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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】孔又は穴を有する多層溶解性固体物品
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/06 20060101AFI20220711BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220711BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20220711BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220711BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
C11D17/06
A61Q19/00
A61K8/02
A61K8/81
C11D3/37
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019528834
(86)(22)【出願日】2019-01-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 CN2019071781
(87)【国際公開番号】W WO2020147005
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2019-05-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】タン、ホンシン
(72)【発明者】
【氏名】マクナマラ、カール・デイヴィッド
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-089797(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/270029(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
A61K 8/00
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の可撓性及び溶解性シートを備える溶解性固体物品であって、前記2以上の可撓性及び溶解性シートのそれぞれが水溶性ポリマーを含み、前記溶解性固体物品が、2mm以上の厚さを有し、前記物品が、対向する第1表面及び第2表面を有し、前記物品が、前記第1表面から中を通って前記第2表面まで延在する1つ以上の孔又は穴を備え、前記1つ以上の孔又は穴のそれぞれが、0.3mm~0.5mmの範囲の幅又は直径により特徴付けられ、
前記水溶性ポリマーがポリビニルアルコールを含み、
前記2以上の可撓性及び溶解性シートのうちの少なくとも1のシートが、該シートの総重量に対して15%~40%の前記水溶性ポリマー及び30%~80%のアニオン性界面活性剤を含み、
前記1つ以上の孔又は穴の容量パーセントが、前記物品の総容積に対して1%~10%であり、
前記2以上の可撓性及び溶解性シートのそれぞれが、0.5mm~2mmの範囲の厚さにより特徴付けられ、
前記物品の前記厚さが、3mm~30mmである、溶解性固体物品。
【請求項2】
前記1つ以上の孔又は穴の容量パーセントが、前記物品の総容積に対して2%~5%である、請求項1に記載の溶解性固体物品。
【請求項3】
前記1つ以上の孔又は穴のそれぞれの前記幅又は直径が、0.4mm~0.5mmの範囲である、請求項1又は2に記載の溶解性固体物品。
【請求項4】
4個~100個の前記穴を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の溶解性固体物品。
【請求項5】
1個~10個の前記孔を備え、前記孔のそれぞれが、1cm~20cmの範囲の長さを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の溶解性固体物品。
【請求項6】
前記2以上の可撓性及び溶解性シートのそれぞれが、0.8mm~1.2mmの範囲の厚さにより特徴付けられる、請求項1~のいずれか一項に記載の溶解性固体物品。
【請求項7】
前記物品が、4~50の前記可撓性及び溶解性シートを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の溶解性固体物品。
【請求項8】
前記物品の前記厚さが、4mm~30mmである、請求項1~のいずれか一項に記載の溶解性固体物品。
【請求項9】
前記2以上の可撓性及び溶解性シートのうちの少なくとも1のシートが、該シートの総重量に対して40%~70%アニオン性界面活性剤を含み、所望により、前記2以上の可撓性及び溶解性シートのうちの少なくとも1のシートが、1種以上の追加成分を更に含む、請求項に記載の溶解性固体物品。
【請求項10】
厚さzに垂直な方向に沿った最大寸法Dにより特徴付けられ、D/zの比が、1~10の範囲である、請求項1~のいずれか一項に記載の溶解性固体物品。
【請求項11】
前記物品が、0.1g/cm3~0.4g/cm3の範囲の密度により特徴付けられる、請求項1~10のいずれか一項に記載の溶解性固体物品。
【請求項12】
前記物品が、前記物品の0.5重量%~25重量%の最終含水率により特徴付けられる、請求項1~11のいずれか一項に記載の溶解性固体物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンケア、パーソナルケア、ホームケア、又は洗濯ケアに有用な消費者製品に関し、本消費者製品は、中を通って延在する1つ以上の孔又は穴を有する、2以上の可撓性及び溶解性シートを備える、溶解性固体物品の形態で提供される。
【背景技術】
【0002】
水に完全に溶解可能なシート状形態のパーソナルケア組成物又は洗濯洗剤組成物は、より一般的になってきている。このようなシートは、典型的には、水溶性ポリマー、1種以上の洗浄性界面活性剤、所望により、1種以上のその他の洗浄性活性物質により形成され、水溶性ポリマーは、フィルム形成剤、並びに洗浄性界面活性剤及びその他の活性物質のためのキャリアとして機能する。従来の液体組成物とは異なり、このようなシートは水をほとんど又は全く含有しないため、これらは非常に濃縮されており、輸送及び取り扱いが容易であり、漏洩のリスクをほとんど又は全く有さず、出荷及び保管中に化学的及び物理的に安定しており、かつ物理的及び環境的な設置面積が著しく小さい。
【0003】
本明細書で上述したような単一のシートは、限られた量の界面活性剤のみを送達することができ、したがって、その洗浄力は制限される。したがって、一緒に積層された複数のこのようなシートを含有する多層構造体を形成して、向上した洗浄効果のためにより多い用量の界面活性剤を送達することが、望ましい場合がある。しかし、このような多層構造体の溶解速度は、単一のシートよりも著しく遅い場合がある。このような多層構造体は、特定の厳密な洗浄条件下(例えば、冷水又は極めて硬水又は低水洗浄条件)では完全に溶解せず、また未溶解の残留物が残る場合があり、これは、消費者にとっての大きな「悩みの種」となり得る。このような溶解の問題は、このような多層構造体の厚さが特定の閾値(例えば、2mm又は3mm超)に達した場合に、更に悪化する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、このような多層構造体(特に、2mm以上の厚さを有するもの)の溶解速度を向上させ、洗浄後に溶解していない残留物を形成するリスクを低減させる必要性が引き続き存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述の多層構造体の溶解速度を向上させるために、比較的狭い寸法範囲(例えば、幅又は直径0.2~0.8mm)の貫通孔又は貫通穴を採用する。具体的には、本発明の発明者らは、驚くべきことにまた予想外に、寸法が大きいか若しくは小さいかのいずれかである(即ち、0.2~0.8mmの範囲未満であるか若しくはそれを超えるかのいずれかである幅又は直径を有する)貫通孔又は貫通穴が、より小さな溶解速度をもたらすことを発見した。
【0006】
本発明は、一態様では、2以上の可撓性及び溶解性シートを備える溶解性固体物品に関し、当該2以上のシートのそれぞれは水溶性ポリマーを含み、当該溶解性固体物品は、約2mm以上の厚さを有し、当該物品は、対向する第1表面及び第2表面を有し、当該物品が、当該第1表面から中を通って当該第2表面まで延在する1つ以上の孔又は穴を備え、当該1つ以上の孔又は穴のそれぞれは、約0.2mm~約0.8mm、好ましくは約0.3mm~約0.6mm、好ましくは約0.4mm~約0.5mmの範囲の幅又は直径により特徴付けられる。
【0007】
好ましくは、当該1つ以上の孔又は穴の容積の合計は、当該物品の総容積に対して0.1%~20%、好ましくは0.5%~15%、より好ましくは1%~10%、最も好ましくは2%~5%である。
【0008】
