(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント配線板用銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/38 20060101AFI20220712BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20220712BHJP
B32B 15/088 20060101ALI20220712BHJP
C09J 179/08 20060101ALI20220712BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220712BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
H05K3/38 E
H05K1/03 670Z
B32B15/088
C09J179/08 Z
C09J11/06
C09J11/08
(21)【出願番号】P 2017169907
(22)【出願日】2017-09-05
【審査請求日】2020-07-01
(31)【優先権主張番号】P 2016172565
(32)【優先日】2016-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 淳
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴史
(72)【発明者】
【氏名】▲杉▼本 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】田崎 崇司
【審査官】赤穂 州一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-199645(JP,A)
【文献】国際公開第2014/208644(WO,A1)
【文献】特開2002-167508(JP,A)
【文献】特開2016-150976(JP,A)
【文献】国際公開第2016/056560(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/141717(WO,A1)
【文献】特開2015-199947(JP,A)
【文献】特開2016-069651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/38
H05K 1/03
B32B 1/00 - 43/00
C09J 1/00 - 5/10
C09J 9/00 -201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)接着面の十点平均粗さ(Rz)が0.1~1.5μmの銅箔と、
(2)芳香族テトラカルボン酸無水物(a1)及びダイマージアミン(a2)を含
み、ジアミノポリシロキサンを含まない反応成分(α)の反応物である酸無水物基末端ポリイミド(A)、架橋剤(B)、並びに有機溶剤(C)を含む接着剤(2’)の熱硬化物である厚み2~5μmの接着層と、
(3)100℃~200℃における熱膨張係数が4~30ppm/℃の絶縁フィルムとを含み、前記架橋剤(B)は、
下記構造のテトラグリシジルキシレンジアミン
【化1】
(式中、Z
2
はフェニレン基を表す。)
及び/又はN,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリンを含む、
フレキシブルプリント配線板用銅張積層板。
【請求項2】
前記接着剤(2’)が更に反応性アルコキシシリル化合物(E)を含む、請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板用銅張積層板。
【請求項3】
前記反応性アルコキシシリル化合物(E)が、一般式:Q-Si(R
1)
a(OR
2)
3-a(式中、Qは酸無水物基と反応する官能基を含む基を、R
1は水素又は炭素数1~8の炭化水素基を、R
2は炭素数1~8の炭化水素基を、aは0、1又は2を表す。)で表される請求項
2に記載のフレキシブルプリント配線板用銅張積層板。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板用銅張積層板の銅箔面に回路パターン層を有する、フレキシブルプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フレキシブルプリント配線板用銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンに代表される電子機器の小型化、高密度化等の多様化に伴い、フレキシブルプリント配線板(FPCB:Flexible Printed Circuit Board)の需要が増大している。
【0003】
FPCBの材料となる銅張積層板(FCCL:Flexible Copper Clad Laminate)(以下、銅張積層板ともいう。)は、可撓性のある絶縁フィルムの片面又は両面に接着層を介して銅箔を貼り合わせた構造である。絶縁フィルムとしては、高耐熱性・高信頼性を有するポリイミドフィルムが使用されることが多い。この銅張積層板にレジスト層を形成し、露光、現像、エッチング、レジスト層剥離等の工程を経由させることで、回路を形成したFPCBが得られる。
【0004】
FPCBには、導電性回路の保護や絶縁性を目的として、絶縁フィルムと銅箔とを貼り合わせるための接着剤が使用される。FPCBを製造する際に使用される接着剤としては従来、エポキシ樹脂と架橋剤を含む接着剤が主流である。例えば、特許文献1では、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム/エポキシ樹脂系接着剤が提案されている。また、特許文献2では、グリシジル基含有エラストマー/エポキシ樹脂系接着剤が提案されている。また、特許文献3では、カルボキシル基含有エチレンアクリル系エラストマー/エポキシ樹脂系接着剤が提案されている。また、特許文献4では、酸価を有するポリエステルアミド樹脂/エポキシ樹脂系接着剤が提案されている。また、特許文献5では、酸価を有するポリエステルポリウレタン樹脂/エポキシ樹脂系接着剤が提案されている。また、特許文献6では、ナイロン/エポキシ樹脂系接着剤が提案されている。特許文献7では、エポキシ硬化剤に特定の構造を有するフェノールノボラック樹脂を用いたポリウレタン樹脂/エポキシ系接着剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-049427号公報
【文献】特開2001-354936号公報
【文献】特開平7-235767号公報
【文献】特開2006-152015号公報
【文献】特開2005-244139号公報
【文献】特開2000-188451号公報
【文献】特開2011-190424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、スマートフォン等の電子機器の小型化、高密度化が更に進むと、FPCBの回路のファインピッチ化や薄膜化もより一層進行する。そのため、FPCBの材料である銅張積層板においても、ファインピッチ化を容易にするために低粗度(例えば十点平均粗さ(Rz)が1.5μm以下)の銅箔を使用したり、絶縁層である接着層の薄膜化(例えば5μm以下)が図られたりしている。しかし、接着層を薄膜化すればするほど、低粗度の銅箔との密着性は低下する。そのため、低粗度の銅箔をなるべく薄膜の接着層で基材フィルムに密着させる技術が必要となる。この点、特許文献1~7の接着剤、使用時に想定される接着層の厚みが20~30μmと厚く、また、銅箔についても粗度は言及されていない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、Rzが1.5μm以下の低粗度銅箔を用いた場合であっても薄膜の接着層によって優れた接着性(銅箔の引き剥がし強さ(N/mm))を発揮し、かつ誘電率及び誘電正接が低い新規な銅張積層板の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は検討の結果、所定構成からなる銅張積層板が前記課題を解決するものであることを見出した。
【0009】
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
(1)接着面の十点平均粗さ(Rz)が0.1~1.5μmの銅箔と、
(2)芳香族テトラカルボン酸無水物(a1)及びダイマージアミン(a2)を含む反応成分(α)の反応物である酸無水物基末端ポリイミド(A)、架橋剤(B)、並びに有機溶剤(C)を含む接着剤(2’)の熱硬化物である厚み2~5μmの接着層と、
(3)100℃~200℃における熱膨張係数が4~30ppm/℃の絶縁フィルムとを含む、フレキシブルプリント配線板用銅張積層板。
(項目2)
前記芳香族テトラカルボン酸無水物(a1)が下記一般式(1)
【化2】
(式中、Xは単結合、-SO
2-、-CO-、-O-、-O-C
6H
4-C(CH
3)
2-C
6H
4-O-、又は-COO-Y-OCO-を表し、
Yは-(CH
2)
l-、又は-H
2C-HC(-O-C(=O)-CH
3)-CH
2-を表し、
lは1~20を表す。)
で示されるものである、上記項目に記載のフレキシブルプリント配線板用銅張積層板。
(項目3)
前記反応成分(α)がジアミノポリシロキサン(a3)を含む、上記項目のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板用銅張積層板。
(項目4)
