(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】ボイラシステム
(51)【国際特許分類】
F22D 1/18 20060101AFI20220712BHJP
F22D 5/00 20060101ALI20220712BHJP
F24H 15/248 20220101ALI20220712BHJP
【FI】
F22D1/18
F22D5/00 Z
F24H15/248
(21)【出願番号】P 2018179211
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大沢 智也
(72)【発明者】
【氏名】金丸 真嘉
(72)【発明者】
【氏名】石崎 信行
(72)【発明者】
【氏名】阿部 忠由
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-146033(JP,A)
【文献】特開平9-236208(JP,A)
【文献】特開2014-194315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D 1/18
F22D 5/00
F24H 15/248
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のボイラからなるボイラ群と、
前記ボイラ群で生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダと、
前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧に基づいて、前記ボイラ群の燃焼状態を制御する第1台数制御手段と、
複数の給水加温ユニットからなる給水加温ユニット群と、
前記給水加温ユニット群で生成された温水を貯留して前記ボイラ群に供給する温水タンクと、
前記温水タンクの水位を検出する水位検出手段と、
前記給水加温ユニット群の運転台数を制御する第2台数制御手段と、を備え、
前記第2台数制御手段は、
前記水位検出手段の検出水位値に基づいて、前記給水加温ユニット群の基本運転台数を決定する台数決定部と、
前記第1台数制御手段から取得した前記ボイラ群の運転情報に基づいて、前記基本運転台数を補正し、補正運転台数を導出する台数補正部と、
前記台数補正部で導出された前記補正運転台数に基づいて、前記給水加温ユニット群の各機に運転又は停止を指令する運転指令部と、を有する、
ボイラシステム。
【請求項2】
前記台数補正部は、前記第1台数制御手段から前記ボイラ群の運転情報として運転台数情報を取得し、前記運転台数情報の増加がない場合、前記基本運転台数を補正せずに最新の前記補正運転台数に設定し、前記運転台数情報が1台増加した場合、この増加が起こる直前の前記補正運転台数に1台分加算した台数を最新の前記補正運転台数に設定する、
請求項1に記載のボイラシステム。
【請求項3】
前記台数補正部は、前記ボイラ群の運転台数を1台増加したことにより前記補正運転台数を更新した場合、更新から所定時間経過後に、前記基本運転台数を最新の前記補正運転台数に設定する、
請求項2に記載のボイラシステム。
【請求項4】
前記第2台数制御手段は、前記給水加温ユニットの1台ごとの温水製造能力情報を取得する能力取得部を有し、
前記台数補正部は、前記第1台数制御手段から前記ボイラ群の運転情報として総燃焼量情報を取得し、前記総燃焼量情報に基づいて、前記ボイラ群の総給水要求量を算出し、少なくとも前記能力取得部で取得した前記温水製造能力情報に基づいて、前記給水加温ユニット群の総温水製造量を算出し、前記総給水要求量と総温水製造量の比較により前記補正運転台数を導出する、
請求項1に記載のボイラシステム。
【請求項5】
前記複数の給水加温ユニットのそれぞれは、
高温流体と給水との熱交換により給水を加温する熱交換器と、
前記熱交換器に対する高温流体の流通状態と非流通状態を切り換える第1流通切換手段と、
前記熱交換器に対する給水の流量を調節する流量調節手段と、
前記熱交換器で生成された温水の温度を検出する温度検出手段と、
前記第1流通切換手段及び前記流量調節手段を制御するローカル制御手段と、を有し、
前記ローカル制御手段は、前記第2台数制御手段からの運転指令を受けて前記第1流通切換手段を流通状態に制御する一方、前記第2台数制御手段からの停止指令を受けて前記第1流通切換手段を非流通状態に制御し、前記第1流通切換手段を流通状態に制御した運転中、前記温度検出手段の検出温度値が目標温度値になるように、前記流量調節手段を制御し、前記第1流通切換手段を非流通状態に制御した停止中、給水を遮断するように、前記流量調節手段を制御する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のボイラシステム。
【請求項6】
前記複数の給水加温ユニットのそれぞれは、
圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器が順次環状に接続されて冷媒が循環され、前記凝縮器で温熱を取り出す蒸気圧縮式ヒートポンプと、
前記蒸発器に対する熱源水の流通状態と非流通状態を切り換える第2流通切換手段と、
前記凝縮器に対する給水の流量を調節する流量調節手段と、
前記凝縮器で生成された温水の温度を検出する温度検出手段と、
前記圧縮機、前記第2流通切換手段、及び前記流量調節手段を制御するローカル制御手段と、を有し、
前記ローカル制御手段は、前記第2台数制御手段からの運転指令を受けて前記圧縮機及び前記第2流通切換手段を流通状態に制御する一方、前記第2台数制御手段からの停止指令を受けて前記圧縮機及び前記第2流通切換手段を非流通状態に制御し、前記圧縮機を流通状態に制御した運転中、前記温度検出手段の検出温度値が目標温度値になるように、前記流量調節手段を制御し、前記圧縮機を非流通状態に制御した停止中、給水を遮断するように、前記流量調節手段を制御する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のボイラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱源水の熱を用いて給水を加温し、生成された温水をボイラの温水タンクに供給する技術が提案されている。温水タンクの温水がボイラに供給されることにより、ボイラで蒸気を生成するために必要な燃料が削減される。特許文献1には、生成される温水の温度が目標温度に維持されるように給水の流量を調整する出湯温度一定制御に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボイラの給水要求量が急激に増加すると、温水タンクが渇水に近い低水位状態となり、ボイラの運転を継続できなくなる懸念がある。温水タンクの低水位状態を解消するために、温水タンクに冷水を補給すると、温水タンクの水温が低下し、ボイラでの燃料削減効果が小さくなってしまう。
【0005】