1つの特定の実施形態では、このような溶解性固体物品は、約4個~約100個の当該穴を備えてよく、当該穴は、好ましくは等しい距離だけ離間している。別の特定の実施形態では、このような溶解性固体物品は、約1個~約10個の当該孔を含んでよく、当該孔のそれぞれは、約1cm~約20cm、好ましくは約1.5cm~約10cm、より好ましくは約2cm~約5cmの範囲の長さを有する。
【0009】
好ましくは、当該2以上の可撓性及び溶解性層のそれぞれは、約0.1mm~約10mm、好ましくは約0.2mm~約5mm、より好ましくは約0.5mm~約2mm、最も好ましくは約0.8mm~約1.2mmの範囲の厚さにより特徴付けられる。本発明の溶解性固体物品は、約4~約50、好ましくは約5~約40、より好ましくは約6~約30の当該可撓性及び溶解性シートを含んでよい。なお、溶解性固体物品の厚さは、約3mm~約20cm、好ましくは約4mm~約10cm、より好ましくは約5mm~約30mmの範囲であってよい。
【0010】
本発明の特に好ましい実施形態では、当該2以上の可撓性及び溶解性シートのうちの少なくとも1のシートは、当該シートの総重量に対して約15%~約40%の水溶性ポリマーを含んでよい。より好ましくは、当該少なくとも1のシートは、当該シートの総重量に対して約30%~約80%の界面活性剤、所望により、1種以上の追加成分を更に含む。
【0011】
更に、本発明の溶解性固体物品は、厚さzに垂直な方向に沿った最大寸法Dにより特徴付けられてよく、D/zの比は、約1~約10、好ましくは約1.4~約9、より好ましくは約1.5~約8、最も好ましくは約2~約7の範囲である。
【0012】
このような溶解性固体物品の密度は、約0.1g/cm~約0.4g/cm、好ましくは約0.15g/cm~約0.25g/cmの範囲であってよく、当該物品の約0.5重量%~約25重量%、好ましくは約1重量%~20重量%、より好ましくは約3重量%~約10重量%の最終含水率を有してよい。
【0013】
本発明のこれらの及びその他の態様は、本発明についての以下の詳細な説明を読むことにより、更に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の種々の実施形態の特徴及び利点は、本発明の幅広い表現を与えるように意図される特定の実施形態の例を含む、以下の記述から明らかになるであろう。本記述及び本発明の実施から、様々の変形形態が当業者には明白である。本発明の範囲は、開示される特定の形態に限定されることを意図せず、また本発明は、「特許請求の範囲」により定義されるような本発明の趣旨及び範囲に当てはまる全ての変形形態、等価物、及び代替物を網羅する。
【0015】
定義
本明細書で使用する場合、用語「溶解性」とは、20℃で、かつ大気圧下で、全く撹拌せずに8時間以内に、十分な量の脱イオン水中に完全に又は実質的に溶解して、不溶残留物の残留が5重量%未満である、物品の能力を意味する。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「固体」とは、物品が制限されずかつ外力が物品に加えられていない場合に、20℃で、かつ大気圧下で、その形状を実質的に保持する(即ち、その形状においていかなる可視変化もない)、物品の能力を意味する。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「可撓性」とは、物品が、その長手方向に垂直な中心線に沿って90度で曲げられた場合に、破損することなく、又は著しい破壊を伴わずに、応力に耐える物品の能力を意味する。好ましくは、このような物品は、著しい弾性変形を受けることができ、5GPa以下、好ましくは1GPa以下、より好ましくは0.5GPa以下、最も好ましくは0.2GPa以下のヤング率により特徴付けられる。
【0018】
本明細書で使用する場合、用語「シート」とは、三次元形状、即ち、厚さ、長さ、及び幅を有する非繊維状構造体を意味するが、一方で、長さ対厚さのアスペクト比及び幅対厚さのアスペクト比は、両方とも、少なくとも約5:1であり、長さ対幅の比は、少なくとも約1:1である。好ましくは、この長さ対厚さのアスペクト比及びこの幅対厚さのアスペクト比は、両方とも、少なくとも約10:1、より好ましくは少なくとも約15:1、最も好ましくは少なくとも約20:1であり、またこの長さ対幅のアスペクト比は、好ましくは少なくとも約1.2:1、より好ましくは少なくとも約1.5:1、最も好ましくは少なくとも約1.618:1である。
【0019】
本明細書で使用する場合、用語「水溶性」とは、20℃で、かつ大気圧下で、十分な撹拌を伴って、少なくとも約25グラム、好ましくは少なくとも約50グラム、より好ましくは少なくとも約100グラム、最も好ましくは少なくとも約150グラムのこのような材料を、1リットル(1L)の脱イオン水中に入れた場合に、目に見える固体を残さずに、又は目に見える分離相を形成せずに、水に完全に溶解する又は分散する、試料材料の能力を意味する。
【0020】
本明細書で使用する場合、用語「孔」とは、長さ(即ち、最大寸法)及び幅(即ち、当該最大寸法に垂直な最小寸法)を有する開口部を意味し、長さ対幅比は5:1を超える。このような開口部は、実質的に直線状の形状(例えば、真っ直ぐなスリット)を有してよい、又は湾曲状(例えば、三日月状若しくは半円形のスリット)、屈曲状(例えば、多角形のスリット)、又は更には鋸歯状であってよい。
【0021】
本明細書で使用する場合、用語「穴」とは、長さ(即ち、最大寸法)及び幅(即ち、当該最大寸法に垂直な最小寸法)を有する開口部を意味し、長さ対幅比は5:1以下である。このような穴は、任意の規則的又は不規則な形状、例えば、三角形、長方形、正方形、長楕円形、多角形、楕円形、円形、星形、花形などを有することができる。
【0022】
穴に関連して使用される場合、用語「直径」とは、その長さ(即ち、最大寸法)及びその幅(即ち、当該最大寸法に垂直な最小寸法)の平均を意味する。
【0023】
孔及び/又は孔の用語「容量パーセント」とは、本明細書で使用する場合、溶解性固体物品の総容積にわたる孔/穴の総容積の百分率を意味するが、一方で、孔/穴の総容積は、このような開口部の総断面積掛ける溶解性固体物品の厚さとして計算され、これは次のように計算される。
【0024】
【数1】
式中、VTotalは、孔及び/又は穴の容積の合計であり、nは、孔及び/又は穴の総数であり、Lは、各孔又は穴iの長さであり、Wは、各孔又は穴iの幅であり、Tは、溶解性固体物品の厚さである。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「厚さ」とは、その表面全体にわたる物品の平均厚さを意味し、好ましくは、非接触厚さ測定法(例えば、光学又は超音波測定)により測定される。
【0026】
本明細書で使用する場合、用語「最終含水率」とは、20℃で大気圧下にて、また約50%の相対湿度にて測定した際の、物品中の水分(結合水及び非結合水の両方を含む)の重量パーセントを指す。
【0027】
本明細書で使用する場合、全ての濃度及び比は、特に明記しない限り、重量に基づくものである。本明細書における全ての温度は、特に指示がない限り、摂氏(℃)を単位とする。本明細書における全ての条件は、特に明記しない限り、20℃及び大気圧下である。特に明記しない限り、ポリマーの分子量は全て、重量平均数分子量により決定される。
【0028】
多層構造を伴う溶解性固体物品
本明細書に記載される溶解性固体物品は、任意の好適な消費者製品を製造するために使用することができる。製品種類の実施形態の非限定的例としては、布地ケア基材(洗浄及び/又は柔軟化)、食器洗浄基材、薬剤活性物質又はその他のスキンケア活性物質を含有するパーソナルケア基材、ハンドクレンジング基材、ボディクレンジング基材、剃毛準備基材、保湿基材、日焼け止め基材、スキンケア基材、特に長期的な皮膚有益剤基材(例えば、ビタミン含有基材、α-ヒドロキシ酸含有基材、等)、毛髪シャンプー又はその他の毛髪処理基材、脱臭基材、芳香剤含有基材、ペットケア基材などが挙げられる。
【0029】
本発明の溶解性固体物品は、多層構造により特徴付けられる、即ち、以下に記載されるような2以上の可撓性及び溶解性シートを備える。具体的には、溶解性固体物品は、2以上の可撓性及び溶解性シートを一緒に積層する又は層化させて、最初に積層又は多層構造を形成し、次に、得られた堆積又は多層構造を、下流のスライシング/切断装置により所望の寸法へとスライシング又は切断することにより、製造することができる。好ましくは、溶解性固体物品は、約4~約50、好ましくは約5~約40、より好ましくは約6~約30の、一緒に積層又は層化されたこのような可撓性及び溶解性シートを備える。
【0030】
本発明の溶解性固体物品の厚さは、少なくとも約2mm以上、好ましくは約3mm~20cm、より好ましくは約4mm~約10cm、最も好ましくは約5mm~30mmである。上述した厚さの多層構造体は、(単層構造又はより薄い多層構造と比較して)独自の困難な溶解問題を示すが、固有の寸法の穿孔(即ち、特定の幅又は直径の孔又は穴)を介して、本発明により効果的に分解することができる。
【0031】
具体的には、本発明の多層溶解性固体物品は、1つ以上の貫通孔又は貫通穴、即ち、その第1表面から反対側の第2表面までこのような物品の厚さ全体を通じて延在する孔又は穴を備える。このような貫通孔又は貫通穴のそれぞれは、約0.2mm~約0.8mm、好ましくは約0.3mm~約0.6mm、より好ましくは約0.4mm~約0.5mmの範囲の幅(孔に関して)又は直径(穴に関して)により特徴付けられる。このような具体的に定義された範囲(即ち、0.2~0.8mm)未満であるか又はそれを超えるかのいずれかの幅若しくは直径を有する貫通孔又は貫通穴を有する溶解性物品が、このような溶解性物品の溶解速度の著しい減少をもたらすという、本発明の予期せぬ発見は、驚くべきことである。