前記架橋剤(B)が、ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビスマレイミド樹脂及びシアネートエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、上記項目のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板用銅張積層板。
(項目5)
前記接着剤(2’)が更に難燃剤(D)を含む、上記項目のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板用銅張積層板。
(項目6)
前記接着剤(2’)が更に反応性アルコキシシリル化合物(E)を含む、上記項目のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板用銅張積層板。
(項目7)
前記反応性アルコキシシリル化合物(E)が、一般式:Q-Si(R
1)
a(OR
2)
3-a(式中、Qは酸無水物基と反応する官能基を含む基を、R
1は水素又は炭素数1~8の炭化水素基を、R
2は炭素数1~8の炭化水素基を、aは0、1又は2を表す。)で表される上記項目に記載のフレキシブルプリント配線板用銅張積層板。
(項目8)
前記絶縁フィルム(3)がポリイミドフィルムである、上記項目のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板用銅張積層板。
(項目9)
上記項目のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板用銅張積層板の銅箔面に回路パターン層を有する、フレキシブルプリント配線板。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態に係る銅張積層板は、低粗度の銅箔を薄膜の接着層で絶縁フィルムに密着させたものであるが、該銅箔の十点平均粗さ(Rz)、該接着層の組成及び厚み、並びに該絶縁フィルムの熱膨張係数を夫々限定したことによって、該銅箔の引き剥がし強さが大きく、耐熱性が良好であり、かつ反りもない等、優れた特性を示す。
【0011】
本実施形態に係る銅張積層板及びこれを用いて得られるフレキシブルプリント配線板は、スマートフォンや携帯電話に代表されるモバイル型通信機器に組み込まれるディスプレイドライバ、カメラモジュール、3Dタッチセンサー基板等の、ファインピッチ、多層配線板の製造に適している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る銅張積層板(片面態様)の1例を示した模式図である。
【
図2】本実施形態に係る銅張積層板(両面態様)の1例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1.フレキシブルプリント配線板用銅張積層板)
本実施形態に係る銅張積層板は、少なくとも(1)所定表面粗さの銅箔(以下、銅箔(1)ともいう)、(2)所定厚みの接着層(以下、接着層(2)ともいう)、及び(3)所定熱膨張係数の絶縁フィルム(以下、絶縁フィルム(3)ともいう)を構成要素とする物品である。該銅張積層板は、
図1で示すように片面態様であってもよいし、
図2で示すように両面態様であってもよい。
【0014】
(銅箔(1))
銅箔(1)における接着層(2)と接する面の十点平均粗さ(Rz)の上限の例は、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.2μm等が挙げられ、下限の例は、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.2μm等が挙げられる。銅箔(1)における接着層(2)と接する面の十点平均粗さ(Rz)の上限及び下限の値は上記値に限定されない。銅箔(1)における接着層(2)と接する面の十点平均粗さ(Rz)の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定することができる。1つの実施形態において、銅箔(1)における接着層(2)と接する面の十点平均粗さ(Rz)は、回路信頼性、リフロー工程における発泡発生防止の観点から、0.1~1.5μmが好ましく、0.2~1.1μmがより好ましい。上記十点平均粗さ(Rz)を有する銅箔の例は、圧延銅箔や電解銅箔等が挙げられる。なお、本開示においてRzは、断面曲線から基準長さだけを抜き取った部分において、最高から5番目までの山頂の標高の平均値と、最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差をマイクロメートルで表したものである。
【0015】
銅箔(1)は、その片面又は両面が、粗化処理、防錆化処理等の表面処理が施されたものであってもよい。防錆化処理の例は、Ni,Zn,Sn等を含むメッキ液を用いたメッキ処理や、クロメート処理等の所謂鏡面化処理等が挙げられる。
【0016】
銅箔(1)の厚みは特に限定されない。銅箔(1)の厚みの上限の例は、100、90、80、70、60、50、40、38、30、20、10、5、2、1μm等が挙げられ、下限の例は、90、80、70、60、50、40、38、30、20、10、5、2、1μm等が挙げられる。銅箔(1)の厚みの範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定することができる。1つの実施形態において、好ましくは1~100μm程度、より好ましくは2~38μm程度である。
【0017】
(接着層(2))
接着層(2)は、所定の接着剤(2’)(以下、接着剤(2’)ともいう)の熱硬化物である。
【0018】
接着剤(2’)は、所定の酸無水物基末端ポリイミド(A)(以下、(A)成分ともいう)、架橋剤(B)(以下、(B)成分ともいう)、及び有機溶剤(C)(以下、(C)成分ともいう)を含む組成物である。
【0019】
(酸無水物基末端ポリイミド(A))
(A)成分は、芳香族テトラカルボン酸無水物(a1)(以下、(a1)成分ともいう)及びダイマージアミン(a2)(以下、(a2)成分ともいう)を含む反応成分(α)(以下、(α)成分ともいう)の反応物である。なお、本開示により提供される酸無水物基末端ポリイミドは低吸水性であることから、本実施形態に係る銅張積層板も低吸水性のものとなる。
【0020】
(芳香族テトラカルボン酸無水物(a1))
(a1)成分としては、各種公知の芳香族テトラカルボン酸無水物を特に制限なく使用できる。1つの実施形態において、溶剤可溶性、柔軟性、接着性及び耐熱性の点で、下記一般式(1)
【化3】
(式中、Xは単結合、-SO
2-、-CO-、-O-、-O-C
6H
4-C(CH
3)
2-C
6H
4-O-又は-COO-Y-OCO-を表し、
Yは-(CH
2)
l-又は-H
2C-HC(-O-C(=O)-CH
3)-CH
2-を表し、
lは1~20を表す。)
で示されるものが好ましい。(a1)成分は2種以上を併用できる。
【0021】
(a1)成分の例は、ピロメリット酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,3’,4,4’-テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、及び4,4’-[プロパン-2,2-ジイルビス(1,4-フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物等が挙げられる。
【0022】
(ダイマージアミン(a2))
ダイマージアミンは、オレイン酸等の不飽和脂肪酸の二量体であるダイマー酸から誘導される化合物であり(特開平9-12712号公報等参照)、各種公知のものを特に制限なく使用できる。以下、ダイマージアミンの非限定的な構造式を示す(各式において、m+n=6~17であり、p+q=8~19であり、破線部は炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合を意味する。)。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
以下、水添ダイマージアミンの一例を示す。
【化10】
(a2)成分は二種以上を併用できる
【0023】
(a2)成分の市販品の例は、バーサミン551(BASFジャパン(株)製)、バーサミン552(コグニクスジャパン(株)製;バーサミン551の水添物)、PRIAMINE1075、PRIAMINE1074(いずれもクローダジャパン(株)製)等が挙げられる。
【0024】
(ジアミノポリシロキサン(a3))
(α)成分には、接着層(2)に柔軟性を付与する目的で、各種公知のジアミノポリシロキサン(a3)(以下、(a3)成分ともいう)を含めてよい。(a3)成分は二種以上を併用できる。(a3)成分の例は、α,ω-ビス(2-アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス(4-アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス(5-アミノペンチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(2-アミノフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(4-アミノフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
【0025】
((a2)成分~(a3)成分以外のジアミン(a4))
(α)成分には、必要に応じ、(a2)成分~(a3)成分以外のジアミン(以下、(a4)成分ともいう。)を含めてよい。(a4)成分は二種以上を併用できる。
