(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】記録媒体決定装置、画像形成装置及び画像形成システム並びに制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20220712BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
H04N1/60 300
G06T1/00 510
(21)【出願番号】P 2018028438
(22)【出願日】2018-02-21
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三田 三江子
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-169866(JP,A)
【文献】特開2016-009940(JP,A)
【文献】特開2012-142897(JP,A)
【文献】特開2007-181103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00-1/64
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成に指定された指定記録媒体の代わりに、画像形成部の補正処理に使用される代替記録媒体を決定する記録媒体決定部を有する記録媒体決定装置であって、
前記記録媒体決定部は、
前記指定記録媒体から複数の特徴量要素を含む第1特徴量を算出し、前記代替記録媒体の候補から複数の特徴量要素を含む第2特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記補正処理の内容に応じて、前記第1特徴量と前記第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数を決定する重要度係数決定部と、
前記第1特徴量と前記第2特徴量とを比較し、前記重要度係数により重み付けされた前記複数の特徴量要素に基づいて、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度に応じて前記代替記録媒体を決定する特徴量判定部と、
を有することを特徴とする記録媒体決定装置。
【請求項2】
前記重要度係数決定部は、前記補正処理における各特徴量要素の影響の大きさに関して正の相関を有するように、各特徴量要素の前記重要度係数を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体決定装置。
【請求項3】
前記特徴量判定部は、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度が同一値である複数の前記代替記録媒体の候補が存在する場合に、複数の特徴量要素の中で重要度係数がより高い特徴量要素について一致度が高いもの候補を前記代替記録媒体として決定する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれか一項に記載の記録媒体決定装置。
【請求項4】
画像形成に指定された指定記録媒体の代わりに、画像形成部の補正処理に使用される代替記録媒体を決定する記録媒体決定部を有する記録媒体決定装置であって、
前記記録媒体決定部は、
前記指定記録媒体から複数の特徴量要素を含む第1特徴量を算出し、前記代替記録媒体の候補から複数の特徴量要素を含む第2特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記補正処理の内容に応じて、前記第1特徴量と前記第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数として、前記補正処理における各特徴量要素の影響の大きさに関して正の相関を有するように、各特徴量要素の前記重要度係数を決定する重要度係数決定部と、
前記第1特徴量と前記第2特徴量とを前記補正処理の内容に応じて比較し、前記重要度係数により重み付けされた前記複数の特徴量要素に基づいて、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度に応じて前記代替記録媒体を決定する特徴量判定部と、を
有することを特徴とする記録媒体決定装置。
【請求項5】
前記特徴量判定部は、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度が同一値である複数の前記代替記録媒体の候補が存在する場合に、複数の特徴量要素の中で前記重要度係数がより高い特徴量要素について一致度が高いもの候補を前記代替記録媒体として決定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の記録媒体決定装置。
【請求項6】
画像形成に指定された指定記録媒体の代わりに、画像形成部の補正処理に使用される代替記録媒体を決定する記録媒体決定部を有する記録媒体決定装置であって、
前記記録媒体決定部は、
前記指定記録媒体から複数の特徴量要素を含む第1特徴量を算出し、前記代替記録媒体の候補から複数の特徴量要素を含む第2特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記補正処理の内容に応じて、前記第1特徴量と前記第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数を決定する重要度係数決定部と、
前記第1特徴量と前記第2特徴量とを前記補正処理の内容に応じて比較し、前記重要度係数により重み付けされた前記複数の特徴量要素に基づいて、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度に応じて前記代替記録媒体を決定し、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度が同一値である複数の前記代替記録媒体の候補が存在する場合に、複数の特徴量要素の中で前記重要度係数がより高い特徴量要素について一致度が高いもの候補を前記代替記録媒体として決定する特徴量判定部と、を
有することを特徴とする記録媒体決定装置。
【請求項7】
前記特徴量算出部は、表面の物性、坪量、色、サイズのいずれかを特徴量要素とし
て、前記第1特徴量と前記第2特徴量を算出する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の記録媒体決定装置。
【請求項8】
前記特徴量判定部は、階調補正、面内むら補正、位置補正、色補正のいずれかである前記補正処理の内容に応じて、前記第1特徴量と前記第2特徴量とを比較し、前記代替記録媒体を決定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の記録媒体決定装置。
【請求項9】
前記特徴量判定部により決定された前記代替記録媒体を外部あるいは他の装置に通知する通知部を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の記録媒体決定装置。
【請求項10】
前記特徴量判定部により決定された前記代替記録媒体について、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度を外部あるいは他の装置に通知する通知部を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の記録媒体決定装置。
【請求項11】
