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特許7102534モジュール式ドライブトレインおよびかかるドライブトレインを備える車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】モジュール式ドライブトレインおよびかかるドライブトレインを備える車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 17/36 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
B60K17/36 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020544141
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 EP2018080824
(87)【国際公開番号】W WO2019092211
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-08-26
(31)【優先権主張番号】102017126480.9
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520160705
【氏名又は名称】エスワイエヌ・トラック・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ピュッツ
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0272453(US,A1)
【文献】特開2003-28273(JP,A)
【文献】実開昭59-176227(JP,U)
【文献】特開2009-202611(JP,A)
【文献】特開昭64-74125(JP,A)
【文献】実開昭58-80326(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
ギヤボックス(6)と、
縦方向差動装置(8)と、
前記ギヤボックス(6)のパワートレイン(15)に第1の永久取付型アクスル(2、3)を連結するための中央管モジュール(9)であって、前記第1の永久取付型アクスル(2、3)が、前記中央管モジュール(9)上に取り付けられ、前記縦方向差動装置(8)は、前記ギヤボックス(6)により生成された駆動トルクを前記中央管モジュール(9)である中空ドライブシャフトを介して前記少なくとも1つの第1の永久取付型アクスル(2、3)に対して伝達する、中央管モジュール(9)と
を備え、
前記縦方向差動装置およびアクスル差動装置(11)ならびに前記少なくとも1つの第1の永久取付型アクスル(2、3)は、前記パワートレイン(15)中に連続して配置され、連結対象の少なくとも1つのさらなるアクスル(4、5)が、連結装置(14)を介して前記第1の永久取付型アクスル(2、3)の前記アクスル差動装置(11)により保持されたドライブシャフト(17)によって、少なくとも前記第1の永久取付型アクスル(2、3)の正面に配置されたプライマリーアクスル差動装置(12)と共に駆動され得る、車両。
【請求項2】
前記第1の永久取付型アクスル(2、3)および前記少なくとも1つのさらなるアクスル(4、5)に対して駆動トルクを分配するための前記縦方向差動装置(8)は、前記ギヤボックス(6)に組み込まれることを特徴とする、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記縦方向差動装置(8)は差動装置ロック(10)を有することを特徴とする、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
ロック可能な横方向差動装置(11)は、アクスル差動装置(11)として前記中央管モジュール(9)に組み込まれることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両。
【請求項5】
プライマリーアクスル差動装置(12)が、前記第1の永久取付型アクスル(2、3)および前記少なくとも1つのさらなるアクスル(4、5)に対して駆動トルクを分配するために、前記第1の永久取付型アクスル(2、3)および前記少なくとも1つのさらなるアクスル(4、5)と前記縦方向差動装置(8)との間においてパワートレイン(15)に組み込まれ、前記プライマリーアクスル差動装置は、アクスルと連結されていない場合の条件において、永久取付型アクスルのみに対して駆動トルクを伝達するようにロック可能であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両。
【請求項6】
アクスル差動装置を有する少なくとも1つのさらなるアクスル(4、5)が、中央管モジュール(9)を介して前記第1の永久取付型アクスル2、3)上に永久的に取り付けられるか、または前記連結装置を介して前記第1の永久取付型アクスル2、3)に連結解除可能に連結され、前記第1の永久取付型アクスル(2、3)および前記少なくとも1つのさらなるアクスル(4、5)は、車両(1)の2つのフロントアクスルまたは2つ、3つ、もしくは4つ以上のリヤアクスルを形成することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両。
