(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】CO吸着用の金属有機構造体材料を含むサーキットブレーカ
(51)【国際特許分類】
H02B 13/055 20060101AFI20220711BHJP
B01J 20/22 20060101ALI20220711BHJP
H01H 33/70 20060101ALI20220711BHJP
H01H 33/74 20060101ALI20220711BHJP
H01H 33/78 20060101ALI20220711BHJP
H01H 33/91 20060101ALI20220711BHJP
H01H 33/22 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
H02B13/055 A
B01J20/22 A
H01H33/70 Z
H01H33/74
H01H33/78
H01H33/91
H02B13/055 B
H01H33/22
(21)【出願番号】P 2019563769
(86)(22)【出願日】2018-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2018062755
(87)【国際公開番号】W WO2018210938
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-30
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH-5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】キエッフェル,ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】マクスード,ルイ
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-124053(JP,A)
【文献】特表2017-503633(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0061540(US,A1)
【文献】特開2011-004494(JP,A)
【文献】特開2015-073348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/30 - 9/52
H01H 33/00 - 33/26
H01H 33/70 - 33/99
H02B 13/00 - 13/08
B01J 20/00 - 20/281
B01J 20/30 - 20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンクロージャを含むサーキットブレーカであって、前記エンクロージャは、
アーク接点が互いに分離されている前記サーキットブレーカの開位置と、前記アーク接点が互いに接触している前記サーキットブレーカの閉位置との間で、互いに対して軸方向に移動可能な少なくとも2つの前記アーク接点と、
前記サーキットブレーカの前記閉位置から前記開位置への前記アーク接点の移動中に形成される可能性がある電気アークを遮断するために、アーク制御ガスを吹き付けるように構成されたガス入口であって、前記アーク制御ガスは少なくとも80%の二酸化炭素を含む、ガス入口と、を含み、
前記エンクロージャは、アーク放電中の前記二酸化炭素のイオン化後に形成される一酸化炭素を吸着する吸着材料をさらに含み、前記吸着材料は、ニッケルおよび/または鉄を含む金属有機構造体である、サーキットブレーカ。
【請求項2】
前記金属有機構造体は粒子の形態である、請求項1に記載のサーキットブレーカ。
【請求項3】
前記粒子は、1mm~10mm、好ましくは1mm~5mmの直径を有する、請求項
2に記載のサーキットブレーカ。
【請求項4】
前記吸着材料はセラミック基板によって支持されている、請求項1
乃至3のいずれか一項に記載のサーキットブレーカ。
【請求項5】
前記アーク制御ガスは、二酸化炭素CO2により構成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のサーキットブレーカ。
【請求項6】
前記アーク制御ガスは、CO2と、2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-プロパンニトリル、1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-2-ブタノン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペンまたはフルオロオキシランなどの少なくともフッ素化化合物と、を含むガス混合物である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のサーキットブレーカ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のサーキットブレーカを含む空気絶縁開閉装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のサーキットブレーカを含むガス絶縁開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中電圧および高電圧装置における電気絶縁および電気アークの消弧の分野に関する。
【0002】