【0032】
好ましくは、このような貫通孔及び/又は貫通穴の容積の合計は、溶解性固体物品の総容積に対して、約0.1%~約20%、好ましくは約0.5%~約15%、より好ましくは約1%~約10%、最も好ましくは約2%~約5%である。一方で、このような貫通孔及び/又は貫通穴の容積の合計が0.1%未満である場合、溶解性物品の溶解速度は依然として制限され得、他方では、容積の合計が15%を超える場合、溶解性固体物品の構造的一体性及び性能が損なわれ得る。
【0033】
溶解性固体物品中のこのような貫通孔又は貫通穴の総数は、このような物品の寸法、及び貫通孔又は貫通穴の相対寸法に応じて、容易に調整されてよい。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、溶解性固体物品は、等しい距離の貫通穴を備え(即ち、貫通穴は、等しい距離だけ互いに離間している)、その総数は、約4~約100、好ましくは約5~約90、より好ましくは約10~約80、更により好ましくは約20~約70、最も好ましくは約30~約60の範囲であってよい。貫通穴は、任意の規則的又は不規則な形状、例えば、三角形、長方形、正方形、長楕円形、多角形、楕円形、円形、星形、花形などを有することができる。
【0035】
代替実施形態では、溶解性固体物品は貫通孔を含み、その総数は、1~約10、好ましくは約2~約8、より好ましくは約4~約6の範囲であってよい。このような貫通孔のそれぞれは、約1cm~約20cm、好ましくは約1.5cm~約10cm、より好ましくは約2cm~約5cmの範囲の長さを有してよい。貫通孔は、任意の好適な形状、例えば、実質的に直線状の形状(例えば、真っ直ぐなスリット)、湾曲形状(例えば、三日月状又は半円形のスリット)、屈曲形状(例えば、多角形のスリット)、又は更には鋸歯状を有してよい。
【0036】
本発明の更に別の実施形態では、溶解性固体物品は、上述の貫通孔及び貫通穴の組み合わせを含んでよい。
【0037】
上述の貫通孔又は貫通穴は、ピン及び針、ダイ及び穿孔機、レーザ穿孔、並びにこれらの任意の組み合わせを含む周知の穿孔ツール及びプロセスにより、溶解性固体物品に容易に形成することができる。
【0038】
本発明の溶解性固体物品は、任意の形状又は寸法を有することができ、好ましくは、(その厚さzに垂直な方向に沿って測定される)その最大寸法Dは、その厚さの約10倍以下であり、例えば、厚さzの約1~約10倍、より好ましくは約1.4~約9倍、更により好ましくは約1.5~約8倍、最も好ましくは約2~約7倍である。換言すれば、D/zの比は、好ましくは約1~約10倍、より好ましくは約1.4~約9倍、更により好ましくは約1.5~約8倍、最も好ましくは約2~約7倍である。
【0039】
本発明の溶解性固体物品は、完全に又は実質的に溶解性である。換言すれば、このような物品は、いくつかの従来のシート状消費者製品とは異なり、非水溶性基材を含有しない。
【0040】
所望により、溶解性固体物品は、ライン、パターン、ロゴ、又は異なる表面特性若しくは審美的/感覚的感触を付与するように、エンボス加工、印刷、コーティング、及び同様の工程により、更に加工される。
【0041】
可撓性及び溶解性シート
本発明の溶解性固体物品を構成する可撓性及び溶解性シートは非繊維状であり、即ち、繊維要素を含まない、又は実質的に繊維要素を含まない。このような可撓性及び溶解性シートは、最初に、水中に溶解又は分散された原料を含有するスラリーを提供し、次に、スラリーをシート状の形態へと成形することにより、形成することができる。乾燥は、成形工程と同時に行われるか、又はその後に行うことができるかのいずれかで行われ、水を除去し、完成したシートを形成する。
【0042】
本発明の可撓性及び溶解性シートは、完全に又は実質的に溶解性である。したがって、溶解性固体物品である。換言すれば、溶解性固体物品並びに可撓性及び溶解性シートのいずれも、従来の洗濯洗剤シートの一部として、任意の非水溶性基材を含有しない。
【0043】
本発明の可撓性及び溶解性シートは、その厚さ、その長さ、及びその幅が、少なくとも約5:1の長さ対厚さのアスペクト比、少なくとも約5:1の幅対厚さのアスペクト比、及び少なくとも約1:1の長さ対幅のアスペクト比により特徴付けられる限り、任意の形状又は寸法を有することができる。好ましくは、厚さ対厚さのアスペクト比及び幅対厚さのアスペクト比は、両方とも少なくとも約10:1であり、長さ対幅のアスペクト比は、少なくとも約1.2:1である。より好ましくは、長さ対厚さのアスペクト比及び幅対厚さのアスペクト比は、両方とも少なくとも約15:1であり、長さ対幅のアスペクト比は、少なくとも約1.5:1である。最も好ましくは、長さ対厚さのアスペクト比及び幅対厚さのアスペクト比は、両方とも少なくとも約20:1であり、長さ対幅のアスペクト比は、少なくとも約1.618:1である。本発明の洗濯洗剤シートの厚さは、約0.1mm~約10mm、好ましくは約0.2mm~約5mm、より好ましくは約0.3mm~約4mm、最も好ましくは約0.5mm~約2mmの範囲であってよい。可撓性及び溶解性シートのそれぞれの幅は、約2cm~約1メートル、好ましくは約5cm~約50cm、より好ましくは約10cm~約40cmの範囲であってよい。可撓性及び溶解性シートのそれぞれの長さは、約2cm~約50メートル、好ましくは約5cm~約1メートル、より好ましくは約10cm~約80cmの範囲であってよい。
【0044】
本発明の好ましいが必須ではない実施形態では、可撓性及び溶解性シートのそれぞれは、金製の長方形形状を有し(即ち、約1.618:1の長さ対幅のアスペクト比を伴う)、約5~10cmの幅及び約0.5mm~約2mmの厚さにより特徴付けられる。このような金製の長方形形状は、消費者にとって審美的に心地良く、かつ喜ばしいものであり、そのため、複数のこのような可撓性及び溶解性シートを一緒に積層させることにより形成された、得られた溶解性固体物品もまた、同様の金製の長方形形状により特徴付けられる。
【0045】
好ましくは、本発明の可撓性及び溶解性シートは、消費者に審美的な心地良さを与える、特定の属性を有する。例えば、シートは、比較的滑らかな表面を有してよく、それにより、消費者が触れた場合に心地良い感触を提供する。
【0046】
また、本発明の可撓性及び溶解性シートは、その構造的一体性を損なうことなく実質的な機械的力に耐えるのに十分な強度であるが、同時に、容易な包装及び保管のために十分に可撓性であることも望ましい。
【0047】
水溶性ポリマー
溶解性固体物品中の可撓性及び溶解性シートのそれぞれは、好ましくはフィルム形成剤及び有効成分(例えば、界面活性剤、ビルダー、軟化剤、酵素、皮膚軟化剤、香料、着色剤、漂白剤など)のためのキャリアとして機能する、1種以上の水溶性ポリマーを含む。このような水溶性ポリマー(複数可)の総量は、例えば、このようなシートの総重量に対して、約5%~約90%、好ましくは約10%~約50%、より好ましくは約15%~約40%、最も好ましくは約20%~約30%の範囲であり得る。
【0048】
本発明で使用する水溶性ポリマーは、合成されたものであっても又は天然由来のものであってもよく、化学的及び/又は物理的に改質されてもよい。
【0049】
本発明の実施のための水溶性ポリマーの好適な例としては、ポリアルキレングリコール(ポリアルキレンオキシド又はポリオキシアルキレンとも称される)、ポリビニルアルコール、多糖類(デンプン又は化工デンプン、セルロース又は変性セルロース、プルラン、キサンタンガム、グアーガム、及びカラギーナンなど)、ポリアクリレート及びこれらの誘導体(例えば、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレートなど)、マレイン酸と(メタ)アクリル酸とのコポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリアミド、ポリアクリルアミド及びこれらの誘導体(例えば、ポリメチルアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミドなど)、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー、ビニルピロリドンとカプロラクタムとのコポリマー、ポリカプロラクタム、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリウレタン、ポリカルボン酸、ポリビニルアセテート、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、ポリエステル、タンパク質/ポリペプチド又はその加水分解生成物(コラーゲン及びゼラチンなど)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0050】
