(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】特定の糖脂質を含む動物飼料
(51)【国際特許分類】
A23K 20/163 20160101AFI20220711BHJP
A23K 20/158 20160101ALI20220711BHJP
A23K 10/16 20160101ALI20220711BHJP
C07H 15/04 20060101ALN20220711BHJP
【FI】
A23K20/163
A23K20/158
A23K10/16
C07H15/04 C
(21)【出願番号】P 2018541263
(86)(22)【出願日】2017-03-01
(86)【国際出願番号】 GB2017000028
(87)【国際公開番号】W WO2017149266
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2020-02-18
(32)【優先日】2016-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518276003
【氏名又は名称】パスウェイ インターミディエーツ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガーネット,デビッド,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,ロイド
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-220516(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102696880(CN,A)
【文献】特開平04-040859(JP,A)
【文献】特表2000-507594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0177194(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00-20/28
A23K 50/00-50/80
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類、鳥類及び魚類に給餌するのに好適な動物飼料であって、以下の一般式(1)又は(2)を有する少なくとも1つのソホロ脂質を含む、
組成物:
【化1】
式中、
Rは、水素又は1~4個の炭素原子を有するアシル基を表し;
R
1は、水素又はアセチル基を表し;
R
2は、水素又は1~9個の炭素原子を有するアルキル基を表し;
R
3は、6~18個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の炭化水素基を表し;
Xは、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボン酸、アシル基、アミド、及びグリコシド結合を有する単糖からなる群から選択される官能基を表
し、
前記組成物は、ソホロ脂質と二酸化ケイ素の1:1混合物である粉末から本質的になる、組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのソホロ脂質が、下の一般式(1)又は(2)を有する、請求項1に記載の
組成物:
【化2】
式中、
R
1は、水素又はアセチル基を表し;
R
2は、水素又は1~9個の炭素原子を有するアルキル基を表し;
R
3は、15~18個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の炭化水素基を表す。
【請求項3】
R
2が水素又はメチル基である、請求項1又は請求項2に記載の
組成物。
【請求項4】
R
3が16~18個の炭素原子、より好ましくは16個の炭素原子を含む炭化水素基である、請求項1、2、又は3に記載の
組成物。
【請求項5】
R
3が不飽和(C=C結合)である1つの部位を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項6】
前記ソホロ脂質は、下記式で表される少なくとも1種である、請求項1記載の組成物。
(1)
【化3】
(2)
【化4】
【請求項7】
哺乳類、鳥類及び魚類に給餌するのに好適な動物飼料のための成分、プレミックス又はサプリメントであって、以下の一般式(1)又は(2)の少なくとも1つのソホロ脂質を含み:
【化3】
式中、
Rは、水素又は1~4個の炭素原子を有するアシル基を表し;
R
1は、水素又はアセチル基を表し;
R
2は、水素又は1~9個の炭素原子を有するアルキル基を表し;
R
3は、6~18個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の炭化水素基を表し;
Xは、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボン酸、アシル基、アミド、及びグリコシド結合を有する単糖からなる群から選択される官能基を表
し、前記成分、プレミックス又はサプリメントは、ソホロ脂質と二酸化ケイ素の1:1混合物である粉末から本質的になる;前記動物飼料中の前記ソホロ脂質の添加量が、前記成分、プレミックス又はサプリメントの総重量を基準として0.01重量%以上であり、更にビタミン、微量元素、無機質及び有機酸の少なくとも1つを含む、成分、プレミックス又はサプリメント。
【請求項8】
動物における飼料転換率を増大させる方法であって、請求項1~
6のいずれか一項に記載の動物飼料、又は請求項
