(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】無人航空機、および見守り方法
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20220712BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20220712BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220712BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20220712BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20220712BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20220712BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220712BHJP
G05D 1/10 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B25/00 510M
B64C39/02
B64D47/08
H04N7/18 K
H04N7/18 E
H04N5/222 100
H04N5/232 290
G05D1/10
(21)【出願番号】P 2018043746
(22)【出願日】2018-03-12
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大谷 龍治
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-207149(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1813102(KR,B1)
【文献】特開2011-193198(JP,A)
【文献】特開2005-012556(JP,A)
【文献】特開2017-021445(JP,A)
【文献】特開2017-174110(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0193308(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B1/00-1/70
B64C1/00-99/00
B64D1/00-47/08
B64F1/00-5/60
B64G1/00-99/00
G05D1/00-1/12
G08B13/00-15/02
19/00-31/00
H04N5/222-5/257
7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像を撮像する撮像装置が搭載され、無人で飛行する無人航空機において、
前記撮像装置によって撮像された動画像を記憶する動画像記憶部と、
前記撮像装置によって撮像された動画像にかかるフレーム画像を処理して撮像されている移動体を検出する移動体検出部と、
対象者の位置を検知する対象者検知部と、
前記対象者検知部が検知した前記対象者の位置に基づいて、当該対象者を追跡する第1飛行制御を行う飛行制御部と、
追跡している前記対象者に危険事象が発生したかどうかを検知する事象検知部と、
前記事象検知部において追跡している前記対象者に危険事象が発生したことを検知すると、この危険事象の発生時の動画像を含む通知を出力する出力部と、
前記飛行制御部が前記第1飛行制御によって前記対象者の追跡を開始してから、当該対象者の追跡を終了するまでの間に、前記事象検知部が追跡している前記対象者に危険事象が発生したことを検知しなければ、この間に撮像装置によって撮像された動画像を前記動画像記憶部から削除する画像削除部と、
を備え、
前記飛行制御部は、前記事象検知部において追跡している前記対象者に危険事象が発生したことを検知すると、前記移動体検出部が前記撮像装置によって撮像された動画像にかかるフレーム画像を処理して検出した移動体を追跡する第2飛行制御を行う、無人航空機。
【請求項2】
前記飛行制御部による前記第2飛行制御は、追跡している移動体の移動に応じて、当該移動体が前記撮像装置によって撮像された動画像にかかるフレーム画像に撮像されるように前記無人航空機本体の飛行を制御する、請求項1に記載の無人航空機。
【請求項3】
前記出力部は、前記事象検知部において追跡している前記対象者に危険事象が発生したことを検知すると、前記対象者に危険事象が発生した位置情報を含む当該対象者の追跡要求
も含めた通知を出力す
る、請求項1、または2に記載の無人航空機。
【請求項4】
動画像を撮像する撮像装置が搭載され、
前記撮像装置によって撮像された動画像を動画像記憶部に記憶しながら、無人で飛行する無人航空機による見守り方法であって、
移動体検出部が、前記撮像装置によって撮像された動画像にかかるフレーム画像を処理して撮像されている移動体を検出し、