本発明の水溶性ポリマーは、カラヤガム、トラガカントガム、アラビアゴム、アセマンナン、コンニャクマンナン、アカシアガム、ガティガム、ホエータンパク質分離物、及び大豆分離物などの植物起源のポリマー、グアーガム、ローカストビーンガム、マルメロ種子、及びオオバコ種子を含む種子抽出物、カラギーナン、アルギン酸、及び寒天などの海藻抽出物、果物抽出物(ペクチン)、キサンタンガム、ジェランガム、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、及びデキストランなどの微生物起源のもの、並びにカゼイン、ゼラチン、ケラチン加水分解物、スルホン化ケラチン、アルブミン、コラーゲン、グルテリン、グルカゴン、グルテン、ゼイン、及びセラックなどの動物起源のもの、を含む、天然起源のポリマーから選択されてよい。
【0051】
上述の天然起源のポリマーは、本発明で使用するために変性されてよい。好適な変性天然ポリマーとしては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ニトロセルロース及びその他のセルロースエーテル/エーテルなどのセルロース誘導体、並びにヒドロキシプロピルグアーなどのグアー誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
好ましくは、本発明で使用される水溶性ポリマーは、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、デンプン又は変性デンプン、プルラン、ゼラチン、セルロース又は変性セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。本発明の特に好ましい実施形態では、可撓性及び溶解性シートのそれぞれは、ポリエチレングリコール(PEG)又はポリビニルアルコール(PVA)を、単独で(即ち、その他のフィルム形成剤を含まない)、又はデンプン、変性デンプン、セルロース、若しくは変性セルロースと組み合わせて、のどちらかで、含有する。
【0053】
PEGの実行では、PEGは、約2,000~約100,000g/mol、好ましくは約4,000~約90,000g/mol、より好ましくは約6,000~約8,000g/molの重量平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)ホモポリマー及びポリ(エチレングリコール)コポリマーから選択されてよい。好適なポリ(エチレングリコール)コポリマーは、好ましくは、少なくとも約50重量%のPEGを含有し、ポリ(ラクチド-ブロック-エチレングリコール)、ポリ(グリコリド-ブロック-エチレングリコール)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール-コ-乳酸)、ポリ(エチレングリコール-コ-グリコール酸)、ポリ(エチレングリコール-コ-ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリ(エチレングリコール-コ-プロピレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド-ブロック-プロピレンオキシド-ブロック-エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド-ブロック-エチレングリコール-ブロック-プロピレングリコール)、及びポリ(エチレングリコール-コ-カプロラクトン)からなる群から選択されてよい。代表的なポリ(エチレングリコール)ホモポリマーは、CARBOWAX(商標)の商品名にて、シグマーアルドリッチ(Sigma-Aldrich)又はダウ(Dow)から、又はPluriol(登録商標)の商品名にて、BASFから市販されている。代表的なポリ(エチレングリコール)コポリマーは、Pluronic(登録商標)F127、Pluronic(登録商標)F108、Pluronic(登録商標)F68及びPluronic(登録商標)P105の商品名にて、BASFから市販されている。本発明の実施に特に好ましいPEGは、約6,000~約80,000g/molの重量平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)ホモポリマーである。
【0054】
PVAの実行では、PVAは、未変性又は変性されてよく、例えば、カルボキシル化又はスルホン化されてよい。好ましくは、PVAは、部分的に又は完全に、アルコール化又は加水分解される。例えば、PVAは、40~100%、好ましくは70~92%、より好ましくは88%~92%にてアルコール化又は加水分解されてよい。加水分解度は、PVAが水中に溶解し始める温度に影響することが周知であり、例えば、88%の加水分解は、冷水(即ち、室温)中で可溶性のPVAフィルムに対応し、92%の加水分解は、温水中で可溶性のPVAフィルムに対応する。このようなPVAは、好ましくは、約10,000~約500,000ダルトン、好ましくは約15,000~約200,000ダルトン、より好ましくは約20,000~約100,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する。なお、PVAは、約200~約12,000、好ましくは約300~約5,000、より好ましくは約400~約2,000の範囲の重合度を有することが好ましい。PVAは、ビニルアルコールとマレイン酸とのコポリマーを含む、PVAホモポリマー又はPVAコポリマーのいずれかから選択することができる。好ましいPVAの例は、エチオキシル化PVAである。PVAのより好ましい例は、CELVOL(登録商標)の商品名にて、Sekisui Specialty Chemicals America,LLC(テキサス州、ダラス)から市販されており、CELVOL(登録商標)523、CELVOL(登録商標)530、CELVOL(登録商標)540、CELVOL(登録商標)518、CELVOL(登録商標)513、CELVOL(登録商標)508、CELVOL(登録商標)504、及びこれらの組み合わせを含む。PVAの別のより好ましい例は、Nippon Ghoseiから市販されている、所謂Gポリマーである。
【0055】
変性天然ポリマーの実行では、このようなポリマーは、METHOCEL(商標)の商品名にて、Dow Chemicals Company(ミシガン州、ミッドランド)から入手可能なヒドロキシプロピルメチルセルロースであってよく、これは、METHOCEL(商標)E50、METHOCEL(商標)E15、METHOCEL(商標)E6、METHOCEL(商標)E5、METHOCEL(商標)E3、METHOCEL(商標)F50、METHOCEL(商標)K100、METHOCEL(商標)K3、METHOCEL(商標)A400、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0056】
水溶性ポリマーは、本発明の可撓性及び溶解性シート中に、各シートの総重量に対して、約1%~約70%、好ましくは約2%~約60%、より好ましくは約5%~約50%、最も好ましくは約15%~約40%にて存在してよい。
【0057】
水溶性ポリマー(複数可)に加えて、可撓性及び溶解性シートのそれぞれはまた、水溶性ポリマー(複数可)の特性を変性させるために、可塑剤及び固体などの好適な添加剤を含んでよい。
【0058】
好適な可塑剤は、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル、及びジメチコンコポリオールからなる群から選択することができる。例えば、約200~約600の範囲の分子量を有する、ペンタエリスリトール(ジペンタエリスリトールなど)、糖アルコール(ソルビトール及びマンニトールなど)、グリコール(グリセロール、エチレングリコール、及びプロピレングリコールなど)、及びポリエチレングリコールを、本発明の可撓性及び溶解性シートの可塑剤として容易に使用することができる。最も好ましい可塑剤としては、グリセリン及びプロピレングリコールが挙げられる。可塑剤は、一般に、各シートの総重量に対して、最大35重量%、例えば、1~35重量%、好ましくは3~20重量%、より好ましくは5~15重量%の量にて使用される。
【0059】
また、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、ステアリン酸亜鉛又はコロイドシリカなどの固体が、一般に、各シートの総重量に対して、約0.5~5重量%の範囲の量にて使用されてもよい。
【0060】
有効成分
本発明の可撓性及び溶解性シートのそれぞれは、本明細書で上述した水溶性ポリマー(複数可)に加えて、特定の機能的効果を伴う1種以上の有効成分を更に含有する。
【0061】
界面活性剤
好ましくは、本発明の可撓性及び溶解性シートのうちの少なくとも1のシートは、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、1種以上の洗浄性界面活性剤を含有する。より好ましくは、溶解性固体物品中の可撓性及び溶解性シートの全ては、本明細書で上記に列挙したような、1種以上の界面活性剤を含有する。
【0062】
