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特許7102897画像形成装置、画像形成方法、および画像形成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法、および画像形成プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20220712BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20220712BHJP
   B65H 1/26 20060101ALI20220712BHJP
   B65H 1/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
B41J29/38 204
B41J29/42 F
B65H1/26 312A
B65H1/00 501C
B65H1/00 501A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018082756
(22)【出願日】2018-04-24
(65)【公開番号】P2019188673
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 爽香
(72)【発明者】
【氏名】納冨 辰大
(72)【発明者】
【氏名】小片 智史
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 由美子
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和俊
(72)【発明者】
【氏名】玉木 賢二
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-194651(JP,A)
【文献】特開2015-176399(JP,A)
【文献】特開2006-088536(JP,A)
【文献】特開2017-173496(JP,A)
【文献】特開2007-079701(JP,A)
【文献】特開2014-188803(JP,A)
【文献】特開2014-133656(JP,A)
【文献】特開2008-221543(JP,A)
【文献】特開2011-121207(JP,A)
【文献】特開2015-223796(JP,A)
【文献】特開2014-018975(JP,A)
【文献】特開2005-182500(JP,A)
【文献】特開2005-062916(JP,A)
【文献】特開2006-088513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/42
B65H 1/26
B65H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の記録媒体に画像を形成するための画像形成部と、
前記記録媒体を収容する媒体収容器を備え前記画像形成部に前記記録媒体を供給する媒体供給部と、
前記媒体収容器に設定された前記記録媒体のタイプ情報を前記媒体収容器ごとに保存する記憶部と、
前記タイプ情報を出力するための出力部と、
前記媒体収容器内の記録媒体が入れ替えられた場合に、前記記録媒体が入れ替えられた媒体収容器に対して前記記録媒体が入れ替えられる前に設定され前記記憶部に保存されていた前記記録媒体のタイプ情報を前記出力部に出力させる記録媒体管理部とを備えた
画像形成装置。
【請求項2】
前記記録媒体管理部は、前記記録媒体のタイプ情報を前記出力部によってユーザーに通知させる
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記録媒体管理部は、前記記録媒体のタイプ情報を前記出力部によって印刷または表示させる
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録媒体管理部は、前記媒体収容器への記録媒体の入れ替えに応じて、前記記憶部に保存されていた前記記録媒体のタイプ情報を前記出力部に出力させる
請求項1~3のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録媒体管理部は、前記媒体収容器が開閉動作した場合に、前記記憶部に保存されていた前記記録媒体のタイプ情報を前記出力部に出力させる
請求項1~4のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