前記特徴量判定部での決定により複数の前記代替記録媒体の候補が存在する場合に、前記第1特徴量と前記第2特徴量とが類似する順に複数の前記代替記録媒体の候補を外部あるいは他の装置に通知する通知部を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の記録媒体決定装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の記録媒体決定装置と、
前記指定記録媒体を用いて画像形成を実行する画像形成部と、
前記代替記録媒体を用いて前記画像形成部を調整する補正処理を実行する補正処理部と、
有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
前記第1特徴量と前記第2特徴量とを算出するのに必要な特性を測定する測定部を有する、
ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の記録媒体決定装置と、
前記代替記録媒体を用いて補正処理を実行し、前記指定記録媒体を用いて画像形成を実行する画像形成装置と、
有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項15】
前記第1特徴量と前記第2特徴量とを算出するのに必要な特性を測定する測定部を有する、
ことを特徴とする請求項14に記載の画像形成システム。
【請求項16】
画像形成に指定された指定記録媒体の代わりに、画像形成部の補正処理に使用される代替記録媒体を決定する記録媒体決定装置の制御プログラムであって、
画像形成に指定された前記指定記録媒体から複数の特徴量要素を含む第1特徴量を算出し、前記指定記録媒体の代わりとしての前記代替記録媒体の候補から複数の特徴量要素を含む第2特徴量を算出し、前記補正処理の内容に応じて、前記第1特徴量と前記第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数を決定し、前記第1特徴量と前記第2特徴量とを比較し、前記重要度係数により重み付けされた前記複数の特徴量要素に基づいて、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度に応じて前記代替記録媒体を決定するように、記録媒体決定装置のコンピュータを制御する、
ことを特徴とする制御プログラム。
【請求項17】
画像形成に指定された指定記録媒体の代わりに、画像形成部の補正処理に使用される代替記録媒体を決定する記録媒体決定装置の制御プログラムであって、
画像形成に指定された前記指定記録媒体から複数の特徴量要素を含む第1特徴量を算出し、前記指定記録媒体の代わりとしての前記代替記録媒体の候補から複数の特徴量要素を含む第2特徴量を算出し、
前記補正処理の内容に応じて、前記第1特徴量と前記第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数として、前記補正処理における各特徴量要素の影響の大きさに関して正の相関を有するように、各特徴量要素の前記重要度係数を決定し、
前記第1特徴量と前記第2特徴量とを前記補正処理の内容に応じて比較し、前記重要度係数により重み付けされた前記複数の特徴量要素に基づいて、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度に応じて前記代替記録媒体を決定するように、前記記録媒体決定装置のコンピュータを制御する、
ことを特徴とする制御プログラム。
【請求項18】
画像形成に指定された指定記録媒体の代わりに、画像形成部の補正処理に使用される代替記録媒体を決定する記録媒体決定装置の制御プログラムであって、
画像形成に指定された前記指定記録媒体から複数の特徴量要素を含む第1特徴量を算出し、前記指定記録媒体の代わりとしての前記代替記録媒体の候補から複数の特徴量要素を含む第2特徴量を算出し、
前記補正処理の内容に応じて、前記第1特徴量と前記第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数を決定し、
前記第1特徴量と前記第2特徴量とを前記補正処理の内容に応じて比較し、前記重要度係数により重み付けされた前記複数の特徴量要素に基づいて、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度に応じて前記代替記録媒体を決定し、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度が同一値である複数の前記代替記録媒体の候補が存在する場合に、複数の特徴量要素の中で前記重要度係数がより高い特徴量要素について一致度が高いもの候補を前記代替記録媒体として決定するように、前記記録媒体決定装置のコンピュータを制御する、
ことを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりとして、画像形成部の補正を実行するのに適した代替記録媒体を決定することが可能な、記録媒体決定装置、画像形成装置及び画像形成システム並びに制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置によって画像が形成される用紙やフィルムなどの記録媒体(以下、用紙を具体例にする)には多種多様なものが存在している。
そして、これらの用紙に画像形成装置で画像形成をする際には、位置や倍率や濃度や色彩などの所望の画質が要求される。
【0003】
このため、実際の画像形成の実行前に、用紙に補正チャートを画像形成し、この補正チャートを確認して、上述した所望の画質が得られているかを確認したり、画像処理部や画像形成部に対して調整を実行して所望の画質を得るようにしている。この補正チャートの画像形成、補正チャートの確認、画像処理部や画像形成部の調整の一連の作業を補正処理と呼んでいる。
【0004】
この場合、既知の用紙で画像形成する場合には予め調整のパラメータを用意することもできるが、未知の用紙を使用する場合には補正処理によって調整のパラメータを得ることが極めて重要になる。また、既知の用紙であっても画像形成の条件や環境条件などによっては、補正処理によって調整のパラメータを得ることが重要になる。
【0005】
なお、これらの画像形成装置の補正処理について、以下の特許文献にも各種の提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の特許文献1では、未知の用紙を出力用の記録媒体として使用する際に、標準紙との類似度に応じて実施する補正処理を選択する、ことが開示されている。
ここでは、類似度が大の場合は標準紙の色変換パラメータを用いて、中の場合は標準紙の色変換パラメータと未知の紙と標準紙間の階調差を補正する階調パラメータを用いて、小の場合は未知の紙と標準紙間の色差を補正する色変換パラメータを算出して、色補正処理を実施する。
【0008】
すなわち、この特許文献1記載の発明では、使用する標準紙の色変換パラメータは予め複数記録しておき、補正処理で利用することを大原則としている。
そのため、適合する標準紙が必ず存在するとは限らず、類似度が小の標準紙の色変換パラメータをベースとして未知の紙用の色変換パラメータを算出しているが、記録している標準紙との乖離が大きい場合、ベースとする色変換パラメータと未知の紙との色差補間精度は悪くなることが予想される。
【0009】
また、紙面の分光反射特性から紙の類似度を決定することから、紙面上の物性(ザラツキ等)の状態を判断できる事ができないため、物性の影響(定着性や転写性の変化)による階調再現、色再現の変化に対する差分に追従できず、補正精度を保つことが出来ないことも予想される。
