(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】心拍信号を分離するための胎児超音波処理ユニット
(51)【国際特許分類】
A61B 8/02 20060101AFI20220711BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
A61B8/02 ZDM
A61B5/0245 Q
(21)【出願番号】P 2021563106
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2020061113
(87)【国際公開番号】W WO2020216754
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-22
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ウォールシュラガー マルクス シルヴェスター
(72)【発明者】
【氏名】フランク クリストフ フロリアン
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0158407(US,A1)
【文献】国際公開第2014/159348(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0022164(US,A1)
【文献】特表2018-527101(JP,A)
【文献】A. Kribeche et al.,Separating fetal Doppler signals in pregnancy using Independent Component Analysis : application to the extraction of fetal heart rate and global movement,IEEE Ultrasonics Symposium 2005,IEEE,2005年,pp. 1319-1322,ISSN 1051-0117, DOI: 10.1109/ULTSYM.2005.1603096
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
A61B 5/02-5/03
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信されたドップラー超音波データ内の異なる心拍源を区別するための胎児モニタリングにおける使用のための超音波処理ユニットであって、前記ユニットは、
対象の子宮領域内の複数の異なる深さに対応するデータを含む、入力ドップラー超音波データを受信し、それぞれが前記対象の異なる組織深さを表す入力信号チャネルのセットを、前記データから抽出し、
統計的に無相関である前記入力信号チャネルの1つ以上の線形結合であって、構成されたときに第1の
出力信号のセットを定義する線形結合を識別するよう構成された、主成分分析手順を実行し、
互いとは統計的に独立した前記第1の
出力信号の1つ以上の線形結合を識別するよう構成された、独立成分分析手順を実行する
よう構成され、前記1つ以上の線形結合は、1つ以上の第2の出力信号のセットを定義し、前記1つ以上の第2の出力信号は、別個の心拍源に対応する信号を提供する、
超音波処理ユニット。
【請求項2】
前記主成分分析手順は、互いに統計的に無相関であるが定義された閾値を超える結合された信号強度を持つ第1の
出力信号に帰着する、前記入力信号の線形結合を識別するよう構成された、請求項1に記載の超音波処理ユニット。
【請求項3】
前記処理ユニットは更に、前記識別された線形結合に従って前記第2の出力信号のセットを生成するよう構成された、請求項1又は2に記載の超音波処理ユニット。
【請求項4】
前記処理ユニットは、前記第2の出力信号を処理しそれぞれから心拍信号又は心拍測定値を導出するよう構成された、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の超音波処理ユニット。
【請求項5】
前記処理ユニットは更に、前記第2の出力信号のそれぞれに、生理学的源を対応付けるよう構成され、
任意に、前記対応付けは、前記第2の出力信号が対応する前記対象内の平均深さ、前記第2の出力信号に関連する心拍、及び前記信号のスペクトル成分のうち1つ以上に基づいて実行される、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の超音波処理ユニット。
【請求項6】
前記主成分分析手順は、前記識別された線形結合に従って前記第1の
出力信号のセットを生成し、前記独立成分分析手順への入力として前記信号を供給するよう構成された、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の超音波処理ユニット。
【請求項7】
前記入力信号チャネルのセットの抽出は、複数の異なる時間的ウィンドウに亘る前記入力ドップラー超音波データのゲーティングを有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の超音波処理ユニット。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の超音波処理ユニットと、
前記入力ドップラー超音波データを前記超音波処理ユニットに供給するため、前記超音波処理ユニットに動作可能に結合された、1つ以上の超音波トランスデューサと、
を有する、超音波装置。
【請求項9】
前記装置は、超音波プローブユニットを有し、前記プローブユニットは、前記超音波処理ユニットと前記1つ以上の超音波トランスデューサとを組み込む、請求項8に記載の超音波装置。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の超音波処理ユニットと、
使用時に超音波トランスデューサユニットに接続するための接続インタフェースと、
を有する患者モニタリングシステム。
【請求項11】
前記接続インタフェースに結合された超音波トランスデューサユニットを更に有する、請求項10に記載の患者モニタリングシステム。
【請求項12】
使用時に接続されたトランスデューサによる超音波データの取得を制御するよう構成されたコントローラを更に含む、請求項10又は11に記載の患者モニタリングシステム。
【請求項13】
受信されたドップラー超音波データ内の異なる心拍源の区別における使用のための超音波処理方法であって、前記方法は、
対象の子宮領域内の複数の異なる深さに対応するデータを含む、入力ドップラー超音波データを受信し、それぞれが前記対象の異なる組織深さを表す入力信号チャネルのセットを、前記データから抽出するステップと、
統計的に無相関である前記入力信号チャネルの1つ以上の線形結合であって、構成されたときに第1の
出力信号のセットを定義する線形結合を識別するための、主成分分析手順を実行するステップと、
互いとは統計的に独立した前記第1の
出力信号の1つ以上の線形結合を識別するよう構成された、独立成分分析手順を実行するステップであって、前記1つ以上の線形結合は、1つ以上の第2の出力信号のセットを定義する、ステップと、
を有する方法。
【請求項14】
前記識別された線形結合に従って前記第2の出力信号のセットを生成するステップを更に有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の出力信号を処理しそれぞれから心拍信号又は心拍測定値を導出するステップ、及び/又は
前記第2の出力信号のそれぞれに、生理学的源を対応付けるステップ
