(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】美白用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20220712BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220712BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20220712BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20220712BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20220712BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20220712BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20220712BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/34
A61K8/41
A61K8/42
A61K8/46
A61K8/49
A61K8/67
A61Q19/02
(21)【出願番号】P 2018101964
(22)【出願日】2018-05-29
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126505
【氏名又は名称】佐貫 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100131392
【氏名又は名称】丹羽 武司
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100151596
【氏名又は名称】下田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100168996
【氏名又は名称】石井 雅美
(72)【発明者】
【氏名】森 靖仁
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】佐々 祥子
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-046049(JP,A)
【文献】特開昭57-024337(JP,A)
【文献】特開昭63-270650(JP,A)
【文献】特開平03-083912(JP,A)
【文献】特開2013-001660(JP,A)
【文献】国際公開第95/003818(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0016442(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 31/00-31/80
A61P 17/00-17/18
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩と、他の美白作用を有する成分とを含有
し、
前記他の美白作用を有する成分が、以下の(a)~(k)から選択される1種以上である、美白用組成物。
(a)下記一般式(2)で表される化合物又はその塩
(b)下記一般式(3)で表される化合物又はその塩
(c)下記一般式(4)で表される化合物又はその塩
(d)下記一般式(8)で表される化合物又はその塩
(e)アルキルレゾルシノール
(f)D-パントテニルアルコール
(g)レチノール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、又はレチナール
(h)ニコチン酸アミド、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、又はニコチン酸エチル
(i)イソソルビド、又はジイソプロピリデン-D-マンニトール
(j)1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリジノン、又は1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン
(k)トラネキサム酸、トラネキサム酸の二量体、トラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体、又はトラネキサム酸のアミド体
【化1】
[式(1)中、X
1は水素原子がメチル基で置換されていてもよい炭素数1~2のアルキレン基を表し、Y
1はCOOR
1又はCH
2OR
2を表し、R
1は水素原子又は分岐を有してもよい炭素数1~6のアルキル基を表し、R
2は水素原子又は分岐を有してもよい炭
素数1~6のアシル基を表す。
]
【化2】
[式(2)中、R
3
は、-SH、-SO
3
H、-S-S-X
2
、-S-X
3
、-SO-X
4
、又は-SO
2
-X
5
を表し、前記X
2
~X
5
は、独立して、水素原子又は炭素数1~8の脂肪族炭化水素基である。R
4
は無置換若しくは置換基を有していてもよい、炭素数5~12の芳香族基を表す。nは、1又は2の整数を表す。]
【化3】
[式(3)中、R
5
は、無置換の又は置換基を有する芳香族基を表し、該置換基は炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は炭素数1~4のハロゲン化アルキル基であり、該芳香族基はフェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基である。
R
6
は、水素原子、炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は炭素数1~3の直鎖若しくは分岐のアルキルアシル基を表す。
R
7
は、水素原子又は炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。]
【化4】
[式(4)中、A
1
、A
2
、A
3
は独立して、置換基を有していてもよいフェニルを表す。前記置換基はヒドロキシル、炭素数1~4のアルキル、及び炭素数1~4のアルキルオキシから選択される。X
