(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】光書込装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/447 20060101AFI20220712BHJP
B41J 2/45 20060101ALI20220712BHJP
H04N 1/036 20060101ALI20220712BHJP
H04N 1/053 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
B41J2/447 101A
B41J2/447 101P
B41J2/45
H04N1/036
H04N1/053
(21)【出願番号】P 2017219640
(22)【出願日】2017-11-15
【審査請求日】2020-10-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】長岡 敦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌彦
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0242263(US,A1)
【文献】特開2009-119756(JP,A)
【文献】特開2007-076074(JP,A)
【文献】特開2017-126482(JP,A)
【文献】特開2011-213116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 2/45
H04N 1/036
H04N 1/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が列状に配された長尺な発光部材と、
複数の突起が間隔をあけて配された長尺な保持部材とを備え、
各突起の頂部に前記発光部材がその光照射面とは反対側の裏面が接する状態で配置され、
各突起の、保持部材の短尺方向、両側に離間して前記保持部材上に接着剤が塗布され、前記発光部材が前記保持部材に固定されている
ことを特徴とする光書込装置。
【請求項2】
前記複数の突起の頂部を包絡する包絡線を想定した場合、光の照射方向から見て、前記包絡線の内側に、複数の発光素子が配置された発光素子領域が存在しており、
各突起の、前記保持部材の短尺方向の両側に、当該突起よりも前記発光素子領域から離間して、前記接着剤が塗布されている
ことを特徴とする請求項1記載の光書込装置。
【請求項3】
前記複数の突起は、保持部材の長尺方向に沿って千鳥状に配置されており、各突起は、光の照射方向から見て、前記複数の発光素子が配置された発光素子領域から短尺方向に離間した位置に存在する
ことを特徴とする請求項1記載の光書込装置。
【請求項4】
前記複数の突起から離間して両側に配された接着剤には、突起に近い側に塗布された接着剤と遠い側に塗布された接着剤とが存在し、近い側の接着剤の塗布量は、遠い側の接着剤の塗布量よりも多い
ことを特徴とする請求項3記載の光書込装置。
【請求項5】
前記複数の突起を第1の突起と定義した場合、前記保持部材上には、第2の突起が形成され、前記第2の突起の頂部に前記発光部材の裏面が接し、前記第2の突起に対しては、前記保持部材の短尺方向の片側にのみ接着剤が塗布されている
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の光書込装置。
【請求項6】
前記複数の突起の頂部は、一つの仮想平面を構成している
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の光書込装置。
【請求項7】
各突起の光の照射方向の高さは、当該突起の頂部が前記発光部材に接する位置から、感光体までの光学距離に応じて調整されている
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の光書込装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の光書込装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子が配された発光パネル及びそのホルダーを備える光書込装置及び光書込装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、帯電装置によって表面が一様に帯電された感光体が光走査装置によって露光走査され、その表面に静電潜像が形成され、当該静電潜像が現像装置によってトナーを用いて現像されてトナー像として顕像化される。光走査装置は、ハウジング内にコリメーターレンズ、シリンドリカルレンズ、走査レンズ、反射ミラー、ポリゴンミラー等の光学部材及びポリゴンミラーを回転駆動するポリゴンモーター等を収容して構成されている。
【0003】
反射ミラーのハウジングへの組付誤差等が存在すると、反射ミラーの撓みにより、走査線が湾曲して画質の低下を招く。この問題を解決するため、反射ミラーを保持する保持部材に反射ミラー側に突出する複数の突出部を設け、走査線の湾曲の形状や程度に応じて複数の突出部から適切なものを選択し、選択した突出部において、保持部材と反射ミラーとを接着剤により部分的に接着することにより、反射ミラーの撓みを補正している(特許文献1)。
【0004】
また、光学部材の組付精度を確保するため、3箇所の座面により当該光学部材を保持する技術が知られている。
【0005】
図12(a)及び(b)に示すように、ホルダー304に3箇所の座面303a、303b、303cを設け、座面303a、303b、303cにより、平面である保持領域303を規定する。保持領域303内に設けた接着剤塗布領域302に厚肉に接着剤を塗布し、光学部材301を座面303a、303b、303cに当接する。ここで、接着剤として、その硬化時に収縮する性質を持つものを使用すれば、接着剤の硬化収縮力によって光学部材301は、座面303a、303b、303cに押しつけられる。その結果、光学部材301は、座面303a、303b、303cにより規定される保持領域303により、精度良く位置決めされ、安定的に保持される。
【0006】
この場合、ホルダー304の面全体を座面として光学部材301を保持するのではなく、光学部材301を保持する座面を、3箇所の座面303a、303b、303cに限定している。座面303a、303b、303cに限定することにより、ホルダー304の面全体を座面とする場合と比較すると、座面の面積が小さくなり、座面の加工精度を確保しやすくなる。
