(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】サーフボードに乗るための装置
(51)【国際特許分類】
B62M 29/00 20060101AFI20220711BHJP
B63B 32/30 20200101ALI20220711BHJP
A63C 5/03 20060101ALI20220711BHJP
A63C 5/06 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
B62M29/00
B63B32/30
A63C5/03
A63C5/06 C
(21)【出願番号】P 2019559167
(86)(22)【出願日】2018-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2018050797
(87)【国際公開番号】W WO2018130671
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2020-12-10
(32)【優先日】2017-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519253410
【氏名又は名称】バリュ アルノー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バリュ アルノー
【審査官】岩本 薫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0197294(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0007837(US,A1)
【文献】特開2002-210066(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02732609(FR,A1)
【文献】特開2003-062146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 29/00-29/02
B62B 13/00-13/18
B63B 32/30
A63C 5/00- 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スノーボード(1)用の乗用装置であって、
上記スノーボード(1)は、
該スノーボード(1)の第1半部に実質的に設けられた第1足立て領域(z)と、
該スノーボード(1)の第2半部に実質的に設けられた第2足立て領域(z’)とを備え、
上記第1足立て領域(z)を基準として、
上記スノーボード(1)の垂線と、
該スノーボード(1)の重心を長手方向に通る第1軸(A)とにより第1平面(P)が構成され、
上記第2足立て領域(z’)を基準として、
上記スノーボード(1)の垂線と、上記第1軸(A)とにより第2平面(P’)が構成され、
上記乗用装置は、
第1端部(15)において
上記第1足立て領域(z)の高さで第1サブプレート(2)を介して
上記スノーボード(1)に接続され
るように意図された第1連結要素(4)であって、該第1連結要素(4)が該スノーボード(1)に接続されたときに、第2端部(17)において第1点(o’)で上記第1平面(P)に対して少なくとも平行に拘束される
ように意図された上記第1連結要素(4)と、
第3端部(12)において
上記第2足立て領域(z’)の高さで第2サブプレート(2’)を介して
上記スノーボード(1)に接続され
るように意図された第2連結要素(3)であって、該第2連結要素(3)が前記スノーボード(1)に接続されたときに、第4端部(14)において第2点(o)で上記第2平面(P’)に対して少なくとも平行に拘束される
ように意図された上記第2連結要素(3)と、
少なくとも上記第1点(o’)の高さで上記第1連結要素(4)に接続されると共に少なくとも上記第2点(o)の高さで上記第2連結要素(3)に接続され、上記第1点(o’)と上記第2点(o)との間に
、固定されかつ予め定められた距離を保つ捻り要素(5)とを備え、
上記捻り要素(5)の自由な動作により、上記第1平面(P)に対して上記第2点(o)が移動すると共に上記第2平面(P’)に対して上記第1点(o’)が移動
し、
上記捻り要素(5)は、上記第2点(o)を含みかつ上記スノーボード(1)に交わるよう延びる第2軸(E)回りにおいて回動可能に上記第2連結要素(3)に接続されていて、上記第2軸(E)回りにおいて少なくとも2°の角度領域にわたって自由に回動可能であり、
