IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クリメンの特許一覧

<>
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図1
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図2
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図3
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図4
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図5
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図6
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図7
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図8
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図9
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図10
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図11
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図12
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図13
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図14
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図15
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図16
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図17
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図18
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図19
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図20
  • 特許-栗皮の切込み形成方法およびその装置 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】栗皮の切込み形成方法およびその装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 5/08 20060101AFI20220712BHJP
   B26D 1/16 20060101ALI20220712BHJP
   B26D 3/08 20060101ALI20220712BHJP
   B26D 3/26 20060101ALI20220712BHJP
   B26D 1/14 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
A23N5/08 A
B26D1/16
B26D3/08 A
B26D3/26 605B
B26D3/26 605F
B26D3/26 605A
B26D1/14 F
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2017208649
(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公開番号】P2019080500
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2020-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】517379002
【氏名又は名称】株式会社クリメン
(72)【発明者】
【氏名】今井 美保
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3132539(JP,U)
【文献】登録実用新案第3017087(JP,U)
【文献】特開2006-296433(JP,A)
【文献】米国特許第04321865(US,A)
【文献】特開平08-189885(JP,A)
【文献】特開2005-298183(JP,A)
【文献】特開2012-046259(JP,A)
【文献】登録実用新案第3172670(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1130155(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 1/00-17/02
B26D 1/00-1/24
B65G 17/26-17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項20】
不動のガイドレールに載置した栗の両側部を保持可能な保持具を設け、該保持具は、栗の両側部とガイドレールを挟持可能な一対の押圧部材と、該押圧部材に設けた一対の挟持アームと、からなり、該一対の挟持アームを栗の内外方向へ回動可能に連結し、常時は挟持アームの下部を栗側へ回動可能に付勢した請求項6記載の栗皮の切込み形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば焼き栗の加工や種々の品種の栗の皮剥きに好適で、栗皮に周面形状に沿って一定深さの湾曲線状の切込みを形成し、切込みの体裁を改善し焼き栗の食感の向上を図るとともに、実肉部への切込みを可及的に回避し、実肉部の容量低下を防止し、また切込み長さを長くして実肉部を取り出し易くし、旨味を確保するとともに、複雑かつ高価な制御機器を要することなく、栗皮の切込みの自動化と安全かつ合理化を促し、小形軽量で設置スペースのコンパクト化を図れる、栗皮の切込み形成方法およびその装置に関する
【背景技術】
【0002】
従来、栗の皮剥き器として、例えば第1および第2把持部の中間部を支軸で回動可能に連結して挟み状に構成し、第1把持部の先端部に片刃の第1刃部を形成し、第2の先端部に片刃の第2刃部を形成し、該第2刃部の両側に板状の栗載置部を設け、その中間部にスリット状の切先孔部を形成し、この切先孔部に第1刃部を挿し込み可能にし、鬼皮を剥く場合は栗載置部に栗を載せ、第1および第2刃部の刃先を鬼皮に当てて第1および第2把持部を閉回動し、鬼皮を剥くようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この栗の皮剥き器は、栗を一つ一つ皮剥き器に持ち運んで、第1および第2把持部を開閉回動する操作を要し、作業性が悪く量産化が難しい上に、栗載置部上の栗を保持しながら第1および第2把持部を閉回動するため、作業性が悪く危険であり、しかも鬼皮に対する第1および第2刃部の切り込み位置が不安定になって、鬼皮を一様に剥けないという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するものとして、垂直面に循環移動するコンベアに多数のカップを連結し、その上部移動行程でカップに栗を供給し、その下部移動行程でカップを下向きに開口させ、この下部移動行程の直下に切込み部と皮剥き部を配置し、前記切込み部は長孔を形成したスライド板と、スライド板の直下に配置した回転シャフトとを備え、該シャフトに配置したボスに一対の刃が突設され、該刃を栗の鬼皮周面に接触させて切り込み、各カップを移動し鬼皮周面に切り込みを形成後、皮剥き部へ移動し、その凸部を前記切り込みに接触させて鬼皮を剥くようにした栗の皮剥き装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、前記栗の皮剥き装置は、コンベアの直下に切込み部と皮剥き部を配置するため、長尺かつ大形化して広い設置スペースを要する上に構造が複雑になり、またカップ内で栗を躍らせながら鬼皮周面に切り込みを入れているため、概して切り込みが区々で体裁が悪く、また皮剥き部による皮剥きに確実性を得られず剥き残りが発生し、実肉部を取り出し辛い等の問題があった。
