(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】放送信号受信装置および放送信号受信装置における音声出力方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/436 20110101AFI20220711BHJP
H04N 21/442 20110101ALI20220711BHJP
H04N 21/439 20110101ALI20220711BHJP
【FI】
H04N21/436
H04N21/442
H04N21/439
(21)【出願番号】P 2018166177
(22)【出願日】2018-09-05
【審査請求日】2021-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000214984
【氏名又は名称】TVS REGZA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神尾 広幸
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-252834(JP,A)
【文献】特開2016-092698(JP,A)
【文献】特開2006-217117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MMT-TLV方式で多重されている放送信号を受信する放送信号受信装置において、
MMT-TLV方式で多重された放送信号に含まれる音声ストリーム
であって、2チャンネル、5.1チャンネル、7.1チャンネル、22.2チャンネルのうちの1つがメインの音声アセットとして送られている音声ストリームをデコードする音声デコーダと、
外部接続機器
が接続された出力先に前記音声ストリームを音声信号として出力する制御を行う制御部と、を有し、
前記制御部は、
第1の出力先の第1の外部接続機器に前記音声信号を出力中に、第2の出力先に第2の外部接続機器が接続されたことを検出した場合、前記第1の出力先の前記音声信号をミュートする手段と、
前記第1の出力先の前記音声信号の音声アセットを記憶する手段と、
前記第2の外部接続機器がサポートするステレオのチャンネル数を確認する手段と、
前記音声ストリーム中に前記確認したチャンネル数を持つ音声アセットがあるかを確認する手段と、
前記確認した前記チャンネル数の前記音声アセットがある場合は、この音声アセットの音声信号を前記第2の出力先に出力し、前記音声アセットが無く、現在選択中の音声が5.1チャンネルかどうかを確認する手段と、
前記現在選択中の音声が前記5.1チャンネルの場合は、当該5.1チャンネルを2チャンネルにダウンミックスして、前記第2の出力先に出力し、前記現在選択中の音声が前記5.1チャンネルではない場合は、サイマル放送の2チャンネルの音声アセットを選択してそのデコード出力を前記第2の出力先に出力する手段を備える放送信号受信装置。
【請求項2】
MMT-TLV方式で多重されている放送信号を受信する放送信号受信装置に
採用される方法であり、2チャンネル、5.1チャンネル、7.1チャンネル、22.2チャンネルのうちの1つがメインの音声アセットとして送られている音声ストリームをデコードすることで音声信号として出力する音声出力方法であって、
制御部により、外部接続機器の接
続された出力先に前記音声ストリームを音声信号として出力する制御は、
第1の出力先の第1の外部接続機器に前記音声信号を出力中に、第2の出力先に第2の外部接続機器が接続されたことを検出した場合、前記第1の出力先の前記音声信号をミュートし、
前記第1の出力先の前記音声信号の音声アセットを記憶し、
前記第2の外部接続機器がサポートするステレオのチャンネル数を確認し、
前記音声ストリーム中に前記確認したチャンネル数を持つ音声アセットがあるかを確認し、
前記確認した前記チャンネル数の前記音声アセットがある場合は、この音声アセットの音声信号を前記第2の出力先に出力し、前記音声アセットが無く、現在選択中の音声が5.1チャンネルかどうかを確認し、
前記現在選択中の音声が前記5.1チャンネルの場合は、当該5.1チャンネルを2チャンネルにダウンミックスして、前記第2の出力先に出力し、前記現在選択中の音声が前記5.1チャンネルではない場合は、サイマル放送の2チャンネルの音声アセットを選択してそのデコード出力を、前記第2の出力先に出力する音声出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放送信号受信装置および放送信号受信装置における音声出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送テレビジョン放送や、BSデジタル放送、高度BSデジタル放送等を受信可能なデジタルテレビジョン受信装置は、出力可能な音声は一般的にAAC_2chである。
一方高度BSデジタル放送、高度広帯域CSデジタル放送においては、AAC_22.2chやAAC_7.1chといった、専用の外部アンプ等がないと音声出力することが不可能なマルチチャンネルオーディオの音声モードを含む音声ストリームが放送されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】「デジタル放送におけるMMTによるメディアトランスポート方式 標準規格」 ARIB STD-B60 1.12版 2018年4月12日改定、一般社団法人 電波産業会
【文献】「高度広帯域衛星デジタル放送運用規定 技術資料」 ARIB TR-B39 1.7版 2018年4月12日改定、一般社団法人 電波産業会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の放送信号受信装置は、音声信号を出力中に新たな外部接続機器が接続されたり、音声信号を出力中の外部接続機器が抜かれたりした場合に、新たに接続された外部接続機器あるいは抜かれた外部接続機器の代わりの機器を新たな音声信号の出力先とし、新たな出力先の機器に適切な音声モードの音声信号を出力することが可能な放送信号受信装置および放送信号受信装置における音声出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、MMT-TLV方式で多重されている放送信号を受信する放送信号受信装置において、
