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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】動作玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/18 20060101AFI20220711BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
A63H33/18 B
A63H33/00 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021116772
(22)【出願日】2021-07-14
【審査請求日】2021-07-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】村上 寛子
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋哉
【審査官】神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06761612(US,B1)
【文献】特開2012-228494(JP,A)
【文献】特開平09-299609(JP,A)
【文献】登録実用新案第3017176(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を用いた遊戯に使用される動作玩具であって、
第1の位置から第2の位置に変位可能に動作する動作部と、
前記動作部の変位方向に延び、前記物品が移動可能な移動部と、
前記第1の位置に位置する前記動作部の少なくとも一部を被覆する第1の状態と、被覆された前記動作部が露出する方向に変位した第2の状態と、を取り得るように動作する被覆部と、
を備え、
前記物品の前記移動部上の第3の位置への移動に応じて、前記動作部が前記第1の位置から前記第2の位置へ変位するとともに、前記被覆部が前記第1の状態から前記第2の状態に変位し、
前記動作部の一部は、前記第2の位置へ変位することで、前記物品の前記移動部上の移動を開始または加速させることが可能である、動作玩具。
【請求項2】
請求項1に記載の動作玩具であって、
前記動作部は、前記第1の位置においては当該第1の位置から前記第2の位置へ変位する第1の付勢方向に付勢され、前記物品の前記第3の位置への移動に応じて、前記第1の付勢方向に変位する、動作玩具。
【請求項3】
請求項2に記載の動作玩具であって、
前記動作部は、前記第1の位置においては係止部より係止された状態であり、前記物品の前記第3の位置への移動に応じて、当該動作部を係止している係止部が外れることにより前記第1の付勢方向へ変位する、動作玩具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の動作玩具であって、
前記被覆部は、第1の状態においては前記第1の状態から前記第2の状態に変位する第2の付勢方向に付勢され、前記物品の前記第3の位置への移動に応じて、前記第2の付勢方向に変位する、動作玩具。
【請求項5】
請求項4に記載の動作玩具であって、
前記被覆部は、前記物品の前記第3の位置への移動に応じて変位した前記動作部の動作に応じて、前記第2の付勢方向に変位し、
前記動作部は、前記被覆部を前記第1の状態に保持する保持部を有する、動作玩具。
【請求項6】
請求項4または5に記載の動作玩具であって、
前記被覆部の変位は、回転方向の変位である、動作玩具。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の動作玩具であって、
前記第1の状態において、被覆された前記動作部は、外部から視認できないように前記被覆部で被覆されている、動作玩具。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の動作玩具であって、
前記動作部は、形象部を含む、動作玩具。
【請求項9】
請求項8に記載の動作玩具であって、
前記動作部は、さらに前記形象部を固定する台座部を含み、前記台座部に前記被覆部を前記第1の状態に保持する保持部が設けられている、動作玩具。
【請求項10】
請求項9に記載の動作玩具であって、
前記台座部は、前記第2の位置側の側面において、その下部が上部よりも、前記動作部の変位方向に突出している、動作玩具。
【請求項11】
請求項10に記載の動作玩具であって、
