(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13357 20060101AFI20220712BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20220712BHJP
F21V 5/02 20060101ALI20220712BHJP
G02B 5/02 20060101ALN20220712BHJP
【FI】
G02F1/13357
F21V5/00 530
F21V5/00 320
F21V5/02 100
F21V5/02 350
G02B5/02 B
(21)【出願番号】P 2018117958
(22)【出願日】2018-06-21
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】小川 晃久
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-004203(JP,A)
【文献】特開2013-020932(JP,A)
【文献】特開2003-109416(JP,A)
【文献】特開2008-218418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13357
F21V 5/00
F21V 5/02
G02B 5/02
F21Y 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの一辺に沿って配置された複数の発光素子と、
前記表示パネルの背面に対向して配置され、前記複数の発光素子からの光を前記表示パネルの前記背面に向けて反射する反射シートと、
前記表示パネルと前記反射シートとの間に配置され、前記反射シートに対向する面に
、前記複数の発光素子からの光を前記反射シートに向けて全反射させるための複数の突部が形成された第1の光学シートと、を備え、
前記複数の突部は、
前記表示パネルの前記一辺の前記延伸方向と異なる第1の方向に沿って延びる第1の稜線を有する第1の突部と、
前記表示パネルの前記一辺の前記延伸方向及び前記第1の方向の各々と異なる第2の方向に沿って延びる第2の稜線を有する第2の突部と、を含み、
前記反射シートと前記第1の光学シートとの間には、前記複数の発光素子からの光の通過領域となる中空領域が形成され、
前記複数の発光素子からの光は、前記中空領域を通過することにより前記第1の光学シートの前記第1の稜線及び前記第2の稜線に向けて照射される
画像表示装置。
【請求項2】
前記
第1の突部
の前記
第1の稜線に対して垂直な断面形状
、及び、前記第2の突部の前記第2の稜線に対して垂直な断面形状は、三角形状である
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記
第1の突部
の前記
第1の稜線に対して垂直な断面形状
、及び、前記第2の突部の前記第2の稜線に対して垂直な断面形状は、円弧形状である
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記画像表示装置は、さらに、前記第1の光学シートと前記表示パネルとの間に配置された第2の光学シートを備える
請求項1~
3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記第1の光学シートはプリズムシートであり、
前記第2の光学シートは、拡散シート及びプリズムシートのうち少なくとも1つを含む
請求項
4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記第1の光学シート及び前記第2の光学シートは、一体的に形成されている
請求項
4又は
5に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示するための画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を表示するための画像表示装置が知られている。画像表示装置は、表示パネルと、表示パネルの背面に光を照射するバックライトとを備えている。バックライトの方式の一つとして、導光板を用いない中空方式のバックライトが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
