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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】検査選別システム、検査選別方法
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/36 20060101AFI20220712BHJP
   B65G 47/248 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
B07C5/36
B65G47/248 F
B65G47/248 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018110629
(22)【出願日】2018-06-08
(65)【公開番号】P2019209308
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】306018365
【氏名又は名称】クラシエホームプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197022
【弁理士】
【氏名又は名称】谷水 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 保男
(72)【発明者】
【氏名】吉井 正明
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-297718(JP,A)
【文献】特開昭59-066386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/36
B65G 47/248
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段で搬送される物品を検査する検査手段と、
前記検査手段の情報に基づいて物品を振り分ける振り分け手段を備えた、検査選別システムにおいて、
前記振り分け手段は、物品の送り出し速度を変更することにより、物品を立てた状態又は物品を倒した状態として、物品を振り分けることを特徴とする、検査選別システム。
【請求項2】
物品を倒した状態で搬送する搬送手段と、
前記搬送手段で搬送される物品を検査する検査手段と、
前記検査手段の情報に基づいて物品を振り分ける振り分け手段を備えた、検査選別システムにおいて、
前記振り分け手段は、前記検査手段の情報が所定の規格の範囲内である場合に、物品を立てた状態とし、前記検査手段の情報が所定の規格の範囲外である場合に、物品を倒した状態とすることを特徴とする、検査選別システム。
【請求項3】
前記振り分け手段の下流に配置された搬送手段は、前記振り分け手段より低位置に配置されることを特徴とする、請求項又はに記載の検査選別システム。
【請求項4】
前記検査手段と前記振り分け手段は、同じ位置に配置されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の検査選別システム。
【請求項5】
物品を搬送する搬送工程と、
前記搬送工程で搬送される物品を検査する検査工程と、
前記検査工程の情報に基づいて物品を振り分ける振り分け工程を備えた、検査選別方法において、
前記振り分け工程は、物品の送り出し速度を変更することにより、物品を立てた状態又は物品を倒した状態として、物品を振り分けることを特徴とする、検査選別方法。
【請求項6】
物品を倒した状態で搬送する搬送工程と、
前記搬送工程で搬送される物品を検査する検査工程と、
前記検査工程の情報に基づいて物品を振り分ける振り分け工程を備えた、検査選別方法において、
前記振り分け工程は、前記検査工程の情報が所定の規格の範囲内である場合に、物品を立てた状態とし、前記検査工程の情報が所定の規格の範囲外である場合に、物品を倒した状態とすることを特徴とする、検査選別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の検査選別システム及び検査選別方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、物品を搬送しながら検査及び選別を行うための検査選別システム及び検査選別方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品や食品等の生産工場では、物品の検査及び選別を行うための検査選別システムが利用されている。この検査選別システムでは、物品を搬送しながら重量の過不足や金属等の異物の混入が無いかを検査する検査装置と、検査手段の情報に基づいて物品を振り分ける振り分け装置を備えている。
【0003】