さらに前記媒体収容器に収容された前記記録媒体のタイプ情報を検出する検出器を備え、
前記記録媒体管理部は、前記検出器において検出されたタイプ情報が前記記憶部に保存されていたタイプ情報と一致しているか否かを判断し、一致していないと判断した場合に、前記記憶部に保存されていた前記記録媒体のタイプ情報を前記出力部に出力させる
請求項1~のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記録媒体管理部は、前記媒体収容器が開閉動作した場合に、前記検出器に対して前記媒体収容器に収容された前記記録媒体のタイプ情報の検出を実施させる
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記画像形成部であり、
前記記録媒体管理部は、前記検出器において検出されたタイプ情報が、前記記憶部に保存されたタイプ情報と一致していないと判断した場合に、前記画像形成部に対して前記記憶部に保存されたタイプ情報を印刷させる
請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
ユーザーによって操作される操作部を備え、
前記記録媒体管理部は、前記検出器において検知されたタイプ情報が、前記記憶部に保存されたタイプ情報と一致していないと判断した場合であって、前記操作部において指示がなされた場合に、前記出力部に対して前記記憶部に保存されたタイプ情報を前記出力部に対して出力させる
請求項6~8のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
ユーザーによって操作される操作部を備え、
前記記録媒体管理部は、前記操作部において前記媒体収容器の開閉指示がなされた場合に、前記検出器に対して前記タイプ情報の検出を実施させる
請求項6~9のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記媒体収容器の開閉を検知するための開閉検知部を備え
前記記録媒体管理部は、前記開閉検知部において前記媒体収容器の開閉動作が検知された場合に、前記検出器に対して前記タイプ情報の検出を実施させる
請求項6~10のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記記録媒体管理部は、装置の電源がオンとなった場合に、前記検出器に対して前記媒体収容器に収容された前記記録媒体のタイプ情報の検出を実施させ、前記検出器において検出されたタイプ情報が前記記憶部に保存されたタイプ情報と一致しているか否かを判断し、一致していないと判断した場合には前記出力部に対して情報不一致の警告を出力させる
請求項6~11のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記出力部として表示部を備え、
前記記録媒体管理部は、前記情報不一致の警告を前記表示部に表示させる
請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記タイプ情報は、前記記録媒体の種類を含む
請求項1~13のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記記憶部には、前記記録媒体を管理するための管理情報として、前記タイプ情報に関連付けて前記記録媒体の保管場所情報が保存され、
前記記録媒体管理部は、前記出力部に対して前記タイプ情報とともに前記保管場所情報を出力させる
請求項1~14のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
シート状の記録媒体に画像を形成するための画像形成部と、
前記記録媒体を収容する媒体収容器を備え前記画像形成部に前記記録媒体を供給する媒体供給部と、
前記媒体収容器に設定された前記記録媒体のタイプ情報を前記媒体収容器ごとに保存する記憶部と、
前記タイプ情報を出力するための出力部とを備えた画像形成装置によって実施される画像形成方法であって、
前記媒体収容器内の記録媒体が入れ替えられた場合に、前記記録媒体が入れ替えられた前記媒体収容器に対して前記記録媒体が入れ替えられる前に設定され前記記憶部に保存されていた前記記録媒体のタイプ情報を前記出力部から出力するステップを有する
画像形成方法。
【請求項17】
シート状の記録媒体に画像を形成するための画像形成部と、
前記記録媒体を収容する媒体収容器を備え前記画像形成部に前記記録媒体を供給する媒体供給部と、
