(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】無線コネクタシステム
(51)【国際特許分類】
H04B 5/02 20060101AFI20220711BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20220711BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20220711BHJP
【FI】
H04B5/02
H02J50/10
H02J50/80
(21)【出願番号】P 2019510957
(86)(22)【出願日】2017-08-25
(86)【国際出願番号】 US2017048708
(87)【国際公開番号】W WO2018039616
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-08-13
(32)【優先日】2016-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513058068
【氏名又は名称】ニューカレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NuCurrent, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】ヴィニット シン
(72)【発明者】
【氏名】パヴェル ショスタック
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン リュージンスキー
(72)【発明者】
【氏名】グレン リーゼ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジオメッティ
(72)【発明者】
【氏名】オレグ ロス
(72)【発明者】
【氏名】ウンナティ ワドカー
(72)【発明者】
【氏名】マーク メロン
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト ペラルタ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ バブコック
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル ゴトリーブ
(72)【発明者】
【氏名】ナズムル アラム
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-008628(JP,A)
【文献】特表2015-537440(JP,A)
【文献】特開2013-051864(JP,A)
【文献】特表2014-530543(JP,A)
【文献】特表2012-522483(JP,A)
【文献】特開2005-236585(JP,A)
【文献】特開2003-110394(JP,A)
【文献】特開2013-161905(JP,A)
【文献】特開2014-175865(JP,A)
【文献】特表平11-507448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 5/02
H02J 50/10
H02J 50/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接場磁気結合を介して電気エネルギーの無線伝送に係わるように構成されたトランスミッタアンテナと、
トランスミッタ電子回路とを有し、所定の周波数範囲内で電力を無線送信するように構成されたトランスミッタモジュールであって、
前記トランスミッタ電子回路は、
(a)
前記トランスミッタアンテナに電気的に接続された電気インピーダンス整合サブ回路と、
(b)
前記トランスミッタアンテナの無線電気エネルギー伝送を制御するように構成されたトランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路と、
(c)前記トランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路に電気的に接続され、
トランスミッタモジュールがアイドリングモードにある間下記の機能(i)、(ii)、(iii)、(iv)を実行するように構成されレシーバモジュール検知サブ回路と
を有する:
(i)
前記所定の周波数範囲内での無線電力伝送用に構成されたいずれかのレシー
バモジュールがトランスミッタモジュールの近接場にあるかどうかに依存するイン
ピーダンスが前記トランスミッタアンテナにより検出され、該インピーダンスを表
わすトランスミッタモジュール内の電圧レベルをモニタする、
(ii)そのモニタした電圧レベルをアイドリングモードに関連したアイドリング電圧
レベルと比較してそのアイドリング電圧レベルに対する電圧変化を検出する、
(iii) アイドリング電圧レベルに対する電圧変化が検出されたとき、その検出した
電圧変化を所定の電圧閾値と比較する、
(iv) その検出した電圧変化がその所定の電圧閾値を越え、それによってレシーバ
モジュールがトランスミッタモジュールの近接場に入ったことを示したとき、前記
トランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路を構成する制御信号を出力して、
(a)トランスミッタモジュールをトランスミッタアンテナが電気エネルギーを前記
レシーバモジュールに無線伝送するアクティブモードに切り替え、(b)トランス
ミッタモジュールから伝送される電力量を規定する信号を送信するレシーバモ
ジュールを意味する確定ステージ(identification stage)をトランスミッタモ
ジュールとレシーバモジュールとの間で開始する、
ことを特徴とするトランスミッタモジュール。
【請求項2】
前記トランスミッタアンテナと前記トランスミッタ電子回路との間に遮蔽材料が配置されており、前記遮蔽材料はフェライト材料
から成る請求項1に記載の
トランスミッタモジュール。
【請求項3】
前記トランスミッタアンテナを支持する第1の基板を備え、該第1の基板はプリント回路基板、フレックス回路基板、またはそれら回路基板の組み合わせ
から成る請求項1に記載の
トランスミッタモジュール。
【請求項4】
前記第1の基板の外面内に複数の離間したキャステレーション
が形成された請求項3に記載の
トランスミッタモジュール。
【請求項5】
前記第1の基板の外面上に複数の離間した導電パッドが形成されており、前記複数の導電パッドのうちの少なくとも1つは電子回路基板に電気的に接続可能である請求項3に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項6】
前記トランスミッタモジュールから伝送される電力量が約100μW~約10Wの範囲である請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項7】
前記トランスミッタアンテナは、複数の導体と、前記複数の導体の各々の間に配置された少なくとも一つの絶縁体とを備え、前記複数の導体は少なくとも1回のターンを有する請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項8】
前記電気インピーダンス整合サブ回路の内部にスイッチキャパシタサブ回路が電気的に接続されており 、前記スイッチキャパシタサブ回路は前記電気インピーダンス整合サブ回路の静電容量を動的に変更するように構成されている、請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項9】
フレックスコネクタ、基板間コネクタ、ピンソケットコネクタ、ばね接触コネクタ、ポゴピンコネクタ、スルーホールピン半田コネクタ、半田付けされたワイヤ接続部、それらの組み合わせからなる群から選択される電気コネクタが、前記トランスミッタアンテ ナを前記トランスミッタ電子回路に電気的に接続する請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項10】
前記トランスミッタ電子回路は、さらに、トランスミッタアンテナによって伝送される電気エネルギーの電力レベルを確定ステージの一部としてレシーバモジュールにより伝送される信号に基づいて設定するように構成されている請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項11】
前記トランスミッタ電子回路は、さらに、電力増幅器と、該電力増幅器への電圧を確定ステージの一部として前記レシーバモジュールによって伝送される信号に基づいて増減する電圧調整器から成る請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項12】
前記レシーバモジュール検知サブ回路は、前記電気インピーダンス整合サブ回路とトランスミッタアンテナとの間にあるノードに電気的に接続され、トランスミッタアンテナによって検出インピーダンスを表わす電圧レベルを出力するように構成されたエンベロープトラッカサブ回路を備えた請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項13】
前記エンベロープトラッカサブ回路は、第2の抵抗と直列に電気接続された第1の抵抗から成り、該エンベロープトラッカサブ回路により出力された電圧レベルが前記第1の抵抗と第2の抵抗の間にあるノードの電圧レベルである請求項12に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項14】
前記レシーバモジュール検知サブ回路が、前記トランスミッタモジュールがアクティブモードにある間下記の機能(i)、(ii)、(iii)、(iv)を実行するように構成されている:
(i) 前記トランスミッタアンテナにより検出されたインピーダンスを表わす電圧
レベル出力をモニタする、
(ii) そのモニタした電圧レベルをアクティブモードに関連したアクティブ電圧レ
ベルと比較する、
(iii) 前記アクティブ電圧レベルに対するして電圧変化が検出されたとき、その
電圧変化を所定の電圧閾値と比較する、
(iv) その検出した電圧変化がその所定の電圧閾値を越えたとき、前記トランス
ミッタモジュールマスタ制御サブ回路を構成する制御信号を出力して、トランス
ミッタモジュールをアイドリングモードに切り替えて戻す、
ことを特徴とする請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項15】
前記トランスミッタ電子回路がさらに電力ステージインバータサブ回路から成る請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項16】
近接場磁気結合を介して電気エネルギーの無線伝送に係わるように構成されたトランスミッタアンテナと、トランスミッタ電子回路とを有し、所定の周波数範囲内で電力を無線送信するように構成されたトランスミッタモジュールであって、
前記トランスミッタ電子回路は、
(a)前記トランスミッタアンテナに電気的に接続された電気インピーダンス整合サブ
回路と、
(b)前記トランスミッタアンテナの無線電気エネルギー伝送を制御するように構成さ
れたトランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路と、
(c)前記トランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路に電気的に接続されたレシー
バモジュール検知サブ回路と
を有し、
前記レシーバモジュール検知サブ回路は、前記電気インピーダンス整合サブ回路とトランスミッタアンテナとの間にあるノードに電気的に接続され、前記所定の周波数範囲内での無線電力伝送用に構成されたいずれかのレシーバモジュールがトランスミッタモジュールの近接場にあるかどうかに依存するインピーダンスが前記トランスミッタアンテナにより検出され、該インピーダンスを表わす電圧レベルを出力するように構成されたエンベロープトラッカサブ回路を備え、
前記レシーバモジュール検知サブ回路は、前記トランスミッタモジュールがアイドリングモードにある間下記の機能(i)、(ii)、(iii)を実行するように構成された、
(i) 前記エンベロープトラッカサブ回路によって出力された電圧レベルをアイドリ
ングモードに関連したアイドリング電圧レベルに対する電圧変化を求めてモニタす
る、
(ii) アイドリング電圧レベルに対する電圧変化が検出されたとき、その検出した
電圧変化を所定の電圧閾値と比較する、
(iii)その検出した電圧変化がその所定の電圧閾値を越え、それによってレシーバ
モジュールがトランスミッタモジュールの近接場に入ったことを示したとき、前記
トランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路を構成する制御信号を出力して、前
記トランスミッタモジュールをトランスミッタアンテナが電気エネルギーを前記レ
シーバモジュールに無線伝送するアクティブモードに切り替える、
ことを特徴とするトランスミッタモジュール。
【請求項17】
前記トランスミッタアンテナと前記トランスミッタ電子回路との間に遮蔽材料が配置されており、前記遮蔽材料はフェライト材料から成る請求項16に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項18】
前記トランスミッタアンテナを支持する第1の基板を備え、該第1の基板はプリント回路基板、フレックス回路基板、またはそれら回路基板の組み合わせから成る請求項16に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項19】
前記第1の基板の外面内に複数の離間したキャステレーションが形成された請求項18に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項20】
前記第1の基板の外面上に複数の離間した導電パッドが形成されており、前記複数の導電パッドのうちの少なくとも1つは電子回路基板に電気的に接続可能である請求項18に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項21】
前記トランスミッタモジュールから伝送される電力量が約100μW~約10Wの範囲である請求項16に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項22】
前記トランスミッタアンテナは、複数の導体と、前記複数の導体の各々の間に配置された少なくとも一つの絶縁体とを備え、前記複数の導体は少なくとも1回のターンを有する請求項16に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項23】
前記電気インピーダンス整合サブ回路の内部にスイッチキャパシタサブ回路が電気的に接続されており 、前記スイッチキャパシタサブ回路は前記電気インピーダンス整合サブ回路の静電容量を動的に変更するように構成されている、請求項16に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項24】
フレックスコネクタ、基板間コネクタ、ピンソケットコネクタ、ばね接触コネクタ、ポ ゴピンコネクタ、スルーホールピン半田コネクタ、半田付けされたワイヤ接続部、それらの組み合わせからなる群から選択される電気コネクタが、前記トランスミッタアンテ ナを前記トランスミッタ電子回路に電気的に接続する請求項16に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項25】
前記制御信号が、(b)トランスミッタモジュールから伝送される電力量を規定する信号を送信するレシーバモジュールを意味する確定ステージ(identification stage)をトランスミッタモジュールとレシーバモジュールとの間で開始するようにトランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路を設定する請求項16に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項26】
前記トランスミッタ電子回路は、さらに、トランスミッタアンテナによって伝送される電気エネルギーの電力レベルを確定ステージの一部としてレシーバモジュールにより伝送される信号に基づいて設定するように構成されている請求項25に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項27】
前記トランスミッタ電子回路は、さらに、電力増幅器と、該電力増幅器への電圧を確定ステージの一部として前記レシーバモジュールによって伝送される信号に基づいて増減する電圧調整器から成る請求項26に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項28】