従来、この検査選別システムでは、検査装置の下流側に振り分け装置が配置されており、振り分け装置は、検査装置で不良品と判断された物品を搬送ラインから排除することにより不良品を振り分けている。例えば、特許文献1には、物品の搬送経路を切り替えるための振り分け部材を備えた振り分け装置が開示されている。また、特許文献2には、多角柱状の回転体からなる振り分け装置であって、不良品を検知すると回転し、物品を不良品用の搬送ラインに振り分ける振り分け装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-176407号公報
【文献】特開2006-327771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の検査選別システムは、検査装置で不良品と判断された物品は、検査装置の下流に配置された振り分け部材や多角柱の回転体等の振り分け装置により振り分けるため、装置が複雑化するという問題がある。
そこで、本発明の課題は、簡素化した振り分け手段により物品の振り分けを可能とする検査選別システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、振り分け手段から搬送手段へ物品を送り出す際に、検査手段の情報に応じて物品の送り出し速度を変更することにより、物品を振り分けることができることを見いだして本発明を完成した。
また、本発明者は、検査手段の情報に応じて物品を立てた状態又は物品を倒した状態とすることにより、物品を振り分けることができることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の検査選別システム及び検査選別方法である。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の検査選別システムは、物品を搬送する搬送手段と、前記搬送手段で搬送される物品を検査する検査手段と、前記検査手段の情報に基づいて物品を振り分ける振り分け手段を備えた、検査選別システムにおいて、前記振り分け手段は、物品の送り出し速度を変更することにより、物品を振り分けることを特徴とするものである。
この検査選別システムでは、振り分け手段から搬送手段へ物品を送り出す際に、検査手段の情報に応じて物品の送り出し速度を変更することによって不良品と良品を振り分けることができる。そのため、複雑な振り分け装置を用いることなく、簡素な振り分け手段を備えた検査選別システムを提供することができる。例えば、物品を振り分け手段から下流の搬送手段へ送り出す際に、不良品の送り出し速度を良品の送り出し速度より高くなるように変更して物品を送り出すと、高速で送り出された不良品は、振り分け手段の下流の搬送手段において、良品の配置される予定の位置より前方に配置されるため、不良品と良品を簡単に振り分けることができるというものである。
【0008】
更に本発明の検査選別システムの一実施態様によれば、振り分け手段は、物品を立てた状態又は物品を倒した状態として、物品を振り分けるという特徴を有する。
この特徴によれば、物品を立てた状態か物品を倒した状態として振り分けられるため、目視でも明らかに良品か不良品かを分別することができる。
【0009】
また、上記課題を解決するための本発明の検査選別システムは、物品を搬送する搬送手段と、前記搬送手段で搬送される物品を検査する検査手段と、前記検査手段の情報に基づいて物品を振り分ける振り分け手段を備えた、検査選別システムにおいて、前記振り分け手段は、物品を立てた状態又は物品を倒した状態として、物品を振り分けることを特徴とするものである。
この検査選別システムによれば、振り分け手段において、物品を立てた状態か物品を倒した状態とすればよいため、簡素な振り分け手段で物品を振り分けることができる。また、物品を立てた状態か物品を倒した状態として振り分けられるため、目視でも明らかに良品か不良品かを分別することができる。
【0010】
更に本発明の検査選別システムの一実施態様によれば、振り分け手段の下流に配置された搬送手段は、振り分け手段より低位置に配置されるという特徴を有する。
この特徴によれば、振り分け手段と搬送手段との段差を利用して、振り分け手段から送り出された物品を、下流側の搬送手段の上に立てることができる。そのため、振り分け手段より上流では、物品を倒した状態で搬送することが可能となる。物品を倒した状態とすると、物品の状態が安定するため、高速で搬送することができる。また、搬送経路にカーブ等を有していても、安定した搬送を実現することができる。
【0011】
更に本発明の検査選別システムの一実施態様によれば、振り分け手段は、検査手段の情報が所定の規格の範囲内である場合に、物品を立てた状態とし、前記検査手段の情報が所定の規格の範囲外である場合に、物品を倒した状態とするという特徴を有する。
振り分け手段の下流における搬送において、物品を立てた状態とすると、振動等により倒れることがある。そのため、規格の範囲外である不良品を立てた状態とすると、搬送中に倒れて良品に混入する恐れがある。一方、上記特徴によれば、良品を立てた状態とするため、不良品が良品に混入することを防止することができる。
