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特許7102852ガスバリア性積層フィルム,波長変換シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】ガスバリア性積層フィルム,波長変換シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20220712BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20220712BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
B32B9/00 A
B32B7/023
G02B5/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018061887
(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2019171661
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】戸出 良平
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-094557(JP,A)
【文献】国際公開第2017/043483(WO,A1)
【文献】特開2016-218339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
G02B 5/20-5/28
H01L 33/00,33/48-33/64
F21S 2/00
F21V 8/00
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子フィルム基材1、無機薄膜層、ガスバリア性被覆層、接着層及び高分子フィルム基材2の5層のみから成り、
全光線透過率が85%以上の高分子フィルム基材1上に、厚さが5nm以上100nm以下の無機薄膜層と、硬化後の膜厚で50nm~2000nmのガスバリア性被覆層が形成されてなるバリアフィルムを積層し、厚さが0.5μm以上20μm以下の接着剤又は粘着剤からなる接着層を介して、全光線透過率が85%以上の高分子フィルム基材2を積層してなるガスバリア性積層フィルムであって、
前記高分子フィルム基材1の厚さが5μm以上50μm以下、前記高分子フィルム基材2の厚さが前記高分子フィルム基材1よりも厚く、50μm以上100μm以下であり
無機薄膜層と高分子フィルム基材2との間の距離が2.0μm以上であり、
ガスバリア性被覆層と接着層との屈折率差が0.05以下である、ガスバリア性積層フィルム。
【請求項2】
450nmの波長に対して85.0%以上,550nmの波長に対して86.5%以上,650nmの波長に対して87.0%以上の透過率を有することを特徴とする請求項1記載のガスバリア性積層フィルム。
【請求項3】
高分子フィルム基材1または高分子フィルム基材2上に、干渉縞防止機能を有するマット層を更に備える、請求項1または2に記載のガスバリア性積層フィルム。
【請求項4】
発光部としてのコアが保護膜としてのシェルにより被膜された平均粒子径が1~20nmの量子ドットを含む厚さが1~500μmの波長変換層の表裏双方の面を、請求項3に記載のガスバリア性積層フィルム2枚に挟み込まれて、表裏双方の面でマット層が最外面に露出してなる構成の波長変換シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性積層フィルム及び波長変換シートに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイのバックライトユニットやエレクトロルミネッセンス発光ユニット等の発光ユニットでは、発光体又は蛍光体が酸素又は水蒸気と接触して長時間が経過することにより、発光体又は蛍光体としての性能が低下することがある。このため、これらの発光ユニットではしばしば、高分子フィルムにガスバリア性を有するバリア層が形成された構造を有するガスバリア性積層フィルムが、発光体又は蛍光体等の包装材又は保護材として使用される。
【0003】
発光体又は蛍光体等の包装材又は保護材として使用されるガスバリア性積層フィルムには、ガスバリア性だけでなく、高い透明性が要求される。具体的には、ガスバリア性積層フィルムには、波長450nm付近の青色光,波長550nm付近の緑色光,波長650nm付近の赤色光に対して高い透過率を有することが求められており、特に波長変換シートの保護材として用いる場合には、波長変換する光の光源として主に青色LEDが用いられることから、青色LEDのピーク波長である波長450nmに対して高い透過率を有することが求められている。このような要求に対し、波長450nm,550nm,650nmの光に対する高い透過率を得ることができ、特に波長450nmの青色光に対して高い透過率を得ることができるガスバリア性積層フィルムとそれを用いた波長変換シートを提供することを目的として、本出願人による特許文献1に係る発明が提案されている。
【0004】