対象者検知部が、対象者の位置を検知し、
飛行制御部が、前記対象者検知部が検知した前記対象者の位置に基づいて、当該対象者を追跡する第1飛行制御を行い
事象検知部が、追跡している前記対象者に危険事象が発生したかどうかを検知し、
前記事象検知部において追跡している前記対象者に危険事象が発生したことを検知すると、この危険事象の発生時の動画像を含む通知を出力し、
前記飛行制御部が前記第1飛行制御によって前記対象者の追跡を開始してから、当該対象者の追跡を終了するまでの間に、前記事象検知部が追跡している前記対象者に危険事象が発生したことを検知しなければ、この間に撮像装置によって撮像された動画像を前記動画像記憶部から削除し、
さらに、前記飛行制御部が、前記事象検知部において追跡している前記対象者に危険事象が発生したことを検知すると、前記移動体検出部が前記撮像装置によって撮像された動画像にかかるフレーム画像を処理して検出した移動体を追跡する、見守り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、対象者を見守る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人航空機によって、対象者を見守る技術があった(特許文献1、2等参照)。
【0003】
特許文献1は、対象者(被監視者)が携帯するスマートフォン等の情報端末装置が、GPSや携帯電話の無線基地局から取得した自端末の位置を無人航空機(ドローン装置)へ送信する。無人航空機は、GPSにより自機の位置を取得し、受信した情報端末装置の位置と取得した自機の位置に基づく自立飛行によって、対象者を追跡するとともに、搭載している映像カメラにより撮影した対象者の周辺映像を所定の送信先に送信する構成である。
【0004】
また、特許文献2は、対象者が携帯する携帯ビーコン発信ユニットが発信するビーコン信号を無人航空機で直接受信する。無人航空機は、ビーコン信号の到来方向に基づく自立飛行によって、対象者を追跡すると共に、搭載している映像カメラにより撮影した対象者の周辺映像を所定の送信先に送信する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-207149号公報
【文献】特開2017-114270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1、2は、端末(情報端末装置、または携帯ビーコン発信ユニット)を所持している対象者を追跡することによって、対象者を見守るだけで、対象者に危険事象(ひったくり、暴力行為等)が発生したときに、その危険事象を発生させた行為者に逃げ去られてしまうのを阻むことについてまで想定していない。
【0007】
この発明の目的は、対象者に危険事象(ひったくり、暴力行為等)が発生したときに、その危険事象を発生させた行為者が逃げ去ってしまうのを阻むことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の無人航空機は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0009】
移動体検出部が、搭載されている撮像装置によって撮像された動画像にかかるフレーム画像を処理して撮像されている移動体を検出する。また、対象者検知部が、対象者の位置を検知する。飛行制御部が、対象者検知部が検知した対象者の位置に基づいて、当該対象者を追跡する第1飛行制御を行う。また、事象検知部が、追跡している対象者に危険事象が発生したかどうかを検知する。そして、飛行制御部は、事象検知部において追跡している前記対象者に危険事象が発生したことを検知すると、移動体検出部が撮像装置によって撮像された動画像にかかるフレーム画像を処理して検出した移動体を追跡する第2飛行制御を行う。
【0010】
この構成によれば、対象者に危険事象(ひったくり、暴力行為等)が発生したときに、その危険事象を発生させた行為者の追跡を開始する。具体的には、対象者に危険事象が発生したときに、行為者、または行為者が乗車する車両、バイク等を追跡する移動体として検出し、この移動体の追跡を開始する。したがって、対象者に危険事象が発生したときに、その危険事象を発生させた行為者が逃げ去ってしまうのを阻むことができる。
【0011】
また、飛行制御部による第2飛行制御は、例えば、追跡している移動体の移動に応じて、当該移動体が撮像装置によって撮像された動画像にかかるフレーム画像に撮像されるように無人航空機本体の飛行を制御する構成にすればよい。これにより、対象者に危険事象を発生させた移動体の追跡において、当該移動体を見失うのを抑制できる。
【0012】
また、飛行制御部が第2飛行制御を開始したとき、対象者に危険事象が発生した位置情報を含む当該対象者の追跡要求を出力する出力部を備えてもよい。このように構成すれば、対象者に危険事象が発生したときに、当該対象者の見守りを別の無人航空機に引き継ぐことができる。
【0013】
