(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
H05B 45/48 20200101AFI20220712BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
H05B45/48
B60Q1/04 D
(21)【出願番号】P 2018086212
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】柳田 俊一
(72)【発明者】
【氏名】森田 圭太
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-213623(JP,A)
【文献】特開2014-120444(JP,A)
【文献】特開2015-110357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/48
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数の発光モジュールと、
前記複数の発光モジュールに入力電流を供給する電源回路と、
前記複数の発光モジュールのそれぞれに並列に接続され、前記電源回路により出力される出力電圧に応じて、前記電源回路により供給される前記入力電流をバイパスさせるバイパス経路を含むバイパス回路と、
を備え、
前記出力電圧が上昇した場合、前記バイパス回路のそれぞれのうち、一部の前記バイパス回路により前記バイパス経路がオン状態に制御され
、
前記バイパス回路は、
前記バイパス経路をオン状態及びオフ状態の何れか一方に制御するスイッチング素子、を備え、
前記スイッチング素子に接続され、前記スイッチング素子のオン状態又はオフ状態を保持するラッチ部、
をさらに備える
車両用灯具。
【請求項2】
前記バイパス回路は、
前記出力電圧が第1検出閾値電圧に到達した場合、前記バイパス回路のそれぞれのうち、一部の前記バイパス回路に対応する前記スイッチング素子がオン状態になる、
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記出力電圧が前記第1検出閾値電圧よりも高い第2検出閾値電圧に到達した場合、前記バイパス回路のそれぞれのうち、一部の前記バイパス回路に対応する前記スイッチング素子をオフ状態にさせ、且つ他の一部の前記バイパス回路に対応する前記スイッチング素子がオン状態になる、
請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記電源回路の駆動を制御する制御部、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記出力電圧が前記第2検出閾値電圧よりも高い出力過電圧保護閾値電圧に到達した場合、前記電源回路の駆動を停止させる、
請求項3に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
テールランプとストップランプとの双方の機能を兼ね備えるリアコンビネーションランプとして構成された車両用灯具の光源として、複数の発光素子を用いたものが知られている。上記複数の発光素子は、昨今のようなランプデザインの要求によりリアコンビネーションランプにも高出力が求められることが増えているため、ヘッドランプで使用するような電源回路から電流が供給されている。このような状況下において、電源回路は基本的には1直列で対応するので1つの発光素子が断線すると車両用灯具内の発光素子は全て消灯する。よって、断線している発光素子を特定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のような従来技術は、発光素子の断線状態を監視するだけであって、断線していない残りの発光素子で高出力の配光ができるものではない。
【0005】