特許文献1の発明によるガスバリア性積層フィルムは、基材上に無機薄膜層及びガスバリア性被覆層が形成されてなる2枚のバリアフィルム(第1及び第2のバリアフィルム)が接着層を介して貼り合わせられた構造を有するとともに、2つの無機薄膜層間の距離を1.0μm以上とし、且つ、2つの無機薄膜層間に配置された2つのガスバリア性被覆層と接着層との屈折率差を0.05以下とすることで、2つの無機薄膜層間の光学的な薄膜干渉を低減することができ、その結果、波長450nm,550nm,650nmの光に対する高い透過率、特に波長450nmの青色光に対して高い透過率を得ることができたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-94557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明では、2枚のバリアフィルムを具備する積層構造における薄膜層間の距離,屈折率差の制御によるまでもなく、無機薄膜層及びガスバリア性被覆層をそれぞれ1層ずつ備える1枚のバリアフィルムにより、必要とされるガスバリア性および光学特性(特定波長に対する透過性)を有する簡便な構成で低コストなガスバリア性積層フィルムとそれを用いた波長変換シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者によるガスバリア性積層フィルムは、
高分子フィルム基材1、無機薄膜層、ガスバリア性被覆層、接着層及び高分子フィルム
基材2の5層のみから成り、
全光線透過率が85%以上の高分子フィルム基材1上に、厚さが5nm以上100nm以下の無機薄膜層と、硬化後の膜厚で50nm~2000nmのガスバリア性被覆層が形成されてなるバリアフィルムを積層し、厚さが0.5μm以上20μm以下の接着剤又は粘着剤からなる接着層を介して、全光線透過率が85%以上の高分子フィルム基材2を積層してなるガスバリア性積層フィルムであって、
前記高分子フィルム基材1の厚さが5μm以上50μm以下、前記高分子フィルム基材2の厚さが前記高分子フィルム基材1よりも厚く、50μm以上100μm以下であり
無機薄膜層と高分子フィルム基材2との間の距離が2.0μm以上であり、
ガスバリア性被覆層と接着層との屈折率差が0.05以下である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、波長450nm,550nm,650nmの光に対する高い透過率を得ることができ、特に波長450nmの青色光に対して高い透過率を得ることができるガスバリア性積層フィルムとそれを用いた波長変換シートを、従来よりも簡便な構成で低コストに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のガスバリア性積層フィルムの一実施形態を示す模式断面図。
図2】本発明の波長変換シートの一実施形態を示す模式断面図。
図3】本発明の波長変換シートを用いたバックライトユニットの一実施形態を示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
[ガスバリア性積層フィルム]
本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、第1の基材、第1の基材上に形成された無機薄膜層、及び、無機薄膜層上に形成されたガスバリア性被覆層、を有するバリアフィルムと、第2の基材と、バリアフィルムと第2の基材とを貼り合わせる接着層と、を少なくとも備える。また、無機薄膜層と第2の基材との間の距離は2.0μm以上であり、ガスバリア性被覆層と接着層との屈折率差は0.05以下である。ガスバリア性積層フィルムは、第1又は第2の基材上(ガスバリア性積層フィルムの少なくとも一方の最外面)にマット層を更に備えていてもよい。
【0011】
図1は、本発明のガスバリア性積層フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すガスバリア性積層フィルム100は、バリアフィルム1と、第2の基材12と、バリアフィルム1及び第2の基材12を貼り合わせる接着層4と、第2の基材12上に形成されたマット層5と、を備えている。バリアフィルム1は、第1の基材11と、無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14からなるバリア層15とを備えている。
【0012】
ガスバリア性積層フィルム100において、無機薄膜層13と第2の基材12との間の距離Dは、2.0μm以上であることが必要である。距離Dは無機薄膜層13と第2の基材12との間に設けられる各層(主に接着層4)の厚さによって調整することができる。ガスバリア性積層フィルム100においては、ガスバリア性被覆層14及び接着層4の厚さの合計が、距離Dとなる。距離Dを2.0μm以上とすることで、無機薄膜層13及び第2の基材12間で光学的な薄膜干渉が生じることを抑制することができ、ガスバリア性積層フィルム100は、波長450nm、550nm及び650nmの光に対する高い透過率、特に波長450nmの青色光に対して高い透過率を得ることができる。距離Dが2.0μm未満であると、無機薄膜層13及び第2の基材12間で光学的な薄膜干渉が生じやすくなり、特に波長450nmの青色光に対する透過率が低下することとなる。加えて、距離Dが2.0μm未満であると、距離Dのほんの少しのばらつき(すなわち、接着層4やガスバリア性被覆層14の厚さのほんの少しのばらつき)により、ガスバリア性積層フィルム100の波長450nmの青色光に対する透過率のばらつきが発生しやすくなり、高い透過率を安定して得ることが困難となる。
