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特許7102515デジタルアナログ変換器、アナログデジタル変換器、信号処理装置、固体撮像装置、および駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】デジタルアナログ変換器、アナログデジタル変換器、信号処理装置、固体撮像装置、および駆動方法
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/46 20060101AFI20220711BHJP
   H03M 1/10 20060101ALI20220711BHJP
   H03M 1/18 20060101ALI20220711BHJP
   H03M 1/80 20060101ALI20220711BHJP
   H04N 5/369 20110101ALN20220711BHJP
   H04N 5/378 20110101ALN20220711BHJP
【FI】
H03M1/46
H03M1/10 A
H03M1/18
H03M1/80
H04N5/369
H04N5/378
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020520894
(86)(22)【出願日】2018-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2018019606
(87)【国際公開番号】W WO2019224900
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】谷 卓治
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0084927(US,A1)
【文献】特開平04-165822(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0001890(US,A1)
【文献】特表2006-512861(JP,A)
【文献】特表2009-545909(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203522(WO,A1)
【文献】特表2013-526179(JP,A)
【文献】特開2016-005171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 1/46
H03M 1/10
H03M 1/80
H04N 5/369
H04N 5/378
H03M 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された信号の電圧値をサンプリングし、サンプリングした前記入力された信号の電圧値に参照電圧に基づいた電圧値を加減算した電圧値のアナログ信号を所定の分解能で出力するデジタルアナログ変換器であって、
第1の端子が前記アナログ信号の出力ノード側に接続され、第2の端子が前記参照電圧の高電位側および低電位側のいずれか一方に接続される、それぞれ重み付けされた、前記アナログ信号の前記分解能よりも少なくとも1つ多い数の複数の容量と、
それぞれの前記容量に対応し、入力された制御信号に応じて、対応する前記容量の第2の端子の接続先を、前記高電位側のノードおよび前記低電位側のノードのいずれか一方のノードに切り替える、または保持する複数のスイッチと、
を備え、
複数の前記容量のうち、出力する前記アナログ信号の前記分解能に対応した数の前記容量を、入力された信号の電圧値をサンプリングした後、対応する前記スイッチによって前記第2の端子の接続先のノードを切り替えて、加減算する前記参照電圧に基づいた電圧値を生成する電圧値生成容量として用い、
複数の前記容量のうち、前記電圧値生成容量として用いない残りの前記容量を、対応する前記スイッチによって前記第2の端子の接続先のノードを、前記電圧値生成容量のノード切替による比較実行期間において保持して、加減算する前記参照電圧に基づいた電圧値のゲイン調整をするためのゲイン調整容量として用いるとともに、
出力する前記アナログ信号の電圧値のゲイン値を下げる方向に変更する際には、前記電圧値生成容量として用いる容量の容量値を減らし、前記ゲイン値を上げる方向に変更する際には、前記電圧値生成容量として用いる容量の容量値を増やすように、複数の前記容量が前記電圧値生成容量および前記ゲイン調整容量として選択される、
デジタルアナログ変換器。
【請求項2】
それぞれの前記容量は、
出力する前記アナログ信号の前記分解能に対応した数の2進数の重み付けがされたメイン容量、および前記メイン容量の中で最も小さな容量値に対して1/k倍(k=2以上の2の乗数)の容量値のサブ容量のいずれかの容量であり、
出力する前記アナログ信号の電圧値のゲイン値を下げる方向に変更する際には、
更する前記ゲイン値に応じた数の前記サブ容量を前記電圧値生成容量に含め、
記電圧値生成容量に含めた前記サブ容量と同じ数の前記メイン容量を前記ゲイン調整容量に含め、
前記ゲイン値を上げる方向に変更する際には、
更する前記ゲイン値に応じた数の前記メイン容量を前記電圧値生成容量に含め、
記電圧値生成容量に含めた前記メイン容量と同じ数の前記サブ容量を前記ゲイン調整容量に含める、
請求項1に記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項3】
前記電圧値生成容量および前記ゲイン調整容量のうち、少なくとも1つの前記容量の前記第2の端子の接続先を、対応する前記スイッチによって、前記入力された信号の電圧値をサンプリングするときに接続するノードと異なるノードに切り替え、前記電圧値生成容量により加減算する前記参照電圧に基づいた電圧値のオフセット調整に用いる、
請求項1または請求項2に記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項4】
前記入力された信号の電圧値をサンプリングする際に、複数の前記容量のうち、少なくとも1つの前記容量の前記第2の端子の接続先を、対応する前記スイッチによって、オフセット調整を行わないときに接続するノードと異なるノードに切り替え、前記電圧値生成容量により加減算する前記参照電圧に基づいた電圧値のオフセット調整に用いる、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のデジタルアナログ変換器と、
一方の入力端子に入力された前記デジタルアナログ変換器が出力したアナログ信号の電圧値と、他方の入力端子に入力された比較対象の電圧の電圧値との大小関係を比較する比較器と、
前記比較器の比較結果に基づいて、入力された信号の電圧値の大きさを表す前記分解能のデジタル信号を出力するとともに、前記デジタルアナログ変換器に備えたそれぞれの前記スイッチに対応する前記制御信号を生成する制御回路と、
を備えるアナログデジタル変換器。
【請求項6】
請求項5に記載のアナログデジタル変換器と、
前記アナログデジタル変換器から出力された前記デジタル信号に基づいて、前記アナログデジタル変換器が次にアナログデジタル変換する際にゲイン調整する前記アナログデジタル変換器内の前記デジタルアナログ変換器が出力する前記アナログ信号の電圧値のゲイン値を判定し、判定した結果に基づいて前記ゲイン値の変更を指示するゲイン変更信号を、前記アナログデジタル変換器に出力する信号処理回路と、
を備え、
前記アナログデジタル変換器に備えた前記制御回路は、
前記ゲイン変更信号に応じて、前記デジタルアナログ変換器に備えたそれぞれの前記スイッチに対応する前記制御信号を生成する、
信号処理装置。
【請求項7】
入射した光量に応じた光電変換信号を発生する複数の画素を二次元の行列状に配置した画素アレイ部と、
前記画素アレイ部に配置されたそれぞれの前記画素を選択し、選択した前記画素から前記光電変換信号に応じた画素信号を読み出す画素選択部と、
請求項5に記載のアナログデジタル変換器と、
を備え、
前記アナログデジタル変換器は、
前記画素信号の電圧値の大きさを表す前記分解能の前記デジタル信号を出力する、
固体撮像装置。
【請求項8】
入力された信号の電圧値をサンプリングし、サンプリングした前記入力された信号の電圧値に参照電圧に基づいた電圧値を加減算した電圧値のアナログ信号を所定の分解能で出力するデジタルアナログ変換器であって、第1の端子が前記アナログ信号の出力ノード側に接続され、第2の端子が前記参照電圧の高電位側および低電位側のいずれか一方に接続される、それぞれ重み付けされた、前記アナログ信号の前記分解能よりも少なくとも1つ多い数の複数の容量と、それぞれの前記容量に対応し、入力された制御信号に応じて、対応する前記容量の第2の端子の接続先を、前記高電位側のノードおよび前記低電位側のノードのいずれか一方のノードに切り替える、または保持する複数のスイッチと、を備えたデジタルアナログ変換器の駆動方法であって、
複数の前記容量のうち、出力する前記アナログ信号の前記分解能に対応した数の前記容量を電圧値生成容量として用い、入力された信号の電圧値をサンプリングした後、対応する前記スイッチによって前記第2の端子の接続先のノードを切り替えて、加減算する前記参照電圧に基づいた電圧値を生成する工程と、
複数の前記容量のうち、前記電圧値生成容量として用いない残りの前記容量をゲイン調整容量として用い、対応する前記スイッチによって前記第2の端子の接続先のノードを、前記電圧値生成容量のノード切替による比較実行期間において保持して、加減算する前記参照電圧に基づいた電圧値のゲイン調整をする工程と、
出力する前記アナログ信号の電圧値のゲイン値を下げる方向に変更する際には、前記電圧値生成容量として用いる容量の容量値を減らし、前記ゲイン値を上げる方向に変更する際には、前期電圧値生成容量として用いる容量の容量値を増やすように、複数の前記容量が前記電圧値生成容量および前記ゲイン調整容量として選択される工程と、
を含む駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルアナログ変換器、アナログデジタル変換器、信号処理装置、固体撮像装置、および駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、重み付けされた複数の容量を備え、入力されたアナログ信号(以下、「入力信号」という)と参照電圧とに基づいた様々な電圧値のアナログ信号を所定の分解能で出力するデジタルアナログ変換器がある。デジタルアナログ変換器に備えたそれぞれの容量は、2進数の重み付けがされている。デジタルアナログ変換器では、それぞれの容量に接続する参照電圧を切り替え、蓄積した電荷を再配分することによって、それぞれの容量の比に応じた様々な分解能のアナログ信号を出力する。例えば、3ビットの分解能のデジタルアナログ変換器では、2進数の重み付けがされた容量を3つ備えている。デジタルアナログ変換器に備えたそれぞれの容量は、1つの容量の容量値を基準の1倍とした場合、その他の2つの容量のうち、一方の容量の容量値を2倍とし、もう一方の容量の容量値を4倍とすることによって、2進数の重み付けがされている。そして、デジタルアナログ変換器では、最初に全ての容量に入力信号に応じた電荷を蓄積しておき、アナログ信号を出力する際に、それぞれの容量と参照電圧とを接続する組み合わせをスイッチによって切り替える。これにより、3ビットの分解能のデジタルアナログ変換器は、参照電圧に接続された容量の容量値の合計と全ての容量の容量値の合計との比に応じて、参照電圧の0/7~7/7倍の電圧値を最初に入力した入力信号の電圧値に加算した電圧値のアナログ信号を出力する。
【0003】
また、従来から、2進数の重み付けがされた複数の容量を備えるデジタルアナログ変換器が出力したそれぞれのアナログ信号の電圧値と基準電圧の電圧値とを逐次比較することによって、入力された変換対象の入力信号の電圧値を表すデジタル値に変換する、逐次比較型のアナログデジタル変換器が実用化されている。逐次比較型のアナログデジタル変換器(以下、単に「アナログデジタル変換器」という)は、デジタルアナログ変換器の他に、比較器とSAR(Successive Approximation Register:逐次比較レジスタ)論理回路とを備えている。アナログデジタル変換器では、最初に、デジタルアナログ変換器に備えたそれぞれの容量に入力された入力信号、つまり、デジタル値に変換する対象のアナログ信号の電圧値に応じた電荷を蓄積しておく。これにより、アナログデジタル変換器に備えたデジタルアナログ変換器は、変換対象の入力信号の電圧値に、参照電圧と接続するそれぞれの容量の組み合わせによって定まる倍数の参照電圧の電圧値を加算した電圧値のアナログ信号を出力する。アナログデジタル変換器では、比較器が、参照電圧と接続する容量の組み合わせに応じてデジタルアナログ変換器が出力したそれぞれのアナログ信号の電圧値と、基準電圧の電圧値とを逐次比較する。このとき、アナログデジタル変換器では、SAR論理回路が、比較器が比較した結果に応じて、デジタルアナログ変換器が出力するそれぞれのアナログ信号の電圧値を切り替える。つまり、SAR論理回路は、デジタルアナログ変換器に備えたそれぞれの容量と参照電圧とを接続する組み合わせを切り替えるためのスイッチを制御する。アナログデジタル変換器では、SAR論理回路が制御した容量と参照電圧とを接続するスイッチの組み合わせのうち、デジタルアナログ変換器が出力したアナログ信号の電圧値と基準電圧の電圧値とが最も近いスイッチの組み合わせが、変換対象の入力信号の電圧値を表すデジタル値となる。つまり、アナログデジタル変換器では、デジタルアナログ変換器が出力したアナログ信号の電圧値と基準電圧の電圧値とが最も近い状態にSAR論理回路が制御したときのデジタルアナログ変換器内のスイッチの切り替え状態が、変換対象の入力信号の電圧値を表すデジタル値となる。
【0004】
ところで、アナログデジタル変換器に入力される変換対象の入力信号の電圧値としては、様々な大きさの電圧値が考えられる。このため、例えば、特許文献1に開示されたような構成のデジタルアナログ変換器、および逐次比較型のアナログデジタル変換器が提案されている。特許文献1に開示されたデジタルアナログ変換器では、2進数の重み付けがされたそれぞれの容量を2つに分割して構成している。特許文献1に開示されたデジタルアナログ変換器では、分割されたそれぞれの容量の両方を同時に制御することによって、従来と同様の電圧値の範囲のアナログ信号を出力することができる構成にしている。また、特許文献1に開示されたデジタルアナログ変換器では、分割されたそれぞれの容量の一方のみを制御することによって、従来よりも低い電圧値の範囲(従来の1/2の電圧値の範囲)のアナログ信号を出力することができる構成にしている。そして、特許文献1では、デジタルアナログ変換器を用いることによって、変換することができる入力信号の電圧値の範囲を広げた逐次比較型のアナログデジタル変換器を実現している。言い換えれば、特許文献1では、変換対象の入力信号を2倍のゲイン値でレベルを調整した後にデジタル値に変換する逐次比較型のアナログデジタル変換器を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開2006-311144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたデジタルアナログ変換器は、上述したように、2進数の重み付けがされたそれぞれの容量を2つに分割し、それぞれの容量の組み合わせを切り替える構成である。このため、特許文献1に開示されたデジタルアナログ変換器では、分割したそれぞれの容量に対応するスイッチが必要となる。つまり、特許文献1に開示されたデジタルアナログ変換器では、出力するアナログ信号の分解能に対して2倍の数のスイッチが必要となる。従って、特許文献1に開示された技術では、デジタルアナログ変換器を形成するために要する面積が増大する。デジタルアナログ変換器の形成に要する面積の増大は、デジタルアナログ変換器や逐次比較型のアナログデジタル変換器の小型化の実現を阻害する要因となってしまう。
【0007】
本発明は、上記の課題に基づいてなされたものであり、面積の増大を抑えて形成することができる、複数の電圧値の範囲で切り替えてアナログ信号を出力するデジタルアナログ変換器、このデジタルアナログ変換器を用いたアナログデジタル変換器、および駆動方法を提供することを目的としている。さらに、本発明は、アナログデジタル変換器を用いた信号処理装置および固体撮像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、デジタルアナログ変換器は、入力された信号の電圧値をサンプリングし、サンプリングした前記入力された信号の電圧値に参照電圧に基づいた電圧値を加減算した電圧値のアナログ信号を所定の分解能で出力するデジタルアナログ変換器であって、第1の端子が前記アナログ信号の出力ノード側に接続され、第2の端子が前記参照電圧の高電位側および低電位側のいずれか一方に接続される、それぞれ重み付けされた、前記アナログ信号の前記分解能よりも少なくとも1つ多い数の複数の容量と、それぞれの前記容量に対応し、入力された制御信号に応じて、対応する前記容量の第2の端子の接続先を、前記高電位側のノードおよび前記低電位側のノードのいずれか一方のノードに切り替える、または保持する複数のスイッチと、を備え、複数の前記容量のうち、出力する前記アナログ信号の前記分解能に対応した数の前記容量を、入力された信号の電圧値をサンプリングした後、対応する前記スイッチによって前記第2の端子の接続先のノードを切り替えて、加減算する前記参照電圧に基づいた電圧値を生成する電圧値生成容量として用い、複数の前記容量のうち、前記電圧値生成容量として用いない残りの前記容量を、対応する前記スイッチによって前記第2の端子の接続先のノードを、前記電圧値生成容量のノード切替による比較実行期間において保持して、加減算する前記参照電圧に基づいた電圧値のゲイン調整をするためのゲイン調整容量として用いるとともに、出力する前記アナログ信号の電圧値のゲイン値を下げる方向に変更する際には、前記電圧値生成容量として用いる容量の容量値を減らし、前記ゲイン値を上げる方向に変更する際には、前記電圧値生成容量として用いる容量の容量値を増やすように、複数の前記容量が前記電圧値生成容量および前記ゲイン調整容量として選択される。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、上記第1の態様のデジタルアナログ変換器において、それぞれの前記容量は、出力する前記アナログ信号の前記分解能に対応した数の2進数の重み付けがされたメイン容量、および前記メイン容量の中で最も小さな容量値に対して1/k倍(k=2以上の2の乗数)の容量値のサブ容量のいずれかの容量であり、出力する前記アナログ信号の電圧値のゲイン値を下げる方向に変更する際には、変更する前記ゲイン値に応じた数の前記サブ容量を前記電圧値生成容量に含め、前記電圧値生成容量に含めた前記サブ容量と同じ数の前記メイン容量を前記ゲイン調整容量に含め、前記ゲイン値を上げる方向に変更する際には、変更する前記ゲイン値に応じた数の前記メイン容量を前記電圧値生成容量に含め、前記電圧値生成容量に含めた前記メイン容量と同じ数の前記サブ容量を前記ゲイン調整容量に含めてもよい。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、上記第1の態様または上記第2の態様のデジタルアナログ変換器において、前記電圧値生成容量および前記ゲイン調整容量のうち、少なくとも1つの前記容量の前記第2の端子の接続先を、対応する前記スイッチによって、前記入力された信号の電圧値をサンプリングするときに接続するノードと異なるノードに切り替え、前記電圧値生成容量により加減算する前記参照電圧に基づいた電圧値のオフセット調整に用いてもよい。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、上記第1の態様から上記第3の態様のいずれか一態様のデジタルアナログ変換器において、前記入力された信号の電圧値をサンプリングする際に、複数の前記容量のうち、少なくとも1つの前記容量の前記第2の端子の接続先を、対応する前記スイッチによって、オフセット調整を行わないときに接続するノードと異なるノードに切り替え、前記電圧値生成容量により加減算する前記参照電圧に基づいた電圧値のオフセット調整に用いてもよい。
【0012】
本発明の第5の態様によれば、アナログデジタル変換器は、上記第1の態様から上記第4の態様のいずれか一態様のデジタルアナログ変換器と、一方の入力端子に入力された前記デジタルアナログ変換器が出力したアナログ信号の電圧値と、他方の入力端子に入力された比較対象の電圧の電圧値との大小関係を比較する比較器と、前記比較器の比較結果に基づいて、入力された信号の電圧値の大きさを表す前記分解能のデジタル信号を出力するとともに、前記デジタルアナログ変換器に備えたそれぞれの前記スイッチに対応する前記制御信号を生成する制御回路と、を備える。
【0013】
本発明の第6の態様によれば、信号処理装置は、上記第5の態様のアナログデジタル変換器と、前記アナログデジタル変換器から出力された前記デジタル信号に基づいて、前記アナログデジタル変換器が次にアナログデジタル変換する際にゲイン調整する前記アナログデジタル変換器内の前記デジタルアナログ変換器が出力する前記アナログ信号の電圧値のゲイン値を判定し、判定した結果に基づいて前記ゲイン値の変更を指示するゲイン変更信号を、前記アナログデジタル変換器に出力する信号処理回路と、を備え、前記アナログデジタル変換器に備えた前記制御回路は、前記ゲイン変更信号に応じて、前記デジタルアナログ変換器に備えたそれぞれの前記スイッチに対応する前記制御信号を生成する。
【0014】
本発明の第7の態様によれば、固体撮像装置は、入射した光量に応じた光電変換信号を発生する複数の画素を二次元の行列状に配置した画素アレイ部と、前記画素アレイ部に配置されたそれぞれの前記画素を選択し、選択した前記画素から前記光電変換信号に応じた画素信号を読み出す画素選択部と、上記第5の態様のアナログデジタル変換器と、を備え、前記アナログデジタル変換器は、前記画素信号の電圧値の大きさを表す前記分解能の前記デジタル信号を出力する。
【0015】
本発明の第8の態様によれば、駆動方法は、入力された信号の電圧値をサンプリングし、サンプリングした前記入力された信号の電圧値に参照電圧に基づいた電圧値を加減算した電圧値のアナログ信号を所定の分解能で出力するデジタルアナログ変換器であって、第1の端子が前記アナログ信号の出力ノード側に接続され、第2の端子が前記参照電圧の高電位側および低電位側のいずれか一方に接続される、それぞれ重み付けされた、前記アナログ信号の前記分解能よりも少なくとも1つ多い数の複数の容量と、それぞれの前記容量に対応し、入力された制御信号に応じて、対応する前記容量の第2の端子の接続先を、前記高電位側のノードおよび前記低電位側のノードのいずれか一方のノードに切り替える、または保持する複数のスイッチと、を備えたデジタルアナログ変換器の駆動方法であって、複数の前記容量のうち、出力する前記アナログ信号の前記分解能に対応した数の前記容量を電圧値生成容量として用い、入力された信号の電圧値をサンプリングした後、対応する前記スイッチによって前記第2の端子の接続先のノードを切り替えて、加減算する前記参照電圧に基づいた電圧値を生成する工程と、複数の前記容量のうち、前記電圧値生成容量として用いない残りの前記容量をゲイン調整容量として用い、対応する前記スイッチによって前記第2の端子の接続先のノードを、前記電圧値生成容量のノード切替による比較実行期間において保持して、加減算する前記参照電圧に基づいた電圧値のゲイン調整をする工程と、出力する前記アナログ信号の電圧値のゲイン値を下げる方向に変更する際には、前記電圧値生成容量として用いる容量の容量値を減らし、前記ゲイン値を上げる方向に変更する際には、前期電圧値生成容量として用いる容量の容量値を増やすように、複数の前記容量が前記電圧値生成容量および前記ゲイン調整容量として選択される工程と、を含む。
【発明の効果】
【0016】
上記各態様によれば、面積の増大を抑えて形成することができる、複数の電圧値の範囲で切り替えてアナログ信号を出力するデジタルアナログ変換器、このデジタルアナログ変換器を用いたアナログデジタル変換器、および駆動方法を提供することができる。さらに、上記各態様によれば、アナログデジタル変換器を用いた信号処理装置および固体撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のデジタルアナログ変換器の構成の一例を示したブロック図である。
図2】本発明のデジタルアナログ変換器が出力する信号の電圧値を示した図である。
図3】本発明のデジタルアナログ変換器が出力する信号の別の電圧値を示した図である。
図4】本発明のデジタルアナログ変換器が出力する信号のさらに別の電圧値を示した図である。
図5】本発明のデジタルアナログ変換器が出力する信号のさらに別の電圧値を示した図である。
図6】本発明のデジタルアナログ変換器が出力する信号のさらに別の電圧値を示した図である。
図7】本発明のデジタルアナログ変換器が出力する信号のさらに別の電圧値を示した図である。
図8】本発明のデジタルアナログ変換器の第1の変形例の構成の一例を示したブロック図である。
図9】本発明の第1の変形例のデジタルアナログ変換器が出力する信号の電圧値を示した図である。
図10】本発明の第1の変形例のデジタルアナログ変換器が出力する信号の別の電圧値を示した図である。
図11】本発明の第1の変形例のデジタルアナログ変換器が出力する信号のさらに別の電圧値を示した図である。
図12】本発明の第1の変形例のデジタルアナログ変換器が出力する信号のさらに別の電圧値を示した図である。
図13】本発明のデジタルアナログ変換器の第2の変形例の構成の一例を示したブロック図である。
図14】本発明の第2の変形例のデジタルアナログ変換器が出力する信号の電圧値を示した図である。
図15】本発明の第2の変形例のデジタルアナログ変換器が出力する信号の別の電圧値を示した図である。
図16】本発明のアナログデジタル変換器の構成の一例を示したブロック図である。
図17】本発明のアナログデジタル変換器の動作の一例を示したタイミングチャートである。
図18】本発明のアナログデジタル変換器の別の動作の一例を示したタイミングチャートである。
図19】本発明のアナログデジタル変換器の変形例の構成の一例を示したブロック図である。
図20】本発明の信号処理装置の構成の一例を示したブロック図である。
図21】本発明の固体撮像装置の構成の一例を示したブロック図である。
図22】本発明の固体撮像装置の変形例の構成の一例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(デジタルアナログ変換器)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明のデジタルアナログ変換器の構成の一例を示したブロック図である。図1に示したデジタルアナログ変換器100は、2進数の重み付けがされた複数の容量Cを備える容量部110と、容量部110に備えたそれぞれの容量Cに対応する複数のスイッチSWを含むスイッチ部120とを備えている。デジタルアナログ変換器100は、入力された入力信号VINと、高電位側の参照電圧VREFと、低電位側の参照電圧VREFとに基づいた様々な電圧値のアナログ信号VDACを所定の分解能で出力するデジタルアナログ変換器である。図1においては、高電位側の参照電圧VREFを参照電圧VREFとし、低電位側の参照電圧VREFを接地(グラウンド:GND)とした場合のデジタルアナログ変換器の構成の一例を示している。
【0019】
デジタルアナログ変換器100は、出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲、つまり、出力するアナログ信号VDACの出力振幅を予め定めたゲイン値でゲイン調整する。このとき、デジタルアナログ変換器100は、参照電圧VREFの電圧値を、容量部110に備えたそれぞれの容量Cの容量比に応じた予め定めた倍数にする。つまり、デジタルアナログ変換器100は、参照電圧VREFの電圧値を予め定めた大きさの電圧値にゲイン調整する。そして、デジタルアナログ変換器100は、ゲイン調整した参照電圧VREFの電圧値を入力信号VINの電圧値に加減算して、アナログ信号VDACとして出力する。デジタルアナログ変換器100における参照電圧VREFのゲイン調整や、入力信号VINの電圧値に加減算する参照電圧VREFの電圧値の倍数(容量部110に備えたそれぞれの容量Cの容量比に応じた倍数)は、外部の制御回路から入力されたそれぞれのスイッチSWを制御する制御信号であるデジタル信号Dによって切り替えられる。つまり、デジタルアナログ変換器100は、出力するアナログ信号VDACの電圧値が、入力されたデジタル信号Dによって制御される。
【0020】
デジタルアナログ変換器100は、参照電圧VREFの電圧値を1倍または1/2倍にゲイン調整し、予め定めた倍数にゲイン調整した参照電圧VREFの電圧値を入力信号VINの電圧値に加減算してアナログ信号VDACとして出力する3ビットの分解能のデジタルアナログ変換器である。
【0021】
容量部110は、容量C0~容量C2および容量CA1を備える。スイッチ部120は、スイッチSWS、スイッチSW0~スイッチSW2、およびスイッチSWA1を備える。スイッチSW0~スイッチSW2およびスイッチSWA1は、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれに対応する。より具体的には、スイッチSW0は、容量C0に対応する。スイッチSW1は、容量C1に対応する。スイッチSW2は、容量C2に対応する。スイッチSWA1は、容量CA1に対応する。なお、容量部110に備えた容量CA1と、スイッチ部120に備えたスイッチSWA1とは、デジタルアナログ変換器100において追加された容量およびスイッチである。デジタルアナログ変換器100では、容量部110に備えた容量C0~容量C2および容量CA1と、スイッチ部120に備えたスイッチSWS、スイッチSW0~スイッチSW2、およびスイッチSWA1との構成によって、出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)をゲイン調整する。つまり、デジタルアナログ変換器100では、容量部110に備えたそれぞれの容量Cとスイッチ部120に備えたそれぞれのスイッチSWとの構成によって、参照電圧VREFの電圧値をゲイン調整する。
【0022】
容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの第1の端子は、出力するアナログ信号VDACのノード側に接続されている。より具体的には、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの第1の端子は、出力するアナログ信号VDACのノードに並列に接続されている。また、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの第2の端子は、スイッチ部120内の対応するスイッチSWの第1の端子に接続されている。なお、図1では、容量部110に備えた容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの容量Cが、1つの容量で構成されている場合を示している。しかし、容量部110に備えるそれぞれの容量Cは、一部または全ての容量Cが、複数の容量を組み合わせて構成されたものであってもよい。例えば、2つの容量を直列に接続して容量C0を構成する場合、容量C0を構成する一方の容量の第1の端子がアナログ信号VDACのノードに接続され、一方の容量の第2の端子と他方の容量の第1の端子とが接続され、他方の容量の第2の端子が対応するスイッチSWの第1の端子に接続され構成であってもよい。また、例えば、1つの容量CSを直列に接続して合計3つの容量で容量C0と容量C1を構成する場合、容量CSの第1の端子がアナログ信号VDACのノードに接続され、容量CSの第2の端子と他方の2つの容量の第1の端子とが接続され、他方の2つの容量の第2の端子が対応するスイッチSWの第1の端子に接続され構成であってもよい。
【0023】
容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの容量Cは容量値によって、2進数の重み付けがされている。より具体的には、容量C0の容量値を1倍とした場合、容量C1および容量C2のそれぞれの容量値は、2倍、4倍である。また、容量CA1の容量値は、1/2倍である。なお、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの容量Cの容量値の重み付けは、2進数以外であってもよい。
【0024】
以下の説明においては、容量部110に備えた容量Cの容量値の単位を「Cu」とする。そして、以下の説明においては、容量C0の容量値を基準の1Cuとし、容量部110に備えた容量Cが容量値によって2進数の重み付けがされているものとする。従って、容量C1の容量値は2Cuとなり、容量C2の容量値は4Cuとなる。また、容量CA1の容量値は0.5Cuとなる。容量部110に備えた全ての容量Cの容量値の合計、つまり、容量部110の全体の容量値は、7.5Cuである。
【0025】
スイッチSWSは、入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとを接続(短絡)するスイッチである。スイッチSWSの第1の端子は、入力信号VINの入力端子に接続されている。スイッチSWSの第2の端子は、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの第1の端子が並列に接続されたアナログ信号VDACのノードに接続されている。スイッチSWSの制御端子は、スイッチSWSを制御する制御信号であるデジタル信号DSの入力端子に接続されている。スイッチSWSは、デジタル信号DSに応じて、入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとの接続を、オン(短絡)状態およびオフ(開放)状態のいずれか一方の状態に切り替える。
【0026】
スイッチSW0~スイッチSW2およびスイッチSWA1のそれぞれは、容量部110内の対応する容量Cの第2の端子を、参照電圧VREFの高電位側のノードおよび低電位側のノードのいずれか一方のノードに接続(短絡)するスイッチである。図1においては、参照電圧VREFの高電位側のノードが参照電圧VREFの高電位の入力端子に接続されるノードであり、低電位側のノードが接地(グラウンド:GND)電位のノードである場合を示している。以下の説明においては、説明を容易にするため、参照電圧VREFの高電位側のノードを「参照電圧VREFのノード」といい、低電位側のノードを「接地電位のノード」という。
【0027】
スイッチSW0~スイッチSW2およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子は、対応する容量Cの第2の端子に接続されている。スイッチSW0~スイッチSW2およびスイッチSWA1のそれぞれの第2の端子は、参照電圧VREFのノードに接続されている。スイッチSW0~スイッチSW2およびスイッチSWA1のそれぞれの第3の端子は、接地電位のノードに接続されている。スイッチSW0~スイッチSW2およびスイッチSWA1のそれぞれの制御端子は、スイッチSW0~スイッチSW2およびスイッチSWA1のそれぞれを制御する制御信号である対応するデジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1の入力端子に接続されている。スイッチSW0~スイッチSW2およびスイッチSWA1のそれぞれは、対応するデジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1に応じて、第1の端子に接続するノードを、参照電圧VREFおよび接地電位のいずれか一方のノードに切り替える。つまり、スイッチSW0~スイッチSW2およびスイッチSWA1のそれぞれは、対応するデジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1に応じて、対応する容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの第2の端子を、参照電圧VREFおよび接地電位のいずれか一方のノードに接続する。
【0028】
ここで、デジタルアナログ変換器100がアナログ信号VDACを出力する際の動作について説明する。デジタルアナログ変換器100では、まず、容量C0~容量C2および容量CA1の全ての容量Cに、入力信号VINの電圧値をサンプリングする。
【0029】
より具体的には、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号DSに応じたスイッチSWSによって入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとを接続し(短絡状態にし)、スイッチSW0~スイッチSW2およびスイッチSWA1によって容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの第2の端子を接地電位のノードに接続する。これにより、デジタルアナログ変換器100では、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれに、入力信号VINの電位と接地電位との電位差に応じた電荷が充電される。その後、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号DSに応じたスイッチSWSによって入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとの接続を切る(開放状態にする)。これにより、デジタルアナログ変換器100では、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれに、充電された電荷が保持(蓄積)される。以下の説明においては、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれに、入力信号VINの電位と接地電位との電位差に応じた電荷を充電して保持(蓄積)することを、「サンプリング」という。このようにして、デジタルアナログ変換器100では、入力されたデジタル信号DSと、デジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1との制御に応じて、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれに、入力信号VINの電圧値をサンプリングする。
【0030】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(1)で表される。また、容量部110の全体にサンプリングされた電荷Qは、下式(2)で表される。
【0031】
VDAC=VIN ・・・(1)
【0032】
Q=7.5Cu×VIN ・・・(2)
【0033】
その後、デジタルアナログ変換器100では、容量C0~容量C2および容量CA1の全ての容量Cの容量値の合計と、参照電圧VREFに接続された容量Cの容量値の合計との比に応じた倍数の参照電圧VREFの電圧値を、サンプリングした入力信号VINの電圧値に加算した電圧値のアナログ信号VDACを出力する。
【0034】
より具体的には、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号DSに応じたスイッチSWSによって入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとの接続が切られた開放状態(オフ状態)を維持する。そして、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1に応じたスイッチSW0~スイッチSW2およびスイッチSWA1によって、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの第2の端子を、参照電圧VREFおよび接地電位のいずれか一方のノードに接続する。これにより、デジタルアナログ変換器100では、容量C0~容量C2および容量CA1のうち、第2の端子が参照電圧VREFのノードに接続された容量Cの合計容量値の全体に対する重みに応じた参照電圧VREFを、サンプリングした入力信号VINの電圧値に加算した電圧値を出力する。このようにして、デジタルアナログ変換器100では、入力されたデジタル信号DSと、デジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1との制御に応じて、参照電圧VREFに接続された容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの組み合わせの容量比に応じた倍数の参照電圧VREFの電圧値を入力信号VINの電圧値に加算した電圧値のアナログ信号VDACを出力する。言い換えれば、デジタルアナログ変換器100は、デジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1の制御に応じて、出力するアナログ信号VDACの電圧値が切り替えられる。
【0035】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(3)で表される。
【0036】
VDAC=VIN+(W/7.5)Cu×VREF ・・・(3)
【0037】
上式(3)において、Wは、容量C0~容量C2および容量CA1のうち、第2の端子が参照電圧VREFのノードに接続された容量Cの重みである。
【0038】
