IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プレビエロ エンネ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータの特許一覧

特許7102352プラスチック材料からなるシートを洗浄する方法及び装置
<>
  • 特許-プラスチック材料からなるシートを洗浄する方法及び装置 図1
  • 特許-プラスチック材料からなるシートを洗浄する方法及び装置 図2
  • 特許-プラスチック材料からなるシートを洗浄する方法及び装置 図3
  • 特許-プラスチック材料からなるシートを洗浄する方法及び装置 図4
  • 特許-プラスチック材料からなるシートを洗浄する方法及び装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】プラスチック材料からなるシートを洗浄する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/00 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
B29B17/00 ZAB
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018563839
(86)(22)【出願日】2017-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2017063620
(87)【国際公開番号】W WO2017211767
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-06-05
(31)【優先権主張番号】UA2016A004124
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512261322
【氏名又は名称】プレビエロ エンネ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】プレビエロ,フラビオ
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-039939(JP,U)
【文献】特表2002-539967(JP,A)
【文献】特開2001-300938(JP,A)
【文献】特開2003-191238(JP,A)
【文献】特開2004-307733(JP,A)
【文献】特開2000-280245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/00
B09B 1/00-5/00
B03B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料からなるフィルム又はシートの、あらかじめ切断された寸法の大きな細片を、洗浄槽(10)の水槽(21)中に投入し、前記水槽(21)内で垂直に伸びる垂直スクリュー撹拌器からなる攪拌器(20)と撹拌作用に供し、汚染物質(34)から分離させ、前記水槽(21)上に浮遊する、プラスチック材料からなる清浄化された細片(18’)を、エンドレスベルト(27)によって排出チャネル(25)に沿って引き上げ、前記プラスチック材料からなる前記フィルム及び/又は前記シートを洗浄し、汚染物質(34)を分離する方法であって、
前記排出チャネル(25)に沿った前記エンドレスベルト(27)と洗浄水流との複合引き出し作用により、前記プラスチック材料からなる清浄化された細片(18’)を前記洗浄水流に浮遊させて、前進させ、前記制御された方法は、前記プラスチック材料からなる清浄化された細片(18’)の出口流を変化させるように、前記エンドレスベルト(27)の速度を調整し、および、排出チャネル(25)の前端(26C)からの洗浄水が溢れることにより、洗浄されたプラスチック片(18’)を排出することを特徴とする方法。
【請求項2】
汚れたプラスチック片(18)が、前記洗浄槽(10)から出る、前記排出チャネル(25)に沿った流量に実質的に相当する流量の水流によって、前記水槽(21)に連続的に供給される請求項1に記載のプラスチック材料からなるフィルム及び/又はシートを洗浄する方法。
