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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】接続端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/18 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
H01R13/18 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018048261
(22)【出願日】2018-03-15
(65)【公開番号】P2019160694
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 知聖
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 満
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第01729613(US,A)
【文献】特開2008-103152(JP,A)
【文献】特開2008-123997(JP,A)
【文献】特開2012-074160(JP,A)
【文献】特開2005-056792(JP,A)
【文献】実開昭55-048694(JP,U)
【文献】米国特許第5616036(US,A)
【文献】米国特許第4553799(US,A)
【文献】米国特許第7766706(US,B2)
【文献】米国特許第4009924(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/18
H01R4/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体と第2導体とを接続するための接続端子であって、
前記第1導体に接続される接続部と、
前記接続部から延設されるとともに、前記第2導体の円筒状外周面における210°以上270°以下の角度の範囲に、弾性変形後の復元力を作用させて装着される円弧状装着部と、
前記円弧状装着部の周方向の両端部から延設され、前記円弧状装着部が湾曲する側とは反対側に湾曲する一対の延設部と、
前記円弧状装着部の外周に装着され、前記円弧状装着部の外周面に弾性変形後の復元力を作用させる補強バネと、
一対の前記延設部の間に架け渡され、一対の前記延設部の間隔が広がることを阻止して、前記円弧状装着部が前記第2導体の前記円筒状外周面から外れることを防止する外れ防止部材と、を備え、
前記補強バネの厚みは、前記円弧状装着部の厚みよりも薄く、
前記補強バネは、前記円弧状装着部の前記外周面に面接触する円弧状に形成され、かつ、一対の前記延設部から離れた位置において、一対の前記延設部の最大半径の位置よりも径方向の内周側に配置されており、
前記補強バネにおける周方向の中心部付近には、前記周方向に沿った複数の凸部としてのエンボスが、前記補強バネの強度を高くするために外周側に突出して形成されている、接続端子。
【請求項2】
前記補強バネは、前記円弧状装着部を構成する金属材料に比べて、比抵抗が大きいとともにバネ定数が大きい金属材料によって構成されている、請求項に記載の接続端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1導体と第2導体とを接続するための接続端子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子制御を行う種々の制御機器を制御装置に接続する際には、組付性等を考慮して、制御機器から引き出された電線と、制御装置から引き出された電線とを、接続端子を用いて接続することがある。電線同士を接続端子によって接続する際には、ボルト締結を行う場合、圧着端子を用いる場合、丸ピン端子を用いる場合等がある。また、コネクタ等に用いられる接続端子は、バネ特性を利用して導通性を保つことが行われている。
【0003】
接続端子にボルト締結を行う場合には、各電線の端部に設けられた端子部同士を、ボルトの締め付けを行って締結する。また、接続端子に圧着端子を用いる場合には、各電線の端部に設けられた端子部同士を圧着して締結する。また、接続端子に丸ピン端子を用いる場合には、一方の電線の端部に設けられた雄ピンを、他方の電線の端部に設けられた雌ピンに圧入して、両ピンを締結する。
【0004】