中空方式のバックライトは、光源と、表示パネルの背面に対向して配置された反射シートと、表示パネルと反射シートとの間に配置された拡散シートとを有している。光源からの光は、反射シートと拡散シートとの間に形成された中空領域内を進み、反射シートで反射した後に拡散シートに入射する。拡散シートに入射した光は、拡散されながら拡散シートから出射し、表示パネルの背面に照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の画像表示装置では、表示パネルのうち光源付近の領域が局所的に明るくなるため、表示パネルに光ムラが発生するという課題が生じる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、表示パネルにおける光ムラを抑制することができる画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る画像表示装置は、前面に画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルの一辺に沿って配置された複数の発光素子と、前記表示パネルの背面に対向して配置され、前記複数の発光素子からの光を前記表示パネルの前記背面に向けて反射する反射シートと、前記表示パネルと前記反射シートとの間に配置され、前記反射シートに対向する面に複数の突部が形成された第1の光学シートと、を備え、前記複数の突部はそれぞれ、前記表示パネルの前記一辺の延伸方向と異なる方向に沿って延びる複数の稜線を有している。
【0008】
本態様によれば、第1の光学シートの複数の突部はそれぞれ、表示パネルの一辺の延伸方向と異なる方向に沿って延びる複数の稜線を有している。これにより、複数の発光素子からの光は、第1の光学シートの複数の突部に対して多様な角度で入射するため、複数の突部の各表面で全反射しやすくなる。複数の突部の各表面で全反射した光は、反射シートで反射した後に、第1の光学シートに入射する。このようにして、複数の発光素子からの光は、第1の光学シートの複数の突部により、表示パネルの一辺から所定方向に導かれながら、第1の光学シートと反射シートとの間の中空領域を進むようになる。その結果、表示パネルのうち複数の発光素子付近の領域が局所的に明るくなるのを抑制することができ、表示パネルにおける光ムラを抑制することができる。
【0009】
例えば、本発明の一態様に係る画像表示装置において、前記複数の突部の各々の前記稜線に対して垂直な断面形状は、三角形状であるように構成してもよい。
【0010】
本態様によれば、第1の光学シートの複数の突部を容易に形成することができる。
【0011】
例えば、本発明の一態様に係る画像表示装置において、前記複数の突部の各々の前記稜線に対して垂直な断面形状は、円弧形状であるように構成してもよい。
【0012】
本態様によれば、第1の光学シートの複数の突部を容易に形成することができる。
【0013】
例えば、本発明の一態様に係る画像表示装置において、前記複数の稜線は、互いに平行に配置され、且つ、前記表示パネルの前記一辺の前記延伸方向に対して垂直な方向に沿って延びているように構成してもよい。
【0014】
本態様によれば、複数の発光素子からの光を、表示パネルの一辺から当該一辺に対向する他辺に向かう方向に導くことができる。
【0015】
例えば、本発明の一態様に係る画像表示装置において、前記複数の突部は、前記表示パネルの前記一辺の前記延伸方向と異なる第1の方向に沿って延びる第1の稜線を有する第1の突部と、前記表示パネルの前記一辺の前記延伸方向及び前記第1の方向の各々と異なる第2の方向に沿って延びる第2の稜線を有する第2の突部と、を含むように構成してもよい。
【0016】
本態様によれば、複数の発光素子からの光を、表示パネルの一辺から互いに異なる2つの方向に導くことができる。
【0017】
例えば、本発明の一態様に係る画像表示装置において、前記画像表示装置は、さらに、前記第1の光学シートと前記表示パネルとの間に配置された第2の光学シートを備えるように構成してもよい。
【0018】
例えば、本発明の一態様に係る画像表示装置において、前記第1の光学シートはプリズムシートであり、前記第2の光学シートは、拡散シート及びプリズムシートのうち少なくとも1つを含むように構成してもよい。
【0019】
例えば、本発明の一態様に係る画像表示装置において、前記第1の光学シート及び前記第2の光学シートは、一体的に形成されているように構成してもよい。
【0020】
例えば、本発明の一態様に係る画像表示装置において、前記反射シートと前記第1の光学シートとの間には、前記複数の発光素子からの光の通過領域となる中空領域が形成され、前記複数の発光素子からの光は、前記中空領域を通過することにより前記第1の光学シートの前記複数の稜線に向けて照射されるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様に係る画像表示装置によれば、表示パネルにおける光ムラを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態1に係る画像表示装置の外観を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る画像表示装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III線による、実施の形態1に係る画像表示装置の断面図である。
【
図4】
図3の光学シートユニットを模式的に示す断面図である。
【
図5】
図4のV-V線による、実施の形態1に係る光学シートユニットを模式的に示す断面図である。
