(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】駐車支援システムおよび駐車支援方法
(51)【国際特許分類】
B60W 50/14 20200101AFI20220711BHJP
B60R 1/27 20220101ALI20220711BHJP
B60W 40/09 20120101ALI20220711BHJP
B60R 99/00 20090101ALN20220711BHJP
【FI】
B60W50/14
B60R1/27
B60W40/09
B60R99/00 340
(21)【出願番号】P 2018218950
(22)【出願日】2018-11-22
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】金森 哲
(72)【発明者】
【氏名】山本 耕太
【審査官】岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-007090(JP,A)
【文献】特開2017-114278(JP,A)
【文献】特開2017-149398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 50/14
B60W 30/06
B60W 40/06
B60W 40/09
B60R 1/27
B60R 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方を撮影するカメラの撮影結果に基づく撮影画像を取得する撮影画像取得部と、
前記車両のステアリング角度を検出するステアリング角度検出部と、
前記車両の運転手が据え切りを好まないことを検出する据え切り関連検出部と、
前記車両が駐車枠に後進して駐車する際、前記撮影画像取得部により取得された前記撮影画像に基づいて、前記車両の後方の風景が所定の態様で記録された風景画像を生成して表示すると共に、前記ステアリング角度検出部により検出されたステアリング角度で前記車両が後進した場合の予測走行軌跡を示す走行軌跡画像を表示する表示制御部とを備え、
前記表示制御部は、
前記据え切り関連検出部により前記運転手が据え切りを好まないことが検出された場合、前記風景画像上に表示された前記走行軌跡画像に関連付けて、前記予測走行軌跡上で前記駐車枠と前記車両の車体とが平行になる位置を示す画像を表示する
ことを特徴とする駐車支援システム。
【請求項2】
前記据え切り関連検出部は、過去の駐車時の走行履歴に基づいて前記運転手が据え切りを好まないことを検出することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記風景画像として、前記撮影画像について俯瞰視に視点変換した俯瞰画像を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の駐車支援システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記予測走行軌跡上で前記駐車枠と前記車両の車体とが平行になる位置を示す画像として、前記俯瞰画像によって表される風景の中で、前記駐車枠と前記車両の車体とが平行になる位置となるときの前記車両の前後方向の位置を示す要素、および、前記車両の幅方向の位置を示す要素を有する図形の画像を表示することを特徴とする請求項3に記載の駐車支援システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記風景画像として、車外の風景を立体的に表す車外画像を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の駐車支援システム。
【請求項6】
駐車支援システムの据え切り関連検出部が、車両の運転手が据え切りを好まないことを検出する第1のステップと、
前記駐車支援システムの表示制御部が、前記車両が駐車枠に後進して駐車する際、車両の後方を撮影するカメラの撮影結果に基づく撮影画像に基づいて、前記車両の後方の風景が所定の態様で記録された風景画像を生成して表示すると共に、現時点のステアリング角度で前記車両が後進した場合の予測走行軌跡を示す走行軌跡画像を表示する第2のステップとを含み、