また、コネクタ等に用いられ、バネ特性を利用する接続端子としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1の接続端子においては、一端側に電線圧着部を設けるとともに、他端側の先端面に、相手部材に弾性接触させる接触ばね部を設けることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-166560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ボルト締結を行う接続端子を用いる場合には、ボルトの締め付けによって、端子部同士を強固に面接触させることができる。そのため、接続端子における電気抵抗を極力小さくすることができる。しかし、ボルトを含めた接続端子全体の体格が大きくなり、ボルトを締め付けるための工具を配置するスペースの確保も必要になる。
【0007】
接続端子に圧着端子を用いる場合には、端子部同士の一部を圧着することになり、端子部同士が接触する点が少なくなる。そのため、接続端子の電気抵抗が大きくなる。また、接続端子に丸ピン端子を用いる場合には、雄ピンと雌ピンとが複数箇所において部分的に線接触し、接続端子の電気抵抗が大きくなる。また、特許文献1に示されるバネ特性を利用する接続端子を用いる場合には、接触ばね部が相手部材に弾性接触する面積が小さく、接続端子の電気抵抗が大きくなる。そのため、これらの場合には、接続端子が発熱し、その温度が上昇するおそれがある。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、第2導体との間の電気抵抗を小さく維持するとともに、第2導体から外れにくくすることができ、かつ体格を小さくすることができる接続端子を提供しようとして得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、第1導体と第2導体とを接続するための接続端子であって、
前記第1導体に接続される接続部と、
前記接続部から延設されるとともに、前記第2導体の円筒状外周面における210°以上270°以下の角度の範囲に、弾性変形後の復元力を作用させて装着される円弧状装着部と、
前記円弧状装着部の周方向の両端部から延設され、前記円弧状装着部が湾曲する側とは反対側に湾曲する一対の延設部と、
前記円弧状装着部の外周に装着され、前記円弧状装着部の外周面に弾性変形後の復元力を作用させる補強バネと、
一対の前記延設部の間に架け渡され、一対の前記延設部の間隔が広がることを阻止して、前記円弧状装着部が前記第2導体の前記円筒状外周面から外れることを防止する外れ防止部材と、を備え、
前記補強バネの厚みは、前記円弧状装着部の厚みよりも薄く、
前記補強バネは、前記円弧状装着部の前記外周面に面接触する円弧状に形成され、かつ、一対の前記延設部から離れた位置において、一対の前記延設部の最大半径の位置よりも径方向の内周側に配置されており、
前記補強バネにおける周方向の中心部付近には、前記周方向に沿った複数の凸部としてのエンボスが、前記補強バネの強度を高くするために外周側に突出して形成されている、接続端子にある。
【0010】
本発明の参考態様は、接続端子を有する第1導体と、前記接続端子に接続された第2導体とを備える端子接続体であって、
前記接続端子は、
前記第1導体に接続された接続部と、
前記接続部から延設されるとともに、前記第2導体の円筒状外周面における半周分を超える範囲に、弾性変形後の復元力を作用させて装着される円弧状装着部と、
前記円弧状装着部の周方向の両端部から延設され、前記円弧状装着部が湾曲する側とは反対側に湾曲する一対の延設部と、を有し、
前記第2導体の先端部には、前記円弧状装着部が前記円筒状外周面から軸方向に抜き出されることを防止する拡径部が形成されている、端子接続体にある。
【発明の効果】
【0011】
前記一態様の接続端子は、接続部、円弧状装着部、一対の延設部及び補強バネを備える。また、円弧状装着部は、第2導体の円筒状外周面における半周分を超える範囲に、弾性変形後の復元力を作用させて装着される。そして、円弧状装着部は、第2導体の円筒状外周面に対して面接触させることができる。これにより、接続端子によれば、第2導体との間の電気抵抗を小さく維持することができ、接続端子における発熱量を小さく抑えることができる。
【0012】
また、円弧状装着部の外周に補強バネが装着されていることによって、円弧状装着部のバネ強度を高め、円弧状装着部から第2導体に作用する復元力を高めることができる。これにより、円弧状装着部が第2導体から外れにくくすることができる。
