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  • 特許-エネルギー貯蔵器の充放電方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵器の充放電方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20220711BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220711BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220711BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/00 B
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020521316
(86)(22)【出願日】2018-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 EP2018070791
(87)【国際公開番号】W WO2019081084
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】102017009850.6
(32)【優先日】2017-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520126446
【氏名又は名称】ベニング・シーエムエス・テクノロジー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター・ヴォルフラム
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-220380(JP,A)
【文献】特開2009-081981(JP,A)
【文献】特開平10-191574(JP,A)
【文献】国際公開第2017/090155(WO,A1)
【文献】特開2001-157366(JP,A)
【文献】特開2010-124682(JP,A)
【文献】特開2001-045672(JP,A)
【文献】国際公開第2008/137764(WO,A1)
【文献】特開2000-228830(JP,A)
【文献】特開平04-322131(JP,A)
【文献】特開2010-104095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
H01M 10/44
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセル(3~7)のうちの少なくとも幾つかのバッテリーセルが、異なる容量(C)を有し得て、全ての前記バッテリーセル(3~7)に通電するシリアル充電電流(Io)を用いて、互いに直列に接続された前記複数のバッテリーセル(3~7)から成る少なくとも一つのセルブロック(20)を備えたエネルギー貯蔵器(2)を充電するための方法であって、当該方法は、
a)前記セルブロック(20)が、当該セルブロックの充電終了電圧まで充電され、それぞれ個々のバッテリーセル(3~7)が、それらのバッテリーセルに割り当てられた制御可能な両方向DC/DC変換機としての補助充放電機器(9~13)によって、それらのバッテリーセルの充電終了電圧に到達するまでさらに充電され、それぞれの前記バッテリーセル(3~7)の放電最終電圧に到達するまでの放電電流の時間推移から、個々の前記バッテリーセル(3~7)の容量(C)が測定され、管理・制御機器(14)のメモリ内に記憶される特徴と、
b)次いで、所定のC係数(前記容量Cに対する最大充電電流IN;maxの比率)を考慮して、個々の前記容量(C)に対して固有の最大充電電流(IN;max)が、前記管理・制御機器(14)によって算定される特徴と、
c)次いで、所定の期間t≦1/C係数内に、複数の前記バッテリーセル(3~7)が、これらのバッテリーセル(3~7)に割り当てられた最大充電電流(IN;max)によって同時に充電される特徴とを有し、
複数の前記バッテリーセル(3~7)の最大充電電流(IN;max)が前記シリアル充電電流(I)に一致するバッテリーセル(3~7)は、前記シリアル充電電流(I)だけによって充電され、
複数の前記バッテリーセル(3~7)の最大充電電流(IN;max)が前記シリアル充電電流(I)よりも大きいバッテリーセル(3~7)は、前記シリアル充電電流(I)と、複数の補助充放電機器(9~13)を介して前記セルブロック(20)から取り出し可能な複数の補助充電電流(I)とによって同時に充電され、このとき、前記補助充電電流( 前記最大充電電流(N;max 前記シリアル充電電流( が成立し、
複数の前記バッテリーセル(3~7)の最大充電電流(IN;max)が前記シリアル充電電流(I)よりも小さいバッテリーセル(3~7)は、前記シリアル充電電流(I)によって充電されると同時に、前記最大充電電流(IN;max)を上回る電流(I-IN;max)が補助放電電流として、対応する補助充放電機器を介して前記セルブロック(20)に供給され、このとき、前記上回る電流成分=前記シリアル充電電流(I )-前記最大充電電流(I N;max )が成立し、又は