MMT-TLV方式で多重された放送信号に含まれる音声ストリームであって、2チャンネル、5.1チャンネル、7.1チャンネル、22.2チャンネルのうちの1つがメインの音声アセットとして送られている音声ストリームをデコードする音声デコーダと、
外部接続機器が接続された出力先に前記音声ストリームを音声信号として出力する制御を行う制御部と、を有し、
前記制御部は、
第1の出力先の第1の外部接続機器に前記音声信号を出力中に、第2の出力先に第2の外部接続機器が接続されたことを検出した場合、前記第1の出力先の前記音声信号をミュートする手段と、
前記第1の出力先の前記音声信号の音声アセットを記憶する手段と、
前記第2の外部接続機器がサポートするステレオのチャンネル数を確認する手段と、
前記音声ストリーム中に前記確認したチャンネル数を持つ音声アセットがあるかを確認する手段と、
前記確認した前記チャンネル数の前記音声アセットがある場合は、この音声アセットの音声信号を前記第2の出力先に出力し、前記音声アセットが無く、現在選択中の音声が5.1チャンネルかどうかを確認する手段と、
前記現在選択中の音声が前記5.1チャンネルの場合は、当該5.1チャンネルを2チャンネルにダウンミックスして、前記第2の出力先に出力し、前記現在選択中の音声が前記5.1チャンネルではない場合は、サイマル放送の2チャンネルの音声アセットを選択してそのデコード出力を前記第2の出力先に出力する手段を備える放送信号受信装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る放送信号受信装置(手段)を含むシステム全体の構成例を示した図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る放送信号送信装置(手段)の構成例を概略的に示した図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る放送信号受信装置の構成例を概略的に示した図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る放送信号受信装置の音声デコーダがデコード可能な、音声ストリームの符号化方式、音声モード、量子化ビット数の組み合わせの一例を示した一覧である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る放送信号受信装置の音声デコーダがデコード可能な、音声モードとサイマル音声の組み合わせの一例を示した一覧である。
【
図6】
図6は、本発明の本実施形態に係る放送信号受信装置が、状態1において行う音声信号の出力先の切り替えや出力する音声信号の音声モードの切り替えの制御の一例を示した処理フローである。
【
図7】
図7は、本発明の本実施形態に係る放送信号受信装置が、状態2において行う音声信号の出力先の切り替えや出力する音声信号の音声モードの切り替えの制御の一例を示した処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る放送信号受信装置(手段)140を含むシステム全体の構成例を示す図である。
放送番組を放送する放送信号送信装置(手段)100は、放送番組サーバ101および第1の基本機能102を備える。放送信号送信装置100は、放送局とも呼ぶ。また放送信号送信装置100は、各放送事業者の番組を集約して通信衛星150にアップリンクする地上局であってもよい。
【0009】
放送番組サーバ101は、放送局100として放送する番組のデータ、番組の名称、放送日時、内容の説明等を予め保存しておくエリアである。放送番組サーバ101は、各放送事業者から送られてきた番組等のデータを保存するサーバであってもよい。
第1の基本機能102は、放送局100の基本的な機能であり、放送する番組の映像データや音声データ等を符号化(エンコードとも呼ぶ)し、制御情報であるSI(Signaling Information)信号を含めて多重化して放送信号として送出する機能を持つ。制御情報であるSIは、TLV(Type Length Value)パケットまたはMMT(MPEG Media Transport)の制御情報である。また放送信号の多重化方式は、非特許文献1に記載のMMT・TLV方式を準拠するものとする。
【0010】
放送信号受信装置(手段)140は、第2の基本機能141、制御手段142を含む。また放送信号受信装置140は、周辺機器と接続するためのI/Fを介して、表示装置160、HDD(Hard Disk Drive)162、ヘッドフォン163、AVアンプ164等と接続可能である。放送信号受信装置は、デジタルテレビジョン受信装置とも呼ぶ。
【0011】
第2の基本機能141は、テレビジョン受信装置140としての基本的な機能であり、放送局100から送られてくる放送信号を受信し、放送信号に含まれる符号化された映像信号(映像ストリームとも呼ぶ)、符号化された音声信号(音声ストリームとも呼ぶ)、SI信号を分離し、映像信号および音声信号を復号化(デコードとも呼ぶ)したり、SI信号を解析したりする機能を持つ。
【0012】
制御手段142は、テレビジョン受信装置140の全体的な動作を制御する制御手段である。また制御手段142は、テレビジョン受信装置140に接続されている周辺機器、例えば表示装置160、スピーカ161、テレビジョン受信装置140にバインドされているHDD(Hard Disk Drive)162、ヘッドフォン163、AVアンプ164等との接続の管理やデータの送受信の管理も行う。
【0013】
表示装置160は、第2の基本機能141で受信した放送信号に含まれる映像を表示する手段である。表示装置160は、第2の基本機能141で受信した放送信号に含まれる音声を出力するスピーカ161を内蔵していてもよい。
