(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】光ファイバ保持用キャピラリ及び光学部品
(51)【国際特許分類】
G02B 6/24 20060101AFI20220712BHJP
G02B 6/46 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
G02B6/24
G02B6/46
(21)【出願番号】P 2017192415
(22)【出願日】2017-10-02
【審査請求日】2020-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 一嘉
(72)【発明者】
【氏名】岸本 俊輔
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06393191(US,B1)
【文献】特開2012-133139(JP,A)
【文献】特開2000-155234(JP,A)
【文献】特表2000-501848(JP,A)
【文献】特開2000-081536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02
G02B 6/04- 6/08
G02B 6/24
G02B 6/255-6/27
G02B 6/30- 6/34
G02B 6/36- 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の光ファイバを貫通孔内に収納するためのキャピラリであって、
第1の光ファイバと、該第1の光ファイバと外径が異なる第2の光ファイバとが、前記貫通孔内において互いに接触し保持されるように、前記貫通孔が設けられており、
前記貫通孔の外径をRとし、前記第1の光ファイバの外径をR
1とし、前記第2の光ファイバの外径をR
2としたときに、
前記貫通孔の外径Rが、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバの外径の和(R
1+R
2)よりも大きく、前記キャピラリの前記貫通孔側における内壁面は、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバが前記貫通孔内に収納されるときに、前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバと空隙を隔てて対向する部分を有
し、
前記キャピラリの外径中心が、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバの接点と略同一の位置となるように、前記貫通孔が設けられている、光ファイバ保持用キャピラリ。
【請求項2】
2本の光ファイバを貫通孔内に収納するためのキャピラリであって、
第1の光ファイバと、該第1の光ファイバと外径が異なる第2の光ファイバとが、前記貫通孔内において互いに接触し保持されるように、前記貫通孔が設けられており、
前記貫通孔の外径をRとし、前記第1の光ファイバの外径をR
1
とし、前記第2の光ファイバの外径をR
2
としたときに、
前記貫通孔の外径Rが、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバの外径の和(R
1
+R
2
)よりも大きく、前記キャピラリの前記貫通孔側における内壁面は、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバが前記貫通孔内に収納されるときに、前記第1の光ファイバ又は前記第2の光ファイバと空隙を隔てて対向する部分を有し、
前記キャピラリの外径中心が、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバの中心間距離の中点と略同一の位置となるように、前記貫通孔が設けられている
、光ファイバ保持用キャピラリ。
【請求項3】
前記キャピラリの内壁面に角部を有さない、請求項1
又は2に記載の光ファイバ保持用キャピラリ。
【請求項4】
前記貫通孔の外径Rと、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバの外径の和(R
1+R
2)との差(R-(R
1+R
2))が、0.1μm以上、10μm以下である、請求項1~
3のいずれか1項に記載の光ファイバ保持用キャピラリ。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の光ファイバ保持用キャピラリと、
前記光ファイバ保持用キャピラリに収納されてい
る2本の光ファイバと、
を備える、光学部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の光ファイバを収納するための光ファイバ保持用キャピラリ及び該光ファイバ保持用キャピラリを用いた光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバ同士、または光ファイバと発光・受光素子等とを接続する際に複数本の光ファイバを収納し保持するため、キャピラリ、スリーブ、フェルールなどと呼ばれる光ファイバ接続用ガラス部品が用いられている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、貫通孔を有する保持部材と、該貫通孔に収納された光ファイバとを備える光学部品が開示されている。特許文献1には、保持部材の2つの貫通孔にそれぞれ光ファイバを収納した光学部品や、保持部材の1つの貫通孔に複数の光ファイバを収納した光学部品などが記載されている。なお、特許文献1の