前記動作部の変位方向において、前記形象部の最も突出した部分は、前記台座部の前記上部よりも突出している、動作玩具。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の動作玩具であって、
前記移動部は、前記動作部が移動する軌道を形成し、
前記動作部は前記第2の位置へ変位することに応じて前記物品と接触可能である、動作玩具。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の動作玩具であって、
前記第3の位置近傍に、前記物品を前記第3の位置に導くための、前記物品が移動可能な第1の軌道を有する、動作玩具。
【請求項14】
請求項13に記載の動作玩具であって、
前記第1の軌道は、前記第3の位置と離間して設けられている、動作玩具。
【請求項15】
請求項14に記載の動作玩具であって、
前記移動部に沿って移動する前記物品がさらに移動を継続可能な第2の軌道を有する、動作玩具。
【請求項16】
請求項15に記載の動作玩具であって、
前記第2の軌道上を前記物品が移動する方向は、前記第1の軌道上を前記物品が移動する方向とは異なる、動作玩具。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の動作玩具であって、
前記物品は、軌道を転動により移動可能な球体である、動作玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の移動を可能にするための移動経路を有する組立玩具セットが流通している。例えば、特許文献1には、それぞれ軌道部を有する複数の組立要素によって、様々な移動経路を構築できる玩具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-124298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、移動経路を物品が移動するにあたって、物品以外に動作する動作玩具については開示がない。このような移動経路を構築するにあたって、物品以外に動作する動作玩具を設けることで、移動経路を構築する遊戯における興趣性をさらに向上させることが可能となる。
【0005】
本願の主な目的は、興趣性を向上可能な玩具を提供することにある。その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0007】
本発明の一実施の形態である動作玩具は、物品を用いた遊戯に使用される動作玩具であって、第1の位置から第2の位置に変位可能に動作する動作部と、前記第1の位置に位置する前記動作部の少なくとも一部を被覆する第1の状態と、被覆された前記動作部が露出する方向に変位した第2の状態と、を取り得るように動作する被覆部と、を備え、前記物品の第3の位置への移動に応じて、前記動作部が前記第1の位置から前記第2の位置へ変位するとともに、前記被覆部が前記第1の状態から前記第2の状態に変位し、前記動作部の一部は、前記第2の位置へ変位することで、前記物品の移動を開始または加速させることが可能である。また、本発明の一実施の形態である動作玩具は、物品を用いた遊戯に使用される動作玩具であって、第1の位置から第2の位置に変位可能に動作する動作部と、前記動作部の変位方向に延び、前記物品が移動可能な移動部と、前記第1の位置に位置する前記動作部の少なくとも一部を被覆する第1の状態と、被覆された前記動作部が露出する方向に変位した第2の状態と、を取り得るように動作する被覆部と、を備え、前記物品の前記移動部上の第3の位置への移動に応じて、前記動作部が前記第1の位置から前記第2の位置へ変位するとともに、前記被覆部が前記第1の状態から前記第2の状態に変位し、前記動作部の一部は、前記第2の位置へ変位することで、前記物品の前記移動部上の移動を開始または加速させることが可能である。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態の動作玩具によれば、興趣性を向上させた動作玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施の形態である動作玩具の動作前の状態を示す斜視図である。
図2】一実施の形態である動作玩具の動作後の状態を示す斜視図である。
図3A】一実施の形態の動作部を示す斜視図である。
図3B】一実施の形態の動作部を示す正面図である。
図3C】一実施の形態の動作部を示す側面図である。
図4図1に示した動作玩具の側断面図である。
図5】一実施の形態の動作玩具の動作を説明するための図である。
図6A】一実施の形態の動作玩具の動作を説明するための図である。
