(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】リザーブタンク
(51)【国際特許分類】
F01P 11/00 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
F01P11/00 C
(21)【出願番号】P 2018171772
(22)【出願日】2018-09-13
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】小竹 亨
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-114702(JP,A)
【文献】特開2009-067107(JP,A)
【文献】実開平05-077539(JP,U)
【文献】実開昭55-092029(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 11/00
B60K 15/01
B60K 15/03
F16L 3/00
F16L 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のユニットの少なくとも一つを冷却する熱搬送媒体を収容する収容部と、
前記熱搬送媒体を冷却するラジエータから流出した前記熱搬送媒体を前記収容部に流入させ、かつ前記熱搬送媒体を前記収容部から前記ラジエータに流出させる接続部と、
前記収容部の外側面に形成されており、かつ前記接続部に接続されているホースが収納されている溝部と、
を有し、
前記溝部の内側面に前記ホースの外側面に接する複数の凸部が形成されて
おり、
前記複数の凸部は、前記ホースの長手方向において、前記ホースの長手方向と直交する方向における両側の内側面に交互に設けられていることを特徴とするリザーブタンク。
【請求項2】
前記溝部の幅は、前記ホースが前記溝部に収納されていない状態での前記ホースの外径よりも大きいことを特徴とする、
請求項1に記載のリザーブタンク。
【請求項3】
前記複数の凸部は湾曲面を有し、
前記溝部に収納されているホースは、前記複数の凸部の湾曲面に接していることを特徴とする、
請求項1
又は2に記載のリザーブタンク。
【請求項4】
前記熱搬送媒体が前記収容部に供給される供給部に脱着可能に設けられており、かつ外側面に前記溝部が形成されている蓋部をさらに有することを特徴とする、
請求項1から
3のいずれか一項に記載のリザーブタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のリザーブタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、車両のユニットの少なくとも一つを冷却する冷却水を収容するリザーブタンクが設けられている。特許文献1には、ラジエータ内の冷却水を循環するリザーブタンクにおいて、ラジエータにつながるホースがリザーブタンクの外側面に形成されている凹溝内に収納されている構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すように、リザーブタンクにおいて、ラジエータにつながるホースがリザーブタンクの外側面に形成されている凹溝内に収納されている構造である場合、ホースに高温の熱搬送媒体が流れると、熱搬送媒体の熱によってホースに熱応力が生じることで、ホースが変形し、ホースが閉塞してしまうという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ホースを収納可能で、かつ熱搬送媒体の熱でホースが変形し、閉塞しづらいリザーブタンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、車両のユニットの少なくとも一つを冷却する熱搬送媒体を収容する収容部と、前記熱搬送媒体を冷却するラジエータから流出した前記熱搬送媒体を前記収容部に流入させ、かつ前記熱搬送媒体を前記収容部から前記ラジエータに流出させる接続部と、前記収容部の外側面に形成されており、かつ前記接続部に接続されているホースが収納されている溝部と、を有し、前記溝部の内側面に前記ホースの外側面に接する複数の凸部が形成されていることを特徴とするリザーブタンクを提供する。
【0007】
また、前記溝部の幅は、前記ホースが前記溝部に収納されていない状態での前記ホースの外径よりも大きくてもよい。また、前記複数の凸部は、前記ホースの長手方向において、前記ホースの長手方向と直交する方向における両側の内側面に交互に設けられていてもよい。
【0008】