【0013】
距離Dの設計による、光学的な薄膜干渉の抑制について説明する。以後、図1に示す距離D(4+14)のうち、厚さが固定されて従属的な位置付けとなるガスバリア性被覆層14に対して支配的な割合を占め、主な変動要因となる接着層4の厚さを変調パラメータ「D」と意図して説明することもある。
【0014】
厚さd,屈折率nの光学薄膜に(垂直に)白色光を入射する場合、薄膜の表面(入射面)と他面(出射面)のそれぞれ界面での反射光同士による「位相の一致による強め合い」を考慮すると、「強め合う条件:2d=(m+1/2)×λ/n」の式に、可視光線波長λ(380~780nm),膜厚d(1.0μm=1000nm),屈折率n(1.5)を代入すると、3.35≦m≦7.39が導かれ、正の整数であるm(4,5,6,7)について、波長λを算出すると、666.7,545.5,461.5,400.0(nm)の4種類の波長が強め合って視覚されることになる。
【0015】
同様に、膜厚dを各種変更して計算した場合、膜厚dが1500nmではmが6~11の6種類,2000nmではmが8~15の8種類となり、多種類の波長が強め合って視覚されることになる。(3000nm=3μmでは12種類,5000nm=5μmでは20種類,10000nm=10μmでは41種類になる。計算例を表1に示す。)
【0016】
【表1】
【0017】
可視域内の多数の波長が強く視覚されると、結果として混色による白色光が視覚されるに過ぎず、薄膜干渉に伴い特定色が認識される影響は低下して度外視できることになる。この傾向は、屈折率nを各種変更して計算した場合も同様である。本発明のおいては、薄膜干渉による影響を及ぼす厚さを持つガスバリア性被覆層14及び接着層4の厚さの合計Dについて、単層の光学薄膜での上記傾向および実験に基づく検証結果を適用して、D(d)を2.0μm以上に設定する。
【0018】
薄膜干渉をより低減し、波長450nmの青色光に対してより高い透過率を安定して得る観点から、距離Dは2.0μm以上であることが好ましく、3.0μm以上であることがより好ましく、5.0μm以上であることが更に好ましい。一方、距離Dが大き過ぎる場合、薄膜干渉による影響の解消作用の向上での実用上の限度を超えてしまい、ガスバリア性積層フィルム100の全体の厚さが厚くなるとともに、材料コストが高くなる傾向がある。また、距離Dが大き過ぎる場合、必然的に接着層4の厚さが厚くなる。通常、接着層4の水蒸気透過度及び酸素透過度は、第1及び第2の基材11,12と比較しても非常に大きいため、接着層4の厚さが厚くなると接着層4の端部から水蒸気及び酸素が侵入しやすくなり、ガスバリア性積層フィルム100のガスバリア性が低下することとなる。
【0019】
ガスバリア性積層フィルム100において、ガスバリア性被覆層14と接着層4との屈折率差(図1におけるΔn)は0.05以下であることが望ましい。屈折率差Δnが0.05以下であることにより、ガスバリア性被覆層14と接着層4との間での界面反射の機会が減り、両者の間での薄膜干渉を抑制することができ、ガスバリア性積層フィルム100は、特に波長450nmの青色光に対して高い透過率を得ることができる。波長450nmの青色光に対する透過率をより高める観点から、屈折率差Δnは0.03以下であることが好ましく、0.01以下であることがより好ましい。屈折率差Δnは、接着層4並びにガスバリア性被覆層14の材質により調整することができる。
【0020】
以下、ガスバリア性積層フィルム100を構成する各層について詳細に説明する。
<基材>
第1及び第2の基材11,21は、特に限定されるものではないが、高分子フィルムであることが望ましく、全光線透過率が85%以上の高分子フィルムであることがより望ましい。高分子フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド;ポリプロピレン及びシクロオレフィン等のポリオレフィン;ポリカーボネート;並びにトリアセチルセルロース等が挙げられるが、これらに限定されない。高分子フィルムはポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム又はポリオレフィンフィルムであることが好ましく、ポリエステルフィルム又はポリアミドフィルムであることがより好ましく、透明性、加工適正及び密着性の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが更に好ましい。また、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、透明性及びガスバリア性の観点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
【0021】
高分子フィルムは、必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤及び滑り剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、高分子フィルムの表面は、コロナ処理、フレーム処理及びプラズマ処理が施されていてもよい。
【0022】
