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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】光伝送装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/564 20130101AFI20220712BHJP
   H04B 10/075 20130101ALI20220712BHJP
【FI】
H04B10/564
H04B10/075
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018106441
(22)【出願日】2018-06-01
(65)【公開番号】P2019213016
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 秀一
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-129207(JP,A)
【文献】特許第6263783(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/564
H04B 10/075
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力光の強度を調整する調整機能の減衰量と、前記出力光を透過する透過機能の透過周波数とを調整するミラーと、
印加電圧に応じて前記透過機能の透過周波数を駆動制御する駆動制御部と、
前記減衰量の変化を検出した場合に、前記出力光の強度が目標値となると共に、前記透過機能の基準となる透過周波数を調整する基準の電圧量の調整量を取得する取得部と、
前記減衰量が零時での透過周波数と電圧量との対応関係を示す前記ミラーの部品特性を参照し、現在送信に使用中の出力光の使用周波数である基準の透過周波数及び前記調整量で調整後の透過周波数を特定し、特定された前記基準の透過周波数と前記調整後の透過周波数との差分で、前記減衰量の変化に伴うズレ量を算出する第1の算出部と、
前記変化検出時の前記減衰量と前記ズレ量との対応関係を示す座標と原点座標とから関係性を生成する生成部と、
新たな減衰量の変化を検出した場合に、前記関係性から当該変化検出時の減衰量に対応したズレ量を算出する第2の算出部と、
前記部品特性を参照し、前記基準の透過周波数の電圧量及び、当該基準の透過周波数から前記ズレ量を加算したズレ後の透過周波数の電圧量を特定し、前記基準の透過周波数の電圧量と前記ズレ後の透過周波数の電圧量との差分で調整量を算出する第3の算出部と、
前記算出した調整量を前記基準の電圧量に加算した前記印加電圧を前記駆動制御部に設定する設定部と
を有することを特徴とする光伝送装置。
【請求項2】
前記取得部は、
前記光伝送装置が起動する直前の待機期間中に前記減衰量の変化を検出した場合に、前記出力光の強度が目標値となる前記基準の電圧量の前記調整量を取得することを特徴とする請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項3】
前記光伝送装置の起動後の運用期間中に前記減衰量の変化を検出した場合に、前記出力光の強度が目標値となる前記基準の電圧量の前記調整量を取得する前記取得部と、
前記部品特性を参照し、前記基準の透過周波数及び前記調整後の透過周波数特定し、特定された前記基準の透過周波数と前記調整後の透過周波数との差分でズレ量を算出する前記第1の算出部と、
前記変化検出時の前記減衰量と前記ズレ量との対応関係を示す座標で前記関係性を補正する補正部と
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記光伝送装置が起動して運用期間に到達するまでの立ち上げ期間中に前記減衰量の変化を検出した場合に、前記出力光の強度が目標値となる前記基準の電圧量の前記調整量を取得する前記取得部と、
前記部品特性を参照し、前記基準の透過周波数及び前記調整後の透過周波数特定し、特定された前記基準の透過周波数と前記調整後の透過周波数との差分でズレ量を算出する前記第1の算出部と、
前記変化検出時の前記減衰量と前記ズレ量との対応関係を示す座標で前記関係性を補正する補正部と
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光伝送装置。
【請求項5】
使用周波数毎の前記関係性を記憶する記憶部と、
前記新たな減衰量の変化を検出した場合に、現在の使用周波数に対応した前記関係性を記憶部から取得し、取得した関係性から当該変化検出時の減衰量に対応するズレ量を算出する第4の算出部と
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光伝送装置。
【請求項6】
前記第2の算出部にて前記関係性から算出した前記ズレ量が所定量を超えたか否かを判定する判定部と、
前記ズレ量が前記所定量を超えた場合に、前記第3の算出部の算出動作を実行すると共に、前記ズレ量が前記所定量を超えなかった場合に、前記第3の算出部の算出動作をスキップする制御部と
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光伝送装置。
【請求項7】
出力光の強度を調整する調整機能の減衰量と、前記出力光を透過する透過機能の透過周波数とを調整するミラーと、印加電圧に応じて前記透過機能の透過周波数を駆動制御する駆動制御部とを有する光伝送装置が、
前記減衰量の変化を検出した場合に、前記出力光の強度が目標値となると共に、前記透過機能の基準となる透過周波数を調整する基準の電圧量の調整量を取得し、
前記減衰量が零時での透過周波数と電圧量との対応関係を示す前記ミラーの部品特性を参照し、現在送信に使用中の出力光の使用周波数である基準の透過周波数及び前記調整量で調整後の透過周波数を特定し、特定された前記基準の透過周波数と前記調整後の透過周波数との差分で、前記減衰量の変化に伴うズレ量を算出し、