(a4)成分の例は、脂環式ジアミン、ビスアミノフェノキシフェニルプロパン、ジアミノジフェニルエーテル、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノフェニルプロパン、ジアミノフェニルヘキサフルオロプロパン、ジアミノフェニルフェニルエタン、ビスアミノフェノキシベンゼン、ビスアミノベンゾイルベンゼン、ビスアミノジメチルベンゼン、ビスアミノジトリフルオロメチルベンジルベンゼン、アミノフェノキシビフェニル、ビスアミノフェノキシアリール化合物、アミノフェノキシフェニルケトン、アミノフェノキシフェニルスルフィド、アミノフェノキシフェニルスルホン、アミノフェノキシフェニルエーテル、アミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン、アルキレンジアミン等が挙げられる。
脂環式ジアミンの例は、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジメチル-ジアミノジシクロヘキシルメタン、テトラメチル-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビス(アミノメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等のビスアミノフェノキシフェニルプロパン;
3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル等のジアミノジフェニルエーテル;
p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン;
3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド等のジアミノジフェニルスルフィド;
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン等のジアミノジフェニルスルホン;
3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン等のジアミノベンゾフェノン;
3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン等のジアミノジフェニルメタン;
2,2-ジ(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)プロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)プロパン等のジアミノフェニルプロパン;
2,2-ジ(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等のジアミノフェニルヘキサフルオロプロパン;
1,1-ジ(3-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ジ(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1-(3-アミノフェニル)-1-(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン等のジアミノフェニルフェニルエタン;
1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン等のビスアミノフェノキシベンゼン;
1,3-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン等のビスアミノベンゾイルベンゼン;
1,3-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン等のビスアミノジメチルベンゼン;
1,3-ビス(3-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン等のビスアミノジトリフルオロメチルベンジルベンゼン;
4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル等のアミノフェノキシビフェニル;
2,6-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6-ビス(3-アミノフェノキシ)ピリジン等のビスアミノフェノキシアリール化合物;
ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン等のアミノフェノキシフェニルケトン;
ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド等のアミノフェノキシフェニルスルフィド;
ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン等のアミノフェノキシフェニルスルホン;
ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル等のアミノフェノキシフェニルエーテル;
2,2-ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等のアミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン;
エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン等のアルキレンジアミン;
その他、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4-フェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4-ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’-ビス(3-アミノフェノキシ)3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、6,6’-ビス(4-アミノフェノキシ)3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2-アミノエチル)エーテル、ビス(3-アミノプロピル)エーテル、ビス[(2-アミノメトキシ)エチル]エ-テル、ビス[2-(2-アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2-(3-アミノプロポキシ)エチル]エーテル、1,2-ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、1,2-ビス[2-(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2-ビス[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコ-ルビス(3-アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコ-ルビス(3-アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコ-ルビス(3-アミノプロピル)エーテル等が挙げられる。
【0026】
(A)成分は、より高い接着性、耐熱性、誘電特性を発現させるため、(a1)成分~(a4)成分の種類及び比率が異なる複数の(A)成分を組み合わせたものであってもよい。
【0027】
(含有量、比率)
酸成分である(a1)成分と、アミン成分である(a2)成分、(a3)成分及び(a4)成分とのモル比[(a1)/〔(a2)+(a3)+(a4)〕]は特に限定されない。上記モル比の上限の例は、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1等が挙げられ、下限の例は、1.4、1.3、1.2、1.1、1等が挙げられる。上記モル比の上限及び下限の値は上述のものに限定されない。上記モル比の範囲は適宜(例えは上記上限及び下限を組み合わせることにより)設定され得る。1つの実施形態において、接着性及び耐熱接着性のバランスより、好ましくは1~1.5程度、より好ましくは1~1.2程度である。
【0028】
アミン成分におけるダイマージアミン(a2)の比率は特に限定されない。アミン成分100モル%における(a2)成分の上限の例は、100、90、80、70、60、50、40、30、20、15モル%等が挙げられ、下限の例は、95、90、80、70、60、50、40、30、20、15、10モル%等が挙げられる。(a2)成分の上限及び下限の値は上記値に限定されない。アミン成分100モル%における(a2)成分の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、接着性、耐熱接着性、フローコントロール性及び低誘電特性のバランスの観点より、アミン成分100モル%において、(a2)成分は、10~100モル%程度が好ましく、30~100モル%程度がより好ましい。
【0029】
アミン成分におけるジアミノポリシロキサン(a3)の比率は特に限定されない。アミン成分100モル%における(a3)成分の上限の例は、50、40、30、20、10、5モル%等が挙げられ、下限の例は、45、40、30、20、10、5、0モル%等が挙げられ(a3)成分の上限及び下限の値は上記値に限定されない。アミン成分100モル%における(a3)成分の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、接着性、耐熱接着性、フローコントロール性及び低誘電特性のバランスの観点より、アミン成分100モル%において、(a3)成分は、0~50モル%程度が好ましく、0~5モル%程度がより好ましい。