を更に有する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波ドップラーデータ内の異なる心拍信号を識別する際に使用するための超音波処理ユニットを提供する。
【背景技術】
【0002】
電子胎児モニタリング(EFM)は、典型的にはドップラー超音波を用いて、妊娠中及び分娩中に子宮内の胎児からパルス(心拍)信号を取得する。取得したパルス信号を用いて胎児心拍(FHR)を計算する。
【0003】
この目的のために使用される超音波(US)ドップラートランスデューサは、典型的には、集束されていないほぼ円筒形の超音波ビーム場を利用する。ビーム量の程度は、特性受信時間のウィンドウによって規定される。このウィンドウの間、USトランスデューサは、任意の動いている解剖学的構造から反射された信号を取得するように設定される。
【0004】
ビームフィールドの向き及びサイズに応じて、2つ以上のパルス信号源、即ち母体の脈拍数に対応するパルス信号源、及び1つ(又は複数の妊娠の場合には複数)の胎児の脈拍数源が存在することとなり得る。
【0005】
1つの信号源のみに焦点を当てるために、従来、受信ウィンドウは、US信号が得られる特定の深度及び体積を変更するように能動的に調整され、斯くして該信号が観察される。
【0006】
このことは、異なる深さでの胎児領域の超音波観察を概略的に示す
図1に示されている。
図1(a)は深層観測領域を模式的に描いており、
図1(b)はより浅い観測領域を描いている。
図1(a)では、超音波トランスデューサ12の受信ウィンドウのタイミング及び持続時間は、US伝送のタイミング及び持続時間に対して調整され、その結果、US反射がより大きな深さから検出される。その結果、より深い観察体積14が得られる。逆に、
図1(b)では、受信ウィンドウは、より浅い深度からのUS反射が検出されるように調整され、その結果、より浅い深度体積14が生じる。
【0007】
最先端のEFMユニットは、使用する最適な深度範囲を決定するために反復アプローチを使用することができる。特に、反復アプローチは、雑音又はより弱い信号成分に寄与する領域を除外しながら、最大量の信号強度を含む深さ範囲を求めることができる。例えば、
図1では、
図1(b)の浅い深さ範囲は、胎児の心臓を包含するが、胎児の心臓の下の深さに存在し得るあらゆるノイズを排除するので、より強い信号を提供する。
【0008】
反復アプローチは、典型的には、独立して調整可能な開始及び停止深さを有する2つの別個の受信ウィンドウを使用することができる。1つのウィンドウが、実際の信号取得のために使用される。もう1つのウィンドウは、より大きな深さ範囲を含むことによって信号強度を増加させることができるかどうか、及び/又は深さ範囲を減少させることによって信号強度を著しく減少させることができるかどうかをプローブするために使用される。しばしば、できるだけ小さい受信ウィンドウ範囲が好ましく、それは、より小さいウィンドウは、典型的には、低減されたノイズをもたらすからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この反復的なアプローチは、異なるパルス信号源、例えば、2つの胎児心臓、又は母体心臓と胎児心臓とを区別することができない。むしろ、それは、典型的には、その計算内の全ての検出可能な心拍源を包含し、これらの全てを選択された深度ウィンドウ内に組み込むことを試みるであろう。結果として、調整手順は、2つ以上の脈拍数源の混合であるドップラー超音波信号の取得をもたらし得る。その結果、この信号に基づいて実行されるFHR(胎児心拍)計算が失敗する、又は誤った測定値につながる可能性がある。典型的なFHR計算アルゴリズムは自己相関に基づいている。これらは、単一の現在の心拍源に確実に対応するFHRを散発的に生成することができない。代わりに、計算されたFHR数は、誤っており、任意の単一の生理学的信号に関連しない。
【0010】
従って、入力データ内の異なる心拍源を区別することができる、改善されたドップラー超音波処理アプローチを提供することに利点がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、請求項によって定義される。
【0012】
本発明の一態様による例によれば、受信されたドップラー超音波データ内の異なる心拍源を区別するための、胎児モニタリングに使用するための超音波処理ユニットが提供され、該ユニットは、
対象の子宮領域内の複数の異なる深さに対応するデータを含む入力ドップラー超音波データを受信し、データから、各々が対象内の異なる組織深さを表す入力信号チャネルのセットを抽出し、
互いに統計的に無相関である入力信号チャネルの1つ以上の線形結合を識別するように構成された主成分分析(PCA)手順であって、線形結合は、組み合わされたときに、第1の出力信号のセットを定義し、互いに統計的に独立である前記第1の出力信号の1つ以上の線形結合を識別するように構成された独立成分分析、ICA、手順を実行し、前記線形結合は、第2の出力信号のセットを定義する、手順を実行する
よう構成される。結合されたPCA及びICA手順の効果のために、結果として生じる第2の出力信号は、それぞれ、単一の心拍信号源に対応するものとして確実に取られることができる。
【0013】
本発明は、深さが反復的に調整される標準的な反復手順に対して異なるアプローチを利用する。その代わりに、複数の異なる深さ信号が一緒に取得され、次いでこれら信号は、それらの中に存在する個々の基礎となる心拍信号を識別し、抽出するために数学的に処理される。
【0014】
ドップラー信号は、複数の、好適には空間的に隣接した深さ領域から得られ、例えば、一連の時間的に連続したウィンドウに亘って入ってくる反射信号をゲートすることによって得られる。結果として得られる入力深度チャネルは、それぞれ、複数の心拍源の混合を含み得る。
【0015】
異なる深さウィンドウの特定の長さ及び深さ(即ち深さの開始点及び終了点)は、幾つかの例では、コントローラによって適応的に決定されても良く、例えば、対象に関連する1つ以上のパラメータに基づいて決定されても良い。例えば、捕捉される深さセグメントは、対象のBMIに基づいて決定されても良い(従って、対象の異なる脂肪層の厚さを考慮するために)。他の例では、サンプリングされた深さウィンドウは、固定された長さ及び深さ位置を有することができる。
【0016】
PCA及びICAアルゴリズムは、信号源の混合物を分離するための信号解析に使用される数学的技術である。複数の入力混合信号(入力信号チャネル)を提供することによって、これらのアルゴリズムの組み合わせは、各々が単一の心拍源に対応する第2の出力信号のセットの抽出を可能にする。
【0017】
PCA手順とICA手順とを組み合わせて適用することにより、2つのプロセスのいずれか単独で達成可能であるよりも、データ内に存在する元の心拍源のより完全な非混合がもたらされる。その結果、第2の出力信号のセットは、異なる心拍源を確実に表すように取ることができる。
【0018】
PCA手順によって識別される入力信号の各線形結合は、単一の第1の出力信号に対応する。PCA手順は、各線形結合を規定する線形係数(又は重み付け)を識別することができ、及び/又は、各々を形成する関連信号を、識別される重み付けと組み合わせることによって、各第1の出力信号を生成することができる。
【0019】
PCA手順は、互いに統計的に無相関である入力信号チャネルの1つ以上の線形結合を識別するように構成される。
【0020】
統計的相関は、当技術分野の用語である。特に、統計的相関性は、数学的統計学の分野において明確に定義された用語である。2つの確率変数X及びYは、それらの積の期待値がそれらの期待値の積に等しい場合、統計的に無相関である:
E{X・Y}=E{X}・E{Y}
【0021】
