25の先端で規定される仮想平面と一致するようにプラテン8を位置決めし、これを所要の力で当該位置に固定している。このため、第1支持部21の所定位置に取り付けられた第1検査部11と、これに対向する被検査物の搬送面とは平行になり、両者間の距離は予め定めた一定の値となる。また、仮にプラテン8が本来の平坦面でなく、平面度に若干の問題があったとしても、プラテン8を吊線30で引っ張って支持脚部25に当接させる力により、プラテン8の平面度を矯正することも可能である。
【0030】
本実施形態の検査部はCISであるものとしたが、一般にCISは被写界深度が浅く、所期の読取精度を得るために高い配置精度が求められる。例えば、12mmの距離に設定する際の許容誤差は±0.2mm程度である。従って、CISと被検査物の搬送面の位置決めには高い精度が必要となる。しかしながら、本実施形態によれば、第1支持部21に設けた4本の支持脚部25の各先端面で構成される仮想平面に対し、これと平行となるように第1検査部11を第1支持部21に取り付けておき、その第1支持部21の各支持脚部25をプラテン8に突き当てて仮想平面内に固定すれば、プラテン8と第1検査部11とは平行になり、第1吸着搬送部1によって搬送される被検査物の第1検査部11による画像検査は所期の精度で適正に行うことができる。
【0031】
吸着搬送部1,2を吊線30で引いて支持部21,22の支持脚部25に突き当てて位置決めする機構として、第1支持部21及び第1吸着搬送部1を説明したが、第2支持部22及び第2吸着搬送部2も機能的には略同一の機構であるため、第1支持部21等の説明を援用してその説明は省略する。但し、
図5の右方に示すように、第2支持部22では、上方にある第2吸着搬送部2を4本の吊線30で下方に引き下げ、上方に突出した4本の支持脚部25の上端面に突き当てている点で、第1支持部21等とは力の方向等が異なる。なお、実施形態の支持部21,22は、4本の支持脚部25の先端で規定される仮想平面と一致するようにプラテン8を位置決めしたが、支持脚部25の先端を通過する面で仮想平面を一義的に決定できればよいので、支持脚部25は3本以上あればよい。また、5本以上としてプラテン8の位置決め精度をさらに高めてもよい。
【0032】
特に
図4~
図7に表れるように、第1支持部21において、搬送方向と平行な一対の壁部の上流側には、搬送方向に直交する長支持軸23が渡設されている。長支持軸23の両端は壁部の外方に突出しており、
図5中において長支持軸23の周囲に両方向の矢印で示すように、画像検査装置200の図示しないフレームに回動可能に連結されている。すなわち、第1支持部21は、この長支持軸23を中心として搬送ベルト6の下流側又は上流側が上下に揺れるような向きで回動可能となるように取り付けられている。また、第1支持部21において、搬送方向と直交する一対の壁部の下流側の中央部には、上方に延びる連結板32の下端が固定されている。当該連結板32の上端は、画像検査装置200の図示しないフレームに対し、搬送方向と平行な短支持軸24によって回動可能に連結されている。短支持軸24の中心軸は長支持軸23の中心軸と直交しており、かつ略水平であって、
図5中において短支持軸24の周囲に両方向の矢印で示すように、第1支持部21は短支持軸24を中心として紙面斜め手前方向及び斜め奥行き方向の両方向に回動可能な状態でフレームに支持されている。従って、長支持軸23の両端が、フレームに対して第1支持部21を回動可能に支持する前記支持点A,B(
図3参照)であり、短支持軸24が、フレームに対して第1支持部21を回動可能に支持する前記支持点C(
図3参照)である。第2支持部22も機能的には第1支持部21と略同一の構造でフレームに取り付けられているため、第1支持部21等の説明を援用してその説明は省略する。このように、第1支持部21の支持点A、B、Cにおける支持状態は固定的なものではない。従って、フレームに何らかの力が外力が加わって変形した場合には、第1支持部21は、
