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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】状態検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20220712BHJP
   H01L 41/113 20060101ALI20220712BHJP
   H01L 41/04 20060101ALI20220712BHJP
   G01H 11/08 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
H01L41/113
H01L41/04
G01H11/08 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018165301
(22)【出願日】2018-09-04
(65)【公開番号】P2019109217
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2017241196
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】小林 浩
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/123022(WO,A1)
【文献】特開2006-266878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00-17/00
H01L 41/113
H01L 41/04
G01M 13/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
前記圧電素子の出力電圧が入力される整流回路と、
前記整流回路の出力電圧が入力される電源回路と、
前記整流回路から前記電源回路に供給される電流が流れる経路に設けられた電流電圧変換手段と、
前記電流電圧変換手段の出力電圧を監視する監視手段と、を備える、状態検出装置。
【請求項2】
圧電素子と、
前記圧電素子の出力電圧が入力される整流回路と、
前記整流回路の出力電圧が入力される電源回路と、
記整流回路の低電圧側出力端子と前記電源回路との間に設けられた電流電圧変換手段と、
前記電流電圧変換手段の出力電圧を監視する監視手段と、を備える、状態検出装置。
【請求項3】
圧電素子と、
前記圧電素子の出力電圧が入力されるダイオードブリッジと、
前記ダイオードブリッジの出力電圧が入力される電源回路と、
記ダイオードブリッジの低電圧側出力端子と、前記ダイオードブリッジの2つの低電圧側ダイオードの各アノードと、の間にそれぞれ設けられた電流電圧変換手段と、
前記電流電圧変換手段の出力電圧を監視する監視手段と、を備える、状態検出装置。
【請求項4】
前記電流電圧変換手段の高電圧側端子の電圧をグランドに対して所定値だけシフトする基準電圧発生手段を備える、請求項2又は3に記載の状態検出装置。
【請求項5】
前記電流電圧変換手段が、前記整流回路の高電圧側出力端子と前記電源回路との間に設けられる、請求項1に記載の状態検出装置。
【請求項6】
圧電素子と、
前記圧電素子の出力電圧が入力されるダイオードブリッジと、
前記ダイオードブリッジの出力電圧が入力される電源回路と、
記ダイオードブリッジの高電圧側出力端子と、前記ダイオードブリッジの2つの高電圧側ダイオードの各カソードと、の間にそれぞれ設けられた電流電圧変換手段と、
前記電流電圧変換手段の出力電圧を監視する監視手段と、を備える、状態検出装置。
【請求項7】
圧電素子と、
前記圧電素子の出力電圧が入力されるダイオードブリッジと、
前記ダイオードブリッジの出力電圧が入力される電源回路と、
記ダイオードブリッジ内の電流経路の2箇所に設けられ、前記圧電素子の出力電圧の極性が互いに異なる各場合の電流を別々に電圧に変換する電流電圧変換手段と、
前記電流電圧変換手段の出力電圧を監視する監視手段と、を備える、状態検出装置。
【請求項8】
前記電流電圧変換手段は、抵抗である、請求項1から7のいずれか一項に記載の状態検出装置。
【請求項9】
圧電素子と、
前記圧電素子の出力電圧が入力されるダイオードブリッジと、