なお、デジタルアナログ変換器100では、容量部110に備えた容量C0~容量C2および容量CA1のうち、3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する。より具体的には、デジタルアナログ変換器100は、ゲイン1倍で3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する場合、容量C0~容量C2の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、入力信号VINの電圧値に参照電圧VREFの(0/7.5)Cu~(7/7.5)Cu倍の電圧値を加算した8つの電圧値(出力レベル)のアナログ信号VDACを出力する。また、デジタルアナログ変換器100は、ゲイン1/2倍で3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する場合、容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、入力信号VINの電圧値に参照電圧VREFの(0/7.5)Cu~(3.5/7.5)Cu倍の電圧値を加算した8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。
【0039】
ここで、デジタルアナログ変換器100に入力されるデジタル信号Dとデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACとの関係について説明する。図2および図3は、本発明のデジタルアナログ変換器100が出力する信号(アナログ信号VDAC)の電圧値を示した図である。図2には、ゲインを1倍に調整したときのデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値を示している。また、図3には、ゲインを1/2倍に調整したときのデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値を示している。図2および図3では、デジタルアナログ変換器100が出力する3ビットの分解能のアナログ信号VDACを、出力レベル0~出力レベル7までの8つの出力レベルとし、デジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1の値と対応付けて、アナログ信号VDACの電圧値を示している。
【0040】
なお、デジタル信号DSは、上述したように、スイッチ部120に備えたスイッチSWSを制御して、容量部110に備えた容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれに入力信号VINの電圧値をサンプリングさせるためのデジタル信号Dである。このため、デジタル信号DSは、デジタルアナログ変換器100が、容量C0~容量C2および容量CA1の全ての容量Cの容量値の合計と、参照電圧VREFに接続された容量Cの容量値の合計との比に応じた倍数の参照電圧VREFの電圧値をサンプリングした入力信号VINの電圧値に加算した電圧値のアナログ信号VDACを出力する際には、スイッチSWSの開放状態(オフ状態)を維持する。すなわち、デジタル信号DSは、上述したように、入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとの接続が切られた開放状態(オフ状態)に制御したまま変更せずに固定する(保持する)値である。従って、図2および図3では、固定の値のデジタル信号DSの明示を省略している。
【0041】
以下の説明においては、容量部110に備えた容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれに、入力信号VINの電圧値がサンプリングされているものとして説明する。そして、図2および図3では、スイッチSW0~スイッチSW2およびスイッチSWA1におけるそれぞれの第1の端子に接続するノードが、対応するデジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1の値が“0”である場合に接地電位のノードに切り替えられ、“1”である場合に参照電圧VREFのノードに切り替えられるものとする。
【0042】
まず、図2を用いて、デジタルアナログ変換器100がゲインを1倍に調整したときにおける、デジタル信号Dとアナログ信号VDACとの関係について説明する。上述したように、デジタルアナログ変換器100がゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)のゲインが1倍の場合、容量部110に備えた容量C0~容量C2の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する。このため、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号D0~デジタル信号D2の値が制御され、デジタル信号DA1の値が“0”に固定(保持)される。そして、デジタルアナログ変換器100では、ゲインが1倍のときに用いる容量C0~容量C2の3つの容量Cに対応するデジタル信号D0~デジタル信号D2の値、つまり、3ビットのデジタル信号Dの値に応じて、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。図2の説明においては、容量C0~容量C2の3つの容量Cに対応する3ビットのデジタル信号Dのバイナリコードで、デジタル信号D0~デジタル信号D2のそれぞれの値、すなわち、スイッチSW0~スイッチSW2のそれぞれの第1の端子に接続するノードを表す。なお、図2の説明においては、容量C0~容量C2の3つの容量Cの中で最も大きな容量値(=4Cu)の容量C2に対応するデジタル信号D2の値を最上位ビット(Most Significant Bit:MSB)とし、最も小さな容量値(=1Cu)の容量C0に対応するデジタル信号D0の値を最下位ビット(Least Significant Bit:LSB)とする。
【0043】
デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号D(デジタル信号D2、デジタル信号D1、およびデジタル信号D0)の値が“000”のとき、スイッチSW2~スイッチSW0のそれぞれの第1の端子が、接地電位のノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100は、図2に示したように、容量部110に備えた容量C2~容量C0および容量CA1の全ての容量Cにサンプリングされた入力信号VINの電圧値(=VIN)を、出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。
【0044】
また、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“001”のとき、スイッチSW2およびスイッチSW1のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW0の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100は、サンプリングされた入力信号VINの電圧値(=VIN)に、容量部110に備えた全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、容量C2~容量C0の3つの容量Cの内で参照電圧VREFに接続された容量C0の容量値(=1Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(1/7.5)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル1のアナログ信号VDACとして出力する。
【0045】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(4)で表される。
【0046】
VDAC=VIN+(1/7.5)Cu×VREF ・・・(4)
【0047】
また、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“010”のとき、スイッチSW2およびスイッチSW0のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW1の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C1の容量値(=2Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(2/7.5)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル2のアナログ信号VDACとして出力する。
【0048】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(5)で表される。
【0049】
VDAC=VIN+(2/7.5)Cu×VREF ・・・(5)
【0050】
また、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“011”のとき、スイッチSW2の第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW1およびスイッチSW0のそれぞれの第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C1および容量C0の合計の容量値(=3Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(3/7.5)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル3のアナログ信号VDACとして出力する。
【0051】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(6)で表される。
【0052】
VDAC=VIN+(3/7.5)Cu×VREF ・・・(6)
【0053】
また、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“100”のとき、スイッチSW1およびスイッチSW0のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW2の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C2の容量値(=4Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(4/7.5)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル4のアナログ信号VDACとして出力する。
【0054】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(7)で表される。
【0055】
VDAC=VIN+(4/7.5)Cu×VREF ・・・(7)
【0056】
また、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“101”のとき、スイッチSW1の第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW2およびスイッチSW0のそれぞれの第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C2および容量C0の合計の容量値(=5Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(5/7.5)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル5のアナログ信号VDACとして出力する。
【0057】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(8)で表される。
【0058】
VDAC=VIN+(5/7.5)Cu×VREF ・・・(8)
【0059】
また、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“110”のとき、スイッチSW0の第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW2およびスイッチSW1のそれぞれの第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C2および容量C1の合計の容量値(=6Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(6/7.5)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル6のアナログ信号VDACとして出力する。
【0060】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(9)で表される。
【0061】
VDAC=VIN+(6/7.5)Cu×VREF ・・・(9)
【0062】
また、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“111”のとき、スイッチSW2~スイッチSW0のそれぞれの第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C2~容量C0の合計の容量値(=7Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(7/7.5)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル7のアナログ信号VDACとして出力する。
【0063】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(10)で表される。
【0064】
VDAC=VIN+(7/7.5)Cu×VREF ・・・(10)
【0065】
このように、デジタルアナログ変換器100は、ゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが1倍の場合、入力されたデジタル信号D2~デジタル信号D0の値に応じて、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、参照電圧VREFの(0/7.5)Cu~(7/7.5)Cu倍の電圧値を加算した、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。ここで、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値の変化幅(前後の出力レベルのアナログ信号VDACの電圧値の差)は、図2に示したように、(1/7.5)Cu×VREFである。
【0066】
なお、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)は、出力レベル7のアナログ信号VDACの電圧値(=VIN+(7/7.5)Cu×VREF)と、出力レベル0のアナログ信号VDACの電圧値(=VIN)との差で表される。このため、図2においては、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの出力振幅は、(7/7.5)Cu×VREFである。
【0067】
続いて、図3を用いて、デジタルアナログ変換器100がゲインを1/2倍に調整したときにおける、デジタル信号Dとアナログ信号VDACとの関係について説明する。上述したように、デジタルアナログ変換器100がゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが1/2倍の場合、容量部110に備えた容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する。このため、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号D0~デジタル信号D1およびデジタル信号DA1の値が制御され、デジタル信号D2の値が“0”に固定(保持)される。そして、デジタルアナログ変換器100では、ゲインが1/2倍のときに用いる容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cに対応するデジタル信号D0~デジタル信号D1、およびデジタル信号DA1の値(3ビットのデジタル信号Dの値)に応じて、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。図3の説明においては、図2に示したゲインが1倍の場合と同様の考え方に基づいて、容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cに対応する3ビットのデジタル信号Dのバイナリコードで、デジタル信号D0~デジタル信号D1およびデジタル信号DA1のそれぞれの値、すなわち、スイッチSW0~スイッチSW1およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子に接続するノードを表す。なお、図3の説明においては、容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cの中で最も大きな容量値(=2Cu)の容量C1に対応するデジタル信号D1の値を最上位ビット(MSB)とし、最も小さな容量値(=0.5Cu)の容量CA1に対応するデジタル信号DA1の値を最下位ビット(LSB)とする。
【0068】
デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号D(デジタル信号D1、デジタル信号D0、およびデジタル信号DA1)の値が“000”のとき、スイッチSW1、スイッチSW0、およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子が、接地電位のノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100は、図3に示したように、容量部110に備えた容量C2~容量C0および容量CA1の全ての容量Cにサンプリングされた入力信号VINの電圧値(=VIN)を、出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。
【0069】
また、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“001”のとき、スイッチSW1およびスイッチSW0のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSWA1の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100は、サンプリングされた入力信号VINの電圧値(=VIN)に、容量部110に備えた全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、容量C1、容量C0、および容量CA1の3つの容量Cの内で参照電圧VREFに接続された容量CA1の容量値(=0.5Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(0.5/7.5)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル1のアナログ信号VDACとして出力する。
【0070】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(11)で表される。
【0071】
VDAC=VIN+(0.5/7.5)Cu×VREF
・・・(11)
【0072】
また、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“010”のとき、スイッチSW1およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW0の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C0の容量値(=1Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(1/7.5)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル2のアナログ信号VDACとして出力する。
【0073】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(12)で表される。
【0074】
VDAC=VIN+(1/7.5)Cu×VREF ・・・(12)
【0075】
同様に、デジタルアナログ変換器100では、図3に示したように、デジタル信号Dの値に応じて、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量Cの合計の容量値との比に応じた参照電圧VREFの電圧値を加算した電圧値を、それぞれの出力レベルのアナログ信号VDACとして出力する。
【0076】
そして、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“111”のとき、スイッチSW1、スイッチSW0、およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C1、容量C0、および容量CA1の合計の容量値(=3.5Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(3.5/7.5)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル7のアナログ信号VDACとして出力する。
【0077】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(13)で表される。
【0078】
VDAC=VIN+(3.5/7.5)Cu×VREF
・・・(13)
【0079】
このように、デジタルアナログ変換器100は、ゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが1/2倍の場合、入力されたデジタル信号D0~デジタル信号D1およびデジタル信号DA1の値に応じて、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、参照電圧VREFの(0/7.5)Cu~(3.5/7.5)Cu倍の電圧値を加算した、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。つまり、ゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが1/2倍の場合、デジタルアナログ変換器100は、図3に示したように、電圧値の変化幅(前後の出力レベルのアナログ信号VDACの電圧値の差)が(0.5/7.5)Cu×VREFである8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。
【0080】
なお、上述したように、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)は、出力レベル7のアナログ信号VDACの電圧値(=VIN+(3.5/7.5)Cu×VREF)と、出力レベル0のアナログ信号VDACの電圧値(=VIN)との差で表される。このため、図3においては、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの出力振幅は、(3.5/7.5)Cu×VREFである。つまり、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの出力振幅は、ゲイン1倍のときの出力振幅の(7/7.5)Cu×VREFに対して、1/2倍、すなわち、ゲインが1/2倍になる。
【0081】
このように、デジタルアナログ変換器100では、容量部110に容量CA1を追加し、スイッチ部120にスイッチSWA1を追加することによって、出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)をゲイン調整する構成にする。そして、デジタルアナログ変換器100では、容量部110に備えた容量C2~容量C0および容量CA1の4つの容量Cのうち、3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、ゲイン1倍または1/2倍で3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する。つまり、デジタルアナログ変換器100では、容量部110に備えた4つの容量Cの内3つの容量Cを、入力信号VINの電圧値をサンプリングした後に対応するスイッチSWの切り替えに応じて3ビットの分解能で出力するアナログ信号VDACの電圧値を生成するための容量Cとして用いる。そして、デジタルアナログ変換器100では、容量部110に備えた残りの1つの容量Cを、対応するスイッチSWを切り替えずに固定(保持)する。しかも、デジタルアナログ変換器100では、出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整するために追加する容量C(容量CA1)の容量値は、ゲインが1倍である場合において最も小さな容量値の容量Cよりも小さい容量値である。また、デジタルアナログ変換器100では、出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整するために追加するスイッチSW(スイッチSWA1)は、スイッチ部120に備えた参照電圧VREFの切り替えに用いる他のスイッチSW(スイッチSW0~スイッチSW2)と同様の構成である。言い換えれば、デジタルアナログ変換器100において追加するスイッチSW(スイッチSWA1)は、特別な性能を実現する構成のスイッチSWではない。つまり、デジタルアナログ変換器100では、ゲインを1倍または1/2倍に調整した複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号VDACを出力する構成であるにもかかわらず、容量CA1とスイッチSWA1とを追加するのみである。すなわち、デジタルアナログ変換器100は、高い分解能のアナログ信号VDACを出力する構成に適用するほど、より少ない構成要素の追加のみで実現することができる。従って、デジタルアナログ変換器100では、デジタルアナログ変換器100を形成するために要する面積の増大を抑えることができる。
【0082】
なお、上述したデジタルアナログ変換器100がアナログ信号VDACを出力する際の動作では、容量部110に備えた全ての容量Cに入力信号VINの電圧値をサンプリングさせた後、入力信号VINの電圧値に、デジタル信号Dによって変更される容量部110に備えたそれぞれの容量Cの容量比に応じた倍数の参照電圧VREFの電圧値を加算した電圧値のアナログ信号VDACを出力する動作について説明した。つまり、上述したデジタルアナログ変換器100の動作では、まず、容量部110に備えた全ての容量Cに入力信号VINの電圧値をサンプリングさせた。そして、上述したデジタルアナログ変換器100の動作では、全ての容量Cに入力信号VINの電圧値をサンプリングさせた後に、3ビットの分解能のアナログ信号VDACの電圧値の出力に用いない1つの容量Cの第2の端子を接地電位のノードに接続した状態に固定(保持)させた。しかしながら、デジタルアナログ変換器100では、容量部110に備えたそれぞれの容量Cに入力信号VINの電圧値をサンプリングさせるときや、その後に3ビットの分解能のアナログ信号VDACの電圧値を出力させるときに、上述したデジタルアナログ変換器100の動作と異なる動作をさせることにより、出力する3ビットの分解能のアナログ信号VDACの電圧値にオフセットをもたせることができる。つまり、デジタルアナログ変換器100では、参照電圧VREFの電圧値を予め定めたゲイン値でゲイン調整するのみではなく、デジタル信号Dの制御によって、出力するアナログ信号VDACに対してオフセット調整をすることができる。
【0083】
ここで、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACに対してオフセット調整をする際の動作について説明する。まず、デジタルアナログ変換器100において、3ビットの分解能のアナログ信号VDACの電圧値を出力させるときにオフセット調整をする場合の動作について説明する。
【0084】
なお、参照電圧VREFの高電位側が正の電圧であり、低電位側が接地(グラウンド:GND)電位である場合、デジタルアナログ変換器100では、出力するアナログ信号VDACに対して、容量部110に備えたそれぞれの容量Cの容量比に応じた倍数の参照電圧VREFの正の電圧値を加算するオフセット調整をすることができる。一方、参照電圧VREFの高電位側が接地(グラウンド:GND)電位であり、低電位側が負の電圧である場合、デジタルアナログ変換器100では、出力するアナログ信号VDACに対して、容量部110に備えたそれぞれの容量Cの容量比に応じた倍数の参照電圧VREFの負の電圧値を加算する、言い換えれば、正の電圧値を減算するオフセット調整をすることができる。
【0085】
ここでは、参照電圧VREFが正の電圧であるものとして説明する。以下の説明においては、3ビットの分解能のアナログ信号VDACの電圧値を出力させるときに、出力するアナログ信号VDACに対して容量Cの容量比に応じた倍数の参照電圧VREFの電圧値を加算するオフセット調整を、第1のオフセット調整という。
【0086】
なお、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACに対して第1のオフセット調整をする場合でも、デジタルアナログ変換器100は、まず、容量C0~容量C2および容量CA1の全ての容量Cに、入力信号VINの電圧値をサンプリングする。この場合のデジタルアナログ変換器100の動作は、上述した参照電圧VREFの電圧値を予め定めたゲイン値でゲイン調整する際の動作と同様である。従って、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACに対して第1のオフセット調整をする場合における入力信号VINの電圧値のサンプリングの動作に関する詳細な説明は省略する。
【0087】
デジタルアナログ変換器100は、容量C0~容量C2および容量CA1の全ての容量Cに入力信号VINの電圧値をサンプリングした後、容量C0~容量C2および容量CA1の全ての容量Cの容量値の合計と、参照電圧VREFに接続された容量Cの容量値の合計との比に応じた倍数の参照電圧VREFの電圧値を、サンプリングした入力信号VINの電圧値に加算した電圧値のアナログ信号VDACを出力する。この場合のデジタルアナログ変換器100の動作も、上述した参照電圧VREFの電圧値を予め定めたゲイン値でゲイン調整する際の動作と同様である。つまり、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号DSに応じたスイッチSWSによって入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとの接続が切られた開放状態(オフ状態)を維持する。そして、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1に応じたスイッチSW0~スイッチSW2およびスイッチSWA1によって、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの第2の端子を、参照電圧VREFおよび接地電位のいずれか一方のノードに接続する。これにより、デジタルアナログ変換器100では、容量C0~容量C2および容量CA1のうち、第2の端子が参照電圧VREFのノードに接続された容量Cの合計容量値の全体に対する重みに応じた参照電圧VREFを、サンプリングした入力信号VINの電圧値に加算した電圧値を出力する。
【0088】
ただし、デジタルアナログ変換器100が、出力するアナログ信号VDACに対して第1のオフセット調整をする際には、3ビットの分解能のアナログ信号VDACの出力に用いない残りの1つの容量Cをオフセット調整容量として用いてアナログ信号VDACをオフセット調整する。より具体的には、デジタルアナログ変換器100は、ゲイン1倍で3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する場合、容量C0~容量C2の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、入力信号VINの電圧値に参照電圧VREFの(0/7.5)Cu~(7/7.5)Cu倍の電圧値を加算した8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。このとき、デジタルアナログ変換器100では、3ビットの分解能のアナログ信号VDACの出力に用いない容量CA1を、アナログ信号VDACの第1のオフセット調整に用いる。また、デジタルアナログ変換器100は、ゲイン1/2倍で3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する場合、容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、入力信号VINの電圧値に参照電圧VREFの(0/7.5)Cu~(3.5/7.5)Cu倍の電圧値を加算した8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。このとき、デジタルアナログ変換器100では、3ビットの分解能のアナログ信号VDACの出力に用いない容量C2を、アナログ信号VDACの第1のオフセット調整に用いる。
【0089】
ここで、デジタルアナログ変換器100に入力されるデジタル信号Dとデジタルアナログ変換器100が出力する第1のオフセット調整をしたアナログ信号VDACとの関係について説明する。図4は、本発明のデジタルアナログ変換器100が出力する信号(第1のオフセット調整をしたアナログ信号VDAC)の電圧値を示した図である。図4には、デジタルアナログ変換器100が、容量CA1をオフセット調整容量として用いて第1のオフセット調整をしたときのアナログ信号VDACの電圧値を示している。図4においても、図2および図3に示したアナログ信号VDACをゲイン調整して出力する場合と同様に、デジタルアナログ変換器100が出力する3ビットの分解能のアナログ信号VDACを、出力レベル0~出力レベル7までの8つの出力レベルとし、デジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1の値と対応付けて、アナログ信号VDACの電圧値を示している。この場合もデジタル信号DSは、スイッチSWSの開放状態(オフ状態)を維持するために、入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとの接続が切られた開放状態(オフ状態)に制御したまま変更せずに固定する(保持する)値である。従って、図4においても、図2および図3に示したアナログ信号VDACをゲイン調整して出力する場合と同様に、固定の値のデジタル信号DSの明示を省略している。
【0090】
以下の説明においても、図4において、図2および図3に示したアナログ信号VDACをゲイン調整して出力する場合と同様に、容量部110に備えた容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれに、入力信号VINの電圧値がサンプリングされているものとして説明する。なお、図4においても、図2および図3に示したアナログ信号VDACをゲイン調整して出力する場合と同様に、スイッチSWにおけるそれぞれの第1の端子に接続するノードが、対応するデジタル信号Dの値が“0”である場合に接地電位のノードに切り替えられ、“1”である場合に参照電圧VREFのノードに切り替えられるものとする。
【0091】
デジタルアナログ変換器100が、容量CA1をオフセット調整容量として用いて第1のオフセット調整をしたアナログ信号VDACを出力する場合、デジタル信号DA1の値が“1”に固定(保持)される。そして、デジタルアナログ変換器100では、図2に示したゲインが1倍の場合と同様に、ゲインが1倍のときに用いる容量C0~容量C2の3つの容量Cに対応するデジタル信号D0~デジタル信号D2の値(3ビットのデジタル信号Dの値)に応じて、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。なお、この場合のデジタルアナログ変換器100の動作は、図2に示したゲインが1倍の場合と同様である。ただし、図4に示した動作では、デジタルアナログ変換器100が第1のオフセット調整をした電圧値のアナログ信号VDACを出力するため、それぞれのデジタル信号D(デジタル信号D2、デジタル信号D1、およびデジタル信号D0)の値のときに出力するアナログ信号VDACの電圧値が異なる。図4の説明においては、デジタルアナログ変換器100が出力する第1のオフセット調整をしたアナログ信号VDACの電圧値に着目し、図2に示したゲインが1倍の場合と同様の考え方に基づいた、容量C0~容量C2の3つの容量Cに対応する3ビットのデジタル信号Dのバイナリコードを用いて説明する。
【0092】
デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号D(デジタル信号D2、デジタル信号D1、およびデジタル信号D0)の値が“000”のとき、容量部110に備えた容量C2~容量C0および容量CA1の全ての容量Cにサンプリングされた入力信号VINの電圧値(=VIN)に、容量CA1を用いた第1のオフセット調整をして、出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。より具体的には、デジタル信号Dの値が“000”のときに、デジタル信号DA1の値が“1”であることにより、スイッチSWA1の第1の端子は参照電圧VREFのノードに接続されている。このため、デジタルアナログ変換器100は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量CA1の容量値(=0.5Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(0.5/7.5)Cu×VREF)を加算した電圧値を、第1のオフセット調整をした出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。つまり、デジタルアナログ変換器100は、容量CA1をオフセット調整容量として用いて、オフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値を加算する第1のオフセット調整をしたアナログ信号VDACを出力する。
【0093】
このときデジタルアナログ変換器100が出力する第1のオフセット調整をしたアナログ信号VDACの電圧値は、下式(14)で表される。
【0094】
VDAC=VIN+(0.5/7.5)Cu×VREF
・・・(14)
【0095】
また、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“001”のときにも、容量CA1をオフセット調整容量として用いて、オフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値を加算した第1のオフセット調整をする。このため、デジタルアナログ変換器100は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C0の容量値(=1Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(1/7.5)Cu×VREF)を加算し、さらにオフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値を加算して、第1のオフセット調整をした出力レベル1のアナログ信号VDACとして出力する。
【0096】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(15)で表される。
【0097】
VDAC=VIN+((1+0.5)/7.5)Cu×VREF
・・・(15)
【0098】
同様に、デジタルアナログ変換器100では、図4に示したように、デジタル信号Dの値に応じたアナログ信号VDACの電圧値に、容量CA1を用いたオフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値を加算して、第1のオフセット調整をしたそれぞれの出力レベルのアナログ信号VDACとして出力する。
【0099】
そして、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“111”のときにも、容量CA1を用いたオフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値で第1のオフセット調整をする。このため、デジタルアナログ変換器100は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C2~容量C0の合計の容量値(=7Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(7/7.5)Cu×VREF)を加算し、さらにオフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値を加算して、第1のオフセット調整をした出力レベル7のアナログ信号VDACとして出力する。
【0100】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(16)で表される。
【0101】
VDAC=VIN+((7+0.5)/7.5)Cu×VREF
・・・(16)
【0102】