上記捻り要素(5)は、上記第1点(o’)を含みかつ上記スノーボード(1)に交わるよう延びる第3回転軸(D)回りにおいて回動可能に上記第1連結要素(4)に接続されており、
上記第2軸(E)と上記第3回転軸(D)との間には、少なくとも2°の角度(g)が存在する
ことを特徴とする乗用装置。
【請求項2】
請求項
1において、
上記第2連結要素(3)は、第4軸(C)回りにおいて回動可能に
第2サブプレート(2’)に取り付けられており、
上記捻り要素(5)は、把持部材(25)であって、該把持部材の重心(k)と、上記第2軸(E)と上記第4軸(C)との交点(x)とを通る第5軸(F)を規定する把持部材(25)を有し、
上記第1点(o’)は、上記把持部材と上記第2点(o)との間に位置する
ことを特徴とする乗用装置。
【請求項3】
請求項
2において、
上記第1点(o’)と上記第2点(o)とは、
側面視で、上記第5軸(F)の両側に位置する
ことを特徴とする乗用装置。
【請求項4】
請求項
2において、
上記第1点(o’)は、上記第5軸(F)上に位置する
ことを特徴とする乗用装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項において、
上記第1連結要素(4)を上記捻り要素(5)に接続する保持要素(6)であって、少なくとも上記第1連結要素(4)または上記捻り要素(5)に対して着脱可能な保持要素(6)を備える
ことを特徴とする乗用装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項において、
上記第1連結要素(4)は、非直線状である
ことを特徴とする乗用装置。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項において、
上記第1連結要素(4)は、第6軸(B)回りにおいて回動可能に
上記スノーボード(1)に接続されている
ことを特徴とする乗用装置。
【請求項8】
請求項
7において、
上記第1連結要素(4)は、長さを変えられ
る伸縮式になっている
ことを特徴とする乗用装置。
【請求項9】
請求項
7において、
上記第1連結要素(4)は、該第1連結要素(4)の両端部の間の全体的な長さが変更でき
、上記第6軸(B)と平行な第7回転軸にしたがって互いに接続される2つの半部を有する
ことを特徴とする乗用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーフボード、特にスノーサーフボードに乗るための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スノーサーフボードにおいて、ユーザ操作のための様々な構造を、必ずしも当該ボードへの足の固定を伴わないものとして設けることが広く知られている。
【0003】
公知の装置は、実質的に小さな寸法を有する第1の硬いサーフボードを、ハンドルを頂部に有するステアリングコラムを前部に備えるフレームの固定された後部に固定することによって自転車の原理を応用する。このステアリング部材の下端部には、後部に固定されたものよりも概して小さな寸法を有する第2のボードが備えられる。この装置は自転車やスノーサーフボードのいずれの動的挙動も正確には再現しないことに加え、2つの特殊なボードのコストや容積が主な欠点をもたらす。
【0004】
ボードの一部において臀部の高さに固定された保持バーなどの別の装置も存在する。しかし、当該装置は、固定領域におけるボードの姿勢しかコントロールできず、当該ボードの長手方向全体における撓みをコントロールできない。さらに、ボードの全長の一部のみの傾きでは、当該ボードに乗るために十分でないことが今や知られている。なぜなら、ユーザの重みに起因する撓みが生じ、またコントロールされないためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】仏国特許出願公開第2732609号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006197294号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ハンドルなどの独特な乗用部材のシンプルな回転およびシンプルな揺動の組合せを通じて、スノーサーフボードにおいて横方向の傾きと長手方向の撓みを同時にコントロールするための装置を提供することにある。したがって、当該装置は、一対の従来的な付属品の必要な機械的性能と、自転車の使いやすさとを兼ね備える一方、特殊なサーフボードを必要としない。