前記ダイオードブリッジの出力電圧が入力される電源回路と、
前記圧電素子から前記ダイオードブリッジに供給される電流が流れる経路に設けられた電流電圧変換手段と、
前記電流電圧変換手段の出力電圧を監視する監視手段と、を備える、状態検出装置。
【請求項10】
前記電流電圧変換手段は、電流センサである、請求項9に記載の状態検出装置。
【請求項11】
前記監視手段は、前記電源回路からの供給電圧又は前記電源回路により充電される二次電池若しくはキャパシタからの供給電圧で動作する、請求項1から10のいずれか一項に記載の状態検出装置。
【請求項12】
前記二次電池は、全固体電池である、請求項11に記載の状態検出装置。
【請求項13】
前記電源回路からの供給電圧又は前記電源回路により充電される二次電池からの供給電圧で動作するセンサ及び通信手段を備える、請求項11又は12に記載の状態検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を用いた状態検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、圧電素子を用いた生体情報検出装置を開示する。この生体情報検出装置は、生体情報検出手段及び電源供給手段を備え、電源供給手段は、圧電素子から出力される電気エネルギーを蓄えて直流電源電圧を供給し、この直流電源電圧が生体情報検出手段の電源電圧として給電される。ここで、圧電素子の出力インピーダンスは非常に高いことから、低入力インピーダンスの電源供給手段が接続された状態では生体情報の検出ができないため、圧電素子と電源供給手段との接続を周期的に遮断するスイッチ手段を設け、スイッチ手段による遮断期間中に生体情報検出手段が圧電素子からの生体情報信号を離散的に取得する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-273611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、圧電素子と電源供給手段との接続を遮断している期間以外の期間は圧電素子の出力を検出に利用できないという課題があった。
【0005】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、圧電素子と電源回路との接続を遮断せずに圧電素子の出力を利用した状態検出が可能な状態検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、状態検出装置である。この状態検出装置は、
圧電素子と、
前記圧電素子の出力電圧が入力される整流回路と、
前記整流回路の出力電圧が入力される電源回路と、
前記整流回路から前記電源回路に供給される電流が流れる経路に設けられた電流電圧変換手段と、
前記電流電圧変換手段の出力電圧を監視する監視手段と、を備える。
【0007】
本発明のもう1つの態様は、状態検出装置である。この状態検出装置は、
圧電素子と、
前記圧電素子の出力電圧が入力される整流回路と、
前記整流回路の出力電圧が入力される電源回路と、
記整流回路の低電圧側出力端子と前記電源回路との間に設けられた電流電圧変換手段と、
前記電流電圧変換手段の出力電圧を監視する監視手段と、を備える
【0008】
本発明のもう1つの態様は、状態検出装置である。この状態検出装置は、
圧電素子と、
前記圧電素子の出力電圧が入力されるダイオードブリッジと、
前記ダイオードブリッジの出力電圧が入力される電源回路と、
記ダイオードブリッジの低電圧側出力端子と、前記ダイオードブリッジの2つの低電圧側ダイオードの各アノードと、の間にそれぞれ設けられた電流電圧変換手段と、
前記電流電圧変換手段の出力電圧を監視する監視手段と、を備える
【0009】
前記電流電圧変換手段の高電圧側端子の電圧をグランドに対して所定値だけシフトする基準電圧発生手段を備えてもよい。
【0010】
前記電流電圧変換手段が、前記整流回路の高電圧側出力端子と前記電源回路との間に設けられてもよい。
【0011】
本発明のもう1つの態様は、状態検出装置である。この状態検出装置は、
圧電素子と、
前記圧電素子の出力電圧が入力されるダイオードブリッジと、
前記ダイオードブリッジの出力電圧が入力される電源回路と、
記ダイオードブリッジの高電圧側出力端子と、前記ダイオードブリッジの2つの高電圧側ダイオードの各カソードと、の間にそれぞれ設けられた電流電圧変換手段と、