【請求項7】
前記中央管モジュール(9)は、第1の中央管モジュール(9)であり、第2の中央管モジュール(9)が、一体化されたロック可能横方向差動装置(11)と共に、長手方向において前記第1の中央管モジュールの対向側である側にて前記ギヤボックス(6)上に配置され、アクスル差動装置を有する、前記少なくとも1つのさらなるアクスルである第2のアクスル4、5)が設けられ、前記第2のアクスル(4、5)は、前記第2の中央管モジュール(9)上に取り付けられ、前記縦方向差動装置(8)は、前記ギヤボックス(6)により生成された駆動トルクを前記アクスル(2、3、4、5)に対して伝達することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の車両。
【請求項8】
アクスル差動装置を有する前記第1の永久取付型アクスル(2、3)および前記少なくとも1つのさらなるアクスル(4、5)が、中央管モジュール(9)を介して前記第2のアクスル上に永久的に取り付けられるか、または連結装置を介して前記第2のアクスルに連結解除可能に連結され、前記アクスル(2、3、4、5)は、車両(1)の2つのフロントアクスルまたは2つのリヤアクスル(2、3、4、5)を形成することを特徴とする、請求項7に記載の車両。
【請求項9】
フロントアクスルおよび/またはリヤアクスル(2、3、4、5)が、操舵可能な様式で駆動および/または設計されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の車両。
【請求項10】
前記車両は、第1のドッキング装置を有し、前記第1のドッキング装置は、アクスルモジュール(19)またはアグリゲートの対応するように設計されたドッキング装置のためのホルダとして設計されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の車両。
【請求項11】
連結対象のアクスルモジュール(19)が、前記車両(1)の前記ドッキング装置との対応する連結のためのドッキング手段またはドッキングインサートであって、連結装置(14)のためのかみ合いクラッチの第2の側部が、連結対象の前記アクスルモジュールに組み込まれる、ドッキング手段またはドッキングインサートと、分離連結(18)、およびアクスル差動装置(11)としてのロック可能な横方向差動装置(11)を有する中央管モジュールと、前記少なくとも1つのさらなるアクスル(4、5)とを備えることを特徴とする、請求項10に記載の車両。
【請求項12】
ドライブシャフトを連結するかみ合い式の連結装置(14)の2つのパーツが、追加のアクスルモジュール(19)における前記少なくとも1つのさらなるアクスル(4、5)の連結された条件において連結装置により相互に連結され、それにより、前記少なくとも1つのさらなるアクスル(4、5)に対するトルク伝達が可能となり、分離連結(18)が、連結プロセス中におけるドッキングインサート側のかみ合い要素の回転を防止するために、前記かみ合い式の連結装置(14)と、アクスル差動装置(11)としての前記ロック可能な横方向差動装置(11)との間に設けられ、前記分離連結(18)は連結またはドッキングの後に閉じられ、プライマリーアクスル差動装置ロックは開かれることを特徴とする、請求項11に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール式パワートレインと、かかるパワートレインを有する車両とに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のパワートレインは、車両技術では、車両における推進力のための動力を発生しこの動力を路面上に伝達するすべての構成要素として理解される。燃焼機関(オットー機関またはディーゼル機関)が使用される従来のパワートレインの場合には、パワートレインは、フライホイール(場合によってはデュアルマスフライホイールとしての)を有する機関と、車両ギヤボックスを有するクラッチと、マルチトラック車両の場合にはディファレンシャルと、ドライブシャフトまたはクイックリリースアクスルと、ホイールとを備える。マルチトラック後輪駆動車両またはマルチトラック全輪駆動車両の場合には、追加のプロペラシャフトまたはカルダンシャフト、ビスカスカップリング、場合によっては減速ギヤボックス、ユニバーサルジョイントまたはジョイントディスク、中央軸受、および場合によっては中央ディファレンシャルが追加される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、モジュール式パワートレインを有する車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、独立請求項1の特徴により解決される。
【0005】
独立請求項1の有利なさらなる展開が、従属請求項に記載される。