図4に示されているように、複数の光ファイバを用いる場合、断面形状が略同一の形状で、外径の等しい光ファイバが用いられている。
【0004】
下記の特許文献2には、ガラス管内に複数の光ファイバが収納された光学結合器が開示されている。特許文献2においても、断面形状が略同一の形状で、外径の等しい光ファイバが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2002/071115号
【文献】特表2000-501848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、例えば、外径の大きい光ファイバを用いたデバイスと、外径の小さい光ファイバを用いたデバイスとを同時に使用する場合などに、外径の異なる複数の光ファイバを保持したいという需要が高まりつつある。
【0007】
しかしながら、例えば、キャピラリなどのガラス部品の1つの貫通孔において外径が異なる光ファイバを保持しようとすると、不必要なスペースが形成されるため、光ファイバの位置ずれが生じるおそれがある。そのため、各光ファイバの外径に対応する貫通孔を形成して、光ファイバごとに貫通孔に収納し保持する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、各光ファイバの中心間の距離が大きくなり、光の挿入角度が大きくなる。一方、光の挿入角度を小さくするためには、光源から光ファイバまでの距離を大きくする必要があるが、この場合、デバイスが大型化するという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、外径の異なる光ファイバを用いた場合においても、小型化を図ることを可能とする、光ファイバ保持用キャピラリ及び該光ファイバ保持用キャピラリを用いた光学部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光ファイバ保持用キャピラリは、少なくとも2本以上の光ファイバを貫通孔内に収納するためのキャピラリであって、第1の光ファイバと、該第1の光ファイバと外径が異なる第2の光ファイバとが、前記貫通孔内において互いに接触し保持されるように、前記貫通孔が設けられていることを特徴としている。
【0010】
本発明の光ファイバ保持用キャピラリでは、前記キャピラリの径方向断面において、前記第1の光ファイバと接する前記キャピラリの第1の内壁面と、前記第2の光ファイバと接する前記キャピラリの第2の内壁面とが、略同一円周上にあることが好ましい。
【0011】
本発明の光ファイバ保持用キャピラリは、2本の光ファイバを貫通孔内に収納するためのキャピラリであってもよい。
【0012】
前記キャピラリの外径中心が、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバの接点と略同一の位置となるように、前記貫通孔が設けられていることが好ましい。
【0013】
前記キャピラリの外径中心が、前記第1の光ファイバ及び前記第2の光ファイバの中心間距離の中点と略同一の位置となるように、前記貫通孔が設けられていることが好ましい。
【0014】
本発明の光ファイバ保持用キャピラリは、少なくとも3本以上の光ファイバを前記貫通孔内に収納するためのキャピラリであってもよい。
【0015】
前記キャピラリの径方向断面において、前記少なくとも3本以上の光ファイバのそれぞれのコアが略一直線上となるように、前記貫通孔が設けられていることが好ましい。
【0016】
本発明の光ファイバ保持用キャピラリは、前記キャピラリの内壁面に角部を有さないことが好ましい。
【0017】
本発明の光学部品は、本発明に従って構成される光ファイバ保持用キャピラリと、前記光ファイバ保持用キャピラリに収納されている少なくとも2本以上の光ファイバと、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、外径の異なる光ファイバを用いた場合においても、小型化を図ることを可能とする、光ファイバ保持用キャピラリを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る光学部品を示す模式的断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る光学部品において貫通孔が設けられている部分を拡大して示す模式的断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る光学部品の第1の変形例を示す模式的断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る光学部品の第2の変形例を示す模式的断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る光学部品の第3の変形例を示す模式的断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る光学部品の第4の変形例を示す模式的断面図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る光学部品を示す模式的断面図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係る光学部品を示す模式的断面図である。
【
図9】本発明の第4の実施形態に係る光学部品を示す模式的断面図である。
【