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、一部の発光モジュールに含まれる発光素子が断線しても、他の一部の発光モジュールの高出力を低コストで維持することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面である車両用灯具は、直列接続された複数の発光モジュールと、前記複数の発光モジュールに入力電流を供給する電源回路と、前記複数の発光モジュールのそれぞれに並列に接続され、前記電源回路により出力される出力電圧に応じて、前記電源回路により供給される前記入力電流をバイパスさせるバイパス経路を含むバイパス回路と、を備え、前記出力電圧が上昇した場合、前記バイパス回路のそれぞれのうち、一部の前記バイパス回路により前記バイパス経路がオン状態に制御される。また、前記バイパス回路は、前記バイパス経路をオン状態及びオフ状態の何れか一方に制御するスイッチング素子、を備え、前記スイッチング素子に接続され、前記スイッチング素子のオン状態又はオフ状態を保持するラッチ部、をさらに備える。
【0007】
また、本開示の一側面である車両用灯具においては、前記バイパス回路は、前記出力電圧が第1検出閾値電圧に到達した場合、前記バイパス回路のそれぞれのうち、一部の前記バイパス回路に対応する前記スイッチング素子がオン状態になる、ことが好ましい。
【0008】
また、本開示の一側面である車両用灯具においては、前記出力電圧が前記第1検出閾値電圧よりも高い第2検出閾値電圧に到達した場合、前記バイパス回路のそれぞれのうち、一部の前記バイパス回路に対応する前記スイッチング素子をオフ状態にさせ、且つ他の一部の前記バイパス回路に対応する前記スイッチング素子がオン状態になる、ことが好ましい。
【0009】
また、本開示の一側面である車両用灯具においては、前記電源回路の駆動を制御する制御部、をさらに備え、前記制御部は、前記出力電圧が前記第2検出閾値電圧よりも高い出力過電圧保護閾値電圧に到達した場合、前記電源回路の駆動を停止させる、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一側面によれば、一部の発光モジュールに含まれる発光素子が断線しても、他の一部の発光モジュールの高出力を低コストで維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示を適用した実施形態に係る車両用灯具の回路図である。
【
図2】本開示を適用した実施形態に係る電圧波形のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を適用した車両用灯具の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0013】
(回路構成)
図1は、本開示を適用した実施形態に係る車両用灯具の回路図である。車両用灯具は、入力フィルター1、電源回路3、制御部5、定電圧回路7、発光モジュール11A,11B、バイパス回路13A,13B、ラッチ部15A,15B、オペアンプ17等を備えている。車両用灯具は、車両の後部に配置され、発光モジュール11A,11Bが、テールランプ及びストップランプの双方の機能を兼ね備えるリアコンビネーションランプの光源として機能する。発光モジュール11A,11Bの何れかを特に区別しない場合、発光モジュール11と称する。
【0014】
入力フィルター1は、一端が正極側の端子31Pに接続され、他端がGND側の端子31Nに接続され、コンデンサC1、ダイオードD1、コイルL1、ツェナーダイオードZD1、コンデンサC2、及びコンデンサC3を備え、ノイズを除去する。電源回路3は、抵抗R1、コイルL2,L3、コンデンサC4,C5,C6,C7、ツェナーダイオードZD2、及びスイッチング素子Q1を含むスイッチングレギュレータとして構成され、入力フィルター1を介して入力された入力電圧を直流-直流変換して発光モジュール11Aに含まれる発光素子111A及び発光モジュール11Bに含まれる発光素子111Bのそれぞれを発光駆動するための出力電圧を生成する。なお、発光素子111A,111Bの何れかを特に区別しない場合、発光素子111と称する。発光素子111は、例えば、LED又はOEL(有機EL)を用いたOLED(有機発光ダイオード)等の自発光半導体光源である。
【0015】
