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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】多重円板型脱水機
(51)【国際特許分類】
   B01D 33/00 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
B01D33/00 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018150621
(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公開番号】P2020025906
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】中野 剛
(72)【発明者】
【氏名】千賀 達也
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-144357(JP,A)
【文献】特開2017-205691(JP,A)
【文献】特開平05-038465(JP,A)
【文献】実開昭61-127894(JP,U)
【文献】実開昭51-000566(JP,U)
【文献】実開昭62-024915(JP,U)
【文献】実開昭63-020913(JP,U)
【文献】実開昭56-102646(JP,U)
【文献】特開平09-024218(JP,A)
【文献】実開昭62-020610(JP,U)
【文献】特開2005-028296(JP,A)
【文献】米国特許第05059322(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 33/00-33/82
C02F 11/121
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過溝が形成され、被処理物の固体成分を送る方向に互いに隣接する複数の積層状回転ろ体を含む多重円板型脱水機本体と、
前記多重円板型脱水機本体の排出口から排出された脱水ケーキを外部へ排出する排出シュートを含み、前記多重円板型脱水機本体に設けられた排出部と、
前記排出部に設けられるとともに、脱水ケーキが通過する前記排出シュートの排出経路内に配置され、脱水ケーキに接触することにより脱水ケーキを分割するケーキ分割部と、を備え、
前記排出部は、脱水ケーキを上方側から押圧する押圧部材を含み、
前記ケーキ分割部は、前記押圧部材に取り付けられ、前記押圧部材側から下方に延びるように構成されている、多重円板型脱水機。
【請求項2】
前記排出シュートは、前記排出口側から斜め下方に傾斜した底板部と、前記排出経路の排出方向に直交する水平方向における前記底板部の両端からそれぞれ上方に延びる側板部とを有し、
前記ケーキ分割部は、前記側板部から離間した位置に配置されている、請求項1に記載の多重円板型脱水機。
【請求項3】
前記ケーキ分割部は、前記排出経路の排出方向に直交する水平方向に間隔を隔てて複数設けられている、請求項1または2に記載の多重円板型脱水機。
【請求項4】
前記ケーキ分割部は、前記排出経路の排出方向から見て、上下方向に対して傾斜している、請求項1~3のいずれか1項に記載の多重円板型脱水機。
【請求項5】
ろ過溝が形成され、被処理物の固体成分を送る方向に互いに隣接する複数の積層状回転ろ体を含む多重円板型脱水機本体と、
前記多重円板型脱水機本体の排出口から排出された脱水ケーキを外部へ排出する排出シュートを含み、前記多重円板型脱水機本体に設けられた排出部と、
前記排出部に設けられるとともに、脱水ケーキが通過する前記排出シュートの排出経路内に配置され、脱水ケーキに接触することにより脱水ケーキを分割するケーキ分割部と、を備え、
前記排出シュートは、前記排出口側から斜め下方に傾斜した底板部と、前記排出経路の排出方向に直交する水平方向における前記底板部の両端からそれぞれ上方に延びる側板部とを有し、
前記ケーキ分割部は、前記底板部から上方に突出するように、前記底板部の上面上に配置され、
前記ケーキ分割部は、前記底板部から上方に突出するアーチ形状を有し、脱水ケーキを分割する分割部と、前記分割部の下端に接続されるとともに、前記底板部に沿って配置される平板形状を有し、前記多重円板型脱水機本体または前記排出シュートに取り付けられる取付部とを含む、多重円板型脱水機。
【請求項6】
ろ過溝が形成され、被処理物の固体成分を送る方向に互いに隣接する複数の積層状回転ろ体を含む多重円板型脱水機本体と、
前記多重円板型脱水機本体の排出口から排出された脱水ケーキを外部へ排出する排出シュートを含み、前記多重円板型脱水機本体に設けられた排出部と、
前記排出部に設けられるとともに、脱水ケーキが通過する前記排出シュートの排出経路内に配置され、脱水ケーキに接触することにより脱水ケーキを分割するケーキ分割部と、を備え、
前記排出シュートは、前記排出口側から斜め下方に傾斜した底板部と、前記排出経路の排出方向に直交する水平方向における前記底板部の両端からそれぞれ上方に延びる側板部とを有し、
前記ケーキ分割部は、前記底板部から上方に突出するように、前記底板部の上面上に配置され、
前記ケーキ分割部は、前記排出経路の下流側に向けて、前記排出シュートの斜め上方に延びる平板形状部分を含む、多重円板型脱水機。
【請求項7】
