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特許7102522汗の組成物を測定するためのウェアラブル流体システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】汗の組成物を測定するためのウェアラブル流体システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
A61B5/00 N
A61B5/00 102A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020527836
(86)(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 US2018043430
(87)【国際公開番号】W WO2019023195
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】62/536,462
(32)【優先日】2017-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520030006
【氏名又は名称】エピコア・バイオシステムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】モデル,ジェフリー・ビー
(72)【発明者】
【氏名】ガファリ,ルズベ
(72)【発明者】
【氏名】アランヨシ,アレクサンダー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】リー,スティーヴン・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ラージ,ミラン・エス
【審査官】樋口 祐介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0063372(US,A1)
【文献】特開2017-023408(JP,A)
【文献】Koh, Ahyeon, et al.,A soft, wearable microfluidic device for the capture, storage, and colorimetric sensing of sweat,Science translational medicine,2016年11月23日
【文献】SULFATE (COLORIMETRIC, AUTOMATED, CHLORANILATE)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/00-5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汗検知デバイスであって、
外側に面する第1の表面と、皮膚に面する第2の表面とを有する弾力性のある本体と、
前記本体に形成された汗流路であって、流体入口を画定する第1の端と、第2の端とを有する、汗流路と、
前記汗流路に形成された生化学的アッセイウェルと、
前記生化学的アッセイウェルに配置されたアッセイ材料であって、前記汗流路を通って移動する汗と反応するように位置付けられ、且つ、前記汗流路の前記汗の流れの視覚的なインジケータならびにカメラによって検出可能なインジケータのうちの一方を提供するように位置付けられた、アッセイ材料と、を備え
前記汗流路が第1の汗流路を画定し、前記汗検知デバイスが第2の汗流路をさらに含み、
前記第2の汗流路が、
流体入口を画定する第1の端、および第2の端と、
前記第2の汗流路に形成された色検視窓と、
前記第2の汗流路の前記第1の端と前記色検視窓との間に形成された生化学的アッセイウェルと、を含み、
前記生化学的アッセイウェルが、クロラニル酸混合ウェルを画定し、前記汗検知デバイスが、前記生化学的アッセイウェルに配置されたクロラニル酸をさらに含み、前記色検視窓が、前記生化学的アッセイウェルを通過して、その中で前記クロラニル酸と反応している汗を収集するように位置付けられ、且つ、前記色検視窓の前記汗およびクロラニル酸の色の視覚的なインジケータならびにカメラによって検出可能なインジケータのうちの一方を提供するように位置付けられている、汗検知デバイス。
【請求項2】
前記弾力性のある本体が、接着された3層の材料で形成され、前記汗流路が、前記3層のうちの内層に形成される、請求項1に記載の汗検知デバイス。
【請求項3】
前記弾力性のある本体が、接着された5層の材料で形成され、前記汗流路が、前記5層のうちの3つの内層のうちの1つと、前記5層のうちの前記3つの内層のうちのいずれか複数と、のうちの一方に形成される、請求項1に記載の汗検知デバイス。
【請求項4】
前記汗流路の前記第2の端が流体出口を画定する、請求項1に記載の汗検知デバイス。
【請求項5】
複数の前記第2の汗流路を含み、前記複数の第2の汗流路はそれぞれ、各自の生化学的アッセイウェルに配置された異なるアッセイ材料を有する、請求項1に記載の汗検知デバイス。
【請求項6】
前記アッセイ材料が、前記第2の汗流路の前記汗の生理的状態および生体状態のうちの一方を検出するように選択され、前記生理的状態および生体状態が、発汗量、汗喪失量、発汗速度、汗中塩化物喪失、汗中ナトリウム喪失、汗中乳酸塩喪失、汗中電解質喪失、汗中代謝物喪失、汗のpH、汗中ブドウ糖、ならびに汗中の異質の化学濃度および毒素濃度からなる群から選択される、請求項5に記載の汗検知デバイス。
【請求項7】
ユーザの皮膚に接着されて汗を収集し、発汗量、汗喪失量、発汗速度、汗中塩化物喪失、汗中ナトリウム喪失、汗中乳酸塩喪失、汗中電解質喪失、汗中代謝物喪失、汗のpH、汗中ブドウ糖、ならびに汗中の異質の化学濃度および毒素濃度からなる群から選択される生理的状態および生体状態のうちの一方を検出するように構成された汗検知デバイスと、
コネクテッドカメラを有する対話型コンソールステーションと、を備え、
前記対話型コンソールステーションの前記コネクテッドカメラが、前記対話型コンソールステーションを介して、前記汗検知デバイスの画像を捕捉し、前記ユーザに出力を生成し、
カメラを有するスマートフォンをさらに含み、前記スマートフォンのカメラが、前記汗検知デバイスの画像を捕捉し、前記ユーザに出力を生成し、
前記汗検知デバイスが装着され、前記ユーザの皮膚に接着されている間に、前記汗検知デバイスの前記画像が複数回捕捉され、
前記対話型コンソールステーションおよび前記スマートフォンのうちの一方のプロセッサが、1つまたは複数のアルゴリズムを使用して前記出力を生成し、
前記出力が、前記ユーザの電解質および代謝物バランスを達成するために消費すべき電解質、炭水化物、および流体の特定の製剤の推奨、特定の栄養物を消費する推奨、温度を変更する推奨、身体運動のレベルを変更する推奨、介護者への警報、救急隊員への警報、室温を変えて脱水および熱損傷のうちの一方の危険を緩和させる信号、計量ステーションを起動して心拍数および体温のうちの一方を測定する信号、ならびに、ユーザの環境の照明を暗くすることおよび電動式ファンを作動させることのうちの一方を行う信号、のうちの1つであり、
前記出力および推奨が、前記スマートフォンおよび前記対話型コンソールステーションのうちの一方を介して前記ユーザに通信され、
前記汗検知デバイスが、
接着された5層の材料で形成され、外側に面する第1の表面と、皮膚に面する第2の表面とを有する弾力性のある本体と、
前記本体に形成された汗流路であって、流体入口を画定する第1の端と、第2の端とを有し、前記5層のうちの3つの内層のうちの1つと、前記5層のうちの前記3つの内層のうちのいずれか複数と、のうちの一方に形成される、汗流路と、
前記汗流路に形成された生化学的アッセイウェルと、
前記生化学的アッセイウェルに配置されたアッセイ材料であって、前記汗流路を通って移動する汗と反応するように位置付けられ、且つ、前記汗流路の前記汗の流れの視覚的なインジケータならびにカメラによって検出可能なインジケータのうちの一方を提供するように位置付けられた、アッセイ材料と、を含む、汗監視システム