このように、デジタルアナログ変換器100は、アナログ信号VDACの電圧値を出力させるときに第1のオフセット調整をする場合、デジタル信号Dの値に応じたアナログ信号VDACの電圧値に、容量CA1を用いたオフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値を加算して、それぞれの出力レベルのアナログ信号VDACに対してオフセット調整をする。なお、第1のオフセット調整では、デジタルアナログ変換器100がアナログ信号VDACを出力する際に、スイッチSWA1によって容量CA1の第2の端子を接地電位のノードに接続することによって、第1のオフセット調整を行わずにアナログ信号VDACを出力することができる。つまり、第1のオフセット調整は、デジタルアナログ変換器100がアナログ信号VDACを出力している途中でも解除することができる。
【0103】
なお、デジタルアナログ変換器100が第1のオフセット調整をした場合でも、図4に示したように、出力するアナログ信号VDACの電圧値の変化幅(前後の出力レベルのアナログ信号VDACの電圧値の差)は、図2に示したゲインが1倍の場合と同様の(1/7.5)Cu×VREFである。また、デジタルアナログ変換器100が第1のオフセット調整をした場合でも、図4に示したように、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)は、図2に示したゲインが1倍の場合と同様の(7/7.5)Cu×VREFである。
【0104】
なお、デジタルアナログ変換器100が1/2倍のゲイン調整をしたアナログ信号VDACを出力する際の第1のオフセット調整は、上述したように、容量C2を用いることになる。この場合のオフセット値は、容量C2の容量値(=4Cu)に基づいた値となる。従って、デジタルアナログ変換器100は、1/2倍のゲイン調整をしたアナログ信号VDACを出力する際には、オフセット値=(4/7.5)Cu×VREFの電圧値を加算する第1のオフセット調整をすることになる。なお、この場合の動作は、図3に示したゲインが1/2倍の場合において、デジタル信号D2の値を“1”にする動作であり、容量CA1を用いた第1のオフセット調整と同様に考えることができる。従って、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACに対して容量C2を用いた第1のオフセット調整をする動作に関する詳細な説明は省略する。
【0105】
なお、上述した説明では、デジタルアナログ変換器100が3ビットの分解能のアナログ信号VDACの電圧値を出力させるときにオフセット調整をする場合の動作として、第1のオフセット調整を行う場合について説明した。しかしながら、デジタルアナログ変換器100では、3ビットの分解能のアナログ信号VDACの電圧値を出力させるときのオフセット調整は、第1のオフセット調整に限定されるもではない。
【0106】
続いて、デジタルアナログ変換器100において、容量部110に備えたそれぞれの容量Cに入力信号VINの電圧値をサンプリングさせるときにオフセット調整をする場合の動作について説明する。
【0107】
なお、参照電圧VREFの高電位側が正の電圧であり、低電位側が接地(グラウンド:GND)電位である場合、デジタルアナログ変換器100では、出力するアナログ信号VDACに対して、容量部110に備えたそれぞれの容量Cの容量比に応じた倍数の参照電圧VREFの正の電圧値を減算するオフセット調整をすることができる。一方、参照電圧VREFの高電位側が接地(グラウンド:GND)電位であり、低電位側が負の電圧である場合、デジタルアナログ変換器100では、出力するアナログ信号VDACに対して、容量部110に備えたそれぞれの容量Cの容量比に応じた倍数の参照電圧VREFの負の電圧値を減算する、言い換えれば、正の電圧値を加算するオフセット調整をすることができる。
【0108】
ここでは、参照電圧VREFが正の電圧であるものとして説明する。以下の説明においては、入力信号VINの電圧値をサンプリングさせるときの容量部110に備えたそれぞれの容量Cの容量比に応じた倍数の参照電圧VREFの電圧値を減算するオフセット調整を、第2のオフセット調整という。
【0109】
デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACに対して第2のオフセット調整をする場合、容量C0~容量C2および容量CA1のうち、一部の容量Cの第2の端子を参照電圧VREFのノードに接続した状態で入力信号VINの電圧値をサンプリングさせる。
【0110】
例えば、容量CA1の第2の端子を参照電圧VREFのノードに接続した状態で入力信号VINの電圧値をサンプリングさせる。この場合、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号DSに応じたスイッチSWSによって入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとを接続し(短絡状態にし)、スイッチSW0~スイッチSW2によって容量C0~容量C2のそれぞれの第2の端子を接地電位のノードに接続し、スイッチSWA1によって容量CA1の第2の端子を参照電圧VREFのノードに接続する。これにより、デジタルアナログ変換器100では、容量C0~容量C2のそれぞれに入力信号VINの電位と接地電位との電位差に応じた電荷が充電され、容量CA1に入力信号VINの電位と参照電圧VREFの電位との電位差に応じた電荷が充電される。その後、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号DSに応じたスイッチSWSによって入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとの接続を切る(開放状態にする)。これにより、デジタルアナログ変換器100では、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれに、充電された電荷が保持(蓄積)される。このようにして、デジタルアナログ変換器100では、出力するアナログ信号VDACに対して第2のオフセット調整をする場合に、入力されたデジタル信号DSと、デジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1との制御に応じて、容量C0~容量C2と容量CA1とに異なる電圧値をサンプリングさせる。
【0111】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、上式(1)で表される。一方、容量部110の全体にサンプリングされた電荷Qは、下式(17)で表される。
【0112】
Q=(7.5Cu×VIN)-(0.5Cu×VREF)
・・・(17)
【0113】
その後、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACに対して第2のオフセット調整をする場合でも、デジタルアナログ変換器100は、3ビットのデジタル信号Dの値に応じて、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。つまり、デジタルアナログ変換器100は、容量C0~容量C2および容量CA1の全ての容量Cの容量値の合計と、参照電圧VREFに接続された容量Cの容量値の合計との比に応じた倍数の参照電圧VREFの電圧値を、サンプリングした入力信号VINの電圧値に加算した電圧値のアナログ信号VDACを出力する。この場合のデジタルアナログ変換器100の動作も、上述した参照電圧VREFの電圧値を予め定めたゲイン値でゲイン調整する際の動作と同様である。つまり、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号DSに応じたスイッチSWSによって入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとの接続が切られた開放状態(オフ状態)を維持する。そして、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1に応じたスイッチSW0~スイッチSW2およびスイッチSWA1によって、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの第2の端子を、参照電圧VREFおよび接地電位のいずれか一方のノードに接続する。これにより、デジタルアナログ変換器100では、容量C0~容量C2および容量CA1のうち、第2の端子が参照電圧VREFのノードに接続された容量Cの合計容量値の全体に対する重みに応じた参照電圧VREFを、サンプリングした入力信号VINの電圧値に加算した電圧値を出力する。
【0114】
ただし、デジタルアナログ変換器100において出力するアナログ信号VDACに対して第2のオフセット調整をする際には、上述したように、サンプリングの際に、容量CA1に、入力信号VINの電位と参照電圧VREFの電位との電位差に応じた電荷を蓄積させている。このため、デジタルアナログ変換器100が出力する第2のオフセット調整をしたアナログ信号VDACの電圧値は、スイッチSWA1によって容量CA1の第2の端子を接地電位のノードに接続した時点で、上式(17)の右辺の第2項の0.5Cu×VREFに応じた分の電圧値だけ低い電圧値となる。
【0115】
なお、第2のオフセット調整では、異なる電圧値を再度サンプリングする、つまり、それぞれの容量Cへの電圧値のサンプリングをし直すことによって、第2のオフセット調整を解除することができる。また、第2のオフセット調整では、出力するアナログ信号VDACの電圧値の振幅(電圧値の範囲)をゲイン調整するために用いる容量C(以下、「ゲイン調整容量」という)をオフセット調整容量として用いる場合、第2のオフセット調整を行わずにアナログ信号VDACを出力することができる。つまり、ゲイン調整容量をオフセット調整容量として用いる場合、第2のオフセット調整は、デジタルアナログ変換器100がアナログ信号VDACを出力している途中でも解除することができる。この場合、デジタルアナログ変換器100では、アナログ信号VDACを出力する際に、ゲイン調整容量に対応するスイッチSWによってゲイン調整容量の第2の端子を参照電圧VREFのノードに接続する。
【0116】
ここで、デジタルアナログ変換器100に入力されるデジタル信号Dとデジタルアナログ変換器100が出力する第2のオフセット調整をしたアナログ信号VDACとの関係について説明する。図5は、本発明のデジタルアナログ変換器100が出力する信号(第2のオフセット調整をしたアナログ信号VDAC)の電圧値を示した図である。図5の(a)には、デジタルアナログ変換器100が、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの容量Cに入力信号VINの電圧値をサンプリングさせる際に制御されるそれぞれのデジタル信号Dの値を示している。デジタルアナログ変換器100では、容量CA1をオフセット調整容量として用いてアナログ信号VDACに対して第2のオフセット調整をする際に、それぞれのデジタル信号Dの値を図5の(a)に示した値にすることによって、上述したように、容量CA1の第2の端子を参照電圧VREFのノードに接続した状態で入力信号VINの電圧値をサンプリングさせる。また、図5の(b)には、デジタルアナログ変換器100が、容量CA1をオフセット調整容量として用いて第2のオフセット調整をしたときのアナログ信号VDACの電圧値を示している。図5の(b)においても、図2および図3に示したアナログ信号VDACをゲイン調整して出力する場合と同様に、デジタルアナログ変換器100が出力する3ビットの分解能のアナログ信号VDACを、出力レベル0~出力レベル7までの8つの出力レベルとし、デジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1の値と対応付けて、アナログ信号VDACの電圧値を示している。この場合もデジタル信号DSは、スイッチSWSの開放状態(オフ状態)を維持するために、入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとの接続が切られた開放状態(オフ状態)に制御したまま変更せずに固定する(保持する)値である。従って、図5の(b)においても、図2および図3に示したアナログ信号VDACをゲイン調整して出力する場合と同様に、固定の値のデジタル信号DSの明示を省略している。
【0117】
以下の説明においては、図5の(b)において、容量CA1の第2の端子が参照電圧VREFのノードに接続された状態で入力信号VINの電圧値がサンプリングされているものとして説明する。なお、図5の(b)においても、図2および図3に示したアナログ信号VDACをゲイン調整して出力する場合と同様に、スイッチSWにおけるそれぞれの第1の端子に接続するノードが、対応するデジタル信号Dの値が“0”である場合に接地電位のノードに切り替えられ、“1”である場合に参照電圧VREFのノードに切り替えられるものとする。
【0118】
デジタルアナログ変換器100が、容量CA1をオフセット調整容量として用いて第2のオフセット調整をしたアナログ信号VDACを出力する場合でも、図2および図3に示したアナログ信号VDACをゲイン調整して出力する場合と同様に、デジタル信号DA1の値は“0”に固定(保持)される。そして、デジタルアナログ変換器100では、図2に示したゲインが1倍の場合と同様に、ゲインが1倍のときに用いる容量C0~容量C2の3つの容量Cに対応するデジタル信号D0~デジタル信号D2の値(3ビットのデジタル信号Dの値)に応じて、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。なお、この場合のデジタルアナログ変換器100の動作は、図2に示したゲインが1倍の場合と同様である。ただし、図5の(b)に示した動作では、デジタルアナログ変換器100が第2のオフセット調整をした電圧値のアナログ信号VDACを出力するため、それぞれのデジタル信号D(デジタル信号D2、デジタル信号D1、およびデジタル信号D0)の値のときに出力するアナログ信号VDACの電圧値が異なる。図5の(b)の説明においては、デジタルアナログ変換器100が出力する第2のオフセット調整をしたアナログ信号VDACの電圧値に着目し、図2に示したゲインが1倍の場合と同様の考え方に基づいた、容量C0~容量C2の3つの容量Cに対応する3ビットのデジタル信号Dのバイナリコードを用いて説明する。
【0119】
デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号D(デジタル信号D2、デジタル信号D1、およびデジタル信号D0)の値が“000”のとき、容量部110に備えた容量C2~容量C0および容量CA1の全ての容量Cにサンプリングされた入力信号VINの電圧値(=VIN)に、容量CA1を用いた第2のオフセット調整をして、出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。より具体的には、デジタルアナログ変換器100は、サンプリングされた入力信号VINの電圧値(=VIN)から、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、容量CA1の容量値(=0.5Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(0.5/7.5)Cu×VREF)を減算した電圧値を、第2のオフセット調整をした出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。つまり、デジタルアナログ変換器100は、容量CA1をオフセット調整容量として用いて、オフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算する第2のオフセット調整をしたアナログ信号VDACを出力する。
【0120】
このときデジタルアナログ変換器100が出力する第2のオフセット調整をしたアナログ信号VDACの電圧値は、下式(18)で表される。
【0121】
VDAC=VIN-(0.5/7.5)Cu×VREF
・・・(18)
【0122】
また、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“001”のときにも、容量CA1をオフセット調整容量として用いて、オフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算した第2のオフセット調整をする。このため、デジタルアナログ変換器100は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C0の容量値(=1Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(1/7.5)Cu×VREF)を加算し、さらにオフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算して、第2のオフセット調整をした出力レベル1のアナログ信号VDACとして出力する。
【0123】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(19)で表される。
【0124】
VDAC=VIN+((1-0.5)/7.5)Cu×VREF
・・・(19)
【0125】
同様に、デジタルアナログ変換器100では、図5の(b)に示したように、デジタル信号Dの値に応じたアナログ信号VDACの電圧値に、容量CA1を用いたオフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算して、第2のオフセット調整をしたそれぞれの出力レベルのアナログ信号VDACとして出力する。
【0126】
そして、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“111”のときにも、容量CA1を用いたオフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値で第2のオフセット調整をする。このため、デジタルアナログ変換器100は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C2~容量C0の合計の容量値(=7Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(7/7.5)Cu×VREF)を加算し、さらにオフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算して、第2のオフセット調整をした出力レベル7のアナログ信号VDACとして出力する。
【0127】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(20)で表される。
【0128】
VDAC=VIN+((7-0.5)/7.5)Cu×VREF
・・・(20)
【0129】
このように、デジタルアナログ変換器100は、アナログ信号VDACの電圧値を出力させるときに第2のオフセット調整をする場合、デジタル信号Dの値に応じたアナログ信号VDACの電圧値に、容量CA1を用いたオフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算して、それぞれの出力レベルのアナログ信号VDACに対してオフセット調整をする。
【0130】
なお、デジタルアナログ変換器100が第2のオフセット調整をした場合でも、図5の(b)に示したように、出力するアナログ信号VDACの電圧値の変化幅(前後の出力レベルのアナログ信号VDACの電圧値の差)は、図2に示したゲインが1倍の場合と同様の(1/7.5)Cu×VREFである。また、デジタルアナログ変換器100が第2のオフセット調整をした場合でも、図5の(b)に示したように、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)は、図2に示したゲインが1倍の場合と同様の(7/7.5)Cu×VREFである。
【0131】
なお、上述したデジタルアナログ変換器100における第2のオフセット調整では、容量CA1をオフセット調整容量として用いてオフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算する場合について説明した。しかし、デジタルアナログ変換器100では、容量CA1以外の容量Cをオフセット調整容量として用いて第2のオフセット調整をすることもできる。
【0132】
ここで、デジタルアナログ変換器100において、容量部110に備えた容量CA1以外の容量Cをオフセット調整容量として用いて第2のオフセット調整をする場合の動作の一例について説明する。なお、デジタルアナログ変換器100が容量部110に備えた容量CA1以外の容量Cをオフセット調整容量として用いて第2のオフセット調整をする場合の動作は、上述した容量CA1をオフセット調整容量として用いて第2のオフセット調整をする場合の動作と同様である。ただし、容量部110に備えた容量CA1以外の容量Cをオフセット調整容量として用いて第2のオフセット調整をする場合には、異なる電圧値をサンプリングさせる容量Cが異なる。以下の説明においては、デジタルアナログ変換器100が異なる電圧値をサンプリングさせる容量Cの制御と、デジタルアナログ変換器100が出力する第2のオフセット調整をしたアナログ信号VDACの電圧値に着目し、図2に示したゲインが1倍の場合と同様の考え方に基づいた、容量C0~容量C2の3つの容量Cに対応する3ビットのデジタル信号Dのバイナリコードを用いて説明する。
【0133】
図6は、本発明のデジタルアナログ変換器100が出力する信号(第2のオフセット調整をしたアナログ信号VDAC)の電圧値を示した図である。図6には、デジタルアナログ変換器100が、容量C2をオフセット調整容量として用いて第2のオフセット調整をしたアナログ信号VDACを出力する場合の一例を示している。図6の(a)には、デジタルアナログ変換器100が、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの容量Cに入力信号VINの電圧値をサンプリングさせる際に制御されるそれぞれのデジタル信号Dの値を示している。また、図6の(b)には、デジタルアナログ変換器100が、容量C2をオフセット調整容量として用いて第2のオフセット調整をしたときのアナログ信号VDACの電圧値を示している。図6の(b)においても、図2および図3に示したアナログ信号VDACをゲイン調整して出力する場合と同様に、デジタルアナログ変換器100が出力する3ビットの分解能のアナログ信号VDACを、出力レベル0~出力レベル7までの8つの出力レベルとし、デジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1の値と対応付けて、アナログ信号VDACの電圧値を示している。この場合もデジタル信号DSは、スイッチSWSの開放状態(オフ状態)を維持するために、入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとの接続が切られた開放状態(オフ状態)に制御したまま変更せずに固定する(保持する)値である。従って、図6の(b)においても、図2および図3に示したアナログ信号VDACをゲイン調整して出力する場合と同様に、固定の値のデジタル信号DSの明示を省略している。
【0134】
デジタルアナログ変換器100では、容量C2をオフセット調整容量として用いてアナログ信号VDACに対して第2のオフセット調整をする際に、それぞれのデジタル信号Dの値を図6の(a)に示した値にすることによって、上述したように、容量C2の第2の端子を参照電圧VREFのノードに接続した状態で入力信号VINの電圧値をサンプリングさせる。
【0135】
その後、デジタルアナログ変換器100では、出力するアナログ信号VDACに対して、容量C2を用いたオフセット値=(4/7.5)Cu×VREFの電圧値の第2のオフセット調整をする。これにより、デジタルアナログ変換器100では、図6の(b)に示した電圧値のアナログ信号VDACを出力する。つまり、デジタルアナログ変換器100は、8つの出力レベルのそれぞれのアナログ信号VDACにおいて、オフセット値=(4/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算する第2のオフセット調整をしたアナログ信号VDACを出力する。
【0136】
例えば、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“001”のとき、容量C2をオフセット調整容量として用いて、オフセット値=(4/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算した第2のオフセット調整をする。この場合、デジタルアナログ変換器100は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C0の容量値(=1Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(1/7.5)Cu×VREF)を加算し、さらにオフセット値=(4/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算して、第2のオフセット調整をした出力レベル1のアナログ信号VDACとして出力する。
【0137】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(21)で表される。
【0138】
VDAC=VIN+((1-4)/7.5)Cu×VREF
・・・(21)
【0139】
このように、デジタルアナログ変換器100は、アナログ信号VDACの電圧値を出力させるときに容量C2を用いた第2のオフセット調整をする場合、デジタル信号Dの値に応じたアナログ信号VDACの電圧値に、オフセット値=(4/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算して、それぞれの出力レベルのアナログ信号VDACに対してオフセット調整をする。
【0140】
なお、デジタルアナログ変換器100が容量C2を用いた第2のオフセット調整をした場合でも、図6の(b)に示したように、出力するアナログ信号VDACの電圧値の変化幅(前後の出力レベルのアナログ信号VDACの電圧値の差)は、図2に示したゲインが1倍の場合と同様の(1/7.5)Cu×VREFである。また、デジタルアナログ変換器100が容量C2を用いた第2のオフセット調整をした場合でも、図6の(b)に示したように、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)は、図2に示したゲインが1倍の場合と同様の(7/7.5)Cu×VREFである。
【0141】
図7は、本発明のデジタルアナログ変換器100が出力する信号(第2のオフセット調整をしたアナログ信号VDAC)のさらに別の電圧値を示した図である。図7には、デジタルアナログ変換器100が、容量C1をオフセット調整容量として用いて第2のオフセット調整をしたアナログ信号VDACを出力する場合の一例を示している。図7の(a)には、デジタルアナログ変換器100が、容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれの容量Cに入力信号VINの電圧値をサンプリングさせる際に制御されるそれぞれのデジタル信号Dの値を示している。また、図7の(b)には、デジタルアナログ変換器100が、容量C1をオフセット調整容量として用いて第2のオフセット調整をしたときのアナログ信号VDACの電圧値を示している。図7の(b)においても、図2および図3に示したアナログ信号VDACをゲイン調整して出力する場合と同様に、デジタルアナログ変換器100が出力する3ビットの分解能のアナログ信号VDACを、出力レベル0~出力レベル7までの8つの出力レベルとし、デジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1の値と対応付けて、アナログ信号VDACの電圧値を示している。この場合もデジタル信号DSは、スイッチSWSの開放状態(オフ状態)を維持するために、入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとの接続が切られた開放状態(オフ状態)に制御したまま変更せずに固定する(保持する)値である。従って、図7の(b)においても、図2および図3に示したアナログ信号VDACをゲイン調整して出力する場合と同様に、固定の値のデジタル信号DSの明示を省略している。
【0142】
デジタルアナログ変換器100では、容量C1をオフセット調整容量として用いてアナログ信号VDACに対して第2のオフセット調整をする際に、それぞれのデジタル信号Dの値を図7の(a)に示した値にすることによって、上述したように、容量C1の第2の端子を参照電圧VREFのノードに接続した状態で入力信号VINの電圧値をサンプリングさせる。
【0143】
その後、デジタルアナログ変換器100では、出力するアナログ信号VDACに対して、容量C1を用いたオフセット値=(2/7.5)Cu×VREFの電圧値の第2のオフセット調整をする。これにより、デジタルアナログ変換器100では、図7の(b)に示した電圧値のアナログ信号VDACを出力する。つまり、デジタルアナログ変換器100は、8つの出力レベルのそれぞれのアナログ信号VDACにおいて、オフセット値=(2/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算する第2のオフセット調整をしたアナログ信号VDACを出力する。
【0144】
例えば、デジタルアナログ変換器100では、デジタル信号Dの値が“001”のとき、容量C1をオフセット調整容量として用いて、オフセット値=(2/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算した第2のオフセット調整をする。この場合、デジタルアナログ変換器100は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C0の容量値(=1Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(1/7.5)Cu×VREF)を加算し、さらにオフセット値=(2/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算して、第2のオフセット調整をした出力レベル1のアナログ信号VDACとして出力する。
【0145】
このときデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(22)で表される。
【0146】
VDAC=VIN+((1-2)/7.5)Cu×VREF
・・・(22)
【0147】
このように、デジタルアナログ変換器100は、アナログ信号VDACの電圧値を出力させるときに容量C1を用いた第2のオフセット調整をする場合、デジタル信号Dの値に応じたアナログ信号VDACの電圧値に、オフセット値=(2/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算して、それぞれの出力レベルのアナログ信号VDACに対してオフセット調整をする。
【0148】
なお、デジタルアナログ変換器100が容量C1を用いた第2のオフセット調整をした場合でも、図7の(b)に示したように、出力するアナログ信号VDACの電圧値の変化幅(前後の出力レベルのアナログ信号VDACの電圧値の差)は、図2に示したゲインが1倍の場合と同様の(1/7.5)Cu×VREFである。また、デジタルアナログ変換器100が容量C1を用いた第2のオフセット調整をした場合でも、図7の(b)に示したように、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)は、図2に示したゲインが1倍の場合と同様の(7/7.5)Cu×VREFである。
【0149】
なお、上述したデジタルアナログ変換器100における第2のオフセット調整では、容量部110に備えたいずれか1つの容量Cをオフセット調整容量として用いてオフセット値の電圧値を減算する場合について説明した。しかし、デジタルアナログ変換器100が第2のオフセット調整で用いる容量Cは、容量部110に備えたいずれか1つの容量Cに限定されるものではなく、容量部110に備えた複数の容量Cをオフセット調整容量として用いて第2のオフセット調整をすることができる。なお、この場合のデジタルアナログ変換器100の動作は、上述した第2のオフセット調整をする場合の動作と同様に考えることによって容易に考えることができる。従って、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACに対して容量部110に備えた複数の容量Cをオフセット調整容量として用いて第2のオフセット調整をする動作に関する詳細な説明は省略する。
【0150】
また、デジタルアナログ変換器100におけるオフセット調整では、第1のオフセット調整の方法と第2のオフセット調整の方法とを別々に説明した。しかし、デジタルアナログ変換器100では、第1のオフセット調整と第2のオフセット調整とを同時に行う、つまり、第1のオフセット調整と第2のオフセット調整と合わせたオフセット調整をすることもできる。例えば、デジタルアナログ変換器100では、図6に示した容量C2をオフセット調整容量として用いた第2のオフセット調整をする際に、図4に示した容量CA1をオフセット調整容量として用いた第1のオフセット調整と同様に、デジタル信号DA1の値を“1”に固定(保持)してもよい。この場合、デジタルアナログ変換器100では、オフセット値=(4/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算する第2のオフセット調整と、オフセット値=(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値を加算する第1のオフセット調整とを合わせたオフセット調整をすることができる。つまり、デジタルアナログ変換器100では、8つの出力レベルのそれぞれのアナログ信号VDACにおいて、オフセット値=((4-0.5)/7.5)Cu×VREF=(3.5/7.5)Cu×VREFの電圧値を減算するオフセット調整をしたアナログ信号VDACを出力することができる。なお、この場合のデジタルアナログ変換器100の動作は、上述した第1のオフセット調整をする場合の動作と、上述した第2のオフセット調整をする場合の動作とを合わせることによって容易に考えることができる。従って、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACに対して第1のオフセット調整と第2のオフセット調整と合わせたオフセット調整をする際の動作に関する詳細な説明は省略する。
【0151】
このように、デジタルアナログ変換器100では、容量部110に備えた容量Cをオフセット調整容量として用いて、ゲインを1倍または1/2倍に調整して出力する3ビットの分解能のアナログ信号VDACの電圧値にオフセットをもたせることができる。これにより、デジタルアナログ変換器100では、ゲイン調整にさらにオフセット調整をした複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号VDACを、形成するために要する面積の増大を抑えて実現することができる。
【0152】
なお、上述したデジタルアナログ変換器100では、出力するアナログ信号VDACが3ビットの分解能のアナログ信号である構成について説明した。しかし、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの分解能は、3ビットに限定されるものではない。そして、例えば、さらに多くのビット数の分解能のデジタルアナログ変換器においても、上述したデジタルアナログ変換器100の構成や動作の考え方を適用することによって、その構成や動作を容易に考えることができる。従って、さらに多くのビット数の分解能のデジタルアナログ変換器の構成や動作に関する詳細な説明は省略する。
【0153】
また、上述したデジタルアナログ変換器100では、高電位側の参照電圧VREFと、低電位側の参照電圧VREF(図1においては、接地(グラウンド:GND))との2種類の参照電圧VREFとを用いてアナログ信号VDACを出力する構成について説明した。しかし、デジタルアナログ変換器100においては、アナログ信号VDACを出力するために用いる参照電圧VREFの数や種類などに関しては、特に規定しない。例えば、デジタルアナログ変換器100は、3種類の参照電圧VREFを用いて、入力信号VINの電圧値をサンプリングするときと、アナログ信号VDACの電圧値を生成するときとで、異なる参照電圧VREFを用いる構成であってもよい。この場合、デジタルアナログ変換器100に備えたスイッチ部120は、それぞれのスイッチSWによって、対応する容量Cに接続する参照電圧VREFのノードを、入力信号VINの電圧値をサンプリングするときと、アナログ信号VDACの電圧値を生成するときとで、異ならせる。
【0154】
また、上述したデジタルアナログ変換器100では、ゲインを1倍または1/2倍に調整したアナログ信号VDACを出力する構成について説明した。しかし、本発明のデジタルアナログ変換器におけるゲイン調整は、上述した1倍または1/2倍に限定されるものではなく、出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)をさらに1/k倍(k=2以上の2の乗数)までゲイン調整したアナログ信号VDACを出力する構成にすることもできる。
【0155】
(デジタルアナログ変換器の第1の変形例)
ここで、出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)を1/k倍(k=2以上の2の乗数)までゲイン調整する構成のデジタルアナログ変換器の一例として、k=4とした場合のデジタルアナログ変換器について説明する。つまり、電圧値の範囲(出力振幅)を1/4倍までゲイン調整したアナログ信号VDACを出力する構成のデジタルアナログ変換器について説明する。
【0156】
図8は、本発明のデジタルアナログ変換器の第1の変形例の構成の一例を示したブロック図である。図8に示したデジタルアナログ変換器101は、入力された入力信号VINと参照電圧VREFとに基づいた3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力するデジタルアナログ変換器である。デジタルアナログ変換器101は、2進数の重み付けがされた複数の容量Cを備える容量部111と、容量部111に備えたそれぞれの容量Cに対応する複数のスイッチSWを含むスイッチ部121とを備えている。デジタルアナログ変換器101は、外部の制御回路から入力されたデジタル信号D(デジタル信号D0~デジタル信号D2、デジタル信号DA1、およびデジタル信号DA2)に応じて、ゲインを1倍、1/2倍、または1/4倍に調整し、予め定めた倍数にゲイン調整した参照電圧VREFの電圧値を入力信号VINの電圧値に加減算してアナログ信号VDACとして出力する。
【0157】
容量部111は、容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2を備える。スイッチ部121は、スイッチSWS、スイッチSW0~スイッチSW2、スイッチSWA1、およびスイッチSWA2を備える。スイッチSW0~スイッチSW2、スイッチSWA1、およびスイッチSWA2は、容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2のそれぞれに対応する。より具体的には、スイッチSW0は、容量C0に対応する。スイッチSW1は、容量C1に対応する。スイッチSW2は、容量C2に対応する。スイッチSWA1は、容量CA1に対応する。スイッチSWA2は、容量CA2に対応する。なお、容量部111に備えた容量CA1および容量CA2と、スイッチ部121に備えたスイッチSWA1およびスイッチSWA2とは、デジタルアナログ変換器101において出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整するために追加された容量およびスイッチである。
【0158】
なお、図8に示したデジタルアナログ変換器101の構成要素には、図1に示したデジタルアナログ変換器100の構成要素と同様の構成要素も含まれている。従って、デジタルアナログ変換器101の構成要素において、デジタルアナログ変換器100の構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。
【0159】
容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれは、デジタルアナログ変換器100内の容量部110に備えた容量C0~容量C2および容量CA1のそれぞれと同様に接続されている。また、容量CA2の第1の端子も、デジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACのノードに並列に接続されている。また、容量CA2の第2の端子は、スイッチ部121内の対応するスイッチSWA2の第1の端子に接続されている。容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2のそれぞれの容量Cは容量値によって、2進数の重み付けがされている。より具体的には、容量C0の容量値を1倍とした場合、容量C1および容量C2のそれぞれの容量値は、2倍、4倍である。また、容量CA1および容量CA2の容量値は、1/2倍、1/4倍である。なお、容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2のそれぞれの容量Cの容量値の重み付けは、2進数以外であってもよい。
【0160】
従って、容量C0の容量値を基準の1Cuとすると、容量C1の容量値は2Cuであり、容量C2の容量値は4Cuである。また、容量CA1の容量値は0.5Cuであり、容量CA2の容量値は0.25Cuである。容量部111に備えた全ての容量Cの容量値の合計(容量部111の全体の容量値)は、7.75Cuである。
【0161】