【0006】
また、他の栗の皮剥き装置として、チェーンコンベアの上流側に栗を収容するホッパーを配置し、該ホッパーの開口部直下に栗受けケースを配置し、該栗受けケースに栗を露出させて収容する複数の栗受け孔を設け、該栗受け孔に栗を収容して栗受けケースを下流側へ所定位置移動後、エアーシリンダを介しコイルバネ抑え板を下動し、直下の抑え板を栗の露出部に押し当て、この状態を保持し直下のカッターを回転して、鬼皮の周面に一定深さの切り込みを直線的に入れるようにしたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
しかし、前記他の栗の皮剥き装置は、大形で高価になる上に、栗受け孔に栗が種々の姿勢で収容され、その露出部を抑えながら栗の下面にカッターで切り込みを入れるため、切込み位置が区々になり体裁が悪い上に、切込み深さが概して浅いため、実肉部の容量低下は免れるが鬼皮の剥き残りを生じ易く、実肉部を取り出し辛い等の問題があった。
【0008】
一方、近時、渋皮と鬼皮を簡単に剥ける新品種の栗が開発育成され、この栗の皮剥きに好適な皮剥き機が提案されている。この皮剥き機は、栗の真ん中に深さ3.5mmの切れ目を、栗の3/4周に亘って形成するようにしている。
しかし、前記皮剥き機は栗を保持し3/4周回動させて切れ目を形成するため、栗の形状や大きさによって切込み深さが区々になり、切込みの均一性を図れない上に、カッターが実肉部へ深く切込まれて実肉部が減量し、また旨味が損なわれる惧れがあった。
しかも、前記皮剥き機は上記新品種の栗の皮剥きには所期の効果を得られるが、渋皮と鬼皮を別々に皮剥きする一般の栗には所期の効果を得られず、その使用が限定的になる等の不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2016-123758号公報
【文献】特公平3-4191号公報
【文献】特許第4269682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような問題を解決し、例えば焼き栗の加工や種々の品種の栗の皮剥きに好適で、栗皮に周面形状に沿って一定深さの湾曲線状の切込みを形成し、切込みの体裁を改善し焼き栗の食感の向上を図るとともに、実肉部への切込みを可及的に回避し、実肉部の容量低下を防止し、また切込み長さを長くして実肉部を取り出し易くし、旨味を確保するとともに、複雑かつ高価な制御機器を要することなく、栗皮の切込みの自動化と安全かつ合理化を促し、小形軽量で設置スペースのコンパクト化を図れる、栗皮の切込み形成方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、カッターによって栗皮に切込みを形成する栗皮の切込み形成方法において、カッターを栗皮の厚さ方向へ近接離反動変位し、かつ栗またはカッターを対応するカッターまたは栗側へ近接移動し、栗皮の周面に沿って一定深さの湾曲線状の切込みを形成し、例えば焼き栗の加工や種々の品種の栗の皮剥きに好適で、栗皮に周面形状に沿って一定深さの湾曲線状の切込みを形成し、切込みの体裁を改善し焼き栗の食感の向上を図るとともに、実肉部への切込みを可及的に回避し、実肉部の容量低下を防止し、また切込み長さを長くして実肉部を取り出し易くし、旨味を確保するとともに、センサ等の複雑かつ高価な制御機器を要することなく、栗皮の切込みの自動化と安全かつ合理化を促し、小形軽量で設置スペースのコンパクト化を図れるようにしている。
請求項2の発明は、カッターを回転し、または回転しないで定位置に静止して配置し、回転または非回転の種々のカッターの使用に応じられるようにしている。
【0012】
請求項3の発明は、カッターの上部周面を栗の移動域上に所定高さ突出して配置し、位置センサ等の複雑かつ高価な制御機器を要することなく、栗皮に対するカッターの切込み位置を設定するとともに、カッターの切込み時における挙動と栗皮への切込みを調整し得るようにしている。
請求項4の発明は、座部を下位にし栗を立位姿勢で保持してカッター側へ移動し、座部に切込みを形成して、座部に一定深さの切込みを形成するようにしている。
請求項5の発明は、座部と反対側の尖端部の両側を保持してカッター側へ移動し、側周面の鬼皮に切込みを形成し、鬼皮に一定深さの切込みを安定して形成するようにしている
【0013】
請求項6の発明は、カッターによって栗皮に切込みを形成可能にした栗皮の切込み形成装置において、カッターを栗皮の厚さ方向へ近接離反動変位可能に設け、かつ栗またはカッターを対応するカッターまたは栗側へ近接移動可能に設け、栗皮の周面に沿って一定深さの湾曲線状の切込みを形成可能にし、例えば焼き栗の加工や種々の品種の栗の皮剥きに好適で、栗皮に栗皮の形状に沿って一定深さの湾曲線状の切込みを形成し、切込みの体裁を改善し焼き栗の食感の向上を図るとともに、実肉部への切込みを可及的に回避し、実肉部の容量低下を防止し、また切込み長さを長くして実肉部を取り出し易くし、旨味を確保するとともに、複雑かつ高価な制御機器を要することなく、栗皮の切込みを自動的かつ安全で合理的に行なえ、小形軽量で設置スペースのコンパクト化を図れるようにしている。
【0014】
請求項7の発明は、カッターを回転し、または回転しないで定位置に静止して配置し、回転または非回転の種々のカッターの使用に応じられるようにしている。
請求項8の発明は、カッターの上部周面を栗の移動域上に所定高さ突出して配置し、位置センサ等の複雑かつ高価な制御機器を要することなく、栗皮に対するカッターの切込み位置や、カッターの切込み時における挙動と栗皮への切込みに応じられるようにしている
請求項9の発明は、カッターの突出高さを調節可能に設け、栗皮に対するカッターの切込み位置や栗皮への切込みを、位置センサ等の複雑かつ高価な制御機器を要することなく、栗皮の種類や作業条件によって調整し得るようにしている。
【0015】
請求項10の発明は、回転可能なカッターを円板状に形成し、その周端部に複数の切刃を形成し、栗皮に容易かつ速やかに切込みを形成し得るようにしている。
請求項11の発明は、静止可能なカッターを円板状または矩形板状に形成し、その周縁部を鋭利に形成し、カッターを簡単かつ安価に構成し、切込みを狭小化して切込みの体裁を向上し得るようにしている。
請求項12の発明は、カッターの両側面に、若干小径のディスクスペーサまたは若干小高のサイドスペーサを配置し、前記スペーサの端部を栗皮の周面に係合可能に配置し、カッターの両側面を支持して切込み時の揺動を防止し、切込みを精密に行なうとともに、カッターによる切込み代を規制し、一定深さの安定した切込みを形成し得るようにしている