前記エンベロープトラッカサブ回路は、第2の抵抗と直列に電気接続された第1の抵抗から成り、該エンベロープトラッカサブ回路により出力された電圧レベルが前記第1の抵抗と第2の抵抗の間にあるノードの電圧レベルである請求項16に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項29】
前記レシーバモジュール検知サブ回路が、前記トランスミッタモジュールがアクティブモードにある間下記の機能(i)、(ii)、(iii)、(iv)を実行するように構成されている:
(i) 前記エンベロープトラッカサブ回路によって出力された電圧レベルをアクティ
ブモードに関連したアクティブ電圧レベルに対する電圧変化を求めてモニタする、
(ii) 前記アクティブ電圧レベルに対する電圧変化が検出されたとき、その検出し
た電圧変化を所定の電圧閾値と比較する、
(iii) その検出した電圧変化がその所定の電圧閾値を越えたとき、前記トランス
ミッタモジュールマスタ制御サブ回路を構成する制御信号を出力して、前記トラン
スミッタモジュールをアイドリングモードに切り替えて戻す、
請求項16に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項30】
前記トランスミッタ電子回路がさらに電力ステージインバータサブ回路から成る請求項16に記載のトランスミッタモジュール。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2016年8月26日に出願された米国仮特許出願第62/379,940号の優先権を主張し、その開示の全体は参照によって本明細書に組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、電気エネルギー及びデータの無線送信に関する。より詳細には、本出願は、複数の動作周波数及び周波数帯域において電気エネルギーの無線伝送を容易にする電気装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の電気コネクタは、伝統的に、対応する受け入れポートに物理的に挿入される複数のピンを用いて構成される。これらのコネクタの各半部は、一般に、後に嵌合されて電気接点を形成するオスとメスとという名で呼ばれる。
【0004】
基本的に、電気コネクタは、他の導体どうしや装置及び機器の電気端子を電気的かつ機械的に連結して電気回路を形成するのに用いられる導体を備えた電気機械装置である。電気コネクタという用語は、一般に、例えば、通信回路に利用される小型導体を大型のケーブル及びバスバー(母線)に接続するように設計された広範囲の装置をカバーする。電気コネクタは、一般に、受動型であり、プラグ(オス)とジャック(メス)とから構成される。接続は、ポータブル機器に関しては一時的であることもあれば、2つのワイヤどうしまたは装置どうしを恒久的に電気的に連結するものとして作用することもある。
【0005】
従来のコネクタの例には、USBプラグやHDMI(登録商標)プラグがある。これらのコネクタの電力レベルは、数ワットから約100ワット(例えば、最近リリースされたUSB-Cのように)の範囲に及ぶ。これらのコネクタは、また、10Gbpsまたはそれ以上のデータ能力を提供するように構成され、定格が定められる。さらに、ごく単純な「ワイヤナット」から、例えばイーサネット(登録商標)、CAN、IOリンク、及びRS485などの既知の接続インタフェース規格に大抵が準拠するもっと複雑なUSBコネクタまたはRFコネクタまでの範囲にわたる、多くのタイプのコネクタが存在する。これらのコネクタの電力レベルは、マイクロワットからメガワットにわたることがある。
【0006】
典型的なコネクタタイプは、インラインスプライスカプラ、Tタップコネクタ、ターミナルラグ、及びスタッドコネクタである。カプラは導体の端部と端部を連結する。Tタップコネクタは、スルー導体を他の導体と直角に連結する。ターミナルラグは、導体を穿孔されたタングに連結して機器の端子にボルト締めする。スタッドコネクタは導体を機器スタッドに連結する。スタッドクランプは、典型的には、スタッドに整合するようにネジ切りされるか平滑である。
【0007】
他のコネクタタイプには、一般にコンパクトな構成でワイヤをスプライシング及びテーピングするのに広く用いられるスプリットボルトコネクタがある。このスプリットボルトコネクタは、幅広で深い長手方向のスロットを有するボルト形状のキャスティングから成る。導体がスロットに挿入され、ナットがその導体をボルトの内側にまとめてクランプする。
【0008】
さらに別のタイプのコネクタは、接続された導体間の制限された動きを許容する拡張またはフレキシブルコネクタである。このコネクタのクランプ部は、柔軟性を有する短尺の銅編組によって連結されるか、または入れ子式のガイドによって整合位置に保持されることもある。
【0009】
別のタイプの従来のコネクタは、一般に整合したプラグとレセプタクルとからなる分離可能なタイプのコネクタを含む。分離可能なタイプのコネクタは、導体または導体群を回路またはシステムから分離または切り離すように設計されている。分離可能なタイプのコネクタは、通常、可搬型の装置や機器の電気配線システムへの接続に用いられる。
【0010】
従来のコネクタは、また、整形された開口部を通してプラグを挿入してねじり、プラグを適正位置にロックするように設計されているロックタイプのコネクタを含む。したがって、このロックタイプのコネクタは、接続されると、一般に、接続されたコードに対する引っ張りなどの機械的な引張によっては分離されない。
【0011】
電気コネクタは、一般に、電気接続部(例えば、ピン)の数、物理的構成、寸法、形状、接触抵抗、電気接続部間の絶縁、振動に対する耐性、汚染物及び圧力への耐性、信頼性、推定寿命(故障前の接続/切断動作の回数)、及び接続切断の容易さを含む多様なパラメータに限定されるものではないが、特徴づけられる。従来のコネクタの、ピンなどの物理的な電気接続部は電気エネルギー及びデータの通路を提供する。さらに、電力定格及びデータレートなどの電力及びデータの特性も、様々な電気コネクタを特徴づけるのに利用される。
【0012】
これらの従来のコネクタの動作は、通常、ピンとそれぞれのパッドとか、ピンを受けるポートまたはジャックなどの2つの導電部品間の物理的な接続に依存する。物理的な接続は、ピンと対応するレセプタクルなどの物理的に接触する導電部品間の比較的小さいインタフェース領域にわたって微細レベルで生じる。また、従来のコネクタは、一般に、電気信号を安全に通過させるように接続部材の十分な物理的接続を確保するために、相当な大きさの機械的な力を要する。この微細な接続領域は、過酷な環境や振動の他に、通常の動作条件下における経時的な損耗などの種々の要因によって影響を受けるようになるかもしれない。
【0013】
したがって、これらの従来のコネクタの性能及び信頼性は、それらの物理的な接続の完全性によって大きく支配される。また、これらの従来の機械的なコネクタは、一般に、適切に機能するためには高精度に位置合わせされた物理的な接触を要する。
【0014】
また、有線のコネクタは、通常、オス部とメス部との間のいかなる相対的な動きも全く許容しない。経時的に、この物理的な接触に起因して、これらの機械的な接続点は、通常、ピンまたはポートを疲労及び損傷させ得る力を受け、それによって適切な機能が阻害される。このような従来のコネクタは、摩耗、屈曲し得る、または腐食もしくは損傷される。結果として、ピンとそれぞれのポートなどの対応するオス部とメス部との間の物理的な接続は低質化し、それにより、障害を受けた、または動作不能なコネクタに起因して、それらの間におけるデータまたは電気エネルギー転送の損失が生じる。消費者、医療、軍事、または産業環境における汚染物質、湿気、及び液体の侵入は、災害、危険、または脅迫的な条件を生じ得る明白な機能喪失を含む望ましくない問題を引き起こし得る。欠陥のある物理的な接続に起因する不適切な機能性に加えて、ユニバーサル非同期レシーバ及びトランスミッタプロトコル(Universal Asynchronous Receiver and Transmitter Protocol, UART)、集積プロトコル間(I2C)、シリアルペリフェラルインタフェースプロトコル(Serial Peripheral Interface Protocol、SPI)などの有線通信の方法は、種々の無線通信方法と比較して、制限された帯域幅性能を有し得る。
【0015】
その上、オートメーション及びロボット工学の発達が、多くの様々な産業装置のダイナミックに動く部品とアセンブリとの間で電力を転送する需要を増大させた。これらの条件下で慣用的な有線の電気コネクタを用いて電力を転送することは相当に困難である。
【0016】
上述した欠点に加えて、このような従来のコネクタには、一般に、コネクタから延びる電気コードがある。このような電気コードは、一般に、損傷を受けてデータまたはエネルギー転送の損失を生じることがあるため望ましくない。また、このような電気コードは、重要なスペースを過度に占有し、ユーザーにとって障害となり得る。その上、露出したまたは損傷したコードは、滅菌された環境を汚染することがある。また、このような露出または損傷したコード、例えば、電気絶縁を失ったコードは、危険物になり得るとともに、人間と動物の両方に潜在的に電気ショックの原因になることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、これらの問題を解決するために、本発明は無線コネクタシステムを提供する。実施形態において、本出願の無線コネクタシステムは、ニアフィールド磁気結合(near field magnetic coupling, NFMC)を用いて、離間したトランスミッタモジュールとレシーバモジュールとの間で電力及び/またはデータの無線伝送を可能にする。実施形態において、それぞれのトランスミッタ無線モジュール及びレシーバ無線モジュールは、絶縁され、及び/またはハーメチックシールされてもよい。
【0018】
本発明のコネクタは、露出した接触ピンと、その接触ピンを、電気部品表面実装(surface mount, SMT)アセンブリプロセスを用いてプリント回路基板(printed circuit board, PCB)またはフレキシブル回路基板(flexible circuit board, FPC)などのより大きい電気回路上に組み付けることを可能にする機構とを有する。
【0019】
したがって、有線コネクタに対する必要性を置き換えまたは解消することができるフォームファクタを有する電気コネクタが提供される。
【0020】
本出願の無線コネクタシステムは、2つの部品を物理的に連結する電気コネクタなどの物理的な接続に対する必要性を解消する無線電力リンクを提供する。したがって物理的な接続を解消することによって、無線コネクタまたは電力リンクが完全にカプセル化でき、液体や他の残積物が適切な機能性を阻害することを防止することができる。物理的な接触がないので、コネクタの機械的及び環境的なストレスと摩耗とが解消され、電力及びデータを転送するためのより信頼性のある丈夫なリンクが実現する。この解決手法は、また、従来のコネクタと比較してトランスミッタとレシーバとの間のより大きな位置不整合及び/または相対的な動きを可能にする。これによって、これらのコネクタを、以前は有線コネクタに対してはその限界によって考えられなかった用途に用いることが可能になる。
【0021】
本出願の態様のうちの1つ以上において、無線信号を送信するように構成されたトランスミッタアンテナを支持する第1の基板を有するトランスミッタモジュールを含む無線コネクタシステムが提供される。さらに、前記無線コネクタシステムは、前記トランスミッタアンテナに電気的に接続されたトランスミッタモジュール電子回路を支持する第2の基板を含む。さらに、前記トランスミッタ電子回路と前記トランスミッタアンテナとの間に第1の絶縁体が配置されている。無線コネクタシステムは、さらに、無線信号を受信するように構成された受信アンテナを支持する第3の基板を有するレシーバモジュールを含む。また、無線コネクタシステムは、前記レシーバアンテナに電気的に接続されたレシーバモジュール電子回路を支持する第4の基板を含む。さらに、前記レシーバモジュール電子回路と前記レシーバアンテナとの間に第2の絶縁体が配置されている。
【0022】
本出願の前記無線コネクタシステムの前記トランスミッタモジュール及び前記レシーバモジュールは、前記トランスミッタモジュールと前記レシーバモジュールとの間のより大きな離間距離にわたって無線伝送される電力の大きさを増大させる電気回路を備えて設計されている。さらに、前記無線コネクタシステムは、電気エネルギー転送モジュール、熱、または不所望な異物体の存在を検出する種々のセンサを備えて構成してもよい。実施形態において、前記トランスミッタモジュール及び/または前記レシーバモジュールの動作は、前記モジュール内に組み込まれてもよいし組み込まれなくてもよい種々のセンサから得られる情報によってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1は、本出願の無線コネクタシステムの実施形態のブロック図を示す。
【0024】
図2は、本出願の無線コネクタシステムの実施形態のブロック図を示す。
【0025】
図3乃至
図6は、トランスミッタモジュールの実施形態の電気的なブロック図を示す。
【0026】
図7、
図8A、及び
図8Bは、本出願のトランスミッタ回路またはレシーバ回路のインピーダンス整合回路内に組み込まれ得るスイッチングキャパシタンス回路の実施形態を示す。
【0027】
図9乃至
図12は、トランスミッタ回路の実施形態の電気的な概略図を示す。
【0028】
図13は、本出願の無線コネクタシステムのレシーバモジュールの実施形態のブロック図を示す。
【0029】
図14は、レシーバモジュール内のレシーバ回路の実施形態の電気的な概略図を示す。
【0030】
図15は、レシーバモジュールの実施形態の電気的なブロック図を示す。
【0031】
図16は、レシーバモジュール内のレシーバ回路の実施形態の電気的な概略図を示す。
【0032】
図17は、レシーバモジュールの実施形態の電気的なブロック図である。
【0033】
図18A乃至
図18Dは、トランスミッタ回路またはレシーバ回路において利用され得るインピーダンス整合回路内のキャパシタの実施形態を示す。
【0034】
図19乃至
図21は、本出願のトランスミッタモジュール及びレシーバモジュールの実施形態を示す。
【0035】
図22乃至
図23は、ホスト装置に電気的に接続された本出願の無線コネクタのトランスミッタモジュール及びレシーバモジュールの実施形態を示す。
【0036】
図24は、トランスミッタモジュールハウジング及びレシーバモジュールハウジング内の遮蔽材料及びスペーサ材料に対するアンテナとトランスミッタ及びレシーバ回路基板との位置の実施形態を示す。
【0037】
図25及び
図26は、トランスミッタモジュール及びレシーバモジュールをホスト装置の回路基板に電気的に接続する実施形態を示す。
【0038】
図27乃至
図30は、本発明のトランスミッタモジュールまたはレシーバモジュールの代替構造の実施形態を示す。
【0039】
図30Aは、
図30に示す組み付けられたトランスミッタモジュールまたはレシーバモジュールの実施形態の断面図である。
【0040】
図31乃至
図34は、回路基板に実装された
図27乃至
図30に示すトランスミッタモジュールまたはレシーバモジュールの種々の実施形態を示す。
【0041】
図35は、トランスミッタモジュール及びレシーバモジュールのいずれかまたは両方において利用され得るアンテナの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下の説明では、関連する教示の完全な理解を提供するために、例示的に多くの具体的な詳細に言及する。しかし、本教示がこのような詳細無しに実施され得ることは当業者には明らかなはずである。その他の例では、周知の方法、手順、構成要素、及び/または回路は、本教示の態様が不必要に曖昧になることを避けるために、詳細を伴わずに比較的上位概念で説明されている。
【0043】
本開示の無線コネクタシステム10は、電気エネルギー及び/またはデータの無線転送を提供する。より詳細には、本発明の無線コネクタシステム10は、ニアフィールド磁気結合を介して電気エネルギー及び/またはデータの無線転送を提供する。実施形態において、無線コネクタシステム10は、電気エネルギーを伝送するように構成されたトランスミッタモジュール12と、このトランスミッタモジュール12によって伝送された電気エネルギーを受け取るように構成されたレシーバモジュール14とを備える。実施形態において、トランスミッタモジュール12はレシーバモジュール14から離間して配置され、これによって、電気エネルギーがトランスミッタモジュール12から離間距離またはギャップ16(
