(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】2つ以上の液体の共注入のための一体型分配ノズル及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
B05B 1/14 20060101AFI20220711BHJP
B01F 23/40 20220101ALI20220711BHJP
B01F 25/00 20220101ALI20220711BHJP
【FI】
B05B1/14 Z
B01F23/40
B01F25/00
(21)【出願番号】P 2020562678
(86)(22)【出願日】2018-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2018092087
(87)【国際公開番号】W WO2019241943
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】カッチァトーレ、ジャスティン・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】グ、チョン
(72)【発明者】
【氏名】カペシ、スコット・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】デーゼレア、イルゼ・マリア・シリヤ
(72)【発明者】
【氏名】グイダ、ヴィンチェンツォ
(72)【発明者】
【氏名】ング、ブーン・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ツァン、キ
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-296486(JP,A)
【文献】特開2007-268488(JP,A)
【文献】特表2003-530989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/14
B01F 23/40
B01F 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の液体を共注入するための一体型分配ノズルであって、
(a)第1の端部と、
(b)第2の、反対側の端部と、
(c)前記第1の端部と前記第2の端部との間の1つ以上の側壁と、
(d)前記ノズルを通して第1の流体を流すための1つ以上の第1の流路であって、前記第1の流路の各々が、第1の入口と第1の出口とによって画定され、前記第1の入口(複数可)が前記ノズルの前記第1の端部に位置し、前記第1の出口(複数可)が前記ノズルの前記第2の端部に位置する、1つ以上の第1の流路と、
(e)前記ノズルを通して第2の流体を流すための1つ以上の第2の流路であって、前記第2の流体が、粘度、溶解度、及び/又は混和性において前記第1の流体とは異なり、前記第2の流路の各々が、第2の入口と第2の出口とによって画定され、前記第2の入口(複数可)が、前記側壁のうちの少なくとも1つの上又はその近傍に位置し、前記第2の出口(複数可)が、前記1つ以上の第2の流路が、前記側壁の前記少なくとも1つ及び前記ノズルの前記第2の端部を通って延びるように、前記ノズルの前記第2の端部に位置する、1つ以上の第2の流路と、を備え、
前記第2の出口(複数可)が、前記第1の出口(複数可)によって実質的に囲まれており、前記一体型分配ノズルが、可動部品を何ら含まず、かつデッドスペースを実質的に含ま
ず、
前記第1の出口(複数可)の各々が三日月形状によって特徴付けられ、前記第2の出口(複数可)が、前記第1の出口(複数可)によって形成された前記三日月形(複数可)の半径中心又はその近傍に位置する、
一体型分配ノズル。
【請求項2】
前記第1の出口(複数可)が、円形、半円形、楕円形、正方形、矩形、三日月形、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される形状によって特徴付けられる、請求項1に記載の一体型分配ノズル。
【請求項3】
複数の前記第1の入口と複数の前記第1の出口とを有する複数の前記第1の流路を備え、前記第1の出口の各々が円形形状によって特徴付けられる、請求項1又は2に記載の一体型分配ノズル。
【請求項4】
前記複数の第1の流路が、互いに実質的に平行である複数の第1の液体フローを形成するように構成されている、請求項3に記載の一体型分配ノズル。
【請求項5】