好ましくは、可撓性及び溶解性シートのうちの少なくとも1のシートは、当該シートの総重量に対して、約15%~約90%、好ましくは約20%~約85%、より好ましくは約30%~約80%、最も好ましくは約40%~約70%の界面活性剤(複数可)を含む。当該可撓性及び溶解性シートのうちの少なくとも1のシートは、十分に高い界面活性剤含有量、例えば、このようなシートの総重量に対して、少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは少なくとも70%により特徴付けられることが、特に好ましい。このような高い界面活性剤含有量は、非常に密集しかつ濃縮された洗剤製品を提供し、これは、しばしば移動する消費者にとって、特に便利である。なお、このような密集しかつ濃縮された形態の出荷及び取り扱いコストは、従来の粉末又は液体形態の洗剤製品と比較して著しく低減され、これにより、本発明に従って形成された洗剤製品は、特に、電子商取引チャネルを介して販売されることが望ましい。
【0063】
本発明での使用に好適なアニオン性界面活性剤の非限定例としては、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、硫酸化モノグリセリド、スルホン化オレフィン、アルキルアリールスルホネート、第一級又は第二級アルカンスルホネート、アルキルスルホサクシネート、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルグリセリルエーテルスルホネート、スルホン化メチルエステル、スルホン化脂肪酸、アルキルホスフェート、アシルグルタメート、アシルサルコシネート、アルキルスルホアセテート、アシル化ペプチド、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルラクチレート、アニオン性フルオロ界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
好ましくは、本明細書で上述したような1種以上のアニオン性界面活性剤(複数可)は、可撓性及び溶解性シートのうちの少なくとも1のシートの主要な界面活性剤として機能し、即ち、このようなシートにおける全ての界面活性剤の総重量に対して、約50%以上の量にて存在する。本発明で主要な界面活性剤として使用するのに好適なアニオン性界面活性剤としては、非アルコキシル化C~C20直鎖又は分枝鎖アルキルサルフェート(AS)、C~C20直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、アルコキシル化C~C20直鎖又は分枝鎖アルキルサルフェート(AAS)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0065】
本発明の可撓性及び溶解性シート中の主要な界面活性剤として使用するための、特に好ましい種類の界面活性剤は、非アルコキシル化C~C18ASであり、これは以下では「ミッドカットAS(mid-cut AS)」と称され、そのそれぞれは、約6個~約18個の炭素原子を含有する分枝鎖状又は直鎖状の非アルコキシル化アルキル基を有する。本発明の特に好ましい実施形態では、ミッドカットASは、可撓性及び溶解性シート中の主要な界面活性剤として存在する、即ち、シートにおける全ての界面活性剤の総重量に対して、少なくとも約50%の量で存在する一方で、LAS、AAS、及び/又は非イオン性界面活性剤などの別の界面活性剤は、補助界面活性剤として存在する。
【0066】
本発明のミッドカットASは、R-O-SO の一般式を有するが、Rは、分枝鎖状又は直鎖状非のアルコキシル化C~C18アルキル基であり、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムのカチオンである。好ましくは、AS界面活性剤のR基は、約8個~約16個の炭素原子、より好ましくは約10個~約14個の炭素原子、最も好ましくは約12個~約14個の炭素原子を含有する。Rは、置換又は非置換であってよく、好ましくは非置換である。Rは、任意のアルコキシル化を実質的に含まない。Mは、好ましくはナトリウム、カリウム、又はマグネシウムのカチオンであり、より好ましくは、Mはナトリウムカチオンである。
【0067】
本発明で使用されるミッドカットAS界面活性剤の量は、このような2以上の非繊維状シートのそれぞれの総重量に対して、約5%~約90%、好ましくは約10%~約80%、より好ましくは約20%~約75%、最も好ましくは約30%~約70%の範囲であってよい。このようなミッドカットAS界面活性剤(複数可)は、好ましくは、可撓性及び溶解性シートの界面活性剤系中で、主要な界界面活性剤として機能する。換言すれば、ミッドカットAS界面活性剤(複数可)は、可撓性及び溶解性シートのそれぞれにおける全ての界面活性剤の総重量に対して50%超の量で存在する。
【0068】
好ましくは、シートの界面活性剤系は、約50重量%超、好ましくは約60重量%超、より好ましくは70重量%超又は80重量%、最も好ましくは90重量%超、又は更には100重量%(即ち、実質的に純粋)の、例えば、C、C、C10、C12、C14、C16、及びC18のAS界面活性剤を含む、偶数の炭素原子を有する直鎖状のAS界面活性剤を含む、ミッドカットAS界面活性剤の混合物を含有してよい。
【0069】
より好ましくは、シートの界面活性剤系は、ミッドカットAS界面活性剤の混合物を含有し、C~C14のAS界面活性剤は、混合物の総重量に対して、約85%~約100%の範囲の量で存在する。この混合物は、「C~C14リッチAS混合物」と称される場合もある。より好ましくは、このようなC~C14リッチAS混合物は、約90重量%~約100重量%、又は92重量%~約98重量%、又は約94重量%~約96重量%、又は100重量%(即ち、純粋)の、C~C14のASを含有する。
【0070】
本発明の特に好ましい実施形態では、界面活性剤系は、約30重量%~約100重量%、又は約50重量%~約99重量%、好ましくは約60重量%~約95重量%、より好ましくは約65重量%~約90重量%、最も好ましくは約70重量%~約80重量%のC12~C14のAS(これらは「C12~C14リッチAS混合物」と称される場合もある)を含む、ミッドカットAS界面活性剤の混合物を含有する。好ましくは、このようなC12~C14リッチAS混合物は、C12ASの大部分を含有する。本発明の最も好ましい実施形態では、界面活性剤系は、C12及び/又はC14のAS界面活性剤、例えば、100%のC12AS、又は約70重量%~約80重量%のC12AS及び20重量%~約30重量%のC14ASからなり、少量のその他のAS界面活性剤をその内部に伴う、又はその他のAS界面活性剤をその内部に有さない、ミッドカットAS界面活性剤の混合物を含有する。
【0071】
本発明の最も好ましい実施形態では、可撓性及び溶解性シートのそれぞれは、このようなシートの総重量に対して、約10重量%~約70重量%、好ましくは約20重量%~約60重量%の純粋なC12AS又はC12~C14リッチAS混合物を含有する一方で、C12~C14リッチAS混合物は、このような混合物の総重量に対して、約70重量%~約80重量%のC12AS及び20重量%~約30重量%のC14ASを含有する。
【0072】
本発明の実施に特に好適な市販のミッドカットAS混合物は、Cognis(ドイツ、モンハイム)からの、Texapon(登録商標)V95Gである。
【0073】
本発明の可撓性及び溶解性シート中で主要な界面活性剤として使用するための、別の好ましい種類の界面活性剤は、C~C20直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)であり、これは、単独で、又は本明細書で上述したミッドカットASと組み合わせて、のどちらかで、シート中に存在してよい。LASは、主要な界面活性剤として、又はミッドカットASのための補助界面活性剤としてのどちらかで、シート中に存在し得る。本発明の特に好ましい実施形態では、LASは、可撓性及び溶解性シート内に、例えば、約1:15~約1:2、好ましくは約1:10~約1:3、より好ましくは約1:8~約1:4の範囲の重量比にて、ミッドカットASのための補助界面活性剤として存在する。
【0074】
LAS界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、市販の直鎖アルキルベンゼンをスルホン化することにより、容易に入手することができる。本発明で使用することができる、代表的なC~C20直鎖アルキルベンゼンスルホネートとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はC~C20直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のアンモニウム塩、並びに好ましくは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、及び/又はC11~C18若しくはC11~C14直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のアンモニウム塩が挙げられる。より好ましいものは、C12直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム又はカリウム塩であり、最も好ましいものは、C12直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、即ち、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。存在する場合、可撓性及び溶解性シート中のLASの量は、シートのそれぞれの総重量に対して、約1%~約90%、好ましくは約2%~約70%、より好ましくは約5%~約40%の範囲であってよい。本発明の最も好ましい実施形態では、シートのそれぞれは、このようなシートの総重量に対して、約5重量%~約20重量%の、C12直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム、カリウム又はマグネシウム塩を含有する。