6
は窒素原子又は酸素原子である。-X
6
-R
8
は、下記一般式(5)、(6)又は(7)で表される。]
【化5】
[式(5)中、X
7
は、窒素原子である。R
9
及びR
10
は互いに結合して、X
7
とともに、置換基を有していてもよい、炭素数2~8の複素環又は炭化水素環を形成する。前記置換基は、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルキルオキシ、ヒドロキシル、アミノ、及びオキソから選ばれる。前記複素環の炭素数は3~5である。]
【化6】
[式(6)中、X
8
は、窒素原子又は酸素原子である。mは、1~5の整数である。Y
2
は、ヒドロキシル基又はアミノ基である。R
11
は、X
8
が窒素原子のとき存在し、水素原子を表す。R
11
は、X
8
が酸素原子のときは存在しない。]
【化7】
[式(7)中、X
9
は、酸素原子又は窒素原子である。一般式(7)中、lは、X
9
に応じて存在する整数である。]
【化8】
[式(8)中、R
12
は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは
分岐のアルキル基、又は炭素数1~4のアルキル鎖を有するカルボン酸エステル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、R
13
及びR
14
は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【請求項2】
前記トラネキサム酸の二量体が、塩酸トランス-4-(トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸であり、
前記トラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体が、トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸4’-ヒドロキシフェニルエステルであり、
前記トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体が、2-(トランス-4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)-5-ヒドロキシ安息香酸およびその塩であり、
前記トラネキサム酸のアミド体が、トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド及びその塩、トランス-4-アセチルアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩、トランス-4-(p-メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩、並びにトランス-4-グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
皮膚外用組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
化粧料である、請求項3に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた美白作用を有する美白用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線曝露による日焼けのほか、シミ、そばかす、肝斑、薬剤による皮膚の黒化症等の色素沈着による皮膚症状は、色素細胞(メラノサイト)のメラニン産生が亢進された後、産生されたメラニン色素がターンオーバー異常等によって皮膚に沈着することにより生じることが知られている。
このような色素沈着が関連する皮膚症状は外観から容易に認められるため、顔の印象に大きく影響する。そのため、皮膚の色素沈着の予防や改善に対する関心は、肌を美しく見せたいという願望を持つ人を中心にとても高く、美白剤や美白用化粧料の需要は近年大きいものとなっている。
【0003】
皮膚の色素沈着の予防又は改善を目的とする美白剤としては、アスコルビン酸やハイドロキノン等が古くから知られており、これらを配合した皮膚外用剤が、皮膚の色素沈着の予防又は改善用に広く使用されてきた。また、近年、色素沈着が生じる作用機序の解明により、メラニン産生抑制剤、チロシナ-ゼ阻害剤、チロシナ-ゼ遺伝子発現抑制剤、α-MSH阻害剤、抗酸化剤、メラノサイトのデンドライド伸長抑制剤、メラノサイトのケラチノサイトへのメラノソ-ム受け渡し阻害剤等の従来の美白剤とは異なる作用機序を有する美白剤の開発も盛んに行われている。
セトラキサート又はその塩も、近年開発された美白剤の有効成分の1つであり、代謝によりトラネキサム酸に分解される化合物である(特許文献1)。トラネキサム酸は、メラノサイトを活性化するプロスタグランジンE2の産生抑制作用と、チロシナーゼ阻害作用とを有し、美白効果を奏することが知られている。セトラキサートはその代謝物であるトラネキサム酸による美白作用に加え、化合物本体の活性による美白作用も有することが報告されている。
【0004】
ところで、特許文献2に記載のアミノカルボン酸誘導体は、抗潰瘍作用があることが確認されており医薬品としての用途が提案されている。なお、該化合物の構造はトラネキサム酸と部分的に一致する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-110967号公報
【文献】特公昭64-4508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、優れた美白作用を有する美白用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、美白作用を有する化合物を求めて鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するアミノカルボン酸誘導体及びその酸付加塩が、優れた美白作用を発揮することを見出した。さらに、該化合物と他の美白作用を有する成分とを併用するとより優れた美白効果が得られることに想到し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩と、他の美