【0010】
ところで、印刷物を依頼する依頼者は、利用したい用紙の指定する場合と、用紙の持ち込みを行う場合がある。そして、印刷業者は、依頼を受けた用紙で、高品質な印刷を得るために補正処理を実施してから、印刷物を作成する。ここで、補正処理を行う際には、依頼を受けた用紙で実際に補正チャートを画像形成する必要がある。
【0011】
ところが、依頼者に指定された用紙が特殊である場合には、調整を実施するために必要な枚数の用紙を確保することが困難となることがある。また、依頼を受けた用紙を確保することができるとしても、高価であるため、経済的な理由で十分な枚数の用紙を補正処理に使用できないこともある。
【0012】
本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりとして、画像形成部の補正を実行するのに適した代替記録媒体を決定することが可能な、記録媒体決定装置、画像形成装置及び画像形成システム並びに制御プログラムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、前記した課題を解決すべく、本発明の一側面が反映された記録媒体決定装置、画像形成装置及び画像形成システム並びに制御プログラムは、以下に説明するものである。
(1)本発明の一側面が反映された記録媒体決定装置は、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりに、画像形成部の補正処理に使用される代替記録媒体を決定する記録媒体決定部を有する記録媒体決定装置であって、前記指定記録媒体から複数の特徴量要素を含む第1特徴量を算出し、前記代替記録媒体の候補から複数の特徴量要素を含む第2特徴量を算出する特徴量算出部と、前記補正処理の内容に応じて、前記第1特徴量と前記第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数を決定する重要度係数決定部と、前記第1特徴量と前記第2特徴量とを比較し、前記重要度係数により重み付けされた前記複数の特徴量要素に基づいて、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度に応じて前記代替記録媒体を決定する特徴量判定部とを有することを特徴とする。
また、本発明の一側面が反映された記録媒体決定装置は、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりに、画像形成部の補正処理に使用される代替記録媒体を決定する記録媒体決定部を有する記録媒体決定装置であって、前記記録媒体決定部は、前記指定記録媒体から複数の特徴量要素を含む第1特徴量を算出し、前記代替記録媒体の候補から複数の特徴量要素を含む第2特徴量を算出する特徴量算出部と、前記補正処理の内容に応じて、前記第1特徴量と前記第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数として、前記補正処理における各特徴量要素の影響の大きさに関して正の相関を有するように、各特徴量要素の前記重要度係数を決定する重要度係数決定部と、前記第1特徴量と前記第2特徴量とを前記補正処理の内容に応じて比較し、前記重要度係数により重み付けされた前記複数の特徴量要素に基づいて、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度に応じて前記代替記録媒体を決定する特徴量判定部と、を有することを特徴とする。
また、本発明の一側面が反映された記録媒体決定装置は、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりに、画像形成部の補正処理に使用される代替記録媒体を決定する記録媒体決定部を有する記録媒体決定装置であって、前記記録媒体決定部は、前記指定記録媒体から複数の特徴量要素を含む第1特徴量を算出し、前記代替記録媒体の候補から複数の特徴量要素を含む第2特徴量を算出する特徴量算出部と、前記補正処理の内容に応じて、前記第1特徴量と前記第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数を決定する重要度係数決定部と、前記第1特徴量と前記第2特徴量とを前記補正処理の内容に応じて比較し、前記重要度係数により重み付けされた前記複数の特徴量要素に基づいて、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度に応じて前記代替記録媒体を決定し、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度が同一値である複数の前記代替記録媒体の候補が存在する場合に、複数の特徴量要素の中で前記重要度係数がより高い特徴量要素について一致度が高いもの候補を前記代替記録媒体として決定する特徴量判定部と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一側面が反映された画像形成装置は、上記(1)において、記録媒体決定装置と、前記指定記録媒体を用いて画像形成を実行する画像形成部と、前記代替記録媒を用いて前記画像形成部を調整する補正処理を実行する補正処理部と、有することを特徴とする。また、本発明の一側面が反映された画像形成装置は、前記第1特徴量と前記第2特徴量とを算出するのに必要な特性を測定する測定部を有する、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一側面が反映された画像形成システムは、上記(1)において、記録媒体決定装置と、前記代替記録媒を用いて補正処理を実行し、前記指定記録媒体を用いて画像形成を実行する画像形成装置と、有することを特徴とする。また、本発明の一側面が反映された画像形成システムは、前記第1特徴量と前記第2特徴量とを算出するのに必要な特性を測定する測定部を有する、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一側面が反映された制御プログラムは、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりに、画像形成部の補正処理に使用される代替記録媒体を決定する記録媒体決定装置の制御プログラムであって、画像形成に指定された前記指定記録媒体から複数の特徴量要素を含む第1特徴量を算出し、前記指定記録媒体の代わりとしての前記代替記録媒体の候補から複数の特徴量要素を含む第2特徴量を算出し、前記補正処理の内容に応じて、前記第1特徴量と前記第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数を決定し、前記第1特徴量と前記第2特徴量とを比較し、前記重要度係数により重み付けされた前記複数の特徴量要素に基づいて、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度に応じて前記代替記録媒体を決定するように、記録媒体決定装置のコンピュータを制御する、ことを特徴とする。