【0007】
また、接着剤は、一般的に光学部材301の材料やホルダー304の材料と比べてヤング率が低いため、環境温度の変化が発生した場合、光学部材301とホルダー304との間の熱膨張差を、接着剤が歪むことで吸収することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、画像形成装置において、複数のOLED(有機発光ダイオード:Organic Light Emitting Diode)を主走査方向に配して構成された発光パネルの光書込装置への使用が検討されている。
【0010】
光書込装置において、このような発光パネルを使用する場合には、低線膨張係数を有しかつ低剛性(薄肉)なガラス基板等を用いることが一般的である。そのため、上述したように、3箇所の座面により発光パネルを保持するとともに、3箇所の座面の内側において、発光パネルを接着固定するという構成を採用すると、次に示すように、発光パネルの捻れや湾曲が発生する場合がある。
【0011】
例えば、
図13(a)に示すように、ホルダー312に設けられた3箇所の座面313、314、315に当接するように、発光パネル311を配し、座面313、314、315により規定された保持領域の内側に設けられた接着剤塗布領域316に接着剤を塗布し、塗布された接着剤が硬化すると、発光パネル311がホルダー312に固定される。このとき、
図13(b)に示すように、接着剤の硬化収縮により、発光パネル311の主走査方向に延伸する側面317、318のうち、発光パネル311に当接する座面314に近い側の側面317から、座面314に遠い側の側面318に向けて、発光パネル311に捩れが発生する。その捩れは、発光パネル311の主走査方向、中央部において、最も大きくなる。
【0012】
また、例えば、
図14(a)に示すように、ホルダー332に設けられた3箇所の座面333、334、335に当接するように、発光パネル331を配し、座面333、334、335により規定される保持領域の内側であって、座面333と座面334の間、及び、座面334と座面335の間に、それぞれ、接着剤塗布領域337及び338を設け、接着剤塗布領域337及び338に接着剤を塗布する。塗布された接着剤が硬化すると、発光パネル331がホルダー332に固定される。このとき、
図14(b)に示すように、接着剤塗布領域337及び338に塗布された接着剤の硬化収縮により、発光パネル331に当接する座面334の位置で、主走査方向に二分割した場合の発光パネル331のそれぞれの側がホルダー332の方向に向って、湾曲する。
【0013】
上記のように、発光パネルの捻れや湾曲が発生すると、発光パネルにおける主走査方向の位置によって、発光パネルから感光体までの光学距離が異なることとなる。この結果、画像の画質の低下を招くという問題がある。
【0014】
本発明は、発光パネルに発生する捻れや湾曲を抑止して、画質の低下を防ぐことができる光書込装置、及び、当該光書込装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明は、光書込装置であって、複数の発光素子が列状に配された長尺な発光部材と、複数の突起が間隔をあけて配された長尺な保持部材とを備え、各突起の頂部に前記発光部材がその光照射面とは反対側の裏面が接する状態で配置され、各突起から見て、保持部材の短尺方向両側において、当該突起から離間して前記保持部材上に接着剤が塗布され、前記発光部材が前記保持部材に固定されていることを特徴とする。
【0016】
ここで、前記複数の突起の頂部を包絡する包絡線を想定した場合、光の照射方向から見て、前記包絡線の内側に、複数の発光素子が配置された領域が存在しており、各突起の、前記保持部材の短尺方向、両側に、当該突起よりも前記発光素子領域から離間して、前記接着剤が塗布されている、としてもよい。
【0017】
ここで、前記複数の突起は、保持部材の長尺方向に沿って千鳥状に配置されており、各突起は、光の照射方向から見て、前記複数の発光素子が配置された発光素子領域から短尺方向に離間した位置に存在する、としてもよい。
【0018】
ここで、前記複数の突起から離間して両側に配された接着剤には、突起に近い側に塗布された接着剤と遠い側に塗布された接着剤とが存在し、近い側の接着剤の塗布量は、遠い側の接着剤の塗布量よりも多い、としてもよい。
【0020】
ここで、前記複数の突起を第1の突起と定義した場合、前記保持部材上には、第2の突起が形成され、前記第2の突起の頂部に前記発光部材の裏面が接し、前記第2の突起に対しては、前記保持部材の短尺方向片側にのみ接着剤が塗布されている、としてもよい。
【0021】
ここで、前記複数の突起の頂部は、一つの仮想平面を構成している、としてもよい。
【0022】
ここで、各突起の光の照射方向の高さは、当該突起の頂部が前記発光部材に接する位置から、感光体までの光学距離に応じて調整されている、としてもよい。
【0023】
また、本発明は、画像形成装置であって、上記の光書込装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
上記の構成によると、発光パネルに発生する捻れや湾曲を抑止して、画質の低下を防ぐことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1の実施の形態としての画像形成装置10の主要な構成を示す図である。
【
図2】(a)光書込装置100の概略構成を示す。(b)発光パネル106の概略平面図、発光パネル106のA-A´線における断面図、及び、発光パネル106のB-B´線における断面図を示す。
【
図3】(a)発光パネル106及び底部113の概略平面図を示す。(b)発光パネル106及び底部113のC-C´線における断面図を示す。
【
図4】座面における反力の方向及び接着剤の硬化収縮力の方向を示す。
【
図5】(a)発光パネル106及び底部113の変形前の状態を示す。(b)発光パネル106及び底部113の変形後の状態を示す。
【
図6】(a)変形例として、ポッティングにより接着された発光パネル106及び底部113を示す。(b)発光パネル106及び底部113のD-D´線における断面図を示す。
【
図7】不適切な例として、発光パネル106と底部113とが離間していない場合を示す。
【
図8】(a)変形例としての発光パネル106及び底部113の概略平面図を示す。(b)発光パネル106及び底部113のE-E´線における断面図を示す。
【