当該装置によると、保持されるが固定はされない両足で乗って雪上を自由に移動でき、あるいは平坦面を押すために一方の足を使って安定を得ることができる。乗用部材が提供するレバーアームは、一対の従来的な付属品のそれよりも位置が高く、それにより大幅に使いやすさが増すと共に、器具の最大性能が飛躍的に向上する。最後に、当該装置は、取扱いや保管が容易となるように、素早く折り畳まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特に雪上で用いるサーフボードに乗るためのこの装置は、第1足立て領域zと、これと同様の第2足立て領域z’とを備える。第1足立て領域zは、ボードの実質的に第1半部に、好ましくはボードにおける2番目の5分の1に大部分が配置され、特にボードの重心で当該ボードの長手方向に延びる軸Aの両側に配置されるねじインサートで構成される。当該領域zを基準として、ボードの垂線と軸Aによって第1平面Pが構成される。第2足立て領域z’は、ボードの実質的に第2半部に、好ましくはボードにおける4番目の5分の1に大部分が配置される。当該領域z’を基準として、ボードの垂線と軸Aによって第2平面P’が構成される。
【0008】
この乗用装置は、適合された形状と長さを有し、第1端部において第1サブプレートを介して領域zの高さでボードに固定され、かつ第2端部の点o’において平面Pに対して少なくとも平行に拘束される第1連結要素と、適合された形状と長さを有し、第1端部において第2サブプレートを介して領域z’の高さでボードに固定され、かつ第2端部の点oにおいて平面P’に対して少なくとも平行に拘束される第2連結要素と、適合された形状と長さを有し、少なくとも点o’の高さで連結要素に固定されると共に少なくとも点oの高さで連結要素に固定され、かつ点o’と点oとの間に定まった所定の距離を保つ第3捻り要素とを備え、当該捻り要素の自由な動作により、平面Pに対して点oが移動すると共に平面P’に対して点o’が移動する。
【0009】
特許文献1は、少なくとも1つの握りによって操作されるスノーサーフボードを開示する。特許文献2は、重力によって動く折り畳み可能なスキー車両を操作するための装置を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る装置を備えた静止状態のサーフボードの斜視全体図であって、本発明を説明する様々な要素、軸、および平面と、その運動力学を表している。
【
図2】
図2は、実施形態のボードとそのサブプレートの斜視細部図である。
【
図3】
図3は、実施形態の連結要素の斜視細部図である。
【
図4】
図4は、実施形態の別の連結要素の斜視細部図である。
【
図5】
図5は、本発明の運動力学を左右する実施形態の捻り系と幾何的要素の側面全体図である。
【
図6】
図6は、実施形態の着脱可能なコネクタの斜視細部図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の原理を示す斜視図であって、2つの異なる姿勢の一方に係るものである。
【
図7B】
図7Bは、本発明の原理を示す斜視図であって、2つの異なる姿勢の他方に係るものである。
【
図8A】
図8Aは、本発明に係る装置を備えたサーフボードの斜視図であって、その乗用部材が反時計回り方向に動かされ、平面P,P’に係る角度hが生じている。
【
図8B】
図8Bは、本発明に係る装置を備えたサーフボードの正面図であって、その乗用部材が反時計回り方向に動かされ、平面P,P’に係る角度hが生じている。
【
図9A】
図9Aは、本発明に係る装置を備えたサーフボードの斜視図であって、その乗用部材が時計回り方向に動かされ、平面P,P’に係る角度h’が生じている。
【
図9B】
図9Bは、本発明に係る装置を備えたサーフボードの正面図であって、その乗用部材が時計回り方向に動かされ、平面P,P’に係る角度h’が生じている。
【
図10A】
図10Aは、本発明に係る装置を備えたサーフボードの側面図であって、折り畳み位置にある。
【
図10B】
図10Bは、本発明に係る装置を備えたサーフボードの斜視図であって、折り畳み位置にある。
【
図11】
図11は、本発明に係る変形例の装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
特に断らない限り、「約」や「実質的」の表現は、略10%、好ましくは略5%を意味する。
【0012】
各図に示すように、市場で普通に見つかるものと同じタイプのスノーサーフボード1は、本発明の好ましい実施形態に係る装置を備える。スノーサーフボード1は、