【0016】
請求項13の発明は、座部を下位にし栗を立位姿勢で挟持してカッター側へ移動可能に設け、座部に一定深さの切込みを形成可能にしている。
請求項14の発明は、座部と反対側の尖端部の両側を保持してカッター側へ移動可能に設け、側部の鬼皮に一定の深さの切込みを形成可能にしている。
請求項15の発明は、一組の無端の搬送コンベアを平面的に近接して配置し、前記搬送コンベアの近接する内側移動行程部を同方向へ移動可能に配置し、前記搬送コンベアの外周部に複数の押圧部材を同動可能に配置し、前記内側移動行程部の相対向する押圧部材の間に栗を保持可能に設けるとともに、前記内側移動行程部の中間部にカッターを配置し、該カッターを上下動かつ原位置へ復帰可能に設け、前記カッターを介し栗皮の形状に沿って湾曲線状の切込みを形成可能にし、栗皮の切込みを安全かつ容易に行ない、栗皮の切込みの自動化を図れるようにしている。
【0017】
請求項16の発明は、カッターの回動軸または支軸を搬送コンベアの側方に突設し、前記突設部をバランススプリングを介して上方へ付勢可能に配置し、前記カッターを上下動かつ原位置へ復帰可能に設け、種々のカッターの栗皮方向への近接離反動を実現し、栗皮の周面に沿って一定深さの切込みを形成可能にしている。
請求項17の発明は、カッターの回動軸または支軸を支持する揺動リンクの基端を駆動軸に係合可能に配置し、該揺動リンクの一端にバランスウェイトを取付け可能なバランスリンクを同動可能に連結し、前記カッターを上下動かつ原位置へ復帰可能に設け、バランスウェイトおよびその取付位置によって、カッターを上下動かつ原位置へ復帰可能にしている。
【0018】
請求項18の発明は、押圧部材を弾性部材で構成し、該弾性部材をリング状に形成し、栗皮を傷付けることなく保持し得るとともに、栗皮の形状に応じて弾性部材を容易に変形させ、栗皮に密着させて保持し得るようにしている。
請求項19の発明は、カッターの突出高さを、前記バランススプリングまたはバランスウェイトおよびその取付け位置を介して調節可能に設け、複雑かつ高価な機器を要することなく、簡単な構成によってカッターの切込み時における挙動と栗皮への切込みを調整し得るようにしている。
請求項20の発明は、不動のガイドレールに載置した栗の両側部を保持可能な保持具を設け、該保持具は、栗の両側部とガイドレールを挟持可能な一対の押圧部材と、該押圧部材に設けた一対の挟持ア-ムと、からなり、該一対の挟持ア-ムを栗の内外方向へ回動可能に連結し、常時は挟持ア-ムの下部を栗側へ回動可能に付勢し、栗を挟持してガイドレールの定位置に保持可能な保持具を簡単に構成するとともに、栗側へ移動するカッターによる切込みを円滑かつ安定して形成するようにしている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明は、カッターを栗皮の厚さ方向へ近接離反動変位し、かつ栗またはカッターを対応するカッターまたは栗側へ近接移動し、栗皮の周面に沿って一定深さの湾曲線状の切込みを形成するから、例えば焼き栗の加工や種々の品種の栗の皮剥きに好適で、栗皮にその周面形状に沿って一定深さの湾曲線状の切込みを形成し、切込みの体裁を改善し焼き栗の食感の向上を図るとともに、実肉部への切込みを可及的に回避し、実肉部の容量低下を防止し、また切込み長さを長くして実肉部を取り出し易くし、旨味を確保するとともに、センサ等の複雑かつ高価な制御機器を要することなく、栗皮の切込みの自動化と安全かつ合理化を促し、小形軽量で設置スペースのコンパクト化を図ることができる。
請求項2の発明は、カッターを回転し、または回転しないで定位置に静止して配置するから、回転または非回転の種々のカッターの使用に応じられる効果がある。
【0020】
請求項3の発明は、カッターの上部周面を栗の移動域上に所定高さ突出して配置するから、位置センサ等の複雑かつ高価な制御機器を要することなく、栗皮に対するカッターの切込み位置を設定し、カッターの切込み時における挙動と栗皮への切込みを調整することができる。
請求項4の発明は、座部を下位にし栗を立位姿勢で保持してカッター側へ移動し、座部に切込みを形成するから、座部に一定深さの切込みを形成することができる。
請求項5の発明は、座部と反対側の尖端部の両側を保持してカッター側へ移動し、側周面の鬼皮に切込みを形成するから、鬼皮に一定深さの切込みを安定して形成することができる。
【0021】
請求項6の発明は、カッターを栗皮の厚さ方向へ近接離反動変位可能に設け、かつ栗またはカッターを対応するカッターまたは栗側へ近接移動可能に設け、栗皮の周面に沿って一定深さの湾曲線状の切込みを形成可能にしたから、例えば焼き栗の加工や種々の品種の栗の皮剥きに好適で、栗皮にその周面形状に沿って一定深さの湾曲線状の切込みを形成し、切込みの体裁を改善し焼き栗の食感の向上を図るとともに、実肉部への切込みを可及的に回避し、実肉部の容量低下を防止し、また切込み長さを長くして実肉部を取り出し易くし、旨味を確保するとともに、センサ等の複雑かつ高価な制御機器を要することなく、栗皮の切込みの自動化と安全かつ合理化を促し、小形軽量で設置スペースのコンパクト化を図ることができる。
【0022】
請求項7の発明は、カッターを回転し、または回転しないで定位置に静止して配置したから、回転または非回転の種々のカッターの使用に応じられる効果がある。
請求項8の発明は、カッターの上部周面を栗の移動域上に所定高さ突出して配置したから、位置センサ等の複雑かつ高価な制御機器を要することなく、栗皮に対するカッターの切込み位置や、カッターの切込み時における挙動と栗皮への切込みに応じられる効果がある。
請求項9の発明は、カッターの突出高さを調節可能に設けたから、栗皮に対するカッターの切込み位置や栗皮への切込みを、位置センサ等の複雑かつ高価な制御機器を要することなく、栗皮の種類や作業条件によって調整することができる。
【0023】
請求項10の発明は、回転可能なカッターを円板状に形成し、その周端部に複数の切刃を形成したから、栗皮に容易かつ速やかに切込みを形成することができる。
請求項11の発明は、静止可能なカッターを円板状または矩形板状に形成し、その周縁部を鋭利に形成したから、カッターを簡単かつ安価に構成し、切込みを狭小化して切込みの体裁を向上することができる。
請求項12の発明は、カッターの両側面に、若干小径のディスクスペーサまたは若干小高のサイドスペーサを配置し、前記スペーサの端部を栗皮の周面に係合可能に配置したから、カッターの両側面を支持して切込み時の揺動を防止し、切込みを精密に行なえるとともに、カッターによる切込み代を規制し、一定深さの安定した切込みを形成することができる。
【0024】
請求項13の発明は、座部を下位にし栗を立位姿勢で挟持してカッター側へ移動可能に設け、座部に切込みを形成したから、座部に一定深さの切込みを形成することができる。
請求項14の発明は、座部と反対側の尖端部の両側を保持してカッター側へ移動可能に設け、側部の鬼皮に切込みを形成可能にしたから、鬼皮に沿って一定深さの切込みを形成することができる。
請求項15の発明は、一組の無端の搬送コンベアを平面的に近接して配置し、前記搬送コンベアの近接する内側移動行程部を同方向へ移動可能に配置し、前記搬送コンベアの外周部に複数の押圧部材を同動可能に配置し、前記内側移動行程部の相対向する押圧部材の間に栗を保持可能に設けるとともに、前記内側移動行程部の中間部にカッターを配置し、該カッターを上下動かつ原位置へ復帰可能に設け、前記カッターを介し栗皮の形状に沿って湾曲線状の切込みを形成可能にしたから、栗皮の切込みを安全かつ容易に行ない、栗皮の切込みの自動化を図ることができる。