図2、及び
図19乃至
図22)を越えて無線伝送され、レシーバモジュール14によって受け取られる。したがって、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14との組み合わせによって、その間に物理的な接続を必要とせずに電気エネルギーが無線伝送され得るように無線コネクタシステム10を提供する。
【0044】
本出願において、本発明概念は、特に、ニアフィールド磁気結合(NFMC)に関する。ニアフィールド磁気結合は、送信アンテナと対応する受信アンテナとの間の磁気誘導を介して電気エネルギー及び/またはデータの無線転送を可能にする。ニアフィールド通信インタフェース及びプロトコルモードに基づくNFC規格は、ISO/IEC規格18092によって規定されている。また、本明細書で定義されるように、「誘導充電」は、交流電磁界を利用して2つのアンテナ間で電気エネルギーを転送する無線充電技術である。「共振誘導結合」は、同様の周波数で共振するように調整された2つの磁気結合したコイル間の電気エネルギーのニアフィールド無線伝送として本明細書で定義される。本明細書で定義されるように、「分路」という用語は、電流または電圧が通過し得るように回路の2つの点を電気的に連結することによって生成された導電路である。本明細書で定義されるように、「相互インダクタンス」は、第1の回路に磁気的に結合した第2の回路内の電流の変化による回路内の起電力の生成量である。本明細書で定義されるように、「遮蔽材料」は、磁界を捕捉する材料である。遮蔽材料の例には、限定されるものではないが、マンガン亜鉛、ニッケル亜鉛、銅亜鉛、マグネシウム亜鉛、及びそれらの組み合わせなどのフェライト材料を含んだ亜鉛などのフェライト材料が含まれる。したがって、遮蔽材料を用いて、電気回路内または電気回路の近くの遮蔽材料の位置に応じて、磁界を寄生金属などの物体に向け、または物体から遠ざけることができる。また、遮蔽材料を用いて磁界の形状及び方向性を変更することができる。本明細書で定義されるように、寄生金属などの寄生材料は、インダクタアンテナにおいて渦電流損失を誘起する材料である。このことは、通常、アンテナのインダクタンスの減少及び抵抗の増加、すなわちクオリティファクタの減少によって特徴付けられる。
【0045】
図1は、本発明の無線コネクタシステム10の包括的なブロック図を示す。図示するように、システム10は、ギャップ16だけレシーバモジュール14から離間したトランスミッタモジュール12を備える。トランスミッタモジュール12は、トランスミッタアンテナ20に電気的に接続されたトランスミッタモジュール回路18を備える。実施形態において、トランスミッタアンテナ20は、電力及び/またはデータの無線転送を容易にする1つまたは複数のアンテナを備え得る。実施形態において、トランスミッタモジュール回路18は、電源(不図示)、またはトランスミッタモジュール12に電気的に接続されたトランスミッタホスト装置22から受信する電気エネルギーを変化させるように構成されている。実施形態において、トランスミッタホスト装置22は、電気的に操作される装置、回路基板、電子アセンブリ、または他の電子装置を備え得る。トランスミッタホスト装置の例には限定されるものではないが、医療装置、コンピュータなどの集積回路を備える装置、及び、限定されるものではないが電子部品を用いて構成された眼鏡及び衣服などのパーソナル電子装置が含まれる。
【0046】
トランスミッタアンテナ20は、ニアフィールド磁気誘導結合を介したトランスミッタモジュール回路18による無線伝送のために調整及び変更された電気エネルギーを無線送信するように構成されている。実施形態において、トランスミッタモジュール12はトランスミッタホスト装置22によって電力供給され得る。
【0047】
実施形態において、レシーバモジュール14は、レシーバモジュールアンテナ26に電気的に接続されたレシーバモジュール回路24を備える。レシーバアンテナ26は、トランスミッタモジュール12によって伝送される電気エネルギー及び/またはデータを受け取るように構成されている。実施形態において、レシーバモジュール回路24は、受信した無線電気エネルギーを調整するように構成されており、これによって、当該無線電気エネルギーを用いて装置に電力供給し、またはバッテリまたはキャパシタなどの電気エネルギー蓄積装置に電気エネルギーを供給することができるようになっている。
【0048】
実施形態において、レシーバモジュール14は、レシーバホスト装置28に電気的に接続されている。実施形態において、レシーバホスト装置28は、電気的に操作される装置、回路基板、電子アセンブリ、または他の電子装置を備える。レシーバホスト装置の例には、限定されるものではないが、医療装置、コンピュータなどの集積回路を備える装置、及び、限定されるものではないが電子部品を用いて構成された眼鏡及び衣服などのパーソナル電子装置が含まれる。実施形態において、レシーバモジュール14は、レシーバホスト装置28から供給される電源105(
図17)から電力供給され得る。なお、トランスミッタモジュール12及びレシーバモジュール14は、トランシーバとして構成され得ることによって、トランスミッタ12とレシーバモジュール14とのいずれかまたは両方が、電力及び/またはデータを送受することが可能になる。
【0049】
実施形態において、トランスミッタモジュール12及びレシーバモジュール14は、同じホスト装置に接続されてホスト装置内の電気エネルギーの無線転送を容易にし得る。これに代えて、トランスミッタモジュール12及びレシーバモジュール14が異なるホスト装置に接続されることによって、2つの異なる装置間の電気エネルギーの無線転送を容易にしてもよい。
【0050】
図2は、本出願の無線コネクタシステム10の実施形態のブロック図を示す。図示するように、トランスミッタモジュール回路18は、ゲートドライバ30及び電力増幅器32を備える。トランスミッタホスト装置22からの電圧源及び電気グランドは、トランスミッタモジュール回路18のゲートドライバ30及び電力増幅器32に電気的に接続されている。実施形態において、ゲートドライバ30を用いて電力増幅器32の動作を制御する。さらに、トランスミッタホスト装置22からの制御信号及びパルス幅変調信号は、トランスミッタモジュール回路18のゲートドライバ30に電気的に接続されている。実施形態において、制御信号及びパルス幅変調信号を用いてトランスミッタモジュール12の動作を制御する。レシーバアンテナ26、整流器34、及び電圧レギュレータ36を備えて示されたレシーバモジュール14は、トランスミッタモジュール12からギャップ16だけ離間して配置されている。図示するように、レシーバホスト装置28及びレシーバモジュール回路24に電気的に接続された電力線は、レシーバモジュール14を出て、接続されたレシーバホスト装置28に電力を供給する。実施形態において、制御信号及びパルス幅変調信号を用いてトラスミッタモジュール12の動作を制御する。実施形態において、整流器34は、受け取った無線電力を交流電力から直流電力に整流する。電圧レギュレータ36は、受け取った無線電力の電圧を、当該電力がレシーバモジュール14を出る前に変化させるように構成されている。
【0051】
図3乃至
図6は、種々のトランスミッタモジュールサブ回路を備える、本発明のトランスミッタモジュール回路18の実施形態を示すブロック図である。
図3に示す実施形態に示されるように、トランスミッタモジュール回路18は、電気ドライバサブ回路38、電気インピーダンス整合またはネットワークサブ回路40、及びレシーバ検知サブ回路42を備える。さらに、トランスミッタモジュール回路18は、電圧レギュレータ36及びマスタ制御ユニット44を備えてもよい。これに代えて、図示するように、電圧レギュレータ36及びマスタ制御ユニット44をトランスミッタホスト装置22内に備えてもよい。
【0052】
実施形態において、電圧レギュレータ36は、トランスミッタホスト装置22などの電源から受け取った電気エネルギーの電圧の大きさをトランスミッタモジュール回路18によって調整するように構成されている。図示された実施形態において、電圧レギュレータ36は、電源46及びドライバサブ回路38に電気的に接続されている。実施形態において、電源46は、電気化学セル(不図示)、バッテリパック(不図示)、またはキャパシタ(不図示)などの蓄電装置を備え得る。さらに、電源46は、トランスミッタホスト装置22からの交流電源または直流電源を備え得る。実施形態において、ドライバ回路38は、電気インピーダンス整合またはネットワークサブ回路40、及び/またはトランスミッタアッテナ20の動作を制御する。実施形態において、ドライバサブ回路38は、ハーフブリッジ集積回路などの集積回路を備え得る。実施形態において、ドライバサブ回路38は、電力の少なくとも一部を直流電力から無線伝送に供される交流電力に変換するように構成され得る。
【0053】
実施形態において、レシーバ検知サブ回路42は、レシーバモジュール14の存在を検出するように構成されている。実施形態において、レシーバモジュール14の存在が検出される場合、トランスミッタモジュール12によるレシーバモジュール14への電力及び/またはデータの無線伝送が可能になる。同様に、実施形態において、レシーバモジュール14の存在が検出されない場合、電力及び/またはデータの無線伝送は生じないように阻止される。さらに、集積回路を備え得るマスタ制御ユニット44は、ドライバサブ回路38に電気的に接続されている。実施形態において、マスタ制御ユニット44は、トランスミッタアンテナ20及びトランスミッタモジュール回路18の動作を制御する。少なくとも1つのキャパシタを備える電気インピーダンス整合またはネットワーク回路40は、電気ドライバサブ回路38及びトランスミッタアンテナ20に電気的に接続されている。インピーダンス整合回路40は、レシーバアンテナ26の電気インピーダンスをトランスミッタアンテナ20の駆動周波数において電力発生器または負荷の特性インピーダンスに調整及び整合するように設計された、キャパシタンスを生じる。
【0054】
実施形態において、トランスミッタホスト装置22などの電源46からの電力は、電圧レギュレータ36及びマスタ制御ユニット44によって受け取られる。電源46からの電力の第1の部分は、マスタ制御ユニット44などのトランスミッタモジュール12の構成要素に電力供給するように構成されている。電源46からの電力の第2の部分は、レシーバモジュール14への無線伝送のために調整及び変更される。実施形態において、電圧レギュレータ36は、電力の第2の部分の電圧の大きさを変化させて、レシーバホスト装置28の電圧要求に適合させる。無線伝送のためにトランスミッタモジュール回路18によって調整された電力の第2の部分は、トランスミッタアンテナ20によって受け取られ、レシーバモジュール14に無線伝送される。
【0055】
実施形態において、
図4に示すように、トランスミッタモジュール回路18は、デュアル電界効果トランジスタ電力段インバータなどの電力段インバータ48を用いて構成されてもよい。実施形態において、電力段インバータ48は、ドライバサブ回路38及びネットワークアナライザサブ回路40に電気的に接続された電気増幅器である。実施形態において、トランスミッタモジュール回路18内への電力インバータ48の追加によって、大きさが増大された電力の無線伝送が可能になる。例えば、インバータサブ回路48の追加によって、トランスミッタモジュール12が約300mW~約600mWの電力を伝送することが可能になる。電力段インバータ48の実施形態を用いない場合、トランスミッタモジュール12は、約100mW~約300mWの電力を伝送するように構成される。また、電力段インバータ48は、伝送される電力を直流電力から交流電力に変化させるように構成され得る。
【0056】
図5に示すように、トラスミッタモジュール回路18は、多様な検知回路を用いて構成され得る。レシーバ検知サブ回路42に加えて、トランスミッタモジュール回路18は、熱検知サブ回路50及び/または物体検知サブ回路52を用いて構成されてもよい。図示するように、熱検知サブ回路50及び物体検知サブ回路52は、トランスミッタマスタ制御ユニット44に電気的に接続されている。熱検知サブ回路50は、トランスミッタモジュール12内の温度をモニタするように構成されている。実施形態において、マスタ制御ユニット44が熱検知サブ回路50を通してトランスミッタモジュール12内の温度が約20℃から約50℃に上昇したことを検知する場合、トランスミッタマスタ制御ユニット44はトランスミッタモジュール12の動作を阻止する。実施形態において、熱検知サブ回路50は、熱電対、負性温度係数(negative temperature coefficient, NTC)抵抗器などのサーミスタ、抵抗温度検出器(resistance temperature detector, RTD)、またはそれらの組み合わせを備え得る。実施形態において、物体検出サブ回路52は、トランスミッタマスタ制御ユニット44に電気的に接続されている。実施形態において、物体検出サブ回路52は、不所望な物体の存在を検出するように構成されている。実施形態において、マスタ制御ユニット44が物体検出サブ回路52を通して不所望な物体の存在を検出する場合、マスタ制御ユニット44はトランスミッタモジュール12の動作を阻止する。実施形態において、物体検出サブ回路52は、受容可能な電気インピーダンス値または電気インピーダンス値の範囲に反するトランスミッタアンテナ20によって観測される電気インピーダンスの変化をマスタ制御ユニット44が解析するインピーダンス変化検出方式を利用する。さらに、物体検出サブ回路52は、レシーバアンテナ26などの物体が検出されることについての既知のクオリティファクタ値またはクオリティファクタ値の範囲からの変化をマスタ制御ユニットが解析するクオリティファクタ変化検出方式を利用し得る。実施形態において、物体検出サブ回路52は、光センサ、ホール効果センサ、またはそれらの組み合わせを備え得る。実施形態において、これらのセンサは、マスタ制御ユニット44、コンピュータ(不図示)、比較器(不図示)、または当業者に既知の他の能動型または受動型のモニタ方法を用いてモニタされ得る。また、センサから取得した情報を用いてトランスミッタモジュール12、レシーバモジュール14、またはシステム10の動作を制御し得る。さらに、トランスミッタモジュール回路18は、データ54を伝送し、受け取るように構成され得る。実施形態において、トランスミッタモジュール12は、データ54の変調及び復調を介してレシーバモジュール14と通信し合うように構成され得る。実施形態において、データ54は、電圧及び/または電流の形式についての情報を含み得る。
【0057】
図6は、マスタ制御ユニット44を備える本出願のトランスミッタモジュール回路18の実施形態を示し、ドライバ回路38はハーフブリッジドライバを備え、電力段インバータ48はデュアル電界効果電力段インバータ及びインピーダンス整合回路40を備える。検知線(SNS)は、マスタ制御ユニット(MCU)44を、レシーバ検知サブ回路42、熱検知サブ回路50、及び物体検出サブ回路52のうちの少なくとも1つに接続する。
【0058】
実施形態において、
図7、
図8A、及び
図8Bに示すように、インピーダンス整合サブ回路40は、スイッチキャパシタンスサブ回路56を備え得る。実施形態において、スイッチキャパシタンスサブ回路56は、電気スイッチ58と、電気的に並列に接続された少なくとも2つのキャパシタC
1及びC
2を備える。
図7に示すように、3つのキャパシタC
1、C
2、及びC
3は電気的に並列に接続されており、スイッチ58はキャパシタC
1とキャパシタC
2との間に示されている。実施形態において、インピーダンス整合回路40の静電容量は、マスタ制御ユニット44によってスイッチ58をオン及びオフに調整することによって調整することができ、それによりインピーダンス整合サブ回路40内のキャパシタを動的に接続または切断し、結果として生じるインピーダンスを調整する。
【0059】
図8Aは、スイッチキャパシタンスサブ回路56の代替実施形態を示し、この場合にスイッチ58は、電気的に並列に接続されたキャパシタC
4とキャパシタC
5との間に電気的に接続されている。さらに、インダクタL
1及び抵抗器R
1がキャパシタC
4及びキャパシタC
5に電気的に接続されている。
図8Bは、スイッチキャパシタサブ回路56の代替実施形態を示し、トランスミッタモジュール回路18またはレシーバモジュール回路24内に組み込まれ得る第1及び第2のスイッチ58、抵抗器R
2、R
3、及びR
4、キャパシタC
6及びC
7、及びダイオードD
1~D
4を備えてインピーダンス整合回路40のインピーダンスを動的に調整する。
【0060】
図9乃至