本発明の態様は、温水タンクの低水状態及び水温低下を防止できるボイラシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、複数のボイラからなるボイラ群と、前記ボイラ群で生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダと、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧に基づいて、前記ボイラ群の燃焼状態を制御する第1台数制御手段と、複数の給水加温ユニットからなる給水加温ユニット群と、前記給水加温ユニット群で生成された温水を貯留して前記ボイラ群に供給する温水タンクと、前記温水タンクの水位を検出する水位検出手段と、前記給水加温ユニット群の運転台数を制御する第2台数制御手段と、を備え、前記第2台数制御手段は、前記水位検出手段の検出水位値に基づいて、前記給水加温ユニット群の基本運転台数を決定する台数決定部と、前記第1台数制御手段から取得した前記ボイラ群の運転情報に基づいて、前記基本運転台数を補正し、補正運転台数を導出する台数補正部と、前記台数補正部で導出された前記補正運転台数に基づいて、前記給水加温ユニット群の各機に運転又は停止を指令する運転指令部と、を有する、ボイラシステムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、温水タンクの低水位状態及び水温低下を防止できるボイラシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るボイラシステムの一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るボイラシステムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るボイラシステムの制御方法を説明するための図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るボイラシステムの制御方法を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るボイラシステムの制御方法を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係るボイラシステムの制御方法を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、コンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、他の実施形態に係る熱交換器の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[1]第1実施形態
<ボイラシステム>
図1は、本実施形態に係るボイラシステム100の一例を模式的に示す図である。ボイラシステム100は、工場のような産業施設に設けられる。
【0011】
ボイラシステム100は、複数のボイラ52からなるボイラ群60と、ボイラ群60で生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ61と、蒸気ヘッダ61内の蒸気圧に基づいてボイラ群60の燃焼状態を制御する第1台数制御装置70と、複数の給水加温ユニット1からなる給水加温ユニット群20と、給水CWを貯留する給水タンク2と、熱源水SWを貯留する熱源水タンク3と、給水加温ユニット群20で生成された温水HWを貯留してボイラ群60に供給する温水タンク51と、温水タンク51の水位を検出する水位センサ50と、給水加温ユニット群20の運転台数を制御する第2台数制御装置30と、を備える。
【0012】
また、ボイラシステム100は、給水タンク2と複数の給水加温ユニット1のそれぞれとを接続する給水流路10と、複数の給水加温ユニット1のそれぞれと温水タンク51とを接続する温水流路11と、給水タンク2と温水タンク51とを接続するバイパス流路12と、熱源水タンク3と複数の給水加温ユニット1のそれぞれとを接続する熱源水流路13とを有する。
【0013】
ボイラ群60は、複数のボイラ52からなる。
図1に示す例において、ボイラ群60は、2台のボイラ52からなる。なお、ボイラ群60を構成するボイラ52の数は、3台以上の任意の複数でもよい。複数のボイラ52は、それぞれ同一の最大蒸発量と燃焼制御を有する仕様である。
【0014】
温水タンク51は、給水加温ユニット1で生成された温水HWを貯留する。温水タンク51は、温水流路11を介して給水加温ユニット1に接続される。また、温水タンク51は、温水流路53を介してボイラ52と接続される。温水流路53には、温水ポンプ54が設けられる。温水ポンプ54が駆動されることにより、温水タンク51の温水HWがボイラ52に供給される。
【0015】
ボイラ52は、蒸気ボイラである。ボイラ52は、温水タンク51から供給された温水HWを加熱して蒸気を生成する。温水タンク51の温水HWがボイラ52に供給されることにより、ボイラ52で蒸気を生成するために必要な燃料が削減される。ボイラ52で生成された蒸気は、蒸気流路62を介して蒸気ヘッダ61に供給される。
【0016】
蒸気ヘッダ61は、複数のボイラ52のそれぞれから供給された蒸気を貯留する。蒸気ヘッダ61は、蒸気流路63を介して蒸気使用機器64に接続される。蒸気ヘッダ61の蒸気は、蒸気流路63を介して蒸気使用機器64に供給される。
【0017】
蒸気ヘッダ61は、蒸気圧センサ65を有する。蒸気圧センサ65は、蒸気ヘッダ61の蒸気圧を検出する。蒸気圧センサ65で検出された蒸気ヘッダ61の蒸気圧を示す検出蒸気圧値は、第1台数制御装置70に出力される。
【0018】
第1台数制御装置70は、コンピュータシステムを含む。第1台数制御装置70は、蒸気ヘッダ61の内部の蒸気圧に基づいて、ボイラ群60の燃焼状態を制御する第1台数制御手段として機能する。
【0019】
ボイラ群60の燃焼状態は、ボイラ52の運転台数、及び複数のボイラ52のそれぞれの燃焼量を含む。
【0020】
ボイラ52の運転台数とは、ボイラ群60の複数のボイラ52のうち運転するボイラ52の台数をいう。第1台数制御装置70は、ボイラ群60の運転台数を制御する台数指令を出力する。台数指令は、停止中のボイラ52を運転させる運転指令、及び運転中のボイラ52を停止させる停止指令を含む。
【0021】
ボイラ52の燃焼量[kcal/h]とは、バーナが配置されるボイラ52の燃焼室において単位時間当たりに発生する熱量をいう。バーナに供給される燃料が増えると、ボイラ52の燃焼量が大きくなる。バーナに供給される燃料が減ると、ボイラ52の燃焼量が小さくなる。第1台数制御装置70は、複数のボイラ52のそれぞれの燃焼量を制御する燃焼指令を出力する。
【0022】
第1台数制御装置70は、蒸気圧センサ65の検出蒸気圧値に基づいて、ボイラ52の運転台数及び運転するボイラ52の燃焼量を含むボイラ群60の燃焼状態を制御する。
【0023】
ボイラ52は、ローカル制御装置55を有する。第1台数制御装置70は、複数のローカル制御装置55のそれぞれに台数指令及び燃焼指令を出力する。ローカル制御装置55は、第1台数制御装置70からの台数指令及び燃焼指令を受けて、そのローカル制御装置55が属するボイラ52の燃焼状態を制御する。
【0024】
給水加温ユニット群20は、複数の給水加温ユニット1からなる。
図1に示す例において、給水加温ユニット群20は、2台の給水加温ユニット1からなる。なお、給水加温ユニット群20を構成する給水加温ユニット1の数は、3台以上の任意の複数でもよい。複数の給水加温ユニット1は、それぞれ同一の加熱能力と運転制御を有する仕様である。
【0025】
給水タンク2は、給水加温ユニット1及び温水タンク51の少なくとも一方に供給される給水CWを貯留する。給水タンク2は、給水流路10を介して複数の給水加温ユニット1のそれぞれに接続される。給水タンク2は、バイパス流路12を介して温水タンク51にも接続される。給水タンク2に貯留される給水CWの温度は、例えば20℃である。給水タンク2に貯留される給水CWは、軟水である。硬水軟化装置(不図示)により硬度成分が除去された軟水が給水タンク2に貯留される。
【0026】
熱源水タンク3は、給水加温ユニット1に供給される熱源水SWを貯留する。熱源水タンク3は、熱源水流路13を介して複数の給水加温ユニット1のそれぞれに接続される。熱源水SWは、産業施設から排出される廃温水を含む。熱源水SWは、産業施設から供給流路14を介して熱源水タンク3に供給される。熱源水タンク3は、熱源水SWをオーバーフローさせるオーバーフロー路15を有する。
【0027】
バイパス流路12には、補給ポンプ7が設けられる。補給ポンプ7は、給水タンク2に貯留されている給水CWを温水タンク51に供給する。補給ポンプ7が駆動されることにより、給水タンク2の給水CWが、給水加温ユニット1を介さずに、バイパス流路12から温水タンク51に供給される。
【0028】
補給ポンプ7は、可変容量ポンプでもよいし、固定容量ポンプでもよい。補給ポンプ7は、温水タンク51に対して給水CWが供給される流通状態と、温水タンク51に対する給水CWの供給が停止される非流通状態とを切り換える。補給ポンプ7が駆動されることにより、給水タンク2から温水タンク51に対して給水CWが供給される流通状態になる。補給ポンプ7が停止されることにより、給水タンク2から温水タンク51に対する給水CWの供給が停止される非流通状態になる。