前記変化検出時の前記減衰量と前記ズレ量との対応関係を示す座標と原点座標とから関係性を生成し、
新たな減衰量の変化を検出した場合に、前記関係性から当該変化検出時の減衰量に対応したズレ量を算出し、
前記部品特性を参照し、前記基準の透過周波数の電圧量及び、当該基準の透過周波数から前記ズレ量を加算したズレ後の透過周波数の電圧量を特定し、前記基準の透過周波数の電圧量と前記ズレ後の透過周波数の電圧量との差分で調整量を算出し、
前記算出した調整量を前記基準の電圧量に加算した前記印加電圧を前記駆動制御部に設定する
処理を実行することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WDM(Wavelength Division Multiplexing)光をAdd/Dropする光モジュールには、信号光の強度を調整するVOA(Variable Optical Amplifier)と、信号光の透過中心周波数を調整するTOF(Tunable Optical Filter)とが一体化した部品がある。光モジュールでは、単一の二次元MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーの角度を2軸で調整し、第1の軸を調整することで、例えば、TOFの透過中心周波数を調整すると共に、第2の軸を調整することで、例えば、VOAの減衰量を調整する。その結果、信号光の減衰量を調整しながら、OSNR(Optical Signal Noise Ratio)を改善できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-8562号公報
【文献】特開2009-47917号公報
【文献】米国特許出願公開第2004/0141756号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0085119号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光モジュールのMEMSミラーは、幅広い周波数帯をカバーしているために設定感度が高く、製品バラツキ等で角度の設定誤差が存在する。光モジュールでは、VOAの減衰量を変更する場合、MEMSミラーの第2の軸を調整することになるが、設定誤差がある場合には、TOFの透過中心周波数がずれる場合もある。このような事態は特にスペクトラム幅が広くなる高レートの信号光に顕著に表れる。
【0005】
そこで、光モジュールは、減衰量の変化に伴ってTOFの透過中心周波数がずれた場合、フィードバック制御で透過中心周波数のズレを解消するようにMEMSミラーの第1の軸を調整することになる。しかしながら、光モジュールは、減衰量の変化に伴う透過中心周波数のズレを解消するまでには時間を要し、その間に伝送品質が劣化する。
【0006】
一つの側面では、減衰量の変化に伴う透過周波数のズレ解消に要する時間を短縮化できる光伝送装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様の光伝送装置は、ミラーと、駆動制御部と、取得部と、第1の算出部と、生成部と、第2の算出部と、第3の算出部と、設定部とを有する。ミラーは、出力光の強度を調整する調整機能の減衰量と、前記出力光を透過する透過機能の透過周波数とを調整する。駆動制御部は、印加電圧に応じて前記透過機能の透過周波数を駆動制御する。取得部は、前記減衰量の変化を検出した場合に、前記出力光の強度が目標値となる基準の電圧量の調整量を取得する。第1の算出部は、減衰量が零時での透過周波数と電圧量との対応関係を示すミラーの部品特性を参照し、基準の透過周波数及び前記調整量で調整後の透過周波数を特定する。更に、第1の算出部は、特定された前記基準の透過周波数と前記調整後の透過周波数との差分で、前記減衰量の変化に伴うズレ量を算出する。生成部は、前記変化検出時の前記減衰量と前記ズレ量との対応関係を示す座標と原点座標とから関係性を生成する。第2の算出部は、新たな減衰量の変化を検出した場合に、前記関係性から当該変化検出時の減衰量に対応したズレ量を算出する。第3の算出部は、前記部品特性を参照し、前記基準の透過周波数の電圧量及び、当該基準の透過周波数から前記ズレ量を加算したズレ後の透過周波数の電圧量を特定する。第3の算出部は、前記基準の透過周波数の電圧量と前記ズレ後の透過周波数の電圧量との差分で調整量を算出する。設定部は、前記算出した調整量を前記基準の電圧量に加算した前記印加電圧を前記駆動制御部に設定する。
【発明の効果】
【0008】
一つの態様では、減衰量変化に伴う透過周波数のズレ解消に要する時間を短縮化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1の光伝送装置の一例を示すブロック図である。
図2図2は、光伝送装置内の制御部の機能構成の一例を示す説明図である。
図3図3は、製品特性の一例を示す説明図である。
図4図4は、実施例1の関係性の一例を示す説明図である。
図5図5は、実施例1のOFF期間、待機期間及び運用期間での出力光の強度変化に応じた第1の印加電圧の変動推移の一例を示す説明図である。
図6図6は、生成処理に関わるCPUの処理動作の一例を示すフロー図である。
図7図7は、第1の設定処理に関わるCPUの処理動作の一例を示すフロー図である。
図8図8は、実施例2の制御部の機能構成の一例を示す説明図である。
図9図9は、実施例2の運用期間中の出力光の強度変化に応じた第1の印加電圧の変動推移の一例を示す説明図である。
図10図10は、実施例2の関係性の一例を示す説明図である。
図11図11は、第2の設定処理に関わるCPUの処理動作の一例を示すフロー図である。