図12は、本出願のトランスミッタモジュール回路18の実施形態を示す電気的な概略図である。実施形態において、トランスミッタモジュール回路18は、インピーダンス整合サブ回路40と、電力サブ回路60と、レシーバモジュール検知サブ回路42、熱検知サブ回路50、物体検知サブ回路52、またはそれらの組合せなどの検知サブ回路62とを備える。実施形態において、電力サブ回路60は、電源46から受け取った電力を変更及び構成してトランスミッタモジュール12を備える種々の回路に電力供給し、レシーバモジュール14への無線伝送に供される電力を供給する。
【0061】
図9及び
図10に示す実施形態に示されるように、電力サブ回路60は、ハーフブリッジドライバ回路などのドライバサブ回路38を備える。これに代えて、ドライバサブ回路38の代わりに、電力サブ回路60がマスタ制御ユニット44を備えてもよい。電源46またはトランスミッタホスト装置22からの電気エネルギーは、トランスミッタドライバサブ回路38またはマスタ制御ユニット44によって受け取られる。ドライバサブ回路38またはマスタ制御ユニット44は、電力の一部を直流電力から無線伝送に供される交流電力に変換するように構成されている。さらに、ドライバサブ回路38またはマスタ制御ユニット44は、受け取った電力の電圧の大きさを調整するように構成され得る。ドライバサブ回路38またはマスタ制御ユニット44は、また、電力を供給して、トランスミッタモジュール12を備える他の構成要素を動作させるように構成されている。
【0062】
図9及び
図10に示すトランスミッタ回路の実施形態は、電力サブ回路60に加えて、さらに、レシーバモジュール検知サブ回路42の異なる実施形態を示す。
図9の実施形態に示すように、レシーバモジュール検知サブ回路42は、電気的に直列に接続された抵抗器R
5及び抵抗器R
6と、抵抗器R
5に電気的に直列に接続されたダイオードD
5と、抵抗器R
5と抵抗器R
6との間に電気的に接続されたキャパシタC
11とを備えるエンベロープトラッカサブ回路64を備える。エンベロープトラッカ回路64は、抵抗器R
5と抵抗器R
6との間に存在するノード66にアナログ電圧信号を生成するように構成されている。実施形態において、アナログ電圧は、マスタ制御ユニット44に電気的に接続されたアナログデジタル変換器(不図示)によって受け取られる。実施形態において、レシーバモジュール14がトランスミッタアンテナ20から発せられる磁界内に配置される場合、レシーバモジュール14内のレシーバアンテナ26が発振し始める。トランスミッタアンテナ20から発せられる磁界内のレシーバアンテナ26の存在は、トランスミッタアンテナ20とレシーバアンテナ26との間の電気結合を確立し、トランスミッタアンテナ20によって検出される電気インピーダンスの変動を生じる。レシーバモジュール14のレシーバアンテナ26が磁界内に配置されたときに結果として生じる電気インピーダンスのこの変化は、ノード66に電圧の変化を生じる。したがって、この電圧信号はトランスミッタモジュール12のマスタ制御ユニット44に警告し、マスタ制御ユニット44は次いでトランスミッタモジュール12からレシーバモジュール14への電気エネルギーの伝送を開始する。例えば、電圧検知信号からトランスミッタホスト装置22またはトランスミッタマスタ制御ユニット44によって0より大きい電圧が検出される場合、レシーバモジュール14が存在すると判定する。実施形態において、レシーバモジュール14が存在すると判定される場合、ドライバサブ回路38またはトランスミッタマスタ制御ユニット44がアクティブ化され、トランスミッタホスト装置22または電源46からの電力が、トランスミッタアンテナ20によってレシーバモジュール14に無線伝送される。
【0063】
図10は、エンベロープトラッカ回路64の代替実施例を示す。抵抗器R
7、R
8、ダイオードD6、及びキャパシタC15に加えて、エンベロープトラッカ回路64は、集積回路68、キャパシタC
16、及び抵抗器R
9及びR
10を備えた集積サブ回路67を備える。実施形態において、集積サブ回路67は、ノード69で受け取ったアナログ電圧を、トランスミッタモジュール回路18内のマスタ制御ユニット44によって受け取られるデジタル信号に変換するように構成されている。
【0064】
図11及び
図12は、トランスミッタモジュール回路18の代替実施形態を示す。特に、
図11及び
図12は、電力サブ回路60の代替実施形態を示す。図示するように、
図11及び
図12の電力サブ回路60は、電界効果トランジスタQ
1(
図11)及び電界効果トランジスタQ
2(
図12)を備える。実施形態において、
図11及び
図12の電力サブ回路60は、トランスミッタアンテナ20を駆動して無線電力伝送を可能にするように構成されている。実施形態において、
図11に示すように、電力サブ回路60は、マスタ制御ユニット44からの、または、トランスミッタホスト装置22内に存在して(FET)Q
1及び無線電力転送を制御する必要な入力を生成する信号発生器などの他の信号発生器からの制御信号によってターンオン及びターンオフされる電界効果トランジスタ(FET)Q
1を備える。
図11に示す実施形態において、電力サブ回路60は、さらに、抵抗器R
11、キャパシタC
11、C
18、及びインダクタL
3~L
5を備える。
【0065】
実施形態において、
図12に示すように、電界効果トランジスタ(FET)Q
2は、抵抗器R
19~R
21、インダクタL
6、及びキャパシタC
25~C
28と集積回路72及び74とを備えた電力増幅器60に電気的に接続されて、直流の(DC)電圧入力を、トランスミッタアンテナ20を駆動して無線電力転送を可能にする交流の(AC)増幅された電圧信号に変化させる。
【0066】
電力サブ回路60に加えて、
図11及び
図12に示すトランスミッタモジュール回路18の実施形態は、さらに、レシーバモジュール検知サブ回路42の種々の実施形態を示す。
図11に示すように、レシーバ検知サブ回路42は、キャパシタC
21~C
23、抵抗器R
12~R
17、及びダイオードD
8を備えた演算増幅器76を備える。図示するように、電気インピーダンスの変化は、トランスミッタアンテナ20とキャパシタC
19及びC
20を備えるインピーダンス整合回路40との間に存在するノード78で検出される。電気インピーダンスは、次いで、ダイオードD
7、抵抗器R
18、及びキャパシタC
24によってノード80における電流信号に変換される。電流信号は、ノード80において受け取った検知信号を増幅するように構成された演算増幅器76によって受け取られる。実施形態において、演算増幅器76は、また、エンベロープ検出器電圧をレシーバが存在するか否かを判定するための設定閾値に対して比較する比較器として作用し、マスタ制御ユニット44にデジタル信号(すなわち、「ロー」(二進の0)または「ハイ」(二進の1)信号)を出力するように構成され得る。
【0067】
増幅された信号は、次いで、マスタ制御ユニット44によって受け取られる。実施形態において、検知信号を増幅することは、検出の分解能を増大させることによってレシーバモジュール14の存在に対する検出の精度を増大させる。
図12に示すさらに他の実施形態において、レシーバ検知サブ回路42は、電気インピーダンス信号変換サブ回路82及び検知制御サブ回路84を備える。実施形態において、電気インピーダンス信号変換サブ回路82は、ダイオードD
9と、キャパシタC
34に電気的に並列に接続された抵抗器R
25とを備える。検知制御サブ回路84は、集積回路86、抵抗器R
22~R
27、及びキャパシタC
31~C
33を備える。実施形態において、ノード88における電気インピーダンスは、ダイオードD
9、抵抗器R
25、及びキャパシタC
34によってノード90における電流信号に変換される。電流信号は、検知制御サブ回路84内の集積回路86によって受け取られる。実施形態において、集積回路86は、電流信号を、マスタ制御ユニット44に送られてレシーバモジュール14の存在を通知する電気データ信号に変換するように構成されている。
【0068】
図13は、本発明のレシーバモジュール14内に存在するレシーバモジュール回路24の実施形態のブロック図を示す。レシーバモジュール回路24は、トランスミッタモジュール12のトランスミッタアンテナ20からニアフィールド磁気結合を介して無線伝送される電力を受け取るように構成されている。
図13に示すように、レシーバモジュール回路24は、レシーバアンテナ26、レシーバインピーダンス整合サブ回路92、整流器94、及び電圧レギュレータ96を備える。図示するように、レシーバアンテナ26は、整流器94及び電圧レギュレータ96に電気的に接続されたレシーバインピーダンス整合回路92に電気的に接続されている。実施形態において、レシーバインピーダンス整合回路92は、レシーバモジュール14の電気インピーダンスを調整して、トランスミッタモジュール12の電気インピーダンスに整合するように構成されている。整流器94は、受け取った電力を交流電力から直流電力に変化させるように構成されている。電圧レギュレータ96は、無線により受け取った電力の電圧の大きさを調整するように構成されている。
【0069】
図14は、
図13に示すレシーバモジュール回路24の実施例形態の電気的な概略図である。図示するように、インダクタL
9を備えるレシーバアンテナ26は、キャパシタC
35~C
37を備えるインピーダンス整合サブ回路92に電気的に接続されている。インピーダンス整合サブ回路92は、ダイオードD
10~D
13を備える整流器94と、低ドロップアウト線形電圧レギュレータを備える電圧レギュレータ96とに電気的に接続されている。
【0070】
図15は、本出願のレシーバモジュール14内のレシーバモジュール回路24の代替実施形態を示すブロック図である。図示するように、レシーバモジュール回路14は、レシーバアンテナ26、電気インピーダンス整合サブ回路92、電圧ダブラーサブ回路98、電圧レギュレータ96、及びレシーバマスタ制御ユニット100を備える。実施形態において、レシーバアンテナ26は、電気インピーダンス整合回路92に電気的に接続されており、電気インピーダンス整合回路92はレシーバアンテナ26の電気インピーダンスを、トランスミッタアンテナ20の駆動周波数において電力発生器または負荷の特性インピーダンスに動的に調整及び整合するように構成されている。実施形態において、インピーダンス整合回路92は、電圧ダブラーサブ回路98に電気的に接続されており、電圧ダブラーサブ回路98は、無線により受け取った電力を交流電力から直流電力に整流するように設計されている。電圧ダブラ回路98は、また、無線により受け取った電力の電圧を増加させる、すなわち2倍にするように構成されている。実施形態にさらに示すように、電圧ダブラーサブ回路98は電圧レギュレータ96に電気的に接続されており、電圧レギュレータ96は、無線により受け取った電力の電圧の大きさをさらに調整するように設計されている。電圧レギュレータ96は、レシーバマスタ制御ユニット100に電気的に接続されている。実施形態において、レシーバマスタ制御ユニット100は、レシーバモジュール14内のレシーバモジュール回路24を動作させるように構成されている。実施形態において、トランスミッタモジュール12から無線により受け取られてレシーバモジュール回路24によって変更された電力は、ホスト装置に電力供給するために用いられ、及び/または電気化学セルまたはキャパシタなどの蓄電装置102を電気的に充電するために用いられ得る。
【0071】
図16は、
図15に示すレシーバモジュール回路24の電気的な概略図を示す。図示するように、インダクタL
10を備えるレシーバアンテナ26は、少なくとも1つのキャパシタを備える電気インピーダンス整合サブ回路92に電気的に接続されている。図示するように、電気インピーダンス整合サブ回路92はキャパシタC
40~C
42を備える。
図16にさらに示すように、電気インピーダンス整合回路92は、ダイオードD
14、D
15及びキャパシタC
43を備える電圧ダブラーサブ回路98に電気的に接続されている。レシーバモジュール回路24内の電圧ダブラーサブ回路98の組み込みは、無線により受け取った電力を整流し、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14との間の離間距離16を越えて伝送され得る電力の量を増大させる。さらに、電圧レギュレータ96を備える電圧レギュレータサブ回路97は、抵抗器R
28~R
30及びキャパシタC
44及びC
45に電気的に接続されており、電圧ダブラーサブ回路98に電気的に接続されている。
【0072】
実施形態において、電圧ダブラーサブ回路98は、レシーバモジュール回路24が感じる電気インピーダンスの減少に起因して増大したシステム効率を可能にする。実験結果は、レシーバモジュール回路24内の電圧ダブラーサブ回路98の組み込みは、無負荷条件下で回路24の電気インピーダンスを約301Ωから約31Ωに減少させ、全負荷条件下で電気インピーダンスを約154Ωから約4.9Ωに減少させ、97%もの電気インピーダンスの減少である。電圧ダブラーサブ回路98がレシーバモジュール回路24の電気インピーダンスを著しく減少させるため、レシーバモジュール回路24内の電圧ダブラーサブ回路98の組み込みは、こうして所与の周波数においてモジュール離間距離16を越えてより大きい量の電力の伝送を生じる。また、電圧ダブラーサブ回路98は、減少した構成要素サイズと増加したシステム性能とを可能にする。その上、電圧ダブラーサブ回路98は、システム10の動作、特に、他の整流トポロジー(例えば、全波整流器)と比較してより広いモジュール離間距離16を越える電気エネルギー及びデータの無線転送を可能にする。例えば、電圧ダブラーサブ回路98を用いて構成された本発明のレシーバモジュール14は、約0.5mm~約5mmのモジュールの離間距離16を越える電気エネルギー及び/またはデータの無線転送を可能にする。比較として、電圧ダブラーサブ回路98を用いて構成されていないレシーバモジュールは、約0.5mm~約2mmのモジュール離間距離16を越える電気エネルギー及び/またはデータの転送を可能にする。したがって、電圧ダブラーサブ回路98は、モジュール離間距離16の約100パーセントまたは約2倍だけモジュール離間距離16の増大を可能にする。また、より近い離間距離において、ゲートドライバまたはFET電力段の電気インピーダンスが減少して増加した無線電力送達を可能にする。
【0073】
図17は、本出願のレシーバモジュール回路24の実施形態のブロック図を示す。図示するように、レシーバマスタ制御ユニット100、レシーバアンテナ26、整流器94、及び電圧レギュレータ96に加えて、レシーバモジュール回路24が熱検知サブ回路104を用いて構成され得る。実施形態において、熱検知サブ回路104は、レシーバモジュール14内の温度をモニタするように構成されている。実施形態において、レシーバマスタ制御ユニット100が熱検知サブ回路104を通してレシーバモジュール内の温度が約20℃から約50℃に上昇することを検出する場合、レシーバマスタ制御ユニット100はレシーバモジュール14の動作を阻止する。さらに、レシーバモジュール14は、トランスミッタモジュール12との間でデータを送受信するように構成され得る。実施形態において、レシーバモジュール14は、トランスミッタモジュール12からのデータを変調及び復調してトランスミッタモジュール12との間の通信を可能にするように構成され得る。実施形態において、本出願の無線コネクタシステム10は、帯域内振幅、位相、及び/または周波数シフトキーイング通信などの帯域内通信用に構成され得る。さらに、本出願の無線コネクタシステム10は、帯域外通信用に構成されてもよい。帯域内通信は、無線電力信号にわたる情報/データの転送に基づく。無線電力信号はキャリア周波数であり、種々の方法(振幅、周波数、及び位相)によりこのキャリア周波数を変調してデータを送達する。帯域外通信は、無線電力信号とは別の外部信号を利用してデータ/通信を送達する。
【0074】
図18A~18Dは、レシーバモジュール回路24及び/またはトランスミッタモジュール回路18内で利用され得るインピーダンス整合サブ回路40、92の実施形態を示す。図示するように、
図18Aの実施形態において、インピーダンス整合回路40、92は、電気的に並列に接続された2つのキャパシタC
46及びC
48と、キャパシタC
46とキャパシタC
48との間に電気的に接続された分路キャパシタC47とを備え得る。
図18Bは、分路キャパシタC
50がキャパシタC
49とキャパシタC
51との間に電気的に並列に接続された実施形態を示す。
図18Cは、電気インピーダンス整合回路が受信アンテナまたはトランスミッタアンテナの正極側に電気的に接続された少なくとも1つのキャパシタC
52を備え得る実施形態を示す。
図18Dは、2つのキャパシタC
53及びC
54がそれぞれ、受信アンテナまたはトランスミッタアンテナのそれぞれ正極端子及び負極端子に電気的に接続された実施形態を示す。