また、本発明の一側面が反映された制御プログラムは、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりに、画像形成部の補正処理に使用される代替記録媒体を決定する記録媒体決定装置の制御プログラムであって、画像形成に指定された前記指定記録媒体から複数の特徴量要素を含む第1特徴量を算出し、前記指定記録媒体の代わりとしての前記代替記録媒体の候補から複数の特徴量要素を含む第2特徴量を算出し、前記補正処理の内容に応じて、前記第1特徴量と前記第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数として、前記補正処理における各特徴量要素の影響の大きさに関して正の相関を有するように、各特徴量要素の前記重要度係数を決定し、前記第1特徴量と前記第2特徴量とを前記補正処理の内容に応じて比較し、前記重要度係数により重み付けされた前記複数の特徴量要素に基づいて、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度に応じて前記代替記録媒体を決定するように、前記記録媒体決定装置のコンピュータを制御する、ことを特徴とする。
また、本発明の一側面が反映された制御プログラムは、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりに、画像形成部の補正処理に使用される代替記録媒体を決定する記録媒体決定装置の制御プログラムであって、画像形成に指定された前記指定記録媒体から複数の特徴量要素を含む第1特徴量を算出し、前記指定記録媒体の代わりとしての前記代替記録媒体の候補から複数の特徴量要素を含む第2特徴量を算出し、前記補正処理の内容に応じて、前記第1特徴量と前記第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数を決定し、前記第1特徴量と前記第2特徴量とを前記補正処理の内容に応じて比較し、前記重要度係数により重み付けされた前記複数の特徴量要素に基づいて、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度に応じて前記代替記録媒体を決定し、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度が同一値である複数の前記代替記録媒体の候補が存在する場合に、複数の特徴量要素の中で前記重要度係数がより高い特徴量要素について一致度が高いもの候補を前記代替記録媒体として決定するように、前記記録媒体決定装置のコンピュータを制御する、ことを特徴とする。
【0018】
(2)上記(1)において、前記重要度係数決定部は、前記補正処理における各特徴量要素の影響の大きさに関して正の相関を有するように、各特徴量要素の前記重要度係数を決定する、ことを特徴とする。
(3)上記(1)~(2)において、前記特徴量判定部は、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度が同一値である複数の前記代替記録媒体の候補が存在する場合に、複数の特徴量要素の中で重要度係数がより高い特徴量要素について一致度が高いもの候補を前記代替記録媒体として決定する、ことを特徴とする。
【0019】
(4)上記(1)~(3)において、前記特徴量算出部は、表面の物性、坪量、色、サイズのいずれかを特徴量要素として、前記第1特徴量と前記第2特徴量を算出する、ことを特徴とする。
(5)上記(1)~(4)において、前記特徴量判定部は、階調補正、面内むら補正、位置補正、色補正のいずれかである前記補正処理の内容に応じて、前記第1特徴量と前記第2特徴量とを比較し、前記代替記録媒体を決定することを特徴とする。
【0020】
(6)上記(1)~(5)において、前記特徴量判定部により決定された前記代替記録媒体を外部あるいは他の装置に通知する通知部を備える、ことを特徴とする。
(7)上記(1)~(6)において、前記特徴量判定部により決定された前記代替記録媒体について、前記第1特徴量と前記第2特徴量との類似度を外部あるいは他の装置に通知する通知部を備える、ことを特徴とする。
【0021】
(8)上記(1)~(7)において、前記特徴量判定部での決定により複数の前記代替記録媒体の候補が存在する場合に、前記第1特徴量と前記第2特徴量とが類似する順に複数の前記代替記録媒体の候補を外部あるいは他の装置に通知する通知部を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一側面が反映された記録媒体決定装置、画像形成装置及び画像形成システム並びに制御プログラムでは、以下のような効果を奏することができる。
(1)本発明の一側面が反映された記録媒体決定装置、画像形成装置及び画像形成システム並びに制御プログラムでは、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりに、画像形成部の補正処理に使用される代替記録媒体を決定する際に、画像形成に指定された指定記録媒体から複数の特徴量要素を含む第1特徴量を算出し、指定記録媒体の代わりとしての代替記録媒体の候補から複数の特徴量要素を含む第2特徴量を算出し、補正処理の内容に応じて、第1特徴量と第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数を決定し、第1特徴量と第2特徴量とを比較し、重要度係数により重み付けされた複数の特徴量要素に基づいて、第1特徴量と第2特徴量との類似度に応じて代替記録媒体を決定する。
また、本発明の一側面が反映された記録媒体決定装置、画像形成装置及び画像形成システム並びに制御プログラムでは、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりに、画像形成部の補正処理に使用される代替記録媒体を決定する際に、画像形成に指定された指定記録媒体から複数の特徴量要素を含む第1特徴量を算出し、指定記録媒体の代わりとしての代替記録媒体の候補から複数の特徴量要素を含む第2特徴量を算出し、補正処理の内容に応じて、第1特徴量と第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数として、補正処理における各特徴量要素の影響の大きさに関して正の相関を有するように、各特徴量要素の重要度係数を決定し、第1特徴量と第2特徴量とを補正処理の内容に応じて比較し、重要度係数により重み付けされた複数の特徴量要素に基づいて、第1特徴量と第2特徴量との類似度に応じて代替記録媒体を決定する。
また、本発明の一側面が反映された記録媒体決定装置、画像形成装置及び画像形成システム並びに制御プログラムでは、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりに、画像形成部の補正処理に使用される代替記録媒体を決定する際に、画像形成に指定された指定記録媒体から複数の特徴量要素を含む第1特徴量を算出し、指定記録媒体の代わりとしての代替記録媒体の候補から複数の特徴量要素を含む第2特徴量を算出し、補正処理の内容に応じて、第1特徴量と第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数を決定し、第1特徴量と第2特徴量とを補正処理の内容に応じて比較し、重要度係数により重み付けされた複数の特徴量要素に基づいて、第1特徴量と第2特徴量との類似度に応じて代替記録媒体を決定し、第1特徴量と第2特徴量との類似度が同一値である複数の代替記録媒体の候補が存在する場合に、複数の特徴量要素の中で重要度係数がより高い特徴量要素について一致度が高いもの候補を代替記録媒体として決定する。
【0023】