さらに、撮像装置によって撮像された動画像を記憶する動画像記憶部と、飛行制御部が第1飛行制御によって対象者の追跡を開始してから、当該対象者の追跡を終了するまでの間に、事象検知部が追跡している対象者に危険事象が発生したことを検知しなければ、この間に撮像装置によって撮像された動画像を動画像記憶部から削除する画像削除部と、を備える構成にしてもよい。
【0014】
このようにすれば、対象者の見守り中に撮像した、対象者にかかる動画像が他人に見られることがない。したがって、対象者のプライバシーを侵害することなく、対象者の安心安全を見守ることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、対象者に危険事象(ひったくり、暴力行為等)が発生したときに、その危険事象を発生させた行為者が逃げ去ってしまうのを阻むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】ドローンの主要部の構成を示すブロック図である。
【
図3】携帯端末の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図4】管理装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図5】ドローンにおける対象者の見守り動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0018】
<1.適用例>
図1は、この発明の実施形態にかかる見守りシステムの概要を説明する図である。この見守りシステムは、ドローン1と、携帯端末2と、管理装置3とを備えている。ドローン1が、この発明で言う無人航空機に相当する。携帯端末2は、対象者が所持する。管理装置3は、1または複数のドローン1を管理する。
【0019】
携帯端末2は、GPS(Global Positioning System)を利用して、自端末の位置(緯度、経度、高度)を取得するGPS機能を有している。携帯端末2は、GPS機能で取得した自端末の位置を示す位置情報をドローン1に送信する。携帯端末2は、位置情報をドローン1に直接送信する構成であってもよいし、管理装置3を介してドローン1に送信する構成であってもよい。
【0020】
ドローン1は、携帯端末2と同様に自機の位置(緯度、経度、高度)を取得するGPS機能を有している。ドローン1は、GPSにより自機の位置を取得し、受信した位置情報に基づく携帯端末2の位置と、取得した自機の位置とに基づく自立飛行によって、対象者を追跡する。すなわち、ドローン1は、携帯端末2の位置の変化に応じて、自機の位置を変化させる自立飛行を行う。
【0021】
また、ドローン1は、対象者を追跡しているとき、搭載しているビデオカメラにより対象者の周辺映像を撮像する。ドローン1は、ビデオカメラによる対象者の周辺映像等を処理して、当該対象者に危険事象(ひったくり、暴力行為等)が発生したかどうかを検知する。ドローン1は、対象者に危険事象が発生したことを検知すると、その危険事象を発生させた行為者の追跡を開始する。
【0022】
なお、ドローン1、および携帯端末2は、管理装置3との間におけるデータ通信を、
図1に示すネットワーク5を介して行う。
【0023】
<2.構成例>
図2は、ドローンの主要部の構成を示すブロック図である。ドローン1は、制御ユニット11と、記憶ユニット12と、動画像入力部13と、音声入力部14と、通信部15と、センシングユニット16と、飛行駆動部17とを備えている。
【0024】
制御ユニット11は、ドローン1本体各部の動作を制御する。制御ユニット11は、画像処理部101と、音声処理部102と、センシング信号処理部103と、危険事象検知部104と、移動体検出部105と、対象者検知部106と、動画像削除部107と、飛行制御部108とを有している。制御ユニット11が有する構成の詳細については後述する。
【0025】
記憶ユニット12は、動画像記憶部111、および追跡情報記憶部112を有している。動画像記憶部111は、ドローン1本体に搭載されているカメラ6によって撮像された動画像を記憶する。カメラ6は、ビデオカメラであり、数十フレーム/sec(10~30レーム/sec)程度のフレームレートで動画像を撮像する。カメラ6が、この発明で言う撮像装置に相当する。追跡情報記憶部112は、ドローン1本体の飛行経路を示す情報を追跡情報として記憶する。この追跡情報は、例えば日時とドローン1本体の位置(緯度、経度、高度)を対応付けた飛行履歴情報である。この追跡情報は、ドローン1の位置を一定の時間間隔で登録したものであってもよいし、ドローン1の位置を不定期の時間間隔で登録したものであってもよい。
【0026】
動画像入力部13は、カメラ6によって撮像された動画像が入力される。
【0027】
音声入力部14は、ドローン1本体に搭載されているマイクロフォン7(以下、単にマイク7と言う。)で集音した音声にかかる音声信号が入力される。
【0028】