前記媒体収容器に設定された前記記録媒体のタイプ情報を前記媒体収容器ごとに保存する記憶部と、
前記タイプ情報を出力するための出力部とを備えた画像形成装置を制御するコンピューターによって実行される画像形成プログラムであって、
前記媒体収容器内の記録媒体が入れ替えられた場合に、前記記録媒体が入れ替えられた前記媒体収容器に対して前記記録媒体が入れ替えられる前に設定され前記記憶部に保存されていた前記記録媒体のタイプ情報を前記出力部から出力するステップを前記コンピューターに実行させる
画像形成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、および画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙などのシート状の記録媒体に画像を形成する画像形成装置は、画像形成部に供給する記録媒体を収容するカセットを備えている。このような画像形成装置に関する技術として、カセットに設定される用紙のタイプとカセットに収納される用紙のタイプが一致する場合にその用紙のタイプを記憶し、画像形成の指示を受けた際に用紙のタイプが記憶されている場合は、ユーザが指定する用紙のタイプと記憶された用紙のタイプとが一致するか否かを判断し、一致する場合は画像形成の指示を行い、一致しない場合は画像形成の指示を行わずユーザに通知を行い、画像形成の指示を受けた際に用紙のタイプが記憶されていない場合は画像形成を行う構成が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-133656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成の画像形成装置では、媒体収容器であるカセットに収容されている記録媒体(用紙)を取り出して異なるタイプのものに入れ替えた場合、カセットから取り出された記録媒体に関する情報が保持されることはない。このため、カセットから取り出された記録媒体が、そのまま放置された場合には、その用紙をもともとの正しい保管場所に戻すことが不可能になる。
【0005】
そこで本発明は、画像形成装置の媒体収容器から取り出されたシート状の記録媒体に関する情報を出力可能であって、これにより複数種類の記録媒体の管理を容易とすることが可能な画像形成装置、画像形成方法、および画像形成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するための本発明は、シート状の記録媒体に画像を形成するための画像形成部と、前記記録媒体を収容する媒体収容器を備え前記画像形成部に前記記録媒体を供給する媒体供給部と、前記媒体収容器に設定された前記記録媒体のタイプ情報を保存する記憶部と、前記媒体収容器に収容された前記記録媒体のタイプ情報を検出する検出器と、前記タイプ情報を出力するための出力部と、前記媒体収容器が開閉動作した場合に、前記検出器に対して前記媒体収容器に収容された前記記録媒体のタイプ情報の検出を実施させ、前記検出器において検出されたタイプ情報が前記記憶部に保存されたタイプ情報と一致しているか否かを判断し、一致していないと判断した場合には前記記憶部に保存されたタイプ情報を前記出力部に対して出力させる記録媒体管理部とを備えた画像形成装置である。また本発明は、この画像形成装置によって実施される画像形成方法、およびこの画像形成装置を制御するコンピューターによって実行される画像形成プログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数種類の記録媒体の管理を容易とすることが可能な画像形成装置、画像形成方法、および画像形成プログラムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
図2】実施形態に係る画像形成装置のブロック図である。
図3】実施形態に係る画像形成方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪画像形成装置≫
図1は、実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を示す概略図である。また図2は、実施形態に係る画像形成装置1のブロック図である。これらの図に示す画像形成装置1は、様々な種類の記録媒体Pに対して画像の形成が可能な装置である。この画像形成装置1において画像の形成が可能な記録媒体Pは、シート状のものであって、普通紙、厚紙、薄紙、和紙、特殊紙、段ボール紙、樹脂フィルム、布材等の様々な材質、坪量、厚み、およびサイズを有するものである。