【0025】
請求項16の発明は、カッターの回動軸または支軸を搬送コンベアの側方に突設し、前記突設部をバランススプリングを介して上方へ付勢可能に配置し、前記カッターを上下動かつ原位置へ復帰可能に設けたから、種々のカッターの栗皮方向への近接離反動を実現し、栗皮の周面に沿って一定深さの切込みを形成することができる。
請求項17の発明は、カッターの回動軸または支軸を支持する揺動リンクの基端を駆動軸に係合可能に配置し、該揺動リンクの一端にバランスウェイトを取付け可能なバランスリンクを同動可能に連結し、前記カッターを上下動かつ原位置へ復帰可能に設けたから、バランスウェイトおよびその取付位置によって、カッターを上下動かつ原位置へ復帰することができる。
【0026】
請求項18の発明は、押圧部材を弾性部材で構成し、該弾性部材をリング状に形成したから、栗皮を傷付けることなく保持し得るとともに、栗皮の形状に応じて弾性部材を容易に変形させ、栗皮に密着させて保持することができる。
請求項19の発明は、カッターの突出高さを、前記バランススプリングまたはバランスウェイトおよびその取付け位置を介して調節可能に設けたから、センサ等の複雑かつ高価な機器を要することなく、簡単な構成によってカッターの切込み時における挙動と栗皮への切込みを調整することができる。
請求項20の発明は、不動のガイドレールに載置した栗の両側部を保持可能な保持具を設け、該保持具は、栗の両側部とガイドレールを挟持可能な一対の押圧部材と、該押圧部材に設けた一対の挟持アームと、からなり、該一対の挟持アームを栗の内外方向へ回動可能に連結し、常時は挟持アームの下部を栗側へ回動可能に付勢したから、栗を挟持してガイドレールの定位置に保持可能な保持具を簡単に構成できるとともに、栗側へ移動するカッターによる切込みを円滑かつ安定して形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明を適用した栗皮の切込み形成装置を示す平面図で、回転可能なカッターを使用し、このカッターへ栗を移動している。
図2図1の栗皮の切込み形成装置を後方から見た正面図で、切込み側の駆動モータの連係機構を省略している。
図3】本発明の搬送コンベアに適用したチェーンコンベアの要部を拡大して示す平面図である。
図4図3の正面図である。
図5図3のA-A線に沿う断面図である。
【0028】
図6図1におけるカッターの周辺を拡大して示す平面図で、一部を切欠いて図示している。
図7】本発明に適用したカッターを拡大して示す正面図で、一部を断面図示している。
図8】本発明に適用した栗皮の切込み位置におけるカッターの揺動調整機構を拡大して示す正面図で、揺動リンクとバランスリンクを連結し、バランスリンクにバランスウェイトを取付けている、
図9】本発明のカッターによる座部の切込み状況を示す説明図で、栗の移動とカッターの揺動変位との関係を示している。
【0029】
図10】(a)は本発明のカッターによる座部の切込み状況を示す断面図、(b)はカッターによる座部の切込み状況を示す説明図で、座部の栗皮に沿って湾曲線状に切込まれている。
図11】本発明の第2の実施形態を示す説明図で、カッターの揺動調整機構の要部を示している。
図12】本発明の第3の実施形態を示す説明図で、カッターの揺動調整機構の要部を示している。
図13】(a)は本発明の第4の実施形態を示す説明図で、カッターによる側部の鬼皮の切込み状況を拡大して示す断面図、(b)は同図(a)のB-B線に沿う断面図である。
【0030】
図14】(a)は本発明の第5の実施形態を示す平面図で、回転しない円板状のカッターを使用し、このカッターへ栗を移動している。(b)は前記カッターを拡大して示す平面図である。
図15】(a)は本発明の第6の実施形態の要部を拡大して示す平面図で、回転しない板状のカッターを使用し、このカッターの尖端部へ栗を移動している。(b)は前記カッターを拡大して示す側面図である。
図16】本発明の第7の実施形態の要部を示す正面図で、栗をガイドレール上に固定し、この栗へカッターを移動して座部に切込みを形成している。
図17】第7の実施形態に適用した栗の保持具を拡大して示す断面図である。
【0031】
図18】本発明の第8の実施形態の要部を示す正面図で、ガイドレール上に非回転のカッターを定位置に保持し、このカッターへ栗を移動して切込みを形成している。
図19】本発明の第9の実施形態を示す正面図で、ガイドレール上に押圧固定した栗の直下に架設枠を回動可能に設け、この架設枠の各辺に設けたカッターを座部に接触させて、切込みを形成している。
図20】本発明の第10の実施形態を示す正面図で、セクターフレームの内側のカッター上に栗を支持し、この栗をシリンダで揺動させて座部に切込みを形成している
図21】本発明の第11の実施形態を示す正面図で、保持具によって栗を保持し、これを定位置のカッターに接触させて、座部に切込みを形成している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を例えば焼き栗を焼く前の一般品種の栗の切込み形成処理に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図10において1はテーブル機台で、縦約30cm、横約40cmの横長矩形に形成され、その底面の四隅に脚2が下向きに突設され、その下端部を床面3に設置している。
前記テーブル機台1の長さ方向の両端部に、一対の回動軸4,5が上下方向に回動可能に立設され、それらの下端部に円筒状のウォームホイール6,7が取付けられ、このウォームホイール6,7にウォーム8,9が噛合している。
【0033】
前記ウォーム8,9は互いに異方向にリードが形成され、これらを駆動軸10に同軸上に配置し、その一端を減速機11を介して駆動モータ12に連係している。
したがって、駆動モータ12の動力は減速機11で減速されて駆動軸10に伝達され、これをウォーム8,9を介してウォームホイール6,7に異方向に伝達し、該ホイール6,7と同軸の回動軸4,5を互いに異方向へ回動可能にしている。
【0034】
前記回動軸4,5の上部でテーブル機台1の直上に、一対のスプロケットギア13,14が離間して配置され、これらのスプロケットギア13,14にチェーンコンベアを構成するチェーン15,16が巻き掛けられている。
前記チェーン15,16の内側移動行程部は、少なくとも栗の搬入位置Pと搬出位置Qに亘って近接して平行に配置され、それらの間に狭小な栗の移動スペースを形成している
【0035】
前記チェーン15,16は実質的に同一に構成され、これらは上下一対のアウターリンク17と内側のインナーリンク18の重合部をピンで連結して、無端の連鎖に構成している。
前記アウターリンク17,17の外周の中間部に屈曲片19,20が設けられ、該屈曲片19,20の外側に矩形のゴム板21が配置され、該ゴム板21に外側からビス22をねじ込み、これを弾性部材であるゴム板21に埋設したナット(図示略)にねじ込んで取付けている。
前記ゴム板21の外側に内外方向へ変位可能なリング状の押圧部材である押圧ゴム23が配置され、該押圧ゴム23はゴム板21と等幅のリング状に成形され、該押圧ゴム23をゴム板21の外側の中高位置に配置している。
【0036】
前記チェーンコンベアの内側移動時は、チェーン15,16が接近して同方向へ移動し、それらの内側に弾性部材である押圧ゴム23,23が位置し、該押圧ゴム23,23の間に皮付きの栗24を介挿し、その両側の栗皮を押圧ゴム23,23の弾性によって挟持している。