前記電流電圧変換手段の出力電圧を監視する監視手段と、を備える
【0012】
本発明のもう1つの態様は、状態検出装置である。この状態検出装置は、
圧電素子と、
前記圧電素子の出力電圧が入力されるダイオードブリッジと、
前記ダイオードブリッジの出力電圧が入力される電源回路と、
記ダイオードブリッジ内の電流経路の2箇所に設けられ、前記圧電素子の出力電圧の極性が互いに異なる各場合の電流を別々に電圧に変換する電流電圧変換手段と、
前記電流電圧変換手段の出力電圧を監視する監視手段と、を備える
【0013】
前記電流電圧変換手段は、抵抗であってもよい。
【0014】
本発明のもう1つの態様は、状態検出装置である。この状態検出装置は、
圧電素子と、
前記圧電素子の出力電圧が入力されるダイオードブリッジと、
前記ダイオードブリッジの出力電圧が入力される電源回路と、
前記圧電素子から前記ダイオードブリッジに供給される電流が流れる経路に設けられた電流電圧変換手段と、
前記電流電圧変換手段の出力電圧を監視する監視手段と、を備える。
【0015】
前記電流電圧変換手段は、電流センサであってもよい。
【0016】
前記監視手段は、前記電源回路からの供給電圧又は前記電源回路により充電される二次電池若しくはキャパシタからの供給電圧で動作してもよい。
【0017】
前記二次電池は、全固体電池であってもよい。
【0018】
前記電源回路からの供給電圧又は前記電源回路により充電される二次電池からの供給電圧で動作するセンサ及び通信手段を備えてもよい。
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、圧電素子と電源回路との接続を遮断せずに圧電素子の出力を利用した状態検出が可能な状態検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態1に係る状態検出装置1の概略回路図。
図2図1の点P3、P4における電圧V(P3)、V(P4)の時間変化を示すシミュレーションによるグラフ。
図3】本発明の実施の形態2に係る状態検出装置2の概略回路図。
図4図3の点P4~P6における電圧V(P4)~V(P6)の時間変化を示すシミュレーションによるグラフ。
図5】本発明の実施の形態3に係る状態検出装置3の概略回路図。
図6図5の点P4、P7における電圧V(P4)、V(P7)、及び点P7に対する点P4の電圧V(P4)-V(P7)の時間変化を示すシミュレーションによるグラフ。
図7】本発明の実施の形態4に係る状態検出装置4の概略回路図。
図8図7の点P4、P8、P9における電圧V(P4)、V(P8)、V(P9)、並びに点P4に対する点P8の電圧V(P8)-V(P4)、及び点P4に対する点P9の電圧V(P9)-V(P4)の時間変化を示すシミュレーションによるグラフ。
図9】本発明の実施の形態5に係る状態検出装置5の概略回路図。
図10】本発明の他の実施の形態であり、状態検出装置6を用いた状態検出システムの概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る状態検出装置1の概略回路図である。状態検出装置1は、圧電素子10と、整流回路としてのダイオードブリッジ20と、電源回路30と、電流電圧変換手段としての抵抗(シャント抵抗器)Rと、監視手段としてのマイコン(マイクロコントローラ)40と、を備える。
【0024】
圧電素子10は、例えば圧電セラミックスであり、自身の配置先(設置先)である被測定物が振動することで発電する発電機として機能すると共に、被測定物の状態によって自身の出力電圧が変化するセンサとしても機能する。被測定物は、例えば、道路や陸橋の他、摩耗状態や経年劣化の測定が必要なあらゆる物、構造物において使用されるコンクリート、金属、樹脂、ゴム等であり、摩耗状態や経年変化によって振動や歪みの様子が変化する物体である。圧電素子10により被測定物の振動や歪みを観測することで、被測定物の摩耗状態や経年変化等の状態を検出(推定)することができる。
【0025】
ダイオードブリッジ20は、ブリッジ接続されたダイオードD1~D4からなり、圧電素子10の出力電圧が入力され、全波整流後の出力電圧(出力電流)を電源回路30に供給する。ダイオードブリッジ20の一方の入力端子(図1の点P1)は、圧電素子10の一端に接続される。ダイオードブリッジ20の他方の入力端子(図1の点P2)は、圧電素子10の他端に接続される。