当該算定された全ての最大充電電流(IN;max)が、提供可能な前記シリアル充電電流(I)よりも大きい場合に、複数の充電電流の値が、当該算定された最大充電電流(IN;max)と互いに同じ比率にある複数の充電電流によって、前記バッテリーセル(3~7)が同時に充電される当該方法。
【請求項2】
複数のバッテリーセル(3~7)のうちの少なくとも幾つかのバッテリーセルが、異なる容量(C)を有し得て、全ての前記バッテリーセル(3~7)に通電するシリアル充電電流(Io)を用いて、互いに直列に接続された前記複数のバッテリーセル(3~7)から成る少なくとも一つのセルブロック(20)を備えたエネルギー貯蔵器(2)を放電充電するための方法であって、当該方法は、
a)前記セルブロック(20)が、当該セルブロックの充電終了電圧まで充電され、それぞれ個々のバッテリーセル(3~7)が、それらのバッテリーセルに割り当てられた制御可能な両方向DC/DC変換機としての補助充放電機器(9~13)によって、それらのバッテリーセルの充電終了電圧に到達するまでさらに充電され、それぞれの前記バッテリーセル(3~7)の放電最終電圧に到達するまでの放電電流の時間推移から、個々の前記バッテリーセル(3~7)の容量(C)が測定され、管理・制御機器(14)のメモリ内に記憶される特徴と、
b)次いで、所定のC係数(前記容量Cに対する最大充電電流IN;maxの比率)を考慮して、個々の前記容量(C)に対して固有の最大充電電流(IN;max)が、前記管理・制御機器(14)によって算定される特徴と、
c)次いで、所定の期間t≦1/C係数内に、複数の前記バッテリーセル(3~7)が、これらのバッテリーセル(3~7)に割り当てられた最大放電電流(IN;max)によって同時に放電される特徴とを有し、
複数の前記バッテリーセル(3~7)の最大放電電流(IN;max)が前記シリアル放電電流(I )に一致するバッテリーセル(3~7)は、前記シリアル充電電流(I)だけによって放電され、
複数の前記バッテリーセル(3~7)の最大放電電流(IN;max)が前記シリアル放電電流(I )よりも大きいバッテリーセル(3~7)は、前記シリアル放電電流(I )と、複数の補助充放電機器(9~13)を介して前記セルブロック(20)から取り出し可能な複数の補助放電電流(I )とによって同時に放電され、このとき、前記補助放電電流( 前記最大放電電流(N;max 前記シリアル放電電流( が成立し、
複数の前記バッテリーセル(3~7)の最大放電電流(IN;max)が前記シリアル放電電流(I )よりも小さいバッテリーセル(3~7)は、前記シリアル放電電流(I )によって放電されると同時に、前記最大放電電流を上回る電流成分(I -IN;max)が補助充電電流として、対応する補助充放電機器(9-13)を介して前記セルブロック(20)に供給され、このとき、前記上回る電流成分=前記シリアル放電電流(I )-前記最大放電電流(I N;max )が成立する当該方法。
【請求項3】
最小の容量を有するバッテリーセル(3~7)が、当該バッテリーセルの最大の充電電流によって充電されるように、前記シリアル充電電流(I)は選択され、
その他のバッテリーセル(3~7)がそれぞれ、前記シリアル充電電流(I)に加えて、それぞれのバッテリーセルの容量と前記最小の容量を有するバッテリーセルの容量との間の差から得られる最大補助充電電流によって充電されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記シリアル充電電流が、全てのバッテリーセル(3~7)から算出した平均容量を有するバッテリーセル(3~7)の最大充電電流に一致するように、このシリアル充電電流は選択され、
当該充電プロセス中に、前記平均容量よりも小さい容量を有するバッテリーセル(3~7)では、前記シリアル充電電流(I)の一部が、再び前記セルブロックに供給され、
前記平均容量よりも大きい容量を有するバッテリーセル(3~7)は、前記シリアル充電電流と、バッテリの全体から取り出し可能な補助充電電流とによって同時に充電されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
最大の容量を有するバッテリーセル(3~7)が、当該バッテリーセルの最大充電電流によって充電されるように、前記シリアル充電電流(I)が選択され、
その他のバッテリーセル(3~7)の少なくとも一部が、前記シリアル充電電流(I)によって充電され、当該バッテリーセルの最大充電電流を上回る電流成分が、前記セルブロック(20)に供給されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数のバッテリーセル(3~7)が、直列に接続されている状態で、一つのセルブロック(20)の当該個々のバッテリーセル(3~7)の容量が、自動的に測定されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記セルブロック(20)の全体が、当該セルブロックの充電終了電圧に到達するまで前記シリアル充電電流(I)によって充電され、引き続き、このセルブロック(20)のそれぞれ個々のバッテリーセル(3~7)が、当該バッテリーセルに割り当てられた補助充放電機器(9~13)を用いて、当該バッテリーセルの充電最終電圧に到達するまで更に充電され、
次いで、前記セルブロック(20)は、シリアル放電電流(I’)によって80%の放電深度にまで放電され、引き続き、それぞれ個々のバッテリーセル(3~7)が、当該バッテリーセルに割り当てられた前記補助充放電機器(9~13)を用いて、これらのバッテリーセルのそれぞれのバッテリーセルの放電最終電圧にまで放電され、