前記第2の出口(複数可)の総断面積に対する前記第1の出口(複数可)の総断面積の比が、5:1~50:1、好ましくは10:1~40:1、より好ましくは15:1~35:1の範囲である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の一体型分配ノズル。
【請求項6】
(f)前記ノズルを通って第3の流体を流すための1つ以上の第3の流路であって、前記第3の流体が、粘度、溶解度、及び/又は混和性において前記第1の流体及び第2の流体とは異なり、前記第3の流路の各々が、第3の入口と第3の出口とによって画定され、前記第3の入口(複数可)が、前記側壁のうちの少なくとも1つの上又はその近傍に位置し、かつ前記第2の入口(複数可)から離間しており、前記第3の出口(複数可)が、前記ノズルの前記第2の端部に位置し、前記1つ以上の第3の流路が、前記側壁の前記少なくとも1つ及び前記ノズルの前記第2の端部を通って延び、前記第3の出口(複数可)が、前記第1の出口(複数可)によって実質的に囲まれている、1つ以上の第3の流路、
を更に備える、請求項1~
5のいずれか1項に記載の一体型分配ノズル。
【請求項7】
前記第3の出口(複数可)の総断面積に対する前記第1の出口(複数可)の総断面積の比が、5:1~50:1、好ましくは10:1~40:1、より好ましくは15:1~35:1の範囲である、請求項6に記載の一体型分配ノズル。
【請求項8】
液体組成物を容器に充填する方法であって、
(A)開口部を有する容器を提供するステップであって、前記容器の総容積が10mL~10リットルの範囲である、ステップと、
(B)マイナー液体供給組成物及び、粘度、溶解度、及び/又は混和性において前記マイナー液体供給組成物と異なるメジャー液体供給組成物を提供するステップと、
(C)
(a)第1の端部と、
(b)第2の、反対側の端部と、
(c)前記第1の端部と前記第2の端部との間の1つ以上の側壁と、
(d)前記ノズルを通して前記メジャー液体供給組成物を流すための1つ以上の第1の流路であって、前記第1の流路の各々が、第1の入口と第1の出口とによって画定され、前記第1の入口(複数可)が前記ノズルの前記第1の端部に位置し、前記第1の出口(複数可)が前記ノズルの前記第2の端部に位置する、1つ以上の第1の流路と、
(e)前記ノズルを通して前記マイナー液体供給組成物を流すための1つ以上の第2の流路であって、前記第2の流路の各々が、第2の入口と第2の出口とによって画定され、前記第2の入口(複数可)が、前記側壁のうちの少なくとも1つの上又はその近傍に位置し、前記第2の出口(複数可)が、前記1つ以上の第2の流路が、前記側壁の前記少なくとも1つ及び前記ノズルの前記第2の端部を通って延びるように、前記ノズルの前記第2の端部に位置する、1つ以上の第2の流路と、
を備える一体型分配ノズルを使用して、前記容器に前記マイナー液体供給組成物と前記メジャー液体供給組成物とを同時に又はほぼ同時に充填するステップと、
を含み、
前記第2の出口(複数可)が、前記第1の出口(複数可)によって実質的に囲まれており、前記一体型分配ノズルが、可動部品を何ら含まず、かつデッドスペースを実質的に含ま
ず、
前記第1の出口(複数可)の各々が三日月形状によって特徴付けられ、前記第2の出口(複数可)が、前記第1の出口(複数可)によって形成された前記三日月形(複数可)の半径中心又はその近傍に位置する、
方法。
【請求項9】
前記マイナー液体供給組成物が、0.1mL/秒~1000mL/秒の範囲の平均流量で充填され、及び/又は前記メジャー液体供給組成物が、50mL/秒~10L/秒の範囲の平均流量で充填される、請求項
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高充填速度で2つ以上の液体を共注入して、そのような液体の均質な混合を向上させるための分配ノズル、及びそのようなノズルの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器内に2つ以上の液体(例えば、濃縮物及び希釈液)を同時に分配するためのノズル構造は周知である。そのようなノズルは、共注入ノズルと呼ぶことができる。
【0003】