図5中に示した直交する2つの面内でそれぞれ回動可能な支持状態であることによって、フレームから伝達される力を逃がして可及的に姿勢を維持し、第1支持部21が変形したり、第2支持部22との配置関係に有害な変化が生じないようになっている。
【0033】
以上説明したように、本実施形態では、検査部11,12を搭載した支持部21,22が、本体のフレームに対して回動可能な非固定の状態で3点において支持されているが、この構造によれば次のような効果が得られる。すなわち、平面度が低い床面に画像検査装置200を設置した場合や、平面度が低い床面に設置したことに対応して画像検査装置200の4本の支持脚のアジャスタにより高さ調整を行ったが、これが完全ではなく支持脚の高さに差が生じたような場合には、何れの場合も画像検査装置200は必要な水平状態から外れた傾斜姿勢となる。このため、装置のフレームには外力が加わり、歪みが生じる。フレームが歪めば、支持部21,22をフレームに直接固定している場合には、第1に、支持部21,22にも歪みが生じ、支持部21,22に取り付けた検査部11,12と、被検査物の搬送面との位置関係が変化してしまう。また、第2に、第1検査部11と第2検査部12の相互的な位置関係も変化してしまう。その結果、検査部11,12が被検査部を誤検知するという問題が生じる。
【0034】
しかしながら、本実施形態によれば、検査部11,12を搭載した支持部21,22が、本体のフレームに対して非固定の状態で3点支持されているため、仮に装置のフレームに無用な外力が加わって歪みが生じたとしても、支持部21,22にはこの歪みが伝達されにくく、支持部21,22に取り付けた検査部11,12と吸着搬送部1,2との正規の位置関係は保持され、また適正に設定されている第1検査部11と第2検査部12の相互的な位置関係にも変化は生じにくい。その結果、検査部11,12が被検査物を誤検知するという問題は生じない。
【0035】
特に
図6及び
図8に表れるように、第2吸着搬送部2の従動ローラ4の下方に相当する位置、すなわち第2吸着搬送部2の上流側の端部の下方の位置には、垂れ下がり防止ローラ16が設けられている。垂れ下がり防止ローラ16は、
図2を参照して先に説明したように、中間ガイド板15を経て導入された被検査物の先端の垂れ下がり防止する垂れ下がり防止部材である。垂れ下がり防止ローラ16は、被検査物の搬送方向と直交する軸方向について櫛歯状に分割されたローラ部を有している。上流の第1吸着搬送部1から第2吸着搬送部2に被検査物が送り込まれてきたとき、被検査物の先端が自重又は下方へのカールによって垂れ下がる前に、当該先端は垂れ下がり防止ローラ16に突き当たってこれに乗り上げ、搬送ベルト6との間に挟まれて第2吸着搬送部2による吸着搬送が開始される。又は被検査物の先端が垂れ下がる前に、当該先端は垂れ下がり防止ローラ16と搬送ベルト6の間に挟まれて第2吸着搬送部2による吸着搬送が開始される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態では、第1吸着搬送部1と第2吸着搬送部2の間における被検査物の受け渡し位置に垂れ下がり防止ローラ16が設けられているが、この構造によれば次のような効果が得られる。すなわち、本実施形態の画像検査装置200では、第1吸着搬送部1の入口において第1検査部11が被検査物の上面の画像を読み取り、その読み取りタイミングとそれ以降の搬送長さから、第2検査部12が下面の画像を読み込み始めるタイミングを設定している。検査部11,12であるCISで検出した画像は、元の画像データと照合して適否を判断するが、CISで検出する画像の精細度は300~600dpiと高精細度である。このため、第1吸着搬送部1と第2吸着搬送部2の間で被検査物を受け渡す際に、被検査物の先端に垂れ下がりが生じると、第2吸着搬送部2に被検査物が進入するタイミングにずれが生じ、第2検査部12で読み取りの誤検知が発生してしまう。しかしながら、本実施形態によれば、第2吸着搬送部2の入口に垂れ下がり防止ローラ16が設けられているため、被検査物の先端が自重で垂れ下がるという問題は生じず、第1検査部11での読み取りタイミング等を基準にした第2検査部12での読み取りタイミング設定にずれが生じることはなく、誤検知の問題は生じない。