白作用を有する成分とを含有する、美白用組成物である。
【0009】
【化1】
(1)
(式(1)中、X
1は水素原子がメチル基で置換されていてもよい炭素数1~2のアルキレン基を表し、Y
1はCOOR
1又はCH
2OR
2を表し、R
1は水素原子又は分岐を有してもよい炭素数1~6のアルキル基を表し、R
2は水素原子又は分岐を有してもよい炭素数1~6のアシル基を表す。)
【0010】
本発明の好ましい態様において、前記他の美白作用を有する成分は、以下の(a)~(l)から選択される1種以上である。
(a)下記一般式(2)で表される化合物又はその塩
(b)下記一般式(3)で表される化合物又はその塩
(c)下記一般式(4)で表される化合物又はその塩
(d)下記一般式(8)で表される化合物又はその塩
(e)アルキルレゾルシノール
(f)D-パントテニルアルコール
(g)レチノール及びその誘導体
(f)ニコチン酸誘導体
(h)糖アルコール誘導体
(i)環状カルボキサミド誘導体
(j)トラネキサム酸及びその誘導体
(k)ウルソール酸リン酸エステル
(l)メラニン産生抑制作用を有する植物抽出物
【0011】
【化2】
(2)
[式(2)中、R
3は、-SH、-SO
3H、-S-S-X
2、-S-X
3、-SO-X
4、又は-SO
2-X
5を表し、前記X
2~X
5は、独立して、水素原子又は炭素数1~8の脂肪族炭化水素基である。R
4は無置換若しくは置換基を有していてもよい、炭素数5~12の芳香族基を表す。nは、1又は2の整数を表す。]
【0012】
【化3】
(3)
[式(3)中、R
5は、無置換の又は置換基を有する芳香族基を表し、該置換基は炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は炭素数1~4のハロゲン化アルキル基であり、該芳香族基はフェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基である。
R
6は、水素原子、炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は炭素数1~3の直鎖若しくは分岐のアルキルアシル基を表す。
R
7は、水素原子又は炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。]
【0013】
【化4】
(4)
[式(4)中、A
1、A
2、A
3は独立して、置換基を有していてもよいフェニルを表す。前記置換基はヒドロキシル、炭素数1~4のアルキル、及び炭素数1~4のアルキルオキシから選択される。X
6は窒素原子又は酸素原子である。-X
6-R
8は、下記一般式(5)、(6)又は(7)で表される。]
【0014】
【化5】
(5)
[式(5)中、X
7は、窒素原子である。R
9及びR
10は互いに結合して、X
7とともに、置換基を有していてもよい、炭素数2~8の複素環又は炭化水素環を形成する。前記置換基は、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルキルオキシ、ヒドロキシル、アミノ、及びオキソから選ばれる。前記複素環の炭素数は3~5である。]
【0015】
【化6】
(6)
[式(6)中、X
8は、窒素原子又は酸素原子である。mは、1~5の整数である。Y
2は、ヒドロキシル基又はアミノ基である。R
11は、X
8が窒素原子のとき存在し、水素原子を表す。R
11は、X
8が酸素原子のときは存在しない。]
【0016】
【化7】
(7)
[式(7)中、X
9は、酸素原子又は窒素原子である。一般式(7)中、lは、X
9に応じて存在する整数である。]
【0017】
【化8】
(8)
[式(8)中、R
12は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは
分岐のアルキル基、又は炭素数1~4のアルキル鎖を有するカルボン酸エステル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、R
13及びR
14は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
【0018】
好ましい態様において、本発明の組成物は皮膚外用組成物であり、より好ましくは化粧料である。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、優れた美白作用を有する美白用組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の美白用組成物は、下記一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩を含有する。
【0021】
【0022】
一般式(1)中、X1は、水素原子がメチル基で置換されていてもよい炭素数1~2のアルキレン基を表す。炭素数1~2のアルキレン基としては、メチレン基、及びエチレン基である。X1は-CH(CH3)-又は-CH2-CH2-が好ましい。
【0023】
一般式(1)中、Y1は、COOR1又はCH2OR2を表し、R1は水素原子又は分岐を有してもよい炭素数1~6のアルキル基を表し、R2は水素原子又は分岐を有してもよい炭素数1~6のアシル基を表す。
【0024】
すなわち、Y1がCOOR1の場合、R1が水素原子のときY1はカルボキシル基であり、R1が分岐を有してもよい炭素数1~6のアルキル基のときY1はエステル基である。分岐を有してもよい炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。美白作用の観点から、R1は水素原子であることが特に好ましく、またR1がアルキル基のときはその炭素数は小さい方がより好ましい。
【0025】
また、Y1がCH2OR2の場合、R2が水素原子のときY1はヒドロキシメチル基であり、R2が分岐を有してもよい炭素数1~6のアシル基のときY1はエステル基である。分岐を有してもよい炭素数1~6のアシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、アクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、イソブチリル基、メタクリロイル基、バレリル基、カプロイル基等が挙げられる。美白作用の観点から、R2は水素原子であることが特に好ましく、またR2がアシル基のときはその炭素数は小さい方がより好ましい。