【0010】
このような画像形成装置1は、操作部101、画像読取部102、画像形成部103、媒体収容トレイ104aを有する媒体供給部104、媒体搬送部105、開閉検知部106、媒体種類検出器107、サイズ検出器108、および制御部109を備えている。以下、これらの各部材の構成を説明する。
【0011】
<操作部101>
操作部101は、この画像形成装置1を用いて実施される画像形成に関する各種の設定を入力する部分であり、表示部101aおよび入力部101bを有する。入力部101bは、入力キーの他に表示部101aと一体に設けたタッチパネルであってもよい。このような操作部101による各種の設定については、以降の画像形成方法において説明する。なお、表示部101aは、各種の情報を出力する出力部の一つでもある。
【0012】
<画像読取部102>
画像読取部102は、原稿台を備え、原稿台に送付された原稿、または原稿台に直接載置された原稿の画像を読み取って、画像データを生成する。なお、本実施形態において画像データは、画像読取部102で生成されるデータに限定されず、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピューターや他の外部装置から受信した画像データであってもよい。
【0013】
<画像形成部103>
画像形成部103は、記録媒体に画像を形成する部分であり、例えば電子写真方式により記録媒体に画像を形成する構成のものである。また、この画像形成部103は、電子写真方式のものに限定されることはなく、その他の方式によって記録媒体Pに画像を形成する構成のものであってもよい。この画像形成部103は、各種の情報を出力する出力部の一つでもある。
【0014】
<媒体供給部104>
媒体供給部104は、1つまたは複数の媒体収容トレイ104aを備え、画像形成部103に記録媒体Pを給紙する。ここでは複数の媒体収容トレイ104aを備えていることとする。各媒体収容トレイ104aは、媒体収容器であって、それぞれに設定された種類やサイズの記録媒体Pが収納される。また各媒体収容トレイ104aには、収容された記録媒体Pを、1枚ずつ媒体搬送部105に送り出すためのピックアップローラー104bが設けられている。
【0015】
<媒体搬送部105>
媒体搬送部105は、各媒体収容トレイ104aから1枚ずつ送り出された記録媒体Pを、画像形成部103に搬送する。このような媒体搬送部105は、記録媒体Pの搬送経路に沿って複数の搬送ローラー105aを設けた構成となっている。また媒体搬送部105は、画像形成部103において画像が形成された記録媒体Pを、排出トレイ105bに排出する。
【0016】
<開閉検知部106>
開閉検知部106は、各媒体収容トレイ104aに設けられ、各媒体収容トレイ104aの開状態動作を検知する。このような開閉検知部106は、電気的なオン/オフの検知によるものが用いられる。例えば各媒体収容トレイ104aに設けられたトレイ開閉のためのレバーに取りつけられたものであって、レバーが引かれたことによって媒体収容トレイ104aが開いたことを電気的なオン/オフによって検知できる構成のものである。また開閉検知部106は、電気的なオン/オフによるものに限定されることはなく、例えば光信号を用いた構成のものであってもよい。
【0017】
<媒体種類検出器107>
媒体種類検出器107は、記録媒体Pの種類を検知するためのものであって、例えば媒体搬送部105における記録媒体Pの搬送経路上であって、好ましくは全ての媒体収容トレイ104aからの搬送経路が合流した搬送経路上に設けられていることとする。これにより、各媒体収容トレイ104aに収容されている記録媒体Pを、1枚ずつ媒体種類検出器107の設置部に送付することができる。
【0018】
この媒体種類検出器107は、例えば通常のメディアセンサーであってよい。このような媒体種類検出器107は、例えば記録媒体Pを挟んで配置される2つの発光素子と、1つの受光素子とを備えている。このような媒体種類検出器107は、一方の発光素子によって記録媒体Pの表側に光を当て、記録媒体Pで反射させた反射光を受光素子で撮影する。また他方の発光素子によって記録媒体Pの裏側に光を当て、記録媒体Pを透過させた透過光を受光素子で測定する構成となっている。
【0019】
<サイズ検出器108>
サイズ検出器108は、記録媒体Pのサイズとして長さおよび幅を検出すものであり、例えば各媒体収容トレイ104aのそれぞれに設置した位置検出センサーであってよい。