【0006】
本発明による車両は、ギヤボックスと、縦方向差動装置(longitudinal differential)と、中央管モジュールと、アクスル差動装置を有する少なくとも1つのアクスルであって、このアクスルが中央管モジュールに対して取り付けられ、縦方向差動装置がギヤボックスにより生成された駆動トルクをこの少なくとも1つのアクスルに対して伝達する、少なくとも1つのアクスルと、縦方向差動装置とアクスルとの間においてパワートレインに組み込まれたプライマリーアクスル差動装置とを備える。
【0007】
本発明の一部としての中央モジュールが、ギヤボックスのパワートレインにアクスルを連結するための構成要素として理解され、アクスルが、好ましくは中央管モジュールの上に取り付けられる。
【0008】
好ましくは、縦方向差動装置は、ギヤボックスに組み込まれ得る。
【0009】
好ましくは、中央管モジュールは、一体化されたロック可能な横方向差動装置(transverse differential)を有し得る。
【0010】
さらなるアクスルが、中央管によりギヤボックス上に取り付けられ得る。これらは、さらなるリヤアクスルまたはさらなるフロントアクスルであることが可能であり、これらのアクスルは、操舵されるもの、または操舵されないものである。縦方向差動装置は、ギヤボックスに組み込まれることが可能であり、およびしたがってさらなるアクスルに対して対応する車両の駆動トルクを分配することが可能である。
【0011】
アクスル差動装置を有するさらなるアクスルが、中央管モジュールを介して第1のアクスルに対して永久的に取り付けられ得るか、または連結装置を介してアクスルに対して連結解除可能に連結されることが可能であり、この場合に、アクスルは、車両の2つのフロントアクスルまたは2つのリヤアクスルを形成する。
【0012】
中央管モジュールは、第1の中央管モジュールであることが可能であり、さらなる第2の中央管モジュールが、長手方向において第1の中央管モジュールの対向側である側にてギヤボックス上に配置され得る。好ましくは、これは、一体化されたロック可能横方向差動装置を備えることも可能である。
【0013】
また、アクスル差動装置を有する第2のアクスルが用意され得る。この第2のアクスルは、第2の中央管モジュール上に取り付けられ、縦方向差動装置は、ギヤボックスにより生成された駆動トルクをアクスルに対して伝達する。
【0014】
本発明によれば、アクスル差動装置を有するさらなるアクスルが、さらなる中央管モジュールを介して第2のアクスル上に永久的に取り付けられ得るか、またはプライマリーアクスル差動装置からのドライブシャフトを介して第2のアクスルに連結解除可能に連結され得る。このプライマリーアクスル差動装置は、アクスル差動装置および連結装置により保持され、この場合に、これらのアクスルは、車両の2つのフロントアクスルまたは2つのリヤアクスルを形成する。
【0015】
上流側アクスル差動装置を有するプライマリーアクスル差動装置は、縦方向差動装置とアクスルとの間においてパワートレインに組み込まれ得る。
【0016】
縦方向差動装置は、ギヤボックスにより生成された駆動トルクをフロントアクスルとリヤアクスルとの間で分配し得る。
【0017】
フロントアクスルおよび/またはリヤアクスルは、操舵可能設計とすることが可能である。
【0018】
以下、図面を参照として本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】機関、ギヤボックス、フロントアクスル、リヤアクスル、および対応するアクスル差動装置を有する、4×4車両の概略図である。
図2】追加のプライマリーアクスル差動装置を有する4×4ベース車両の概略図である。
図3】常時全輪駆動を有する6×6車両を作製するための、連結された追加アクスルを有する図2の車両を示す図である。
図4】さらなるプライマリーアクスル差動装置を有する6×6ベース車両の概略図である。
図5】常時全輪駆動を有する8×8車両を作製するための、連結された追加アクスルを有する図4の6×6車両を示す図である。
図6】2つのリヤアクスルを有する6×6車両の概略図である。
図7】8×8車両の概略図である。
図8】連結された追加アクスルおよび連結された追加機関を有する4×4ベース車両の概略図である。
図9】連結されていない追加機関を有する図8の車両の概略図である。
図10】連結された追加機関を有するトルク伝達用の配線図(wiring diagram)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明による車両1のパワートレインの基本コンセプトを説明する(図1)。
【0021】
本発明によれば、本発明による車両1のパワートレイン15を作製することを可能にするために、様々な差動装置モジュール(フロントアクスルおよびリヤアクスルを形成するために中央管に組み込まれる差動装置)の形態の車両キットが提供される。この車両キットは、車両またはベース車両の構成に応じて配置され得る。これらの作動モジュールは、本発明の一部としての中央管モジュール9として説明される。
【0022】