また音声を出力する装置は、表示装置160に内蔵されているスピーカ161とは別にUSB(Universal Serial Bus)やHDMI(登録商標)等のI/Fによりテレビジョン受信装置と接続された外部のスピーカやヘッドフォンであってもよい。I/Fにより接続される外部接続機器のスピーカやヘッドフォンは、非特許文献2に記載のAAC_5.1chやAAC_7.1ch等の種々の音声モードをサポートしていてもよい。
【0014】
図1の例では、表示装置160は、テレビジョン受信装置140と別体として記載しているが、テレビジョン受信装置140の1機能としてテレビジョン受信装置140と一体であってもよい。
図2は、本発明の実施形態に係る放送信号送信装置(手段)100の構成例を概略的に示した図である。放送信号送信装置100は、放送局サーバ101に蓄えられている放送番組を放送信号で送信するために、番組の映像データや音声データ等を符号化して放送信号して送出する。
【0015】
音声エンコーダ211は、放送局サーバ101に蓄えられている番組の音声データを符号化する機能を持つ。音声エンコーダ211は、放送する番組を放送局サーバ101から読み出すと、読み出した番組の音声データをエンコードする。
映像エンコーダ212は、放送局サーバ101に蓄えられている番組の映像データを符号化する機能を持つ。映像エンコーダ212は、放送する番組を放送局サーバ101から読み出すと、読み出した番組の映像データをエンコードする。
【0016】
制御情報生成手段213は、TLVパケットおよびMMTの制御情報を生成する機能を持つ。非特許文献1に記載のように、TLVパケットの制御情報とは、IPパケットの多重に関する制御情報(TLV-SIとも呼ばれる)であり、選局のための情報やIPアドレスとサービスの対応情報を提供する。またMMTの制御情報とは、MMTのパッケージの構成や放送サービスに関連する制御情報(MMT-SIとも呼ばれる)である。制御情報生成手段は、音声エンコーダ211、映像エンコーダ212がエンコード対象とした番組に関する制御情報を含むTLVパケットおよびMMTの制御情報の信号を生成する。
【0017】
スクランブラ215は、音声エンコーダ211から出力されたエンコードされた音声ストリーム、映像エンコーダ212から出力されたエンコードされた映像ストリームを、CASモジュール216と連携してスクランブルする機能を持つ。
CASモジュール216は、スクランブラ215がスクランブルする際に使用する鍵を生成するモジュールである。
【0018】
マルチプレクサ(多重化手段)217は、音声エンコーダ211が音声データをエンコードして生成した音声ストリーム、映像エンコーダ212が映像データをエンコードして生成した映像ストリームおよび制御情報生成手段214で生成された制御情報を、MMT・TLV方式で多重する機能を持つ。マルチプレクサ(多重化手段)217は、音声ストリーム、映像ストリーム、TLVパケットおよびMMTの制御情報を多重化したTLVストリームを生成する。
【0019】
送信手段218は、TLVストリームを放送波として送出する機能を持つ。送信手段218は、マルチプレクサ217が生成したTLVストリームを、16APSKなどの変調や誤り訂正符号化などの伝送路符号化処理を行い放送波として送出する。
図3は、本発明の実施形態に係る放送信号受信装置140の構成例を概略的に示した図である。
【0020】
放送信号受信装置140は、放送信号を受信する受信機能である第2の基本機能141と制御手段142を含む。
第2の基本機能141は、チューナー301、復調器302、デスクランブラ303、デマルチプレクサ(TLV/MMT分離処理)304、音声デコーダ305、映像デコーダ306、CASモジュール308、提示処理309を含む。
【0021】
チューナー301は、必要な放送信号を検出し、検出した放送信号を復調器302に入力する。
復調器302は、多重化されているTLVストリームを復調し、復調したTLVストリームをデマルチプレクサ304に入力する。
デマルチプレクサ(TLV/MMT分離処理)304は、入力されたTLVストリームを、映像ストリーム、音声ストリーム、制御情報に分離する。スクランブルされている音声ストリームと映像ストリームは、デマルチプレクサ304により分離された制御情報に含まれるEMM/EMCを用いてCASモジュール308により生成された鍵を用いて、デスクランブラ303によりデスクランブルされる。
【0022】
デスクランブラ303は、デスクランブルした音声ストリームを音声デコーダ305に、映像ストリームを映像デコーダ306に入力する。
音声デコーダ305は、入力された音声ストリームをデコードし、例えばスピーカ161に出力する音声信号を生成する。
【0023】
映像デコーダ306は、入力された映像ストリームをデコードし、例えば表示装置160に表示する映像信号を生成する。
デコードされた映像信号は、文字及びグラフィック画像の提示処理309を経由して出力される。
提示処理309は、映像デコーダ306が映像ストリームをデコードして生成した映像信号に文字やグラフィック画像を合成して表示装置317に表示する映像を生成する。
【0024】
ヘッドフォン出力310は、放送信号受信装置140の外部接続機器であるヘッドフォン315に音声信号を出力するためのI/Fである。またヘッドフォン315がサポートするチャンネル数は、2chとするが2chに限定されない。
音声出力311は、放送信号受信装置140が備えるスピーカ316に音声信号を出力するためのI/Fである。なお放送信号受信装置140は、音声デコーダ305から出力される音声信号の通常の出力先として、音声出力311を設定しているものとする。またスピーカ316がサポートするチャンネル数は、2chとするが2chに限定されない。
【0025】
映像出力312は、放送信号受信装置140が備える表示装置317に映像信号を出力するためのI/Fである。なお放送信号受信装置140は、映像デコーダ306から出力される映像信号の通常の出力先として、映像出力312を設定しているものとする。