コイルL2の一端は、入力フィルター1の正極側に接続され、コイルL2の他端は、コンデンサC5の一端に接続されている。コンデンサC5の他端は、ツェナーダイオードZD2のアノード側に接続され、コンデンサC5の他端とツェナーダイオードZD2のアノード側との接続点にはコイルL3の一端が接続されている。ツェナーダイオードZD2のカソード側はコンデンサC6の一端に接続されている。コンデンサC6の一端と、コンデンサC7の一端との間には、シャント抵抗RSHが接続され、シャント抵抗RSHを介して検出された発光モジュール11に供給する入力電流の電流値が制御部5に供給される。制御部5は、供給された電流値を、予め設定された制御電流の電流値とするように定電流制御を行っている。
【0016】
スイッチング素子Q1は、例えばN型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)で構成され、ドレイン側がコイルL2の他端とコンデンサC5の一端との接続点に接続され、ソース側が抵抗R1を介して入力フィルター1のGND側に接続され、ゲート側が制御部5に接続されている。スイッチング素子Q1のドレイン-ソース間にはコンデンサC4が並列に接続されている。なお、コイルL3の他端、コンデンサC6の他端、及びコンデンサC7の他端は、入力フィルター1のGND側に接続されている。また、抵抗R2及び抵抗R3の直列回路は、コンデンサC7と並列に接続されている。抵抗R2と抵抗R3との接続点にはVfb1電源が接続されている。また、抵抗R2と抵抗R3との接続点は、制御部5に接続されている。これにより、抵抗R2及び抵抗R3により分圧された電圧の電圧値が制御部5に供給される。制御部5は、詳細については後述するように、供給された電圧値に応じて、電源回路3の駆動を停止させる。
【0017】
発光モジュール11Aは、上記で説明したように、発光素子111Aを含んでいる。発光モジュール11Aは、端子41P及び端子41Nが設けられ、端子41Pと端子41Nとの間に発光素子111Aが接続されている。端子41Pは、端子32Pに接続されている。端子32Pは、抵抗R2の一端に接続されている。端子41Nは、端子32Nに接続されている。端子32Pと端子32Nとの間には、バイパス回路13Aが発光モジュール11Aと並列に接続されている。バイパス回路13Aは、電源回路3により出力される出力電圧に応じて、電源回路3により供給される入力電流をバイパスさせるバイパス経路を含む。バイパス回路13Aは、スイッチング素子Q_Aを備えている。スイッチング素子Q_Aは、バイパス経路をオン状態及びオフ状態の何れか一方に制御する。スイッチング素子Q_Aは、例えばP型のMOSFETで構成され、ドレイン側が端子32Nに接続され、ソース側がツェナーダイオードZD3のカソード側及び端子32Pに接続され、ゲート側がツェナーダイオードZD3のアノード側に接続されている。また、ツェナーダイオードZD3と並列に抵抗R4が接続されている。ツェナーダイオードZD3のアノード側と、抵抗R4の一端と、抵抗R5の一端とが、スイッチング素子Q_Aのゲート側に接続されている。
【0018】
スイッチング素子Q_Aは、抵抗R5を介してスイッチング素子Q2と接続されている。スイッチング素子Q2は、例えばNPN型のトランジスタで構成され、コレクタ側が抵抗R5を介してスイッチング素子Q_Aのゲート側に接続され、エミッタ側がGND側に接続され、ベース側がラッチ部15Aに接続されている。スイッチング素子Q2のベース-エミッタ間には抵抗R6が並列に接続されている。よって、スイッチング素子Q2によりスイッチング素子Q_Aのオン状態及びオフ状態を制御可能である。具体的には、スイッチング素子Q2がオフ状態である場合、スイッチング素子Q_Aはオフ状態となる。スイッチング素子Q2がオン状態である場合、スイッチング素子Q_Aはオン状態となる。また、ラッチ部15Aの一端がスイッチング素子Q2のベース側に接続されているため、ラッチ部15Aによりスイッチング素子Q2をオン状態及びオフ状態の何れか一方に保持することができる。つまり、ラッチ部15Aによりスイッチング素子Q_Aをオン状態及びオフ状態の何れか一方に保持することができる。なお、ラッチ部15Aは、各種フリップフロップにより構成されるラッチ回路であればよい。
【0019】