【0029】
水位センサ50は、温水タンク51の水位を検出する水位検出手段として機能する。温水タンク51の水位とは、温水タンク51に貯留される温水HWの表面の高さをいう。本実施形態において、水位センサ50は、電極式水位センサを含む。水位センサ50として、例えば複数の電極棒が温水タンク51に配置されてもよい。複数の電極棒は、電極棒の下端部の高さが異なるように温水タンク51に配置される。温水HWに接触した電極棒が特定されることにより、温水タンク51の水位が検出される。なお、水位センサ50は、温水タンク51の水位を検出できればよく、電極式水位センサ以外に静電容量式水位センサや圧力式センサを利用することもできる。
【0030】
第2台数制御装置30は、コンピュータシステムを含む。第2台数制御装置30は、給水加温ユニット群20の運転台数を制御する台数制御手段として機能する。
【0031】
<給水加温ユニット>
給水加温ユニット1は、熱源水タンク3から供給された熱源水SWの熱を用いて、給水タンク2から供給された給水CWを加温して、温水HWを生成する。給水加温ユニット1は、給水CWを加温して温水HWを生成するヒートポンプ4と、ヒートポンプ4に対する熱源水SWの流通状態と非流通状態とを切り換える熱源水ポンプ5と、ヒートポンプ4に対する給水CWの流量を調節する給水ポンプ6と、ヒートポンプ4で生成された温水HWの温度を検出する温度センサ8と、ローカル制御装置9とを有する。
【0032】
給水ポンプ6は、給水流路10に設けられる。給水ポンプ6は、給水タンク2に貯留されている給水CWをヒートポンプ4に供給する。給水ポンプ6が駆動されることにより、給水タンク2の給水CWが、給水流路10を介してヒートポンプ4に供給される。給水ポンプ6は、可変容量ポンプである。給水ポンプ6は、ヒートポンプ4に対する給水CWの流量を調節可能である。
【0033】
本実施形態において、給水ポンプ6を駆動するモータの駆動周波数がインバータ制御される。給水ポンプ6の回転数は、モータの駆動周波数に連動する。給水ポンプ6の回転数が調整されることにより、給水タンク2からヒートポンプ4に対する給水CWの流量が調節される。
【0034】
給水ポンプ6は、ヒートポンプ4に対して給水CWが供給される流通状態とヒートポンプ4に対する給水CWの供給が停止される非流通状態とを切り換える。給水ポンプ6が駆動されることにより、給水タンク2からヒートポンプ4に対して給水CWが供給される流通状態になる。給水ポンプ6が停止されることにより、給水タンク2からヒートポンプ4に対する給水CWの供給が停止される非流通状態になる。
【0035】
熱源水ポンプ5は、熱源水流路13に設けられる。熱源水ポンプ5は、熱源水タンク3に貯留されている熱源水SWをヒートポンプ4に供給する。熱源水ポンプ5が駆動されることにより、熱源水タンク3の熱源水SWが、熱源水流路13を介してヒートポンプ4に供給される。
【0036】
熱源水ポンプ5は、可変容量ポンプでもよいし、固定容量ポンプでもよい。熱源水ポンプ5は、ヒートポンプ4に対して熱源水SWが供給される流通状態とヒートポンプ4に対する熱源水SWの供給が停止される非流通状態とを切り換える。熱源水ポンプ5が駆動されることにより、熱源水タンク3からヒートポンプ4に対して熱源水SWが供給される流通状態になる。熱源水ポンプ5が停止されることにより、熱源水タンク3からヒートポンプ4に対する熱源水SWの供給が停止される非流通状態になる。
【0037】
本実施形態において、ヒートポンプ4は、蒸気圧縮式ヒートポンプである。ヒートポンプ4は、圧縮機41と、凝縮器42と、膨張弁43と、蒸発器44とを有する。圧縮機41、凝縮器42、膨張弁43、及び蒸発器44は、順次環状に接続されて循環流路47を形成する。冷媒REは、圧縮機41、凝縮器42、膨張弁43、及び蒸発器44を含む循環流路47を循環する。循環流路47を流れる冷媒REは、気相の冷媒REであるガス冷媒REgと、液相の冷媒REである液冷媒RElとを含む。ヒートポンプ4は、凝縮器42で温熱を取り出す。
【0038】
また、ヒートポンプ4は、循環流路47において凝縮器42と膨張弁43との間に配置される過冷却器45と、廃熱回収熱交換器46とを有する。
【0039】
給水流路10は、廃熱回収熱交換器46、過冷却器45、及び凝縮器42のそれぞれに接続される。給水タンク2から給水流路10に送出された給水CWは、廃熱回収熱交換器46、過冷却器45、及び凝縮器42の順に流れる。
【0040】
熱源水流路13は、蒸発器44、及び廃熱回収熱交換器46のそれぞれに接続される。熱源水タンク3から熱源水流路13に送出された熱源水SWは、蒸発器44、及び廃熱回収熱交換器46の順に流れる。
【0041】
冷媒REは、循環流路47において、圧縮機41、凝縮器42、過冷却器45、膨張弁43、及び蒸発器44の順に流れる。
【0042】
圧縮機41は、冷媒REを圧縮する。圧縮機41には、ガス冷媒REgが供給される。圧縮機41は、ガス冷媒REgを圧縮して高温高圧のガス冷媒REgを生成する。圧縮機41で生成される高温高圧のガス冷媒REgは、給水CWとの熱交換に利用される高温流体である。
【0043】
圧縮機41は、モータ(不図示)により駆動される。圧縮機41が駆動されることにより、ガス冷媒REgが圧縮され、高温高圧のガス冷媒REgが凝縮器42に供給される。圧縮機41が停止されることにより、凝縮器42に対するガス冷媒REgの供給が停止される。
【0044】
凝縮器42は、圧縮機41からのガス冷媒REgを凝縮する。給水CWは、給水流路10を介して凝縮器42に供給される。ガス冷媒REgは、凝縮器42において凝縮されることにより放熱して、給水CWに熱を与える。また、ガス冷媒REgは、凝縮器42において放熱することにより液化して液冷媒RElに変換される。凝縮器42は、高温流体であるガス冷媒REgと給水CWとの熱交換により給水CWを加温する。凝縮器42は、給水CWを加温して温水HWを生成する。
【0045】
凝縮器42は、温水流路11を介して温水タンク51に接続される。凝縮器42で生成された温水HWは、温水流路11を介して温水タンク51に供給される。
【0046】
膨張弁43は、凝縮器42からの液冷媒RElを膨張させる。膨張弁43は、凝縮器42からの液冷媒RElの圧力及び温度を低下させる。
【0047】
蒸発器44は、膨張弁43からの液冷媒RElを蒸発させる。熱源水SWは、熱源水流路13を介して蒸発器44に供給される。液冷媒RElは、蒸発器44において蒸発することにより吸熱して、熱源水SWから熱を奪う。また、液冷媒RElは、蒸発器44において吸熱することにより気化してガス冷媒REgに変換される。
【0048】
過冷却器45は、凝縮器42に供給される前の給水CWと膨張弁43に供給される前の液冷媒RElとを熱交換する間接熱交換器である。給水CWは、給水流路10を介して過冷却器45に供給される。過冷却器45に供給された給水CWにより、膨張弁43に供給される前の液冷媒RElが過冷却される。過冷却器45に供給された液冷媒RElにより、凝縮器42に供給される前の給水CWが加温される。冷媒REは、凝縮器42において潜熱を放出し、過冷却器45において顕熱を放出する。
【0049】
廃熱回収熱交換器46は、過冷却器45に供給される前の給水CWと蒸発器44を通過した後の熱源水SWとを熱交換する間接熱交換器である。給水CWは、給水流路10を介して廃熱回収熱交換器46に供給される。熱源水SWは、熱源水流路13を介して廃熱回収熱交換器46に供給される。廃熱回収熱交換器46において、給水CWと熱源水SWとが熱交換することにより、過冷却器45に供給される前の給水CWが加温される。
【0050】
圧縮機41が駆動されることにより、ガス冷媒REgが圧縮され、高温流体である高温高圧のガス冷媒REgが凝縮器42に供給される。圧縮機41が停止されることにより、凝縮器42に対するガス冷媒REgの供給が停止される。圧縮機41は、凝縮器42に対する高温流体(ガス冷媒REg)の流通状態と非流通状態を切り換える第1流通切換手段として機能する。圧縮機41が駆動されることにより、圧縮機41から凝縮器42に対してガス冷媒REgが供給される流通状態になる。圧縮機41が停止されることにより、圧縮機41から凝縮器42に対するガス冷媒REgの供給が停止される非流通状態になる。