7に記載の成分、プレミックス若しくはサプリメントを哺乳類、鳥類又は魚類に給餌することを含む、方法。
【請求項9】
動物における飼料効率の改善のための、
請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された動物飼料を提供するための特定の糖脂質に関する。
【背景技術】
【0002】
動物のパフォーマンスを改善する様々な添加物を有する、例えば国際公開第00/36929号又は同第94/22324号に記載されているような、特定のリン脂質を動物飼料に添加したサプリメント動物飼料が知られている。動物の成長等のパフォーマンスを更に改善するために、新しい飼料添加物が所望されている。そのような飼料添加物は、天然に存在するものが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
動物のパフォーマンス、特に(しかし、非排他的に)動物の成長を促進する新規な動物飼料添加物を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明の第1の態様は、哺乳類、鳥類及び魚類に給餌するのに好適な動物飼料を提供し、この動物飼料は、以下の一般式(1)又は(2)を有する少なくとも1つのソホロ脂質を含み:
【0005】
【化1】
式中、
Rは、水素又は1~4個の炭素原子を有するアシル基を表し;
R
1は、水素又はアセチル基を表し;
R
2は、水素又は1~9個の炭素原子を有するアルキル基を表し;
R
3は、6~18個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の炭化水素基を表し;
Xは、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボン酸、アシル基、アミド、及びグリコシド結合を有する単糖からなる群から選択される官能基を表す。
【0006】
Rは、好ましくは水素である。R2は、好ましくは水素又はメチル基である。R3は、好ましくは16~18個の炭素原子、より好ましくは16個の炭素原子を含む炭化水素基である。通常、R3は、不飽和(C=C結合)である1つの部位を有するであろう。
【0007】
好ましくは、動物飼料中のソホロ脂質は、少なくとも50重量%の、一般式(2)を有するソホロ脂質を含む。
【0008】
好ましくは、ソホロ脂質は、飼料の少なくとも0.05重量%~0.1重量%を構成する。例えば、好ましくは1kgの飼料に0.05~0.5gのソホロ脂質が含まれる(飼料1トン当たり50~500g)。
【0009】
ソホロ脂質は、それ自体が動物飼料に添加されてもよい。好ましい実施形態では、ソホロ脂質は、リゾレシチンと組み合わされる。
【0010】
本発明の第2の態様は、哺乳類、鳥類及び魚類に給餌するのに好適な動物飼料のための成分、プレミックス又はサプリメントを提供し、この成分、プレミックス又はサプリメントは、以下の一般式(1)又は(2)の少なくとも1つのソホロ脂質を含む:
【0011】
【化2】
式中、
Rは、水素又は1~4個の炭素原子を有するアシル基を表し;
R
1は、水素又はアセチル基を表し;
R
2は、水素又は1~9個の炭素原子を有するアルキル基を表し;
R
3は、6~18個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の炭化水素基を表し;
Xは、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボン酸、アシル基、アミド、及びグリコシド結合を有する単糖からなる群から選択される官能基を表し;
前記動物飼料中の前記ソホロ脂質の添加量が、前記成分、プレミックス又はサプリメントの総重量を基準として0.01重量%以上であり、前記成分、プレミックス又はサプリメントは更に、ビタミン、微量元素、無機質及び有機酸の少なくとも1つを含む。
【0012】
他の界面活性成分及び/又は乳化剤が、本発明の第2の態様による成分、プレミックス又はサプリメントに含まれてもよい。
【0013】
好ましくは、本発明の第2の態様は、哺乳類、鳥類及び魚類に給餌するのに好適な動物飼料のための成分、プレミックス又はサプリメントを提供し、この成分、プレミックス又はサプリメントは、上記の以下の一般式(1)又は(2)を有する少なくとも1つのソホロ脂質及び少なくとも1つのリゾレシチンを含み、又はこれらから本質的になる。より好ましくは、サプリメントは、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%のリゾレシチンである。リゾレシチンは、商標名Lipidolで販売されているもの等の、レシチン及びリゾレシチンのブレンドを含み得る。
【0014】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様による動物飼料、又は本発明の第2の態様による成分、プレミックス又はサプリメントを哺乳類、鳥類又は魚類に給餌することを含む、動物における飼料転換率を増大させる方法を提供する。
【0015】
本開示の文脈において、飼料転換率(FCR)は、家畜等の動物が、動物飼料を所望の産出量に転換する効率を測定するための割合又は率である。FCRは、投入量を産出量で除算した量である(例えば、食肉又は乳1キロ当たりの飼料のキロ数)。低いFCR値を有する動物は、飼料の効率的な使用者であると見なされる。
【0016】
本発明の第4の態様は、動物における飼料転換率を改善するための飼料サプリメントの製剤中のソホロ脂質の使用に関する。
【0017】
より好ましくは、少なくとも1つのソホロ脂質は、以下の一般式(1)又は(2)を有する:
【0018】
【化3】
式中、