複数の前記ケーキ分割部は、前記排出経路の排出方向に直交する水平方向に等間隔で複数配置されている、請求項に記載の多重円板型脱水機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多重円板型脱水機に関し、特に、複数の積層状ろ体を備える多重円板型脱水機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の積層状ろ体を備える多重円板型脱水機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、複数の積層状ろ体を含む多重円板型脱水機本体と、多重円板型脱水機本体の排出口から排出された脱水ケーキを外部へ排出する排出シュートとを備えた多重円板型脱水機が開示されている。なお、上記特許文献1には明示されていないが、多重円板型脱水機は、一般的には、排出シュートから排出される脱水ケーキを、ベルトコンベアを介する等してホッパーやコンテナなどに排出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-12442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のような従来の多重円板型脱水機では、被処理物の性状によっては、排出シュートから脱水ケーキがひと続きの大きな塊のまま排出されるという場合がある。この場合、脱水ケーキが排出先のホッパーやコンテナから溢れ出てしまったり、ベルトコンベア上で滞留して脱水ケーキの搬送が行えなくなるなどのように、排出シュートから排出される脱水ケーキが適切に処理されない場合があるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、排出シュートから排出される脱水ケーキが適切に処理されるようにすることが可能な多重円板型脱水機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における多重円板型脱水機は、ろ過溝が形成され、被処理物の固体成分を送る方向に互いに隣接する複数の積層状回転ろ体を含む多重円板型脱水機本体と、多重円板型脱水機本体の排出口から排出された脱水ケーキを外部へ排出する排出シュートを含み、多重円板型脱水機本体に設けられた排出部と、排出部に設けられるとともに、脱水ケーキが通過する排出シュートの排出経路内に配置され、脱水ケーキに接触することにより脱水ケーキを分割するケーキ分割部と、を備え、排出部は、脱水ケーキを上方側から押圧する押圧部材を含み、ケーキ分割部は、押圧部材に取り付けられ、押圧部材側から下方に延びるように構成されている
【0008】
この発明の第1の局面による多重円板型脱水機では、上記のように、排出部に設けられるとともに、脱水ケーキが通過する排出シュートの排出経路内に配置され、脱水ケーキに接触することにより脱水ケーキを分割するケーキ分割部を設ける。これにより、排出シュートから脱水ケーキを排出する前に、ケーキ分割部により、排出経路内で脱水ケーキを多重円板型脱水機本体の排出口から排出された状態よりも小さく分割することができるので、排出シュートから脱水ケーキが大きな塊のまま排出されるのを抑制することができる。このため、排出シュートから排出される脱水ケーキが適切に処理されるようにすることができる。すなわち、脱水ケーキをホッパーまたはコンテナに排出する場合には、ホッパーまたはコンテナによる脱水ケーキの回収処理を適切に行うことができる。また、脱水ケーキをベルトコンベアで排出する場合には、ベルトコンベアによる脱水ケーキの搬送処理を適切に行うことができる。また、排出部は、脱水ケーキを上方側から押圧する押圧部材を含み、ケーキ分割部は、押圧部材に取り付けられ、押圧部材側から下方に延びるように構成されていることにより、排出経路に沿って配置される押圧部材にケーキ分割部を取り付けることができる。すなわち、排出シュートにより排出される脱水ケーキに近い位置に配置された押圧部材にケーキ分割部を設けることにより、ケーキ分割部の取り付け、および、ケーキ分割部による脱水ケーキの分割の両方を容易に行うことができる。また、既存の構成にケーキ分割部を取り付けることができるので、ケーキ分割部の専用の取付部を設ける必要がなく、装置構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面による多重円板型脱水機において、好ましくは、排出シュートは、排出口側から斜め下方に傾斜した底板部と、排出経路の排出方向に直交する水平方向における底板部の両端からそれぞれ上方に延びる側板部とを有し、ケーキ分割部は、側板部から離間した位置に配置されている。このように構成すれば、ケーキ分割部が側板部に沿って(側板部に接触する位置に)設けられる場合と比較して、ケーキ分割部を脱水ケーキのより内側に接触させることができるので、脱水ケーキを容易に分割することができる。
【0010】
上記第1の局面による多重円板型脱水機において、好ましくは、ケーキ分割部は、排出経路の排出方向に直交する水平方向に間隔を隔てて複数設けられている。このように構成すれば、単一のケーキ分割部を設ける場合と比較して、より小さく脱水ケーキを分割することができる。
【0011】
上記第1の局面による多重円板型脱水機において、好ましくは、ケーキ分割部は、排出経路の排出方向から見て、上下方向に対して傾斜している。このように構成すれば、ケーキ分割部により脱水ケーキに斜め方向に延びる分割面(亀裂)が形成されるので、脱水ケーキを分割面(亀裂)に沿って斜め方向にずらして移動させることができる。その結果、脱水ケーキをより小さくばらけさせる(分散させる)ことができる。