図10】本発明の第5の実施形態に係る光学部品を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光学部品を示す模式的断面図である。また、
図2は、本発明の第1の実施形態に係る光学部品において貫通孔が設けられている部分を拡大して示す模式的断面図である。
【0022】
図1に示すように、光学部品10は、光ファイバ保持用キャピラリ1と、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5とを備える。光ファイバ保持用キャピラリ1は、ガラスにより構成されている。もっとも、光ファイバ保持用キャピラリ1の材料は特に限定されず、例えば、樹脂、金属、セラミックス、結晶化ガラスなどにより構成されていてもよい。また、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5は、それぞれ、コア4a,5a及びコア4a,5aを被覆しているクラッド4b,5bを有する。コア4a,5a及びクラッド4b,5bは、例えば、石英ガラスなどにより構成することができる。
【0023】
光ファイバ保持用キャピラリ1の内部には、貫通孔2が形成されている。貫通孔2内には、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5が収納されている。光ファイバ保持用キャピラリの長手方向は、z方向、すなわち図面奥から手前に向かう方向である。従って、貫通孔2及びその内部に収納される第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5も、z方向に延びるように設けられている。
【0024】
光ファイバ保持用キャピラリ1は、貫通孔2に臨む4つ以上の内壁面3を有する。本実施形態においては、内壁面3が、第1~第4の内壁面3a~3dにより構成されている。第1の内壁面3a及び第2の内壁面3bは、互いに対向している。第3の内壁面3c及び第4の内壁面3dも、互いに対向している。第3の内壁面3c及び第4の内壁面3dは、第1の内壁面3a及び第2の内壁面3bを結んでいる。
【0025】
第1の内壁面3aは、第1の光ファイバ4と接触している。第2の内壁面3bは、第2の光ファイバ5と接触している。第3の内壁面3c及び第4の内壁面3dは、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5の双方と接触している。なお、本明細書において、「接触」とは、「当接」又は「近接」のことをいうものとする。具体的に、内壁面3と各光ファイバとの間隔は、10μm以下であることが好ましい。
【0026】
また、本実施形態では、第2の光ファイバ5の外径が、第1の光ファイバ4の外径より大きい。その形状に対応するように、第3の内壁面3c及び第4の内壁面3dは、それぞれ、第2の光ファイバ5側から第1の光ファイバ4側へ向かって傾斜する傾斜面3c1,3d1を有している。
【0027】
このようにして、本実施形態では、貫通孔2内に、外径の異なる2本の光ファイバ4,5が収納されている。なお、本発明においては、外径の異なる少なくとも2本の光ファイバ4,5が貫通孔2内に収納されていればよく、貫通孔2内に収納される光ファイバの本数は特に限定されない。
【0028】
貫通孔2は、その内部において第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5が互いに接触し保持されるように設けられている。なお、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5間の間隔は、10μm以下であることが好ましい。
【0029】
このように、本実施形態においては、1つの貫通孔2内において、外径の異なる第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5が、接触し保持されている。そのため、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5ごとにそれぞれ貫通孔2を形成し保持する場合と比べて、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5の中心同士の距離を小さくすることができ、光の挿入角度を小さくすることができる。従って、光源から第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5までの距離を大きくする必要がなく、デバイスの小型化を図ることができる。また、貫通孔2内において、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5が接触し保持されていることから、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5の位置ずれが生じ難い。
【0030】
本実施形態の光学部品10は、上記のように外径の異なる第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5を備える。そのため、例えば、外径の大きい第2の光ファイバ5を用いたデバイスと、外径の小さい第1の光ファイバ4を用いたデバイスとを同時に使用することが可能となる。
【0031】
なお、本実施形態では、光ファイバ保持用キャピラリ1の径方向断面において、第1の光ファイバ4と接触する第1の内壁面3aと、第2の光ファイバ5と接触する第2の内壁面3bとが、略同一の円周Q上となるように、貫通孔2が設けられている。このように、第1の内壁面3a及び第2の内壁面3bが、略同一の円周Q上となる場合、より一層容易に貫通孔2を形成することができる。もっとも、本発明においては、第1の内壁面3a及び第2の内壁面3bが、必ずしも略同一の円周Q上となるように、貫通孔2が設けられていなくともよい。