前記第2のステップにおいて、前記表示制御部は、前記第1のステップで前記据え切り関連検出部により前記運転手が据え切りを好まないことが検出された場合、前記風景画像上に表示された前記走行軌跡画像に関連付けて、前記予測走行軌跡上で前記駐車枠と前記車両の車体とが平行になる位置を示す画像を表示する
ことを特徴とする駐車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車を支援する駐車支援システムおよび駐車支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の駐車を支援するシステムにおいて、車両の現在位置から目標とする駐車位置までの経路を算出し、算出した経路を自動運転により走行させ、車両を自動で駐車させるシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、車両の現在位置から目標とする駐車位置までの経路の算出に際して、運転手が据え切りを好むか否かを反映した経路を算出する技術が記載されている。この技術によれば、運転手が据え切りを好まない場合は、据え切りを伴わない経路で自動運転が行われるため、据え切りを好まないという運転手の嗜好を反映した態様で車両が自動走行することになり、運転手の快適性を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、駐車を支援するシステムには、特許文献1のように車両の現在位置から目標とする駐車位置までの経路を算出し、算出した経路を利用して駐車を支援するのではなく、経路の算出は行わず、予想走行軌跡を示す画像を表示装置に表示することによって駐車を支援するものが存在する。このようなシステムでは、運転手は、表示された予測走行軌跡を示す画像を参考にした上で、自由に車両を運転することができるため、運転手の自由度が高く、また、経路を算出する処理が必要ない分、システムの処理負荷が小さい。
【0005】
上記システムのように、予想走行軌跡を示す画像を表示装置に表示することによって駐車を支援するものにおいて、特許文献1のように、据え切りを好まないという運転手の嗜好を反映して駐車の支援をすることができれば、特許文献1と同様、運転手の快適性を向上できるものと想定される。しかしながら、このような技術は存在しなかった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、予想走行軌跡を示す画像を表示装置に表示することによって駐車を支援するシステムにおいて、運転手が据え切りを好まない場合に、据え切りを好まないという嗜好を反映した適切な方法で駐車の支援を行って運転手の快適性を向上させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明では、運転手が車両を運転して駐車枠に車両を駐車させる際、運転手が据え切りを好まない場合には、車両の後方の風景を表す風景画像上に表示した走行軌跡画像に関連付けて、予測走行軌跡上で駐車枠と車両の車体とが平行になる位置を示す画像を表示するようにしている。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成した本発明によれば、据え切りを好まない運転手は、表示された画像を参照することにより、現在のステアリング角度で車両を後進させた場合、どの辺りで車両の車体と駐車枠とが平行になるのかを認識することができ、この認識に基づいて随時ステアリング角度を調整しつつ車両を後進させることによって、据え切りを伴わずに車両を駐車枠に駐車させることができる。つまり、本発明によれば、予想走行軌跡を示す画像を表示装置に表示することによって駐車を支援するシステムにおいて、運転手が据え切りを好まない場合に、据え切りを好まないという嗜好を反映した適切な方法で駐車の支援を行って運転手の快適性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る駐車支援システムの機能構成例を示すブロック図である。
【
図2】車両が駐車枠に駐車するときの態様の説明に用いる図である。
【