図6B】一実施の形態の動作玩具の動作を説明するための図である。
図7A】一実施の形態の動作玩具の動作を説明するための図である。
図7B】一実施の形態の動作玩具の動作を説明するための図である。
図8A】一実施の形態の動作玩具の動作を説明するための図である。
図8B】一実施の形態の動作玩具の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面では、説明の便宜上、構成やハッチングを省略または簡略化している場合もある。
(実施の形態)
<動作玩具の構成>
【0011】
図1および図2は、本実施の形態に係る動作玩具1を示す斜視図であり、図1は動作玩具の動作前、図2は動作玩具の動作後の状態を示した図である。動作玩具1は、物品を用いた遊戯に使用されるものであり、図1および図2に示しているように、動作部10と、収容部20と、基台部30と、を有して構成されている。以下、動作玩具1を構成する各部について詳細に説明する。
【0012】
動作部10は、第1の位置から第2の位置に変位可能に動作するものであればよく、特に限定されるものではない。この動作部10として、動作前は、図1に示したように収容部20の内部に収容されており(第1の位置、P1)、動作後は、図2に示したように収容部20から飛び出し、基台部30の中央付近上部(第2の位置、P2)に変位するような場合が一例として挙げられる。
【0013】
この動作部10は、上記のように第1の位置から第2の位置へ変位可能に設けられていればその形状等は特に限定されるものではない。なお、動作部10として、図3A図3Cに、その一例を示している。ここで、図3Aは斜視図を、図3Bは正面図を、図3Cは側面図を、それぞれ示した。ここで例示した動作部10は、形象部11、台座部12、突出部13、付勢用固定部14、保持部15、を有している。
【0014】
この動作部10においては、形象部11が台座部12の上面に配置され、台座部12は、動作玩具に配置された際に、変位方向に面している第2の位置側の側面において、その下部が上部よりも変位方向に突出している突出部13を有する。さらに、動作部10には、台座部12の下方に付勢用固定部14と、被覆部22を後述する第1の状態に保持するための保持部15と、が設けられている。
【0015】
形象部11は、任意の形状とでき、特に限定されるものではない。この形象部11としては、例えば、所定のキャラクターを模した人型や動物型、道具や乗り物等の物型、などが挙げられる。また、保持部15は、動作部10のどこに設けてもよいが、形象部11を設ける場合は、その形象部11のデザイン性を保護するため、台座部12に設けることが好ましい。
【0016】
収容部20は、基台部30に固定され、動作部10をその内部に収容し、動作部10の少なくとも一部を被覆可能とする部材である。この収容部20としては、例えば、動作部10を収容可能にする収容部本体21、収容部本体21に収容された動作部10を被覆する被覆部22、収容部本体21に対して被覆部22を変位可能に接続する接続部23、を有して構成される。
【0017】
収容部20は、図1に示すように、第1の位置に位置する動作部10を被覆する第1の状態と、図2に示すように、上記被覆された動作部10が露出する方向に変位した第2の状態と、を取り得るように動作する。なお、図1では、収容部20は、動作部10を全て被覆している例を示しているが、動作部10の少なくとも一部を被覆する態様とすることもできる。
【0018】
収容部20(具体的には、被覆部22)が、第1の状態から第2の状態に変位することで、その被覆されていた動作部10を露出できる。このとき、収容部本体21と被覆部22の接続部23は、被覆部22の変位の際の支点となっている。すなわち、図1および図2において、被覆部22の変位は、回転方向である。なお、被覆部22の変位方向はこれに限定されず、第1の位置に位置する動作部10を露出する方向に変位できるものであれば、どのような方向に変位するものでもよい。
【0019】
被覆部22が、第1の状態から第2の状態に変位することで、その被覆されて隠れていた動作部10が露出し、動作部10の全体が何も被覆されていない状態となり、明瞭に視認できる。被覆部22は、透明、半透明または不透明のいずれの材質でも形成できる。なお、被覆部22は不透明の材質で形成されていることが好ましい。この場合、第1の状態では、動作部10が外部から視認できないように被覆されており、被覆部22が変位して初めて動作部10を視認でき、興趣性をより向上できる。
【0020】