分配される液体が、粘度、溶解度、及び/又は混和性が著しく異なる場合、容器内のそのような液体の均質な混合を確実にすることは困難である。更に、比較的高い充填速度で容器内に分配する場合、液体はスプラッシュしやすく、1つ以上の液体が、容器壁上に除去困難残留物を形成することがあり、これは、不均質な混合の問題を更に悪化させ得る。更に、現在市販されている共注入ノズルの多くは、高圧下で緩む可能性のある様々な可動部品(例えば、Oリング、シールガスケット、ボルト、ネジ、など)を含んでいるため、高速液体充填には適しておらず、また、液体が閉じ込められる可能性があるデッドスペースが形成されることがあり、これは、洗浄に対する課題となり、消毒性の悪化をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、混合結果における均質性が改善され、容器壁上の残留物の形成が低減された、高速液体充填に対応することができる共注入ノズルが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、2つ以上の液体を共注入するための一体型分配ノズルを提供することによって、上記の必要性を満たし、その一体型分配ノズルは、
(a)第1の端部と、
(b)第2の、反対側の端部と、
(c)第1の端部と第2の端部との間の1つ以上の側壁と、
(d)ノズルを通して第1の流体を流すための1つ以上の第1の流路であって、第1の流路の各々は、第1の入口と第1の出口とによって画定され、第1の入口(複数可)はノズルの第1の端部に位置し、第1の出口(複数可)はノズルの第2の端部に位置する、1つ以上の第1の流路と、
(e)ノズルを通して第2の流体を流すための1つ以上の第2の流路であって、第2の流体は、粘度、溶解度、及び/又は混和性において第1の流体とは異なり、第2の流路の各々は、第2の入口と第2の出口とによって画定され、第2の入口(複数可)は、側壁のうちの少なくとも1つの上又はその近傍に位置し、第2の出口(複数可)は、1つ以上の第2の流路が、側壁の少なくとも1つ及びノズルの第2の端部を通って延びるように、ノズルの第2の端部に位置する、1つ以上の第2の流路と、を備え、
第2の出口(複数可)は、第1の出口(複数可)によって実質的に囲まれており、一体型分配ノズルは、可動部品を何ら含まず、かつデッドスペースを実質的に含まない。
【0006】
本発明の別の態様は、容器に液体組成物を充填する方法であり、その方法は、
(A)開口部を有する容器を提供するステップであって、容器の総容積が10mL~10リットルの範囲である、ステップと、
(B)マイナー液体供給組成物及び、粘度、溶解度、及び/又は混和性においてマイナー液体供給組成物と異なるメジャー液体供給組成物を提供するステップと、
(C)
(a)第1の端部と、
(b)第2の、反対側の端部と、
(c)第1の端部と第2の端部との間の1つ以上の側壁と、
(d)ノズルを通してメジャー液体供給組成物を流すための1つ以上の第1の流路であって、第1の流路の各々は、第1の入口と第1の出口とによって画定され、第1の入口(複数可)はノズルの第1の端部に位置し、第1の出口(複数可)はノズルの第2の端部に位置する、1つ以上の第1の流路と、
(e)ノズルを通してマイナー液体供給組成物を流すための1つ以上の第2の流路であって、第2の流路の各々は、第2の入口と第2の出口とによって画定され、第2の入口(複数可)は、側壁のうちの少なくとも1つの上又はその近傍に位置し、第2の出口(複数可)は、1つ以上の第2の流路が、側壁の少なくとも1つ及びノズルの第2の端部を通って延びるように、ノズルの第2の端部に位置する、1つ以上の第2の流路と、
を備える一体型分配ノズルを使用して、容器にマイナー液体供給組成物とメジャー液体供給組成物とを同時に又はほぼ同時に充填するステップと、
を含み、
第2の出口(複数可)は、第1の出口(複数可)によって実質的に囲まれており、一体型分配ノズルが、可動部品を何ら含まず、かつデッドスペースを実質的に含まない。
【0007】
本発明のこれらの及びその他の態様は、以下の発明を実施するための形態を読むことにより、更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る一体型共注入ノズルの斜視図である。
【
図1E】平面I-Iに沿った
図1Aの一体型共注入ノズルの断面図である。
【
図1F】I-Iに垂直な平面に沿った
図1Aの一体型共注入ノズルの断面図である。
【
図2A】本発明の別の実施形態に係る一体型共注入ノズルの斜視図である。
【
図2D】平面II-IIに沿った
図2Aの一体型共注入ノズルの断面図である。
【
図2E】II-IIに垂直な平面に沿った
図1Aの一体型共注入ノズルの断面図である。
【
図3A】本発明の更に別の実施形態に係る一体型共注入ノズルの斜視図である。
【