【請求項8】
前記汗流路が第1の汗流路を画定し、前記汗検知デバイスが、第2の汗流路をさらに含み、
前記第2の汗流路が、
流体入口を画定する第1の端、および第2の端と、
前記第2の汗流路に形成された色検視窓と、
前記第2の汗流路の前記第1の端と前記色検視窓との間に形成された生化学的アッセイウェルと、
前記生化学的アッセイウェルに配置されたクロラニル酸と、を含み、
前記色検視窓が、前記生化学的アッセイウェルを通過して、その中で前記クロラニル酸と反応している汗を収集するように位置付けられ、且つ、前記色検視窓の前記汗およびクロラニル酸の色の視覚的なインジケータならびにカメラによって検出可能なインジケータのうちの一方を提供するように位置付けられている、請求項7に記載の汗監視システム
【請求項9】
複数の前記第2の汗流路を含み、前記複数の第2の汗流路はそれぞれ、各自の生化学的アッセイウェルに配置された異なるアッセイ材料を有し、
前記アッセイ材料が、前記第2の汗流路の前記汗の生理的状態および生体状態のうちの一方を検出するように選択され、前記生理的状態および生体状態が、発汗量、汗喪失量、発汗速度、汗中塩化物喪失、汗中ナトリウム喪失、汗中乳酸塩喪失、汗中電解質喪失、汗中代謝物喪失、汗のpH、汗中ブドウ糖、ならびに汗中の異質の化学濃度および毒素濃度からなる群から選択される、請求項8に記載の汗監視システム
【請求項10】
汗監視システムであって、
汗検知デバイスを備え、
前記汗検知デバイスは、
接着された5層の材料で形成され、外側に面する第1の表面と、皮膚に面する第2の表面とを有する弾力性のある本体と、
前記本体に形成された汗流路であって、流体入口を画定する第1の端と、第2の端とを有し、前記5層のうちの3つの内層のうちの1つと、前記5層のうちの前記3つの内層のうちのいずれか複数と、のうちの一方に形成される、汗流路と、
前記汗流路に形成された生化学的アッセイウェルと、
前記生化学的アッセイウェルに配置されたアッセイ材料であって、前記アッセイ材料が、前記汗流路を通って移動する汗と反応するように位置付けられ、且つ、前記汗流路の前記汗の流れの視覚的なインジケータならびにカメラによって検出可能なインジケータのうちの一方を提供するように位置付けられる、アッセイ材料と、
を含み、
前記汗検知デバイスは、ユーザの皮膚に接着されて汗を収集し、発汗量、汗喪失量、発汗速度、汗中塩化物喪失、汗中ナトリウム喪失、汗中乳酸塩喪失、汗中電解質喪失、汗中代謝物喪失、汗のpH、汗中ブドウ糖、ならびに汗中の異質の化学濃度および毒素濃度からなる群から選択される生理的状態および生体状態のうちの一方を検出するように構成され、
前記汗監視システムは、
コネクテッドカメラを有する対話型コンソールステーションと、
カメラを有するスマートフォンであって、前記スマートフォンのカメラが、前記汗検知デバイスの画像を捕捉し、前記ユーザに出力を生成する、スマートフォンと、を備え、
前記対話型コンソールステーションの前記コネクテッドカメラが、前記対話型コンソールステーションを介して、前記汗検知デバイスの画像を捕捉し、前記ユーザに出力を生成し、
前記汗検知デバイスが装着されて前記ユーザの皮膚に接着されている間に、前記汗検知デバイスの前記画像が複数回捕捉され、
前記対話型コンソールステーションおよび前記スマートフォンのうちの一方のプロセッサが、1つまたは複数のアルゴリズムを使用して前記出力を生成し、
前記出力が、前記ユーザの電解質および代謝物のバランスを達成するために消費すべき電解質、炭水化物、ならびに流体の特定の製剤の推奨、特定の栄養物を消費する推奨、温度を変更する推奨、身体運動のレベルを変更する推奨、介護者への警報、救急隊員への警報、室温を変えて脱水および熱損傷のうちの一方の危険を緩和させる信号、計量ステーションを起動して心拍数および体温のうちの一方を測定する信号、ならびに、ユーザの環境の照明を暗くすることおよび電動式ファンを作動させることのうちの一方を行う信号、のうちの1つである、汗監視システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、一般に、1人または複数の人の発汗速度、汗の組成物、および/または生化学的情報を測定ならびに/あるいは監視するためのウェアラブル流体システムに関する。詳細には、本発明は、1人または複数の人の発汗速度、汗の組成物、および/または生化学的情報を測定ならびに/あるいは監視し、その情報を使用して、ウェアラブル流体システムのユーザ、指導員、および/またはケアワーカーにフィードバックを提供するための改良されたウェアラブル汗監視システムと共に使用する改良されたウェアラブル汗検知デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
[002]消費者、アスリート、軍人、消防士、心不全患者、腎不全患者、糖尿病患者、嚢胞性線維症患者、精神病患者、早産児などのための電解質、微量栄養素、化学毒素、重金属、および代謝物の量的監視の利用は、脱水、致命的な状況、ならびに敗血症、アシドーシス、貧血症、高ビリルビン血症、および脱水を含む病気の危険を緩和するために重要である。
【0003】
[003]アスリート、集中治療患者、および新生児は、日常生活および睡眠中の持続的な監視から大きな恩恵を得ることが知られている。新生児の場合、病院からの退院は、栄養不足、体液平衡、および幼児の発育の追跡を託された両親および地域社会に困難な課題を提示する。食物プログラムを立ち上げるための多大な努力および幼児のための微量栄養素の強化された食物支援は、出産後の初期数週間のか弱い早産新生児が直面する、多くの生命を脅かす栄養不足に対処するのに役立ってきた。
【0004】
[004]アスリート、軍人、および救急隊員にとって、運動中に2つの流体、すなわち電解質およびその他の身体の必須成分が失われ、消費される速度を監視することは、脱水、低ナトリウム血症、または高ナトリウム血症による怪我または死の危険を低減するために必須である。多くの場合、これらの体液成分喪失を測定するために利用可能なツールは、大きくて持ち運びできない(例えば、体重を測定する秤、およびイオン性組成物を測定する高速液体クロマトグラフィ(HPLC))。こうした制限は、最も適切なとき、すなわち、人がまだ活動しているときの流体の喪失の測定を妨げる。
【0005】
[005]ポイントオブケア・ウェアラブルセンサは、生化学分析レベルを非侵襲的に測定する可能性を持ち、日常看護および代謝物管理を、研究所または病院の環境から遠隔の現場環境または家庭へ移すことができる。ウェアラブル電子間質液および汗分析システムのいくつかの形態は、バイオマーカー濃度を監視する電気化学手法を利用するが、明確に定義された時点における離散的な汗の試料の収集、捕捉、またはその後の分析は可能でない。既知の方法は、例えば、PharmChek(登録商標)汗パッチなどの吸収パッチ、または、例えば、Macroduct(登録商標)汗収集システムなどのコイル管に依存しており、事後分析用に汗を収集する受動的な媒体として役立つだけである。これらの従来のデバイスは、高価で、大きく、重たくて、美的な魅力がなく、機械的に剛性である。このように、従来のデバイスは、身体運動時または激しい活動時の皮膚との密接な結合を妨げ、信号品質が悪く、物理的にユーザを邪魔する。
【0006】