【0037】
また、被検査物の先端部を、搬送方向と平行な視線で見た場合、波打ち状の変形(コックリング)が認められる場合がある。このような変形はCIS等の検査部による検査の精度を低下させ、誤検知を誘発するため、なるべく矯正することが好ましい。この実施形態では、垂れ下がり防止ローラ16が櫛歯状のローラ部で被検査物を搬送ベルト6との間に挟むため、被検査物のコックリングは、その山が潰されて谷の深さが小さくなる方向に形状が補正され、結果として、その変形を周期のより小さい波状に変えるため、コックリングが矯正されたのと同様の結果となり、検査部11,12による誤検知を防ぐ効果が得られる。
【0038】
特に
図9~
図12に表れるように、第1支持部21には、第1吸着搬送部1による被検査物の搬送方向を調整する第1搬送方向調整手段が設けられている。第1支持部21において、搬送方向と平行な一対の壁部の一方側には固定ピン35が下方に突出して設けられている。固定ピン35は、プラテン8に設けられた位置決め孔36に挿入される。また、搬送方向と平行な一対の壁部の他方側には可動ピン37が下方に突出して設けられている。可動ピン37は、第1支持部21に回動可能に取り付けられた円筒形の操作部材38の下面に偏芯して取り付けられており、プラテン8に設けられた長孔39に挿入される。操作部材38の周面には、操作部材38を回動させる操作ハンドル40が設けられている。操作部材38の周囲には、操作部材38が回動した角度を示す目盛り板41が取り付けられている。
【0039】
図10に示す状態から、吊線30(
図10には不図示)で第1吸着搬送部1を吊り上げて第1支持部21の4本の支持脚部25に当接させると、固定ピン35は位置決め孔36に挿入され、可動ピン37は長孔39に挿入されて
図7に示す状態となる。これは第2吸着搬送部2及び第2検査部12も含めた全体としては
図5に示す状態であり、通常使用時を示している。このような通常使用時において、第1検査部11と第1吸着搬送部1の平行度が不十分である等の原因で第1検査部11の検査精度に問題が生じた等の場合には、第1吸着搬送部1による被検査物の搬送方向を修正する必要が生じる。
【0040】
第1搬送方向調整手段を用いて第1吸着搬送部1による被検査物の搬送方向を修正する場合には、まず吊線30が第1吸着搬送部1を吊り上げている力を適当に減じ、支持脚部25に対してプラテン8が滑動可能な状態とする。そして、
図11及び
図12に示すように、操作ハンドル40によって操作部材38を必要な角度だけ回転させ、可動ピン37を必要量だけ旋回させる。操作ハンドル40の操作量に応じた角度の変動は目盛り板41から読み取ることができる。このような操作により、第1吸着搬送部1のプラテン8は固定ピン35を中心として最大角度θだけ向きを調整することができる。調整後、吊線30による吊り上げ力を適当に増して支持脚部25に対してプラテン8を固定する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態では、検査部11,12を搭載した支持部21,22に対する吸着搬送部1,2の向きを調整し、被検査物の搬送方向を変える機構が設けられている。このため、何らかの原因で検査部11,12と搬送方向の位置関係に問題が生じた場合、操作ハンドル40の操作によって検査部11,12と搬送方向の位置関係を修正し、誤検知の発生を防止することができる。また、第1吸着搬送部1で被検査物の斜行が発生していると、第2吸着搬送部2に被検査物を受け渡す際に被検査物の先端が垂れ下がり防止ローラ16に到達するタイミングが遅れ、前述した垂れ下がり防止ローラ16による垂れ下がり防止の効果が減殺される可能性がある。しかし、操作ハンドル40の操作で上流側である第1吸着搬送部1の搬送方向を調整して被検査物の斜行を修正し、第1吸着搬送部1と第2吸着搬送部2の各搬送方向を一致させておけば、前述した垂れ下がり防止ローラ16による垂れ下がり防止の効果を確実に担保することができる。