【0026】
デジタル音声出力313は、放送信号受信装置140の外部接続機器であるオーディオ機器(図示せず)に音声信号を出力するためのI/Fである。デジタル音声出力313のI/Fは、例えばHDMIのI/Fである。オーディオ機器等の外部接続機器は、マルチチャンネルオーディオに対応する機器であってもよい。
【0027】
デジタル映像音声出力314は、放送信号受信装置140の外部接続機器であるAV機器(図示せず)に音声信号および映像信号を出力するためのI/Fである。デジタル映像音声出力314のI/Fは、例えばHDMIのI/Fである。AV機器等の外部接続機器は、マルチチャンネルオーディオに対応する機器であってもよい。
【0028】
デコードされた音声信号の出力先は、例えば音声出力311のI/Fを介して放送信号受信装置140に備えられたスピーカ316であってもよい、あるいは例えばHDMI等のデジタル音声出力313あるいはデジタル映像音声出力314のI/Fを介して放送信号受信装置140に接続された外部接続機器であってもよい、あるいはヘッドフォン出力310のI/Fを介して放送信号受信装置140に接続されたヘッドフォン315であってもよい。このように音声デコーダ305がデコードした音声信号の出力先は、複数存在していてもよい。なお
図3に示す音声デコーダ305の音声信号の出力先は、一例でありこれ以外の出力先があってもよい、あるいは
図3に示す出力先の一部だけあってもよい。
【0029】
同様にデコードされた映像信号の出力先は、例えば映像出力312のI/Fを介してテレビジョン受信装置140に備えられた表示装置317であってもよい、あるいは例えばHDMI等のデジタル映像音声出力314のI/Fを介して放送信号受信装置140に接続された他の外部接続機器であってもよい。
【0030】
これらの第2の基本機能141に含まれる各機能ブロックは、システムバス326を介してCPU325と接続されており、CPU325の動作により制御される。
CPU325は、システムバス326を介して第2の基本機能141に含むれる各機能ブロックと接続されており、またシステムバス326を介してRAM(主メモリ)324、ROM323、NVRAM321と接続されている。またCPU325は、第2の基本機能141を含み放送信号受信装置140全体を制御している。I/O320、NVRAM321、ROM323、RAM324、CPU325、システムバス326をまとめて制御手段142と呼ぶ。
【0031】
音声デコーダ305がデコード可能な音声モードは、複数あってもよい。
図4は、本発明の実施形態に係る放送信号受信装置140の音声デコーダ305がデコード可能な、音声ストリームの符号化方式、音声モード、量子化ビット数の組み合わせの一例を示した一覧である。
【0032】
音声デコーダ305がデコード可能な符号化方式は、MPEG4-AACとMPEG4-ALSである。
符号化方式がMPEG4-AACの場合音声デコーダ305がデコード可能な音声モードは、ステレオの2chとマルチチャンネルオーディオの5.1ch、7.1ch、22.2chである。
【0033】
符号化方式がMPEG4-ALSの場合音声デコーダ305がデコード可能な音声モードは、ステレオの2chとマルチチャンネルオーディオの5.1chである。
音声デコーダ305がデコード可能な符号化方式であるMPEG4-AACとMPEG4-ALSの量子化ビット数はいずれも24ビットである。
【0034】
なお
図4の例は、音声デコーダ305がデコード可能な音声ストリームの符号化方式、音声モード、量子化ビット数の組み合わせの一例であり、これ以外の組み合わせであってもよい、あるいは
図4に記載の一部の組み合わせがデコード可能な組み合わせであってもよい。
【0035】
また音声デコーダ305は、非特許文献2に記載の放送信号受信装置の要求仕様である
・AAC2ch再生
・AAC5.1chから2chへのダウンミクス再生
する機能を有している。これらの放送信号受信装置の要求仕様を満たすために、放送信号送信装置100から送られてくる放送波に含まれる音声ストリームは、
・AAC_7.1ch とAAC_22.2chの音声モードではAAC_2chがサイマル運用
・ALS音声モードではAAC_2ch又はAAC5.1chがサイマル運用
されているが、音声デコーダ305は、これらのサイマル運用されている音声モードもデコードする機能を有している。
【0036】
図5は、本発明の実施形態に係る放送信号受信装置140の音声デコーダ305がデコード可能な、音声モードとサイマル音声の組み合わせの一例である。◎がメインの音声モードであり、〇がサイマル運用の音声モードである。このように音声デコーダ305がデコードする音声ストリームは、複数の音声アセットを含む場合があり、複数の音声アセットを含む場合は、
図5に示すようにメインの音声モードによってサイマルの音声モードが決められている。
【0037】
また音声デコーダ305は、放送信号送信装置100から送られてくる放送波に含まれる音声ストリームが複数の音声アセットから構成されている場合は、非特許文献2に記載の通り
・再生の際、再生できる音声モードを判別して、その内コンポーネントタグ値の小さい順にアセットを優先して切替え再生すること。なお、選局時には再生可能な一番小さいコンポーネントタグ値のアセットをデフォルト音声として再生
・2chまでの再生環境の場合で、AAC5.1chに合わせAAC2ch音声がサイマル運用されている場合はAAC2ch音声を優先して再生
する機能を有している。
【0038】
さらに音声デコーダ305は、
図3に示す例のようにデコードした音声信号の出力先として、ヘッドフォン出力310、音声出力311、デジタル音声出力313、デジタル映像音声出力314の4つの出力先を有している。音声デコーダ305は、これらの出力先のうち例えば音声出力311のI/Fを介して放送信号受信装置140に備えられた2ch対応のスピーカ316に音声信号を出力中に、ユーザによりヘッドフォン出力310のI/Fにヘッドフォン315が挿入された場合、出力先を音声出力311のI/Fからヘッドフォン出力310のI/Fに切り替えて音声信号の出力を継続することが可能である。またデコーダ305は、出力先に接続されるヘッドフォン315等の外部接続機器が出力可能なチャンネル数に応じて音声モードを切り替えて音声信号の出力を継続することも可能である。
