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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】複合レーザビームスプリッタ摘出装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/26 20060101AFI20220711BHJP
   A61B 17/221 20060101ALN20220711BHJP
【FI】
A61B18/26
A61B17/221
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018192471
(22)【出願日】2018-10-11
(65)【公開番号】P2019076702
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2019-11-11
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】15/792,071
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カート・ジー・シェルトン
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】井上 哲男
【審判官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0154378(US,A1)
【文献】特表2013-513430(JP,A)
【文献】国際公開第2009/108950(WO,A2)
【文献】米国特許第7344528(US,B1)
【文献】特開昭56-23943(JP,A)
【文献】特開平11-276499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/20-18/26
A61B 17/221
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用装置であって、
シースと、
前記シースの端部から延びるように構成されたレーザファイバと、
可撓性部材を含むバスケット部であって、前記可撓性部材の少なくとも一部分が、前記シースと前記レーザファイバとの間にある、バスケット部と、
前記レーザファイバに連結されたレーザビームスプリッタであって、前記レーザビームスプリッタが、前記レーザファイバによって供給されたレーザビームから離散レーザビームのアレイを作成するように構成された、レーザビームスプリッタと、
を備え、
前記シース及び前記可撓性部材は、前記レーザビームスプリッタの端部と前記可撓性部材との間の空間に石断片を捕捉するように互いに対して長手方向に移動可能である医療用装置。
【請求項2】
前記レーザファイバが、前記シースに対して長手方向に移動可能である、請求項1に記載の医療用装置。
【請求項3】
前記レーザファイバが、前記シースと実質的に同心である、請求項1に記載の医療用装置。
【請求項4】
前記可撓性部材が前方位置に動かされるとき、前記バスケット部は開放構成にある、請求項1に記載の医療用装置。
【請求項5】
前記可撓性部材が後方位置に動かされるとき、前記バスケット部は潰れた構成にある、請求項1に記載の医療用装置。
【請求項6】
前記レーザファイバと前記可撓性部材との間にチャネルを更に備え、かつ前記レーザファイバが、前記可撓性部材に対して長手方向に移動可能である、請求項1に記載の医療用装置。
【請求項7】
前記レーザビームスプリッタが、融接によって前記レーザファイバに連結されている、請求項1に記載の医療用装置。
【請求項8】
前記レーザビームスプリッタが、接着剤によって前記レーザファイバに連結されている、請求項1に記載の医療用装置。
【請求項9】
前記レーザファイバ及び前記レーザビームスプリッタが、前記バスケット部の前記可撓性部材に対して移動可能である、請求項1に記載の医療用装置。
【請求項10】
方法であって、
シースを提供することと、
前記シースの端部からレーザファイバを延ばすことと、
バスケット部を前記シースと前記レーザファイバとの間に摺動可能に接続することであって、前記バスケット部が可撓性部材を含み、かつ前記可撓性部材の少なくとも一部分が、前記シースと前記レーザファイバとの間にある、接続することと、
レーザビームスプリッタを前記レーザファイバに連結することと、
を含み、
前記シース及び前記可撓性部材は、前記レーザビームスプリッタの端部と前記可撓性部材との間の空間に石断片を捕捉するように互いに対して長手方向に移動可能であり、
前記レーザビームスプリッタが、前記レーザファイバによって供給されたレーザビームから離散レーザビームのアレイを作成するように構成されている、方法。