【0026】
一般式(1)において、1,4-シクロヘキシレン基は、いす型又はボート型のいずれの形態でもよい。また、2つの結合手は、シス又はトランスのいずれの関係でもよい。好ましくは、いす型の形態でトランスの関係にあるものである。
【0027】
下記一般式(1)で表される化合物の酸付加塩としては、無機酸、有機カルボン酸塩、又は有機スルホン酸との塩が挙げられる。無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられ、有機カルボン酸塩としては、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、クエン酸、酪酸、乳酸、酒石酸等が挙げられ、有機スルホン酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等が挙げられる。これらのうち無機酸塩が好ましく、塩酸塩がより好ましい。
本発明の美白用組成物の有効成分としては、一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩のいずれでもよいが、酸付加塩のほうがより好ましい。
【0028】
一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に挙げるが、これらにのみ限定されないことはいうまでもない。
2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]酢酸、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]酢酸メチル、2-[p-(
4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]酢酸エチル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]酢酸プロピル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]酢酸ブチル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]酢酸ペンチル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]酢酸ヘキシル;
2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]エタノール、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]エチルホルメート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]エチルアセテート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]エチルプロピオネート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]エチルブチレート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]エチルペンタノエート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]エチルヘキサノエート;
2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸メチル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸エチル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸プロピル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸ブチル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸ペンチル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸ヘキシル;
2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロパノール、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルホルメート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルアセテート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルプロピオネート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルブチレート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルペンタノエート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルヘキサノエート;
3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸(化合物1)、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸メチル、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸エチル、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸プロピル、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸ブチル、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸ペンチル、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸ヘキシル(化合物2);