【0051】
凝縮器42は、高温流体(ガス冷媒REg)と給水CWとの熱交換により給水CWを加温する熱交換器として機能する。
【0052】
熱源水ポンプ5は、蒸発器44及び廃熱回収熱交換器46に対する熱源水SWの流通状態と非流通状態とを切り換える第2流通切換手段として機能する。熱源水ポンプ5が駆動されることにより、熱源水タンク3から蒸発器44及び廃熱回収熱交換器46に対して熱源水SWが供給される流通状態になる。熱源水ポンプ5が停止されることにより、熱源水タンク3から蒸発器44及び廃熱回収熱交換器46に対する熱源水SWの供給が停止される非流通状態になる。
【0053】
給水ポンプ6は、廃熱回収熱交換器46、過冷却器45、及び凝縮器42に対する給水CWの流通状態と非流通状態とを切り換える第3流通切換手段として機能する。給水ポンプ6が駆動されることにより、給水タンク2から廃熱回収熱交換器46、過冷却器45、及び凝縮器42に対して給水CWが供給される流通状態になる。給水ポンプ6が停止されることにより、給水タンク2から廃熱回収熱交換器46、過冷却器45、及び凝縮器42に対する給水CWの供給が停止される非流通状態になる。また、給水ポンプ6は、給水流路10を介して廃熱回収熱交換器46、過冷却器45、及び凝縮器42に供給される給水CWの流量を調節する。給水ポンプ6は、廃熱回収熱交換器46、過冷却器45、及び凝縮器42に対する給水CWの流量を調節する流量調節手段として機能する。
【0054】
温度センサ8は、凝縮器42で生成された温水CWの温度を検出する。温度センサ8は、温水流路11に配置される。温水流路11は、凝縮器42の出口に接続される。温度センサ8は、凝縮器42で生成された温水CWの温度を検出する温度検出手段として機能する。
【0055】
ローカル制御装置9は、コンピュータシステムを含む。ローカル制御装置9は、圧縮機41(第1流通切換手段)、熱源水ポンプ5(第2流通切換手段)、及び給水ポンプ6(第3流通切換手段,流量調節手段)及びを制御するローカル制御手段として機能する。ローカル制御装置9は、圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6のそれぞれを制御する。ローカル制御装置9は、給水加温ユニット1の運転及び停止を切り換えることができる。
【0056】
給水加温ユニット1を運転させることは、少なくとも圧縮機41を駆動させることを含む。本実施形態において、給水加温ユニット1を運転させることは、圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6のそれぞれを駆動させることを含む。ローカル制御装置9は、圧縮機41、熱源水ポンプ5及び給水ポンプ6のそれぞれを駆動させて、給水加温ユニット1を運転させる。
【0057】
給水加温ユニット1を停止させることは、少なくとも圧縮機41を停止させることを含む。本実施形態において、給水加温ユニット1を停止させることは、圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6のそれぞれを停止させることを含む。ローカル制御装置9は、圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6のそれぞれを停止させて、給水加温ユニット1を停止させる。
【0058】
制御装置9は、圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6を連動させる。制御装置9は、圧縮機41を駆動させたとき、熱源水ポンプ5及び給水ポンプ6も駆動させる。制御装置9は、圧縮機41を停止させたとき、熱源水ポンプ5及び給水ポンプ6も停止させる。
【0059】
給水加温ユニット1を運転させることは、少なくとも圧縮機41を駆動させることを含む。本実施形態において、給水加温ユニット1を運転させることは、圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6のそれぞれを駆動させることを含む。ローカル制御装置9は、圧縮機41、熱源水ポンプ5及び給水ポンプ6のそれぞれを駆動させて、給水加温ユニット1を運転させる。
【0060】
給水加温ユニット1を停止させることは、少なくとも圧縮機41を停止させることを含む。本実施形態において、給水加温ユニット1を停止させることは、圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6のそれぞれを停止させることを含む。ローカル制御装置9は、圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6のそれぞれを停止させて、給水加温ユニット1を停止させる。
【0061】
制御装置9は、圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6を連動させる。制御装置9は、圧縮機41を駆動させたとき、熱源水ポンプ5及び給水ポンプ6も駆動させる。制御装置9は、圧縮機41を停止させたとき、熱源水ポンプ5及び給水ポンプ6も停止させる。
【0062】
圧縮機41を駆動させることは、循環流路47に冷媒RE(REg,REl)が循環される流通状態にすることを含む。圧縮機41を停止させることは、循環流路47の冷媒REの循環が停止される非流通状態にすることを含む。
【0063】
熱源水ポンプ5を駆動させることは、蒸発器44及び廃熱回収熱交換器46に対して熱源水SWが供給される流通状態にすることを含む。熱源水ポンプ5を停止させることは、蒸発器44及び廃熱回収熱交換器46に対する熱源水SWの供給が停止される非流通状態にすることを含む。
【0064】
給水ポンプ6を駆動させることは、廃熱回収熱交換器46、過冷却器45、及び凝縮器42に対して給水CWが供給される流通状態にすることを含む。給水ポンプ6を停止させることは、廃熱回収熱交換器46、過冷却器45、及び凝縮器42に対する給水CWの供給が停止される非流通状態にすることを含む。
【0065】
第2台数制御装置30は、給水加温ユニット群20の運転台数を制御する台数指令をローカル制御装置9に出力する。台数指令は、停止中の給水加温ユニット1を運転させる運転指令、及び運転中の給水加温ユニット1を停止させる停止指令を含む。第2台数制御装置30は、水位センサ50の検出水位値に基づいて、台数指令を出力する。ローカル制御装置9は、第2台数制御装置30からの台数指令を受けて、圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6を制御して、給水加温ユニット1(ヒートポンプ4)の運転と停止とを切り換える。
【0066】
また、第2台数制御装置30は、ヒートポンプ4に対する給水CWの流量を調節する流量指令をローカル制御装置9に出力する。第2台数制御装置30は、水位センサ50の検出水位値に基づいて、流量指令を出力する。ローカル制御装置9は、第2台数制御装置30からの流量指令を受けて、給水ポンプ6を制御して、ヒートポンプ4に対する給水CWの流量を調節する。
【0067】
ローカル制御装置9は、第2台数制御装置30からの運転指令を受けて、圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6を流通状態に制御する一方、第2台数制御装置30からの停止指令を受けて、圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6を非流通状態に制御する。圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6が流通状態になることにより、ヒートポンプ4を含む給水加温ユニット1が運転する。圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6が非流通状態になることにより、ヒートポンプ4を含む給水加温ユニット1が停止する。