【請求項3】
前記排出チャネル(25)内の清浄化された細片の考えられる集合(18’’)が、取り出しベルト(27)の推力及び上方傾斜運動によって取り出される請求項1に記載のプラスチック材料からなるフィルム及び/又はシートを洗浄する方法。
【請求項4】
スクリュー撹拌器(20)によって、前記水槽の旋回、及び前記洗浄槽(10)の全体積内に汚れたプラスチック片の再循環を発生させることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック材料からなるフィルム及び/又はシートを洗浄する方法。
【請求項5】
前記排出チャネル(25)に沿って、前記洗浄槽(10)から外部に取り出された清浄化プラスチック片(18’)の量を変化させることにより、前記洗浄槽(10)の前記水槽(21)内の汚れた細片(18)の滞留時間を変化させる段階を特徴とする請求項1に記載のプラスチック材料からなるフィルム及び/又はシートを洗浄する方法。
【請求項6】
エンドレス取り出しベルト(25)の速度を変化させることによって、前記洗浄槽(10)内の汚れたプラスチック片(18)の滞留時間を変化させることを特徴とする請求項5に記載のプラスチック材料からなるフィルム及び/又はシートを洗浄する方法。
【請求項7】
前記洗浄槽(10)内の前記汚れたプラスチック片(18)の滞留時間を、汚染度、必要な清浄度それぞれに関して変化させることを特徴とする請求項5又は6に記載のプラスチック材料からなるフィルム及び/又はシートを洗浄する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、プラスチック材料からなるシートをリサイクルして、原料として連続的に再利用することに関し、具体的には、寸法の大きな細片にあらかじめ切断された、農業分野又は産業分野の廃棄物由来のプラスチックシート又はフィルムを洗浄する方法及び装置に関し、プラスチックシート又はフィルムは、汚染物質、例えば、土、砂、砂利、及び、プラスチック材料からなるシート若しくはフィルムにくっついたまま残っているか、又は作業過程時に廃棄された別の材料片を除去するために、適切に洗浄する必要がある。
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物及び農業分野の廃棄物は、主にポリ塩化ビニル(PVC)及びポリエチレン(PE)並びに他の樹脂からなる、大量のプラスチックフィルム及びシートを含み、その商業的価値の大部分は、清浄度、並びに洗浄後のプラスチックフィルム及びシートにくっついたまま残っている汚染物質の割合によって異なる。
【0003】
従来、農業廃棄物及び産業廃棄物由来のプラスチックシート及びフィルムは、水槽中で洗浄して汚染物質を除去する前に、ほぼ数十分の1センチメートル以下程度の小さな寸法に細かく砕き、切断する必要がある。
【0004】
現在、非常に複雑で、寸法が大きく、大量の水及び貴重なエネルギー資源を必要とする洗浄プラント及び装置が利用されている。
【0005】
さらに、大量の汚染物質を含むプラスチックフィルム及びシートを、先に言及したように、小さな寸法にあらかじめ切断することは、通常のカッティングミルの工具の急速な摩耗及び/又は破損を必然的に伴い、その結果、破損したか又は摩耗した切断工具の必要な修理及び/又は交換のために、メンテナンス及び介入コストが生じる。
【0006】
発明の背景
農業廃棄物及び産業廃棄物由来のプラスチックフィルム及びシートを洗浄するプラント及び装置は、例えば、米国特許第4196019号明細書、欧州特許第0094282号明細書、米国特許第4073661号明細書、欧州特許第0129518号明細書、中国特許第202826148号明細書、特開昭60‐127111号公報、米国特許出願公開第2010/032009号明細書、及び中国実用新案第203635540(U)号明細書に開示されている。
【0007】