【請求項11】
前記レーザファイバが、前記シースに対して長手方向に移動可能である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記レーザファイバが、前記シースと実質的に同心である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記可撓性部材が前方位置に動かされるとき、前記バスケット部は開放構成にある、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記可撓性部材が後方位置に動かされるとき、前記バスケット部は潰れた構成にある、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記レーザファイバと前記可撓性部材との間にチャネルを更に備え、かつ前記レーザファイバが、前記可撓性部材に対して長手方向に移動可能である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記レーザビームスプリッタが、融接によって前記レーザファイバに連結されている、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記レーザビームスプリッタが、接着剤によって前記レーザファイバに連結されている、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記レーザファイバ及び前記レーザビームスプリッタが、前記バスケット部の前記可撓性部材に対して移動可能である、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用装置に関し、より具体的には、複合レーザビームスプリッタ摘出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性尿管鏡レーザ砕石手術では、より外傷を与えずに患者から結石を除去することができるように結石のサイズを縮小する目的のために、直接可視化下でレーザファイバを結石に近接させる。結石の物理的特性及び患者の解剖学的構造における結石の位置に応じた異なるレーザパラメータの設定が、結石を切断するのに最適である。現在市販されているレーザは、パルス当たり0.2ジュール未満のエネルギー又は5kW未満のパルスピーク電力を送達しない。これらの最低設定であっても、この手術によって、小さな断片が後方突進を受け、レーザファイバがその断片に近すぎる場合、後方突進により組織が著しく損傷され得ることになる。後方突進は、結石を破断するために使用されているエネルギー源から離れて結石が動くことである。
【0003】
患者に対しては、医師が尿管鏡及びレーザファイバを結石断片の近位に維持するように操作するのにより長い時間がかかる処置に患者が曝され、レーザエネルギーへのそれぞれの不慮の組織曝露が損傷を与えるため、患者がより多くの組織傷害に曝されることになる。
【0004】
レーザファイバは、通常、内視鏡が腎臓の全領域にアクセスするのに十分に曲がるのを妨げることがないように、適度に可撓性である。またレーザファイバは、通常、はっきりとした視野を保つために必要な潅注を制限する程、内視鏡作業チャネルの大部分を占めない。これらの理由で、可撓性砕石術で使用されるレーザファイバは、通常、272μm以下であるコアを有し、外径が約400~500μmの範囲である。ファイバの表面では、レーザは、直径約272μmであってよい。
【0005】
可撓性尿管鏡砕石術によって治療される典型的な結石のサイズは、直径約5~20mmの範囲であり、球状形をとる。したがって、医師は、結石の表面にわたって0.272mmのレーザファイバを移動させるために様々な技法を展開する。より大きな結石の場合、医師がこれを行うのに15分~1時間以上かかり得る。結石は、石摘出バスケットのような摘出装置によって除去される場合、およそ3mmの断片、又は患者の体内に残され、通常の解剖学的泌尿器系の洗浄プロセスによって流し出される場合、およそ1.5mm未満に縮小されなければならない。上述のように、結石を許容されるサイズに縮小するためにかかる時間の量は、レーザファイバ及び内視鏡を結石及びそのより大きな断片の近位に維持する医師の技量、特定の石の機械的特性、並びに配備されるレーザパラメータの大きさに基づいて変化する。
【0006】
