IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三浦工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ボイラ 図1
  • 特許-ボイラ 図2
  • 特許-ボイラ 図3
  • 特許-ボイラ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】ボイラ
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/20 20060101AFI20220712BHJP
   F23N 5/18 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
F23N5/20 G
F23N5/18 101R
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018106417
(22)【出願日】2018-06-01
(65)【公開番号】P2019211134
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】山内 孝太
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-033036(JP,A)
【文献】特開2013-076479(JP,A)
【文献】特開昭57-207726(JP,A)
【文献】特開平05-010522(JP,A)
【文献】特開2015-183896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/20
F23N 5/18
F23N 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気供給路を介して空気を送り込む送風機と、
前記空気供給路に設けられるダンパと、
前記空気供給路に設けられ、空気供給量を検知する空気供給量検知部と、
燃料供給路に設けられ、燃料供給量を調整する燃料供給量調整弁と、
前記送風機および前記燃料供給量調整弁を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
1燃焼段階に移行する前のメイントライ段階において、燃料供給量に対する空気供給量の比率を前記第1燃焼段階における前記比率よりも小さくなるように制御し、
前記第1燃焼段階から前記第1燃焼段階の次に燃焼量が大きい第2燃焼段階へ移行する場合、前記ダンパの開度を大きくさせる開度制御を前記送風機の回転速度を大きくさせる速度制御よりも先に開始し、前記速度制御を開始してから当該速度制御を終了するまでの間において前記ダンパの開度を前記第2燃焼段階用の開度にして前記開度制御を終了する、ボイラ。
【請求項2】
前記第1燃焼段階から前記第2燃焼段階へ移行する場合において前記開度制御を行う期間のうち、前記速度制御を行う期間と重ならない期間は、前記速度制御を行う期間と重なる期間よりも長い、請求項1に記載のボイラ。
【請求項3】
前記メイントライ段階の期間中は、燃料供給量に対する空気供給量の比率は一定である、請求項1または請求項2に記載のボイラ。
【請求項4】
前記制御部は、前記メイントライ段階における前記送風機の回転速度と、前記第1燃焼段階における前記送風機の回転速度とが同じになるように制御する、請求項1~請求項3のいずれかに記載のボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料を燃焼させて蒸気を生成するボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ノズルなどの噴出部に燃料を供給する燃料供給ライン上に調整弁を設けて、燃焼用空気の流量と連動させて比例弁(調整弁)を制御して燃料の流量を調整することにより、多位置制御(高燃焼、中燃焼、低燃焼など)や比例制御を行う燃焼装置を備えたボイラがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-2787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のような燃焼装置として、着火直後から燃焼段階を、例えば低燃焼から中燃焼に移行させるような使用環境にも対応することが求められている。