【0030】
アミン成分における(a2)成分~(a3)成分以外のジアミン(a4)の比率は特に限定されない。アミン成分100モル%における(a4)成分の上限の例は、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5モル%等が挙げられ、下限の例は、85、80、70、60、50、40、30、20、10、5、0モル%等が挙げられる。(a4)成分の上限及び下限の値は上記値に限定されない。アミン成分100モル%における(a4)成分の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、接着性、耐熱接着性、フローコントロール性及び低誘電特性のバランスの観点より、アミン成分100モル%において、(a4)成分は、0~90モル%程度が好ましく、0~70モル%程度がより好ましい。
【0031】
接着剤(2’)における(A)成分の含有量は特に限定されない。接着剤(2’)100質量%(固形分換算)における(A)成分の含有量の上限の例は、95、94.99、94.95、90、80、70、60、55質量%等が挙げられ、下限の例は、94.99、94.95、90、80、70、60、55、50質量%等が挙げられる。接着剤(2’)100質量%(固形分換算)における(A)成分の含有量の上限及び下限の値は上記値に限定されない。接着剤(2’)100質量%(固形分換算)における(A)成分の含有量の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、接着剤(2’)100質量%(固形分換算)における(A)成分の含有量は、50~95質量%程度が好ましく、50~94.99質量%程度がより好ましく、80~95質量%程度がさらに好ましく、80~94.95質量%程度が特に好ましい。
【0032】
((A)成分の製造方法)
(A)成分は、各種公知の方法で製造できる。(A)成分の製造方法の例は、(a1)成分及び(a2)成分、並びに必要に応じて(a3)成分及び/又は(a4)成分を、通常60~120℃程度(好ましくは80~100℃程度)の温度において、通常0.1~2時間程度(好ましくは0.1~0.5時間)、重付加反応させる工程、次いで、得られた重付加物を更に80~250℃程度、好ましくは100~200℃の温度において、0.5~50時間程度(好ましくは1~20時間程度)、イミド化反応(脱水閉環反応)させる工程を含む方法等が挙げられる。また、各反応時、後述の有機溶剤(C)のうち適切なもの(好ましくは非プロトン系溶剤)を使用できる。
【0033】
イミド化反応の際、各種公知の触媒を使用できる。触媒の例は、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン;ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン;ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン等が挙げられ、二種以上を併用できる。
【0034】
イミド化反応の際、各種公知の脱水剤を使用できる。脱水剤の例は、無水酢酸等の脂肪族酸無水物や無水安息香酸等の芳香族酸無水物等が挙げられ、二種以上を併用できる。
【0035】
((A)成分の物性)
(A)成分のイミド閉環率は、特に限定されない。(A)成分のイミド閉環率の上限の例は、100、90、80、75%等が挙げられ、下限の例は、95、90、80、75、70%等が挙げられる。(A)成分のイミド閉環率の上限及び下限の値は上記値に限定されない。(A)成分のイミド閉環率の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、(A)成分のイミド閉環率は、好ましくは70%以上、より好ましくは85~100%である。ここに「イミド閉環率」とは、(A)成分における環状イミド結合の含有量を意味し、NMRやIR分析等の各種分光手段により決定できる。
【0036】
(A)成分の数平均分子量(Mn)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値をいう。以下、同様。)は特に限定されない。(A)成分の数平均分子量の上限の例は、50000、45000、40000、35000、30000、25000、20000、15000、10000、6000等が挙げられ、下限の例は、45000、40000、35000、30000、25000、20000、15000、10000、6000、5000等が挙げられる。(A)成分の数平均分子量の上限及び下限の値は上記値に限定されない。(A)成分の数平均分子量の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、接着性、耐熱接着性、フローコントロール性及び低誘電特性のバランスより、(A)成分の数平均分子量が5000~50000程度が好ましい。
【0037】
(A)成分の重量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値をいう。以下、同様。)は特に限定されない。(A)成分の重量平均分子量(Mw)の上限の例は、150000、125000、100000、75000、50000、25000、15000等が挙げられ、下限の例は、125000、100000、75000、50000、25000、15000、10000等が挙げられる。(A)成分の重量平均分子量の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、接着性、耐熱接着性、フローコントロール性及び低誘電特性のバランスより、(A)成分の重量平均分子量が、10000~150000程度が好ましい。
【0038】
(A)成分の分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されない。(A)成分の分子量分布(Mw/Mn)の上限の例は、3.0、2.5、2.0、1.6等が挙げられ、下限の例は、2.5、2.0、1.6、1.5等が挙げられる。(A)成分の分子量分布の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、(A)成分の分子量分布(Mw/Mn)は1.5~3.0程度が好ましい。
【0039】
(A)成分の軟化点は、特に限定されない。(A)成分の軟化点の上限の例は、160、150、125、100、75、50、35℃等が挙げられ、下限の例は150、125、100、75、50、35℃等が挙げられる。(A)成分の軟化点の上限及び下限の値は上記値に限定されない。(A)成分の軟化点の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、(A)成分の軟化点が、30~160℃程度が好ましい。本開示において軟化点は、市販の測定器(例えば「DSC6200」、セイコーインスツル(株)社製、「ARES-2KSTD-FCO-STD」、Rheometric Scientfic社製)を用いて測定した粘弾性プロファイルにおいて、剛性率が低下開始する温度である。
【0040】
(A)成分の末端酸無水物基濃度は特に限定されない。(A)成分の末端酸無水物基濃度の上限の例は、20000、17500、15000、12500、10000、7500、5500eq/g等が挙げられ、下限の例は、17500、15000、12500、10000、7500、5500、5000eq/g等が挙げられる。(A)成分の末端酸無水物基濃度の上限及び下限の値は上記値に限定されない。(A)成分の末端酸無水物基濃度の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、5000~20000eq/g程度が好ましい。
【0041】
(架橋剤(B))
(B)成分としては、ポリイミド用の架橋剤であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。中でも、耐熱性、接着性の面で、ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビスマレイミド樹脂及びシアネートエステル樹脂が好ましく、中でも、誘電特性の面で、エポキシ樹脂及び/又はシアネートエステル樹脂がより好ましい。
【0042】
ポリフェニレンエーテル樹脂は、各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、下記一般式で示されるものが好ましい。
【化11】
(式中、Z
1は炭素数1~3のアルキレン基又は単結合を示し、mは0~20を表し、nは0~20を表し、mとnとの合計は1~30を表す。)
【0043】
ポリフェニレンエーテル樹脂の特性は、特に限定されないが、接着力及び低誘電特性の観点より、末端水酸基濃度が900~2500μmol/g程度、及び数平均分子量が800~2000程度であることが好ましい。
【0044】
エポキシ樹脂の例は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ化合物、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、テトラグリシジルキシレンジアミン、これらのエポキシ樹脂をダイマー酸で変性してなる変性エポキシ樹脂、ダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられ、二種以上を併用できる。また市販品の例は、三菱化学(株)製の「jER828」や「jER834」、「jER807」、「jER630」、新日鐵化学(株)製の「ST-3000」、ダイセル化学工業(株)製の「セロキサイド2021P」、新日鐵化学(株)製の「YD-172-X75」、DIC(株)製の「EXA-7250」等が挙げられる。