【0013】
この発明の第2の局面による多重円板型脱水機では、ろ過溝が形成され、被処理物の固体成分を送る方向に互いに隣接する複数の積層状回転ろ体を含む多重円板型脱水機本体と、多重円板型脱水機本体の排出口から排出された脱水ケーキを外部へ排出する排出シュートを含み、多重円板型脱水機本体に設けられた排出部と、排出部に設けられるとともに、脱水ケーキが通過する排出シュートの排出経路内に配置され、脱水ケーキに接触することにより脱水ケーキを分割するケーキ分割部と、を備え、排出シュートは、排出口側から斜め下方に傾斜した底板部と、排出経路の排出方向に直交する水平方向における底板部の両端からそれぞれ上方に延びる側板部とを有し、ケーキ分割部は、底板部から上方に突出するように、底板部の上面上に配置され、ケーキ分割部は、底板部から上方に突出するアーチ形状を有し、脱水ケーキを分割する分割部と、分割部の下端に接続されるとともに、底板部に沿って配置される平板形状を有し、多重円板型脱水機本体または排出シュートに取り付けられる取付部とを含む。
【0014】
この発明の第2の局面による多重円板型脱水機では、上記のように、排出部に設けられるとともに、脱水ケーキが通過する排出シュートの排出経路内に配置され、脱水ケーキに接触することにより脱水ケーキを分割するケーキ分割部を設ける。これにより、排出シュートから脱水ケーキを排出する前に、ケーキ分割部により、排出経路内で脱水ケーキを多重円板型脱水機本体の排出口から排出された状態よりも小さく分割することができるので、排出シュートから脱水ケーキが大きな塊のまま排出されるのを抑制することができる。このため、排出シュートから排出される脱水ケーキが適切に処理されるようにすることができる。すなわち、脱水ケーキをホッパーまたはコンテナに排出する場合には、ホッパーまたはコンテナによる脱水ケーキの回収処理を適切に行うことができる。また、脱水ケーキをベルトコンベアで排出する場合には、ベルトコンベアによる脱水ケーキの搬送処理を適切に行うことができる。また、脱水ケーキが通過する底板部の上面上にケーキ分割部が配置されるので、ケーキ分割部を確実に脱水ケーキに接触させることができる。また、ケーキ分割部を底板部から上方に突出するアーチ形状に形成することにより、ケーキ分割部を底板部から上方に突出する板状または棒状に形成する場合と比較して、脱水ケーキから受ける力に対して機械的強度が高くなるように、ケーキ分割部を構成することができる。また、ケーキ分割部を閉じられたアーチ形状に形成することにより、脱水ケーキが通過する排出経路(脱水ケーキが通過する空間)を区画することができるので、確実に脱水ケーキを分割することができる。
【0016】
この発明の第3の局面による多重円板型脱水機では、ろ過溝が形成され、被処理物の固体成分を送る方向に互いに隣接する複数の積層状回転ろ体を含む多重円板型脱水機本体と、多重円板型脱水機本体の排出口から排出された脱水ケーキを外部へ排出する排出シュートを含み、多重円板型脱水機本体に設けられた排出部と、排出部に設けられるとともに、脱水ケーキが通過する排出シュートの排出経路内に配置され、脱水ケーキに接触することにより脱水ケーキを分割するケーキ分割部と、を備え、排出シュートは、排出口側から斜め下方に傾斜した底板部と、排出経路の排出方向に直交する水平方向における底板部の両端からそれぞれ上方に延びる側板部とを有し、ケーキ分割部は、底板部から上方に突出するように、底板部の上面上に配置され、ケーキ分割部は、排出経路の下流側に向けて、排出シュートの斜め上方に延びる平板形状部分を含む。これにより、簡易な形状のケーキ分割部により脱水ケーキを分割することができる。また、ケーキ分割部により一部の脱水ケーキを斜め上方に移動させて分割を行うため、脱水ケーキにせん断応力を作用させて効果的に脱水ケーキをばらけさせる(分散させる)ことができる。
【0017】
上記第2の局面において、好ましくは、複数のケーキ分割部は、排出経路の排出方向に直交する水平方向に等間隔で複数配置されている。このように構成すれば、排出シュートから排出される脱水ケーキの大きさにばらつきが生じるのを抑制することができる。すなわち、排出シュートから排出される最大となる脱水ケーキの大きさ(幅)を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、排出シュートから排出される脱水ケーキが適切に処理されるようにすることが可能な多重円板型脱水機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態による多重円板型脱水機を示した斜視図である。
図2図1の500-500線に沿った多重円板型脱水機の断面図である。
図3】本発明の第1実施形態による多重円板型脱水機の積層状回転ろ体の分解斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態による多重円板型脱水機の排出部およびケーキ分割部を拡大して示した断面図である。
図5】本発明の第2実施形態による多重円板型脱水機を示した斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態による多重円板型脱水機のケーキ分割部を拡大して示した斜視図である。
図7図5の600-600線に沿った多重円板型脱水機の排出部の断面図である。
図8】本発明の第1および第2実施形態の第1変形例による多重円板型脱水機を示した斜視図である。