【0020】
<制御部109>
制御部109は、操作部101での操作、または画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピューターなどの外部装置からの受信信号にしたがって、画像形成装置1の各部の動作を制御するものである。このような制御部109は、下記のような画像形成制御部109a、媒体種類特定部109b、記録媒体管理部109c、および管理情報記憶部109dを有する。
【0021】
[画像形成制御部109a]
画像形成制御部109aは、操作部101での操作、または画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピューターなどの外部装置からの受信信号にしたがって、画像形成部103、媒体供給部104、および媒体搬送部105の各部の駆動を制御し、記録媒体Pに画像を形成する。またこの際、画像形成制御部109aは、画像読取部102や外部装置からの画像データと、記録媒体管理部109cからの記録媒体Pに関する情報とに基づいて画像形成部103の各部の駆動を制御する。
【0022】
[媒体種類特定部109b]
媒体種類特定部109bは、媒体種類検出器107での撮像情報および測定情報から、記録媒体Pの種類を特定する。この媒体種類特定部109bは、記録媒体Pの種類に関するライブラリー情報を有し、媒体種類検出器107での撮像情報および測定情報を、ライブラリー情報と照合することにより記録媒体Pの種類を特定する。ここで特定する記録媒体Pの種類は、記録媒体Pの材質および坪量または厚みである。
【0023】
[記録媒体管理部109c]
記録媒体管理部109cは、媒体供給部104の各媒体収容トレイ104aに収容された記録媒体Pに関する情報を管理する。この記録媒体管理部109cは、記録媒体Pに関する情報の管理として、記録媒体Pに関する情報の保存および出力とを制御する。このような記録媒体管理部109cによる記録媒体Pに関する情報の管理は、以降の画像形成方法において詳細に説明する。
【0024】
[管理情報記憶部109d]
管理情報記憶部109dは、記録媒体Pを管理するための管理情報を保存する。記録媒体Pを管理するための管理情報は、各媒体収容トレイ104aに設定されている記録媒体Pのタイプ情報、および各記録媒体Pに設定されている保管場所情報である。
【0025】
記録媒体Pのタイプ情報は、記録媒体Pの種類と記録媒体Pのサイズを含み、各媒体収容トレイ104aに対して関連付けて保存されている。また保管場所情報は、画像形成装置1の外部に設定されている記録媒体Pの保管場所に関する情報であって、棚番号などであり、各記録媒体Pのタイプ情報に関連付けて保存されている。
【0026】
また管理情報記憶部109dは、管理情報の他の例として、画像形成装置1の最終調整値、画像形成装置1を設置してからの調整履歴や温湿度情報を保存してもよい。また、記録媒体Pを媒体収容トレイ104aに収容した時刻、および最後に使用した時刻を保存してもよい。さらに、印刷ジョブの履歴、印刷ジョブにおけるジャムの発生率などを保存してもよい。これらの管理情報は、各記録媒体Pのタイプ情報に関連付けた状態で、管理情報記憶部109d保存されることとする。
【0027】
以上のような各構成要素を備えた制御部109は、計算機によって構成されている。計算機は、いわゆるコンピュータとして用いられるハードウェアである。計算機は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備える。さらに、計算機は、不揮発性ストレージおよびネットワークインタフェースを備える。また制御部109における画像形成制御部109a、媒体種類特定部109b、および記録媒体管理部109cが実施する手順は、ROMに保存されたプログラム、または外部装置からRAMにロードされて保存されたプログラムである。これらのプログラムは、画像形成装置1を制御するコンピューターによって実行される画像形成プログラムであって、以下に説明するステップをコンピューターに実行させる。
【0028】
≪画像形成方法≫
図3は、実施形態に係る画像形成方法を示すフローチャートである。このフローチャートを用いて説明する画像形成方法は、例えば画像形成装置1の電源がオンとなったことをトリガーとして開始される一連の処理であり、特に媒体収容トレイ104aから取り出された記録媒体Pの情報を出力する手順を含む。
【0029】