より正確には、アーク中に形成される一酸化炭素を吸着する吸着体を備えた中電圧または高電圧サーキットブレーカに関する。
【背景技術】
【0003】
アークブラストサーキットブレーカは、アーク接点が互いに分離されているサーキットブレーカの開位置と、アーク接点が互いに接触しているサーキットブレーカの閉位置との間で、互いに対して軸方向に移動可能な少なくとも2つのアーク接点を含む。サーキットブレーカでは、通常、アーク接点を分離することにより電流が遮断される。サーキットブレーカの閉位置から開位置まで、前記接点間に電気アークが形成される可能性が高い。電気アークを遮断するために、絶縁誘電体ガスがアークに吹き付けられ、それにより、前記アークを冷却して消弧することが可能になる。
【0004】
現在、そのタイプのサーキットブレーカで最も頻繁に使用されるアーク制御ガスは、前記ガスの例外的な物理的特性のため、六フッ化硫黄SF6である。しかし、SF6は非常に強力な温室効果ガスであり、特に地球温暖化係数(GWP)が高いという大きな欠点がある。
【0005】
アーク制御ガスとしてSF6を使用する代わりに、SF6よりも低い地球温暖化係数の様々なガス、例えば乾燥空気または窒素が知られている。
【0006】
特に有利なアーク制御ガスは、その強力な電気絶縁性と消弧能力のために二酸化炭素CO2である。さらに、CO2は無毒で不燃性であって、GWPが非常に低く、入手も容易である。
【0007】
CO2は単独で使用することも、混合ガスの形で使用することもでき、この混合ガスは、「ベクターガス」と呼ばれる主要なガスを構成する。例えば、Alstomがg3(または「green gas for green」)という名称で一般に販売しているガス状媒体、CO2(100-x)%とフッ素化ガスx%(x≦10%)の混合物がSF6を置き換えるのに適している。混合ガスは、SF6に匹敵する、またはそれ以上の消光能力を示し、環境にはほとんどまたはまったく影響を与えず(SF6のGWPより98%低い地球温暖化係数(GWP))、産業規模で開閉装置を製造する際の使用と互換性があり、人間や動物に無害なコストを有する。
【0008】
しかし、アーク放電による分解後に再結合する性質を持つSF6とは反対に、CO2は完全に再結合せず、有毒な気体一酸化炭素COと炭素粉末を大量に生成する。したがって、COの中和は重要な問題である。一酸化炭素の中和は、基板の表面に一酸化炭素を吸着(トラップ)することで実行することができる。
【0009】
CO吸着は、ゼオライトまたは金属有機構造体(MOF)材料で実現することができる。
【0010】
この最初の解決策の欠点は、ゼオライトが絶縁性CO2ガスも吸着するため、ゼオライトがCOを十分に除去できないという事実にある。
【0011】
MOFは微孔性固体であり、有機配位子に配位した金属原子の多次元構造である。それらは、非常に高い内表面積と秩序化された細孔チャネルを備えた構造材料であり、ガス貯蔵、特にH2、CH4などの小さなガス分子にとって非常に魅力的である。しかし、市場にある既存のMOFでは、CO2ではなくCOを選択するものがほとんどないことが証明されている。
【0012】
米国特許出願公開第2012/0031268号では、SO2、NH3、Cl2、COなどのガス状汚染物質が種々のMOF、すなわちテレフタレート、2-アミノテレフタレート、ベンゼン-1,3,5-トリス(4-安息香酸)、およびジアセチレン-1,4-ビス-(4-安息香酸)によって結合されたZn4O(CO2)6クラスター、トリメサートにより結合されたCu2(CO2)4クラスター、ならびに2,5-ジヒドロキシテレフタレートにより結合された1D Zn2O2(CO2)2鎖で捕捉されている。しかし、一酸化炭素の破過曲線は、ブランクサンプルセルで測定されたものと違いはない。
【0013】
米国特許出願公開第2008/0227634号では、ポリマーと組み合わされたMOF化合物を使用して一酸化炭素などのガスを吸着できることが言及されている。構造体材料は、配位により少なくとも1つの金属イオンに結合した少なくとも1つの二座有機化合物を含む。材料の細孔は、ガスを吸着するのに適したポリマーを含むため、材料はガスの貯蔵および分離において改善された特性を有する。
【0014】
米国特許出願公開第2016/0250618号では、4,6-ジオキシド-1,3-ベンゼンジカルボキシレートベースの結合部分の酸化物および/またはカルボキシレート結合クラスターを含むMOFは、アンモニア、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、メタンを含むガスなどのガス分子を保存および/または分離するのに適している。
【0015】
これらの文献は、全体としてMOFおよび関連する配位子の合成に焦点を当てている。中でも、中電圧または高電圧サーキットブレーカの動作条件(105°C未満の温度)でのCO2中のCOの選択的吸着に関するMOFの調査はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【発明の概要】
【0017】
本発明は、低温(約100℃未満)で、主にCO2で形成されたガス混合物中のCOガスを選択的に吸着する材料を含むサーキットブレーカを提案することを目的とする。
【0018】
その材料は、ガスの他のすべての成分に対して不活性であり、実行可能なコストで、他の成分と比較してCOへの選択性が良好でなければならない。
【0019】
これらの目的は、エンクロージャを含むサーキットブレーカを提供する本発明により達成され、エンクロージャは、
