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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】ノイズフィルタ及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/01 20060101AFI20220711BHJP
   H01R 4/64 20060101ALI20220711BHJP
   H02G 3/16 20060101ALN20220711BHJP
【FI】
H03H7/01 Z
H01R4/64 C
H02G3/16
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018175137
(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2020048075
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 真史
(72)【発明者】
【氏名】豊田 涼馬
(72)【発明者】
【氏名】山田 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】坪 慧吾
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-019223(JP,A)
【文献】特開2000-133333(JP,A)
【文献】特開2006-216914(JP,A)
【文献】特開平07-211585(JP,A)
【文献】特開2015-201934(JP,A)
【文献】実開昭51-083281(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H27/00-27/10
H01R3/00-4/22
H01R4/24-4/46
H01R4/58-4/72
H02G3/08-3/20
H03H1/00-3/00
H03H5/00-7/13
H05K9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
併走させた第1電線及び第2電線の間に介装させるフィルタ回路と、
前記フィルタ回路並びに前記第1電線及び前記第2電線を収容する筐体と、
を備え、
前記フィルタ回路は、ノイズ成分を低減させるノイズ低減素子と、前記ノイズ低減素子の第1接続部及び前記第1電線の芯線の中間接続部に電気接続される導電性の第1回路接続部材と、前記ノイズ低減素子の第2接続部及び前記第2電線の芯線の中間接続部に電気接続される導電性の第2回路接続部材と、が前記第1電線及び前記第2電線の間で前記第1電線及び前記第2電線の配列方向に沿って配置されたものであり、
前記第1回路接続部材は、前記ノイズ低減素子の前記第1接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第1素子側接続部と、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第1電線側接続部と、を備え、
前記第2回路接続部材は、前記ノイズ低減素子の前記第2接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第2素子側接続部と、前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第2電線側接続部と、を備え、
前記筐体は、前記フィルタ回路と前記第1電線と前記第2電線とが設置される第1筐体部材と、前記配列方向に沿って前記第1筐体部材に嵌合される第2筐体部材と、を備え、
前記第1筐体部材は、前記第2筐体部材に対する嵌合完了状態のときに、前記配列方向で前記第1電線及び前記第2電線のそれぞれの前記芯線の前記中間接続部の内の一方を間接的又は直接的に前記ノイズ低減素子に向けて押圧する第1押圧体を有し、
前記第2筐体部材は、前記第1筐体部材に対する嵌合完了状態のときに、前記配列方向で前記第1電線及び前記第2電線のそれぞれの前記芯線の前記中間接続部の内の他方を間接的又は直接的に前記ノイズ低減素子に向けて押圧する第2押圧体を有することを特徴としたノイズフィルタ。
【請求項2】
前記第1押圧体と前記第2押圧体は、前記嵌合完了状態のときに前記配列方向で対向配置され、それぞれの前記配列方向の押圧力で前記第1回路接続部材と前記第2回路接続部材との間に前記ノイズ低減素子を挟持させるものであり、
前記ノイズ低減素子の前記第1接続部と前記第1素子側接続部は、前記ノイズ低減素子が挟持されているときに物理的且つ電気的に接続されるものとして形成し、
前記ノイズ低減素子の前記第2接続部と前記第2素子側接続部は、前記ノイズ低減素子が挟持されているときに物理的且つ電気的に接続されるものとして形成することを特徴とした請求項1に記載のノイズフィルタ。
【請求項3】
前記第1電線側接続部は、前記第1押圧体と前記第2押圧体のそれぞれの前記配列方向の押圧力によって、前記配列方向で前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続されるものとして形成し、
前記第2電線側接続部は、前記第1押圧体と前記第2押圧体のそれぞれの前記配列方向の押圧力によって、前記配列方向で前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続されるものとして形成することを特徴とした請求項1又は2に記載のノイズフィルタ。
【請求項4】
前記フィルタ回路は、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に予め組み付けて、内方側が前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して物理的且つ電気的に接続された筒状の導電性の第1電線接続部材と、前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に予め組み付けて、内方側が前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して物理的且つ電気的に接続された筒状の導電性の第2電線接続部材と、を備え、
前記第1回路接続部材は、前記嵌合完了状態のときに前記第1電線接続部材の筒軸方向における両端を前記筒軸方向で挟み込む2つの電線側係止突起を有し、
前記第2回路接続部材は、前記嵌合完了状態のときに前記第2電線接続部材の筒軸方向における両端を前記筒軸方向で挟み込む2つの電線側係止突起を有することを特徴とした請求項1,2又は3に記載のノイズフィルタ。
【請求項5】
前記第1回路接続部材は、前記第1電線側接続部を前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に予め組み付けて、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して物理的且つ電気的に接続し、
前記第2回路接続部材は、前記第2電線側接続部を前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に予め組み付けて、前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して物理的且つ電気的に接続することを特徴とした請求項1又は2に記載のノイズフィルタ。
【請求項6】
前記第1回路接続部材は、前記嵌合完了状態のときに前記ノイズ低減素子を前記第1電線及び前記第2電線の軸線方向で挟み込む2つの素子側係止突起を有し、
前記第2回路接続部材は、前記嵌合完了状態のときに前記ノイズ低減素子を前記第1電線及び前記第2電線の軸線方向で挟み込む2つの素子側係止突起を有することを特徴とした請求項1から5の内の何れか1つに記載のノイズフィルタ。
【請求項7】
第1電線及び第2電線を含む幹線と、
ノイズ成分を低減させるノイズフィルタと、
を備え、
前記ノイズフィルタは、併走させた前記第1電線及び前記第2電線の間に介装させるフィルタ回路と、前記フィルタ回路並びに前記第1電線及び前記第2電線を収容する筐体と、を備え、
前記フィルタ回路は、ノイズ成分を低減させるノイズ低減素子と、前記ノイズ低減素子の第1接続部及び前記第1電線の芯線の中間接続部に電気接続される導電性の第1回路接続部材と、前記ノイズ低減素子の第2接続部及び前記第2電線の芯線の中間接続部に電気接続される導電性の第2回路接続部材と、が前記第1電線及び前記第2電線の間で前記第1電線及び前記第2電線の配列方向に沿って配置されたものであり、
前記第1回路接続部材は、前記ノイズ低減素子の前記第1接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第1素子側接続部と、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第1電線側接続部と、を備え、
前記第2回路接続部材は、前記ノイズ低減素子の前記第2接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第2素子側接続部と、前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第2電線側接続部と、を備え、
前記筐体は、前記フィルタ回路と前記第1電線と前記第2電線とが設置される第1筐体部材と、前記配列方向に沿って前記第1筐体部材に嵌合される第2筐体部材と、を備え、
前記第1筐体部材は、前記第2筐体部材に対する嵌合完了状態のときに、前記配列方向で前記第1電線及び前記第2電線のそれぞれの前記芯線の前記中間接続部の内の一方を間接的又は直接的に前記ノイズ低減素子に向けて押圧する第1押圧体を有し、