3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロパノール(化合物3)、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルホルメート、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルアセテート、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルプロピオネート、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルブチレート、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルペンタノエート、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルヘキサノエート(化合物4);
2-メチル-3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロパノール、2-メチル-3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルホルメート、2-メチル-3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルアセテート、2-メチル-3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルプロピオネート、2-メチル-3-
[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルブチレート、2-メチル-3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルペンタノエート、2-メチル-3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルヘキサノエート(化合物5)。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
一般式(1)で表される化合物は、定法により合成・精製して取得することができる。例えば、特許文献2に記載の、アミノカルボン酸ハライドの酸付加塩のルイス酸存在下でのアシル化反応によって合成し、適当な単離・精製方法を経て製造することができる。
【0035】
一般式(1)で表される化合物及びその酸付加物は、優れた美白作用を有するため、美白用組成物の有効成分となる。
なお、本明細書において美白とは、色素沈着の予防及び/又は改善をいい、より具体的には、シミ、くすみ、そばかす、日焼け、皮膚の炎症や刺激による黒ずみ等のメラニン産生亢進、過剰蓄積、及び沈着異常等により生じる色素沈着症状、並びにステロイド等の薬物による皮膚の黒化症等の色素沈着をもたらす疾患等による色素沈着症状などの、予防及び/又は改善をいう。
一般式(1)で表される化合物及びその酸付加物による美白作用の機序については、詳細は不明であるが、チロシナ-ゼ阻害作用、チロシナ-ゼ遺伝子発現抑制作用、チロシナ-ゼ蛋白発現抑制作用、チロシナ-ゼ関連蛋白分解作用等のチロシナーゼ活性阻害作用、プロトンポンプ阻害作用、メラノサイトのケラチノサイトへのメラノソ-ム受け渡し阻害作用、又は新たな作用機序により、色素沈着を予防及び/又は改善することが推測される。
【0036】
一般式(1)で表される化合物の構造は、トラネキサム酸と部分的に一致するが、生体内でトラネキサム酸には代謝されないことが分かっている。すなわち、一般式(1)で表される化合物の美白作用は、トラネキサム酸とは異なるメカニズムによるものと考えられ、少なくとも(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル基の構造が該作用の発揮に関与するものと推測される。
なお、特許文献1に記載のセトラキサートは、トラネキサム酸のエステル誘導体であり、それ自体の構造により、及び代謝によりエステル結合が切断されてトラネキサム酸になることにより美白作用を発揮する。
【0037】
【0038】
【0039】
本発明の美白用組成物において、一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩の含有量は、組成物全量に対して総量で、好ましくは0.01%~20質量%、より好ましくは0.1~10質量%、さらに好ましくは1~5質量%である。かかる範囲において、所望の効果を得やすく、また処方設計の自由度を確保できる。
【0040】
本発明の美白用組成物は、一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩とともに、他の美白作用を有する成分を含有する。他の美白作用を有する成分は、好ましくは以下の(a)~(l)から選択される1種以上である。
(a)一般式(2)で表される化合物又はその塩
(b)一般式(3)で表される化合物又はその塩
(c)一般式(4)で表される化合物又はその塩
(d)一般式(8)で表される化合物又はその塩
(e)アルキルレゾルシノール
(f)D-パントテニルアルコール
(g)レチノール及びその誘導体
(f)ニコチン酸誘導体
(h)糖アルコール誘導体
(i)環状カルボキサミド誘導体
(j)トラネキサム酸及びその誘導体
(k)ウルソール酸リン酸エステル
(l)メラニン産生抑制作用を有する植物抽出物
【0041】
なお、特に記載のない限り、光学異性体の存在する化合物については、L体、D体、及びラセミ体(DL体)の何れをも本発明に含むものとする。
また、ここでいう塩は、皮膚外用剤に使用されるものであれば、特段の限定無く使用できる。例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸塩等が好ましく例示される。これらの塩の内、特に好ましいものは、アルカリ金属であり、中でもナトリウム塩が特に好ましい。
【0042】