[006]したがって、従来のウェアラブルセンサの制限を克服し、高性能、低コストであり、診療所外のアスリート、患者、および新生児を監視するために必要な医療診断を提供するアクセス可能な健康監視システムの構成要素である改良されたウェアラブル汗検知デバイスを有する改良されたウェアラブル汗監視システムを提供することが望ましい。こうしたユーザおよびその他のユーザのための良質な医療診断へのアクセスは、集中ケアセンタへの依存を低減するのに役立ち、保健職員、親、介護者、スポーツチーム、および指導員に、治療方法および成果を理解するためのより良い個々の統計データを提供できるようにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[007]本発明は、アスリートまたは患者などの人間被験者の状態を検出し、その情報をスマートフォンを介して指導員、親、介護者、またはその他の提供者に取り次ぐウェアラブル汗監視システムおよびそれと共に使用する1つまたは複数の流体センサ、発汗量収集路を含み得る汗検知デバイス、ならびに比色分析法または電気化学的分析法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[008]汗検知デバイスは、外側に面する第1の表面および皮膚に面する第2の表面を有する弾力性のある本体と、流体入口を画定する第1の端、および第2の端を有する、本体に形成された汗流路と、を含む。生化学的アッセイウェルは汗流路に形成され、アッセイ材料は生化学的アッセイウェルに配置され、汗流路を通って移動する汗と反応するように位置付けられ、且つ、汗流路の汗の流れの視覚的なインジケータならびにカメラおよびコネクテッドプロセッサによって検出可能なインジケータのうちの一方を提供するように位置付けられる。
【0009】
[009]別の実施形態では、汗監視システムは、ユーザの皮膚に接着して汗を収集し、発汗量、汗喪失量、発汗速度、汗中塩化物喪失、汗中ナトリウム喪失、汗中乳酸塩喪失、 汗中電解質喪失、汗中代謝物喪失、汗のpH、汗中ブドウ糖、ならびに汗中の異質の化学濃度および毒素濃度からなる群から選択される生理的状態および生体状態のうちの1つを検出するように構成された汗検知デバイスを含む。対話型コンソールステーションは、対話型コンソールステーションを介して、汗検知デバイスの画像を捕捉し、ユーザに出力を生成するコネクテッドカメラを有する。
【0010】
[010]本発明の様々な態様は、添付の図面に照らして読むことで、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から当業者には明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[011]本発明による汗検知デバイスの第1の実施形態の斜視図である。
図2】[012]図1の2-2線に沿う断面図である。
図3】[013]図2の円3内の汗検知デバイスの部分の拡大断面図である。
図4】[014]図1から図3に示す汗検知デバイスの代替の斜視図である。
図5】[015]図4の5-5線に沿う断面図である。
図6】[016]図5の円6内の汗検知デバイスの部分の拡大断面図である。
図7】[017]図1から図6に示す汗検知デバイスの分解斜視図である。
図8】[018]本発明による汗検知デバイスの第2の実施形態の上層の材料のシートまたはブランクの平面図である。
図9】[019]図8に示す汗検知デバイスの内層のうちの1つの材料のシートまたはブランクの平面図である。
図10】[020]図8および図9に示す汗検知デバイスの下層の材料のシートまたはブランクの平面図である。
図11】[021]図8から図10に示す層から形成された汗検知デバイスの斜視図である。
図12】[022]本発明による汗検知デバイスの第3の実施形態の斜視図である。
図13】[023]熱変色性温度インジケータおよび積算時間計を示す本発明による汗検知デバイスの第4の実施形態の一部の拡大平面図である。
図14】[024]電子温度計測および着用時間を示す本発明による汗検知デバイスの第5の実施形態の一部の拡大平面図である。
図15】[025]本発明による汗検知デバイスを含み、ウェアラブル汗監視システムを通るデータの流れを示すウェアラブル汗監視システムの第1の実施形態の図である。
図16】[026]本発明による汗検知デバイスの第6の実施形態の断面立面図である。
図17】[027]本発明による汗検知デバイスの第7の実施形態の断面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[028]本発明は、診療所または家庭環境で1つまたは複数の身体の位置から、アスリート、患者、および新生児などの人からの発汗量、汗の組成物、および生化学的情報を検知できるウェアラブル汗検知デバイスおよび汗監視システムに関する。以下に詳細に説明するように、汗監視システムは、スマートフォンのカメラまたは例えば、アスリートのための計量ステーションまたは心臓監視ステーションなどの対話型コンソールステーションに接続されたカメラなどのカメラで、汗検知デバイス内の流体路または汗流路の画像を分析することによって被験者またはその他の利害関係者に情報をリアルタイムで取り次ぐことができる。スマートフォンまたは対話型コンソールステーション内のプロセッサは、画像データを分析して、消費して、電解質バランスを達成するのに役立つ電解質および流体の特定の製剤の推奨など、取るべき行動を定義する出力を判定することができ、例えば、温度もしくは身体運動のレベルを変更する、または介護者および/または救急隊員に警告することなど、実環境または仮想環境を修正することができる。推奨された行動は、スマートフォンまたは対話型コンソールステーションを介してユーザに通信され得る。
【0013】
[029]ここで、図を参照すると、本発明による汗検知デバイス10の第1の実施形態が図1図7に示されている。汗検知デバイス10は、第1の層または上層12、第2の層14、第3の層16、第4の層18、および第5の層または低層20を有する実質的に弾力性のある本体11を含む。上層12は、第1の表面または外側に面する表面22を有する。低層20は、第2の表面または皮膚に面する表面24を有する。接着剤が皮膚に面する表面24に塗布され、皮膚に面する表面24は、任意の所望の弾力性のある空気/酸素不透過性材料で形成された取り外し可能粘着性ライナ25によって覆われる。
【0014】
[030]図示の第1の層12および図示の第5の層20は、約0.102ミリメートル(0.004インチ)の厚さを有する透明なポリウレタンで形成される。代替で、第1の層12および第5の層20は、シリコン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはポリウレタンなどの他の所望の柔らかい、弾力性のある、透明な材料で形成されてもよい。所望により、第5の層20は、不透明な材料で形成されてもよい。第1の層12および第5の層20はまた、他の所望の厚さであってもよい。例えば、第1の層12は、約0.051ミリメートル~約0.152ミリメートル(約0.002インチ~約0.006インチ)以内の厚さであってもよく、第5の層20は、約0.0254ミリメートル~約0.102ミリメートル(約0.001インチ~約0.004インチ)以内の厚さであってもよい。
【0015】
[031]図示の第3の層16は、約0.127ミリメートル(約0.005インチ)の厚さの透明なシリコンで形成される。代替で、第3の層16は、ポリウレタン、ポリエステル、またはPETなどの他の所望の柔らかい、弾力性のある、透明な材料で形成されてもよく、約0.1016ミリメートル~約0.152ミリメートル(約0.004インチ~約0.006インチ)以内の他の所望の厚さであってもよい。
【0016】
[032]図示の第2の層14および図示の第4の層18は、約0.051ミリメートル(0.002インチ)の厚さを有する透明なアクリルPSAで形成される。第2の層14および第4の層18は、第1の層12、第3の層16、および第5の層20を一緒に接着する接着層である。接着性の第2の層14および第4の層18に選択される材料は、それらが付与される層の材料に基づいて変更されてもよい。例えば、シリコンの接着層は、ボンドシリコン層に共に選択され得る。代替で、第2の層14および第4の層18は、約0.0254ミリメートル~約0.1016ミリメートル(約0.001インチ~約0.004インチ)以内など、他の所望の厚さであってもよい。所望により、第1の層12、第3の層16、および第5の層20は、超音波溶着などの任意の従来の手段によって、直接一緒に接着されてもよい。
