(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】均圧装置及びそれを備えた圧着機
(51)【国際特許分類】
B30B 1/32 20060101AFI20220711BHJP
B30B 5/02 20060101ALI20220711BHJP
H05K 3/00 20060101ALN20220711BHJP
【FI】
B30B1/32 C
B30B5/02 Z
H05K3/00 Z
(21)【出願番号】P 2020125058
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2020-08-03
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520273496
【氏名又は名称】岡▲さき▼ 靜明
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】岡▲さき▼ 靜明
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-168624(JP,A)
【文献】特開2012-035324(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0196474(US,A1)
【文献】特開2005-066609(JP,A)
【文献】特開平04-339595(JP,A)
【文献】特開平08-224700(JP,A)
【文献】米国特許第04576092(US,A)
【文献】中国特許出願公開第101022702(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 1/32
B30B 5/02
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
均圧装置を備えている圧着機であって、機枠と複数のプレス板と駆動装置と均圧装置とを備え、
前記プレス板はそれぞれ、被加工物をプレスする方向であるプレス方向に沿って所定の間隔をおいて対向して前記機枠に配置され、
前記駆動装置は、前記機枠に対して位置決め可能に設けられ、
前記均圧装置は、チャンバーが形成されるように前記駆動装置に設けられ前記プレス方向に沿って前記プレス板に対応する取付面を有する基部と、前記基部の前記取付面に設けられた複数のプレスユニットとを備え、
前記プレスユニットは、前記チャンバーと連通するプレスキャビティが形成されており、前記プレスキャビティの開口端を貫通して前記開口端を閉塞するように設けられたピストンを有し、
全てのプレスユニットは前記チャンバーで繋がっており、
前記プレスキャビティの前記開口端は、前記プレス方向に沿って前記プレス板に向かって開口するように設けられ、
前記ピストンは、最も近い前記プレス板に対して押し付けられる又は離されるように前記プレス方向に沿って移動可能に前記開口端に設けられ、
前記プレスユニットの前記プレスキャビティと前記基部の前記チャンバーとにより、液体を収容するように閉塞する液体空間が形成され、
前記均圧装置は、前記駆動装置によって駆動されて最も近い前記プレス板を推して前記プレス方向に沿って対向する前記プレス板に向かって近づけるように前記駆動装置の上部に設けられている、
ことを特徴とする圧着機。
【請求項2】
前記均圧装置の前記プレスユニットの前記プレスキャビティは、前記基部の前記取付面から窪むように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧着機。
【請求項3】
前記均圧装置の前記プレスユニットは更に、前記ピストンを取り囲んで前記ピストンに緊密に接触するように前記開口端に設けられているオイルシールリングを有することを特徴とする請求項
1または2に記載の圧着機。
【請求項4】
前記均圧装置は更に、前記チャンバーに連通するように前記基部に連結されている導管路が設けられ、
前記導管路は、前記チャンバーに液体を出入りさせる導管と、前記導管に設けられ前記導管を開け閉めするバルブとが設けられていることを特徴とする請求項1~
3の何れか1項に記載の圧着機。
【請求項5】
前記均圧装置は、着脱可能に前記駆動装置に設けられていることを特徴とする請求項1~
4の何れか1項に記載の圧着機。
【請求項6】
前記均圧装置の前記プレスユニットは、着脱可能に前記基部に設けられていることを特徴とする請求項1~
5の何れか1項に記載の圧着機。
【請求項7】
前記均圧装置が有する各前記プレスユニットの前記ピストンは、それぞれのピストン径が全て同じではないことを特徴とする請求項1~
6の何れか1項に記載の圧着機。
【請求項8】
前記均圧装置の前記プレスユニットが前記基部の上部にマトリックス状に配設されていることを特徴とする請求項1~
7の何れか1項に記載の圧着機。
【請求項9】
被加工物をプレスする方向であるプレス方向に沿って被加工物を推す均圧装置であって、
チャンバーと取付面とを有する基部と、
前記基部の前記取付面に設けられている複数のプレスユニットであって、前記チャンバーと連通するように設けられたプレスキャビティと、前記プレスキャビティの開口端を貫通して前記開口端を閉塞するように設けられたピストンとを有し、