最後に、当該時間にわたって積分された前記セルブロックの放電電流と、当該時間にわたって積分された前記個々のバッテリーセルの放電電流とから、これらのバッテリーセルの容量が算出されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のバッテリーセルの容量を算出するため、それぞれの充電プロセスの時間推移も使用され、当該対応するバッテリの充電時に測定された容量値と当該対応するバッテリの放電時に測定された容量値との間の平均値が、当該それぞれのバッテリーセルの容量として使用されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全てのバッテリを通って流れるシリアル充電電流及びシリアル放電電流を用いて、互いに直列に接続された複数のバッテリーセルから成る少なくとも一つのセルブロックを備えたエネルギー貯蔵器を充電及び放電する方法であって、バッテリーセルの中の少なくとも幾つかは異なる容量を有する可能性が有る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに直列に接続された複数の再充電可能なバッテリーセルから構成されるエネルギー貯蔵器(蓄電池)では、特に、各個別セルがエネルギー貯蔵器の充電時に過充電にも充電不足にもならず、全てのバッテリーセルが出来る限り同じ充電状態となることが、エネルギー貯蔵器の寿命にとって重要である。それは、特に、互いに直列に接続された複数のリチウムイオン電池、リチウムポリマー電池及び/又はリン酸鉄リチウム電池から構成されるエネルギー貯蔵器に言えることである。
【0003】
従って、通常そのようなエネルギー貯蔵器は、一方で充電コントロール機器を用いて個々のバッテリーセルの充電状態を持続的に監視し、他方で個々のバッテリーセルの充電状態が異なる場合にそれらを平均化する、しばしばバッテリ管理システムとも呼ばれる装置とそれぞれ接続されている。その場合、バランシングとも呼ばれる、バッテリーセルの充電状態の平均化は受動的又は能動的なバランシングにより行なうことができる。更に、既知のバッテリ管理システムでは、充電平均化は、バッテリーセルの中の少なくとも一つが満充電された時に漸く開始し、その結果、一つのセルブロックの充電プロセス全体が比較的時間的な負担がかかる。
【0004】
受動的なバランシングでは、充電終了電圧を最初に達成したバッテリーセルにおいて、過剰なエネルギーが抵抗を介して熱に変換され、そのため、充電プロセスの間に失われる。
【0005】
それに対して、能動的なバランシングでは、セル電圧が高過ぎるバッテリーセルから取り出されたエネルギーは、熱エネルギーに変換されずに、エネルギー貯蔵器の別のバッテリーセルを充電するために用いられる。しかし、能動的なバランシングにおいても、充電平均化は、セルブロックのバッテリーセルの中の少なくとも一つがそのバッテリーセルの充電終了電圧を達成した時に漸く開始する。
【0006】
特許文献1から、互いに直列に接続された複数のバッテリーセルから成るセルブロックを備えたエネルギー貯蔵器を充電する方法が周知であり、そこでは、全てのバッテリーセルを通って流れるシリアル充電電流によりバッテリーセルの充電を実施して、選択されたバッテリーセルを追加の選択的充電プロセスにより規定通り過充電することが提案されている。それに続いて、選択されたバッテリーセルの充電状態のそれ以外のバッテリーセルの充電状態への適合が行なわれる。選択されたバッテリーセルの選択的充電のために、有利には、セルブロックが使用される。そのような個々のバッテリーセルの過充電は、確かに鉛電池又はニッケルカドミウム電池では可能であるが、それに対して、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池及び/又はリン酸鉄リチウム電池では不可能であり、それらは直ぐに壊れてしまう。
【0007】
特許文献2により、互いに直列に接続された複数のバッテリーセルを備えたエネルギー貯蔵器の充電方法が周知であり、そこでは、個々のバッテリーセルが、交流電圧網と接続された相応の補助充電コントローラによって別個に充電され、その次に、個々のバッテリーセルの間の充電平均化が、その補助充電コントローラを用いて実施される。
【0008】
最後に、特許文献3により、互いに直列に接続された複数のバッテリーセルを備えたエネルギー貯蔵器の充電方法が周知であり、そこでは、充電プロセスを加速するために、全てのバッテリーセルを通って流れるシリアル充電電流に追加して、補助充電電流が、それぞれ所定の充電状態を下回ったことが測定されたバッテリーセルに対して供給される。その方法では、選択されたバッテリーセルの選択的充電のために、有利には、別個の直流電源が使用される。
【0009】
これらの前記の周知の方法では、当該のバッテリーセルのその時々の充電状態を決定するために、その時々のバッテリーセル電圧が測定されて、次に、所定のバッテリーセル電圧値を上回るか、或いは下回った場合に、場合によっては、充電状態が異なるバッテリーセル間の充電平均化が開始される。しかし、その場合、バッテリーセルのその時々の充電プロセスの間、セル電圧が極めて一定のままであり、その結果、セル電圧から、当該のバッテリーセルのその時点の充電状態を推定することが難しいとの問題が発生する。その時々の充電最終電圧又は放電最終電圧に到達する直前でしか、充電平均化のための相応の制御プロセスに用いることができる、その時々のバッテリーセル電圧の比較的大きな下降又は低下が生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許登録第1941594号明細書