【0075】
実施形態において、
図18Aまたは
図18Bに示されたものなどの分路キャパシタを組み込むことによって、電力をより大きい離間距離16を越えて伝送することが可能になる。実施形態において、直列のみの調整トポロジーと比較して、分路キャパシタを用いて、受け取った電圧をレシーバ整流器34内へと昇圧する。分路キャパシタは、ある距離において転送され得る電力の大きさを増加させるとともにシステムの最大動作距離を増加させるために、アンテナの抵抗を変化させることを可能にする。実施形態において、
図18Aまたは
図18Bに示すように、レシーバモジュール回路24の電気インピーダンス整合サブ回路92内に分路キャパシタを組み込むことによって、電力を2mmの離間距離にわたって無線伝送することが可能になる。発明者等は、レシーバモジュール14のレシーバモジュール回路24の電気インピーダンス整合サブ回路92内に分路キャパシタを用いない場合、電力の無線伝送が及ぶ離間距離が短くなることを見出した。例えば、発明者等は、同じ大きさの伝送電力に対し、分路キャパシタを備えないレシーバモジュールと比較して、約50パーセント長い離間距離16にわたって電力を無線伝送することが可能になることを見出した。
【0076】
図19~
図22は、トランスミッタモジュール12及びレシーバモジュール14を備える無線コネクタシステム10の実施形態を示す。図示するように、トランスミッタモジュール12は、トランスミッタモジュール回路18及びトランスミッタアンテナ20を内部に収容するトランスミッタモジュールハウジング106を備える。レシーバモジュール14は、レシーバモジュール回路24及びレシーバアンテナ26を内部に収容するレシーバモジュールハウジング108を備える。実施形態において、トランスミッタモジュールハウジング106とレシーバモジュールハウジング108とのいずれかまたは両方は、ハーメチックシールされている。実施形態において、トランスミッタモジュールハウジング106とレシーバモジュールハウジング108との少なくとも一方は、高分子材料、金属、セラミック材料、またはそれらの組み合わせからなり得る。さらに、トランスミッタモジュールハウジング106とレシーバモジュールハウジング108とのいずれかまたは両方は、封止材料(不図示)内に埋め込まれ得る。この封止材料は、モジュール12、14の回路を保護するのに役立ち、ハーメチックシールを確保するのに役立つ。なお、無線コネクタシステムの動作中に、トランスミッタモジュール12及びレシーバモジュール14は、モジュール離間距離16がモジュール12とモジュール14との間にわたるように配置されている。実施形態において、モジュール離間距離16は、約0.1mm~約5mmの範囲にわたり得る。実施形態において、システムの動作中におけるトランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14との間のモジュール離間距離またはキャップ16は、約01mm~約2mmの範囲にわたる。実施形態において、本発明の無線コネクタシステム10は、5MHzより大きい周波数で約1mW~約200mWを無線伝送するように構成されている。実施形態において、無線コネクタシステム10は、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14との間において、約1MHz~約50MHzの範囲にわたる周波数で約1mW~約200mWを無線送信するように構成されている。実施形態において、無線コネクタシステム10は、限定されるものではないが、100kHz、6.78MHz、10MHz、13.56MHz、27.12MHz、433MHz、915MHz、1.8GHz、2.4GHz、60GHz、及び5.7GHzを含み得る任意の周波数または複数の周波数で動作し得る。さらに、このような周波数は、認可周波数帯域を含み得る。
【0077】
実施形態において、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14の両方はコンパクトなサイズである。実施形態において、トランスミッタモジュール12は、トランスミッタモジュール近位端112からトランスミッタモジュール遠位端114まで延びる長さ110を有する。このトランスミッタモジュール12はこの長さ110にほぼ垂直な方向のトランスミッタモジュール幅116を有する。実施形態において、レシーバモジュール14は、レシーバモジュール近位端122からレシーバモジュール遠位端124まで延びる長さ120を有する。このレシーバモジュール14は、長さ120にほぼ垂直な方向のレシーバモジュール幅126を有する。
図19に示すように、実施形態において、トランスミッタモジュール12は、トランスミッタモジュール長さ110にほぼ垂直に延在するトランスミッタモジュール高さ118を有する。実施形態において、レシーバモジュール14は、レシーバモジュール長さ120にほぼ垂直に延びるレシーバモジュール高さ128を有する。
【0078】
実施形態において、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14のいずれかまたは両方は、表面実装されるように構成されている。実施形態において、
図22に示すように、複数のブラケット130が、モジュール12、14をそれぞれのホスト装置の回路基板132に対して支持し、電気的に接続する。さらに、
図21に示すように、モジュール12、14の各々は、トランスミッタモジュールハウジング106及び/またはレシーバモジュールハウジング108の外面の内側に存在する複数のキャステレーション134を備え得る。これらのキャステレーション134は、表面実装(不図示)が内部に配置され得るスペースを提供して、モジュール12、14を表面に機械的に固定し、ホスト装置への電気的接続を与える。
【0079】
実施形態において、
図23に示すように、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14の少なくとも一方は、モジュールハウジング106、108の外面のエッジに配置された複数の金属パッド136を備える。これらの金属パッド136は、回路基板132またはホスト装置22、28にモジュール12、14の電気接点を与えるように設計されている。また、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14との少なくとも一方は、モジュールハウジング106、108の外面から外側に延在する少なくとも1つのポスト138を備え得る。これらのポスト138は、少なくとも1つのトランスミッタモジュール12及びレシーバモジュール14を回路基板132またはホスト装置22、28に対して支持し、機械的に固定する。さらに、モジュール12、14は、溶接、半田付け、ピンなどの締結具、ばね接触などの使用によってそれらのそれぞれのホスト装置に電気的に接続され得る。
【0080】
図24は、モジュール12、14内のそれぞれのハウジング106、108内の構造の実施形態を示す。実施形態において、モジュール12、14の各々は、それぞれのトランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26と、トランスミッタモジュール12またはレシーバモジュール14のハウジング106、108内に存在するモジュール回路基板とを備えて構成されている。実施形態において、トランスミッタモジュール回路基板140はトランスミッタモジュールハウジング106内に存在し、レシーバモジュール回路基板142はレシーバモジュールハウジング108内に存在する。実施形態において、トランスミッタアンテナ20及びレシーバアンテナ26は、それらのそれぞれのモジュール12、14の遠位端におけるハウジング106、108内に存在する。実施形態において、トランスミッタモジュール140とレシーバモジュール回路基板142はそれぞれのトランスミッタモジュールハウジング106およびレシーバモジュールハウジング108のそれぞれのモジュール12および14の近位端にある。実施形態において、フレックスコネクタ、基板間コネクタ、ピンソケットコネクタ、ばね接触コネクタ、ポゴピンコネクタ、スルーホールピン半田コネクタ、半田付けワイヤコネクタ、またはそれらの組み合わせを用いて、トランスミッタアンテナ20はトランスミッタモジュール回路基板140に電気的に接続されている。
【0081】
実施形態において、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14の少なくとも一方は、そのハウジング106、108内に配置された電気絶縁性の非磁性材料からなるスペーサ144をもって構成してもよい。実施形態において、少なくとも1つのスペーサ144は、それぞれハウジング106、108内の、トランスミッタモジュール回路基板140またはレシーバモジュール回路基板142と送信アンテナ20または受信アンテナ26との間に配置されている。実施形態において、少なくとも1つの遮蔽材料146は、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14とのいずれかまたは両方のハウジング106、108内に配置され得る。実施形態において、少なくとも1つの遮蔽材料146は、それぞれハウジング106、108内の、トランスミッタモジュール回路基板140またはレシーバモジュール回路基板142とトランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26との間に配置されている。実施形態において、少なくとも1つの遮蔽材料146は、トランスミッタモジュール回路基板140またはレシーバモジュール回路基板142と少なくとも1つのスペーサ144との間に配置され得る。実施形態において、少なくとも1つの遮蔽材料146は、少なくとも1つのスペーサ144とトランスミッタモジュールアンテナ20またはレシーバモジュールアンテナ26との間に配置され得る。
図25に示す例に示されるように、トランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26は、それぞれのモジュール12、14の遠位端に配置されている。スペーサ144はアンテナ20、26の近位に配置されており、遮蔽材料146はスペーサ144の近位に配置されており、トランスミッタモジュール回路基板140またはレシーバモジュール回路基板142はモジュール12、14の近位端に配置されている。実施形態において、本発明の無線コネクタシステム10の動作中に、トランスミッタモジュール12及びレシーバモジュール14のそれぞれのアンテナ20、26は、モジュール離間距離16を隔てて互いに対向配置されている。さらに、以下の表1は、ハウジング106、108内の位置の様々なシーケンスを示す。なお、位置1はモジュールの近位端112、122であり、位置4はモジュール12、14のそれぞれの遠位端114、124である。位置2は位置1の遠位にあり、位置3は位置2の遠位にある。
【表1】
【0082】
実施形態において、回路基板はトランスミッタモジュール回路基板140またはレシーバモジュール回路基板142の一方でよく、アンテナはトランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26の一方でよい。スペーサ144は、空気、FR4、高分子材料、またはそれらの組み合わせなどの電気絶縁性材料から成る。遮蔽材料146は、フェライト材料、金属、またはそれらの組み合わせから成る。なお、表1の実施例3及び実施例4に詳述されているように、遮蔽材料146をトランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26に近づけて配置すると、電気インダクタンスが増大し、その結果としてトランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14との間の相互インダクタンスが改善される。
【0083】
さらに
図25に示すように、導電ブラケット130はトランスミッタモジュール12及びレシーバモジュール14のそれぞれの回路基板140、142をホスト装置に電気的に接続する。
図25及び
図26に示す実施形態に示すように、ホスト装置は回路基板である。
図26は、導電ブラケット130が位置1と位置2との間に配置されたさらなる実施形態を示す。
図26に詳細に示すように、ブラケット130はトランスミッタ回路基板140またはレシーバ回路基板142と遮蔽材料146との間に配置されている。これに代えて、ブラケット130は、トランスミッタ回路基板140またはレシーバ回路基板142とスペーサ144との間に配置されてもよい。
【0084】
図27~
図34は、ハイブリッドリジッドフレックスプリント回路基板構成を有するトランスミッタモジュール148及びレシーバモジュール150の代替実施形態を示す。この構成において、トランスミッタモジュール電力回路基板152またはレシーバモジュール電力回路基板154のいずれかのモジュール電力回路基板は、それぞれトランスミッタアンテナアセンブリ156またはレシーバアンテナアセンブリ158のいずれかのアンテナアセンブリに電気的に接続されている(
図27)。電気ブリッジまたは電気コネクタ160は、アンテナアセンブリ156、158とモジュール電力回路基板152、154との間に延在してこれらを電気的に接続する。この構成を用いて、1つまたは複数のリジッド(FR4)回路基板レイヤの内側にトランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26を備える1つまたは複数のフレキシブルプリント回路(FPC)レイヤを封止することによって、トランスミッタモジュール回路基板140とトランスミッタアンテナ20との間、及び/またはレシーバモジュール回路基板142とレシーバアンテナ26との間の接続を設けることができる。
【0085】
図27は、本発明のハイブリッドリジッドフレックスプリント回路基板構成を有するトランスミッタモジュール148及びレシーバモジュール150を備える構成要素の実施形態を示す。図示するように、トランスミッタモジュール電力回路基板152またはレシーバモジュール電力回路基板154のいずれかのモジュール電力回路基板は、電気コネクタ160によって、それぞれトランスミッタアンテナアセンブリ156またはレシーバアンテナアセンブリ158のいずれかのアンテナアセンブリに電気的に接続されている。実施形態において、電気ブリッジまたは電気コネクタ160は、柔軟性を有し、曲げることが可能である。実施形態において、電気ブリッジまたは電気コネクタ160は、1つまたは複数の銅シート、回路コネクタリボン、フレキシブルリボン、電気フレックスコネクタ、導電性リボン、またはそれらの組み合わせから成る。
【0086】
実施形態において、トランスミッタモジュール電力回路基板152及びレシーバモジュール電力回路基板154は、実質的に剛性で且つ多様なトランスミッタモジュール電力回路基板電気部品162またはレシーバモジュール電力回路基板電気部品164を支持するFR4またはプリント回路基板などの基板166から成る。実施形態において、これらの電気部品162、164は、それぞれトランスミッタモジュール電力回路基板152及びレシーバモジュール電力回路基板154の外面に実装される面でよい。
【0087】
実施形態において、トランスミッタアンテナアセンブリ156及びレシーバアンテナアセンブリ158は、トランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26を支持するリジッドプリント回路基板またはFR4基板などの基板168を備える。
図27に示すように、基板168は、トランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26のいずれかを支持する。フェライト材料のレイヤなどの遮蔽材料170は、トランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26上に配置されている。実施形態において、フェライト材料シートなどの遮蔽材料170は、接着剤を用いてトランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26に積層または接着してもよい。
【0088】
実施形態において、
図28に示すように、アンテナアセンブリ156、158は、それぞれ、モジュール電力回路基板152、154上に折りたたまれてトランスミッタモジュールアセンブリ172またはレシーバモジュールアセンブリ174を形成する。実施形態において、
図29に示すように、フェライト材料などの第2の遮蔽材料176は、アンテナアセンブリ156、158とモジュール電力回路基板152、154との間に配置され得る。この構成は、限定されるものではないが、以下のものを含む多くの利益をもたらす。