図12図12は、実施例3のOFF期間、待機期間及び立ち上げ期間の出力光の強度変化に応じた第1の印加電圧の変動推移の一例を示す説明図である。
図13図13は、第3の設定処理に関わるCPUの処理動作の一例を示すフロー図である。
図14図14は、実施例4の制御部の機能構成の一例を示す説明図である。
図15図15は、実施例4の関係性の一例を示す説明図である。
図16図16は、割合テーブルの一例を示す説明図である。
図17図17は、第4の設定処理に関わるCPUの処理動作の一例を示すフロー図である。
図18図18は、実施例5の制御部の機能構成の一例を示す説明図である。
図19図19は、実施例5の運用期間中の出力光の強度変化に応じた第1の印加電圧の変動推移の一例を示す説明図である。
図20図20は、第5の設定処理に関わるCPUの処理動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本願の開示する光伝送装置及び制御方法の実施例を詳細に説明する。尚、各実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1の光伝送装置1の一例を示すブロック図である。図2に示す光伝送装置1は、例えば、WDMの信号光を送信する光送信器等の伝送装置である。光伝送装置1は、Drv部11と、光変調部12と、EDFA(Erbium Doped optical Fiber Amplifier)13と、光モジュール14と、タップPD(Photo Diode)15とを有する。光伝送装置1は、変調光生成部16と、ポンプ光LD(Laser Diode)17と、ROM(Read Only Memory)18と、RAM(Random Access Memory)19と、CPU(Central Processing Unit)20とを有する。Drv部11は、電気段のデータ信号を所定振幅レベルまで増幅する。光変調部12は、Drv部11のデータ信号で変調光を光変調して信号光を出力する。EDFA13は、光変調部12からの信号光を光増幅する。光モジュール14は、EDFA13で光増幅後の信号光のレベルを調整するVOA機能と、信号光のノイズ成分を除去するTOF機能とを有する。タップPD15は、光モジュール14の出力光の一部を電気変換するPDである。変調光生成部16は、光変調部12に使用する変調光を生成するLDである。ポンプ光LD17は、EDFA13に励起するポンプ光を生成する。ROM18は、各種情報等のプログラムを記憶する領域である。RAM19は、各種情報を記憶する領域である。CPU20は、光伝送装置1全体を制御する。
【0012】
光モジュール14は、TOF(Tunable Optical Filter)31と、VOA(Variable Optical Attenuator)32と、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー33と、MEMS駆動部34とを有する。光モジュール14は、単一のMEMSミラー33の角度を調整することで、TOF31の透過中心周波数及びVOA32の減衰量を調整する。TOF31は、信号光の透過中心周波数を調整するフィルタ等の透過機能である。VOA32は、信号光の減衰量を調整するアンプ等の調整機能である。MEMSミラー33は、2軸で角度を調整し、第1の軸で角度調整することでTOF31の透過中心周波数を調整すると共に、第2の軸で角度調整することでVOA32の減衰量を調整する二次元のMEMSミラーである。MEMS駆動部34は、印加電圧に応じてMEMSミラー33を駆動制御するドライバ回路である。MEMS駆動部34は、第1の印加電圧に応じてMEMSミラー33の第1の軸を駆動することで、TOF31の透過中心周波数を調整する。尚、透過中心周波数は、現在使用中周波数の出力光を透過するためのTOF31の透過周波数内の中心周波数である。また、MEMS駆動部34は、第2の印加電圧に応じてMEMSミラー33の第2の軸を駆動することで、VOA32の減衰量を調整する。
【0013】
CPU20は、ROM18に格納されたプログラムを実行することで、機能としてDrv制御部21と、変調光制御部22と、ABC(Auto Bias Control)制御部23と、ポンプ光制御部24と、TOF制御部25Aと、VOA制御部25Bとを有する。更に、CPU20は、機能として、モニタ部26と、制御部27とを有する。Drv制御部21は、Drv部11を制御する。変調光制御部22は、変調光生成部16を制御する。ABC制御部23は、光変調部12を制御する。ポンプ光制御部24は、ポンプ光LD17を制御する。TOF制御部25Aは、第1の印加電圧に応じてTOF31の透過中心周波数を調整すべく、MEMS駆動部34の第1の軸を制御する。VOA制御部25Bは、第2の印加電圧に応じてVOA32の減衰量を調整すべく、MEMS駆動部34の第2の軸を制御する。モニタ部26は、タップPD15を通じて信号光を電気変換して出力光強度を検出する。制御部27は、CPU20全体を制御する。TOF制御部25Aは、モニタ部26で検出した出力光強度が目標値となるようにMEMS駆動部34に設定する第1の印加電圧を調整する。VOA制御部25Bは、検出した出力光強度が目標値となるようにMEMS駆動部34に設定する第2の印加電圧を調整する。
【0014】
図2は、光伝送装置1内の制御部27の機能構成の一例を示す説明図である。図2に示す制御部27は、検出部41と、取得部42と、第1の算出部43と、第2の算出部44と、生成部45と、第3の算出部46と、設定部47と、部品特性テーブル48と、関係性テーブル49とを有する。検出部41は、減衰量の変化を検出する。取得部42は、MEMS駆動部34で出力光の強度が目標値となる基準の印加電圧量vaに対する調整量d1を取得する。尚、基準の印加電圧量vaは、TOF31の基準の透過中心周波数faを調整する第1の印加電圧であって、例えば、30Vである。基準の透過中心周波数faは、現在送信に使用中の信号光の使用周波数である。