【0013】
また、円弧状装着部は、第2導体の円筒状外周面に密着され、一対の延設部は、円弧状装着部から小さく突出する形状とすることができる。これにより、接続端子の体格を小さくすることができる。
【0014】
また、一対の延設部は、円弧状装着部を第2導体の円筒状外周面に装着する際に、円弧状装着部を拡径させるように弾性変形させるときに、第2導体を円弧状装着部へ案内するために利用することができる。また、一対の延設部は、円弧状装着部が第2導体の円筒状外周面から外れないようにする部材等を掛止するための掛止部として利用することもできる。
【0015】
それ故、前記一態様の接続端子によれば、第2導体との間の電気抵抗を小さく維持するとともに、第2導体から外れにくくすることができ、かつ体格を小さくすることができる。
【0016】
前記参考態様の端子接続体は、接続端子によって第1導体と第2導体とが接続されたものであって、接続端子に、前記一態様の接続端子として示した接続部、円弧状装着部及び一対の延設部を有するものを用いたものである。そして、端子接続体によれば、第2導体の先端部に形成された拡径部によって、円弧状装着部が第2導体の円筒状外周面から軸方向に抜き出されることを防止することができる。
【0017】
それ故、前記参考態様の端子接続体によれば、接続端子と第2導体との間の電気抵抗を小さく維持しつつ、接続端子の体格を小さくし、かつ、接続端子が第2導体から軸方向に抜き出されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1にかかる、接続端子及び端子接続体を示す斜視図。
図2】実施形態1にかかる、接続端子及び端子接続体を、第1導体及び第2導体の軸線方向に沿った断面によって示す説明図。
図3】実施形態1にかかる、接続端子及び端子接続体を、第1導体及び第2導体の軸線方向に直交する断面によって示す説明図。
図4】実施形態1にかかる、第2導体の露出導体部を成形する状態を示す説明図。
図5】実施形態2にかかる、接続端子及び端子接続体を示す斜視図。
図6】実施形態2にかかる、接続端子及び端子接続体の、図5に示す側とは反対側を示す斜視図。
図7】実施形態2にかかる、接続端子及び端子接続体を、第1導体及び第2導体の軸線方向に直交する断面によって示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
前述した接続端子及び端子接続体にかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態1>
本形態の接続端子3は、図1図3に示すように、第1導体2と第2導体4とを接続するために用いられる。接続端子3は、接続部31、円弧状装着部32、一対の延設部33及び補強バネ5を備える。接続部31は、第1導体2に接続される部分である。円弧状装着部32は、接続部31から延設されるとともに、第2導体4の円筒状外周面401における半周分を超える範囲に、弾性変形後の復元力Fを作用させて装着される部分である。一対の延設部33は、円弧状装着部32の周方向Cの両端部321から延設され、円弧状装着部32が湾曲する側とは反対側に湾曲する部分である。補強バネ5は、円弧状装着部32の外周に装着されており、円弧状装着部32の外周面323に弾性変形後の復元力Fを作用させるものである。
【0020】
本形態の端子接続体1は、接続端子3を有する第1導体2と、接続端子3に接続された第2導体4とを備える。第2導体4の先端部には、円弧状装着部32が円筒状外周面401から軸方向Lに抜き出されることを防止する拡径部44が形成されている。
【0021】
以下に、本形態の接続端子3及び端子接続体1について詳説する。
図1及び図2に示すように、本形態の接続端子3は、電子制御を行う制御機器を制御装置に接続する際に、制御機器から引き出された第1電線20の第1導体2と、制御装置から引き出された第2電線40の第2導体4とを接続するために用いられる。なお、第1導体2を有する第1電線20が制御装置から引き出され、第2導体4を有する第2電線40が制御機器から引き出されていてもよい。
【0022】
制御機器には、アクチュエータとしてのモータ、シリンダー、ソレノイド等、あるいは種々のセンサ等がある。また、制御機器は、車両に搭載されるものとすることができ、この場合には、制御装置は、車両の電子制御ユニット(ECU)とすることができる。
【0023】
(第1導体2及び接続部31)