【0042】
なお、第2支持部22にも、第1支持部21と同様、第2吸着搬送部2による被検査物の搬送方向を調整する第2搬送方向調整手段が設けられているが、第1搬送方向調整手段と機能上同一の構成であるため、第1搬送方向調整手段の記述を援用して繰り返しの説明を避けるものとする。
【0043】
《実施形態の画像検査装置の変形例について》
本発明の実施形態における変形例を
図13~
図18を参照して説明する。
図13は第1の変形例を示す模式的正面図である。この画像検査装置200aは、第1吸着搬送部1及び第2吸着搬送部2が、被検査物の搬送方向に沿ってそれぞれ上流側及び下流側に配置されている点は、実施形態と同様であるが、第2吸着搬送部2の搬送面が、第1吸着搬送部1の搬送面に対して下流側に向けた下方への傾斜角度を有している。
【0044】
実施形態では、第1吸着搬送部1と第2吸着搬送部2の各搬送方向は一致しているものとしたが、そのような構成では受け渡される被検査物の先端が垂れて第2吸着搬送部2に適正に吸着されず、受け渡しがうまくいかない場合がありうる。そのような場合には、第1変形例のように、第2吸着搬送部2の下流側の端部を若干下方に下げて前記傾斜角度を設けるものとする。傾斜角度を設定するためには、第2吸着搬送部2を吊っている吊線30の張力を、上流側に比べて下流側を弱めることで、傾斜角度の調整を行うことができる。
【0045】
具体的な傾斜角度の例を説明する。例えば坪量が200g/cm2 以上の厚めの用紙等は腰が強いため、受け渡し時に垂れにくい。このため、第1吸着搬送部1の搬送面と第2吸着搬送部2の搬送面の間の角度を、両吸着搬送部の下方について測定した角度で、180度以下の約177度とすることが好ましい。すなわち、この場合に第2吸着搬送部2の下流側の端部を下げる角度は3度程度である。例えば坪量が40g/cm2 程度の薄紙の場合は、腰が弱いため受け渡し時に垂れやすい。このため、第1吸着搬送部1の搬送面と第2吸着搬送部2の搬送面の間の角度を、両吸着搬送部の下方について測定した角度で、約170度とすることが好ましい。すなわち、第2吸着搬送部2の下流側の端部を下げる角度は10度程度である。このように、本願発明者が知得した2つの例に基づく知見によれば、両吸着搬送部の下方について測定した吸着搬送部2の搬送面の傾斜角度は、180度から約170度の範囲とすることが好ましいが、前記2つの例とは異なる条件下であれば、170度からさらに数度程度、好ましい角度範囲が拡がる場合もありうる。
【0046】
この画像検査装置200aによれば、第1吸着搬送部1から第2吸着搬送部2へ搬送されてきた被検査物の先端部は、仮に紙質等の理由で第1吸着搬送部1の搬送面から下方に垂れ下がっていたとしても、下流下方に向けて傾斜している第2吸着搬送部2の搬送面に押し付けられるので確実に吸着されて保持され、安定して下流に搬送される。
【0047】
また、この画像検査装置200aにおいて、第2吸着搬送部2の搬送面の下流側に向けた下方への傾斜角度を、被検査物に画像を形成する際の画像形成条件に応じて設定するものとしてもよい。ここで、画像形成条件としては、前述した坪量で表される被検査物の種類の他、被検査物の向き、印字量、被検査物の画像形成面内における印字範囲の配置バランス等が例示できる。これらの画像形成条件に応じて、前記傾斜角度を手動又は自動で適当な値に設定するようにしてもよい。
【0048】
図14は第2の変形例を示す模式的正面図である。
