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特許7103126撮影位置の補正装置、撮影位置の補正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】撮影位置の補正装置、撮影位置の補正方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/70 20170101AFI20220712BHJP
【FI】
G06T7/70 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018183870
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020052903
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】堀 貴雅
(72)【発明者】
【氏名】藤原 伸行
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05559894(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラで撮影されたメータ群の画像からメータ表示情報を読み取る際に前記カメラの撮影位置を補正する装置であって、
前記カメラで撮影された画像が入力される画像入力部と、
前記画像入力部から入力された撮影画像内に前記全メータが撮影されているか否かを確認する撮影位置確認部と、
前記撮影位置確認部にて前記全メータの撮影が確認されなければ、カメラの撮影位置を補正する撮影位置補正部と、を備え、
前記撮影位置確認部は、事前に用意された前記各メータのテンプレート画像と前記撮影画像とのパターンマッチングを実行し、メータ毎の相関値を撮影位置確認結果として出力し、
前記撮影位置補正部は、前記各相関値と事前設定の閾値とを比較し、すべての前記相関値が前記閾値より小さくなければ前記撮影画像を正常と判定する一方、
前記相関値が前記閾値よりも小さいメータがあれば前記撮影位置の異常を判定して前記撮影位置を補正する
ことを特徴とする撮影位置の補正装置。
【請求項2】
前記補正後の撮影画像を前記画像入力部から入力し、
前記撮影位置確認部にて前記補正後の撮影画像内に前記全メータが撮影されているか否かを再確認し、
前記撮影位置補正部は、前記再確認の結果として前記全メータの撮影が確認されなければ、
前記補正後の撮影画像の撮影位置を再補正することを特徴とする請求項1に記載された撮影位置の補正装置。
【請求項3】
前記撮影位置補正部は、前記メータ群の水平方向の一方側または垂直方向の一方側に配置された前記メータの前記相関値が前記閾値よりも小さければ、
前記撮影位置を前記一方側に補正することを特徴とする請求項1または2に記載された撮影位置の補正装置。
【請求項4】
前記撮影位置補正部は、二つの前記閾値(閾値1>閾値2≠0)を用いて前記相関値を三段階で評価し、
「相関値≧閾値1」を「高」と評価し、「閾値1>相関値≧閾値2」を「中」と評価し、「閾値2>相関値≧0」を「低」と評価し、
すべての前記相関値の評価が「低」であれば、前記撮影画像の四隅を特徴として、それぞれの特徴が中心となるように順に撮影位置を補正し、
前記撮影位置確認部で出力された前記補正後の撮影画像の相関値を、二つの前記閾値を用いて前記三段階で再評価し、
前記再評価の結果、前記メータ群の水平方向の一方側または垂直方向の一方側の前記評価が低ければ、
前記一方側に撮影位置を補正することを特徴とする請求項2記載された撮影位置の補正装置。
【請求項5】
カメラで撮影されたメータ群の画像からメータ表示情報を読み取るにあたって、コンピュータにより前記カメラの撮影位置を補正する方法であって、
前記カメラで撮影された画像を入力する画像入力ステップと、
前記画像入力ステップで入力された撮影画像内に前記全メータが撮影されているか否かを確認する撮影位置確認ステップと、
前記撮影位置確認ステップにて前記全メータの撮影が確認されなければ、カメラの撮影位置を補正する撮影位置補正ステップと、有し、
前記撮影位置確認ステップにおいて、事前に用意された前記各メータのテンプレート画像と前記撮影画像とのパターンマッチングを実行し、メータ毎の相関値を撮影位置確認結果として出力し、
前記撮影位置補正ステップにおいて、前記各相関値と事前設定の閾値とを比較し、すべての前記相関値が前記閾値より小さくなければ前記撮影画像を正常と判定する一方、
前記相関値が前記閾値よりも小さいメータがあれば前記撮影位置の異常を判定して前記撮影位置を補正する