前記第2筐体部材は、前記第1筐体部材に対する嵌合完了状態のときに、前記配列方向で前記第1電線及び前記第2電線のそれぞれの前記芯線の前記中間接続部の内の他方を間接的又は直接的に前記ノイズ低減素子に向けて押圧する第2押圧体を有することを特徴としたワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズフィルタ及びワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線に乗った電気的なノイズを低減させるべく、そのノイズ低減対象電線にノイズフィルタを介装させる、という技術が知られている。そのノイズフィルタは、コンデンサ等のノイズ低減素子が設けられたフィルタ回路を備えており、そのフィルタ回路をノイズ低減対象電線とアース端子との間に介在させている。この種のノイズフィルタについては、例えば、下記の特許文献1及び2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-100061号公報
【文献】特開2012-039201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のノイズフィルタは、ノイズ低減対象電線とフィルタ回路との間を別の中間電線で繋いでいる。例えば、上記特許文献1のノイズフィルタは、幹線のノイズ低減対象電線から分岐させた2本の分岐電線に対してフィルタ回路を電気的に接続して、そのノイズ低減対象電線に乗っているノイズ成分を低減させている。このため、従来のノイズフィルタは、その分岐電線などのような中間電線に乗ってしまうノイズ成分をも考慮に入れて、フィルタ回路特性(共振点やノイズ低減性能等)の調整を行う必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、中間電線の影響を受けることのないノイズフィルタ及びワイヤハーネスを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為、本発明に係るノイズフィルタは、併走させた第1電線及び第2電線の間に介装させるフィルタ回路と、前記フィルタ回路並びに前記第1電線及び前記第2電線を収容する筐体と、を備え、前記フィルタ回路は、ノイズ成分を低減させるノイズ低減素子と、前記ノイズ低減素子の第1接続部及び前記第1電線の芯線の中間接続部に電気接続される導電性の第1回路接続部材と、前記ノイズ低減素子の第2接続部及び前記第2電線の芯線の中間接続部に電気接続される導電性の第2回路接続部材と、が前記第1電線及び前記第2電線の間で前記第1電線及び前記第2電線の配列方向に沿って配置されたものであり、前記第1回路接続部材は、前記ノイズ低減素子の前記第1接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第1素子側接続部と、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第1電線側接続部と、を備え、前記第2回路接続部材は、前記ノイズ低減素子の前記第2接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第2素子側接続部と、前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第2電線側接続部と、を備え、前記筐体は、前記フィルタ回路と前記第1電線と前記第2電線とが設置される第1筐体部材と、前記配列方向に沿って前記第1筐体部材に嵌合される第2筐体部材と、を備え、前記第1筐体部材は、前記第2筐体部材に対する嵌合完了状態のときに、前記配列方向で前記第1電線及び前記第2電線のそれぞれの前記芯線の前記中間接続部の内の一方を間接的又は直接的に前記ノイズ低減素子に向けて押圧する第1押圧体を有し、前記第2筐体部材は、前記第1筐体部材に対する嵌合完了状態のときに、前記配列方向で前記第1電線及び前記第2電線のそれぞれの前記芯線の前記中間接続部の内の他方を間接的又は直接的に前記ノイズ低減素子に向けて押圧する第2押圧体を有することを特徴としている。
【0007】
ここで、前記第1押圧体と前記第2押圧体は、前記嵌合完了状態のときに前記配列方向で対向配置され、それぞれの前記配列方向の押圧力で前記第1回路接続部材と前記第2回路接続部材との間に前記ノイズ低減素子を挟持させるものであり、前記ノイズ低減素子の前記第1接続部と前記第1素子側接続部は、前記ノイズ低減素子が挟持されているときに物理的且つ電気的に接続されるものとして形成し、前記ノイズ低減素子の前記第2接続部と前記第2素子側接続部は、前記ノイズ低減素子が挟持されているときに物理的且つ電気的に接続されるものとして形成することが望ましい。
【0008】
また、前記第1電線側接続部は、前記第1押圧体と前記第2押圧体のそれぞれの前記配列方向の押圧力によって、前記配列方向で前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続されるものとして形成し、前記第2電線側接続部は、前記第1押圧体と前記第2押圧体のそれぞれの前記配列方向の押圧力によって、前記配列方向で前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続されるものとして形成することが望ましい。
【0009】
また、前記フィルタ回路は、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に予め組み付けて、内方側が前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して物理的且つ電気的に接続された筒状の導電性の第1電線接続部材と、前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に予め組み付けて、内方側が前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して物理的且つ電気的に接続された筒状の導電性の第2電線接続部材と、を備え、前記第1回路接続部材は、前記嵌合完了状態のときに前記第1電線接続部材の筒軸方向における両端を前記筒軸方向で挟み込む2つの電線側係止突起を有し、前記第2回路接続部材は、前記嵌合完了状態のときに前記第2電線接続部材の筒軸方向における両端を前記筒軸方向で挟み込む2つの電線側係止突起を有することが望ましい。
【0010】
また、前記第1回路接続部材は、前記第1電線側接続部を前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に予め組み付けて、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して物理的且つ電気的に接続し、前記第2回路接続部材は、前記第2電線側接続部を前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に予め組み付けて、前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して物理的且つ電気的に接続することが望ましい。
【0011】
また、前記第1回路接続部材は、前記嵌合完了状態のときに前記ノイズ低減素子を前記第1電線及び前記第2電線の軸線方向で挟み込む2つの素子側係止突起を有し、前記第2回路接続部材は、前記嵌合完了状態のときに前記ノイズ低減素子を前記第1電線及び前記第2電線の軸線方向で挟み込む2つの素子側係止突起を有することが望ましい。
【0012】
また、上記目的を達成する為、本発明に係るワイヤハーネスは、第1電線及び第2電線を含む幹線と、ノイズ成分を低減させるノイズフィルタと、を備え、前記ノイズフィルタは、併走させた前記第1電線及び前記第2電線の間に介装させるフィルタ回路と、前記フィルタ回路並びに前記第1電線及び前記第2電線を収容する筐体と、を備え、前記フィルタ回路は、ノイズ成分を低減させるノイズ低減素子と、前記ノイズ低減素子の第1接続部及び前記第1電線の芯線の中間接続部に電気接続される導電性の第1回路接続部材と、前記ノイズ低減素子の第2接続部及び前記第2電線の芯線の中間接続部に電気接続される導電性の第2回路接続部材と、が前記第1電線及び前記第2電線の間で前記第1電線及び前記第2電線の配列方向に沿って配置されたものであり、前記第1回路接続部材は、前記ノイズ低減素子の前記第1接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第1素子側接続部と、前記第1電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第1電線側接続部と、を備え、前記第2回路接続部材は、前記ノイズ低減素子の前記第2接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第2素子側接続部と、前記第2電線の前記芯線の前記中間接続部に対して間接的又は直接的に電気接続される第2電線側接続部と、を備え、前記筐体は、前記フィルタ回路と前記第1電線と前記第2電線とが設置される第1筐体部材と、前記配列方向に沿って前記第1筐体部材に嵌合される第2筐体部材と、を備え、前記第1筐体部材は、前記第2筐体部材に対する嵌合完了状態のときに、前記配列方向で前記第1電線及び前記第2電線のそれぞれの前記芯線の前記中間接続部の内の一方を間接的又は直接的に前記ノイズ低減素子に向けて押圧する第1押圧体を有し、前記第2筐体部材は、前記第1筐体部材に対する嵌合完了状態のときに、前記配列方向で前記第1電線及び前記第2電線のそれぞれの前記芯線の前記中間接続部の内の他方を間接的又は直接的に前記ノイズ低減素子に向けて押圧する第2押圧体を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るノイズフィルタにおいては、第1電線の中間接続部と第2電線の中間接続部との間にフィルタ回路を電気的に介在させることで、そのフィルタ回路をそれぞれの中間接続部に対して電気的に接続している。例えば、その第1電線と第2電線は、ワイヤハーネスの幹線に束ねられている。よって、このノイズフィルタは、従来のような幹線からの分岐電線(中間電線)の影響を考慮に入れたフィルタ回路特性の調整が不要になる。つまり、本発明に係るノイズフィルタは、中間電線の影響を受けることのないものとなっている。更に、本発明に係るノイズフィルタにおいては、ノイズ低減素子と第1回路接続部材と第2回路接続部材とを第1電線及び第2電線の間で第1電線及び第2電線の配列方向に沿って配置し、その第1電線及び第2電線を配列方向で挟み込んで押圧する第1押圧体と第2押圧体とを筐体に設けている。このため、このノイズフィルタは、その配列方向と第1電線及び第2電線の軸線方向とに対する直交方向における体格の小型化を図ることができる。また、本発明に係るワイヤハーネスは、そのようなノイズフィルタを具備するものであり、このノイズフィルタが得られる効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを示す斜視図である。