この場合、実施形態は押圧ゴム23をゴム板21と一体に成形しているが、押圧ゴム23とゴム板21とを別々に成形し、これらをビス22で一体に連結して構成することも可能である。
【0037】
前記チェーン15,16の内側移動行程の直下で、少なくとも栗の搬入位置Pと搬出位置Qに亘って、一対の金属棒からなるガイドレール25,25が不動に配置され、該ガイドレール25,25上に栗26の座部26aを載置して滑動させ、後述のカッター方向へ搬送可能にしている。
前記チェーン15,16の内側移動行程の中間位置に架台27,28が設置され、該架台27,28上に板状のチェーンガイド29,30が固定されている。
前記チェーンガイド29,30は、側面をチェーン15,16に係合可能に配置して、チェーン15,16の湾曲および動揺を防止し、栗26に対し押圧ゴム23,23による一定の挟持力を付与可能にしている。
【0038】
一方、前記チェーン15,16の前端部の側方で、テーブル機台1と略同高位置に架台Rが設置され、該架台Rに駆動モータ31が配置され、その駆動軸32が軸受33,34に回転可能に支持されている。前記軸受33,34の間に駆動プーリー35が固定され、該プーリー35の両側にコ字形のブラケット36が配置され、その一対の屈曲片36a,36aに駆動軸32を回動可能に支持している。
前記屈曲片36a,36aの外側に揺動リンク37,38の一端が起倒可能に支持され、かつ隣接の屈曲片36a,36aと軸受34に、摺動可能に配置されている。
実施形態では揺動リンク37の一端に長孔(図示略)が形成され、該長孔に駆動軸32が係合可能に挿入されている。
【0039】
前記外側の揺動リンク38の一端に、バランスリンク39の一端が揺動リンク38と同動可能に連結され、これらは駆動軸32の外側に配置したラジアルジャーナル(図示略)を介して連結され、該ジャーナルを中心に揺動リンク38とバランスリンク39とが回動可能に連結されている。
この場合、揺動リンク38の一端に長孔(図示略)を形成し、該長孔に駆動軸32を係合可能に挿入し、揺動リンク38を起倒可能に構成することも可能である。
【0040】
前記バランスリンク39の適宜位置にバランスウエイト40が着脱可能に取付けられ、該ウエイト40の重量と、そのバランスリンク39上の取付け位置を決定し、その駆動軸32までのモーメントによって、駆動軸32、つまり前記ジャ-ナルを支点に揺動リンク38を図8上反時計方向へ回動可能に付勢し、後述するカッターのカッター刃の上部をガイドレール25,25上に出没し、栗26の座部26aに対する切込み高さと、カッターの挙動を調整可能にしている。
【0041】
前記揺動リンク37,38の他端の内側にコ字形のブラケット41が配置され、その一対の屈曲片41a,41a間に回動軸である従動軸42が軸受43,44を介して、回動可能に支持されている。
前記屈曲片41a,41a間の従動軸42にプーリー45が固定され、該プーリー45と前記プーリー35にベルト46が巻き掛けられ、駆動軸32の動力をプーリー35,45を介して従動軸42へ伝達可能にしている。
【0042】
前記従動軸42の内側端部は、チェーン15,16の内側移動行程の中間位置の直下に延設され、その軸端部に一対のディスクスペーサ47,48が離間して配置され、それらの間に多数の鋸歯状のカッター刃49aを周面に形成した円板状のカッター49が取付けられている。
【0043】
前記カッター刃49aの上部は、常時はガイドレール25,25の直上に突出して配置され、その突出高さhを栗の大きさや種類に応じて座部26aに対する切込み高さとして調整し、この切込み高さによって座部26aにおける栗皮51に沿う切込み長さを設定し、またこの切込み長さによって座部26aの栗皮51から内側への切込み代eを設定している。
実施形態では、座部26aの形状に沿って一定深さの切込みを栗の周面の約1/3以下の湾曲線状に形成しているから、これを直線状に切込む場合に比べて切込み長さが長く形成され、それだけ切込み後の皮剥きを容易に行なえることとなる。
【0044】
前記カッター刃49aの突出高さhは、例えばバランスウエイト40の重さまたはその取付け位置を加減し、バランスウェイト40によるモーメントを加減調整することによって調整可能にしている。
また、前記切込み長さと切込み代eは、焼栗の皮剥きの容易化と切込み部の体裁、および実肉部への切込み深さと栗皮の剥き易さに関係し、更に切込み部の衛生と焼栗の食感および旨さに影響する。
【0045】
すなわち、栗26がカッター49の位置へ搬送され、座部26aの上側側部がカッター刃49aに接触し、その接触位置に相当する前記突出高さhで切込まれる。
その後、栗皮の切込みおよび切断に伴なって、カッター刃49aが揺動リンク37,38やバランスリンク39、バランスウェイト40による付勢力に抗して押し下げられ、カッター刃49aが切断時の抗力と付勢力に応じて挙動し、座部26aの栗皮51の形状に沿って内側寄りに湾曲変位し、一定深さの切込み50を形成する。
実施形態では座部26に対する切込み代eとして、2~3mmを設定し、実肉部52への切込みを可及的に抑制している。
【0046】
前記ディスクスペーサ47,48は、カッター49の外側に配置され、カッター49の動揺を防止するとともに、カッター刃49aによる切込み時に栗皮51に係合し、カッター刃49aの切込み深さないし切込み代eを規制可能にしている。
前記スペーサ47,48の外面にボス51,52が突設され、それらの通孔(図示略)に従動軸42が挿入されている。前記従動軸42の軸端部にネジ部53が形成され、該ネジ部53にナット54がねじ込まれ、該ナット54をボス51の端面に当接し、これにディスクスペーサ47を同動させて、該スペーサ47,48間にカッター49を挟持可能にしている。
【0047】
この他、図中、55は栗26の側周面を覆う栗皮51である鬼皮で、その端部に座部26aが位置しており、56,57はテーブル機台1の両側に配置した駆動軸10の軸受である。
【0048】
このように構成した栗皮の切込み形成方法およびその装置は、栗26の搬送機構と切込み機構を備え、このうち栗26の搬送機構はテーブル機台1上に設置され、該機台1上の前後にスプロケットギア13,14を配置し、これらのスプロケットギア13,14に無端のチェーンコンベアを構成する無端のチェーン15,16を巻き掛ける。
【0049】
前記チェーン15,16の内側移動行程部は、栗26の少なくとも搬入位置Pと搬出位置Qに亘って近接かつ平行して配置され、搬入位置Pで栗26の座部26aをガイドレール25,25上に載せ、その両側面の鬼皮55を押圧ゴム23,23で挟持して、カッター49方向へ立位姿勢で搬送し、カッター刃49aで座部26aの上部を切込み後、カッター49から後退して搬出するようにしている。
【0050】
前記チェーン15,16は、アウタ-リンク17,17の外側中間位置に屈曲片19,20を突設し、該屈曲片19,20の外側にビス22を介して、矩形のゴム板21とリング状の押圧ゴム23を取付けて構成している。
この場合、実施形態ではゴム板21と押圧ゴム23を一体成形して、部品点数を低減しているが、これらを別々に製作してビス22で連結することも可能であり、そのようにすることで製作の容易化を図れる。
【0051】
前記スプロケットギア13,14の回動軸4,5をテーブル機台1の下方に突出し、その軸端部にウォームホイール6,7を取付け、該ホイール6,7に駆動軸10と同軸に配置した互いにリード角を異にするウォーム8,9を噛合し、該駆動軸10を軸受56,57で支持して駆動モータ12に連係する。