【0045】
エポキシ樹脂の中でも、下記構造のテトラグリシジルキシレンジアミンは、接着性、耐熱接着性及びフローコントロール性の観点で好ましく、例えば三菱ガス化学(株)製の「Tetrad-X」等の市販品を使用できる。
【化12】
(式中、Z
2はフェニレン基を表す。)
【0046】
エポキシ樹脂には、各種公知の硬化剤を組み合わせることができる。硬化剤の例は、各種のポリフェニレンエーテル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビスマレイミド樹脂及びシアネートエステル樹脂に加え、
無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、メチル-テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、3-ドデセニル無水コハク酸、オクテニルコハク酸無水物等の酸無水物系硬化剤;
ジシアンジアミド(DICY)、芳香族ジアミン(商品名「LonzacureM-DEA」、「LonzacureM-DETDA」等。いずれもロンザジャパン(株)製)、脂肪族アミン等のアミン系硬化剤;
フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂等のフェノール系硬化剤;
フェノール性水酸基含有ホスファゼン(大塚化学(株)製の商品名「SPH-100」等)等の環状ホスファゼン系化合物;
マレイン酸変性ロジンやその水素化物等のロジン系架橋剤;
6,6-(1-メチルエチリデン)ビス(3,4-ジヒドロ-3-フェニル-2H-1,3-ベンゾオキサジン)、6,6-(1-メチルエチリデン)ビス(3,4-ジヒドロ-3-メチル-2H-1,3-ベンゾオキサジン)等のベンゾオキサジン(四国化成工業(株)社製の商品名「ベンゾオキサジンF-a型」、「ベンゾオキサジンP-d型」、エア・ウォーター社製の「RLV-100」等);
4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド等のビスマレイミド(JFEケミカル(株)社製の「BAF-BMI」等);
2-アリルフェノールシアネートエステル、4-メトキシフェノールシアネートエステル、2,2-ビス(4-シアナトフェノール)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ビスフェノールAシアネートエステル、ジアリルビスフェノールAシアネートエステル、4-フェニルフェノールシアネートエステル、1,1,1-トリス(4-シアナトフェニル)エタン、4-クミルフェノールシアネートエステル、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、4,4’-ビスフェノールシアネートエステル、及び2,2‐ビス(4‐シアナトフェニル)プロパン等のシアネートエステル(ロンザジャパン(株)製「PRIMASET BTP-6020S」、「PRIMASET PT-30」等)等が挙げられ、二種以上を併用できる。これらの中でもシアネートエステル化合物が好ましい。上記硬化剤の使用量は特に制限されない。1つの実施形態において、本実施形態に係る接着剤の固形分100質量%において0.1~120質量%程度が好ましく、2~40質量%程度がより好ましい。
【0047】
ベンゾオキサジン樹脂の例は、6,6-(1-メチルエチリデン)ビス(3,4-ジヒドロ-3-フェニル-2H-1,3-ベンゾオキサジン)、6,6-(1-メチルエチリデン)ビス(3,4-ジヒドロ-3-メチル-2H-1,3-ベンゾオキサジン)等が挙げられ、二種以上を併用できる。なお、オキサジン環の窒素には置換基(例えばフェニル基、メチル基、シクロヘキシル基等)が結合していてもよい。また、市販品の例は、四国化成工業(株)社製の「ベンゾオキサジンF-a型」や「ベンゾオキサジンP-d型」、エア・ウォーター社製の「RLV-100」等が挙げられる。
【0048】
ビスマレイミド樹脂の例は、4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド等が挙げられ、二種以上を併用できる。また、市販品の例は、JFEケミカル(株)社製の「BAF-BMI」等が挙げられる。
【0049】
シアネートエステル樹脂の例は、2-アリルフェノールシアネートエステル、4-メトキシフェノールシアネートエステル、2,2-ビス(4-シアナトフェノール)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ビスフェノールAシアネートエステル、ジアリルビスフェノールAシアネートエステル、4-フェニルフェノールシアネートエステル、1,1,1-トリス(4-シアナトフェニル)エタン、4-クミルフェノールシアネートエステル、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、4,4’-ビスフェノールシアネートエステル、及び2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン等が挙げられ、二種以上を併用できる。また、市販品の例は、「PRIMASET BTP-6020S(ロンザジャパン(株)製)」、「PRIMASET PT-30(ロンザジャパン(株)製)」、「CYTESTER TA(三菱ガス化学(株)製)」等が挙げられる。
【0050】
(硬化触媒)
(B)成分には、硬化触媒を組み合わせることができる。硬化触媒の例は、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン;
2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチルー2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾ-ル;
トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン;
テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩;
オクタン酸、ステアリン酸、アセチルアセトネート、ナフテン酸、及びサリチル酸等の有機酸のZn、Cu、及びFe等の有機金属塩;
ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のラジカル開始剤等が挙げられ、二種以上を併用できる。また、当該触媒の使用量は、特に制限されないが、通常、接着剤(2’)の固形分を100質量%として、0.01~5質量%程度である。
【0051】
接着剤(2’)中における(B)成分の含有量は特に限定されない。接着剤(2’)100質量%(固形分換算)における(B)成分の含有量の上限の例は、30、25、20、15、10、5質量%等が挙げられ、下限の例は、25、20、15、10、5、3質量%等が挙げられる。接着剤(2’)100質量%(固形分換算)における(B)成分の含有量の上限及び下限の値は上記値に限定されない。接着剤(2’)100質量%(固形分換算)における(B)成分の含有量の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、接着剤(2’)100質量%(固形分換算)における(B)成分の含有量の範囲は、3~30質量%程度が好ましく、5~20質量%程度がより好ましい。
【0052】
(有機溶剤(C))
(C)成分としては、各種公知の有機溶剤を特に制限なく使用できる。有機溶剤の例は、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド溶剤;
γ-ブチロラクトン等のラクトン溶剤;
メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;
エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル溶剤;
シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン等の脂環式溶剤;
メタノール、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール、クレゾ-ル等のアルコール溶剤;
トルエン、キシレン等の芳香族溶剤等が挙げられ、二種以上を併用できる。
【0053】
接着剤(2’)中における(C)成分の含有量は特に限定されない。接着剤(2’)100質量%における(C)成分の含有量の上限の例は、20、15、10、5、3質量%等が挙げられ、下限の例は、15、10、5、3、2質量%等が挙げられる。接着剤(2’)100質量%(固形分換算)における(C)成分の含有量の上限及び下限の値は上記値に限定されない。接着剤(2’)100質量%(固形分換算)における(C)成分の含有量の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、接着剤(2’)100質量%(固形分換算)における(C)成分の含有量の範囲は、3~30質量%程度が好ましく、2~20質量%程度がより好ましく、5~20質量%程度がさらに好ましく、3~15質量%程度が特に好ましい。
【0054】
(難燃剤(D))
接着剤(2’)には、必要に応じて難燃剤(D)(以下、(D)成分ともいう)を含めてもよい。難燃剤(D)の例は、リン系難燃剤、無機フィラー等が挙げられる。難燃剤は二種以上を併用できる。
【0055】