【文献】ドイツ特許公開第102010017439号明細書
【文献】ドイツ特許公開第102012020544号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、詳しくは、特にセルブロックの個々のバッテリーセルが異なる容量を有する場合でも、周知の方法と比べて、エネルギー貯蔵器のより確実で、より速い充電及び放電を可能にする、エネルギー貯蔵器を充電及び放電する方法を提供することである。更に、各バッテリーセルの充電プロセス及び放電プロセスの各時点において、その時々の充電状態及び放電状態を提示することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明において、本課題は、エネルギー貯蔵器の充電に関しては、請求項1の特徴によって解決され、エネルギー貯蔵器の放電に関しては、請求項2の特徴によって解決される。従属請求項は、本発明の更なる特に有利な実施形態を開示する。
【0013】
個々のバッテリーセルの充電がセル電圧の測定によって管理され、そして、バッテリーセルの中の少なくとも一つが満充電された場合に漸く、測定されたセル電圧に基づき、個々のバッテリーセルの間の充電平均化が実施される周知の方法と異なり、本発明は、規則的な時間間隔で、一つのセルブロックのN個のバッテリーセルの容量CNを測定して、各バッテリーセルに関して、測定された容量と所定のC係数(容量Cに対する最大充電電流IN;maxの比率)とに基づき、そのバッテリーセルの充電電流を決定することを提案する。そして、C係数により与えられる充電時間t(t≦1/C)の間に、これらの充電電流によって、N個のバッテリーセルを同時に充電する。この場合、複数の前記バッテリーセル3~7の最大充電電流IN;maxが前記シリアル充電電流Iに一致するバッテリーセル3~7は、前記シリアル充電電流Iだけによって充電される。複数の前記バッテリーセル3~7の最大充電電流IN;maxが前記シリアル充電電流Iよりも大きいバッテリーセル3~7は、前記シリアル充電電流Iと、複数の補助充放電機器9~13を介して前記セルブロック20から取り出し可能な複数の補助充電電流Iとによって同時に充電される。このとき、I=IN;max-Iが成立する。複数の前記バッテリーセル3~7の最大充電電流IN;maxが前記シリアル充電電流Iよりも小さいバッテリーセル3~7は、前記シリアル充電電流Iによって充電されると同時に、前記最大充電電流IN;maxを上回る電流I-IN;maxが補助放電電流として、対応する補助充放電機器を介して前記セルブロック20に供給される。
【0014】
例えば、エネルギー源の利用可能な電圧が低いために、計算された最大充電電流(IN;max)の全てが利用可能なシリアル充電電流(Io)よりも大きい場合、複数の充電電流の値が、当該算定された最大充電電流(IN;max)と互いに同じ前記比率にある前記複数の充電電流によって、複数の前記バッテリーセルが同時に充電される。
【0015】
エネルギー貯蔵器の放電に関して、前述したことが相応に言える。電流の方向だけが逆になる、即ち、この場合、充電電流が放電電流になり、補助充電電流が補助放電電流になり、補助放電電流が補助充電電流になる。
【0016】
本発明による方法を用いた場合、全てのバッテリーセルが、充電又は放電時に、それぞれその時々の有効容量に関して同じ充電状態となる。そのため、各時点において、セルブロックの最大限に充電された、或いは放電された状態に関して、そのセルブロックの各バッテリーセルのその時々の充電状態を提示することが可能である。
【0017】
本方法では、最大充電時間及び最大放電時間は、関係式tmax=1/Cから得られ、全てのバッテリーセルに関して同じであるとともに、周知の方法よる最大充電時間及び最大放電時間よりも明らかに短くすることが可能である。この充電時間及び放電時間を順守すれば、個々のバッテリーセルの過充電及び充電不足は起こらない。
【0018】
全てのバッテリーセルが、それぞれのその時々の容量に関係なく、最大充電時間後には、それぞれのその時々の有効容量に関して同じ充電状態となるので、追加の能動的又は受動的なバランシングを省くことができる。
【0019】
本発明の第一の有利な実施例では、最小の容量を有するバッテリーセルがその最大充電電流により充電され、それ以外のバッテリーセルが、それぞれシリアル充電電流に追加して、各バッテリーセルの容量と最小の容量を有するバッテリーセルの容量の間の差から得られる最大補助充電電流により充電されるように、シリアル充電電流を選択すると規定される。
【0020】
第二の実施例では、シリアル充電電流が全てのバッテリーセルから算出された平均的な容量の最大充電電流と一致するように、シリアル充電電流を選択すると規定される。そして、充電プロセスの間に、この平均的な容量よりも小さな容量を有するバッテリーセルでは、シリアル充電電流の一部が、そのバッテリーセルに割り当てられた補助充放電機器を介して再びセルブロックに供給される。それに対して、この平均的な容量よりも大きな容量を有するバッテリーセルは、シリアル充電電流と補助充電電流によって同時に充電される。
【0021】