スイッチSWS、スイッチSW0~スイッチSW2、およびスイッチSWA1のそれぞれは、デジタルアナログ変換器100内のスイッチ部120に備えたスイッチSWS、スイッチSW0~スイッチSW2、およびスイッチSWA1のそれぞれと同様の機能であり、同様に接続されている。また、スイッチSWA2は、容量部111内の対応する容量CA2の第2の端子を、参照電圧VREFの高電位側のノードおよび低電位側のノードのいずれか一方のノードに接続(短絡)するスイッチである。図8においても、図1と同様に、参照電圧VREFの高電位側のノードが参照電圧VREFの高電位の入力端子に接続されるノードであり、低電位側のノードが接地(グラウンド:GND)電位のノードである場合を示している。
【0162】
スイッチSWA2の第1の端子は、対応する容量CA2の第2の端子に接続されている。スイッチSWA2の第2の端子は、参照電圧VREFのノードに接続されている。スイッチSWA2の第3の端子は、接地電位のノードに接続されている。スイッチSWA2の制御端子は、スイッチSWA2を制御する制御信号であるデジタル信号DA2の入力端子に接続されている。スイッチSWA2は、対応するデジタル信号DA2に応じて、第1の端子に接続するノードを、参照電圧VREFおよび接地電位のいずれか一方のノードに切り替える。つまり、スイッチSWA2は、対応するデジタル信号DA2に応じて、対応する容量CA2の第2の端子を、参照電圧VREFおよび接地電位のいずれか一方のノードに接続する。
【0163】
なお、デジタルアナログ変換器101がアナログ信号VDACを出力する際の動作は、ゲインを1/4倍に調整する動作がある以外は、基本的にデジタルアナログ変換器100の動作と同様である。つまり、デジタルアナログ変換器101においても、デジタルアナログ変換器100と同様に、まず、容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2の全ての容量Cに、入力信号VINの電圧値をサンプリングする。その後、デジタルアナログ変換器101においても、デジタルアナログ変換器100と同様に、容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2の全ての容量Cの容量値の合計と、参照電圧VREFに接続された容量Cの容量値の合計との比に応じた倍数の参照電圧VREFの電圧値を、サンプリングした入力信号VINの電圧値に加算した電圧値のアナログ信号VDACを出力する。従って、デジタルアナログ変換器101が入力信号VINの電圧値をサンプリングする動作、およびデジタルアナログ変換器101がアナログ信号VDACを出力する動作に関する詳細な説明は省略する。
【0164】
デジタルアナログ変換器101でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、容量部111に備えた容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2のうち、3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する。より具体的には、デジタルアナログ変換器101も、デジタルアナログ変換器100と同様に、ゲイン1倍で3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する場合、容量C0~容量C2の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、入力信号VINの電圧値に参照電圧VREFの(0/7.75)Cu~(7/7.75)Cu倍の電圧値を加算した8つの電圧値(出力レベル)のアナログ信号VDACを出力する。また、デジタルアナログ変換器101でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、ゲイン1/2倍で3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する場合、容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、入力信号VINの電圧値に参照電圧VREFの(0/7.75)Cu~(3.5/7.75)Cu倍の電圧値を加算した8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。また、デジタルアナログ変換器101は、ゲイン1/4倍で3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する場合、容量C0、容量CA1、および容量CA2の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、入力信号VINの電圧値に参照電圧VREFの(0/7.75)Cu~(1.75/7.75)Cu倍の電圧値を加算した8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。
【0165】
なお、デジタルアナログ変換器101は、容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2の全ての容量Cを電圧値生成容量として用いて、ゲイン3/4倍で3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力することもできる。この場合、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値に参照電圧VREFの(0/7.75)Cu~(5.25/7.75)Cu倍の電圧値を加算した8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。
【0166】
ここで、デジタルアナログ変換器101に入力されるデジタル信号Dとデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACとの関係について説明する。図9図12は、本発明の第1の変形例のデジタルアナログ変換器101が出力する信号(アナログ信号VDAC)の電圧値を示した図である。図9には、ゲインを1倍に調整したときのデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値を示している。また、図10には、ゲインを1/2倍に調整したときのデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値を示している。また、図11には、ゲインを1/4倍に調整したときのデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値を示している。また、図12には、ゲインを3/4倍に調整したときのデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値を示している。図9図12では、デジタルアナログ変換器101が出力する3ビットの分解能のアナログ信号VDACを、出力レベル0~出力レベル7までの8つの出力レベルとし、デジタル信号D0~デジタル信号D2、デジタル信号DA1、およびデジタル信号DA2の値と対応付けて、アナログ信号VDACの電圧値を示している。
【0167】
なお、デジタルアナログ変換器101においても、デジタル信号DSは、スイッチ部121に備えたスイッチSWSを制御して、容量部111に備えた容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2のそれぞれに入力信号VINの電圧値をサンプリングさせるためのデジタル信号Dである。このため、デジタルアナログ変換器101においても、デジタル信号DSは、デジタルアナログ変換器101が、容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2の全ての容量Cの容量値の合計と、参照電圧VREFに接続された容量Cの容量値の合計との比に応じた倍数の参照電圧VREFの電圧値をサンプリングした入力信号VINの電圧値に加算した電圧値のアナログ信号VDACを出力する際には、スイッチSWSの開放状態(オフ状態)を維持する。すなわち、デジタルアナログ変換器101においても、デジタル信号DSは、入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとの接続が切られた開放状態(オフ状態)に制御したまま変更せずに固定する(保持する)値である。従って、図9図12でも、固定の値のデジタル信号DSの明示を省略している。
【0168】
以下の説明においても、容量部111に備えた容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2のそれぞれには、入力信号VINの電圧値がサンプリングされているものとして説明する。そして、図9図12でも、スイッチSW0~スイッチSW2、スイッチSWA1、およびスイッチSWA2におけるそれぞれの第1の端子に接続するノードが、対応するデジタル信号D0~デジタル信号D2、デジタル信号DA1、およびデジタル信号DA2の値が“0”である場合に接地電位のノードに切り替えられ、“1”である場合に参照電圧VREFのノードに切り替えられるものとする。
【0169】
まず、図9を用いて、デジタルアナログ変換器101がゲインを1倍に調整したときにおける、デジタル信号Dとアナログ信号VDACとの関係について説明する。上述したように、デジタルアナログ変換器101がゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが1倍の場合、容量部111に備えた容量C0~容量C2の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する。このため、デジタルアナログ変換器101では、デジタル信号D0~デジタル信号D2の値が制御され、デジタル信号DA1およびデジタル信号DA2の値が“0”に固定(保持)される。そして、デジタルアナログ変換器101では、ゲインが1倍のときに用いる容量C0~容量C2の3つの容量Cに対応するデジタル信号D0~デジタル信号D2の値(3ビットのデジタル信号Dの値)に応じて、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。図9の説明においても、図2に示したゲインが1倍の場合におけるデジタルアナログ変換器100と同様の考え方に基づいて、容量C0~容量C2の3つの容量Cに対応する3ビットのデジタル信号Dのバイナリコードで、デジタル信号D0~デジタル信号D2のそれぞれの値、すなわち、スイッチSW0~スイッチSW2のそれぞれの第1の端子に接続するノードを表す。なお、図9の説明においても、図2に示したゲインが1倍の場合におけるデジタルアナログ変換器100と同様に、容量C0~容量C2の3つの容量Cの中で最も大きな容量値(=4Cu)の容量C2に対応するデジタル信号D2の値を最上位ビット(MSB)とし、最も小さな容量値(=1Cu)の容量C0に対応するデジタル信号D0の値を最下位ビット(LSB)とする。
【0170】
デジタルアナログ変換器101でも、デジタル信号D(デジタル信号D2、デジタル信号D1、およびデジタル信号D0)の値が“000”のとき、スイッチSW2~スイッチSW0のそれぞれの第1の端子が、接地電位のノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101も、図9に示したように、容量部111に備えた容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2の全ての容量Cにサンプリングされた入力信号VINの電圧値(=VIN)を、出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。
【0171】
また、デジタルアナログ変換器101でも、デジタル信号Dの値が“001”のとき、スイッチSW2およびスイッチSW1のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW0の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、容量部111に備えた全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、容量C2~容量C0の3つの容量Cの内で参照電圧VREFに接続された容量C0の容量値(=1Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(1/7.75)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル1のアナログ信号VDACとして出力する。
【0172】
このときデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(23)で表される。
【0173】
VDAC=VIN+(1/7.75)Cu×VREF
・・・(23)
【0174】
同様に、デジタルアナログ変換器101では、図9に示したように、デジタル信号Dの値に応じて、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量Cの合計の容量値との比に応じた参照電圧VREFの電圧値を加算した電圧値を、それぞれの出力レベルのアナログ信号VDACとして出力する。
【0175】
そして、デジタルアナログ変換器101でも、デジタル信号Dの値が“111”のとき、スイッチSW2~スイッチSW0のそれぞれの第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C2~容量C0の合計の容量値(=7Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(7/7.75)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル7のアナログ信号VDACとして出力する。
【0176】
このときデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(24)で表される。
【0177】
VDAC=VIN+(7/7.75)Cu×VREF
・・・(24)
【0178】
このように、デジタルアナログ変換器101では、ゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが1倍の場合、入力されたデジタル信号D2~デジタル信号D0の値に応じて、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、参照電圧VREFの(0/7.75)Cu~(7/7.75)Cu倍の電圧値を加算した、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。ここで、デジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値の変化幅(前後の出力レベルのアナログ信号VDACの電圧値の差)は、図9に示したように、(1/7.75)Cu×VREFである。また、デジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)は、(7/7.75)Cu×VREFである。
【0179】
続いて、図10を用いて、デジタルアナログ変換器101がゲインを1/2倍に調整したときにおける、デジタル信号Dとアナログ信号VDACとの関係について説明する。上述したように、デジタルアナログ変換器101がゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが1/2倍の場合、容量部111に備えた容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する。このため、デジタルアナログ変換器101では、デジタル信号D0~デジタル信号D1およびデジタル信号DA1の値が制御され、デジタル信号D2およびデジタル信号DA2の値が“0”に固定(保持)される。そして、デジタルアナログ変換器101では、ゲインが1/2倍のときに用いる容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cに対応するデジタル信号D0~デジタル信号D1、およびデジタル信号DA1の値(3ビットのデジタル信号Dの値)に応じて、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。図10の説明においても、図9に示したゲインが1倍の場合と同様の考え方に基づいて、容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cに対応する3ビットのデジタル信号Dのバイナリコードで、デジタル信号D0~デジタル信号D1およびデジタル信号DA1のそれぞれの値、すなわち、スイッチSW0~スイッチSW1およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子に接続するノードを表す。なお、図10の説明においては、図3に示したゲインが1/2倍の場合におけるデジタルアナログ変換器100と同様に、容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cの中で最も大きな容量値(=2Cu)の容量C1に対応するデジタル信号D1の値を最上位ビット(MSB)とし、最も小さな容量値(=0.5Cu)の容量CA1に対応するデジタル信号DA1の値を最下位ビット(LSB)とする。
【0180】
デジタルアナログ変換器101でも、デジタル信号D(デジタル信号D1、デジタル信号D0、およびデジタル信号DA1)の値が“000”のとき、スイッチSW1、スイッチSW0、およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子が、接地電位のノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101も、図10に示したように、容量部111に備えた容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2の全ての容量Cにサンプリングされた入力信号VINの電圧値(=VIN)を、出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。すなわち、デジタルアナログ変換器101でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整するゲインに関わらず、入力信号VINの電圧値(=VIN)を、出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。
【0181】
また、デジタルアナログ変換器101でも、デジタル信号Dの値が“001”のとき、スイッチSW1およびスイッチSW0のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSWA1の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、容量C1、容量C0、および容量CA1の3つの容量Cの内で参照電圧VREFに接続された容量CA1の容量値(=0.5Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(0.5/7.75)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル1のアナログ信号VDACとして出力する。
【0182】
このときデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(25)で表される。
【0183】
VDAC=VIN+(0.5/7.75)Cu×VREF
・・・(25)
【0184】
同様に、デジタルアナログ変換器101では、図10に示したように、デジタル信号Dの値に応じて、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量Cの合計の容量値との比に応じた参照電圧VREFの電圧値を加算した電圧値を、それぞれの出力レベルのアナログ信号VDACとして出力する。
【0185】
そして、デジタルアナログ変換器101でも、デジタル信号Dの値が“111”のとき、スイッチSW1、スイッチSW0、およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C1、容量C0、および容量CA1の合計の容量値(=3.5Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(3.5/7.75)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル7のアナログ信号VDACとして出力する。
【0186】
このときデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(26)で表される。
【0187】
VDAC=VIN+(3.5/7.75)Cu×VREF
・・・(26)
【0188】
このように、デジタルアナログ変換器101は、ゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが1/2倍の場合、入力されたデジタル信号D0~デジタル信号D1およびデジタル信号DA1の値に応じて、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、参照電圧VREFの(0/7.75)Cu~(3.5/7.75)Cu倍の電圧値を加算した、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。ここで、デジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値の変化幅(前後の出力レベルのアナログ信号VDACの電圧値の差)は、図10に示したように、(0.5/7.75)Cu×VREFである。また、デジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)は、(3.5/7.75)Cu×VREFである。
【0189】
続いて、図11を用いて、デジタルアナログ変換器101がゲインを1/4倍に調整したときにおける、デジタル信号Dとアナログ信号VDACとの関係について説明する。上述したように、デジタルアナログ変換器101がゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが1/4倍の場合、容量部111に備えた容量C0、容量CA1、および容量CA2の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する。このため、デジタルアナログ変換器101では、デジタル信号D0、デジタル信号DA1、およびデジタル信号DA2の値が制御され、デジタル信号D2およびデジタル信号D1の値が“0”に固定(保持)される。そして、デジタルアナログ変換器101では、ゲインが1/4倍のときに用いる容量C0、容量CA1、および容量CA2の3つの容量Cに対応するデジタル信号D0、デジタル信号DA1、およびデジタル信号DA2の値(3ビットのデジタル信号Dの値)に応じて、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。図11の説明においても、図9に示したゲインが1倍の場合や図10に示したゲインが1/2倍の場合と同様の考え方に基づいて、容量C0、容量CA1、および容量CA2の3つの容量Cに対応する3ビットのデジタル信号Dのバイナリコードで、デジタル信号D0、デジタル信号DA1、およびデジタル信号DA2のそれぞれの値、すなわち、スイッチSW0、スイッチSWA1、およびスイッチSWA2のそれぞれの第1の端子に接続するノードを表す。なお、図11の説明においては、容量C0、容量CA1、および容量CA2の3つの容量Cの中で最も大きな容量値(=1Cu)の容量C0に対応するデジタル信号D0の値を最上位ビット(MSB)とし、最も小さな容量値(=0.25Cu)の容量CA2に対応するデジタル信号DA2の値を最下位ビット(LSB)とする。
【0190】
デジタルアナログ変換器101でも、デジタル信号D(デジタル信号D0、デジタル信号DA1、およびデジタル信号DA2)の値が“000”のとき、スイッチSW0、スイッチSWA1、およびスイッチSWA2のそれぞれの第1の端子が、接地電位のノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101も、図11に示したように、容量部111に備えた容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2の全ての容量Cにサンプリングされた入力信号VINの電圧値(=VIN)を、出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。すなわち、デジタルアナログ変換器101は、上述したように、出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整するゲインに関わらず、入力信号VINの電圧値(=VIN)を、出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。
【0191】
また、デジタルアナログ変換器101では、デジタル信号Dの値が“001”のとき、スイッチSW0およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSWA2の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、容量C0、容量CA1、および容量CA2の3つの容量Cの内で参照電圧VREFに接続された容量CA2の容量値(=0.25Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(0.25/7.75)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル1のアナログ信号VDACとして出力する。
【0192】
このときデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(27)で表される。
【0193】
VDAC=VIN+(0.25/7.75)Cu×VREF
・・・(27)
【0194】
また、デジタルアナログ変換器101では、デジタル信号Dの値が“010”のとき、スイッチSW0およびスイッチSWA2のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSWA1の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量CA1の容量値(=0.5Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(0.5/7.75)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル2のアナログ信号VDACとして出力する。
【0195】
このときデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(28)で表される。
【0196】
VDAC=VIN+(0.5/7.75)Cu×VREF
・・・(28)
【0197】
同様に、デジタルアナログ変換器101では、図11に示したように、デジタル信号Dの値に応じて、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量Cの合計の容量値との比に応じた参照電圧VREFの電圧値を加算した電圧値を、それぞれの出力レベルのアナログ信号VDACとして出力する。
【0198】
そして、デジタルアナログ変換器101では、デジタル信号Dの値が“111”のとき、スイッチSW0、スイッチSWA1、およびスイッチSWA2のそれぞれの第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C0、容量CA1、および容量CA2の合計の容量値(=1.75Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(1.75/7.75)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル7のアナログ信号VDACとして出力する。
【0199】
このときデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(29)で表される。
【0200】
VDAC=VIN+(1.75/7.75)Cu×VREF
・・・(29)
【0201】
このように、デジタルアナログ変換器101は、ゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが1/4倍の場合、入力されたデジタル信号D0、デジタル信号DA1、およびデジタル信号DA2の値に応じて、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、参照電圧VREFの(0/7.75)Cu~(1.75/7.75)Cu倍の電圧値を加算した、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。ここで、デジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値の変化幅(前後の出力レベルのアナログ信号VDACの電圧値の差)は、図11に示したように、(0.25/7.75)Cu×VREFである。また、デジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)は、(1.75/7.75)Cu×VREFである。
【0202】
続いて、図12を用いて、デジタルアナログ変換器101がゲインを3/4倍に調整したときにおける、デジタル信号Dとアナログ信号VDACとの関係について説明する。上述したように、デジタルアナログ変換器101がゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが3/4倍の場合、容量部111に備えた容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2の全ての容量Cを電圧値生成容量として用いて、3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する。このため、デジタルアナログ変換器101では、デジタル信号D0~デジタル信号D2、デジタル信号DA1、およびデジタル信号DA2の値が制御される。そして、デジタルアナログ変換器101では、ゲインが3/4倍のときに用いる容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2の全ての容量Cに対応するデジタル信号D0~デジタル信号D2、デジタル信号DA1、およびデジタル信号DA2の値(5ビットのデジタル信号Dの値)に応じて、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。図12の説明においても、図9図11に示したそれぞれのゲイン値の場合と同様の考え方に基づいて、容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2の全ての容量Cに対応する5ビットのデジタル信号Dのバイナリコードで、デジタル信号D0~デジタル信号D2、デジタル信号DA1、およびデジタル信号DA2のそれぞれの値、すなわち、スイッチSW0~スイッチSW2、スイッチSWA1、およびスイッチSWA2のそれぞれの第1の端子に接続するノードを表す。なお、図12の説明においては、容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2の全ての容量Cの中で最も大きな容量値(=4Cu)の容量C2に対応するデジタル信号D2の値を最上位ビット(MSB)とし、最も小さな容量値(=0.25Cu)の容量CA2に対応するデジタル信号DA2の値を最下位ビット(LSB)とする。
【0203】
デジタルアナログ変換器101では、デジタル信号D(デジタル信号D2、デジタル信号D1、デジタル信号D0、デジタル信号DA1、およびデジタル信号DA2)の値が“00000”のとき、スイッチSW2~スイッチSW0、スイッチSWA1、およびスイッチSWA2のそれぞれの第1の端子が、接地電位のノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、図12に示したように、容量部111に備えた容量C0~容量C2、容量CA1、および容量CA2の全ての容量Cにサンプリングされた入力信号VINの電圧値(=VIN)を、出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。すなわち、デジタルアナログ変換器101は、上述したように、出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整するゲインに関わらず、入力信号VINの電圧値(=VIN)を、出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。
【0204】
また、デジタルアナログ変換器101では、デジタル信号Dの値が“00011”のとき、スイッチSW2、スイッチSW1、およびスイッチSW0のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSWA1およびスイッチSWA2の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量CA1および容量CA2の合計の容量値(=0.75Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(0.75/7.75)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル1のアナログ信号VDACとして出力する。
【0205】
このときデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(30)で表される。
【0206】
VDAC=VIN+(0.75/7.75)Cu×VREF
・・・(30)
【0207】
また、デジタルアナログ変換器101では、デジタル信号Dの値が“00110”のとき、スイッチSW2、スイッチSW1、およびスイッチSWA2のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW0およびスイッチSWA1の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C0および容量CA1の合計の容量値(=1.5Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(1.5/7.75)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル2のアナログ信号VDACとして出力する。
【0208】
このときデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(31)で表される。
【0209】
VDAC=VIN+(1.5/7.75)Cu×VREF
・・・(31)
【0210】
また、デジタルアナログ変換器101では、デジタル信号Dの値が“01001”のとき、スイッチSW2、スイッチSW0、およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW1およびスイッチSWA2の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C1および容量CA2の合計の容量値(=2.25Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(2.25/7.75)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル3のアナログ信号VDACとして出力する。
【0211】
このときデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(32)で表される。
【0212】
VDAC=VIN+(2.25/7.75)Cu×VREF
・・・(32)
【0213】
また、デジタルアナログ変換器101では、デジタル信号Dの値が“01100”のとき、スイッチSW2、スイッチSWA1、およびスイッチSWA2のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW1およびスイッチSW0の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C1および容量C0の合計の容量値(=3Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(3/7.75)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル4のアナログ信号VDACとして出力する。
【0214】
このときデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(33)で表される。
【0215】
VDAC=VIN+(3/7.75)Cu×VREF
・・・(33)
【0216】
また、デジタルアナログ変換器101では、デジタル信号Dの値が“01111”のとき、スイッチSW2の第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW1、スイッチSW0、スイッチSWA1、およびスイッチSWA2のそれぞれの第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C1、容量C0、容量CA1、および容量CA2の合計の容量値(=3.75Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(3.75/7.75)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル5のアナログ信号VDACとして出力する。
【0217】
このときデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(34)で表される。
【0218】
VDAC=VIN+(3.75/7.75)Cu×VREF
・・・(34)
【0219】
また、デジタルアナログ変換器101では、デジタル信号Dの値が“10010”のとき、スイッチSW1、スイッチSW0、およびスイッチSWA2のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW2およびスイッチSWA1の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C2および容量CA1の合計の容量値(=4.5Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(4.5/7.75)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル6のアナログ信号VDACとして出力する。
【0220】
このときデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(35)で表される。
【0221】
VDAC=VIN+(4.5/7.75)Cu×VREF
・・・(35)
【0222】
また、デジタルアナログ変換器101では、デジタル信号Dの値が“10101”のとき、スイッチSW1およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW2、スイッチSW0、およびスイッチSWA2の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.75Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C2、容量C0、および容量CA2の合計の容量値(=5.25Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(5.25/7.75)Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル7のアナログ信号VDACとして出力する。
【0223】
このときデジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(36)で表される。
【0224】
VDAC=VIN+(5.25/7.75)Cu×VREF
・・・(36)
【0225】
このように、デジタルアナログ変換器101は、ゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが3/4倍の場合、入力されたデジタル信号D0~デジタル信号D2、デジタル信号DA1、およびデジタル信号DA2の値に応じて、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、参照電圧VREFの(0/7.75)Cu~(5.25/7.75)Cu倍の電圧値を加算した、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。ここで、デジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値の変化幅(前後の出力レベルのアナログ信号VDACの電圧値の差)は、図12に示したように、(0.75/7.75)Cu×VREFである。また、デジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)は、(5.25/7.75)Cu×VREFである。
【0226】