ことを特徴とする撮影位置の補正方法。
【請求項6】
前記画像入力ステップは、前記補正後の撮影画像を再入力するステップを有し、
前記撮影位置確認ステップは、前記補正後の撮影画像内に前記全メータが撮影されているか否かを再確認するステップを有し、
前記撮影位置補正ステップは、前記再確認の結果として前記全メータの撮影が確認されなければ、前記補正後の撮影画像の撮影位置を再補正するステップを有する
ことを特徴とする請求項5に記載された撮影位置の補正方法。
【請求項7】
前記撮影位置補正ステップにおいて、
前記メータ群の水平方向の一方側または垂直方向の一方側に配置された前記メータの前記相関値が前記閾値よりも小さければ、
前記撮影位置を前記一方側に補正することを特徴とする請求項5または6に記載された撮影位置の補正方法。
【請求項8】
前記撮影位置補正ステップにおいて、二つの前記閾値(閾値1>閾値2≠0)を用いて前記相関値を三段階で評価し、
「相関値≧閾値1」を「高」と評価し、「閾値1>相関値≧閾値2」を「中」と評価し、「閾値2>相関値≧0」を「低」と評価し、
すべての前記相関値の評価が「低」であれば、前記撮影画像の四隅を特徴として、それぞれの特徴が中心となるように順に撮影位置を補正し、
前記撮影位置確認ステップで出力された前記補正後の撮影画像の相関値を、二つの前記閾値を用いて前記三段階で再評価し、
前記再評価の結果、前記メータ群の水平方向の一方側または垂直方向の一方側の前記評価が低ければ、
前記一方側に撮影位置を補正することを特徴とする請求項6に記載された撮影位置の補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば制御盤などアナログメータをカメラで撮影してメータ表示情報(指示値やランプの点灯状態など)を読み取る際に撮影位置を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように電力や水処理などのインフラ設備において、回転機などの設備が正常に動作しているか否かを現場作業員が日々点検している。日々の点検作業の際は、制御盤などに設置されているアナログメータの指示値を記録し、また異常があればアナログメータの指示値を確認する。
【0003】
このアナログメータについては、現在のところ監視制御システムに計装データとして収集する仕組みが無い場合が多い。そのため、現場の作業員が直接視認しなければならず、また新たに前記指示値を計装データとして収集するためには工事が必要となってしまう。
【0004】
そこで、特許文献1~4のようにアナログメータや表示ランプなどをカメラで撮影し、撮影画像の画像処理によってメータ表示情報を読み取る装置が提案されている。ここで読み取られた情報は、有線LANや無線LANなどの通信網を経由して監視制御システムやクラウドシステムなどで収集されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-182021
【文献】特開2006-120133
【文献】特開2017-207910
【文献】特開2017-126187
【非特許文献】
【0006】
【文献】“法人向け商品 サポート BB-SC384B 特長”,〔online〕 〔平成30年9月7日検索〕,インターネット<URL:https://sol.panasonic.biz/security/netwkcam/lineup/sc384b.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、作業員が現場に設置したカメラに触れたことや、あるいはカメラの電源ON/OFF時のキャリブレーションなどが原因でカメラの撮影位置がずれる場合が少なくない。
【0008】
この場合にはメータの撮影ができず、メータ表示情報の読み取りに異常が発生するため、カメラの撮影位置を補正する必要がある。ところが、特許文献1~4の読取装置は、撮影対象の微小な誤差(ずれ)に対しては画像処理で補正可能なものの、メータの半分以上が見切れると補正できないおそれがある。
【0009】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされ、カメラの撮影位置が大きくずれてしまった場合に適切に補正し、メータ表示情報を確実に読み取ることを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の一態様は、カメラで撮影されたメータ群の画像からメータ表示情報を読み取る際に前記カメラの撮影位置を補正する装置であって、