また、チェーン15,16の内側移動行程部の内側にチェーンガイド29,30を配置し、チェーン15,16の捩れと揺動を防止し、周回動の安定化を図る。
【0052】
一方、前記栗26の切込み機構は、テーブル機台1の側端に隣接して設置され、その駆動モ-タ31に連係する駆動軸32を前記機台1側に配置し、その軸受33,34の間に揺動リンク37,38の一端を駆動軸32を支点に上下方向へ揺動ないし起倒可能に支持する。
前記揺動リンク37,38の間にコ字形のブラケット36を配置し、該ブラケット36の内側に駆動プーリ35を駆動軸32と同動可能に固定する。
【0053】
前記揺動リンク37,38の他端間にコ字形のブラケット41を配置し、これらに従動軸42を架設し、該従動軸42を軸受43,44を介して回動可能に支持する。
前記ブラケット41の内側に従動プーリ45を従動軸42と同動可能に固定し、これらのプーリ45,35にベルト46を巻き掛け、駆動モータ31の動力を駆動プーリ35と従動プーリ45を介して、従動軸42へ伝達可能にする。
【0054】
前記一方の揺動リンク38の一端にバランスリンク39の一端をラジアルジャーナル(図示略)を介して同動可能に軸支かつ連結し、該バランスリンク39の一端部の適宜位置に所定重量のバランスウェイト40を取付け、該バランスウェイト40によるモーメントによって、揺動リンク37,38を駆動軸32ないし前記ジャーナルを支点に上方へ回動可能に付勢し、前記従動軸42の軸端部にカッター49を固定する。
【0055】
前記従動軸42の一端を、チェーン15,16の内側移動行程の中間位置の直下に配置し、該従動軸42の他端部にカッター49とディスクスペーサ47,48を取付け、これらを固定する。
その際、カッター刃49aの上部をガイドレール25の直上に突出して位置付け、その突出高さh、換言すれば座部26に対する切込み高さを調整し、この切込み高さによって座部26aの栗皮51に沿う切込み長さを調整し、この切込み長さによって焼栗の皮剥きの容易化と、切込み後の体裁の向上を図る。
【0056】
前記突出高さhは、位置センサ等の複雑かつ高価な制御機器を要することなく、例えばバランスウエイト40の重さまたは取付け位置を加減し、バランスウエイト40によるモーメントを加減調整することによって調整し得、その分容易かつ安価に製作し得る。
また、前記切込みを座部26aにおける栗皮51の内側寄りに形成して、その切込み代eを薄肉に形成可能にし、しかも前記切込みを栗の約1/3周以下の湾曲線状に形成しているから、これを直線状に切込む場合に比べて切込み長さが長く形成され、それだけ切込み後の皮剥きを容易に行なえる。
【0057】
このように栗26の搬送機構は、縦約30cm、横約40cmの横長矩形のテーブル機台1上に設置され、該機台1の左右に近接して配置した一対のスプロケットギア13,14にチェーン15,16を巻き掛けてチェーンコンベアを平面的に構成し、設置スペースをコンパクトにしている。
前記チェーンコンベアは汎用のチェーン15,16を基本に構成し、そのリンクの外側に屈曲片20を形成し、これにゴム板21と変位可能なリング状の押圧ゴム23を取付けて栗26を挟持可能にし、作業者による煩雑な保持作業を解放している。
【0058】
また、栗26の切込み機構は、テーブル機台1の側端部に近接して設置され、駆動モータ31に連係する駆動軸32に駆動プーリ35と、揺動リンク37,38の一端を係合可能に設け、駆動軸32の離間位置に従動軸42を配置し、該従動軸42に揺動リンク37,38の他端を係合可能に設けて、従動軸42を上下に変位可能にしている。
前記一方の揺動リンク38の一端の軸支部、すなわち前記ジャーナルに、バランスリンク39の一端を同動可能に軸支かつ連結し、該リンク39の他端部にバランスウェイト40を取付け、バランスリンク39と揺動リンク38を上方へ移動可能に付勢する。
【0059】
そして、前記従動軸42の一端をチェーン15,16の内側移動行程部の中間位置直下に配置し、その軸端部にカッター49を回動可能に配置し、そのカッター刃49aをガイドレール25の直上に出没可能に配置し、栗26がカッター49に当接した際、前記付勢力に抗してカッター49を押し下げ可能にしている。
【0060】
このように栗26の切込み機構は、センサ等の複雑かつ高価な制御機器を要することなく、カッター49の切込み時にカッター刃49aをガイドレール25から上下動させ、座部26aに一定深さの切込みを安定して形成可能にしている。
前記カッター49のカッター刃49aの上部は、常時は揺動リンク38とバランスウェイト40を介して、ガイドレール25の直上に突出して位置し、その突出高さhは切込み前後の無負荷時は最高位置に置かれ、栗26と当接し切込み開始後は徐々に押し下げられ、栗26の直下で最下位置に置かれる。
【0061】
すなわち、前記カッター刃49aによる座部26内への切込み50は、搬送方向の先端位置でカッター刃49aの突出高さh位置相当に切込まれ、栗26の直下で最下位置に切込まれる。
この状況は図9のようで、切込み50の軌跡は、下方に突出する緩やかな湾曲線に形成され、座部26aの湾曲した栗皮51の内側寄りに湾曲線状に切込まれ、実肉部52への切込みを可及的に回避している。
【0062】
したがって、切込み50の体裁が良く食感を損なわず、また実肉部52への切込みを回避することで、実肉部52の容量低下を抑制するとともに、実肉部52の衛生を確保し、旨味の低下を防止し得る。
しかも、前記切込み50を栗の1/3周以下に亘って湾曲線状に形成しているから、これを直線状に切込む場合に比べて切込み長さを長く形成でき、それだけ切込みによる皮剥きを容易に行なえる。
【0063】
このように構成した栗皮の切込み形成方法およびその装置を使用して、焼き栗の加工前の栗26に切込みを形成する場合は、栗26の搬入位置Pに多数の栗26を収容した容器(図示略)を用意し、また栗26の搬出位置Qに空状態の容器(図示略)を設置する。
そして、搬送機構の駆動モータ12を駆動し、その駆動軸10を回動して同軸上のウォーム8,9を回動し、該ウォーム8,9に噛合するウォームホイール6,7を互いに異方向へ回動し、これらを支持する回動軸4,5を同動させて、スプロケットギア13,14を異方向へ回動し、チェーン15,16を異方向へ周回させる。
【0064】
このためチェーン15,16の内側移動行程部が同方向へ移動し、その内側の屈曲片20およびゴム板21を介して、リング状の押圧ゴム23,23がガイドレール25,25を挟んで同方向へ移動し、それらの間に栗26の挟持スペースが形成される。この状況は図1のようである。
【0065】
この後、切込み機構の駆動モータ31を駆動し、その駆動軸32を回動して駆動プーリ35を回動し、その動力をベルト46を介して従動プーリ45へ伝達し、該プーリ45を回動して従動軸42を同動し、従動軸42の端部に固定したカッター49を回動させる。
【0066】
このような状況の下で搬入位置Pで栗26を保持し、その座部26aをガイドレール25,25上に載せ、その長さ方向をガイドレール25,25に沿って立位姿勢で保持し、その姿勢を保持して押圧ゴム23,23の間に送り込む。
このようにすると栗26の両側部が押圧ゴム23,23に挟持され、その移動を拘束されてカッター49側へ送り込まれる。
【0067】
その際、押圧ゴム23,23は内部が空洞のリング状に形成されているから、弾力性に富み、栗26の両側部に接触した際、容易かつ速やかに変形して栗26の湾曲部に馴染み、栗26の種々の形状や大きさに応じて緊密に挟持する。この状況は図5のようである。
【0068】