結石に対して使用されるエネルギー又はピーク電力が大きければ大きいほど、結石はより容易に砕けて断片になるが、それらの断片が大きくなる可能性がより高くなり、医師がそれらの断片を「追跡する」必要がある相当の後方突進を受け、したがってより時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、改善された信頼できる医療用装置の構成を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に従い、医療用装置が開示されている。医療用装置は、シース、レーザファイバ、バスケット部、及びレーザビームスプリッタを含む。レーザファイバは、シースの端部から延びるように構成されている。バスケット部は、可撓性部材を含む。可撓性部材の少なくとも一部分は、シースとレーザファイバとの間にある。レーザビームスプリッタは、レーザファイバに連結されている。
【0009】
本発明の別の態様に従い、方法が開示される。シースが設けられている。レーザファイバは、シースの端部から延びている。バスケット部は、シースとレーザファイバとの間に摺動可能に接続されている。バスケット部は、可撓性部材を含む。可撓性部材の少なくとも一部分は、シースとレーザファイバとの間にある。レーザビームスプリッタは、レーザファイバに連結されている。
【0010】
本発明の前述の態様及び他の特徴は、添付図面に関連し、以降の説明で明白にされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の特徴を組み込む摘出装置の部分断面図である。
図2図1に示す摘出装置のシースを通る断面図である。
図3図1に示す摘出装置のレーザファイバを通る断面図である。
図4】本発明の特徴を組み込む摘出装置の別の実施形態である。
図4A図4に示す摘出装置のビームスプレッダの代替実施例である。
図4B図4に示す摘出装置のビームスプレッダの代替実施例である。
図4C図4に示す摘出装置のビームスプレッダの代替実施例である。
図4D図4に示す摘出装置のビームスプレッダの代替実施例である。
図5図4のレーザファイバとビームスプレッダとの間の代替連結実施形態である。
図6図1図4に示す摘出装置のバスケット部の代替実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、本発明の特徴を組み込む摘出装置10の部分断面図が示されている。本発明は、図面に示される例示の実施形態の参照によって説明されるが、本発明は、実施形態の多くの代替形態で具体化され得ることを理解されたい。更に、要素又は物質の、任意の好適なサイズ、形状又はタイプを使用することができる。
【0013】
摘出装置10は、バスケット部12、シース14、及びレーザファイバ16を備える。バスケット部12は、摘出装置10の遠位端から延びるように構成された複数の可撓性部材18を含む。シース14及び可撓性部材18は、バスケット部をシース14に対して前方位置(バスケット部12を開くため)と後方位置(バスケット部12を閉じるため)との間で移動させるように、互いに対して長手方向に移動可能である(矢印20を参照)。様々な例示の実施形態によれば、バスケット部12を移動させるための制御ワイヤが、可撓性部材18の端部に接続され得るが、代替実施形態では、バスケット部を移動させるための任意の適切な構成が提供されてもよい。図1は、バスケット部12が開き、シース14の前端開口部22から外に位置するように、シース14に対して前方に(前方位置に)移動された可撓性部材18を示す。後方位置では、バスケット部12は、バスケット部は、シース14によってより小さな形状に潰されて(及び閉じられて)シース14の内側に適合するように、シース14の内側に位置する。
【0014】
レーザファイバ16は、複数の個々のコアファイバ24を含み、摘出装置10の遠位端から延びるように構成されている。レーザファイバ16は、シース14(及び可撓性部材18)に対して長手方向に移動可能であり(矢印26を参照)、それによりレーザファイバ16は、前方及び後方に摺動することができる。図1は、シース14の前端開口部22から外に位置するレーザファイバを示す。個々のコアファイバ24は、開口部22から延びる端部においてほつれ、レーザファイバの反対端で融合されてもよい。コアファイバのほつれた端部28は、レーザビームを複数の方向に向けることを可能にする。更に、レーザファイバ16は、バスケット部12の可撓性部材18の間のチャネル29内に配設され、ここでレーザファイバは、シース14と実質的に同心であり、それにより可撓性部材18は、レーザファイバ16とシース14との間にある(図2を参照)。例えば、いくつかの例示の実施形態では、レーザファイバの直径は、約0.5mmであってよく、可撓性部材の各々の直径は、約0.104mmであってよく、シースの外径は、約1.9~2.0Frであってよい(シースは、約1.9~2.0Fr.カテーテルのサイズ及び形状を含む[すなわち、フレンチスケール又はフレンチゲージシステムで1.9~2.0のサイズを有するカテーテルと同様])。しかしながら、代替実施形態では、任意の適切なサイズのレーザファイバ、可撓性部材、又はシースが提供され得る。
【0015】