R
1は、水素又はアセチル基を表し;
R
2は、水素又は1~9個の炭素原子を有するアルキル基を表し;
R
3は、15~18個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の炭化水素基を表す。
【0019】
尚より好ましくは、本発明の第4の態様は、動物における飼料転換率を改善するための飼料サプリメントの製剤中のソホロ脂質及びリゾレシチンのミックスの使用に関する。
【0020】
この動物飼料は、哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、両生類等の任意の種類の動物に好適であり得るが、好ましくは鳥類、特に家禽の飼料添加物である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を例のみとして記載する:
【
図1】本発明の実施例1の飼料添加物で処置された鳥類及び対照グループに関する飼料転換率を示す棒グラフである;
【
図2】実施例1の鳥類の対照及び処置グループに関する総飼料転換率のグラフである;
【
図3】最終日(35日目)における実施例1の鳥類の対照及び処置グループに関する飼料転換率のグラフである;
【
図4】実施例1の鳥類の対照及び処置グループに関するキログラムでのフィニッシャー体重(35日目)のグラフである;
【
図5】実施例1の鳥類の対照及び処置グループに関するキログラムでの総消費量のグラフである;
【
図6】実施例1の鳥類の対照及び処置グループに関する枝肉歩留りのグラフである;
【
図7】本発明の実施例2の飼料添加物で処置された鳥類及び対照グループの1~7日目における飼料転換率を示す棒グラフである;
【
図8】本発明の実施例2の飼料添加物で処置された鳥類及び対照グループの8~21日目における飼料転換率を示す棒グラフである;
【
図9】本発明の実施例2の飼料添加物で処置された鳥類及び対照グループの22~35日目における飼料転換率を示す棒グラフである;
【
図10】本発明の実施例2の飼料添加物で処置された鳥類及び鳥類の対照グループに関する総FCRを示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、動物飼料サプリメントとしてのソホロ脂質の使用に関する。ソホロ脂質は、非病原性酵母により合成され得る界面活性糖脂質であり、その主なものは、植物油等の生成分を使用するCandida bombicolaである。ソホロ脂質は表面張力を低下させるため、洗剤中の界面活性剤として使用されるが、抗菌性、殺ウイルス性、抗癌性及び免疫調節性を含む多数の有用な生物学的活性も有している。ソホロ脂質は、以前、皮膚及び毛髪の手入れ剤として使用されていた(例えば、国際公開第95/34282号及び米国特許第5981497号参照)。
【0023】
ソホロ脂質の製造は、当技術分野において文書で詳しく解説されており、例えば「Production of sophorolipids by the yeast Candida bombicola using simple and low cost fermentative media」Davery and Pakshirajan, Food Research International 42 (2009) 499-504を参照されたい。
【0024】
ソホロ脂質は、16~18個の炭素原子の脂肪酸鎖長を有する長鎖ヒドロキシル化脂肪酸に共有結合した糖頭部ソホロース、2つのブドウ糖分子からなる稀なβ-(1,2)二糖から構成される。分子の挙動に大きな影響を有する2つのタイプのエステル化、即ち(i)アセチル化及び(ii)ラクトン化が生じ得る。アセチル化は、ソホロースのC6’及びC6’’位で起こり、非-、モノ-及びジ-アセチル化分子の混合物をもたらす。酸性ソホロ脂質は酸性pHでは水性媒体に容易に溶解することができないが、より高いpHでは可溶性となる。しかしながら、これらのソホロ脂質は7.0を超えるpHでは不安定性を示す。ラクトン化は、C4’’位に対して特異的な、開放-鎖又は酸ソホロ脂質を閉鎖-鎖ソホロ脂質(ラクトン形態)に変換する。下を参照されたい。ラクトン化されたソホロ脂質は、より広いpH範囲に亘って安定である。
【0025】
(i)酸性ソホロ脂質:
【0026】
【0027】
【0028】
本発明は、驚くべきことに、酸性及びラクトンソホロ脂質の両方が動物食材に添加されて、動物のパフォーマンスを改善できることを見出した。このことは、ソホロ脂質、特に酸性形態は、動物の胃内で胃酸によって破壊され、それにより動物の体重に(あるとしても)最小限の効果をもたらすと予想されていたため、驚くべきことである。以前、胃及び腸内で容易に加水分解されるため、ソホロ脂質の経口投与は考えられなかった。およそ50%の酸性及びラクトン形態を含む天然ソホロ脂質は、飼料添加物として使用することができる。ラクトンソホロ脂質が好ましい。
【実施例】
【0029】
実施例1:動物飼料添加物を受容しなかった鳥類の対照グループと比較した、ソホロ脂質及びリゾレシチンミックスを含む本発明の実施形態による飼料添加物を含む動物飼料で処置した鳥類の増大された動物パフォーマンスを示す試験。
【0030】
鳥類に35日間に亘って同一の食餌を給餌したが、処置した鳥類の食餌は、C.bombicolaから培養した、飼料1トン当たり125gのソホロ脂質/リゾレシチンミックスを追加した。50%のソホロ脂質はラクトン形態であり、従って飼料は飼料1トン当たり62.5gを含んでいた。ミックスは250ppmまでの含有レベルの範囲の75%リゾレシチン及び25%ソホロ脂質であった。対照及び処置グループは、それぞれ、10羽の鳥の反復からなっていた(各グループにつき合計100羽の鳥)。試験の三段階は、ブースター(BOOSTER)(1~14日目)、スターター(STARTER)(15~28日目)及びフィニッシャー(FINISHER)(35日目)であった。