本発明の文脈において、変数Xは、入力信号チャネルの識別された線形結合のうちの第1のものであり、変数Yは、入力信号チャネルの識別された線形結合のうちの第2のものであり得る。
【0022】
この定義は、確率変数のベクトルに容易に拡張される。特に、上式中の第1項は、ランダムベクトルx及びyの外積、即ちダイアディック積の期待値となり、両ベクトルの相互相関行列である:
E(x・yT)=E(x)・E(yT)。
【0023】
ベクトルバージョンの場合、ベクトルx及びyの積の期待値は、相関されないベクトルの個々の期待値の積に等しくなければならない。2つのベクトルの外積は行列である。
上付き文字Tは、上記式における関連行列の転置を示す。
【0024】
本発明の文脈において、PCAアルゴリズムは、単一のベクトルzを出力として生成することができ、その要素は、第1の出力信号のセット(入力信号チャネルの線形結合のセット)によって構成される。PCAアルゴリズムの目的は、論じたように、このような(単一の)出力ベクトルの個々の成分(チャネル)を無相関にすることである。
【0025】
PCAアルゴリズムによって生成される単一の出力ベクトルに対して上記の(一般的である)無相関状態を適用するために、状態は、わずかに異なる形式で表現されても良い。出力信号チャネルの単一出力ベクトルzの個々の要素の非相関性は、共分散行列
Cz=E((z-mz)・(z-mz)T)
の対角外の全ての要素が0である場合(mzはzの要素の平均値のベクトルである)に達成される。対角要素は各チャネルの分散を含むため、定数値を持たない成分では対角要素はゼロではない。
【0026】
統計的相関性の定義は、Appo Hyvarinen、Juha Karhunen、Erki Ojaによる本「Independent Component Analysis」(John Wiley & Sons, Inc.、2001)に見出すことができる。
【0027】
統計的独立性はまた、数学的統計において明確に定義された用語である。2つの変数x、yは、それらの共同確率(値のある組み合わせを観測する確率)が個々の確率の積に因数分解する場合、統計的に独立である:
px,y(x,y)=px(x)・py(y)
【0028】
このことは、変数x、yの一方の値の知識が、他方の変数の値に関する情報を全く与えないことを事実上意味する。
【0029】
統計的独立変数は常に無相関であるが、無相関変数は必ずしも独立ではない。一例として、他の変数がゼロと異なる場合に、一方の変数が常にゼロである2つの確率変数を考える。2つの変数は、その積が常にゼロに等しいが、一方の変数が非ゼロであることを知ることにより、他方の変数がゼロであることを差し引くことができるので、独立ではないので、無相関である。
【0030】
PCA手順は、第1の出力信号が、互いに統計的に無相関でありながら、定義されたしきい値を超える合成信号強度を有することになる、前記入力信号の線形結合を識別するように構成されても良い。
【0031】
閾値は、入力信号間で、又は可能な合成信号、平均又は最大信号強度に対して定義されても良い。例えば、閾値は、可能な合成信号の中で最大信号強度の50%又は75%の信号強度であっても良い。
【0032】
このように、PCAアルゴリズムは、統計的に無相関のままで、最大の合成信号強度をもたらす線形結合を選択する。
【0033】
処理ユニットは更に、識別された線形結合に従って、第2の出力信号のセットを生成するように構成されても良い。このことは、入力信号を、各線形結合(各第2の出力信号)に対して定義された特定の重み付けセットと組み合わせることを含む。
【0034】
信号の組み合わせは型通りの処理であり、当業者はこれを達成するための手段を知っているであろう。
【0035】
処理ユニットは、第2の出力信号を処理して、それぞれから各心拍信号又は心拍測定値を導出するように構成されても良い。
【0036】
処理ユニットは、第2の出力信号の各々に生理学的源を対応させるように更に構成されても良い。
【0037】
ここで、処理ユニットは、各信号の生理学的源を決定することによって、第2の出力信号の各々に対する生理学的な対応付けを導出する。
【0038】
処理ユニットは、例えば、出力信号のどれが母体の心拍に対応し、どれが胎児の心拍に対応するかを決定することができる。
【0039】
対応付けは、第2の出力信号の1つ以上の信号特性の比較に基づくことができる。
【0040】
対応付けは、第2の出力信号が対応する対象内の深さの加重平均、第2の出力信号に関連する心拍、及び信号のスペクトル内容のうちの1つ又は複数に基づいて実行されても良い。
【0041】
加重平均深度さは、第2の出力信号に含まれる入力信号の深さの加重平均として決定されても良い。該深さは、第2の出力信号が構成される第1の出力信号に含まれる入力信号の分析に基づいて決定されても良い。平均は、出力信号に対する各入力信号の寄与に従って重み付けされることが好ましく、例えば、出力信号が、「深さ範囲20cm」に対応する入力信号の75%と、「深さ範囲15cm」に対応する信号の25%とで構成される場合、重み付け平均は、(0.75×20cm)+(0.25×15cm)=18.75cmとなる。
【0042】
PCA手順は、一般に、入力信号の識別された線形結合の指標をICA手順への入力として提供するように構成される。
【0043】
幾つかの例では、PCA手順は、入力信号の前記識別された線形結合を規定する複数組の線形係数を、ICA手順への入力として提供することができる。PCA手順は行列を出力することができ、その要素は線形係数によってポピュレートされる。
【0044】
これに加えて又は代替的として、PCA手順は、識別された線形結合に従って第1の出力信号のセットを生成し、信号をICA手順への入力として供するように構成されても良い。
【0045】
上述のように、1つ以上の実施例によれば、入力信号チャネルのセットを抽出することは、例えば、一連の時間的に連続したウィンドウに亘って、複数の異なる時間的ウィンドウに亘って入力ドップラー超音波データをゲーティングすることを有しても良い。入力信号チャネルは、従って、各々が異なる捕捉超音波ウィンドウに対応し得る。これらは、本開示内で「深さウィンドウ」と呼ばれ得る。
【0046】
本発明の更なる態様による例は、超音波装置を提供し、該超音波装置は、
上で概説した、若しくは以下で説明する、又は本出願の任意の請求項による、任意の例又は実施例による超音波処理ユニットと、
入力ドップラー超音波データを超音波処理ユニットに提供するために、超音波処理ユニットに動作可能に結合された1つ以上の超音波トランスデューサと、
を有する。
【0047】
該装置は、超音波プローブユニット、超音波処理ユニットを組み込んだプローブユニット、及び1つ以上の超音波トランスデューサを有しても良い。
【0048】
プローブユニットは、例えば、筐体、超音波処理ユニット、及び1つ以上の超音波トランスデューサが筐体内に含まれる。
【0049】
本発明の更なる態様による例は、以上に概説された若しくは以下に記載される又は本出願の任意の請求項による超音波処理ユニットと、入力ドップラー超音波データ又はそれに基づくデータを受信するために超音波トランスデューサユニットに使用時に接続するための接続インタフェースと、を有する患者モニタリングシステムを提供する。
【0050】
接続インタフェースは、受信された超音波データを転送するために、超音波処理ユニットに更に結合されても良い。
【0051】
接続インタフェースは、有線コネクタであっても良いし、無線超音波プローブに接続するための無線接続インタフェースであっても良い。
【0052】
患者モニタリングシステムは、前記接続インタフェースを介して超音波処理ユニットに動作可能に結合された超音波トランスデューサユニットを更に備えることができる。