【0026】
低電圧側ダイオードの一つであるダイオードD1のアノードは、ダイオードブリッジ20の低電圧側出力端子(図1の点P3)に接続される。ダイオードD1のカソードは、ダイオードブリッジ20の一方の入力端子(P1)に接続される。高電圧側ダイオードの一つであるダイオードD2のアノードは、ダイオードブリッジ20の一方の入力端子(P1)に接続される。ダイオードD2のカソードは、ダイオードブリッジ20の高電圧側出力端子(図1の点P4)に接続される。
【0027】
低電圧側ダイオードの一つであるダイオードD3のアノードは、ダイオードブリッジ20の低電圧側出力端子(P3)に接続される。ダイオードD3のカソードは、ダイオードブリッジ20の他方の入力端子(P2)に接続される。高電圧側ダイオードの一つであるダイオードD4のアノードは、ダイオードブリッジ20の他方の入力端子(P2)に接続される。ダイオードD4のカソードは、ダイオードブリッジ20の高電圧側出力端子(P4)に接続される。
【0028】
電源回路30は、ダイオードブリッジ20の出力電圧が入力され、電源電圧Vccを発生する。抵抗Rは、ダイオードブリッジ20と電源回路30との間の電流経路に設けられる。電源回路30の一方の入力端子は、ダイオードブリッジ20の高電圧側出力端子(P4)に接続される。電源回路30の他方の入力端子は、抵抗Rの一方の端子、及びマイコン40のADコンバータ(アナログデジタル変換器)45の基準電圧入力端子に接続される。抵抗Rの他方の端子は、ダイオードブリッジ20の低電圧側出力端子(P3)、及びADコンバータ45の測定電圧入力端子に接続される。
【0029】
電源回路30は、基準電圧発生手段としての基準電源35を有し、電源回路30の他方の入力端子の電圧(抵抗Rの高電圧側端子の電圧)は、グランドに対して所定値だけシフト(ここではプラス方向にシフト)される。ADコンバータ45は、抵抗Rの両端の電圧(アナログ値)をデジタル値に変換する。マイコン40は、ADコンバータ45によって得られた抵抗Rの両端の電圧のデジタル値を監視し蓄積し、被測定物の状態を検出(推定)する。マイコン40は、電源回路30から供給される電源電圧Vccで動作する。あるいは、マイコン40は、電源回路30によって充電される図示しない二次電池又はキャパシタからの供給電圧で動作してもよい。
【0030】
図2は、図1の点P3、P4における電圧V(P3)、V(P4)の時間変化を示すシミュレーションによるグラフである。シミュレーションの前提条件は以下のとおりとした。
・圧電素子10… 実効値100μAで周波数100Hzの交流電流源
・基準電源35… 1.5Vの直流電圧源
・電源回路30の入力インピーダンス… 1kΩ
・ADコンバータ45の入力インピーダンス… 100kΩ
・抵抗Rの抵抗値… 5kΩ
【0031】
図2より、基準電源35として1.5Vの直流電圧源を使用することで、点P3の電圧V(P3)がマイナスになることを防止できる。もっとも、基準電源35はグランド(0V)でもよいが、その場合は後段の処理回路(IC等)が負電圧に対応している必要がある。低インピーダンスの基準電源35を境に高電圧側と低電圧側でインピーダンスを変える(分ける)ことができるため、点P3の電圧の振幅を自由に調整可能である。なお、測定値である点P3の電圧V(P3)は、基準電源35の電圧に対してマイナス側の振幅が大きくなるが、プラス側の振幅として扱いたい場合は、反転アンプを入れてもよいし、ADコンバータ45でデジタル化した後にマイコン40で反転処理してもよい。
【0032】
本実施の形態によれば、ダイオードブリッジ20と電源回路30との間の電流経路に抵抗Rを設け、抵抗Rの両端の電圧をマイコン40で監視する構成としたため、圧電素子10と電源回路30との接続を遮断せずに圧電素子10の出力を利用した状態検出が可能となる。したがって、圧電素子10の出力を状態検出に利用できない期間を減らすことができる。