すなわち、指定記録媒体から算出された第1特徴量と代替記録媒体の候補から算出された第2特徴量とについて、補正処理の内容に応じて比較することで、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりとして、画像形成部の補正を実行するのに適した代替記録媒体を決定することが可能になる。これにより、指定記録媒体が未知の記録媒体であったとしても、代替記録媒体の候補の中から最も類似度が高い代替記録媒体を決定することができる。従って、代替記録媒体を用いた補正処理において適切な調整パラメータを作成することができ、指定記録媒体を用いて高品位の画像形成が可能になる。
【0024】
また、補正処理の内容に応じた重要度係数によって重み付けされた複数の特徴量要素を含む第1特徴量と第2特徴量とを算出して比較することで、補正処理の内容に適した状態で第1特徴量と第2特徴量との類似度の判断ができるようになり、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりとして、画像形成部の補正を実行するのに適した代替記録媒体を決定することが可能になる。これにより、指定記録媒体が未知の記録媒体であったとしても、補正処理に応じて、代替記録媒体の候補の中から最も類似度が高い代替記録媒体を決定することができる。従って、補正処理に応じて、代替記録媒体を用いた補正処理において適切な調整パラメータを作成することができ、指定記録媒体を用いて高品位の画像形成が可能になる。
【0025】
(2)上記(1)において、補正処理における各特徴量要素の影響の大きさに関して正の相関を有するように、各特徴量要素の重要度係数を決定する。すなわち、補正処理の内容と影響度に応じた重要度係数によって重み付けされた複数の特徴量要素を含む第1特徴量と第2特徴量とを算出して比較することで、補正処理の詳細な内容に適した状態で第1特徴量と第2特徴量との類似度の判断ができるようになり、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりとして、画像形成部の補正を実行するのに適した代替記録媒体を決定することが可能になる。これにより、指定記録媒体が未知の記録媒体であったとしても、補正処理に応じて、代替記録媒体の候補の中から最も類似度が高い代替記録媒体を決定することができる。従って、補正処理に応じて、代替記録媒体を用いた補正処理において適切な調整パラメータを作成することができ、指定記録媒体を用いて高品位の画像形成が可能になる。
【0026】
(3)上記(1)~(2)において、第1特徴量と第2特徴量との総合的な類似度が同一値である複数の代替記録媒体の候補が存在する場合に、複数の特徴量要素の中で重要度係数がより高い特徴量要素について一致度が高いもの候補を代替記録媒体として決定する。すなわち、複数の代替記録媒体の候補が指定記録媒体と総合的な類似度が同一値である場合には、複数の特徴量要素の中で重要度係数がより高い特徴量要素についての一致度の高さを判断基準として代替記録媒体を決定することで、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりとして、画像形成部の補正を実行するのに最適な代替記録媒体を決定することが可能になる。これにより、指定記録媒体が未知の記録媒体であったとしても、補正処理に応じて、代替記録媒体の候補の中から最も類似度が高い代替記録媒体を決定することができる。従って、補正処理に応じて、代替記録媒体を用いた補正処理において適切な調整パラメータを作成することができ、指定記録媒体を用いて高品位の画像形成が可能になる。
【0027】
(4)上記(1)~(3)において、表面の物性、坪量、色、サイズのいずれかを特徴量要素として、第1特徴量と第2特徴量を算出することで、補正処理に応じて適切な特性により第1特徴量と第2特徴量との類似度を算出して、適切な代替記録媒体を決定することが可能になる。従って、補正処理に応じて、代替記録媒体を用いた補正処理において適切な調整パラメータを作成することができ、指定記録媒体を用いて高品位の画像形成が可能になる。
【0028】
(5)上記(1)~(4)において、階調補正、面内むら補正、位置補正、色補正のいずれかである補正処理の内容に応じて、第1特徴量と第2特徴量とを算出して比較して代替記録媒体を決定することで、補正処理の具体的な内容に応じて適切な第1特徴量と第2特徴量との類似度を算出して、適切な代替記録媒体を決定することが可能になる。従って、補正処理に応じて、代替記録媒体を用いた補正処理において適切な調整パラメータを作成することができ、指定記録媒体を用いて高品位の画像形成が可能になる。
【0029】
(6)上記(1)~(5)において、決定された代替記録媒体を外部あるいは他の装置に通知することで、適切な代替記録媒体のユーザによる選択や、適切な代替記録媒体の画像形成装置等の他の装置による選択が可能になり、代替記録媒体を用いた補正処理において適切な調整パラメータを作成することができ、指定記録媒体を用いて高品位の画像形成が可能になる。
【0030】
(7)上記(1)~(6)において、決定された代替記録媒体について、第1特徴量と第2特徴量との類似度を外部あるいは他の装置に通知することで、適切な代替記録媒体のユーザによる選択や、適切な代替記録媒体の画像形成装置等の他の装置による選択が可能になり、代替記録媒体を用いた補正処理において適切な調整パラメータを作成することができ、指定記録媒体を用いて高品位の画像形成が可能になる。なお、類似度を通知することで、代替記録媒体の候補が1つである場合にも、代替記録媒体として適切か否かの判断が類似度の数値から可能になり、代替記録媒体を用いた補正処理において適切な調整パラメータを作成することができ、指定記録媒体を用いて高品位の画像形成が可能になる。
【0031】
(8)上記(1)~(7)において、決定により複数の代替記録媒体の候補が存在する場合に、第1特徴量と第2特徴量とが類似する順に複数の代替記録媒体の候補を外部あるいは他の装置に通知することで、適切な代替記録媒体のユーザによる選択や、適切な代替記録媒体の画像形成装置等の他の装置による選択が可能になり、代替記録媒体を用いた補正処理において適切な調整パラメータを作成することができ、指定記録媒体を用いて高品位の画像形成が可能になる。
【0032】
なお、この場合において、ユーザや他の装置の選択により、代替記録媒体の候補として指定記録媒体との類似度が第1順位以外であっても、価格が安い、あるいは、十分な量を用意できるものを代替記録媒体として選択することも可能であり、代替記録媒体を用いた補正処理を必要なだけ繰り返すことが可能になり、代替記録媒体を用いた補正処理において適切な調整パラメータを作成することができ、指定記録媒体を用いて高品位の画像形成が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施形態の画像形成装置の構成を示す構成図である。
【
図2】本発明の実施形態の画像形成装置の構成を示す構成図である。
【
図3】本発明の実施形態の記録媒体決定装置の構成を示す構成図である。
【
図4】本発明の実施形態の記録媒体決定装置の構成を示す構成図である。
【
図5】本発明の実施形態における記録媒体決定の動作を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態における処理の一例を示す説明図である。
【
図7】本発明の実施形態における処理の一例を示す説明図である。
【
図8】本発明の実施形態における処理の一例を示す説明図である。
【
図9】本発明の実施形態における処理の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりとして、画像形成部の補正を実行するのに適した代替記録媒体を決定することが可能な、記録媒体決定装置、画像形成装置及び画像形成システム並びに制御プログラムの実施形態を詳細に説明する。