具体的には、米国特許第4196019号明細書には、寸法の小さな細片にあらかじめ切断されたフィルム及び/又はシートから得られるプラスチックを洗浄する装置が示されており、この装置は、あらかじめ設定された水位まで洗浄槽を充填するのに適した細長い貯留槽を備え、洗浄槽は、撹拌状態を発生させるように、その規定水位(upper level)の直下において水平方向に延びるブレード撹拌器を備え、ブレード撹拌器は、洗浄槽中に浮遊する寸法の小さなプラスチック片を、洗浄槽の後部領域(zone of the latter)から撹拌域を分離するバッフルの下縁よりも下の方に、水平方向チャネルへ押し出し、そこから、回転ドラムによってプラスチック片が排出されるが、このような解決策は、寸法の大きなプラスチック片を洗浄するのには全く適していない。
【0008】
欧州特許第0094282号明細書には、直列に接続された複数の洗浄槽を備えた、プラスチックフィルム及びシートを回収するプラントが示されており、プラスチックフィルム及びシートは、ここでも、ラビリンス通路を介して互いに連通している一連の洗浄槽中に投入される前に、細かく砕き、あらかじめ寸法の小さな細片にする必要があり、単一の洗浄槽は、通常のブレード撹拌器を備え、水槽中に浮遊するプラスチック片は、排出チャネルに沿って適切な間隔を置いて配置された複数のロータによって、排出チャネルに沿って押し出され、そして、羽根車によって水槽から引き出されるが、この解決策も、プラスチックフィルム及びシートが撹拌器のブレードに、及び排出チャネルに沿ってロータにくっつく傾向があるため、プラスチックフィルム及びシートを寸法の大きな細片として洗浄するのには適していない。
【0009】
米国特許第4073661号明細書にもまた、米国特許第4196019号明細書のものと実質的に同様である、前述した種類の洗浄装置が示されており、洗浄されるプラスチック材料は、ここでも、寸法の小さな細片として、水平撹拌器を備えた洗浄槽の水槽中に投入され、洗浄槽の撹拌域は、水槽内に延びる分割バッフルによって静止域から分離され、洗浄槽中に浮遊するプラスチック片を、エンドレスコンベヤにより引き上げて取り出し、エンドレスコンベヤは、洗浄槽の上に、そして上方に配置された排出チャネルに沿って部分的に配置され、水槽の水位を超えて洗浄槽の一方の側から延びる。ここでも、この解決策は、従来の装置と同様に、寸法の大きな細片の直接洗浄には適していない。
【0010】
そして、欧州特許第0129518号明細書には、例えば150cmといった寸法の大きな細片にあらかじめ切断された、プラスチック材料からなるシートを洗浄する装置が開示されており、この装置は、穿孔された周壁を有する水平ドラムを備えた貯留槽と、半径方向ブレード、及び水の噴出物を供給するノズルを備えた管状シャフトと、からなり、ドラムと内側シャフトは、異なる回転速度において制御される。
【0011】
同様の解決策は、非常にかさばり複雑であることに加えて、約20~30分により示される非常に長い洗浄時間を必要とし、また、プラスチック材料にしっかりとくっついた汚染物質を除去することの困難性と、回転シャフトのブレードの間にたまって残存し得る大きなプラスチック片を排出する際の課題とが必然的に伴う場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発明の目的
したがって、洗浄水槽中に適切に浸漬させ、寸法の大きな細片にあらかじめ切断されたプラスチックフィルム又はシートを、洗浄時間を非常に短縮しつつ、十分に清浄化することができると同時に、洗浄段階の終了時にプラスチック片を更に容易に排出することができる、構造的かつ機能的に単純な代替解決策を見いだす必要がある。
【0013】
このため、本発明が解決しようとする技術的課題は、プラスチック片の洗浄及び排出を汚染度に応じて制御できるように、そして、排出チャネル内にプラスチック片がたまりその通過を妨げるのを防ぐように、洗浄槽中に浮遊する寸法の大きなプラスチック片の洗浄並びに引き出し及び取り出しの困難性を克服することが可能な解決策を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の簡単な説明
上述の課題、及び先行技術による装置の典型的な欠点はそれぞれ、請求項1に記載の、寸法の大きな細片にあらかじめ切断された、プラスチック材料からなるフィルム及びシートを洗浄する方法、請求項8に記載の洗浄装置によって改善される。