図2に示すように、当該ボードの互いに逆側の半部に実質的にそれぞれ配置された2つの足立て領域z,z’を備える。これらの足立て領域には、ねじによる付属品の固定を可能とする埋込金属インサート8が設けられる。概して、これらのインサートの群は、長手方向の設定範囲を提供するために従来的な付属品によって使用され得る数よりも多い。
【0013】
第1サブプレート2は、固定穴7および不図示のねじによって第1領域zに従来のように配置され、インサート8と組み合わさっている。軸Aは、ボード1を、その中央において長手方向に通っている。したがって、サブプレート2は、長手方向軸A(縦軸A)の一方側に配置されていて、軸穴10をそれぞれ有する2つの軸脚部9を各側部に備える。当該2つの軸穴10は、横軸Bにしたがって同軸状に並んでいる。サブプレート2は、寸法設定されていて、金属または複合繊維のような耐性材料で作られている。そのような耐性材料によると、含まれる重量や容積を維持しつつ課せられる制約を支持することが可能となる。ボード1におけるサブプレート2の幅によると、その間に容易に足を入れることが可能となる。
【0014】
不図示の変形例によると、サブプレート2の2つの穴10は、足を保持するためのストラップの端部を収容する。このストラップは、一般に、より快適となるように調節可能で詰物が入っている。ほとんどの場合、それは長さ調節を容易化するラッチと係合する非可塑性材料で作られた少なくとも1つのラックでできている。
【0015】
第1サブプレート2とよく似た第2サブプレート2’は、ボード1の第2領域z’の高さに同様に配置され、かつ軸Bと平行な横軸Cを同様に規定している。したがって、サブプレート2’は、長手方向軸Aの他方側に配置されていて、軸穴10’を有する2つの軸脚部9’を各側部に備える。当該2つの穴10’は、横軸Cにしたがって同軸状に並んでいる。
【0016】
ユーザは、第1の足を第1領域zに配置しかつ第2の足を第2領域z’に配置してもよい。ここで、ボードを長手方向において同じ長さに5つの連続した部分に分割すると、ボード1における第1の足の支持面の大部分は当該ボードの2番目の部分に位置し、かつボード1における第1の足の支持面の大部分は4番目の部分に位置する。
【0017】
(
図1に示すように、)ボード1に対しておよび軸Bに対して垂直な平面Pを、領域zを基準にして規定する。また、ボード1の上面に対しておよび軸Cに対して垂直な第2平面P’を、領域z’を基準にして規定する。2つの平面P,P’間の角度は、hで表される。ボード1が静止している場合、2つの平面P,P’は互いに平行であり、これらの間の角度hはしたがってゼロである。
【0018】
図4に示す第1連結要素4は、領域zの高さで第1下端部15によって、特にねじやピンなどの軸Bと同軸状に配置される2つの着脱可能軸体11を介して、サブプレート2に回動可能に接続される。当該端部15は、逆U字状にしたがって、その中にユーザが後足を入れられるハウジングを構成してもよい。当該端部15の幅は、長手方向軸Aの両側において連結要素4に作用する梃子の力に耐えるように寸法設定される。連結要素4の第2上端部17は、特に筒状かつ中空状になっていて、筒状ハウジング18を構成している。第2上端部17は、ピンなどの着脱可能軸体20と係合する径方向軸穴19を有する。所定の形状および長さを有する連結要素4の本体部16は、2つの端部15,17を互いにしっかりと接続する。その形状は、好ましい実施形態によると、平面Pに関して非対称であり、それにより通常はボード1の真上に立つユーザの脚の上部や骨盤を避けることができる。また、脚がかなり曲がる場合、特にジャンプするような場合には、器具の構造体とのいかなる接触も回避することが重要である。したがって、連結要素4は、好ましい実施形態では直線状でない。ある実施形態によると、軸Aおよび点o’を含む基準面を想定して、連結要素4の容積の75%以上が当該基準面の一方側に配置される。この配置は着脱可能軸体11によって容易に逆転可能であり、それによりユーザはどちら側に連結要素4をセットするかを選択できる。このように、連結要素4の本体部16は、ユーザの脚の片側に配置される。概して、連結要素4をボード1に固定するための要素は、上記基準面の一方側または他方側に向けて連結要素4を取り付けられるように適合される。
【0019】
この連結要素4は、他の要素による制約を受けない場合、軸B回りにおいて自由に回動可能である(例えば、