このように、デジタルアナログ変換器101では、容量部111に容量CA1および容量CA2を追加し、スイッチ部121にスイッチSWA1およびスイッチSWA2を追加することによって、出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)をゲイン調整する構成にする。そして、デジタルアナログ変換器101では、容量部111に備えた容量C2~容量C0、容量CA1、および容量CA2の5つの容量Cのうち、3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、ゲインを1倍、1/2倍、または1/4倍に調整した3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する。さらに、デジタルアナログ変換器101では、容量部111に備えたそれぞれの容量Cを電圧値生成容量として用いて、ゲインを3/4倍に調整した3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する。つまり、デジタルアナログ変換器101では、容量部111に備えたそれぞれの容量Cを、入力信号VINの電圧値をサンプリングした後に対応するスイッチSWの切り替えに応じて3ビットの分解能で出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整するための容量Cとして用いる。しかも、デジタルアナログ変換器101では、出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整するために追加する容量C(容量CA1および容量CA2)の容量値は、ゲインが1倍である場合において最も小さな容量値の容量Cよりも小さい容量値である。また、デジタルアナログ変換器101では、出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整するために追加するスイッチSW(スイッチSWA1およびスイッチSWA2)は、スイッチ部121に備えた参照電圧VREFの切り替えに用いる他のスイッチSW(スイッチSW0~スイッチSW2)と同様の構成である。言い換えれば、デジタルアナログ変換器101において追加するスイッチSW(スイッチSWA1およびスイッチSWA2)は、特別な性能を実現する構成のスイッチSWではない。つまり、デジタルアナログ変換器101では、ゲインを1倍~1/4倍までに調整した複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号VDACを出力する構成であるにもかかわらず、容量CA1および容量CA2とスイッチSWA1およびスイッチSWA2とを追加するのみである。すなわち、デジタルアナログ変換器101は、高い分解能のアナログ信号VDACを出力する構成に適用するほど、より少ない構成要素の追加のみで実現することができる。従って、デジタルアナログ変換器101では、デジタルアナログ変換器101を形成するために要する面積の増大を抑えることができる。
【0227】
なお、上述したデジタルアナログ変換器101がアナログ信号VDACを出力する際の動作では、容量部111に備えた全ての容量Cに入力信号VINの電圧値をサンプリングさせた後、入力信号VINの電圧値に、デジタル信号Dによって変更される容量部111に備えたそれぞれの容量Cの容量比に応じた倍数の参照電圧VREFの電圧値を加算した電圧値のアナログ信号VDACを出力する動作について説明した。しかしながら、デジタルアナログ変換器101でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、出力する3ビットの分解能のアナログ信号VDACに対してゲイン調整をするのみではなく、オフセット調整もすることができる。これにより、デジタルアナログ変換器101でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、ゲイン調整にさらにオフセット調整をした複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号VDACを、形成するために要する面積の増大を抑えて実現することができる。なお、デジタルアナログ変換器101が出力する3ビットの分解能のアナログ信号VDACに対してオフセット調整をする際の動作は、デジタルアナログ変換器100においてアナログ信号VDACに対してオフセット調整をする際の動作と同様に考えることができる。従って、デジタルアナログ変換器101がアナログ信号VDACに対してオフセット調整をする際の動作に関する詳細な説明は省略する。
【0228】
なお、上述したデジタルアナログ変換器101では、出力するアナログ信号VDACが3ビットの分解能のアナログ信号である構成について説明した。しかし、デジタルアナログ変換器101が出力するアナログ信号VDACの分解能は、デジタルアナログ変換器100と同様に、3ビットに限定されるものではない。そして、例えば、さらに多くのビット数の分解能のデジタルアナログ変換器においても、上述したデジタルアナログ変換器101の構成や動作の考え方を適用することによって、その構成や動作を容易に考えることができる。従って、さらに多くのビット数の分解能のデジタルアナログ変換器の構成や動作に関する詳細な説明は省略する。
【0229】
なお、デジタルアナログ変換器100およびデジタルアナログ変換器101では、追加した容量C(容量CA1や容量CA2)およびスイッチSW(スイッチSWA1やスイッチSWA2)によって、出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整する構成について説明した。しかし、本発明のデジタルアナログ変換器では、出力するアナログ信号VDACを、参照電圧VREFの電圧値の予め定めた割合だけ減衰させる構成にすることもできる。
【0230】
(デジタルアナログ変換器の第2の変形例)
ここで、出力するアナログ信号VDACを予め定めた割合だけ減衰させる構成のデジタルアナログ変換器の一例について説明する。図13は、本発明のデジタルアナログ変換器の第2の変形例の構成の一例を示したブロック図である。図13に示したデジタルアナログ変換器102は、入力された入力信号VINと参照電圧VREFとに基づいた3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力するデジタルアナログ変換器である。デジタルアナログ変換器102は、2進数の重み付けがされた複数の容量Cを備える容量部110と、容量部110に備えたそれぞれの容量Cに対応する複数のスイッチSWを含むスイッチ部120と、減衰容量CATとを備えている。デジタルアナログ変換器102は、デジタルアナログ変換器100と同様に、外部の制御回路から入力されたデジタル信号D(デジタル信号D0~デジタル信号D2、およびデジタル信号DA1)に応じて、ゲインを1倍または1/2倍に調整し、予め定めた倍数にゲイン調整した参照電圧VREFの電圧値を入力信号VINの電圧値に加減算してアナログ信号VDACとして出力する。
【0231】
なお、図13に示したデジタルアナログ変換器102の構成要素には、図1に示したデジタルアナログ変換器100の構成要素と同様の構成要素も含まれている。従って、デジタルアナログ変換器102の構成要素において、デジタルアナログ変換器100の構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。
【0232】
減衰容量CATは、デジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACを、予め定めた割合だけ減衰させるための容量である。減衰容量CATの第1の端子も、デジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACのノードに並列に接続されている。また、減衰容量CATの第2の端子は、参照電圧VREFの高電位側のノードおよび低電位側のノードのいずれか一方のノードに接続される。これにより、減衰容量CATは、デジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACを、減衰容量CATの容量値によって全体の容量値(合計の容量値)が増加する割合だけ減衰させる。図13においても、図1図8と同様に、参照電圧VREFの高電位側のノードが参照電圧VREFの高電位の入力端子に接続されるノードであり、低電位側のノードが接地(グラウンド:GND)電位のノードである場合を示している。そして、図13に示したデジタルアナログ変換器102では、減衰容量CATの第2の端子が、接地電位のノードに接続されている。減衰容量CATの容量値は、デジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACを予め定めた割合だけ減衰させるために必要な容量値である。以下の説明においては、減衰容量CATの容量値が、pCuであるものとする。
【0233】
従って、デジタルアナログ変換器102では、容量部110に備えた全ての容量Cの容量値の合計(容量部110の全体の容量値)の7.5Cuと、減衰容量CATの容量値のpCuとを合わせた容量値(=(7.5+p)Cu)が、デジタルアナログ変換器102における全体の容量値となる。
【0234】
なお、デジタルアナログ変換器102がアナログ信号VDACを出力する際の動作は、基本的にデジタルアナログ変換器100の動作と同様である。つまり、デジタルアナログ変換器102においても、デジタルアナログ変換器100と同様に、まず、容量C0~容量C2、容量CA1、および減衰容量CATの全ての容量Cに、入力信号VINの電圧値をサンプリングする。その後、デジタルアナログ変換器102においても、デジタルアナログ変換器100と同様に、デジタルアナログ変換器102における全体の容量値(容量C0~容量C2、容量CA1、および減衰容量CATの容量値の合計)と、参照電圧VREFに接続された容量Cの容量値の合計との比に応じた倍数の参照電圧VREFの電圧値を、サンプリングした入力信号VINの電圧値に加算した電圧値のアナログ信号VDACを出力する。従って、デジタルアナログ変換器102が入力信号VINの電圧値をサンプリングする動作、およびデジタルアナログ変換器102がアナログ信号VDACを出力する動作に関する詳細な説明は省略する。
【0235】
デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、容量部110に備えた容量C0~容量C2および容量CA1のうち、3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する。より具体的には、デジタルアナログ変換器102も、デジタルアナログ変換器100と同様に、ゲイン1倍で3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する場合、容量C0~容量C2の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、入力信号VINの電圧値に参照電圧VREFの(0/(7.5+p))Cu~(7/(7.5+p))Cu倍の電圧値を加算した8つの電圧値(出力レベル)のアナログ信号VDACを出力する。また、デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、ゲイン1/2倍で3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する場合、容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、入力信号VINの電圧値に参照電圧VREFの(0/(7.5+p))Cu~(3.5/(7.5+p))Cu倍の電圧値を加算した8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。
【0236】
ここで、デジタルアナログ変換器102に入力されるデジタル信号Dとデジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACとの関係について説明する。図14および図15は、本発明の第2の変形例のデジタルアナログ変換器102が出力する信号(アナログ信号VDAC)の電圧値を示した図である。図14には、ゲインを1倍に調整したときのデジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACの電圧値を示している。また、図15には、ゲインを1/2倍に調整したときのデジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACの電圧値を示している。図14および図15でも、デジタルアナログ変換器102が出力する3ビットの分解能のアナログ信号VDACを、出力レベル0~出力レベル7までの8つの出力レベルとし、デジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1の値と対応付けて、アナログ信号VDACの電圧値を示している。
【0237】
なお、デジタルアナログ変換器102においても、デジタル信号DSは、スイッチ部120に備えたスイッチSWSを制御して、容量部110に備えた容量C0~容量C2および容量CA1と、減衰容量CATとのそれぞれに入力信号VINの電圧値をサンプリングさせるためのデジタル信号Dである。このため、デジタルアナログ変換器102においても、デジタル信号DSは、デジタルアナログ変換器102が、デジタルアナログ変換器102における全体の容量値と、参照電圧VREFに接続された容量Cの容量値の合計との比に応じた倍数の参照電圧VREFの電圧値をサンプリングした入力信号VINの電圧値に加算した電圧値のアナログ信号VDACを出力する際には、スイッチSWSの開放状態(オフ状態)を維持する。すなわち、デジタルアナログ変換器102においても、デジタル信号DSは、入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとの接続が切られた開放状態(オフ状態)に制御したまま変更せずに固定する(保持する)値である。従って、図14および図15でも、固定の値のデジタル信号DSの明示を省略している。
【0238】
以下の説明においては、容量部110に備えた容量C0~容量C2および容量CA1と、減衰容量CATとのそれぞれに、入力信号VINの電圧値がサンプリングされているものとして説明する。そして、図14および図15でも、スイッチSW0~スイッチSW2およびスイッチSWA1におけるそれぞれの第1の端子に接続するノードが、対応するデジタル信号D0~デジタル信号D2およびデジタル信号DA1の値が“0”である場合に接地電位のノードに切り替えられ、“1”である場合に参照電圧VREFのノードに切り替えられるものとする。
【0239】
まず、図14を用いて、デジタルアナログ変換器102がゲインを1倍に調整したときにおける、デジタル信号Dとアナログ信号VDACとの関係について説明する。上述したように、デジタルアナログ変換器102がゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが1倍の場合、デジタルアナログ変換器100と同様に、容量部110に備えた容量C0~容量C2の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する。このため、デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、デジタル信号D0~デジタル信号D2の値が制御され、デジタル信号DA1の値が“0”に固定(保持)される。そして、デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、ゲインが1倍のときに用いる容量C0~容量C2の3つの容量Cに対応するデジタル信号D0~デジタル信号D2の値(3ビットのデジタル信号Dの値)に応じて、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。図14の説明においても、図2に示したゲインが1倍の場合におけるデジタルアナログ変換器100と同様の考え方に基づいて、容量C0~容量C2の3つの容量Cに対応する3ビットのデジタル信号Dのバイナリコードで、デジタル信号D0~デジタル信号D2のそれぞれの値、すなわち、スイッチSW0~スイッチSW2のそれぞれの第1の端子に接続するノードを表す。なお、図14の説明においても、図2に示したゲインが1倍の場合におけるデジタルアナログ変換器100と同様に、容量C0~容量C2の3つの容量Cの中で最も大きな容量値(=4Cu)の容量C2に対応するデジタル信号D2の値を最上位ビット(MSB)とし、最も小さな容量値(=1Cu)の容量C0に対応するデジタル信号D0の値を最下位ビット(LSB)とする。
【0240】
デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、デジタル信号D(デジタル信号D2、デジタル信号D1、およびデジタル信号D0)の値が“000”のとき、スイッチSW2~スイッチSW0のそれぞれの第1の端子が、接地電位のノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器102も、図14に示したように、容量部110に備えた容量C0~容量C2および容量CA1の全ての容量Cと、減衰容量CATとのそれぞれにサンプリングされた入力信号VINの電圧値(=VIN)を、出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。
【0241】
また、デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、デジタル信号Dの値が“001”のとき、スイッチSW2およびスイッチSW1のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW0の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器101は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、デジタルアナログ変換器102における全体の容量値(=(7.5+p)Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C0の容量値(=1Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(1/(7.5+p))Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル1のアナログ信号VDACとして出力する。
【0242】
このときデジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(37)で表される。
【0243】
VDAC=VIN+(1/(7.5+p))Cu×VREF
・・・(37)
【0244】
同様に、デジタルアナログ変換器102では、図14に示したように、デジタル信号Dの値に応じて、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、デジタルアナログ変換器102における全体の容量値(=(7.5+p)Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量Cの合計の容量値との比に応じた参照電圧VREFの電圧値を加算した電圧値を、それぞれの出力レベルのアナログ信号VDACとして出力する。
【0245】
そして、デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、デジタル信号Dの値が“111”のとき、スイッチSW2~スイッチSW0のそれぞれの第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器102は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全体の容量値(=(7.5+p)Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C2~容量C0の合計の容量値(=7Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(7/(7.5+p))Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル7のアナログ信号VDACとして出力する。
【0246】
このときデジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(38)で表される。
【0247】
VDAC=VIN+(7/(7.5+p))Cu×VREF
・・・(38)
【0248】
このように、デジタルアナログ変換器102では、ゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが1倍の場合、入力されたデジタル信号D2~デジタル信号D0の値に応じて、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、参照電圧VREFの(0/(7.5+p))Cu~(7/(7.5+p))Cu倍の電圧値を加算した、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。ここで、デジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACの電圧値の変化幅(前後の出力レベルのアナログ信号VDACの電圧値の差)は、図14に示したように、(1/(7.5+p))Cu×VREFである。また、デジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)は、(7/(7.5+p))Cu×VREFである。
【0249】
続いて、図15を用いて、デジタルアナログ変換器102がゲインを1/2倍に調整したときにおける、デジタル信号Dとアナログ信号VDACとの関係について説明する。上述したように、デジタルアナログ変換器102がゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが1/2倍の場合、デジタルアナログ変換器100と同様に、容量部110に備えた容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する。このため、デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、デジタル信号D0~デジタル信号D1およびデジタル信号DA1の値が制御され、デジタル信号D2の値が“0”に固定(保持)される。そして、デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、ゲインが1/2倍のときに用いる容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cに対応するデジタル信号D0~デジタル信号D1、およびデジタル信号DA1の値(3ビットのデジタル信号Dの値)に応じて、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。図15の説明においても、図3に示したゲインが1/2倍の場合におけるデジタルアナログ変換器100と同様の考え方に基づいて、容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cに対応する3ビットのデジタル信号Dのバイナリコードで、デジタル信号D0~デジタル信号D1およびデジタル信号DA1のそれぞれの値、すなわち、スイッチSW0~スイッチSW1およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子に接続するノードを表す。なお、図15の説明においては、図3に示したゲインが1/2倍の場合におけるデジタルアナログ変換器100と同様に、容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cの中で最も大きな容量値(=2Cu)の容量C1に対応するデジタル信号D1の値を最上位ビット(MSB)とし、最も小さな容量値(=0.5Cu)の容量CA1に対応するデジタル信号DA1の値を最下位ビット(LSB)とする。
【0250】
デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、デジタル信号D(デジタル信号D1、デジタル信号D0、およびデジタル信号DA1)の値が“000”のとき、スイッチSW1、スイッチSW0、およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子が、接地電位のノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器102も、図15に示したように、容量部110に備えた容量C0~容量C2および容量CA1の全ての容量Cと、減衰容量CATとのそれぞれにサンプリングされた入力信号VINの電圧値(=VIN)を、出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。すなわち、デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整するゲインに関わらず、入力信号VINの電圧値(=VIN)を、出力レベル0のアナログ信号VDACとして出力する。
【0251】
また、デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、デジタル信号Dの値が“001”のとき、スイッチSW1およびスイッチSW0のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSWA1の第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器102は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、デジタルアナログ変換器102における全体の容量値(=(7.5+p)Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量CA1の容量値(=0.5Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(0.5/(7.5+p))Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル1のアナログ信号VDACとして出力する。
【0252】
このときデジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(39)で表される。
【0253】
VDAC=VIN+(0.5/(7.5+p))Cu×VREF
・・・(39)
【0254】
同様に、デジタルアナログ変換器102では、図15に示したように、デジタル信号Dの値に応じて、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、デジタルアナログ変換器102における全体の容量値(=(7.5+p)Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量Cの合計の容量値との比に応じた参照電圧VREFの電圧値を加算した電圧値を、それぞれの出力レベルのアナログ信号VDACとして出力する。
【0255】
そして、デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、デジタル信号Dの値が“111”のとき、スイッチSW1、スイッチSW0、およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器102は、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全体の容量値(=(7.5+p)Cu)と、参照電圧VREFに接続された容量C1、容量C0、および容量CA1の合計の容量値(=3.5Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(3.5/(7.5+p))Cu×VREF)を加算した電圧値を、出力レベル7のアナログ信号VDACとして出力する。
【0256】
このときデジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACの電圧値は、下式(40)で表される。
【0257】
VDAC=VIN+(3.5/(7.5+p))Cu×VREF
・・・(40)
【0258】
このように、デジタルアナログ変換器102は、ゲイン調整して出力するアナログ信号VDACの出力振幅のゲインが1/2倍の場合、入力されたデジタル信号D0~デジタル信号D1およびデジタル信号DA1の値に応じて、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、参照電圧VREFの(0/(7.5+p))Cu~(3.5/(7.5+p))Cu倍の電圧値を加算した、8つの出力レベルのアナログ信号VDACを出力する。ここで、デジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACの電圧値の変化幅(前後の出力レベルのアナログ信号VDACの電圧値の差)は、図15に示したように、(0.5/(7.5+p))Cu×VREFである。また、デジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACの電圧値の範囲(出力振幅)は、(3.5/(7.5+p))Cu×VREFである。
【0259】
このように、デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器101と同様に、容量部110に容量CA1を追加し、スイッチ部120にスイッチSWA1を追加することによって、出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整する構成にする。そして、デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、容量部110に備えた4つの容量Cの内3つの容量Cを電圧値生成容量として用いて、ゲインを1倍または1/2倍に調整した3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する。これにより、デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様の効果を得ることができる。
【0260】
また、デジタルアナログ変換器102では、減衰容量CATを追加することによって、出力するアナログ信号VDACを予め定めた割合だけ減衰させる構成にする。これにより、デジタルアナログ変換器102では、減衰させた任意の出力振幅に対してさらにゲイン調整をすることができ、ゲイン調整した複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号VDACを、形成するために要する面積の増大を抑えて実現することができる。
【0261】
なお、デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、出力する3ビットの分解能のアナログ信号VDACに対してゲイン調整と予め定めた割合だけの減衰のみではなく、オフセット調整もすることができる。これにより、デジタルアナログ変換器102でも、デジタルアナログ変換器100と同様に、ゲイン調整にさらにオフセット調整をした複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号VDACを、形成するために要する面積の増大を抑えて実現することができる。なお、デジタルアナログ変換器102が出力する3ビットの分解能のアナログ信号VDACに対してオフセット調整をする際の動作は、デジタルアナログ変換器100においてアナログ信号VDACに対してオフセット調整をする際の動作と同様に考えることができる。従って、デジタルアナログ変換器102がアナログ信号VDACに対してオフセット調整をする際の動作に関する詳細な説明は省略する。
【0262】
なお、上述したデジタルアナログ変換器102では、出力するアナログ信号VDACが3ビットの分解能のアナログ信号である構成について説明した。しかし、デジタルアナログ変換器102が出力するアナログ信号VDACの分解能は、デジタルアナログ変換器100と同様に、3ビットに限定されるものではない。そして、例えば、さらに多くのビット数の分解能のデジタルアナログ変換器においても、上述したデジタルアナログ変換器102の構成や動作の考え方を適用することによって、その構成や動作を容易に考えることができる。従って、さらに多くのビット数の分解能のデジタルアナログ変換器の構成や動作に関する詳細な説明は省略する。
【0263】
本発明のデジタルアナログ変換器によれば、入力された信号(例えば、入力信号VIN)の電圧値をサンプリングし、サンプリングした入力信号VINの電圧値に参照電圧(例えば、参照電圧VREF)に基づいた電圧値を加減算した電圧値のアナログ信号(アナログ信号VDAC)を所定の分解能で出力するデジタルアナログ変換器(例えば、デジタルアナログ変換器100)であって、第1の端子がアナログ信号VDACの出力ノード側に接続され、第2の端子が参照電圧VREFの高電位側(例えば、参照電圧VREFの入力端子)および低電位側(例えば、接地(グラウンド:GND)電位)のいずれか一方に接続される、それぞれ重み付け(例えば、2進数の重み付け)された、アナログ信号VDACの分解能よりも少なくとも1つ多い数の複数の容量(容量C)と、それぞれの容量Cに対応し、入力された制御信号(デジタル信号D)に応じて、対応する容量Cの第2の端子の接続先を、高電位側のノードおよび低電位側のノードのいずれか一方のノードに切り替える、または保持する複数のスイッチ(スイッチSW)と、を備え、複数の容量Cのうち、出力するアナログ信号VDACの分解能に対応した数の容量Cを、対応するスイッチSWによって第2の端子の接続先のノードを切り替えて、加減算する参照電圧VREFに基づいた電圧値を生成する電圧値生成容量として用いるとともに、複数の容量Cのうち、電圧値生成容量として用いない残りの容量Cを、対応するスイッチSWによって第2の端子の接続先のノードを保持して、加減算する参照電圧VREFに基づいた電圧値のゲイン調整をするためのゲイン調整容量として用いる、デジタルアナログ変換器(例えば、デジタルアナログ変換器100)が構成される。
【0264】
また、本発明のデジタルアナログ変換器によれば、それぞれの容量Cは、出力するアナログ信号VDACの分解能に対応した数の2進数の重み付けがされたメイン容量(例えば、容量C0、容量C1、容量C2)、およびメイン容量の中で最も小さな容量値に対して1/k倍(k=2以上の2の乗数)の容量値のサブ容量(例えば、容量CA1,容量CA2)のいずれかの容量Cであり、出力するアナログ信号VDACの電圧値のゲイン値を下げる方向に変更する際には、ゲイン調整容量に含まれるサブ容量の中で最も大きな容量値のサブ容量から順に変更するゲイン値に応じた数のサブ容量を電圧値生成容量に含め、電圧値生成容量の中で最も大きな容量値のメイン容量から順に電圧値生成容量に含めたサブ容量と同じ数のメイン容量をゲイン調整容量に含め、ゲイン値を上げる方向に変更する際には、ゲイン調整容量に含まれているメイン容量の中で最も小さな容量値のメイン容量から順に変更するゲイン値に応じた数のメイン容量を電圧値生成容量に含め、電圧値生成容量に含まれているサブ容量の中で最も小さな容量値のサブ容量から順に電圧値生成容量に含めたメイン容量と同じ数のサブ容量をゲイン調整容量に含める、デジタルアナログ変換器(例えば、デジタルアナログ変換器100)が構成される。
【0265】
また、本発明のデジタルアナログ変換器によれば、複数の容量Cのうち、少なくとも1つの容量Cの第2の端子の接続先を、対応するスイッチSWによって、入力信号VINの電圧値をサンプリングするときに接続するノードと異なるノードに切り替え、電圧値生成容量により加減算する参照電圧VREFに基づいた電圧値のオフセット調整に用いる、デジタルアナログ変換器(例えば、デジタルアナログ変換器100)が構成される。
【0266】
また、本発明のデジタルアナログ変換器によれば、入力信号VINの電圧値をサンプリングする際に、複数の容量Cのうち、少なくとも1つの容量Cの第2の端子の接続先を、対応するスイッチSWによって、オフセット調整を行わないときに接続するノードと異なるノードに切り替え、電圧値生成容量により加減算する参照電圧VREFに基づいた電圧値のオフセット調整に用いる、デジタルアナログ変換器(例えば、デジタルアナログ変換器100)が構成される。
【0267】
また、本発明の駆動方法によれば、入力された信号(例えば、入力信号VIN)の電圧値をサンプリングし、サンプリングした入力信号VINの電圧値に参照電圧(例えば、参照電圧VREF)に基づいた電圧値を加減算した電圧値のアナログ信号(アナログ信号VDAC)を所定の分解能で出力するデジタルアナログ変換器(例えば、デジタルアナログ変換器100)であって、第1の端子がアナログ信号VDACの出力ノード側に接続され、第2の端子が参照電圧VREFの高電位側(例えば、参照電圧VREFの入力端子)および低電位側(例えば、接地(グラウンド:GND)電位)のいずれか一方に接続される、それぞれ重み付け(例えば、2進数の重み付け)された、アナログ信号VDACの分解能よりも少なくとも1つ多い数の複数の容量(容量C)と、それぞれの容量Cに対応し、入力された制御信号(デジタル信号D)に応じて、対応する容量Cの第2の端子の接続先を、高電位側のノードおよび低電位側のノードのいずれか一方のノードに切り替える、または保持する複数のスイッチ(スイッチSW)と、を備えたデジタルアナログ変換器(例えば、デジタルアナログ変換器100)の駆動方法であって、複数の容量Cのうち、出力するアナログ信号VDACの分解能に対応した数の容量Cを電圧値生成容量として用い、対応するスイッチSWによって第2の端子の接続先のノードを切り替えて、加減算する参照電圧VREFに基づいた電圧値を生成する工程と、複数の容量Cのうち、電圧値生成容量として用いない残りの容量Cをゲイン調整容量として用い、対応するスイッチSWによって第2の端子の接続先のノードを保持して、加減算する参照電圧VREFに基づいた電圧値のゲイン調整をする工程と、を含む駆動方法(例えば、デジタルアナログ変換器100の駆動方法)が構成される。
【0268】
上述したように、本発明のデジタルアナログ変換器では、容量部に1/k倍(k=2以上の2の乗数)の容量値の容量C(例えば、容量CA1)を追加し、スイッチ部に対応するスイッチSW(例えば、スイッチSWA1)を追加することによって、参照電圧VREFの電圧値を1/k倍までゲイン調整する構成にする。そして、本発明のデジタルアナログ変換器では、容量部に備えた複数の容量Cおよび追加した容量Cのうち、出力するアナログ信号VDACの分解能に対応する数の容量Cを電圧値生成容量として用いて、参照電圧VREFの電圧値を1/k倍までゲイン調整した所定の分解能のアナログ信号VDACを出力する。つまり、本発明のデジタルアナログ変換器では、容量部に備えた複数の容量Cを、入力信号VINの電圧値をサンプリングした後に、対応するスイッチSWの切り替えに応じた所定の分解能で出力するアナログ信号VDACの電圧値を生成するための容量Cとして用いる。そして、本発明のデジタルアナログ変換器では、容量部に備えた残りの容量Cを、対応するスイッチSWを切り替えずに固定(保持)する。これにより、本発明のデジタルアナログ変換器では、入力信号VINの電圧値に1/k倍までゲイン調整した参照電圧VREFの電圧値を加減算したアナログ信号VDACを出力することができる。
【0269】
しかも、本発明のデジタルアナログ変換器では、出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整するために追加する容量C(例えば、容量CA1)の容量値は、ゲインが1倍である場合において最も小さな容量値の容量Cよりも小さい容量値である。また、本発明のデジタルアナログ変換器では、出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整するために追加するスイッチSW(例えば、スイッチSWA1)は、スイッチ部に備えた参照電圧VREFの切り替えに用いる他のスイッチSW(例えば、スイッチSW0~スイッチSW2)と同様の構成である。言い換えれば、本発明のデジタルアナログ変換器において追加するスイッチSW(例えば、スイッチSWA1)は、特別な性能を実現する構成のスイッチSWではない。つまり、本発明のデジタルアナログ変換器では、ゲインを1倍から1/k倍まで調整した複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号VDACを出力する構成であるにもかかわらず、最も小さな容量値の容量Cよりも小さい容量値の容量Cと、参照電圧VREFの切り替えに用いるスイッチSWと同様のスイッチSWとを追加するのみである。すなわち、本発明のデジタルアナログ変換器は、高い分解能のアナログ信号VDACを出力する構成に適用するほど、より少ない構成要素の追加のみで実現することができる。従って、本発明のデジタルアナログ変換器では、本発明のデジタルアナログ変換器を形成するために要する面積の増大を抑えることができる。
【0270】
(アナログデジタル変換器)
次に、本発明のデジタルアナログ変換器を用いたアナログデジタル変換器について説明する。なお、以下の説明においては、デジタルアナログ変換器100を用いたアナログデジタル変換器について説明する。図16は、本発明のアナログデジタル変換器の構成の一例を示したブロック図である。図16に示したアナログデジタル変換器200は、デジタルアナログ変換器100と、比較器210と、制御回路220とを備えている。
【0271】
デジタルアナログ変換器100は、上述したように、1倍または1/2倍にゲイン調整した参照電圧VREFに基づいた電圧値を入力信号VINの電圧値に加算した3ビットの分解能のアナログ信号VDACを比較器210に出力する。