アーク接点が互いに分離されているサーキットブレーカの開位置と、アーク接点が互いに接触しているサーキットブレーカの閉位置との間で、互いに対して軸方向に移動可能な少なくとも2つのアーク接点と、
サーキットブレーカの閉位置から開位置へのアーク接点の移動中に形成される可能性がある電気アークを遮断するために、アーク制御ガスを吹き付けるように構成されたガス入口であって、アーク制御ガスは少なくとも80%の二酸化炭素を含む、ガス入口と、を含み、
エンクロージャは、アーク放電中の二酸化炭素のイオン化後に形成される一酸化炭素を吸着する吸着材料をさらに含み、前記吸着体は、ニッケルおよび/または鉄を含む金属有機構造体である。
【0020】
金属有機構造体(MOF)は、2つの成分、すなわち金属イオンまたは少なくとも有機配位子に結合された金属イオンのクラスターで構成される。MOFは、二次元または三次元構造を形成するいくつかの配位子を含むことができる。金属と配位子の選択は、MOFの構造(多孔性、サイズ)と特性に大きな影響を与える。本発明者らは、ニッケルおよび/または鉄を含むMOFが、中電圧または高電圧サーキットブレーカの動作条件において顕著な吸着特性を示すことを強調した。
【0021】
この材料は、低温(200℃以下、好ましくは105℃以下)でも一酸化炭素の中和を可能にする。
【0022】
二酸化炭素の代わりに一酸化炭素を選択的に吸着して保持する。フッ素化化合物はその材料に吸着されない。
【0023】
先行技術に記載されているような吸着ポリマーを加える必要はない。
【0024】
絶縁ガスの精製に成功することにより、その特性が維持され、寿命が向上する。
【0025】
さらに、この材料は、そのバルクの増加やコストの顕著な増加なしに、すなわち製造プロセスの観点から、サーキットブレーカに取り付けるのに適している。
【0026】
有利には、金属有機構造体は粒子の形態である。これにより、表面積を増やすことができる。
【0027】
有利には、粒子は1mm~10mm、好ましくは1mm~5mmの直径を有する。このようなサイズの粒子は、従来の低コストの方法で比較的簡単に入手することができる。
【0028】
別の実施形態によれば、吸着材料は、コーディエライト基板またはアルミノシリケート基板などのセラミック基板によって支持される。セラミック基板は熱抵抗が大きいため、サーキットブレーカの用途に適している。
【0029】
有利には、アーク制御ガスは二酸化炭素CO2で構成される。
【0030】
本発明の第2の変形例では、アーク制御ガスは、CO2と、2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-プロパンニトリルまたは1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-2-ブタノン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペンまたはフルオロオキシランなどの少なくともフッ素化化合物と、を含むガス混合物である。
【0031】
吸着材料を使用して、様々なアーク制御ガス中の一酸化炭素を中和することができる。
【0032】
本発明はまた、先に記載されたサーキットブレーカを含む空気絶縁開閉装置(AIS)を提供する。
【0033】
本発明はまた、先に記載されたサーキットブレーカを含むガス絶縁開閉装置(GIS)を提供する。
【0034】
本発明は、本発明によるサーキットブレーカに関する以下の追加の説明を読むことにより、より良く理解することができる。
【0035】
しかし、当然ながら、この追加の説明は、本発明の例示的な例としてのみ与えられており、決して前記発明を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0036】
サーキットブレーカは、中電圧または高電圧サーキットブレーカである。
上記および以下では、「中電圧」および「高電圧」という用語は、従来から受け入れられている方法で使用されており、すなわち、「中電圧」という用語は、7.2kV~52kVの範囲の電圧を指し、一方、「高電圧」という用語は、52kV~800kVの範囲の電圧を指す。
【0037】
サーキットブレーカは、特定の数の電気的および/または機械的構成要素を有する閉じたエンクロージャを含み、これらの構成要素は、前記エンクロージャ内に収容される。エンクロージャは漏れのないエンクロージャである。
【0038】
エンクロージャの容積は、50L~1000Lであってもよい。
【0039】
エンクロージャは、アーク制御ガスをアークに吹き付けて消弧するように構成されたガス入口を含む。ガスはノズルに注入することができる。エンクロージャにはガス出口も含まれている。
【0040】
吸着材料は、CO分子を含むガス流と接触するように配置される。それはアーク接点の近くに配置することができる。
【0041】
別の実施形態によれば、それはサーキットブレーカのガス出口に配置されている。
サーキットブレーカのアーク制御ガスは、誘電体絶縁ガスである。
【0042】