発光モジュール11Bは、上記で説明したように、発光素子111Bを含んでいる。発光モジュール11Bは、端子42P及び端子42Nが設けられ、端子42Pと端子42Nとの間には発光素子111Bが接続されている。端子42Pは、端子33Pに接続されている。端子33Pは、端子32Nに接続されている。端子42Nは、端子33Nに接続されている。端子33Nは、GND側に接続されている。端子33Pと端子33Nとの間には、バイパス回路13Bが発光モジュール11Bと並列に接続されている。バイパス回路13Bは、電源回路3により出力される出力電圧に応じて、電源回路3により供給される入力電流をバイパスさせるバイパス経路を含む。バイパス回路13Bは、スイッチング素子Q_Bを備えている。スイッチング素子Q_Bは、バイパス経路をオン状態及びオフ状態の何れか一方に制御する。スイッチング素子Q_Bは、例えばN型のMOSFETで構成され、ドレイン側が端子32Nと端子33Pとの接続点に接続され、ソース側が端子33N側に接続され、ゲート側が抵抗R8を介してラッチ部15Bの一端に接続されている。スイッチング素子Q_Bのソース-ゲート間には抵抗R7が並列に接続されている。つまり、端子32N、端子33P、端子42P、及びスイッチング素子Q_Bのドレイン側は同電位である。また、端子42N、端子33N、及びスイッチング素子Q_Bのソース側は同電位であって、GND側に接続されている。抵抗R8の一端と抵抗R7の一端との接続点はダイオードD2のアノード側に接続されている。ダイオードD2のカソード側がスイッチング素子Q2のコレクタと抵抗R5との接続点に接続されている。また、ラッチ部15Bの一端が抵抗R8を介してスイッチング素子Q_Bのゲート側に接続されているため、ラッチ部15Bによりスイッチング素子Q_Bをオン状態及びオフ状態の何れか一方に保持することができる。なお、ラッチ部15Bは、各種フリップフロップにより構成されるラッチ回路であればよい。
【0020】
ラッチ部15Aの他端はオペアンプ17の第2出力端子側に接続され、ラッチ部15Bの他端はオペアンプ17の第1出力端子側に接続されている。オペアンプ17は、第1出力端子側の反転入力端子が抵抗R10を介してGND側に接続され、第1出力端子側の非反転入力端子がVfb2電源に接続されている。よって、ラッチ部15Bは、Vfb2電源に応じて、現在の内部状態を保持する。Vfb2電源は、Vfb1電源から供給される電圧が抵抗R18,R19で分圧されたものである。Vfb1電源から供給される電圧は、抵抗R2と抵抗R3とにより電源回路3の出力電圧が分圧された電圧である。つまり、電源回路3により出力される出力電圧に応じて、スイッチング素子Q_Bが制御され、バイパス回路13Bがオン状態及びオフ状態の何れか一方に制御され、発光モジュール11Bのバイパス経路に入力電流を流すことが可能となる。
【0021】
オペアンプ17は、第2出力端子側の反転入力端子が抵抗R12を介してGND側に接続され、第2出力端子側の非反転入力端子がVfb2電源に接続されている。よって、ラッチ部15Aは、Vfb2電源に応じて、現在の内部状態を保持する。つまり、上記と同様に、電源回路3により出力される出力電圧に応じて、スイッチング素子Q_Aが制御され、バイパス回路13Aがオン状態及びオフ状態の何れか一方に制御され、発光モジュール11Aのバイパス経路に入力電流を流すことが可能となる。
【0022】
オペアンプ17には、定電圧回路7から電圧が供給されている。定電圧回路7は、抵抗R16,R17、コンデンサC8、及びシャントレギュレータSRを備え、オペアンプ17の正側電源端子VCCに定電圧を供給する。シャントレギュレータSRは、カソード側が入力フィルター1に含まれるコイルL1とコンデンサC3との間の接続点に抵抗R15を介して接続され、アノード側がGND側に接続されている。また、ラッチ部15A,15Bは、制御部5からの制御指令により内部状態がオン状態からオフ状態に遷移される。
【0023】
なお、第1出力端子側の反転入力端子には抵抗R9,R10が接続され、第1出力端子側には抵抗R11が接続され、第2出力端子側の反転入力端子には抵抗R12,R13が接続され、第2出力端子側には抵抗R14が接続されているが、当業者であれば容易に理解できる技術事項であるので、その説明については省略する。