こうして栗26が押圧ゴム23,23に挟持されてカッター49へ接近し、座部26aの送り方向の前部がカッター刃49aに接触すると、前記座部26aの栗皮51がカッター刃49aの突出高さhで切込まれる。この状況は図8および図9のようである。
その際、栗26は両側部を押圧ゴム23,23に挟持されて拘束されているから、前記切込みを容易かつ円滑に行なえる。
【0069】
そして、栗26がカッター刃49aに切込まれると、その抗力によってカッター49が押圧され、これを支持する揺動リンク37,38とバランスリンク39およびバランスウェイト40の付勢力に抗して押し下げられる。
この後、栗26が同方向へ移動すると、カッター刃49aと栗26との接触面積が次第に増加し、その抗力が次第に増加してカッター49の付勢力が低下し、カッター49が次第に下降し、その軌跡が皮部51の内側に沿って湾曲線状に形成される。この状況は図9のようである。
【0070】
そして、栗26がカッター49の直上位置に移動すると、前記接触面積が最大になり、その抗力が最大になって前記付勢力が最低になり、カッター49が最下位置に押し下げられる。
この後、栗26がカッター刃49a上を通過すると、前記接触面積が次第に減少し、その抗力が次第に減少して前記付勢力を回復し、カッター刃49aとの接触を解消して、座部26aの切込みを終了する。この状況は図9のようである。
【0071】
前記切込み終了後、しばらくは押圧ゴム23,23が栗26の両側部を挟持して、ガイドレール25,25の下流側へ搬送し、スプロケットギア13,14の後方へ移動したところで、押圧ゴム23,23による挟持を解除され、搬出位置Qの後方から落下して容器に回収される。
【0072】
このように実施形態では、栗26の側部を挟持し座部26aに切込み50を自動的に入れ、作業者による作業を要しないから、切込み50の安全性と量産性を図れ、その生産性を向上し得る。
しかも、栗26の約1/3周以下に亘って座部26aに一定の浅い切込みを形成しているから、従来のように3/4周に亘って切込みを形成する場合に比べて切込み長さが減少し、その分早く皮剥きを行なえる。
【0073】
また、切込み後は座部26aにおける切込み50が目立たず、食感や体裁を損なう惧れもない。しかも、実肉部52への切込みを可及的に回避しているから、実肉部52の衛生が確保され、また旨味の低下を防止し得る。
したがって、焼き栗の品質の低下を防止し、その際の皮剥きは切込みが湾曲線状に形成されているから、これを直線状に切込む場合に比べて切込み長さを長く形成され、それだけ切込みによる皮剥きが容易になり、側部を保持して容易かつ手際良く行なえる。
【0074】
なお、実施形態では焼き栗を焼く前の栗皮への切込みに適用しているが、焼き栗以外にケーキ等に使用する場合は、前述の方法で栗皮51を剥いた後、例えば電子レンジ等で加熱し、表面の渋皮を剥くことで対応し得る。
このように実施形態では、渋皮と鬼皮を別々に皮剥きする一般品種の栗の皮剥きに対応させているが、例えば渋皮と鬼皮を簡単に剥ける品種の栗の皮剥きにも応じられ、従来のこの種装置に比べ広範な使用に応じられる。
【0075】
図11乃至図20は本発明の他の実施形態を示し、前述の実施形態と対応する構成部分に同一の符号を用いている。
このうち、図11は本発明の第2の実施形態を示し、この実施形態はカッター49ないし揺動リンク38に対する付勢手段の他の形態を示し、前述のバランスリンク39とバランスウェイト40を省略し、少なくとも一方の揺動リンク38の軸支部と床面3または不動部の間に、圧縮コイルバネからなるバランススプリング58を介挿し、その弾性によって駆動軸32を中心に揺動リンク38を反時計方向へ回動可能に付勢し、複雑かつ高価な制御機器を要することなく、構成の簡潔化と設置スペースのコンパクト化を図っている。
【0076】
図12は本発明の第3の実施形態を示し、この実施形態は第2の実施形態の応用形態に係り、前述のバランスリンク39とバランスウェイト40を省略するとともに、揺動リンク38の一端に引張りコイルバネからなるバランススプリング59の一端を掛け止め、該スプリング59の他端を直上の不動部60に掛け止め、該スプリング59の弾性によって揺動リンク38を、駆動軸32を中心に反時計方向へ回動可能に付勢し、複雑かつ高価な制御機器を要することなく、構成の簡潔化と設置スペースのコンパクト化を図っている。
【0077】
図13は本発明の第4の実施形態を示し、この実施形態はガイドレール25,25上に栗26の側皮の鬼皮55を載置し、栗26の座部26aと尖端部26bを押圧ゴム23,23で挟持し、栗26の側部にカッター49で切込み50を形成して、座部26a以外の他部分に切込み50を形成するようにしている。
この場合の切込み50は、図13(b)のように側部の鬼皮55の形状に沿って、その内側に約1/3~1/2周に亘って凹状の湾曲線状に形成している。したがって、座部26aに比べて切込みの長さを長めに形成し、皮剥きを容易に行なえるようにしている。
【0078】
図14は本発明の第5の実施形態を示し、この実施形態は栗26を挟持しながらカッター49側へ移動するとともに、カッター49を回転させることなく定位置に静止させ、またバランスウェイト40および揺動リンク37,38によって、カッター49を上下動かつ原位置に復帰可能に付勢している。
このため切込み用の駆動モータ31と駆動軸32、駆動プーリ35、ベルト46を省略し、駆動軸32を静止状態の支軸61に構成して、構成を簡潔にし設備費を軽減し、電力消費を節減して運転コストを低減している。
【0079】
この実施形態では、円板状のカッター49を定位置で静止させ、このカッター49に向かって両側を押圧ゴム23で挟持した栗26を移動し、座部26aの中央部をカッター49の鋭利な尖端部に擦り付けて切込み、かつその際の抗力によってカッター49を下方へ変位させて、座部26aの周面に沿って一定深さの切込み50を形成するようにしている
【0080】
このようにこの実施形態では、カッター49を回転する代わりに、静止させて栗26に切込みを形成しているから、切刃49aのアサリによる切り口の拡開を抑制し、スリット状の切込み50によって体裁を向上できるとともに、切り口の拡開による切屑の排出量を低減し得るようにしている。
【0081】
図15は本発明の第6の実施形態を示し、この実施形態は第5の実施形態の応用形態に係り、前記カッター49を円板状の代わりに横長の板状に形成し、その上端部を鋭利な尖端部に形成し、その両側にディスクスペーサ47,48の代わりに、板状のサイドスペーサ62,63を取付け、その上端部をカッター49の尖端部の直下に配置して栗皮に係合可能にし、カッター49の切込み50を規制するようにしている。
【0082】
図16および図17は本発明の第7の実施形態を示し、この実施形態は第2および第5、第6の実施形態の応用形態に係り、ガイドレール25,25の直下に搬送コンベア64の水平移動部を配置し、該コンベア64上に架台65を同動可能に固定し、該架台65の一端に枢軸66を介して揺動リンク67の一端を上下に回動可能に連結し、この他端に支軸61を介して円板状または板状の静止カッター49を上下動可能に取付け、該支軸61と架台65との間にバランススプリング58を介挿し、その弾性によって枢軸66を中心に揺動リンク67を反時計方向へ回動可能に付勢している。
この場合、円板状のカッター49を回転可能に構成することも可能である
【0083】
一方、ガイドレール25,25上に栗26の座部26aを載せ、ガイドレール25の定位置に保持具68を配置し、該保持具68によって栗26の両側部を挟持し、これをガイドレール25,25に保持可能にして、栗26の座部26aに安定して切込みを形成するようにしている。