図9】実施の形態2としての発光パネル106A及び底部113の概略平面図を示す。
【
図10】実施の形態3としての発光パネル106B及び底部113の概略平面図を示す。
【
図11】(a)実施の形態4としての発光パネル106Cの断面図を示す。(b)実施の形態4としての発光パネル106C及び底部113を組み付けた場合の断面図を示す。
【
図12】(a)従来技術の光学部材301及びホルダー304の組み付け前の状態を示す斜視図である。(b)従来技術の光学部材301及びホルダー304の組み付け後の状態を示す概略平面図である。
【
図13】課題の第1の例を示す。(a)発光パネル311及びホルダー312の概略平面図を示す。(b)発光パネル311及びホルダー312のF-F´線における断面図を示す。
【
図14】課題の第2の例を示す。(a)発光パネル331及びホルダー332の概略平面図を示す。(b)発光パネル331及びホルダー332のH-H´線における断面図を示す。
【
図15】別の課題の例を示す。(a)発光パネル321及びホルダー322の概略平面図を示す。(b)発光パネル321及びホルダー322のG-G´線における断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
1 第1の実施の形態
以下、本発明に係る第1の実施の形態としての画像形成装置10について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
1.1 画像形成装置10の構成
図1は、画像形成装置10の主要な構成を示す図である。
【0028】
画像形成装置10は、
図1に示すように、所謂タンデム型のカラープリンター装置である。画像形成装置10が備える作像部21Y、21M、21C及び21Kは、制御部102の制御の下、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色のトナー像を形成する。
【0029】
例えば、作像部21Yにおいて、帯電装置22は、感光体ドラム103の周面を一様に帯電させる。光書込装置100は、後述するように、主走査方向にライン状に配列された発光素子を備えており、制御部102が生成したデジタル輝度信号に従って各発光素子を発光させる。これによって、感光体ドラム103の周面に光書込みが行われ、静電潜像が形成される。
【0030】
現像装置23は、感光体ドラム103の周面にトナーを供給して、静電潜像を現像(顕像化)する。1次転写ローラー24は、感光体ドラム103から中間転写ベルト31へトナー像を静電転写(1次転写)する。
【0031】
同様にして、作像部21M、21C及び21Kが形成したM、C、K各色のトナー像が互いに重なり合うように中間転写ベルト31上に1次転写される。1次転写によって形成されたカラートナー像は、矢印A方向に周回走行する中間転写ベルト31によって2次転写ローラー32まで搬送される。これに合わせて、給紙カセット33から供給された記録シートSも2次転写ローラー32まで搬送される。
【0032】
2次転写ローラー32は、中間転写ベルト31上のトナー像を記録シートS上に静電転写(2次転写)する。トナー像を転写された記録シートSは、定着装置34でトナー像を熱定着された後、機外に排出される。
【0033】
1.2 光書込装置100の構成
図2は、光書込装置100の概略構成を示す。
【0034】
光書込装置100は、
図2(a)に示すように、ホルダー104、発光パネル(発光部材)106及びロッドレンズアレイ105から構成されている。
【0035】
(1)発光パネル106
図2(b)は、発光パネル106の概略平面図、発光パネル106のA-A´線における断面図、及び、発光パネル106のB-B´線における断面図を示す。なお、
図2(b)の概略平面図は、封止板を取り外した状態を示している。
【0036】
発光パネル106には、複数の発光素子が列状に配され、発光パネル106は、その配列方向に長尺である。発光パネル106は、
図2(b)に示すように、長尺のガラス基板106a上に長尺のTFT(Thin Film Transistor)基板108が配置されている。
【0037】
TFT基板108には、発光素子アレイを構成するn個の発光素子が主走査方向(Y軸方向)に沿って一列に、同一の間隔で、配列されて形成されている。また、TFT基板180には、駆動部が形成され、駆動部は、それぞれの発光素子に駆動電流を供給して、当該発光素子を発光させる。ここで、nは、例えば、15000である。
【0038】
各発光素子は、一例として、OLEDである。OLEDは、陰極、有機層、陽極及び透明基板の4層から形成されている。陽極は、酸化インジウム(ITO: Indium Tin Oxide)等の透明電極であり、陰極は、アルミニウム等からなる電極である。有機層に通電することによってOLEDは、発光し、陽極と透明のガラス基板106aを通して光が取り出される。
【0039】
また、
図2(b)に示すように、TFT基板108において、発光素子アレイが配置された基板面は、封止領域となっており、スペーサー枠体106cを挟んで封止板106bが取着されている。これによって、封止領域が、外気に触れないように乾燥窒素等を封入した状態で、封止される。なお、吸湿のため、封止領域内に吸湿剤を併せて封入してもよい。また、封止板106bは、例えば、封止ガラスであってもよいし、ガラス以外の材料からなっていてもよい。
【0040】
(2)ロッドレンズアレイ105
ロッドレンズアレイ105は、複数個の円柱状のロッドレンズが、主走査方向(Y軸方向)に沿って、千鳥状に2列に配列されてなる。
【0041】
図2(a)に示すように、発光素子アレイの各発光素子から照射される光ビームがロッドレンズアレイ105を透過して集光されることにより、感光体ドラム103の周面にビームスポットが形成される。ここで、発光素子アレイの各発光素子から照射される光ビームの主光線方向がX軸方向である。
【0042】
(3)ホルダー104
ホルダー104は、
図2(a)に示すように、それぞれ、主走査方向に延伸する長尺の底部(保持部材)113、側部111及び側部112から形成されている。ホルダー104の断面形状は、略、コの字形である。側部111及び側部112により、ロッドレンズアレイ105が挟持されている。
【0043】
図3(a)は、
図2に示す発光パネル106をロッドレンズ105側から見た概略平面図であり、
図3(b)は、
図3(a)のC-C´線における断面図である。
【0044】
底部113には、底部113からロッドレンズアレイ105側に突出する3個の突出部(突起、柱状体)114a、114b及び114cが設けられている(