【0272】
比較器210は、デジタルアナログ変換器100から出力されたアナログ信号VDACの電圧値と、入力された比較対象の電圧(図16では、比較基準電圧VCOM)の電圧値とを比較する。比較器210は、比較したアナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値との大小関係に応じた比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路220に出力する。より具体的には、比較器210は、アナログ信号VDACの電圧値が、比較基準電圧VCOMの電圧値以上の電圧値であるか、比較基準電圧VCOMよりも低い電圧値であるかを表すデジタル信号VCOUTを制御回路220に出力する。例えば、比較器210は、アナログ信号VDACの電圧値が比較基準電圧VCOMの電圧値以上の電圧値である場合には、“High”レベルのデジタル信号VCOUTを制御回路220に出力する。一方、比較器210は、アナログ信号VDACの電圧値が比較基準電圧VCOMよりも低い電圧値である場合には、“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを制御回路220に出力する。なお、アナログデジタル変換器200では、比較器210がアナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値との大小関係を比較する方法や、比較器210の構成などに関しては、特に規定しない。
【0273】
なお、比較基準電圧VCOMの数や種類などに関しては、特に規定しない。例えば、比較器210は、2種類の比較基準電圧VCOMを用いた比較動作を行う構成であってもよい。また、比較基準電圧VCOMとして入力信号VINを反転させた信号を用いる構成であってもよい。また、比較基準電圧VCOMをデジタルアナログ変換器100に入力し、デジタルアナログ変換器100から出力されたアナログ信号VDACの電圧値と、入力された入力信号VINの電圧値とを比較する構成であってもよい。
【0274】
制御回路220は、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいて、デジタル信号D(デジタル信号DS、デジタル信号D0~デジタル信号D2、およびデジタル信号DA1)を生成し、生成したそれぞれのデジタル信号Dをデジタルアナログ変換器100に出力する。制御回路220が出力したデジタル信号Dのそれぞれは、デジタルアナログ変換器100内のスイッチ部120に備えた対応するそれぞれのスイッチSWの制御端子に接続される。これにより、制御回路220は、デジタルアナログ変換器100に、上述した3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する動作をさせる。制御回路220は、いわゆる、SAR(Successive Approximation Register:逐次比較レジスタ)論理回路である。制御回路220は、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいてアナログデジタル変換する対象の入力信号VINの電圧値の大きさを逐次判定する。制御回路220は、最終的に判定した入力信号VINの電圧値の大きさを表す値を、アナログデジタル変換器200が入力信号VINをアナログデジタル変換した結果のデジタル信号OUTとして出力する。なお、アナログデジタル変換器200に備えたデジタルアナログ変換器100は、3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力するデジタルアナログ変換器である。このため、制御回路220は、入力信号VINをアナログデジタル変換した結果として、3ビットの分解能のデジタル信号OUTを出力する。
【0275】
なお、アナログデジタル変換器200では、制御回路220がデジタル信号Dを生成する方法や構成、デジタルアナログ変換器100を動作させる(制御する)方向や構成、出力するデジタル信号OUTの構造などに関しては、特に規定しない。なお、アナログデジタル変換器200では、制御回路220が出力するデジタル信号Dが、デジタル信号OUTを兼ねる構成であってもよい。また、アナログデジタル変換器200では、制御回路220がデジタルアナログ変換器100において出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整する際の倍率(1倍または1/2倍)を切り替える方法に関しても、特に規定しない。例えば、制御回路220は、外部の信号処理回路からの制御に応じて、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整する際の倍率を切り替える構成であってもよい。なお、アナログデジタル変換器200が、所望の分解能のアナログデジタル変換を行うために要する比較回数などに関しては、特に規定しない。例えば、アナログデジタル変換器200に備えたデジタルアナログ変換器100および制御回路220が、3ビットの分解能のうちの1ビットを、複数回の比較動作によって判定する構成であってもよい。このためにデジタルアナログ変換器100は、容量部110内のそれぞれの容量Cが、同じ容量値の複数の容量で構成されていてもよい。
【0276】
このような構成によって、アナログデジタル変換器200は、逐次比較型のアナログデジタル変換器として構成される。なお、デジタルアナログ変換器100は、上述したようにゲインを1倍または1/2倍に調整してアナログ信号VDACを出力するため、アナログデジタル変換器200は、入出力ゲインを1倍または2倍に調整して入力信号VINをアナログデジタル変換する逐次比較型のアナログデジタル変換器として構成される。このため、アナログデジタル変換器200では、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACのゲインが1倍か1/2倍かによって、同じ入力信号VINをアナログデジタル変換した場合でも、アナログデジタル変換した結果のデジタル信号OUTの値が異なることになる。例えば、入力信号VINの大きさが、ゲイン1倍のときに出力するアナログ信号VDACの出力振幅の値の1/2に相当する大きさである場合を考える。この場合、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACのゲインが1倍である場合には、デジタル信号OUTの値は“011”となる。一方、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACのゲインが1/2倍である場合には、デジタル信号OUTの値は“111”となる。
【0277】
アナログデジタル変換器200では、入力信号VINをアナログデジタル変換する際に、制御回路220が、最上位ビット(MSB)から最下位ビット(LSB)に向かって1ビットずつ順にアナログデジタル変換過程における判定結果を得る。そして、アナログデジタル変換器200では、制御回路220が、最下位ビット(LSB)の判定結果を得た後に、最終的な入力信号VINの電圧値の大きさを表すデジタル信号OUTを出力する。
【0278】
ここで、アナログデジタル変換器200の動作について説明する。まず、アナログデジタル変換器200が1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合の動作について説明する。図17は、本発明のアナログデジタル変換器200の動作(アナログデジタル変換の動作)の一例を示したタイミングチャートである。図17は、デジタルアナログ変換器100が、ゲインを1倍に調整して入力信号VINの電圧値に加算したアナログ信号VDACを出力することにより、アナログデジタル変換器200における入出力ゲインが1倍である場合の動作の一例である。
【0279】
図17には、アナログデジタル変換器200が入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換するときのそれぞれの動作期間におけるそれぞれの信号を示している。より具体的には、図17には、制御回路220がデジタルアナログ変換器100に出力するそれぞれのデジタル信号D(デジタル信号DS、デジタル信号D2~デジタル信号D0、デジタル信号DA1)のそれぞれの信号を示している。また、図17には、アナログデジタル変換器200がアナログデジタル変換した結果として出力するデジタル信号OUTにおけるそれぞれのビットの判定完了タイミングを示している。また、図17には、デジタルアナログ変換器100が制御回路220から出力されたデジタル信号Dに応じて比較器210に出力するアナログ信号VDACを、入力信号VINおよび比較基準電圧VCOMと対比して示している。また、図17には、比較器210がアナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較した比較結果のデジタル信号VCOUTを示している。
【0280】
なお、図17の説明においては、デジタル信号DSが“High”レベルのときに、デジタルアナログ変換器100内のスイッチ部120に備えたスイッチSWSが短絡状態となり、デジタル信号DSが“Low”レベルのときに、スイッチSWSが開放状態となるものとする。また、図17の説明においては、デジタル信号D2~デジタル信号D0およびデジタル信号DA1が“High”レベルのときに、デジタルアナログ変換器100内のスイッチ部120に備えた対応するスイッチSW2~スイッチSW0およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子が参照電圧VREFのノードに接続されるものとする。そして、デジタル信号D2~デジタル信号D0およびデジタル信号DA1が“Low”レベルのときに、対応するスイッチSW2~スイッチSW0およびスイッチSWA1のそれぞれの第1の端子が接地電位のノードに接続されるものとする。また、図17の説明においては、比較器210が、アナログ信号VDACの電圧値が比較基準電圧VCOMの電圧値以上の電圧値である場合に“High”レベルのデジタル信号VCOUTを出力し、アナログ信号VDACの電圧値がデジタル信号VCOUTよりも低い電圧値である場合に“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを出力するものとする。
【0281】
以下の説明においては、図2に示した、ゲインが1倍の場合にデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値を参照し、アナログデジタル変換器200におけるそれぞれの動作期間のアナログ信号VDACと比較基準電圧VCOMとの関係も説明する。そして、以下の説明においては、ゲインが1倍のときに用いられる容量C2~容量C0の3つの容量Cに対応する3ビットのデジタル信号D(デジタル信号D2、デジタル信号D1、およびデジタル信号D0)の値を、適宜バイナリコードで説明する。なお、上述したように、デジタルアナログ変換器100が1倍のゲイン値で出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整する場合には、容量CA1に対応するデジタル信号DA1は、全ての動作期間において、“Low”レベルを維持して変化しないため、適宜説明を省略する。
【0282】
アナログデジタル変換器200がアナログデジタル変換の動作を開始すると、まず、制御回路220は、サンプリング期間において、デジタル信号DSを“High”レベル、デジタル信号D2~デジタル信号D0およびデジタル信号DA1のそれぞれを“Low”レベルにする。これにより、デジタルアナログ変換器100では、スイッチSWSによって入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとが接続され、スイッチSW2~スイッチSW0およびスイッチSWA1によって容量C2~容量C0および容量CA1のそれぞれの第2の端子が接地電位のノードに接続される。そして、デジタルアナログ変換器100では、容量C2~容量C0および容量CA1のそれぞれに、入力信号VINの電位と接地電位との電位差に応じた電荷が充電される。その後、制御回路220は、タイミングt1において、デジタル信号DSを“Low”レベルにする。これにより、デジタルアナログ変換器100では、スイッチSWSによって入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACのノードとの接続が切られる。そして、デジタルアナログ変換器100では、入力信号VINの電圧値がサンプリングされ、容量C2~容量C0および容量CA1の全ての容量Cに、タイミングt1における電荷が保持される。
【0283】
このときにデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値は上式(1)で表され、容量部110の全体に蓄積された電荷Qは上式(2)で表される。
【0284】
そして、制御回路220は、比較実行期間において、まず、タイミングt1から、デジタル信号D2を“High”レベルにし、デジタル信号D1~デジタル信号D0のそれぞれを“Low”レベルで維持する。つまり、制御回路220は、3ビットのデジタル信号Dの値を“100”にする。これにより、デジタルアナログ変換器100では、スイッチSW2によって容量C2の第2の端子が参照電圧VREFのノードに接続され、スイッチSW1およびスイッチSW0のそれぞれによって容量C1および容量C0のそれぞれの第2の端子が接地電位のノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACは、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFのノードに接続された容量C2の容量値(=4Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(4/7.5)Cu×VREF)を加算した、上式(7)で表される出力レベル4の電圧値となる。図17においては、アナログ信号VDACの電圧値が、出力レベル4の電圧値(VIN+(4/7.5)Cu×VREF)になる様子を示している。
【0285】
そして、比較器210は、このときのアナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較した比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路220に出力する。図17においては、比較器210が、タイミングt2において、アナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較してデジタル信号VCOUTを出力した様子を示している。そして、制御回路220が、デジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTの最上位ビットBIT2の値を保持し、出力している様子を示している。より具体的には、アナログ信号VDACの電圧値は比較基準電圧VCOMの電圧値以上の電圧値であるため、比較器210が“High”レベルのデジタル信号VCOUTを出力する。これにより、制御回路220が“High”レベルのデジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTの最上位ビットBIT2の値として保持し、デジタル信号OUTの値が変化した様子を示している。
【0286】
なお、制御回路220は、タイミングt2において、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいて、デジタル信号D2の値を切り替えるか否かを決定する。より具体的には、制御回路220は、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、タイミングt2においてデジタル信号D2の値を“Low”レベルにする。一方、制御回路220は、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、タイミングt2においてデジタル信号D2の値を“High”レベルで維持する。また、制御回路220は、タイミングt2から、デジタル信号D1を“High”レベルにする。なお、制御回路220は、デジタル信号D0を “Low”レベルで維持する。
【0287】
これにより、制御回路220は、タイミングt2における比較結果(デジタル信号VCOUT)に応じて、3ビットのデジタル信号Dの値を“010”または“110”のいずれかの値にする。つまり、制御回路220は、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、タイミングt2からのアナログ信号VDACの電圧値を、現在の電圧値から(2/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ減算した上式(5)で表される出力レベル2の電圧値(VIN+(2/7.5)Cu×VREF)に切り替える。一方、制御回路220は、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、タイミングt2からのアナログ信号VDACの電圧値を、現在の電圧値に(2/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した上式(9)で表される出力レベル6の電圧値(VIN+(6/7.5)Cu×VREF)に切り替える。
【0288】
図17においては、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルであるため、制御回路220は、タイミングt2から、3ビットのデジタル信号Dの値を“010”にする。つまり、制御回路220は、デジタル信号D2の値を“Low”レベルにし、デジタル信号D1を“High”レベルにし、デジタル信号D0を“Low”レベルで維持する。これにより、デジタルアナログ変換器100では、スイッチSW2によって容量C2の第2の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW1によって容量C1の第2の端子が参照電圧VREFのノードに接続され、スイッチSW0によって容量C0の第2の端子が接地電位のノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACは、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFのノードに接続された容量C1の容量値(=2Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(2/7.5)Cu×VREF)を加算した、上式(5)で表される出力レベル2の電圧値となる。図17においては、アナログ信号VDACの電圧値が、出力レベル2の電圧値(VIN+(2/7.5)Cu×VREF)になる様子を示している。
【0289】
そして、比較器210は、このときのアナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較した比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路220に出力する。図17においては、比較器210が、タイミングt3において、アナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較してデジタル信号VCOUTを出力した様子を示している。そして、制御回路220が、デジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTのビットBIT1(=最上位ビットBIT2-1)の値を保持し、出力している様子を示している。より具体的には、アナログ信号VDACの電圧値は比較基準電圧VCOMよりも低い電圧値であるため、比較器210が“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを出力する。これにより、制御回路220が“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTのビットBIT1の値として保持し、デジタル信号OUTの値が変化した様子を示している。
【0290】
なお、制御回路220は、タイミングt3において、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいて、デジタル信号D1の値を切り替えるか否かを決定する。なお、制御回路220がデジタル信号D1の値を切り替えるか否かを決定する際の考え方は、デジタル信号D2の値を切り替えるか否かを決定する際の考え方と同様である。つまり、制御回路220は、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、タイミングt3においてデジタル信号D1の値を“Low”レベルにする。一方、制御回路220は、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、タイミングt3においてデジタル信号D1の値を“High”レベルで維持する。また、制御回路220は、タイミングt3から、デジタル信号D0を“High”レベルにする。
【0291】
これにより、制御回路220は、タイミングt3における比較結果(デジタル信号VCOUT)に応じて、3ビットのデジタル信号Dの値を変更する。より具体的には、制御回路220は、現在の3ビットのデジタル信号Dの値が“010”である場合には、タイミングt3から、3ビットのデジタル信号Dの値を“001”または“011”のいずれかの値にする。一方、制御回路220は、現在の3ビットのデジタル信号Dの値が“110”である場合には、タイミングt3から、3ビットのデジタル信号Dの値を“101”または“111”のいずれかの値にする。
【0292】
つまり、制御回路220は、現在の3ビットのデジタル信号Dの値が“010”であり、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、タイミングt3からのアナログ信号VDACの電圧値を、現在の電圧値から(1/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ減算した上式(4)で表される出力レベル1の電圧値(VIN+(1/7.5)Cu×VREF)に切り替える。一方、制御回路220は、現在の3ビットのデジタル信号Dの値が“010”であり、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、タイミングt3からのアナログ信号VDACの電圧値を、現在の電圧値に(1/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した上式(6)で表される出力レベル3の電圧値(VIN+(3/7.5)Cu×VREF)に切り替える。
【0293】
また、制御回路220は、現在の3ビットのデジタル信号Dの値が“110”であり、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、タイミングt3からのアナログ信号VDACの電圧値を、現在の電圧値から(1/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ減算した上式(8)で表される出力レベル5の電圧値(VIN+(5/7.5)Cu×VREF)に切り替える。一方、制御回路220は、現在の3ビットのデジタル信号Dの値が“110”であり、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、タイミングt3からのアナログ信号VDACの電圧値を、現在の電圧値に(1/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した上式(10)で表される出力レベル7の電圧値(VIN+(7/7.5)Cu×VREF)に切り替える。
【0294】
図17においては、現在の3ビットのデジタル信号Dの値が“010”であり、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルであるため、制御回路220は、タイミングt3から、3ビットのデジタル信号Dの値を“011”にする。つまり、制御回路220は、デジタル信号D2の値を“Low”レベルで維持し、デジタル信号D1を“High”レベルで維持し、デジタル信号D0を“High”レベルにする。これにより、デジタルアナログ変換器100では、スイッチSW2によって容量C2の第2の端子が接地電位のノードに接続され、スイッチSW1によって容量C1の第2の端子が参照電圧VREFのノードに接続され、スイッチSW0によって容量C0の第2の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACは、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFのノードに接続された容量C1および容量C0の合計の容量値(=3Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(3/7.5)Cu×VREF)を加算した、上式(6)で表される出力レベル3の電圧値となる。図17においては、アナログ信号VDACの電圧値が、出力レベル3の電圧値(VIN+(3/7.5)Cu×VREF)になる様子を示している。
【0295】
そして、比較器210は、このときのアナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較した比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路220に出力する。図17においては、比較器210が、タイミングt4において、アナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較してデジタル信号VCOUTを出力した様子を示している。そして、制御回路220が、デジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTのビットBIT0(=最上位ビットBIT2-2:アナログデジタル変換器200では最下位ビット)の値を保持し、出力している様子を示している。より具体的には、アナログ信号VDACの電圧値は比較基準電圧VCOMよりも低い電圧値であるため、比較器210が“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを出力する。これにより、制御回路220が“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTのビットBIT0の値として保持し、デジタル信号OUTの値が変化した様子を示している。
【0296】
このようにして、制御回路220は、比較実行期間において、最上位ビット(MSB)から最下位ビット(LSB)に向かって1ビットずつ順に比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTを取得して、デジタル信号OUTのそれぞれのビットBITの値を保持する。そして、制御回路220は、最終的に保持したそれぞれのビットBITの値を、アナログデジタル変換器200がアナログデジタル変換した入力信号VINの電圧値の大きさを表すデジタル信号OUTとして出力する。
【0297】
上述したアナログデジタル変換器200の動作の説明では、デジタル信号OUTにおけるそれぞれのビットの判定完了タイミングにおいてそれぞれのビットBITの値を保持した後、つまり、最下位ビットBIT0の値が確定した後に、最終的に保持したそれぞれのビットBITの値を最終的な入力信号VINの電圧値の大きさを表すデジタル信号OUTとして出力する動作について説明した。つまり、アナログデジタル変換器200が、パラレル形式でデジタル信号OUTを出力するアナログデジタル変換器である場合の動作について説明した。しかし、アナログデジタル変換器200が、シリアル出力の形式でデジタル信号OUTを出力するアナログデジタル変換器である場合も考えられる。この場合、アナログデジタル変換器200は、最終的な入力信号VINの電圧値の大きさを表すデジタル信号OUTを、それぞれのビットBITの判定結果を得るごとに順次出力する。
【0298】
以降、アナログデジタル変換器200は、上述したサンプリング期間の動作と比較実行期間の動作とを繰り返し、順次入力された入力信号VINの電圧値を順次アナログデジタル変換する。図17では、アナログデジタル変換器200が、タイミングt4から次の入力信号VINのサンプリングを開始し、タイミングt5からアナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較する比較動作を開始している。そして、図17では、タイミングt5~タイミングt6までの比較実行期間において、次に入力された入力信号VINの電圧値に基づいて比較動作を行い、その判定に従ってそれぞれのビットBITの値を保持している。
【0299】
なお、図17に示したように、アナログデジタル変換器200では、制御回路220が、現在アナログデジタル変換している入力信号VINにおける最下位ビット(LSB)に対応するデジタル信号VCOUTを取得して全てのビットBITの値を保持した後であれば、いかなるタイミングから次の入力信号VINのサンプリングおよび次の入力信号VINの電圧値に基づいた比較動作を開始してもよい。なお、図17では、タイミングt4からのビットBIT0の出力が、次の入力信号VINのサンプリング期間中に終了している様子を示しているが、例えば、次の入力信号VINのサンプリング期間が短い場合には、ビットBIT0を出力しているタイミングと、次の入力信号VINのサンプリングを完了して比較動作を開始するタイミングt5とが重なることもあり得る。ただし、タイミングt4からのビットBIT0の出力は、次の入力信号VINに対応するビットBIT2の出力には重ならない。
【0300】
続いて、アナログデジタル変換器200が2倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合の動作について説明する。図18は、本発明のアナログデジタル変換器200の別の動作(アナログデジタル変換の動作)の一例を示したタイミングチャートである。図18は、デジタルアナログ変換器100が、ゲインを1/2倍に調整して入力信号VINの電圧値に加算したアナログ信号VDACを出力することにより、アナログデジタル変換器200における入出力ゲインが2倍である場合の動作の一例である。
【0301】
図18にも、図17に示した1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合と同様に、アナログデジタル変換器200が入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換するときのそれぞれの動作期間におけるそれぞれの信号を示している。なお、図18の説明においても、それぞれの信号における信号レベルの意味や、信号レベルに応じたそれぞれの構成要素の動作は、図17の説明と同様であるのとする。
【0302】
以下の説明においては、図3に示した、ゲインが1/2倍の場合にデジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの電圧値を参照し、アナログデジタル変換器200におけるそれぞれの動作期間のアナログ信号VDACと比較基準電圧VCOMとの関係も説明する。そして、以下の説明においては、デジタルアナログ変換器100のゲインが1/2倍のときに用いられる容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cに対応する3ビットのデジタル信号D(デジタル信号D1、デジタル信号D0、およびデジタル信号DA1)の値を、適宜バイナリコードで説明する。なお、上述したように、デジタルアナログ変換器100が1/2倍のゲイン値で出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整する場合には、容量C2に対応するデジタル信号D2は、全ての動作期間において、“Low”レベルを維持して変化しないため、適宜説明を省略する。
【0303】
アナログデジタル変換器200がアナログデジタル変換の動作を開始すると、まず、制御回路220は、サンプリング期間において、入力信号VINの電圧値がサンプリングされ、デジタルアナログ変換器100内の容量部110に備えた容量C0~容量C2および容量CA1の全ての容量Cに、タイミングt1における電荷が保持される。この場合のそれぞれの構成要素の動作は、図17に示した1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合の動作と同様である。従って、2倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合におけるサンプリング期間の動作に関する詳細な説明は省略する。
【0304】
そして、制御回路220は、比較実行期間において、まず、タイミングt1から、デジタル信号D1を“High”レベルにし、デジタル信号D0およびデジタル信号DA1のそれぞれを“Low”レベルで維持する。つまり、制御回路220は、3ビットのデジタル信号Dの値を“100”にする。これにより、デジタルアナログ変換器100では、スイッチSW1によって容量C1の第2の端子が参照電圧VREFのノードに接続され、スイッチSW0およびスイッチSWA1のそれぞれによって容量C0および容量CA1のそれぞれの第2の端子が接地電位のノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACは、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFのノードに接続された容量C1の容量値(=2Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(2/7.5)Cu×VREF)を加算した出力レベル4の電圧値となる。図18においては、アナログ信号VDACの電圧値が、出力レベル4の電圧値(VIN+(2/7.5)Cu×VREF)になる様子を示している。
【0305】
そして、比較器210は、このときのアナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較した比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路220に出力する。図18においては、図17に示した1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合の動作と同様に、比較器210が、タイミングt2において、アナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較してデジタル信号VCOUTを出力した様子を示している。そして、制御回路220が、デジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTの最上位ビットBIT2の値を保持し、出力している様子を示している。より具体的には、アナログ信号VDACの電圧値は比較基準電圧VCOMよりも低い電圧値であるため、比較器210が“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを出力する。これにより、制御回路220が“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTの最上位ビットBIT2の値として保持し、デジタル信号OUTの値が変化した様子を示している。
【0306】
なお、制御回路220は、タイミングt2において、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいて、デジタル信号D1の値を切り替えるか否かを決定する。なお、制御回路220がデジタル信号D1の値を切り替えるか否かを決定する際の考え方は、1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合においてデジタル信号D2やデジタル信号D1の値を切り替えるか否かを決定する際の考え方と同様である。つまり、制御回路220は、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、タイミングt2においてデジタル信号D1の値を“Low”レベルにする。一方、制御回路220は、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、タイミングt2においてデジタル信号D1の値を“High”レベルで維持する。また、制御回路220は、タイミングt2から、デジタル信号D0を“High”レベルにする。なお、制御回路220は、デジタル信号DA1を “Low”レベルで維持する。
【0307】
これにより、制御回路220は、タイミングt2における比較結果(デジタル信号VCOUT)に応じて、図17に示した1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合の動作と同様に、3ビットのデジタル信号Dの値を“010”または“110”のいずれかの値にする。つまり、制御回路220は、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、タイミングt2からのアナログ信号VDACの電圧値を、現在の電圧値から(1/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ減算した上式(12)で表される出力レベル2の電圧値(VIN+(1/7.5)Cu×VREF)に切り替える。一方、制御回路220は、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、タイミングt2からのアナログ信号VDACの電圧値を、現在の電圧値に(1/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した出力レベル6の電圧値(VIN+(3/7.5)Cu×VREF)に切り替える。
【0308】
図18においては、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルであるため、制御回路220は、タイミングt2から、3ビットのデジタル信号Dの値を“110”にする。つまり、制御回路220は、デジタル信号D1の値を“High”レベルで維持し、デジタル信号D0を“High”レベルにし、デジタル信号DA1を“Low”レベルで維持する。これにより、デジタルアナログ変換器100では、スイッチSW1によって容量C1の第2の端子が参照電圧VREFのノードに接続され、スイッチSW0によって容量C0の第2の端子が参照電圧VREFのノードに接続され、スイッチSWA1によって容量CA1の第2の端子が接地電位のノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACは、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFのノードに接続された容量C1および容量C0の合計の容量値(=3Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(3/7.5)Cu×VREF)を加算した出力レベル6の電圧値となる。図18においては、アナログ信号VDACの電圧値が、出力レベル6の電圧値(VIN+(3/7.5)Cu×VREF)になる様子を示している。
【0309】
そして、比較器210は、このときのアナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較した比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路220に出力する。図18においては、図17に示した1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合の動作と同様に、比較器210が、タイミングt3において、アナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較してデジタル信号VCOUTを出力した様子を示している。そして、制御回路220が、デジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTのビットBIT1(=最上位ビットBIT2-1)の値を保持し、タイミングt3のときに保持し、出力している様子を示している。より具体的には、アナログ信号VDACの電圧値は比較基準電圧VCOMよりも低い電圧値であるため、比較器210が“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを出力する。これにより、制御回路220が“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTのビットBIT1の値として保持し、デジタル信号OUTの値が変化した様子を示している。
【0310】
なお、制御回路220は、タイミングt3において、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいて、デジタル信号D0の値を切り替えるか否かを決定する。なお、制御回路220がデジタル信号D0の値を切り替えるか否かを決定する際の考え方は、1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合においてデジタル信号D2やデジタル信号D1の値を切り替えるか否かを決定する際の考え方と同様である。また、制御回路220は、タイミングt3から、デジタル信号DA1を“High”レベルにする。
【0311】