【0068】
ローカル制御装置9は、圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6を流通状態に制御したヒートポンプ4の運転中、圧縮機41の出力(回転数)が一定になるように、圧縮機41を制御する。圧縮機41のモータの駆動周波数は一定に維持され、圧縮機41は一定の出力で駆動する。また、ローカル制御装置9は、圧縮機41の吸込冷媒の過熱度が一定になるように、膨張弁43の開度を調節する制御を行う。
【0069】
ローカル制御装置9は、圧縮機41、熱源水ポンプ5、及び給水ポンプ6を流通状態に制御したヒートポンプ4の運転中、温度センサ8の検出温度値Tsが目標温度値Trになるように給水ポンプ6を制御する出湯温度一定制御を実行する。出湯温度一定制御では、温水HWの温度と給水CWの流量とは連動する。出湯温度一定制御において、温度センサ8の検出温度値Tsが目標温度値Trに収束するように、速度型PIDアルゴリズムにより給水ポンプ6の駆動周波数に対する操作量が演算され、インバータ回路からモータ部への出力周波数が調整される。
【0070】
ローカル制御装置9は、圧縮機41及び熱源水ポンプ5を非流通状態に制御したヒートポンプ4の停止中、給水CWを遮断するように、給水ポンプ6を制御する。
【0071】
<第1台数制御装置、第2台数制御装置、及びローカル制御装置>
図2は、本実施形態に係る第1台数制御装置70、第2台数制御装置30、及びローカル制御装置9の一例を示す機能ブロック図である。
【0072】
なお、
図2は、便宜上、第2台数制御装置30と通信する1つのローカル制御装置9を示すが、第2台数制御装置30と通信するローカル制御装置9は複数存在する。
【0073】
図2に示すように、第2台数制御装置30は、検出水位取得部31と、記憶部32と、台数決定部33と、運転情報取得部34と、台数補正部35と、運転指令部36と、能力取得部37と、補給制御部38と、警報制御部39とを有する。
【0074】
検出水位取得部31は、水位センサ50の検出水位値Hsを取得する。水位センサ50の検出水位値Hsは、温水タンク51の温水HWの貯留量に対応する。
【0075】
記憶部32は、水位センサ50の検出水位値Hsと給水加温ユニット群20の運転台数との関係を示す相関データを記憶する。相関データは、相関テーブルでもよいし相関式でもよい。
【0076】
台数決定部33は、検出水位取得部31により取得された水位センサ50の検出水位値に基づいて、給水加温ユニット群20の基本運転台数N0を決定する。本実施形態において、台数決定部33は、検出水位取得部31により取得された水位センサ50の検出水位値Hs及び記憶部32に記憶されている相関データに基づいて、給水加温ユニット群20の基本運転台数N0を決定する。
【0077】
図3は、本実施形態に係る給水加温ユニット群20の基本運転台数N0の決定方法を説明するための図である。以下の説明においては、給水加温ユニット群20が5台の給水加温ユニット1からなる例について説明する。また、5台の給水加温ユニット1のそれぞれを適宜、1号機、2号機、3号機、4号機、及び5号機、と称する。
【0078】
図3は、記憶部32に記憶されている相関データを模式的に示す。
図3に示すように、相関データは、水位センサ50の検出水位値Hsと給水加温ユニット群20の運転台数との関係を示す相関テーブルを含む。
【0079】
相関データにおいて、温水タンク51における上限水位値Hhが設定される。上限水位値Hhとは、給水加温ユニット群20の全台(5台)を停止させる全台停止水位をいう。
【0080】
また、相関データにおいて、上限水位値Hhよりも低い台数変更水位範囲が設定される。台数変更水位範囲においては、水位センサ50の検出水位値Hsに応じて、給水加温ユニット群20の運転台数が1台ずつ増減される。具体的には、水位センサ50の検出水位値Hsの下降に伴って運転台数が増加し、水位センサ50の検出水位値Hsの上昇に伴って運転台数が減少する。
【0081】
本実施形態において、台数変更水位範囲における相関データは、給水加温ユニット群20の全台の温水HWの目標温度値Trが規定温度値Teの状態で、温水タンク51の水位が下降するほど運転台数が増加し、温水タンク51の水位が上昇するほど運転台数が減少する相関関係である。なお、水位センサ50の検出水位値に応じて、温水HWの目標温度値Trが変更されてもよい。
【0082】
台数変更水位範囲において、給水加温ユニット群20の運転台数を決定するための水位が段階的に設定される。台数変更水位範囲において、全台停止水位、全台停止水位よりも低い第1水位、第1水位よりも低い第2水位、第2水位よりも低い第3水位、第3水位よりも低い第4水位、及び第4水位よりも低いバイパス開放水位が設定される。
【0083】
また、相関データにおいて、台数変更水位範囲よりも低い低水位範囲が設定される。低水位範囲は、バイパス開放水位よりも低い水位範囲である。バイパス開放水位とは、補給ポンプ7を駆動して、給水タンク2の給水CWを、バイパス流路12を介して温水タンク51に供給させる水位をいう。
【0084】
台数決定部33は、検出水位取得部31により取得された水位センサ50の検出水位値Hsが台数変更水位範囲にある台数変更水位状態であると判定した場合、記憶部32に記憶されている相関データに基づいて、給水加温ユニット群20の運転台数を1台ずつ増減させる。
【0085】
台数決定部33は、水位センサ50の検出水位値Hsが全台停止水位と第1水位との間に存在すると判定した場合、記憶部32に記憶されている相関データに基づいて、1号機を運転させ、2号機から5号機を停止させる。検出水位値Hsが全台停止水位と第1水位との間に存在する場合、基本運転台数N0は、1台に決定される。
【0086】
台数決定部33は、水位センサ50の検出水位値Hsが第1水位と第2水位との間に存在すると判定した場合、記憶部32に記憶されている相関データに基づいて、1号機及び2号機を運転させ、3号機から5号機を停止させる。検出水位値Hsが第1水位と第2水位との間に存在する場合、基本運転台数N0は、2台に決定される。
【0087】
台数決定部33は、水位センサ50の検出水位値Hsが第2水位と第3水位との間に存在すると判定した場合、記憶部32に記憶されている相関データに基づいて、1号機から3号機を運転させ、4号機及び5号機を停止させる。検出水位値Hsが第2水位と第3水位との間に存在する場合、基本運転台数N0は、3台に決定される。
【0088】
台数決定部33は、水位センサ50の検出水位値Hsが第3水位と第4水位との間に存在すると判定した場合、記憶部32に記憶されている相関データに基づいて、1号機から4号機を運転させ、5号機を停止させる。検出水位値Hsが第3水位と第4水位との間に存在する場合、基本運転台数N0は、4台に決定される。
【0089】
台数決定部33は、水位センサ50の検出水位値Hsが第4水位とバイパス開放水位との間に存在すると判定した場合、記憶部32に記憶されている相関データに基づいて、1号機から5号機を運転させる。検出水位値Hsが第4水位とバイパス開放水位との間に存在する場合、基本運転台数N0は、5台に決定される。
【0090】
運転情報取得部34は、第1台数制御装置70からボイラ群60の運転情報を取得する。ボイラ群60の運転情報は、ボイラ群60の運転台数を示す運転台数情報、及びボイラ群60の総燃焼量を示す総燃焼量情報を含む。ボイラ群60の総燃焼量とは、複数のボイラ52の燃焼量の総和をいう。上述のように、第1台数制御装置70は、蒸気圧センサ65の検出蒸気圧値に基づいて、ボイラ群60の運転台数及び運転するボイラ52の燃焼量を含むボイラ群60の燃焼状態を制御する。したがって、運転情報取得部34は、第1台数制御装置70からボイラ群60の運転情報を取得することができる。
【0091】
台数補正部35は、運転情報取得部34により取得されたボイラ群60の運転情報に基づいて、台数決定部33において決定された基本運転台数N0を補正し、補正運転台数N1を導出する。
【0092】