【0035】
なお、記録媒体とは、画像形成装置によって画像が形成される用紙やフィルムや各種シートなどの各種の媒体を意味している。また、この実施形態では、画像形成に指定される記録媒体を「指定記録媒体」、指定記録媒体の代わりに画像形成部の補正処理に使用される記録媒体を「代替記録媒体」、代替記録媒体を決定する候補に該当する記録媒体を「代替記録媒体の候補」と呼ぶことにする。
【0036】
〔画像形成装置の構成〕
記録媒体決定装置を内蔵する画像形成装置100の構成を
図1~
図2に基づいて詳細に説明する。なお、
図1は画像形成装置100の各部の機能を示す機能ブロック図、
図2は画像形成装置100の各部の機械的構成の概略を示す構成図、である。
【0037】
本実施形態の画像形成装置100は、画像形成装置100内の各部を制御する制御部101と、接続されている他の装置と通信するための通信部102と、利用者による操作入力と画像形成装置100の状態表示とを行う操作表示部103と、各種設定のパラメータやプログラムを記憶する記憶部104と、後述する第1特徴量と第2特徴量とを算出するのに必要な特性を測定する測定部110と、指定記録媒体の代わりに補正処理に使用される代替記録媒体を決定する記録媒体決定部120と、トレイに収容された記録媒体を送出する記録媒体送出部130と、記録媒体を装置内で搬送する搬送部140と、代替記録媒を用いて画像形成部180を調整する補正処理を実行する補正処理部150と、画像形成する際の画像データや各種データを記憶する画像データ記憶部160と、画像形成に必要な各種画像処理を実行する画像処理部170と、画像形成命令と画像データとに基づいて用紙上に画像を形成する画像形成部180と、を備えて構成されている。
【0038】
ここで、記録媒体決定部120は、指定記録媒体から第1特徴量を算出すると共に代替記録媒体の候補から第2特徴量を算出する特徴量算出部121と、第1特徴量と第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数を補正処理の内容に応じて決定する重要度係数決定部122と、算出された第1特徴量と第2特徴量とを一時的に記憶する記憶部123と、重要度係数により重み付けされた複数の特徴量要素に基づいて第1特徴量と第2特徴量との類似度に応じて代替記録媒体を決定する特徴量判定部124と、を有する。
【0039】
なお、画像形成部180の構成の一例を
図2に示す。ここで、画像形成部180において、帯電された像担持体に形成される静電潜像が現像されてトナー像となり、中間転写体上で各色のトナー像が重ね合わされてから指定記録媒体に転写される。すなわち、画像形成部180は、いわゆる電子写真方式の画像形成部である。なお、カラー画像形成部だけではなく、モノクロの画像形成部、基本色の他に特色を使用する画像形成部など、各種の構成が可能である。また、画像形成部180は、インクジェット方式や感熱方式等の他の形式で画像形成を行うものであっても良い。
【0040】
また、記録媒体決定部120を画像形成装置100の内部に設けるだけではなく、画像形成装置100の外部に記録媒体決定装置200として設けることも可能である。この場合、画像形成装置100と記録媒体決定装置200とで画像形成システムを構成することになる。
【0041】
ここで、
図3に示されるように、指定記録媒体の代わりに補正処理に使用される代替記録媒体を決定する記録媒体決定装置200は、記録媒体決定装置200内の各部を制御する制御部201と、接続されている他の装置と通信するための通信部202と、利用者による操作入力と記録媒体決定装置200の状態表示とを行う操作表示部203と、第1特徴量と第2特徴量とを算出するのに必要な特性を測定する測定部210と、指定記録媒体から第1特徴量を算出すると共に代替記録媒体の候補から第2特徴量を算出する特徴量算出部221と、第1特徴量と第2特徴量にそれぞれ含まれる複数の特徴量要素についての重要度係数を補正処理の内容に応じて決定する重要度係数決定部222と、算出された第1特徴量と第2特徴量とを一時的に記憶する記憶部223と、重要度係数により重み付けされた複数の特徴量要素に基づいて第1特徴量と第2特徴量との類似度に応じて代替記録媒体を決定する特徴量判定部224と、を有する。なお、重要度係数を決定する際に補正処理の内容については、制御部201が通信部202を介して画像形成装置から取得する。
【0042】
また、記録媒体決定装置200は、
図4のような構成とすることも可能である。ここでは、第1特徴量と第2特徴量とを算出するのに必要な特性を測定する測定装置300を記録媒体決定装置200とは別体に構成した具体例を示している。また、この場合に、記録媒体決定装置200が測定部を内蔵していて、必要に応じて外部の測定装置300を使用する構成であっても良い。
【0043】
また、以上の記録媒体決定部120や記録媒体決定装置200としての動作は、制御プログラムにより実現される。この制御プログラムによる動作については後述する。
〔動作〕
以下、
図5のフローチャートを参照し、基本となる実施形態の動作説明を行う。
【0044】
なお、ここでは、
図1の画像形成システム1の第1構成例における動作を具体例にする。なお、以下の動作は、制御部101における制御プログラムにより実現される。
画像形成装置100では、画像形成に関する指示を、操作表示部103を介してユーザから受け付けるか、あるいは、通信部102を介して外部機器から受け付ける(
図5中のステップS100)。
【0045】
この画像形成に関する指示としては、画像形成の開始の指示、画像形成する画像データの指定、画像形成の画質の指示、画像形成で使用する記録媒体(指定記録媒体)の指定、画像形成部の補正処理の指定、補正処理に使用される記録媒体の種別(指定記録媒体/代替記録媒体)、などである。
【0046】
なお、補正処理の指定については、指定された画像データや画質から、必要な補正処理を制御部101が自動的に選択することも可能である。例えば、モノクロ2値の画像形成であれば位置補正、モノクロ多値(グレースケール)の画像形成であれば階調補正と位置補正、カラーの画像形成であれば色補正と階調補正と面内むら補正と位置補正、のように自動決定することも可能である。なお、面内むら補正では、画像の面内の色むら又は濃度むらを補正するものである。
【0047】
そして、以上の指示や指定を受けた制御部101は、補正処理の実行有無、補正処理内容、代替記録媒体決定の必要性、などを決定する(
図5中のステップS101)。
ここで、制御部101は、指定記録媒体が不明(未知)であるものの、画像形成予定枚数以上の指定記録媒体が存在する場合や、補正処理に使用するのに十分な枚数の指定記録媒体が存在する場合や、補正処理に使用する指定記録媒体が入手容易である場合などは、指定記録媒体で補正処理を実行すると決定する(
図5中のステップS102でNO)。
【0048】
この場合には、制御部101は、指定記録媒体を使用して、指定された色補正、階調補正、面内むら補正、位置補正、などを実行し(
図5中のステップS105)、得られた補正値を指定記録媒体に対する補正値として記憶部104等に格納する(
図5中のステップS106)。
【0049】
一方、制御部101は、指定記録媒体が不明(未知)であって、画像形成予定枚数以上の指定記録媒体が存在しない場合や、補正処理に使用するのに十分な枚数の指定記録媒体が存在しない場合や、補正処理に使用する指定記録媒体が入手経路や価格の点で入手困難である場合などは、代替記録媒体で補正処理を実行すると決定する(