全てのプレスユニットは前記チャンバーで繋がっており、
前記プレスキャビティの前記開口端が前記プレス方向に沿って開口されるように設けられ、
前記ピストンは前記プレス方向に沿って移動可能に前記開口端を貫通するように設けられ、
前記プレスユニットの前記プレスキャビティと前記基部の前記チャンバーとにより液体を収容するように閉塞する液体空間が形成されている、ことを特徴とする均圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均圧装置及びそれを備えた圧着機に関し、特に、均一にプレスを行なうことができる均圧装置及びそれを備えた圧着機に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板(PCB/printed circuit board)は通常、絶縁体でできた基材や、銅箔等を積層してなったものの内部に導体の配線を施しており、圧着設備(例えば、特許文献1参照)によって高熱圧着してから低温で平らに加圧するように造られた積層板である。
図1と
図2には、積層PCBの圧着工程に用いられる従来の圧着機8を示している。この圧着機8は、積層されている被加工物をプレスして一体状に圧着するように構成されており、機枠81と、被加工物をプレスする方向であるプレス方向に沿って互いに上下に所定の間隔をおいて対向するように機枠81に設けられている複数のプレス板82と、プレス方向の最も下のプレス板82と連結されておりプレス板82が互いにプレス方向に沿って上下移動され対向側プレス板82に対して接近離反させるように往復動するピストン831を有する油圧シリンダ83とを備えている。この圧着機8による圧着工程では、切断して分けられた個々の積層されたPCB9を対向するプレス板82の間に配置し、油圧シリンダ83におけるピストン831の往復動によってプレス板82を対向側のプレス板82に接近させることで、積層されたPCB9が圧着される(
図2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許出願公開第101022702号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この圧着機8では、一般的にはピストン831はその横断面が円形状になるように、また、プレス板82が平面視で矩形状になるようにそれぞれ成形され、矩形状のプレス板82の面積がピストン831の円形状断面の面積よりも大であるため、ピストン831によるプレス板82への押圧力は、プレス板82のピストン831と接触するセンター部分が、センター部分の回りの部分よりも大きい(
図2参照)。そのため、積層されたPCB9にかかる押圧力が不均一になる。また、現在ではPCBの基材や銅箔の更なる薄型化・軽量化が図られており、それによりプレス圧の不均一によるPCBの品質不良がより顕著になるという問題点もある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、積層PCBを均一に加圧することができる均圧装置及びそれを備えた圧着機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、1の観点によれば、本発明は、均圧装置を備えている圧着機であって、機枠と複数のプレス板と駆動装置と均圧装置とを備え、前記プレス板はそれぞれ、被加工物をプレスする方向であるプレス方向に沿って所定の間隔をおいて対向して前記機枠に配置され、前記駆動装置は、前記機枠に対して位置決め可能に設けられ、前記均圧装置は、チャンバーが形成されるように前記駆動装置に設けられ前記プレス方向に沿って前記プレス板に対応する取付面を有する基部と、前記基部の前記取付面に設けられた複数のプレスユニットとを備え、前記プレスユニットは、前記チャンバーと連通するプレスキャビティが形成されており、前記プレスキャビティの開口端を貫通して前記開口端を閉塞するように設けられたピストンを有し、前記プレスキャビティの前記開口端は前記プレス方向に沿って前記プレス板に向かって開口するように設けられ、前記ピストンは、最も近い前記プレス板に対して押し付けられる又は離されるように前記プレス方向に沿って移動可能に前記開口端に設けられ、前記プレスユニットの前記プレスキャビティと前記基部の前記チャンバーとにより、液体を収容するように閉塞する液体空間が形成され、前記均圧装置は、前記駆動装置によって駆動されて最も近い前記プレス板を推して前記プレス方向に沿って対向する前記プレス板に向かって近づけるように前記駆動装置の上部に設けられている、ことを特徴とする圧着機を提供する。
【0007】