【0012】
更に本発明の検査選別システムの一実施態様によれば、検査手段と振り分け手段は、同じ位置に配置されるという特徴を有する。
この特徴によれば、検査手段の下流に振り分け手段を配置する必要がないため、検査選別システムが縮小化し、小さなスペースにも設置することが可能となる。
【0013】
また、上記課題を解決するための本発明の検査選別方法は、物品を搬送する搬送工程と、前記搬送工程で搬送される物品を検査する検査工程と、前記検査工程の情報に基づいて物品を振り分ける振り分け工程を備えた、検査選別方法において、前記振り分け工程は、物品の搬送速度を変更することにより、物品を振り分けることを特徴とするものである。
上述したとおり、検査手段の情報に応じて物品の送り出し速度を変更することにより、簡素な振り分け手段で物品を振り分けることができるため、検査選別システムの装置構成が簡素なものとなる。よって、上記検査選別方法によれば、装置の清掃やメンテナンスの作業を低減することができるという効果がある。
【0014】
また、上記課題を解決するための本発明の検査選別方法は、物品を搬送する搬送工程と、前記搬送工程で搬送される物品を検査する検査工程と、前記検査工程の情報に基づいて物品を振り分ける振り分け工程を備えた、検査選別方法において、前記振り分け工程は、物品を立てた状態又は物品を倒した状態として、物品を振り分けることを特徴とするものである。
この検査選別方法によれば、物品を立てた状態か物品を倒した状態として振り分けられるため、目視でも明らかに良品か不良品かを分別することができる。また、装置の構成も簡素なものとなり、装置の清掃やメンテナンスの作業を低減することができるという効果もある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、簡素化した振り分け手段により物品の振り分けを可能とする検査選別システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一の実施態様の検査選別システムの構造を説明する概略説明図である。図1(A)は、第一の実施態様の検査選別システムの側面図であり、図1(B)は、第一の実施態様の検査選別システムの平面図である。
図2】本発明の第二の実施態様の検査選別システムの構造を説明する概略説明図である。図2(A)は、検査手段からの情報が所定の規格の範囲内である場合の状態を示す概略説明図である。図2(B)は、検査手段からの情報が所定の規格の範囲外である場合の状態を示す概略説明図である。
図3】本発明の第二の実施態様の検査選別システムの上流側の装置を説明する概略説明図である。
図4】本発明の第二の実施態様の検査選別システムの下流側の装置を説明する概略説明図である。
図5】本発明の第三の実施態様の検査選別システムの構造を説明する概略説明図である。図5(A)は、検査手段からの情報が所定の規格の範囲内である場合の状態を示す概略説明図である。図5(B)は、検査手段からの情報が所定の規格の範囲外である場合の状態を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の検査選別システムは、物品に対して所定の検査を行い、検査の結果に応じて物品を振り分けるための装置である。本発明の検査選別システムの利用分野は、特に制限されないが、例えば、化粧品や食品などの生産工場における製品検査、野菜や果物の選別、ごみ処理場におけるごみの分別処理などに利用することができる。
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る検査選別システムの実施態様を詳細に説明する。なお、以下の実施態様に記載する検査選別システムについては、本発明に係る検査選別システムを説明するために例示したにすぎず、これに限定されるものではない。また、検査選別システムの各構成についての説明は、検査選別方法の説明に置き換えることができるものとする。
【0019】
[第一の実施態様]
図1は、本発明の第一の実施態様の検査選別システム100の構造を説明する概略説明図である。図1(A)は、第一の実施態様の検査選別システムの側面図であり、図1(B)は、第一の実施態様の検査選別システムの平面図である。
【0020】
図1に示す検査選別システム100は、物品Pを搬送する搬送手段1A及び1Bと、搬送手段で搬送される物品Pを検査する検査手段2Aと、検査手段2Aの情報に基づいて物品Pを振り分ける振り分け手段3Aを備えており、振り分け手段3Aは、物品の送り出し速度を変更することにより、物品を振り分けることを特徴とするものである。また、第一の実施態様の検査選別システム100は、検査手段2Aの情報に基づいて、振り分け手段3Aの動作を制御するための制御手段4を具備する。
【0021】