【
図6】実施の形態1に係る光学シートユニット、LEDバー及び表示パネルを模式的に示す斜視図である。
【
図7A】比較例に係る画像表示装置の表示パネルにおける輝度分布を示す図である。
【
図7B】実施例に係る画像表示装置の表示パネルにおける輝度分布を示す図である。
【
図8】実施の形態2に係る光学シートユニットを模式的に示す断面図である。
【
図9】実施の形態2の変形例に係る光学シートユニットを模式的に示す断面図である。
【
図10】実施の形態3に係る光学シートユニットを模式的に示す断面図である。
【
図11】実施の形態4に係る光学シートユニット及びLEDバーを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0024】
(実施の形態1)
[1-1.画像表示装置の全体構成]
まず、
図1~
図3を参照しながら、実施の形態1に係る画像表示装置2の全体構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る画像表示装置2の外観を示す図である。
図2は、実施の形態1に係る画像表示装置2の内部構造を示す斜視図である。
図3は、
図2のIII-III線による、実施の形態1に係る画像表示装置2の断面図である。
【0025】
図1に示すように、画像表示装置2は、例えば液晶テレビジョン受像機である。画像表示装置2は、筐体4と、筐体4の前面に配置された表示パネル6とを備えている。
【0026】
表示パネル6は、XY平面視で矩形状に形成された液晶セルである。表示パネル6の前面6aには画像が表示される。表示パネル6の四辺のうち、上辺8a及び下辺8bの各々は水平方向(X軸方向)に延び、左辺8c及び右辺8dの各々は垂直方向(Y軸方向)に延びている。
【0027】
図2及び
図3に示すように、筐体4の内部には、表示パネル6の背面6bに向けて光を照射するためのバックライト10が配置されている。なお、説明の都合上、
図2及び
図3では、筐体4の図示を省略している。
【0028】
バックライト10は、導光板を用いない中空方式のバックライトである。バックライト10は、リアフレーム12と、LEDバー14と、レンズ16と、反射シート18と、光学シートユニット20とを有している。
【0029】
リアフレーム12は、LEDバー14及び反射シート18等を支持し、且つ、LEDバー14からの熱を放熱するためのフレームである。リアフレーム12は、熱伝導性の高い金属、例えばアルミニウム等で形成されている。リアフレーム12は、本体部22と、側壁部24とを有している。
【0030】
本体部22は、表示パネル6の背面6bに対向して配置されている。
図3に示すように、本体部22は、表示パネル6の背面6bに対して傾斜して配置されており、本体部22と表示パネル6の背面6bとの間の距離は、側壁部24から離れるに従って漸減する。側壁部24は、本体部22の一端部から表示パネル6の下辺8b(表示パネル6の一辺の一例)側に向けて折り曲げられ、表示パネル6の下辺8bに沿って長尺状に延びている。
【0031】
LEDバー14は、光を発するための光源である。LEDバー14は、基板26と、複数の発光素子28とを有している。基板26は、複数の発光素子28を実装するための長尺状のプリント配線基板である。基板26は、熱伝導性を有する両面テープ(図示せず)により、リアフレーム12の側壁部24に取り付けられている。基板26は、熱伝導性の高い金属、例えばアルミニウム等で形成されている。複数の発光素子28の各々は、例えばチップ型のLED(Light Emitting Diode)である。複数の発光素子28は、基板26上に実装され、基板26の長手方向(X軸方向)に沿って間隔を置いて配置されている。すなわち、複数の発光素子28は、表示パネル6の下辺8bに沿って配置されている。
【0032】
レンズ16は、複数の発光素子28からの光を集光するための集光レンズである。レンズ16は、複数の発光素子28の配置方向(X軸方向)に沿って長尺状に延び、複数の発光素子28の各発光面に対向して配置されている。
【0033】
反射シート18は、複数の発光素子28からの光を表示パネル6の背面6bに向けて(すなわち、後述する第1のプリズムシート32に向けて)反射するためのシートである。反射シート18は、リアフレーム12の本体部22に支持され、表示パネル6の背面6bに対向して配置されている。
【0034】
光学シートユニット20は、複数の光学シートが相互に重ね合わされたユニットである。光学シートユニット20は、表示パネル6と反射シート18との間に配置されている。これにより、光学シートユニット20と反射シート18との間には、複数の発光素子28からの光の通過領域となる中空領域30が形成される。光学シートユニット20の構成については後で詳述する。
【0035】
[1-2.光学シートユニットの構成]
次に、
図4~
図6を参照しながら、光学シートユニット20の構成について説明する。
図4は、
図3の光学シートユニット20を模式的に示す断面図である。