また、他の観点によれば、本発明は、被加工物をプレスする方向であるプレス方向に沿って被加工物を推す均圧装置であって、チャンバーと取付面とを有する基部と、前記基部の前記取付面に設けられている複数のプレスユニットであって、前記チャンバーと連通するように設けられたプレスキャビティと、前記プレスキャビティの開口端を貫通して前記開口端を閉塞するように設けられたピストンとを有し、前記プレスキャビティの前記開口端が前記プレス方向に沿って開口されるように設けられ、前記ピストンは前記プレス方向に沿って移動可能に前記開口端を貫通するように設けられ、前記プレスユニットの前記プレスキャビティと前記基部の前記チャンバーとにより液体を収容するように閉塞する液体空間が形成されている、ことを特徴とする均圧装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、複数のプレスキャビティと複数のチャンバーとにより封止された液体空間が形成される。液体空間に液体を注入して満たすと、複数のピストンが受ける液体圧力値が同一になるので、PCBへ均一なプレス圧を与えられるという効果が得られる。
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照する以下の実施形態の詳細な説明において明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】従来例に係る圧着機の一部を断面して示し、この圧着機によって複数の積層されたPCBをプレスする時の状態を説明する図である。
【
図2】
図1に類似した図であり、
図1の圧着機によって複数の積層されたPCBをプレスした時の状態を説明する図である。
【
図3】本発明に係る圧着機の第1の実施例の一部を断面して示し、この圧着機によって複数の積層されたPCBをプレスする時の状態を説明する図である。
【
図4】本発明に係る均圧装置の第1の実施例の一部を断面して示す図である。
【
図5】
図3に類似した図であり、
図4の圧着機によって複数の積層されたPCBをプレスした時の状態を説明する図である。
【
図6】第1の実施例に係る均圧装置の平面図であり、この均圧装置における複数のプレスユニットの配置を説明する図である。
【
図7】均圧装置の変形例を示す平面図であり、複数のプレスユニットの他の配置を説明する図である。
【
図8】本発明に係る圧着機の第2の実施例の一部を断面して示し、この圧着機によって複数の積層されたPCBをプレスする時の状態を説明する図である。
【
図9】本発明に係る均圧装置の第2の実施例の一部を断面して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、いくつかの実施例について図面を参照して説明する。なお、実施例において同一構成及び機能を有する構成要素については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0011】
(第1の実施例)
図3では、本発明に係る圧着機の第1の実施例の一部を断面して示している。第1の実施例に係る圧着機は、機枠1と複数のプレス板2と駆動装置3と均圧装置4とを備えている。
【0012】
複数のプレス板2は、被加工物をプレスする方向であるプレス方向D1に沿って所定の間隔をおいて対向して機枠1に配置されている。具体的に、プレス方向D1は、
図3に示すように実質上上下方向である。複数のプレス板2における最も上側のプレス板2が機枠1に固定され、その他のプレス板2が最も上側のプレス板2に対してプレス方向D1に沿って上下移動可能に機枠1に設けられている。なお、以下の説明では、
図3に示すように「上」と「下」を定義するが、プレス板2の構成は上下逆であってもよい。
【0013】
複数のプレス板2は、加熱、冷却可能に構成されており、プレス板2の間に設置された材料を加熱又は冷却する。
【0014】
駆動装置3は、機枠1に対して位置決め可能に、例えば
図3に示されているように、プレス方向D1に沿って複数のプレス板2の下方に設けられている。駆動装置3は、油圧シリンダ31と、直線状の駆動シャフトであって、上下移動可能に油圧シリンダ31に連結されるように設けられた駆動シャフト32と、駆動シャフト32の先端部に設けられた押し座33と、を含んでいる。駆動装置3は、例えばポンプ(図示せず)によって駆動される油圧シリンダ31が駆動シャフト32を駆動し、駆動シャフト32によって押し座33が連動的に上下に移動されるが、これに限定されない。
【0015】
均圧装置4は、
図3、
図4、
図5に示されているように、基部41と複数のプレスユニット42と導管路43とを備えている。基部41は、チャンバー411が形成されるように駆動装置3の先端部に設けられ、プレス方向D1に沿ってプレス板2に対応する取付面412を有する。
【0016】
複数のプレスユニット42はそれぞれが基部41の取付面412に設けられており、チャンバー411と連通するプレスキャビティ422が形成されるように筒状に形成されたプレスシリンダ421と、プレスキャビティ422の開口端427を貫通して開口端427を閉塞するように設けられたピストン423と、プレスキャビティ422の開口端427にプレスシリンダ421の内面426に嵌められて設けられたオイルシールリング424と、基部41の取付面412と密接するようにプレスシリンダ421の底面に嵌められて設けられたOリング425とを備えている。なお、プレスキャビティ421の開口端427はプレス方向D1に沿ってプレス板2に向かって開放するように設けられている。
【0017】