図1及び図2に示すように、本形態の第1導体2は、第1電線20における導体部として形成されたものである。第1電線20は、いわゆる被覆線であり、導体部、及び導体部を覆う被覆部22を有する。第1電線20は、複数の素線が束ねられて撚られた撚り線である。第1電線20には、第1電線20の端部における被覆部22が剥がされて露出する導体部としての露出導体部21が形成されている。本形態の露出導体部21は、成形型を用いたプレス加工等が行われて、平板状に成形されている。
【0024】
第1電線20は、撚り線とする以外にも、単線とすることもできる。この場合、第1導体2は、第1電線20の端部において露出された中実状の導体部によって形成される。また、第1導体2は、電線の導体部とする以外にも、バスバー等の中実状の導体とすることもできる。この中実状の導体は、例えば、エナメル樹脂によって被覆されていてもよい。
【0025】
(接続端子3の接続部31)
図1に示すように、本形態の接続端子3の接続部31は、板形状に形成されている。そして、接続部31は、第1電線20の露出導体部21と対面し、溶接、半田付け等を行って露出導体部21と接合されている。なお、接続部31は、第1導体2と円弧状装着部32とを接続する形状であれば、いかなる形状に形成することもできる。また、露出導体部21は、接続部31の形状に沿った種々の形状に形成することができる。また、接続部31と露出導体部21とは、圧着、かしめ等を行って互いに接合することもできる。
【0026】
(第2導体4)
図1及び図2に示すように、本形態の第2導体4は、第2電線40における導体部として形成されたものである。第2電線40は、いわゆる被覆線であり、導体部、及び導体部を覆う被覆部42を有する。第2電線40は、複数の素線が束ねられて撚られた撚り線である。第2電線40には、第2電線40の端部における被覆部42が剥がされて露出する導体部としての露出導体部41が形成されている。
【0027】
図4に示すように、露出導体部41は、成形型7を用いたプレス加工等が行われて、円筒状(円柱状)に成形されている。そして、第2導体4の円筒状外周面401は、円筒状に成形された外周面として形成されている。ここで、「円筒状」とは、円柱状と同義であり、断面円形状を有する軸形状であることを示す。露出導体部41は、熱成形によって成形することができる。熱成形とは、導体部を構成する複数の素線411に熱を加えて、導体部を軟化させた状態で成形することをいう。また、露出導体部41は、導体部に対して、別の導体材料412を加えて円筒状に成形することができる。
【0028】
(第2導体4の拡径部44)
また、図2に示すように、第2導体4としての露出導体部41の成形を行う際には、露出導体部41の先端部を、先端部よりも基端側の部分よりも拡径させる。そして、第2導体4としての露出導体部41の先端部に拡径部44を形成する。拡径部44は、露出導体部41の一般部43に比べて外径が大きく、一般部43から段差状又はテーパ状に拡径した部分として形成されている。拡径部44は、円弧状装着部32が掛止される径方向Rの厚みに形成されている。
【0029】
(接続端子3の円弧状装着部32)
図3に示すように、円弧状装着部32は、第2導体4の中心軸線Oの周りの周方向Cにおける、180°を超えて300°以下の角度θの範囲内に形成されている。ここで、円弧状装着部32の形成角度θとは、円弧状装着部32の内周面322が第2導体4の円筒状外周面401に接触する周方向Cの角度θとする。同図においては、円弧状装着部32の内周面322における、一対の延設部33との境界位置を符号Kによって示す。
【0030】
円弧状装着部32は、第2導体4の円筒状外周面401から径方向Rに外れにくくするためには、210°以上の角度θで形成することが好ましい。また、円弧状装着部32は、一対の延設部33の間の開放部330から、径方向Rに第2導体4を挿入することを考慮すると、270°以下の角度θで形成することが好ましい。
【0031】
接続端子3の製造時において、第2導体4に装着される前の円弧状装着部32は、第2導体4に装着されたときに、第2導体4へ復元力Fとしてのバネ力を与えるために、第2導体4の円筒状外周面401の外径よりも小さく形成する。そして、円弧状装着部32が弾性変形されて、第2導体4の円筒状外周面401に装着されたときには、円弧状装着部32を弾性変形させた後に生じる復元力Fを、円弧状装着部32から円筒状外周面401に作用させることができる。
【0032】
接続部31、円弧状装着部32及び一対の延設部33を備える接続端子3は、導電性が高いことを考慮して、銅又は銅合金からなる銅材料によって構成されている。