通信部15は、携帯端末2、および管理装置3との間におけるデータ通信を行う。通信部15が、この発明で言う出力部に相当する構成を有する。
【0029】
センシングユニット16は、各種センサを有する。センシングユニット16には、ドローン1本体の位置(緯度、経度、高度)を計測するGPSセンサ、ドローン1本体の加速度を計測する3軸の加速度センサ、ドローン1本体の角速度を計測する3軸のジャイロセンサ、気圧を計測する気圧センサ、障害物を検知するレーダ等、様々な種類のセンサが含まれる。
【0030】
飛行駆動部17は、エンジン、プロペラ等を駆動してドローン1本体を飛行させる。
【0031】
次に、制御ユニット11が有する、画像処理部101、音声処理部102、センシング信号処理部103、危険事象検知部104、移動体検出部105、対象者検知部106、動画像削除部107、および飛行制御部108について説明する。
【0032】
画像処理部101は、動画像入力部13に入力された動画像にかかるフレーム画像を処理して、フレーム画像に撮像されている人や物(以下、総称してオブジェクトと言う。)を検出する。画像処理部101は、例えば、公知のパターンマッチングによって、フレーム画像に撮像されているオブジェクトの検出、およびそのオブジェクトの種類の識別を行う。画像処理部101は、フレーム画像に撮像されているオブジェクトの検出、およびそのオブジェクトの種類の識別において、例えば、公知の微分フィルタ等を用いてフレーム画像に対するエッジ抽出処理を実行し、撮像されているオブジェクトの外形形状を検出する。
【0033】
音声処理部102は、音声入力部14に入力された音声信号を処理し、悲鳴、怒声等を検出する。
【0034】
センシング信号処理部103は、センシングユニット16が有する各種センサのセンシング信号を処理し、ドローン1本体の位置、ドローン1本体の加速度、ドローン1本体の角速度、気圧、障害物の有無等を取得する。
【0035】
危険事象検知部104は、画像処理部101において検出されたオブジェクトの1つである対象者の挙動、または姿勢の変化を解析し、当該対象者にひったくり、暴力行為等の危険事象が発生したかどうかを検出する。危険事象検知部104が、この発明で言う事象検知部に相当する。
【0036】
移動体検出部105は、危険事象検知部104が対象者にひったくり、暴力行為等の危険事象が発生したことを検出すると、その危険事象を発生させた行為者、またはその行為者が乗車する車両またはバイク等の移動体を検出する。具体的には、移動体検出部105は、対象者に危険事象が発生したときに、画像処理部101において検出されたオブジェクトの中で、当該対象者の近くに存在していた移動体を行為者(その行為者が乗車する車両またはバイク等を含む)として検出する。
【0037】
対象者検知部106は、画像処理部101において検出されたオブジェクトの中から、対象者を検出する。対象者検知部106は、携帯端末2の位置と、ドローン1本体の位置とに基づいて、その携帯端末2を所持している対象者を特定する。ドローン1は、携帯端末2から送信されてきた自端末の位置を示す位置情報によって、携帯端末2の位置を取得する。
【0038】
動画像削除部107は、動画像記憶部111に記憶しているカメラ6で撮像した動画像を削除する。
【0039】
飛行制御部108は、飛行駆動部17に対して、エンジン、プロペラ等の駆動制御信号を入力する。言い換えれば、飛行駆動部17は、飛行制御部108からの指示にしたがって、エンジン、プロペラ等を駆動し、ドローン1本体を飛行させる。飛行制御部108は、携帯端末2を所持している対象者を追跡する第1飛行制御、および携帯端末2を所持していない行為者を追跡する第2飛行制御によって、ドローン1本体を飛行させる。
【0040】
ドローン1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、画像処理部101、音声処理部102、センシング信号処理部103、危険事象検知部104、移動体検出部105、対象者検知部106、動画像削除部107、および飛行制御部108として動作する。また、メモリは、このドローン1の飛行制御にかかるプログラムを展開する領域や、このプログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。
【0041】
図3は、携帯端末の主要部の構成を示すブロック図である。携帯端末2は、制御部21と、位置検出部22と、操作部23と、表示部24と、通信部25とを有している。制御部21は、携帯端末2本体各部の動作を制御する。位置検出部22は、GPSセンサを有し、携帯端末2本体の位置(緯度、経度)を検知する。操作部23は、携帯端末2本体に対する入力操作を行う。操作部23は、緊急通報ボタンを有する。表示部24は、その時点における携帯端末2本体の状態を示す画面や、操作部23における入力操作に応じた入力確認画面等を表示器に表示する。通信部25は、ドローン1、および管理装置3との間におけるデータ通信を行う。
【0042】