図5】運転手によるステアリング角度の調整によって俯瞰画面の内容が変化する様子を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る駐車支援システムの車載装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る駐車支援システム1の機能構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、駐車支援システム1は車載装置2を備えている。車載装置2は、車両に搭載された装置であり、後述する手法で運転手による駐車を支援する機能を有している。なお、車載装置2は、車両に固定的に設置された装置である必要はなく、運転手等により車両内に持ち込まれて使用される装置であってもよい。例えば、いわゆるカーナビゲーション装置や、運転手等が車両内に持ち込むモバイル端末を本実施形態に係る車載装置2として機能させることができる。以下、車載装置2が搭載されている車両を「自車両」という。
図1に示すように、車載装置2には、タッチスクリーン3およびリアカメラ4(特許請求の範囲の「カメラ」に相当)が接続されている。
【0011】
タッチスクリーン3は、液晶表示パネル等の表示パネルと、表示パネルに重ねて配置され、運転手等によるタッチ操作を検出するタッチパネルとを含んで構成される。タッチスクリーン3は、自車両のダッシュボードや、センターコンソール等、運転手が視認可能かつタッチ操作可能な位置に設けられている。
【0012】
リアカメラ4は、自車両の後部に設けられ、自車両の後方を撮影する撮影装置である。本実施形態では、リアカメラ4は、魚眼レンズを有する魚眼カメラによって構成されている。リアカメラ4は、動作モードが駐車支援モード(後述)の間、所定の周期で撮影を実行し、撮影結果に基づく撮影画像を所定の周期で出力する。
【0013】
車載装置2は、運転手が車両を後進させて駐車させる際に、動作モードが駐車支援モードとなると、後に詳述する駐車支援画面5をタッチスクリーン3に表示する。駐車支援モードへの移行は、運転手による明示的な指示によって行われるようにしてもよく、また、自車両のギアがリーバスになったこと等の所定の事象をトリガとして自動的に行われるようにしてもよい。以下、車載装置2の機能構成および処理について詳述する。
【0014】
図1に示すように、車載装置2は、機能構成として、撮影画像取得部10、ステアリング角度検出部11、据え切り関連検出部12および表示制御部13を備えている。上記各機能ブロック10~13は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック10~13は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0015】
撮影画像取得部10は、動作モードが駐車支援モードの間、リアカメラ4が所定の周期で出力する撮影画像を入力し、取得する。撮影画像取得部10は、所定の周期で入力する撮影画像を、表示制御部13に所定の周期で出力する。
【0016】
ステアリング角度検出部11は、自車両のステアリング角度を監視するコントローラ(例えば、ステアリングECU)に接続されており、動作モードが駐車支援モードの間、当該コントローラと通信して自車両の現在のステアリング角度を所定の周期で検出する。ステアリング角度検出部11は、ステアリング角度を示す情報を所定の周期で表示制御部13に出力する。
【0017】
据え切り関連検出部12は、動作モードが駐車支援モードに移行したときに、自車両の運転手が据え切りを好まないことを検出する。本実施形態では、据え切りとは、バック駐車に際して、自車両をステアリング角度が0°の状態で真っ直ぐ後進させれば駐車枠に駐車できる位置に自車両が位置したときに、運転手が、ステアリング角度を0°とすることを目的として、自車両を停車させたままハンドルを回転させることを意味する。
【0018】
据え切り関連検出部12の処理について詳述すると、車載装置2の所定の記憶領域には、バック駐車ログデータが記憶されている。バック駐車ログデータには、過去の所定の期間においてバック駐車が行われた回数と、バック駐車において据え切りが行われた回数とが記録されている。据え切り関連検出部12は、図示しない車載コントローラ(ECU等)や、センサ等から自車両の走行に関する必要な情報を取得し、バック駐車が行われたこと、および、バック駐車において据え切りが行われた場合にはそのことを検出し、検出結果に基づいて適宜バック駐車ログデータの内容を更新する。
【0019】