図3D】平面III-IIIに沿った
図3Aの一体型共注入ノズルの断面図である。
【
図3E】III-IIIに垂直な平面に沿った
図1Aの一体型共注入ノズルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の種々の実施形態の特徴及び利点は、本発明の幅広い表現を与えるように意図される特定の実施形態の例を含む、以下の記述から明らかになるであろう。様々な修正がこの記述及び本発明の実施から当業者には明白となるであろう。本発明の範囲は、開示される特定の形態に限定されることを意図せず、また本発明は、「特許請求の範囲」により定義されるような本発明の趣旨及び範囲に当てはまる全ての変形形態、等価物、及び代替物を網羅する。
【0010】
本明細書で使用するとき、特許請求の範囲において使用される「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求又は記述されるものが1つ以上であることを意味すると理解される。用語「備える(comprise)」、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、「含有している(containing)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」は全て、非限定的であることを意味する。
【0011】
本明細書で使用する場合、「実質的に含まない(substantially free of)」又は「実質的に含まない(substantially free from)」という用語は、指示された空間が、一体型分配ノズルの全容積に対して、0%~約1%の容積、好ましくは約0%~約0.5%の容積、より好ましくは約0%~約0.1%の容積で存在することを意味する。
【0012】
本発明の一体型共注入ノズルは、任意の可動部品(例えば、Oリング、シールガスケット、ボルト、ネジ)を有さない一体部品として作製される。そのような一体構造は、典型的には高い充填圧力を必要とする粘性液体の高速充填に特に適している。そのような一体型共注入ノズルは、ステンレス鋼、セラミック、ポリマー、などの十分な引張強度を有する任意の適切な材料によって作製することができる。好ましくは、本発明の共注入ノズルは、ステンレス鋼で作製される。
【0013】
好ましくは、作本発明の一体型共注入ノズルは、約3mm~約200mm、好ましくは約10mm~約100mm、より好ましくは約15mm~約50mmの範囲の平均高さを有してもよい。共注入ノズルは、約5mm~約100mm、好ましくは約10mm~約50mm、より好ましくは約15mm~約25mmの範囲の平均断面直径を有してもよい。
【0014】
そのような共注入ノズルは、容器内への異なる粘度、溶解度、及び/又は混和性の2つ以上の液体を同時に又は実質的に同時に分配するための2つ以上の流路を提供する。例えば、液体のうちの1つは、マイナー液体供給組成物であってもよく、他方はメジャー液体供給組成物(すなわち、最終液体混合物の大部分の重量を占める液体)であってもよい。容器は、2つ以上の液体が分配される開口部を有し、容器の総容積は、約10mL~約10L、好ましくは約20mL~約5L、より好ましくは約50mL~約4Lの範囲であってもよい。
【0015】
容器内でのそのような液体の十分な混合を確実にするために、これらの液体、好ましくはメジャー供給液体組成物のうちの少なくとも1つが、容器内に十分に強い流入及び乱流を発生させるように、著しく高速で充填されることが必要である。好ましくは、メジャー供給液体組成物は、約50mL/秒~約10L/秒、好ましくは約100mL/秒~約5L/秒、より好ましくは約500mL/秒~約1.5L/秒までの平均流量で充填される。マイナー供給液体組成物は、0.1mL/秒~約1000mL/秒、好ましくは約0.5mL/秒~約800mL/秒、より好ましくは約1mL/秒~約500mL/秒の範囲の平均流量で充填することができる。
【0016】
図1A~
図1Fは、本発明の一実施形態に係る一体型共注入ノズルを示す。具体的には、ノズル10は、第1の端部12と、第2の、反対側の端部14とを有する。好ましくは、必ずしもそうではないが、第1の端部12は上部にあり、第2の、反対側の端部14は下部にある。より好ましくは、第1の端部12及び第2の端部14は、比較的平坦な表面を有する。第1の端部12と第2の端部14との間には、1つ以上の側壁16が位置している。そのような側壁は、平面状又は円筒状のいずれであってもよい。