しかしながら、着火直後においては、供給される空気量に対して燃料が少なく酸素濃度が高い状態となる。このため、着火段階を経た直後に中燃焼へ移行させる場合には、燃料に対する空気量がさらに多くなるため振動燃焼などの不具合を生じさせてしまう虞があった。一方、中燃焼に移行させるタイミングを遅らせることにより改善を図ることも考えられるが、この場合、負荷追従性を損ねてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、振動燃焼などの不具合を生じさせにくく、負荷追従性を担保できるボイラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うボイラは、空気供給路を介して空気を送り込む送風機と、前記空気供給路に設けられるダンパと、前記空気供給路に設けられ、空気供給量を検知する空気供給量検知部と、燃料供給路に設けられ、燃料供給量を調整する燃料供給量調整弁と、前記送風機および前記燃料供給量調整弁を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、第1燃焼段階に移行する前のメイントライ段階において、燃料供給量に対する空気供給量の比率を前記第1燃焼段階における前記比率よりも小さくなるように制御し、前記第1燃焼段階から前記第1燃焼段階の次に燃焼量が大きい第2燃焼段階へ移行する場合、前記ダンパの開度を大きくさせる開度制御を前記送風機の回転速度を大きくさせる速度制御よりも先に開始し、前記速度制御を開始してから当該速度制御を終了するまでの間において前記ダンパの開度を前記第2燃焼段階用の開度にして前記開度制御を終了する
【0007】
上記の構成によれば、メイントライ段階において、燃料供給量に対する空気供給量の比率が小さくなるように送風機および燃料供給量調整弁を制御することにより、酸素濃度を低下させた状態で第1燃焼段階に移行させることができる。その結果、第1燃焼段階に移行させた直後に燃焼量が大きな燃焼段階に移行させた場合における振動燃焼を抑制しつつ負荷追従性を担保することができる。また、酸素濃度を低下させた状態を生成するために燃料供給するためのラインや弁を別途設けるものと比較し、コストが増大してしまうことを防止できる。
また、ダンパの開度を大きくさせる開度制御と、送風機の回転速度を大きくさせる速度制御とを同時に開始する場合と比べて、空気供給量の変化を緩やかにすることができる。その結果、負荷追従性を損ねることなく、燃焼移行性を向上させることができる。
【0008】
好ましくは、前記第1燃焼段階から前記第2燃焼段階へ移行する場合において前記開度制御を行う期間のうち、前記速度制御を行う期間と重ならない期間は、前記速度制御を行う期間と重なる期間よりも長い。
【0009】
上記の構成によれば、空気供給量の変化をより緩やかにすることができる
【0010】
好ましくは、前記メイントライ段階の期間中は、燃料供給量に対する空気供給量の比率は一定である。
【0011】
上記の構成によれば、燃料供給量に対する空気供給量の比率が小さい状態を維持することにより、メイントライ段階の期間中において酸素濃度の低い状態に安定させることができる。その結果、振動燃焼を抑制して燃焼移行性をより向上させることができる。
【0012】
好ましくは、前記制御部は、前記メイントライ段階における前記送風機の回転速度と、前記第1燃焼段階における前記送風機の回転速度とが同じになるように制御する。
【0013】
上記の構成によれば、メイントライ段階と第1燃焼段階とにおける送風機の回転速度を一定とすることにより、第1燃焼段階に移行した直後にはすでに送風機の回転速度が第1燃焼段階に対応する回転速度に到達している。このため、第1燃焼段階に移行した直後から、より燃焼量が大きい燃焼段階へ移行させる場合であっても、送風機の回転速度を第1燃焼段階に対応する回転速度から大きくする制御を行うことができる。その結果、メイントライ段階における送風機の回転速度を第1燃焼段階に対応する回転速度よりも小さくすることにより燃料供給量に対する空気供給量の比率を小さくする場合と比較して、振動燃焼を抑制して負荷追従性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ボイラの構成を模式的に示す図である。