据え切り関連検出部12は、動作モードが駐車支援モードに移行したことを検出した場合、バック駐車ログデータを参照し、「バック駐車が行われた回数」に対する「バック駐車において据え切りが行われた回数」の割合を算出する。据え切り関連検出部12は、算出した割合が予め定められた閾値よりも小さい場合、自車両の運転手が据え切りを好まないことを検出する。なお、後に明らかとなるように、動作モードが駐車支援モードの場合において、据え切りを好まないことが検出された場合には、据え切りを伴わない走行ができるような支援がなされるが、車載装置2の支援の態様にかかわらず、据え切りを好む運転手は据え切りを行い、据え切りを好まない運転手は据え切りを行わない傾向があると想定されるため、バック駐車ログデータを用いた上記方法により、運転手が据え切りを好まないことを有効に検出できる。
【0020】
なお、本実施形態では、据え切り関連検出部12は、過去の駐車時の走行履歴に基づいて運転手が据え切りを好まないことを検出するが、据え切りを好まないかどうかを運転手が事前に設定する構成でもよい。
【0021】
表示制御部13は、動作モードが駐車支援モードの間、駐車支援画面5をタッチスクリーン3に表示することによって運転手による駐車を支援する。以下、
図2を用いて説明する以下の態様で自車両の駐車が行われるものとして、表示制御部13の処理について詳述する。
【0022】
図2は、自車両が駐車するときの態様の説明に用いる図である。本例では、自車両は、白線(
図2では便宜上、白線を黒色で描画している)で区切られた長方形の駐車枠が複数並んで形成された駐車場において、駐車枠の1つである駐車枠WK1に後進して駐車(いわゆるバック駐車)されるものとする。駐車枠WK1は、2本の対向する長辺LTと、2本の対向する短辺STとを有しており、2本の長辺LTと2本の短辺STとで囲まれた領域に駐車スペースが形成されている。
図2を参照し、駐車枠WK1について、矢印Y1に向かう向きを「駐車枠前方」といい、矢印Y2に向かう向きを「駐車枠後方」という。駐車枠前方および駐車枠後方は共に長辺LTに平行である。
【0023】
図2に示すように、本実施形態では、駐車枠WK1の駐車枠前方に対して右寄りの位置P1で停止している自車両が所定の態様で後方に向かって後進し、位置P2(駐車枠WK1内の駐車スペースにおいて駐車する位置)で停車するものとする。なお、本実施形態では、自車両の位置を、左右の後輪の中央の位置によって表す。また、位置P1に至った後、自車両が後進する前の所定のタイミングで、動作モードが駐車支援モードへと移行するものとする。
【0024】
さて、表示制御部13は、動作モードが駐車支援モードの場合、所定の周期で、撮影画像取得部10から撮影画像を入力し、ステアリング角度検出部11から自車両の現在のステアリング角度を示す情報を入力する。表示制御部13は、入力した撮影画像およびステアリング角度に係る情報に基づいて、駐車支援画面5をタッチスクリーン3に表示する。表示制御部13は、据え切り関連検出部12により運転手が据え切りを好まないことが検出された場合(「ケースC1」とする)と、検出されなかった場合(「ケースC2」とする)とで異なる態様で駐車支援画面5を表示する。以下、ケースC1、ケースC2のそれぞれについて、表示制御部13の処理を詳述する。
【0025】
<ケースC1>
まず、ケースC1(据え切り関連検出部12により据え切りを好まないことが検出された場合)の表示制御部13の処理について説明する。
図3は、ケースC1において、タッチスクリーン3の表示領域に表示された駐車支援画面5の一例を示す図である。
図3に示すように、駐車支援画面5は、タッチスクリーン3の表示領域の右部に表示された俯瞰画面15と、タッチスクリーン3の表示領域の左部に表示された車外画面16とを有する。
【0026】
俯瞰画面15の下部には、自車両の後方に向かう方向が、画面の下に向かった状態で俯瞰画像17(特許請求の範囲の「風景画像」に相当)が表示される。俯瞰画像17は、撮影画像について俯瞰視に視点変換した画像である。すなわち、俯瞰画像17は、自車両の後方の一定の領域を俯瞰視した画像である。俯瞰画像17の上方には、自車両を表す自車両マーク18が表示される。自車両マーク18は、自車両を俯瞰視した姿を模したマークである。例えば、表示制御部13は、所定の周期で入力する撮影画像について、事前に用意されたルックアップテーブルを用いた画像処理を施すことによって俯瞰視に視点変換した後、サイズ調整や解像度調整等の必要な画像処理を行って俯瞰画像17を生成し、生成した俯瞰画像17を俯瞰画面15の所定の位置に表示する。この結果、リアカメラ4の撮影結果がリアルタイムで反映された動画として俯瞰画像17が表示される。