【0015】
第1の算出部43は、MEMSミラー33の減衰量が0dB時での透過中心周波数と印加電圧量との対応関係を示す部品特性を参照し、基準の透過中心周波数faと、調整量d1で調整後の透過中心周波数f1とを特定する。図3は、部品特性の一例を示す説明図である。図3に示す部品特性は、減衰量が0dB時における光モジュール14個体のMEMSミラー33のTOF31の透過中心周波数とTOF31を調整する第1の印加電圧の印加電圧量との対応関係を示す部品特性である。尚、説明の便宜上、基準の透過中心周波数faを196THz、基準の印加電圧量vaを30Vとする。部品特性は、部品特性テーブル48に格納してあるものとする。第1の算出部43は、基準の透過中心周波数faと、調整後の透過中心周波数f1との差分で、変化検出時の減衰量g1に伴うズレ量c1を算出する。尚、調整後の透過中心周波数f1は、基準の印加電圧量vaに調整量d1を加算し、調整量d1加算後の第1の印加電圧量に対応する透過中心周波数である。
【0016】
図4は、実施例1の関係性の一例を示す説明図である。生成部45は、変化検出時の減衰量g1とズレ量c1とを対応付ける座標(33dB、c1THz)と原点座標(0dB,0THz)とを繋げることで関係性を生成する。生成部45は、生成した関係性を関係性テーブル49に格納する。
【0017】
第2の算出部44は、運用期間中に減衰量の変化を検出した場合に、関係性テーブル49に格納中の関係性から当該変化検出時の減衰量に対応したズレ量c2を算出する。第2の算出部44は、運用期間中の減衰量が13dBの変化を検出した場合、図4に示す関係性から減衰量13dBに対応したズレ量c2を算出する。第3の算出部46は、部品特性テーブル48に格納中の部品特性を参照し、基準の透過中心周波数faの印加電圧量vaとズレ後の透過中心周波数f2の印加電圧量v2とを特定する。尚、ズレ後の透過中心周波数f2は、基準の透過中心周波数faにズレ量c2を加算した後の透過中心周波数である。第3の算出部46は、基準の透過中心周波数faの印加電圧量vaと、ズレ後の透過中心周波数f2の印加電圧量v2との差分で調整量d2を算出する。尚、調整量d2は、基準の印加電圧量である第1の印加電圧に加算する電圧である。設定部47は、基準の印加電圧量vaに調整量d2を加算して第1の印加電圧をMEMS駆動部34に設定する。その結果、MEMS駆動部34は、基準の印加電圧量va+調整量d2の第1の印加電圧で、減衰量変化に伴うTOF31の透過中心周波数のズレを解消するようにMEMSミラー33の第1の軸を角度調整する。
【0018】
図5は、実施例1のOFF期間、待機期間及び運用期間での出力光の強度変化に応じた第1の印加電圧の変動推移の一例を示す説明図である。OFF期間は、光伝送装置1の電源OFF状態の期間である。待機期間は、光伝送装置1の電源ONの起動直前の期間である。運用期間は、光伝送装置1の電源ONから立ち上げ期間を経て出力光の通信可能な運用中の期間である。尚、出力光の透過中心周波数は196THz、第1の印加電圧の基準の印加電圧量は+30Vとする。
【0019】
OFF期間では、VOA32の減衰量がMAXの状態であるため、モニタ部26で検出する出力光強度が-40dBm以下の状態である。待機期間中は、出力光強度を-30dBmに維持する必要がある。そこで、VOA制御部25Bは、モニタ部26で検出する出力光強度を-30dBmにすべく、VOA32の減衰量をMAXから33dBに変化すべく、第1の印加電圧をMEMS駆動部34に設定する。その結果、VOA32の減衰量を変化した場合、角度の設定誤差で減衰量の変化に伴ってTOF31の透過中心周波数にズレが発生する。
【0020】
設定部47は、待機期間中にVOA32の減衰量の変化を検出した場合、TOF31の透過中心周波数のズレ量を解消すべく、基準の印加電圧(+30V)に調整量d1を加算した第1の印加電圧をMEMS駆動部34に設定する。その結果、出力光強度を-30dBmに維持しながら、透過中心周波数のズレ量c1を解消できる。この際、生成部45は、ズレ量c1及び減衰量33dBの座標と、原点座標とを繋ぐことで図4に示す関係性を生成する。
【0021】
運用期間では、例えば、出力光強度を+3dBmから-10dBmへの変化を指示する場合、VOA制御部25Bは、VOA32の減衰量を0dBから13dBに変化する第2の印加電圧をMEMS駆動部34に設定する。第2の算出部44は、運用期間中のVOA32の減衰量を0dBから13dBへの変化を検出した場合、図4に示す関係性を参照し、減衰量13dBに対応したズレ量c2を算出する。第3の算出部46は、図3に示す部品特性を参照し、ズレ量c2に対応した調整量d2を算出する。設定部47は、基準の印加電圧量vaに調整量d2を加算した第1の印加電圧をMEMS駆動部34に設定する。その結果、運用期間中に減衰量の変動を検出した場合でも、減衰量を調整しながら、関係性を参照することで、減衰量の変化に伴う透過中心周波数のズレを迅速に解消できる。
【0022】
次に実施例1の光伝送装置1の動作について説明する。図6は、生成処理に関わるCPU20の処理動作の一例を示すフロー図である。図6に示す生成処理は、運用期間直前の待機期間中に、VOA32の減衰量の変化に伴う透過中心周波数のズレ量から関係性を生成する処理である。
【0023】
図6において制御部27内の検出部41は、出力光強度が第1の所定量以下であるか否かを判定する(ステップS11)。尚、第1の所定量とは、待機期間中に設定される出力光の所定の強度である。検出部41は、出力光強度が第1の所定量以下の場合(ステップS11肯定)、減衰量の変化を検出したか否かを判定する(ステップS12)。
【0024】