図2図2は、実施形態のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを別角度から見た斜視図である。
図3図3は、実施形態のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを示す平面図である。
図4図4は、実施形態のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを示す分解斜視図である。
図5図5は、実施形態のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを別角度から見た分解斜視図である。
図6図6は、実施形態のフィルタ回路を示す分解斜視図である。
図7図7は、実施形態のフィルタ回路を別角度から見た分解斜視図である。
図8図8は、実施形態の第1筐体部材を示す斜視図である。
図9図9は、実施形態の第2筐体部材を示す斜視図である。
図10図10は、変形例のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを示す斜視図である。
図11図11は、変形例のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを別角度から見た斜視図である。
図12図12は、変形例のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを示す平面図である。
図13図13は、変形例のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを示す分解斜視図である。
図14図14は、変形例のノイズフィルタ及びワイヤハーネスを別角度から見た分解斜視図である。
図15図15は、変形例のフィルタ回路を示す分解斜視図である。
図16図16は、変形例のフィルタ回路を別角度から見た分解斜視図である。
図17図17は、変形例の第1筐体部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係るノイズフィルタ及びワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
[実施形態]
本発明に係るノイズフィルタ及びワイヤハーネスの実施形態の1つを図1から図9に基づいて説明する。
【0017】
図1から図5の符号1は、本実施形態のノイズフィルタを示す。このノイズフィルタ1は、2本の電線(第1電線WE1、第2電線WE2)の中間部分同士をフィルタ回路で繋いだノイズ低減装置であり、2本の電線の内の一方を接地させ、その内の他方に乗った電気的なノイズ成分をフィルタ回路で低減させる。その2本の電線は、例えば、車両のワイヤハーネスWHの幹線WTが備える複数本の電線の内の2本であって、一方の電線がアース線として接地され、他方の電線が電源線として利用される。その電源線には、例えば、デフォッガやハイマウントストップランプ等の負荷が電気的に接続されている。ノイズフィルタ1は、その2本の電線に接続することによって、ワイヤハーネスWHの構成要素の1つとなる。以下に例示するワイヤハーネスWHにおいては、第1電線WE1を電源線として利用し、第2電線WE2をアース線として利用する。第1電線WE1は、一方の端部が電源(例えば、車両の二次電池)に対して電気的に接続され、他方の端部が負荷に対して電気的に接続されている。また、第2電線WE2は、一方の端部が接地されている。第1電線WE1と第2電線WE2は、各々、導電性の芯線WEaと、この芯線WEaの外周面を覆う絶縁性の被覆WEbと、を備える。
【0018】
ノイズフィルタ1は、ノイズ成分を低減させるフィルタ回路10を備えるノイズ低減装置であり(図1から図5)、例えば、第1電線WE1に乗った電気的なノイズ成分をフィルタ回路10で低減させる。更に、このノイズフィルタ1は、そのフィルタ回路10を収容する筐体20を備えている(図1から図5)。このノイズフィルタ1においては、その筐体20の収容室20a(図1及び図2)に並列配置状態で第1電線WE1と第2電線WE2とを収容して、その収容室20aの中で第1電線WE1と第2電線WE2とを併走させる。フィルタ回路10は、その併走させた第1電線WE1及び第2電線WE2の間に介装させる。ここでは、下記の第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2とが収容室20aに収容され、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2の間にフィルタ回路10を介装させる。また、第1電線WE1と第2電線WE2は、それぞれの両端側が筐体20の外方に引き出される。
【0019】
フィルタ回路10は、第1電線WE1の中間部分に位置している芯線WEaの一部分と第2電線WE2の中間部分に位置している芯線WEaの一部分との間に電気的に介在させる。以下においては、その第1電線WE1の中間部分に位置している芯線WEaの一部分を「中間接続部WEa1」と称し、かつ、第2電線WE2の中間部分に位置している芯線WEaの一部分を「中間接続部WEa2」と称する。また、以下においては、その第1電線WE1の芯線WEaの中間接続部WEa1のことを「第1電線WE1の中間接続部WEa1」と簡略化し、かつ、その第2電線WE2の芯線WEaの中間接続部WEa2のことを「第2電線WE2の中間接続部WEa2」と簡略化する。つまり、このフィルタ回路10は、第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間に電気的に介在させるものであり、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2に対して電気的に接続させる(図1及び図2)。
【0020】
フィルタ回路10は、ノイズ成分を低減させる少なくとも1つのノイズ低減素子11と、このノイズ低減素子11の第1接続部(以下、「第1素子接続体」という。)11a(図3図6及び図7)及び第1電線WE1の中間接続部WEa1に電気接続される導電性の第1接続部材(以下、「第1回路接続部材」という。)12と、そのノイズ低減素子11の第2接続部(以下、「第2素子接続体」という。)11b(図3図6及び図7)及び第2電線WE2の中間接続部WEa2に電気接続される導電性の第2接続部材(以下、「第2回路接続部材」という。)13と、を備える(図1から図5)。このフィルタ回路10においては、そのノイズ低減素子11と第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とが、第1電線WE1及び第2電線WE2の間で第1電線WE1及び第2電線WE2の配列方向(並列配置方向)に沿って配置される。
【0021】
以下において単に「軸線方向」と記した場合、それは、第1電線WE1及び第2電線WE2の軸線方向のことを示している。また、以下において単に「配列方向」と記した場合、それは、第1電線WE1及び第2電線WE2の配列方向のことを示している。
【0022】
ノイズ低減素子11は、このノイズフィルタ1の回路構成でノイズの低減を図り得るものであれば、如何様なものを用いてもよい。例えば、ノイズ低減素子11としては、コンデンサやコイル等が考えられる。このフィルタ回路10では、ノイズ低減素子11として2つのコンデンサを備えており、この2つのコンデンサでノイズの低減を図ることができるように構成する(図4及び図5)。このノイズ低減素子11としての2つのコンデンサは、略方体状に形成されており、筐体20に収容されているときに、軸線方向と配列方向とに対する直交方向で積層される。また、このノイズ低減素子11としてのコンデンサにおいては、筐体20に収容されているときに、軸線方向における一端に第1素子接続体11aとしての第1外部電極が配置され、軸線方向における他端に第2素子接続体11bとしての第2外部電極が配置される。以下において単に「積層方向」と記した場合、それは、ノイズ低減素子11としての2つのコンデンサの積層方向のことを示している。
【0023】
第1回路接続部材12と第2回路接続部材13は、ノイズ低減素子11を介して互いを電気的に接続させる導電部材であり、2つのノイズ低減素子11を配列方向で挟持するものとして金属等の導電性材料で成形されている。この例示の第1回路接続部材12と第2回路接続部材13は、各々、金属板を母材とするプレス成形品である。但し、ここでは、後述する絶縁体14を第1回路接続部材12に設け且つ後述する絶縁体15を第2回路接続部材13に設けるべく、例えば、母材となる金属板の一方に平面側に絶縁部材をシート状に埋設し、その絶縁部材と共に金属板をプレス成形する。その金属板と絶縁部材は、互いの平面同士が面一となるように一体化されている。
【0024】