図2(a)、
図3(a)、(b))。突出部114a、114b及び114cは、それぞれ、副走査方向(Z軸方向)に長尺の直方体形状をしている。突出部114bは、主走査方向、中央部に設けられ、突出部114a及び114cは、それぞれ、主走査方向、両端部に設けられている。
【0045】
直方体形状の突出部114a、114b及び114cをそれぞれ形成する面のうち、ロッドレンズアレイ105に対向する天面は、座面115a、115b及び115cを構成する。座面115a、115b及び115cの副走査方向の幅は、発光パネル106の副走査方向の幅よりも狭い。座面115a、115b及び115cは、底部113上に長尺方向(Y軸)に沿って、一定の間隔をあけて配されている。座面115a、115b及び115cが一つの平面を規定し、座面115a、115b及び115cが、発光パネル106の封止板106bの底面(発光パネル106の光照射面とは反対側の裏面)に当接して、発光パネル106を保持している(
図2(a)、
図3(a)、(b))。各座面が発光パネル106の封止板106bの底面に当接しているので、底部113は、座面と垂直の方向に発光パネル106から離間している。
【0046】
底部113において発光パネル106が配される領域内であって、主走査方向、中央部には、突出部114bの副走査方向、両側に、突出部114bから離間して接着剤塗布領域117c及び117dが設けられている。また、底部113において発光パネル106が配される領域内であって、主走査方向、第1端側には、突出部114aの副走査方向、両側に、突出部114aから離間して接着剤塗布領域117a及び117bが設けられている。さらに、底部113において発光パネル106が配される領域内であって、主走査方向、第1端とは反対側の第2端側には、突出部114cの副走査方向、両側に、突出部114cから離間して接着剤塗布領域117e及び117fが設けられている。
【0047】
接着剤塗布領域117a、117b、117c、117d、117e及び117fには、その硬化時に収縮する性質を持つ接着剤が塗布される。接着剤塗布領域117a、117b、117c、117d、117e及び117fに塗布され硬化した後の接着剤をそれぞれ、符号127a、127b、127c、127d、127e及び127fにより示す(
図3(b)、
図4、
図5(a)。一部については、不図示)。
【0048】
このように、各座面の、底部113の短尺方向、両側に、当該座面から離間して、接着剤が塗布される。
【0049】
座面115a、115b、115cに当接するように、発光パネル106を配し、塗布された接着剤が硬化すると、硬化した接着剤127a、127b、127c、127d、127e及び127fにより、発光パネル106がホルダー104に固定される(
図3(b)、
図4、
図5(a))。
【0050】
1.3 まとめ
以上説明したように、第1の実施の形態の光書込装置100は、主走査方向に複数の発光素子が配置される発光パネル106と、主走査方向に複数箇所設けられた突出部114a、114b及び114cの座面115a、115b、115cにおいて、発光パネル106を保持するホルダー104とを含んで構成されている。突出部114a、114b及び114cにより、主光線方向に離間したホルダー104の底部113と発光パネル106の間を埋めるように、塗布された接着剤が硬化し、発光パネル106がホルダー104の底部113に固定される。接着剤は、座面115a、115b、115cと、主走査方向に同じ位置であって、座面115a、115b、115cの副走査方向、両側に塗布される。各接着剤と座面115a、115b、115cとは、接触していない。
【0051】
ここで、接着剤塗布領域に塗布する接着剤を厚肉にすると、接着剤が硬化した時の収縮量が相対的に増える。このため、接着剤の硬化収縮による発光パネル106の湾曲が懸念される。しかし、
図3(a)に示すように、接着剤は、発光パネル106の長尺方向である主走査方向において、座面と同じ位置に塗布されている。このため、
図4に示すように、接着剤の硬化収縮力118を座面の反力119で相殺することができる。従って、発光パネル106が主走査方向に湾曲することを抑制することができる。
【0052】
この際、発光パネル106の短尺方向である副走査方向においては、座面と接着剤の位置がずれているが、副走査方向の発光パネルの幅が十分に短いため、発光パネル106の副走査方向の湾曲は、問題にならないレベルである。また、発光パネル106の副走査方向の湾曲により、TFT基板108の主走査方向の湾曲が抑制される。
【0053】
さらに、座面の、副走査方向、両側に接着剤が塗布されているため、両側に塗布された接着剤の硬化収縮力による座面を中心とした二つの回転モーメントは、相殺され、Y軸を中心とする発光パネル106の捩れを抑制することができる。
【0054】
また、
図3(a)及び(b)に示すように、離間したホルダー104の底部113と発光パネル106の間を埋めるように、接着剤を塗布すると共に、接着剤を突出部(及び座面)と接触させていない。これにより、
図5(b)に示すように、環境の温度の変化により、発光パネル106とホルダー104の底部113の線膨張係数の差による熱膨張差が生じた場合にも、接着剤127aa、127eaが熱膨張差を吸収して歪むため、発光パネル106(又はホルダー104)において発生した熱膨張が他方のホルダー104(又は発光パネル106)に影響することを抑制することができる。ここで、
図5(a)は、
図5(b)との比較対象であり、接着剤の硬化時から、環境の温度の変化が発生していない場合を示している。
【0055】
また、発明が解決しようとする課題において上述したように、3箇所の座面により発光パネルを保持するとともに、3箇所の座面の内側において、発光パネルを接着固定するという構成を採用すると、次に示すような問題が発生する場合がある。
【0056】
例えば、
図15(a)に示すように、ホルダー322に設けられた3箇所の座面323、324、325に当接するように、発光パネル321を配し、座面323、324、325により規定される保持領域の内側に設けられた接着剤塗布領域326に接着剤を塗布し、塗布された接着剤が硬化すると、発光パネル321がホルダー322に固定される。この場合、発光パネル321における加工精度が不足し、反りが生じているときには、