【0039】
なお音声デコーダ305が音声信号をある出力先に出力中に、例えばヘッドフォン出力310のI/Fに2ch対応のヘッドフォン315がユーザにより挿入された場合、2ch対応のヘッドフォン315が挿入されたことを認識した制御手段142は、音声信号の出力先をヘッドフォン出力310に決定するとともに、出力する音声信号の音声モードをヘッドフォン315に対応した音声モードに決定し、その決定結果を音声デコーダ305に通知する。
【0040】
同様に音声デコーダ305が音声信号をある出力先に出力中に、例えばデジタル音声出力313のI/Fあるいはデジタル映像音声出力314のI/Fにマルチチャンネルオーディオ対応のヘッドフォン(図示せず)やAVアンプ(図示せず)がユーザにより挿入された場合、マルチチャンネルオーディオ対応のヘッドフォンやAVアンプが挿入されたことを認識した制御手段142は、音声信号の出力先をデジタル音声出力313あるいはデジタル映像音声出力314に決定するとともに、出力する音声信号の音声モードをマルチチャンネルオーディオ対応のヘッドフォンやAVアンプに対応した音声モードに決定し、その決定結果を音声デコーダ305に通知する。
【0041】
あるいはまた音声デコーダ305が、例えばヘッドフォン出力310のI/Fに挿入された2ch対応のヘッドフォン315に音声信号を出力中に、ユーザによりヘッドフォン出力310のI/Fからヘッドフォン315が抜かれた場合あるいは偶然に抜けた場合、2ch対応のヘッドフォン315が抜かれたことを認識した制御手段142は、音声信号の出力先を他の出力先に決定するとともに、決定した他の出力先に接続されている機器に対応した音声モードに決定し、その決定結果を音声デコーダ305に通知する。
【0042】
制御手段142から通知を受けた音声デコーダ305は、通知された出力先に通知された音声モードの音声信号を出力する。
このように本実施形態の放送信号受信装置は、ある出力先に音声信号を出力中に、例えばヘッドフォン出力310のI/Fにヘッドフォンが挿入されたり抜かれたりした場合あるいは例えばデジタル音声出力313のI/Fあるいはデジタル映像音声出力314のI/Fにマルチチャンネルオーディオ対応のAVアンプ(図示せず)やヘッドフォンが挿入されたり抜かれたりした場合、その挿抜を認識し、挿抜による新たな出力先に、最適な音声モードの音声信号を出力することが可能である。
【0043】
以下、放送信号受信装置140が外部接続機器の挿抜を認識し、挿抜による新たな出力先に最適な音声モードの音声信号を出力する処理の流れについて具体的に説明する。
1つめの例として、放送信号受信装置140が、備え付けのスピーカ316に音声信号を出力している状態において、新たにマルチチャンネルオーディオ対応のAVアンプやヘッドフォン等の外部接続機器が接続された場合における、音声信号の出力先の切り替えや出力する音声信号の音声モードの切り替えの制御について説明する。
【0044】
放送信号受信装置140が音声出力311に接続されているスピーカ316に音声信号を出力している状態で、マルチチャンネルオーディオ対応の外部接続機器が接続されていない状態を、状態1とする。放送信号受信装置140は、状態1において
図6に示す処理を行うものとする。
【0045】
図6は、本発明の実施形態に係る放送信号受信装置140が、状態1において行う音声信号の出力先の切り替えや出力する音声信号の音声モードの切り替えの制御の一例の処理フローである。
制御手段142は、状態1において処理1(S600)を開始する。なおこの時点で放送信号受信装置140は、音声出力311に接続されたスピーカ316に音声信号を出力中である。
【0046】
制御手段142は、処理1を開始すると、デジタル音声出力313あるいはデジタル映像音声出力314にマルチチャンネルオーディオ対応の外部接続機器が接続されたかを監視する(S601)。
例えばユーザが、放送信号受信装置140に備えられているスピーカ316により番組視聴中にマルチチャンネルオーディオ対応のヘッドフォン(図示せず)を用いて番組を視聴するために、デジタル音声出力313のI/Fにマルチチャンネルオーディオ対応のヘッドフォンの端子を挿入したとする。デジタル音声出力313のI/Fに挿入されたマルチチャンネルオーディオ対応のヘッドフォンを、ヘッドフォン-Aとする。
【0047】
デジタル音声出力313のI/Fにマルチチャンネルオーディオ対応の外部接続機器(ヘッドフォン-A)が接続されたことを確認すると(S601のYes)、制御手段142は、現在音声デコーダ305が出力する対象として選択中の音声アセットを、音声信号として音声出力311へ出力するのをMuteする(S602)とともに、Muteした音声アセットの情報を保存する(S603)。
【0048】
制御手段142が保存するMuteした音声アセットの情報は、少なくともMuteした音声アセットの出力先である音声出力311の情報が含まれていればよく、例えばMuteした出力先である音声出力311に接続されているスピーカ316がサポートするステレオのチャンネル数の情報がさらに含まれていてもよい。また制御手段142がMuteした音声アセットの情報を記憶する場所は、例えばRAM324であってもよい。
【0049】
次に制御手段142は、接続されたヘッドフォン-Aがサポートするステレオのチャンネル数やデコードの可否を確認する(S604)。
制御手段142は、確認したステレオのチャンネル数やデコードの可否を音声デコーダ305に通知する。
制御手段142から通知を受けた音声デコーダ305は、デスクランブラ303から入力される音声ストリームの中に、S604で確認したチャンネル数を持つ音声アセットが含まれているかを確認する(S605)。
【0050】