また、被覆部22は、第1の状態としたときに、その状態が保持されるための被保持部24を有し、さらに、収容部本体21は、その収容空間と連続した凹部25を有する。この被保持部24は、被覆部22を第1の状態としたときに、この凹部25に配置される。このとき、被保持部24の一部は、第1の位置に位置する動作部10の保持部15により、被覆部22が第1の状態に(第2の状態への変位が生じないように)保持され、動作部10の動作により、当該保持が解放される構造となっている。すなわち、この保持が解放されると、被覆部22は第2の状態へと変位が可能となる。
【0021】
基台部30は、動作部10および収容部20を所定の位置に保持し、上記のような動作部10および被覆部22の変位を安定して行えるようにするとともに、床や机の上等に安定して載置できる土台となる部材である。この基台部30は、その土台本体となる基台31と、基台31の上部に、動作部10を第1の位置に係止可能とする係止部32とを有している。また、係止部32の先(動作玩具1の先端)には、第2の軌道が設けられている。
【0022】
基台31は、係止部32の一端側の高さ(基台31を載置面に載置した際の載置面からの距離)を固定し、他端側の高さが変動(載置面に対して上下動)可能なようにする構造となっており、係止部32は、その上下動により、動作部10の係止の維持と、解除とができるようになっている。より具体的に説明すれば、図1および図2で、係止部32は、その一端側が、基台31の内部に設けられ、カバー31aの下部に位置する回転支持シャフトに保持され、後述する係止部支持部材33で支持されている。そして、係止部32の他端側(収容部20側)はこの係止部支持部材33の回動により他端側が上下動するようになっている。例えば、係止部32の他端側が上に位置するとき、動作部10を係止して、第1の位置に保持し、係止部32の他端側が下に位置するとき、動作部10の係止が解除され、動作部10が第2の位置へ変位することが可能となる。係止部32には、さらに、動作部10の変位方向に、動作方向を安定させる溝32aが設けられている。
【0023】
この係止部32は、さらに、動作部10の係止を解除したときに、動作部10の軌道を形成するように設けることが好ましい。例えば、動作部10の台座部12の下面形状に沿うように、係止部32の上面を形成しておくと、動作部10が係止部32の上面を安定して動作でき好ましい。
【0024】
この動作玩具1について、さらに、図4を参照しながら、その構造について説明する。図4は、図1に示した動作玩具1の側断面図である。すなわち、動作部10が第1の位置に配置され、被覆部22が第1の状態になっているときの側断面図である。
【0025】
動作部10は、その付勢用固定部14が、回転支持シャフト31bに保持された係止部支持部材33と、弾性部材35を介して接続されている。この係止部支持部材33は、その上部が回転支持シャフト31bで保持され、その下部が弾性部材35の端部を固定できる構造となっている。この弾性部材35は、引張荷重が働いたときに、その長さが縮む方向に作用するものであり、例えば、引張コイルばねとできる。上記したように、弾性部材35は、この係止部支持部材33と動作部10とを接続し、引張荷重をかけるように設けられている。そのため、この弾性部材35により、第1の位置に位置する動作部10は第2の位置へ変位しようとする方向(第1の付勢方向)に付勢されている。
【0026】
また、弾性部材35は、同時に、係止部支持部材33により、係止部32の他端側が上に位置するようにも作用する。このとき、例えば、係止部32は水平に保持される場合を例示できる。係止部32が水平に保持されていると、係止部32の他端側の端部が、動作部10の側面(台座部12の側面)と接し、動作部10が第1の位置に係止され、第1の位置から第2の位置への変位が規制される。
【0027】
上記したように、係止部32は、係止部支持部材33により一端側は保持されているが、動作部10と接触する他端側は、上下動により高さを変動できるようになっている。すなわち、係止部32に外力が加えられると、係止部32の他端側を下げることができる。そのため、弾性部材35により加えられる弾性力に対し、係止部32に加わる外力が大きいと、係止部32の他端側が下がる。この係止部32の他端側が下がることで、動作部10の係止が外れ、動作部10は第2の位置へ変位する。
【0028】
なお、係止部32は、その他端側が下がったときに、所定の傾斜位置に保持されるように、基台31にはガイド34が設けられている。すなわち、このガイド34により、係止部32の他端側が下に移動したとき、その傾斜位置が所定の箇所に定まる。このガイド34は基台31に固定されており、係止部32と同様に、溝34aが設けられている。この溝34aは、溝32aと同様に、動作部10が変位する際に、その動作を安定させるために作用する。