また、前記複数の凸部は湾曲面を有し、前記溝部に収納されているホースは、前記複数の凸部の湾曲面に接していてもよい。また、前記熱搬送媒体が前記収容部に供給される供給部に脱着可能に設けられており、かつ外側面に前記溝部が形成されている蓋部をさらに有していてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リザーブタンクにおいて、ホースを収納可能で、かつ熱搬送媒体の熱でホースが変形し、閉塞しづらくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るリザーブタンクが車両に設けられている状態を示す模式図である。
【
図2】本実施形態に係るリザーブタンクの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本実施形態>
[リザーブタンク4の周辺構成]
図1は、本実施形態に係るリザーブタンク4が車両に設けられている状態を示す模式図である。
図2は、本実施形態に係るリザーブタンク4の構造を示す図である。
【0012】
車両は、エンジン1、ラジエータ2、ポンプ3、リザーブタンク4、及びホース5を有する。エンジン1は、車両を駆動するための動力を発生する。エンジン1は、例えばガソリンエンジン又はディーゼルエンジンである。エンジン1は、燃料(例えばガソリン又は軽油)及び空気を供給して燃焼させることで動力を発生すると共に排気ガスを生じる。
【0013】
ラジエータ2は、エンジン1を冷却する熱搬送媒体を冷却する。熱搬送媒体は冷却水である。熱搬送媒体は、エンジン1とラジエータ2との間で循環している。ラジエータ2は、エンジン1を流れることで加熱された熱搬送媒体を冷却する。ラジエータ2から流出した熱搬送媒体の温度は、ラジエータ2に流入する前の熱搬送媒体の温度に比べて低い。
【0014】
ラジエータ2は、車両の前後方向における前面に冷却用の空気(例えば、走行風又はファンよって流れる空気)を流入させる空気流入口を有し、ラジエータ2の後面に当該冷却用の空気を流出させる空気流出口を有する。ラジエータ2は、車両の前後方向における前方から流入した空気(例えば、走行風又はファンによって流れる空気)と、エンジン1から流出した加熱された熱搬送媒体とを熱交換することで、加熱された熱搬送媒体を冷却する。ラジエータ2で冷却された熱搬送媒体は、エンジン1に流入する。
【0015】
ポンプ3は、熱搬送媒体を圧送する機能を有する。ポンプ3は、ラジエータ2とエンジン1との間、例えばラジエータ2の下流、かつエンジン1の上流に設けられている。
【0016】
熱搬送媒体は、エンジン1、ラジエータ2、及びポンプ3の順に循環して流れる。前述したように、熱搬送媒体は、エンジン1を通過することで温度が上昇し、ラジエータ2を通過することで温度が低下する。
【0017】
リザーブタンク4は、熱搬送媒体を収容する容器である。リザーブタンク4は、ホース5を介して車両のユニットの少なくとも一つと接続されている。具体的には、車両のユニットは、例えばラジエータ2である。リザーブタンク4は、熱搬送媒体の温度が上昇して体積が膨張したり、熱搬送媒体の温度が下がって体積が収縮したりした場合に、ラジエータ2から溢れた熱搬送媒体を収容する。リザーブタンク4の詳細は後述する。
【0018】
ホース5は、熱搬送媒体を流す媒体搬送手段である。具体的には、ホース5は、ラジエータ2とリザーブタンク4との間に熱搬送媒体を流す媒体搬送手段である。ホース5は、例えば樹脂製であり、円筒状である。
【0019】
[リザーブタンク4の構造]
リザーブタンク4は、収容部41、接続部42、供給部43、蓋部44、及び溝部45を有する。収容部41は、車両のユニットの少なくとも一つを冷却する熱搬送媒体を収容する。具体的には、収容部41は、エンジン1を冷却する熱搬送媒体を収容する。
【0020】
接続部42は、熱搬送媒体を冷却するラジエータ2から流出した熱搬送媒体を収容部41に流入させ、かつ熱搬送媒体を収容部41からラジエータ2に流出させる。接続部42は、例えば円筒状であり、収容部41の下面に設けられている。
【0021】
供給部43は、熱搬送媒体を収容部41に供給するための通路である。具体的には、供給部43は例えば円筒状であり、収容部41の上面に設けられている。蓋部44は、供給部43に脱着可能に設けられている。例えば、車両のユーザ又は整備担当者は、供給部43から蓋部44が取り外された状態で、供給部43から熱搬送媒体を収容部41に流入させることで、収容部41に熱搬送媒体を補充する。そして、蓋部44は、熱搬送媒体が収容部41に補充された後に、供給部43に取り付けられる。
【0022】
溝部45は、収容部41の外側面に形成されており、かつ接続部42に接続されているホース5が収納されている。溝部45の断面は略長方形状又は略半円形状である。溝部45は、供給部43又は蓋部44の外側面に形成されていてもよい。