【0075】
本発明の可撓性及び溶解性シートは、単独で主要な界面活性剤として、又は好ましくは、補助界面活性剤として本明細書で上述したミッドカットAS及び/若しくはLASと組み合わせて、のどちらかで、約0.1~約5の範囲の平均アルコキシル化度を有する、C~C20直鎖又は分枝鎖アルキルアルコキシサルフェート(AAS)を含有してよい。
【0076】
AAS界面活性剤は、好ましくは、以下の式(I)を伴う、C~C20直鎖又は分枝鎖アルキルエトキシサルフェート(AES)である。
R-O-(CO)-SO (I)、
式中、Rは、飽和又は不飽和のいずれかで、10個~20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル鎖であり、xの平均は1~3であり、Mは、アルカリ金属イオン、アンモニウム、又は置換アンモニウムからなる群から選択される。好ましくは、Rは、12個~16個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖アルキル基であり、xの平均は3であり、Mはナトリウムである。本発明の実施に最も好ましいアニオン性界面活性剤は、約3の平均エトキシル化度を有するラウリル硫酸エーテルナトリウムである。
【0077】
AAS界面活性剤は、存在する場合、可撓性及び溶解性シートの総重量に対して、約1%~約30%、好ましくは約2%~約20%、より好ましくは約5%~約15%の範囲の量で提供することができる。
【0078】
本発明の可撓性及び溶解性シート中に含めるのに好適な、その他のアニオン性界面活性剤としては、C~C20直鎖又は分枝鎖アルキルスルホネート、C~C20直鎖又は分枝鎖アルキルカルボキシレート、C~C20直鎖又は分枝鎖アルキルホスフェート、C~C20直鎖又は分枝鎖アルキルホスホネート、C~C20アルキルN-メチルグルコースアミド、C~C20メチルエステルスルホネート(MES)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0079】
本発明の可撓性及び溶解性シートに使用するためのアニオン性界面活性剤のより具体的な例としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0080】
本発明の可撓性及び溶解性シートは、本明細書に上述のアニオン性界面活性剤と組み合わせて使用される、1種以上の非イオン性界面活性剤を含有してよい。このような非イオン性界面活性剤(複数可)は、このようなシートの総重量に対して、1%~40%、好ましくは2%~30%、より好ましくは5%~25%、最も好ましくは10%~20%の範囲の量で存在してよい。
【0081】
本明細書で有用な好適な非イオン性界面活性剤は、任意の従来の非イオン性界面活性剤を含むことができる。これらは、例えば、アミンオキシド界面活性剤及びアルコキシル化脂肪族アルコールを含むことができる。非イオン性界面活性剤は、式R(OCOHの、エトキシル化アルコール及びエトキシル化アルキルフェノールから選択されてよく、式中、Rは、約8個~約15個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素ラジカル、及びアルキル基が約8個~約12個の炭素原子を含有するアルキルフェニルラジカルからなる群から選択され、nの平均値は、約5~約15である。一例では、非イオン性界面活性剤は、アルコール中に平均約24個の炭素原子及びアルコール1モル当たりエチレンオキシド約9モルの平均エトキシル化度を有する、エトキシル化アルコールから選択される。本明細書で有用な、非イオン性界面活性剤のその他の非限定例としては、C~C18アルキルエトキシレート(Shellからの、NEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤など)、アルコキシレート単位がエチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合物であってよい、C~C12のアルキルフェノールアルコキシレート、C12~C18アルコール、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC~C12アルキルフェノール縮合物(BASFからのPluronic(登録商標)など)、C14~C22中鎖分枝鎖アルコール、C14~C22中鎖分枝鎖アルキルアルコキシレート(BAEx、式中、xは1~30である)、アルキル多糖類、具体的にはアルキルポリグリコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、及びエーテル末端保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤はまた、商品名Lutensol(登録商標)としてBASFから販売されているものを含む。
【0082】
本発明の好ましい非イオン性界面活性剤としては、アルキルポリグルコシド、アルキルアルコール、アルキルアルコキシル化アルコール、アルキルアルコキシレート、アルキルフェノールアルコキシレート、アルキルセルロース、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、エーテル末端保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。より好ましい実施形態では、非イオン性界面活性剤は、C18アルキルアルコキシル化アルコール、より具体的には、C18アルキルエトキシル化アルコールなどの、アルキルアルコキシル化アルコールから選択される。アルキルアルコキシル化アルコールは、約1~約50、又は約1~約30、又は約1~約20、又は約1~約10の平均アルコキシル化度を有してよい。アルキルアルコキシル化アルコールは、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換であり得る。
【0083】
最も好ましい実施形態では、本発明の可撓性及び溶解性シートは、シートの総重量に対して、約1%~約40%、好ましくは約5%~約25%、より好ましくは約10%~約20%の範囲の量で、約1~約10、又は約1~約8、又は約3~約7の平均エトキシル化度を有する、C1214アルキルエトキシル化アルコールを含有する。
【0084】
本発明の可撓性及び溶解性シートはそれぞれ、双極性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1種の追加の界面活性剤を含んでよい。
【0085】
カチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、最高26個の炭素原子を有することができる四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、アルコキシル化四級アンモニウム(AQA)界面活性剤、ジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム、ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド、ポリアミンカチオン性界面活性剤、カチオン性エステル界面活性剤、及びアミノ界面活性剤、例えば、アミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。好適なカチオン性洗浄性界面活性剤としてはまた、アルキルピリジニウム化合物、アルキル四級アンモニウム化合物、アルキル四級ホスホニウム化合物、アルキル三級スルホニウム化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0086】
好適なカチオン性洗浄性界面活性剤は、下記の一般式、
(R)(R)(R)(R)N (II)
(式中、Rは、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC6~18アルキル又はアルケニル部分であり、R及びRは、独立して、メチル又はエチル部分から選択され、Rは、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル又はヒドロキシエチル部分であり、Xは、電荷の中性を提供するアニオンであり、好適なアニオンとしては、例えばクロリドのようなハロゲン化物、硫酸塩、及びスルホン酸塩が挙げられる)を有する、四級アンモニウム化合物である。好適なカチオン性洗浄性界面活性剤は、モノ-C6~18アルキルモノ-ヒドロキシエチルジ-メチル四級アンモニウムクロリドである。高度に好適なカチオン性洗浄性界面活性剤は、モノ-C8~10アルキルモノ-ヒドロキシエチルジ-メチル四級アンモニウムクロリド、モノ-C10~12アルキルモノ-ヒドロキシエチルジ-メチル四級アンモニウムクロリド、及びモノ-C10アルキルモノ-ヒドロキシエチルジ-メチル四級アンモニウムクロリドである。