第1及び第2の基材11,21の厚さは、特に制限されないが、3μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。この厚さが3μm以上であると加工が容易であり、100μm以下であると保護フィルムの総厚を薄くすることができる。一方、用途によっては保護フィルムの総厚がより厚いものを要求される場合がある。この場合、製造工程上、工程の多いバリアフィルム1側の第1の基材11よりも第2の基材12の厚さを厚くすることが好ましい。例えば第1の基材の厚さが5μm以上50μm以下であり、第2の基材の厚さを第1の基材よりも厚く、50μm以上~150μm以下としても良い。
【0023】
<無機薄膜層>
無機薄膜層13は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、又はプラズマCVD(PECVD)法により形成することができる。真空蒸着法としては、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム(Electron Beam)加熱式真空蒸着法、誘導加熱式真空蒸着法がより好ましく、スパッタリング法としては、反応性スパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリング法がより好ましい。膜の均質性の観点からはスパッタリング法が好ましく、コストの観点からは、真空蒸着法が好ましく、目的、用途に応じて選択することができる。
スパッタリング法及びPECVD法におけるプラズマの生成方法としては、DC(Direct Current)方式、RF(Radio Frequency)方式、MF(Middle Frequency)方式、DCパルス方式、RFパルス方式、及びDC+RF重畳方式等を挙げることができる。
【0024】
真空成膜では通常、金属、或いは、珪素等の酸化物、窒化物又は窒化酸化物等の膜が形成される。無機薄膜層13としては、アルミニウム、チタン、銅、インジウム、スズ等の金属、又はそれらの酸化物(アルミナ等)、或いは、珪素、珪素酸化物の膜が好ましい。また、金属や珪素の酸化物だけでなく、金属や珪素の窒化物や窒化酸化物の膜が形成されてもよい。また、複数の金属を含む膜が形成されてもよい。上述のアルミニウム、チタン、銅、インジウム、珪素の酸化物、窒化物、窒化酸化物は、透明性とバリア性の両方に優れる。珪素を含む酸化物、窒化酸化物はバリア性が高く特に好ましい。
【0025】
真空成膜により形成される無機薄膜層13の厚さは、5nm以上100nm以下であることが好ましい。無機薄膜層13の厚さが5nm以上であると、より良好なバリア性を得ることができる傾向がある。また、無機薄膜層13の厚さが100nm以下であると、クラックの発生を抑制し、クラックによる水蒸気バリア性及び酸素バリア性の低下を抑制で
きる傾向がある。更に、無機薄膜層13の厚さが100nm以下であると、材料使用量の低減及び膜形成時間の短縮等に起因してコストを低減できるので、経済的観点から好ましい。
【0026】
<ガスバリア性被覆層>
ガスバリア性被覆層14は、後工程での二次的な各種損傷を防止すると共に、高いバリア性を付与するために設けられるものである。ガスバリア性被覆層14は、シロキサン結合を含んでいてもよい。ガスバリア性被覆層14は、大気中で成膜されたものでも真空中で成膜されたものでもよい。ガスバリア性被覆層14を大気中で形成する場合は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンビニルアルコールのような極性を持つ化合物、ポリ塩化ビニリデン等の塩素を含む化合物、及びSi原子を含む化合物、Ti原子を含む化合物、Al原子を含む化合物、Zr原子を含む化合物等を含有する塗布液を無機薄膜層13上に塗布し、乾燥硬化させることで形成することができる。
ガスバリア性被覆層14を大気中で形成する際の塗布液の塗布方法としては、具体的には、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。
【0027】
シロキサン結合を含む化合物は、例えば、シラン化合物を用い、シラノール基を反応させて形成されることが好ましい。このようなシラン化合物としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
(OR4-nSi …(1)
[式中、nは0~3の整数を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1~4のアルキル基を示す。]
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びジメチルジエトキシシラン等が挙げられる。窒素を含むポリシラザンを使用してもよい。
【0028】
また、ガスバリア性被覆層14には、他の金属原子からなる前駆体から作られる材料を使用してもよい。Ti原子を含む化合物としては、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
(OR4-nTi …(2)
[式中、nは0~3の整数を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1~4のアルキル基を示す。]