制御部27内の設定部47は、減衰量の変化を検出した場合(ステップS12肯定)、第1の印加電圧量を調整してMEMS駆動部34に設定する(ステップS13)。設定部47は、モニタ部26で検出した出力光強度が目標値であるか否かを判定する(ステップS14)。設定部47は、出力光強度が目標値でない場合(ステップS14否定)、第1の印加電圧を調整してMEMS駆動部34に設定すべく、ステップS13に移行する。
【0025】
制御部27内の取得部42は、目標値時点の第1の印加電圧である基準の印加電圧量vaの調整量d1を取得する(ステップS15)。制御部27内の第1の算出部43は、図3に示す部品特性を参照し、基準の印加電圧量vaに対応する透過中心周波数faと、調整量d1で調整後の印加電圧量v1に対応する透過中心周波数f1とを特定する(ステップS16)。第1の算出部43は、特定された基準の透過中心周波数faと、調整後の透過中心周波数f1との差分でズレ量c1を算出する(ステップS17)。
【0026】
生成部45は、変化検出時の減衰量g1とズレ量c1との対応関係を示す座標X0を生成し、この座標X0と原点座標とを結ぶことで関係性を生成する(ステップS18)。更に、生成部45は、生成した関係性を関係性テーブル49に記憶し(ステップS19)、図6に示す処理動作を終了する。検出部41は、出力光強度が第1の所定量以下でない場合(ステップS11否定)、図6に示す処理動作を終了する。検出部41は、減衰量の変化を検出しなかった場合(ステップS12否定)、図6に示す処理動作を終了する。
【0027】
図7は、第1の設定処理に関わるCPU20の処理動作の一例を示すフロー図である。図7に示す第1の設定処理は、運用期間中に減衰量の変化を検出した場合に、生成した関係性を使用して減衰量変化に伴う透過中心周波数のズレを抑制する印加電圧量をMEMS駆動部34に設定する処理である。
【0028】
図7において検出部41は、減衰量の変化を検出したか否かを判定する(ステップS21)。第2の算出部44は、減衰量の変化を検出した場合(ステップS21肯定)、図4に示す関係性を参照し、減衰量に対応したズレ量c2を算出する(ステップS22)。
【0029】
制御部27内の第3の算出部46は、図3に示す部品特性を参照し、基準の透過中心周波数fa及び、透過中心周波数faにズレ量c2を加算したズレ後の透過中心周波数f2を特定する(ステップS23)。第3の算出部46は、部品特性を参照し、基準の透過中心周波数faの印加電圧量va及び、ズレ後の透過中心周波数f2の印加電圧量v2を特定する(ステップS24)。
【0030】
第3の算出部46は、基準の印加電圧量vaと、ズレ後の印加電圧量v2との差分で調整量d2を算出する(ステップS25)。第3の算出部46は、基準の印加電圧量vaに調整量d2を加算することで(ステップS26)、加算後の第1の印加電圧をMEMS駆動部34に設定し(ステップS27)、図7に示す処理動作を終了する。検出部41は、減衰量の変化を検出しなかった場合(ステップS21否定)、図7に示す処理動作を終了する。
【0031】
実施例1の光伝送装置1は、待機期間中に減衰量の変化を検出した場合に、出力光の強度が目標値となる基準の印加電圧量の調整量を取得し、部品特性を参照し、基準の透過中心周波数及び調整後の透過中心周波数を特定する。更に、光伝送装置1は、特定された基準の透過中心周波数と調整後の透過中心周波数との差分で減衰量の変化に伴うズレ量を算出し、変化検出時の減衰量とズレ量との対応関係を示す座標X0と原点座標とから関係性を生成する。その結果、光伝送装置1は、待機期間中に生成した関係性を保持しているため、運用期間中に減衰量変化に伴う透過中心周波数のズレ量を迅速に解消できる。
【0032】
更に、光伝送装置1は、運用期間中に新たな減衰量の変化を検出した場合に、関係性から変化検出時の減衰量に対応したズレ量を算出し、部品特性を参照し、基準の透過中心周波数の印加電圧量及びズレ後の透過中心周波数の印加電圧量を特定する。更に、光伝送装置1は、基準の透過中心周波数の印加電圧量とズレ後の透過中心周波数の印加電圧量との差分で調整量を算出し、算出した調整量を基準の印加電圧量に加算した第1の印加電圧をMEMS駆動部34に設定する。その結果、減衰量変化に伴う透過中心周波数のズレ量の解消に要する時間を短縮化して伝送品質の向上を図る。
【0033】
尚、上記実施例1の光伝送装置1では、待機期間中に生成した1つの座標X0で関係性を生成したが、待機期間中に複数の座標を取得して複数の座標で関係性を生成しても良く、適宜変更可能である。また、待機期間中でなく、例えば、運用期間中に複数の座標を取得し、取得した複数の座標で関係性を生成しても良く、その実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。尚、実施例1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例2】
【0034】
図8は、実施例2の制御部27の機能構成の一例を示す説明図である。図8に示す制御部27は、検出部41、取得部42、第1の算出部43、第2の算出部44、生成部45、第3の算出部46、設定部47、部品特性テーブル48及び関係性テーブル49の他に、補正部51を有する。補正部51は、運用期間中でも関係性に使用する複数の座標を生成し、生成した座標で関係性を補正する。補正部51は、補正後の関係性を関係性テーブル49に更新する。
【0035】
図9は、実施例2の運用期間中の出力光の強度変化に応じた第1の印加電圧の変動推移の一例を示す説明図である。図10は、実施例2の関係性の一例を示す説明図である。制御部27は、出力光強度を+3dBmから-10dBmに変化すべく、VOA32の減衰量が0dBから13dBへの変化を検出した場合、図4に示す関係性を使用して第1の印加電圧の調整量fに応じたズレ量c4を算出する。補正部51は、変化検出時の減衰量13dBとズレ量c4との対応関係を示す第1の座標X1(13dB,c4THz)を生成する。補正部51は、待機期間中に取得した座標X0(33dB,c1THz)と、第1の座標X1(13dB,c4THz)と、原点座標(0dB,0THz)とを繋げることで関係性を生成し、関係性を関係性テーブル49に更新する。