図9】本発明の第1および第2実施形態の第2変形例による多重円板型脱水機を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1図4を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
【0022】
(多重円板型脱水機の構成)
図1に示すように、本発明の第1実施形態による多重円板型脱水機100は、多重円板型脱水機本体100aと、多重円板型脱水機本体100aに設けられた排出部100bと、排出部100bに設けられたケーキ分割部100cとを備えている。
【0023】
排出部100bは、多重円板型脱水機本体100aの排出口12(図2参照)から排出された脱水ケーキを外部(後述するホッパーH)へ排出する排出シュート2を含んでいる。ケーキ分割部100cは、脱水ケーキが通過する排出シュート2の排出経路内に配置され、脱水ケーキに接触することにより脱水ケーキを分割するように構成されている。詳細については後述する。
【0024】
多重円板型脱水機100の下流側には、ホッパーHと、ホッパーHの下方側(Z2方向側)に配置されたベルトコンベアBとが設けられている。ホッパーHは、中空形状を有し、上下両側が開放されている。ホッパーHは、多重円板型脱水機100(排出シュート2)から排出された脱水ケーキを下方側から受けて回収し、ベルトコンベアB上に送る(導く)ように構成されている。ベルトコンベアBは、ホッパーHを介して排出された脱水ケーキを、コンテナ(図示せず)などに搬送するように構成されている。
【0025】
(多重円板型脱水機の構成)
図2に示すように、多重円板型脱水機100の多重円板型脱水機本体100aは、複数の回転体1と、回転体1を駆動させるモータM(図1参照)とを備えている。モータMは、回転体1の端部に設けられている。なお、図2および図4では、説明の便宜上、脱水ケーキの図示を省略している。
【0026】
回転体1は、積層状回転ろ体10と、積層状回転ろ体10に挿通され、多重円板型脱水機100による被処理物の搬送方向に直交する水平方向(以下、Y方向とする)に延びる回転軸11とを含んでいる。なお、Y方向は、後述する排出シュート2の排出経路の排出方向に直交する水平方向でもある。
【0027】
積層状回転ろ体10(回転体1)は、被処理物の固体成分を送る方向に互いに隣接するように複数設けられている。また、積層状回転ろ体10(回転体1)は、被処理物を排出口12に送るように、排出口12に向かって上下2列に配置されている。詳細には、下列の積層状回転ろ体10は、互いに同方向(図2おいて時計回り方向)に回転することにより、被処理物を排出口12に送るように構成されている。また、上列の積層状回転ろ体10は、互いに下列の積層状回転ろ体10とは逆方向(図2において反時計回り方向)に回転することにより、被処理物を排出口12に送るように構成されている。
【0028】
図3に示すように、積層状回転ろ体10は、複数の中径円板ろ片10aと、複数の小径円板ろ片10bと、複数の大径円板ろ片10cとを含んでいる。積層状回転ろ体10は、Y方向に互いに接触状態で並ぶ複数の中径円板ろ片10a間に、大径円板ろ片10cおよび小径円板ろ片10bを交互に配置(積層)することにより構成されている。
【0029】
中径円板ろ片10aには、一方表面および他方表面に、それぞれ、複数の凸部110および複数の凸部111が設けられている。複数の凸部110および複数の凸部111は、それぞれ、中径円板ろ片10aの周方向に略角度間隔(90度間隔)で設けられている。なお、凸部110の突出量は、凸部111の突出量と比較して十分に大きい。隣接する中径円板ろ片10a間には、凸部110および凸部111が互いに当接することより、ろ液を排出するろ過溝(隙間)が形成されている。
【0030】
小径円板ろ片10bには、凸部110および凸部111に係合する複数の切欠部112が外周部に設けられている。複数の切欠部112は、小径円板ろ片10bの周方向に略角度間隔(90度間隔)で設けられている。小径円板ろ片10bの厚みは、凸部110の突出量よりも小さい。このため、小径円板ろ片10bは、凸部110および凸部111に係合した状態で、回転軸11の軸方向(Y方向)に揺動可能に構成されている。
【0031】
大径円板ろ片10cには、凸部110および凸部111に嵌合する複数の貫通穴113が設けられている。複数の貫通穴113は、大径円板ろ片10cの周方向に略角度間隔(90度間隔)で設けられている。大径円板ろ片10cの厚みは、凸部110の突出量よりも小さい。このため、大径円板ろ片10cは、凸部110および凸部111に係合した状態で、回転軸11の軸方向(Y方向)に揺動可能に構成されている。
【0032】
(排出部の構成)
図4に示すように、排出部100bは、排出シュート2と、フラッパー3とを含んでいる。なお、フラッパー3は、特許請求の範囲の「押圧部材」の一例である。
【0033】
排出シュート2は、底板部20と、側板部21とを有している。
【0034】
底板部20は、矩形の平板形状を有し、排出口12側から斜め下方に傾斜している。以下では、底板部20の傾斜方向(排出シュート2の排出経路による脱水ケーキの排出方向)をA方向とする。
【0035】