【0023】
溝部45の内側面には複数の凸部451が形成されている。複数の凸部451は、ホース5の外側面に接している。このように、溝部45の内側面に、ホース5の外側面に接する複数の凸部451が形成されていることで、リザーブタンク4は、ホース5を溝部45の内側に支持することができる。また、リザーブタンク4は、ホース5が溝部45に収納された状態において、溝部45の内側面がホース5の外側面に接する面積を小さくすることができる。よって、リザーブタンク4は、ホース5が溝部45に収納された状態で、ホース5の外側面における溝部45の内側面から力を受けている領域を小さくすることができる。
【0024】
また、溝部45の幅は、ホース5が溝部45に収納されていない状態でのホース5の外径よりも大きい。具体的には、溝部45の複数の凸部451が形成されていない領域における溝部45の幅は、ホース5が溝部45に収納されていない状態でのホース5の外径よりも大きい。溝部45の幅が、このようにホース5が溝部45に収納されていない状態でのホース5の外径よりも大きいことで、ホース5が溝部45に収納された状態で、溝部45の内側面がホース5の外側面に接する面積を小さくすることができる。よって、リザーブタンク4は、ホース5が溝部45に収納された状態で、ホース5の外側面における溝部45の内側面から力を受けている領域を小さくすることができる。
【0025】
また、複数の凸部451は、ホース5の長手方向において、ホース5の長手方向と直交する方向における両側の内側面に交互に設けられている。このように、複数の凸部451がホース5の長手方向において、ホース5の長手方向と直交する方向における両側の内側面に交互に設けられていることで、リザーブタンク4は、ホース5が溝部45に収納された状態で、ホース5の外側面における溝部45の内側面から力を受けている領域を分散させることができる。
【0026】
また、複数の凸部451は湾曲面を有する。溝部45に収納されているホース5は、複数の凸部451の湾曲面に接している。このように、溝部45に収納されているホース5が、複数の凸部451の湾曲面に接していることで、リザーブタンク4は、ホース5に生じる応力を小さくすることができる。
【0027】
[本実施形態に係るリザーブタンク4による効果]
本実施形態に係るリザーブタンク4は、車両のユニットの少なくとも一つを冷却する熱搬送媒体を収容する収容部41と、熱搬送媒体を冷却するラジエータ2から流出した熱搬送媒体を収容部41に流入させ、かつ熱搬送媒体を収容部41からラジエータ2に流出させる接続部42と、を有する。また、リザーブタンク4は、収容部41の外側面に形成されており、かつ接続部42に接続されているホース5が収納されている溝部45を有し、溝部45の内側面にホース5の外側面に接する複数の凸部451が形成されている。
【0028】
本実施形態に係るリザーブタンク4は、収容部41の外側面に形成されており、かつ接続部42に接続されているホース5が収納されている溝部45を有し、溝部45の内側面にホース5の外側面に接する複数の凸部451が形成されている。よって、リザーブタンク4は、ホース5を溝部45の内側に支持することができる。
【0029】
また、リザーブタンク4は、溝部45に収納されているホース5の外側面と溝部45の内側面とが接する面積を、例えば、溝部45に複数の凸部451が形成されていない場合における溝部45の内側面とホース5の外側面とが接する面積と比べて、小さくすることができる。よって、リザーブタンク4は、ホース5が溝部45に収納された状態で、ホース5の外側面における溝部45の内側面から力を受けている領域を小さくすることができる。この結果、リザーブタンク4は、ホース5を収納可能で、かつホース5を流れる熱搬送媒体の熱でホース5が変形し、閉塞しづらくなる。
【0030】
[変形例]
上記実施形態では、リザーブタンク4は、エンジン1を冷却する冷却水を収容し、当該冷却水を冷却するラジエータ2に接続されている例を示したが、これに限定されない。リザーブタンク4は、車両において冷却を要する機器を冷却する熱搬送媒体を収容し、当該熱搬送媒体を冷却するラジエータに接続されているタンクであればよい。リザーブタンク4は、例えば水冷インタークーラ又はエアコンで用いられている熱搬送媒体を収容し、当該熱搬送媒体を冷却するラジエータに接続されていてもよい。
【0031】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0032】
1・・・エンジン
2・・・ラジエータ
3・・・ポンプ
4・・・リザーブタンク
41・・・収容部
42・・・接続部
43・・・供給部
44・・・蓋部
45・・・溝部
451・・・凸部
5・・・ホース