【0027】
車外画面16には、リアカメラ4の撮影結果に基づいて、自車両の後方に向かう方向が画面の上に向かった状態で、車外画像19(特許請求の範囲の「風景画像」に相当)が表示される。車外画像19は、撮影画像について、リアカメラ4の視点が維持されつつ魚眼レンズに由来する歪みが補正され、魚眼レンズではない通常レンズを用いた中心射影方式の撮影装置の撮影結果に基づく画像のようになされた画像である。例えば、表示制御部13は、所定の周期で入力する撮影画像に対して、事前に用意されたルックアップテーブルを用いた歪み補正や、サイズ調整、解像度調整等の必要な画像処理を行って車外画像19を生成し、車外画面16の所定の位置に表示する。この結果、リアカメラ4の撮影結果がリアルタイムで反映された動画として車外画像19が表示される。
【0028】
図3に示すように、表示制御部13は、俯瞰画面15の俯瞰画像17に重畳して第1走行軌跡画像20を表示し、車外画面16の車外画像19に重畳して第2走行軌跡画像21を表示する。第1走行軌跡画像20および第2走行軌跡画像21は、特許請求の範囲の「走行軌跡画像」に相当する。以下の説明では、第1走行軌跡画像20および第2走行軌跡画像21を総称して「走行軌跡画像」という場合がある。
【0029】
第1走行軌跡画像20は、俯瞰画面15に表示された自車両マーク18によって表される自車両の幅だけ離間して配置された2本の線からなる画像である。第1走行軌跡画像20は、自車両マーク18によって表される自車両が、俯瞰画像17によって表される領域を後進したとしたときに、自車両が通過する経路(車体分の幅を持った経路)を表している。
【0030】
表示制御部13は、第1走行軌跡画像20として、現時点のステアリング角度を維持しつつ、自車両が後進した場合の予測走行軌跡を示す画像を表示する。より具体的には、表示制御部13は、各周期で表示する第1走行軌跡画像20として、各周期でステアリング角度検出部11から入力する情報が示すステアリング角度で自車両が後進した場合の予測走行軌跡を示す画像を表示する。本実施形態では、ステアリング角度ごとに第1走行軌跡画像20の画像データが予め用意されている。表示制御部13は、ステアリング角度検出部11から情報を入力する度に、入力した情報が示すステアリング角度に対応する画像データを選択し、選択した画像データに基づいて第1走行軌跡画像20を表示する。
【0031】
第2走行軌跡画像21は、車外画面16の車外画像19によって表される奥行きを持った立体的な景色の中で、自車両の幅を表す2本の線と、2本の線の終端で2本の線を接続する1本の線とにより表現された画像である。第2走行軌跡画像21は、車外画面16の車外画像19によって表される奥行きを持った立体的な景色の中で、自車両が後進したとしたときに自車両が通過する経路(車体分の幅を持った経路。ただし、一定の距離分の経路)を表している。
【0032】
表示制御部13は、第2走行軌跡画像21として、現時点のステアリング角度を維持しつつ自車両が後進した場合の予測走行軌跡を示す画像を表示する。より具体的には、表示制御部13は、各周期で表示する第2走行軌跡画像21として、各周期でステアリング角度検出部11から入力する情報が示すステアリング角度で自車両が後進した場合の予測走行軌跡を示す画像を表示する。第1走行軌跡画像20と同様、ステアリング角度ごとに第2走行軌跡画像21の画像データが予め用意されており、表示制御部13は、現時点のステアリング角度に対応する画像データを選択し、選択した画像データに基づいて第2走行軌跡画像21を表示する。
【0033】
更に、表示制御部13は、俯瞰画像17に重畳する第1走行軌跡画像20に関連付けて、平行位置明示画像23(特許請求の範囲の「予測走行軌跡上で駐車枠と車両の車体とが平行になる位置を示す画像」に相当)を表示する。詳述すると、平行位置明示画像23は、第1走行軌跡画像20によって表される予測走行軌跡上で、駐車枠WK1と自車両の車体とが平行になるときの、自車両の位置を示す画像である。つまり、仮に自車両が第1走行軌跡画像20によって表される予測走行軌跡に従って走行した場合、自車両が平行位置明示画像23に対応する位置に位置したときに、自車両の車体と駐車枠WK1とが平行となる。なお、自車両の車体と駐車枠WK1とが平行となるとは、自車両の車体の長手方向(前後方向)と、駐車枠WK1の長辺LTとが平行となることを意味する。また、上述したように、本実施形態では、自車両の位置は、左右の後輪の中央の位置によって表されるものであり、平行位置明示画像23によって表される自車両の位置は、自車両の後端部の位置である。