リン系難燃剤の例は、ポリリン酸やリン酸エステル、フェノール性水酸基を含まないホスファゼン誘導体等が挙げられる。リン系難燃剤は二種以上を併用できる。該ホスファゼン誘導体のうち、環状ホスファゼン誘導体は、難燃性、耐熱性、耐ブリードアウト性等の点で好ましい。環状ホスファゼン誘導体の市販品の例は、大塚化学(株)製のSPB-100や、伏見製薬所(株)製のラビトルFP-300B等が挙げられる。
【0056】
無機フィラーの例は、シリカフィラー、リン系フィラー、フッ素系フィラー、無機イオン交換体フィラー等が挙げられる。無機フィラーは二種以上を併用できる。市販品の例は、デンカ株式会社製のFB-3SDC、クラリアントケミカルズ株式会社製のExolit OP935、株式会社喜多村製のKTL-500F、東亞合成株式会社製のIXE等が挙げられる。
【0057】
接着剤(2’)中における(D)成分の含有量は特に限定されない。接着剤(2’)100質量%(固形分換算)における(D)成分の含有量の上限の例は、30、20、10、5、1、0.2質量%等が挙げられ、下限の例は、25、20、10、5、1、0.1質量%等が挙げられる。接着剤(2’)100質量%(固形分換算)における(D)成分の含有量の上限及び下限の値は上記値に限定されない。接着剤(2’)100質量%(固形分換算)における(D)成分の含有量の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、接着剤(2’)100質量%(固形分換算)における(D)成分の含有量の範囲は、0.1~30質量%程度が好ましく、1~10質量%程度がより好ましい。
【0058】
(反応性アルコキシシリル化合物(E))
接着剤(2’)には、必要に応じて反応性アルコキシシリル化合物(E)(以下、(E)成分ともいう)を含めてよい。(E)成分は、本実施形態に係る接着層の低誘電特性を維持しつつ、その溶融粘度を調節できる。その結果、該接着層と基材との界面密着力(所謂アンカー効果)を高めながら、該基材端から生ずる該硬化層の滲みだしを抑制することができるようになる(以下、かかる操作を“フローコントロール”ということがある。)。
【0059】
(E)成分としては特に制限されず、各種公知のものを使用できる。具体的には、一般式:Q-Si(R1)a(OR2)3-a(式中、Qは酸無水物基と反応する官能基を含む基を、R1は水素又は炭素数1~8の炭化水素基を、R2は炭素数1~8の炭化水素基を、aは0、1又は2を表す。)で表されるものが好ましい。Qに含まれる反応性官能基としては、アミノ基、エポキシ基及びチオール基等が挙げられ、一級アミノ基が好ましい。
【0060】
Qがアミノ基である化合物の例は、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミオンプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン及び3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
【0061】
Qがエポキシ基である化合物の例は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0062】
Qがチオール基である化合物の例は、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランや、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン及び3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0063】
また、(E)成分の含有量も特に限定されない。(A)成分100質量部(固形分換算)における(E)成分の含有量の上限の例は、5.5、5、4、3、2、1、0.5、0.2質量部等が挙げられ、下限の例は、5、4、3、2、1、0.5、0.1質量部等が挙げられる。(A)成分100質量部(固形分換算)における(E)成分の含有量の上限及び下限の値は上記値に限定されない。(A)成分100質量部(固形分換算)における(E)成分の含有量の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、(A)成分100質量部(固形分換算)における(E)成分の含有量は、好ましくは0.1~5.5質量部程度、より好ましくは0.1~3質量部程度である。
【0064】
接着剤(2’)は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分、並びに必要に応じて(D)成分、(E)成分及び/又は添加剤を各種公知の手段で混合したものである。
【0065】
(添加剤)
接着剤(2’)には、必要に応じて、(A)~(E)成分以外の剤を添加剤として含み得る。添加剤の例は、開環エステル化反応触媒や脱水剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、リン系難燃剤、難燃フィラー、シリカフィラー及びフッ素フィラー等が挙げられる。1つの実施形態において、添加剤含有量の例は、接着剤(2’)100質量部(固形分換算)に対して、40質量部未満、25質量部未満、10質量部未満、5質量部未満、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が挙げられ、別の実施形態において、(A)成分100質量部(固形分換算)に対して、300質量部未満、200質量部未満、100質量部未満、50質量部未満、25質量部未満、10質量部未満、5質量部未満、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が挙げられる。
【0066】
接着剤(2’)は、後述の絶縁フィルム(3)に塗工し、熱硬化させることによって、接着層(2)を形成する。硬化条件は後述する。
【0067】
接着層(2)の厚みの上限の例は5、4、3、2.5μm等が挙げられ、下限の例は、4.5、4、3、2.5、2μm等が挙げられる。接着層(2)の厚みの上限及び下限の値は上述のものに限定されない。接着層(2)の厚みの範囲は、適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。接着層(2)の厚みは特に限定されないが、1つの実施形態において、薄膜化した場合にも銅箔(1)を絶縁フィルム(3)に密着させるという本発明の趣旨より、好ましくは2~5μm程度、より好ましくは2~4μm程度である。
【0068】
(絶縁フィルム(3))
絶縁フィルム(3)の100℃~200℃における熱膨張係数の上限の例は、30、25、23、20、15、13、10、9、5等が挙げられ、下限の例は、25、23、20、15、13、10、9、5、4等が挙げられる。絶縁フィルム(3)の100℃~200℃における熱膨張係数の上限及び下限の値は上記値に限定されない。1つの実施形態において、銅張積層板の反りや、引き剥がし強さの低下を抑制する観点から、絶縁フィルム(3)の100℃~200℃における熱膨張係数は、4~30ppm/℃程度が好ましく、13~23ppm/℃程度がより好ましい。なお、本開示において、熱膨張係数は、100℃~200℃の範囲における絶縁フィルム(3)の(伸縮率/温度)の値を意味し、例えば熱機械分析装置(チャック間距離:20mm、試片の幅:4mm、荷重:10mg、昇温レート:10℃/minの引張モード)を用いて測定できる。
【0069】
絶縁フィルム(3)の厚みは特に限定されず、本実施形態に係るプリント配線板の用途にも依存する。絶縁フィルム(3)の厚みの上限の例は、40、35、30、25、20、15、10、6μm等が挙げられ、下限の例は、35、30、25、20、15、10、6、5μm等が挙げられる。絶縁フィルム(3)の厚みの上限及び下限の値は上述のものに限定されない。絶縁フィルム(3)の厚みの範囲は、適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、絶縁フィルム(3)の厚みは、5~40μm程度が好ましい。
【0070】
絶縁フィルム(3)の例は、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、液晶ポリマーフィルム及びフレキシブルエポキシ/ガラスクロスからなる複合フィルム等が挙げられる。1つの実施形態において、耐熱性、寸法安定性、絶縁性の点でポリイミドフィルムが好ましい。
【0071】
ポリイミドフィルムの例は、特開平5-70590号公報、特開2000-119419号公報、特開2007-56198号公報、特開2005-68408号公報等に記載の方法で得られるものの他、市販のポリイミドフィルムの例は、東洋紡績(株)製のXENOMAX(商品名)、荒川化学工業(株)製のポミランT(商品名)、東レ・デュポン(株)製のカプトン(商品名)、宇部興産(株)製のユーピレックス(商品名)、(株)カネカのアピカル(商品名)等が挙げられる。
【0072】
ポリイミドフィルムは、各種公知の製造方法で得ることができる。ポリイミドフィルムの製造方法は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を実質的に等モルで、有機極性溶剤中で重合させることによって得られるポリアミド酸重合体溶液を、ガラス板やステンレスベルト等の支持体上に流延塗布し、自己支持性を持つ程度に部分的にイミド化又は部分的に乾燥させることによって得られるポリアミド酸フィルム(以下ゲルフィルムともいう)を、該支持体より引き剥がし、端部をピン、クリップ等の方法で固定して更に加熱することによって、残存するポリアミド酸を完全にイミド化することにより得る方法等が挙げられる。市販のポリイミドフィルムの例は、東洋紡績(株)製のXENOMAX(商品名)、荒川化学工業(株)製のポミランT(商品名)、東レ・デュポン(株)製のカプトン(商品名)、宇部興産(株)製のユーピレックス(商品名)、(株)カネカのアピカル(商品名)等が挙げられる。