【0087】
双極性界面活性剤の好適な例としては、複素環式二級及び三級アミンの誘導体を含む、二級及び三級アミンの誘導体、四級アンモニウム、四級ホスホニウム、又は三級スルホニウム化合物の誘導体、アルキルジメチルベタイン、ココジメチルアミドプロピルベタイン、並びにスルホベタイン及びヒドロキシベタインを含むベタイン、C~C18(好ましくはC12~C18)アミンオキシド、アルキル基がC~C18であり得る、N-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホネート、が挙げられる。
【0088】
好適な両性界面活性剤の例としては、二級又は三級アミンの脂肪族誘導体、又は、脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であってよく、かつ脂肪族置換基のうちの1つが少なくとも約8個の炭素原子、若しくは約8~約18個の炭素原子を含有し、脂肪族置換基のうちの少なくとも1つがアニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する、ヘテロ環式二級及び三級アミンの脂肪族誘導体が挙げられる。好適な両性界面活性剤としてはまた、サルコシネート、グリコシネート、タウリネート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0089】
本発明の特に好ましいが必須ではない実施形態では、可撓性及び溶解性シートは、アニオン性界面活性剤のみ、例えば、単一のアニオン性界面活性剤、又は2つ若しくはそれ以上の異なるアニオン性界面活性剤の組み合わせ、のどちらかを含有する、界面活性剤系を有してよい。あるいは、このようなシートは、例えば、1種以上のアニオン性界面活性剤と1種以上の非イオン性界面活性剤との組み合わせ、又は1種以上のアニオン性界面活性剤と1種以上の双極性界面活性剤との組み合わせ、又は1種以上のアニオン性界面活性剤と1種以上の両性界面活性剤との組み合わせ、又は1種以上のアニオン性界面活性剤と1種以上のカチオン性界面活性剤との組み合わせ、又は上記の全ての種類の界面活性剤(即ち、アニオン性、非イオン性、両性、及びカチオン性)の組み合わせを含有する、複合界面活性剤系を含んでよい。
【0090】
追加成分
本発明の可撓性及び溶解性シートは、所望により、洗浄性能を補助若しくは向上させるために、又はシートの審美性を変更するための、1種以上のその他の補助洗剤成分を含んでよい。このような補助剤洗剤成分の例示的な例としては、(1)炭酸塩(重炭酸塩及びセスキ炭酸塩を含む)、サルフェート、ホスホネート(トリポリホスフェート、ピロホスフェート、及びガラス質ポリマーメタホスフェートにより例示される)、ホスホネート、フィチン酸、ケイ酸、ゼオライト、クエン酸、ポリカルボキシレート及びこれらの塩(メリト酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5-トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びこれらの可溶性塩)、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレン若しくはビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン-2,4,6-トリスルホン酸、3,3-ジカルボキシ-4-オキサ-1,6-ヘキサンジオエート、ポリ酢酸(エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸など)及びその塩、脂肪酸(C12~C18モノカルボン酸など)などの、無機並びに/又は有機ビルダー、(2)アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能置換された芳香族キレート剤、及びその混合物からなる群から選択される、鉄キレート剤及び/又はマンガンキレート剤などの、キレート剤、(3)水溶性エトキシル化アミン(特に、エトキシル化テトラエチレン-ペンタミン)などの、土汚れ除去/再付着防止剤、(4)高分子ポリカルボキシレート及びポリエチレングリコール、アクリル/マレイン酸系コポリマー、及びこれらの水溶性塩、ヒドロキシプロピルアクリレート、マレイン酸/アクリル/ビニルアルコールターポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアスパルテート及びポリグルタメートなどの、ポリマー分散剤、(5)スチルベン、ピラゾリン、クマリン、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチフェン-5,5-ジオキシド、アゾール、5員及び6員環の環複素環などの誘導体を含むが、これらに限定されない、蛍光増白剤、(6)モノカルボン脂肪酸及びその可溶性塩、高分子量炭化水素(例えば、パラフィン、ハロパラフィン、脂肪酸エステル、一価アルコールの脂肪酸エステル、脂肪族C18~C40ケトン、等)、N-アルキル化アミノトリアジン、プロピレンオキシド、モノステアリルホスフェート、シリコン又はこれらの誘導体、二級アルコール(例えば、2-アルキルアルカノール)、及びこのようなアルコールとシリコン油との混合物などの、抑泡剤、(7)C10~C16アルカノールアミド、C10~C14モノエタノールアミド及びジエタノールアミド、高石鹸泡界面活性剤(例えば、アミンオキシド、ベタイン及びスルタイン)、並びに可溶性マグネシウム塩(例えば、MgCl、MgSOなど)などの、石鹸泡起泡増進剤、(8)スメクタイト粘土、アミン柔軟剤及びカチオン性柔軟剤などの、布地柔軟剤、(9)ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルイミダゾールのコポリマー、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、及びこれらの混合物などの、染料移染防止剤、(10)プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、及びペルオキシダーゼ、並びにこれらの混合物などの、酵素、(11)カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの水溶性源、ホウ酸又はホウ酸塩(三酸化二ホウ素、ホウ砂及びその他のアルカリ金属ホウ酸塩など)を含む、酵素安定剤、(12)過炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム過酸化水素化物、ピロリン酸ナトリウム過酸化水素化物、尿素過酸化水素化物、及び過酸化ナトリウム)、過硫酸塩、過ホウ酸塩、モノペルオキシフタル酸マグネシウム六水和物、メタクロロ過安息香酸のマグネシウム塩、4-ノニルアミノ-4-オキソペルオキシ酪酸及びジペルオキシドデカン二酸、6-ノニルアミノ-6-オキソペルオキシカプロン酸、並びに光活性化漂白剤(例えば、スルホン化亜鉛及び/又はアルミニウムフタロシアニン)などの、漂白剤、(13)ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、(6-オクタンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート、(6-ノナンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート、(6-デカンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート、及びこれらの混合物を含むアミド-誘導漂白活性化剤、ベンゾオキサジン型活性化剤、アシルラクタム活性化剤(特にアシルカプロラクタム及びアシルバレロラクタム)などの、漂白活性化剤、並びに(14)キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、染料又は顔料、及び固体充填剤が挙げられるがこれらに限定されない、任意のその他の周知の洗剤補助成分、が挙げられる。
【0091】
代替的に(又は加えて)、本発明の可撓性及び溶解性シートは、化粧品での使用が認可された任意成分を含んでよい。このような任意成分の更なる非限定例としては、防腐剤、香料又は芳香剤、着色剤又は染料、コンディショニング剤、毛髪漂白剤、増粘剤、保湿剤、皮膚軟化剤、薬剤活性物質、ビタミン又は栄養素、日焼け止め剤、脱臭剤、知覚剤、植物エキス、栄養素、収斂剤、化粧品粒子、吸収剤粒子、接着剤粒子、毛髪定着剤、繊維、反応剤、美白剤、日焼け剤、ふけ防止剤、香料、剥離剤、酸、化粧下地、保湿剤、酵素、懸濁化剤、pH調整剤、毛髪着色剤、ヘアパーマ剤、顔料粒子、にきび抑制剤、抗菌剤、日焼け止め剤、日焼け剤、剥離粒子、増毛又は育毛剤、防虫剤、剃毛ローション剤、共溶媒又はその他の追加の溶媒、並びに類似のその他の材料が挙げられる。具体的には、好適なコンディショニング剤としては、高融点脂肪族化合物、シリコーンコンディショニング剤及びカチオン性コンディショニングポリマーが挙げられる。