第1回路接続部材12は、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11aに対して物理的且つ電気的に接続される第1素子側接続部12aを備える(図6)。更に、この第1回路接続部材12は、第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に電気接続される第1電線側接続部12aを備える(図7)。
【0025】
この第1回路接続部材12は、筐体20に収容されているときに、配列方向でノイズ低減素子11と第1電線WE1の中間接続部WEa1との間に配置する。この第1回路接続部材12は、配列方向で第1素子側接続部12aをノイズ低減素子11の第1素子接続体11aに接触させることによって、その相互間を物理的且つ電気的に接続させる。ここで、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11aと第1素子側接続部12aは、第1回路接続部材12と第2回路接続部材13との間にノイズ低減素子11が挟持されているときに物理的且つ電気的に接続されるものとして形成する。また、この第1回路接続部材12は、配列方向で第1電線側接続部12aを第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に電気接続させる。
【0026】
この例示の第1回路接続部材12には、配列方向に対しての直交平面を有する矩形の平板状の主壁体12aが設けられている(図6及び図7)。
【0027】
その主壁体12aは、ノイズ低減素子11側の一方の平面に、第1素子側接続部12aと絶縁体14とを有する(図6)。絶縁体14は、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11bに対する第1回路接続部材12の電気的な接続を断つために設ける。この主壁体12aにおいては、軸線方向にて、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11a側に第1素子側接続部12aを設け、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11b側に絶縁体14を設ける。その第1素子側接続部12aと絶縁体14は、互いの平面同士が面一になっている。よって、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11aは、絶縁体14に邪魔されることなく、第1素子側接続部12aに接触することができる。
【0028】
また、この主壁体12aにおいては、第1電線WE1の中間接続部WEa1側の他方の平面を第1電線側接続部12aとして利用する(図7)。
【0029】
この第1回路接続部材12は、ノイズ低減素子11を軸線方向で挟み込む2つの素子側係止突起(以下、「第1素子側係止突起」という。)12bを有する(図6及び図7)。それぞれの第1素子側係止突起12bは、ノイズ低減素子11を軸線方向で挟み込むことによって、ノイズ低減素子11と第1回路接続部材12との間の軸線方向での相対移動を規制するものである。それぞれの第1素子側係止突起12bは、主壁体12aの軸線方向における両端から各々同じ向きに突出させた矩形の片体として形成している。絶縁体14は、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11b側に配置される第1素子側係止突起12bにまで延在させている。
【0030】
更に、この第1回路接続部材12は、2つのノイズ低減素子11を積層方向で挟み込む2つの素子側係止突起(以下、「第2素子側係止突起」という。)12cを有する(図6及び図7)。それぞれの第2素子側係止突起12cは、ノイズ低減素子11を積層方向で挟み込むことによって、ノイズ低減素子11と第1回路接続部材12との間の積層方向での相対移動を規制するものである。それぞれの第2素子側係止突起12cは、主壁体12aの積層方向における両端から各々同じ向きに突出させた矩形の片体として形成している。
【0031】
ここで、この第1回路接続部材12は、後述する筒状の第1電線接続部材16の筒軸方向(軸線方向)における両端を筒軸方向で挟み込む2つの電線側係止突起12dを有する(図6及び図7)。それぞれの電線側係止突起12dは、第1電線接続部材16を筒軸方向で挟み込むことによって、第1回路接続部材12と第1電線接続部材16との間の軸線方向での相対移動を規制し、これに伴い、第1回路接続部材12と第1電線WE1の中間接続部WEa1との間の軸線方向での相対移動を規制するものである。それぞれの電線側係止突起12dは、それぞれの第1素子側係止突起12bの突出方向側の端部から外側にJ字状に各々折り曲げた矩形の片体として形成している。それぞれの電線側係止突起12dは、主壁体12aの第1電線側接続部12aよりも第1電線WE1の中間接続部WEa1側に突出させる。絶縁体14は、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11b側に配置される電線側係止突起12dにまで延在させている。
【0032】
第2回路接続部材13は、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11bに対して物理的且つ電気的に接続される第2素子側接続部13aを備える(図7)。更に、この第2回路接続部材13は、第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続される第2電線側接続部13aを備える(図6)。
【0033】
この第2回路接続部材13は、筐体20に収容されているときに、配列方向でノイズ低減素子11と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間に配置する。この第2回路接続部材13は、配列方向で第2素子側接続部13aをノイズ低減素子11の第2素子接続体11bに接触させることによって、その相互間を物理的且つ電気的に接続させる。ここで、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11bと第2素子側接続部13aは、第1回路接続部材12と第2回路接続部材13との間にノイズ低減素子11が挟持されているときに物理的且つ電気的に接続されるものとして形成する。また、この第2回路接続部材13は、配列方向で第2電線側接続部13aを第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続させる。
【0034】
この例示の第2回路接続部材13には、配列方向に対しての直交平面を有する矩形の平板状の主壁体13aが設けられている(図6及び図7)。
【0035】
その主壁体13aは、ノイズ低減素子11側の一方の平面に、第2素子側接続部13aと絶縁体15とを有する(図7)。絶縁体15は、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11aに対する第2回路接続部材13の電気的な接続を断つために設ける。この主壁体13aにおいては、軸線方向にて、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11b側に第1素子側接続部13aを設け、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11a側に絶縁体15を設ける。その第2素子側接続部13aと絶縁体15は、互いの平面同士が面一になっている。よって、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11bは、絶縁体15に邪魔されることなく、第2素子側接続部13aに接触することができる。
【0036】
また、この主壁体13aにおいては、第2電線WE2の中間接続部WEa2側の他方の平面を第2電線側接続部13aとして利用する(図6)。
【0037】
この第2回路接続部材13は、ノイズ低減素子11を軸線方向で挟み込む2つの素子側係止突起(以下、「第1素子側係止突起」という。)13bを有する(図6及び図7)。それぞれの第1素子側係止突起13bは、ノイズ低減素子11を軸線方向で挟み込むことによって、ノイズ低減素子11と第2回路接続部材13との間の軸線方向での相対移動を規制するものである。それぞれの第1素子側係止突起13bは、主壁体13aの軸線方向における両端から各々同じ向きに突出させた矩形の片体として形成している。絶縁体15は、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11a側に配置される第1素子側係止突起13bにまで延在させている。
【0038】
更に、この第2回路接続部材13は、2つのノイズ低減素子11を積層方向で挟み込む2つの素子側係止突起(以下、「第2素子側係止突起」という。)13cを有する(図6及び図7)。それぞれの第2素子側係止突起13cは、ノイズ低減素子11を積層方向で挟み込むことによって、ノイズ低減素子11と第2回路接続部材13との間の積層方向での相対移動を規制するものである。それぞれの第2素子側係止突起13cは、主壁体13aの積層方向における両端から各々同じ向きに突出させた矩形の片体として形成している。
【0039】
ここで、この第2回路接続部材13は、後述する筒状の第2電線接続部材17の筒軸方向(軸線方向)における両端を筒軸方向で挟み込む2つの電線側係止突起13dを有する(図6及び図7)。それぞれの電線側係止突起13dは、第2電線接続部材17を筒軸方向で挟み込むことによって、第2回路接続部材13と第2電線接続部材17との間の軸線方向での相対移動を規制し、これに伴い、第2回路接続部材13と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間の軸線方向での相対移動を規制するものである。それぞれの電線側係止突起13dは、それぞれの第1素子側係止突起13bの突出方向側の端部から外側にJ字状に各々折り曲げた矩形の片体として形成している。それぞれの電線側係止突起13dは、主壁体13aの第2電線側接続部13aよりも第2電線WE2の中間接続部WEa2側に突出させる。絶縁体15は、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11a側に配置される電線側係止突起13dにまで延在させている。