このような画像形成方法のフローは、図2を用いて説明した制御部109を構成するCPUが、ROMやRAMに保存された画像形成プログラムを、制御部109に実行させることにより実現される。以下、図3のフローチャートに示す順に、図1および図2を参照しつつ、画像形成装置1の制御部109によって実施される画像形成方法を説明する。
【0030】
<ステップS1>
先ず画像形成装置1への電源がオンとなったことトリガーとして開始されるステップS1において、記録媒体管理部109cは、全ての媒体収容トレイ104aに収容されている記録媒体Pのタイプ情報を取得する。ここで取得する記録媒体Pのタイプ情報は、記録媒体Pの種類とサイズである。
【0031】
この際、記録媒体管理部109cは、媒体供給部104と媒体搬送部105を駆動させることにより、全ての媒体収容トレイ104aから1枚の記録媒体Pを取り出し、媒体種類検出器107が配置された位置に順次に送付する。そして、媒体種類検出器107を駆動させることにより、順次に各記録媒体Pの撮像情報および測定情報を得る。また記録媒体管理部109cは、媒体種類特定部109bに対し、媒体種類検出器107で得た撮像情報および測定情報に基づいて、全ての記録媒体Pの種類を特定させる。
【0032】
また記録媒体管理部109cは、全ての媒体収容トレイ104aに設けたサイズ検出器108を駆動させることにより、全ての媒体収容トレイ104a中の記録媒体Pのサイズを測定する。
【0033】
<ステップS2>
ステップS2において、記録媒体管理部109cは、ステップS1で取得した記録媒体Pのタイプ情報が、各媒体収容トレイ104aに設定されたタイプ情報と一致しているか否かを判断する。この際、記録媒体管理部109cは、ステップS1で取得した記録媒体Pのタイプ情報を、管理情報記憶部109dに保存されている各媒体収容トレイ104aに設定されている記録媒体Pのタイプ情報と照合し、これにより一致しているか否かの判断を実施する。
【0034】
この判断は、媒体収容トレイ104a毎に実施する。そして、一致している(YES)と判断された媒体収容トレイ104aについては、ステップS3に進む。一方、一致していない(NO)と判断された媒体収容トレイ104aについては、ステップS3’に進む。
【0035】
<ステップS3’>
ステップS3’において、記録媒体管理部109cは、表示部101aに対し、情報不一致の警告メッセージを表示させる。これにより表示部101aは、媒体収容トレイ104aに設定とは異なるタイプの記録媒体Pが収容されていることを通知するための警告メッセージを表示する。この場合、表示部101aは、情報不一致の警告メッセージと共に、設定とは異なるタイプの記録媒体Pが収容されている全ての媒体収容トレイ104aの情報と、その媒体収容トレイ104aに収容されている記録媒体Pについて取得したタイプ情報を表示する。その後、ステップS4’に進む。
【0036】
このような情報不一致の警告メッセージの表示により、ユーザーは、例えば電源がオフの状態において、特定の媒体収容トレイ104a内の記録媒体Pが入れ替えられたことを知ることが可能である。そして、警告メッセージに示された媒体収容トレイ104aに対し、設定通りの記録媒体Pに入れ替えるか、または操作部101の操作によって管理情報記憶部109dに保存されている設定を変更することにより、実際に収容されている記録媒体Pと設定とを一致させることができる。
【0037】
<ステップS4’>
ステップS4’において、記録媒体管理部109cは、記録媒体Pの情報再取得の指示が有ったか否かの判断を実施し、情報再取得の指示が有った(YES)と判断されるまで判断を繰り返す。この際、記録媒体管理部109cは、例えば、操作部101において情報再取得の操作がなされた場合に、情報再取得の指示が有ったと判断してよい。また別の例として、警告された媒体収容トレイ104aに設けられた開閉検知部106が、媒体収容トレイ104aが開いた後に閉じる動作を検知した場合に、情報再取得の指示が有ったと判断してもよい。
【0038】
記録媒体管理部109cは、情報再取得の指示が有った(YES)と判断された場合に、ステップS1に戻る。そして、ステップS1において再取得した記録媒体Pのタイプ情報が、ステップS2において各媒体収容トレイ104aに設定されたタイプ情報と一致していると判断された場合に、ステップS3に進む。以上により、記録媒体管理部109cは、画像形成装置1への電源がオンとなった直後に、全ての媒体収容トレイ104aについて、設定された記録媒体Pのタイプ情報と、実際に収容されている記録媒体Pのタイプ情報とを一致させる。