前記保持具68は、前記押圧ゴム23と同形の押圧部材69と、該押圧部材69の外側に固定した挟持アーム70と、挟持アーム70,70の中間部をピン71を介して回動可能に連結する連結フレーム72と、からなり、該連結フレーム72の中間部にバネ受け73,73を突設し、該バネ受け73と挟持アーム70の上部との間にバネ74を介挿している。
【0084】
そして、前記バネ74,74の弾性によって、挟持アーム70,70をピン71を中心に内外方向へ回動可能に設け、常時は挟持アーム70,70の下部を栗26側へ回動可能に付勢し、かつ押圧部材69の内側下端部をガイドレール25に圧接して、保持具68をガイドレール25に保持可能にしている。
したがって、前記保持具68はガイドレール25,25の定位置に保持可能にされ、当該位置で栗26を保持可能にしている。
【0085】
そして、挟持アーム70,70を内側に押圧し、挟持アーム70,70の下部間を拡径して、押圧部材69,69の間に栗26を挿入し、この後、挟持アーム70,70の押圧力を解除し、バネ74,74の弾性によって挟持アーム70,70の下部を内側へ回動し、押圧部材69,69の間に栗26を挟持する。
このようにして栗26をガイドレール25上に保持し、カッター49による切込み50の形成後は、挟持ア-ム70,70を内側へ押圧し、挟持アーム70,70の下部間を拡径して栗26を取り出す。
【0086】
図中、75は連結フレーム72に立設した押圧シリンダで、直上のベースシリンダ76に摺動可能に挿入し、該ベースシリンダ76内の不動部60と押圧シリンダ75との間にセットスプリング77を介挿し、その弾性によって押圧シリンダ75を介し、保持具68を下方へ付勢し、栗26をガイドレール25上に押し付けて、その立位姿勢を安定して保持可能にしている。
【0087】
このような状況の下で搬送コンベア64を駆動し、これに架台65と揺動リンク67を同動させ、カッター49をガイドレール25の定位置に固定した栗26に接近させ、その周面の尖端部を座部26aに切込み、その際の抗力によってカッター49をガイドレール25の下方へ変位させ、座部26aの外形に沿って切込むようにしている。
このようにこの実施形態では、栗26をカッター49側へ移動する代わりに、ガイドレール25上の定位置に固定し、またカッター49を定位置に固定する代わりに栗26側へ移動して、栗皮の多様な切込み形態に応じられるようにしている。
【0088】
図18は本発明の第8の実施形態を示し、この実施形態は第5の実施形態の応用形態に係り、ガイドレール25の定位置に非回転のカッター49を突出配置し、このカッター49に向けて栗26を移動して切込み50を形成し、その際の抗力をバランススプリング58とセットスプリング77とで対抗し、栗皮に一定深さの切込み50を形成可能にしている。図中、78はガイドレール25の直上に配置したシリンダホルダーである。
このようにこの実施形態では、ガイドレール25の定位置に配置した非回転のカッター49に向けて、栗26を押圧保持して移動し、座部26aに一定深さの切込み50を一定長さ形成可能にしている。
【0089】
図19は本発明の第9の実施形態を示し、この実施形態は第6の実施形態の応用形態に係り、ガイドレール25上に保持具68および押圧シリンダ75とベースシリンダ76を介して、栗26を定位置に保持し、また栗26の直下に駆動軸79を中心に架設枠80を垂直方向に回動可能に配置している。
前記架設枠80は手動または自動的に90°回動可能に設けられ、ガイドレール25に接近する最上位置でカッター49の尖端部を座部26aに切込み、一定深さの切込み50を一定長さ形成可能にしている。
【0090】
前記架設枠80は正面形状が正方形に枠組みされ、その各基枠81に架台65を固定し、該架台65の一端に枢軸66を介して揺動リンク67の一端を回動可能に連結し、この他端の支軸61と架台65との間にバランススプリング58を介挿し、支軸61を上方へ付勢している。前記支軸61に非回転のカッター49が支持され、その鋭利なカッター周面の上部尖端をガイドレール25,25の間に突出して配置している。
図中、82は駆動軸79の軸受を装着した軸受板、83は各基枠81の交差部を連結したブラケットで、該ブラケット83と軸受板82の各辺を連結板84を介して連結している。
【0091】
このようにこの実施形態では、ガイドレール25の定位置に保持具68等によって、栗26を保持し、この栗26に向かって架設枠80の各辺に設けた非回転のカッター49を近接離反動させ、その近接時にカッター49の上部尖端部を座部26aに切込み、一定深さの切込み50を座部26aの周面に沿って一定長さ形成可能にしている。
【0092】
図20は本発明の第10の実施形態を示し、この実施形態は扇形のセクターフレーム85を回転軸86を中心に垂直方向に回動可能に設け、その弦側のベースフレーム87の中間部に、尖端部をアーチフレーム88に向けて直線状のカッター89を固定し、その両側に凸状のストッパ90を突設している。
【0093】
一方、前記アーチフレーム88の中間部に凹部91を設け、この凹部91にベースシリンダ77を装着し、その内側に押圧シリンダ75を収容し、それらの間にセットスプリング77を挿入して、栗26をカッター89側へ保持し、座部26aをカッター89の尖端部に接触かつ切込み可能にしている。
前記栗26の姿勢は、重力とセクターフレーム85の回転角度によって、座部26aがカッター89の尖端部上を揺動し、座部26aと反対側の尖端側を押圧シリンダ75によって押圧保持可能にしている。
【0094】
このようにこの実施形態では、カッター89の尖端部上の栗26を重力とセクターフレーム85の回転角度によって揺動し、座部26aをカッター89の尖端部に押し付けて切込み、一定深さの切込み50を座部26aの周面に沿って一定長さ形成可能にしている。
【0095】
図21は本発明の第11の実施形態を示し、この実施形態はピン91を中心に回動可能な操作レバー92の下部に、ベースシリンダ76を介して保持具68を取付け、栗26を保持可能にしている。そして、保持具68で保持した栗26を基枠93の底部に設けたカッター94に接触可能に配置し、操作レバー92の回動角度を変化し、栗26の座部26aをカッター94の尖端部に押し付けて揺動し、座部26aの周面に一定負荷さの切込み50を形成可能にしている。
【産業上の利用可能性】
【0096】
このように本発明の栗皮の切込み形成方法およびその装置は、栗皮にその周面形状に沿って一定深さの湾曲線状の切込みを形成し、切込みの体裁を改善し焼き栗の食感の向上を図るとともに、実肉部への切込みを可及的に回避し、実肉部の容量低下を防止し、また切込み長さを長くして実肉部を取り出し易くし、旨味を確保するとともに、複雑かつ高価な制御機器を要することなく、栗皮の切込みの自動化と安全かつ合理化を促し、小形軽量で設置スペースのコンパクト化を図れるから、例えば焼き栗の加工や種々の品種の栗の皮剥きに好適である。
【符号の説明】
【0097】
23 弾性部材(押圧ゴム)
25 ガイドレール
26 栗
26a 座部
37,38 揺動リンク
40 バランスウェイト
42 回動軸(従動軸)
47,48 ディスクスペーサ
49 カッター
49a カッター刃
【0098】
50 切込み
51,55 栗皮
52 実肉部
58,59 バランススプリング
62,63 サイドスペーサ
68 保持具
69 押圧部材
70 挟持アーム
h 突出高さ
e 切込み代
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21