【0073】
絶縁フィルム(3)の厚みは、特に限定されないが、通常は5μm~125μm程度である。さらに、作製の容易性及び機械的特性の点で、厚みは10~75μm程度が好ましく、10~50μm程度がより好ましい。
【0074】
(銅張積層板の製造方法)
本実施形態に係る銅張積層板は各種公知の方法で得られる。以下、
図1のような片面態様について非限定的な例を示す。なお、
図2のような両面態様は、絶縁フィルム(3)の両面に下記第一工程~第三工程を施すことにより得られる。
【0075】
第一工程:接着剤(2’)を、絶縁フィルム(3)又は銅箔(1)の低粗度面(Rzが0.1~1.5の面)に塗工し、乾燥させることにより、未硬化又は部分硬化状態の接着層(2)を形成する。
第二工程:該接着層(2)に、銅箔(1)をその低粗度面(Rzが0.1~1.5の面)から貼り合わせるか、絶縁フィルム(3)を貼り合わせるかすることにより、銅張積層板を作製する。
第三工程:接着層(2)をアフターキュアする。
【0076】
接着剤(2’)の塗工方法は特に限定されない。接着剤(2’)の塗工方法の例は、刷毛塗り、浸漬塗布、スプレー塗布、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ロールコーター塗布、カーテン塗布等が挙げられる。
【0077】
第一工程の乾燥温度は特に限定されないが、通常40~250℃程度、好ましくは70~170℃程度である。また、乾燥時間は、通常2~15分間程度である。乾燥装置としては、例えば、熱風乾燥、遠赤外線加熱、高周波誘導加熱等を使用できる。
【0078】
第二工程の貼り合わせ手段の例は、ロールラミネーターや熱プレス等を使用できる。その際、40~250℃程度、好ましくは50~200℃程度の温度を加えてもよい。
【0079】
第三工程のアフターキュアは、通常120~250℃、好ましくは70℃~200℃で30分~48時間程度であり、熱風乾燥、遠赤外線加熱、高周波誘導加熱等の炉を通す方法を採用できる。
【0080】
このようにして得られる、本実施形態に係る銅張積層板は、十点平均粗さ(Rz)が0.1~1.5μmという低粗度の銅箔(1)を用い、かつ、接着層(2)の厚みを2~5μm程度に薄膜化した場合であっても、銅箔(1)の引き剥がし強さが0.6N/mm以上、好ましくは0.8~1.2N/mmという強い密着力を示す。引き剥がし強さは、JIS C 6481(プリント配線板用銅張積層板試験方法)に準拠した測定値である。
【0081】
(2.フレキシブルプリント配線板)
本実施形態に係るフレキシブルプリント配線板は、本実施形態に係る銅張積層板より得られる物品である。具体的には、該銅張積層板の銅箔面に各種公知の手段で回路パターンを形成したものであり、パターン形成手段の例は、サブトラクティブ法やセミアディティブ法等が挙げられる。セミアディティブ法の例は、本実施形態に係る銅張積層板の銅箔面に、レジストフィルムでパターニングした後、電解銅メッキを行い、レジストを除去し、アルカリ液でエッチングする方法等が挙げられる。回路パターン層の厚さ及びL/S比は特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明するが、それらによって本発明の範囲が限定されることはない。また、各例中、部及び%は特記しない限り質量基準である。
【0083】
各製造例中、数平均分子量は、市販の測定機(「HLC-8220GPC」、東ソー(株)社製)を用いて得られた値である。
【0084】
各製造例中、軟化点は市販の測定器(「DSC6200」、セイコーインスツル(株)社製)を用いて得られた値である。
【0085】
製造例1
撹拌機、分水器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、市販の芳香族テトラカルボン酸二無水物(商品名「BTDA-UP」、エボニックジャパン(株)製;3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物)210.0g、シクロヘキサノン1008.0g、メチルシクロヘキサン201.6gを仕込み、溶液を60℃まで加熱した。次いで、水添ダイマージアミン(商品名「PRIAMINE 1075」、クローダジャパン(株)製)341.7gを滴下した後、140℃で10時間かけてイミド化反応させることにより、軟化点約80℃及び重量平均分子量約35,000のポリイミド樹脂(A-1)の溶液(不揮発分30.4%)を得た。なお、全ジアミンモノマー中のダイマージアミンの含有量は100モル%、酸成分/アミン成分のモル比は1.03であった。
【0086】
製造例2
製造例1と同様の反応容器に、市販の芳香族テトラカルボン酸二無水物(商品名「BisDA1000」、SABICジャパン合同会社製;4,4’-[プロパン-2,2-ジイルビス(1,4-フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物)200.0g、シクロヘキサノン700.0g、メチルシクロヘキサン175.0gを仕込み、溶液を60℃まで加熱した。次いで、市販の水添ダイマージアミン(商品名「PRIAMINE 1075」、クローダジャパン(株)製 190.5gを滴下した後、140℃で10時間かけてイミド化反応させることにより、軟化点約80℃及び重量平均分子量約35,000のポリイミド(A-2)の溶液(不揮発分30.1%)を得た。なお、酸成分/アミン成分のモル比は1.09であった。
【0087】
製造例3
製造例1と同様の反応容器に、BisDA1000 65.0g、シクロヘキサノン266.5g、メチルシクロヘキサン44.4gを仕込み、溶液を60℃まで加熱した。次いで、PRIAMINE 1075 43.7g、及び1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン5.4gを滴下した後、140℃で10時間かけてイミド化反応させることにより、軟化点約100℃及び重量平均分子量約30,000のポリイミド(A-3)の溶液(不揮発分29.1%)を得た。なお、なお、全ジアミンモノマー中のダイマージアミンの含有量は68モル%、酸成分/アミン成分のモル比は1.05であった。
【0088】
製造例4
製造例1と同様の反応容器に、市販の芳香族テトラカルボン酸二無水物(商品名「BTDA-PF」、エボニックジャパン(株)製;3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物)190.0g、シクロヘキサノン912.0g、メチルシクロヘキサン182.4gを仕込み、溶液を60℃まで加熱した。次いで、PRIAMINE 1075 288.1g、及び市販のポリジメチルシロキサン(商品名「KF-8010」、信越化学工業(株)製。)24.7gを滴下した後、140℃で10時間かけてイミド化反応させることにより、軟化点約70℃及び重量平均分子量約25,000のポリイミド(A-4)の溶液(不揮発分30.6%)を得た。なお、全ジアミンモノマー中のダイマージアミンの含有量は95モル%、酸成分/アミン成分のモル比は1.05であった。
【0089】
製造例5
製造例1と同様の反応容器に、BTDA-PF 190.0g、シクロヘキサノン912.0g、メチルシクロヘキサン182.4gを仕込み、溶液を60℃まで加熱した。次いで、PRIAMINE 1075 277.5g、及びKF-8010 23.8gを滴下した後、140℃で10時間かけてイミド化反応させることにより、軟化点約70℃及び重量平均分子量約15,000のポリイミド(A-5)の溶液(不揮発分30.1%)を得た。なお、全ジアミンモノマー中のダイマージアミンの含有量は95モル%、酸成分/アミン成分のモル比は1.09であった。
【0090】
配合例1
(A)成分として(A-1)成分の溶液100.00g、(B)成分としてテトラグリシジルキシレンジアミン(商品名「Tetrad-X」三菱ガス化学(株)製)7.60g、(C)成分としてトルエン19.07gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤を得た。
【0091】
配合例2
(A)成分として(A-1)成分の溶液100.00g、(B)成分としてTetrad-X 8.66g、(C)成分としてトルエン31.67g、(D)成分として環状フェノキシホスファゼン(商品名「SPB-100」大塚化学(株)製)4.34gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤を得た。
【0092】
配合例3
(A)成分として(A-1)成分の溶液100.00g、(B)成分としてTetrad-X 3.80g、(C)成分としてトルエン19.06g、(D)成分としてSPB-100 3.80gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤を得た。
【0093】
配合例4
(A)成分として(A-1)成分の溶液100.00g、(B)成分としてTetrad-X 1.79g、(C)成分としてトルエン13.86g、(D)成分としてSPB-100 3.57gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤を得た。
【0094】
配合例5
(A)成分として(A-1)成分の溶液100.00g、(B)成分としてTetrad-X 8.09g、(C)成分としてトルエン24.92g、(D)成分としてSPB-100 2.02gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤を得た。