1.アンテナアセンブリ156、158とモジュール電力回路基板162、164との間の連続的な接続。実施形態において、アンテナアセンブリ156、158は、アンテナ20、26の導通配線がモジュール電力回路基板162、164に直接接続するように配置され得る。この構成は、全体の電気インピーダンスを低減する。
2.アンテナアセンブリ156、158及びモジュール電力回路基板162、164は単一の構造(すなわち、トランスミッタモジュールアセンブリ172またはレシーバモジュールアセンブリ174)を有し、これによって、接続信頼性及び製造歩留まりを向上させ、ディスクリート部品の数、複雑さ及びアセンブリコストを低減する。
3.当該構造は、大規模製造を可能にする、より簡略化された製造プロセスを可能にする。
4.アンテナと電力基板とを同時に試験することができるため、試験が簡略化される。
【0089】
図29は、それぞれレシーバモジュールアセンブリ172またはトランスミッタモジュールアセンブリ174を備える、本出願のトランスミッタモジュール148またはレシーバモジュール150の実施形態の分解図を示す。実施形態に示すように、トランスミッタ148及び/またはレシーバモジュール150は、トランスミッタアンテナアセンブリ156またはレシーバアンテナアセンブリ158をそれぞれトランスミッタモジュール電力回路基板152またはレシーバモジュール電力回路基板154から分離するスペーサまたはハウジング構造178を備える。これに代えて、ハウジング構造178は、トランスミッタモジュールアセンブリ172またはレシーバモジュールアセンブリ174が配置されるスペースをそれらの間に設け得る。
【0090】
実施形態において、ハウジング構造178は、電気絶縁性材料を含み、トランスミッタモジュールアセンブリ172またはレシーバモジュールアセンブリ174を、ハウジング構造178の外面上に配置され得る付加的な遮蔽材料から分離するスペーサとして作用する。
図29に示す実施形態に示されるように、ハウジング構造178の外面上に、フェライト材料などの第3の遮蔽材料180及び第4の遮蔽材料182が配置され得る。実施形態において、第3の遮蔽材料180及び第4の遮蔽材料182に剛性のある回路基板材料184のレイヤが接触配置されて、付加された構造支持体を設け得る。実施形態において、トランスミッタモジュール148またはレシーバモジュール150は、ハウジング側壁から外側へ延在する保持締結具186及び/または位置決めポスト188を備え得る。実施形態において、保持締結具186及び/または位置決めポスト188を用いて、プリント回路基板などのトランスミッタモジュールホスト装置22またはレシーバモジュールホスト装置28上にモジュール148、150を正確に配置する。実施形態において、保持締結具186及び/または位置決めポスト188は、それぞれのトランスミッタモジュールホスト装置22またはレシーバモジュールホスト装置28に対してトランスミッタモジュール12及び/またはレシーバモジュール14を保持する。さらに、保持締結具186及び/または位置決めポスト188は、それぞれのホスト装置22、28に電気的に接続され得る。
【0091】
図30は、モジュールハウジング構造178から外側に延在する保持締結具186及び位置決めポスト188を備える、組み付けられたトランスミッタモジュール148またはレシーバモジュール150の実施形態を示す。図示するように、ハウジング構造178は、トランスミッタモジュール電力回路基板152またはレシーバモジュール電力回路基板154とトランスミッタアンテナアセンブリ156またはレシーバアンテナアセンブリ158との間に配置されている。このようにして、保持締結具186は、バランスの取れた半田付けを生じるとともに半田リフロープロセス中の部品剥離のおそれを回避するのに役立つ部品保持を向上させる。また、保持締結具186及び位置決めポスト188はモジュール148、150の取り付けに対する位置整合ガイドを提供する。
【0092】
図30Aは、
図30に示す組み付けられたモジュール12、14の実施形態の断面図を示す。図示するように、モジュール回路基板140、142は、アンテナアセンブリ156、158に対向して配置されている。モジュールスペーサまたはハウジング構造178は、それらの間に配置されている。実施形態において、スペーサ178は、電気部品162、164の配置に対する様々な切除部分を有する中実構造からなり得る。これに代えて、スペーサ178が、電気部品162、164の配置に対して、それらの間に空洞スペースを有して構成されてもよい。実施形態において、スペーサ178は、モジュール回路基板140、142及びアンテナアセンブリ156、158の配置に対してそれらの間に空洞スペースを有して構成され得る。図示するように、接着レイヤ187が、モジュール回路基板140、142及びアンテナアセンブリ156、158をスペーサ178に接着するようになっていてもよい。
【0093】
図31乃至
図34は、回路基板などのホスト装置22、28に実装された、
図27乃至
図30に示すトランスミッタモジュール148及びレシーバモジュール150の種々の実施形態を示す。図示するように、モジュール148、150は、ホスト装置回路基板に電気的に接続されたパッド190を含み得る。また、
図34に示すように、モジュール148、150は、ハウジング構造178から外側に延在する位置整合脚192(
図34)を備え得る。実施形態において、位置整合脚192は、モジュール148、150がホスト装置22、28の基板194内の開口部に実装される時に、付加的な位置整合支援を提供し、付加的な機械的安定性を提供する。
図34に示す実施形態において、トランスミッタモジュール148及びレシーバモジュール150は、ホスト装置回路基板22、28の厚さを貫いて延在する開口部194内に配置され得る。
【0094】
図35は、トランスミッタモジュール12、148またはレシーバモジュール14、150のいずれかとともに用いられ得るアンテナ20、26の実施形態の上面図を示す。実施形態において、アンテナ20、26は平坦な螺旋コイル構成をなす。図示された実施形態において、アンテナは、プリント回路基板(PCB)またはフレキシブル回路基板(FCB)に集積された、導電体の交互する4つのレイヤと電気絶縁性レイヤとを備える。図示するように、アンテナ20、26は、電気的に直列に接続された2つのアンテナセグメントを備える。図示するように、アンテナ20、26は、絶縁性基板198の表面上に堆積された5つのターンの銅配線196を各配線196間に15~200ミクロンのギャップ200を備えた状態に有して構成されている。各セグメントは、電気的に並列の構成で絶縁性基板198上に配置された導電体(例えば、配線196)を備える。非限定的な例を、本出願の譲渡人に譲渡され、本明細書に全体が組み入れられる、米国特許出願第2017/0040690号、第2017/0040692号、第2017/0040107号、第2017/0040105号、第2017/0040696号、第2017/0040688号(すべてPeralta等)、第2017/0040691、第2017/0040694(Singh等)、第2017/0040693(Luzinski)、及び第2017/0040695(Rajagopalan)に見つけることができる。
【0095】
さらに、アンテナ20、26は、複数の導体間に少なくとも1つの絶縁体が配置されたマルチレイヤマルチターン(multi-layer-multi-turn, MLMT)構成を有して構成され得る。トランスミッタモジュール12、148及び/またはレシーバモジュール14、150内に組み込まれ得るMLMT構成を有するアンテナの非限定的な例を、本出願の譲渡人に譲渡され、全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第8,610,530号、第8,653,927号、第8,680,960号、第8,692,641号、第8,692,642号、第8,698,590号、第8,698,591号、第8,707,546号、第8,710,948号、第8,803,649号、第8,823,481号、第8,823,482号、第8,855,786号、第8,898,885号、第9,208,942号、第9,232,893号、第9,300,046号(すべて Singh等)に見つけることができる。なお、さらに、本発明の無線コネクタシステム10内に、限定されるものではないが、IEEE規格802.15.1などのUHF無線波周波数の信号を送受信するように構成されたアンテナなどの他のアンテナが組み込まれてもよい。
【0096】
無線コネクタシステム10は、効率的で、安定な、かつ信頼できる態様で動作して多様な動作条件及び環境条件を満たすように設計されている。システムは、データ及び/または電気エネルギーが効率的に、かつ最小の損失で伝送されるように、広範囲の熱的及び機械的ストレス環境で動作するように設計されている。さらに、無線コネクタシステム10は、スケーラビリティを可能にする製造技術を用いて、また開発者及び採用者になじみやすいコストで、小さいフォームファクタを有して設計されている。さらに、無線コネクタシステム10は、広範囲の周波数にわたって動作して広範囲の用途の要件を満たすように設計されている。
【0097】
実施形態において、本システムは、約100μW~約10Wのオーダーの電力を送信し得る。別の実施形態において、約100Wの電力も伝送され得る。特に、トランスミッタモジュール12、148とレシーバモジュール14、150との間の無線電力転送のメカニズムとしてのニアフィールド磁気結合を考慮すると、より高い動作周波数を選択する場合に、サイズが小さくなるほど、一般に達成しやすくなることは周知である。これは、必要とされる相互インダクタンスと動作周波数との反比例の関係に依るもので、次の式で示される。
【数1】
ここで、
・V
inducedはレシーバコイル上の誘導電圧
・I
txは、トランスミッタコイルを流れるAC電流
・ωは動作周波数の2π倍
【0098】
増大させた電気エネルギーの無線転送を可能にするために必要となる相互インダクタンスが増加することから、AC損失を参照しながらトランスミッタまたはレシーバのインダクタンスまたは結合を増加させることが必要である。相互インダクタンスは次の関係によって計算することができる。
【数2】
・Mはシステムの相互インダクタンス
・kはシステムの結合
・L
Txはトランスミッタコイルのインダクタンス
・L
Rxはレシーバコイルのインダクタンス
【0099】
アンテナコイルのフォームファクタが減少するにつれ、レシーバまたはトランスミッタのいずれかで必要となるインダクタンスを得ることは、必要となる多数のターンが配線幅の減少をもたらすため、アンテナコイル抵抗の増加に付随する。抵抗のこの増加は、通常、コイルのクオリティファクタと、システムの全体のコイル間効率とを減少させ、この場合にクオリティファクタは、
【数3】
と定義される。ここで、
・Qはコイルのクオリティファクタ
・Lはコイルのインダクタンス
・ωはラジアン/秒で表したコイルの動作周波数である。あるいは、Hzで表した動作周波数はωを2πで除したもの
・Rは動作周波数における等価直列抵抗
そして、コイル間効率は、
【数4】
と定義される。ここで、
・Effはシステムのアンテナ間効率
・kはシステムの結合
・Q
rxはレシーバのクオリティファクタ
・Q
txはトランスミッタのクオリティファクタ
【0100】
実施形態において、フェライト遮蔽はアンテナ構造内に組み込まれてアンテナ性能を向上させ得る。フェライト遮蔽材料の選択は、複素透磁率(μ=μ´-j*μ´´)が周波数依存であるように、動作周波数に依存する。当該材料は焼結された柔軟性を有するフェライトシートまたは硬いシールドであってもよく、様々な材料組成からなっていてもよい。材料の例には、限定されるものではないが、マンガン亜鉛、ニッケル亜鉛、銅亜鉛、マグネシウム亜鉛、及びそれらの組み合わせなどのフェライト材料を含む亜鉛が含まれ得る。
【0101】
さらに、無線コネクタシステム10の動作周波数及び電力要件に応じて、ハイブリッドリッツ線及びPCBコイルアンテナ構造組み合わせが、電力を効率的に転送するのに必要であり得る。実施形態において、ハイブリッドリッツ線とPCBコイルとの組み合わせは、被覆リッツ線のトランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26を備えることができ、トランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26のもう一方は、
図35に示すアンテナなどの回路基板の表面上に設けられたコイルを有して構成され得る。およそ100kHz~数MHzの範囲の低域側の動作周波数は、トランスミッタアンテナ20とレシーバアンテナ26との間にある一定の相互インダクタンスを要し得る。これは、
図35に示すアンテナなどの、回路基板の表面上に設けられたコイルを備えるレシーバアンテナ26と組み合わせた新規なフェライトコアを有するリッツ線構成のトランスミッタアンテナ20を用いることによって、達成可能である。
【0102】
相互インダクタンスを増加させるために、トランスミッタモジュール12、148またはレシーバモジュール14、150の結合及び/またはインダクタンスを増加させなければならない。しかし、小さいフォームファクタの制約のために、コネクタモジュールの物理的サイズによって結合が制限される。なお、
図35に示すアンテナなどの、回路基板の表面上に設けられたコイルを備える構成のトランスミッタアンテナ20及びレシーバアンテナ26を用いることは、アンテナコイルのインダクタンスを増加させるとともに抵抗を増加させ、これによりクオリティファクタQ及びアンテナ間効率を減少させ得る。
【0103】
実施形態において、リッツ線構成及び遮蔽材料のトランスミッタアンテナ20を有するトランスミッタモジュール12、148と、回路基板の表面上に設けられたコイルを備えるレシーバアンテナ26を有するレシーバモジュール14、150とを備える無線コネクタシステム10(
図35)を用いて、無線コネクタシステム10の小さいフォームファクタの結合及び相互インダクタンスを増加させ得る。より高いアンテナ間効率を達成するために、この構成を用いて、低域側周波数で高いQファクタを維持しながら必要な電力転送を達成する。これらの向上は、また、比較的小さいフォームファクタを有する無線コネクタシステム10の全性能を向上させ得る。
【0104】
コイルの設計及び構成の選択は、次の電気パラメータと磁気パラメータとの組み合わせによって決定される。
・インダクタンス
・動作周波数におけるESR(等価直列抵抗)
・結合(k)
・相互インダクタンス(M)
【0105】
低域側の動作周波数、すなわち約100kHz~約10MHzに対して、およそ約0.1mm~約100mmの増加した電力伝送を達成するために、この特定のアンテナトポロジーが有益である。例えば、相互インダクタンスの式ごとに、負荷に送達される電力が一定の場合、動作周波数が減少する一方、トランスミッタアンテナコイルとレシーバアンテナコイルとの間の相互インダクタンスは、一定の伝送電流において増加する。表2は相互インダクタンスの向上を示す。表3は結合の向上を示し、表4はアンテナ間効率の向上を示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【0106】
さらに、システム10がより高い周波数、すなわち約1MHz以上のあたりで動作する場合、必要となる相互インダクタンスが減少し、これにより、より小さいトランスミッタアンテナ20及びレシーバアンテナ26とモジュール12、14、148、150とが可能になる。本明細書で定義されるように、遮蔽材料は磁界を捕捉する材料である。その例はフェライト材料である。表2乃至表4に詳細が示される実施形態において、フェライト材料のシートが、トランスミッタアンテナ20が直接隣接して、例えばトランスミッタアンテナ20の後ろに配置される。本明細書で定義されるように、「Tコア」遮蔽材料は、トランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26の直後に配置された、フェライト材料などの遮蔽材料のシートと、トランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26の面内におけるコイルの内側領域内に配置された、フェライト材料などの付加的な第2の遮蔽材料とを備える磁界遮蔽アセンブリである。また、トランスミッタモジュール12、148またはレシーバモジュール14、150は、文字「C」に類似して構成されたフェライト材料などの遮蔽材料がアンテナ20、26に隣接して配置された「Cコア」遮蔽材料を含むそれぞれのトランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26を有して構成され得る。さらに、トランスミッタモジュール12、148またはレシーバモジュール14、150は、文字「E」に類似して構成されたフェライト材料などの遮蔽材料がアンテナ20、26に隣接して配置された「Eコア」遮蔽材料を含むそれぞれのトランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26を有して構成され得る。