図7Aを参照)。それは、常に平面Pに対して平行に拘束される。平面Pから端部17を隔てる距離は、予め定められかつ一定である。連結要素4の全体的な寸法設定や構成材料は、この所定の距離を維持でき、かつ横方向の曲げ力によく耐えるようなものである。特に、連結要素4は、強度と軽さを兼ね備えるように、アルミ形材または複合材料で作られる。端部15の幅は、長手方向軸Aの両側において連結要素4に作用する梃子の力に耐えるように寸法設定される。
【0020】
図3に示す第2連結要素3は、領域z’の高さで第1下端部12によって、軸Cと同軸状に配置されるねじやピンなどの着脱可能軸体11’を介して、サブプレート2’に回動可能に接続される。第1下端部12は、特に、その中にユーザが他方の足を入れられるハウジングを構成する。円筒状の第2上端部は、雄型シャフト14を構成していて、捻り軸Eに対応する回転軸として機能する。このシャフト14は、両側に2つの保持ブッシュ13を有する。これらのブッシュは、不図示の適当な手段によって固定されている。連結要素3は、他の要素による制約を受けない場合、軸C回りにおいて自由に回動可能である(例えば、
図7Aを参照)。それは、常に平面P’に対して平行に拘束される。シャフト14の重心は、点oにある。よって、平面P’から点oを隔てる距離は、本実施形態ではゼロであって、予め定められかつ一定である。捻り軸Eは、シャフト14と実質的に同軸状であって、平面P’と実質的に平行である。点xは、軸Cと軸Eとの交点である。連結要素3の全体的な寸法設定や構成材料は、この所定の距離を維持でき、かつ横方向の曲げ力によく耐えるようなものである。連結要素3は、平面P’に対して平行に拘束される。特に、連結要素3は、強度と軽さを兼ね備えるように、アルミ形材または複合材料で作られる。端部12の幅は、長手方向軸Aの両側において連結要素3に作用する梃子の力に耐えるように寸法設定される。
【0021】
不図示の変形例によると、本発明に係る装置とは別個に、実質的に長手方向軸A上において2つのサブプレート2,2’の近くに足部保持手段が設けられる。したがって、連結要素4,3の各下端部15,12は、足を入れるための拘束から切り離され、純粋に機械的または美的な制限に関連する他の形状を有してもよい。そのような形状として、特に左向きもしくは右向きのL字状、または逆T字状が挙げられ、これらの形状によって好ましい実施形態に係る上記の逆U字状が置き換えられる。
【0022】
図1、
図5、および
図7に関連して示す捻り要素5は、中空筒状で穴として機能する雌型下端部21を有する。当該端部21の重心は、点oにある。捻り軸Eが点oを通ることが想起される。捻り軸Eは、点xで軸Cにぶつかる。この軸Eは、端部21の円筒形状と同軸状である。端部21は、その直径や長さにより、連結要素3の雄型シャフト14と適切に係合する。端部21は、連結要素3の2つのブッシュ13の間に、大きな隙間を伴わずに捕捉された状態になる。不図示の減摩性ジャーナルが、端部21とシャフト14との間に設けられてもよい。
【0023】
端部21とシャフト14とは、十分な長さにわたって互いに同軸状に係合し、それにより連結要素3と捻り要素5との間の回転以外の自由度が制限され、軸方向分離を促す力に持ちこたえる。この長さは、20~120mmであるのが理想的であるが、選択する材料によっては10mm以上であってもよい。同様に、点oと点xとを隔てる距離は、軸方向分離を促す力に持ちこたえるのに十分であり、理想的には20~120mmであるが、選択する材料によっては10mm以上であってもよい。
【0024】
本体部22は、適当な形状と長さを有する。本体部22は、互いに対向して配置された肩付きジャーナル23を有し、それにより減摩性の筒状ケージが構成される。この一対の筒状の肩付きジャーナル23は、その重心において点o’を規定する。回転軸Dは、点o’と点xを通る。軸Eと軸Dとは、所定の角度gをなす。この一対の肩付きジャーナル23は、ねじやリベットなどの不図示の手段により本体部22に固定され、必要に応じてその高さ位置を調節できるようになっている。
【0025】
また、捻り要素5は、本実施形態によると、その他端部に、握りなどの2つの把持部材25を有するハンドルなどの乗用要素24を備える。把持部材25の重心は、点kである。バイアス軸Fは、点kと点xを通る。バイアス軸Fと軸Dとの間の角度は、0~25°、好ましくは2~17°、より好ましくは5~15°、さらに好ましくは6~8°、特に約7°である。
【0026】
不図示の従来的な装置によると、乗用部材25は、スライド可能であることで、捻り要素5の本体部22に対して高さを調節可能であり得る。
【0027】