これにより、制御回路220は、タイミングt3における比較結果(デジタル信号VCOUT)に応じて、図17に示した1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合の動作と同様に、3ビットのデジタル信号Dの値を変更する。より具体的には、制御回路220は、現在の3ビットのデジタル信号Dの値が“010”である場合には、タイミングt3から、3ビットのデジタル信号Dの値を“001”または“011”のいずれかの値にする。一方、制御回路220は、現在の3ビットのデジタル信号Dの値が“110”である場合には、タイミングt3から、3ビットのデジタル信号Dの値を“101”または“111”のいずれかの値にする。
【0312】
つまり、制御回路220は、現在の3ビットのデジタル信号Dの値が“010”であり、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、タイミングt3からのアナログ信号VDACの電圧値を、現在の電圧値から(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ減算した上式(11)で表される出力レベル1の電圧値(VIN+(0.5/7.5)Cu×VREF)に切り替える。一方、制御回路220は、現在の3ビットのデジタル信号Dの値が“010”であり、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、タイミングt3からのアナログ信号VDACの電圧値を、現在の電圧値に(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した出力レベル3の電圧値(VIN+(1.5/7.5)Cu×VREF)に切り替える。
【0313】
また、制御回路220は、現在の3ビットのデジタル信号Dの値が“110”であり、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、タイミングt3からのアナログ信号VDACの電圧値を、現在の電圧値から(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ減算した出力レベル5の電圧値(VIN+(2.5/7.5)Cu×VREF)に切り替える。一方、制御回路220は、現在の3ビットのデジタル信号Dの値が“110”であり、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、タイミングt3からのアナログ信号VDACの電圧値を、現在の電圧値に(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した上式(13)で表される出力レベル7の電圧値(VIN+(3.5/7.5)Cu×VREF)に切り替える。
【0314】
図18においては、現在の3ビットのデジタル信号Dの値が“110”であり、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルであるため、制御回路220は、タイミングt3から、3ビットのデジタル信号Dの値を“111”にする。つまり、制御回路220は、デジタル信号D1の値を“High”レベルで維持し、デジタル信号D0を“High”レベルで維持し、デジタル信号DA1を“High”レベルにする。これにより、デジタルアナログ変換器100では、スイッチSW1によって容量C1の第2の端子が参照電圧VREFのノードに接続され、スイッチSW0によって容量C0の第2の端子が参照電圧VREFのノードに接続され、スイッチSWA1によって容量CA1の第2の端子が参照電圧VREFのノードに接続される。このため、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACは、入力信号VINの電圧値(=VIN)に、全ての容量Cの合計の容量値(=7.5Cu)と、参照電圧VREFのノードに接続された容量C1、容量C0、および容量CA1の合計の容量値(=3.5Cu)との比に応じた参照電圧VREFの電圧値(=(3.5/7.5)Cu×VREF)を加算した、上式(13)で表される出力レベル7の電圧値となる。図18においては、アナログ信号VDACの電圧値が、出力レベル7の電圧値(VIN+(3.5/7.5)Cu×VREF)になる様子を示している。
【0315】
そして、比較器210は、このときのアナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較した比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路220に出力する。図18においては、図17に示した1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合の動作と同様に、比較器210が、タイミングt4において、アナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較してデジタル信号VCOUTを出力した様子を示している。そして、制御回路220が、デジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTのビットBIT0(=最上位ビットBIT2-2:アナログデジタル変換器200では最下位ビット)の値を保持し、出力している様子を示している。より具体的には、アナログ信号VDACの電圧値は比較基準電圧VCOMの電圧値以上の電圧値であるため、比較器210が“High”レベルのデジタル信号VCOUTを出力する。これにより、制御回路220が“High”レベルのデジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTのビットBIT0の値として保持し、デジタル信号OUTの値が変化した様子を示している。
【0316】
このようにして、制御回路220は、2倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合においても、1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合と同様に、比較実行期間において、最上位ビット(MSB)から最下位ビット(LSB)に向かって1ビットずつ順に比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTを取得して、デジタル信号OUTのそれぞれのビットBITの値を保持する。そして、制御回路220は、2倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合においても、1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合と同様に、最終的に保持したそれぞれのビットBITの値を、アナログデジタル変換器200がアナログデジタル変換した入力信号VINの電圧値の大きさを表すデジタル信号OUTとして出力する。
【0317】
以降、アナログデジタル変換器200は、上述した2倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合におけるサンプリング期間の動作と比較実行期間の動作とを繰り返し、順次入力された入力信号VINの電圧値を順次アナログデジタル変換する。図18でも、図17に示した1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合の動作と同様に、アナログデジタル変換器200が、タイミングt4から次の入力信号VINのサンプリングを開始し、タイミングt5からアナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較する比較動作を開始している。そして、図18でも、図17に示した1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合の動作と同様に、タイミングt5~タイミングt6までの比較実行期間において、次に入力された入力信号VINに基づいて比較動作を行い、その判定に従ってそれぞれのビットBITの値を保持している。
【0318】
なお、2倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合においても、1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合と同様に、アナログデジタル変換器200は、制御回路220が全てのビットBITの値を保持した後であれば、いかなるタイミングから次の入力信号VINのサンプリングおよび次の入力信号VINの電圧値に基づいた比較動作を開始してもよい。
【0319】
このように、アナログデジタル変換器200では、デジタルアナログ変換器100が出力した1倍または1/2倍にゲイン調整したアナログ信号VDACを用いて、入出力ゲインを1倍または2倍に調整して入力信号VINをアナログデジタル変換する逐次比較型のアナログデジタル変換器として構成する。ここで、アナログデジタル変換器200において用いるデジタルアナログ変換器100は、ゲイン調整をした複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号VDACを出力する構成であるにもかかわらず、デジタルアナログ変換器100を形成するために要する面積の増大を抑えることができる。このことにより、アナログデジタル変換器200も、形成するために要する面積の増大を抑えて実現することができる。アナログデジタル変換器200では、デジタルアナログ変換器100の構成によって、アナログデジタル変換器200でゲイン調整するため、1倍にゲイン調整されたデジタル値OUTに対してデジタルの信号処理で2倍にゲイン調整する(つまり、ビットシフトする)よりも、S/N(Signal/Noise)特性や歪み特性の低下を抑えることができる。
【0320】
なお、上述したアナログデジタル変換器200では、デジタルアナログ変換器100を用いた構成について説明した。しかし、本発明のアナログデジタル変換器を構成するために用いるデジタルアナログ変換器は、上述したデジタルアナログ変換器100に限定されるものではない。つまり、本発明のアナログデジタル変換器を構成するために用いるデジタルアナログ変換器は、例えば、上述したデジタルアナログ変換器101やデジタルアナログ変換器102など、上述したいかなる構成の本発明のデジタルアナログ変換器を用いてもよい。
【0321】
また、上述したアナログデジタル変換器200では、1つのデジタルアナログ変換器100を備え、デジタルアナログ変換器100が出力したアナログ信号VDACを、比較器210が比較する一方の信号として入力する構成について説明した。しかし、本発明のアナログデジタル変換器において用いるデジタルアナログ変換器の数は1つに限定されるものではなく、比較器が比較する両方の信号のそれぞれに異なるデジタルアナログ変換器が出力したアナログ信号VDACを入力する構成にすることもできる。
【0322】
(アナログデジタル変換器の変形例)
ここで、比較器が比較する両方の信号のそれぞれに異なるデジタルアナログ変換器が出力したアナログ信号VDACを入力する構成のアナログデジタル変換器の一例について説明する。図19は、本発明のアナログデジタル変換器の変形例の構成の一例を示したブロック図である。図19に示したアナログデジタル変換器201は、2つのデジタルアナログ変換器100(デジタルアナログ変換器100Pおよびデジタルアナログ変換器100N)と、比較器211と、制御回路221とを備えている。アナログデジタル変換器201は、3ビットの分解能の2つのデジタルアナログ変換器100を用いることによって、4ビットの分解能でデジタル信号OUTを出力するアナログデジタル変換器である。
【0323】
デジタルアナログ変換器100Pおよびデジタルアナログ変換器100Nのそれぞれは、上述したように、1倍または1/2倍にゲイン調整した参照電圧VREFに基づいた電圧値の3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力するデジタルアナログ変換器100である。デジタルアナログ変換器100Pは、ゲイン調整した参照電圧VREFに基づいた電圧値を入力信号VINの電圧値に加算した3ビットの分解能のアナログ信号VDACPを比較器211の一方の入力端子(以下、「正の入力端子」とする)に出力する。デジタルアナログ変換器100Nは、ゲイン調整した参照電圧VREFに基づいた電圧値を比較基準電圧VCOMの電圧値に加算した3ビットの分解能のアナログ信号VDACNを比較器211の他方の入力端子(以下、「負の入力端子」とする)に出力する。
【0324】
比較器211は、図16に示した比較器210と同じ構成の比較器である。ただし、比較器211は、正の入力端子に入力されたデジタルアナログ変換器100Pからのアナログ信号VDACPの電圧値と、負の入力端子に入力されたデジタルアナログ変換器100Nからのアナログ信号VDACNの電圧値とを比較する。比較器211は、比較したアナログ信号VDACPの電圧値とアナログ信号VDACNの電圧値との大小関係に応じた比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路221に出力する。より具体的には、比較器211は、アナログ信号VDACPの電圧値が、アナログ信号VDACNの電圧値以上の電圧値であるか、アナログ信号VDACNよりも低い電圧値であるかを表すデジタル信号VCOUTを制御回路221に出力する。例えば、比較器211は、アナログ信号VDACPの電圧値がアナログ信号VDACNの電圧値以上の電圧値である場合には、“High”レベルのデジタル信号VCOUTを制御回路221に出力する。一方、比較器211は、アナログ信号VDACPの電圧値がアナログ信号VDACNよりも低い電圧値である場合には、“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを制御回路221に出力する。なお、アナログデジタル変換器201では、比較器211がアナログ信号VDACPの電圧値とアナログ信号VDACNの電圧値との大小関係を比較する方法や、比較器211の構成などに関しては、特に規定しない。
【0325】
制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいて、デジタルアナログ変換器100Pとデジタルアナログ変換器100Nとのそれぞれに対応するデジタル信号Dを生成し、生成したそれぞれのデジタル信号Dを対応するデジタルアナログ変換器100Pまたはデジタルアナログ変換器100Nに出力する。より具体的には、制御回路221は、デジタルアナログ変換器100Pに対応するデジタル信号DP(デジタル信号DSP、デジタル信号D0P~デジタル信号D2P、およびデジタル信号DA1P)を生成し、生成したそれぞれのデジタル信号DPをデジタルアナログ変換器100Pに出力する。制御回路221が出力したデジタル信号DPのそれぞれは、デジタルアナログ変換器100P内のスイッチ部120に備えた対応するそれぞれのスイッチSWの制御端子に接続される。これにより、制御回路221は、デジタルアナログ変換器100Pに、上述した3ビットの分解能のアナログ信号VDACPを出力する動作をさせる。また、制御回路221は、デジタルアナログ変換器100Nに対応するデジタル信号DN(デジタル信号DSN、デジタル信号D0N~デジタル信号D2N、およびデジタル信号DA1N)を生成し、生成したそれぞれのデジタル信号DNをデジタルアナログ変換器100Nに出力する。制御回路221が出力したデジタル信号DNのそれぞれは、デジタルアナログ変換器100N内のスイッチ部120に備えた対応するそれぞれのスイッチSWの制御端子に接続される。これにより、制御回路221は、デジタルアナログ変換器100Nに、上述した3ビットの分解能のアナログ信号VDACNを出力する動作をさせる。
【0326】
なお、アナログデジタル変換器201では、制御回路221がデジタル信号DPやデジタル信号DNを生成する方法や構成、デジタルアナログ変換器100Pやデジタルアナログ変換器100Nを動作させる(制御する)方向や構成などに関しては、特に規定しない。また、アナログデジタル変換器201では、制御回路221がデジタルアナログ変換器100Pとデジタルアナログ変換器100Nとのそれぞれにおいて出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整する際の倍率(1倍または1/2倍)を切り替える方法に関しても、特に規定しない。例えば、制御回路221は、外部の信号処理回路からの制御に応じて、デジタルアナログ変換器100Pとデジタルアナログ変換器100Nとのそれぞれが出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整する際の倍率を切り替える構成であってもよい。
【0327】
制御回路221も、アナログデジタル変換器200に備えた制御回路220と同様のSAR論理回路である。従って、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいて、アナログ信号VDACPの電圧値とアナログ信号VDACNの電圧値と差の大きさを逐次判定する。言い換えれば、制御回路221も、制御回路220と同様に、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいてアナログデジタル変換する対象の入力信号VINの電圧値の大きさを逐次判定する。制御回路221は、最終的に判定した入力信号VINの電圧値の大きさを表す値を、アナログデジタル変換器201が入力信号VINをアナログデジタル変換した結果のデジタル信号OUTとして出力する。なお、アナログデジタル変換器201に備えたデジタルアナログ変換器100Pは、3ビットの分解能のアナログ信号VDACPを出力するデジタルアナログ変換器である。また、アナログデジタル変換器201に備えたデジタルアナログ変換器100Nは、3ビットの分解能のアナログ信号VDACNを出力するデジタルアナログ変換器である。このため、制御回路221は、入力信号VINをアナログデジタル変換した結果として、4ビットの分解能のデジタル信号OUTを出力する。
【0328】
なお、アナログデジタル変換器201では、制御回路221が出力するデジタル信号OUTの構造などに関しては、特に規定しない。
【0329】
このような構成によって、アナログデジタル変換器201も、アナログデジタル変換器200と同様に、逐次比較型のアナログデジタル変換器として構成される。なお、デジタルアナログ変換器100Pは、上述したようにゲインを1倍または1/2倍に調整してアナログ信号VDACPを出力する。また、デジタルアナログ変換器100Nは、上述したように、ゲインを1倍または1/2倍に調整してアナログ信号VDACNを出力する。このため、アナログデジタル変換器201は、入出力ゲインを1倍または2倍に調整して入力信号VINをアナログデジタル変換する逐次比較型のアナログデジタル変換器として構成される。
【0330】
アナログデジタル変換器201でも、アナログデジタル変換器200と同様に、入力信号VINをアナログデジタル変換する際に、制御回路221が、最上位ビット(MSB)から最下位ビット(LSB)に向かって1ビットずつ順にアナログデジタル変換過程における判定結果を得る。そして、アナログデジタル変換器201でも、アナログデジタル変換器200と同様に、制御回路221が、最下位ビット(LSB)の判定結果を得た後に、最終的な入力信号VINの電圧値の大きさを表すデジタル信号OUTを出力する。
【0331】
ここで、アナログデジタル変換器201の動作について説明する。ここでは、アナログデジタル変換器201が1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合の動作について説明する。なお、以下の説明において2つのデジタルアナログ変換器100に備えた不図示の構成要素のそれぞれを区別する場合には、構成要素に付与した符号に続いて「P」または「N」を示すことによって、デジタルアナログ変換器100Pまたはデジタルアナログ変換器100Nのいずれの構成要素であるのかを区別する。例えば、デジタルアナログ変換器100Pに備えた容量C2は「容量C2P」と表し、デジタルアナログ変換器100Nに備えたスイッチSW0は「スイッチSW0N」と表す。
【0332】
以下の説明においては、デジタルアナログ変換器100のゲインが1倍のときに用いられる容量C2~容量C0の3つの容量Cに対応する3ビットのデジタル信号D(デジタル信号D2、デジタル信号D1、およびデジタル信号D0)の値を、適宜バイナリコードで説明する。なお、上述したように、デジタルアナログ変換器100が1倍のゲイン値で出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整する場合には、容量CA1に対応するデジタル信号DA1は、全ての動作期間において、“Low”レベルを維持して変化しないため、適宜説明を省略する。
【0333】
アナログデジタル変換器201がアナログデジタル変換の動作を開始すると、まず、制御回路221は、サンプリング期間において、デジタル信号DSPとデジタル信号DSNとのそれぞれを“High”レベル、デジタル信号D2P~デジタル信号D0Pおよびデジタル信号DA1Pとデジタル信号D2N~デジタル信号D0Nおよびデジタル信号DA1Nのそれぞれを“Low”レベルにする。これにより、デジタルアナログ変換器100Pでは、スイッチSWSPによって入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACPのノードとが接続され、スイッチSW2P~スイッチSW0PおよびスイッチSWA1Pによって容量C2P~容量C0Pおよび容量CA1Pのそれぞれの第2の端子が接地電位のノードに接続される。そして、デジタルアナログ変換器100Pでは、容量C2P~容量C0Pおよび容量CA1Pのそれぞれに、入力信号VINの電位と接地電位との電位差に応じた電荷が充電される。一方、デジタルアナログ変換器100Nでは、スイッチSWSNによって比較基準電圧VCOMの入力端子とアナログ信号VDACNのノードとが接続され、スイッチSW2N~スイッチSW0NおよびスイッチSWA1Nによって容量C2N~容量C0Nおよび容量CA1Nのそれぞれの第2の端子が接地電位のノードに接続される。そして、デジタルアナログ変換器100Nでは、容量C2N~容量C0Nおよび容量CA1Nのそれぞれに、比較基準電圧VCOMの電位と接地電位との電位差に応じた電荷が充電される。
【0334】
その後、制御回路221は、デジタル信号DSPとデジタル信号DSNを“Low”レベルにする。これにより、デジタルアナログ変換器100Pでは、スイッチSWSPによって入力信号VINの入力端子とアナログ信号VDACPのノードとの接続が切られる。そして、デジタルアナログ変換器100Pでは、入力信号VINの電圧値がサンプリングされ、容量C2P~容量C0Pおよび容量CA1Pの全ての容量Cに、入力信号VINによる電荷が保持される。一方、デジタルアナログ変換器100Nでは、スイッチSWSNによって比較基準電圧VCOMの入力端子とアナログ信号VDACNのノードとの接続が切られる。そして、デジタルアナログ変換器100Nでは、比較基準電圧VCOMの電圧値がサンプリングされ、容量C2N~容量C0Nおよび容量CA1Nの全ての容量Cに、比較基準電圧VCOMによる電荷が保持される。
【0335】
そして、比較実行期間において、まず、比較器211は、デジタルアナログ変換器100Pから出力されたアナログ信号VDACPの電圧値と、デジタルアナログ変換器100Nから出力されたアナログ信号VDACNの電圧値とを比較した比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路221に出力する。これにより、制御回路221が“High”レベルまたは“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTの最上位ビットBIT3の値として保持する。
【0336】
なお、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいて、デジタル信号D2Pの値を切り替えるかデジタル信号D2Nの値を切り替えるかを決定する。より具体的には、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、デジタル信号D2Nの値を“High”レベルにする。一方、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、デジタル信号D2Pの値を“High”レベルにする。
【0337】
これにより、制御回路221は、デジタル信号VCOUTに応じて、デジタル信号D2Pまたはデジタル信号D2Nのいずれか一方の値を“0”から“1”に変更する。つまり、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、アナログ信号VDACNの電圧値を、現在の電圧値に(4/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した電圧値(VCOM+(4/7.5)Cu×VREF)に切り替える。一方、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、アナログ信号VDACPの電圧値を、現在の電圧値に(4/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した電圧値(VIN+(4/7.5)Cu×VREF)に切り替える。
【0338】
そして、比較器211は、このときのアナログ信号VDACPの電圧値とアナログ信号VDACNの電圧値とを比較した比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路221に出力する。これにより、制御回路221が“High”レベルまたは“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTのビットBIT2の値として保持する。
【0339】
なお、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいて、デジタル信号D1Pの値を切り替えるかデジタル信号D1Nの値を切り替えるかを決定する。より具体的には、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、デジタル信号D1Nの値を“High”レベルにする。一方、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、デジタル信号D1Pの値を“High”レベルにする。
【0340】
これにより、制御回路221は、デジタル信号VCOUTに応じて、デジタル信号D1Pまたはデジタル信号D1Nのいずれか一方の値を“0”から“1”に変更する。つまり、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、アナログ信号VDACNの電圧値を、現在の電圧値に(2/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した電圧値に切り替える。一方、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、アナログ信号VDACPの電圧値を、現在の電圧値に(2/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した電圧値に切り替える。
【0341】
そして、比較器211は、このときのアナログ信号VDACPの電圧値とアナログ信号VDACNの電圧値とを比較した比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路221に出力する。これにより、制御回路221が“High”レベルまたは“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTのビットBIT1の値として保持する。
【0342】
なお、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいて、デジタル信号D0Pの値を切り替えるかデジタル信号D0Nの値を切り替えるかを決定する。より具体的には、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、デジタル信号D0Nの値を“High”レベルにする。一方、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、デジタル信号D0Pの値を“High”レベルにする。
【0343】
これにより、制御回路221は、デジタル信号VCOUTに応じて、デジタル信号D0Pまたはデジタル信号D0Nのいずれか一方の値を“0”から“1”に変更する。つまり、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、アナログ信号VDACNの電圧値を、現在の電圧値に(1/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した電圧値に切り替える。一方、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、アナログ信号VDACPの電圧値を、現在の電圧値に(1/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した電圧値に切り替える。
【0344】
そして、比較器211は、このときのアナログ信号VDACPの電圧値とアナログ信号VDACNの電圧値とを比較した比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路221に出力する。これにより、制御回路221が“High”レベルまたは“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTのビットBIT0の値として保持する。
【0345】
このようにして、制御回路221は、比較実行期間において、最上位ビット(MSB)から最下位ビット(LSB)に向かって1ビットずつ順に比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTを取得して、デジタル信号OUTのそれぞれのビットBITの値を保持する。そして、制御回路221は、最終的に保持したそれぞれのビットBITの値を、アナログデジタル変換器201がアナログデジタル変換した入力信号VINの電圧値の大きさを表すデジタル信号OUTとして出力する。
【0346】
以降、アナログデジタル変換器201は、上述したサンプリング期間の動作と比較実行期間の動作とを繰り返し、順次入力された入力信号VINの電圧値を順次アナログデジタル変換する。なお、アナログデジタル変換器201は、制御回路221が全てのビットBITの値を保持した後であれば、いかなるタイミングから次の入力信号VINのサンプリングおよび次の入力信号VINの電圧値に基づいた比較動作を開始してもよい。
【0347】
なお、上述したアナログデジタル変換器201の動作の説明は、アナログデジタル変換器201がパラレル形式でデジタル信号OUTを出力するアナログデジタル変換器である場合の動作である。しかし、アナログデジタル変換器201においても、上述したアナログデジタル変換器200と同様に、シリアル出力の形式でデジタル信号OUTを出力するアナログデジタル変換器である場合も考えられる。この場合のアナログデジタル変換器201も、上述したアナログデジタル変換器200と同様に、最終的な入力信号VINの電圧値の大きさを表すデジタル信号OUTを、それぞれのビットBITの判定結果を得るごとに順次出力する。
【0348】
続いて、アナログデジタル変換器201が2倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合の動作について説明する。以下の説明においては、デジタルアナログ変換器100のゲインが1/2倍のときに用いられる容量C0~容量C1および容量CA1の3つの容量Cに対応する3ビットのデジタル信号D(デジタル信号D1、デジタル信号D0、およびデジタル信号DA1)の値を、適宜バイナリコードで説明する。なお、上述したように、デジタルアナログ変換器100が1/2倍のゲイン値で出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整する場合には、容量C2に対応するデジタル信号D2は、全ての動作期間において、“Low”レベルを維持して変化しないため、適宜説明を省略する。
【0349】
アナログデジタル変換器201がアナログデジタル変換の動作を開始すると、まず、制御回路221は、サンプリング期間において、入力信号VINの電圧値がサンプリングされる。この場合のそれぞれの構成要素の動作は、1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合の動作と同様である。従って、2倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合におけるサンプリング期間の動作に関する詳細な説明は省略する。
【0350】
そして、比較実行期間において、まず、比較器211は、デジタルアナログ変換器100Pから出力されたアナログ信号VDACPの電圧値と、デジタルアナログ変換器100Nから出力されたアナログ信号VDACNの電圧値とを比較した比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路221に出力する。これにより、制御回路221が“High”レベルまたは“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTの最上位ビットBIT3の値として保持する。
【0351】
なお、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいて、デジタル信号D1Pの値を切り替えるかデジタル信号D1Nの値を切り替えるかを決定する。より具体的には、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、デジタル信号D1Nの値を“High”レベルにする。一方、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、デジタル信号D1Pの値を“High”レベルにする。
【0352】
これにより、制御回路221は、デジタル信号VCOUTに応じて、デジタル信号D1Pまたはデジタル信号D1Nのいずれか一方の値を“0”から“1”に変更する。つまり、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“High”レベルである場合には、アナログ信号VDACNの電圧値を、現在の電圧値に(2/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した電圧値に切り替える。一方、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTが“Low”レベルである場合には、アナログ信号VDACPの電圧値を、現在の電圧値に(2/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した電圧値に切り替える。
【0353】
そして、比較器211は、このときのアナログ信号VDACPの電圧値とアナログ信号VDACNの電圧値とを比較した比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路221に出力する。これにより、制御回路221が“High”レベルまたは“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTのビットBIT2の値として保持する。
【0354】
その後、同様にして、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいて、デジタル信号D0Pまたはデジタル信号D0Nのいずれか一方の値を“0”から“1”に変更する。これにより、制御回路221は、アナログ信号VDACPまたはアナログ信号VDACNの電圧値を、現在の電圧値に(1/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した電圧値に切り替える。
【0355】
そして、比較器211は、このときのアナログ信号VDACPの電圧値とアナログ信号VDACNの電圧値とを比較した比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路221に出力する。これにより、制御回路221が“High”レベルまたは“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTのビットBIT1の値として保持する。
【0356】
その後、同様にして、制御回路221は、比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいてデジタル信号DA1Pまたはデジタル信号DA1Nのいずれか一方の値を“0”から“1”に変更する。これにより、制御回路221は、アナログ信号VDACPまたはアナログ信号VDACNの電圧値を、現在の電圧値に(0.5/7.5)Cu×VREFの電圧値だけ加算した電圧値に切り替える。
【0357】
そして、比較器211は、このときのアナログ信号VDACPの電圧値とアナログ信号VDACNの電圧値とを比較した比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路221に出力する。これにより、制御回路221が“High”レベルまたは“Low”レベルのデジタル信号VCOUTを取得してデジタル信号OUTのビットBIT0の値として保持する。
【0358】
このようにして、制御回路221は、2倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合においても、1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合と同様に、比較実行期間において、最上位ビット(MSB)から最下位ビット(LSB)に向かって1ビットずつ順に比較器211から出力されたデジタル信号VCOUTを取得して、デジタル信号OUTのそれぞれのビットBITの値を保持する。そして、制御回路221は、2倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合においても、1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合と同様に、最終的に保持したそれぞれのビットBITの値を、アナログデジタル変換器201がアナログデジタル変換した入力信号VINの電圧値の大きさを表すデジタル信号OUTとして出力する。
【0359】
以降、アナログデジタル変換器201は、上述したサンプリング期間の動作と比較実行期間の動作とを繰り返し、順次入力された入力信号VINの電圧値を順次アナログデジタル変換する。なお、2倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合においても、1倍のゲイン値で入力信号VINの電圧値をアナログデジタル変換する場合と同様に、アナログデジタル変換器201は、制御回路221が全てのビットBITの値を保持した後であれば、いかなるタイミングから次の入力信号VINのサンプリングおよび次の入力信号VINの電圧値に基づいた比較動作を開始してもよい。
【0360】
このように、アナログデジタル変換器201では、デジタルアナログ変換器100を2つ用いることによって、4ビットの分解能でデジタル信号OUTを出力する逐次比較型のアナログデジタル変換器として構成する。なお、デジタルアナログ変換器100Pおよびデジタルアナログ変換器100Nのそれぞれは、ゲインを1倍または1/2倍に調整してアナログ信号VDACPおよびアナログ信号VDACNのそれぞれを出力するため、アナログデジタル変換器201は、入出力ゲインを1倍または2倍に調整して入力信号VINをアナログデジタル変換する逐次比較型のアナログデジタル変換器として構成される。ここで、アナログデジタル変換器201において用いるデジタルアナログ変換器100Pおよびデジタルアナログ変換器100Nのそれぞれは、ゲイン調整をした複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号VDACを出力する構成であるにもかかわらず、それぞれのデジタルアナログ変換器100を形成するために要する面積の増大を抑えることができる。このことにより、アナログデジタル変換器201も、アナログデジタル変換器200と同様に、形成するために要する面積の増大を抑えて実現することができる。しかも、アナログデジタル変換器201も、アナログデジタル変換器200と同様に、デジタルアナログ変換器100の構成によって、アナログデジタル変換器201でゲイン調整するため、1倍にゲイン調整されたデジタル値OUTに対してデジタルの信号処理で2倍にゲイン調整する(つまり、ビットシフトする)よりも、S/N特性や歪み特性の低下を抑えることができる。
【0361】
本発明のアナログデジタル変換器によれば、デジタルアナログ変換器(例えば、デジタルアナログ変換器100)と、一方の入力端子に入力されたデジタルアナログ変換器(例えば、デジタルアナログ変換器100)が出力したアナログ信号(アナログ信号VDAC)の電圧値と、他方の入力端子に入力された比較対象の電圧(例えば、比較基準電圧VCOM)の電圧値との大小関係を比較する比較器(比較器210)と、比較器210の比較結果に基づいて、入力された信号(例えば、入力信号VIN)の電圧値の大きさを表す分解能のデジタル信号(デジタル信号OUT)を出力するとともに、デジタルアナログ変換器(例えば、デジタルアナログ変換器100)に備えたそれぞれのスイッチ(スイッチSW)に対応する制御信号(デジタル信号D)を生成する制御回路(制御回路220)と、を備えるアナログデジタル変換器(例えば、アナログデジタル変換器200)が構成される。
【0362】