【0017】
[033]1つまたは複数の汗流路は、少なくとも第3の層16に形成され得る。図1図7に示される汗検知デバイス10の実施形態に示すように、第1の汗流路26は第3の層16に形成され、蛇行経路を画定する。代替で、汗検知デバイス10の図示の実施形態に示すように、第1の汗流路26は、第2の層14および第4の層18にもそれぞれ形成される。第1の汗流路26は、汗入口端28と汗検知デバイス10の外周縁に、汗が第1の汗流路26から出られるように位置付けられた汗出口端30とを有する。第1の汗流路26はまた、汗入口端28の近くに生化学的アッセイウェル32を含み得る。
【0018】
[034]追加で、汗流路は、汗流路の一部が、第2の層14と第3の層16におよび第3の層16と第4の層18になど、第2の層14内、第3の層16内、および第4の層18内に、または層の組み合わせで様々に形成されるように、形成することができる。汗流路の高さをこのようにその長さにわたって変更することにより、視覚的なインジケータとして弾力性のある本体11内により高い高さの汗流路の区域を位置付けることができ、そこでは、中の染料の量が多いほど色がより濃く見えるので、高さが高い汗流路の部分内の色の変化を、より簡単に見ることができる。
【0019】
[035]その長さにわたって異なる高さを有する汗流路が形成される場合、すなわち、汗流路の部分が、その層内で様々に形成される場合、汗流路は、自身を乗り越えることができ、汗検知デバイス10、50、70、100、および120のサイズを増やす必要なく、より長い汗流路が可能になる。
【0020】
[036]図4に最もよく示されるように、第2の汗流路34もまた、第2の層14、第3の層16、および第4の層18にそれぞれ形成される。第2の汗流路34は、汗入口端36および第1の汗流路26とは異なり、汗出口を画定しない第2の端38を有する。第2の汗流路34はまた、汗入口端36の近くに生化学的アッセイウェル40を含み得る。
【0021】
[037]低層20は、汗流路と流体連通する流体入口ポートまたは汗入口ポートを有し得る。図4に最もよく示されるように、低層20は、第1の汗流路26と流体連通する第1の汗入口ポート42、および第2の汗流路34と流体連通する第2の汗入口ポート44を含む。汗検知デバイス10の図示の実施形態では、生化学的アッセイウェル32および40は、低層20を通って延びて、その中への化学的アッセイの挿入を可能にする。
【0022】
[038]図5に示すように、低層20内の第1の汗入口ポート42の部分42Aは、第2の層14、第3の層16、および第4の層18それぞれに形成される第1の汗入口ポート42の部分より小さくてもよい。同様に、低層20内の生化学的アッセイウェル40の部分40Aおよび生化学的アッセイウェル32の部分(図示せず)は、第2の層14、第3の層16、および第4の層18それぞれに形成される生化学的アッセイウェル40および32の部分より小さくてもよい。
【0023】
[039]アッセイウェル32および40が形成され、汗検知デバイス10、50、70、100、および120が組み立てられた後、以下に詳細に説明する、所望の生化学的アッセイ材料または化学的アッセイ材料がその中に配置され得る。次に、アッセイウェル32および40は、接着層41が取り付けられる低層20と同じ材料などの、任意の所望の弾力性のある材料で形成された接着層41で閉鎖され得る。
【0024】
[040]汗流路およびポートは、レーザ、または打ち抜きなどの任意の所望の手段によって、第2の層14、第3の層16、第4の層18、および第5の層20に形成され得る。例えば、汗検知デバイス50の第2の実施形態の層を備える材料のシートまたはブランクは、図8図10に示される。組み立てられた汗検知デバイス50は、図11にも示される。例えば、図8は、汗検知デバイス50の第1の層または上層52の材料のシートまたはブランクの平面図である。図9は、上述の汗検知デバイス10の第2の層14、第3の層16、第4の層18のうちの任意の1つなどの汗検知デバイス50の内層54の1つの材料のブランクの平面図である。図10は、汗検知デバイス50の低層56の材料のブランクの平面図である。ブランク52、54、および56はそれぞれ、取付具、治具、または同様のデバイス(図示せず)でブランク52、54、および56を整列させるためにその中に形成された整列孔58を含む。
【0025】
[041]図9に示すように、内層54は、その中に形成された第1の汗流路60を有する。第1の汗流路60は、汗入口端62および第2の端64を有する。第1の汗流路60はまた、汗入口端62の近くに1つまたは複数の生化学的アッセイウェル66を含み得る。
【0026】
[042]低層56は、汗流路と流体連通する汗入口ポートを有し得る。図10に最もよく示されるように、低層56は、第1の汗流路58と流体連通する第1の汗入口ポート68を含む。1つまたは複数の生化学的アッセイウェル66は、低層56を通って延びる。
【0027】
[043]本明細書に記載の改良された汗検知デバイスの実施形態の汗流路の幅W1およびアッセイウェルの直径は、汗検知デバイスの特定の用途によって異なり得ることが理解されよう。図示の汗流路26、34、および60は、約1.016ミリメートル(約0.040インチ)の幅など任意の所望の幅W1を有し得る。代替で、汗流路26、34、および60は、約0.127ミリメートル~約3.048ミリメートル(約0.005インチ~約0.120インチ)以内の幅であってもよい。入口ポート42、42、および68ならびに生化学的アッセイウェル32、40、および66は、それぞれ約1.016ミリメートル(約0.040インチ)および約4.064ミリメートル(約0.160インチ)の直径など任意の所望の直径を有し得る。代替で、入口ポート42、42、および68は、約1.016ミリメートル~約2.54ミリメートル(約0.040インチ~約0.100インチ)の直径を有することができ、生化学的アッセイウェル32、40、および66は、約0.508ミリメートル~約5.08ミリメートル(約0.020インチ~約0.200インチ)の直径を有し得る。
【0028】
[044]図示の入口ポートおよびアッセイウェルは、円形横断面を有するものと示されているが、入口ポートおよびアッセイウェルは、正方形横断面、または他の幾何学形状などその他の形状を有して形成することができる。
【0029】
[045]生化学的アッセイウェル32および40は、マイクロリットル量などの非常に少ない量の汗と反応するように構成することができる比色反応サイトを画定する。アッセイウェル32および40は、例えば、従来の食用染料、化学的アッセイ、蛍光透視染料、酵素アッセイ、重金属アッセイ、およびタンパク質/DNAベースのアッセイなどの色付き染料を含み得る。汗検知デバイス10では、一アッセイウェル32が、汗流路26内に形成され、一アッセイウェル40が、汗流路34内に形成される。汗検知デバイス50では、2つのアッセイウェル66が、汗入口ポート68の近くの汗流路60内に形成される。
【0030】
[046]汗検知デバイス10、50、および70(ならびに以下に説明する汗検知デバイス100および120)などの本明細書に開示する汗検知デバイスは、汗流路および/またはアッセイウェルの深さが異なるように形成され得ることが理解されよう。化学反応によって引き起こされる色変化は、ランベルト・ベールの法則に従って、汗流路またはアッセイウェルの深さによって異なる。複数の深さで汗検知デバイス10、50、70、100、および120における色変化を測定することは、光、露出、および焦点に関連するあらゆるマイナス効果を低減するのに役立ち得る。
【0031】