この画像検査装置200bは、第1吸着搬送部1の下流側の端部の搬送面と、第2吸着搬送部2の上流側の端部の搬送面とが、互いに重なり合っている。その他の構成は実施形態と同一である。2つの搬送面が重なり合っている部分では、2枚の搬送ベルト6,6は上下方向に0.5mm以下の間隔をおいて対面している。一例を述べれば、画像形成装置で画像が形成される用紙の厚さは厚い紙で0.2mm程度であることが多いので、仮にそのような場合であって、2枚の搬送ベルト6,6の間隔が0.5mm以下であれば被検査物の受け渡しに支障はないことになる。第2変形例によれば、上流側の第1吸着搬送部1と、下流側の第2吸着搬送部2との間に受け渡しのための機構(例えば
図2に示した中間ガイド板15)が不要であり、かつ受け渡しが円滑になるという効果がある。
【0049】
図15は第3の変形例を示す模式的正面図である。
この画像検査装置200cでは、第1吸着搬送部1と第2吸着搬送部2には、それぞれ検査部としてカメラ11a,12aとCIS11b,12bが設けられているが、何れの吸着搬送部1,2においても、求められる配置精度が相対的に高い(被写界深度の浅い)CIS11b,12bを被検査物の搬送方向に関して相対的に下流側に配置し、求められる配置精度が相対的に低い(被写界深度の深い)カメラ11a,12aを同上流側に配置している。その他の構成は実施形態と同一である。吸着搬送部1,2では、搬送中の被検査物の吸着力は、搬送ベルト6の上流側だけに被検査物が吸着され、大半の孔が塞がれていないで搬送されている状態よりも、被検査物が搬送ベルト6の下流側まで吸着され、大半の孔が塞がれて搬送されている状態の方が高い。つまり、用紙にコックリングやカールがある場合、前者の方が用紙は搬送ベルトに密着し難く、後者の方が用紙は搬送ベルトに密着し易い。このため、各吸着搬送部1,2において、相対的に精度のひくい(被写界深度の深い)カメラ11a,12aと、相対的に精度の高い(被写界深度の浅い)CIS11b,12bを上述のように配置することにより、種類の異なる検査部をそれぞれの検査精度で機能させるために必要な配置精度で配置することができ、各検査部の検査精度の水準を担保することができる。
【0050】
図16は第4の変形例を示す模式的正面図である。
この画像検査装置200dは、第1吸着搬送部1と第2吸着搬送部2の間に、中間ガイド板15の下側の板体42を第2吸着搬送部2の上流側端部の下方まで延長した垂れ下がり防止部材42を有している。その他の構成は実施形態と同一である。この垂れ下がり防止部材42によれば、前述した垂れ下がり防止ローラ16(
図2及び
図6等参照)と同様、第1吸着搬送部1から第2吸着搬送部2に受け渡される被検査物の先端部が重力やカール等で垂れ下がるのを防止する効果が得られる。
【0051】
図17は第5の変形例を示す模式的正面図である。
この画像検査装置200eは、第1吸着搬送部1の上流側の隣部に、その上流から送られてくる被検査物の斜行を補正する斜行補正ローラ43が設けられている。斜行補正ローラ43は、停止した状態で待機しており、被検査物(印刷用紙)が突き当たった時に搬送方向に回転を開始する。被検査物の先端を検知するトップエッジセンサ44(
図4及び
図5参照)が斜行補正ローラ43の上流側直近に設けられており、トップエッジセンサ44が被検査物の先端を検出すると、トップエッジセンサ44からの検知信号を受けた制御部が斜行補正ローラ43を駆動する。その他の構成は実施形態と同一である。この斜行補正ローラ43によれば、上流の印刷装置100から送り込まれてくる印刷用紙(被検査物)が斜行していても、これを修正して第1検査部11に対して適正な姿勢で送り込むことができる。
【0052】
図18は第6の変形例を示す模式的正面図である。