ここでは、ギヤボックス6のギヤボックスハウジング、中央管モジュール9、およびアクスルセンターピースが、支持要素としての役割を果たす。
【0023】
車両のホイールベースは、例えば約3,300mmであり、ギヤボックス6またはフランジからフロントアクスルの中央管モジュール9までの間と、ギヤボックス6またはフランジからリヤアクスルの中央管モジュール9までの間とが、長手方向における車両の中間部に対して対称に設計される。例えば、このフランジの距離は約1,224mmである。中央管モジュール9からフロントアクスル2までの間と、中央管モジュール9からリヤアクスル3までの間とは、それらの設置長さに関して同等の互換性を有するものとして設計される。中央管または中央管モジュール9は、例えば約750mmなどの長さを有する。
【0024】
次に、本発明による1つまたは複数の車両1のためのまたは本発明による車両システムのためのパワートレイン15の概略的構成を説明する(図1図9)。
【0025】
車両1は、車両のほぼ中間におよび中央要素として長手方向車両アクスルに隣接する側へ向かって組み込まれた縦方向差動装置8と共にギヤボックス6を有する。
【0026】
縦方向差動装置8は、車両前部と車両後部との間においてギヤボックス6により利用可能となる駆動トルクを分配する。縦方向差動装置8は、差動装置ロック10を備える(図1)。
【0027】
アクスル差動装置11としての一体化されたロック可能な横方向差動装置11を有する同一の中央管モジュール9が、ギヤボックス6上に、ならびに車両前部および後部車両構造体に設置される。また、中央管9上には、前方長手方向軸2、または任意には後部に操舵アクスルもしくは非操舵アクスル3が設置される。
【0028】
原則的に、縦方向差動装置8、プライマリーアクスル差動装置12、およびアクスル差動装置11、ならびに少なくとも1つの永久取付型アクスル2、3が、4×4車両としての基本バージョンにおいて車両1のパワートレイン内に連続的に配置される。
【0029】
図1の車両1は、プライマリーアクスル差動装置12を有する(図2)。追加のアクスルが、かかる4×4車両に対して連結され得る。車両のパワートレイン15にこの連結された第2のリヤアクスル5を連結することにより、これは、常時全輪駆動を有する6×6車両になる(図3)。
【0030】
前記追加のアクスル5を連結するために、連結対象のアクスル5は、第1の永久取付型アクスル2、3の前に配置された連結装置14を介してプライマリーアクスル差動装置12に連結される。連結対象のさらなるアクスル5は、このための連結装置14により第1の永久取付型アクスル2、3のアクスル差動装置11によって保持されたドライブシャフト17を介して連結され、したがって駆動され得る。連結装置14は、例えば、それ自体既知であるかみ合いクラッチなどであり、ドライブシャフト17および連結対象であるアクスル5のシャフトは、相互に回転可能に連結される。
【0031】
本発明によれば、2つのフロントアクスル2、4を有する車両1用のパワートレイン15は、以下のとおりの外観である(図4)。
【0032】
2つのフロントアクスル2、4を有する6×6駆動の場合には、第1の前方中央管モジュール9が、追加のプライマリーアクスル差動装置12を備える。縦方向差動装置8により供給される駆動トルクは、プライマリー差動装置12により第1のフロントアクスル2および第2のフロントアクスル4のアクスル差動装置に対して伝達される。リヤアクスルは、4×4パワートレインと同一の方法で駆動される。
【0033】
かかる4×4車両1は、追加のアクスル5に連結され得る。車両1のパワートレイン15に連結される第2のリヤアクスル5を連結することにより、これは、常時全輪駆動を有する8×8車両になる(図5)。
【0034】
車両1のための2つのリヤアクスル3、5を有する6×6車両として設計されたパワートレイン15は、以下のとおりの外観である(図6)。
【0035】
2つのリヤアクスル3、5を有する6×6駆動の場合には、前方の第1の中央管モジュール9は、プライマリーアクスル差動装置を追加的に備える。縦方向差動装置により供給される駆動トルクは、プライマリー差動装置12により第1のリヤアクスル3および第2のリヤアクスル5のアクスル差動装置に対して伝達される。リヤアクスル2は、2つのフロントアクスル2、4を有する6×6パワートレインと同一の方法で駆動される。
【0036】
車両のための2つのフロントアクスル2、4および2つのリヤアクスル3、5を有する8×8車両のパワートレインは、以下のとおりの外観である(図7)。
【0037】
8×8駆動の場合には、前方パワートレインは、2つのフロントアクスル2、4を有する6×6パワートレインと同様に構成され、後方パワートレインは、2つのリヤアクスル3、5を有する6×6パワートレインと同様に構成される。
【0038】
2つのさらなるリヤアクスル3、5を備える選択的な4×4または6×6駆動のためのパワートレイン15は、以下のとおりの外観である(図6および図7)。
【0039】