【0015】
概して、課題は、寸法の大きな細片にあらかじめ切断されたプラスチックフィルム及びシートを洗浄し、汚れたプラスチック片を、水槽を収容する洗浄槽中で激しく撹拌し、洗浄槽から出る水流と、排出チャネルに沿って延び自由に傾斜するように支持されたエンドレスベルトからなる引き上げ装置との共同作用(joint action)により、排出チャネルに沿って清浄なプラスチック片を引き上げて、水槽中に浮遊する清浄なプラスチック片を取り出す方法及び装置によって解決される。
【0016】
このように、寸法の大きなプラスチック片は、洗浄水流及び引き上げベルトによって、排出チャネルの出口端まで、浮遊した状態で引き上げられ、排出チャネルの出口縁部にプラスチック片がたまり、引き上げベルトが動かなくなるのを防ぐ。
【0017】
洗浄槽の水槽の水位を、例えば、排出チャネルからの水流の流出により調節することによって、又は、別の方法では、排出チャネルの出口縁部を、洗浄槽の水槽の水位の直下に配置することによって、洗浄槽の水槽を連続的に補充することが可能となり、水の消費を最小限に抑えることが可能となる。
【0018】
可変速引き上げベルトを用いることにより、汚染度に応じて、洗浄槽内のプラスチック片の滞留時間を制御することが可能である。
【0019】
添付図面の例を参照して、本発明に係るプラスチックフィルム及びシートの洗浄装置と、対応する方法の好適な実施形態を、以下に更に詳細に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】洗浄装置の斜視図である。
図2図1の線2‐2に沿った長手方向断面図であり、傾斜引き上げベルトが下方の作業位置にある。
図3図2と同様の長手方向断面図であり、上昇位置にある傾斜引き上げベルトを示す。
図4図2の破線4‐4に沿った部分に部分的に存在する装置の上面図である。
図5】装置の洗浄方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
図1及び2に示されているように、例えば数デシメートル及び/又はメートルといった寸法、例えば50~150cm以上の寸法を有する、寸法の大きな細片18に適切にあらかじめ切断された、プラスチック材料からなるフィルム及びシートの洗浄装置は、円錐形状底部11又は下方に傾斜している壁によって完成された、円筒形、正方形又は多角形状の洗浄槽10を備え、洗浄槽の底部11には、更に、沈殿物を排出する大型の沈殿物排出管12が設けられ、沈殿物排出管12は、通常、2つの弁13、14によって閉じられ、これらの弁は、洗浄段階時に汚れたプラスチック片18から分離し底部11に沈降した汚染物質を排出する、アクチュエータ又は空気圧シリンダ15、16それぞれによって選択的に駆動可能である。
【0022】
洗浄槽10は、図4に示されているように、洗浄槽10の側面に偏心して配置されたスクリュー撹拌器20を備え、ここでは、洗浄槽10内のプラスチック材料からなる汚れた細片18を撹拌して再循環させるための、大きな撹拌及び再循環域が残されている。スクリュー撹拌器20は、垂直方向下方に延び、あらかじめ設定された規定水位22を有する水槽21中に沈められる。スクリュー撹拌器20は、一定で可変のピッチを有する、1つ以上の連続的なスクリューを備えた種類のものであってもよく、大きな撹拌を発生させるように、また、汚れたプラスチック片18が撹拌器のスクリューにくっつき得るのを防ぐように適切に構成され、スクリュー撹拌器20は、高い回転数においてスクリュー撹拌器20を駆動させるように構成された電動モータ23に動作可能に接続され、高い回転数は、水槽21の激しい撹拌、及び、洗浄槽10内の同じ水槽21において、重い汚染物質が下方に引き下げられる傾向がある、汚れたプラスチック片18の連続的な上向きの再循環を発生させ、汚れたプラスチック片18が水槽21中に浮遊して浮揚するのを防ぐのに適している。
【0023】
本発明に係る洗浄装置を用いて行った実験的試験の過程において、250~450rpm以上の速度において回転するように命令された、スクリュー外径が500~600mmのスクリュー撹拌器20を用いて、先に定義したように、寸法の大きな細片にあらかじめ切断されたプラスチック材料18によって良好な結果が得られた。