【0107】
実施形態において、最大200mWの受け取りDC電力を定格とする無線コネクタシステム10は、トランスミッタモジュール12、148またはレシーバモジュール14、150の各々が約11mm×4mmのフォームファクタを有するとともに約2MHz~30MHzの範囲にわたる周波数で動作するように構成され得る。しかし、このことは、アンテナ設計における重大な困難を提示する。11mm×4mmほどの小さいフットプリントに適合し得る巻線リッツアンテナを実装することは、通常、コスト効率的ではなく、特に信頼性もない。また、動作周波数が約6MHz以上に増加する際に、巻線リッツアンテナコイルは性能の点で好適でない場合がある。
【0108】
比較的小さいサイズのプリント回路基板またはフレキシブルプリント回路基板(PCB/FPC)ベースのコイルアンテナを利用することは、より高い周波数に対してより好適である、適切な積層、適切な配線幅、ギャップ幅、及び銅(または他の導電材料)深さを可能にする。また、プリント回路基板及びフレックスプリント回路基板ベースのコイルアンテナは、PCB製造プロセスに高集積化され、これにより、回路の残りとの集積が可能になる。これは、また、ESRを低減するとともにアンテナのQを向上させるMLMTアンテナ設計の集積化を可能にする。
【0109】
また、レイヤ化手法においてコイルを利用することは、他の製造プロセス、例えば、印刷、ファブリック上の印刷、低温焼成セラミック(LTCC)プロセス、高温焼成セラミック(HTCC)プロセスなどの半導体製造プロセスを可能にする。
【0110】
小さいフォームファクタのPCBコイル設計は、低いコイルESRを維持して送受コイルにおける電力散逸を最小化しながら、必要となるインダクタンスがより低いため、より高い動作周波数に好適である。プリント回路基板(PCB)コイルアンテナは、巻線アンテナコイル解決手法と比較して、製造、コスト、及びアセンブリの見地から付加的な利益を提供する。全体のアセンブリ厚への厳しい要求を有する用途に対して、プリント回路基板(PCB)コイルアンテナは、マルチレイヤ構成を用いても可能な低減された厚さにより、好ましい。
【0111】
コイルの組み合わせに選択されるフェライト遮蔽材料は、また、複素透磁率(μ=μ´-j*μ´´)が周波数依存であるように、動作周波数に依存する。当該材料は、焼結された柔軟性を有するフェライトシート、または硬いシールドであり得るとともに、変化する材料組成からなり得る。
【0112】
なお、アンテナ20、26の構成は非限定的である。モジュール内に組み込まれたアンテナは、磁性ワイヤを備え、スタンプ成形金属構成を有し得る。また、アンテナ20、26は、その構成において、厚膜、薄膜、または他の印刷製造記述を利用し得る。
【0113】
実施形態において、マルチレイヤマルチターン(MLMT)構成を有するトランスミッタアンテナ20及びレシーバアンテナ26の組み込みは、それぞれのトランスミッタモジュール12、148及びレシーバモジュール14、150の等価直列抵抗(ESR)を著しく低減する。本発明者等は、マルチレイヤマルチターン(MLMT)構成を有する少なくとも1つのトランスミッタアンテナ20及びレシーバアンテナ26の組み込みが、トランスミッタモジュール12及びレシーバモジュール14の等価直列抵抗(ESR)を約50%低減することを見出した。
【0114】
また、ESRを低減することは、全体のシステム効率を向上させ、コイルにおける損失(I
2×R)を低減することによってアンテナ20、26及びシステム10の発熱を低減する。以下に示す表Vは、インダクタの周りに被覆されたリッツ線を備えて構成されたアンテナと比較して、2つのマルチレイヤマルチターン(MLMT)アンテナ設計に対する計測されたESRを詳細に示す。以下の表5に示すように、MLMT設計を用いて構成されたアンテナは、リッツ線構成を有するアンテナと比較して、より低いインダクタンス(0.60μH)、及びより低い等価直列抵抗(ESR)(0.50Ω)を呈した。したがって、マルチレイヤマルチターン(MLMT)構成を有するトランスミッタアンテナ20及びレシーバアンテナ26は、本発明の無線コネクタシステム10の、増加した電力伝送及び増加したモジュール離間距離16という増加した電気性能に寄与する。
【表5】
【0115】
モジュールをホスト装置に接続する例示的な方法は、限定されるものではないが、回路基板またはホスト装置22、28上に少なくとも1つのトランスミッタモジュール12、148及びレシーバモジュール14、150を直接半田付け及びまたは配置することを含む。これに代えて、少なくとも1つのトランスミッタモジュール12、148及びレシーバモジュール14、150を、ワイヤ/ケーブルを用いて回路基板またはホスト装置22、28に接続することができる。一旦ホスト装置22、28に接続されると、少なくとも1つのトランスミッタモジュール12、148及びレシーバモジュール14、150の完全な構造または構造の少なくとも一部分を絶縁性コーティング内に封止してもよい。
【0116】
実施形態において、単一のアンテナ素子を備えるトランスミッタモジュール12、148の動作手順は、以下の動作プロセスを有し得る。本実施形態において、無線コネクタシステム10は、ある周波数、例えば2.4GHzにおいて無指向性の電力転送システムである。実施形態において、レシーバモジュール14、150は、トランスミッタモジュール12、148の近傍に置かれる。
【0117】
実施形態において、トランスミッタモジュール12、148内のレシーバ検知サブ回路42は、レシーバモジュール14、150の存在を検出する。トランスミッタモジュール12、148内のマスタ制御ユニット(MCU)44はシステム10をアクティブ化し、識別段を初期化する。識別段は、スプリアス検知信号と真のレシーバモジュール14、150を検出する検知信号とを区別するために重要であり得る。識別段は、また、どのような大きさの電力とどのような種類のデータとを伝送すべきかをトランスミッタモジュール12、148及びホスト装置22に通知する特定の種類のレシーバモジュール14、150を特定するために重要であり得る。
【0118】
実施形態において、一旦レシーバモジュール14、150の正の識別がなされると、トランスミッタモジュール12、148は電力の伝送を開始する。実施形態において、電力の伝送は、限定されるものではないが、以下のものが含むいくつかの条件下で停止し得る。
(1)レシーバモジュールの除去
(2)所定の受容限界を超えて上昇するシステム内の温度上昇がある発熱(この発熱は、トランスミッタモジュール12、148またはレシーバモジュール14、150におけるものであり得る)
(3)レシーバモジュール14、150がバッテリに電力供給する場合に、バッテリが完全充填される
(4)トランスミッタモジュール12、148に対する電源が除去される
(5)トランスミッタモジュール12、148に対する電源がバッテリである場合に、バッテリからの電力が所定閾値未満に低下する
【0119】
なお、上記の例示的なプロセスは、トランスミッタモジュール12、148が単一の目的(送るのみ)として構成されており、レシーバモジュール14、150が単一の目的(受け取るのみ)として構成されている場合のものであり、各トランスミッタモジュール12、148及びレシーバモジュール14、150に単一のアンテナ要素が存在する。つまり、これは、無指向性の無線電力システムである。
【0120】
別の実施形態において、本出願の無線コネクタシステム10は、トランスミッタとレシーバとの両方、すなわちトランシーバとして動作することができるモジュールを含み得る。さらなる実施形態において、本出願の無線コネクタシステム10は、単一のアンテナに加えて、データを電力周波数に変調する電力及びデータ転送システムを備え得る。
【0121】
別の実施形態において、本発明の無線コネクタシステム10は、各トランスミッタモジュール12、148及びレシーバモジュール14、150内に複数のアンテナを備え得る。複数のアンテナシステムを利用する場合に、第1のアンテナを識別、診断、及び任意の単方向または双方向データ転送用に確保し得る一方、第2のアンテナを電力転送に専用化することができる。
【0122】
実施形態において、レシーバモジュール存在検知機能の信頼性及び反復性を、以下のステップにおいて説明するように、較正方法を用いて向上させることができる。
1.トランスミッタモジュール12、148がアイドルモードにあり、物体(レシーバモジュールのアンテナコイルなど)が存在しない場合、トランスミッタモジュール回路18内の検知線を増幅またはバッファし、次いでアナログデジタル変換器(ADC)に接続し得る。ADCは、所定の時間間隔で検知線をモニタし(またはサンプリングし)、アイドルモードにおける検知電圧(Vidle)をデジタル形式に変換し、その値をトランスミッタマスタ制御ユニット(MCU)44によってメモリに格納する。
2.ADCは電圧を計測することによって、アイドルモードの間、検知線をサンプリングし続け、Videltaとして指定されたVidleの連続する値の間の差を算出する。Vthresholdとして指定された所定の電圧閾値を用いてVideltaと比較する。この場合に、装置がアイドルモードを保持する間にVidleの変化は小さいことから、Videltaは、Vthreshold未満である(シナリオ1)。
3.物体が存在する(レシーバアンテナコイルなど)場合、検知線は、トランスミッタモジュール12、148とレシーバアンテナコイルとの間の相互インダクタンス(M)に起因して、検知線が異なる電圧レベル(Vactive)に変化する。ADCは、Vactiveをデジタル形式に変換し、その値をトランスミッタモジュール12、148のマイクロコントローラまたはマスタ制御ユニット(MCU)によってメモリに格納する。
4.プロセッサは、格納されたVidleの値とVadeltaとして指定されたVactiveとの差を算出し、この値をメモリに格納する。同じ所定の閾値Vthresholdを用いて、Vactiveの後続のサンプルとともにVadeltaと比較する。この場合に、検知線電圧は変化しており、VadeltaはVthresholdより大きくなり、そのことはレシーバアンテナコイルの存在を示す。プロセッサはここで装置をアクティブモードに切り替えることができる(シナリオ2)。
5.ADCは、電圧(Vactive)を計測することによって、アクティブモードにある間に検知線をサンプリングし続け、Vadeltaとして指定されたVactiveの連続する値の間の差を算出する。Vthresholdとして指定された同じ所定の電圧閾値を用いてVadeltaと比較する。この場合に、装置がアクティブモードを保持する間にVactiveの変化は小さいことから、VadeltaはVthreshold未満である(シナリオ3)。
6.物体(レシーバアンテナコイルなど)が除去される場合、トランスミッタアンテナコイルとレシーバアンテナコイルとの相互インダクタンス(M)に起因して、検知線はアイドルモード電圧レベル(Vidle)に戻る。ADCは、Vidleをデジタル形式に変換し、その値をマイクロコントローラまたはプロセッサによってメモリに格納する。
7.トランスミッタモジュール12、148内のプロセッサは、格納されたVactiveの値とVideltaとして指定されたVidleとの差を算出し、この値をメモリに格納する。同じ所定の閾値Vthresholdを用いて、Vidleの後続のサンプルとともにVideltaと比較する。この場合に、検知線電圧は変化しており、VideltaはVthresholdより大きくなり、そのことはレシーバアンテナコイルの除去を示す。プロセッサはここで装置をアイドルモードに切り替えることができる(シナリオ4)。
8.なお、本方法論は、固有の製造プロセス許容公差に起因する任意の変動が除去されることから、「自動較正」である。本方法論は、また、より大きいモジュール変動性が許容され得ることから、比較器の必要性を解消し、より低いコストの構成要素の使用を可能にする。
【0123】
実施形態のうちの1つまたは複数において、無線コネクタシステムは、トランスミッタアンテナを支持する第1の基板を含むトランスミッタモジュールを含み、トランスミッタアンテナは無線信号を送信するように構成されている。無線コネクタシステムはトランスミッタモジュール電子回路を支持する第2の基板を含み、トランスミッタモジュール電子回路は、トランスミッタアンテナと、トランスミッタモジュール電子回路とトランスミッタアンテナとの間に配置された第1の絶縁体とに、電気的に接続されている。無線コネクタシステムは、レシーバアンテナを支持する第3の基板を含むレシーバモジュールを含み、レシーバアンテナは無線信号を受信するように構成されている。無線コネクタシステムはレシーバモジュール電子回路を支持する第4の基板を含み、レシーバモジュール電子回路は、レシーバアンテナと、レシーバモジュール電子回路とレシーバアンテナとの間に配置された第2の絶縁体とに、電気的に接続されている。
【0124】
システムは、トランスミッタアンテナとトランスミッタ電子回路との間に第1の遮蔽材料が配置されており、レシーバアンテナとレシーバ電子回路との間に第2の遮蔽材料が配置されており、第1の遮蔽材料及び第2の遮蔽材料はフェライト材料を含むことを含む。システムは、第1の基板または第2の基板がプリント回路基板、フレックス回路基板、及びそれらの組み合わせを備えることを含む。システムは、第1の基板または第2の基板の外面内に複数の離間したキャステレーションが形成されていることを含む。
【0125】
システムは、第1の基板または第2の基板の外面上に複数の離間した導電パッドが形成されており、複数の導電パッドのうちの少なくとも1つは電子回路基板に電気的に接続可能であることを含む。システムは、無線信号は、電圧、電流、電力、データ信号、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されることを含む。システムは、約100μW~約10Wの範囲にわたる電力を伝送するように構成されていることを含む。システムは、レシーバアンテナとトランスミッタアンテナとの少なくとも一方は、複数の導体と複数の導体の各々の間に配置された少なくとも一つの絶縁体とを備え、複数の導体は少なくとも1回のターンを有することを含む。
【0126】
システムは、トランスミッタモジュール電子回路が、さらに、トランスミッタアンテナに電気的に接続された第1の電気インピーダンス整合サブ回路を含み、第1の電気インピーダンス整合サブ回路は、少なくとも1つの第1のキャパシタ、及び電力インバータサブ回路を有し、第1の電気インピーダンス整合サブ回路及び電力インバータサブ回路は、トランスミッタアンテナによる送信に対して無線信号を準備するように構成されている、ことを含む。
【0127】
システムは、マスタ制御ユニットを有するトランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路を含む。システムは、トランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路と電力インバータサブ回路とに電気的に接続されたドライバサブ回路と、トランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路と電力インバータサブ回路とに電気的に接続された第1の電圧レギュレータとを含む。
【0128】
システムは、レシーバ電子回路が、マスタ制御ユニットを有するレシーバモジュールマスタ制御サブ回路を含むことを含む。システムは、さらに、レシーバ回路に電気的に接続された第2の電気インピーダンス整合サブ回路であって、第2の電気インピーダンス整合サブ回路は、少なくとも1つの第2のキャパシタを有し、第2の電気インピーダンス整合サブ回路は、受信した無線信号を電子装置による使用に対して準備するように構成されている、第2の電気インピーダンス整合サブ回路と、レシーバモジュールマスタ制御サブ回路に電気的に接続された第2の電圧レギュレータサブ回路と、を含む。
【0129】