図5中のステップS102でYES)。
【0050】
この場合には、制御部101は、以下に説明するように、色補正、階調補正、面内むら補正、位置補正、などの補正処理(
図5中のステップS106)を実行する際に、指定記録媒体の代わりとなる代替記録媒体を決定する(
図5中のステップS200~S210)。
【0051】
そこで、制御部101は、代替記録媒体決定の指示と補正処理の処理内容などの情報を記録媒体決定部120に通知する(
図5中のステップS200)。
重要度係数決定部122は、後述するように指定記録媒体から算出される第1特徴量と、後述するように代替記録媒から算出される第2特徴量とを、補正処理の内容に応じて比較する際に、補正処理の内容に適した状態の比較ができるように、補正処理における各特徴量要素の影響の大きさに関して正の相関を有するように、各特徴量要素の重要度係数(重み)を決定する(
図5中のステップS201)。なお、重要度係数の値については、補正処理の内容との関係として予めテーブル等の形で記憶部104等に記憶されている。そして、補正への影響が大きい特徴の係数を大きくし、影響が小さい特徴の係数を小さくする。すなわち、補正処理における各特徴量要素の影響の大きさに関して正の相関を有するように、各特徴量要素の重要度係数(重み)を決定する。そして、予めテーブル等の形で記憶された重要度係数を、必要に応じて重要度係数決定部122が読み出す。
【0052】
ここで、第1特徴量とを算出するのに必要な特性を抽出すべく、測定部110により指定記録媒体を測定する(
図5中のステップS202)。また、第2特徴量とを算出するのに必要な特性を抽出すべく、測定部210により代替記録媒体の候補を測定する(
図5中のステップS203)。ここで、代替記録媒体の候補としては、1又は複数の記録媒体、望ましくは複数の記録媒体を採用する。また、測定部110は、指定記録媒体と代替記録媒体の候補について、後述する特徴量算出部121における特徴量要素の算出に合わせた測定を行う。
【0053】
そして、特徴量算出部121は、指定記録媒体の測定部110での測定結果を参照して第1特徴量を算出し(
図5中のステップS204)、代替記録媒体の候補の測定部110での測定結果を参照して第2特徴量を算出する(
図5中のステップS205)。
なお、特徴量算出部121は、表面の物性、坪量、色、サイズのいずれかを特徴量要素として、第1特徴量と第2特徴量を算出する。なお、記録媒体の表面の物性は、記録媒体の物質の示す物理的性質のことであり、本実施形態では、表面の平滑性、または、ざらつきを意味する。
【0054】
なお、以上の測定部110による指定記録媒体と代替記録媒体の候補の測定(
図5中のステップS202、S203)、及び、特徴量算出部121による第1特徴量と第2特徴量との算出(
図5中のステップS204、S205)は順次実行されるため、後述する比較を行うために第1特徴量と第2特徴量とを記憶部122に一時的に記憶する(
図5中のステップS206、S207)。
【0055】
特徴量判定部124は、記憶部123で一時的に記憶された第1特徴量と第2特徴量と、重要度係数決定部122で決定された重要度係数とを用いて、第1特徴量と第2特徴量とのそれぞれに含まれる特徴量要素に重要度係数を乗じて、第1特徴量と第2特徴量とのそれぞれを数値化し、この数値により第1特徴量と第2特徴量の類似度を算出する(
図5中のステップS208)。
【0056】
すなわち、補正処理の内容(色補正、階調補正、面内むら補正、位置補正、など)に基づき、第1特徴量と第2特徴量とに含まれる各特徴量要素に対する重み付けとしての重要度係数を変えて、重み付けされた特徴量要素の合計により得られる数値を第1特徴量と第2特徴量として、これら数値化された第1特徴量と第2特徴量について比較を行って類似度を算出する。
【0057】
以下、第1特徴量と第2特徴量との補正処理の内容に基づいた類似度の算出について、具体例を用いて説明する。
図6は、補正処理の内容(
図6中の左縦部)に応じた特徴量要素(
図6中の上横部)の重要度係数の一例を示している。ここで、補正処理の内容に応じて、複数の特徴量要素について、合計が1となるように、重要度係数を定めた場合を示す。補正処理の色補正では、特に記録媒体の表面物性で重要度が高く、次いで記録媒体の色の重要度が高く、記録媒体の坪量の重要度は低く、サイズの重要度は極めて低い。補正処理の階調補正では、特に記録媒体の表面物性で重要度が高く、次いで記録媒体の坪量と色の重要度は比較的低く、サイズの重要度は極めて低い。補正処理の面内むら補正では、特に記録媒体の表面物性で重要度が高く、次いで記録媒体の坪量と色とサイズの重要度は比較的低い。補正処理の位置補正では、特に記録媒体のサイズで重要度が高く、記録媒体の坪量の重要度は比較的低く、表面物性と色の重要度はかなり低い。なお、他の補正内容や他の特徴量要素であっても、同様に、補正処理における各特徴量要素の影響の大きさに関して正の相関を有するように、各特徴量要素の重要度係数(重み)を決定すれば良い。
【0058】
図7は、各記録媒体(指定記録媒体、代替記録媒体の候補(1)、代替記録媒体の候補(2))について、測定部110で測定された後に特徴量算出部121算出された、特徴量要素(表面の物性、坪量、色、サイズ)の値を示している。なお、ここでは、各記録媒体で特徴量要素の合計が100となるように正規化した状態で示している。
【0059】
例えば、特徴量要素が表面物性である場合は記録媒体表面のざらつきの度合いを数値化しており、特徴量要素が坪量である場合は記録媒体の坪量(単位面積当たりの重量)の大小を数値化しており、特徴量要素が色である場合は記録媒体表面の色相を数値化しており、特徴量要素がサイズである場合は記録媒体の面積や縦横比を数値化している。
【0060】
図8は、
図6及び
図7の具体例の場合において、補正処理が色補正である場合の代替記録媒体の候補の指定記録媒体に対する類似度の計算例を示している。ここで、類似度の算出は、指定記録媒体と代替記録媒体の候補との間で、各特徴量要素の差分に重要度係数を乗じたものの合計により求めることができる。
【0061】
ここで、補正処理が色補正である場合の代替記録媒体の候補(1)の類似度S(1)の計算は、
S(1)=((100-|35-10|)×0.6)+((100-|5-20|)×0.1)+((100-|5-10|)×0.3)+((100-|5-1|)×0.0)=82
のようになる。
【0062】
同様に、代替記録媒体の候補(2)の類似度S(2)の計算は、
S(2)=((100-|35-20|)×0.6)+((100-|5-5|)×0.1)+((100-|5-10|)×0.3)+((100-|5-3|)×0.0)=89.5
のようになる。
【0063】
ここで、補正処理が階調補正である場合の代替記録媒体の候補(1)の類似度S(1)の計算は、
S(1)=((100-|35-10|)×0.6)+((100-|5-20|)×0.2)+((100-|5-10|)×0.2)+((100-|5-1|)×0.0)=81
のようになる。
【0064】
同様に、代替記録媒体の候補(2)の類似度S(2)の計算は、
S(2)=((100-|35-20|)×0.6)+((100-|5-5|)×0.2)+((100-|5-10|)×0.2)+((100-|5-3|)×0.0)=90
のようになる。
【0065】
ここで、補正処理が色補正である場合の代替記録媒体の候補(1)の類似度S(1)の計算は、