底板部20は、固定部材Kにより、多重円板型脱水機本体100aに取り付けられている。詳細には、底板部20は、上端に多重円板型脱水機本体100aの外側面に沿って延びる縁部20aを有している。多重円板型脱水機本体100aおよび縁部20aには、それぞれ、雌ネジ穴およびネジ取付穴が設けられており、底板部20は、固定部材Kとしてのボルトなどにより多重円板型脱水機本体100aに対して取り付けられている。なお、底板部20の上端(縁部20a)は、排出口12の下端近傍に配置されている。
【0036】
側板部21は、平板形状を有し、底板部20のY方向の両端からそれぞれ上方に延びる一対の構成である。排出シュート2は、底板部20と一対の側板部21とにより、底板部20と側板部21との内側に脱水ケーキの排出経路を形成している。排出シュート2は、斜め下方に傾斜した底板部20および一対の側板部21の内側に設けられる排出経路に沿って、ホッパーHに向けて脱水ケーキを排出するように構成されている。なお、排出経路とは、底板部20と一対の側板部21との内側の空間部分であり、かつ、脱水ケーキが通過する空間部分である。
【0037】
フラッパー3は、Y方向に並ぶように複数(2個)設けられている。フラッパー3は、多重円板型脱水機本体100aの排出口12から排出された脱水ケーキを上方側から押圧するように構成されている。フラッパー3は、多重円板型脱水機本体100aに対して、Y方向に延びる回転中心軸30を介して回動可能に取り付けられている。フラッパー3は、底板部20の上方に配置されている。フラッパー3の一端(回転中心軸30)は、排出口12の上端近傍に配置されており、フラッパー3の他端は、一端よりも脱水ケーキの排出方向(A方向)の下流側に配置されている。
【0038】
各フラッパー3には、それぞれ、フラッパー加圧ネジ31が1個ずつ設けられている。フラッパー加圧ネジ31は、Y方向に間隔を隔てて複数(2個)設けられている。フラッパー加圧ネジ31は、Y方向において、フラッパー加圧ネジ31が設けられたフラッパー3の略中央に配置されている。フラッパー加圧ネジ31は、フラッパー3の上面に当接し、フラッパー3を下方に向けて加圧するように構成されている。すなわち、フラッパー加圧ネジ31は、フラッパー3を脱水ケーキに向けて加圧するように構成されている。
【0039】
フラッパー3の下流側(下方側)の端部には、上方に延びる縁部3aが設けられている。各フラッパー3の縁部3aには、それぞれ、ケーキ分割部100cが取り付けられている。
【0040】
〈ケーキ分割部の構成〉
図4に示すように、ケーキ分割部100cは、排出部100bに設けられている。ケーキ分割部100cは、排出シュート2の排出経路の排出方向(A方向)に直交する水平方向(Y方向)に間隔を隔てて複数(2個)設けられている。ケーキ分割部100cは、脱水ケーキが通過する排出シュート2の排出経路内に配置されている。
【0041】
ケーキ分割部100cは、フラッパー3の縁部3aに取り付けられている。ケーキ分割部100cは、フラッパー3側(上方側)から、脱水ケーキの排出経路に向けて下方に延びるように構成されている。詳細には、ケーキ分割部100cは、縁部3aに取り付けられる取付部4と、取付部4からフラッパー3よりも下方に延びるように設けられ、脱水ケーキに接触して脱水ケーキを分割する分割部5とを有している。取付部4は、クランプ(挟持)により縁部3aに取り付けられている。分割部5は、脱水ケーキを効果的に分割できるように、先端(下端)がブレード状(板状)に形成されている。
【0042】
図1に示すように、棒形状の分割部5は、排出経路の排出方向(A方向)から見て、上下方向(Z方向)に対して傾斜している。分割部5の上下方向に対する傾斜角度αは、10度以上45度以下である。また、分割部5の上下方向に対する傾斜角度αは、10度以上15度以下であるのがより好ましい。なお、分割部5は、先端(下端)のブレード状(板状)部分が、取付部4よりも排出シュート2のY方向における内側に位置するような向きにより傾斜している。
【0043】
ケーキ分割部100cは、側板部21から離間した位置に配置されている。詳細には、ケーキ分割部100cは、一対の側板部21の間で、かつ、一対の側板部21からY方向に離間した位置に配置されている。なお、ケーキ分割部100cは、Y方向において、フラッパー加圧ネジ31と略同じ位置に配置されている。すなわち、ケーキ分割部100cは、Y方向において、フラッパー3の略中央に配置されている。
【0044】
ケーキ分割部100cは、取付部4のクランプを緩めることにより、フラッパー3に対して着脱可能なように構成されている。これにより、多重円板型脱水機100は、排出部100bに設けられるケーキ分割部100cの数を変更可能に構成されている。ケーキ分割部100cは、フラッパー3の縁部3aへの取付位置を変更することにより、Y方向における位置を変更可能に構成されている。また、ケーキ分割部100cは、フラッパー3の縁部3aへの取付角度(縁部3aに対する向き)を変更することにより、排出経路の排出方向(A方向)から見て、分割部5の上下方向に対する傾斜角度αを変更可能に構成されている。
【0045】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0046】