図2】各燃焼段階における燃料供給量、空気供給量およびダンパ位置の関係を説明する図である。
図3】ボイラの動作を示すタイムチャートである。
図4】ボイラの動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<概略構成について>
以下に、図1を参照しつつ、本発明の実施の形態に係るボイラ1について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るボイラ1の構成を模式的に示す図である。
【0016】
ボイラ1は、燃料を燃焼させて蒸気を生成するボイラ本体2と、空気供給路30を介してボイラ本体2内に空気を送り込む送風機3と、ボイラ本体2からの排ガスなどを導出する煙道4と、ボイラ本体2に燃料を供給する燃料供給ライン(燃料供給路)5とを備えている。なお、燃料は、ガスである例について説明するが、ガスなどの気体に限らず、油などの液体であってもよい。
【0017】
燃料供給ライン5は、空気供給路30に接続されている。燃料供給ライン5から供給される燃料は、空気供給路30において、送風機3から送風される空気と混合されて、ボイラ本体2内のバーナ20に供給される。
【0018】
送風機3から供給される空気は、燃焼用空気として空気供給路30を介してボイラ本体2内のバーナ20に供給される。燃焼用空気の流量の調整は、空気供給路30にダンパ7を設けて、ダンパ7の位置(開度)を調整するか、これに代えてまたはこれに加えて、インバータを用いて送風機3のファンの回転速度を変えることでなされる。本実施の形態では、燃焼用空気の流量は、ダンパ7の開度制御および送風機3のインバータ制御により調整される。
【0019】
燃料供給ライン5には、流路を開閉するための開閉弁(電磁弁)11,12と、燃料供給量調整弁13とが設けられている。燃料供給量調整弁13は、ボイラ本体2に供給する燃料の流量を調整可能である圧力調整弁として機能するとともに遮断機能をも備える。燃料供給量調整弁13は、開閉弁11,12よりも下流側に設けられており、制御部6によって開度が調整されるモータバルブである。なお、燃料供給量調整弁13は、燃料の流量を調整するものであればモータバルブに限らず、例えば、空気式制御弁であってもよい。制御部6は、内部にメモリ、タイマ、および演算処理部を含むコンピュータにより実現される。
【0020】
制御部6は、燃焼の段階に応じて、ボイラ本体2への燃焼用空気の供給流量に基づき、燃料の供給流量を調整する。すなわち、燃焼用空気の流量が増加すれば、燃料供給量調整弁13の開度を大きくして燃料の流量を増加させる。一方、燃焼用空気の流量が減少すれば、燃料供給量調整弁13の開度を小さくして燃料の流量を減少させる。
【0021】
本実施の形態では、空気供給路30には、ダンパ7より下流にパンチングメタル等の燃焼用空気減圧部材8が設けられている。空気量検知部9は、燃焼用空気減圧部材8の前後の差圧を検知し、差圧情報を出力する。空気量検知部9は、制御部6と電気的に接続されている。これにより、空気量検知部9からの差圧情報を制御部6に入力することができる。なお、空気量検知部9から出力されるアナログ信号はデジタル信号に変換されて、制御部6に入力される。
【0022】
制御部6は、空気量検知部9から入力される差圧情報に基づいて、燃焼の段階に応じて、燃料供給量調整弁13の開度を調整する。制御部6は、メモリに予め記憶された開度調整情報に基づいて、燃料供給量調整弁13に対して開度を特定するための開度特定信号を送信する。これにより、燃料供給量調整弁13は、燃焼用空気減圧部材8の前後の差圧に応じた開度に制御されて、ボイラ本体2に供給する燃料の流量を調整することができる。なお、開度調整情報とは、例えば、差圧に応じて燃料供給量調整弁13の開度を特定可能なテーブルであってもよく、また差圧に応じて燃料供給量調整弁13の開度を特定するための演算式であってもよい。