第三の実施例では、最大の容量を有するバッテリーセルが、当該バッテリーセルの最大充電電流によって充電されるように、シリアル充電電流が選択され、その他のバッテリーセルの少なくとも一部が、当該シリアル充電電流によって充電され、当該バッテリーセルの最大充電電流を上回る電流成分が、そのバッテリーセルに割り当てられた補助充放電機器を介して再びセルブロックに供給される。
【0022】
エネルギー貯蔵器の放電では、前述した三つの実施例に関して、又もや電流の方向だけが変わる、即ち、充電電流が放電電流になり、補助充電電流が補助放電電流になり、補助放電電流が補助充電電流になると規定される。
【0023】
バッテリ容量を決定するために、エネルギー貯蔵器の規定通りの充電及び放電が時間的な負担のかかる中断無しに行われるように、これらの容量測定は、有利には、直列接続されたバッテリーセルにおいて、所定の時間間隔で自動的に実施される。
【0024】
そのために、第一の有利な実施例では、バッテリーセルは、先ずは、それらの充電終了電圧に送達するまでシリアル充電電流により充電され、その際、最初に充電終了電圧に到達したバッテリーセルの過充電が、過剰となった電流成分をそのバッテリーセルに割り当てられた補助充放電機器を介して再びセルブロックに供給することによって防止される。そして、次に、バッテリーセルは、最も大きな容量を有するバッテリーセルの放電最終電圧に到達するまでの時間の間、所定のシリアル充電電流によって充電される。最も大きな容量を有するバッテリーセルよりも前に放電最終電圧に到達するバッテリーセルの充電不足を防止するために、そのバッテリーセルは、その放電最終電圧への到達後に、そのバッテリーセルに割り当てられた補助充放電機器を介してセルブロックから電流を供給される。
【0025】
そして、バッテリーセルの充電された状態と各バッテリーセルの放電最終電圧への到達との間の放電電流の時間推移から、当該のバッテリーセルの容量(容量CN=放電電流Io’×放電時間t)が得られ、この容量は、次に、セルブロックの更なる最適な充電プロセス及び放電プロセスのために用いられる。
【0026】
当然のことながら、容量を算出するために、充電プロセスの時間推移を用いるか、或いはバッテリの放電時と充電時に算出された容量値の間の平均値を用いることもできる。
【0027】
第二の有利な実施例では、直列接続のバッテリーセルにおいて、セルブロック全体の充電終了電圧が通常個々のバッテリーセルの充電終了電圧の合計よりも小さいことを考慮する。
【0028】
従って、容量を測定する場合、先ずは、セルブロックがその充電終了電圧にまで充電され、その次に、個々のバッテリーセルの各々がそれに対応する補助充放電機器を用いて、そのバッテリーセルの充電終了電圧に到達するまで更に充電される。
【0029】
そして、バッテリーセルの充電された状態と各バッテリーセルの放電最終電圧への到達との間の放電電流の時間推移から、又もや当該のバッテリーセルの容量が得られる。この場合、先ずは、セルブロック全体が、直列放電電流によって80%の放電深度(DoD)にまで放電される(即ち、セルブロックは、依然として20%の残容量を有する)。その次に、又もや個々のバッテリーセルの各々が、それに割り当てられた補助充放電機器を介して、各放電最終電圧にまで放電される。
【0030】
この場合でも、バッテリーセルの容量を測定するために、その時々の充電プロセスの時間推移を用いるか、或いはバッテリーセルの充電時と放電時に算出された容量値の間の平均値を用いることができる。
【0031】
本発明の更なる詳細及び利点は、以下におけるブロック接続図に基づき説明する実施例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明によるエネルギー貯蔵器を充電及び放電する装置のブロック接続図
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面には、例えば、建物の電源供給網にエネルギーを供給する役割を果たすとともに、再生エネルギーを発生する設備(太陽電池設備、風力発電設備、バイオガス設備等)によって、例えば、両方向AC/DC変換機100を介して充電及び放電することができる、符号2で表示されたエネルギー貯蔵器を充電及び放電する装置が符号1で図示されている。
【0034】
図示された実施例では、エネルギー貯蔵器2は、互いに直列に接続された再充電可能な五個のバッテリーセル3~7を備えたセルブロック20を有し、制御可能な主充放電機器8によって充電及び放電することが可能である。
【0035】
更に、各バッテリーセル3~7は、それに割り当てられた制御可能な補助充放電機器9~13を介してセルブロック20と接続されている。これらの補助充放電機器9~13は、有利には、制御可能な両方向DC/DC変換機である。
【0036】
個々のバッテリーセル3~7の充電状態及び放電状態を管理するために、そのバッテリーセルに対応するデータ配線15を介して、補助充放電機器9~13とも、主充放電機器8とも接続された管理・制御機器14が配備されている。
【0037】
以下において、本発明による装置1のエネルギー貯蔵器2の充電プロセスを詳しく説明する。
【0038】
先ずは、個々のバッテリーセル3~7の容量CNを測定して、管理・制御機器14のメモリに記憶する(例えば、バッテリーセル3,5及び6の容量C3,C5,C6が約2Ahであり、バッテリーセル4の容量C4が約2.5Ahであり、バッテリーセル7の容量C7が約3Ahである)。
【0039】