【0033】
(一対の延設部33)
図3に示すように、一対の延設部33は、円弧状装着部32の周方向Cの端部321から、円弧状に屈曲して形成されている。一対の延設部33が湾曲する方向は、円弧状装着部32が円弧状に湾曲する方向と逆になっている。一対の延設部33における、互いに対向する側の表面は、第2導体4への装着を円滑にするための曲面形状に形成されている。
【0034】
(補強バネ5)
図1図3に示すように、補強バネ5は、円弧状装着部32を構成する金属材料に比べて、比抵抗が大きいとともにバネ定数が大きい金属材料によって構成されている。また、補強バネ5による復元力Fは、円弧状装着部32による復元力Fと一体となって、第2導体4の円筒状外周面401に作用する。
【0035】
接続部31、円弧状装着部32及び一対の延設部33を備える接続端子3は、導電性が高いことを考慮して、銅又は銅合金からなる銅材料によって構成されている。銅材料は、導電性が良好である一方、ヤング率(縦弾性係数)はそれほど大きくなく、バネ定数を高くすることは難しい。そこで、本形態においては、銅材料に比べてバネ定数を大きくできる金属材料を用いて、銅材料の弱点であるバネ定数を高くする。
【0036】
補強バネ5は、銅材料からなる円弧状装着部32のバネ定数を補うものであるため、導電性を考慮する必要がない。補強バネ5を構成する金属材料は、バネ鋼鋼材(SUP材)の他、高炭素鋼鋼材、合金鋼鋼材、ステンレス鋼鋼材等とすることができる。なお、接続端子3の表面には、耐久性を考慮したメッキ膜が形成されていてもよい。
【0037】
補強バネ5の厚みは、円弧状装着部32の厚みよりも薄く形成されている。この構成により、補強バネ5を設ける場合であっても、接続端子3の外径が極力大きくならないようにしている。
【0038】
図1及び図2に示すように、補強バネ5における周方向Cの中心部付近には、周方向Cに沿った複数の凸部(エンボス)51が形成されている。この複数の凸部51は、補強バネ5の強度を高くするために形成されている。
【0039】
(接続端子3の装着)
まず、円弧状装着部32の外周に補強バネ5を装着する。そして、円弧状装着部32を第2導体4の円筒状外周面401に装着する際には、第2導体4の円筒状外周面401を一対の延設部33に当接させる。そして、第2導体4を円弧状装着部32の内側に向けて押し込む。このとき、第2導体4の円筒状外周面401によって一対の延設部33の間隔が広げられ、円弧状装着部32及び補強バネ5が、その曲率半径を大きくするように弾性変形する。
【0040】
そして、第2導体4が円弧状装着部32内に入ると、円弧状装着部32及び補強バネ5の弾性変形の一部が復帰し、一対の延設部33の間隔が狭められるとともに、円弧状装着部32が第2導体4の円筒状外周面401に当接(密着)する。このとき、円弧状装着部32及び補強バネ5の弾性変形が完全には復帰せず、円弧状装着部32及び補強バネ5の弾性変形後の復元力Fが、第2導体4の円筒状外周面401に作用する。これにより、円弧状装着部32が、第2導体4から径方向Rに外れないようにすることができる。
【0041】
(作用効果)
本形態の接続端子3は、接続部31、円弧状装着部32、一対の延設部33及び補強バネ5を備える。また、円弧状装着部32は、第2導体4の円筒状外周面401における半周分を超える範囲に、弾性変形後の復元力Fを作用させて装着される。そして、円弧状装着部32は、第2導体4の円筒状外周面401に対して面接触させることができる。これにより、接続端子3によれば、第2導体4との間の電気抵抗を小さく維持することができ、接続端子3における発熱量を小さく抑えることができる。
【0042】
また、円弧状装着部32の外周に補強バネ5が装着されていることによって、円弧状装着部32のバネ強度を高め、円弧状装着部32から第2導体4に作用する復元力Fを高めることができる。これにより、円弧状装着部32が第2導体4から外れにくくすることができる。
【0043】
また、補強バネ5を用いることによって、円弧状装着部32による導電性及びバネ強度の設計を容易にすることができる。つまり、補強バネ5を用いることによって、バネ強度を高めるために円弧状装着部32の厚みを大きくしなくても済む。そのため、円弧状装着部32の厚みを、導電性を確保するために必要な電気抵抗値以下になるよう設定すればよく、円弧状装着部32を構成する銅材料の使用量を少なくすることができる。
【0044】