【0017】
ノズル10は、第1の流体(例えば、メジャー液体供給組成物)をそこに流すための複数の第1の流路11を含む。第1の流路11の各々は、
図1Eに示すように、第1の端部12に位置する第1の入口11Aと、第2の端部14に位置する第1の出口11Bとによって画定される。更に、ノズル10は、第2の流体(例えば、マイナー液体供給組成物)を通過させるための第2の流路13を含む。第2の流路13は、側壁16の近傍に位置する第2の入口13Aと、第2の端部14に位置する第2の出口13Bとによって画定され、それにより、
図1Eにも示すように、第2の流路13は、側壁16及び第2の端部14を通って延びるようになる。
【0018】
第1の出口11B及び第2の出口13Bは、任意の適切な形状、例えば、円形、半円形、楕円形、正方形、矩形、三日月形、及びこれらの組み合わせを有することができる。好ましくは、必ずしもそうではないが、
図1Cに示すように、第1の出口11B及び第2の出口13Bの両方は円形である。
【0019】
更に、第2の出口13Bは、
図1Cに示すように、複数の第1の出口11Bによって実質的に囲まれている。マイナー液体供給組成物が一旦容器壁に堆積すると除去困難残留物を形成しやすい場合、そのような配置は、第2の出口13Bに存在するマイナー供給流が第1の出口11Bに存在する複数のメジャー供給流によって実質的に囲まれ、マイナー供給流の周囲に「液体シュラウド」を形成し、それによって容器壁上のマイナー供給物による除去困難残留物の形成を低減するので、マイナー液体供給組成物が容器壁に堆積するのを防止するのに特に有効である。
【0020】
複数のメジャー供給流は、マイナー供給流の周囲に発散する「液体シュラウド」を形成するように構成することができる。代替的には、複数のメジャー供給流は、互いに実質的に平行であってもよく、それにより、マイナー供給流の周囲に平行な「液体シュラウド」を形成する。そのようなメジャー供給流の平行配置は、容器内のマイナー供給流の周りのより大きな局所的な乱流を提供し、より良好な、より均質な混合結果を可能にするので、本発明では特に好ましい。
【0021】
更に、ノズル10は、デッドスペース(すなわち、流路内に直接存在せず、したがって液体残留物をトラップすることができるスペース)を実質的に何ら含まない。したがって、洗浄が容易であり、異なる液体供給の間で切り替えを行う際に二次汚染を引き起こす可能性が低い。
【0022】
好ましくは、必ずしもそうではないが、第2の出口13Bの総断面積に対する第1の出口11Bの総断面積の比は、約5:1~約50:1、好ましくは約10:1~約40:1、より好ましくは約15:1~約35:1の範囲であってもよい。そのような比率は、著しく大きなメジャー対マイナーの流量比を確実にし、それにより、容器内のマイナー成分のより効率的な希釈を可能にし、容器内にマイナー成分の局所的な高濃度の「ホットスポット」が存在しないことを確実にする。
【0023】
図2A~
図2Eは、本発明の別の実施形態に係る一体型共注入ノズルを示す。具体的には、ノズル20は、第1の端部22及び第2の、反対側の端部24を有する。第1の端部22及び第2の端部24の両方は、比較的平坦な表面を有する。第1の端部22と第2の端部24との間には、円筒状の側壁26が位置している。
【0024】
ノズル20は、第1の流体(例えば、メジャー液体供給組成物)をそこに流すための複数の第1の流路21を含む。第1の流路21の各々は、
図2B、
図2C及び
図2Eに示すように、第1の端部22に位置する第1の入口21Aと、第2の端部24に位置する第1の出口21Bとによって画定されている。更に、ノズル20は、第2の流体(例えば、マイナー液体供給組成物)を通過させるための第2の流路23を含む。第2の流路23は、
図2C及び
図2Dに示すように、円筒状側壁26の近傍に位置する第2の入口23Aと、第2の端部24に位置する第2の出口23Bとによって画定され、それにより第2の流路23は円筒状側壁26及び第2の端部24を通って延びるようになる。
【0025】
第1の出口21Bは全て三日月形状を有しており、そのような三日月形は、実質的に同じ半径中心を有する同心状に配置されている。対照的に、第2の出口23Bは、形状が円形である。更に、第2の出口23Bは、