それは少なくとも80体積%、好ましくは少なくとも90体積%の二酸化炭素を含む。例えば、それは二酸化炭素(80~100%)と1つまたは複数のフッ素化化合物(0~20%)の混合物であってもよい。好ましくは、それは二酸化炭素(90~97%、好ましくは90~96%)と1つまたは複数のフッ素化化合物(3~10%、好ましくは4~10%)との混合物である。例示目的のために、フッ素化化合物は、Novec 4710(化学式(CF3)2CFCNの2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-プロパンニトリル)またはNovec 5110(化学式CF3C(O)CF(CF3)2の1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-2-ブタノン)という名称でAlstomにより市販されている化合物であってもよい。それはまた、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)またはフルオロオキシランであってもよい。
【0043】
ヘプタフルオロイソブチロニトリルやテトラフルオロメタンなどの2つのフッ素化化合物も組み合わせて使用することもできる。
【0044】
吸着材料は、CO2の量が少ないガスに使用できることに留意されたい。混合ガスにCO2が含まれている限り、高電圧サーキットブレーカのアーク放電によりCOが生成される可能性がある。
【0045】
別の実施形態では、ガスは二酸化炭素から構成されてもよい。
【0046】
アーク制御ガスは無酸素である。無酸素とは、アーク制御ガスが0.1体積%未満、好ましくは0.02%未満の酸素ガスを含むことを理解されたい。
【0047】
有利には、機器の利用温度にかかわらず、誘電体絶縁ガスは機器内に完全に気体の形態で存在する。したがって、機器内のガスの圧力は、前記機器の最低使用温度でのガスが示す飽和蒸気圧(SVP)の関数として選択することが推奨される。
【0048】
アーク放電中、二酸化炭素はイオン化されて一酸化炭素になる。形成されるCOの量は、動作の物理的条件とプロセスに関与する化学反応に依存する。それは数ppmから数%まで、例えば1ppmから5%まで変化する。
【0049】
一酸化炭素の中和は、吸着材料を使用して実現される。吸着材料はMOFである。
【0050】
電気アークが消弧されて一酸化炭素が形成されるたびに、吸着材料がそれを吸着する。
【0051】
MOFの性能と用途は、金属と配位子に依存する。選択性は、10%(COへの非常に低い選択性)と100%(COの排他的吸着)との間で変化し得る。本発明では、中電圧または高電圧サーキットブレーカの動作条件において、CO2の代わりにCOを選択するために、MOFの構造が修正されている。
【0052】
鉄および/またはニッケルを含むMOFは、COおよびCO2を含む混合ガス中のCOに対する吸着選択性を示す。
【0053】
テストは、MOFと接触するサンプル(ガス混合物)を含む気密テストセル内のCO(およびCO2)の量の変化を数分間/数時間/数日間追跡することで構成される。本発明のいくつかのMOF材料は、分光法およびガスクロマトグラフィを使用して良好に実行および試験された。
【0054】
吸着材料は粒子の粉末であってもよい。粒子は、数ミリメートル、例えば1mm~10mm、好ましくは1mm~5mmの直径を有してもよい。
【0055】
本発明のMOF材料は、任意の適切な基板の表面にコーティングされてもよい。
【0056】
有利には、基板は高い比表面積を示す。例えば、基板は、「ハニカム」または「モノリシック」形状の基板であってもよい。ハニカム構造は、炭素粉末をトラップするのにも役立つ。
【0057】
基板は、コーディエライト基板またはアルミノケイ酸塩基板などのセラミックであってもよい。
【0058】
あるいは、中和材料は、ペレットまたは粒子などの微粒子支持体上に分散させることができる。
【0059】
この種類のMOFは、中電圧または高電圧のサーキットブレーカでその場で使用することができる。
【0060】
電気アークが形成されると、エンクロージャ内の気体状態で存在するCO2の一部が、より小さな分子量の分子種に分解されるため、CO2よりもサイズが小さくなる。これには、エンクロージャ内に存在する全圧を上げると同時に、CO2の分圧をSVP未満に下げる効果がある。このようにして形成された一酸化炭素分子は吸着材料にトラップされ、CO2の分圧をそのSVPに等しい値に戻す効果がある。
【0061】
当業者は、処理されるCOガスの体積およびサーキットブレーカの関与するエンクロージャの内部形状に応じて、吸着材料の適切な量を選択することができるであろう。例えば、吸着材料の量は、サーキットブレーカの寿命にわたってシミュレートされる、アーク放電後にサーキットブレーカ内で形成される潜在的なCOの量の関数として計算される。それは、アーク放電のエネルギーなど、サーキットブレーカのタイプに依存する。例示のために、20年ごとにメンテナンスを行うことができるが、その間に、サーキットブレーカを開いて、必要に応じて吸着材を新しいものに交換することができる。
【0062】
本発明によるサーキットブレーカはコンパクトな構造を有する。上述の様々な実施形態の概念は、例えば、軸方向または横方向ブラストタイプまたは混合横方向軸方向ブラストタイプの遮断チャンバを備えたサーキットブレーカなどの様々な種類のサーキットブレーカに効果的に適用することができる。
【0063】
例示の目的で、サーキットブレーカは、CO2ガス電気絶縁を使用する任意の電気機器、すなわち、変圧器、電気輸送線もしくは配電線、一組の母線、スイッチ、コネクタ/ディスコネクタ(開閉装置とも呼ばれる)、サーキットブレーカとヒューズを組み合わせたユニット、接地スイッチ、またはコンタクタで使用することができる。
【0064】
サーキットブレーカは、特に空気絶縁開閉装置(AIS)またはガス絶縁開閉装置(GIS)、より好ましくは、高電圧AISまたはGISに有用である。