【0053】
トランスデューサユニットは、例えば、超音波プローブであっても良い。
【0054】
超音波トランスデューサユニットは、送信/受信ユニットのみであっても良く、即ち、超音波信号を送信及び感知するための1つ以上の超音波トランスデューサを備えても良い。ここで、超音波処理ユニットは、トランスデューサユニットによって出力されるアナログ信号のディジタル化及び復調のための構成要素を含む全ての信号処理要素を含み、異なる深さチャネルを分離する。この場合、アナログ信号は、トランスデューサユニットから通信インタフェースを介して超音波処理ユニットに通信される。
【0055】
他の例では、超音波トランスデューサユニットは、信号のディジタル化及び復調を実行し、深さチャネルの分離を達成するために、ローカルでの又はその場での信号処理要素を付加的に含んでも良い。この場合、分離された信号チャネルを表す結果として生じるディジタルデータは、超音波トランスデューサユニットから超音波処理ユニットに通信される。
【0056】
患者モニタリングシステムは、少なくとも超音波トランスデューサユニット、例えば超音波プローブを接続することができる基地局又は基地ユニットを含むことができる。基地局は、超音波処理ユニットによって実行された処理の結果を表示するためのディスプレイを含むことができる。
【0057】
超音波処理ユニットは、基地局に含まれても良い。代替としては、超音波処理ユニットは、幾つかの例では、超音波トランスデューサユニットによって構成されても良い。
【0058】
患者モニタリングシステムは、超音波トランスデューサと超音波処理ユニットとを一体化した超音波プローブを備える、上述のような超音波装置に接続された又は接続可能な基地局を含むことができる。
【0059】
患者モニタリングシステムは、使用中に接続されたトランスデューサユニットによる超音波データの取得を制御するように構成されたコントローラを更に含むことができる。該コントローラは、超音波トランスデューサユニットの送信回路及び受信回路を制御して、異なる深度を表す超音波信号を取得することができる。該コントローラは、パルスを送信し、受信するウィンドウの持続時間、及びその間のタイミングを制御することができる。該コントローラは、規定された時間ウィンドウに亘って入力ドップラー信号データのゲーティングを制御して、それによって、対象の組織内の異なる深度に対応する異なる入力信号チャネルを分離することができる。
【0060】
特定の例において、異なる深さは、単一の生成された円筒形超音波ビーム場内の異なる深さ範囲に対応し得る。
【0061】
特定の例において、超音波トランスデューサユニットは、個々の超音波送信機のアレイを含んでも良く、制御手段は、発生された超音波ビームの指向性を制御するために、該アレイを用いてビーム成形を適用するように構成される。ビーム成形は、複数の異なるビーム方向から超音波信号を取得するように制御することができる。この場合、各ビーム内の複数の異なる深さからの信号を取得することができる。超音波処理ユニットは、各ビームから複数の異なる深さチャンネルを抽出するように構成される。この手法は、より大きな体積の組織が単一のトランスデューサユニットで走査されることを可能にし、同時に、PCAアルゴリズムが処理するためのより多数の超音波チャネルを生成する。
【0062】
本発明の更なる態様による例は、受信されたドップラー超音波データ内の心拍源を区別する際に使用するための超音波処理方法であって、該方法は、
対象の子宮領域内の複数の異なる深さに対応するデータを含む入力ドップラー超音波データを受信し、データから入力信号チャネルのセットを抽出するステップであって、各チャネルは対象内の異なる組織深さを表すステップと、
【0063】
主成分分析(PCA)手順を実行して、互いに統計的に無相関である入力信号チャネルの1つ以上の線形結合を識別するステップであって、線形結合は、組み合わされたときに、第1の出力信号のセットを定義するステップと、
独立成分分析(ICA)手順を実行するステップであって、互いに統計的に独立である前記第1の出力信号の1つ以上の線形結合を識別するように構成され、前記線形結合は、第2の出力信号のセットを定義するステップと、
を有する方法を提供する。
【0064】
本方法は、識別された線形結合に従って、第2の出力信号のセットを生成するステップを更に含むことができる。
【0065】
本方法は、第2の出力信号を処理して、心拍信号又は心拍測定値の各々から導出するステップを更に含むことができる。
【0066】
本方法は、第2の出力信号の各々に生理学的源を帰属させるステップを更に含むことができる。
【0067】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施例から明らかになり、それを参照して説明される。
【0068】
本発明をより良く理解し、本発明をどのように実施することができるかをより明確に示すために、単なる例として、添付の図面を参照する:
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】取得された信号の深さを反復的に調整することに基づいて胎児心拍データを取得するための既知のアプローチを示す。
【
図2】複数の隣接する深さ領域についての信号を取得することに基づく、本発明の実施例による手法を示す。
【
図3】1つ以上の実施例による例示的な処理ユニットによって実行されるステップのブロック図である。
【
図4】つ以上の実施例による例示的な処理ユニットの動作フローを示す。
【
図5】本発明の実施例を混合入力信号のセットに適用した結果を示す。
【
図6】1つ以上の実施例による例示的な超音波システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本発明は、図面を参照して説明される。
【0071】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム、及び方法の例示的な実施例を示しているが、例示のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム、及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からより良く理解されるであろう。図面は単に概略的なものであり、一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。また、同じ参照番号は、同じ又は類似の部分を示すために、図面全体に亘って使用されることを理解されたい。
【0072】
本発明は、異なる別個の心拍信号源、即ち母体の心拍及び胎児の心拍を表す1組の信号を抽出するために、胎児のドップラー超音波データを処理するための処理ユニット及び方法を提供する。胎児領域内の複数の異なる深さに対応するドップラーデータが受信され、これらは各々が異なる深さに対応する1組の入力チャネルに処理される。次いでこれらは、PCAアルゴリズムとそれに続くICAアルゴリズムとによって連続的に処理され、ICAアルゴリズムは、入力チャネルの各々に存在する複数の心拍源をアンミックスするように働き、別個の心拍源を表すものとみなすことができるICAからの出力信号のセットを導出する。
【0073】
最新技術の電気的胎児モニタリング(EFM)手法は、超音波トランスデューサの超音波ピックアップ範囲(観測量)内に幾つかのパルス信号が存在する場合には、しばしば不十分である。既知の装置は、異なる心拍源を区別することができないため、誤った胎児心拍(FHR)の読取値が生成され、測定を行うときに源の混合につながる。これは不必要な外科的介入又は有害な送達転帰につながる可能性がある。
【0074】