確認の結果、該当する音声アセットが含まれている場合(S606のYes)、音声デコーダ305は、該当する音声アセットを選択し(S612)、選択した音声アセットを出力する音声信号として、S601で接続を確認した出力先に出力する(S613)。なお、選択された音声アセットをヘッドフォン-Aがデコード可能な場合、音声デコーダ305は選択した音声アセットを音声信号としてそのまま出力し、選択した音声アセットをヘッドフォン-Aがデコード不可能な場合、音声デコーダ305は選択した音声アセットをデコードして音声信号として出力する。
【0051】
確認の結果、該当する音声アセットが含まれていない場合(S606のNo)、音声デコーダ305は、2chの音声アセットを出力する音声信号として、S601で接続を確認した出力先に出力する(S611)する。
音声デコーダ305は、2chの音声信号を出力するために現在選択中の音声アセットがAAC_2chであるかを確認する(S607)。
【0052】
現在選択中の音声アセットがAAC_2chの場合(S607のYes)、音声デコーダ305は、選択中のAAC_2chの音声アセットを出力する音声信号として、S601で接続を確認した出力先に出力する(S611)。
現在選択中の音声アセットがAAC_2chでない場合(S607のNo)、音声デコーダ305はさらに、現在選択中の音声アセットがAAC_5.1chであるかを確認する(S608)。
【0053】
現在選択中の音声アセットがAAC_5.1chの場合(S608のYes)、音声デコーダ305は、選択中のAAC_5.1chの音声アセットをダウンミクスして(S610)2chの音声信号を生成し、S601で接続を確認した出力先に出力する(S611)。
【0054】
現在選択中の音声アセットがAAC_5.1chでない場合(S608のNo)、音声デコーダ305は、選択中の音声アセットに対してサイマル放送されているAAC_2chの音声アセットを、出力する音声信号としてS601で接続を確認した出力先に出力する(S611)。
【0055】
具体的には、放送信号受信装置140のユーザが視聴している番組における音声ストリームは、例えばAAC_7.1chの音声アセットを含んでおり、ヘッドフォン-Aは、サポートするステレオのチャンネル数が7.1chでありデコード可能であるとする。
【0056】
この場合S603では、制御手段142は、音声出力311に出力していた音声アセットの情報を保存する。保存される音声アセットの情報は、少なくとも出力先である音声出力311の情報が含まれればよく、例えば音声出力311に接続されているスピーカ316がサポートするステレオのチャンネル数が2chである情報が含まれていてもよい。
【0057】
またS604では、制御手段142は、ヘッドフォン-Aがサポートするステレオのチャンネル数が7.1chであること、またヘッドフォン-Aはデコードが可能であることを確認する。
またS605では、音声デコーダ305は、音声ストリーム中にAAC_7.1chの音声アセットがあることを確認する。
【0058】
またS612では、音声デコーダ305は、音声ストリーム中のAAC_7.1chの音声アセットを選択する。
またS613では、音声デコーダ305は、S612で選択したAAC_7.1chの音声アセットを、音声信号としてデジタル音声出力313に出力する。
【0059】
これにより放送信号受信装置140で番組を視聴中のユーザは、ヘッドフォン-Aをデジタル音声出力313のI/Fに挿入するだけで、ヘッドフォン-Aがサポートする7.1chの音声信号を聞くことが可能となる。
以上のように本実施形態の放送信号受信装置140は、音声出力311に接続されているスピーカ316に音声信号を出力している状態で、デジタル音声出力313あるいはデジタル映像音声出力314のI/Fにマルチチャンネルオーディオ対応の外部接続機器が接続されると、接続された外部接続機器がサポートする音声モードが受信した放送信号に含まれているかを確認し、出力可能な音声モードで音声信号を出力することが可能となる。この例は、外部接続機器の接続によりデコーダ305が出力する音声信号の音声モードが、2chのステレオからマルチチャンネルオーディオに切り替わった例である。
【0060】
次に制御手段142は、S601で接続を確認したヘッドフォン-Aが、音声信号の出力先のI/Fから切断されたかどうかの確認を行う(S650)。
音声信号の出力先のI/Fからヘッドフォン-Aが切断されたことを確認すると(S650のYes)、制御手段142は、S603で記憶した音声アセット情報を読み込み(S651)、読み込んだ音声アセット情報を音声デコーダ305に通知する。なお制御手段142が音声デコーダ305に通知する内容は、読み込んだ音声アセット情報に含まれる出力先の情報を用いて、この出力先に接続されている外部接続機器がサポートするステレオのチャンネル数を取得して、出力先の情報とともに音声デコーダ305に通知してもよい。
【0061】
音声デコーダ305は、通知された音声アセット情報を用いて音声ストリームに含まれる音声アセットから出力対象の音声アセットを選択し、選択した音声アセットを音声信号としてS602でMuteしていた出力先に出力する(S652)。
なお選択された音声アセットをスピーカ316がデコード可能な場合、音声デコーダ305は選択した音声アセットを音声信号として出力し、選択した音声アセットをスピーカ316がデコード不可能な場合、音声デコーダ305は選択した音声アセットをデコードして音声信号として出力する。
【0062】
具体的には、S651では、制御手段は、音声アセットの情報として、出力先が音声出力311であること、音声出力311のI/Fに接続されているスピーカ316がサポートするステレオのチャンネル数は2chであることを、音声デコーダ305に通知する。
【0063】
またS652では、音声デコーダ305は、通知された音声アセットの情報をもとに、音声ストリームに含まれるAAC_2chの音声アセットを選択し、選択した音声アセットを音声信号としてS602でMuteしていた出力先である音声出力311に出力する。
【0064】