【0029】
以上、係止部32について、他端側の上下動により係止の維持、解除を行うことができることを説明したが、本実施の形態はこのような具体的態様に限られるものではない。動作部10の係止の維持、解除を可能とする構成であれば、例えば、係止部32が、左右、前後、斜め等への移動のように、どのような方向へ移動するようにしてもよい。また、動作部10の係止の維持および解除を、係止部32により直接行う場合の他、間接的に行うようにしてもよい。
【0030】
次に、収容部20の収容部本体21と被覆部22は、接続部23で接続されているが、その接続構造は、例えば、図4に示したように、収容部本体21に固定されている軸筒23a、被覆部22に固定されている軸筒23b、これら軸筒23aおよび23bの内部に設けられ、収容部本体21に対して被覆部22を回転可能にする軸芯23c、を有するヒンジ構造とできる。
【0031】
この接続部23は、上記構造により、被覆部22が、第1の状態(図1)から第2の状態(図2)へと変位して動作部10の被覆部分が露出できるようになっており、第1の状態において、この変位が生じるように付勢されていることが好ましい。
【0032】
このように付勢するには、例えば、接続部23に、弾性部材23dを設ければよい。ここで用いられる弾性部材23dとしては、収容部本体21と被覆部22とにねじり弾性を付与できる弾性部材が好ましく、例えば、ねじりコイルばねとできる。これにより、被覆部22は、第1の状態において、第2の状態へと変位しようとする方向(第2の付勢方向)に付勢されている。このときの付勢方向は、第1の状態においては上方であるが、変位するごとに付勢方向が変わり、被覆部22は、接続部23(軸芯23c)を中心とした回転方向に変位する。
【0033】
さらに、この接続部23は、被覆部22が回転したときに、過度に回転しないようにする回転規制部23eを有することが好ましい。この回転規制部23eにより、被覆部22の変位を必要な分だけ行うようにでき、このとき、動作玩具1の設置に必要な空間を最小限のものとすることもできる。
<動作玩具の動作>
【0034】
次に、動作玩具1の動作について、さらに図5図8Aを参照しながら説明する。図5図8Aは、動作玩具1の動作を説明するための図である。
【0035】
まず、動作玩具1を動作させるための準備として、物品を所定の位置(第3の位置)に移動させるための構成とする。図5では、動作玩具1として、さらに第1の軌道41を有し、第1の軌道41には、物品100が軌道に沿って移動する途中の図を示している。また、動作玩具1は、係止部の先に設けられた第2の軌道を介して、動作玩具1とは別パーツとなる第3の軌道42と接続されている例を示している。
【0036】
なお、物品100として、転動により移動可能な球体を例示しているが、所定の移動が可能なものであれば、その形状はこれに限られるものではない。
【0037】
第1の軌道41は、動作玩具1の所定の位置(第3の位置、P3)近傍に設けられ、第1の軌道41の軌道に沿って移動する物品を、所定の位置(第3の位置、P3)に導くように配置される。図5では、基台部30の中央付近側部に設けられている場合を例示している。
【0038】
また、第2の軌道は、動作玩具1の動作部10の変位により、移動を開始または加速した物品100が、その軌道に沿ってさらに移動する際、移動方向を決めるように配置される。図5では、動作部10の変位方向の延長した箇所(動作玩具1の先端)に設けた例を示している。この第2の軌道は、さらに第3の軌道42と接続され、物品100がさらに移動を継続できるようにもできる。
【0039】
次に、第3の位置に導かれた物品100に応じて、動作玩具1がどのように動作するかについて、図6A図8Bを参照しながら説明する。
【0040】
図5に示したように、第1の軌道41を移動してきた物品100は、動作玩具1の第3の位置に導かれて、動作玩具1上に移動する(図6A)。ここで、第3の位置にある物品100を「100(P3)」として示した。物品100は、係止部32の中央付近に載るが、係止部32はその物品100の重さや物品100の落下等の衝撃により、動作部10を係止している端部が下に下がる(図6B)。この係止部32の動きにより、動作部10の係止が解除され、動作部10は弾性部材35により付勢されている付勢方向(矢印方向)に変位を開始する。ここで、第1の位置に位置する動作部10を「10(P1)」として示した。
【0041】