ここで図3も参照すると、レーザファイバ16の断面図が示されている。個々のコアファイバ24は、レーザファイバシース30内で束ねられ、一般にコア部分32及びクラッド部分34を含む。様々な例示の実施形態によれば、コア部分32の各々の直径は、約0.08~0.1mmであってもよい。しかしながら、代替実施形態では、任意の適切なサイズのコア部分を設けることができる。
【0016】
ここで図4も参照すると、摘出装置の別の実施形態が示されている。この実施形態では、摘出装置100は、図1に示す摘出装置10と同様に、バスケット部112、シース114、及びレーザファイバ116を備える。しかしながら、この実施形態では、摘出装置100は、レーザビーム回折スプリッタ136を備えている。摘出装置10と同様に、バスケット部112は、摘出装置10の遠位端から延びるように構成された複数の可撓性部材118を含む。シース114及び可撓性部材118は、互いに対して長手方向に移動可能であり、バスケット部をシース114に対して前方位置(バスケット部112を開くため)と後方位置(バスケット部112を閉じるため)との間で移動させる。
【0017】
図4は、摘出装置100が閉じられている(その中に石がない)場合の、レーザビームスプリッタ(又はビームスプレッダ)136を有する複合ニチノール摘出装置及びレーザファイバの一実施形態を示す。この実施形態では、ビームスプリッタ/スプレッダ136は、矩形輪郭を有する。摘出装置100が開いているか、又は石を含む場合、バスケット部分118が水平方向に延び、それによりビームスプリッタ/スプレッダ136の端部と摘出装置の遠位部分との間の空間(寸法Xを参照)が、石断片を捕捉するように大きくなる。
【0018】
この実施形態では、レーザファイバ116は、レーザファイバシース130内に単一のコアファイバ124(例えば、このコアファイバ124は、約0.3mmの直径を有し得る)を含み、摘出装置10の遠位端から延びるように構成されている(しかしながら、代替実施形態では、レーザファイバ116は、コアファイバの束を含み得る)。レーザファイバ116は、バスケット部112の可撓性部材118の間のチャネル129内に配設され、ここでレーザファイバは、シース114と実質的に同心であり、それにより可撓性部材118は、レーザファイバ116とシース114との間にある。レーザファイバ116は、シース114(及び可撓性部材118)に対して長手方向に移動可能であり、それによりレーザファイバ116は、前方及び後方に摺動することができる。また、いくつかの実施形態によれば、レーザビーム回折スプリッタ136は、約1.2mmの長手方向寸法及び約1.5mmの垂直方向寸法を有してよい。しかしながら、代替実施形態では、任意の適切な寸法が提供されてもよい。更に、この実施形態では、レーザビーム回折スプリッタ136は、レーザファイバ116に連結されている。
【0019】
上記実施形態は、矩形輪郭を有するビームスプリッタ/スプレッダ136に関して説明されてきたが、当業者であれば、様々な実施形態が、必ずしもそのように制限される必要はなく、代替実施形態では、他の適切な輪郭形状が提供され得ることを理解するであろうことに留意されたい。例えば、図4Aは、ビームスプリッタ/スプレッダ236が、丸い端部を有する円錐断面を含む、別の実施形態を示す。この構成は、捕捉される摘出装置の異なる形状を収容することができる。図4Bは、ビームスプレッダ336が、レーザファイバを溶融するか、又はハーフボールレンズをレーザファイバ124に接合することによって、レーザファイバ124の端部に丸い膨隆を作成することによって形成される、別の実施形態を示す。球形状により、レーザ光は、直線ファイバよりも大きな表面積にわたって広がる。更に、図4C及び図4Dは、ビームスプレッダ336と同様のビームスプレッダ436及び536を示すが、これらの実施形態では、ビームスプレッダは、レーザファイバの端部において円錐形状(図4Cを参照)又はレーザファイバの端部において丸い/フレア形状(図4Dを参照)のいずれかを含む。更に、他の代替実施形態では、任意の適切な形状が、レーザファイバ124の端部に提供されてもよい。
【0020】
上述のように、レーザビーム回折スプリッタ136は、レーザファイバ116に連結される。ビームスプリッタ/スプレッダ136は、検討中の波長に対して光透過性を有する接着剤、又はガラス融接、又は接合部にわたる熱勾配を最小限に抑えるように接合部を通る光最小化透過損失を最小限に抑える他のガラス対ガラス接着技術を含む様々な方法を使用して、レーザファイバコア及び/又はクラッドに取り付けられ得ることに留意されたい。図4に示す実施形態では、レーザビーム回折スプリッタ136は、融接部138によってレーザファイバ116に連結されている。
【0021】