上記式(2)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、及びテトラブトキシチタニウム等が挙げられる。
【0029】
Al原子を含む化合物としては、例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
(OR3-mAl …(3)
[式中、mは0~2の整数を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1~4のアルキル基を示す。]
上記式(3)で表される化合物としては、例えば、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、及びトリブトキシアルミニウム等が挙げられる。
【0030】
Zr原子を含む化合物としては、例えば、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
(OR4-nZr …(4)
[式中、nは0~3の整数を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1~4のアルキル基を示す。]
上記式(4)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、及びテトラブトキシジルコニウム等が挙げられる。
【0031】
ガスバリア性被覆層14を大気中で形成する場合、上記塗布液は塗布後、硬化される。硬化方法としては、特に限定されないが、紫外線硬化及び熱硬化等が挙げられる。紫外線硬化の場合、塗布液は重合開始剤及び二重結合を有する化合物を含んでいてもよい。また必要に応じて、加熱エージングがされてもよい。
【0032】
ガスバリア性被覆層14を大気中で形成する別の方法として、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウムなどの無機酸化物の粒子同士が、リン化合物に由来するリン原子を介して脱水縮合することで得られる反応生成物をガスバリア性被覆層とする方法を用いることもできる。具体的には、無機酸化物の表面に存在する官能基(例えば、水酸基)と、無機酸化物と反応可能なリン化合物の部位(例えば、リン原子に直接結合したハロゲン原子や、リン原子に直接結合した酸素原子)とが、縮合反応を起こし、結合する。反応生成物は、例えば、無機酸化物とリン化合物とを含む塗布液を無機薄膜層13の表面に塗布し、形成した塗膜を熱処理することにより、無機酸化物の粒子同士が、リン化合物に由来するリン原子を介して結合する反応を進行させることで得られる。熱処理の温度の下限は、110℃以上であり、120℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがより好ましく、170℃以上であることが更に好ましい。熱処理温度が低いと、十分な反応速度を得ることが難しくなり、生産性が低下する原因となる。熱処理の温度の好ましい上限は、基材の種類などによって異なるが、220℃以下であり、190℃以下であることが好ましい。熱処理は、空気中、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下などで実施することができる。
【0033】
ガスバリア性被覆層14を大気中で形成する場合は、凝集等しない限り、上記塗布液は更に樹脂を含んでいてもよい。上記樹脂としては、具体的にはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。上記塗布液は、これらの樹脂のうち、塗布液中の他の材料との相溶性が高い樹脂を含むことが好ましい。
【0034】
上記塗布液は、更に、フィラー、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、並びに、シランカップリング剤及びチタンキレート剤等を必要に応じて含んでいてもよい。
【0035】
大気中で形成されるガスバリア性被覆層14の厚さは、硬化後の膜厚で50nm~2000nmであることが好ましく、100nm~1000nmであることがより好ましい。大気中で形成されるガスバリア性被覆層14の厚さが50nm以上であると、膜形成がしやすくなる傾向がある。大気中で形成されるガスバリア性被覆層14の厚さが2000nm以下であると、割れ又はカールを抑制できる傾向がある。
【0036】
ガスバリア性被覆層14の屈折率は、接着層4との屈折率差Δnが0.05以下となるような値であれば特に限定されないが、その材質等から、好ましくは1.40~1.60である。
【0037】
<接着層>
接着層4は、図1に示すように、バリアフィルム1と第2の基材12とを貼り合わせて積層するために、バリアフィルム1と第2の基材12との間に設けられている。接着層4としては、高分子フィルム用の接着剤又は粘着剤として一般的なものを使用することができ、バリアフィルム1及び第2の基材12の貼り合わせる側の表面に応じて適宜選択され
る。接着層4の材料の候補としては、エポキシ系、ポリエステル系、アクリル系、ゴム系、フェノール系、及びウレタン系等の接着剤又は粘着剤が挙げられる。
接着剤又は粘着剤の塗布方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。
【0038】