[047]所望により、汗検知デバイス10の外側に面する表面22は、その上に印刷された印を有する25マイクロメートルのPETの層など、ポリマの非常に薄い層(図示せず)で積層されてもよい。例えば、印は、汗流路26および/または34と共に揃えられて、光画像キャプチャ用に流路26および/または34の選択された区域をハイライトしてもよい。
【0032】
[048]汗検知デバイス10、50、および70(ならびに以下に説明する汗検知デバイス100および120)などの本明細書に開示する汗検知デバイスは、汗を分析し、その分析を応用して、ユーザ、患者、および/または介護者にフィードバックを提供し、1つまたは複数の環境またはシステムの動作あるいは状態を修正する、以下に詳細に説明されるウェアラブル汗監視システム90で使用することができる。有利なことに、1人または複数の人に取り付けられた1つまたは複数の生理的状態または生体状態を検出し、示すように構成された1つまたは複数の汗検知デバイス10、50、70、100、および120によって1人または複数の人を、監視することができる。状態は、発汗量、汗喪失量、発汗速度、汗中塩化物喪失、汗中ナトリウム喪失、汗中乳酸塩喪失、汗中電解質喪失、汗中代謝物喪失、汗のpH、汗中ブドウ糖、ならびに汗中の異質の化学濃度および毒素濃度を含むが、それに限定されない。
【0033】
[049]ここで図15を参照すると、本発明による汗検知デバイス10、50を含むウェアラブル汗監視システムの第1の実施形態の図が90に示され、それを通るデータの流れを示している。ウェアラブル汗監視システム90は、以下に詳細に説明され、汗検知デバイス50などの汗検知デバイスが貼り付けられたアスリート92などの人を含む。ウェアラブル汗監視システム90は、対話型コンソールステーション94および/またはスマートフォン96、特定の電界質補充飲料、炭水化物、ならびに消費してユーザの電解質および代謝物バランスを達成する流体などの電解質の特定の製剤を消費する推奨、特定の栄養物を消費する推奨、あるいは1つまたは複数の環境もしくはシステムの動作もしくは状態を修正する信号などの出力メッセージ98をさらに含む。
【0034】
[050]所望により、汗流路26、34、および/または60などの汗流路は、その中に配置された赤い食用染料などの色付き染料を有してもよい。これらの実施形態では、汗検知デバイス10、50、および70は、汗流路26、34、および/または60内の発汗量を測定するように構成され、生化学的アッセイウェル32、40、および66内の塩化物濃度を測定するようにさらに構成されてもよい。汗流路26、34、および/または60内の発汗量は、比色測定で表示され得る。生化学的アッセイウェル32、40、および66内の塩化物濃度は、熱変色性で表示され得る。例えば、外側に面する表面22に付与された上述のポリマ積層体(図示せず)上の印は、塩化物濃度のレベルのインジケータを含み得る。
【0035】
[051]クロラニル酸は汗中の塩化物と反応することが示されてきた。生化学的アッセイウェル32、40、および66にある汗中の塩化物濃度は、その中に表示された紫の諧調によって示すことができることがさらに示されてきた。延長された保存期間中、生化学的アッセイウェル32、40、および66内のクロラニル酸を固定することを支援するためおよびクロラニル酸が汗流路26、34、および/または60を通って流れるのを防ぐため、p-HEMAまたはポリエチレングリコール(PEG)の懸濁液を、生化学的アッセイウェル32、40、および66内でクロラニル酸に加えることができる。代替で、生化学的アッセイウェル32、40、および66は、色付き染料の乾燥部を含んでもよい。そして、乾燥させた色付き染料は、汗と混合すると、色が変わる。所望により、他の化学アッセイを使用して、血糖、乳酸、および発汗量などの他の所望の汗の状態または汗のパラメータ用に汗を検査することができる。
【0036】
[052]次に、汗流路26、34、および/または60内ならびに生化学的アッセイウェル32、40、および66内のこの色および/または色の変化が、ユーザによって観察され、評価されることができるか、あるいは、スマートフォン96のカメラ、カメラ、または対話型コンソールステーション94、もしくは色および/または色変化から数量化測定を導出する他の手段に取り付けられた他の撮像デバイスなどの外部デバイスによって測定および適宜数量化することができる。有利なことに、汗検知デバイス10、50、70、100、および120は、汗検知デバイス10、50、70、100、および120がユーザの身体上にありながら、ユーザによって観察され、数量化することができるか、あるいはリアルタイムで外部デバイスによって、測定および適宜数量化することができる。これにより、以下に詳細に説明するように、ユーザが身体運動にさらに従事しながら、または身体運動をちょうど完了したとき、電解質の補充などの栄養物の推奨および環境の変化の推奨をユーザに提供することが可能になる。
【0037】
[053]汗検知デバイスの第3の実施形態が、図12の70に示される。汗検知デバイス70は、汗検知デバイス50に類似するが、追加で、温度を測定するように構成された第2の汗流路72を含む。第2の汗流路72は、低層56を通って延び、第2の汗流路72と流体連通する第2の汗入口ポート74を含む。色検視窓78が、第2の汗流路72の遠位端に形成され、クロラニル酸混合ウェル76が、第2の汗入口ポート74と色検視窓78の中間に形成される。上述したように、汗は、第2の汗流路72に汗入口ポート74を通って入ることができ、汗がクロラニル酸と混合するクロラニル酸混合ウェル76に進むことができる。混合された汗とクロラニル酸は、その後、汗流路72内を色検視窓78に進むことができ、そこで、汗-クロラニル酸混合は、裸眼および/またはスマートフォン96のカメラ、カメラまたは対話型コンソールステーション94または色および/または色変化から数量化測定を導出する他の手段に取り付けられた他の撮像デバイスなどの外部デバイスで検出可能な方法で、色を変える。
【0038】
[054]ここで図13を参照すると、本明細書に開示された汗検知デバイス10、50、70、100、および120のいずれかは、温度を測定するように構成された汗流路72を含み得る(これも図12に示す)。汗流路72は、低層56を通って延び(図12を参照)、第2の汗流路72と流体連通する汗入口ポート74を含む。色検視窓78が、第2の汗流路72の遠位端に形成され、クロラニル酸混合ウェル76が、第2の汗入口ポート74と色検視窓78の中間に形成される。
【0039】
[055]図示の実施形態では、クロラニル酸混合ウェル76は、温度を測定するように調整された封入された熱変色性インクを含む。適切な熱変色性インクの例は、コレステリックでキラルネマチックな構造体を有するインクを含むがこれに制限されない。インクは、図6に示すように第2の層14と第4の層18との間、または第2の層14および第4の層18のない実施形態での第1の層12と第5の層20との間など、汗検知デバイス10、50、70、100、および120の積層層間に直接配置されてもよい。代替で、汗流路72は、予め組み立てられた、モジュラーストリップ(図示せず)で形成されて、汗検知デバイス10、50、70、100、および120に取り付けられてもよい。
【0040】
[056]熱変色性インクは、汗の温度が上昇すると、例えば、無色から赤、橙、黄色、緑、青、および紫に色を変える。代替で、温度の影響を受けにくく、したがって、予め設定された特定の転移温度でのみ色を変える熱変色性インクが選択されてもよい。こうした温度の影響を受けにくいインクで、汗検知デバイス10、50、70、100、および120が転移温度に到達した場合、変色性インクは色を変える。
【0041】