第1実施形態では、上記のように、排出部100bに設けられるとともに、脱水ケーキが通過する排出シュート2の排出経路内に配置され、脱水ケーキに接触することにより脱水ケーキを分割するケーキ分割部100cを設ける。これにより、排出シュート2から脱水ケーキを排出する前に、ケーキ分割部100cにより、排出経路内で脱水ケーキを多重円板型脱水機本体100aの排出口12から排出された状態よりも小さく分割することができるので、排出シュート2から脱水ケーキが大きな塊のまま排出されるのを抑制することができる。このため、排出シュート2から排出される脱水ケーキが適切に処理されるようにすることができる。すなわち、脱水ケーキをホッパーまたはコンテナに排出する場合には、ホッパーまたはコンテナによる脱水ケーキの回収処理を適切に行うことができる。また、脱水ケーキをベルトコンベアで排出する場合には、ベルトコンベアによる脱水ケーキの搬送処理を適切に行うことができる。
【0047】
また、第1実施形態では、上記のように、排出シュート2は、排出口12側から斜め下方に傾斜した底板部20と、排出経路の排出方向に直交する水平方向における底板部20の両端からそれぞれ上方に延びる側板部21とを有し、ケーキ分割部100cは、側板部21から離間した位置に配置されている。これにより、ケーキ分割部100cが側板部21に沿って(側板部21に接触する位置に)設けられる場合と比較して、ケーキ分割部100cを脱水ケーキのより内側に接触させることができるので、脱水ケーキを容易に分割することができる。
【0048】
また、第1実施形態では、上記のように、ケーキ分割部100cは、排出経路の排出方向に直交する水平方向に間隔を隔てて複数設けられている。これにより、単一のケーキ分割部100cを設ける場合と比較して、より小さく脱水ケーキを分割することができる。
【0049】
また、第1実施形態では、上記のように、ケーキ分割部100cは、排出経路の排出方向から見て、上下方向に対して傾斜している。これにより、ケーキ分割部100cにより脱水ケーキに斜め方向に延びる分割面(亀裂)が形成されるので、脱水ケーキを分割面(亀裂)に沿って斜め方向にずらして移動させることができる。その結果、脱水ケーキをより小さくばらけさせる(分散させる)ことができる。
【0050】
また、第1実施形態では、上記のように、排出部100bは、脱水ケーキを上方側から押圧するフラッパー3を含み、ケーキ分割部100cは、フラッパー3に取り付けられ、フラッパー3側から下方に延びるように構成されている。これにより、排出経路に沿って配置されるフラッパー3にケーキ分割部100cを取り付けることができる。すなわち、排出シュート2により排出される脱水ケーキに近い位置に配置されたフラッパー3にケーキ分割部100cを設けることにより、ケーキ分割部100cの取り付け、および、ケーキ分割部100cによる脱水ケーキの分割の両方を容易に行うことができる。また、既存の構成にケーキ分割部100cを取り付けることができるので、ケーキ分割部100cの専用の取付部を設ける必要がなく、装置構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、図5図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、ケーキ分割部100cをフラッパー3側から下方に延びるように配置した上記第1実施形態とは異なり、ケーキ分割部200cを排出シュート2の底板部20の上面上に配置する例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0052】
(多重円板型脱水機の構成)
図5に示すように、本発明の第2実施形態による多重円板型脱水機200は、排出部200bと、排出部200bに設けられたケーキ分割部200cを備えている。なお、図5では、説明の便宜上、図1において示したホッパーHおよびベルトコンベアBの図示を省略している。
【0053】
排出部200bは、排出シュート2と、Y方向に並ぶ複数(3個)のフラッパー3とを含んでいる。各フラッパー3には、それぞれ、フラッパー加圧ネジ31が設けられている。
【0054】
ケーキ分割部200cは、排出シュート2の排出経路の排出方向(A方向)に直交する水平方向(Y方向)に間隔を隔てて複数(3個)設けられている。複数のケーキ分割部200cは、排出シュート2の排出経路の排出方向(A方向)に直交する水平方向(Y方向)に略等間隔で配置されている。ケーキ分割部200cは、脱水ケーキが通過する排出シュート2の排出経路内に配置されている。
【0055】
ケーキ分割部200cは、排出シュート2の底板部20から上方に突出するように、底板部20の上面上に配置されている。ケーキ分割部200cは、分割部204と、取付部205とを含んでいる。
【0056】
図6に示すように、分割部204は、脱水ケーキに接触して脱水ケーキを分割するように構成されている。分割部204は、底板部20から上方に突出する矩形のアーチ形状を有している。分割部204は、排出方向(A方向)に延びる矩形の貫通穴を有している。分割部204は、Y方向に対向する一対の側板部204aと、一対の側板部204aの上端を接続する天板部204bとから形成されている。
【0057】
図7に示すように、排出シュート2の底板部20に直交する方向(Y方向およびA方向に直交する方向)において、側板部204aの長さD10は、フラッパー3と底板部20との間から排出される脱水ケーキの厚みよりも大きい。すなわち、排出シュート2の底板部20に直交する方向において、側板部204aの長さD10は、フラッパー3の縁部3aの下端と底板部20との間の距離D11よりも大きい(D10>D11)。なお、図7では、説明の便宜上、脱水ケーキの図示を省略している。
【0058】