接着層4の厚さは0.5μm以上20μm以下であることが好ましい。接着層4の厚さが0.5μm以上であることにより十分な接着性が得られる傾向があるとともに、無機薄膜層13と第2の基材12との間の距離Dを2.0μm以上とすることが容易となる傾向があり、20μm以下であることによりガスバリア性積層フィルム100の総厚を薄くできるとともに、コストアップを抑制することができる傾向がある。また、接着層4の厚さが20μm以下であることにより、接着層4の端部から水蒸気及び酸素が侵入することを抑制することができ、ガスバリア性積層フィルム100のガスバリア性が低下することを抑制することができる。
【0039】
また、接着層4を介してバリアフィルム1と第2の基材12とを貼り合わせた後、エージングすることができる。エージングは、例えば、20~80℃で1~10日間行われる。
【0040】
接着層4の屈折率は、ガスバリア性被覆層14との屈折率差Δnが0.05以下となるような値であれば特に限定されないが、屈折率差Δnを低減しやすいことから、1.40~1.60であることが好ましく、ガスバリア性被覆層14の屈折率と同等の値であることが最も好ましい。
【0041】
接着層4は、屈折率を調整するために、微粒子を含有していてもよい。微粒子としては、低屈折率調整剤として、多孔質シリカ微粒子や中空シリカ、高屈折率調整剤として、ジルコニア微粒子、チタニア微粒子等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。微粒子の含有量は、十分な接着性を維持する観点から、接着層4全量を基準として、25質量%以下であることが好ましい。微粒子の平均粒子径は、十分な接着性を維持しつつ、十分な屈折率調整機能を得る観点から、0.5nm以上200nm以下であることが好ましい。含有させる微粒子の種類、含有量を適宜調整することで、接着層4の屈折率を所望の値(例えば屈折率1.40~1.60)に調整することができる。
接着層4は、必要に応じて、硬化剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、及び分散剤等を含んでいてもよい。
【0042】
<マット層>
マット層5は、1以上の光学的機能や帯電防止機能を発揮させるために、第2の基材12表面に設けられている。ここで、光学的機能としては、特に限定されるものではないが、干渉縞(モアレ)防止機能、反射防止機能、拡散機能等が挙げられる。これらの中でも、マット層5は、光学的機能として少なくとも干渉縞防止機能を有することが好ましい。本実施形態では、マット層5が少なくとも干渉縞防止機能を有するものである場合について説明する。
【0043】
マット層5は、バインダー樹脂と、微粒子とを含んで構成されていてもよい。そして、マット層5の表面から微粒子の一部が露出するように微粒子がバインダー樹脂に埋め込まれることにより、マット層5の表面には微細な凹凸が生じていてもよい。このようなマット層5をガスバリア性積層フィルムの表面に設けることにより、ニュートンリング等の干渉縞の発生をより十分に防止することができ、結果として高効率かつ高精細、長寿命の発光デバイスを得ることが可能となる。
【0044】
バインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、光学的透明性に優れた樹脂を用いることができる。より具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などを用いることができる。また、有機樹脂以外に、シリカバインダーを用いることもできる。これらの中でも、材料の幅広さからアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂を用いることが望ましく、耐光性や光学特性に優れることからアクリル系樹脂を使用することがより望ましい。これらは、1種だけでなく、複数種を組み合わせて使用することもできる。
【0045】
微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなどの無機微粒子の他、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂などの有機微粒子を用いることができる。これらの中でも、微粒子としては、シリカ、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等からなる屈折率1.40~1.55の微粒子を用いることが、透過率の上で好ましい。屈折率が低い微粒子は高価であり、一方、屈折率が高すぎる微粒子は透過率を損ねる傾向がある。これらは、1種だけでなく、複数種を組み合わせて使用することもできる。
【0046】
微粒子の平均粒径は、0.1~30μmであることが好ましく、0.5~10μmであることがより好ましい。微粒子の平均粒径が0.1μm以上であると、優れた干渉縞防止機能が得られる傾向があり、30μm以下であると、透明性がより向上する傾向がある。
【0047】
マット層5における微粒子の含有量は、マット層5全量を基準として0.5~30質量%であることが好ましく、3~10質量%であることがより好ましい。微粒子の含有量が0.5質量%以上であると、光拡散機能と干渉縞の発生を防止する効果がより向上する傾向があり、30質量%以下であると、輝度を低減させることがない。
【0048】