【0039】
<ステップS3>
一方、ステップS3において、記録媒体管理部109cは、操作部101において印刷ジョブが入力されたか否かの判断を実施し、印刷ジョブが入力された(YES)と判断されるまで判断を繰り返す。そして、印刷ジョブが入力された(YES)と判断された場合に、次のステップS4に進む。
【0040】
<ステップS4>
ステップS4において、記録媒体管理部109cは、媒体収容トレイ104aの開閉動作が検知されたか否かを判断する。この際、記録媒体管理部109cは、各媒体収容トレイ104aに設けられた開閉検知部106が媒体収容トレイ104aの開閉を検知したか、または操作部101において媒体収容トレイ104aの開閉の指示が入力されたか否かによってこの判断を実施する。
【0041】
またこの判断は、媒体収容トレイ104a毎に実施する。そして、開閉動作を検知した媒体収容トレイ104aが1つでも有った場合には、開閉動作が検知された(YES)と判断してステップS5に進む。一方、開閉動作を検知した媒体収容トレイ104aが1つも無かった場合には、開閉動作が検知されなかった(NO)と判断してステップS5’に進む。
【0042】
<ステップS5>
ステップS5において、記録媒体管理部109cは、開閉動作が検知された媒体収容トレイ104aに収容されている記録媒体Pのタイプ情報を取得する。ここで取得する記録媒体Pのタイプ情報は、記録媒体Pの種類とサイズであり、先に説明したステップS1と同様に取得する。その後はステップS6に進む。
【0043】
<ステップS6>
ステップS6において、記録媒体管理部109cは、ステップS5で取得した記録媒体Pのタイプ情報が、開閉動作が検知された媒体収容トレイ104aに対して設定されたタイプ情報と一致しているか否かを判断する。この判断は、該当する媒体収容トレイ104a毎に実施する。ここで一致していないと判断された媒体収容トレイ104aについては、記録媒体Pが入れ替えられたと判断することができる。一方、一致していると判断された媒体収容トレイ104aについては、開閉動作は検知されたものの、記録媒体Pの入れ替えはなかったか、同一タイプの記録媒体Pが追加で収容されたと判断することができる。
【0044】
このステップS6においては、一致している(YES)と判断された媒体収容トレイ104aについては、ステップS5’に進む。一方、一致していない(NO)と判断された媒体収容トレイ104aについては、ステップS7に進む。
【0045】
<ステップS7>
ステップS7において、記録媒体管理部109cは、表示部101aに対し、入れ替えが実施された媒体収容トレイ104aについての設定情報を印刷出力するか否かの選択表示を実施させる。この設定情報とは、該当する媒体収容トレイ104aに対して、もともと設定さていた記録媒体Pのタイプ情報であって、入れ替えによってその媒体収容トレイ104aから取り出された記録媒体Pのタイプ情報である。
【0046】
なお、このステップS7においては、上述した選択表示の他に、該当する媒体収容トレイ104aの記録媒体Pが入れ替えられた警告メッセージと、取り出された記録媒体Pのタイプ情報を、表示部101aに対して表示させてもよい。
【0047】
<ステップS8>
ステップS8において、記録媒体管理部109cは、表示部101aに表示された選択表示にしたがって、操作部101において印刷出力の実施が選択されたか否かを判断する。選択された(YES)と判断された場合には、ステップS9に進む。一方、選択されていない(NO)と判断された場合には、ステップS10に進む。
【0048】
<ステップS9>
ステップS9において、画像形成制御部109aは、記録媒体Pの入れ替えが実施されたと判断された媒体収容トレイ104aに対して、もともと設定されていた記録媒体Pのタイプ情報であって、取り出された記録媒体Pのタイプ情報の印刷出力を実施する。この際、画像形成制御部109aは、画像形成部103、媒体供給部104、および媒体搬送部105を駆動することにより、タイプ情報を印刷出力する。この印刷出力に用いる記録媒体Pは、何れの媒体収容トレイ104aに収容されたものであってもよい。
【0049】
またこの際、画像形成制御部109aは、取り出された記録媒体Pのタイプ情報に関連付けて管理情報記憶部109dに保存されている記録媒体Pの保管場所情報を、同時に印刷出力してもよい。またここでは、管理情報記憶部109dに保存された他の管理情報を同時に印刷出力してもよい。またさらに、該当する媒体収容トレイ104aについて、開閉動作があった時刻を同時に印刷出力してもよい。これらの情報は、取り出された記録媒体Pを再使用する際の情報として利用することができる。