前記カメラで撮影された画像が入力される画像入力部と、
前記画像入力部から入力された撮影画像内に前記全メータが撮影されているか否かを確認する撮影位置確認部と、
前記撮影位置確認部にて前記全メータの撮影が確認されなければ、カメラの撮影位置を補正する撮影位置補正部と、を備え、
前記撮影位置確認部は、事前に用意された前記各メータのテンプレート画像と前記撮影画像とのパターンマッチングを実行し、メータ毎の相関値を撮影位置確認結果として出力し、
前記撮影位置補正部は、前記各相関値と事前設定の閾値とを比較し、すべての前記相関値が前記閾値より小さくなければ前記撮影画像を正常と判定する一方、
前記相関値が前記閾値よりも小さいメータがあれば前記撮影位置の異常を判定して前記撮影位置を補正することを特徴としている。
【0011】
(2)本発明の他の態様は、カメラで撮影されたメータ群の画像からメータ表示情報を読み取るにあたって、コンピュータにより前記カメラの撮影位置を補正する方法であって、
前記カメラで撮影された画像を入力する画像入力ステップと、
前記画像入力ステップで入力された撮影画像内に前記全メータが撮影されているか否かを確認する撮影位置確認ステップと、
前記撮影位置確認ステップにて前記全メータの撮影が確認されなければ、カメラの撮影位置を補正する撮影位置補正ステップと、有し、
前記撮影位置確認ステップにおいて、事前に用意された前記各メータのテンプレート画像と前記撮影画像とのパターンマッチングを実行し、メータ毎の相関値を撮影位置確認結果として出力し、
前記撮影位置補正ステップにおいて、前記各相関値と事前設定の閾値とを比較し、すべての前記相関値が前記閾値より小さくなければ前記撮影画像を正常と判定する一方、
前記相関値が前記閾値よりも小さいメータがあれば前記撮影位置の異常を判定して前記撮影位置を補正することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カメラの撮影位置が大きくずれてしまった場合であっても、適切に補正されるため、メータ表示情報を確実に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る撮影位置の補正装置を構成するメータ読取装置の設置状況を示す配置図。
図2】(a)はカメラを天井などに設置した状態を示す概略図、(b)は回動アームを用いてカメラを設置した状態を示す概略図。
図3図1のメータ読取装置の構成図。
図4】同 処理内容を示すフローチャート。
図5】同 メータの表示名の拡大図。
図6】(a)は表示名を含むテンプレート画像例、(b)は表示名およびマーカ(異形状)を含むテンプレート画像例、(c)は表示名およびマーカ(異色)を含むテンプレート画像例。
図7】(a)は正常な撮影画像データおよび相関値の説明図、(b)は実施例1の撮影画像データおよび相関値の説明図、(c)は実施例2の撮影画像データおよび相関値の説明図。
図8】(a)は実施例3の撮影画像データおよび相関値の説明図、(b)は第1次補正後の補正データおよび相関値の説明図、(c)は第2次補正後の補正データおよび相関値の説明図、(d)は第3次補正後の補正データおよび相関値の説明図。
図9】(a)は実施例4の撮影画像データおよび相関値の説明図、(b)は第1補正後の補正データおよび相関値の説明図、(c)は第2次補正後の補正データおよび相関値の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る撮影位置の補正装置を説明する。この補正装置は、カメラの撮影画像からアナログメータのメータ表示情報(例えばメータの指示値やランプの点灯状態など)を読み取るメータ読取装置に内蔵され(組み込まれ)、該メータ読取装置にカメラの撮影位置を補正する機能を付加している。
【0015】
図1中の1は、前記メータ読取装置を示している。このメータ読取装置1は、制御盤2の正面に配置されたアナログメータ群4に撮影させ、撮影された撮影画像データを収集してアナログメータ群4のメータ表示情報を読み取っている。ここではカメラ3は、画角を調整・制御できる機能を備える必要があり、例えば非特許文献1に記載されたネットワークカメラなどを使用することができる。
【0016】
図2に基づきカメラ3の設置状況を説明する。まず、図2(a)に示すように、室内の天井5にボルトとナットを用いて固定し、矢印X方向から制御盤2のアナログメータ4群を撮影することができる。また、制御盤2に対向する制御盤7の平面7aにマグネットなどでカメラ3を固定し、矢印Y方向から撮影することもできる。
【0017】