【0095】
配合例6
(A)成分として(A-1)成分の溶液100.00g及び(A-2)成分の溶液33.67g、(B)成分としてTetrad-X 11.55g、(C)成分としてトルエン41.89g、(D)成分としてSPB-100 5.78gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤を得た。
【0096】
配合例7
(A)成分として(A-1)成分の溶液100.00g、(A-2)成分の溶液50.50g、(A-3)成分の溶液104.47g、(B)成分としてTetrad-X 21.66g、(C)成分としてトルエン74.20g、(D)成分としてSPB-100 10.84gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤を得た。
【0097】
配合例8
(A)成分として(A-3)成分の溶液100.00g、(A-4)成分の溶液100.00g、(A-5)成分の溶液50.83g、(B)成分としてTetrad-X 21.38g、(C)成分としてトルエン74.01g、(D)成分としてSPB-100 10.70gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤を得た。
【0098】
配合例9
(A)成分として(A-1)成分の溶液100.00g、(A-2)成分の溶液50.50g、(A-3)成分の溶液104.47g、(B)成分としてTetrad-X 21.66g、(C)成分としてトルエン74.20g、(D)成分としてシアノ基含有環状フェノキシホスファゼン(商品名「ラビトルFP-300B」伏見製薬所(株)製) 10.84gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤を得た。
【0099】
配合例10
(A)成分として(A-1)成分の溶液100.00g、(A-2)成分の溶液50.50g、(A-3)成分の溶液104.47g、(B)成分としてTetrad-X 21.70g、(C)成分としてトルエン72.85g、(D)成分としてSPB-100 10.84g、(E)成分としてN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM-603」信越化学工業(株)製)のメタノール溶液(固形分10%)2.17gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤を得た。
【0100】
配合例11
(A)成分として(A-1)成分の溶液100.00g、(A-2)成分の溶液50.50g、(A-3)成分の溶液104.47g、(B)成分としてN,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン(商品名「jER630」、三菱化学(株)製)10.45g及びフェノールノボラック樹脂(商品名「タマノル759」荒川化学工業(株)製)のメチルエチルケトン溶液(固形分50%)22.61g、(C)成分としてトルエンを61.69g、(D)成分としてSPB-100 10.85g、(E)成分としてKBM-603のメタノール溶液(固形分10%)2.17gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤を得た。
【0101】
配合例12
(A)成分として(A-1)成分の溶液100.00g、(A-2)成分の溶液50.50g、(A-3)成分の溶液104.47g、(B)成分としてjER630 14.10g及びBis-A型シアネートエステル(商品名「CYTESTER TA」、三菱ガス化学(株)製)のメチルエチルケトン溶液(固形分40%)19.06g、(C)成分としてトルエンを61.48g、(D)成分としてSPB-100 10.85g、(E)成分としてKBM-603のメタノール溶液(固形分10%)2.17gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤を得た。
【0102】
配合例13
(A)成分として(A-2)成分の溶液100.00g、(A-3)成分の溶液241.00g、(B)成分としてjER630 2.56g及びBis-A型シアネートエステル(商品名「CYTESTER TA」、三菱ガス化学(株)製、以下「TA」とも記載する)のメチルエチルケトン溶液(固形分40%)6.80g、(C)成分としてトルエンを12.90g、(D)成分としてSPB-100 5.59g、(E)成分としてKBM-603のメタノール溶液(固形分10%)2.22gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤を得た。
【0103】
配合例14
(A)成分として(A-2)成分の溶液100.00g、(A-3)成分の溶液241.00g、(B)成分としてjER630 2.56g及びフェノールノボラック樹脂(商品名「タマノル759」荒川化学工業(株)製、以下「T759」とも記載する)のメチルエチルケトン溶液(固形分50%)5.53g、(C)成分としてトルエンを14.33g、(D)成分としてSPB-100 5.59g、(E)成分としてKBM-603のメタノール溶液(固形分10%)2.22gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤を得た。
【0104】
配合例15
(A)成分として(A-2)成分の溶液100.00g、(A-3)成分の溶液241.00g、(B)成分としてEXA-7250(DIC(株)製)3.20g及びフェノールノボラック樹脂(商品名「タマノル759」荒川化学工業(株)製)のメチルエチルケトン溶液(固形分50%)4.14g、(C)成分としてトルエンを14.91g、(D)成分としてSPB-100 5.59g、(E)成分としてKBM-603のメタノール溶液(固形分10%)2.22gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤を得た。
【0105】
比較配合例1
(A)成分としてアクリルエラストマー溶液(ナガセケムテックス(株)製、商品名「SG-708-6」、メチルエチルケトン溶液、固形分20.0%)100.00g、(B)成分としてTetrad-X 5.70g、(C)成分としてメチルエチルケトン(以下MEKともいう)を5.86g、(D)成分としてSPB-100 2.85gを混合し、不揮発分25.0%の接着剤を得た。
【0106】
比較配合例2
(A)成分としてカルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴム(NBR)(JSR(株)製、商品名「XER-32C」)のメチルエチルケトン溶液(固形分17.5%)100.00g、(B)成分としてTetrad-X 4.99g、(C)成分としてメチルエチルケトンを5.86g(D)成分としてSPB-100 2.50gを混合し、不揮発分22.0%の接着剤を得た。
【0107】
<銅張積層板の作製1>
配合例1~12、比較配合例1、2の接着剤を、ポリイミドフィルム(商品名「カプトン50EN」、東レ・デユポン(株)製;厚み12.5μm;熱膨張係数15ppm/℃)に、乾燥後の厚みが3μmとなるようギャップコーターにて塗布した後、150℃で5分間乾燥させることによって接着層付きポリイミドフィルムを得た。次いでこの接着層付きポリイミドフィルムの接着層面に、圧延銅箔(JX日鉱日石金属製BHY,粗化面側十点平均粗さ(Rz):0.8μm)の粗化面を重ね合わせ、170℃、3MPaで30分間加熱プレスすることで、銅張積層板を得た。これらをそれぞれ実施例1~12、比較例1、2とした。
【0108】
<銅張積層板の作製2>
配合例1の接着剤を、乾燥後の厚みが5μmとなるようギャップコーターにて塗布する以外は、<銅張積層板の作製1>と同様の工程で、銅張積層板を得た。これを実施例16とした。
【0109】
<接着性試験>
実施例及び比較例の各銅張積層板について、JIS C-6481(フレキシブルプリント配線板用銅張積層板試験方法)に準じ、引き剥がし強さ(N/mm)を測定した。結果を表1に示す。
【0110】
<接着層の誘電率及び誘電正接の測定>
配合例1~15及び比較配合例1~2の接着剤組成物を、フッ素樹脂PFA平皿(直径75mm、(株)相互理化学硝子製作所製)に7g注ぎ、30℃×10時間、70℃×10時間、100℃×6時間、120℃×6時間、150℃×6時間、180℃×12時間の条件で硬化させることによって、膜厚約300μmの硬化物シートを得た。次いで、該硬化物シートについて、JIS C2565に準じ、10GHzにおける誘電率及び誘電正接を、市販の誘電率測定装置(空洞共振器タイプ、エーイーティー製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0111】
<外観変化>
実施例の銅張積層板について、硬化後、288℃のはんだ浴に銅箔側を下にして30秒浮かべ、外観変化の有無を確認した。耐熱性の項目においては、変化無しを○、発泡、膨れがある場合を×とした。結果を表1に示す。
【0112】
【表1】
※有機溶剤(C)には(C)成分以外に含まれる有機溶剤も含まれ得る。
【0113】
<回路評価用プリント配線板の作製>
実施例及び比較例の銅張積層板について、ライン/スペース=0.2/0.2(mm)のレジストパターンを形成したものを、濃度40%の塩化第二鉄水溶液に浸漬することによってエッチングし、銅回路を形成した。このようにして、プリント配線板を作製することができた。