【0024】
洗浄槽10は、汚れたプラスチック片18を投入するサイドホッパ24を備え、ホッパ24は、汚れたプラスチック片18を洗浄槽10内に引き込むのとともに、洗浄槽の水槽を連続的に補充するのに適した洗浄水流を供給するように構成された水分配器24´を備えている。汚れたプラスチック片18は、洗浄水流によって排出ホッパ24に連続的に供給されるが、ホッパ24の代わりに、図示されているもの以外の、汚れたプラスチック片18及び洗浄水流を投入する他の手段又はシステムを用いることが可能であることは排除されない。
【0025】
洗浄槽10は、投入ホッパ24とは反対側に、洗浄槽21中に浮遊する清浄化プラスチック片18´を排出する排出チャネル25を備えている。排出チャネル25は、洗浄槽10の幅広側方開口部(wide side opening)10´を介して水槽21の撹拌域と直接連通している後端部を有し、投入ホッパ24に供給される洗浄水流に実質的に相当する、洗浄槽10から生じる洗浄水流の流出とともに、プラスチック材料からなる細片18´を排出する前方排出端部26Cへ長手方向に延びている。
【0026】
具体的には、排出チャネル25は、第1の大きく傾斜した底壁26Aを備えた、上方へ傾斜する底部を有し、この底部は、例えば、第2の底壁26Bに結ばれる洗浄槽10の垂直方向軸線と30°~60°の角を形成し、第2の底壁は、第1の底壁26Aの傾斜よりも小さな傾斜を有し、洗浄槽10の水槽21の水位22よりも下の位置にあり排出チャネル25内にある前縁部26Cで終端となる。
【0027】
本発明によれば、引き上げによる洗浄槽10からチャネル25に沿った清浄化プラスチック片18´の排出は、排出チャネル25から制御されるように出る洗浄水流であって、その流量が、投入ホッパ24及び洗浄槽10に入る汚れたプラスチック片18を引き上げる水流の流量に実質的に相当する洗浄水流と、図2に示されているように、洗浄槽10の撹拌域と直接連通しているチャネル25の後端部から排出チャネル25の前端部26Cまで長手方向に延びるエンドレスベルト27から実質的になる連続引き上げ手段との複合作用によって達成される。
【0028】
引き上げエンドレスベルト27は後方ドラム28に巻き取られ、その回転軸29は、図1に示されている電動制御モータ30、及び前方ドラム31に動作可能に接続され、後方ドラム28の回転軸29と、前方ドラム31の回転軸32は、水槽21の水位22よりも上に位置するとともに、ベルト27はわずかに上方に傾斜しており、その結果、引き上げベルト27の下側枝部27Aの少なくとも1つの後部は、チャネル25の前縁部26Cから流出によって洗浄槽10を連続的に出る水流21中に部分的に沈んでいる。
【0029】
具体的には、清浄化されたプラスチック片18´を引き上げるエンドレスベルト27は、排出チャネル25の幅に実質的に相当する幅を有し、ベルト27の長手方向に適切な間隔を置いて配置された、複数の横方向パッド33とともに構成されている。
【0030】
さらに、引き上げベルト27の2つのドラム28、31の回転軸29及び32が、排出チャネル26の底壁26Bに対して配置され、ベルト27の下側枝部27Aの引き上げパッド33が水流21中に突き出ており、このようにして、清浄化されたプラスチック片18´は、エンドレスベルト27、及び、連続的に排出チャネルから出てプラスチック片18´を一定して浮揚状態に維持する水流により引き上げられて、洗浄槽10からチャネル25に沿って進む。
【0031】
洗浄装置は、更に、種々の作業要件に応じて、モータの回転速度、そしてエンドレスベルト27の速度を変化させるように構成された、エンドレスベルト27のモータを制御する制御手段(図示せず)を備えている。
【0032】
ベルト27の直進速度は、一定に維持することができるか、又は、同じ洗浄操作サイクル時に若しくは後の操作サイクル時に、適切な速度、例えば30~40メートル/分の速度において、増減させることにより調節することができ、このようにして、エンドレスベルト27の進行速度を調節し及び/又は変化させ、ひいては、清浄化されたプラスチック片18´の出口流量を調節し及び/又は変化させることにより、洗浄槽10内の汚れたプラスチック片18の洗浄及び滞留時間を制御し、ひいては変化させ、ホッパ27に供給されるプラスチック片18の多少の汚染度に応じて、及び排出チャネル25から出るプラスチック片18´の所望の多少の清浄度に応じて、洗浄及び滞留時間を増減させることが可能である。