(搬送手段)
搬送手段は、物品を搬送するための装置であり、第一の実施態様における搬送手段1A及び1Bには、ベルトコンベヤが使用されている。搬送手段としては、特に制限されず、例えば、ローラコンベヤなどを使用してもよい。
【0022】
(検査手段)
検査手段は、物品を検査するための装置であり、第一の実施態様における検査手段2Aは、金属探知装置が利用されている。検査手段は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。他の検査手段としては、例えば、化粧品や食品等の充填量を確認するための重量検査装置、異物の混入の有無を確認するための異物検査装置、包装容器の破損等を確認するための外観検査装置、野菜や果物の等級を識別するための糖度計などが挙げられる。また、検査手段は、作業員などによる目視検査でもよい。
【0023】
(振り分け手段)
振り分け手段は、検査手段により得られた情報に基づいて物品を振り分けるためのものであり、第一の実施態様における振り分け手段3Aは、物品を下流の搬送手段1Bへ送り出す際の送り出し速度を変更することにより、物品を振り分けるものである。これにより、振り分け部材などの複雑な構造物を利用しなくても、物品を振り分けることが可能となる。
【0024】
振り分け手段3Aにおける物品の送り出し速度は、2段階以上の速度で制御する。例えば、生産工場における重量検査、異物検査、外観検査等の製品検査では、所定の規格を定め、この範囲の内外で良品と不良品の2種類に振り分ける。そのため、振り分け手段3Aの物品の送り出し速度も2段階で制御することが好ましい。また、野菜や果物等の等級検査等では、3種類以上に振り分ける場合があり、その場合には、振り分け手段3Aの物品の送り出し速度も3段階以上で制御すればよい。
【0025】
(制御手段)
制御手段は、検査手段の情報を入手し、その情報に基づいて、振り分け手段の動作を制御するものである。制御手段を構成する装置としては、例えば、CPUからなる演算部と、検査手段の情報と振り分け手段の動作の情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された情報と検査手段から得られた情報により、振り分け手段の動作を制御する制御部とを備えたコンピュータなどが挙げられる。
なお、振り分け手段の動作の制御では、作業員などにより振り分け手段を操作してもよい。その場合には、検査手段からの情報は、警報音や警告灯などを用いて入手すればよい。
【0026】
次に、図1を参照して、検査選別システム100における物品の振り分けの動作について説明する。
図1(A)に示すように、検査選別システム100は、搬送手段の上流側から搬送手段1A、振り分け手段3A、搬送手段1Bの順に配置され、搬送手段1Aには、検査手段2Aとして金属探知機が設置されている。また、制御手段4として、コンピュータを備えており、制御手段4は、検査手段2A及び振り分け手段3Aと電気的に接続されている。
【0027】
振り分け手段3Aは、ベルトコンベアにより構成されており、搬送手段1Aの上流側から搬送された物品Pは、振り分け手段3Aを通過して、下流の搬送手段1Bへと搬送される。振り分け手段3Aのベルトコンベアは、第一の送り出し速度と、第一の送り出し速度より高速な第二の送り出し速度の2段階で変更可能なものであり、第一の送り出し速度は、搬送手段1A及び1Bの搬送手段と同じ速度に設定されている。
【0028】
搬送手段1Aを搬送された物品Pは、検査手段2Aを構成する金属探知機で金属の混入の有無が検査される。金属探知機で異常がない場合には、振り分け手段3Aのベルトコンベアは第一の送り出し速度に調整されており、物品Pは、搬送手段1Aの搬送速度と同じ速度で、振り分け手段3Aから下流側の搬送手段1Bに送り出される。また、下流側の搬送手段1Bの搬送速度も、搬送手段1Aと同じ速度であるため、物品Pは、一定の間隔で配置された状態で搬送される。
【0029】
一方、金属探知機で異常が生じた場合には、制御手段4に異常に関する情報が送信される。制御手段4は、異常に関する情報を得ると、振り分け手段3Aの送り出し速度を第二の送り出し速度に変更するように制御し、金属の混入が認められた物品Pは、第二の送り出し速度で振り分け手段3Aを通過する。そして、金属の混入が認められた物品Pが振り分け手段3Aを通過すると、元の第一の送り出し速度に戻すように制御する。
【0030】
送り出し速度を元に戻すタイミングは、どのように制御してもよいが、例えば、振り分け手段3Aの送り出し速度と移動距離を勘案して、所定の時間が経過後に送り出し速度を元に戻してもよいし、振り分け手段3Aに、物品Pの通過を感知するセンサを設けて、該センサの情報に基づいて送り出し速度を元に戻してもよい。装置を簡素化するという観点から、所定の時間が経過後に送り出し速度を元に戻すように制御することが好ましい。
【0031】