なお、上記したように、動作部10は、保持部15を有しており、変位を開始する前には、この保持部15が被覆部22を第1の状態に保持している。保持部15による被覆部22の保持は、例えば、図7Aに示したように、被覆部22に設けられた被保持部24の一部(上部)を、保持部15により押さえるような配置とする場合が例示できる。これにより、被覆部22は、上方に移動することが規制され、第1の状態のまま保持される。
【0042】
そして、図6Bで説明したように係止が外れると、動作部10は第2の位置に向かって変位が始まるが、このとき、保持部15も動作部10と一体として変位する(図7Aにおいては、左側へ向かうように変位する)。すると、被保持部24は、保持部15による保持から解放され、被覆部22は、弾性部材23dにより付勢されている付勢方向(矢印方向)への変位が始まる(図7B)。
【0043】
被覆部22が第1の状態から第2の状態へ変位することで、動作部10の変位方向に存在していた被覆部22が無くなり、動作部10の移動を妨げることもなく、動作部10は第2の位置に向かって変位を開始する。
【0044】
動作部10が変位すると、その途中には、物品100があり、動作部10と物品100が接触する(図8A)。動作部10は、弾性部材35により付勢されており、そのまま第2の位置まで変位し、物品100はその付勢された動作部10との衝突により、さらに矢印方向への移動を開始する(図8B)。ここで、第2の位置に位置する動作部10を「10(P2)」として示した。
【0045】
動作部10の台座部12は、上記したように、変位方向に面している第2の位置側の側面において、その下部が上部よりも変位方向に突出している突出部13を有する。このとき、動作部10の変位により、突出部13が物品100と接触し、物品100の移動を開始または加速できるようになっていることが好ましい。
【0046】
また、このとき、その変位方向において、形象部11の、動作部10の変位方向へ最も突出した部分が、台座部12の上部よりも突出しているように構成することが好ましい(図3Cにおいて、Lb>0)。さらに、突出部13が形象部11よりも突出しているように構成することが好ましい(図3Cにおいて、La>0)。すなわち、一番突出しているのが突出部13で、次に形象部11、その次に台座部12の上部、となるようにすることが好ましい。
【0047】
このような構成とすることで、実際には、形象部11は物品100に接触していないが(実際に接触するのは、突出部13)、形象部11が物品100を移動させているように認識させることができる。これにより、物品100との接触による形象部11の摩耗や塗装の剥がれ等を防止できる。
【0048】
また、突出部13は、係止部32に設けられた溝32aに嵌まるように配置され、溝32aは第1の位置から第2の位置への変位にあたって、動作部10の動作を安定して行うガイド溝として機能する。さらに、ガイド34にも、同様に溝34aが設けられており、動作部10の台座部12と付勢用固定部14とを接続する部分が溝34aに嵌まるように配置され、溝32aと同様に、溝34aは動作部10の動作を安定して行うガイド溝として機能する。
【0049】
このとき、溝32aおよび/または溝34aの長さを任意に設けることができる。これらの長さを所定の長さとすることにより、動作部10の変位がその終端で規制され、変位可能な位置を決定することもできる。
【0050】
上記のような動作により、物品100は、第3の位置から動作部10の変位により、その変位方向に力が加えられ、変位方向の延長上に設けられている第2の軌道および第3の軌道42の軌道に沿って、さらに移動を開始することができる。
【0051】
なお、上記は、図面に沿って、物品100が第3の位置に到達した後、第3の位置に留まり(一旦移動が停止し)、動作部10との衝突により、再度移動を開始する例について説明したものであるが、これに限られるものではない。
【0052】
すなわち、物品100が第3の位置に到達することで、それに応じて、動作部10の第1の位置から第2の位置への変位と、被覆部22の第1の状態から第2の状態への変位と、が生じる点は同じであるが、物品100が第3の位置とは異なる位置で停止して動作部10との衝突により移動を再開する場合や、また、物品100が停止することなくさらに移動しつつ、動作部10との衝突により移動速度を高められる(加速する)場合も例示できる。
(変形例)
【0053】