[057]汗流路72はまた、色検視窓78に見ることができるように温度値を色に割り当てる隣接する温度インジケータ80を含んでもよい。所望により、汗流路72は、隣接する積算時間計82も含んでよい。汗入口ポート74およびクロラニル酸混合ウェル76は、汗入口ポート74およびクロラニル酸混合ウェル76を覆うため、かつその中に含まれる汗、汗-クロラニル酸混合、および/または汗-変色性インク混合を隠すため、取り外し可能粘着性ライナ(図13に示さないが、ライナ25と同様である)によって覆われてもよい。
【0042】
[058]図13に示すように、酸化性インクが、複数のウェル84に配置され得る。使用の際には、積算時間計82を覆うライナは取り除かれ、ウェル84は空気に露出され、インクは色を変え始める。インクの色の変化は、汗検知デバイス10、50、70、100、および120が身体上に置かれて、時間のインジケータとして役立ち得る。図示の通り、積算時間計82は、図13の82に示すように経過時間をグラフィック表示する、すなわち、円は、異なる時間間隔で異なる色を持ち、それぞれ徐々に反応時間が遅くなるインク製剤を有する複数のウェル84を含む。酸化性インクは、ハイドロゲルまたはセルロース中で懸濁するポリフェノールオキシダーゼで構成され得る。テントキシンまたはトロポロンなどの抑制物質を使用して、インクが色を変えるまでの時間を長くすることができる。
【0043】
[059]取り外し可能粘着性ライナ(図示せず)は、積算時間計82を覆うことができ、その内側表面に取り付けられた以下に記載の脱酸素剤112などの脱酸素剤を持つことができる。取り外し可能粘着性ライナ(図示せず)が汗検知デバイスに付与される場合、ライナは積算時間計82を覆い、それに係合するように位置付けられ、その活性化を防ぐ。取り外し可能粘着性ライナ(図示せず)が積算時間計82から取り除かれると、その中のインクが酸素にさらされて、比色タイマ、すなわち、積算時間計82が開始する。
【0044】
[060]図13の82に示すように経過時間を表すため、円が異なる時間間隔で異なる色を持つことに加えて、積算時間計82は、1つまたは複数の単語、点、または時間の経過とともに目に見えるその他の形状として構成することができる。例えば、積算時間計82は、予め設定された時間後、「期限が切れた」という言葉を綴り出すことができる。
【0045】
[061]代替で、積算時間計82は、食品包装用などに使用される、1つまたは複数の従来の酸化還元色素ベースのインジケータを含んでもよい。こうしたインジケータの一つの非限定的な例は、Mitsubishi Gas Companyが製造する、Ageless Eye(登録商標)である。
【0046】
[062]図14に示すように、流路72は、代替で、隣接する電子デバイスまたはセンサ86を含んでもよい。こうしたセンサ86は、電子デバイスまたは本明細書に記載の化学センサのいずれかなどの、温度測定センサおよびウェアタイマ(身に着けられるタイマ)であってもよい。追加で、センサ86は、タイマまたはECG、PPG、心拍、および呼吸速度などの所望の生理学的パラメータを検出するように構成されたセンサなどの任意の他の種類のセンサであってもよい。デバイスまたはセンサ86はまた、ウェアラブル汗監視システム90内の対話型コンソールステーション94またはスマートフォン96と無線通信するように構成されてもよい。
【0047】
[063]本明細書に記載の汗検知デバイス10、50、70、100、および120のいずれかが、その中に形成された1つまたは複数の流路72を持つことができ、それぞれが、温度インジケータ80、隣接する積算時間計82、および/またはセンサ86を含んでもよいことが理解されよう。
【0048】
[064]図16は、汗検知デバイス100の第6の実施形態の断面立面図である。汗検知デバイス100は、汗検知デバイス10に類似し、上層12、第2の層14、第3の層16、第4の層18、低層20、外側に面する表面22、および皮膚に面する表面24を含む。汗検知デバイス100はまた、汗流路26と流体連通する汗入口ポート42を含む。接着剤が皮膚に面する表面24に塗布され、皮膚に面する表面24は、取り外し可能粘着性ライナ25によって覆われる。
【0049】
[065]汗検知デバイス100は、外側に面する表面22に取り付けられた従来の弾力性のあるプリント基板(PCB)102を含み得る。亜鉛空気電池104などの電池、近距離無線通信(NFC)アンテナ106などのアンテナ、およびマイクロプロセッサ108が、PCB102に動作可能に接続され、取り付けられる。
【0050】
[066]取り外し可能粘着性ライナ110は、PCB102を覆うように外側に面する表面22に取り付けることができる。図示の取り外し可能粘着性ライナ110は、その内側表面に取り付けられた脱酸素剤112を有する。取り外し可能粘着性ライナ110は、任意の所望の材料で形成することができる。取り外し可能粘着性ライナ110が、外側に面する表面22に付与された場合、脱酸素剤112は亜鉛空気電池104と係合し、その活性化を防ぐ。
【0051】
[067]マイクロプロセッサ108は、埋め込み温度センサを備えるNXP NHS3100スマートセンサまたは一体型マイクロコントローラとアナログ・デジタル変換器と温度センサとを含むTexas Instruments RF430FRL152センサトランスポンダなどの任意の所望のマイクロプロセッサであってもよい。追加で、マイクロプロセッサ108は、それに取り付けられた追加のセンサを有するように構成された任意のマイクロプロセッサであってもよい。例えば、こうした追加のセンサは、インピーダンスセンサ、塩度センサ、および圧力センサ(図示せず)を含んでもよい。有利なことに、NFC対応集積回路デバイスは、汗検知デバイス100の近くのNFC対応型スマートフォン96またはタブレット(図示せず)から誘導された変調された13.56MHzの電流から採取された電力から自己給電が可能である。スマートフォン96またはタブレット(図示せず)が、汗検知デバイス100の近くにもたらされた場合、PCB102上のセンサは、例えば、温度など汗の所望の状態を測定することができる。
【0052】
[068]所望により、マイクロプロセッサ108は、内蔵時計/タイマを含むことができ、したがって、汗検知デバイス100がユーザの皮膚に付与されたときに、時計/タイマが起動された場合、経過した時間を記録することができる。例えば、NXP NHS3100は、汗検知デバイス100が付与されて起動されたときに始まる経過時間を測定することができる内蔵オシレータおよびメモリレジスタを有する。
【0053】
[069]汗検知デバイス100をユーザに付与すると簡単に時計/タイマを起動する別の方法は、亜鉛空気電池104を伴うものである。取り外し可能粘着性ライナ110が、外側に面する表面22に付与された場合、脱酸素剤112は、亜鉛空気電池104と係合し、その活性化を防ぐように位置付けられる。
【0054】
[070]取り外し可能粘着性ライナ25は、汗検知デバイス100がユーザの皮膚に付与され得る前に、取り外さなくてはならない。ユーザが、追加で取り外し可能粘着性ライナ110を外側に面する表面22から取り外すと、亜鉛空気電池104は空気にさらされ活性化し、したがって、表面上に取り付けられたマイクロプロセッサ108、および任意のタイマまたはセンサに給電する。
【0055】
[071]図17は、汗検知デバイス120の第7の実施形態の断面立面図である。汗検知デバイス120は、汗検知デバイス100に類似し、上層12、第2の層14、第3の層16、第4の層18、低層20、外側に面する表面22、および皮膚に面する表面24を含む。汗検知デバイス110はまた、汗流路26と流体連通する汗入口ポート42を含む。接着剤が皮膚に面する表面24に塗布され、皮膚に面する表面24は、取り外し可能粘着性ライナ25によって覆われる。図17では、汗検知デバイス120は、上述したように、温度を測定するように調整された封入された熱変色性インクをその中に有するクロラニル酸混合ウェル122を含む。汗検知デバイス120はまた、その内側表面に取り付けられた脱酸素剤128を有する取り外し可能粘着性ライナ126によって覆われたウェル124を含む。