【0023】
上記実施の形態におけるボイラ1は、燃料供給用調整弁13を制御部6による電子制御により制御するが、ガバナを用いて制御することもできる。ガバナを用いる場合には、ガバナ後流側の配管を分岐させて電磁弁を追加する等の手段で、燃料供給量を制御する。
【0024】
<動作について>
図2図4を参照して、本実施の形態に係るボイラ1の動作について説明する。ボイラ1は、メイントライ段階を経た後に、低燃焼段階(第1燃焼段階)に移行する。メイントライ段階とは、例えば、パイロットバーナが燃焼している状態において燃料供給量調整弁13が開いてバーナ20に着火させてから、メイン火炎監視を始める前あるいはメインバーナの火炎が安定するまでの段階である。図2は、各燃焼段階における、燃料供給量、送風機の回転速度(周波数)およびダンパの開度各々の大小関係を説明する図である。図3は、低燃焼段階(第1燃焼段階)から、さらに燃焼量が大きな中燃焼段階(第2燃焼段階)への燃焼段階の移行時におけるボイラの動作のタイムチャートであって、送風機3の回転速度およびダンパ7の開度の変化を示している。図4は、中燃焼段階(第2燃焼段階)から低燃焼段階(第1燃焼段階)への燃焼段階の移行時におけるボイラの動作のタイムチャートであって、送風機3の回転速度およびダンパ7の開度の変化を示している。図3および図4では、(a)として本実施の形態に係るボイラ1の動作を、(b)として従来のボイラの動作を、比較可能となるように示している。
【0025】
燃焼開始前においては、開閉弁11および12、燃料供給量調整弁13およびダンパ7は閉状態となっている。メイントライ段階開始の際に、制御部6は、図2に示すように、送風機3の回転速度をメイントライ段階用の回転速度bとするとともに、ダンパ7をメイントライ段階用の開度cに制御して、バーナ20に空気を供給する。一方、制御部6は、燃料供給ライン5上の開閉弁11を開状態とし、その後(または同時に)、開閉弁12を開状態とする。制御部6は、燃料供給量調整弁13の開度を、空気量検知部9で検知した燃焼用空気減圧部材8の前後の差圧に基づいて特定されるメイントライ段階用の開度に制御して、バーナ20に燃料を供給する(燃料供給量a)。この状態で着火装置によりバーナ20の着火が行われる。なお、メイントライ段階における燃料供給量調整弁13の開度は、燃焼用空気減圧部材8の前後の差圧にかかわらず、予め定められた開度であってもよい。
【0026】
制御部6は、予め定められた時間(例えば5秒)に亘りメイントライ段階に制御させて着火させた後、低燃焼段階(第1燃焼段階)に移行させる。低燃焼段階における燃焼量は、ボイラ1における最大燃焼量に対して例えば20%となるように定められている。低燃焼段階における燃焼量が20%となるように、低燃焼段階における燃料供給量d、送風機3の回転速度e、およびダンパ7の開度fが定められている。
【0027】
メイントライ段階と低燃焼段階とを比較すると、低燃焼段階における燃料供給量dは、メイントライ段階での燃料供給量aよりも小さい値が定められている。一方、低燃焼段階における送風機3の回転速度eおよびダンパ7の開度fは、メイントライ段階での送風機3の回転速度bおよびダンパ7の開度cと同じ値が定められている。このため、メイントライ段階における制御を仮に一定期間以上に亘って継続させたときの燃焼量は、低燃焼段階における燃焼量よりも大きくなる(例えば、21%~25%等)。また、メイントライ段階においては、第1燃焼段階に比べて、燃料供給量の値が大きいため、燃料供給量に対する空気供給量の比率が小さくなる。これにより、メイントライ段階において酸素濃度を低下させた状態で第1燃焼段階に移行させることができる。その結果、例えば第1燃焼段階に移行された直後に第2燃焼段階に移行させる場合であっても、酸素濃度が低下しているため、振動燃焼を抑制して負荷追従性を担保することができる。また、燃料供給ラインや弁を別途設けることなく、低燃焼段階~高燃焼段階などにおいて用いる燃料供給ライン5および燃料供給量調整弁13を兼用することによりメイントライ段階において酸素濃度を低下させた状態を生成できるため、コストが増大してしまうことを防止できる。
【0028】