図15(b)に示すように、接着剤の硬化収縮により、発光パネル321の主走査方向、両端部において反りが残留する。このため、発光パネルにおける主走査方向の位置によって、発光パネルから感光体までの光学距離が異なることとなる。この結果、画像の画質の低下を招くという問題がある。
【0057】
第1の実施の形態では、底部113の主走査方向の両端に、それぞれ、座面を配し、座面に近接して、接着剤を塗布することにより、この問題を解決している。
【0058】
1.4 変形例(1)
第1の実施の形態においては、発光パネル106の底部(発光パネル106の光照射面とは反対側の裏面)と、ホルダー104の底部113との間を、接着剤により固定している。しかし、この方法には、限定されない。次に示すようにしてもよい。
【0059】
図6(a)及び(b)に示すように、底部113において発光パネル106が配される領域に接し当該領域の外側であって、主走査方向、中央部には、接着剤塗布領域121c及び121dが設けられている。接着剤塗布領域121c及び121dは、突出部114bの副走査方向、両側に、突出部114bから離間して配されている。
【0060】
また、底部113において発光パネル106が配される領域に接して当該領域の外側であって、主走査方向、第1端側には、接着剤塗布領域121a及び121bが設けられている。接着剤塗布領域121a及び121bは、突出部114aの副走査方向、両側に、突出部114aから離間して配されている。
【0061】
さらに、底部113において発光パネル106が配される領域に接して当該領域の外側であって、主走査方向、第1端とは反対側の第2端側には、接着剤塗布領域121e及び121fが設けられている。接着剤塗布領域121e及び121fは、突出部114cの副走査方向、両側に、突出部114cから離間して配されている。
【0062】
接着剤塗布領域121a、121c及び121eには、それぞれ、発光パネル106の長尺方向に延伸する側面124、125のうちの側面124に接して、接着剤がポッティングにより、つまり盛られて塗布される。また、接着剤塗布領域121b、121d及び121fには、それぞれ、発光パネル106の長尺方向に延伸する側面124、125のうちの側面125に接して、接着剤がポッティングにより塗布される。
【0063】
接着剤塗布領域121a、121b、121c、121d、121e及び121fに塗布され硬化した接着剤をそれぞれ、符号128a、128b、128c、128d、128e及び128fにより示す(
図6(a)、(b)。一部については、不図示)。
【0064】
ホルダー104の底部113に設けられた3箇所の座面115a、115b、115cに当接するように、発光パネル106を配し、塗布された接着剤が硬化すると、硬化した接着剤128a、128b、128c、128d、128e及び128fにより、発光パネル106がホルダー104に固定される(
図6(a)、(b))。
【0065】
このように、接着剤をポッティングにより塗布して硬化させることにより、発光パネル106をホルダー104に固定させることができる。
【0066】
1.5 不適切な例
次に示すのは、不適切な例である。
【0067】
図7に示すように、底部113には、底部113からロッドレンズアレイ105側に突出する突出部は設けられておらず、底部113の上面において、発光パネル106を保持している。
【0068】
この場合、上記の変形例(1)の場合と同じように、底部113において発光パネル106が配される領域に接して当該領域の外側に、6個の接着剤塗布領域が設けられている。各接着剤塗布領域には、発光パネル106の長尺方向に延伸する二つの側面に接して、接着剤がポッティングにより、つまり盛られて塗布される。各接着剤塗布領域に塗布され硬化した接着剤をそれぞれ、符号122a、122b、122c、122d、122e及び122fにより示す(
図7。一部については、不図示)。
【0069】
ホルダー104の底部113の上面に当接するように、発光パネル106を配し、塗布された接着剤が硬化すると、硬化した接着剤122a、122b、122c、122d、122e及び122fにより、発光パネル106がホルダー104に固定される。
【0070】
この場合、発光パネル106を精度良く保持するためには、ホルダー104の底部113のうち、発光パネル106が当接する面全体について、精度の良い平面に加工する必要があり、製造コストが増加するという問題がある。また、環境の温度の変化が発生した場合に、接着剤122a、122b、122c、122d、122e及び122fにより、発光パネル106とホルダー104の熱膨張差を吸収しにくい、という問題がある。
【0071】
1.6 変形例(2)
第1の実施の形態においては、ホルダー104の底部113に、主走査方向に複数の座面が配置され、その座面は、主走査方向及び副走査方向に幅を有している。しかし、これには限定されない。次に示すようにしてもよい。
【0072】
図8(a)及び(b)に示すように、底部113からロッドレンズアレイ105側に突出し、半球状をした3個の突出部(突起、凸状体)131a、131b及び131cが主走査方向に千鳥状に設けられている。
【0073】
つまり、突出部131bは、主走査方向、中央部であって、主走査方向に延伸する側面134及び135のうち、側面135側に近接して設けられている。また、突出部131aは、主走査方向、第1端側であって、側面134側に近接して設けられている。さらに、突出部131cは、主走査方向、第1端側とは反対側の第2端側であって、側面134側に近接して設けられている。
【0074】
突出部131a、131b及び131cの半球の頂部が、発光パネル106の封止板106bの底面(裏面)に当接して、発光パネル106を保持している。
【0075】
底部113において発光パネル106が配される領域内であって、主走査方向、中央部には、接着剤塗布領域132c及び132dが設けられている。接着剤塗布領域132c及び132dは、それぞれ、突出部131bの副走査方向、両側に、突出部131bから離間して配されている。
【0076】
また、底部113において発光パネル106が配される領域内であって、主走査方向、第1端側には、接着剤塗布領域132a及び132bが設けられている。接着剤塗布領域132a及び132bは、それぞれ、突出部131aの副走査方向、両側に、配されている。
【0077】
さらに、底部113において発光パネル106が配される領域内であって、主走査方向、第1端とは反対側の第2端側には、接着剤塗布領域132e及び132fが設けられている。接着剤塗布領域132e及び132fは、突出部131cの副走査方向、両側に、配されている。
【0078】