【0056】
[072]酸化性インク130が、タイマを画定するウェル124内に配置され得る。使用の際には、ライナ126が取り除かれ、ウェル124が空気にさらされて、それによりその中のインク126が色を変え始められるようになり、したがってタイマが開始する。インクの色の変化は、汗検知デバイス120が身体上に置かれている時間のインジケータとして役立つ。酸化性インク130は、上記本明細書に記載のインクのうちの一つであってもよい。
【0057】
[073]有利なことに、本明細書に記載のウェアラブル汗監視システム90および汗検知デバイス10、50、70、100、および120は、汗に基づいた分析および当分析を応用してユーザにフィードバックを提供するための改良されたシステムおよび方法を提供する。この分析およびフィードバックは、その後使用されて、1つまたは複数の監視された、汗喪失量、発汗速度喪失、汗中電解質喪失、汗中代謝物喪失、および/または汗中の異質の化学濃度/毒素濃度など(ただし、それらに制限されない)に基づいた1つまたは複数の環境あるいはシステムの動作または状態を修正することができる。
【0058】
[074]図15に示すように、検知され、収集された状態情報は、ウェアラブル汗監視システム90の動作およびユーザが位置する環境を修正するために使用される対話型コンソールステーション94および/またはスマートフォン96に取り次ぐことができる。追加で、ユーザはスマートフォン96を使用して状態情報を収集し、その後、その情報を対話型コンソールステーション94に取り次ぐことができる。対話型コンソールステーション94およびスマートフォン96は、互いに独立して使用されて、状態情報を収集できる。例えば、検知され、収集された状態情報により、アルゴリズムまたはコンピュータのプログラムに、例えば、開始もしく停止を実行させ、あるいは、実行するプログラム、機能、または工程の流れを変更させることができる。
【0059】
[075]例えば、計量ステーションは、汗検知デバイス10、50、70、100、または120の画像を捕捉し、発汗量、発汗速度、および電解質/代謝物喪失情報を分析し、ユーザの失われた湿重量を補充するため流体電解質および補充量についてこの情報をユーザ、患者および/または介護者に取り次ぐことができる。追加で、例えば、汗検知デバイス10、50、70、100、または120の塩化物センサ/ナトリウム電解質センサなどの汗の組成物センサは、塩化物濃度レベルを対話型コンソールステーション94および/またはスマートフォン96に送信することができ、その後、対話型コンソールステーション94および/またはスマートフォン96は、例えば、仮想環境でアバターが、同一かまたは誇張された、アスリートなどのユーザの脱水の特徴を示す、仮想表示をすることができる。
【0060】
[076]追加で、ウェアラブル汗監視システム90によって収集される検知された状態情報を使用して、例えば、温度を変更する推奨をする、身体運動のレベルを変更する推奨をする、介護者または救急隊員に警報を送る、室温を変えて脱水または熱損傷の危険を緩和させる信号を送る、計量ステーションを起動して心拍数または体温を測定する信号を送る、ユーザの環境で照明を暗くするまたは電動式ファンをつけて、室温を変えて脱水または熱疲労などの熱損傷の危険をさらに緩和させる信号を送るなどによって、システムの出力98を修正することができる。
【0061】
[077]再度図15を参照すると、対話型コンソール94は、クラウドサーバ、スポーツ計量ステーションコンソール、仮想現実または拡張現実コントローラ、スマートボトルセンサ、およびユーザ、指導員、医療専門家などにフィードバックを提供するように構成された任意のデバイスを含むがそれらに限定されない、任意の従来の対話型デバイスまたは対話型環境であってもよい。
【0062】
[078]特定の電解質補充飲料またはその他の栄養物を推奨することに加えて、ウェアラブル汗監視システム90は、汗検知デバイス10、50、70、100、および120から収集されたデータを使用して、無線で変更可能なトレーニングルームの照明を変更し、無線で変更可能なトレーニングルームの温度を変更し、新しいトレーニング食事療法をユーザに推奨し、かつ測定値に基づいて他の推奨を提供してユーザの発汗速度、水分摂取、または環境を修正することができる。汗検知デバイス10、50、70、100、および120から収集された情報を使用して、電解質異常、怪我または考えられる怪我、心臓の状態、およびその他のユーザにとって潜在的に危険な状態について指導員、トレーニングスタッフ、または医療専門家に警告することによって安全な動作環境も確保できる。
【0063】
[079]有利なことに、ウェアラブル汗監視システム90を使用することによって、1人または複数の人を、1つまたは複数の汗検知デバイスが取り付けられた人の1つまたは複数の状態を示す1つまたは複数の汗検知デバイスによって監視できる。監視され、示される状態は、人または人の身体の一部の位置および動きなどの身体状況を含み得る。状態はまた、人の機能および/または工程の機械的、物理的、熱的および/または生化学的態様などの生理的または生物学的状態を含み得る。状態は、例えば、鉛、水銀、および発がん物質などの化学毒素ならびに例えば、気分、焦点、集中、意気消沈、および覚醒など精神的、感情的、および精神医学的状態に対するコルチゾールなどのストレスバイオマーカの検出をさらに含み得る。
【0064】
[080]1人または複数の人から監視され、示された情報は、収集および処理または分析され、人が体験する対話型環境を制御する対話型コンソールステーション94へのあるいはスマートフォン96への直接の入力として使用されるか、または入力を選択または修正するため使用され得る。対話型コンソールステーション94およびスマートフォン96は、一体型カメラまたはコネクテッドカメラを使用して、汗検知デバイス10、50、70、100、および120の写真および色彩強度を入力するように撮ることができ、その後、この情報を使用して、流体および栄養物の補充などを介して喪失した栄養物を埋め合わせる方法を推奨し、かつ/または温度、湿度、バックグラウンドミュージック、ビデオ、および照明の状態など、環境状態を修正する。
【0065】
[081]対話型コンソールステーション94およびスマートフォン96は、1つまたは複数のアルゴリズムを使用して、環境またはシステムもしくは機械の動作を修正するかどうか判定できる。例えば、アルゴリズムは、発汗量、汗喪失量、発汗速度、汗中塩化物喪失、汗中ナトリウム喪失、汗中乳酸塩喪失、汗中電解質喪失、汗中代謝物喪失、汗のpH、汗中ブドウ糖、ならびに汗中の異質の化学濃度および毒素濃度、あるいはこれらの検出した生理的または生体状態の変化の速度などの1つまたは複数の検出した生理的または生体状態を使用して、対話型コンソールステーション94および/またはスマートフォン96の動作に影響を及ぼすかまたはそれを修正することができる。
【0066】
[082]アルゴリズムは、例えば、失われた栄養物を補充するためユーザに対して個別化された電解質のレシピを提供することを含む、ダイエット、トレーニングの強度の修正、呼吸を制御する瞑想ルーチン、またはスポーツ中の水分補給飲料摂取の修正についての情報を提供する。追加で、アルゴリズムは、1つまたは複数の検知した状態を表す1つまたは複数のパラメータを過去の成績または母集団のデータセットを比較するアスリートおよび/またはチームの事前定義された閾値、値の範囲、または以前記録された値と比較してもよい。
【0067】