【0036】
次に制御部27は、出力光強度を-10dBmから-4dBmに変化すべく、VOA32の減衰量が13dBから7dBへの変化を検出した場合、関係性を使用して第1の印加電圧の調整量gに応じたズレ量c5を算出する。補正部51は、変化検出時の減衰量7dBとズレ量c4との対応関係を示す第2の座標X2(7dB,c5THz)を生成する。補正部51は、座標X0(33dB,c1THz)と、第1の座標X1(13dB,c4THz)と、第2の座標X2(7dB,c5THz)と、原点座標(0dB,0THz)とを繋げることで関係性を生成し、関係性を関係性テーブル49に更新する。
【0037】
次に制御部27は、出力光強度を-4dBmから-15dBmに変化すべく、VOA32の減衰量が7dBから18dBへの変化を検出した場合、関係性を使用して第1の印加電圧の調整量hに応じたズレ量c6を算出する。補正部51は、変化検出時の減衰量18Bとズレ量c6との対応関係を示す第3の座標X3(18dB,c6THz)を生成する。補正部51は、座標X0(33dB,c1THz)と、第1の座標X1(13dB,c4THz)と、第2の座標X2(7dB,c5THz)と、第3の座標X3(18dB,c6THz)と、原点座標とを繋げることで図10に示すように関係性を生成する。そして、補正部51は、生成した関係性を関係性テーブル49に更新する。その結果、運用期間中に生成した複数の座標を使用して関係性を補正するので、高精度な関係性を取得できる。
【0038】
次に実施例2の光伝送装置1の動作について説明する。図11は、第2の設定処理に関わるCPU20の処理動作の一例を示すフロー図である。図11に示す第2の設定処理は、運用期間中に順次生成した複数の座標で関係性を補正する処理である。
【0039】
図11において検出部41は、減衰量の変化を検出したか否かを判定する(ステップS31)。第3の算出部46は、減衰量の変化を検出した場合(ステップS31肯定)、関係性から減衰量に対応するズレ量c3を算出する(ステップS32)。第3の算出部46は、図3に示す部品特性を参照し、基準の透過中心周波数fa及び、透過中心周波数faにズレ量c3を加算したズレ後の透過中心周波数f3を特定する(ステップS33)。第3の算出部46は、基準の透過中心周波数faの印加電圧量va及び、ズレ後の透過中心周波数f3の印加電圧量v3を特定する(ステップS34)。第3の算出部46は、基準の印加電圧量vaとズレ後の印加電圧量v3との差分で調整量d3を算出する(ステップS35)。
【0040】
設定部47は、基準の印加電圧量vaに調整量d3を加算し(ステップS36)、加算後の第1の印加電圧をMEMS駆動部34に設定する(ステップS37)。設定部47は、モニタ部26で検出した出力光強度が目標値であるか否かを判定する(ステップS38)。設定部47は、出力光強度が目標値でない場合(ステップS38否定)、更に、第1の印加電圧を調整してMEMS駆動部34に設定すべく、ステップS37に移行する。
【0041】
取得部42は、目標値時点の第1の印加電圧である基準の印加電圧量vaの調整量d4を取得する(ステップS39)。第1の算出部43は、部品特性を参照し、基準の印加電圧量vaに対応する透過中心周波数faと、調整量d4で調整後の印加電圧量v4に対応する透過中心周波数f4とを特定する(ステップS40)。第1の算出部43は、特定された基準の透過中心周波数faと、調整後の透過中心周波数f4との差分でズレ量c4を算出する(ステップS41)。
【0042】
制御部27内の補正部51は、変化検出時の減衰量g2とズレ量c4との座標を生成し(ステップS42)、生成した座標で関係性テーブル49に格納中の関係性を補正する(ステップS43)。更に、補正部51は、補正後の関係性を関係性テーブル49に記憶し(ステップS44)、図11に示す処理動作を終了する。検出部41は、減衰量の変化を検出しなかった場合(ステップS31否定)、図11に示す処理動作を終了する。
【0043】
実施例2の光伝送装置1は、運用期間中に算出したズレ量毎に座標を生成し、生成した座標で関係性を補正するので、高精度な関係性を取得できる。その結果、減衰量変化に伴う透過中心周波数のズレ量の解消に要する時間を短縮化して伝送品質の向上を図る。
【0044】
実施例2の光伝送装置1では、運用期間中に生成した座標で関係性を更新する場合を例示したが、待機期間から運用期間に移行するまでの立ち上げ期間中に生成した複数の座標で関係性を補正しても良い。そこで、その実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。尚、実施例2と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例3】
【0045】
図12は、実施例3のOFF期間、待機期間及び立ち上げ期間の出力光の強度変化に応じた第1の印加電圧の変動推移の一例を示す説明図である。立ち上げ期間は、待機期間から運用期間に移行するまでの期間である。尚、図5の運用期間では、開始時に待機期間の出力光強度-30dBmから+3dBmまで一気に上昇させた場合を例示したが、図12の立ち上げ期間では、出力光強度を段階的に上昇させる。
【0046】
制御部27は、立ち上げ期間中に、出力光強度を-30dBmから-15dBmに変化すべく、VOA32の減衰量が33dBから18dBへの変化を検出した場合、関係性を使用して第1の印加電圧の調整量hに応じたズレ量c7を算出する。補正部51は、変化検出時の減衰量18dBとズレ量c7との対応関係を示す第11の座標X11(18dB,c7THz)を生成する。補正部51は、待機期間中に取得した座標X0(33dB,c1THz)と、第11の座標X11(18dB,c7THz)と、原点座標(0dB,0THz)とを繋げることで関係性を生成し、関係性を関係性テーブル49に更新する。