(a)一般式(2)において、R3は、-SH、-SO3H、-S-S-X2、-S-X3、-SO-X4、又は-SO2-X5を表し、前記X2~X5は、独立して、水素原子又は炭素数1~8の脂肪族炭化水素基である。R4は無置換若しくは置換基を有していてもよい、炭素数5~12の芳香族基を表し、前記芳香族基はフェニル基が好ましい。nは、1又は2の整数を表す。前記置換基は、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、又はフェニル基が好ましい。
一般式(2)で表される化合物についてより詳細には、国際公開2010/058730号を参照されたい。
一般式(2)で表される化合物の好ましい具体例は以下の化合物6~13である。
【0043】
【0044】
【0045】
(b)下記一般式(3)において、R5は、無置換の又は置換基を有する芳香族基を表し、該置換基は炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は炭素数1~4のハロゲン化アルキル基であり、該芳香族基はフェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基である。R6は、水素原子、炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は炭素数1~3の直鎖若しくは分岐のアルキルアシル基を表す。R7は、水素原子又は炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。
一般式(3)で表される化合物についてより詳細には、国際公開2011/074643号を参照されたい。
一般式(3)で表される化合物の好ましい具体例は以下の化合物14~28である。
【0046】
【0047】
【0048】
(c)一般式(4)において、A1、A2、A3は独立して、置換基を有していてもよいフェニルを表す。前記置換基はヒドロキシル、炭素数1~4のアルキル、及び炭素数1~4のアルキルオキシから選択される。X6は窒素原子又は酸素原子である。-X6-R
8は、下記一般式(5)、(6)又は(7)で表される。
【0049】
【0050】
一般式(5)において、X7は、窒素原子である。R9及びR10は互いに結合して、X7とともに、置換基を有していてもよい、炭素数2~8の複素環又は炭化水素環を形成する。前記置換基は、炭素数1~4のアルキル、炭素数1~4のアルキルオキシ、ヒドロキシル、アミノ、及びオキソから選ばれる。前記複素環の炭素数は3~5である。
一般式(4)中の-X6-R8が、一般式(5)で表される化合物の好ましい具体例は以下の化合物29~40である。
【0051】
【0052】
【0053】
一般式(6)において、X8は、窒素原子又は酸素原子である。mは、1~5の整数である。mは、好ましくは1~3の整数である。Y2は、ヒドロキシル基又はアミノ基である。R11は、X8が窒素原子のとき存在し、水素原子を表す。R11は、X8が酸素原子のときは存在しない。
一般式(4)中の-X6-R8が、一般式(6)で表される化合物の好ましい具体例は以下の化合物41~49である。
【0054】
【0055】
【0056】
一般式(7)において、X9は、酸素原子又は窒素原子である。一般式(7)中、lは、X9に応じて存在する整数である。
一般式(4)中の-X6-R8が、一般式(6)で表される化合物の好ましい具体例は以下の化合物50~56である。
【0057】
【0058】
【0059】
一般式(4)で表される化合物についてより詳細には、国際公開2010/074052号を参照されたい。
【0060】
(d)一般式(8)において、R
12は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は炭素数1~4のアルキル鎖を有するカルボン酸エステル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、R
13及びR
14は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。
【化28】
(8)
【0061】
一般式(8)で表される化合物は、好ましくは一般式(9)で表される化合物である。
一般式(9)において、R15は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R16及びR17は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。
【0062】
【0063】
一般式(9)で表される化合物としてより好ましいのは、3-[[4-(カルボキシメチルアミノカルボニル)フェニルカルボニル]-バリル-プロリル]アミノ-1,1,1-トリフルオロ-4-メチル-2-オキソペンタンであり、さらに好ましくは3(RS)-[[4-(カルボキシメチルアミノカルボニル)フェニルカルボニル]-L-バリル-L-プ
ロリル]アミノ-1,1,1-トリフルオロ-4-メチル-2-オキソペンタン(化合物
57)又はそのナトリウム塩である。
一般式(8)で表される化合物についてより詳細には、特公平06-99378号公報及び国際公開2017/221973号を参照されたい。
【0064】
【0065】
(e)アルキルレゾルシノールについてより詳細には、国際公開2007/148472号を参照されたい。
4-アルキルレゾルシノールにおけるアルキル基は、炭素数3~10のアルキル基が好ましく、炭素数3~6のアルキル基がより好ましい。具体的には、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、アミル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基などが例示できる。本発明においては、特に4-n-ブチルレゾルシノールが特に好ましい。
【0066】
(f)D-パントテニルアルコールは、パントテン酸のアルコール型誘導体であり、以下に示す構造を有する。
【0067】
【0068】
(g)レチノール及びその誘導体としては、レチノール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、レチナール等が好ましく挙げられる。