システムは、第2の電気インピーダンス整合サブ回路と第2の電圧レギュレータサブ回路とに電気的に接続された電圧ダブラーサブ回路を備える。システムは、トランスミッタモジュールが、さらに、トランスミッタモジュール電子回路に電気的に接続されたレシーバモジュール検出サブ回路を備えることを含み、レシーバモジュール検出サブ回路は、レシーバモジュールからの電気信号を検出すると、トランスミッタモジュール電子回路の構成がレシーバモジュールと通信することを可能にする。システムは、第1の電気インピーダンス整合サブ回路と第2の電気インピーダンス整合サブ回路との少なくとも一方の内部にスイッチキャパシタサブ回路が電気的に接続されており、スイッチキャパシタサブ回路は第1の電気インピーダンス整合サブ回路と第2の電気インピーダンス整合サブ回路との少なくとも一方の静電容量を動的に変更するように構成されていることを含む。システムは、第1の電気インピーダンス整合サブ回路と第2の電気インピーダンス整合サブ回路との少なくとも一方の内部にシャントキャパシタが電気的に接続されていることを含む。システムは、さらに、フレックスコネクタ、基板間コネクタ、ピンソケットコネクタ、ばね接触コネクタ、ポゴピンコネクタ、スルーホールピン半田コネクタ、半田付けされたワイヤ接続部、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される電気コネクタが、トランスミッタアンテナ及びレシーバアンテナの少なくとも一方をそれぞれのトランスミッタ電子回路及びレシーバ電子回路に電気的に接続することを含む。
【0130】
本出願の1つまたは複数の実施形態において、通信システムは、無線信号を発するように構成されたトランスミッタアンテナを備えるトランスミッタ回路を含む。さらに、通信システムのトランスミッタ回路は、トランスミッタアンテナに電気的に接続された第1の電気インピーダンス整合サブ回路を含み、第1の電気インピーダンス整合サブ回路は、伝送アンテナによる伝送に無線信号を準備するように構成されている。また、通信システムのトランスミッタ回路は、第1のマスタ制御ユニットを備えるトランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路と、トランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路と電力インバータサブ回路とに電気的に接続されたドライバサブ回路とを含む。実施形態において、通信システムのトランスミッタ回路は、トランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路と電力インバータとに接続された第1のレギュレータサブ回路を含む。
【0131】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、通信システムは、トランスミッタ回路から送信された無線信号を受信するように構成されたレシーバ回路を含む。実施形態において、通信システムのレシーバ回路は、トランスミッタアンテナからの無線信号を受信するように構成されたレシーバアンテナを含む。さらに、通信システムのレシーバ回路は、第2のマスタ制御ユニットを備えるレシーバモジュールマスタ制御サブ回路を含む。実施形態のうちの1つまたは複数において、通信システムのレシーバ回路は、レシーバアンテナに電気的に接続された第2の電気インピーダンス整合サブ回路を含み、この第2の電気インピーダンス整合サブ回路は、少なくとも1つの第2のキャパシタを含み、この第2の電気インピーダンス整合サブ回路は受信した無線信号を、電気的に接続された電気装置による使用に準備するように構成されている。さらに、 通信システムのレシーバ回路は、第2の電気インピーダンス整合サブ回路とレシーバモジュールマスタ制御サブ回路とに電気的に接続された第2の電圧レギュレータサブ回路を含む。
【0132】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、トランスミッタ回路は、無線信号を発するように構成されたトランスミッタアンテナを含んで設けられている。トランスミッタ回路は、さらに、トランスミッタアンテナに電気的に接続された電気インピーダンス整合サブ回路を含み、電気インピーダンス整合サブ回路は少なくとも1つのキャパシタを備え、電力インバータサブ回路は電気インピーダンス整合サブ回路に電気的に接続されており、電気インピーダンス整合サブ回路及び電力インバータサブ回路は、無線信号をトランスミッタアンテナによる伝送に準備するように構成されている。実施形態のうちの1つまたは複数において、トランスミッタ回路は、マスタ制御ユニットを備えるトランスミッタマスタ制御サブ回路と、トランスミッタマスタ制御サブ回路に電気的に接続されたドライバサブ回路とを含む。トランスミッタ回路は、電力インバータサブ回路と、トランスミッタマスタ制御サブ回路と電力インバータサブ回路とに電気的に接続された電圧レギュレータサブ回路とを含む。
【0133】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、無線信号を受信するように構成されたレシーバ回路が設けられている。レシーバ回路は、無線信号を受信するように構成されたレシーバアンテナと、マスタ制御ユニットを備えるレシーバマスタ制御サブ回路とを含む。本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、レシーバ回路は、レシーバアンテナに電気的に接続された電気インピーダンス整合サブ回路を含み、電気インピーダンス整合サブ回路は少なくとも1つのキャパシタを備え、電気インピーダンス整合サブ回路は、レシーバ回路により受信した無線信号を、電気的に接続可能な電気装置による使用に準備するように構成されている。実施形態において、レシーバ回路は、レシーバマスタ制御サブ回路に電気的に接続された電圧レギュレータサブ回路を含む。
【0134】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、トランスミッタモジュールは、外面を有するハウジングと、無線信号を送信するように構成されたトランスミッタアンテナとを含んで設けられ、トランスミッタアンテナはハウジング内に存在する。トランスミッタモジュールは、さらに、トランスミッタアンテナに電気的に接続された電子回路基板を含み、電子回路基板はハウジング内に配置されている。トランスミッタモジュールは、さらに、トランスミッタアンテナに電気的に接続された電子回路基板を含み、電子回路基板は、ハウジング内に配置されている。さらに、トランスミッタモジュールは、ハウジング内に配置されるとともにトランスミッタアンテナと電子回路基板との間に配置された少なくとも1つの遮蔽材料と、電子回路基板とトランスミッタアンテナとの間に配置された少なくとも1つの絶縁体とを含む。
【0135】
実施形態のうちの1つまたは複数において、外面を有するハウジングとレシーバアンテナを支持する第1の基板を有するレシーバアンテナアセンブリとを含むレシーバモジュールが設けられており、レシーバアンテナは無線信号を受信するように構成されており、レシーバアンテナアセンブリはハウジング内に存在する。さらに、レシーバモジュールはハウジング内に配置された電子回路基板を含み、電子回路基板はレシーバアンテナに電気的に接続されている。レシーバモジュールは、さらに、レシーバアンテナと電子回路基板との間に配置された少なくとも1つの遮蔽材料と、電子回路基板とレシーバアンテナとの間に配置された少なくとも1つの絶縁体とを含む。
【0136】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、絶縁材料を備えるスペーサとトランスミッタアンテナを支持する第1の基板を備えるトランスミッタアンテナアセンブリとを含むトランスミッタモジュールが設けられており、トランスミッタアンテナは無線信号を送信するように構成されている。実施形態のうちの1つまたは複数において、トランスミッタモジュールは、トランスミッタ電子回路を支持する第2の基板と、トランスミッタアンテナアセンブリとトランスミッタ電子回路とに電気的に接続された電気コネクタとを含む。さらに、スペーサがトランスミッタアンテナアセンブリとトランスミッタ電子回路との間に配置されていることを含む。
【0137】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、絶縁性材料を含むスペーサとレシーバアンテナを支持する第1の基板を備えるレシーバアンテナアセンブリとを含むレシーバモジュールが設けられており、レシーバアンテナは無線信号を受信するように構成されている。実施形態のうちの1つまたは複数において、レシーバモジュールは、レシーバ電子回路を支持する第2の基板と、レシーバアンテナアセンブリとレシーバ電子回路とを電気的に接続する電気コネクタとを含む。さらに、レシーバモジュールは、レシーバアンテナアセンブリとレシーバ電子回路との間に配置されたスペーサを含む。
【0138】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、無線コネクタを動作させる方法が提供され、本方法は、トランスミッタモジュールを設けることを含み、トランスミッタモジュールはトランスミッタアンテナを支持する第1の基板を含み、トランスミッタアンテナは、送信するように構成されている。トランスミッタモジュールは、さらに、トランスミッタモジュール電子回路を支持する第2の基板を含み、トランスミッタモジュール電子回路は、トランスミッタアンテナとレシーバモジュール検知サブ回路とに電気的に接続されたトランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路を含む。さらに、トランスミッタモジュールは、トランスミッタ電子回路とトランスミッタアンテナとの間に配置された少なくとも1つの第1の絶縁体を含む。実施形態のうちの1つまたは複数において、本方法は、レシーバアンテナを支持する第3の基板であって、レシーバアンテナは無線信号を受信するように構成されている第3の基板と、レシーバモジュール電子回路を支持する第4の基板とを含む。
【0139】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、トランスミッタモジュールを設ける方法が提供され、本方法は、第1の基板上に支持されたトランスミッタアンテナを設けることを含み、トランスミッタアンテナは、無線信号を送信するように構成されている。さらに、本方法は、第2の基板上に支持された電子回路を設けることと、電子回路をトランスミッタアンテナに電気的に接続することとを含む。本方法は、少なくとも1つの絶縁体を設けることと、少なくとも1つの絶縁体を電子回路とトランスミッタアンテナとの間に配置することとを含む。
【0140】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、レシーバモジュールを設ける方法が提供され、本方法は、レシーバアンテナを支持する第1の基板を設けることを含み、レシーバアンテナは、無線信号を受信するように構成されている。さらに、本方法は、電子回路を支持する第2の基板を設けることであって、電子回路はレシーバアンテナに電気的に接続されている、第2の基板を設けることと、少なくとも1つの絶縁体を設け、少なくとも1つの絶縁体を電子回路とレシーバアンテナとの間に配置することとを含む。
【0141】
本明細書で用いる、「及び」または「または」という用語を用いて項目のうちの任意のものを分離する一連の用語に先行する「のうちの少なくとも1つ」との語句は、列記の各構成要素(すなわち、各項目)ではなく、列記全体を修飾する。「少なくとも1つ」との語句は、列記された各項目のうちの少なくとも1つの選択を要するのではなく、当該語句は項目のうちの任意の1つの少なくとも1つ、及び/または項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ、及び/または項目の各々の少なくとも1つのとも1つを含む意味を許容する。例として、「A、B、Cのうちの少なくとも1つ」との語句、または「A、B、Cのうちの少なくとも1つ」との語句は、それぞれ、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A、B、Cの任意の組み合わせ、及び/またはA、B、Cの各々の少なくとも1つのことを指す。
【0142】
「~のように構成された」、「~のように動作可能である」、及び「~のようにプログラムされた」のような述語は、主語の特定の実体のある修飾も実体のない修飾も全く含意しないが、交換可能に使用されるように図られている。1つまたは複数の実施形態において、動作または構成要素をモニタ及び制御するように構成されたプロセッサが、プロセッサは動作をモニタ及び制御するようにプログラムされたこと、またはプロセッサは動作をモニタ及び制御するように動作可能であることを意味してもよい。同様に、コードを実行するように構成されたプロセッサは、コードを実行するようにプログラムされたプロセッサ、またはコードを実行するように動作可能であるプロセッサとして構成され得る。
【0143】
「態様」などの語句は、このような態様が主題技術に不可欠であることも、このような態様が主題技術のすべての構成に該当することも意味しない。態様に関する開示は、すべての構成に該当してもよく、1つまたは複数の構成に該当してもよい。「態様」などの語句が1つまたは複数の態様を指してもよいし、その逆も可能である。「実施形態」などの語句は、このような実施形態が主題技術に不可欠であることも、このような実施形態が主題技術のすべてに該当することも意味しない。実施形態に関する開示は、すべての実施形態に該当してもよいし、1つまたは複数の実施形態に該当してもよい。実施形態は、開示の1つまたは複数の例を提供することができる。「実施形態」などの語句が1つまたは複数の実施形態を指してもよいし、その逆も可能である。「構成」などの語句は、このような構成が主題技術に不可欠であることも、このような構成が主題技術のすべてに該当することも意味しない。構成に関する開示は、すべての構成に該当してもよいし、1つまたは複数の構成に該当してもよい。構成は、開示の1つまたは複数の例を提供することができる。「構成」などの語句が1つまたは複数の構成を指してもよいし、その逆も可能である。
【0144】
「例示的な」との語は、「例、実例、例証として役立つこと」を意味するために本明細書で使用される。「例示的」として、または「例」として本明細書で説明される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態に対して好ましい、または有利であるとはみなされない。また、説明または請求項において「含む」、「有する」などの用語が使用される限りにおいて、このような用語は、「備える」が請求項において移行語として採用される場合に解釈されるように、「備える」という用語に類似して包含的であることが図られている。また、説明または請求項において「含む」、「有する」などの用語が使用される限りにおいて、このような用語は、「備える」が請求項において移行語として採用される場合に解釈されるように、「備える」という用語に類似して包含的であることが図られている。
【0145】
当業者に既知の、または後に知られることになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造に関する均等物、及び機能に関する均等物は、参照によって明示的に本明細書に組み入れられ、請求項に包含されることが図られている。さらに、本明細書で開示されるもので、このような開示が明示的に請求項に記載されるか否かにかかわらず公開されることに特化されるように図られるものはない。米国特許法第112条第6パラグラフの条項下で解釈される請求項要素は、当該要素が「する手段」との語句を用いて明示的に記載されること、または方法の請求項の場合には当該要素が「するステップ」との語句を用いて記載されることがない限り、ない。
【0146】
単数形の要素への言及は、特に述べない限り、「1つ、かつ唯一」を意味するようには図られておらず、「1つまたは複数」であるように図られている。特段の指定がない限り、「いくつかの」という用語は、1つまたは複数のことを指す。男性語の代名詞(例えば、彼の)は、女性語及び中性語(例えば、彼女の、及びその)を含み、その逆も可能である。見出し及び小見出しは、もしある場合には、便宜上使用されるにすぎず、主題開示を限定しない。
【0147】
本明細書は多くの詳細を含むが、これらは、権利主張され得るものの範囲に対する限定とみなされるものではなく、主題の特定の実施の説明であるとみなされるものである。別々の実施形態の文脈において本明細書で説明される特定の特徴を、単一の実施形態において組み合わせで実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈において説明される様々な特徴を、複数の実施形態で別々に、または公的なサブコンビネーションで実施することもできる。さらに、特徴は特定の組み合わせで作用するように上述され、最初にそのようにも権利主張され得るが、権利主張される組み合わせからの1つまたは複数の特徴は、場合によっては当該組み合わせから削除されることが可能であり、当該権利主張される組み合わせはサブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形を対象とし得る。