【0032】
また、本実施形態では、光ファイバ保持用キャピラリ1の外径中心Oが、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5の接点Pと略同一の位置となるように、貫通孔2が設けられている。このように、外径中心Oが、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5の接点Pと略同一の位置となる場合、第1の光ファイバ4のコア4aの位置からの光信号と、第2の光ファイバ5のコア5aの位置からの光信号をより一層容易に識別することができる。なお、本発明においては、外径中心Oが、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5の接点Pと略同一の位置となるように設けられていなくともよい。
【0033】
本実施形態においては、光ファイバ保持用キャピラリ1の貫通孔2の外径Rと、第1の光ファイバ4の外径R1及び第2の光ファイバ5の外径R2との差(R-(R1+R2))が、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2μm以下、最も好ましくは1μm以下である。差(R-(R1+R2))が上記上限以下である場合、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5をより一層確実に接触させ保持させることができる。
【0034】
また、差(R-(R1+R2))は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.15μm以上である。差(R-(R1+R2))が上記下限以上である場合、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5を貫通孔2内により一層容易に挿入することができる。
【0035】
また、本実施形態では、第3の内壁面3cが第1の光ファイバ4と接触する部分から第4の内壁面3dが第1の光ファイバ4と接触する部分までの距離L1とし、第3の内壁面3cが第2の光ファイバ5と接触する部分から第4の内壁面3dが第2の光ファイバ5と接触する部分までの距離L2としたときに、比L2/L1が、1.25以上、1.75以下であることが好ましい。同様に、第1の光ファイバ4の外径をR1とし、第2の光ファイバ5の外径をR2としたときに、比R2/R1が、1.25以上、1.75以下であることが好ましい。
【0036】
なお、本実施形態において、貫通孔2の形状は、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5を接触させ保持させ得る限りにおいて、特に限定されない。貫通孔2は、例えば、
図3~
図5に示す第1~第3の変形例のように、第1の内壁面3a及び第2の内壁面3bが略平行となるように設けられていてもよく、第3の内壁面3c及び第4の内壁面3dが略平行となるように設けられていてもよい。
図4に示す第2の変形例のように、第2の内壁面3bから第1の内壁面3aに向かって貫通孔2の大きさが小さくなるように、第3の内壁面3c及び第4の内壁面3dにそれぞれ段差部3c2,3d2が設けられていてもよい。
図5に示す第3の変形例のように、第3の内壁面3c及び第4の内壁面3dにそれぞれ凹部3c3,3d3が設けられていてもよい。また、
図6に示す第4の変形例のように、第3の内壁面3c及び第4の内壁面3dがそれぞれ、第2の内壁面3bから第1の内壁面3aに向かって傾斜していてもよい。
【0037】
また、本実施形態のように、光ファイバ保持用キャピラリ1の内壁面3は、角部を有していないことが好ましい。この場合、光ファイバ保持用キャピラリ1の破損をより一層生じ難くすることができる。第1~第4の内壁面3a~3dそれぞれの接続部であるコーナー部には、例えば、アールや面取りが形成されていてもよい。
【0038】
なお、貫通孔2は、例えば、ガラス元管を用意し、ガラス元管の内部に断面が貫通孔と略同形状の金型を挿入し、加熱しながらガラス元管の内部を真空にしてガラス元管の内壁面を金型に密着させて成形するシュリンク方により貫通孔と略同形状の孔を有する予備成形体を作製し、この予備成形体を加熱して所定の断面寸法、形状に制御しながら所定の寸法精度の貫通孔2を有する長尺のキャピラリに延伸成形することで得ることができる。またガラス素材を流動変形可能な温度に加熱し、ガラスが軟化した状態で金型に流し込み、金型の形状をガラス素材に転写するモールド成形によっても形成することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る光学部品を示す模式的断面図である。
図7に示すように、光学部品20では、光ファイバ保持用キャピラリ11の外径中心Oが、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5の中心間の距離(
図7のO
1とO
2の距離)の中点Mと略同一の位置となるように、貫通孔2が設けられている。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
【0040】
第2の実施形態においても、1つの貫通孔2内において、外径の異なる第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5が、接触し保持されているので、デバイスの小型化を図ることができる。