本発明の実施例は、主成分分析(PCA)及び独立成分分析(ICA)という2つの重要な数学的技法の使用に基づく、胎児心拍モニタリングに対する改善されたアプローチを提供する。
【0075】
上述のように、既知のEFM超音波システムは、反復的アプローチを使用し、反復的アプローチは、異なる深さ領域からの信号取得を反復的に試み、最適な信号強度を有する受信ウィンドウを求める。
【0076】
本発明は、調整可能な深さパラメータを有する受信ウィンドウを使用する代わりに、トランスデューサが固定された長さを有する複数の隣接した深さウィンドウに亘って超音波データを取得する、異なるアプローチを適用する。このことは、連続する時間ウィンドウ(受信ウィンドウ)を介して入ってくるドップラー超音波信号をゲーティングすることを含み得、それによって、対象内の連続した及び隣接した深さ領域に対応する複数の信号を導出する。
【0077】
図2は、3つの深さ領域16a、16b、16cの例示的なセットから超音波信号を取得することを概略的に示す。異なる領域からの信号は、一組の信号入力として共にPCAアルゴリズムに提供される複数の深さチャネルを提供し、続いて、以下に説明するように、ICAアルゴリズムが提供される。
【0078】
本発明の第1の態様による例は、受信されたドップラー超音波データ内の異なる心拍源を区別するための胎児モニタリングに使用するための超音波処理ユニットを提供する。
【0079】
図3は、処理ユニットが行う基本的な工程をブロック図で示すフロー図である。
【0080】
処理ユニットは、対象の子宮領域内の複数の異なる深さに対応するデータを含む32個の入力ドップラー超音波データを受信するように適合される。
【0081】
次いで、処理ユニットは、入力データから、各々が被検体内の異なる組織深さを表す入力信号チャネルのセットを抽出する(34)。
【0082】
次に、該ユニットは、統計的に無相関である入力信号チャネルの1つ以上の線形結合を識別するように構成された主成分分析(PCA)手順36を実行する。線形結合は、第1の出力信号のセットを定義する。PCA手順は、ICAへの入力として、識別された入力信号の線形結合の指標を提供する。このことは、幾つかの例では、入力信号の一組の線形係数、即ち重み付けの形成であっても良い。PCA手順は、導出された線形結合に基づいて第1の出力信号を生成することを含み得る。これらは、幾つかの例では、線形係数(重み付け)の代わりに、又は線形係数(重み付け)に加えて、ICA手順の入力として提供され得る。
【0083】
次に、該ユニットは、互いに統計的に独立している前記第1の出力信号の1つ以上の線形結合を識別するように構成された独立成分分析(ICA)手順38を実行し、前記線形結合は、第2の出力信号のセットを定義する。第2の出力信号のセットは、プローブされた領域内の別個の別個の心拍源を表すものとされる。ICA手順は、第1の出力信号の識別された線形結合に従って、第2の出力信号のセットを生成することができる。これらは、出力として提供されても良い。これらは、例えばユーザ、例えば臨床医による観察のために、関連する表示装置上に表示されても良い。
【0084】
図4は、1つ以上の実施例による、処理ユニットのための例示的なワークフローをより詳細に概略的に示す。特定の機能は、別個の構成要素によって実行されるものとして示されているが、このことは単に、この図における説明のためのものである。一般に、これらの構成要素によって実行される機能は、1つ以上の構成要素の異なる組み合わせ、例えば、幾つかの例では単一の単一プロセッサによって実行され得ることを理解されたい。
【0085】
ドップラー超音波データは、まず超音波トランスデューサユニットを用いて取得される。トランスデューサユニットは、複数の超音波トランスデューサ又は単一のトランスデューサを備えることができる。受信された超音波データは、標的身体の複数の異なる深さを表す。このデータから、異なるチャネルに対する信号に対応する複数の入力チャネルが抽出されても良い。
【0086】
より詳細には、動作中、超音波パルスは、超音波受信/送信ユニット13によって、プローブされる身体、即ち、対象の子宮領域に送信されても良い。パルスは、定義された送信ウィンドウ、又は送信ウィンドウの反復セットを介して、定義された周波数で送信される。受信/送信ユニットは、超音波信号を生成及び感知するための1つ以上の超音波トランスデューサを備える。超音波トランスデューサユニットの一形態であるが、信号処理要素(本例ではユニットの外部から構成される)を有することはない。
【0087】
次いで、反射された超音波信号が、超音波受信-送信ユニット13で受信されて戻る。反射は、信号が反射される深度に応じて、異なる時点で受信-送信ユニットで受信される。組織内の超音波の伝播速度が知られている(約1000メートル/秒)ので、送信と受信との間の時間遅延は、超音波パルスが移動した距離にマッピングすることができる。該距離は、その後、深さに比例する。
【0088】
幾つかの例では、信号は、単一の方向に送信され、超音波信号は、前記単一の円筒形ビームフィールド内の異なる深さに対応して受信され、ゲーティングされる。
【0089】
更なる例では、超音波トランスデューサユニットは、個々の超音波送信機のアレイを有しても良く、制御手段は、アレイを使用してビーム成形を適用し、生成された超音波ビームの指向性を制御するように構成される。ビーム成形は、複数の異なるビーム方向から超音波データを取得するように制御されても良い。各指向性ビーム内の複数の異なる深度からの信号は、この場合には取得され得る。超音波処理ユニットは、この場合、各ビームから複数の異なる深さチャネル(以下に説明する手順に従う)を抽出するように構成されても良い。このアプローチは、より大きな体積の組織が単一のトランスデューサユニットでスキャンされることを可能にし、同時に、PCAアルゴリズムが処理するためのより多数の超音波チャネルを生成する。
【0090】
いずれの場合においても、入力データは、増幅器42によって増幅され、次いで、対象内の異なる深度領域に対応して、複数の別個の入力チャネル52に分割されても良い(44)。
【0091】
異なる深度に対応する信号は、例えば、異なる時間的受信ウィンドウに亘って入力信号をゲーティングすることによって分離される44とすることができ、各ゲーティングされた信号は、異なる深度に対応する異なる入力信号チャネル52を供給する。
【0092】
幾つかの例では、特定の所望の深度からの受信信号が得られるように、通過パルスと受信ウィンドウとの間の持続時間及びタイミングを調整することができ、次いでこれらを適切な時間ウィンドウに亘ってゲーティングし、各深度チャネル52上に異なる深度信号を提供する。
【0093】
任意に、これらのチャネルについてのゲーティングパルスは、受信-送信(又は超音波トランスデューサ)ユニット13を含むディジタル論理(例えば、マイクロコントローラ、FPGA又は同様のもの)によって生成されても良い。ゲートされた信号は、続いて、アナログ-ディジタル変換器でサンプリングされても良い。比較的低いサンプリングレート(例えば数百~数千Hz)を使用しても良い。
【0094】
当業者は、プローブされた身体内の異なる深さに対応するチャネルを抽出するために、ゲーティング信号制御するための多数のアプローチを知っているであろう。
【0095】
異なるゲート深さ信号は、それぞれ、
図4に示すように、異なる入力信号チャネル52を提供する。
【0096】
前処理ステップ46、48は、各入力信号チャネル52に適用される。これらステップは、(
図4の例示のように)異なる入力信号チャネル52を分離した後、又は前に適用されても良い。
【0097】