【0069】
(f)ニコチン酸誘導体としては、ニコチン酸アミド、ニコチン酸エステル等が好ましく挙げられ、であり、ニコチン酸エステルとしては、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸エチル等が好ましい。
【0070】
(h)糖アルコール誘導体としては、イソソルビド、ジイソプロピリデン-D-マンニトール等が好ましく挙げられる。糖アルコール誘導体についてより詳細には、特開第2008-081474号公報を参照されたい。
【0071】
(i)環状カルボキサミド誘導体としては、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリジノン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン等が好ましく挙げられる。環状カルボキサミド誘導体についてより詳細には、国際公開2011-040496号を参照されたい。
【0072】
(j)トラネキサム酸及びその誘導体としては、トラネキサム酸、トラネキサム酸の二量体(塩酸トランス-4-(トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸)、トラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体(トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸4’-ヒドロキシフェニルエステル)、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体(2-(トランス-4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)-5-ヒドロキシ安息香酸およびその塩)、トラネキサム酸のアミド体(トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド及びその塩、トランス-4-アセチルアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩、トランス-4-(p-メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩、トランス-4-グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩等)等が好ましく挙げられる。トラネキサム酸及びその誘導体についてより詳細には、特開平10-265321号公報を参照されたい。
【0073】
(k)ウルソール酸リン酸エステルは、以下に示す構造を有する。
ウルソール酸リン酸エステルについてより詳細には、国際公開2006/132033号を参照されたい。
【0074】
【0075】
(l)メラニン産生抑制作用を有する植物抽出物としては、アセンヤクエキス、ヒキオコシエキス、エチナシ葉エキス、シコンエキス、ベニバナエキス、アボカドエキス、オクラエキス、キウイエキス、ゲットウ葉エキス、サボンソウエキス、スイカズラエキス、チャエキス、トウガシエキス、ニンニクエキス、ライム果汁エキス、納豆エキス、オレンジエキス、カノコソウエキス、キューカンバーエキス、キョウニンエキス、クチナシエキス、グレープフルーツエキス、ゴボウエキス、紅茶エキス、スギナエキス、ゼニアオイエキス、タイソウエキス、トマトエキス、ニンジンエキス、ブクリョウエキス、ユリエキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、又はローヤルゼリーエキス等が好ましく挙げられる。これら植物抽出物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用い
てもよい。
【0076】
これらの植物抽出物の抽出方法は特に限定されるものではないが、溶媒を用いた抽出法が好ましい。抽出を行う際には、原材料植物をそのまま使用することもできるが、粉末状に粉砕・細断して抽出に供した方が、穏和な条件で短時間に高い抽出効率で有効成分の抽出を行うことができる。
抽出温度は特に限定されるものではなく、原材料の粉砕物の大きさや溶媒の種類等に応じて適宜設定すればよい。通常は、室温から溶媒の沸点までの範囲内で設定される。また、抽出時間も特に限定されるものではなく、原材料の粉砕物の大きさ、溶媒の種類、抽出温度等に応じて適宜設定すればよい。さらに、抽出時には、撹拌を行ってもよいし、撹拌せず静置してもよいし、超音波を加えてもよい。
【0077】
例えば、上記植物抽出物は、原材料を溶媒中に浸漬し、室温又は80℃~100℃にて抽出することができる。抽出処理により得られた抽出液をろ過後、そのまま又は必要に応じて濃縮若しくは乾固したものを、活性成分として使用することができる。なお、この抽出処理の際には、原材料は細断又は粉砕したものを用いてもよい。また、生の原材料又は乾燥した原材料を用いてもよいし、あるいは焙煎した原材料を用いてもよい。焙煎方法は特に限定されるものではないが、80~120℃で0.5時間~2時間焙煎する方法が挙げられる。
【0078】
抽出に使用される溶媒の種類は特に限定されるものではないが、水(熱水等を含む)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール)、グリコール(例えば1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール)、グリセリン、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル)、アセトニトリル、エステル(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例えばヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン)、芳香族炭化水素(例えばトルエン、キシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えばクロロホルム)、又はこれらのうち2種以上の混合溶媒が好ましい。
【0079】