【0041】
また、第2の実施形態では、光ファイバ保持用キャピラリ11の外径中心Oが、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5の中心間の距離の中点Mと略同一の位置となるように、貫通孔2が設けられていることから、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5をより一層容易にアライメントすることができる。
【0042】
(第3~第5の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施形態に係る光学部品を示す模式的断面図である。
図8に示すように、光学部品30では、光ファイバ保持用キャピラリ21の貫通孔2に、さらに第3の光ファイバ6が収納されている。第3の光ファイバ6は、径方向の断面形状が第1の光ファイバ4と略同一の形状であり、外径が第1の光ファイバ4と略同一である。貫通孔2内においては、第3の光ファイバ6のコア6a、第1光ファイバ4のコア4a、及び第2の光ファイバ5のコア5aがこの順に、略一直線上となるように設けられている。好ましくは、第3の光ファイバ6の外径中心O
3、第1光ファイバ4の外径中心O
1、及び第2の光ファイバ5の外径中心O
2がこの順に、略一直線上となるように設けられていることが望ましい。
【0043】
貫通孔2内において、第3の光ファイバ6は、光ファイバ保持用キャピラリ1の第1の内壁面3aに接触している。第3の光ファイバ6は、第1の光ファイバ4とも接触している。第1の光ファイバ4は、第2の光ファイバ5とも接触している。そして、第2の光ファイバ5は、光ファイバ保持用キャピラリ21の第2の内壁面3bに接触している。本実施形態では、このように配置された状態で、第1~第3の光ファイバ4~6が接触し保持されるように貫通孔2が設けられている。なお、本実施形態においても、より一層製造し易くする観点から、第1の内壁面3a及び第2の内壁面3bが、略同一の円周上にあることが好ましい。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
【0044】
図9は、本発明の第4の実施形態に係る光学部品を示す模式的断面図である。
図9に示すように、光学部品40では、光ファイバ保持用キャピラリ31の貫通孔2内に収納されている第3の光ファイバ6の外径が、第1の光ファイバ4の外径よりも大きい。また、第3の内壁面3c及び第4の内壁面3dは、それぞれ、第2の光ファイバ5側から第1の光ファイバ4側へ向かって傾斜する傾斜面3c1,3d1に加えて、第3の光ファイバ6側から第1の光ファイバ4側へ向かって傾斜する傾斜面3c4,3d4を有している。その他の点は、第3の実施形態と同様である。
【0045】
図10は、本発明の第5の実施形態に係る光学部品を示す模式的断面図である。
図10に示すように、光学部品50では、光ファイバ保持用キャピラリ41の貫通孔2内に収納されている第1~第3の光ファイバ4~6のコア4a~6aが一直線上に設けられていない。第5の実施形態では、
図10のx方向において、第1の光ファイバ4及び第3の光ファイバ6が、第1の内壁面3aに接触している。x方向において、第1の光ファイバ4及び第3の光ファイバ6は、第2の光ファイバ5とも接触している。また、x方向において、第2の光ファイバ5は、第2の内壁面3bとも接触している。また、
図10のy方向において、第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5が、第3の内壁面3cに接触している。y方向において、第1の光ファイバ4は、第3の光ファイバ6に接触している。また、y方向において、第3の光ファイバ6及び第2の光ファイバ5は、第4の内壁面3dに接触している。なお、第3の内壁面3cは、第1の光ファイバ4側から第2の光ファイバ5側へ向かって傾斜する傾斜面3c5を有している。また、第4の内壁面3dは、第3の光ファイバ6側から第2の光ファイバ5側へ向かって傾斜する傾斜面3d5を有している。その他の点は、第3の実施形態と同様である。
【0046】
第3~第5の実施形態で示すように、本発明においては、貫通孔2内に3本以上の光ファイバが設けられていてもよい。その場合、第3の実施形態のように、互いに接触する少なくとも2本の光ファイバの外径が異なっていてもよいし、第4の実施形態のように、互いに接触する全ての光ファイバの外径が異なっていてもよい。また、第3,第4の実施形態のように、3本以上の光ファイバのコア4a~6aが略一直線上となるように貫通孔2が設けられていてもよいし、第5の実施形態のようにコア4a~6aが略一直線上とならないように貫通孔2が設けられていてもよい。
【0047】
また、第3~第5の実施形態においても、1つの貫通孔2内において、外径の異なる第1の光ファイバ4及び第2の光ファイバ5が、接触し保持されている。そのため、デバイスの小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1,11,21,31,41…光ファイバ保持用キャピラリ
2…貫通孔
3…内壁面
3a…第1の内壁面
3b…第2の内壁面
3c…第3の内壁面
3d…第4の内壁面
3c1,3c4,3c5,3d1,3d4,3d5…傾斜面
3c2,3d2…段差部
3c3,3d3…凹部
4…第1の光ファイバ
4a,5a,6a…コア
4b,5b…クラッド
5…第2の光ファイバ
6…第3の光ファイバ
10,20,30,40,50…光学部品