図5は、
図4のV-V線による、実施の形態1に係る光学シートユニット20を模式的に示す断面図である。
図6は、実施の形態1に係る光学シートユニット20、LEDバー14及び表示パネル6を模式的に示す斜視図である。
【0036】
図4及び
図5に示すように、光学シートユニット20は、複数の光学シートとして、第1のプリズムシート32(第1の光学シートの一例)と、拡散シート34(第2の光学シートの一例)と、第2のプリズムシート36(第2の光学シートの一例)と、第3のプリズムシート38とを有している。第1のプリズムシート32、拡散シート34、第2のプリズムシート36及び第3のプリズムシート38は、この順に重ね合わされて配置されている。第1のプリズムシート32は反射シート18に対向して配置され、第3のプリズムシート38は表示パネル6の背面6bに対向して配置されている。
【0037】
第1のプリズムシート32は、複数の発光素子28からの光を所定方向に導くための光学シートである。具体的には、第1のプリズムシート32は、複数の発光素子28からの光を、表示パネル6の下辺8bから上辺8aに向かう方向(Y軸のプラス方向)に導く。第1のプリズムシート32は、例えばポリメタクリル酸ブチル(PBMA)で形成されている。
【0038】
図5及び
図6に示すように、第1のプリズムシート32の反射シート18に対向する面には、プリズム面40が形成されている。プリズム面40には、複数の突部42が形成されている。複数の突部42の各々は、三角柱状に形成されている。複数の突部42はそれぞれ、三角柱の頂部を形成する複数の稜線44を有している。すなわち、複数の突部42の各々の稜線44に対して垂直な断面形状は、三角形状である。複数の稜線44は、互いに平行に配置され、且つ、表示パネル6の下辺8bの延伸方向(X軸方向)に対して垂直な方向(Y軸方向)に沿って延びている。すなわち、複数の稜線44は、表示パネル6の下辺8bの延伸方向と異なる方向に沿って延びている。第1のプリズムシート32の厚みは、例えば288mmであり、複数の稜線44のX軸方向における配置間隔は、例えば52μmである。なお、第1のプリズムシート32のプリズム面40と反対側の面は、平坦状に形成されている。
【0039】
図4及び
図5に示すように、拡散シート34は、第1のプリズムシート32から出射した光を拡散させるための光学シートである。拡散シート34は、第1のプリズムシート32のプリズム面40と反対側の面に重ね合わされている。
【0040】
図5に示すように、第2のプリズムシート36は、拡散シート34から出射した光のX軸方向の広がりを抑えるための光学シートである。第2のプリズムシート36は、拡散シート34の第1のプリズムシート32に対向する面と反対側の面に重ね合わされている。第2のプリズムシート36の拡散シート34に対向する面と反対側の面には、プリズム面46が形成されている。プリズム面46には、複数の突部48が形成されている。複数の突部48の各々は、三角柱状に形成されている。複数の突部48はそれぞれ、三角柱の頂部を形成する複数の稜線50を有している。複数の稜線50は、互いに平行に配置され、且つ、第1のプリズムシート32の複数の稜線44と同方向に延びている。なお、第2のプリズムシート36のプリズム面46と反対側の面は、平坦状に形成されている。
【0041】
図4に示すように、第3のプリズムシート38は、第2のプリズムシート36から出射した光のY軸方向の広がりを抑えるための光学シートである。第3のプリズムシート38は、第2のプリズムシート36のプリズム面46に重ね合わされている。第3のプリズムシート38の第2のプリズムシート36と反対側の面には、プリズム面52が形成されている。プリズム面52には、複数の突部54が形成されている。複数の突部54の各々は、三角柱状に形成されている。複数の突部54はそれぞれ、三角柱の頂部を形成する複数の稜線56を有している。複数の稜線56は、互いに平行に配置され、且つ、第2のプリズムシート36の複数の稜線50に対して垂直な方向(X軸方向)に延びている。なお、第3のプリズムシート38のプリズム面52と反対側の面は、平坦状に形成されている。
【0042】
[1-3.効果]
次に、
図3及び
図6を参照しながら、上述した画像表示装置2により得られる効果について説明する。
【0043】
図3に示すように、複数の発光素子28からの光は、レンズ16により集光された後に、中空領域30を進むようになる。この時、仮に、バックライト10に第1のプリズムシート32が設けられていない場合には、光は、拡散シート34に対して浅い角度で入射して、拡散シート34を透過するようになる。すなわち、複数の発光素子28からの光の大部分は、拡散シート34のうちLEDバー14付近の領域を透過するようになる。その結果、表示パネル6のうちLEDバー14付近の領域が局所的に明るくなるため、表示パネル6に光ムラが発生する。
【0044】
これに対して、本実施の形態では、