中燃焼段階における燃焼量は、ボイラ1における最大燃焼量に対して例えば40%となるように定められている。中燃焼段階における燃焼量が40%となるように、中燃焼段階における燃料供給量g、送風機3の回転速度h、およびダンパ7の開度iが定められている。中燃焼段階における燃料供給量g、送風機3の回転速度h、およびダンパ7の開度iは、いずれも低燃焼段階における燃料供給量d、送風機3の回転速度e、およびダンパ7の開度fよりも大きな値が定められている。本実施の形態におけるダンパ7の開度iは、90度(完全に開いた状態、空気供給路30と平行)となる値が定められているものとする。
【0029】
このため、低燃焼段階(第1燃焼段階)から中燃焼段階(第2燃焼段階)への燃焼段階の移行時には、燃料供給量調整弁13の開度およびダンパ7の開度は大きくなる(開く)ように制御し(d<g、f<i)、送風機3の回転速度は、回転数を増やすように制御する(e<h)。
【0030】
高燃焼段階における燃焼量は、100%(ボイラ1における最大燃焼量)となるように、燃料供給量j、送風機3の回転速度k、およびダンパ7の開度mが定められている。高燃焼段階における燃料供給量j、および送風機3の回転速度kは、いずれも中燃焼段階における燃料供給量g、および送風機3の回転速度hよりも大きな値が定められている。なお、ダンパ7の開度iが90度(全開)に定められているため、ダンパ7の開度mは、開度iと同じ値となる。
【0031】
本実施の形態では、燃焼段階の移行時(例えば、低燃焼段階と中燃焼段階との間の移行時)には、ダンパ7の開度と送風機3の回転速度の出力タイミングは個別に設定可能である(図3(a))。従来は、例えば低燃焼段階から中燃焼段階への燃焼段階移行時には、ダンパの開度と送風機の回転速度とを同時に変更していたため(図3(b))、空気供給量の変化が大きくなり、燃料の供給が空気供給量の変化に追いつかなくなる場合があった。
【0032】
本実施の形態では、低燃焼段階から中燃焼段階に移行させる際には、送風機3の回転速度を大きくする制御に先立ってダンパ7の開度を大きくする制御を行う。具体的には、図3(a)に示すように、制御部6は、ダンパ7の開度を所定時間T1+T2に亘って比例的に大きくする制御を行って、中燃焼段階の開度iにする。また、ダンパ7の開度制御を開始してから時間T1が経過したときに、制御部6は、送風機3の回転速度を比例的に大きくする制御を開始する。送風機3の回転速度を比例的に大きくする制御は、所定時間T2+T3に亘って行われる。これにより、送風機3の回転速度が小さい状態でダンパ7が開かれ、ダンパ7の開度が大きくなったタイミングで送風機3の回転速度を大きくすることで、空気供給量の変化を小さくすることができる。なお、送風機3の回転速度が小さい状態とは、周波数が低く回転速度が遅い状態をいう。また、送風機3の回転速度が大きい状態とは、周波数が高く回転速度が速い状態をいう。
【0033】
制御部6は、第1燃焼段階から第2燃焼段階に移行する場合において、送風機3の回転速度が第2燃焼段階に対応する回転速度となるまでに、ダンパ7の開度が第2燃焼段階に対応する開度となるように、開度制御および回転速度制御を行う。
【0034】
制御部6は、第1燃焼段階から第2燃焼段階に移行する場合において、開度制御を行う開度制御期間のうち、回転速度制御を行う回転速度制御期間と重ならない第1期間(T1)が、回転速度制御を行う回転速度制御期間と重なる第2期間(T2)よりも長くなるように制御する。また、制御部6は、第2期間(T2)が、回転速度制御期間のうち開度制御期間と重ならない第3期間(T3)よりも長くなるように制御する。このように制御することで、空気供給量の変化をより緩やかにすることができる。
【0035】