取付部205は、分割部204の下端に接続されるとともに、排出シュート2の底板部20に沿って配置される矩形の平板形状を有している。取付部205は、Y方向が短手方向、A方向が長手方向となる向きにより底板部20上に配置されている。取付部205は、底板部20の上流側の端部から下流側の端部まで延びている。
【0059】
取付部205は、多重円板型脱水機本体100aに取り付けられるように構成されている。詳細には、取付部205は、多重円板型脱水機本体100aに取り付けるための縁部206を上流側(A方向のうちの上方側)の端部に有している。取付部205の縁部206には、ボルトなどの固定部材Kを配置するための複数の切欠部206aが設けられている。取付部205(ケーキ分割部200c)は、切欠部206aを介して取り付けられる固定部材Kにより、排出シュート2の底板部20とともに多重円板型脱水機本体100aに取り付けられている。
【0060】
また、取付部205は、フック部207を下流側(A方向のうちの上方側)の端部に有している。フック部207は、排出シュート2の底板部20の下端に沿って下面側に延びる湾曲形状を有している。フック部207は、底板部20の下流側の端部に係合するように構成されている。このフック部207により、取付部205(ケーキ分割部200c)は、底板部20に対する位置を安定させることが可能となる。
【0061】
なお、ケーキ分割部200cは、固定部材Kを取り外すことにより、多重円板型脱水機本体100aから着脱可能に構成されている。これにより、多重円板型脱水機200は、排出部200bに設けられるケーキ分割部200cの数を変更可能に構成されている。
【0062】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0063】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
第2実施形態では、上記のように、排出シュート2は、排出口12側から斜め下方に傾斜した底板部20と、排出経路の排出方向に直交する水平方向における底板部20の両端からそれぞれ上方に延びる側板部21とを有し、ケーキ分割部200cは、底板部20から上方に突出するように、底板部20の上面上に配置されている。これにより、脱水ケーキが通過する底板部20の上面上にケーキ分割部200cを配置させることができる。
【0065】
また、第2実施形態では、上記のように、ケーキ分割部200cは、底板部20から上方に突出するアーチ形状を有し、脱水ケーキを分割する分割部204と、分割部204の下端に接続されるとともに、底板部20に沿って配置される平板形状を有し、多重円板型脱水機本体100aまたは排出シュート2に取り付けられる取付部205とを含む。これにより、ケーキ分割部200cを底板部20から上方に突出するアーチ形状に形成することにより、ケーキ分割部200cを底板部20から上方に突出する板状または棒状に形成する場合と比較して、脱水ケーキから受ける力に対して機械的強度が高くなるように、ケーキ分割部200cを構成することができる。また、ケーキ分割部200cを閉じられたアーチ形状に形成することにより、脱水ケーキが通過する排出経路(脱水ケーキが通過する空間)を区画することができるので、確実に脱水ケーキを分割することができる。
【0066】
また、第2実施形態では、上記のように、複数のケーキ分割部200cは、排出経路の排出方向に直交する水平方向に略等間隔で配置されている。これにより、排出シュート2から排出される脱水ケーキの大きさにばらつきが生じるのを抑制することができる。すなわち、排出シュート2から排出される最大となる脱水ケーキの大きさ(幅)を抑制することができる。
【0067】
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0068】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0069】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、ホッパーへ脱水ケーキを排出し、その後ベルトコンベアにて脱水ケーキを搬送するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、ベルトコンベアに脱水ケーキを直接排出するよう構成してもよい。また、脱水ケーキをゲート開閉式のホッパーに直接、あるいはベルトコンベアを介して排出し、ホッパーに一定量脱水ケーキを貯留させた後、ホッパー底面のゲートを開いてコンテナ等へ落下させるよう構成してもよい。
【0070】
また、上記第1実施形態では、ケーキ分割部(分割部)を棒形状に形成し、上記第2実施形態では、ケーキ分割部(分割部)を矩形のアーチ形状に形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、図8に示す第1変形例の多重円板型脱水機300のように、ケーキ分割部300cをL字形状に形成してもよい。
【0071】
詳細には、ケーキ分割部300cは、排出シュート2の底板部20から上方に突出するように、底板部20の上面上に配置されている。また、ケーキ分割部300cは、底板部20の下流側の端部に設けられている。ケーキ分割部300cは、排出シュート2の排出経路の排出方向(A方向)から見て、L字形状を有している。排出シュート2の底板部20に直交する方向(Y方向およびA方向に直交する方向)において、ケーキ分割部300cの長さD20は、フラッパー3の縁部3aの下端と底板部20との間の距離D11(図7参照)よりも大きい(D20>D11)。このように構成することにより、簡易な形状のケーキ分割部300cにより脱水ケーキを分割することができる。また、ケーキ分割部300cを排出シュート2の底板部20の上面上に面接触により配置することができるので、ケーキ分割部300cを安定して配置することができる。