この画像検査装置200fによれば、第1吸着搬送部1と第2吸着搬送部2には、それぞれ検査部としてCIS11b,12bが設けられているが、何れの吸着搬送部1,2においても、検査部としてのCIS11b,12bは、下流側の端部付近に配置されている。その他の構成は実施形態と同一である。吸着搬送部1,2では、搬送される被検査物の吸着力は、搬送ベルト6の上流側だけに被検査物が吸着され、大半の孔が塞がれていない状態よりも、搬送ベルト6の下流側まで被検査物が吸着され、大半の孔が塞がれている状態の方が高い。つまり、吸着搬送部1,2では、下流側に向けて搬送が進むほど、搬送されている被検査物が搬送ベルトに保持される力は高くなり、保持が安定する。このため、検査部としてのCIS11b,12bは、所期の検査精度で機能させるために必要な配置精度が高いことに鑑み、上述のように各吸着搬送部1,2の下流側に配置することとした。これによって、吸着搬送部1,2で下流側まで搬送された被検査物は十分な吸引力で搬送ベルト6に安定して保持され、CIS11b,12bによって所期の高い精度で画像を検出することができる。
被検査物の先端が搬送ベルト6の上流側にあって負圧等の吸着が低い場合には、被検査物の後端も吸着搬送部1に入っていないため吸着接着がされておらず、被検査物の搬送としては不安定状態である。しかし、被検査物の先端が吸着搬送部1の後端に達するころには、被検査物全体が吸着接着され、搬送が安定し、被検査物が高さ方向にばたつく可能性は低くなる。そして、被検査物の後端が第1吸着搬送部の下流にある第1検査部11に到着すると、例えば、被検査物の後端に働く負圧は低くなるが、被検査物の先端は下流側の第2吸着搬送部2で吸着されており、かつ、ここに達する直前まで負圧の高い状態で安定搬送がされていた状態の慣性に助けられ、被検査物の後端でのみ負圧が低くなっても、搬送としては安定した状態を維持することができる。但し、上記の慣性の助けだけでも安定した状態を維持することは可能である。
【0053】
なお、本実施形態及びその変形例における被検査物の搬送手段としては、ファンによるベルト吸引搬送を説明したが、静電による吸着搬送、ローラ搬送を用いた接着による接着搬送、その他、何らかの接着手段を用いた接着搬送を用いることもできる。接着搬送の一例であるローラ搬送を用いた接着搬送としては、例えば、自重で落下しない程度の接着力を有する接着材をローラ表面に塗布したローラ搬送手段でローラに用紙を接着させて搬送することが可能であり、これを本実施形態の吸着搬送部に代替することもできる。さらに、他の接着手段を用いた接着搬送としては、搬送ベルトに前記接着剤を塗布して搬送するベルト搬送を用いた接着搬送も使用できる。なお、これら接着搬送の場合には、搬送ベルトやローラの接着材から用紙を引き剥がす引き剥がし部を設けてもよい。このように、被検査物の搬送手段は、本実施形態のようなファンによるベルト吸引搬送に限定されない。また、搬送部1,2において、静電による吸着搬送や接着搬送の場合であっても下流側に検査部を配置するようにしてもよい。例えば、静電による吸着搬送の場合でも、下流の方が、静電吸着面積が広くなり、吸着が安定するからである。また、搬送部1,2において、複数のローラで接着搬送する場合でも、上流側においてローラ1つで接着して搬送する状態よりは、下流側においてローラ2つ以上で接着して搬送する状態の方が、吸着が安定して搬送が確実となる。
なお、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさを考慮したため、便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについては実物から変更し、模式的に表現される場合があるが、これはあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。従って、添付した図面を用いて説明する実施形態及びその変形例により、本発明が限定されることはなく、この実施形態及びその変形例に基づいて当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例及び運用技術などの一切は全て本発明の範疇に含まれるものである。