中燃焼段階(第2燃焼段階)から低燃焼段階(第1燃焼段階)への燃焼段階の移行時には、図4(a)に示すように、制御部6は、送風機3の回転速度制御をダンパ7の開度制御よりも先に開始し、送風機3の回転速度が第1燃焼段階に対応する回転速度となるまでに、ダンパ7の開度制御を開始する。制御部6は、送風機3の回転速度を、所定時間T4+T5に亘って比例的に小さくする制御を開始する。また、送風機3の回転速度制御を開始してから時間T4が経過したときに、制御部6は、ダンパ7の開度を比例的に小さくする制御を開始する。制御部6は、ダンパ7の開度を所定時間T5+T6に亘って比例的に小さくする制御を行って、低燃焼段階の開度fにする。従来は、送風機3の回転速度制御とダンパ7の開度制御とを同時に開始していたため(図4(b))、空気供給量の変化(減少)が大きくなっていた。これに対して、本実施の形態では、送風機3の回転速度を小さくした状態(T4後)でダンパ7が閉じる方向に制御され、送風機3の回転速度を小さくしたタイミングでダンパ7の開度を小さくすることで、空気供給量の変化を小さくすることができる。
【0036】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例などについて説明する。
【0037】
上記実施の形態におけるボイラ1は、燃焼停止、低燃焼段階、中燃焼段階、および高燃焼段階の4段階で制御する例について説明した。しかし、これに限らず、燃焼停止、低燃焼段階、および高燃焼段階の3段階で制御するものであってもよいし、任意の負荷率となるように比例制御するものであってもよい。例えば、低燃焼段階、高燃焼段階の各々の燃焼段階において、燃料供給量、送風機3の回転速度、およびダンパ7の開度を予め設定(記憶)しておき、制御部6は、例えばボイラにより発生させる蒸気量などに応じて、停止段階、低燃焼段階、および高燃焼段階のいずれかとなるように、燃料供給量、送風機3の回転速度、およびダンパ7の開度を制御するものであってもよく、任意の燃焼量となるように比例制御するものであってもよい。
【0038】
上記実施の形態におけるボイラは、中燃焼段階におけるダンパ7の開度が90度(全開)となっているため、中燃焼段階から高燃焼段階への空気供給量の増加は、送風機3の回転速度制御のみで行うこととなる(i=mかつh<k)。しかし、中燃焼段階におけるダンパ7の開度が90度未満の場合には、中燃焼段階を第1燃焼段階、高燃焼段階を第2燃焼段階として、図3(a)および図4(a)で示した例と同様に、i<mかつh<kとして送風機3の回転速度制御とダンパ7の開度制御とを行うようにしてもよい。
【0039】
上記実施の形態では、メイントライ段階における燃料供給量が第1燃焼段階(低燃焼段階)であるときよりも多く(a>d)することにより、メイントライ段階において、燃料供給量に対する空気供給量の比率を第1燃焼段階における比率よりも小さくする例について説明した。しかし、メイントライ段階において、燃料供給量に対する空気供給量の比率を第1燃焼段階における比率よりも小さくする手法としては、これに限らず、メイントライ段階における燃料供給量を第1燃焼段階であるときと同じとし(a=d)、メイントライ段階での空気供給量を第1燃焼段階での空気供給量よりも少なくすることにより実現してもよい。この場合であっても、メイントライ段階および第1燃焼段階におけるダンパ7の開度は同じになるように制御して(c=f)、送風機3の回転速度を変更(b<e)することにより実現してもよい。また、メイントライ段階における燃料供給量が第1燃焼段階(低燃焼段階)であるときよりも多くするとともに、メイントライ段階での空気供給量を第1燃焼段階での空気供給量よりも少なくすることにより実現するものであってもよい。また、上記実施の形態では、燃料供給量に対する空気供給量の比率が第1燃焼段階における比率よりも小さい状態を、メイントライ段階の全体に亘って適用する例について説明したが、これに限らず、メイントライ段階の所定時間(一部)に適用するものであってもよい。
【0040】
上記実施の形態におけるボイラ1は、ガスを供給する燃料供給ラインと、油を供給する燃料供給ラインとを備え、ガスを燃料として使用するモードと、油を燃料として使用するモードとのいずれかに切り替えて制御することができるものであってもよい。
【0041】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0042】
1 ボイラ
2 ボイラ本体
3 送風機
4 煙道
5 燃料供給ライン(燃料供給路)
6 制御部
7 ダンパ
8 流量調整部
9 空気量検知部
11 開閉弁
12 開閉弁
13 燃料供給量調整弁
20 バーナ
30 空気供給路
図1
図2
図3
図4