上記実施形態は、レーザファイバをレーザビーム回折スプリッタに連結するための融接に関して説明されてきたが、当業者であれば、様々な実施形態が、必ずしもそのように制限される必要はなく、代替実施形態では、レーザファイバをレーザビーム回折スプリッタに連結する他の適切な方法が提供され得ることを理解するであろうことに留意されたい。例えば、図5は、金属化接着剤240が、レーザファイバとレーザビーム回折スプリッタ136との間に提供される、代替実施形態を示す。更に、レーザ波長(約1940nm又は約2100nm)に対する真空又は他の低吸収媒体が、レーザファイバとレーザビーム回折スプリッタ136との間に設けられてもよい。
【0022】
例示の実施形態のうちのいずれか1つ以上の技術的効果は、石摘出装置にレーザファイバ及びレーザビーム回折スプリッタ136用のチャネルを提供することによって、従来の構成を越える顕著な利点を提供する。この構成は、ファイバから離れるレーザエネルギーが、結石に穴を開けるか、又はそれを2つ以上の小片に断片化するまで、捕捉した結石90を(図1に示すように)支持する。結石は、摘出装置によって固定化されるため、後方突進の危険性が著しく低減又は排除されるはずである。しかしながら、上述のように、272μm以下のレーザファイバは、通常、結石の表面上を移動して、それを切断する。この構成において、レーザファイバ及び結石の相対位置は、摘出装置によって維持される。
【0023】
レーザビーム回折スプリッタ(又は回折ビームスプリットレンズ)136は、ファイバよりもほんのわずかに大きい直径の単一穴が、捕捉された結石90の中心に形成される起こり得る影響に対処するために、レーザファイバ116の端部(又は摘出装置から突出する管の端部上)に設けられる。様々な例示の実施形態によれば、ビーム回折スプリッタ136は、1つのレーザビームから離散レーザビームのn×nアレイを作成する。各離散ビームの角度は、レンズの回折特性及びその厚さによって調整可能である。この例では、10×10アレイは、1つのレーザビームを100本の個々のビームに分割し、各々が同じ空間電力密度を石90に送達する。各パルスの持続時間は、同じままであるが、100本のビームの各々のピーク電力は、その表面積に比例して一次ビームよりも少ない。このため、一次ビームが、例えば、1パルス当たり4ジュールを送達した場合、100本のビームの各々は、1パルス当たり0.04ジュールを送達することができ、各々が同じパルス持続期間であるが、より低いピーク電力レベルを有し、一次レーザに等しいスポットサイズの100本のレーザを生成するために、標的結石がレンズ136から十分に離れていたと想定する。
【0024】
およそ0.025ジュールより上のエネルギーは、ヒトの結石を切断するために十分であるという証拠と共に、例示の実施形態のうちのいずれか1つ以上の追加の技術的効果が提供される。上記のビーム分割手法は、作用される表面積を著しく増加させ、結石の表面上で小さなレーザファイバを移動させる必要性を低減することができる。更に、10×10アレイは、単なる一例であり、アレイサイズは、レンズ表面と結石との間の媒体における吸収に起因するエネルギー損失に対応するが、依然として切断を引き起こすために十分な強度を送達するように調整され得る。
【0025】
例示の実施形態のうちのいずれかつ1つ以上の更なる技術的効果は、ファイバのバーンバックに良好に対応することができ、かつ改善された耐移行性砕石装置を提供することができる構成を提供する。
【0026】
バスケット部の様々な例示の実施形態は、Cook Medicalによって製造されたNGage(登録商標)又はBoston Scientificによって製造されたDakota(商標)、又はスネアのような石の周囲全体に延在しない他の摘出装置設計と同様の開口構成を含み得ることに留意されたい。例えば、図6に示すように、摘出装置200は、摘出装置10、100(図1、4に示す)と同様であり、同様に、バスケット部212、シース214、及びレーザファイバ216を備える。しかしながら、図6は、上述の開口構成を示し、ここで可撓性部材218は、石90の周囲全体に延在しておらず、代わりに石と係合するための開口バスケットを提供する。図6は、コアファイバの束を有するレーザファイバ216を示しているが(図1と同様)、代替実施形態は、レーザビーム回折スプリッタ(図4と同様)に接続された単一コアファイバを有し得ることにも留意されたい。更に、任意の他の適切なレーザファイバ構成が提供されてもよい。
【0027】
以下に、様々な非限定的な例示の実施形態の更なる説明を提供する。後述の例示の実施形態は、1つ以上の他の態様若しくは例示の実施形態と共に実行され得る。つまり、直下に記載されているとおり、本発明の例示の実施形態は、任意の組み合わせ(例えば、好適、実際的、及び/又は実行可能である任意の組み合わせ)で実装、実行、又は使用され得るが、本明細書に記載されている、及び/又は添付の特許請求の範囲に包含されている組み合わせのみに限定されない。