図6に示すように、バックライト10に第1のプリズムシート32が設けられ、第1のプリズムシート32の反射シート18に対向する面には、プリズム面40が形成されている。プリズム面40に形成された複数の突部42はそれぞれ、複数の稜線44を有している。複数の稜線44は、互いに平行に配置され、且つ、表示パネル6の下辺8bの延伸方向に対して垂直な方向に沿って延びている。複数の発光素子28からの光は、中空領域30を通過することにより、第1のプリズムシート32の複数の稜線44に向けて照射される。
【0045】
これにより、複数の発光素子28からの光は、第1のプリズムシート32の複数の突部42に対して多様な角度で入射するため、複数の突部42の各表面で全反射しやすくなる。複数の突部42の各表面で全反射した光は、反射シート18で反射した後に、第1のプリズムシート32のプリズム面40に入射する。このようにして、複数の発光素子28からの光は、第1のプリズムシート32のプリズム面40により、表示パネル6の下辺8bから上辺8aに向かう方向に導かれながら、中空領域30を進むようになる。そのため、複数の発光素子28からの光は、第1のプリズムシート32のうちLEDバー14付近の領域だけでなく、LEDバー14からY軸方向に離れた領域にも透過するようになる。その結果、表示パネル6のうちLEDバー14付近の領域が局所的に明るくなるのを抑制することができ、表示パネル6における光ムラを抑制することができる。
【0046】
上述した効果を確認するために、次のような実験を行った。
図7Aは、比較例に係る画像表示装置の表示パネルにおける輝度分布を示す図である。
図7Bは、実施例に係る画像表示装置の表示パネルにおける輝度分布を示す図である。
【0047】
比較例では、55インチの表示パネルの背面を中空方式のバックライトで照射し、表示パネルの輝度を測定した。バックライトの光学シートユニットとして、本実施の形態の光学シートユニットから第1のプリズムシートのみを除いた、拡散シート、第2のプリズムシート及び第3のプリズムシートがこの順に重ね合わされたものを用いた。
【0048】
また、実施例では、55インチの表示パネルの背面を中空方式のバックライトで照射し、表示パネルの輝度を測定した。バックライトの光学シートユニットとして、本実施の形態の光学シートユニットと同様に、第1のプリズムシート、拡散シート、第2のプリズムシート及び第3のプリズムシートがこの順に重ね合わされたものを用いた。
【0049】
図7A及び
図7Bにおいて、左上の分布図は、表示パネルにおける二次元的な輝度分布を示している。この輝度分布では、色が白くなるほど輝度が大きく、色が黒くなるほど輝度が小さいことを示している。なお、左上の輝度分布において、左右方向が水平方向(X軸方向)を示し、上下方向が垂直方向(Y軸方向)を示している。また、
図7A及び
図7Bにおいて、右上のグラフは、表示パネルの垂直方向(Y軸方向)における一次元的な輝度分布を示している。さらに、
図7A及び
図7Bにおいて、左下のグラフは、表示パネルの水平方向(X軸方向)における一次元的な輝度分布を示している。
【0050】
図7Aに示すように、比較例の実験結果では、表示パネルのうちLEDバー付近の領域(
図7Aにおいて下方の領域)が局所的に明るくなり、表示パネルに光ムラが発生した。
【0051】
一方、
図7Bに示すように、実施例の実験結果では、表示パネルの全域がほぼ均一に明るくなった。これにより、実施例では、表示パネルにおける光ムラを抑制することができる効果が得られることが確認された。
【0052】
(実施の形態2)
次に、
図8を参照しながら、実施の形態2に係る光学シートユニット20Aについて説明する。
図8は、実施の形態2に係る光学シートユニット20Aを模式的に示す断面図である。なお、以下の各実施の形態では、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0053】
図8に示すように、実施の形態2に係る光学シートユニット20Aでは、第1のプリズムシート32Aのプリズム面40Aに形成された複数の突部42Aの各々は、半円柱状に形成されている。複数の突部42Aはそれぞれ、半円柱の側縁を形成する複数の稜線44Aを有している。すなわち、複数の突部42Aの各々の稜線44Aに対して垂直な断面形状は、円弧形状である。複数の突部42Aをこのように形成した場合であっても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0054】
なお、複数の突部42Aは、上述した半円柱状に限定されず、種々の形状に形成することができる。
図9は、実施の形態2の変形例に係る光学シートユニット20Bを模式的に示す断面図である。
図9に示すように、変形例に係る光学シートユニット20Bでは、第1のプリズムシート32Bのプリズム面40Bに形成された複数の突部42Bの各々は、四角柱状に形成されている。複数の突部42Bはそれぞれ、四角柱の側縁を形成する複数の稜線44Bを有している。すなわち、複数の突部42Bの各々の稜線44Bに対して垂直な断面形状は、台形状である。複数の突部42Bをこのように形成した場合であっても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0055】