【0047】
次に制御部27は、出力光強度を-15dBmから-10dBmに変化すべく、VOA32の減衰量が18dBから13dBへの変化を検出した場合、関係性を使用して第1の印加電圧の調整量fに応じたズレ量c8を算出する。補正部51は、変化検出時の減衰量13dBとズレ量c8との対応関係を示す第12の座標X12(13dB,c8THz)を生成する。補正部51は、座標X0(33dB,c1THz)と、第11の座標X11(18dB,c7THz)と、第12の座標X12(13dB,c8THz)と、原点座標(0dB,0THz)とを繋げることで関係性を生成し、関係性を関係性テーブル49に更新する。
【0048】
次に制御部27は、出力光強度を-10dBmから-4dBmに変化すべく、VOA32の減衰量が13dBから7dBへの変化を検出した場合、関係性を使用して第1の印加電圧の調整量gに応じたズレ量c9を算出する。補正部51は、変化検出時の減衰量7Bとズレ量c9との対応関係を示す第13の座標X13(7dB,c9THz)を生成する。補正部51は、座標X0(33dB,c1THz)と、第11の座標X11(18dB,c7THz)と、第12の座標X12(13dB,c8THz)と、第13の座標X13(7dB,c9THz)と、原点座標とを繋げることで関係性を生成する。そして、補正部51は、生成した関係性を関係性テーブル49に更新する。その結果、立ち上げ期間中に生成した複数の座標を使用して関係性を補正するので、高精度な関係性を取得できる。
【0049】
次に実施例3の光伝送装置1の動作について説明する。図13は、第3の設定処理に関わるCPU20の処理動作の一例を示すフロー図である。図13に示す第3の設定処理は、待機期間から運用期間に移行する間の立ち上げ期間で生成した複数の座標で関係性を補正する処理である。
【0050】
図13において検出部41は、出力光強度が第1の所定量以下であるか否かを判定する(ステップS31A)。検出部41は、出力光強度が第1の所定量以下の場合(ステップS31A肯定)、減衰量の変化を検出したか否かを判定すべく、ステップS31に移行する。また、補正部51は、ステップS43にて生成した座標で関係性を補正し、補正後の関係性を関係性テーブル49に記憶し(ステップS44A)、出力光強度が第1の所定量以下であるか否かを判定すべく、ステップS31Aに移行する。
【0051】
実施例3の光伝送装置1は、立ち上げ期間中に算出したズレ量毎に座標を生成し、生成した座標で関係性を補正するので、高精度な関係性を取得できる。その結果、減衰量変化に伴う透過中心周波数のズレ量の解消に要する時間を短縮化して伝送品質の向上を図る。
【0052】
尚、上記実施例1の光伝送装置1では、使用可能な複数の周波数の内、単一の周波数に対する関係性を例示したが、使用可能な周波数毎に関係性を格納しても良く、その実施の形態につき、実施例4として以下に説明する。尚、実施例1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例4】
【0053】
図14は、実施例4の制御部27の機能構成の一例を示す説明図である。図14に示す制御部27は、検出部41、取得部42、第1の算出部43、第2の算出部44、生成部45、第3の算出部46、設定部47、部品特性テーブル48及び関係性テーブル49の代わりに、第4の算出部52及び割合テーブル53を有する。
【0054】
図15は、実施例4の関係性の一例を示す説明図である。図15の関係性は、例えば、191.0THzの周波数対応の関係性と、例えば、196.0THzの周波数対応の関係性と、193.5THzの周波数対応の関係性とを有する。
【0055】
図16は、割合テーブル53の一例を示す説明図である。図16に示す割合テーブル53は、使用周波数毎のズレ量の割合を記憶する。尚、使用周波数191.0THzのズレ量を100%とした場合に、使用周波数193.5のズレ量は191.0THzのズレ量の20%とし、使用周波数196.0THzのズレ量は191.0THzのズレ量の80%とする。
【0056】
第4の算出部52は、ズレ量を算出した場合、現在の使用周波数に応じた割合を割合テーブル53から取得し、取得した割合をズレ量に乗算することで現在の使用周波数に応じたズレ量を算出する。
【0057】
次に実施例4の光伝送装置1の動作について説明する。図17は、第4の設定処理に関わるCPU20の処理動作の一例を示すフロー図である。図17において制御部27内の検出部41は、減衰量の変化を検出したか否かを判定する(ステップS51)。第4の算出部52は、減衰量の変化を検出した場合(ステップS51肯定)、関係性から減衰量に対応したズレ量を算出する(ステップS52)。
【0058】
第4の算出部52は、現在の使用周波数の割合を割合テーブル53から取得する(ステップS53)。第4の算出部52は、ステップS52に算出したズレ量と、ステップS53にて取得した割合とを乗算することでズレ量を算出する(ステップS54)。
【0059】
制御部27内の第3の算出部46は、図3に示す部品特性を参照し、基準の透過中心周波数fa及び、透過中心周波数faにズレ量を加算したズレ後の透過中心周波数f2を特定する(ステップS55)。第3の算出部46は、部品特性を参照し、基準の透過中心周波数faの印加電圧量va及び、ズレ後の透過中心周波数の印加電圧量を特定する(ステップS56)。
【0060】
第3の算出部46は、基準の印加電圧量vaと、ズレ後の印加電圧量との差分で調整量を算出する(ステップS57)。第3の算出部46は、基準の印加電圧量vaに調整量を加算することで(ステップS58)、加算後の第1の印加電圧をMEMS駆動部34に設定し(ステップS59)、図17に示す処理動作を終了する。検出部41は、減衰量の変化を検出しなかった場合(ステップS51否定)、図17に示す処理動作を終了する。