図2Cに示すように、第1の出口21Bの半径中心に位置し、複数の第1の出口21Bを実質的に囲むように配置されている。マイナー液体供給組成物が一旦容器壁に堆積すると除去困難残留物を形成しやすい場合、そのような配置は、第2の出口23Bに存在するマイナー供給流が第1の出口21Bに存在する複数のメジャー供給流によって実質的に囲まれ、マイナー供給流の周囲に「液体シュラウド」を形成し、それによって容器壁上のマイナー供給による除去困難残留物の形成を減少させるので、マイナー液体供給組成物が容器壁に堆積するのを防止するために特に効果的である。
【0026】
ノズル20はまた、実質的に何らデッドスペースを含まず、したがって、液体供給を変更する際に二次汚染の危険性が低減されて洗浄が容易である。
【0027】
好ましくは、必ずしもそうではないが、第2の出口23Bの総断面積に対する第1の出口21Bの総断面積の比は、約5:1~約50:1、好ましくは約10:1~約40:1、より好ましくは約15:1~約35:1の範囲であってもよい。
【0028】
図3A~
図3Dは、本発明の更に別の実施形態に係る一体型共注入ノズルを示す。具体的には、ノズル30は、第1の端部32及び第2の、反対側の端部34を有する。第1の端部32及び第2の端部34の両方は、比較的平坦な表面を有する。円筒状の側壁36は、第1の端部32と第2の端部34との間に位置する。
【0029】
ノズル30は、第1の流体(例えば、メジャー液体供給組成物)を流すための複数の第1の流路31を含む。第1の流路31の各々は、
図3B、
図3C、及び
図3Eに示すように、第1の端部32に位置する第1の入口31Aと、第2の端部34に位置する第1の出口31Bとによって画定される。更に、ノズル30は、第2の流体(例えば、マイナー液体供給組成物)を流すための第2の流路33を含む。第2の流路33は、円筒形側壁36の一方の側部に位置する第2の入口33Aと、第2の端部34に位置する第2の出口33Bとによって画定され、それにより第2の流路33は、
図3C及び
図3Dに示すように、円筒状側壁36及び第2の端部34を通って延びる。更に、ノズル30は、第3の流体(例えば、追加のマイナー液体供給組成物)を流すための第3の流路35を含む。第3の流路35は、円筒状壁36の他方の側の近傍に位置する第3の入口35Aと、第2の端部34に位置する第3の出口35Bとによって画定され、それにより第3の流路35は、
図3A、
図3C、及び
図3Dに示すように、円筒状側壁36(第2の流路33の反対側の)及び第2の端部34を通って延びるようになる。
【0030】
全ての第1の出口31Bは三日月形状を有し、一方、そのような三日月形は、実質的に同じ半径中心を有する同心状に配置されている。対照的に、第2の出口33B及び第3の出口35Bは形状が円形である。更に、第2の出口33Bは、第1の出口31Bの半径中心に位置し、一方、第3の出口35Bは、第1の出口31Bの半径中心に隣接して位置する。このようにして、第2の出口33B及び第3の出口35Bの両方は、
図3Cに示すように、複数の第1の出口31Bによって実質的に囲まれている。マイナー液体供給組成物のいずれか又は両方が、一旦容器壁上に堆積すると除去困難残留物を形成しやすい場合、そのような配置は、第2の出口33B及び第3の出口35Bに存在するマイナー供給流が、第1の出口31Bに存在する複数のメジャー供給流によって実質的に囲まれ、マイナー供給流の周囲に「液体シュラウド」を形成し、それによって容器壁上のマイナー供給による除去困難残留物の形成を低減するので、容器壁上へのマイナー液体供給組成物の堆積を最小限にするように機能する。
【0031】
ノズル30はまた、実質的にデッドスペースを何ら含まず、したがって、液体供給を変更する際に二次汚染の危険性が低減された状態で、洗浄が容易である。
【0032】
好ましくは、必ずしもそうではないが、第2の出口33Bの総断面積に対する第1の出口31Bの総断面積の比は、約5:1~約50:1、好ましくは約10:1~約40:1、より好ましくは約15:1~約35:1の範囲であってもよい。同様に、第3の出口35Bの総断面積に対する第1の出口31Bの総断面積の比は、約5:1~約50:1、好ましくは約10:1~約40:1、より好ましくは約15:1~約35:1の範囲であってもよい。
【0033】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0034】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0035】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲に網羅することが意図されている。