【0072】
この他、本発明では、図9に示す第2変形例の多重円板型脱水機400のように、ケーキ分割部400cをV字形状に形成してもよい。詳細には、ケーキ分割部400cは、排出シュート2の底板部20から上方に突出するように、底板部20の上面上に配置されている。また、ケーキ分割部400cは、底板部20の下流側の端部に設けられている。ケーキ分割部400cは、排出シュート2の排出経路の下流側に向けて、排出シュート2の斜め上方に延びる平板形状部分401と、底板部20に沿って延びる平板形状部分402とを含むV字形状に形成されている。ケーキ分割部400cは、排出シュート2の側方(Y方向)から見て、V字形状を有している。排出シュート2の底板部20に直交する方向(Y方向およびA方向に直交する方向)において、ケーキ分割部400cの長さD30は、フラッパー3の縁部3aの下端と底板部20との間の距離D11(図7参照)よりも大きい(D30>D11)。平板形状部分401と平板形状部分402との間の角度βは、20度以上40度以下であるのが好ましい。また、角度βは、略30度であるのがより好ましい。このように構成することにより、簡易な形状のケーキ分割部400cにより脱水ケーキを分割することができる。また、ケーキ分割部400cにより一部の脱水ケーキを斜め上方に移動させて分割を行うため、脱水ケーキにせん断応力を作用させて効果的に脱水ケーキをばらけさせる(分散させる)ことができる。
【0073】
また、上記第1実施形態では、ケーキ分割部を2個設け、上記第2実施形態では、ケーキ分割部を3個設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、ケーキ分割部をいくつ設けてもよい(1個を含む)。
【0074】
また、上記第1実施形態では、排出方向から見て、ケーキ分割部(分割部)を上下方向に対して傾斜させた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、排出方向から見て、ケーキ分割部(分割部)を上下方向に対して傾斜させなくてもよい。すなわち、排出方向から見て、ケーキ分割部(分割部)を直下を向くように配置してもよい。
【0075】
また、上記第1および第2実施形態では、ケーキ分割部(分割部)を上下方向(Z方向)に対して設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、ケーキ分割部(分割部)を水平方向(Y方向)に対して設けたり、上下方向(Z方向)と水平方向(Y方向)の両方に対して、格子状に設けてもよい。
【0076】
また、上記第1および第2実施形態では、ケーキ分割部を着脱可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、ケーキ分割部を排出シュートと一体的に構成してもよく、たとえば、底板部20を図8図9のような形状となるように切り起こして分割部を形成してもよい。
【0077】
また、上記第1および第2実施形態では、フラッパーの数と同数のケーキ分割部を設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、フラッパーの数と異なる数のケーキ分割部を設けてもよい。
【0078】
また、上記第1実施形態では、ケーキ分割部をフラッパーに取り付け、上記第2実施形態では、ケーキ分割部を多重円板型脱水機本体に取り付けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、ケーキ分割部をボルトなどにより排出シュートに取り付けてもよい。
【0079】
また、上記第2実施形態では、複数のケーキ分割部を等間隔で配置した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、複数のケーキ分割部を等間隔で配置しなくてもよい。
【0080】
また、上記第1および第2実施形態では、それぞれ、多重円板型脱水機が1種類のケーキ分割部を備える例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、多重円板型脱水機が複数種類のケーキ分割部を備えていてもよい。たとえば、上記第1実施形態で示したケーキ分割部と、上記第2実施形態で示したケーキ分割部との両方を多重円板型脱水機が備えていてもよい。
【0081】
また、上記第1および第2実施形態では、それぞれ、ケーキ分割部の分割部を棒状部材および板状部材により構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、ケーキ分割部の分割部をワイヤー部材などにより構成してもよい。
【符号の説明】
【0082】
2 排出シュート
3 フラッパー(押圧部材)
10 積層状回転ろ体
12 排出口
20 底板部
21 側板部
100、200、300、400 多重円板型脱水機
100a 多重円板型脱水機本体
100b、200b 排出部
100c、200c、300c、400c ケーキ分割部
204 分割部
205 取付部
401 平板形状部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9