(実施の形態3)
次に、
図10を参照しながら、実施の形態3に係る光学シートユニット20Cについて説明する。
図10は、実施の形態3に係る光学シートユニット20Cを模式的に示す断面図である。
【0056】
図10に示すように、実施の形態3に係る光学シートユニット20Cでは、第1のプリズムシート32、拡散シート34、第2のプリズムシート36及び第3のプリズムシート38がラミネート加工により一体的に形成されている。これにより、光学シートユニット20Cを容易に扱うことができる。
【0057】
(実施の形態4)
次に、
図11を参照しながら、実施の形態4に係る光学シートユニット20Dについて説明する。
図11は、実施の形態4に係る光学シートユニット20D及びLEDバー14を模式的に示す図である。
【0058】
図11に示すように、実施の形態4に係る光学シートユニット20Dでは、第1のプリズムシート32Dのプリズム面40Dには、複数の第1の突部58及び複数の第2の突部60が形成されている。複数の第1の突部58及び複数の第2の突部60の各々は、三角柱状に形成されている。複数の第1の突部58はそれぞれ、三角柱の頂部を形成する複数の第1の稜線62を有している。また、複数の第2の突部60はそれぞれ、三角柱の頂部を形成する複数の第2の稜線64を有している。
【0059】
複数の第1の稜線62は、互いに平行に配置され、且つ、表示パネル6の下辺8bの延伸方向に対して例えば+45°傾斜して延びている。すなわち、複数の第1の稜線62は、表示パネル6の下辺8bの延伸方向と異なる第1の方向に沿って延びている。
【0060】
複数の第2の稜線64は、互いに平行に配置され、且つ、表示パネル6の下辺8bの延伸方向に対して例えば-45°傾斜して延びている。すなわち、複数の第2の稜線64は、表示パネル6の下辺8bの延伸方向及び第1の方向の各々と異なる第2の方向に沿って延びている。
【0061】
これにより、複数の発光素子28からの光を、異なる2つの方向、すなわち第1の方向及び第2の方向に導くことができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、プリズム面40Dに複数の第1の突部58及び複数の第2の突部60を形成したが、これに限定されず、さらに複数の第3の突部を形成してもよい。この場合、複数の第3の突部の各々は、三角柱状に形成されている。複数の第3の突部はそれぞれ、三角柱の頂部を形成する複数の第3の稜線を有している。複数の第3の稜線は、互いに平行に配置され、且つ、表示パネル6(
図2参照)の下辺8bの延伸方向に対して垂直な方向に沿った第3の方向に延びている。これにより、複数の発光素子28からの光を、異なる3つの方向、すなわち第1の方向、第2の方向及び第3の方向に導くことができる。
【0063】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態1~4に係る画像表示装置について説明したが、本発明は、これらの実施の形態1~4に限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0064】
上記各実施の形態では、光学シートユニット20(20A,20B,20C,20D)は第1のプリズムシート32(32A,32B,32C)、拡散シート34、第2のプリズムシート36及び第3のプリズムシート38を有するようにしたが、拡散シート34、第2のプリズムシート36及び第3のプリズムシート38のうちいずれかを省略してもよい。
【0065】
また、上記各実施の形態では、画像表示装置2が液晶テレビジョン受像機である場合について説明したが、これに限定されず、例えばパーソナルコンピュータ用の液晶ディスプレイ等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の画像表示装置は、例えば液晶テレビジョン受像機等として適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
2 画像表示装置
4 筐体
6 表示パネル
6a 前面
6b 背面
8a 上辺
8b 下辺
8c 左辺
8d 右辺
10 バックライト
12 リアフレーム
14 LEDバー
16 レンズ
18 反射シート
20,20A,20B,20C,20D 光学シートユニット
22 本体部
24 側壁部
26 基板
28 発光素子
30 中空領域
32,32A,32B,32D 第1のプリズムシート
34 拡散シート
36 第2のプリズムシート
38 第3のプリズムシート
40,40A,40B,40D,46,52 プリズム面
42,42A,42B,48,54 突部
44,44A,44B,50,56 稜線
58 第1の突部
60 第2の突部
62 第1の稜線
64 第2の稜線