特に、復調及び信号積分46を各入力信号チャネル52の入力信号に適用することができる。復調は、元の送信信号と比較して、測定されたドップラー信号のドップラー(周波数)シフトに等しい周波数の信号を生成する。
【0098】
帯域フィルタリング48は、各入力信号チャネル52に適用することができる。フィルタリングは、心拍測定値に期待される周波数範囲内で、入力信号の周波数成分を選択するように設定される。これにより、データの関連する周波数成分のみが保持され、全体的なノイズが低減される。
【0099】
幾つかの例(図示せず)では、包絡線復調器を更に適用することができる。このことは、各入力信号チャネル52について、選択された(フィルタリングされた)周波数範囲について、時間の関数として、信号強度(例えば、強度又は分散)の変化に対応する包絡線信号を抽出する。
【0100】
特定の例において、復調(46)関数は、超音波トランスデューサユニット13によって構成されるディジタルマイクロプロセッサに組み込まれても良く、この場合、送信パルスの反射は、高サンプリングレート(例えば、数MHzの送信超音波パルスの周波数の数倍)でアナログ-ディジタルコンバータによってサンプリングされても良く、トランスデューサユニット13内のディジタル論理回路又はソフトウェアは、受信信号を復調し、各深度チャネルについて信号値を計算しても良い。このことは、ゲーティングパルス及びアナログ復調回路の必要性を取り除くことができる。
【0101】
信号取得と同期して処理を提供するために、必要な分解能及び速度でアナログからディジタルへの変換が可能なディジタルマイクロプロセッサを備えることは、現在のマイクロプロセッサ技術では困難である可能性がある。代替例では、入力信号チャネルの分割は、代わりに、超音波トランスデューサユニット13に含まれる専用のアナログ-ディジタル(A/D)変換器を使用して実行されても良い。この場合、A/D変換器は同期して動作するはずであり、このことは、超音波周波数がA/D変換周波数と一致する(好適には同一である)ことを意味する。
【0102】
前処理に続いて、各入力信号チャネル(深さチャネル)は、主成分分析(PCA)アルゴリズム54への入力として提供される。
【0103】
要約すると、このアルゴリズムは、統計的に無相関であるが、信号の最大強度(分散)を捕捉する入力信号(深さ)チャネルの線形結合(重み付き和)を決定する。これらの線形結合は、構成される場合、一組の第1の出力信号56に対応する。
【0104】
PCAアルゴリズム54の出力は、深さ信号の収集に存在する心拍信号源の総数の指示を提供する。しかしながら、PCAの第1の出力信号56は、元の心拍信号源の混合を依然として含むことができる。従って、PCA単独では、異なる心拍源を完全に分離するのに十分ではない場合がある。
【0105】
PCAを使用して、入力チャネル52の初期数(超音波トランスデューサユニットが多くの深さチャネルを使用する場合、非常に大きい場合がある)を、無相関で強い心拍信号(即ち、第1の出力信号56)の数に減らすことができる。第1の出力信号のセット56は、典型的には、入力信号チャネル52の総数よりも少ない数である。
【0106】
チャネル数を減らすと、後続の処理ステップが単純化され、ノイズのみを含む深さチャネルベクトルの数学的部分空間が除外される。PCAアルゴリズムは、異なるパルス信号源の脱混合の第1段階を効果的に実行する。
【0107】
PCAは、例として、オンラインニューラルネットワークアルゴリズム又は他の機械学習アルゴリズムを含む、幾つかのアルゴリズムを用いて実行することができる。一般に、PCAは、機械学習のサブセット(又は特定の技法)と考えることができる。
【0108】
例として、Hyvarinen、Karhunen及びOjaによる本「Independent Component Analysis」の第6章(「Principal Component Analysis and Whitening」)には、適切な主成分分析手順を実施するための手順が詳細に記載されている。該章では、特に、PCAの幾つかの要素について記載しており、主成分を1つずつ抽出し、複数の主成分を並列抽出すること、サンプリングごと及びバッチモードアルゴリズム、並びに抽出すべき成分の数を決定する方法が含まれる。
【0109】
次いで、第1の出力信号56は、より複雑な独立成分分析(ICA)手順58への入力として供給される。この手法は、統計的に独立した第1の出力チャネル56の線形結合を決定する。この結果、理想的な場合には、各第2の出力信号が腹部内の1つのパルス信号源のドップラー超音波信号のみを大部分含む多数の第2の出力信号チャネル60が得られる。ICAアルゴリズムは、元のパルス信号源のアンミキシングを完了する。
【0110】
ここで、PCAアルゴリズム及びICAアルゴリズムをより詳細に説明する。
【0111】
PCAアルゴリズム54は、入力信号チャネル52を処理し、入力チャネル52をどのように(線形に)結合して第1の出力チャネル56を形成するかを記述する1組の重みベクトル(又は線形係数)を出力として提供することができる。好適には、PCAはまた、第1の出力チャネル56自体を出力し、このことは、入力チャネル52のセットよりも少ないチャンネル数から構成されていても良いし、構成されていなくても良い。PCAは、出力チャネルのベクトルを出力することができる。
【0112】
ベクトル/行列形式で、PCAは
z(t)=V*x(t)
を計算し、ここでxは入力信号チャネル52に対応するn個の要素の列ベクトルであり、zは出力チャネルに対応するm個の要素の列ベクトルであり、Vはzの要素を統計的に無相関にし通常はそれらの統計的分散も1に正規化するm行n列の行列である。
【0113】
出力信号が両方とも無相関にされ、それらの分散が正規化される場合、このプロセスは「ホワイトニング」としても知られる。
【0114】
PCAアルゴリズムは、入力としてxが与えられると、V及びzの値を決定する。通常、V及びzに対する単一の固有の解は存在せず、PCAアルゴリズムは、zの要素を無相関にする無限に多くの解のうちの1つを見つける。PCAは、入力信号52の分散及び相互相関(いわゆる2次統計量)のみを考慮することによって機能し、従って、zの要素の完全な統計量的独立性ではなく、無相関性を達成することができる。
【0115】
単純な例として、xに3つの入力チャネルを設けることができ、xのチャネルには合計2つの心拍信号源が異なる強度で存在するという事前の知識がある。問題は、2つの出力チャネル56、及び2×3行列の形のVを求めることである。
【0116】
第1の心拍信号源がxの第1及び第2の入力チャネル52に等しい強度で存在し、第2の心拍信号源がxの第3の入力チャネル52にのみ存在する場合、PCAアルゴリズムは、以下の形式を有するVをもたらすはずである。
【数1】
【0117】
この特定の例では、PCAアルゴリズムは、実際には、2つの源の完全な分離も達成する(なぜなら、それらは最初に実際には混合されていないからである)。
【0118】
独立した信号源の最大数は、胎児モニタリングアプリケーションでは通常知られているので、有利には、この情報を使用して、PCA手順の複雑さを低減し、PCAアルゴリズムが処理において考慮する必要がある次元の数を低減することができることに留意されたい。この場合、アルゴリズム自体は、それが生成すべき出力チャネルの数を決定する必要はない。このことは、アルゴリズムの速度を増加させることができる。
【0119】
特に、アルゴリズムに含まれる行列演算のために、計算量はチャンネル数の3乗で増加する。それ故、問題を4つ(又はそれ以上)のチャネルから2つ又は3つ(双胎妊娠の場合)に減らすことは、アルゴリズムの計算要件を大幅に減らす。
【0120】