【0054】
《実施形態及びその変形例における各態様の給紙装置とその効果について》
第1態様の画像検査装置200,200a~200fは、
シート状の被検査物を吸着して搬送方向に搬送する吸着搬送部1,2と、
前記搬送方向に関する前記吸着搬送部1,2の上流側端部と下流側端部の少なくとも何れか一方に設けられ、前記吸着搬送部1,2に搬送される被検査物を検査する検査部11,12と、
を具備することを特徴としている。
【0055】
第1態様の画像検査装置200,200a~200fによれば、
吸着搬送部1,2は、シート状の被検査物を搬送面に吸着して搬送する機構であるため、搬送面の側は開放されていて吸着搬送部1,2の構成要素としては障害物となるものは存在しない。そして、その開放された搬送面のうち、検査部11,12が配置されているのは、上流側端部と下流側端部の少なくとも何れか一方のみである。従って、吸着搬送部1,2の搬送面でシート状の被検査物がジャムを起こす可能性は小さいが、仮にジャムを起こしたとしても、搬送面の大部分は開放されており、その端部に配置された検査部11,12が詰まった被検査部を搬送面から除去する障害になることはなく、ジャム解除作業は容易に行える。
【0056】
第2態様の画像検査装置200c,200fは、第1態様の画像検査装置において、
前記検査部11b,12bを、前記搬送方向に関する前記吸着搬送部1,2の下流側端部に設けたことを特徴としている。
【0057】
第2態様の画像検査装置200c,200fによれば、
吸着搬送部1,2では、搬送面の上流側だけで被検査物が吸着され、搬送面の大部分で吸引の効果が作用していない状態よりも、被検査物が搬送面の下流側までのより広い面積で吸着され、搬送面の大部分で吸引の効果が作用している状態の方が、搬送中の被検査物の吸着による安定性は高い。従って、搬送方向に関する吸着搬送部1,2の下流側端部に検査部11b,12bを設けたことにより、被検査物の保持が確実で位置、姿勢が安定した状態で検査でき、検査の精度が向上する効果が得られる。
【0058】
第3態様の画像検査装置200,200a~200eは、第1態様の画像検査装置において、
前記検査部11,11a,12,12aを、前記搬送方向に関する前記吸着搬送部1,2の上流側端部に設けたことを特徴としている。
【0059】
第3態様の画像検査装置200,200a~200eによれば、
検査部11,11a,12,12aが吸着搬送部1,2の上流側端部の近傍に配置されているため、検査部11,11a,12,12aによる画像の検出結果を下流側で利用する場合には、当該利用のために時間的な余裕が得られて好都合である。例えば、画像検査装置200,200a~200eの後段にある後処理装置において、被検査物を検査結果に基づいて後処理する場合、検査部11,11a,12,12aが吸着搬送部1,2の上流側にあるため、これが下流側にある場合に比べれば、後処理装置はより早く検査結果を取得して必要な後処理を遅滞なく実行することができる。
【符号の説明】
【0060】
1…搬送部としての第1吸着搬送部
2…搬送部としての第2吸着搬送部
11…第1検査部
12…第2検査部
11a,12a…吸着搬送部の検査部のうち相対的に低い配置精度が求められる一方の検査部
11b,12b…吸着搬送部の検査部のうち相対的に高い配置精度が求められる一方の検査部
21…第1支持部
22…第2支持部
35…吸着搬送部の搬送方向調整手段を構成する固定ピン
36…吸着搬送部の搬送方向調整手段を構成する位置決め孔
37…吸着搬送部の搬送方向調整手段を構成する可動ピン
38…吸着搬送部の搬送方向調整手段を構成する操作部材
39…吸着搬送部の搬送方向調整手段を構成する長孔
40…吸着搬送部の搬送方向調整手段を構成する操作ハンドル
42…垂れ下がり防止部材
43…斜行補正ローラ
200,200a~200f…画像検査装置
A,B,C…画像検査装置のフレームに支持部を回転可能に支持する支点