プレスシリンダ421はその底面が基部41の取付面412に当接し、また、その内面426によってプレスキャビティ422を囲んで形成するように構成されている。この実施例では、プレスシリンダ421は例えば4つのボルト428を用いて取付面412に固定されている(
図4と
図6参照)。ピストン423は、最も近いプレス板2に対して押し付けられる又は離されるようにプレス方向D1に沿って移動可能に開口端427に設けられている。オイルシールリング424はピストン423を取り囲んでピストン423に緊密に接触するように開口端427に設けられている。
【0018】
プレスユニット42のプレスキャビティ422と基部41のチャンバー411とにより、液体を収容するように閉塞する液体空間400が形成される。
【0019】
導管路43は、チャンバー411に連通するように基部41に連結されて設けられており、チャンバー411に液体を出入りさせる導管431と、導管431を開け閉めするバルブ432とが設けられている。
【0020】
この実施例では、均圧装置4は、駆動装置3によって駆動されて最も下(近い)のプレス板2を押し付けてプレス方向D1に沿って対向するプレス板2に向かって近づけるように、駆動装置3の押し座33の上部に設けられている(
図5参照)。
【0021】
この実施例に係る圧着機を使用する際には、バルブ432を開けて液体が導管431を経由して液体空間400に注入されて液体空間400を充満するようにする。ここで、使用する液体としては、油圧オイル又は他の非圧縮性液体である。注入が終了した後、バルブ432を閉じて、液体空間400を封じる。そして、切断して積層されたPCB5をそれぞれプレス板2の間に設置する。その後、駆動装置3によってプレス板2を互いに近付かせるように駆動することによって、積層されているPCB5に対してプレスする。
【0022】
駆動装置2によって複数のプレス板2に対してプレスする時には、プレスキャビティ422とチャンバー411とにより形成される液体空間400は封止されている。そして、液体空間400内に流体が充満されている時、パスカルの原理に基づけば各ピストン423が受ける液圧値が同じであるので、ピストン423のそれぞれによるプレス板2に対するプレス圧も同じとなる。このようにしてプレス加工時に均圧効果を得ることができる。
【0023】
また、
図2を参照すると、従来技術においてはPCB9における各層の板材が加工過程において厚みが均一でなく、歪、凹凸、傾斜などの欠陥が発生することから、PCB9が受けるプレス圧が均一でなくなるが、この実施例では、均圧装置4のピストン423各々が受けるプレス圧変化量が液体によって等量的に他のピストン423に伝達されるので、板材における欠陥に影響されず、いずれにも同じプレス圧を受けることができる。
【0024】
また、
図6、
図7を参照すると、この実施例では、プレスユニット42は基部41の上部にマトリックス状に配置されており、プレスユニット42のピストン423それぞれのピストン径も同じ(
図6)であるので、均一的に同じプレス圧を最も下のプレス板2の底面に付与することができる。
【0025】
なお、この実施例ではマトリックス配置されているが、実際の需要に応じて他の例として、マトリックス配置でなくてもよく、それぞれのピストン径が異なるピストンを用いてもよい。例えば、
図7に示されているように、プレスシリンダ421とピストン423それぞれの半径において、一部のプレスユニット42が大きめに、他の一部のプレスユニット42が小さめになるように構成してもよい。このようにすれば、実施の態様の需要に応じて均圧装置4による対応するプレス板2の一部へのプレス圧を他の一部と異ならせることができる。
【0026】
また、この実施例では、均圧装置4は、着脱可能に駆動装置3の上部に配置され、プレスユニット42も着脱可能に基部41に配置されているので、実施態様の需要に応じて一部の均圧装置4又はプレスユニット42を交換することができる。これによってピストン423の位置又はサイズを調節することができるため、対応する一部の加圧面積を調節し、その一部によるプレス圧力値を制御することができる。
【0027】
本実施例に係る均圧装置4は、圧着機と個別に製造、販売することが可能であり、他の態様のプレス設備に装着されてもよい。本実施例に係る均圧装置4が他の態様のプレス設備に装着されても、上記と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0028】
(第2の実施例)
図8と
図9には、本発明に係る圧着機の第2の実施例を示している。第2の実施例では、第1の実施例とほぼ同じであるが、プレスシリンダ421とOリング425とを設けない点で異なっている。また、均圧装置4´のプレスユニット42´において、プレスキャビティ422´が基部41´の取付面412´から窪むように設けられ、オイルシールリング424´がプレスキャビティ422´の開口端427´に配置されて基部41´に嵌設されている。
【0029】
このように構成された第2の実施例によっても、第1の実施例と同様の効果を奏することができる。また、プレスユニット42´のプレスキャビティ422´が基部41´に窪んで設けられているので、均圧装置4´全体の構造強度の向上を図ることができると共に、均圧装置4´の製造工程を削減することができる。
【0030】