【0040】
筐体20は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形する。この筐体20は、フィルタ回路10と第1電線WE1と第2電線WE2とを収容する収容室20aを内方に有する(図1及び図2)。その収容室20aには、少なくともフィルタ回路10と第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2とが収容される。この筐体20においては、第1電線WE1におけるそれぞれの端部側が内方の収容室20aから外方へと引き出され、かつ、第2電線WE2におけるそれぞれの端部側が内方の収容室20aから外方へと引き出される。この筐体20は、第1筐体部材21と第2筐体部材22とを互いに嵌め合わせることによって、収容室20aを形成する。
【0041】
この筐体20においては、フィルタ回路10と第1電線WE1と第2電線WE2とを第1筐体部材21に設置し、その第1筐体部材21に対して配列方向に沿って第2筐体部材22を嵌合させる。
【0042】
第1筐体部材21は、矩形の平板状の主壁体21aと、この主壁体21aの3つの辺部から各々同じ向きに垂設させた矩形の平板状の第1から第3の周壁体21b-21dと、を有する(図8)。この第1筐体部材21は、残りの1つの辺部側から第2筐体部材22に挿入嵌合される。
【0043】
この第1筐体部材21においては、対向配置されている第1周壁体21bと第2周壁体21cから第1電線WE1と第2電線WE2とを外方に引き出させる。そこで、第1周壁体21bには、第1電線WE1の一方の端部側を外方に引き出させる第1引出口21bと、第2電線WE2の一方の端部側を外方に引き出させる第2引出口21bと、が形成されている(図8)。また、第2周壁体21cには、第1電線WE1の他方の端部側を外方に引き出させる第3引出口21cと、第2電線WE2の他方の端部側を外方に引き出させる第4引出口21cと、が形成されている(図8)。
【0044】
この第1筐体部材21においては、中間接続部WEa1を内方に配置させるように第1電線WE1が第1引出口21bと第3引出口21cとに挿入され、かつ、中間接続部WEa2を内方に配置させるように第2電線WE2が第2引出口21bと第4引出口21cとに挿入される。これにより、第1電線WE1と第2電線WE2は、第1筐体部材21に併走状態で配置される。
【0045】
フィルタ回路10のノイズ低減素子11と第1回路接続部材12と第2回路接続部材13は、その併走状態の第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間に配置する。ここでは、例えば、2つのノイズ低減素子11を第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とで挟み込み、これらの組付け体を第1筐体部材21の内方に配置する。
【0046】
第2筐体部材22は、矩形の平板状の主壁体22aと、この主壁体22aの対向配置された2つの辺部から各々同じ向きに垂設させた矩形の平板状の第1及び第2の立壁体22b,22cと、を有する(図9)。この第2筐体部材22は、第1及び第2の立壁体22b,22cの自由端側の開口から第1筐体部材21を挿入嵌合させる。
【0047】
主壁体22aは、第1筐体部材21と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、第1筐体部材21の第3周壁体21dに対して間隔を空けて対向配置される。第1立壁体22bは、第1筐体部材21と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、第1筐体部材21の主壁体21aの外壁面に対向配置される。第2立壁体22cは、第1筐体部材21と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、第1筐体部材21の主壁体21aの内壁面に対して間隔を空けて対向配置される。この筐体20においては、第1筐体部材21の主壁体21a及び第1から第3の周壁体21b-21dと第2筐体部材22の主壁体22a及び第2立壁体22cとで囲まれた空間が収容室20aとなる。
【0048】
この筐体20において、第1筐体部材21は、第2筐体部材22に対する嵌合完了状態のときに、配列方向で第1電線WE1及び第2電線WE2のそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2の内の一方を間接的又は直接的にノイズ低減素子11に向けて押圧する第1押圧体23を有する(図1から図5及び図8)。そして、第2筐体部材22は、第1筐体部材21に対する嵌合完了状態のときに、配列方向で第1電線WE1及び第2電線WE2のそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2の内の他方を間接的又は直接的にノイズ低減素子11に向けて押圧する第2押圧体24を有する(図1から図5及び図9)。
【0049】
この筐体20においては、第1押圧体23を第1筐体部材21の第3周壁体21dに設け、第2押圧体24を第2筐体部材22の主壁体22aに設けている。
【0050】
この例示の第1押圧体23は、第3周壁体21dの内壁面から自由端側を浮き上がらせた片持ちの片体状の片部23aと、この片部23aの自由端に設け、第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に配列方向の押圧力を作用させる押圧部23bと、を有する(図8)。片部23aは、固定端側を支点にした弾性域内での撓みが可能なものとして形成する。押圧部23bは、配列方向で第2電線WE2の中間接続部WEa2に対向配置させる。ここでは、押圧部23bを矩形の片体状に形成している。
【0051】
また、この例示の第2押圧体24は、主壁体22aの内壁面から自由端側を浮き上がらせた片持ちの片体状の片部24aと、この片部24aの自由端に設け、第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に配列方向の押圧力を作用させる押圧部24bと、を有する(図9)。片部24aは、固定端側を支点にした弾性域内での撓みが可能なものとして形成する。押圧部24bは、配列方向で第1電線WE1の中間接続部WEa1に対向配置させる。ここでは、押圧部24bを矩形の片体状に形成している。
【0052】
ここで、第1押圧体23と第2押圧体24は、第1筐体部材21と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、配列方向で間隔を空けて対向配置させることが望ましい。この例示では、それぞれの押圧部23b,24bを配列方向で対向配置させている。
【0053】
この筐体20において、第1押圧体23と第2押圧体24は、第1筐体部材21と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2を間接的又は直接的に挟み込むための配列方向の押圧力(挟持力)をそれぞれの押圧部23b,24bからそれぞれの中間接続部WEa2,WEa1に作用させる。
【0054】
第1押圧体23の押圧力は、第2電線WE2の中間接続部WEa2を介して間接的又は直接的に第2回路接続部材13に伝わる。よって、第2回路接続部材13の第2電線側接続部13aは、第1押圧体23と第2押圧体24のそれぞれの押圧力によって、配列方向で第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続される。また、第2押圧体24の押圧力は、第1電線WE1の中間接続部WEa1を介して間接的又は直接的に第1回路接続部材12に伝わる。よって、第1回路接続部材12の第1電線側接続部12aは、第1押圧体23と第2押圧体24のそれぞれの押圧力によって、配列方向で第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に電気接続される。
【0055】
第1押圧体23と第2押圧体24のそれぞれの押圧力は、第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とに伝わることで、この第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とがノイズ低減素子11を挟み込むための挟持力となる。つまり、第1押圧体23と第2押圧体24は、それぞれの押圧力で第1回路接続部材12と第2回路接続部材13との間にノイズ低減素子11を挟持させる。先に示したように、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11aと第1素子側接続部12aは、第1回路接続部材12と第2回路接続部材13との間にノイズ低減素子11が挟持されているときに物理的且つ電気的に接続される。また、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11bと第2素子側接続部13aは、第1回路接続部材12と第2回路接続部材13との間にノイズ低減素子11が挟持されているときに物理的且つ電気的に接続される。
【0056】
このノイズフィルタ1は、第1電線WE1の中間接続部WEa1、第2電線WE2の中間接続部WEa2、第1回路接続部材12、第2回路接続部材13及びノイズ低減素子11に対して、第1押圧体23と第2押圧体24のそれぞれの押圧力を伝えるために、第1回路接続部材12と第2回路接続部材13を第1筐体部材21に対して配列方向に相対移動させることが可能なガイド機構30を備えている(図6から図8)。そのガイド機構30は、第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とに各々設けた被ガイド部31と、被ガイド部31を配列方向に沿って案内する第1筐体部材21のガイド部32と、を備える。