そして、次に、個々のバッテリーセル3~7が、その後、例えば、1C(C係数は、容量Cに対する最大充電電流IN;maxの比率である)の充電電流により充電される場合、管理・制御機器14が個々のバッテリーセル3~7に関する最大充電電流IN;max(上記の容量の場合、これらの電流は、IN;max=C×CNにより、バッテリーセル3,5及び6では2Aであり、バッテリーセル4及び7では、それぞれ2.5A及び3Aが得られる)を計算して、これらの値を同様に相応のメモリに記憶する。
【0040】
ここで、図示されていない管理機器が、例えば、再生エネルギーを発生する設備のエネルギーが電源供給網から要求されたエネルギーよりも大きいことを検出すると、過剰なエネルギーの少なくとも一部が、AC/DC変換機100を介して、本発明による装置1の主充放電機器8に届けられる。本装置1は、それに基づき所定の強さのシリアル充電電流Ioを発生する。
【0041】
ここで、全てのバッテリーセル3~7をそれらに割り当てられた最大充電電流IN;maxにより同時に充電するために、管理・制御機器14は、選択されたシリアル充電電流Ioに基づき、最大充電電流IN;maxがシリアル充電電流Ioと一致するバッテリーセル3~7をシリアル充電電流Ioだけで充電させる役割を果たす。それに対して、最大充電電流IN;maxがシリアル充電電流Ioよりも大きいバッテリーセル3~7は、シリアル充電電流Ioとによって充電されると同時に、そのバッテリーセルに対応する補助充放電機器9~13を用いてセルブロック20から取り出すことが可能な補助充電電流INによって充電され、これに関して、IN=IN;max-Ioが成り立つ。最後に、最大充電電流IN;maxがシリアル充電電流Ioよりも小さいバッテリーセル3~7は第一の充電電流Ioにより充電されると同時に、最大充電電流IN;maxを上回る電流Io-IN;maxは、放電電流としてセルブロック20に供給される。
【0042】
即ち、例えば、最も大きな容量(上記の例では、それぞれ2Ah)を有するバッテリーセル3,5,6がそれらの最大充電電流(Imax=2A)により充電されるように、シリアル充電電流Ioが選択された(即ち、Ioが2Aである)場合、それ以外のバッテリーセル4及び7は、シリアル充電電流Ioに追加して、各バッテリーセル4,7の容量と最小の容量を有するバッテリーセル(この場合、バッテリーセル3,5及び6)の容量との差から得られる、それらのバッテリーセルに割り当てられた補助充放電機器10及び13からの(0.5A又は1Aの)最大補助充電電流によってそれぞれ充電される。
【0043】
バッテリーセル3~7の充電最終電圧を監視することによって、管理・制御機器14は、バッテリーセル3~7をその最大充電電流により充電できる充電時間(前記の例では、tmax=1/C=60分)を監視して、各バッテリーセルの過充電が起きないようにする。
【0044】
例えば、エネルギー源の利用可能な電圧が低いために、計算された最大充電電流(IN;max)の全てが利用可能なシリアル充電電流(Io)よりも大きい場合、複数の充電電流の値が、当該算定された最大充電電流(IN;max)と互いに同じ前記比率にある前記複数の充電電流によって、複数の前記バッテリーセルが同時に充電される。即ち、前述した例において、シリアル充電電流Ioがたった1Aである場合、バッテリーセル3,5及び6は1Aで充電され、バッテリーセル4は1.25Aで充電され、バッテリーセル7は1.5Aで充電される。
【0045】
直列に接続されたバッテリーセル3~7において、バッテリーセル3~7の容量を所定の時間間隔で(例えば、それぞれ100充放電サイクル後に)自動的に算出するために、先ずは、セルブロック20がその充電終了電圧にまで充電され、次に、個々のバッテリーセル3~7の各々が、それに割り当てられた補助充放電機器9~13を用いて、それぞれの充電最終電圧にまで更に充電される。
【0046】
そして、全てのバッテリーセル3~7の充電後に、本装置1を用いて、バッテリーセル3~7の規定通りの放電が行なわれる。この場合、先ずは、セルブロック20全体が、主充放電機器8から与えられるシリアル放電電流Io’により、80%の放電深度(DoD)にまで放電される。その次に、個々のバッテリ3~7の各々が、それに割り当てられた補助充放電機器9~13を介して、それぞれの放電最終電圧にまで放電される。
【0047】
そして、全てのバッテリーセル3~7の放電開始と各バッテリーセルの放電最終電圧への到達との間に測定されたシリアル放電電流Io’の推移から、当該のバッテリーセルの容量CNを算出することができる。
【0048】
しかし、バッテリーセルの容量を測定するために、各充電プロセスの時間推移を用いるか、或いはバッテリーセルの充電時と放電時に算出された容量値の間の平均値を使用することもできる。
【0049】
当然のことながら、本発明は、ここで述べた実施例に限定されない。
【0050】
そのため、例えば、先ずは、主充放電機器8が発生するシリアル充電電流Ioを用いて、全てのバッテリーセル3~7をそれらの充電終了電圧に到達するまで充電することによって、バッテリーセル3~7の容量の算出を行なうこともできる。この場合、最大容量を有するバッテリーセル(前記の例では、バッテリーセル7)よりも低い充電最終電圧を有するバッテリーセルの過充電を防止するために、過剰となった電流が、それぞれバッテリーセルに割り当てられた補助充放電機器9~13を介してセルブロック20に供給される。
【0051】