【0033】
排出チャネル25に沿って引き上げられたプラスチック片18´がパッド33の下に押し込まれ得るのを防ぐために、エンドレスベルト27の傾斜は、パッド33が、エンドレスベルト27の下側枝部27Aとともに、排出チャネル25の底壁26Bから一定間隔の距離を保って水槽21中に少なくとも部分的に沈むことに注意すると、排出チャネルの底壁26Bの傾斜よりもわずかに小さく、このようにして、プラスチック片18´は、常に浮揚状態において引き上げられる。
【0034】
汚れたプラスチック片18の寸法及び特徴、そして、装置全体の構成上及び機能上の特徴によっては、寸法の大きな、プラスチック材料からなる清浄化された細片18´が、排出チャネル25の底壁の前縁部26Cにおいて詰まりたまる場合があり、これによって、図3の符号18´´によって示されているように、エンドレスベルト27は動かなくなり、停止する。
【0035】
本発明に係る装置及びその操作方法の別の特徴は、エンドレスベルト27が、図3の符号27´によって示されているとおりに、後方ドラム28の回転軸29の周りを自由に上方へ傾斜するように、チャネル25に支持されていることであり、したがって、前方ドラム31の回転軸32は、それぞれの端部において、チャネル25の側壁の前縁部付近のガイドスロット36内を摺動可能なパッド35を有する。このように、プラスチック片18´の集合18´´が排出チャネル25の底部の前縁部26Cに形成される場合、制御モータ37によって移動するエンドレスベルト27は自由に持ち上がり、プラスチック片18´の集合18´´を排出チャネル25の前縁部から押し出し、落下させる。いったんプラスチック片18´の集合18´´が取り出されると、ベルト27は、自重により再び降下し、図3に破線によって示されている図2の操作位置を再び採用する。
【0036】
図5のフローチャートは、本発明に係る装置によって、操作サイクル時に寸法の大きなプラスチック片を洗浄する方法の必須の段階を概略的に示している。
【0037】
段階S1において、汚れたプラスチック片18は、洗浄水流とともに、ホッパ24に、ひいては洗浄槽10内に収容された水槽21に連続的に供給される。
【0038】
段階S2において、撹拌器20によって生じる水槽21の強力な撹拌作用を通じて、プラスチック片18にくっついた汚染物質34が分離し、汚染物質は、洗浄槽10の円錐形状底部11でのデカンテーションによって沈降し、段階S3では、弁13及び14を順次開閉することによって、円錐形状底部から汚染物質を定期的に排出することができる。
【0039】
水槽21中に浮遊する、プラスチック材料からなる清浄化された細片18´は、段階S4時に、排出チャネル25に沿って引き上げられ、段階S5に示されているように、エンドレスベルト27と、排出チャネル25から出る水流との複合作用によって、浮遊した状態に維持される。
【0040】
プラスチック片18´によって排出チャネル25に障害物18´´が発生した場合、エンドレスベルト27は自由に上方へ傾斜し(段階S6)、排出チャネルを塞ぐプラスチック片の集合18´´を前方へ押し出し、落下させることができ、このようにして、装置の正常な動作状態が自動的に復元される。
【0041】
添付図面の例を参照して言及し示してきたことから、本発明の目的を達成するのに適した、寸法の大きな細片にあらかじめ切断された、プラスチック材料からなるシートを洗浄する装置及び方法が提供されることは明らかであり、それ故に、装置全体又は装置の一部に対して、具体的には、図示されている撹拌器とは異なる種類の撹拌器を用いて、又は、特許請求の範囲外になることなく、排出チャネルと、プラスチック片を浮遊した状態で引き上げる連続引き上げ装置とを構成して、プラスチック片及び洗浄水流を洗浄槽の水槽を撹拌するシステムに投入するシステムに対して、他の改変又は変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5