[083]対話型コンソールステーション94および/またはスマートフォン96は、画像補正アルゴリズムを有して、外側に面する表面22など、汗検知デバイス10、50、70、100、および120の外側に面する表面のシャドウイング、グレア、輝度変化、および鏡面反射の効果を補正することができる。汗検知デバイス10、50、70、100、および120は、外側に面する表面に積層され得るポリマ層(図示せず)上に刷り込まれた印を含み得る。印は、性質が異なる照明状態の効果および影の効果を取り去るために使用される色調整の目印を含み得る。汗検知デバイス10、50、70、100、および120の外側に面する表面の画像処理および分析は、ユーザに送り返すことができるか、または入力として付与されて周囲環境への変化を推奨するように変えることができる発汗量および塩化物濃度の測定につながる。印は、ブランド名または商標などの任意の著作物または記号を含み得る。
【0068】
[084]汗検知デバイス10、50、70、100、および120はまた、電源管理および例えば、NFCアンテナ106またはBluetooth(登録商標)デバイスなどの無線通信を検知する埋め込み薄膜電子モジュールまたはデバイスを含み得る。これらの電子デバイスは、パッケージ化された電子部品またはベアダイ電子部品であってよく、それぞれ第2の層14、第3の層16、および第4の層18などの内層に埋め込まれてもよく、それにより防湿層を提供して、電子デバイスを保護することができる。
【0069】
[085]汗検知デバイス10、50、70、100、および120の外側に面する表面の一部またはすべての画像を使用して、収集された汗の量および汗生成速度を数量化できる。発汗量は、汗流路26などの汗流路に沿った汗の伝播距離を測定すること、および所与の汗検知デバイスの既知の流路形状を使用して、距離を量に変換することによって判定することができる。例えば、時間当たりリットルなどの時間の関数としての容積測定発汗速度は、汗検知デバイスが皮膚に付与される時間が既知である場合、本明細書に記載の汗検知デバイス10、50、70、100、および120の実施形態のいずれかから適宜判定することができる。
【0070】
[086]本発明のいくつかの実施形態によれば、身体全体の発汗量および/または身体全体の発汗速度は、汗検知デバイスによって数量化できる。汗検知デバイスが、ユーザの皮膚に取り付けられ、汗の収集区域が既知の場合、上述のように測定された発汗量は、身体全体の発汗量に外挿することができる。所望により、着用した身体上の汗検知デバイスの位置についての情報および/または着用者の汗の特徴を使用して、身体全体の発汗量に外挿できる。
【0071】
[087]上述のように、汗の様々な生化学的成分の存在および濃度は、改良された汗検知デバイス10、50、70、100、および120上の比色測定で測定され得る。測定された色および/または色の変化は、対象の生化学的成分を示すことで知られる化学反応によって導入され得るか、または生成され得る。
【0072】
[088]汗流路および様々なアッセイウェルの汗の色は、汗検知デバイス10、50、70、100、および120上の1つまたは複数の基準色に対して測定され得る。これらの基準色は、製造以前、最中、または後で、汗検知デバイス10、50、70、100、および120上に印刷された色、流体流れの結果として汗検知デバイス10、50、70、100、および120によって生成された色、および汗検知デバイス10、50、70、100、および120の周りの周囲環境に存在する色を含み得るが、それに限定されない。比色測定は、センサの種類、色感度、露出時間、焦点距離、および焦点深度を含むが、それに限定されない、測定システムについての任意の関連情報も使用することができる。
【0073】
[089]汗検知デバイス10、50、70、100、および120ならびにその中の流体流れ流路のサイズが比較的小さいことにより、汗の測定は、隔離された領域、すなわち、汗検知デバイス10、50、70、100、および120の汗流路で制限された汗の量を収集することによって、時間が制限された汗の試料で実施される。測定領域は、捕捉量の汗の電気的インピーダンスの測定を可能にし得る。
【0074】
[090]上述のように、本明細書に記載の汗流路は、第2の層14と第3の層16におよび第3の層16と第4の層18になど、第2の層14内、第3の層16内、および第4の層18内に、または層の組み合わせで様々に形成することができる。汗流路に高さを増した領域を所定の間隔で配置することによって、流路内の流体が、流路の高さが増した各領域の間を、したがってその中の染料の量が多いほど濃く見えるために汗流路内の色の変化をより簡単に見ることができる領域の間を進むときに、流体の流れ速度を判定することができる。
【0075】
[091]汗検知デバイス10、50、70、100、および120上の任意の所定の識別された対象地域などの測定領域を過ぎた汗の流れの速度を制御して、汗がまだ測定領域にある間に、比色、電気または他の測定の手段が平衡状態に到達するのを確実にする、すなわち、その地域内の汗とアッセイとの間の反応が完全に完了し、かつ/またはその中で使用される染料が均一に拡散するのを確実にする。
【0076】
[092]汗検知デバイス10、50、70、100、および120は、時間の関数として、発汗速度および生化学的組成物を測定する。発汗速度は、所定の時間間隔で発汗量を測定することによって時間の関数として測定され得る。生化学的組成物は、既知の時間にわたって収集された制限された量の汗の試料を測定することによって、時間の関数として測定され得る。
【0077】
[093]汗検知デバイス10、50、70、100、および120は、ユーザの前腕、頭部、肩、腕、手、胴、胸、脚および足に接着され得る。
【0078】
[094]汗検知デバイス10、50、70、100、および120は、汗の喪失速度、汗の組成物、および汗中の化学毒素および/または代謝物質レベルを検出し、測定できる。検出および測定が完了すると、汗検知デバイス10、50、70、100、および120は、皮膚から剥がして捨てることができる。
【0079】
[095]好ましくは、化学製品は生化学的アッセイウェル内に配置され、その中に化学アッセイが位置付けられて、汗が汗流路を通って流れるとき、汗に対する最良の反応状態を保証する。直径約0.508ミリメートル~約5.08ミリメートル(約0.020インチ~約0.200インチ)以内など、比較的大きい表面積の生化学的アッセイウェル内に化学製品を配置することは、汗の最適な露出を保証し、汗中の電解質との反応の可能性を増やす。生化学的アッセイウェル内の化学製品間の接触表面積を増やすことは、汗との化学反応を増やし、それにより、拡散時間の一定の制限を克服するのに役立つ。
【0080】
[096]汗検知デバイス10、50、70、100、および120上の比色情報は、対話型コンソールステーション94および/またはスマートフォン96内のアルゴリズムによって分析することができ、最も適切な消費される電解質注入飲料などの推奨が、スマートフォン96または対話型コンソールステーション94の表示スクリーンを介してユーザに戻されて表示することができる。
【0081】
[097]追加で、汗検知デバイス10、50、70、100、および120内で使用される色付き染料は、汗流路に特定の色付き染料を配置することによってカスタマイズおよび個別化されて、特定のスポーツ飲料の流体色と一致できる。例えば、青色のスポーツ飲料は、汗流路に配置された青色の色付き染料を有する検知デバイスと一致し得る。
【0082】
[098]対話型コンソールステーション94および/またはスマートフォン96はまた、照明制御、サーモスタット制御、音楽制御、およびビデオ制御システムに接続され得る。したがって、汗検知デバイス10、50、70、100、および120からのフィードバックは、これらの環境制御システムを制御するための入力を提供することができる。
【0083】
[099]本発明の動作の原理および方法が好ましい実施形態において説明され、図示されてきた。しかしながら、本発明を、その精神または範囲から逸脱することなく、具体的に説明され、図示される以外のその他の方法で実行できることが、理解されなければならない。
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