【0034】
表示制御部13は、俯瞰画像17について白線検出、障害物検出を含む画像認識処理を行って、駐車の対象となる駐車枠(本例では駐車枠WK1)を特定する。なお、駐車枠WK1の特定に際し、リアカメラ4以外のカメラや、レーダ装置等のカメラ以外のセンサを利用してもよいことは勿論である。また、タッチスクリーン3に対するタッチ操作を通じて、駐車枠WK1の領域を運転手に入力させる構成でもよい。次いで、表示制御部13は、画像認識処理により、駐車枠WK1の長辺TLが延在する方向(以下、「長辺延在方向」という。本例では、「駐車枠前方-駐車枠後方」方向)を特定する。
【0035】
次いで、表示制御部13は、第1走行軌跡画像20によって表される予測走行軌跡に従って自車両が走行した場合において、自車両の車体の方向と長辺延在方向とが平行となる位置を特定する。例えば、表示制御部13は、所定の座標系における長辺延在方向を認識すると共に、当該所定の座標系に予想走行軌跡を表す曲線を展開し、当該曲線において当該曲線の接線の傾きが長辺延在方向と一致する点を特定し、特定した点に対応する位置を、自車両の車体の方向と長辺延在方向とが平行となる位置(=自車両の車体と駐車枠WK1とが平行となる位置)として特定する。
【0036】
次いで、表示制御部13は、第1走行軌跡画像20における、特定した「自車両の車体と駐車枠WK1とが平行となる位置」に対応する位置に平行位置明示画像23を表示する。
図4(A)は、平行位置明示画像23を拡大した図を、自車両が「自車両の車体と駐車枠WK1とが平行となる位置」に位置したときの自車両マーク18と共に示した図である。
図3、
図4(A)に示すように、平行位置明示画像23は、予測走行軌跡上で自車両が位置する側が開いたコの字状の図形である。より詳細には、
図4(A)に示すように、平行位置明示画像23は、第1走行軌跡画像20に交わるように延在する第1線分24と、第1線分24の両端から第1走行軌跡画像20に沿うように予測走行軌跡上で自車両が位置する側に向かって延在する一対の第2線分25とを有する。一対の第2線分25の先端は、「自車両の車体と駐車枠WK1とが平行となる位置」に自車両が位置したときの「左右の後輪の中央の位置」(
図4(A)の符号P3)を示しており、第1線分24は、「自車両の車体と駐車枠WK1とが平行となる位置」に自車両が位置したときの自車両の後端の位置を示している。
【0037】
以上がケースC1において平行位置明示画像23を表示するときの表示制御部13の処理である。以上の態様で、平行位置明示画像23が表示されるため、据え切りを好まない運転手は、平行位置明示画像23を参照することにより、現在のステアリング角度で自車両を後進させた場合、どの辺りで自車両の車体と駐車枠とが平行になるのかを認識することができ、この認識に基づいて随時ステアリング角度を調整しつつ車両を後進させることによって、据え切りを伴わずに車両を駐車枠に駐車させることができる。
【0038】
詳述すると、基本的には、ステアリング角度によって規定される予想走行軌跡に従って車両を走行させた場合に、自車両が駐車位置(
図2の位置P2)に位置したときに、自車両の車体と駐車枠WK1とが平行になるようにすれば、据え切りを伴うことなく自車両を駐車させることができる。駐車枠WK1の駐車枠前方で自車両を停車させ、据え切りを行った後、自車両を真っ直ぐ後進させるという過程がないからである。これを踏まえ、まず、運転手は、俯瞰画面15の第1走行軌跡画像20と、この第1走行軌跡画像20に関連付けて表示された平行位置明示画像23とを参照することにより、現時点のステアリング角度を維持しつつ自車両を後進させた場合に自車両が辿る軌跡、および、その場合に自車両と駐車枠WK1とが平行になる位置を認識できる。
【0039】
その上で、運転手は、当該認識に基づいて、自車両が駐車位置(
図2の位置P2)に位置したときに自車両の車体と駐車枠WK1とが平行になるように、自車両を後進させつつステアリング角度を調整することができる。