マット層5は、上述したバインダー樹脂及び微粒子を含む塗布液をバリアフィルム1又は第2の基材12の表面上に塗布し、乾燥硬化させることで形成することができる。塗布方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。
【0049】
マット層5の厚さは、0.1~20μmであることが好ましく、0.3~10μmであることがより好ましい。マット層5の厚さが0.1μm以上であることにより、均一な膜が得られやすく、光学的機能を十分に得やすくなる傾向がある。一方、マット層5の厚さが20μm以下であることにより、マット層5に微粒子を用いた場合、マット層5の表面へ微粒子が露出して、凹凸付与効果が得られやすくなる傾向がある。
【0050】
<波長変換シート>
図2は、本発明の波長変換シートの一実施形態を示す模式断面図である。図2に示した波長変換シートは、量子ドット等の蛍光体を含んでおり、例えばLED波長変換用として、バックライトユニットに用いることができるものである。
図2に示す波長変換シート200は、蛍光体を含む蛍光体層(波長変換層)7と、蛍光体層7の一方の面7a側及び他方の面7b側にそれぞれ設けられたガスバリア性積層フィルム100,100とを備えて概略構成されている。これによって、ガスバリア性積層フィルム100,100の間に蛍光体層7が包み込まれた(すなわち、封止された)構造となっている。ここで、蛍光体層7には、バリア性を付与する必要があることから、一対のガスバリア性積層フィルム100,100によって、蛍光体層7を挟んだ構成にすることが望ましい。以下、波長変換シート200を構成する各層について詳細に説明する。
【0051】
<ガスバリア性積層フィルム>
ガスバリア性積層フィルム100,100としては、図1に示したガスバリア性積層フィルム100を用いることができる。波長変換シート200において、蛍光体層7の一方の面7a側に配置されるガスバリア性積層フィルム100と、他方の面7b側に配置されるガスバリア性積層フィルム100とは、同一であっても異なっていてもよい。
図2においては、蛍光体層7側に基材11が面してマット層5が基材12側に形成されるガスバリア性積層フィルム100(同図上側)と、蛍光体層7側に基材12が面してマット層5が基材11側に形成されるガスバリア性積層フィルム100(同図下側)が図示されており、層構成の異なるガスバリア性積層フィルム100の採用例が示される。
【0052】
<蛍光体層>
蛍光体層7は、封止樹脂9及び蛍光体8を含む数十~数百μmの厚さの薄膜である。封止樹脂9としては、例えば、感光性樹脂又は熱硬化性樹脂を使用することができる。封止樹脂9の内部には、蛍光体8が1種以上混合された状態で封止されている。封止樹脂9は、蛍光体層7と一対のガスバリア性積層フィルム100,100とを積層する際に、これらを接合するとともに、これらの空隙を埋める役割を果たす。また、蛍光体層7は、1種類の蛍光体8のみが封止された蛍光体層が2層以上積層されたものであってもよい。それら1層又は2層以上の蛍光体層に用いられる2種類以上の蛍光体8は、励起波長が同一のものが選択される。この励起波長は、LED光源が照射する光の波長に基づいて選択される。2種類以上の蛍光体8の蛍光色は相互に異なる。LED光源として青色LED(ピーク波長450nm)を用いつつ、2種類の蛍光体8を用いる場合、各蛍光色は、好ましくは、赤色、緑色である。各蛍光の波長、及びLED光源が照射する光の波長は、カラーフィルタの分光特性に基づき選択される。蛍光のピーク波長は、例えば赤色が650nm、緑色が550nmである。
【0053】
次に、蛍光体8の粒子構造を説明する。蛍光体8としては、色純度が高く、輝度の向上が期待できる量子ドットが好ましく用いられる。量子ドットとしては、例えば、発光部としてのコアが保護膜としてのシェルにより被膜されたものが挙げられる。上記コアとしては、例えば、セレン化カドミウム(CdSe)等が挙げられ、上記シェルとしては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)等が挙げられる。CdSeの粒子の表面欠陥がバンドギャップの大きいZnSにより被覆されることで量子効率が向上する。また、蛍光体8は、コアが第1シェル及び第2シェルにより二重に被覆されたものであってもよい。この場合、コアにはCsSe、第1シェルにはセレン化亜鉛(ZnSe)、第2シェルにはZnSが使用できる。また、量子ドット以外の蛍光体8として、YAG:Ce等を用いることもできる。
【0054】
上記蛍光体8の平均粒子径は、好ましくは1~20nmである。また、蛍光体層7の厚さは、好ましくは1~500μmである。
蛍光体層7における蛍光体8の含有量は、蛍光体層7全量を基準として、1~20質量%であることが好ましく、3~10質量%であることがより好ましい。
【0055】
封止樹脂9としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び紫外線硬化型樹脂等を使用することができる。これらの樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース及びメチルセルロース等のセルロース誘導体;酢酸ビニルとその共重合体、塩化ビニルとその共重合体、及び塩化ビニリデンとその共重合体等