接着剤塗布領域132a、132b、132c、132d、132e及び132fには、接着剤が塗布される。接着剤塗布領域132a、132b、132c、132d、132e及び132fに塗布され硬化した接着剤をそれぞれ、符号133a、133b、133c、133d、133e及び133fにより示す(
図8(a)、(b)。一部については、不図示)。
【0079】
ホルダー104の底部113に設けられた3箇所の突出部131a、131b、131cの半球の頂部に当接するように、発光パネル106を配し、塗布された接着剤が硬化すると、硬化した接着剤133a、133b、133c、133d、133e及び133fにより、発光パネル106がホルダー104に固定される。
【0080】
なお、この変形例では、突出部は、半球状であるとしているが、これには、限定されない。円錐状、三角錐状などであるとしてもよい。このように、突出部は、凸状体であればよい。
【0081】
このようにして、発光パネル106をホルダー104に固定させることができる。
【0082】
2 第2の実施の形態
以下、本発明に係る第2の実施の形態としての画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。
【0083】
第2の実施の形態の画像形成装置と、第1の実施の形態の画像形成装置10との相違点は、光書込装置である。ここでは、第2の実施の形態の画像形成装置の光書込装置について、第1の実施の形態の光書込装置100との相違点を中心として、説明する。
【0084】
光書込装置の発光パネル106Aには、
図9に示すように、発光素子アレイを構成する複数個の発光素子142、143、144、・・・が主走査方向(Y軸方向)に沿って、例えば、四列に、同一の間隔で、千鳥状に発光素子領域157に配列されて形成されている。
【0085】
また、ホルダー104の底部113からロッドレンズアレイ105側に突出し、副走査方向(Z軸方向)に長尺で直方体形状をした7個の突出部(柱状体)151a、151b、・・・、151gが、所定の間隔を開けて設けられている。
【0086】
直方体形状の突出部151a、151b、・・・、151gの、それぞれ、ロッドレンズアレイ105に対向する座面152a、152b、・・・、152gが、発光パネル106Aの封止板106bの底面(裏面)に当接して、発光パネル106Aを保持している。ここで、各座面は、底部113に設けられた各突出部(柱状体)の平面状の天面(頂部)である。座面152a、152b、・・・、152gの副走査方向の幅は、発光パネル106Aの副走査方向の幅よりも、狭い。
【0087】
底部113には、底部113において発光パネル106Aが配される領域に接して当該領域の外側に、接着剤塗布領域153a及び155aが設けられている。接着剤塗布領域153a及び155aは、突出部151aの副走査方向、両側に、突出部151aから離間して配されている。
【0088】
また、底部113には、底部113において発光パネル106Aが配される領域に接して当該領域の外側に、接着剤塗布領域153b及び155bが設けられている。接着剤塗布領域153b及び155bは、突出部151bの副走査方向、両側に、突出部151bから離間して配されている。
【0089】
以下、同様に、突出部151c、151d、・・・、151gに対応して、接着剤塗布領域153c及び155c、接着剤塗布領域153d及び155d、・・・、接着剤塗布領域153g及び155gが設けられている。
【0090】
接着剤塗布領域153a、153b、・・・、153gには、それぞれ、発光パネル106Aの長尺方向に延伸する側面158に接して、接着剤がポッティングにより、つまり盛られて塗布される。また、接着剤塗布領域155a、155b、・・・、155gには、それぞれ、発光パネル106Aの長尺方向に延伸する側面159に接して、接着剤がポッティングにより、つまり盛られて塗布される。このように、各座面の副走査方向、両側に、当該座面よりも発光素子が配される発光素子領域157から離間して、接着剤が塗布される。
【0091】
ホルダー104の底部113に設けられた7箇所の座面152a、152b、・・・、152gに当接するように、発光パネル106Aを配し、接着剤塗布領域153a及び155a、153b及び155b、・・・、153g及び155gに塗布された接着剤が硬化すると、硬化した各接着剤により、発光パネル106Aがホルダー104に固定される。
【0092】
上記の通り、発光パネル106Aにおいて、複数の発光素子が主走査方向に千鳥状に配置されている。つまり、複数の発光素子が副走査方向にも幅を持って配置されている。また、各座面の副走査方向の幅は、発光素子が配置される発光素子領域157の副走査方向の幅より広くなっている。
【0093】
7箇所の座面152a、152b、・・・、152gを包絡する包絡線により、一つの仮想平面である保持領域156が規定される。保持領域156は、光の照射方向(主光線方向)から見て発光素子領域157を包含している。
【0094】
このように、保持領域156が光の照射方向から見て発光素子領域157を包含するように、発光パネル106Aがホルダー104に固定されることにより、接着剤の硬化収縮による発光パネル106Aの副走査方向の湾曲が精度を必要とする発光素子領域157に伝わり難くなるため、第1の実施の形態と比べてさらに高精度な保持が可能となる。
【0095】
なお、第2の実施の形態においては、副走査方向に7カ所の座面を配置しているが、副走査方向の座面数は、これに限定されるものではない。座面の数は多いほど発光パネル106Aを高精度に保持することが可能となる。しかし、座面の数を多くすると、ホルダーを製作する際のコスト増加に繋がるので、要求される精度と目標コストを考慮した上で、座面の数を適宜選択することが好ましい。
【0096】
3 第3の実施の形態
以下、本発明に係る第3の実施の形態としての画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。
【0097】
第3の実施の形態の画像形成装置と、第1の実施の形態の画像形成装置10との相違点は、光書込装置である。ここでは、第3の実施の形態の画像形成装置の光書込装置について、第1の実施の形態の光書込装置100との相違点を中心として、説明する。
【0098】
光書込装置の発光パネル106Bには、第2の実施の形態の場合と同様に、
図10に示すように、発光素子アレイを構成する複数個の発光素子162、163、164、・・・が主走査方向に沿って、例えば、四列に、同一の間隔で、千鳥状に発光素子領域179に配列されて形成されている。