台数補正部35は、ボイラ群60の運転情報として、運転情報取得部34からボイラ群60の運転台数情報を取得する。運転台数情報に基づいて、ボイラ群60の運転台数の増加がないと判定した場合、台数補正部35は、台数決定部33において決定された基本運転台数N0を補正せずに、その基本運転台数N0を最新の前記補正運転台数N1に設定する。運転台数情報に基づいて、ボイラ群60の運転台数が1台増加したと判定した場合、台数補正部35は、この増加が起こる直前の補正運転台数N1に1台分加算した台数(N1[台]+1[台])を、最新の補正運転台数N1に設定する。
【0093】
また、台数補正部35は、ボイラ群60の運転台数が1台増加したことにより補正運転台数N1を更新した場合、更新から所定時間経過後に、台数決定部33において決定された基本運転台数N0を最新の補正運転台数N1に設定する。
【0094】
運転指令部36は、台数補正部35で導出された補正運転台数N1に基づいて、給水加温ユニット群20の各機に運転又は停止を指令する。すなわち、運転指令部36は、台数補正部35で導出された補正運転台数N1に基づいて、複数の給水加温ユニット1のローカル制御装置9のそれぞれに、運転指令又は停止指令を出力する。
【0095】
能力取得部37は、給水加温ユニット1の1台ごとの温水製造能力qを示す温水製造能力情報を取得する。温水製造能力qとは、単位時間当たりに規定温度の温水HWを規定流量だけ製造できる能力をいう。
【0096】
補給制御部38は、検出水位取得部31で取得された水位センサ50の検出水位値Hsに基づいて、補給ポンプ7を制御する。補給制御部38は、補給ポンプ7を駆動させてバイパス流路12に給水CWを流通させる流通状態と、補給ポンプ7を停止させてバイパス流路12における給水CWの流通を遮断する非流通状態とを切り換える。
【0097】
警報制御部39は、検出水位取得部31で取得された水位センサ50の検出水位値Hsが上限水位値Hhよりも高い高水位範囲にある高水位状態、及び検出水位取得部31で取得された水位センサ50の検出水位値Hsが下限水位値Hbよりも低い低水位範囲にある低水位状態において、警報装置16を作動させる。警報装置16は、警報音を出力する警報音出力装置でもよいし、警報表示データを表示する表示装置でもよい。
【0098】
ローカル制御装置9は、第1流通切換制御部91と、第2流通切換制御部92と、検出温度取得部93と、流量制御部94とを有する。
【0099】
第1流通切換制御部91は、第2台数制御装置30からの台数指令を受けて、圧縮機41を制御する切換指令を出力する。第1流通切換制御部91から出力される切換指令は、圧縮機41を駆動して圧縮機41を流通状態に制御する流通指令、及び圧縮機41を停止して圧縮機41を非流通状態に制御する非流通指令を含む。第1流通切換制御部91は、運転指令部36から運転指令を受けたとき、圧縮機41を流通状態に制御する流通指令を出力する。第1流通切換制御部91は、運転指令部36から停止指令を受けたとき、圧縮機41を非流通状態に制御する非流通指令を出力する。
【0100】
第2流通切換制御部92は、第2台数制御装置30からの台数指令を受けて、熱源水ポンプ5を制御する切換指令を出力する。第2流通切換制御部92から出力される切換指令は、熱源水ポンプ5を駆動して熱源水ポンプ5を流通状態に制御する流通指令、及び熱源水ポンプ5を停止して熱源水ポンプ5を非流通状態に制御する非流通指令を含む。第2流通切換制御部92は、運転指令部36から運転指令を受けたとき、熱源水ポンプ5を流通状態に制御する流通指令を出力する。第2流通切換制御部92は、運転指令部36から停止指令を受けたとき、熱源水ポンプ5を非流通状態に制御する非流通指令を出力する。
【0101】
圧縮機41と熱源水ポンプ5とは連動する。第1流通切換制御部91から流通指令が出力されて圧縮機41が流通状態に制御されたとき、第2流通切換制御部92は、流通指令を出力して熱源水ポンプ5を流通状態に制御する。第1流通切換制御部91から非流通指令が出力されて圧縮機41が非流通状態に制御されたとき、第2流通切換制御部92は、非流通指令を出力して熱源水ポンプ5を非流通状態に制御する。
【0102】
検出温度取得部93は、温度センサ8の検出温度値Tsを取得する。温度センサ8の検出温度値Tsは、凝縮器42からの出湯温度、すなわち温水タンク51への給湯温度である。
【0103】
流量制御部94は、圧縮機41及び熱源水ポンプ5を流通状態に制御したヒートポンプ4の運転中、検出温度取得部93により取得された温度センサ8の検出温度値Tsが目標温度値Trになるように、給水ポンプ6を制御する流量指令を出力する。
【0104】
<制御方法>
次に、本実施形態に係るボイラシステム100の制御方法について説明する。
図4は、本実施形態に係るボイラシステム100の制御方法を説明するためのフローチャートである。
図4に示す処理は、規定の周期で実施される。
【0105】
水位センサ50は、温水タンク51の水位を検出する。検出水位取得部31は、水位センサ50の検出水位値を取得する(ステップS1)。
【0106】
台数決定部33は、水位センサ50の検出水位値に基づいて、給水加温ユニット群20の基本運転台数N0を決定する。
図3を参照して説明したように、台数決定部33は、検出水位取得部31により取得された水位センサ50の検出水位値Hsと記憶部32に記憶されている相関データとに基づいて、給水加温ユニット群20の基本運転台数N0を決定する(ステップS2)。
【0107】
台数補正部35は、補正運転台数導出処理を実施する。補正運転台数導出処理は、ボイラ群60の運転情報を取得する処理と、補正運転台数N1を導出する処理とを含む。台数補正部35は、第1台数制御装置70から取得したボイラ群60の運転情報に基づいて、基本運転台数N0を補正し、補正運転台数N1を導出する(ステップS3)。
【0108】
運転指令部36は、台数補正部35で導出された補正運転台数N1に基づいて、給水加温ユニット群20が補正運転台数N1で運転するように、給水加温ユニット群20の複数の給水加温ユニット1のそれぞれに運転指令又は停止指令の少なくとも一方を含む台数指令を出力する(ステップS4)。
【0109】
図5は、本実施形態に係るボイラシステム100の制御方法を説明するためのフローチャートである。
図5は、
図4に示した補正運転台数導出処理(ステップS3)のサブルーチンを示す。
図5に示す処理は、規定の周期で実施される。
【0110】
運転情報取得部34は、ボイラ群60の運転情報を取得する。本実施形態において、運転情報取得部34は、第1台数制御装置70から、ボイラ群60の運転情報として、ボイラ群60の運転台数情報を取得する(ステップS311)。
【0111】
第1台数制御装置70は、蒸気ヘッダ61の検出蒸気圧値に基づいて、ボイラ52の運転台数を増減させる。台数補正部35は、運転情報取得部34により取得されたボイラ群60の運転台数情報に基づいて、ボイラ52の運転台数が増加したか否かを判定する(ステップS312)。
【0112】
ステップS312において、ボイラ52の運転台数は増加していないと判定した場合(ステップS312:No)、台数補正部35は、台数決定部33において決定された給水加温ユニット1の基本運転台数N0を補正することなく、その基本運転台数N0を最新の補正運転台数N1に設定する(ステップS313)。
【0113】
台数補正部35は、給水加温ユニット群20の運転台数として、ステップS313において設定した最新の補正運転台数N1を導出する(ステップS317)。
【0114】
すなわち、ボイラ52の運転台数が変化していない場合、台数補正部35は、給水加温ユニット群20の運転台数として、水位センサ50の検出水位値Hsに基づいて決定された基本運転台数N0を導出する。
【0115】
ステップS312において、ボイラ52の運転台数が1台増加したと判定した場合(ステップS312:Yes)、台数補正部35は、ボイラ52の運転台数の増加が起こる直前の補正運転台数N1に1台分加算した台数を最新の補正運転台数N1に設定する(ステップS314)。
【0116】
例えば、ステップS312の判定時の直前の補正運転台数N1が3台であり、ボイラ52の運転台数が1台分増加した場合、台数補正部35は、ステップS312において、給水加温ユニット群20の運転台数の増台が必要と判断する。台数補正部35は、ボイラ52の運転台数の増加が起こる直前の補正運転台数N1(3台)に1台分加算した台数を最新の補正運転台数N1(4台)に設定する。