そして、全てのバッテリーセル3~7の充電後に、本装置1を用いて、バッテリーセル3~7の規定通りの放電が行なわれる。そのために、主充放電機器8により与えられるシリアル放電電流Io’によるバッテリーセル3~7の放電が行なわれる、詳しくは、最も大きな容量を有するバッテリーセルの放電最終電圧に到達するまでの時間の間行われる。最も大きな容量を有するバッテリーセルよりも前に放電最終電圧に到達するバッテリーセルが充電不足となることを防止するために、そのバッテリーセルは、その放電最終電圧に到達した後、そのバッテリーセルに割り当てられた補助充放電機器を用いて、セルブロック20から補助充電電流を供給される。
【0052】
そして、全てのバッテリーセル3~7の放電開始と各バッテリーセルの放電最終電圧への到達との間に測定されたシリアル放電電流Io’の推移から、当該のバッテリーセルの容量CNを算出することができる。
【0053】
更に、一つの充放電サイクルにおいて全てのバッテリーセルの容量を算出する必要はない。むしろ、複数の充放電サイクルにおいてバッテリーセルの容量を順番に決定することも有利であるとすることができる。
【0054】
更に、当然のことながら、シリアル充電電流又はシリアル放電電流は、必ずしもその電流が最小の容量を有するバッテリーセルの最大充電電流又は最大放電電流と一致するように選択する必要はない。むしろ、例えば、平均的な容量を有するバッテリーセル又は最も大きな容量を有するバッテリーセルの最大充電電流又は最大放電電流と一致するなどのように、シリアル充電電流又はシリアル放電電流を選択することもできる。
【0055】
エネルギー貯蔵器は、直列のバッテリ貯蔵器を含む複数のセルブロックから構成することもできる。
【0056】
以上により、本発明は、以下の複数の構成により実現され得る。
【0057】
構成1:
複数のバッテリーセル(3~7)のうちの少なくとも幾つかのバッテリーセルが、異なる容量(C )を有し得て、全ての前記バッテリーセル(3~7)に通電するシリアル充電電流(Io)を用いて、互いに直列に接続された前記複数のバッテリーセル(3~7)から成る少なくとも一つのセルブロック(20)を備えたエネルギー貯蔵器(2)を充電するための方法であって、当該方法は、
a)個々の前記バッテリーセル(3~7)の容量(C )が、所定の時間間隔で測定され、管理・制御機器(14)のメモリ内に記憶される特徴と、
b)次いで、所定のC係数(前記容量C に対する最大充電電流I N;max の比率)を考慮して、個々の前記容量(C )に対して固有の最大充電電流(I N;max )が、前記管理・制御機器(14)によって算定される特徴と、
c)次いで、所定の期間t≦1/C係数内に、複数の前記バッテリーセル(3~7)が、これらのバッテリーセル(3~7)に割り当てられた最大充電電流(I N;max )によって同時に充電される特徴とを有し、
複数の前記バッテリーセル(3~7)の最大充電電流(I N;max )が前記シリアル充電電流(I )に一致するバッテリーセル(3~7)は、前記シリアル充電電流(I )だけによって充電され、
複数の前記バッテリーセル(3~7)の最大充電電流(I N;max )が前記シリアル充電電流(I )よりも大きいバッテリーセル(3~7)は、前記シリアル充電電流(I )と、複数の補助充放電機器(9~13)を介して前記セルブロック(20)から取り出し可能な複数の補助充電電流(I )とによって同時に充電され、このとき、I =I N;max -I が成立し、
複数の前記バッテリーセル(3~7)の最大充電電流(I N;max )が前記シリアル充電電流(I )よりも小さいバッテリーセル(3~7)は、前記シリアル充電電流(I )によって充電されると同時に、前記最大充電電流(I N;max )を上回る電流(I -I N;max )が補助放電電流として、対応する補助充放電機器を介して前記セルブロック(20)に供給され、又は
当該算定された全ての最大充電電流(I N;max )が、提供可能な前記シリアル充電電流(I )よりも大きい場合に、複数の充電電流の値が、当該算定された最大充電電流(I N;max )と互いに同じ前記比率にある前記複数の充電電流によって、複数の前記バッテリーセル(3~7)が同時に充電される当該方法。
【0058】
構成2:
複数のバッテリーセル(3~7)のうちの少なくとも幾つかのバッテリーセルが、異なる容量(C )を有し得て、全ての前記バッテリーセル(3~7)に通電するシリアル充電電流(Io )を用いて、互いに直列に接続された前記複数のバッテリーセル(3~7)から成る少なくとも一つのセルブロック(20)を備えたエネルギー貯蔵器(2)を放電充電するための方法であって、当該方法は、
a)個々の前記バッテリーセル(3~7)の容量(C )が、所定の時間間隔で測定され、管理・制御機器(14)のメモリ内に記憶される特徴と、
b)次いで、所定のC係数(前記容量C に対する最大充電電流I N;max の比率)を考慮して、個々の前記容量(C )に対して固有の最大充電電流(I N;max )が、前記管理・制御機器(14)によって算定される特徴と、
c)次いで、所定の期間t≦1/C係数内に、複数の前記バッテリーセル(3~7)が、これらのバッテリーセル(3~7)に割り当てられた最大放電電流(I N;max )によって同時に放電される特徴とを有し、
複数の前記バッテリーセル(3~7)の最大放電電流(I N;max )が前記シリアル放電電流(I )に一致するバッテリーセル(3~7)は、前記シリアル充電電流(I )だけによって放電され、