下流側の搬送手段1Bには、図1(B)に示すように、物品の配置を確認するためのマーカーとしてラインLが引かれており、良品配置領域Aと不良品配置領域Aを交互に形成している。金属の混入が認められた物品Pは、第二の送り出し速度で送り出されるため、下流側の搬送手段1Bにおいて、正常の物品Pが配置される予定の良品配置領域Aより前の不良品配置領域Aに配置されることになる。そして、不良品配置領域Aに配置された物品Pは、不良品Pとして振り分けられる。
【0032】
なお、下流側の搬送手段1Bに設けられたラインLは、物品の配置を確認するためのマーカーであれば、どのようなものでもよく、例えば、一定間隔で配置されたドットなどでもよい。
【0033】
[第二の実施態様]
図2は、本発明の第二の実施態様の検査選別システム101の構造を説明する概略説明図である。図2(A)は、検査手段からの情報が所定の規格の範囲内である場合の状態を示す概略説明図である。図2(B)は、検査手段からの情報が所定の規格の範囲外である場合の状態を示す概略説明図である。
【0034】
第二の実施態様の検査選別システム101は、物品を立てた状態又は物品を倒した状態として、物品を振り分けるものである。物品Pは、シャンプーなどの液体を充填した包装パウチであり、立てて置くことが可能なものである。なお、本発明において、「物品を倒した状態」とは、物品が倒れにくく安定した状態であることを示し、「物品を立てた状態」とは、「物品を倒した状態」よりも不安定で倒れやすい状態であることを示す。
【0035】
第二の実施態様の検査選別システム101は、振り分け手段3Aの下流側に配置された搬送手段1Cが、振り分け手段3Aより低位置に配置されている。このように、搬送手段1Cを振り分け手段3Aより低位置に配置することにより、振り分け手段3Aと搬送手段1Cとの段差を利用して、振り分け手段3Aから送り出された物品Pを、下流側の搬送手段1Cの上に立てることができる。
【0036】
また、第二の実施態様の検査選別システム101は、検査手段2Bとして、包装パウチの充填量を確認するための重量検査装置を備えており、検査手段2Bは、振り分け装置3Aと同じ位置に配置されている。検査手段2Bと振り分け装置3を同じ位置に配置することにより、検査選別システムを縮小化し、小さなスペースに設置することができるという効果がある。
【0037】
次に、図2を参照して、検査選別システム101における物品の振り分けの動作について説明する。
図2(A)に示すように、検査選別システム101は、搬送手段の上流側から搬送手段1A、振り分け手段3A、搬送手段1Cの順に配置され、振り分け手段3Aには、検査手段2Bとして重量検査装置が設置されている。また、制御手段4として、コンピュータを備えており、制御手段4は、検査手段2B及び振り分け手段3Aと電気的に接続されている。
【0038】
振り分け手段3Aは、第一の実施態様と同様、ベルトコンベアにより構成され、送り出し速度の変更が可能なものである。制御手段4は、振り分け手段3Aのベルトコンベアを、停止状態、第一の送り出し速度、及び、第二の送り出し速度の3段階に制御する。第一の送り出し速度は、下流側の搬送手段1Cに物品Pを送り出した際に、搬送手段1Cの上に物品Pが立つように調整されている。一方、第二の送り出し速度は、第一の送り出し速度より高速に設定され、下流側の搬送手段1Cに物品Pを送り出した際に、搬送手段1Cの上に物品Pが倒れた状態となるように調整されている。なお、第二の送り出し速度は、第一の送り出し速度より低速に設定して、物品Pが倒れた状態となるように調整もよい。
【0039】
上流側の搬送手段1Aにおいて、物品Pは倒した状態で搬送される。倒した状態で搬送することにより、安定性に優れるため高速搬送が可能となる。また、搬送経路にカーブ等を有していても、安定した搬送を実現することができる。
【0040】
搬送手段1Aにより搬送された物品Pは、振り分け装置3Aの上に導入され、重量検査装置により重量が計測される。その際、振り分け装置3Aのベルトコンベアは一定時間停止することにより、物品Pの重量を正確に計測することができる。なお、ベルトコンベアを停止するタイミングは、どのように制御してもよいが、例えば、重量検査装置に物品Pの重量を検知したタイミングでベルトコンベアを停止してもよいし、振り分け手段3Aに、物品Pの通過を感知するセンサを設けて、該センサの情報に基づいてベルトコンベアを停止してもよい。装置を簡素化するという観点から、重量検査装置に物品Pの重量を検知したタイミングでベルトコンベアを停止するように制御することが好ましい。また、ベルトコンベアを停止する時間は、重量検査装置の値が安定するために必要な時間とすればよい。
【0041】
制御手段4では、所定の重量の範囲が規格として記憶されており、重量検査装置で計測された重量がこの規格の範囲内である場合には、物品Pは第一の送り出し速度で送り出される。そのため、物品Pは、下流側の搬送手段1Cの上に立った状態となる(図2(A)参照。)。