【0033】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係る状態検出装置2の概略回路図である。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。状態検出装置2では、電流電圧変換手段は、2つの抵抗(シャント抵抗器)R1、R2である。抵抗R1、R2の一端は、ダイオードブリッジ20の低電圧側出力端子(P3)に接続される。抵抗R1の他端は、低電圧側ダイオードの一つであるダイオードD1のアノード、及びADコンバータ45の第1測定電圧入力端子に接続される。抵抗R2の他端は、低電圧側ダイオードの一つであるダイオードD3のアノード、及びADコンバータ45の第2測定電圧入力端子に接続される。ダイオードブリッジ20の低電圧側出力端子(P3)は、電源回路30の他方の入力端子、及びADコンバータ45の基準電圧入力端子に接続される。
【0034】
図4は、図3の点P4~P6における電圧V(P4)~V(P6)の時間変化を示すシミュレーションによるグラフである。シミュレーションの前提条件は、抵抗R1、R2の抵抗値をそれぞれ5kΩとした他は、図2におけるシミュレーションと同じとした。図4より、基準電源35の電圧に対するマイナス側の振幅が点P5と点P6に交互に現れる。
【0035】
本実施の形態のその他の点は、実施の形態1と同様である。本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果に加え、抵抗R1、R2により圧電素子10の出力電圧の極性が互いに異なる各場合の電流を別々に検出するため、マイコン40では圧電素子10の出力電圧の極性も検出することができる。
【0036】
本実施の形態の変形例として、抵抗R1をダイオードD1のカソードとダイオードブリッジ20の一方の入力端子(P1)との間に設け、抵抗R2をダイオードD3のカソードとダイオードブリッジ20の他方の入力端子(P2)との間に設けてもよい。この場合、抵抗R1の両端の電圧及び抵抗R2の両端の電圧をそれぞれADコンバータ45でデジタル値に変換する構成としてもよい。
【0037】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3に係る状態検出装置3の概略回路図である。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。状態検出装置3では、抵抗Rは、ダイオードブリッジ20の高電圧側出力端子(P4)と電源回路30の一方の端子との間に設けられる。ダイオードブリッジ20の高電圧側出力端子(P4)(抵抗Rの一端)が、ADコンバータ45の測定電圧入力端子に接続される。
【0038】
図6は、図5の点P4、P7における電圧V(P4)、V(P7)、及び点P7に対する点P4の電圧V(P4)-V(P7)の時間変化を示すシミュレーションによるグラフである。シミュレーションの前提条件は、基準電源35をグランドとした他は、図2におけるシミュレーションと同じとした。電源回路30の入力インピーダンスが無視できるほど低ければ、点P4の電圧V(P4)を測定すればよい。電源回路30の入力インピーダンスが無視できない場合には、抵抗Rの両端の電圧V(P7)-V(P4)を測定すればよい。この場合、基準電圧入力端子のあるADコンバータ45であれば、V(P7)を基準電圧入力端子に、V(P4)を測定電圧入力端子に入力すればよい。基準電圧入力端子のないADコンバータ45でも、2入力のADコンバータ45であれば、V(P7)とV(P4)の差を測定できる。
【0039】
本実施の形態では、測定値である点P4の電圧が基準電源35(ここではグランド)の電圧に対してプラス側の振幅となって便利である。また、基準電源35がグランドでよいため、構成が簡易である。本実施の形態のその他の点は、実施の形態1と同様である。本実施の形態も、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0040】
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4に係る状態検出装置4の概略回路図である。以下、実施の形態3との相違点を中心に説明する。状態検出装置4では、電流電圧変換手段は、2つの抵抗(シャント抵抗器)R1、R2である。抵抗R1、R2の一端は、ダイオードブリッジ20の高電圧側出力端子(P4)に接続される。抵抗R1の他端は、高電圧側ダイオードの一つであるダイオードD2のカソード、及びADコンバータ45の第1測定電圧入力端子に接続される。抵抗R2の他端は、高電圧側ダイオードの一つであるダイオードD4のカソード、及びADコンバータ45の第2測定電圧入力端子に接続される。ダイオードブリッジ20の高電圧側出力端子(P4)は、電源回路30の一方の入力端子に接続される。