S(1)=((100-|35-10|)×0.45)+((100-|5-20|)×0.1)+((100-|5-10|)×0.1)+((100-|5-1|)×0.1)=61.35
のようになる。
【0066】
同様に、代替記録媒体の候補(2)の類似度S(2)の計算は、
S(2)=((100-|35-20|)×0.45)+((100-|5-5|)×0.1)+((100-|5-10|)×0.1)+((100-|5-3|)×0.1)=67.55
のようになる。
【0067】
ここで、補正処理が位置補正である場合の代替記録媒体の候補(1)の類似度S(1)の計算は、
S(1)=((100-|35-10|)×0.1)+((100-|5-20|)×0.2)+((100-|5-10|)×0.1)+((100-|5-1|)×0.6)=91.6
のようになる。
【0068】
同様に、代替記録媒体の候補(2)の類似度S(2)の計算は、
S(2)=((100-|35-20|)×0.1)+((100-|5-5|)×0.2)+((100-|5-10|)×0.1)+((100-|5-3|)×0.6)=96.8
のようになる。
【0069】
この数式では、最も類似して代替記録媒体の候補が指定記録媒体に等しくなった場合に類似度が100になり、代替記録媒体の候補が指定記録媒体に類似しなくなるにつれて類似度の数値が下がるようにしている。なお、以上の算出式は一例であり、他の算出式により類似度を求めても構わない。
【0070】
そして、特徴量判定部124は、代替記録媒体の候補について算出した類似度に基づいて指定記録媒体の代わりに補正処理を行う際に使用される代替記録媒体を決定し(
図5中のステップS209)、制御部101に通知する(
図5中のステップS210)。
この場合、特徴量判定部124は最上位の代替記録媒体の候補のみを制御部101に通知しても良いが、算出された類似度が高い順に並べて代替記録媒体の候補を制御部101に通知しても良い。また、算出された類似度が高い順に並べて代替記録媒体の候補を制御部101に通知する際には、類似度も合わせて通知しても良い。この通知を受けた制御部101は、指定記録媒体と代替記録媒体の候補との関係(特徴量や類似度)を必要に応じて記憶部104に格納する。
【0071】
なお、第1特徴量と第2特徴量との総合的な類似度が同一値である複数の代替記録媒体の候補が存在する場合には、複数の特徴量要素の中で重要度係数がより高い特徴量要素についての一致度が高いもの代替記録媒体の候補を最上位の代替記録媒体として決定することが望ましい。このように複数の特徴量要素の中で重要度係数がより高い特徴量要素についての一致度の高さを判断基準として代替記録媒体を決定することで、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりとして、画像形成部の補正を実行するのに最適な代替記録媒体を決定することが可能になる。
【0072】
なお、以上のような重要度係数がより高い特徴量要素を重要視する手法を使用しても類似度が同じ代替記録媒体の候補が複数存在するのであれば、先に測定部110で測定されたものを上位としても構わない。
以上のようにして指定記録媒体に対して類似度が高い代替記録媒体についての通知を受けた制御部101は、必要に応じて、算出された類似度が最上位の代替記録媒体の候補のみ、または、算出された類似度が高い順に並べて代替記録媒体の候補を、操作表示部103に表示する。
【0073】
例えば、制御部101は、操作表示部103の表示画面103G1において、
図9に示すように、補正処理の代替記録媒体を判定する旨のメッセージm1を表示し、算出された類似度が高い順に並べて代替記録媒体の候補の表示をポップアップウインドウ103G1_Pwを表示する。この
図9では、補正処理が色補正の場合の代替記録媒体の候補(類似順)と、補正処理が面内むら補正の場合の代替記録媒体の候補(類似順)とが表示されている。
【0074】
また、このポップアップウインドウ103G1_Pwの中のそれぞれの代替記録媒体に、類似度の数値を表示するようにしても良い。このように類似度を表示した場合には、代替記録媒体の候補が1つ又は少数である場合にも、代替記録媒体として適切か否かの判断が類似度の数値から可能になる。
【0075】
ここで、類似度については、数字だけでなく、バー表示、グラフ表示など、グラフィックによって視覚に訴えるような表示とすることも可能である。また、A/B/Cや、最良/良/不良や、最適/適/不適などの文字表示であっても構わない。また、類似度について予め閾値を設定しておいて、閾値を超えた代替記録媒体の候補のみを表示するようにしても良い。
【0076】
代替記録媒体の候補の類似度の通知を記録媒体決定部120から受けた制御部101の自動決定、または、代替記録媒体の候補の類似順の表示画面103G1を見たユーザによる代替記録媒体の指定により、制御部101は、代替記録媒体を使用して、指定された色補正、階調補正、面内むら補正、位置補正、などを補正処理部150が画像形成部180に対して実行するように制御し(
図5中のステップS104)、得られた補正値を指定記録媒体に対する補正値として記憶部104等に格納する(
図5中のステップS106)。
【0077】
以上のようにすることで、指定記録媒体から算出された第1特徴量と代替記録媒体の候補から算出された第2特徴量とについて、補正処理の内容に応じて比較することで、画像形成に指定された指定記録媒体の代わりとして、画像形成部の補正を実行するのに適した代替記録媒体を決定することが可能になる。これにより、指定記録媒体が未知の記録媒体であったとしても、代替記録媒体の候補の中から最も類似度が高い代替記録媒体を決定することができる。従って、代替記録媒体を用いた補正処理において適切な調整パラメータを作成することができ、指定記録媒体を用いて高品位の画像形成が可能になる。
【0078】
また、画像形成装置100とは別の記録媒体決定装置200で決定された代替記録媒体を画像形成装置や他の装置に通知することで、適切な代替記録媒体のユーザによる選択や、適切な代替記録媒体の画像形成装置等の他の装置による選択が可能になり、代替記録媒体を用いた補正処理において適切な調整パラメータを作成することができ、指定記録媒体を用いて高品位の画像形成が可能になる。
【0079】
また、決定により複数の代替記録媒体の候補が存在する場合に、第1特徴量と第2特徴量とが類似する順に複数の代替記録媒体の候補を外部あるいは他の装置に通知することで、適切な代替記録媒体のユーザによる選択や、適切な代替記録媒体の画像形成装置等の他の装置による選択が可能になり、代替記録媒体を用いた補正処理において適切な調整パラメータを作成することができ、指定記録媒体を用いて高品位の画像形成が可能になる。
【0080】
なお、この場合において、ユーザや他の装置の選択により、代替記録媒体の候補として指定記録媒体との類似度が第1順位以外であっても、価格が安い、あるいは、十分な量を用意できるものを代替記録媒体として選択することも可能であり、代替記録媒体を用いた補正処理を必要なだけ繰り返すことが可能になり、代替記録媒体を用いた補正処理において適切な調整パラメータを作成することができ、指定記録媒体を用いて高品位の画像形成が可能になる。
【符号の説明】
【0081】
100 画像形成装置
101 制御部
102 通信部
103 操作表示部
104 記憶部
110 測定部
120 記録媒体決定部
130 記録媒体送出部
140 搬送部
150 補正処理部
160 画像データ記憶部
170 画像処理部
180 画像形成部
200 記録媒体決定装置
300 測定装置