携帯端末2の制御部21は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。メモリには、携帯端末2本体を識別する端末IDを記憶している。制御部21は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。
【0043】
図4は、管理装置の主要部の構成を示すブロック図である。管理装置3は、制御部31と、通信部32と、ドローン管理データベース33(ドローン管理DB33)を備えている。制御部31は、管理装置3本体各部の動作を制御する。通信部32は、ドローン1、および携帯端末2との間におけるデータ通信を行う。ドローン管理DB33は、管理対象のドローン1毎に、そのドローン1による対象者の見守り開始日時、開始場所、携帯端末2の端末ID等を対応付けた見守り予約情報が登録されている。
【0044】
管理装置3の制御部31は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。制御部31は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。
【0045】
<3.動作例>
図5は、この例にかかるドローンについての対象者の見守り動作を示すフローチャートである。管理装置3は、ドローン管理DB33に登録されている見守り予約情報に基づき、対象のドローン1に対して見守り準備開始を送信する。管理装置3は、対象のドローン1が、対象者の見守り開始日時よりも少し前に、開始場所に到達できるタイミングで、当該ドローン1に対して見守り準備開始を送信する。この見守り準備開始には、対象者の見守り開始日時、開始場所、携帯端末2の端末IDが含まれている。
【0046】
ドローン1は、管理装置3から送信されてきた見守り準備開始にかかる要求を受信すると(s1)、対象者の見守り開始場所に移動する(s2)。s2では、ドローン1は、自立飛行によって、対象者の見守り開始場所に移動する。
【0047】
ドローン1は、対象者の見守り開始場所に移動すると、対象者の位置(この例では、携帯端末2の位置)を検知し(s3)、ドローン1本体を対象者の位置に応じた位置に移動させる第1飛行制御を行う(s4)。s3では、対象者が所持する携帯端末2が送信した自端末の位置を示す位置情報を受信することにより、対象者の位置を検知する。ドローン1は、携帯端末2の位置情報を、携帯端末2から直接受信してもよいし、管理装置3を介して受信してもよい。すなわち、携帯端末2は、自端末の位置を示す位置情報をドローン1に送信してもよいし、管理装置3に送信してもよい。このように、ドローン1は、携帯端末2の位置を、対象者の位置として検知する。
【0048】
また、s4では、飛行制御部108が、ドローン1本体が、例えば検知した対象者の位置の数m(2~4m)真上に位置するように飛行駆動部17を制御する。また、飛行制御部108は、センシングユニット16に属する各種センサのセンシング信号をセンシング信号処理部103で処理した処理結果に基づき、ドローン1本体が障害物等に衝突しないように飛行を制御する。
【0049】
ドローン1は、第1飛行制御の開始にともなって、カメラ6による動画像の撮像を開始する。特に図示していないが、ドローン1は、第1飛行制御時に、カメラ6の撮像領域内に、対象者が収まるようにカメラ6のアングルや撮像倍率を制御するカメラ制御部を有している。また、カメラ6によって撮像された動画像は、動画像記憶部111に記憶される。
【0050】
ドローン1は、対象者に危険事象が発生したことが検知されるか(s5)、対象者の見守りが終了したことが検知されるまで(s6)、s3およびs4にかかる処理を繰り返す。
【0051】
s5では、危険事象検知部104が、カメラ6によって撮像された動画像から対象者の挙動または姿勢の変化を解析し、対象者に危険事象が発生したかどうかを検知する。また、s6では、携帯端末2、または管理装置3からの対象者の見守り終了にかかるコマンドを通信部15で受信したときに、見守り終了であると判定する。
【0052】
ドローン1は、対象者に危険事象が発生したことが検知されると、対象者に危険事象が発生したことを管理装置3に通知する(s7)。ドローン1は、s7では、対象者に危険事象が発生した場所(緯度、経度)、発生時刻、発生時の動画像等を管理装置3に送信する。
【0053】
また、ドローン1は、当該対象者に危険事象を発生させた行為者を検出する(s8)。s8では、移動体検出部105が、危険事象検知部104において対象者に危険事象が発生したことが検知されたときに、対象者の近くに存在していた移動体(行為者、または行為者が乗車している車両、バイク等)を検出する。ドローン1は、s8で検出した移動体を追跡する第2飛行制御を開始する(s9)。この第2飛行制御では、追跡している移動体がカメラ6で撮像されている動画像にかかるフレーム画像の中心に位置するように、飛行制御部108が飛行駆動部17を制御する。また、飛行制御部108は、この第2飛行制御においても、センシングユニット16に属する各種センサのセンシング信号をセンシング信号処理部103で処理した処理結果に基づき、ドローン1本体が障害物等に衝突しないように飛行を制御する。