また、円弧状装着部32は、第2導体4の円筒状外周面401に密着され、一対の延設部33は、円弧状装着部32から小さく突出する形状とすることができる。これにより、接続端子3の体格を小さくすることができる。
【0045】
また、一対の延設部33は、円弧状装着部32を第2導体4の円筒状外周面401に装着する際に、円弧状装着部32を拡径させるように弾性変形させるときに、第2導体4を円弧状装着部32へ案内するために利用することができる。また、一対の延設部33は、後述する実施形態2に示される、円弧状装着部32が第2導体4の円筒状外周面401から外れないようにする外れ防止部材6等を掛止するための掛止部として利用することもできる。
【0046】
それ故、本形態の接続端子3によれば、第2導体4との間の電気抵抗を小さく維持するとともに、第2導体4から外れにくくすることができ、かつ体格を小さくすることができる。
【0047】
また、本形態の端子接続体1は、接続端子3によって第1導体2と第2導体4とが接続されたものであって、接続端子3に、接続部31、円弧状装着部32及び一対の延設部33を有するものを用いたものである。そして、端子接続体1によれば、第2導体4の先端部に形成された拡径部44によって、円弧状装着部32が第2導体4の円筒状外周面401から軸方向Lに抜き出されることを防止することができる。
【0048】
それ故、本形態の端子接続体1によれば、接続端子3と第2導体4との間の電気抵抗を小さく維持しつつ、接続端子3の体格を小さくし、かつ、接続端子3が第2導体4から軸方向Lに抜き出されることを防止することができる。
【0049】
<実施形態2>
本形態の接続端子3及び端子接続体1は、実施形態1に示したものをさらに改良したものである。本形態の接続端子3においては、円弧状装着部32が第2導体4から脱落することをより確実に防止する工夫をしている。
【0050】
図5図7に示すように、一対の延設部33の間には、一対の延設部33の間隔が広がることを阻止して、円弧状装着部32が第2導体4の円筒状外周面401から外れることを防止する外れ防止部材6が配置されている。本形態の外れ防止部材6は、一対の延設部33の間に架け渡されるクリップによって形成されている。また、クリップは、一対の延設部33を外周側から保持して、一対の延設部33の間隔が広がることを阻止する四角環形状に形成されている。
【0051】
図5及び図6に示すように、本形態の一対の延設部33は、円弧状装着部32の軸方向Lにおける複数箇所に分割して形成されている。軸方向Lに並ぶ延設部33同士の間には、円弧状装着部32の周方向Cの長さが短くなった窪み部331が形成されている。窪み部331は、外れ防止部材6が配置(係止)されるスペースとして利用される。外れ防止部材6は、軸方向Lに並ぶ2組一対の延設部33にそれぞれ架け渡されている。
【0052】
本形態においては、外れ防止部材6が一対の延設部33に架け渡されていることにより、円弧状装着部32が第2導体4から外れることがより確実に防止される。これにより、接続端子3が第2導体4から脱落することをより確実に防止することができる。
【0053】
本形態の接続端子3及び端子接続体1におけるその他の構成、作用効果等については、実施形態1の場合と同様である。また、本形態においても、実施形態1に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1の場合と同様である。
【0054】
本形態の補強バネ5は、円弧状装着部32の外周面323にのみ設けられている。これ以外にも、補強バネ5は、円弧状装着部32の外周面323から一対の延設部33の内周面に連続して設けられていてもよい。
【0055】
また、本形態においては、接続端子3の円弧状装着部32に、補強バネ5と外れ防止部材6との両方が設けられている。一方、円弧状装着部32には、補強バネ5と外れ防止部材6とのいずれか一方のみを設けることもできる。
【0056】
本発明は、各実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。また、本発明は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。
【符号の説明】
【0057】
1 端子接続体
2 第1導体
3 接続端子
31 接続部
32 円弧状装着部
33 延設部
4 第2導体
401 円筒状外周面
44 拡径部
5 補強バネ
6 外れ防止部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7