上記動作玩具1の構成および動作について説明したが、この動作玩具1は、上記説明した第1の軌道41と第2の軌道を、動作玩具1として設けてもよいし、別パーツとして設けてもよく、以下のような構成とすることもできる。第1の軌道41は、上記したように動作玩具1の所定の位置(第3の位置、P3)近傍に設けられ、第1の軌道41の軌道に沿って移動する物品を、所定の位置(第3の位置、P3)に導くように配置される。
【0054】
このとき、第1の軌道41と第3の位置とは、離間して設けることもできる。この場合、第1の軌道41と第3の位置とを離間する、とは、第1の軌道41における物品の転動する軌道と、動作玩具1の第3の位置とが、物理的に離れていることを意味し、例えば、図5に示したように、第3の位置に対して、第1の軌道41の軌道が高さ方向に離間している場合や、第1の軌道41の軌道と第3の位置とが平面的に離間している場合等が挙げられる。
【0055】
このように離間して設けた場合、物品100は、落下や空中移動等によりエネルギーを持った状態で第3の位置に到達するため、その際の衝撃により、第3の位置に到達したことを強い力で伝達でき、その後の動作部10の動作を確実に行うことができる。
【0056】
ただし、離間して設けた場合や離間していなくても物品100の移動速度が速すぎる場合には、物品100が本来予定していた移動経路を外れてしまうおそれがあり、物品100の第3の位置の到達を感知できずに動作部10が動作しないようなことも想定される。そのため、物品100が第1の軌道41から第3の位置への移動を確実に行うことができるように、第1の軌道41に、物品100の移動速度を抑制する形状を有することが好ましい。
【0057】
このような形状を有することで、第1の軌道41を移動してきた物品100は、その速度が速い場合は、所定の移動速度以下となるように制限され、第3の位置へ確実に移動できるようになる。このような形状としては、例えば、S字カーブやクランク等のような形状、上り坂や、上下に段差を設ける等のような形状、が挙げられ、このように物品100の移動方向を変化させて、その移動速度を抑制できるものが好ましい。
【0058】
第2の軌道は、動作玩具1の動作部10の変位により、移動を開始または加速した物品100が、その軌道に沿って移動方向を決めるように配置されるものである。そして、さらに第2の軌道に接続された第3の軌道42により移動を継続する。
【0059】
このとき、第3の位置に移動した物品100が一旦停止し、動作部10の変位により、その変位方向に移動を開始する場合、第2の軌道は、動作部10の変位方向に設けられていることが好ましい。このように配置することで、動作部10により移動を開始した物品100は、スムーズに第2の軌道に沿って、さらに移動を継続できる。
【0060】
また、第1の軌道41と第2の軌道は、互いの軌道において、物品100の移動方向が同じでも異なっていてもよいが、異なることが好ましい。ここでいう第1の軌道41の移動方向とは、物品100が第1の軌道41を離れる直前の移動方向(第3の位置に向かう移動方向)を言い、第2の軌道の移動方向とは、第3の位置から移動してきた物品100を第2の軌道が受け入れる移動方向(第3の位置から遠ざかる移動方向)を言う。
【0061】
上記のような第1の軌道41と第2の軌道において、物品100の移動方向が異なることで、動作玩具1により、物品100の移動方向を変えることができ、興趣性を向上できる。
【0062】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0063】
1 動作玩具
10 動作部
11 形象部
12 台座部
13 突出部
14 付勢用固定部
15 保持部
20 収容部
21 収容部本体
22 被覆部
23 接続部
23a,23b 軸筒
23c 軸芯
23d 弾性部材
23e 回転規制部
24 被保持部
25 凹部
30 基台部
31 基台
32 係止部
33 係止部支持部材
34 ガイド
35 弾性部材
【要約】
【課題】興趣性を向上可能な玩具を提供する。
【解決手段】物品を用いた遊戯に使用される動作玩具1であって、第1の位置から第2の位置に変位可能に動作する動作部10と、第1の位置に位置する動作部10の少なくとも一部を被覆する第1の状態と、被覆された動作部10が露出する方向に変位した第2の状態と、を取り得るように動作する被覆部22と、を備え、物品の第3の位置への移動に応じて、動作部10が第1の位置から第2の位置へ変位するとともに、被覆部22が第1の状態から第2の状態に変位し、動作部10の一部は、第2の位置へ変位することで、物品の移動を開始または加速させることが可能である。
【選択図】図2
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B