上述したように、本発明のアナログデジタル変換器では、本発明のデジタルアナログ変換器を用いて、逐次比較型のアナログデジタル変換器として構成する。ここで、本発明のアナログデジタル変換器で用いる本発明のデジタルアナログ変換器は、ゲイン調整をした複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号VDACを出力する構成であるにもかかわらず、本発明のデジタルアナログ変換器を形成するために要する面積の増大を抑えることができる。このことにより、本発明のアナログデジタル変換器も、形成するために要する面積の増大を抑えて実現することができる。本発明のアナログデジタル変換器では、本発明のデジタルアナログ変換器の構成によってデジタルアナログ変換器でゲイン調整するため、1倍にゲイン調整されたデジタル値OUTに対してデジタルの信号処理で2倍にゲイン調整する(つまり、ビットシフトする)よりも、S/N特性や歪み特性の低下を抑えることができる。
【0363】
(信号処理装置)
次に、本発明のアナログデジタル変換器(逐次比較型のアナログデジタル変換器)を備えた信号処理装置について説明する。なお、以下の説明においては、デジタルアナログ変換器100を用いたアナログデジタル変換器を備えた信号処理装置について説明する。図20は、本発明の信号処理装置の構成の一例を示したブロック図である。図20に示した信号処理装置300は、デジタルアナログ変換器100と、比較器210と、制御回路320と、信号処理回路330とを備えている。
【0364】
デジタルアナログ変換器100は、上述したように、1倍または1/2倍にゲイン調整した参照電圧VREFに基づいた電圧値を入力信号VINの電圧値に加算した3ビットの分解能のアナログ信号VDACを比較器210に出力する。
【0365】
比較器210は、上述したように、デジタルアナログ変換器100から出力されたアナログ信号VDACの電圧値と、入力された比較基準電圧VCOMの電圧値とを比較し、比較したアナログ信号VDACの電圧値と比較基準電圧VCOMの電圧値との大小関係に応じた比較結果を表すデジタル信号VCOUTを制御回路320に出力する。
【0366】
制御回路320は、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいて、デジタル信号D(デジタル信号DS、デジタル信号D0~デジタル信号D2、およびデジタル信号DA1)を生成し、生成したそれぞれのデジタル信号Dをデジタルアナログ変換器100に出力する。ただし、制御回路320は、信号処理回路330から出力されたデジタル信号DGに応じて、デジタルアナログ変換器100が出力するアナログ信号VDACの出力振幅をゲイン調整する際の倍率を、1倍または1/2倍のいずれか一方に切り替える構成である。つまり、制御回路320は、デジタルアナログ変換器100が、信号処理回路330から出力されたデジタル信号DGに応じた倍率でゲイン調整したアナログ信号VDACを出力させるためのデジタル信号Dを生成してデジタルアナログ変換器100に出力する。制御回路220が出力したデジタル信号Dのそれぞれは、デジタルアナログ変換器100内のスイッチ部120に備えた対応するそれぞれのスイッチSWの制御端子に接続される。これにより、制御回路320は、デジタルアナログ変換器100に、信号処理回路330から出力されたデジタル信号DGに応じた倍率でゲイン調整した3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力する動作をさせる。なお、信号処理装置300では、制御回路320がデジタル信号Dを生成する方法や構成、デジタルアナログ変換器100を動作させる(制御する)方向や構成などに関しては、特に規定しない。
【0367】
なお、制御回路320は、デジタルアナログ変換器100に、出力するアナログ信号VDACに対してオフセット調整をするように動作させる(制御する)こともできる。例えば、制御回路320は、入力信号VINの電圧値が所望の電圧値の範囲に対して低い場合には、入力信号VINの電圧値を高くするようにオフセット調整させ、入力信号VINの電圧値が所望の電圧値の範囲に対して高い場合には、入力信号VINの電圧値を低くするようにオフセット調整させる。なお、信号処理装置300では、制御回路320がデジタルアナログ変換器100にオフセット調整をするように動作させる(制御する)方法や構成などに関しては、特に規定しない。
【0368】
制御回路320は、アナログデジタル変換器200に備えた制御回路220と同様のSAR論理回路である。従って、制御回路320は、比較器210から出力されたデジタル信号VCOUTに基づいてアナログデジタル変換する対象の入力信号VINの電圧値の大きさを逐次判定する。制御回路320は、最終的に判定した入力信号VINの電圧値の大きさを表す値を、アナログデジタル変換器が入力信号VINをアナログデジタル変換した結果のデジタル信号OUTとして出力する。信号処理装置300では、制御回路320が出力したデジタル信号OUTは、信号処理回路330にも出力される。なお、信号処理装置300では、制御回路320が出力するデジタル信号OUTの構造などに関しては、特に規定しない。
【0369】
信号処理装置300では、デジタルアナログ変換器100と、比較器210と、制御回路320との構成によって、アナログデジタル変換器200と同様の逐次比較型のアナログデジタル変換器が構成されている。以下の説明においては、信号処理装置300に構成された逐次比較型のアナログデジタル変換器を、「アナログデジタル変換器202」という。
【0370】
信号処理回路330は、アナログデジタル変換器202を構成する制御回路320から出力されたデジタル信号OUTに基づいて、アナログデジタル変換器202が次にアナログデジタル変換する際にゲイン調整するアナログ信号VDACのゲイン値を判定する。なお、信号処理回路330がアナログ信号VDACのゲイン値を判定するために用いるデジタル信号OUTは、1つであってもよいし、複数であってもよい。信号処理回路330は判定した結果に基づいて、ゲイン値の変更(切り替え)を指示するゲイン変更信号であるデジタル信号DGを、制御回路320に出力する。より具体的には、信号処理回路330は、現在のゲインが1倍であり、デジタル信号OUTの値が入力信号の振幅(変動範囲)が小さいことを示す場合には、次にアナログデジタル変換する際のゲイン値を高くすると判定し、ゲイン値を2倍に切り替えることを表すデジタル信号DGを制御回路320に出力する。一方、信号処理回路330は、現在のゲインが2倍であり、デジタル信号OUTの値が入力信号の振幅(変動範囲)が大きいことを示す場合には、次にアナログデジタル変換する際のゲイン値を低くすると判定し、ゲイン値を1倍に切り替えることを表すデジタル信号DGを制御回路320に出力する。言い換えれば、信号処理回路330は、アナログ信号VDACをゲイン調整する現在のゲイン値と現在のデジタル信号OUTとに基づいて、アナログ信号VDACをゲイン調整する際のゲイン値を上げるか下げるか判定し、判定した結果を制御回路320(つまり、アナログデジタル変換器202)にフィードバックする。なお、信号処理回路330が複数のデジタル信号OUTに基づいて、アナログ信号VDACをゲイン調整する際のゲイン値を上げるか下げるか判定する場合には、以前のゲイン値と現在までのデジタル信号OUTとに基づいて判定し、判定した結果を制御回路320(アナログデジタル変換器202)にフィードバックする。これにより、制御回路320は、信号処理回路330から出力されたデジタル信号DGに応じて、出力振幅を1倍または1/2倍のいずれか一方のゲイン値でゲイン調整したアナログ信号VDACをデジタルアナログ変換器100に出力させる。
【0371】
このような構成によって、信号処理装置300は、逐次比較型のアナログデジタル変換器202を備えた信号処理装置として構成される。そして、信号処理装置300は、上述したようにアナログデジタル変換器202がアナログデジタル変換する際にアナログ信号VDACに対してゲイン調整するゲイン値をフィードバックする。これにより、信号処理装置300は、最適な大きさの範囲にアナログデジタル変換された入力信号VINの電圧値の大きさを表すデジタル信号OUTを得ることができる。ここで、アナログデジタル変換器202において用いるデジタルアナログ変換器100は、ゲイン調整をした複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号VDACを出力する構成であるにもかかわらず、デジタルアナログ変換器100を形成するために要する面積の増大を抑えることができる。このことにより、信号処理装置300も、形成するために要する面積の増大を抑えて実現することができる。
【0372】
なお、上述した信号処理装置300では、デジタルアナログ変換器100を用いて構成されるアナログデジタル変換器202を備えた構成について説明した。しかし、本発明の信号処理装置に備える逐次比較型のアナログデジタル変換器を構成するために用いるデジタルアナログ変換器は、上述したデジタルアナログ変換器100に限定されるものではない。つまり、本発明の信号処理装置に備える逐次比較型のアナログデジタル変換器を構成するために用いるデジタルアナログ変換器は、例えば、上述したデジタルアナログ変換器101やデジタルアナログ変換器102など、上述したいかなる構成の本発明のデジタルアナログ変換器を用いてもよい。
【0373】
また、上述した信号処理装置300では、アナログデジタル変換器200と同様に1つのデジタルアナログ変換器100を用いて構成されるアナログデジタル変換器202を備えた構成について説明した。しかし、本発明の信号処理装置に備えるアナログデジタル変換器において用いるデジタルアナログ変換器の数は1つに限定されるもではない。つまり、本発明の信号処理装置に備える逐次比較型のアナログデジタル変換器は、例えば、アナログデジタル変換器201などのように、2つのデジタルアナログ変換器を用いて構成される本発明のアナログデジタル変換器を備えてもよい。
【0374】
本発明の信号処理装置によれば、アナログデジタル変換器(例えば、アナログデジタル変換器202)と、アナログデジタル変換器202から出力されたデジタル信号(デジタル信号OUT)に基づいて、アナログデジタル変換器202が次にアナログデジタル変換する際にゲイン調整するアナログデジタル変換器202内のデジタルアナログ変換器(例えば、デジタルアナログ変換器100)が出力するアナログ信号(アナログ信号VDAC)の電圧値のゲイン値を判定し、判定した結果に基づいてゲイン値の変更を指示するゲイン変更信号(デジタル信号DG)を、アナログデジタル変換器202に出力する信号処理回路(信号処理回路330)と、を備え、アナログデジタル変換器202に備えた制御回路(制御回路320)は、デジタル信号DGに応じて、デジタルアナログ変換器100に備えたそれぞれのスイッチ(スイッチSW)に対応する制御信号(デジタル信号D)を生成する、信号処理装置(例えば、信号処理装置300)が構成される。
【0375】
上述したように、本発明の信号処理装置は、本発明のアナログデジタル変換器を備えて構成する。そして、本発明の信号処理装置は、備えている本発明のアナログデジタル変換器がアナログデジタル変換する際にアナログ信号VDACに対してゲイン調整するゲイン値をフィードバックする。これにより、本発明の信号処理装置では、最適な大きさの範囲にアナログデジタル変換された入力信号VINの電圧値の大きさを表すデジタル信号OUTを得ることができる。ここで、本発明の信号処理装置に備える本発明のアナログデジタル変換器において用いる本発明のデジタルアナログ変換器は、ゲイン調整をした複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号VDACを出力する構成であるにもかかわらず、本発明のデジタルアナログ変換器を形成するために要する面積の増大を抑えることができる。このことにより、本発明の信号処理装置も、形成するために要する面積の増大を抑えて実現することができる。しかも、本発明の信号処理装置に備える本発明のアナログデジタル変換器では、本発明のデジタルアナログ変換器の構成によって、本発明のデジタルアナログ変換器でゲイン調整するため、1倍にゲイン調整されたデジタル値OUTに対してデジタルの信号処理で2倍にゲイン調整する(つまり、ビットシフトする)よりも、S/N特性や歪み特性の低下を抑えることができる。
【0376】
(固体撮像装置)
次に、本発明のアナログデジタル変換器(逐次比較型のアナログデジタル変換器)を備えた固体撮像装置について説明する。なお、以下の説明においては、デジタルアナログ変換器100を用いたアナログデジタル変換器200を備えた固体撮像装置について説明する。図21は、本発明の固体撮像装置の構成の一例を示したブロック図である。図21に示した固体撮像装置400は、画素アレイ部410と、画素選択部420と、アナログデジタル変換器200とを備えている。
【0377】
固体撮像装置400は、撮像した画素アレイ部410内に配置されている各画素から出力されたそれぞれの画素信号(アナログ信号)を、アナログデジタル変換器200でアナログデジタル変換し、画素のデジタル値をデジタル信号OUTとして順次出力する。固体撮像装置400は、1つのアナログデジタル変換器200を備えた構成の固体撮像装置である。
【0378】
画素アレイ部410は、複数の画素が二次元の行列状に配置されている。画素アレイ部410に配置されているそれぞれの画素は、例えば、フォトダイオードなどの光電変換素子を備え、それぞれの画素に備えた光電変換素子は、一定の蓄積時間(露光時間)内に入射した光量に応じた光電変換信号を発生する。そして、画素アレイ部410は、画素選択部420からの読み出しの制御に従って、それぞれの画素が発生した光電変換信号に応じた画素信号を、対応する画素信号出力線PIXOUTに出力する。図21では、n個(n=2以上の自然数、正の整数)の画素が配置されている画素アレイ部410を示している。画素アレイ部410に配置された画素には、赤色(R)の波長帯域の光を透過するオンチップカラーフィルタが貼付された画素(以下、「R画素」という)と、緑色(G)の波長帯域の光を透過するオンチップカラーフィルタが貼付された画素(以下、「G画素」という)と、青色(B)の波長帯域の光を透過するオンチップカラーフィルタが貼付された画素(以下、「B画素」という)とがある。それぞれの画素は、発生した光電変換信号に応じた画素信号を、対応する画素信号出力線PIXOUT(1)~画素信号出力線PIXOUT(n)のそれぞれに出力する。例えば、画素アレイ部410に配置された1つ目の画素(G画素)は、発生した光電変換信号に応じた画素信号を、対応する画素信号出力線PIXOUT(1)に出力する。
【0379】
画素選択部420は、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素を順次選択し、選択した画素から画素信号を読み出す。画素選択部420は、選択した画素から読み出されて対応する画素信号出力線PIXOUTに出力された画素信号を取得し、取得した画素信号を入力信号VINとして順次、アナログデジタル変換器200に出力する。画素選択部420は、例えば、垂直走査回路や水平走査回路など、画素の選択と画素信号の読み出しに関する構成要素を備えている。垂直走査回路は、画素アレイ部410に配置された画素を画素アレイ部410の行ごとに駆動し、画素信号を画素信号出力線PIXOUTに出力させる。水平走査回路は、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素から対応する画素信号出力線PIXOUTに出力されたそれぞれの行の画素信号を画素アレイ部410の列ごとに選択し、選択した画素信号を順次、入力信号VINとしてアナログデジタル変換器200に出力する。これにより、アナログデジタル変換器200には、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素が出力した画素信号に対応する入力信号VINが、いわゆる、ラスター順に、順次出力される。なお、画素選択部420は、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling:CDS)処理によって画素信号のノイズを抑圧するCDS回路など、アナログ信号である画素信号に対して処理をする構成要素を含んで構成されてもよい。
【0380】
アナログデジタル変換器200は、上述したように、入力された入力信号VINをアナログデジタル変換し、デジタル信号OUTとして出力する。アナログデジタル変換器200は、画素選択部420から順次出力された入力信号VINをアナログデジタル変換した結果のデジタル信号OUTを順次、固体撮像装置400の外部に出力する。
【0381】
ここで、固体撮像装置400に備えたアナログデジタル変換器200では、上述したように、1倍または1/2倍にゲイン調整した参照電圧VREFに基づいた電圧値を入力信号VINの電圧値に加算した3ビットの分解能のアナログ信号VDACを出力するデジタルアナログ変換器100を備えている。このため、固体撮像装置400に備えたアナログデジタル変換器200は、上述したように、デジタルアナログ変換器100が出力した1倍または1/2倍にゲイン調整したアナログ信号VDACを用いて、入出力ゲインを1倍または2倍に調整して入力信号VINをアナログデジタル変換することができる。従って、固体撮像装置400では、アナログデジタル変換器200に、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素から出力される画素信号に対して1倍または2倍にゲイン調整してアナログデジタル変換をさせることができる。
【0382】
より具体的には、固体撮像装置400では、アナログデジタル変換器200に、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素に対応する全ての画素信号に対して同じゲイン値でゲイン調整をしてアナログデジタル変換をさせることができる。例えば、固体撮像装置400において暗いシーンを撮像した場合には、それぞれの画素から出力される画素信号が全体的に小さくなることが考えられる。この場合、固体撮像装置400では、アナログデジタル変換器200に、全ての画素信号(入力信号VIN)に対して2倍のゲイン値でゲイン調整をしてアナログデジタル変換をさせる。一方、固体撮像装置400において明るいシーンを撮像した場合には、それぞれの画素から出力される画素信号が全体的に大きくなることが考えられる。この場合、固体撮像装置400では、アナログデジタル変換器200に、全ての画素信号に対して1倍のゲイン値でゲイン調整をしてアナログデジタル変換をさせる。なお、固体撮像装置400において撮像した明るいシーンが、例えば、全体的に白いシーンであり、それぞれの画素から出力される画素信号の値の差が小さい場合には、全ての画素信号に対して2倍のゲイン値でゲイン調整(またはオフセット調整)をしてアナログデジタル変換した方が有効なときもある。この場合、固体撮像装置400では、アナログデジタル変換器200に、全ての画素信号に対して2倍のゲイン値でゲイン調整(またはオフセット調整)をしてアナログデジタル変換をさせる。一方、固体撮像装置400において撮像した明るいシーンが、例えば、全体的に色が多いシーンであり、それぞれの画素から出力される画素信号の値の差が大きい場合、固体撮像装置400では、アナログデジタル変換器200に、全ての画素信号に対して1倍のゲイン値でゲイン調整をしてアナログデジタル変換をさせる。このように、固体撮像装置400では、デジタル信号OUTを外部に出力するときに、撮像したシーンに応じた適切なゲイン値でゲイン調整をしてそれぞれの画素信号をアナログデジタル変換したデジタル信号OUTを出力することができる。
【0383】
また、固体撮像装置400では、上述したように、画素選択部420が、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素が出力した画素信号に対応する入力信号VINをラスター順に順次出力する。従って、固体撮像装置400では、アナログデジタル変換器200に入力信号VINとして入力されるそれぞれの画素信号が、何色のオンチップカラーフィルタが貼付された画素が出力した画素信号であるかを認識することができる。このため、固体撮像装置400では、アナログデジタル変換器200に、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素に対応するそれぞれの画素信号ごとに異なるゲイン値でゲイン調整をしてアナログデジタル変換をさせることもできる。例えば、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素に貼付されたオンチップカラーフィルタにおいて、特定の色の波長帯域のみ光の透過特性が低いことが考えられる。この場合、固体撮像装置400では、アナログデジタル変換器200に、透過特性が低いオンチップカラーフィルタが貼付された画素の画素信号(入力信号VIN)に対しては2倍のゲイン値でゲイン調整をしてアナログデジタル変換をさせ、その他の画素の画素信号に対しては1倍のゲイン値でゲイン調整をしてアナログデジタル変換をさせる。これにより、固体撮像装置400では、デジタル信号OUTを外部に出力するときに、それぞれの画素の特性に応じた適切なゲイン値でゲイン調整をしてそれぞれの画素信号をアナログデジタル変換したデジタル信号OUTを出力することができる。言い換えれば、固体撮像装置400では、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素の特性のずれによる影響が抑えられたデジタル信号OUTを出力することができる。
【0384】
なお、固体撮像装置400においてそれぞれの画素信号ごとに異なるゲイン値でゲイン調整させる理由は、上述したような、特定の色の波長帯域のみ光の透過特性が低いという理由に限定されるものではない。例えば、固体撮像装置400において撮像する画像のホワイトバランス調整や色相調整をする場合に、それぞれの画素信号ごとにゲイン値を変更して(切り替えて)ゲイン調整をしてもよい。この場合、固体撮像装置400では、それぞれの画素信号に対応するデジタル信号OUTを出力するときに、ホワイトバランス調整や色相調整がされた画像に対応するデジタル信号OUTを出力することができる。
【0385】
なお、固体撮像装置400では、アナログデジタル変換器200にゲイン調整をさせるゲイン値を変更する(切り替える)構成に関しては、特に規定しない。例えば、固体撮像装置400は、外部の信号処理回路からの制御に応じて、アナログデジタル変換器200がゲイン調整する際のゲイン値を切り替える構成であってもよい。また、例えば、固体撮像装置400に、上述した信号処理装置300に備えた信号処理回路330と同様の機能を実現する不図示の信号処理回路を備え、アナログデジタル変換器200が、不図示の信号処理回路からの指示に応じてゲイン調整する際のゲイン値を切り替える構成であってもよい。
【0386】
このような構成によって、固体撮像装置400は、逐次比較型のアナログデジタル変換器200を備えた固体撮像装置として構成される。そして、固体撮像装置400は、上述したように、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素から出力される画素信号に対してゲイン調整をしてアナログデジタル変換したデジタル信号OUTを、外部に順次出力する。つまり、固体撮像装置400では、アナログデジタル変換器200によって、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素から出力される画素信号に対するゲイン調整をする。ここで、固体撮像装置400に備えたアナログデジタル変換器200において用いるデジタルアナログ変換器100は、ゲイン調整をした複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号VDACを出力する構成であるにもかかわらず、デジタルアナログ変換器100を形成するために要する面積の増大を抑えることができる。このことにより、固体撮像装置400では、画素信号に対するゲイン調整の機能をアナログデジタル変換器200の前段の回路(例えば、画素選択部420内)で実現するために増幅回路などを設ける必要がなく、増幅回路を設けるために必要な面積の増大や消費電力の増加を抑えた状態で、ゲイン調整の機能を付加することができる。しかも、固体撮像装置400に備えたアナログデジタル変換器200では、デジタルアナログ変換器100の構成によってゲイン調整をする。このため、固体撮像装置400では、画素信号に対して2倍にゲイン調整をする場合を比較すると、外部の信号処理回路などによってデジタルの信号処理で2倍にゲイン調整をする(つまり、ビットシフトする)よりも、S/N特性や歪み特性の低下を抑えることができる。また、固体撮像装置400では、アナログデジタル変換器200によって、それぞれの画素信号に対して適切なゲイン値でゲイン調整をすることができる。これにより、固体撮像装置400では、撮像する画像の画質を向上させることができる。
【0387】
なお、上述した固体撮像装置400では、アナログデジタル変換器200を備えた構成について説明した。しかし、本発明の固体撮像装置に備えるアナログデジタル変換器は、上述したアナログデジタル変換器200に限定されるものではない。つまり、本発明の固体撮像装置に備えるアナログデジタル変換器は、例えば、上述したアナログデジタル変換器201やアナログデジタル変換器202など、上述したいかなる構成の本発明のアナログデジタル変換器を備えてもよい。また、本発明の固体撮像装置に、例えば、上述した信号処理装置300に備えた信号処理回路330を備えてもよい。すなわち、上述した固体撮像装置400において、アナログデジタル変換器200の代わりに信号処理装置300を備える構成と同様の構成にしてもよい。
【0388】
また、上述した固体撮像装置400では、1つのアナログデジタル変換器200を備えた構成について説明した。しかし、本発明の固体撮像装置に備えるアナログデジタル変換器の数は1つに限定されるもではない。つまり、本発明の固体撮像装置に、複数の本発明のアナログデジタル変換器を備えてもよい。
【0389】
(固体撮像装置の変形例)
ここで、複数のアナログデジタル変換器(逐次比較型のアナログデジタル変換器)を備えた構成の固体撮像装置の一例について説明する。なお、以下の説明においても、固体撮像装置に、デジタルアナログ変換器100を用いたアナログデジタル変換器200を備えた構成について説明する。図22は、本発明の固体撮像装置の変形例の構成の一例を示したブロック図である。図22に示した固体撮像装置401は、画素アレイ部410と、複数の画素選択部421と、複数のアナログデジタル変換器200とを備えている。
【0390】
なお、図22に示した固体撮像装置401の構成要素には、図21に示した固体撮像装置400の構成要素と同様の構成要素も含まれている。従って、固体撮像装置401の構成要素において、固体撮像装置400の構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。
【0391】
固体撮像装置401も、固体撮像装置400と同様に、撮像した画素アレイ部410内に配置されている各画素から出力されたそれぞれの画素信号をアナログデジタル変換して、画素のデジタル値をデジタル信号OUTとして順次出力する。ただし、固体撮像装置401では、画素アレイ部410内に配置されている予め定めた画素の領域(以下、「画素領域」という)ごとに、対応する1つのアナログデジタル変換器200を備えている。ここで、画素領域は、例えば、画素アレイ部410において同じ1列または複数列に含まれる画素の領域を1つの画素領域としてもよい。また、画素領域は、例えば、画素アレイ部410における予め定めた行数および列数からなる矩形の領域に含まれる画素の領域を1つの画素領域としてもよい。さらには、画素領域は、例えば、画素アレイ部410における予め定めた間隔で配置された複数の画素を1つの画素領域としてもよい。さらには、画素領域は、例えば、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素を、1つの画素領域としてもよい。
【0392】
画素選択部421は、画素選択部420と同様に、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素を順次選択し、選択した画素から画素信号を読み出す。ただし、画素選択部421は、画素アレイ部410における対応する画素領域内に配置されたそれぞれの画素から画素信号を順次読み出す。図22では、m個(m=2以上の自然数、正の整数)の画素選択部421を備えている構成を示している。画素選択部421(1)~画素選択部421(m)のそれぞれは、対応する画素領域内の選択した画素から読み出されて対応する画素信号出力線PIXOUTに出力された画素信号を取得し、取得した画素信号を入力信号VIN(1)~入力信号VIN(m)として順次、対応するアナログデジタル変換器200に出力する。画素選択部421のそれぞれも、画素選択部420と同様に、例えば、垂直走査回路や水平走査回路などの画素の選択と画素信号の読み出しに関する構成要素を備えている。なお、画素選択部421は、画素の選択と画素信号の読み出しに関する垂直走査回路や水平走査回路などの構成要素を、それぞれの画素選択部421ごとに備えていてもよいが、複数の画素選択部421で共通の垂直走査回路や水平走査回路などの構成要素を備えてもよい。この場合、それぞれの画素選択部421は、共通の垂直走査回路や水平走査回路によって対応する画素から画素信号が読み出されて対応する画素信号出力線PIXOUTに出力されたときに画素信号を取得する。なお、画素選択部421のそれぞれも、画素選択部420と同様に、CDS回路などの画素信号に対して処理をする構成要素を含んで構成されてもよい。
【0393】
アナログデジタル変換器200は、上述したように、入力された入力信号VINをアナログデジタル変換し、デジタル信号OUTとして出力する。ただし、アナログデジタル変換器200は、対応する画素選択部421から順次出力された入力信号VINをアナログデジタル変換して出力する。図22では、画素選択部421のそれぞれに対応するm個(m=2以上の自然数、正の整数)のアナログデジタル変換器200を備えている構成を示している。アナログデジタル変換器200(1)~アナログデジタル変換器200(m)のそれぞれは、対応する画素選択部421(1)~画素選択部421(m)によって順次出力された対応する入力信号VIN(1)~入力信号VIN(m)をアナログデジタル変換した結果のデジタル信号OUT(1)~デジタル信号OUT(m)を順次、固体撮像装置401の外部に出力する。
【0394】
このような構成によって、固体撮像装置401は、画素領域に対応した複数の逐次比較型のアナログデジタル変換器200を備えた固体撮像装置として構成される。そして、固体撮像装置401でも、固体撮像装置400と同様に、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素から出力される画素信号に対してゲイン調整をしてアナログデジタル変換したデジタル信号OUTを、外部に順次出力する。これにより、固体撮像装置401でも、固体撮像装置400と同様に、デジタル信号OUTを外部に出力するときに、撮像したシーンやそれぞれの画素の特性に応じた適切なゲイン値でゲイン調整をしてそれぞれの画素信号をアナログデジタル変換したデジタル信号OUTを出力することができる。このことにより、固体撮像装置401でも、固体撮像装置400と同様の効果を得ることができる。しかも、固体撮像装置401では、それぞれのアナログデジタル変換器200ごとに、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素から出力される画素信号に対するゲイン調整を異なるゲイン値にすることもできる。このため、固体撮像装置401では、画素領域の区切りの単位で異なるゲイン値でゲイン調整をしてアナログデジタル変換する場合には、アナログデジタル変換器200ごとにゲイン調整するためのゲイン値を設定すればよくなる。言い換えれば、固体撮像装置401では、同じアナログデジタル変換器200に対してゲイン値を変更する(切り替える)制御をせずに、それぞれアナログデジタル変換器200に対する制御を容易にすることができる。なお、固体撮像装置401でも、固体撮像装置400と同様に、アナログデジタル変換器200にゲイン調整をさせるゲイン値を変更(切り替える)構成に関しては、特に規定しない。
【0395】
本発明の固体撮像装置によれば、入射した光量に応じた光電変換信号を発生する複数の画素を二次元の行列状に配置した画素アレイ部(画素アレイ部410)と、画素アレイ部410に配置されたそれぞれの画素を選択し、選択した画素から光電変換信号に応じた画素信号を読み出す画素選択部(例えば、画素選択部420)と、アナログデジタル変換器(例えば、アナログデジタル変換器200)と、を備え、アナログデジタル変換器200は、画素信号の電圧値の大きさを表す分解能のデジタル信号(デジタル信号OUT)を出力する、固体撮像装置(例えば、固体撮像装置400)が構成される。
【0396】
上述したように、本発明の固体撮像装置は、本発明のアナログデジタル変換器を備えて構成する。そして、本発明の固体撮像装置は、備えている本発明のアナログデジタル変換器によって、画素アレイ部に配置されたそれぞれの画素から出力される画素信号に対してゲイン調整をしてアナログデジタル変換したデジタル信号OUTを、外部に順次出力する。これにより、本発明の固体撮像装置では、デジタル信号OUTを外部に出力するときに、撮像したシーンやそれぞれの画素の特性などに応じた適切なゲイン値でゲイン調整をしてそれぞれの画素信号をアナログデジタル変換したデジタル信号OUTを出力することができる。ここで、本発明の固体撮像装置に備えた本発明のアナログデジタル変換器において用いる本発明のデジタルアナログ変換器は、ゲイン調整をした複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号VDACを出力する構成であるにもかかわらず、本発明のデジタルアナログ変換器を形成するために要する面積の増大を抑えることができる。このことにより、本発明の固体撮像装置では、形成するために要する面積の増大や消費電力の増加を抑えた状態で、ゲイン調整の機能を付加した固体撮像装置を実現することができる。しかも、本発明の固体撮像装置に備える本発明のアナログデジタル変換器では、本発明のデジタルアナログ変換器の構成によって画素信号に対してゲイン調整をするため、同じ2倍のゲイン値でゲイン調整をする場合でも、外部の信号処理回路などによるデジタルの信号処理で2倍のゲイン調整をする(ビットシフトする)よりも、S/N特性や歪み特性の低下を抑えることができる。これにより、本発明の固体撮像装置では、撮像する画像の画質を向上させることができる。
【0397】
上記に述べたように、本発明の各実施形態によれば、2進数(2進数以外であってもよい)の重み付けがされた複数の容量の接続をスイッチによって切り替えることによって、入力された入力信号と参照電圧とに基づいた様々な電圧値のアナログ信号を所定の分解能で出力するデジタルアナログ変換器の容量部に、1/k倍(k=2以上の2の乗数)の容量値の容量を少なくとも1つ追加する。また、本発明の各実施形態では、デジタルアナログ変換器のスイッチ部に、容量部に追加した1/k倍の容量値のそれぞれの容量に対応するスイッチSWを追加する。これにより、本発明の各実施形態では、参照電圧の電圧値を1/k倍までゲイン調整するデジタルアナログ変換器を構成することができる。
【0398】
そして、本発明の各実施形態では、デジタルアナログ変換器において、容量部に備えた2進数の重み付けがされた複数の容量および追加した容量のうち、出力するアナログ信号の分解能に対応する数の容量を、入力信号の電圧値をサンプリングした後に、対応するスイッチの切り替えに応じたビット数の分解能で出力するアナログ信号の電圧値を生成するための容量として用いる。また、本発明の各実施形態では、デジタルアナログ変換器において、アナログ信号の電圧値を生成するための容量として用いない残りの容量を、対応するスイッチを切り替えずに固定(保持)して、参照電圧の電圧値をゲイン調整するための容量として用いる。これにより、本発明の各実施形態では、デジタルアナログ変換器において、入力信号の電圧値に1/k倍までゲイン調整した参照電圧の電圧値を加減算したアナログ信号を出力することができる。
【0399】
しかも、本発明の各実施形態では、デジタルアナログ変換器の容量部に追加する容量の容量値は、2進数の重み付けがされた複数の容量の中で最も小さな容量値の容量よりも小さい容量値である。また、本発明の各実施形態では、デジタルアナログ変換器のスイッチ部に追加するスイッチは、スイッチ部に備えた他のスイッチ(2進数の重み付けがされた複数の容量に対応するスイッチ)と同様の構成であり、特別な性能を必要とする構成のスイッチではない。これにより、本発明の各実施形態では、入力信号の電圧値に1倍から1/k倍までの広い電圧値の範囲にゲイン調整した参照電圧の電圧値を加算したアナログ信号、つまり、ゲイン調整した複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号を出力する構成のデジタルアナログ変換器を実現したにもかかわらず、デジタルアナログ変換器を形成するために要する面積の増大を抑えることができる。
【0400】
また、本発明の実施形態では、ゲイン調整した複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号を出力する構成のデジタルアナログ変換器を用いて、逐次比較型のアナログデジタル変換器を構成する。より具体的には、本発明の実施形態では、逐次比較型のアナログデジタル変換器に、デジタルアナログ変換器と、デジタルアナログ変換器が出力したアナログ信号と比較基準電圧とを比較する比較器と、比較器から出力されたデジタル信号に基づいてデジタルアナログ変換器内のスイッチ部に備えたそれぞれのスイッチを制御するデジタル信号を生成する制御回路とを備える。これにより、本発明の実施形態では、アナログデジタル変換器を形成するために要する面積の増大を抑えることができる。
【0401】
また、本発明の実施形態では、ゲイン調整した複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号を出力する構成のデジタルアナログ変換器を用いたアナログデジタル変換器を備えた信号処理装置を構成する。より具体的には、本発明の実施形態では、信号処理装置に、アナログデジタル変換器と、アナログデジタル変換器がアナログデジタル変換したデジタル信号に基づいてアナログ信号をゲイン調整する際のゲイン値を判定する信号処理回路とを備える。そして、本発明の実施形態では、信号処理回路が、アナログデジタル変換器がアナログデジタル変換する際にアナログ信号に対してゲイン調整するゲイン値をフィードバックする。これにより、本発明の実施形態では、信号処理装置において、最適な大きさの範囲にアナログデジタル変換された入力信号の電圧値の大きさを表すデジタル信号を得ることができる。しかも、本発明の実施形態では、信号処理装置を形成するために要する面積の増大を抑えることができる。
【0402】
また、本発明の実施形態では、固体撮像装置に、ゲイン調整した複数の電圧値の範囲で切り替えたアナログ信号を出力する構成のデジタルアナログ変換器を用いたアナログデジタル変換器を備える。そして、本発明の実施形態では、固体撮像装置において、画素から出力される画素信号に対してアナログデジタル変換器がゲイン調整をしてアナログデジタル変換したデジタル信号を出力する。これにより、本発明の実施形態では、固体撮像装置がデジタル信号を出力するときに、撮像したシーンやそれぞれの画素の特性などに応じた適切なゲイン値でゲイン調整をしてそれぞれの画素信号をアナログデジタル変換したデジタル信号を出力することができる。このことにより、本発明の実施形態では、固体撮像装置において撮像する画像の画質を向上させることができる。しかも、本発明の実施形態では、固体撮像装置内でアナログデジタル変換器を形成するために要する面積の増大を抑えることができるため、固体撮像装置が大型化してしまうのを抑えることができる。
【0403】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態およびその変形例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更をすることができる。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0404】
上記各実施形態によれば、面積の増大を抑えて形成することができる、複数の電圧値の範囲で切り替えてアナログ信号を出力するデジタルアナログ変換器、このデジタルアナログ変換器を用いたアナログデジタル変換器、および駆動方法を提供することができる。さらに、上記各実施形態によれば、アナログデジタル変換器を用いた信号処理装置および撮像装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0405】
100,101,102,100P,100N デジタルアナログ変換器
110,111 容量部
120,121 スイッチ部
200,201,202 アナログデジタル変換器
210,211 比較器
220,221,320 制御回路
300 信号処理装置
330 信号処理回路
400,401 固体撮像装置
410 画素アレイ部
420,421 画素選択部
C,C0,C1,C2 容量(容量,メイン容量)
C,CA1,CA2 容量(容量,サブ容量)
SW,SW0,SW1,SW2,SWA1,SWA2 スイッチ
SW,SWS スイッチ
CAT 減衰容量
VIN 入力信号
VREF,GND 参照電圧
D,DS,D0,D1,D2,DA1,DA2,DSP,D0P,D1P,D2P,DA1P,DSN,D0N,D1N,D2N,DA1N デジタル信号(制御信号)
VDAC,VDACP,VDACN アナログ信号
VCOM 比較基準電圧(比較対象の電圧)
VCOUT デジタル信号
OUT デジタル信号
PIXOUT 画素信号出力線
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