一方で、重量検査装置で計測された重量がこの規格の範囲外である場合には、物品Pは第二の送り出し速度で送り出される。そのため、物品Pは、下流側の搬送手段1Cの上に倒れた状態となる(図2(B)参照。)。
物品Pの状態を、立てた状態と、倒した状態とすることにより、目視でも明らかに良品(物品P)か不良品Pかを分別することができる。
【0042】
なお、振り分け手段3Aの下流における搬送において、立てた状態の物品が、振動等により倒れることがある。そのため、規格の範囲外である不良品Pを立てた状態とすると、搬送中に倒れて良品に混入する恐れがある。このような観点から、規格の範囲内の物品を立てた状態とし、規格の範囲外の物品を倒した状態とすることが好ましい。
【0043】
図3は、本発明の第二の実施態様の検査選別システム101の上流側の装置を説明する概略説明図である。
検査選別システム101の上流側には、シャンプーなどの液体を包装パウチに充填するための充填装置6を備えている。充填装置6では、液体貯留タンクと定量供給装置を備えており、包装パウチに所定量の液体を充填することができる。
【0044】
液体の定量供給装置は、液体の比重等が変化することによって、充填量が変動することがある。充填量が変動すると、規格外の物品Pの発生率が高まるという問題がある。そのため、検査手段2Bにより計測された物品Pの重量のデータを用いて、定量供給装置の目標設定値を調整することが好ましい。この目標設定値の調整方法は、どのような方法でも制限されないが、例えば、連続する物品Pの重量の計測値について、所定の回数の直近の計測値の平均値を算出し、この平均値を目標設定値とする調整方法などが挙げられる。
【0045】
また、充填装置6の下流側には、包装パウチにピンホール等が無いかどうかを検査するためのリークチェッカー5が設置されている。リークチェッカー5は、液体が充填された包装パウチに所定の圧力を加えて、液漏れが無いかをチェックする。
【0046】
図4は、本発明の第二の実施態様の検査選別システム101の下流側の装置を説明する概略説明図である。
搬送手段1Cの下流では、立てた状態の良品を包装箱に詰める作業が行われる。この作業は、作業員により行っても、図4に示すように、物品Pを把持して包装箱に自動的に詰める把持装置7により行ってもよい。作業員により作業する場合には、複雑かつ長大な装置を導入する必要がないため、簡素な装置とすることができる。また、装置が縮小化するため、小さなスペースに検査選別システム101を設置することができる。一方、把持装置7のように物品Pを包装箱に自動的に詰める装置を利用する場合には、作業員の作業量を低減することができる。
なお、この検査選別システム101によれば、良品が立った状態で搬送されるので、物品Pを掴みやすく、作業性に優れるという効果がある。
【0047】
[第三の実施態様]
図5は、本発明の第三の実施態様の検査選別システム102の構造を説明する概略説明図である。図5(A)は、検査手段からの情報が所定の規格の範囲内である場合の状態を示す概略説明図である。図5(B)は、検査手段からの情報が所定の規格の範囲外である場合の状態を示す概略説明図である。
【0048】
第三の実施態様の検査選別システム102では、第二の実施態様の検査選別システム101の振り分け手段3Aに代えて、所定の規格から外れた物品Pを倒す振り分け手段3Bを備える。
振り分け手段3Bは、物品Pを倒すものであれば、どのような装置でもよいが、例えば、搬送手段1Cの上に横断するように配置されたゲート部材8などが挙げられる(図5参照。)。このゲート部材8は、制御手段4により動作が制御されており、検査手段2Bにより規格外の物品Pが発見されると、搬送手段1Cの上にゲート部材8は配置され、不良品Pを倒して良品と振り分けることができる(図5(B)参照。)。
なお、図5に図示したゲート部材8は、水平方向にスイングするものであるが、上下方向にスイングするものとしてもよい。
この検査選別システム102によれば、簡素な装置構成で良品と不良品を選別することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の検査選別システムは、物品に対して所定の検査を行い、検査の結果に応じて物品を振り分けるための装置として利用される。例えば、化粧品や食品などの生産工場における製品検査、野菜や果物の選別、ごみ処理場におけるごみの分別処理などの用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
100,101,102…検査選別システム、1A,1B,1C…搬送手段、2A,2B…検査手段、3A,3B…振り分け手段、4…制御手段、5…リークチェッカー、6…充填装置、7…把持装置、8…ゲート部材、P…物品、P…不良品、L…ライン、A…良品配置領域、A…不良品配置領域



図1
図2
図3
図4
図5