この単純化は、アルゴリズムに予めプログラムされていても良いし、アルゴリズムの調整可能な設定として提供されていても良い。例えば、処理ユニットは、心拍源信号の総数を表すユーザ入力を受信するように構成されても良く、このことは、例えば、単一又は二重(又はそれ以上)の妊娠があるかどうかに基づいて決定される。
【0121】
PCAは、信号解析の分野において周知の手順であり、当業者は、その背後にある原理、及びこの手順を実施するための詳細な手段を認識するであろう。例として、Comon及びJuttenによる本「Handbook of Blind Source Separation」は、本発明の実施例に従って適用され得るPCAアルゴリズムに関するより多くの情報を提供する。
【0122】
独立成分分析(ICA)アルゴリズムはまた、第1の出力信号の線形結合の導出集合を定義する重みベクトルの集合(例えば、行列形式で表現される)を出力しても良い。
また、第2の出力信号のベクトルを出力しても良い。
【0123】
一般に、ICAアルゴリズムは、y(t)
y(t)=W*z(t)
の要素が、統計的に独立するように行列Wを見つける。z(t)は、PCA/ホワイトニングアルゴリズムの出力である。
【0124】
ICAアルゴリズムは、PCAアルゴリズムによって考慮される2次統計を超えて見え、これらの特性が統計的依存性/独立性を定量化するので、尖度、信号エントロピー、又はyのチャネルの相互情報のような更なる統計的特性を考慮する。
【0125】
一般に、ICAアルゴリズムは、適切なWを見つけることによって最小化又は最大化されるべきコスト関数(例えば尖度、信号エントロピー又は相互情報)を選択し、最小化/最大化のための最適化アルゴリズム(例えば、勾配降下、確率的勾配降下、ニュートン法)を選択することによって構築されても良い。
【0126】
コスト関数は非線形であるので、アルゴリズムは、適用可能な制約を考慮して、コスト関数を最小化/最大化するWを見つけるために、幾つかの近似解に亘って反復する必要がある(このような制約は、最適化アルゴリズムが、例えば、コスト関数を最小化するために単にWをゼロに設定することを防止するために、又は、コスト関数を最大化するために、限界なしでWの値を増加させることによって、使用されても良い)。
【0127】
PCA及びICA手順の適用後、行列W及びVは、任意に「混合解除行列」Bに組み合わされても良い。
y(t)=W*z(t)=W*V*x(t)=B*x(t)
【0128】
ここで、Bは、yの出力チャネルを形成するxの線形結合を直接記述する。Bは、xのチャネルがyにおける各出力チャネルの成分として現れるかどうか、及びどのくらい強く現れるかを示す情報を提供する。
【0129】
ICAは、信号解析の分野において周知の手順であり、当業者は、その背後にある原理、及びこの手順を実施するための詳細な手段を認識するであろう。ICAアルゴリズムの例に関する更なる詳細は、例えばAppo Hyvarinen, Juha Karhunen, Erkki Ojaによる本「Independent Component Analysis」(John Wiley & Sons, Inc.、2001)に見出され得る。
【0130】
ICAの第2の出力信号チャネル60は、個々の心拍信号源を表すものとみなすことができる。ICAの第2の出力信号60は、その後、心拍計算アルゴリズムへの入力として提供されても良い。ドップラー超音波信号に基づいて心拍測定値又は信号を導出するアルゴリズムは、当技術分野で知られている。例えば、幾つかのものは自己相関に基づく。
【0131】
一例として、1つの適切な例示的な心拍計算アルゴリズムが、米国特許US4,403,184に概説されている。この例は自己相関に基づいている。自己相関を用いて反復する信号の周波数を決定することは、現場で確立された技術である。
【0132】
各第2の出力信号チャネルは、主に1つの心拍信号源のみから構成されるので、混合信号による誤ったFHR読み取りの発生は、既存の解決策と比較して非常に大幅に低減され得る。
【0133】
1つ以上の有利な実施例によれば、処理ユニットは、第2の出力信号60のそれぞれについて生理学的源の対応付け(attribution)を導出するように、即ち、各信号が材料心拍又は胎児心拍に対応するかどうかを判定するように更に構成され得る。
【0134】
この対応付け処理は、第2の出力信号の1つ以上の特性を比較することを含む比較アプローチに基づくことができる。
【0135】
例えば、識別された信号源の平均深度、脈拍数、信号のスペクトルコンテンツ異なる第2の出力信号60の特性を比較し、結果が対応付けに用いられる。母体及び胎児の心拍信号に対するこれらの特性の1つ以上の既知の平均値又は典型的な値がそれぞれ記憶されても良く、これらは第2の出力信号60の各々に対する属性を決定するための基準として使用されても良い。幾つかの例では、母体ECG又はSpO2脈拍数などの他の特性を更に使用して、属性決定プロセスを通知することができる。
【0136】
信号源を分類する比較アプローチ(種々の出力信号60の信号特性を比較する)は、順番に各源を考慮し、それを分析して対応付けを決定するよりも簡単なアプローチである。
【0137】
本発明のアプローチの有効性を
図5に示す。2つの入力信号チャネル52が示されており、プローブされた被検体内の異なる深さを表している(入力信号チャネル1(「入力Ch.1」)及び入力信号チャネル2(「入力Ch.2」))。各々は、基礎となる心拍源の混合を表す。
【0138】
従来の自己相関法を用いて2つの信号の各々を処理することは、正確な心拍の読み取り値をもたらす可能性は低い。
【0139】
PCA及びICA方法54、58ではなく、両方の入力信号52を処理することにより、出力信号品質が大幅に改善され、心拍信号源間の干渉が除去される。
【0140】
PCA及びICAアルゴリズムの組み合わせ54、58は、2つの基礎となる心拍信号源HR1及びHR2を表す2つの出力信号60を生成する。他方のチャネルの各干渉成分内の除去は、後に心拍の拍動対拍動値を計算するときに、改竄及び誤計算を回避する。
【0141】
以上に議論されたように、本発明の手法は、胎児の心拍を検出するための既存のアプローチよりも大幅な改善を提供する。
【0142】
母体と胎児の心拍を区別することは、従来の処理手法では困難な問題である。しばしば、信号は、異なる時間に振幅及び強度が変化し、信号を分離するために設計されたアルゴリズムにおいて混乱をもたらす。
【0143】
胎児の心拍信号と干渉する母体の心拍信号との間の振幅が等しい状況は、電流EFM技術及び既知の深さ選択アルゴリズムでしばしば起こり得る。
【0144】
信号の重ね合わせにより、胎児の心拍の真のピーク位置が効果的にぼやけ、不正確な熱速度計算につながる。胎児と母体の信号の混合が強いエピソードは、計算された心拍の減少又は増加を示すことが多く、このことは、心拍の減速又は加速度として誤って解釈されることがある。これは不適切な医学的介入につながる可能性がある。
【0145】
現在のEFM技術はまた、複数の独立したパルス信号源(母体及び胎児のいずれか、又は複数の妊娠の場合には複数の胎児源)を獲得するリスクを最小限に抑えるために、EFMトランスデューサを母体腹部に配置する際に、オペレータが注意を払うことを必要とする。このことは、オペレータのための熟練した訓練を必要とし、また、EFM手順のために必要とされる時間を増加させる。
【0146】
本発明の実施例は、多くの異なる方法でEFM技術の改善を提供する。超音波ビームによって覆われた体積を幾つかの深さスライス(上述のように)に分離し、PCA及びICAを用いて独立したパルス信号を分離することにより、混合パルス信号による誤った脈拍数を計算するリスクが大幅に低減される。これにより、不必要な外科的介入の発生及び有害な転帰が減少する。
【0147】