【0057】
この例示では、第1回路接続部材12の第2素子側係止突起12cと第2回路接続部材13の第2素子側係止突起13cを被ガイド部31として各々利用する(図6及び図7)。第1筐体部材21の主壁体21aの内壁面側には、配列方向に延在させた第1溝部21aが形成されている(図8)。ここでは、その第1溝部21aを主壁体21a側のそれぞれの第2素子側係止突起12c,13cのガイド部32として利用する。そこで、第1溝部21aは、主壁体21a側のそれぞれの第2素子側係止突起12c,13cを挿入させ、かつ、主壁体21a側のそれぞれの第2素子側係止突起12c,13cを配列方向に沿って案内させることが可能な形状のものとして形成する。
【0058】
また、この例示では、第1回路接続部材12のそれぞれの電線側係止突起12dを主壁体21a側に突出させ、そのそれぞれの突出部分12eを被ガイド部31として各々利用する(図6及び図7)。また、この例示では、第2回路接続部材13のそれぞれの電線側係止突起13dを主壁体21a側に突出させ、そのそれぞれの突出部分13eを被ガイド部31として各々利用する(図6及び図7)。第1筐体部材21の主壁体21aの内壁面側には、配列方向に延在させた第2溝部21aと第3溝部21aとが形成されている(図8)。ここでは、第2溝部21aを一方の電線側係止突起12d,13dにおけるそれぞれの被ガイド部31のガイド部32として利用し、第3溝部21aを他方の電線側係止突起12d,13dにおけるそれぞれの被ガイド部31のガイド部32として利用する。そこで、第2溝部21aは、一方の電線側係止突起12d,13dにおけるそれぞれの被ガイド部31(突出部分12e,13e)を挿入させ、かつ、そのそれぞれの被ガイド部31を配列方向に沿って案内させることが可能な形状のものとして形成する。また、第3溝部21aは、他方の電線側係止突起12d,13dにおけるそれぞれの被ガイド部31を挿入させ、かつ、そのそれぞれの被ガイド部31を配列方向に沿って案内させることが可能な形状のものとして形成する。
【0059】
このノイズフィルタ1においては、第1押圧体23と第2押圧体24のそれぞれの押圧力が第2電線WE2の中間接続部WEa2と第1電線WE1の中間接続部WEa1とに対して間接的又は直接的に伝わると、第1電線WE1の中間接続部WEa1から第1回路接続部材12の第1電線側接続部12aに対して間接的又は直接的に配列方向の押圧力が作用し、かつ、第2電線WE2の中間接続部WEa2から第2回路接続部材13の第1電線側接続部13aに対して間接的又は直接的に配列方向の押圧力が作用する。これに伴い、このノイズフィルタ1においては、第1回路接続部材12がガイド機構30の作用によってノイズ低減素子11に押し付けられ、かつ、第2回路接続部材13がガイド機構30の作用によってノイズ低減素子11に押し付けられる。
【0060】
従って、このノイズフィルタ1においては、第1筐体部材21と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、第1電線WE1の中間接続部WEa1と第1回路接続部材12の第1電線側接続部12aとの間を間接的又は直接的に電気接続させることができ、かつ、第1回路接続部材12の第1素子側接続部12aとノイズ低減素子11の第1素子接続体11aとの間を直接的に電気接続させることができる。更に、このノイズフィルタ1においては、第1筐体部材21と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、第2電線WE2の中間接続部WEa2と第2回路接続部材13の第1電線側接続部13aとの間を間接的又は直接的に電気接続させることができ、かつ、第2回路接続部材13の第1素子側接続部13aとノイズ低減素子11の第2素子接続体11bとの間を直接的に電気接続させることができる。
【0061】
更に、このノイズフィルタ1においては、ガイド機構30によって、第1筐体部材21と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、第1回路接続部材12の2つの第1素子側係止突起12bがノイズ低減素子11を軸線方向で挟み込むことができ、かつ、第1回路接続部材12の2つの第2素子側係止突起12cがノイズ低減素子11を積層方向で挟み込むことができる。また、このノイズフィルタ1においては、ガイド機構30によって、第1筐体部材21と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、第2回路接続部材13の2つの第1素子側係止突起13bがノイズ低減素子11を軸線方向で挟み込むことができ、かつ、第2回路接続部材13の2つの第2素子側係止突起13cがノイズ低減素子11を積層方向で挟み込むことができる。従って、このノイズフィルタ1は、ノイズ低減素子11と第1回路接続部材12との間及びノイズ低減素子11と第2回路接続部材13との間の相対的な位置ずれを抑えることができるので、これらの間の通電状態を保ち続けることができる。
【0062】
ところで、この例示では、第1電線WE1の中間接続部WEa1と第1回路接続部材12との間及び第2電線WE2の中間接続部WEa2と第2回路接続部材13との間を間接的に電気接続させる。そこで、この例示のフィルタ回路10には、第1電線WE1の中間接続部WEa1に予め組み付けて、内方側が第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して物理的且つ電気的に接続された筒状の導電性の第1電線接続部材16と、第2電線WE2の中間接続部WEa2に予め組み付けて、内方側が第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して物理的且つ電気的に接続された筒状の導電性の第2電線接続部材17と、を設けている(図1から図5)。
【0063】
この例示の第1電線接続部材16と第2電線接続部材17は、金属等の導電性材料で成形する。例えば、第1電線接続部材16は、矩形の金属板を第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して巻き付けながら加締めていくことによって、その中間接続部WEa1に対して内方側が物理的且つ電気的に接続された筒状部材となる。また、第2電線接続部材17は、矩形の金属板を第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して巻き付けながら加締めていくことによって、その中間接続部WEa2に対して内方側が物理的且つ電気的に接続された筒状部材となる。この例示の第1電線接続部材16と第2電線接続部材17は、各々、円筒状に成形している。
【0064】
この例示のノイズフィルタ1においては、第1押圧体23の押圧力が第2電線接続部材17に伝わり、かつ、第2押圧体24の押圧力が第1電線接続部材16に伝わると、第1電線接続部材16から第1回路接続部材12の第1電線側接続部12aに対して配列方向の押圧力が作用し、かつ、第2電線接続部材17から第2回路接続部材13の第1電線側接続部13aに対して配列方向の押圧力が作用する。これに伴い、このノイズフィルタ1においては、第1回路接続部材12がガイド機構30の作用によってノイズ低減素子11に押し付けられ、かつ、第2回路接続部材13がガイド機構30の作用によってノイズ低減素子11に押し付けられる。
【0065】
従って、このノイズフィルタ1においては、第1筐体部材21と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、第1電線接続部材16を介して第1電線WE1の中間接続部WEa1と第1回路接続部材12の第1電線側接続部12aとの間を間接的に電気接続させることができ、かつ、第1回路接続部材12の第1素子側接続部12aとノイズ低減素子11の第1素子接続体11aとの間を直接的に電気接続させることができる。更に、このノイズフィルタ1においては、第1筐体部材21と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、第2電線接続部材17を介して第2電線WE2の中間接続部WEa2と第2回路接続部材13の第1電線側接続部13aとの間を間接的に電気接続させることができ、かつ、第2回路接続部材13の第1素子側接続部13aとノイズ低減素子11の第2素子接続体11bとの間を直接的に電気接続させることができる。
【0066】
更に、この例示のノイズフィルタ1においては、第1筐体部材21と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、第1回路接続部材12の2つの電線側係止突起12dが第1電線接続部材16の筒軸方向における両端を当該筒軸方向で挟み込む。また、このノイズフィルタ1においては、第1筐体部材21と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、第2回路接続部材13の2つの電線側係止突起13dが第2電線接続部材17の筒軸方向における両端を当該筒軸方向で挟み込む。従って、この例示のノイズフィルタ1は、ノイズ低減素子11と第1回路接続部材12との間及びノイズ低減素子11と第2回路接続部材13との間の相対的な位置ずれを抑えることができるのみならず、第1回路接続部材12と第1電線WE1の中間接続部WEa1との間及び第2回路接続部材13と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間の軸線方向における相対的な位置ずれを抑えることができる。よって、このノイズフィルタ1においては、これらの間の通電状態を保ち続けることができる。
【0067】