【0050】
<ステップS10>
次にステップS10において、記録媒体管理部109cは、管理情報記憶部109dに保存されている情報のうち、記録媒体Pの入れ替えが実施されたと判断された媒体収容トレイ104aに設定されている記録媒体Pのタイプ情報を、実際に収容されている記録媒体Pのタイプ情報に更新する。その後、ステップS5’に進む。
【0051】
<ステップS5’>
ステップS5’において、記録媒体管理部109cは、画像形成制御部109aに対して、印刷ジョブの実施を指示する。これにより、画像形成制御部109aは、操作部101からの印刷ジョブの入力情報に基づいて、画像形成部103、媒体供給部104、および媒体搬送部105の各部の駆動を制御する。この際、画像形成制御部109aは、操作部101で指示されたタイプの記録媒体Pが収容された媒体収容トレイ104aの記録媒体Pに対して画像形成を実施する。印刷ジョブが終了した後には、次のステップS6’に進む。
【0052】
<ステップS6’>
ステップS6’において、画像形成制御部109aは、処理を終了させるか否かを判断する。この際、画像形成制御部109aは、画像形成装置1に対する電源をオフにする処理がなされた場合に、終了する(YES)と判断して処理を終了させ、それ以外の場合にはステップS3に戻り、以降のステップを繰り返す。
【0053】
≪実施形態の効果≫
以上説明した実施形態によれば、媒体収容トレイ104aから取り出された記録媒体Pのタイプ情報を印刷出力することができる。このため、取り出された記録媒体Pのタイプ情報の認識を容易とすること、および取り出された記録媒体Pのタイプ情報を保持することが可能となる。したがって、取り出された記録媒体Pの素性が不明となることを防止でき、これにより複数種類の記録媒体Pを容易に管理することが可能となる。
【0054】
またステップS7~ステップS8を実施することにより、ユーザーは、必要に応じて上記の印刷出力を実施することができる。このため、例えばユーザーが媒体収容トレイ104aから取り出した記録媒体Pのタイプ情報を認識していて、取り出した記録媒体Pを直ぐに正しい保管場所に保管する場合には、無駄な印刷を防止することができる。
【0055】
なお以上の実施形態においては、ステップS7~ステップS8を実施することにより、必要に応じて印刷出力を実施する構成とした。しかしながらこの画像形成装置1およびこれを用いた画像形成方法は、ステップS7~ステップS8を実施せずに、ステップS9の印刷出力を必ず実施する構成としてもよい。またステップS9の印刷出力を表示出力に変更してもよい。
【0056】
またステップS9で実施した印刷出力は、ステップS3’の後にも実施する構成であってもよい。
【0057】
さらに以上の実施形態にいては、ステップS3においてジョブの入力が有ったと判断された場合に、ステップS4において媒体収容トレイ104aの開閉動作が検知されたか否かを判断する構成とした。しかしながら、ステップS3およびステップS5’を実施せず、ジョブの実施とは無関係に、ステップS4において媒体収容トレイ104aの開閉動作が検知された(YES)と判断されるまで待機し、開閉動作が検知された(YES)と判断された場合に、ステップS5以降のステップを実施する構成であってもよい。
【0058】
なお、以上の実施形態においては、画像形成装置1が、画像形成部103および媒体供給部104を備えることとしたが、これらは独立した画像形成装置および媒体供給装置であってもよい。画像形成装置は、操作部101、画像読取部102、画像形成部103、媒体搬送部105、および制御部109を備える。また媒体供給装置は、媒体供給部104、媒体搬送部105、開閉検知部106、媒体種類検出器107、サイズ検出器108、および制御部109を備えている。この場合、これらの装置は、相互に電気的および機械的に接続された画像形成システムを構成し、各装置の制御部が必要な情報を無線または有線によって相互に通信する構成である。
【符号の説明】
【0059】
1…画像形成装置
101…操作部
101a…表示部(出力部)
103…画像形成部(出力部)
104…媒体供給部
104a…媒体収容トレイ(媒体収容器)
106…開閉検知部
107…媒体種類検出器(検出器)
108…サイズ検出器(検出器)
109d…管理情報記憶部(記憶部)
109c…記録媒体管理部
P…記録媒体
図1
図2
図3