【0041】
図8は、図7の点P4、P8、P9における電圧V(P4)、V(P8)、V(P9)、並びに点P4に対する点P8の電圧V(P8)-V(P4)、及び点P4に対する点P9の電圧V(P9)-V(P4)の時間変化を示すシミュレーションによるグラフである。シミュレーションの前提条件は、抵抗R1、R2の抵抗値をそれぞれ5kΩとした他は、図6におけるシミュレーションと同じとした。図8より、基準電源35(ここではグランド)の電圧に対するプラス側の振幅が点P8と点P9に交互に現れる。電源回路30の入力インピーダンスが無視できるほど低ければ、点P8、P9の電圧V(P8)、V(P9)を測定すればよい。電源回路30の入力インピーダンスが無視できない場合には、抵抗R1の両端の電圧V(P8)-V(P4)、及び抵抗R2の両端の電圧V(P9)-V(P4)を測定すればよい。この場合、基準電圧入力端子のあるADコンバータ45であれば、V(P4)を基準電圧入力端子に、V(P8)及びV(P9)を第1及び第2測定電圧入力端子にそれぞれ入力すればよい。基準電圧入力端子のないADコンバータ45でも、2入力のADコンバータ45であれば、V(P8)とV(P4)の差、及びV(P9)とV(P4)の差を測定できる。
【0042】
本実施の形態のその他の点は、実施の形態3と同様である。本実施の形態によれば、実施の形態3と同様の効果に加え、抵抗R1、R2により圧電素子10の出力電圧の極性が互いに異なる各場合の電流を別々に検出するため、マイコン40では圧電素子10の出力電圧の極性も検出することができる。
【0043】
本実施の形態の変形例として、抵抗R1をダイオードブリッジ20の一方の入力端子(P1)とダイオードD2のアノードとの間に設け、抵抗R2をダイオードブリッジ20の他方の入力端子(P2)とダイオードD4のアノードとの間に設けてもよい。この場合、抵抗R1の両端の電圧及び抵抗R2の両端の電圧をそれぞれADコンバータ45でデジタル値に変換する構成としてもよい。
【0044】
(実施の形態5)
図9は、本発明の実施の形態5に係る状態検出装置5の概略回路図である。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。状態検出装置5では、電流電圧変換手段は、1つの電流センサ25である。電流センサ25は、例えば、ホール素子などの磁気センサ、電流プローブ、あるいはカレントトランスセンサである。電流センサ25は、圧電素子10の他端と、ダイオードブリッジ20の他方の入力端子(図9の点P2)と、の間の電流経路に対して設けられ、当該電流経路に流れる電流を電圧に変換する。当該電流経路に流れる電流の方向から圧電素子10の出力電圧の極性を判別できる。電流センサ25の出力端子は、ADコンバータ45の入力端子に接続される。電流センサ25の出力電圧(アナログ値)は、ADコンバータ45によってデジタル値に変換される。
【0045】
本実施の形態のその他の点は、実施の形態1と同様である。本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果に加え、電流センサ25により圧電素子10の出力電圧の極性が互いに異なる各場合の電流を検出するため、マイコン40では圧電素子10の出力電圧の極性も検出することができる。また、圧電素子10の出力電圧の極性も検出できる構成でありながら、電流電圧変換手段は1つの電流センサ25でよく、電流電圧変換手段を2つ設ける必要がない。本実施の形態において、電流センサ25は、圧電素子10の一端と、ダイオードブリッジ20の一方の入力端子(図9の点P1)と、の間の電流経路に対して設けられてもよい。
【0046】