図5は、自車両が所定の位置に位置しているときに運転手がステアリング角度を調整した場合に、俯瞰画面15の内容が変化する様子を示す図であり、
図5(A)、(B)、(C)の各図は俯瞰画面15を示している。
【0040】
俯瞰画面15の内容が
図5(A)で示す内容の場合、運転手は、俯瞰画面15を参照することにより、第1走行軌跡画像20が示す予測走行軌跡に沿って車両を走行させた場合、駐車位置よりも駐車枠前方で自車両の車体と駐車枠WK1とが平行になることを認識できる。この場合、据え切りが必要になる(または据え切りが必要になる可能性がある)ため、据え切りを好まない運転手にとっては、第1走行軌跡画像20が示す予測走行軌跡は適切な軌跡ではない。
【0041】
このため、運転手が、ステアリングが反時計回りに変移するようにハンドルを回転させる(ハンドルを戻す)と、
図5(B)に示すように、ステアリング角度に応じて第1走行軌跡画像20の態様が変化し、更に、自車両マーク18から離れるように平行位置明示画像23が移動する。運転手は、自車両を後進させつつ、適宜ステアリング角度を調整して、ステアリング角度を適切な角度とすることによって、平行位置明示画像23が駐車位置に対応する位置に位置した状態とすることができ、更に、この状態となったときの第1走行軌跡画像20が示す予測走行軌跡に沿って車両を走行させた場合、据え切りを伴うことなく自車両を駐車枠WK1に駐車できることを認識できる。以上のようなステアリング角度の調整は、自車両の後進中に適宜行われる。
【0042】
なお、駐車位置に対応する平行位置明示画像23の位置とは、本実施形態では、
図4(B)に示すように、駐車枠WK1の後端部において、第1線分24が駐車枠WK1の短辺STに沿い、かつ、一対の第2線分25が一対の長辺LTに沿うように延在する位置である。平行位置明示画像23が、第1線分24と一対の第2線分25とを有するコの字状の形状をしているため、運転手は、第1線分24と駐車枠WK1の短辺STとの位置関係、および、一対の第2線分25と駐車枠WK1の一対の長辺LTとの位置関係に基づいて、平行位置明示画像23が、駐車位置に対応する位置に適切に位置しているかどうかを認識しやすい。また、運転手は、第1線分24に基づいて自車両の前後方向の位置を調整し、かつ、第2線分25に基づいて自車両の幅方向(左右方向)の位置を調整しつつ、平行位置明示画像23のスペースの部分に自車両の後端部を嵌め込むようなイメージをもって自車両を運転させればよく、運転手にとって利便性が高い。
【0043】
なお、平行位置明示画像23について、第1線分24は、特許請求の範囲の「駐車枠と車両の車体とが平行になる位置となるときの車両の前後方向の位置を示す要素」に相当し、一対の第2線分25は、「車両の幅方向の位置を示す要素」に相当する。
【0044】
なお、仮に、俯瞰画面15の内容が
図5(A)で示す内容のときに、運転手が、ステアリングが時計回りに変移するようにハンドルを回転させる(ハンドルを切る)と、
図5(C)に示すように、ステアリング角度に応じて第1走行軌跡画像20の態様が変化し、更に、自車両マーク18に近づくように平行位置明示画像23が移動する。
【0045】
<ケースC2>
次に、ケースC2(据え切り関連検出部12により運転手が据え切りを好まないことが検出されなかった場合)の表示制御部13の処理について説明する。ケースC2では、表示制御部13は、ケースC1と同じ態様で第1走行軌跡画像20および第2走行軌跡画像21の表示を行う。一方、ケースC2では、表示制御部13は、平行位置明示画像23を表示しない。上述の通り、平行位置明示画像23は据え切りを好まない運転手にとって有益な画像であり、ケースC2においてこのような画像が表示されない構成とすることにより、据え切りを好まないわけではない運転手にとって必要性が低い画像が表示されないようにすることができ、また、平行位置明示画像23の表示に係る処理が行われない分、処理負荷を軽減できる。
【0046】
以上詳しく説明したように、本実施形態に係る駐車支援システム1は、運転手が車両を運転して駐車枠に車両を駐車させる際、運転手が据え切りを好まない場合には、俯瞰画像17上に表示した第1走行軌跡画像20に関連付けて、予測走行軌跡上で駐車枠WK1と自車両の車体とが平行になる位置を示す平行位置明示画像23を表示するようにしている。