【0024】
(回路動作)
図2は、本開示を適用した実施形態に係る電圧波形のタイミングチャートである。
図2(A)は、発光モジュール11Bの発光素子111Bが断線した場合の電圧波形である。
図2(B)は、発光モジュール11Aの発光素子111Aが断線した場合の電圧波形である。
図2(C)は、発光モジュール11Aの発光素子111A及び発光モジュール11Bの発光素子111Bの両方が断線した場合の電圧波形である。
図2(A)~(C)の何れにおいても、第1検出閾値電圧Vth1、第2検出閾値電圧Vth2、及び出力過電圧保護閾値電圧V_limitが設定されている。出力過電圧保護閾値電圧V_limitは、発光素子111A,111Bの順方向電圧よりも十分に高い値が設定されている。正常時出力電圧V_nは、発光素子111A,111Bが正常点灯時にとり得る出力電圧である。なお、スイッチング素子Q_A及びスイッチング素子Q_Bの何れかを特に限定しない場合、スイッチング素子Qと称する。バイパス回路13A及びバイパス回路13Bの何れかを特に限定しない場合、バイパス回路13と称する。
【0025】
発光素子111A及び発光素子111Bの少なくとも一方が断線すると、電源回路3の出力電圧は上昇する。出力電圧が第1検出閾値電圧Vth1に到達した場合、バイパス回路13A及びバイパス回路13Bのそれぞれのうち、一部のバイパス回路13に対応するスイッチング素子Qがオン状態になる。例えば、発光素子111Bが断線していた場合、出力電圧は、設計上負荷がとり得る電圧上限以下となるので、発光素子111Aが点灯を維持することで、残りの発光素子111Aで配光を満足させるように制御する。具体的には、発光モジュール11Aとバイパス回路13Bとの直列回路により発光素子111Aのみで点灯している場合であっても、ラッチ部15Bによりスイッチング素子Q_Bのオン状態を保持させることができる。このような場合、発光素子111Aの点灯状態を確認させるとよい。
【0026】
また、例えば、発光素子111Aが断線していた場合、出力電圧は、上昇を続ける。出力電圧が第1検出閾値電圧Vth1よりも高い第2検出閾値電圧Vth2に到達した場合、バイパス回路13A及びバイパス回路13Bのそれぞれのうち、一部のバイパス回路13に対応するスイッチング素子Qをオフ状態にさせ、且つ他の一部のバイパス回路13に対応するスイッチング素子Qがオン状態になる。例えば、発光素子111Aが断線していた場合、出力電圧は、設計上負荷がとり得る電圧上限以下となるので、発光素子111Bが点灯を維持することで、残りの発光素子111Bで配光を満足させるように制御する。具体的には、バイパス回路13Aと発光モジュール11Bとの直列回路により発光素子111Bのみで点灯している場合であっても、ラッチ部15Aによりスイッチング素子Q_Aのオン状態を保持させることができる。このような場合、発光素子111Bの点灯状態を確認させるとよい。
【0027】
また、例えば、発光素子111A及び発光素子111Bの両方が断線していた場合、又は端子32Pの端子オープンが発生した場合、出力電圧は、上記2つの事例よりも上昇する。よって、出力電圧が電源回路3の定格値以上になる恐れがあるので、フェールセーフで出力過電圧保護を行う。具体的には、制御部5は、出力電圧が第2検出閾値電圧Vth2よりも高い出力過電圧保護閾値電圧V_limitに到達した場合、電源回路3の駆動を停止させる。
【0028】
以上の説明から、本実施形態において、電源回路3により出力される出力電圧が上昇した場合、バイパス回路13のそれぞれのうち、一部のバイパス回路13によりバイパス経路がオン状態に制御される。電源回路3により出力される出力電圧が上昇するということは、複数の発光モジュール11に含まれる発光素子111の一部が断線している可能性がある。よって、一部のバイパス回路13によりバイパス経路がオン状態に制御されれば、複数の発光モジュール11のうち、少なくとも一部の発光モジュール11に供給される入力電流の電流経路が確保される。したがって、一部の発光モジュール11に含まれる発光素子111が断線しても、他の一部の発光モジュール11の高出力を低コストで維持することができる。