不図示の変形例によると、要素21,14のシャフトや穴の各機能は逆であってもよく、その場合、雄部が捻り要素5に設けられかつ雌部が連結要素3に設けられる。この変形例を左右する機械的制約は、好ましい実施形態にしたがって上述したものと同様である。
【0028】
図6に示す着脱可能な保持要素6は、一対の肩付きジャーナル23に対して、これに捕捉されるリング26を介して固定される。リング26の内径は、一対の肩付きジャーナル23の外径よりも実質的に大きい。この一対の肩付きジャーナル23とリング26は同軸状に配置され、したがって、後者は、自由に回転できるものの、本体部22に沿って並進的に移動することはできない。また、着脱可能な保持要素6は、リング26の径方向拡張部に設けられた柱状部27を有する。柱状部27は、連結要素4の筒状ハウジング18と係合し得るように適切に寸法設定される。ピンハウジング28が柱状部27から延びていて、連結要素4のピン20と係合する。したがって、保持要素は、連結要素4の上端部17に回動可能に接続され得る。
【0029】
着脱可能な保持要素6が連結要素4の上端部17に接続される場合、点o’は連結要素4に対して分離不能かつ所定の距離をもって固定される。よって、装置が静止状態で捻り要素5が動かされない場合、点oは平面Pからゼロまたは所定の距離に位置し、点o’は平面P’からゼロまたは所定の距離に位置する。
【0030】
本発明の趣旨は、捻り要素5の動作を通じて、特に乗用部材24による軸D回りの回転動作を通じて、平面Pに対して点oを移動させ、および/または平面P’に対して点o’を移動させることであり、ここで、点oと点o’とを隔てる距離は固定されかつ予め定められる。
【0031】
不図示の変形例によると、後述するロック機能は、着脱可能な固定ピンなくして実現されるが、1つだけのモールド部品を伴う。このモールド部品は、端部17回りに回動可能であって、当該端部の穴19を通って配置される固定軸に留めるための必要なラグを有する。
【0032】
着脱可能ピン20がピンハウジング28を通って配置されない場合、連結要素3、捻り要素5、および着脱可能な保持要素6は、
図7Aに示すように、互いに接続される一方で連結要素4には接続されない。そして、本発明に係る装置は、
図10Aおよび
図10Bに示すように、折り畳まれてもよく、これは機械的な持上げ、搬送、または保管に便利である。
【0033】
着脱可能ピン20がピンハウジング28および軸穴19の両方を通って配置される場合、要素3,4,5,6は、互いに固定され(
図1を参照)、理論的には不静定構造を形成し、それにより軸Aの両側で乗用部材24を揺動させることでボード1に少なくとも乗ることができる。それでもなお、サーフボードは、いくらかの構造的な柔軟性を有する。よって、回転軸D回りにおけるユーザによる乗用部材24の回転が可能であり、それにより、
図8A、
図8B、
図9A、および
図9Bに示すように、長手方向軸Aに対応するボード1の捻り変形が生じる。
【0034】
捻り要素5は、連結要素3に固定されているが、
図7Aおよび
図7Bにおいて捻り要素5に接続されない連結要素4とは無関係に、軸E回りにおける少なくとも1つの回転自由度を有する。この動作は、時計回り方向と反時計回り方向の両方向において、少なくとも2°、好ましくは少なくとも数°、特に5°、より好ましくは少なくとも10°の最小角度領域にわたって可能である。
図7Aおよび
図7Bに示す好ましい実施形態では、この領域が360°であることが容易に理解される。別の実施形態によると、乗用部材24の小さな角度自由度は、ボード1における同じ捻り効果に対して、より大きな値の角度gによって補償されてもよいが、当該乗用部材においてより大きな力を消費する。
【0035】
回転軸D回りにおける乗用部材24の同じ回転角度領域に対して、ボード1の捻り効果による変形は、2つの軸D,Eを隔てる所定の角度gの値に比例する。軸E,Dの間の角度であるgの値は、知覚可能な捻り効果を実現するために、少なくとも2°、好ましくは少なくとも数°、特に5°、より好ましくは少なくとも10°であり、好ましくは10~35°である。所定の角度gの値が0°である場合、点oが回転軸D上に位置し、その径方向変位がゼロになる。この場合、ボード1は軸A回りにおいて捻れ変形しないだろう。
【0036】
特に
図7Aおよび
図7Bに示すように、点oおよび軸Eは、連結要素3および捻り要素5に対して共通であり(
図1、
図3、および
図5を参照)、これらの軸方向の固定を特徴付ける。
【0037】
図8Aおよび