【0031】
対照グループ及び処置グループに関して得られたデータを、下の表に提供する:
【0032】
I.対照グループ。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
これらの結果を添付の図面の
図1~6にグラフで示し、折れ線グラフは、最高から最低にランク付けされた10反復の結果を提示して、対照グループと比較した処置グループの一貫性を示す。
【0044】
全体的な変換割合又は変換率(FCR)は、対照グループよりも処置グループで低いことが示され(
図1~3参照)、これはフィニッシャー段階の間で最も顕著であり、処置グループは、より効率的な食物の転換物であることを示した。飼料添加物の利益は、大まかには同じである2グループの最終体重と、対照グループと比較して低い処置グループの消費量からも理解することができた(
図4及び5参照)。枝肉歩留りも処置グループでより高かった(
図6参照)。
【0045】
ソホロ脂質分子の修飾も当技術分野で行われており、そのような修飾ソホロ脂質も、本発明による動物飼料サプリメントでの使用に好適である。そのような修飾ソホロ脂質の例は、下に示される(i~vii)。それらの製造方法は、「Enzymatic Synthesis of a Galactopyranose Sophorolipid Fatty Acid Ester」Nunez, Foglia and Ashby, Biotechnology Letters (2003) 25: 1291-1297及び「Enzyme-catalyzed regioselective transesterification of peracylated sophorolipids」Carr and Bisht, Tetrahedron 59 (2003) 7713-7724に記載されている。
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
実施例2:動物飼料添加物を受容しなかった鳥類の対照グループと比較した、ソホロ脂質のみを含む本発明の別の実施形態による飼料添加物を含む動物飼料で処置した鳥類に関する、増大された動物パフォーマンスを示す試験。
【0051】
鳥類の対照及び処置グループを用いて上記の実施例1と類似した方法で別の試験を行い、鳥類に同一の実験食餌を35日間に亘って給餌したが、処置した鳥類の食餌は、250ppmまでの含有レベルの範囲の純粋なソホロ脂質(SPL)サプリメントを追加した。ソホロ脂質は、50%二酸化ケイ素を有する50%ソホロ脂質液体による粉末として提供した。
【0052】
実験食餌の組成を下に提供する:
【0053】
【0054】
結果:ブロイラーにおける成長パフォーマンスに対する純粋なSPLsの効果。
下の表1は、対照及び処置鳥類に関する平均1日増体量(ADG)(g)を提供する。
【0055】
【表12】
下の表2は、対照及び処置鳥類に関する飼料摂取量(FI)(g)を提供する。
【0056】
【0057】
下の表3は、対照及び処置鳥類に関する飼料効率(FE)(g)を提供する。
【0058】
【0059】
上記の実施例1及び2は、ソホロ脂質が単独及びリゾレシチンとの組み合わせの両方で、動物の飼料転換率を向上させることを示す。実施例2は、25~250ppmの純粋なソホロ脂質を動物飼料に組み込むと、下の表4に示し、
図7~10にグラフで示すように、特に試験の最初の8~21日目の間、対照鳥類と比較して、動物のFCRが一貫して改善されることを示す。
【0060】
【0061】
しかしながら、リゾレシチンブレンド及びソホロ脂質ミックス(250ppm)を動物飼料に組み込むと、下の表5に示し、添付の図面の
図1にグラフで示すように、35日間の試験の全体に亘って、対照鳥類と比較してFCRをより大きく改善した:
【0062】
【0063】
従って、これはリゾレシチン/ソホロ脂質ミックスが改善された動物飼料サプリメントを提供することを示す。本発明者らは理論に束縛されることを望まないが、この改善は、脂質の異なるHLB値に起因し得ると考えられる。HLB値は、分子全体の分子量に対する分子の親水性部分の量を示す。ソホロ脂質のHLB値はリゾレシチンよりも高く、組み合わせの総HLB値は押し上げられるであろう。
【0064】
その結果、混合物は、動物の消化管内で見出されるように、水中油混合物の乳化を改善する筈である。
【0065】
従って、レシチン、特にリゾレシチン又は加水分解レシチンは、1つ以上のソホロ脂質と組み合わせされて、本発明による動物飼料サプリメントを提供することができる。様々なタイプのレシチン又はリゾレシチンが、それらのブレンドを含めて使用することができる。レシチンは、リン酸、コリン、脂肪酸、グリセロール、糖脂質、トリグリセリド、及び、ホスファチジルコリン、ホスファチジルコリンエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールを含むリン脂質を含む脂質の任意の複合混合物に適用される総称である。より好ましくは、レシチンブレンドは、少なくとも1つの加水分解リン脂質を含み、該加水分解リン脂質は、リン脂質の脂肪酸鎖の1つが加水分解され、水素で置換されてリゾリン脂質を生じたものである。
【0066】
本発明での使用に好ましいリゾレシチンは、以下のリン脂質プロファイルを有するレシチン及びリゾレシチンからなる、Lipidolの商標名で販売されているものである:
【0067】