【0029】
また、本実施形態において、電源回路3により出力される出力電圧が第1検出閾値電圧Vth1に到達した場合、バイパス回路13のそれぞれのうち、一部のバイパス回路13に対応するスイッチング素子Qがオン状態になる。スイッチング素子Qは、簡易且つ低コストであって、スイッチング機能を有する回路素子である。したがって、簡易且つ低コストな構成によりバイパス経路が制御される。
【0030】
また、本実施形態において、電源回路3により出力される出力電圧が第2検出閾値電圧Vth2に到達した場合、バイパス回路13のそれぞれのうち、一部のバイパス回路13に対応するスイッチング素子Qをオフ状態にさせ、且つ他の一部のバイパス回路13に対応するスイッチング素子Qがオン状態になる。出力電圧が第2検出閾値電圧Vth2に到達したということは、出力電圧が第1検出閾値電圧Vth1に到達したときに形成したバイパス経路では、まだ断線している箇所が存在することを意味する。よって、出力電圧が第1検出閾値電圧Vth1に到達したときに形成したバイパス経路とは異なる箇所にバイパス経路を形成する。このようにバイパス経路が制御されることで、簡易且つ低コストな構成で、複数の発光モジュール11のうち、少なくとも一部の発光モジュール11に供給される入力電流の電流経路が確保される。したがって、一部の発光モジュール11に含まれる発光素子111が断線しても、他の一部の発光モジュール11の高出力を特に顕著に簡易且つ低コストで維持することができる。
【0031】
また、本実施形態において、電源回路3により出力される出力電圧が出力過電圧保護閾値電圧V_limitに到達した場合、電源回路3の駆動が停止される。出力電圧が出力過電圧保護閾値電圧V_limitに到達したということは、出力電圧が第1検出閾値電圧Vth1及び第2検出閾値電圧Vth2のそれぞれに到達したときに形成したバイパス経路では、まだ断線している箇所が存在することを意味する。また、このまま電源回路3を駆動させ続ければ出力電圧は上昇を続け、出力電圧が電源回路3の定格値を超える恐れがある。よって、このような場合には、電源回路3の駆動を停止することで、電源回路3を保護することができる。
【0032】
以上、本開示を適用した車両用灯具を実施形態に基づいて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0033】
例えば、バイパス回路13が備えるスイッチング素子QがMOSFETである回路構成の一例について説明したが、特にこれに限定されるものではない。例えば、バイパス回路13が備えるスイッチング素子Qがトランジスタで構成される回路構成であってもよい。
【0034】
また、発光モジュール11に含まれる発光素子111が1個からなる一例について説明したが、特にこれに限定されるものではない。例えば、発光モジュール11は、複数の発光素子111が直列接続された回路構成であってもよい。
【0035】
また、例えば、発光素子111が、LEDからなる一例について説明したが、特にこれに限定されるものではない。例えば、発光素子111が半導体レーザーからなるものであってもよい。この場合、ヘッドランプユニットは、擬似白色を形成するために、例えば、青色レーザーダイオードと、黄色蛍光体と、が設けられ、青色光と、黄色光とを凸レンズで集光し、集光させた光を凹レンズで拡散して出射させればよい。
【符号の説明】
【0036】
1 入力フィルター
3 電源回路
5 制御部
7 定電圧回路
11,11A,11B 発光モジュール
111,111A,111B 発光素子
13,13A,13B バイパス回路
15A,15B ラッチ部
31P,31N,32P,32N,33P,33N 端子
41P,41N,42P,42N 端子
17 オペアンプ
D1,D2 ダイオード
L1~L3 コイル
C1~C8 コンデンサ
R1~R19 抵抗
RSH シャント抵抗
ZD1~ZD3 ツェナーダイオード
Q1,Q2,Q,Q_A,Q_B スイッチング素子
SR シャントレギュレータ
VCC 正側電源端子
Vth1 第1検出閾値電圧
Vth2 第2検出閾値電圧
V_n 正常時出力電圧
V_limit 出力過電圧保護閾値電圧