【0061】
実施例4の光伝送装置1では、運用中期間中に、新たな減衰量の変化を検出した場合に、現在の使用周波数に対応した関係性を取得し、取得した関係性から当該変化検出時の減衰量に対応するズレ量を算出する。その結果、使用周波数毎に関係性を準備しておくことで、使用周波数に応じて、減衰量変化に伴うズレ量を円滑に解消できる。
【0062】
例えば、出力光の強度調と使用周波数を「+3dBm、196THz」の状態から、「-10dBm、191THz」に変化する場合、TOF31の透過中心周波数のズレ量は、(c1THz/33dm×13dB)×(100%/80%)[THz]となる。
【0063】
尚、図15に示す使用周波数毎の関係性は、事前に関係性テーブル49に記憶しておいても良く、出力光の周波数を使用する毎に関係性を生成し、生成した関係性テーブル49に記憶しても良い。
【0064】
上記実施例1の光伝送装置1では、運用期間中に減衰量の変化を検出した時点のズレ量を算出し、ズレ量を算出する都度、そのズレ量に基づき、TOF31の制御動作を実行した。しかしながら、ズレ量が第2の所定量よりも大きい場合にのみ、TOF31の制御動作を実行し、ズレ量が第2の所定量よりも大きくない場合に、TOF31の制御動作をスキップしても良く、その実施の形態につき、実施例5として以下に説明する。
【実施例5】
【0065】
図18は、実施例6の制御部27の機能構成の一例を示す説明図である。図18に示す制御部27は、検出部41、取得部42、第1の算出部43、第2の算出部44、生成部45、第3の算出部46、設定部47、部品特性テーブル48、関係性テーブル49及び補正部51の他に、判定部54を有する。判定部54は、関係性から算出したズレ量が第2の所定量よりも大きいか否かを判定する。第3の算出部46は、関係性から算出したズレ量が第2の所定量よりも大きい場合、調整量を算出するTOF31の制御動作を実行する。これに対して、第3の算出部46は、関係性から算出したズレ量が第2の所定量よりも大きくない場合、TOF31の制御動作をスキップする。
【0066】
図19は、実施例6の運用期間中の出力光の強度変化に応じた第1の印加電圧の変動推移の一例を示す説明図である。制御部27は、運用期間中に、出力光強度を+3dBmから-10dBmに変化すべく、VOA32の減衰量が0dBから13dBへの変化を検出した場合、関係性を使用して減衰量13dBに応じたズレ量を算出する。判定部54は、ズレ量が第2の所定量よりも大きいか否かを判定する。第3の算出部46は、ズレ量が第2の所定量よりも大きい場合、図3に示す部品特性を参照し、ズレ量に対応した調整量を算出する。設定部47は、基準の印加電圧量vaに調整量を加算した第1の印加電圧をMEMS駆動部34に設定する。
【0067】
制御部27は、運用期間中に、出力光強度を-10dBmから-9dBmに変化すべく、VOA32の減衰量が13dBから12dBへの変化を検出した場合、関係性を使用して減衰量12dBに応じたズレ量を算出する。判定部54は、ズレ量が第2の所定量よりも大きいか否かを判定する。第3の算出部46は、ズレ量が第2の所定量よりも大きくない場合、調整量の算出動作をスキップする。その結果、ズレ量が最小限のため、制御部27の処理負担を軽減できる。
【0068】
次に実施例6の光伝送装置1の動作について説明する。図20は、第5の設定処理に関わるCPU20の処理動作の一例を示すフロー図である。図20において制御部27内の第2の算出部44は、関係性から減衰量に対応するズレ量c2を算出する(ステップS22A)。制御部27内の判定部54は、関係性から算出した減衰量に対応するズレ量c2が所定量を超えたか否かを判定する(ステップS61)。第3の算出部46は、ズレ量c2が所定量を超えた場合(ステップS61肯定)、部品特性から、基準の透過中心周波数及びズレ量対応の透過中心周波数を特定し(ステップS23A)、部品特性から印加電圧量を特定すべく、ステップS24に移行する。第3の算出部46は、ズレ量c2が所定量を超えたのでない場合(ステップS61否定)、調整量の算出動作をスキップし、図20に示す処理動作を終了する。
【0069】
実施例6の光伝送装置1は、減衰量の変化を検出し、関係性から減衰量に対応したズレ量を算出し、ズレ量が第2の所定量を超えた場合に、TOF31の制御動作を実行する。更に、光伝送装置1は、ズレ量が第2の所定量を超えなかった場合、TOF31の制御動作をスキップする。その結果、TOF31の制御動作に要する制御部27の処理負担を軽減できる。
【0070】
尚、実施例6の光伝送装置1では、ズレ量が第2の所定量を超えたか否かを判定する場合を例示した。しかしながら、減衰量の変化量が閾値を超えたか否かを判定し、変化量が閾値を超えた場合にTOF31の制御動作を実行し、変化量が閾値を超えなかった場合にTOF31の制御動作をスキップしても良く、適宜変更可能である。
【0071】
尚、EDFA13等の光増幅器を使用したが、EDFA13に限定されるものではなく、例えば、ツリウム添加ファイバ増幅器、プラセオジム添加ファイバ増幅器等、半導体光増幅器やラマン増幅器等を使用しても良く、適宜変更可能である。
【0072】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 光伝送装置
14 光モジュール
27 制御部
31 TOF
32 VOA
33 MEMSミラー
34 MEMS駆動部
41 検出部
42 取得部
43 第1の算出部
44 第2の算出部
45 生成部
46 第3の算出部
47 設定部
48 部品特性テーブル
49 関係性テーブル
51 補正部
52 第4の算出部
54 判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20