これにより放送信号受信装置140で番組を視聴中のユーザは、ヘッドフォン-Aを抜いた場合でも、スピーカ316から出力される2chの音声信号を、継続して聞くことが可能となる。
以上のように本実施形態の放送信号受信装置140は、マルチチャンネルオーディオ対応の外部接続機器との接続が切断されても、マルチチャンネルオーディオ対応の外部接続機器が接続される前の出力先に切り替えて音声信号を出力することが可能となる。この例は、外部接続機器の接続の切断によりデコーダ305が出力する音声信号の音声モードが、マルチチャンネルオーディオから2chのステレオに切り替わった例である。
【0065】
なお上記の例はユーザ操作によりマルチチャンネルオーディオ対応の外部接続機器が放送信号受信装置140に対して挿抜された場合の例であるが、例えば放送信号受信装置140に接続されているマルチチャンネルオーディオ対応の外部接続機器であるAVアンプが、たまたま放送信号受信装置140から抜けてしまった場合も、同様な動作となる。
【0066】
2つめの例として、放送信号受信装置140がデジタル音声出力313に接続されているマルチチャンネルオーディオ対応の外部接続機器に音声信号を出力している状態において、さらにヘッドフォン315等2chのステレオ対応の外部接続機器が接続された場合における、音声信号の出力先の切り替えや出力する音声信号の音声モードの切り替えの制御について説明する。この例は、
図6の処理フローにおいて、S602以降S611の処理までの間のマルチチャンネルオーディオ対応の外部接続機器がデジタル音声出力313あるいはデジタル映像音声出力314に音声信号を出力している状態で、さらにヘッドフォン315がヘッドフォン出力310に接続された場合に相当する。なお放送信号受信装置140に、S602以降S611の処理までの間のマルチチャンネルオーディオ対応の外部接続機器がデジタル音声出力313あるいはデジタル映像音声出力314に音声信号を出力している状態を、状態2とする。
【0067】
図7は、本発明の実施形態に係る放送信号受信装置140が、状態2において行う音声信号の出力先の切り替えや出力する音声信号の音声モードの切り替えの制御の一例の処理フローである。なおヘッドフォン315は、2chのステレオをサポートし、デコードは不可能であるとして説明する。
【0068】
制御手段142は、状態2において処理2(S700)を開始する。制御手段142は、処理2を開始すると、ヘッドフォン出力310に2chステレオ対応のヘッドフォン315が接続されたかを監視する(S701)。
例えばユーザが、放送信号受信装置140のデジタル音声出力313にAVアンプ(図示せず)を接続し、22.2chをサポートするオーディオシステムにより番組を視聴中に、急遽2ch対応のヘッドフォン315に音声出力を切り替えるために、ヘッドフォン出力310にヘッドフォン315の端子を挿入したとする。
【0069】
ヘッドフォン出力310に2chステレオ対応のヘッドフォン315が接続されたことを確認すると(S701のYes)、制御手段142は、現在音声デコーダ305が出力対象として選択中の音声アセットを、音声信号としてデジタル音声出力313へ出力するのをMuteする(S702)とともに、Muteした音声アセットの情報を保存する(S703)。
【0070】
制御手段142が保存するMuteした音声アセットの情報は、少なくともMuteした音声アセットの出力先であるデジタル音声出力313の情報が含まれていればよく、例えばMuteした出力先であるデジタル音声出力313に接続されているAVアンプがサポートするステレオのチャンネル数の情報がさらに含まれていてもよい。また制御手段142がMuteした音声アセットの情報と出力先の情報とを記憶する場所は、例えばRAM324であってもよい。
【0071】
次に制御手段142は、接続されたヘッドフォン316がサポートするステレオのチャンネル数やデコードの可否を確認し、確認したステレオのチャンネル数やデコードの可否を音声デコーダ305に通知する。
制御手段142から通知を受けた音声デコーダ305は、ヘッドフォン315に出力する2chの音声信号を出力するために、デジタル音声出力311に出力中である現在選択中の音声アセットがAAC_2chであるかを確認する(S704)。
【0072】
現在選択中の音声アセットがAAC_2chの場合(S704のYes)、音声デコーダ305は、選択中のAAC_2chの音声アセットを、出力する音声信号としてS701で接続を確認した出力先に出力する(S708)。
現在選択中の音声アセットがAAC_2chでない場合(S704のNo)、音声デコーダ305はさらに、現在選択中の音声アセットがAAC_5.1chであるかを確認する(S705)。
【0073】
現在選択中の音声アセットがAAC_5.1chの場合(S705のYes)、音声デコーダ305は、選択中のAAC_5.1chの音声アセットをダウンミクスして(S707)2chの音声信号を生成し、S701で接続を確認した出力先に出力する(S708)。
【0074】
現在選択中の音声アセットがAAC_5.1ch以外の場合(S705のNo)、音声デコーダ305は、選択中の音声アセットに対してサイマル放送されているAAC_2chの音声アセットを、出力する音声信号としてS701で接続を確認した出力先に出力する(S708)。
【0075】
具体的には、S703では、制御手段142は、音声出力311に出力していた音声アセットの情報を保存する。保存される音声アセットの情報は、少なくとも出力先であるデジタル音声出力313の情報が含まれればよく、例えばデジタル音声出力313に接続されているAVアンプがサポートするステレオのチャンネル数が22.2chである情報が含まれていてもよい。
【0076】
またS704では、音声デコーダ305は、デジタル音声出力313に出力中の現在選択中である音声信号のステレオのチャンネル数が22.2chであることを確認する。
またS705では、音声デコーダ305は、現在選択中の音声アセットがAAC_22.2chであり、AAC_5.1chでないことを確認する。
【0077】