【0092】
可撓性及び溶解性シートを作製する方法
本発明の可撓性及び溶解性シートは、鋳造、成形、加圧成形、押出成形/押出成形コーティング、カレンダー圧延加工、溶液堆積、スカイビング、及び積層などの、任意の好適なフィルム形成方法により作製することができる。例えば、最初に、水中に溶解又は分散された原料を含有するスラリーを提供し、次に、スラリーをシート状の形態へと成形することにより、本発明の可撓性及び溶解性シートを形成することができる。乾燥は、成形工程と同時に行われるか、又はその後に実行するかのどちらかで行うことができ、水を除去し、かつ完成したシートを形成する。
【0093】
シリンダシート製造システムによる、本発明の可撓性及び溶解性シートを作製するための好ましいが非限定的なプロセスを、本明細書で以下に記載する。
【0094】
シリンダシート製造システムは、その上に設置された、加熱された回転可能なシリンダを有する基部ブラケットを備える。加熱された回転可能なシリンダは、基部ブラケットに取り付けられた電動駆動装置により駆動されて、所定の回転速度で作動することができる。当該加熱された回転可能なシリンダは、好ましくは、その外側表面上に非粘着性コーティングでコーティングされる。
【0095】
本明細書で上述した全て又はいくつかの原材料(例えば、水溶性ポリマー(複数可)、可塑剤、固形物、界面活性剤(複数可)並びに補助洗剤及び/又は化粧成分などの有効成分)を含有する、予備形成されたスラリーを、加熱された回転可能なシリンダ上に追加するための、供給機構もまた提供される。供給機構は、基部ブラケット上に設置され、その後すぐに少なくとも1つの(好ましくは2つの)供給ホッパ(複数可)が設置された供給ラック、供給の動的観測結果のための撮像装置、及び供給ホッパの位置及び傾斜角度を調節するための調節装置を含む。
【0096】
また、急速な熱損失を防止するために、基部ブラケット上に設置された加熱シールドも存在する。さもなければ、スラリーは、加熱された回転可能なシリンダ上で、急速に固結し得てしまう。加熱シールドはまた、加熱された回転可能なシリンダにより必要とされるエネルギーを効果的に節約することができ、それにより、エネルギー消費を低減し、かつコスト削減を提供することができる。加熱シールドは、モジュール式組立構造体、又は一体型構造体であり、基部ブラケットから自由に取り外すことができる。また、熱蒸気を吸い込むために、加熱シールド上に吸引装置が設置されて、形成されるシート上に水凝縮物が滴下することを防止する。加熱された回転可能なシリンダにより既に形成されたシートを掬い上げるための、基部ブラケット上に設置された開始供給機構もまた、存在する。
【0097】
可撓性及び溶解性シートの製造プロセスは、以下のとおりである。最初に、基部ブラケット上の非粘着コーティングを有する加熱された回転可能なシリンダは、電動駆動装置により駆動される。次に、調節装置は、供給ホッパと加熱された回転可能なシリンダの外側表面との間の距離が予め設定された値に到達するように、供給機構を調節する。一方、供給ホッパは、可撓性及び溶解性シートを加熱された回転可能なシリンダ上に作製するための、全て又はいくつかの原材料を含有する、予備形成されたスラリーを添加する。加熱シールドの吸引装置は、加熱された回転可能なシリンダにより生成された、熱蒸気を吸引する。
【0098】
既に形成された可撓性及び溶解性シートを、次に、本明細書で上述したように、本発明の溶解性固体物品へと形成することができる。
【実施例
【0099】
実施例1:溶解性固体物品の溶解速度における、貫通穴の直径及び貫通穴の容積パーセントの影響を示す、比較試験
約1mmの厚さを有し、かつ以下の成分を含む可撓性及び溶解性シートを、本明細書で上述のような製造プロセスに続いて、最初に作製する。
【0100】
【表1】
重合度=500、Mw=22,000
重合度=1700、Mw=74,800
約1の平均エトキシル化度を有する
【0101】
1mm厚の可撓性及び溶解性シートの上述した5つの層を、次に一緒に積層し、熱融着させて、切断して溶解性固体物品を形成するが、これらのそれぞれは、約6cm×6cmの正方形の形状及び約5mmの厚さを有する。
【0102】
スピンドル取り付け部を備えたHyrel System 30M 3Dプリンタを次に利用して、このような溶解性固体物品を穿孔し、異なる寸法の種々な数の円形貫通穴を、その内部に形成する。プリンタは、高速(>1000毎分回転数)にてドリルヘッドを回転させることが可能であり、カスタマイズされたGコードに従って、画定されたX、Y及びZの位置にドリルヘッドを正確に移動させることが可能である。それぞれの溶解性固体物品内の各貫通穴の位置を計算して、隣接する貫通穴間の間隔が等しいように配置し、またこのような貫通穴の所望の寸法及び全てのこのような貫通穴の所望の容積パーセントに基づいて、それぞれの溶解性固体物品に形成された貫通穴の総数を計算する。異なる寸法の異なる数の円形貫通穴を有する以下の有孔溶解性固体物品を、それに対応して形成する。
【0103】
【表2】
【0104】
具体的には、上記の溶解性固体物品の穿孔は、以下のように実施される。
・各物品を、片側がプリンタトレイに接触し、他方の側が上向きになるように配置する。このようにして、プリンタソフトウェアによるZ次元が、物品の厚さに対応する。
・物品の1つの縁部が、G-コードファイル命令における(0,0)の(X,Y)位置に対応するように、トレー上の所定の位置に物品を配置する。
・必要な直径を有するドリルヘッドを、スピンドルツール内へと挿入する。
・G-コードファイルをロードし、ソフトウェアにより実行する。
・ドリル加工の間、ドリルヘッドが必要なX及びY位置に移動し、またドリルがZ軸に沿って上下に移動し、その結果、穴が物品の厚み全体を通じて穿孔される。
【0105】
得られた溶解性固体物品A~Fを、次に、以下の工程を実施することにより、溶解試験にかける。
・上記の溶解性固体物品A~Fのそれぞれの4つの試料を、最初に(約4.0gの総合重量で)加重して、総重量を「試料材料の総重量」として記録し、
・次に、縫合溶接により既に封止されている3つの側面を伴い、かつ第4の側面が物品を挿入するために解放されている綿100%の布地の2つの層からなる、約8cm×8cmの寸法を有する黒色の綿パウチ内へと、各試料を挿入し、
・一度、物品が挿入されると、次に、2つの層を介して3つのステープルを打ち抜くことにより、黒色の綿パウチを封止し、
・それぞれ試料をその中に含有する4つの黒色の綿パウチを、次に、それぞれが約20cm×20cmの正方形の形状を有する2キログラムの綿100%のテリータオルと共に、Electrolux W565Hのプログラム可能なフロント-ローデング洗濯機内へと追加し、
・本明細書にて以下に記載されるように、黒色の綿パウチ及び綿のテリータオルに、3分の所定の総洗浄時間にて1回の洗浄サイクルをかける。
【0106】
【表3】
・各洗浄サイクルの最後に、黒色の綿パウチを洗濯機から取り出して開放しつつ、試料物品のいずれかの未溶解残留物を、実験室用スパチュラを使用して黒色の綿パウチから除去し、次に、プラスチックポットに移す。
・未溶解残留物を、100℃に予熱したオーブン内へと挿入し、1時間放置して乾燥させる。
・次に、乾燥した残留物を秤量して、「溶解していない固体の重量」として重量を記録する。
・次に、試料材料の溶解パーセント(%)を以下のように計算することができる。
【0107】
【数2】
溶解パーセント(%)が高いほど溶解速度が良好である。
【0108】
上記の工程は、溶解性固体物品A~Fのそれぞれの種類について繰り返され、以下は、対応する溶解結果である。
【0109】
【表4】
【0110】
上記データは、驚くべきことに、かつ予想外に、直径約0.4mmの貫通穴を有する溶解性固体物品B及びEが、直径約0.1mm又は直径約1mmのより大きい貫通穴又はより小さい貫通穴のどちらかを有する物品A、C、D及びFよりも良好な溶解速度を有することを、示している。
【0111】
本明細書にて開示した寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。その代わりに、特に明記しない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0112】
相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外されるか、又は別途制限されない限り、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又はその他の任意の参考文献と組み合わせたときに、そのような任意の発明を教示、示唆、又は開示するとはみなされない。なお、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照として組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0113】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなしに、その他の種々の変更及び修正を行うことができる点が、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。