【0117】
すなわち、ボイラ52の運転台数が増加した場合、台数補正部35は、給水加温ユニット群20の運転台数として、直前の補正運転台数N1に1台分加算した台数を導出する。ボイラ52の運転台数が1台増加した場合、台数補正部35は、水位センサ50の検出水位値を考慮することなく、給水加温ユニット1の運転台数を1台増加させる。
【0118】
台数補正部35は、補正運転台数N1に1台分加算して補正運転台数N1を更新してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS315)。所定時間は、例えば10分である。
【0119】
ステップS315において、所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS315:No)、台数補正部35は、給水加温ユニット群20の運転台数として、ステップS314において設定した最新の補正運転台数N1を導出する(ステップS317)。
【0120】
ステップS315において、所定時間が経過したと判定した場合(ステップS315:Yes)、台数補正部35は、水位センサ50の検出水位値に基づいて決定された基本運転台数N0を、最新の補正運転台数N1に設定する(ステップS316)。
【0121】
台数補正部35は、給水加温ユニット群20の運転台数として、ステップS316において設定した最新の補正運転台数N1を導出する(ステップS317)。
【0122】
すなわち、ボイラ52の運転台数の増加に伴い給水加温ユニット1の運転台数を増加させた後、ボイラ52の運転台数が変化することなく所定時間が経過した場合、台数補正部35は、水位センサ50の検出水位値に基づいて決定された基本運転台数N0を最新の補正運転台数N1に設定する。所定時間経過後、給水加温ユニット群20の運転台数は、水位センサ50の検出水位値Hsに基づいて制御される。
【0123】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、ボイラ52の運転台数が変更されない場面又はボイラ52の運転台数が減少する場面においては、給水加温ユニット群20の運転台数は、水位センサ50の検出水位値に基づいて増減される。これにより、温水タンク51は、適正な水位に維持される。一方、ボイラ52の運転台数が増加してボイラ群60の総給水要求量Q1が急激に増加する場面においては、給水加温ユニット群20の運転台数は、ボイラ52の運転台数の増加に連動して増加する。これにより、ボイラ群60の総給水要求量Q1が急激に増加して温水タンク51の水位が急激に低下する可能性がある場面においても、総給水要求量Q1の増加に連動するように、給水加温ユニット群20の運転台数が増加するので、温水タンク51が低水位状態になってしまうことが防止される。また、温水タンク51には、給水加温ユニット群20で生成された温水HWが供給されるので、温水タンク51において、水位低下のみならず水温低下も防止される。
【0124】
ボイラ52の運転台数が増加してボイラ群60の総給水要求量Q1が急激に増加する場面においても、水位センサ50の検出水位値に基づいて給水加温ユニット群20の運転台数を増減させる制御が維持されると、給水加温ユニット群20から温水タンク51に対する温水HWの補給が間に合わず、温水タンク51の水位がバイパス開放水位まで下降してしまう可能性が高くなる。温水タンク51の水位がバイパス開放水位まで下降してしまうと、給水タンク2の給水CW(冷水)がバイパス流路12を介して温水タンク51に供給されてしまう。その結果、温水タンク51の水温が低下してしまう。
【0125】
本実施形態によれば、ボイラ52の運転台数が増加してボイラ群60の総給水要求量Q1が急激に増加する場面においては、水位センサ50の検出水位値によらずに、第1台数制御装置70から出力されるボイラ群60の運転情報に基づいて、ボイラ52の運転台数の増加に連動するように給水加温ユニット1の運転台数が増加される。これにより、ボイラ群60の総給水要求量Q1が急激に増加して温水タンク51の水位が低下する可能性がある場面においても、給水加温ユニット群20で生成された温水HWが温水タンク51に素早く補給される。したがって、温水タンク51の低水位状態及び水温低下が防止される。
【0126】
また、ボイラ52の運転台数の増加に連動して給水加温ユニット1の運転台数を増加させた後、ボイラ52の運転台数が変化することなく所定時間が経過した場合、給水加温ユニット群20の運転台数の制御は、ボイラ群60の運転情報に基づく制御から、水位センサ50の検出水位値に基づく制御に移行する。これにより、温水タンク51は、適正な水位に維持される。
【0127】
[2]第2実施形態
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0128】
図6は、本実施形態に係るボイラシステム100の制御方法を説明するためのフローチャートである。
図6は、上述の実施形態で説明した
図4の補正運転台数導出処理(ステップS3)のサブルーチンを示す。
図6に示す処理は、規定の周期で実施される。
【0129】
運転情報取得部34は、ボイラ群60の運転情報を取得する。本実施形態において、運転情報取得部34は、第1台数制御装置70から、ボイラ群60の運転情報として、ボイラ群60の総燃焼量を示す総燃焼量情報を取得する(ステップS321)。
【0130】
第1台数制御装置70は、蒸気圧センサ65の検出蒸気圧値に基づいて、ボイラ群60の総燃焼量を制御する。したがって、運転情報取得部34は、第1台数制御装置70から、ボイラ群60の総燃焼量情報を取得することができる。
【0131】
台数補正部35は、運転情報取得部34により取得されたボイラ群60の総燃焼量情報に基づいて、ボイラ群60の総給水要求量Q1を算出する(ステップS322)。
【0132】
ボイラ52の給水要求量は、ボイラ52の燃焼量に比例する。ボイラ群60の総給水要求量Q1は、ボイラ群60の総燃焼量に比例する。一例として、ボイラ52の燃焼率[%]をA,燃焼率100%時の実際蒸発量[kg/h]をBとし、ボイラ水のブロー率を10[%]としたとき、ボイラ52の給水要求量[L/h]は、[A×B×1.1]により算出される。
【0133】
能力取得部37は、給水加温ユニット1の1台ごとの温水製造能力qを示す温水製造能力情報を取得する(ステップS323)。
【0134】
温水製造能力qとは、単位時間当たりに規定温度の温水HWを規定流量だけ製造できる能力をいう。給水加温ユニット1は、凝縮器42から出湯される温水HWの温度を検出する温度センサ8と、凝縮器42から出湯される温水HWの流量を検出する流量センサ(不図示)とを有する。温度センサ8の検出温度値及び流量センサの検出流量値は、ローカル制御装置9に出力される。ローカル制御装置9は、温度センサ8の検出温度値及び流量センサの検出流量値に基づいて、そのローカル制御装置9が属する給水加温ユニット1の温水製造能力qを算出する。能力取得部37は、給水加温ユニット1の1台ごとの温水製造能力qをローカル制御装置9から取得することができる。
【0135】
台数補正部35は、少なくとも能力取得部37で取得した温水製造能力情報に基づいて、給水加温ユニット群20の総温水製造量Q2を算出する(ステップS324)。
【0136】
総温水製造量Q2とは、運転中の給水加温ユニット1の温水製造能力qの総和をいう。例えば、運転中の給水加温ユニット1の運転台数が3台であり、それら3台のそれぞれの温水製造能力qがq1,q2,q3である場合、総温水製造量Q2は、[q1+q2+q3]である。
【0137】
なお、給水加温ユニット1の1台ごとの温水製造能力情報が、ローカル制御装置9又は記憶部32に記憶されていてもよい。温水製造能力qは、給水加温ユニット1の設計情報又は事前調査により導出可能であり、ローカル制御装置9又は記憶部32に記憶することができる。ローカル制御装置9又は記憶部32に記憶される温水製造能力qは、複数の給水加温ユニット1の温水製造能力qの平均値(標準値)でもよい。能力取得部37は、ローカル制御装置9又は記憶部32から給水加温ユニット1の1台ごとの温水製造能力情報を取得してもよい。温水製造能力の平均値をqとし、水位センサ50の検出水位値により導出される基本運転台数をN0とした場合、総温水製造量Q2は、[q×N0]である。