【0099】
また、ホルダー104の底部113からロッドレンズアレイ105側に突出し、7個の半球状の突出部(突起、凸状体)171a、171b、・・・、171gが、主走査方向に、所定の間隔を開けて、千鳥状に設けられている。つまり、突出部171b、171d及び171fは、それぞれ、発光パネル106Bの主走査方向に延伸する側面181に近接して設けられ、突出部171a、171c、171e及び171gは、それぞれ、発光パネル106Bの主走査方向に延伸する側面182に近接して設けられている。
【0100】
突出部171a、171b、・・・、171gの半球の頂部が、発光パネル106Bの封止板106bの底面(裏面)に当接して、発光パネル106Bを保持している。
【0101】
このように、複数の突出部が、複数の発光素子が配される発光素子領域161の短尺方向、両側に、底部113の長尺方向に千鳥状に配置される。
【0102】
底部113には、底部113において発光パネル106Bが配される領域に接して当該領域の外側に、接着剤塗布領域176a及び177aが設けられている。接着剤塗布領域176a及び177aは、突出部171aの副走査方向、両側に、突出部171aから離間して配されている。突出部171aに近接する側の接着剤塗布領域176aの面積は、接着剤塗布領域177aの面積よりも広い。
【0103】
また、底部113には、底部113において発光パネル106Bが配される領域に接して当該領域の外側に、接着剤塗布領域176b及び177bが設けられている。接着剤塗布領域176b及び177bは、突出部171bの副走査方向、両側に、突出部171bから離間して配されている。突出部171bに近接する側の接着剤塗布領域176bの面積は、接着剤塗布領域177bの面積よりも広い。
【0104】
以下、同様に、突出部171c、171d、・・・、171gに対応して、接着剤塗布領域176c及び177c、接着剤塗布領域176d及び177d、・・・、接着剤塗布領域176g及び177gが設けられている。突出部171cに近接する側の接着剤塗布領域176cの面積は、接着剤塗布領域177cの面積よりも広い、また、突出部171dに近接する側の接着剤塗布領域176dの面積は、接着剤塗布領域177dの面積よりも広い。以下、同様である。
【0105】
接着剤塗布領域176a及び177a、176b及び177b、・・・、176g及び177gには、それぞれ、発光パネル106Bの長尺方向に延伸する側面182、181に接して、それぞれの接着剤塗布領域の面積に応じた量の接着剤がポッティングにより、つまり盛られて塗布される。
【0106】
ホルダー104の底部113に設けられた7個の突出部171a、171b、・・・、171gの半球の頂部に当接するように、発光パネル106Bを配し、接着剤塗布領域176a及び177a、176b及び177b、・・・、176g及び177gに塗布された接着剤が硬化すると、硬化した各接着剤により、発光パネル106Bがホルダー104に固定される。
【0107】
上記の通り、発光パネル106Bにおいて、複数の発光素子が主走査方向に千鳥状に配置されている。つまり、複数の発光素子が副走査方向にも幅を持って配置されている。
【0108】
7箇所の突出部171a、171b、・・・、171gの半球の頂部を結ぶ線により、一つの平面である保持領域178が規定される。保持領域178の副走査方向の幅は、発光素子が配置される発光素子領域179のほぼ全域について、その副走査方向の幅より広くなっている。このため、保持領域178は、主光線方向に、発光素子領域179をほぼ包含している。保持領域178の副走査方向の幅は、発光パネル106Bの副走査方向の幅よりも、狭い。
【0109】
このように、7個の突出部171a、171b、・・・、171gが発光素子領域179をまたぐように、千鳥状に並んで配置され、また、副走査方向において、突出部に近い側に塗布された接着剤の塗布量よりも、突出部から遠い側に塗布された接着剤の塗布量が少なくなっている。つまり、各突出部の、底部113の短尺方向、両側に塗布された接着剤のうち、当該突出部に近い側に塗布された接着剤の塗布量は、当該突出部に遠い側に塗布された接着剤の塗布量より多い。
【0110】
(まとめ)
副走査方向に複数設けられた座面の平面度を全て高精度に加工するとコスト増加につながってしまう。しかし、各座面の面積をできるだけ小さくすることにより、コストの増加を回避しつつ、座面精度の向上を図ることができる。第3の実施の形態においては、各突出部を半球状にすることにより、突出部の頂部により発光パネル106Bを保持している。このように、複数個の突出部を主走査方向に千鳥状に配置することで、複数個の突出部の頂部により一つの平面である保持領域178を規定し、保持領域178によって発光パネル106Bを保持することが可能となる。
【0111】
また、複数個の突出部を千鳥状に配置することによって、接着剤を塗布する位置から突出部までの距離が副走査方向の両側で異なるので、突出部を挟んで副走査方向両側のそれぞれに位置する接着剤の硬化収縮力による、突出部を中心とする発光パネル106Bの主走査方向に沿った軸周りの回転モーメントが相殺されるように、接着剤の塗布量を適宜調整することが好ましい。
【0112】
上述した構成により、各突出部の、底部113の短尺方向、両側に、接着剤が塗布されており、各突出部の、底部113の短尺方向、両側に塗布された接着剤のうち、当該突出部に近い側に塗布された接着剤の硬化により発生する発光パネル106Bを底部113側に引き寄せる力は、当該突出部に遠い側に塗布された前記接着剤の硬化により発生する発光パネル106Bを底部113側に引き寄せる力より大きくなっている。これにより、発光パネル106Bが副走査方向に捩れることを抑制している。
【0113】
また、回転モーメントの相殺には接着剤の塗布量だけではなく、接着剤の種類を変更することにより、硬化収縮率、弾性率を制御してもよい。つまり、各突出部の、底部113の短尺方向、両側に塗布された接着剤のうち、当該突出部に近い側に塗布された接着剤の硬化収縮率又は硬化後の接着剤の弾性率は、当該突出部に遠い側に塗布された接着剤の硬化収縮率又は硬化後の接着剤の弾性率より大きい、としてもよい。
【0114】
4 第4の実施の形態
以下、本発明に係る第4の実施の形態としての画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。
【0115】