複数の前記バッテリーセル(3~7)の最大放電電流(I N;max )が前記シリアル放電電流(I )よりも大きいバッテリーセル(3~7)は、前記シリアル放電電流(I )と、複数の補助充放電機器(9~13)を介して前記セルブロック(20)から取り出し可能な複数の補助放電電流(I )とによって同時に放電され、このとき、I =I N;max -I が成立し、
複数の前記バッテリーセル(3~7)の最大放電電流(I N;max )が前記シリアル放電電流(I )よりも小さいバッテリーセル(3~7)は、前記シリアル放電電流(I )によって充電されると同時に、前記最大放電電流を上回る電流(I -I N;max )が補助充電電流として、対応する補助充放電機器(9-13)を介して前記セルブロック(20)に供給される当該方法。
【0059】
構成3:
最小の容量を有するバッテリーセル(3~7)が、当該バッテリーセルの最大の充電電流によって充電されるように、前記シリアル充電電流(I )は選択され、
その他のバッテリーセル(3~7)がそれぞれ前記シリアル充電電流(I)に加えて、それぞれのバッテリーセルの容量と前記最小の容量を有するバッテリーセルの容量との間の差から得られる最大補助充電電流によって充電される構成1に記載の方法。
【0060】
構成4:
前記シリアル充電電流が、全てのバッテリーセル(3~7)から算出した平均容量を有するバッテリーセル(3~7)の最大充電電流に一致するように、このシリアル充電電流は選択され、
当該充電プロセス中に、前記平均容量よりも小さい容量を有するバッテリーセル(3~7)では、前記シリアル充電電流(I )の一部が、再び前記セルブロックに供給され、
前記平均容量よりも大きい容量を有するバッテリーセル(3~7)は、第一の充電電流と、バッテリの全体から取り出し可能な補助充電電流とによって同時に充電される構成4に記載の方法。
【0061】
構成5:
最大の容量を有するバッテリーセル(3~7)が、当該バッテリーセルの最大充電電流によって充電されるように、前記シリアル充電電流(I )が選択され、
その他のバッテリーセル(3~7)の少なくとも一部が、前記シリアル充電電流(I )によって充電され、当該バッテリーセルの最大充電電流を上回る電流成分が、前記セルブロック(20)に供給される構成1に記載の方法。
【0062】
構成6:
複数のバッテリーセル(3~7)が、直列に接続されている状態で、一つのセルブロック(20)の当該個々のバッテリーセル(3~7)の容量が、自動的に測定される構成1~5のいずれか1項に記載の方法。
【0063】
構成7:
さしあたり、前記セルブロック(20)の全体が、当該セルブロックの充電終了電圧に到達するまで前記シリアル充電電流(I )によって充電され、引き続き、このセルブロック(20)のそれぞれ個々のバッテリーセル(3~7)が、当該バッテリーセルに割り当てられた補助充放電機器(9~13)を用いて、当該バッテリーセルの充電最終電圧に到達するまで更に充電され、
次いで、前記セルブロック(20)は、シリアル放電電流(I ’)によって80%の放電深度にまで放電され、引き続き、それぞれ個々のバッテリーセル(3~7)が、当該バッテリーセルに割り当てられた前記補助充放電機器(9~13)を用いて、これらのバッテリーセルのそれぞれのバッテリーセルの放電最終電圧にまで放電され、
最後に、当該時間にわたって積分された前記セルブロックの放電電流と、当該時間にわたって積分された前記個々のバッテリーセルの放電電流とから、これらのバッテリーセルの容量が算出される構成6に記載の方法。
【0064】
構成8:
最初に、全ての複数のバッテリーセル(3~7)が、それらのバッテリーセルの充電終了電圧に到達するまで前記シリアル充電電流(I )によって充電され、
過剰な電流が、前記複数のバッテリーセルにそれぞれ割り当てられた前記セルブロック(20)の補助充放電機器(9~13)を介して供給されることによって、最大の容量を有するバッテリーセル(3~7)よりも低い充電最終電圧を有するバッテリーセル(3~7)の過充電が回避され、
引き続き、前記複数のバッテリーセル(3~7)が、最大の容量を有するバッテリーセル(3~7)の放電最終電圧に到達するまで所定のシリアル放電電流(I ’)によって放電され、
最大の容量を有するバッテリーセル(3~7)よりも前に、それらのバッテリーセルの放電最終電圧に到達するバッテリーセル(3~7)の充電不足を回避するため、補助充電電流が、前記セルブロック(20)からそれらのバッテリーセル(3~7)に割り当てられた補助充放電機器(9~13)を介して前記複数のセルブロック(20)に供給され、
次いで、全てのバッテリーセル(3~7)が充電された状態から当該それぞれのバッテリーセル(3~7)がその放電最終電圧に到達するまでの前記シリアル放電電流(I ’)の測定された時間推移から、前記複数のバッテリーセルの容量が算出される構成6に記載の方法。
【0065】
構成9:
前記複数のバッテリーセルの容量を算出するため、それぞれの充電プロセスの時間推移も使用され、当該対応するバッテリの充電時に測定された容量値と当該対応するバッテリの放電時に測定された容量値との間の平均値が、当該それぞれのバッテリーセルの容量として使用される構成7又は8に記載の方法。
【符号の説明】
【0066】
1 本装置
2 エネルギー貯蔵器
20 セルブロック
3~7 バッテリーセル,セル
8 主充放電機器
9~13 補助充放電機器
14 管理・制御機器
15 データ配線
Io シリアル充電電流
Io’ シリアル放電電流
図1