以上、本発明に係る均圧装置4(4´)及びこの均圧装置を備えた圧着機では、プレスキャビティ422とチャンバー411とにより封じる液体空間400が形成されるので、液体空間400に液体が充満された時、ピストン423それぞれによる最も近いプレス板2へのプレス圧が同一になる。従って、均一なプレス圧をもってプレス板2を加圧することができるため、積層されているPCB5を圧着する圧着品質の向上を図ることができる。
【0031】
以上、本発明について幾つの実施例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る均圧装置4(4´)及びこの均圧装置を備えた圧着機は、積層PCBの圧着プロセスに有用である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 均圧装置を備えている圧着機であって、機枠と複数のプレス板と駆動装置と均圧装置とを備え、
前記プレス板はそれぞれ、被加工物をプレスする方向であるプレス方向に沿って所定の間隔をおいて対向して前記機枠に配置され、
前記駆動装置は、前記機枠に対して位置決め可能に設けられ、
前記均圧装置は、チャンバーが形成されるように前記駆動装置に設けられ前記プレス方向に沿って前記プレス板に対応する取付面を有する基部と、前記基部の前記取付面に設けられた複数のプレスユニットとを備え、
前記プレスユニットは、前記チャンバーと連通するプレスキャビティが形成されており、前記プレスキャビティの開口端を貫通して前記開口端を閉塞するように設けられたピストンを有し、
前記プレスキャビティの前記開口端は、前記プレス方向に沿って前記プレス板に向かって開口するように設けられ、
前記ピストンは、最も近い前記プレス板に対して押し付けられる又は離されるように前記プレス方向に沿って移動可能に前記開口端に設けられ、
前記プレスユニットの前記プレスキャビティと前記基部の前記チャンバーとにより、液体を収容するように閉塞する液体空間が形成され、
前記均圧装置は、前記駆動装置によって駆動されて最も近い前記プレス板を推して前記プレス方向に沿って対向する前記プレス板に向かって近づけるように前記駆動装置の上部に設けられている、
ことを特徴とする圧着機。
[2] 前記均圧装置の前記プレスユニットは更に、前記基部の前記取付面に設けられた筒状に形成されたプレスシリンダを有し、
前記プレスシリンダによって前記プレスキャビティが囲まれるように形成されていることを特徴とする[1]に記載の圧着機。
[3] 前記均圧装置の前記プレスユニットの前記プレスキャビティは、前記基部の前記取付面から窪むように設けられていることを特徴とする[1]に記載の圧着機。
[4] 前記均圧装置の前記プレスユニットは更に、前記ピストンを取り囲んで前記ピストンに緊密に接触するように前記開口端に設けられているオイルシールリングを有することを特徴とする[1]~[3]の何れか1項に記載の圧着機。
[5] 前記均圧装置は更に、前記チャンバーに連通するように前記基部に連結されている導管路が設けられ、
前記導管路は、前記チャンバーに液体を出入りさせる導管と、前記導管に設けられ前記導管を開け閉めするバルブとが設けられていることを特徴とする[1]~[4]の何れか1項に記載の圧着機。
[6] 前記均圧装置は、着脱可能に前記駆動装置に設けられていることを特徴とする[1]~[5]の何れか1項に記載の圧着機。
[7] 前記均圧装置の前記プレスユニットは、着脱可能に前記基部に設けられていることを特徴とする[1]~[6]の何れか1項に記載の圧着機。
[8] 前記均圧装置が有する各前記プレスユニットの前記ピストンは、それぞれのピストン径が全て同じではないことを特徴とする[1]~[7]の何れか1項に記載の圧着機。
[9] 前記均圧装置の前記プレスユニットが前記基部の上部にマトリックス状に配設されていることを特徴とする[1]~[8]の何れか1項に記載の圧着機。
[10] 被加工物をプレスする方向であるプレス方向に沿って被加工物を推す均圧装置であって、
チャンバーと取付面とを有する基部と、
前記基部の前記取付面に設けられている複数のプレスユニットであって、前記チャンバーと連通するように設けられたプレスキャビティと、前記プレスキャビティの開口端を貫通して前記開口端を閉塞するように設けられたピストンとを有し、
前記プレスキャビティの前記開口端が前記プレス方向に沿って開口されるように設けられ、
前記ピストンは前記プレス方向に沿って移動可能に前記開口端を貫通するように設けられ、
前記プレスユニットの前記プレスキャビティと前記基部の前記チャンバーとにより液体を収容するように閉塞する液体空間が形成されている、ことを特徴とする均圧装置。
【符号の説明】
【0033】
1 機枠
2 プレス板
3 駆動装置
31 油圧シリンダ
32 駆動シャフト
33 押し座
4、4´ 均圧装置
400 液体空間
41、41´ 基部
411 チャンバー
412、412´ 取付面
42、42´ プレスユニット
421 プレスシリンダ
422、422´ プレスキャビティ
423 ピストン
424、424´ オイルシールリング
425 Oリング
426 内面
427、427´ 開口端
43 導管路
431 導管
432 バルブ
D1 プレス方向