【0138】
総給水要求量Q1及び総温水製造量Q2が算出された後、台数補正部35は、総給水要求量Q1と総温水製造量Q2の比較により補正運転台数N1を導出する(ステップS325)。
【0139】
台数補正部35は、総給水要求量Q1と総温水製造量Q2とを比較して、総給水要求量Q1が総温水製造量Q2を上回ると判定した場合(Q1>Q2の場合)、給水加温ユニット群20による総温水製造量Q2が不足している、すなわち、温水タンク51に対する温水HWの流量が不足していると判定する。その場合、台数補正部35は、運転台数が増加するように基本運転台数N0を補正して、補正運転台数N1を導出する。
【0140】
総給水要求量Q1と総温水製造量Q2との差が、1台の給水加温ユニット1の温水製造能力qを上回る場合(Q1-Q2>qの場合)、台数補正部35は、給水加温ユニット群20の現状の運転台数である基本運転台数N0に2台分加算した台数を最新の補正運転台数N1に設定する。すなわち、台数補正部35は、[N1[台]=N0[台]+2[台]]の条件が成立するように、補正運転台数N1を設定する。
【0141】
総給水要求量Q1と総温水製造量Q2との差が、1台の給水加温ユニット1の温水製造能力q以下である場合(Q1-Q2≦qの場合)、台数補正部35は、給水加温ユニット群20の現状の運転台数である基本運転台数N0に1台分加算した台数を最新の補正運転台数N1に設定する。すなわち、台数補正部35は、[N1[台]=N0[台]+1[台]]の条件が成立するように、補正運転台数N1を設定する。
【0142】
台数補正部35は、総給水要求量Q1と総温水製造量Q2とを比較して、総給水要求量Q1が総温水製造量Q2を下回ると判定した場合(Q1<Q2の場合)、給水加温ユニット群20による総温水製造量Q2が余剰している、すなわち、温水タンク51に対する温水HWの流量が過剰であると判定する。その場合、台数補正部35は、運転台数が減少するように基本運転台数N0を補正して、補正運転台数N1を導出する。
【0143】
総給水要求量Q1と総温水製造量Q2との差が、1台の給水加温ユニット1の温水製造能力q以上である場合(Q2-Q1≧qの場合)、台数補正部35は、給水加温ユニット群20の現状の運転台数である基本運転台数N0から1台分減算した台数を最新の補正運転台数N1に設定する。すなわち、台数補正部35は、[N1[台]=N0[台]-1[台]]の条件が成立するように、補正運転台数N1を設定する。
【0144】
総給水要求量Q1と総温水製造量Q2との差が、1台の給水加温ユニット1の温水製造能力qを下回る場合(Q2-Q1<qの場合)、台数補正部35は、給水加温ユニット群20の現状の運転台数である基本運転台数N0を補正せずに、最新の補正運転台数N1に設定する。すなわち、台数補正部35は、[N1[台]=N0[台]]の条件が成立するように、補正運転台数N1を設定する。
【0145】
台数補正部35は、総給水要求量Q1と総温水製造量Q2とを比較して、総給水要求量Q1と総温水製造量Q2とが等しいと判定した場合(Q1=Q2の場合)、給水加温ユニット群20による総温水製造量Q2は適正である、すなわち、温水タンク51に対する温水HWの流量は適正であると判定する。その場合、台数補正部35は、給水加温ユニット群20の現状の運転台数である基本運転台数N0を補正せずに、最新の補正運転台数N1に設定する。すなわち、台数補正部35は、[N1[台]=N0[台]]の条件が成立するように、補正運転台数N1を設定する。
【0146】
以上説明したように、本実施形態においても、温水タンク51の低水位状態及び水温低下が防止される。
【0147】
[3]コンピュータシステム
図7は、コンピュータシステム1000の一例を示すブロック図である。上述のローカル制御装置9は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の第1台数制御装置70、ローカル制御装置55、第2台数制御装置30、及びローカル制御装置9の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0148】
[4]他の実施形態
図8は、本実施形態に係る熱交換器400の一例を示す模式図である。上述の実施形態においては、給水加温ユニット1が蒸気圧縮式ヒートポンプ4を備えており、凝縮器42が熱交換器として設けられ、圧縮機41が第1流通切換手段として設けられることとした。また、ガス冷媒REgと給水CWとの熱交換により給水CWが加温されることとした。
【0149】
図8に示すように、給水加温ユニット1には、給水CWと熱源水SWとの熱交換により給水CWを加温する熱交換器400が設けられてもよい。また、熱交換器400に対する高温流体(熱源水SW)の流通状態と非流通状態とを切り換える第1流通切換手段として、熱交換器400に対する熱源水SWの供給と停止とを切り換え可能な熱源水ポンプ500が設けられてもよい。また、第1流通切換手段として、熱交換器400に対する熱源水SWの供給と停止とを切り換え可能な開閉弁が設けられてもよい。
【0150】
なお、上述の実施形態においては、給水ポンプ6が可変容量ポンプであることとした。給水ポンプ6は、固定容量ポンプでもよい。固定容量ポンプである給水ポンプ6が給水流路10に配置される場合、流量調節手段として機能する比例制御弁が給水流路10に配置されてもよい。比例制御弁の開度が制御されることにより、凝縮器42(熱交換器400)に対する給水CWの流量が調節される。給水加温ユニット1の運転時において、比例制御弁が開き、凝縮器42に給水CWを供給する。給水加温ユニット1の停止時において、比例制御弁が閉じ、凝縮器42に対する給水CWを遮断する。台数変更水位状態においては、温度センサ8の検出温度値が目標温度値Trになるように、比例制御弁の開度が制御される。
【0151】
なお、例えば熱源水タンク3の熱源水SWが加圧状態であるとき、熱源水ポンプ5が省略されても、熱源水タンク3の熱源水SWは、熱源水流路13を介して蒸発器44に供給される。そのため、熱源水タンク3の熱源水SWが加圧状態であるとき、第2流通切換手段として、開閉弁が熱源水流路13に設けられてもよい。開閉弁の開閉動作により、蒸発器44(熱交換器400)に対する熱源水SWの流通状態と非流通状態とを切り換えることができる。給水加温ユニット1の運転時において、開閉弁が開き、蒸発器44に熱源水SWが供給される。給水加温ユニット1の停止時において、開閉弁が閉じ、蒸発器44に対する熱源水SWの供給が遮断される。
【符号の説明】
【0152】
1…給水加温ユニット、2…給水タンク、3…熱源水タンク、4…ヒートポンプ、5…熱源水ポンプ(第2流通切換手段)、6…給水ポンプ(流量調節手段)、7…補給ポンプ、8…温度センサ(温度検出手段)、9…ローカル制御装置(ローカル制御手段)、10…給水流路、11…温水流路、12…バイパス流路、13…熱源水流路、14…供給流路、15…オーバーフロー路、16…警報装置、20…給水加温ユニット群、30…第2台数制御装置(第2台数制御手段)、31…検出水位取得部、32…記憶部、33…台数決定部、34…運転情報取得部、35…台数補正部、36…運転指令部、37…能力取得部、38…補給制御部、39…警報制御部、41…圧縮機(第1流通切換手段)、42…凝縮器、43…膨張弁、44…蒸発器、45…過冷却器、46…廃熱回収熱交換器、47…循環流路、50…水位センサ(水位検出手段)、51…温水タンク、52…ボイラ、53…温水流路、54…温水ポンプ、55…ローカル制御装置、60…ボイラ群、61…蒸気ヘッダ、62…蒸気流路、63…蒸気流路、64…蒸気使用機器、65…蒸気圧センサ、70…第1台数制御装置(第1台数制御手段)、91…第1流通切換制御部、92…第2流通切換制御部、93…検出温度取得部、94…流量制御部、100…ボイラシステム、CW…給水、HW…温水、RE…冷媒、REg…ガス冷媒、REl…液冷媒、SW…熱源水。