このような抽出操作により、原材料から有効成分が抽出され、溶媒に溶け込む。抽出物を含む溶媒は、そのまま使用してもよいが、数日静置して熟成させてから用いてもよい。さらに滅菌、洗浄、濾過、脱色、脱臭等の慣用の精製処理を加えてから使用してもよい。また、必要により濃縮又は希釈してから使用してもよい。さらに、溶媒を全て揮発させて固体状(乾燥物)としてから使用してもよいし、該乾燥物を任意の溶媒に再溶解して使用してもよい。
【0080】
本発明の美白用組成物において、(a)~(l)から選択される美白作用を有する成分の含有量は、組成物全量に対して総量で、好ましくは0.01%~20質量%、より好ましくは0.1~10質量%、さらに好ましくは1~5質量%である。かかる範囲において、所望の効果を得やすく、また処方設計の自由度を確保できる。なお、(l)植物抽出物
の場合は、乾燥重量換算の量とする。
【0081】
本発明の美白用組成物は、特に経皮吸収による効果が期待できる皮膚外用組成物とすることが好ましい。皮膚外用組成物の態様としては、皮膚に外用で適用されるものであれば特に限定されないが、化粧料(医薬部外品を含む)、医薬品等が好ましく挙げられる。一般式(1)で表される化合物は、高い安全性が確認されており、日常的に使用される化粧料の態様で連続的に塗布することが可能である。
皮膚外用組成物の剤型としては、特に限定されず、例えば、ローション剤型、乳液やクリーム等の乳化剤型、オイル剤型、ジェル剤型、パック、洗浄料等が挙げられる。
【0082】
本発明の美白用組成物は、上述した以外にも通常の皮膚外用組成物に配合される成分を、本発明の効果を損なわない限りにおいて任意に含有することができる。
かかる成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;
【0083】
脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE-ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE-グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2-オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、P
OE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール、2,4-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等の多価アルコール類;
【0084】
ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていてもよい、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類;表面を処理されていてもよい、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていてもよい、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパ-ル剤類;レ-キ化されていてもよい赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤;桂皮酸系紫外線吸収剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4-メトキ
シ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;
【0085】
エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール等の抗菌剤(防腐剤);グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等の消炎剤;レチノール、アスコルビン酸、トコフェロール、又はファルネシル酢酸エステル等のシワ改善剤;各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等);ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等の賦活剤;ノニル酸ワレニルアミド、カプサイシン、ジンゲロン、タンニン酸等の血行促進剤;硫黄、チアントール等の抗脂漏剤;トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等の抗炎症剤;コラーゲン、ヒアルロン酸等の水溶性高分子;などが挙げられる。
【実施例】
【0086】
以下、具体的な実験例をあげて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の態様にのみ限定されない。
【0087】
表1に記載の化粧料(実施例1~16、比較例、及び参考例)を、それぞれ定法で調製した。
調製した各化粧料について、以下の方法で美白効果(色素沈着の改善効果)を評価した。すなわち、自由意思で参加したパネラー8名の左右上腕内側部に0.5cm×0.5c
mの試験部位を合計8ヶ所設けた。設けた部位に最少紅斑量(1MED)の紫外線照射を1日1回、3日連続して3回照射した。試験1日目の紫外線照射終了時(1回目照射終了後)より、1日2回25日連続して試験部位1ヶ所に比較例の製剤を、残りの7ヶ所それぞれに実施例1~9及び参考例のいずれか1つの化粧料を、各50μL塗布した(比較例:n=8、各実施例及び参考例:n=3)。25日間の塗布終了24時間後に色彩色差計(CR-300、コニカミノルタ株式会社)にて各試験部位の皮膚明度(L*値)を測定
し、実施例又は参考例の化粧料の塗布部位のL*値から比較例の化粧料の塗布部位のL*値を減じることにより皮膚明度の差(ΔL*値)を算出した。L*値は、色素沈着の程度が強いほど低い値となるため、ΔL*値が大きいほど、色素沈着が改善されたと判断することができる。
【0088】
【0089】
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の美白用組成物は、優れた美白効果を奏するため、美白用化粧料等の皮膚外用組成物として好適であり、産業上非常に有用である。