第4の実施の形態の画像形成装置と、第1の実施の形態の画像形成装置10との相違点は、光書込装置である。ここでは、第4の実施の形態の画像形成装置の光書込装置について、第1の実施の形態の光書込装置100との相違点を中心として、説明する。
【0116】
図11(a)に示すように、発光パネル106Cは、第1の実施の形態の光書込装置100の発光パネル106と同じ構造を有している。しかし、発光パネル106Cにおいては、主光線方向(発光素子から照射される光ビームの方向、X軸方向)の厚みに誤差が存在する場合がある。例えば、発光パネル106Cの主光線方向の第1端の厚みと、第1端とは反対側の第2端の厚みとは、異なっている。
【0117】
このように、主光線方向の厚みに誤差を有する発光パネル106Cを、ホルダー104の底部113上に、同じ高さで高精度に加工された座面に当接しても、発光パネル106Cの発光素子が同一平面上にそろわない場合がある。このため、発光パネル106Cにおける主走査方向の位置によって、発光パネルから感光体までの光学距離が異なることとなり、画像の画質の低下を招くという問題がある。
【0118】
そこで、ホルダー104の底部113と、座面を形成する突出部(柱状体)を別の部材とする。
【0119】
発光パネル106Cの主走査方向の位置毎に、その位置の厚みに応じた高さを有する複数の突出部201、202、・・・、205を製造し、製造した突出部201、202、・・・、205を、ホルダー104の底部113の主走査方向の対応する位置に固定する。次に、第1の実施の形態の場合と同様に、発光パネル106Cと底部113との間に、接着剤を塗布し、突出部201、202、・・・、205の天面の座面に当接するように、発光パネル106Cを配する。塗布した接着剤が硬化すると、発光パネル106Cは、底部113に固定される。
【0120】
このように、第4の実施の形態によると、発光パネル106Cの主光線方向の厚みに誤差が存在することにより、発光パネル106Cに形成される発光素子が同一平面上にそろわない場合であっても、ホルダー104の底部113に、主光線方向に、高さを調整した座面を設けることにより、発光パネル106Cに形成される発光素子を精度良く、同一平面状に配置することが可能となる。
【0121】
ここで、突出部は、直方体状の柱状体である。しかし、これには、限定されない。突出部は、半球状、円錐状等の凸状体であるとしてもよい。座面は、柱状体の平面状の天面、又は、凸状体の頂点である。
【0122】
以上説明したように、発光パネル106Cには、複数の発光素子が列状に配され、ホルダー104の底部113には、複数の突出部(突出体)201~205が長尺方向に配されている。各突出部の座面が発光パネル106Cの光照射面とは反対側の裏面に当接する状態で、底部113は、前記座面と垂直の方向に発光パネル106Cから離間している。各座面の、底部113の短尺方向、両側に、当該座面から離間して、発光パネル106Cと底部113の間に、接着剤が塗布されている。塗布され硬化した接着剤により、底部113に発光パネル106Cが固定される。各突出部の光照射方向の高さは、当該突出部の座面が発光パネル106Cに当接する位置における発光パネル106Cの光照射方向の高さに応じて調整されている。つまり、各突出部の光の照射方向の高さは、当該突出部の頂部が発光パネル106Cに接する位置から、感光体ドラム103までの光学距離に応じて調整されている。
【0123】
5 その他の変形例
(1)第2の実施の形態において、副走査方向の7カ所に、突出部の座面を配置し、全ての座面の副走査方向、両側に接着剤塗布領域を設けて、接着剤塗布領域に接着剤を塗布している。しかし、これには、限定されない。
【0124】
図9に示す一部の接着剤塗布領域において、接着剤を塗布しないとしてもよい。
【0125】
例えば、座面152dの副走査方向、両側に配される接着剤塗布領域153d、155dに接着剤を塗布しないとしてもよい。
【0126】
また、座面152cの副走査方向、片側に配される接着剤塗布領域153c、及び、座面152eの副走査方向、片側に配される接着剤塗布領域155eに接着剤を塗布しないとしてもよい。
【0127】
このように、複数の突出部のうち、一部の突出部について、副走査方向、片側にのみ接着剤を塗布してもよい。
【0128】
また、複数の突出部を第1の突出部と定義した場合、底部113上には、第2の突出部が形成され、第2の突起の頂部に発光パネル106Aの裏面が接し、第2の突出部に対しては、底部113上の短尺方向片側にのみ接着剤が塗布されているとしてもよい。
【0129】
このように、多くの接着剤塗布領域のうち、ごくわずかの接着剤塗布領域には、接着剤を塗布しないようにしても、発光パネルは、ホルダーに安定して固定される。また、これにより、製造工程の一部を省略して、製造のコスト低減を図ることができる。
【0130】
(2)第2、第3の実施の形態においては、発光パネルには、複数個の発光素子が主走査方向に沿って、千鳥状に配列されて形成されている。しかし、これには、限定されない。
【0131】
多重露光に用いる発光パネルでは、複数個の発光素子が主走査方向に沿って、格子状に配列されて形成されている、としてもよい。
【0132】
(3)第1~第4の実施の形態においては、発光素子は、OLEDであるとしているが、これには限定されない。発光素子は、LED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)であるとしてもよい。
【0133】
(4)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明にかかる光書込装置は、発光パネルに発生する捻れや湾曲を抑止して、画質の低下を防ぐことができるという優れた効果を奏し、複数の発光素子が配された発光パネル及びそのホルダーを備える光書込装置として有用である。
【符号の説明】
【0135】
10 画像形成装置
21Y、21M、21C、21K 作像部
100 光書込装置
103 感光体ドラム
104 ホルダー
105 ロッドレンズアレイ
106 発光パネル
108 TFT基板
111、112 側部
113 底部
114a、114b、114c 突出部
115a、115b、115c 座面
117a~117f 接着剤塗布領域
121a~121f 接着剤塗布領域
131a、131b、131c 突出部
132a~132f 接着剤塗布領域
152a~152g 座面
153a~153g、155a~155g 接着剤塗布領域
171a~172g 突出部
176a~176g、177a~177g 接着剤塗布領域
201~205 突出部