のビニル系樹脂;ポリビニルホルマール及びポリビニルブチラール等のアセタール樹脂;アクリル樹脂とその共重合体、メタアクリル樹脂とその共重合体等のアクリル系樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリアミド樹脂;線状ポリエステル樹脂;フッ素樹脂;並びに、ポリカーボネート樹脂等を用いることができる。
【0057】
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、及びシリコーン樹脂等が挙げられる。
紫外線硬化型樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、及びポリエステルアクリレート等の光重合性プレポリマーが挙げられる。また、これら光重合性プレポリマーを主成分とし、希釈剤として単官能や多官能のモノマーを使用することもできる。
【0058】
<バックライトユニット>
図3にバックライトユニットの一実施形態を示す。本実施形態のバックライトユニット500は、LED(発光ダイオード)光源30と導光板40と波長変換シート200とを備える。また、図では省略されているが、バックライトユニット500は、反射板や、拡散板、プリズムシートなどを備えていてもよい。
【0059】
LED光源30は、導光板40の側面に設置され、導光板40上(光の進行方向)に波長変換シート200が配置される。LED光源30の内部には、発光色が青色のLED素子が複数個設けられている。このLED素子は、紫LED、又はさらに低波長のLEDであってもよい。LED光源は、導光板側面に向かって光を照射する。本実施形態の波長変換シート200を用いたバックライトユニットの場合、この照射された光は、例えば、導光板を経てアクリルやエポキシ等の樹脂と蛍光体とを混合した層(蛍光体層)7に入射することになる。
【0060】
導光板40は、LED光源30から照射された光を効率的に導くものであり、公知の材料が使用される。導光板40としては、例えば、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、及びシクロオレフィンフィルム等が使用される。導光板40は、例えば、シルク印刷方式、射出成型や押出成型などの成型方式、インクジェット方式などにより形成することができる。導光板40の厚さは、例えば、100~1000μmである。
【0061】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上述のガスバリア性積層フィルム100の構成、波長変換シート200の構成、及び、バックライトユニット500の構成は一例であり、これに限定されるものではない。
【実施例
【0062】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1~6)
接着層4の厚さ(2~9μm),接着層4の屈折率(1.45~1.55),ガスバリア性被覆層14と接着層4との屈折率差(Δn=0~0.05)を各種変更したガスバリア性積層フィルム100をバックライトユニットに適用した実施例について、450nm,550nm,650nmそれぞれの波長に対する透過率を測定した。無機薄膜層13の屈折率(1.7),ガスバリア性被覆層14の屈折率(1.5),基材11,12の屈折率(1.5)は、何れの実施例においても共通する。
(比較例1~5)
接着層4の厚さ(0.5~5μm),接着層4の屈折率(1.30~1.70),ガス
バリア性被覆層14と接着層4との屈折率差(Δn=0~0.20)を各種変更したガスバリア性積層フィルム100をバックライトユニットに適用した実施例について、450nm,550nm,650nmそれぞれの波長に対する透過率を測定した。無機薄膜層13の屈折率(1.7),ガスバリア性被覆層14の屈折率(1.5),基材11,12の屈折率(1.5)は、何れの比較例においても共通する。
【0063】
結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
表中にそれぞれの波長に対する透過率の指標値をカッコ書きで記している。
【0066】
実施例1~6では、450nm(85.0%以上),550nm(86.5%以上),650nm(87.0%以上)の何れにおいても指標値を上回っているが、比較例1~5では、何れかにおいてNG判定されている。
【0067】
比較例1では、接着層4(0.5μm)とガスバリア性被覆層14(<1.5μm)の厚さの和が足りず、無機薄膜層13と高分子フィルム基材2との間の距離が2.0μmに満たないためである。
【0068】
比較例2,3では、接着層4の屈折率-ガスバリア性被覆層14の屈折率が-0.1以下(Δn>0.05)であり、450nmに対する透過率が低い。
【0069】
比較例4,5では、接着層4の屈折率-ガスバリア性被覆層14の屈折率が0.1以上(Δn>0.05)であり、550nm,650nmに対する透過率が低い。
【符号の説明】
【0070】
1…バリアフィルム
2…第2のバリアフィルム
4…接着層
5…マット層
7…蛍光体層
8…蛍光体
11…第1の基材層
12…第2の基材層
13…無機薄膜層
14…ガスバリア性被覆層
15…バリア層
30…LED光源
40…導光板
100…ガスバリア性積層フィルム
200…波長変換シート
500…バックライトユニット
図1
図2
図3