例えば、このノイズフィルタ1は、第1電線WE1及び第2電線WE2と共に幹線WTに粘着テープ(図示略)等で固定して、その幹線WTに抱きかかえさせる。これにより、第1電線WE1と第2電線WE2へのノイズフィルタ1の取り付けが完了する。
【0068】
ここで、第1電線WE1と第2電線WE2とが丸導体等の単線を芯線WEaとして備えるものである場合、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2は、各々、第1回路接続部材12の第1電線側接続部12aと第2回路接続部材13の第1電線側接続部13aとに対して直接的に電気接続させてもよい。つまり、この場合には、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2に第1電線接続部材16や第2電線接続部材17を設けずともよい。また、第1電線WE1と第2電線WE2とが複数本の素線の集合体を芯線WEaとして備えるものであったとしても、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2における複数本の素線を熱圧着等で溶着して一纏めに固着させた場合には、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2に第1電線接続部材16や第2電線接続部材17を設けずに、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2を各々第1回路接続部材12の第1電線側接続部12aと第2回路接続部材13の第1電線側接続部13aとに対して直接的に電気接続させてもよい。但し、これらの場合には、第1回路接続部材12と第2回路接続部材13に電線側係止突起12d,13dを設けない又は電線側係止突起12d,13dに電線挿入用の切欠きを設けることが望ましい。
【0069】
以上示した本実施形態のノイズフィルタ1は、中間電線の影響を受けることのないものとなっている。つまり、従来のノイズフィルタは、前述したように、ノイズ低減対象電線とフィルタ回路との間に中間電線を介在させている。その中間電線は、ノイズフィルタへの組付け作業性や車両への配索経路等を考慮して、長さに関する許容公差が大きく取られている。このため、従来のノイズフィルタは、その長さに応じた中間電線のノイズ成分をも考慮に入れて、フィルタ回路特性(共振点やノイズ低減性能等)の調整を行う必要がある。しかしながら、本実施形態のノイズフィルタ1においては、ワイヤハーネスWHの幹線WTに束ねられている第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間にフィルタ回路10を電気的に介在させることで、そのフィルタ回路10をそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2に対して電気的に接続している。よって、このノイズフィルタ1は、従来のような幹線からの分岐電線(中間電線)の影響を考慮に入れたフィルタ回路特性の調整が不要になる。即ち、このノイズフィルタ1は、中間電線の影響を受けることのないものとなっている。
【0070】
更に、本実施形態のノイズフィルタ1においては、ノイズ低減素子11と第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とを第1電線WE1及び第2電線WE2の間で第1電線WE1及び第2電線WE2の配列方向に沿って配置し、その第1電線WE1及び第2電線WE2を配列方向で挟み込んで押圧する第1押圧体23と第2押圧体24とを筐体20に設けている。このため、このノイズフィルタ1は、直交方向(その配列方向と第1電線WE1及び第2電線WE2の軸線方向に対する直交方向)における体格の小型化を図ることができる。
【0071】
一方、このノイズフィルタ1においては、ノイズ低減素子11と第1回路接続部材12と第2回路接続部材13と第1電線WE1と第2電線WE2とを並列配置しているので、その並列配置方向(配列方向)の体格の大型化を招いてしまう可能性がある。しかしながら、本実施形態のノイズフィルタ1においては、ノイズ低減素子11と第1回路接続部材12と第2回路接続部材13と第1電線WE1と第2電線WE2を筐体20の第1押圧体23と第2押圧体24とで挟み込んで押圧することによって、フィルタ回路10と第1電線WE1及び第2電線WE2との間の電気的な接続を図っている。このため、このノイズフィルタ1の電気的な接続構造は、従来のような雌雄の端子部の嵌合構造となっているものと比較して、小型化が可能になる。よって、このノイズフィルタ1は、その並列配置方向(配列方向)における体格の大型化を抑えることができる。また、そのような従来の接続構造は形状如何で原価の高騰を招く虞があるが、このノイズフィルタ1は、そのような簡便な接続構造であるが故に、原価の高騰を抑えることができる。
【0072】
また更に、本実施形態のノイズフィルタ1は、一方の端部を接地させる第2電線WE2の中間接続部WEa2に対してフィルタ回路10を電気的に接続させるので、例えば、幹線WTの周囲に接地可能な導電体が存在しておらずとも、また、自らの設置対象物が合成樹脂等の絶縁性材料で成形されていたとしても、容易にアースを取ることができる。つまり、従来のノイズフィルタは、導電性の設置対象物に取り付けた際に当該設置対象物にアース端子を接続することによって、その設置対象物を介してアースを取っている。よって、従来のノイズフィルタにおいては、アース端子と設置対象物との固定作業を容易にするために、アース端子を筐体から食み出させている。しかしながら、このノイズフィルタ1は、そのようなアース端子を備えずとも、アースを取ることができる。従って、このノイズフィルタ1は、体格の小型化や軽量化を図ることができる。
【0073】
また、本実施形態のワイヤハーネスWHは、そのようなノイズフィルタ1を具備するものであり、このノイズフィルタ1が得られる効果を奏することができる。
【0074】
[変形例]
図10から図14の符号2は、本変形例のノイズフィルタを示す。また、その各図のWHは、本変形例のワイヤハーネスを示す。このノイズフィルタ2とワイヤハーネスWHは、前述した実施形態のノイズフィルタ1において、フィルタ回路10を下記のフィルタ回路110(図10から図16)に置き換え、かつ、第1筐体部材21を下記の第1筐体部材121(図10から図14及び図17)に置き換えたものである。
【0075】
このノイズフィルタ2では、第1筐体部材121と第2筐体部材22とで筐体120を構成する(図10から図14)。第1筐体部材121は、実施形態の第1筐体部材21において、ガイド部32としての第1溝部21aを取り除いたものに相当する(図17)。このため、本変形例の第1筐体部材121は、第1筐体部材21に付したものと同じ符号で図示している。
【0076】
本変形例のフィルタ回路110は、実施形態のフィルタ回路10と同様に少なくとも1つのノイズ低減素子11を備える一方、そのフィルタ回路10において、第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とを各々下記の第1回路接続部材112と第2回路接続部材113とに置き換えたものである(図15及び図16)。よって、このフィルタ回路110は、ノイズ低減素子11としての2つのコンデンサが積層されている。
【0077】
第1回路接続部材112及び第2回路接続部材113は、第1回路接続部材12及び第2回路接続部材13と同じように、ノイズ低減素子11を介して互いを電気的に接続させる導電部材であり、金属板を母材にしてプレス成形されている。
【0078】
第1回路接続部材112は、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11aに対して物理的且つ電気的に接続される第1素子側接続部112aと、第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して直接的に電気接続される第1電線側接続部112aと、を備える(図15及び図16)。
【0079】
この例示の第1回路接続部材112には、配列方向に対しての直交平面を有する矩形の平板状の主壁体112aが設けられている(図15及び図16)。
【0080】
その主壁体112aは、ノイズ低減素子11側の一方の平面に、第1素子側接続部112aと絶縁体114とを有する(図15)。絶縁体114は、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11bに対する第1回路接続部材112の電気的な接続を断つために設ける。この主壁体112aにおいては、軸線方向にて、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11a側に第1素子側接続部112aを設け、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11b側に絶縁体114を設ける。その第1素子側接続部112aと絶縁体114は、互いの平面同士が面一になっている。よって、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11aは、絶縁体114に邪魔されることなく、第1素子側接続部112aに接触することができる。
【0081】
また、この例示の第1回路接続部材112は、主壁体112aの積層方向における両端に2つの矩形の平板状の壁体を有しており、そのそれぞれの壁体を第1電線WE1の中間接続部WEa1に巻き付けて加締め圧着させることによって、その中間接続部WEa1に対して直接的に電気接続させる。この第1回路接続部材112においては、そのそれぞれの壁体によって第1電線側接続部112aが形成される。つまり、この第1回路接続部材112は、第1電線側接続部112aを第1電線WE1の中間接続部WEa1に予め組み付けて、その中間接続部WEa1に対して物理的且つ電気的に接続している。