図8Bに示すように、乗用部材24が反時計回り方向に回転すると、平面Pと平面P’との間に角度hが生じ、ボード1の左旋回を誘発する捻れがそれにより生じる。
【0038】
図9Aおよび
図9Bに示すように、乗用部材24が時計回り方向に回転すると、平面Pと平面P’との間に角度h’が生じ、ボード1の右旋回を誘発する捻れがそれにより生じる。
【0039】
この変形により、平面Pに対して点oが移動し、平面P’に対して点o’が移動する。角度hは、ボード1の捻り効果の規模を表しており、これは点oと点xとを隔てる距離とは無関係である。なぜなら、この規模を決定するのは角度gの値であるためである。
【0040】
乗用部材24がその最大有効規模で回動する場合、すなわちその静止位置に対して±90°回動する場合、角度h,h’は所定の角度gに等しくなる。
【0041】
サーフボードに乗る場合、ユーザは、連結要素3の端部21に第1の足を入れ、連結要素4の端部22に第2の足を入れる。そして、ユーザは、乗用部材24を介して、梃子の作用により長手方向軸Aにしたがって横向きにボード1を傾けることができる。ユーザは、同時に、回転軸Dにしたがって、時計回り方向または反時計回り方向に当該乗用部材を回すことができる。したがって、横向きの梃子作用に加えて、この動作により、釣り合いの取れた同時的な態様で、ボード1に対して、長手方向軸Aにしたがって、平面Pと平面P’との間の角度hで特徴付けられる捻り力を及ぼすことができる。その際、捻り要素5は、軸D回りに回動する。
【0042】
乗り手が乗用部材2)によって軸A回りにボード1を横向きに傾ける場合、当該乗り手は、旋回の内側に向かって雪からボード1を浮かせ、ボード1の幅や実行速度による遠心力に比例して自身の重みで下方に働く力に梃子の作用で抗する。乗り手の各足を介して働くこの力は、一方で、第1サブプレート2、連結要素4、着脱可能な保持要素6、および捻り要素5を介して、他方で、第2サブプレート2’、連結要素3、および再び捻り要素5を介して、乗用部材24まで連続的に伝わる。ユーザは、
図1の点kに重心がある一対の握りなどの把持部材25により、この力に抗する。この抗力は、
図1および
図5に示すように、点kおよび点xを通るバイアス軸Fに沿った梃子作用によって働く。この梃子作用は、点kと点xとを隔てる距離に比例する。
【0043】
点oとバイアス軸Fとの間の過剰な距離d2は、乗り手がその対応する脚でかける重みによって、乗用部材24に対して寄生的なトルク効果を生じ得る。同様に、点o’とバイアス軸Fとの間の過剰な距離d1は、乗り手がその他方の脚でかける重みによって、乗用部材24に対して前者と逆方向の寄生的なトルク効果を生じ得る。
【0044】
したがって、連結要素3,4と捻り要素5との各接触点o,o’は、距離d1がゼロでない場合、バイアストルクを重畳させず逆にそれらを相対させるように、バイアス軸Fの両側に配置されることが好ましい。この配置によると、距離d1,d2は、ボード1に乗るときに生じる最終的なトルク効果の方向と大きさを規定するための変数となる。別の構成によると、点o’は、軸F上に配置されてもよく、その場合、当該軸Fと軸Dが重なって距離d1がゼロになる。留意すべきこととして、距離d2は、角度gと無関係である。この構成によると、斜面の方向に自然に旋回が生じ、それは追従効果であってもよい。
【0045】
図11に関連して記載する変形例によると、連結要素4は、実質的に直線状で平面Pに対して平行である。そして、ユーザの脚は、連結要素4の両側に配置される。不図示の別の変形例によると、連結要素4は、着座姿勢で装置に乗ることを可能にするシートを有する。不図示の別の変形例によると、保持要素6は、連結要素4に固定されていて、ユーザによって捻り要素5から分離可能である。不図示の別の変形例によると、連結要素4は、その長さを変更できる一方、軸B回りにおける連結要素4の回動に関わらず点o’を平面Pから一定距離に保つように伸縮式になっている。この構成によると、着脱可能な保持要素6をそれが接続される何らかの要素から分離することなく、装置を折り畳むことが可能となる。不図示の別の変形例によると、連結要素4は、軸Bと平行な剛性軸によって互いに接続される2つの半部で構成され、それにより当該連結要素4の全体的な長さをコンパスのように変えることができる一方、軸B回りにおける連結要素4の回動に関わらず点o’を平面Pから一定の所定距離に保つことができる。当該要素4の2つの半部の相対的な長さを適切に調節することで、この構成により、着脱可能なコネクタ6をそれが固定される何らかの要素から分離することなく、装置を折り畳むことができる。