パワートレイン15は、ここでは4×4または6×6(2つのリヤアクスル)として連結され得る。横方向差動装置モジュールが、ギヤボックス6とフロントステアリングアクスルとの間に設置される。横方向プライマリーアクスルモジュールが、ギヤボックスと操舵可能リヤアクスルHA1との間に設けられる。かみ合いクラッチの一方の側部が、第1のリヤアクスル上においてドッキングホルダ(連結用の連結装置)に組み込まれる。
【0040】
連結対象のアクスルモジュール19は、連結装置14用のかみ合いクラッチの第2の側部が一体化されたドッキングインサート(連結用の連結装置)と、分離クラッチ18およびアクスル差動装置11としてのロック可能横方向差動装置11を有する中央管モジュールと、被動アクスルとを有する。
【0041】
車両が、連結された追加のアクスルを用いずに動作される場合には、プライマリー差動装置はロックされなければならない。このようにすることで、車両は、常時全輪駆動およびロック可能差動装置を有する4×4として動作され得る。
【0042】
追加のアクスルモジュール19における追加のアクスル4、5の連結は、連結またはドッキング装置によりドライブシャフトを連結するかみ合いクラッチ14の両パーツを相互に連結し、連結されたアクスル4、5に対するトルク伝達を可能にする。ドッキングプロセス中にドッキングインサート側のかみ合い要素の回転を防止するために、分離クラッチ18が、かみ合いクラッチ14と横方向差動装置11との間に設けられる。ドッキングプロセス後に、分離クラッチ18は閉じられ、プライマリー差動装置ロックは開かれる。
【0043】
このとき、車両は、ロック可能差動装置を有する常時6×6駆動を有する車両と同様に動作され得る。
【0044】
パワートレインは、対応する連結装置を介して車両のパワートレインに追加の機関が連結されるように延長され得る(図8および図9)。これらのトルク用の対応する配線図が、図10に示される。
【0045】
前方PTOシャフト連結および後方PTOシャフト連結の特定の同軸状構成の場合には、本発明によるパワートレインまたは本発明による車両を用いることにより、車両上の前方PTOシャフトと後方PTOシャフトとの間で追加の動力を伝達することと、歯車を介した伝達を用いる必要性を伴うことなくギヤボックスハウジングを介してこの動力を送ることが可能となる。
【0046】
追加の機関が、連結装置またはドッキング装置により車両前部または車両後部に連結され得る。車両および追加の機関からの動力が、合計され、推進駆動装置、アグリゲート駆動装置、および予備駆動装置のために可変的に分配される。
【0047】
任意には、PTOシャフト駆動アグリゲートは、対向側に位置決めされたドッキングホルダに対して、または追加の機関モジュール上のドッキングホルダに対して連結され得る。
【0048】
したがって、推進駆動装置用および予備駆動装置用に、アグリゲートに対してまたは可変的にアグリゲートに対してPTOシャフトを介して車両および追加の機関のシステム全体の動力を分配することが可能となる。
【0049】
本発明による車両が、運転方向および運転方向とは逆における前方位置に連結装置またはドッキングホルダを備えることにより、対応するドッキングインサートを有する追加の被動アクスル同士を完全に自動的に連結することが可能となる。
【0050】
連結され得るアクスルを動作させるために備えつけられた車両は、第2のアクスルの正面にプライマリーアクスル差動装置を有する。かかるプライマリーアクスル差動装置は、2つのアクスルと車両側かみ合いクラッチとの間においてトルクを分配し、この車両側かみ合いクラッチは、第3のアクスルに対して連結されることとなるアクスルに対してトルクを伝達する役割を果たす。かかる車両が、第3のアクスルを用いずに動作されると、プライマリーアクスル差動装置は、差動装置ロックによりロックされ、車両は、常時4×4駆動として動作される。
【0051】
連結対象のアグリゲートまたはアクスルモジュールが、対応する連結クロー、分離連結、および横方向差動装置を有する。
【0052】
ドッキングのための方法では、または第3のアクスルの連結プロセスの最中に、分離連結は、アクスルモジュールの使用時にアクスルモジュール側の連結クローが静止状態に留まることを確実にするように開かれる。
【0053】
連結プロセスが完了すると、アクスルモジュール内の分離連結は閉じられ、車両側のプライマリーアクスル差動装置内の差動装置ロックは開かれる。
【0054】
したがって、車両のパワートレインは、3つの全アクスル上にロック可能縦方向差動装置、プライマリーアクスル差動装置、およびロック可能横方向差動装置を有する常時6×6駆動を構成する。
【符号の説明】
【0055】
1 車両
2 フロントアクスル
3 リヤアクスル
4 第2のフロントアクスル
5 第2のリヤアクスル
6 ギヤボックス
7 機関
8 縦方向差動装置
9 中央管モジュール
10 差動装置ロック
11 ロック可能横方向差動装置/アクスル差動装置
12 プライマリーアクスル差動装置
13 追加の機関
14 連結装置
15 パワートレイン
16 追加の機関
17 ドライブシャフト
18 分離連結
19 連結対象のアクスルモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10