【0082】
この第1回路接続部材112は、筐体120に収容されているときに、配列方向でノイズ低減素子11と第2押圧体24との間に配置する。この第1回路接続部材112は、配列方向で第1素子側接続部112aをノイズ低減素子11の第1素子接続体11aに接触させることによって、その相互間を物理的且つ電気的に接続させる。ここで、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11aと第1素子側接続部112aは、第1回路接続部材112と第2回路接続部材113との間にノイズ低減素子11が挟持されているときに物理的且つ電気的に接続されるものとして形成する。
【0083】
この第1回路接続部材112は、第1回路接続部材12と同じように、ノイズ低減素子11を軸線方向で挟み込む2つの素子側係止突起112bを有しており(図15及び図16)、ノイズ低減素子11との間での軸線方向における相対移動が規制される。それぞれの素子側係止突起112bは、第1電線側接続部112aを成す壁体とは逆側に突出させる。絶縁体114は、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11b側に配置される素子側係止突起112bにまで延在させている。
【0084】
この第1回路接続部材112においては、それぞれの素子側係止突起112bを第1筐体部材21の主壁体21a側に突出させ、そのそれぞれの突出部分112eを被ガイド部31として各々利用する(図15)。
【0085】
第2回路接続部材113は、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11bに対して物理的且つ電気的に接続される第2素子側接続部113aと、第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して直接的に電気接続される第2電線側接続部113aと、を備える(図15及び図16)。
【0086】
この例示の第2回路接続部材113には、配列方向に対しての直交平面を有する矩形の平板状の主壁体113aが設けられている(図15及び図16)。
【0087】
その主壁体113aは、ノイズ低減素子11側の一方の平面に、第2素子側接続部113aと絶縁体115とを有する(図16)。絶縁体115は、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11aに対する第2回路接続部材113の電気的な接続を断つために設ける。この主壁体113aにおいては、軸線方向にて、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11b側に第1素子側接続部113aを設け、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11a側に絶縁体115を設ける。その第2素子側接続部113aと絶縁体115は、互いの平面同士が面一になっている。よって、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11bは、絶縁体115に邪魔されることなく、第2素子側接続部113aに接触することができる。
【0088】
また、この例示の第2回路接続部材113は、主壁体113aの積層方向における両端に2つの矩形の平板状の壁体を有しており、そのそれぞれの壁体を第2電線WE2の中間接続部WEa2に巻き付けて加締め圧着させることによって、その中間接続部WEa2に対して直接的に電気接続させる。この第2回路接続部材113においては、そのそれぞれの壁体によって第2電線側接続部113aが形成される。つまり、この第2回路接続部材113は、第2電線側接続部113aを第2電線WE2の中間接続部WEa2に予め組み付けて、その中間接続部WEa2に対して物理的且つ電気的に接続している。
【0089】
この第2回路接続部材113は、筐体120に収容されているときに、配列方向でノイズ低減素子11と第1押圧体23との間に配置する。この第2回路接続部材113は、配列方向で第2素子側接続部113aをノイズ低減素子11の第2素子接続体11bに接触させることによって、その相互間を物理的且つ電気的に接続させる。ここで、ノイズ低減素子11の第2素子接続体11bと第2素子側接続部113aは、第1回路接続部材112と第2回路接続部材113との間にノイズ低減素子11が挟持されているときに物理的且つ電気的に接続されるものとして形成する。
【0090】
この第2回路接続部材113は、第2回路接続部材13と同じように、ノイズ低減素子11を軸線方向で挟み込む2つの素子側係止突起113bを有しており(図15及び図16)、ノイズ低減素子11との間での軸線方向における相対移動が規制される。それぞれの素子側係止突起113bは、第2電線側接続部113aを成す壁体とは逆側に突出させる。絶縁体115は、ノイズ低減素子11の第1素子接続体11a側に配置される素子側係止突起113bにまで延在させている。
【0091】
この第2回路接続部材113においては、それぞれの素子側係止突起113bを第1筐体部材21の主壁体21a側に突出させ、そのそれぞれの突出部分113eを被ガイド部31として各々利用する(図16)。
【0092】
このノイズフィルタ2においては、第1押圧体23と第2押圧体24のそれぞれの押圧力が第2回路接続部材113の第2電線側接続部113aと第1回路接続部材112の第1電線側接続部112aとに対して直接的に伝わると、第1回路接続部材112と第2回路接続部材113からノイズ低減素子11に対して直接的に配列方向の押圧力が作用する。これに伴い、このノイズフィルタ2においては、第1回路接続部材112がガイド機構30の作用によってノイズ低減素子11に押し付けられ、かつ、第2回路接続部材113がガイド機構30の作用によってノイズ低減素子11に押し付けられる。
【0093】
従って、このノイズフィルタ2においては、第1筐体部材121と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、第1回路接続部材112の第1素子側接続部112aとノイズ低減素子11の第1素子接続体11aとの間を直接的に電気接続させることができるので、その第1素子接続体11aに対して第1電線WE1の中間接続部WEa1を間接的に電気接続させることができる。更に、このノイズフィルタ2においては、第1筐体部材121と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、第2回路接続部材113の第1素子側接続部113aとノイズ低減素子11の第2素子接続体11bとの間を直接的に電気接続させることができるので、その第2素子接続体11bに対して第2電線WE2の中間接続部WEa2を間接的に電気接続させることができる。
【0094】
更に、このノイズフィルタ2においては、ガイド機構30によって、第1筐体部材121と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、第1回路接続部材112の2つの素子側係止突起112bがノイズ低減素子11を軸線方向で挟み込むことができる。また、このノイズフィルタ2においては、ガイド機構30によって、第1筐体部材121と第2筐体部材22とが嵌合完了状態のときに、第2回路接続部材113の2つの素子側係止突起113bがノイズ低減素子11を軸線方向で挟み込むことができる。従って、このノイズフィルタ2は、ノイズ低減素子11と第1回路接続部材112との間及びノイズ低減素子11と第2回路接続部材113との間の相対的な位置ずれを抑えることができるので、これらの間の通電状態を保ち続けることができる。尚、このノイズフィルタ2においては、図示しないが、第1回路接続部材112に第1回路接続部材12の2つの第2素子側係止突起12cと同様のものを設け、かつ、第2回路接続部材113に第2回路接続部材13の2つの第2素子側係止突起13cと同様のものを設けてもよい。
【0095】
以上示した本変形例のノイズフィルタ2は、実施形態のノイズフィルタ1と同様の効果を得ることができる。更に、本変形例のノイズフィルタ2は、第1回路接続部材112を第1電線WE1の中間接続部WEa1に予め組み付け、かつ、第2回路接続部材113を第2電線WE2の中間接続部WEa2に予め組み付けているので、実施形態のノイズフィルタ1と比較して、フィルタ組付け作業の作業性を向上させることができると共に、配列方向の体格の小型化を図ることができる。また、本変形例のワイヤハーネスWHは、そのようなノイズフィルタ2を具備するものであり、このノイズフィルタ2が得られる効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0096】
1,2 ノイズフィルタ
10,110 フィルタ回路
11 ノイズ低減素子
11a 第1素子接続体(第1接続部)
11b 第2素子接続体(第2接続部)
12 第1回路接続部材
12a 第1素子側接続部
12a 第1電線側接続部
12b 第1素子側係止突起(素子側係止突起)
12d 電線側係止突起
13 第2回路接続部材
13a 第2素子側接続部
13a 第2電線側接続部
13b 第1素子側係止突起(素子側係止突起)
13d 電線側係止突起
16 第1電線接続部材
17 第2電線接続部材
20,120 筐体
20a 収容室
21,121 第1筐体部材
22 第2筐体部材
23 第1押圧体
24 第2押圧体
112 第1回路接続部材
112a 第1素子側接続部
112a 第1電線側接続部
112b 素子側係止突起
113 第2回路接続部材
113a 第2素子側接続部
113a 第2電線側接続部
113b 素子側係止突起
WE1 第1電線
WEa1 中間接続部
WE2 第2電線
WEa2 中間接続部
WEa 芯線
WH ワイヤハーネス
WT 幹線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17