【0047】
この構成によれば、据え切りを好まない運転手は、表示された平行位置明示画像23を参照することにより、現在のステアリング角度で自車両を後進させた場合、どの辺りで自車両の車体と駐車枠WK1とが平行になるのかを認識することができ、この認識に基づいて随時ステアリング角度を調整しつつ自車両を後進させることによって、据え切りを伴わずに自車両を駐車枠WK1に駐車させることができる。つまり、上記構成によれば、運転手が据え切りを好まない場合に、据え切りを好まないという嗜好を反映した適切な方法で駐車の支援を行って運転手の快適性を向上させることができる。
【0048】
次に、本実施形態に係る駐車支援システム1の車載装置2の動作例についてフローチャートを用いて説明する。
図6は、動作モードが駐車支援モードとなった後の車載装置2の動作例を示すフローチャートである。
図6のフローチャートに示すように、動作モードが駐車支援モードとなったことを検出すると、据え切り関連検出部12は、運転手が据え切りを好まないことの検出に関する処理を実行する(ステップSA1)。本実施形態では、上述の通り、据え切り関連検出部12は、過去の駐車時の走行履歴に基づいて運転手が据え切りを好まないことを検出する。
【0049】
次いで、表示制御部13は、据え切り関連検出部12により運転手が据え切りを好まないことが検出されたか否かを判定する(ステップSA2)。据え切りを好まないことが検出された場合(=ケースC1)(ステップSA2:YES)、表示制御部13は、平行位置明示画像23を伴う駐車支援画面5の表示を行う(ステップSA3)。ステップSA3において、表示制御部13は、俯瞰画像17上に表示された第1走行軌跡画像20に関連付けて、予測走行軌跡上で駐車枠WK1と自車両の車体とが平行になる位置を示す平行位置明示画像23を表示する。一方、据え切りを好まないことが検出されなかった場合(=ケースC2)(ステップSA2:NO)、表示制御部13は、平行位置明示画像23を伴わない駐車支援画面5の表示を行う(ステップSA4)。
【0050】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0051】
例えば、上記実施形態に係る車載装置2の機能を、車載装置2以外の装置が有する構成、または、車載装置2と車載装置2以外の装置とが連関して有する構成であってもよい。一例として、車載装置2とネットワークを介して接続された装置(例えば、インターネットを介して接続されたサーバ装置)が、車載装置2の機能ブロックの少なくとも一部を有する構成であってもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、俯瞰画面15の俯瞰画像17にのみ平行位置明示画像23を表示し、車外画面16の車外画像19には平行位置明示画像23に相当する画像(以下、便宜上「対応画像」という。対応画像は、自車両の車体と駐車枠WK1とが平行となる位置を明示する画像である)を表示しない構成であった。この点に関し、車外画像19に対応画像を表示する構成としてもよい。また、俯瞰画像17に平行位置明示画像23を表示せず、車外画像19に対応画像を表示する構成としてもよい。車外画像19に対応画像を表示する場合、例えば、自車両の車体と駐車枠WK1とが平行となる位置で、第2走行軌跡画像21の2本の線分を結ぶような画像とすることができる。
【0053】
また、上記実施形態で例示した駐車支援画面5の内容や、レイアウトはあくまで一例である。例えば、駐車支援画面5は、俯瞰画面15に相当する画面のみが表示された画面であってもよい。
【0054】
また、ケースC1、C2において、自車両の車体と駐車枠WK1との角度によって、第1走行軌跡画像20および第2走行軌跡画像21の色を変化させるようにしてもよい。一例として、表示制御部13が、当該角度が小さくなるに従って段階的に第1走行軌跡画像20および第2走行軌跡画像21の色を変化させるようにしてもよい。また、このような処理をケースC2にのみ行う構成としてもよい。こうすることにより運転手は、走行軌跡画像の色によって、現在、ケースC1の状況なのかケースC2の状況なのかを認識できる。
【符号の説明】
【0055】
1 駐車支援システム
4 リアカメラ(カメラ)
10 撮影画像取得部
11 ステアリング角度検出部
12 据え切り関連検出部
13 表示制御部