電流センサ25の出力電圧は、検出対象の電流が流れる経路と絶縁されている。このため、電流センサ25の出力電圧はフローティング電圧となり、ADコンバータ45の入力側において基準電圧を任意に設定でき、回路設計が容易で回路構成がシンプルとなる。こうした利点は、電流電圧変換手段を電流センサ25としたことによるものである。電流電圧変換手段を抵抗とした場合、その抵抗の両端の電圧がいずれも例えば基準電源35の電圧に対して変化する。一方、ADコンバータ45の入力の一方は、基準電圧なので一定であることが求められる。このため、電流電圧変換手段を抵抗とした場合には、抵抗の両端の電圧を処理する回路設計、回路構成が複雑になる。そうしたデメリットが許容される場合には、電流センサ25を抵抗に替えてもよい。
【0047】
(他の実施の形態)
図10は、本発明の他の実施の形態であり、状態検出装置6を用いた状態検出システムの概略ブロック図である。状態検出装置6は、前述の各実施の形態における状態検出装置1~5のいずれかの構成に加え、二次電池50、通信手段としての通信モジュール60、及び各種センサ70を備える。状態検出装置6は、外部空間と隔てられた被測定空間に設けられる。
【0048】
圧電素子10、ダイオードブリッジ20、電源回路30、及び二次電池50は、状態検出装置6の電源7を構成する。二次電池50は、好ましくは全固体電池であり、電源回路30によって充電され、マイコン40、通信モジュール60、及び各種センサ70に動作電圧を供給する。当該動作電圧は、電源回路30から供給されてもよい。また、二次電池50に替えて、キャパシタを設けてもよい。通信モジュール60は、外部空間に設けられた受信装置100の通信モジュール103と通信するものであって、各種センサ70による検出結果を通信モジュール103に送信する。各種センサ70は、温度センサ、加速度センサ、圧力センサ、及び歪みセンサ、の少なくともいずれかを含む。また、各種センサ70は、圧電素子10の出力電流を電圧に変換する電流電圧変換手段(前述の実施の形態における抵抗R又は抵抗R1、R2)も含む。
【0049】
受信装置100は、表示装置101と、制御部としてのマイコン(マイクロコントローラ)102と、通信手段としての通信モジュール103と、を含む。マイコン102は、通信モジュール103が状態検出装置6から受信した各種センサ70による検出結果を、表示装置101に表示することができる。
【0050】
本実施の形態も、前述の実施の形態と同様に、圧電素子10と電源回路30との接続を遮断せずに圧電素子10の出力を利用した状態検出が可能という効果を奏することができる。
【0051】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0052】
実施の形態2及び4で説明した抵抗R1、R2の配置の更に別の変形例として、抵抗R1、R2の一方をダイオードブリッジ20の一方の入力端子(P1)と低電圧側出力端子(P3)との間(ダイオードD1のアノード側でもカソード側でもよい)に設け、他方をダイオードブリッジ20の一方の入力端子(P1)と高電圧側出力端子(P4)との間(ダイオードD2のアノード側でもカソード側でもよい)に設けてもよい。あるいは、抵抗R1、R2の一方をダイオードブリッジ20の他方の入力端子(P2)と低電圧側出力端子(P3)との間(ダイオードD3のアノード側でもカソード側でもよい)に設け、他方をダイオードブリッジ20の他方の入力端子(P2)と高電圧側出力端子(P4)との間(ダイオードD4のアノード側でもカソード側でもよい)に設けてもよい。すなわち、圧電素子10の出力電圧の極性が互いに異なる各場合の電流を別々に検出できる任意の位置に抵抗R1、R2を設ければよい。そして、抵抗R1の両端の電圧及び抵抗R2の両端の電圧をそれぞれマイコン40により検出する構成とすれば、圧電素子10の出力電圧の極性も検出することができる。
【0053】
実施の形態1~4の電流電圧変換手段(抵抗R、R1、R2)を、電流センサに替えてもよい。もっとも、実施の形態1~4の構成では、電流電圧変換手段が抵抗である方が安価で回路構成もシンプルである。
【符号の説明】
【0054】
1~6 状態検出装置、7 電源、10 圧電素子、20 ダイオードブリッジ(整流回路)、25 電流センサ、30 電源回路、35 基準電源、40 マイコン(マイクロコントローラ)、45 ADコンバータ(アナログデジタル変換器)、50 二次電池、60 通信モジュール、70 各種センサ、100 受信装置、101 表示装置、102 マイコン(マイクロコントローラ)、103 通信モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10