【0028】
例示の一実施形態では、医療用装置が開示されている。医療用装置は、シースと、シースの端部から延びるように構成されたレーザファイバと、可撓性部材を含むバスケット部であって、可撓性部材の少なくとも一部分が、シースとレーザファイバとの間にあるバスケット部と、レーザファイバに連結されたレーザビームスプリッタと、を備える。
【0029】
上記の医療用装置では、レーザファイバが、シースに対して長手方向に移動可能である。
【0030】
上記の医療用装置では、レーザファイバが、シースと実質的に同心である。
【0031】
上記の医療用装置では、可撓性部材が、シースに対して移動可能である。
【0032】
上記の医療用装置では、可撓性部材が前方位置に動かされるとき、バスケット部が開放構成にある。
【0033】
上記の医療用装置では、可撓性部材が後方位置に動かされるとき、バスケット部は潰れた構成にある。
【0034】
レーザファイバと可撓性部材との間にチャネルを更に備える上記の医療用装置では、レーザファイバが、チャネル内を移動可能である。
【0035】
上記の医療用装置では、レーザビームスプリッタが、融接によってレーザファイバに連結される。
【0036】
上記の医療用装置では、レーザビームスプリッタが、接着剤によってレーザファイバに連結される。
【0037】
上記の医療用装置では、レーザファイバ及びレーザビームスプリッタが、バスケット装置の可撓性部材に対して移動可能である。
【0038】
別の例示の実施形態では、方法が開示されている。この方法は、シースを提供することと、レーザファイバを、シースの端部から延ばすことと、バスケット部をシースとレーザファイバとの間に摺動可能に接続することであって、バスケット部が可撓性部材を含み、可撓性部材の少なくとも一部分がシースとレーザファイバとの間にある、接続することと、レーザビームスプリッタをレーザファイバに連結することと、を含む。
【0039】
上記の方法では、レーザファイバが、シースに対して長手方向に移動可能である。
【0040】
上記の方法では、レーザファイバが、シースと実質的に同心である。
【0041】
上記の方法では、可撓性部材が、シースに対して移動可能である。
【0042】
上記の方法では、可撓性部材が前方位置に動かされるとき、バスケット部は開放構成にある。
【0043】
上記の方法では、可撓性部材が後方位置に動かされるとき、バスケット部が潰れた構成にある。
【0044】
レーザファイバと可撓性部材との間にチャネルを更に備える上記の方法では、レーザファイバが、チャネル内を移動可能である。
【0045】
上記の方法では、レーザビームスプリッタが、融接によってレーザファイバに連結される。
【0046】
上記の方法では、レーザビームスプリッタが、接着剤によってレーザファイバに連結される。
【0047】
上記の方法では、レーザファイバ及びレーザビームスプリッタが、バスケット装置の可撓性部材に対して移動可能である。
【0048】
本発明の構成部品は、操作上で連結又は接続され得ることと、任意の数又は任意の組み合わせの介在要素が存在し得ること(介在要素なしを含む)と、を理解されたい。接続は直接的又は間接的であってよく、更に、構成部品間には単なる機能上の関係が存在するにすぎない場合もある。
【0049】
前述の説明は、あくまでも本発明の例示であることを理解されたい。本発明を逸脱することなく、様々な代替物及び改良例が当業者によって考案され得る。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある、かかるすべての代替物、改良例、及び変形形態を包含することを意図している。
【符号の説明】
【0050】
10 摘出装置
12 バスケット部
14 シース
16 レーザファイバ
18 可撓性部材
20 矢印
22 開口部
24 コアファイバ
26 矢印
28 端部
29 チャネル
30 レーザファイバシース
32 コア部分
34 クラッド部分
90 結石、石
100 摘出装置
112 バスケット部
114 シース
116 レーザファイバ
118 可撓性部材
124 レーザファイバ
129 チャネル
130 レーザファイバシース
136 レーザビーム回折スプリッタ、レーザビームスプリッタ、ビームスプレッダ
138 融接部
200 摘出装置
212 バスケット部
214 シース
216 レーザファイバ
218 可撓性部材
236 スプレッダ
240 金属化接着剤
336 ビームスプレッダ
436 ビームスプレッダ
536 ビームスプレッダ
図1
図2
図3
図4
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6