またS708では、音声デコーダ305は、現在選択中の音声アセットであるAAC_22.2chに対してサイマル放送されているAAC_2chの音声アセットを、S701で接続を確認した出力先であるヘッドフォン出力310に出力する。
これにより放送信号受信装置140で番組を視聴中のユーザは、ヘッドフォン出力310のI/Fにヘッドフォン315を挿入するだけで、ヘッドフォン315がサポートする2chの音声信号を聞くことが可能となる。
【0078】
以上のように本実施形態の放送信号受信装置140は、デジタル音声出力313あるいはデジタル映像音声出力314のI/Fに接続されているマルチチャンネルオーディオ対応の外部接続機器に音声信号を出力している状態で、さらに2chのステレオのヘッドフォン315が接続されると、接続されたヘッドフォン315がサポートする音声モードである2chで、音声信号を出力することが可能となる。この例は、外部接続機器の接続によりデコーダ305が出力する音声信号の音声モードが、マルチチャンネルオーディオから2chのステレオに切り替わった例である。
【0079】
次に制御手段142は、S701で接続を確認したヘッドフォン315が、音声信号の出力先のI/Fから切断されたかどうかの確認を行う(S750)。
音声信号の出力先のI/Fからヘッドフォン315が切断されたかを確認すると(S750のYes)、制御手段142は、S703で記憶した音声アセット情報を読み込み(S751)、読み込んだ音声アセット情報を音声デコーダ305に通知する。なお制御手段142が音声デコーダ305に通知する内容は、読み込んだ音声アセット情報に含まれる出力先の情報を用いて、この出力先に接続されている外部接続機器がサポートするステレオのチャンネル数を取得して、出力先の情報ととともに音声デコーダ305に通知してもよい。
【0080】
音声デコーダ305は、通知された音声アセット情報を用いて音声ストリームに含まれる音声アセットから出力対象の音声アセットを選択し、選択した音声アセットを音声信号としてS702でMuteしていた出力先に出力する(S752)。
なお選択された音声アセットをスピーカ316がデコード可能な場合、音声デコーダ305は選択した音声アセットを音声信号として出力し、選択した音声アセットをスピーカ316がデコード不可能な場合、音声デコーダ305は選択した音声アセットをデコードして音声信号として出力する。
【0081】
具体的には、S751では、制御手段は、音声アセットの情報として、出力先がデジタル音声出力313であること、デジタル音声出力313のI/Fに接続されているAVアンプ(図示せず)がサポートするステレオのチャンネル数は22.2chであることを、音声デコーダ305に通知する。
【0082】
またS752では、音声デコーダ305は、通知された音声アセットの情報をもとに、音声ストリームに含まれるAAC_22.2chの音声アセットを選択し、選択した音声アセットを音声信号としてS702でMuteしていた出力先であるデジタル音声出力313に出力する。
【0083】
これにより放送信号受信装置140で番組を視聴中のユーザは、ヘッドフォン315を抜いた場合でも、デジタル音声出力313に接続されたAVアンプを含むサウンドシステムから出力される22.2chの音声信号を、継続して聞くことが可能となる。
以上のように本実施形態の放送信号受信装置140は、2chのステレオのヘッドフォン315との接続が切断されても、ヘッドフォン315接続前の出力先であるマルチチャンネルオーディオ対応の外部接続機器に出力先を切り替えて、マルチチャンネルオーディオ対応の外部接続機器がサポートする音声モードの音声信号を出力することが可能となる。この例は、外部接続機器の接続の切断によりデコーダ305が出力する音声信号の音声モードが、2chのステレオからマルチチャンネルオーディオに切り替わった例である。
【0084】
以上のように本実施形態の放送信号受信装置140は、音声信号を出力中に新たな外部接続機器が接続された場合、新たに接続された外部接続機器を音声信号の新たな出力先とし、新たな出力先の外部接続機器がサポートする音声モードの音声信号を出力することが可能となる。
【0085】
また同様に本実施形態の放送信号受信装置140は、音声信号を出力中の外部接続機器が抜かれた場合、抜かれた外部接続機器の代わりの機器を、音声信号の出力先とし、代わりの機器がサポートする音声モードの音声信号を出力することが可能となる。
またサイマル運用する音声モードは、
図5に示すようにAAC_2chであるが、これに限定されない。例えばAAC_5.1chやAAC_7.1ch等マルチチャンネルオーディオがサイマル運用されてもよい。この場合音声デコーダ305は、サイマル運用されている音声アセットの中から、例えば外部接続機器がサポートしている一番チャンネル数が多い音声アセットを選択してデコードすればよい。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。さらにまた、請求項の各構成要素において、構成要素を分割して表現した場合、或いは複数を合わせて表現した場合、或いはこれらを組み合わせて表現した場合であっても本発明の範疇である。また請求項を制御ロジックとして表現した場合、コンピュータを実行させるインストラクションを含むプログラムとして表現した場合、及び前記インストラクションを記載したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として表現した場合でも本発明の装置を適用したものである。また、使用している名称や用語についても限定されるものではなく、他の表現であっても実質的に同一内容、同趣旨であれば、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0087】
100・・・放送信号送信装置、140・・・放送信号受信装置、310・・・ヘッドフォン出力、311・・・音声出力、312・・・映像出力、313・・・デジタル音声出力、314・・・デジタル映像音声出力、315・・・ヘッドフォン、316、スピーカ、317・・・表示装置。