【0054】
ドローン1は、行為者である移動体の追跡終了を判定するまで(s10)、s8、s9にかかる処理を繰り返す。ドローン1は、管理装置3から行為者の追跡終了が通知されたとき、または行為者を見失ったときに、s10で行為者の追跡終了と判定する。
【0055】
ドローン1は、s10で行為者の追跡終了を判定すると、s1に戻る。
【0056】
また、ドローン1は、s6で見守り終了であると判定すると、今回の対象者の見守りにおいて、カメラ6で撮像した動画像を削除し(s11)、s1に戻る。
【0057】
このように、この例では、対象者に危険事象が発生すると、ドローン1が当該対象者に危険事象を発生させた行為者(移動体)を追跡する。したがって、対象者に危険事象(ひったくり、暴力行為等)を発生させた行為者が逃げ去ってしまうのを防止できる。
【0058】
また、対象者に危険事象が発生することなく、当該対象者の見守りを終了するときには、今回の見守りにおいて撮像した動画像を削除するので、対象者の見守り中に撮像した、当該対象者にかかる動画像が他人に見られることがない。したがって、対象者のプライバシーを侵害することなく、対象者を見守ることができる。
【0059】
また、対象者が、携帯端末2の操作部23に設けられた緊急通報ボタンを操作することにより、ドローン1に対して危険事象が発生したことを通知できるようにしてもよい。すなわち、危険事象検知部104は、携帯端末2から危険事象の発生通知を受信したときも、対象者に危険事象が発生したことを検出する。このように構成すれば、対象者は危険な状態になったときに、携帯端末2の操作部23に設けられた緊急通報ボタンを操作することにより、危険事象が発生したことをドローン1に検出させることができる。
【0060】
さらに、危険事象検知部104は、マイク7で集音している音声に悲鳴や怒声を検出したときにも、対象者に危険事象が発生したと検出するようにしてもよい。このように構成すれば、対象者は危険な状態になったときに、大声をあげることにより、危険事象が発生したことをドローン1に検出させることができる。
【0061】
また、ドローン1は、s8、およびs9で行為者を追跡しているとき、追跡情報を追跡情報記憶部112に記憶し、追跡情報記憶部112に記憶している追跡情報を定期的に管理装置3に送信するようにしてもよい。これにより、管理装置3側で、対象者に危険事象を発生させた行為者の居場所が確認できる。
【0062】
また、管理装置3は、ドローン1からの危険事象の発生通知を受信したときに、発生した危険事象に応じて、対象者の救護要請を消防署等に行ってもよいし、行為者の確保要請を警察署等に行ってもよい。
【0063】
また、s7において、管理装置3に通知する危険事象発生通知に、対象者の追跡要求を含ませ、この通知を受信した管理装置3が別のドローン1に対象者の追跡を行わせるようにしてもよい。このようにすれば、対象者は、危険事象の発生により、ドローン1による見守りが一時的に途切れるが、別のドローン1によって見守りが再開される。したがって、危険事象が発生した後も、対象者を適正に見守ることができる。なお、対象者の追跡は、上述した第1飛行制御によって行える。
【0064】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0065】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
動画像を撮像する撮像装置(2)が搭載され、無人で飛行する無人航空機(1)において、
前記撮像装置(2)によって撮像された動画像にかかるフレーム画像を処理して撮像されている移動体を検出する移動体検出部(105)と、
対象者の位置を検知する対象者検知部(106)と、
前記対象者検知部(106)が検知した前記対象者の位置に基づいて、当該対象者を追跡する第1飛行制御を行う飛行制御部(108)と、
追跡している前記対象者に危険事象が発生したかどうかを検知する事象検知部(104)と、を備え、
前記飛行制御部(108)は、前記事象検知部(104)において追跡している前記対象者に危険事象が発生したことを検知すると、前記移動体検出部(105)が前記撮像装置(2)によって撮像された動画像にかかるフレーム画像を処理して検出した移動体を追跡する第2飛行制御を行う、無人航空機(1)。
【符号の説明】
【0066】
1…ドローン
2…携帯端末
3…管理装置
5…ネットワーク
6…カメラ
7…マイクロフォン(マイク)
11…制御ユニット
12…記憶ユニット
13…動画像入力部
14…音声入力部
15…通信部
16…センシングユニット
17…飛行駆動部
101…画像処理部
102…音声処理部
103…センシング信号処理部
104…危険事象検知部
105…移動体検出部
106…対象者検知部
107…動画像削除部
108…飛行制御部
111…動画像記憶部
112…追跡情報記憶部