更に、本発明の信号分離プロセスのロバスト性の向上は、超音波トランスデューサを母体腹部上に位置決めする際に必要とされる制約がより少ないことを意味する。このことは、EFMシステムを使用するのをより容易かつより便利にし、また患者の快適さを改善する。
【0148】
加えて、本発明の実施例は、超音波視野内の独立したパルス信号源の総数を決定し、源信号の各々を別々に分析することができる。このことは、胎児の脈拍数に加えて母体の脈拍数を提供するために、又は単一のトランスデューサで複数の胎児をモニタリングするために使用することができる。
【0149】
本発明の更なる態様による例は、患者モニタリングシステムを提供する。1つ以上の実施例による例示的な患者モニタリングシステム70が
図6に示されている。
【0150】
患者モニタリングシステム70は、上記で概説された、又は以下で説明される、又は本出願の任意の請求項による、任意の例又は実施例による超音波処理ユニットを備える。図示の例では、超音波処理ユニットは、基地局ユニット72の内部に組み込まれている。しかしながら、他の例では、超音波処理ユニットは、基地局ユニットが接続又は接続可能な超音波トランスデューサユニット76内に局所的に組み込まれても良い。
【0151】
患者モニタリングシステム70は更に、使用時に、入力ドップラー超音波データ、又は入力ドップラー超音波データから導出されたデータを受信するための超音波トランスデューサユニット76に接続するための入力コネクタポート74の形態の接続インタフェースを有する。基部に使用中に接続するための例示的な超音波トランスデューサユニット76が
図6に示されている。トランスデューサユニットは、基部の入力コネクタ74と係合するように形作られた出力コネクタ78を有する。
【0152】
超音波処理ユニットが基地局72に含まれる場合、入力コネクタ74は、受信した超音波データを転送するために超音波処理ユニットに結合されても良い。
【0153】
コネクタ74は、
図6に有線コネクタポートとして示されている。他の例では、コネクタは、ワイヤレス超音波プローブに接続するためのワイヤレス接続インタフェースを備えることができる。
【0154】
患者モニタリングシステム70は、前記入力コネクタに結合された超音波トランスデューサユニット76を更に有しても良い。トランスデューサユニットは、例えば、超音波プローブであっても良い。
本 実施例における患者モニタリングシステムは、実行された分析手順の結果を表示するために、例えば、1つ以上の第2の出力信号の視覚的表現を表示するために、基地局72の超音波処理ユニットに動作可能に結合されたディスプレイ80を更に含む。
【0155】
患者モニタリングシステム70は、使用中に接続されたトランスデューサユニットによる超音波データの取得を制御するように構成されたコントローラを更に含んでも良い。
【0156】
コントローラは、超音波トランスデューサユニットの送信回路及び受信回路を制御して、異なる深度を表す超音波信号を取得しても良い。コントローラは、パルスを送信し、受信するウィンドウの持続時間、及びその間のタイミングを制御しても良い。コントローラは、規定された時間ウィンドウに亘って入力ドップラー信号データのゲーティングを制御して、それによって、対象の組織内の異なる深度に対応する異なる入力信号チャネルを分離することができる。
【0157】
幾つかの例では、前記コントローラは、超音波トランスデューサユニット内に局所的に備えることができ、又は、それによって実行される制御ステップは、超音波トランスデューサユニットにおいて局所的に実行することができる。
【0158】
上述のように、超音波トランスデューサユニットは、超音波処理ユニットを含んでも良い。例えば、1つ以上の超音波トランスデューサを組み込んだ超音波プローブユニットと、処理ユニットと動作可能に結合された超音波処理ユニットとであっても良い。超音波トランスデューサユニットは、上述の超音波データ前処理ステップ及び/又は制御ステップの少なくともサブセットを局所的に実行することができる。
【0159】
患者モニタリングシステムは、上述したものとは異なる形態をとっても良い。例えば、患者モニタリングシステムは、ディスプレイを有し、超音波トランスデューサユニットと接続可能なモニタリングステーション(例えば、トロリー型モニタリングステーション)を備えても良い。
【0160】
いずれかの例では、患者モニタリングシステムは、同じ患者又は異なる患者をモニタリングするための任意の数の更なるセンサ又はデータ源と接続可能であっても良い。
【0161】
本発明の更なる態様による例は、上記又は下記に概説されるか又は記載される任意の例又は実施例による、又は本出願の任意の請求項による超音波処理ユニットと、超音波処理ユニットに動作可能に結合され、入力ドップラー超音波データを超音波処理ユニットに提供する1つ以上の超音波トランスデューサとを備える超音波装置を提供する。
【0162】
該装置は、例えば、超音波プローブユニット、超音波処理ユニットを組み込んだプローブユニット、及び1つ以上の超音波トランスデューサを含んでも良い。例えば、プローブは、1つ以上の超音波トランスデューサ及び超音波処理ユニットを組み込んだ筐体を備えることができる。
【0163】
本発明の更なる態様による例は、受信されたドップラー超音波データ内の心拍源を区別する際に使用するための超音波処理方法を提供し、該方法は、
対象の子宮領域内の複数の異なる深さに対応するデータを含む入力ドップラー超音波データを受信し、データから入力信号チャネルのセットを抽出するステップであって、各チャネルは対象内の異なる組織深さを表すステップと、
主成分分析(PCA)手順を実行して、互いに統計的に無相関である入力信号チャネルの1つ以上の線形結合を識別するステップであって、線形結合は、組み合わされたときに、第1の出力信号のセットを定義するステップと、
独立成分分析(ICA)手順を実行するステップであって、該手順は、互いに統計的に独立である前記第1の出力信号の1つ以上の線形結合を識別するように構成され、前記線形結合は、第2の出力信号のセットを定義するステップと、
を有する。
【0164】
本方法は、識別された線形結合に従って、第2の出力信号のセットを生成することを更に有しても良い。
【0165】
本方法は、第2の出力信号を処理して、心拍信号又は心拍測定値を各々から導出するステップを更に有しても良い。
【0166】
開示された実施例に対する変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、実施されることができる。特許請求の範囲において、単語「有する(comprising)」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a又はan)」は、複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に列挙される幾つかのアイテムの機能を実行しても良い。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムが上述されている場合、それは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶/配布されても良いが、インターネット又は他の有線もしくは無線電気通信システムなどを介して、他の形態で配布されても良い。用語「適合される(adapted to)」が特許請求の範囲又は説明において使用される場合、用語「適合される」は、用語「構成される(configured to)」と同等であることが意図されることに留意されたい。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。