つぎに図2(b)に示すように、制御盤2の天井2aに可動アーム6の基部を設置する一方、可動アーム6の先端にカメラ3を取り付けることもできる。この場合には可動アーム6を回動させ、矢印Z方向からアナログメータを撮影することができる。
【0018】
なお、制御盤2などが設置される場所は蛍光灯などの照明が無い場合が多いことから、カメラ3の付近に照明を設置したり、対策や赤外線などを撮影できる機能を備えたカメラ3を設置してもよい。
【0019】
また、画角や画質の関係上、精度良く読み取るため、カメラ3は可能な限りアナログメータ群4と正対させ、かつアナログメータ群4と近い位置に設置することが好ましい。
【0020】
≪構成例≫
図3に基づき前記読取装置1の構成例を説明する。ここでは前記読取装置1は、カメラ3と有線/無線によりデータ送受信が可能に接続されているものとする。
【0021】
具体的には前記読取装置1は、コンピュータを主体に構成され、通常のコンピュータのハードウェアリソース(例えばCPU,RAMやROMなどの主記記憶装置,SSDやSDカードなどの補助記憶装置等)を備える。このハードウェアリソースとソフトウェアリソースとの協働の結果、前記読取装置1は、画像入力部10,記憶部11,処理設定部12,撮影位置確認部13,撮影位置補正部14,メータ読取部15,読取結果伝送部16を実装する。
【0022】
ここでは記憶部11は前記記憶装置に構築されている一方、前記読取装置1の補正機能は主に前記各部12~14により実行され、カメラ3の撮影画像データが画像入力部10に入力される。この入力により収集された撮影画像データが、前記記憶装置に構築された記憶部11に保存される。
【0023】
処理設定部12は、記憶部11に記憶された撮影画像データを入力とし、アナログメータ群4の個々のメータ位置を確認するために必要なメータ情報を設定し、設定されたメータ情報は記憶部11に出力されて保存させる。
【0024】
撮影位置確認部13は、記憶部11に記憶された撮影画像データおよびメータ情報を入力として画像処理を施し、アナログメータ群4のすべてのメータが撮影画像データ内に撮影されているか否かを確認する。この撮影位置の確認結果は、記憶部11に出力されて保存される。
【0025】
撮影位置補正部14は、記憶部11に記憶された撮影画像データとメータ表示情報と撮影位置の確認結果とを入力とし、撮影位置の確認結果に応じてカメラの撮影位置を補正させる。この補正は、アナログメータ群4のすべてのメータが撮影画像データ内に撮影されてない場合に実行される一方、撮影されていれば実行されない。また、補正後の撮影位置補正画像データ(以下、補正データとする。)内にすべてのメータが撮影されていなければ再補正が実行される一方、撮影されていれば補正データが記憶部11に出力され、該撮影画像に上書き保存される。
【0026】
メータ読取部15は、記憶部11に記憶された撮影画像データ(補正画像データを含む。)を入力とし、アナログメータ群4の各メータ表示情報(例えばメータの指示値やランプの点灯状態など)を読み取る。このメータ表示情報の読取結果データは、記憶部11に出力されて保存される。
【0027】
読取結果伝送部16は、記憶部11に記憶された読取結果データを入力とし、入力された読取結果データをネットワーク経由で監視制御システムやクラウドなどに伝送する。例えば読取結果伝送部16は、有線/無線の通信デバイスで構成することができる。
【0028】
≪処理内容≫
図4に基づき前記読取装置1の処理内容(S01~S05)を説明する。ここでは図5の制御盤2のアナログメータ群4を撮影し、各メータ4a~4dのメータ表示情報を読み取る際の処理を説明する。
【0029】
S01:処理が開始されると、画像入力部10により制御盤2のアナログメータ群4の撮影画像データが収集される。ここではカメラ3から出力されたアナログメータ群4の撮影画像データが入力され、記憶部11に保存される。以後、S02~S04の処理は、記憶部11に保存された撮影画像データに基づき実施される。
【0030】
S02:処理設定部12は、入力された撮影画像データに基づきメータ情報を設定し、設定されたメータ情報を記憶部11に出力して保存させる。
【0031】
このメータ情報の設定に際しては、事前に用意された各メータ4a~4dのテンプレート画像を選択する。すなわち、図5に示すように、一般的にメータなどには、何を出力しているのかを示す表示名(ネームプレート)Sが併せて設置されていることが多い。そこで、カメラ3の撮影位置を特定するため、各メータ4a~4dと表示名Sを含んだ画像データをテンプレート画像データとする。
【0032】
例えば図6(a)中のa-1,a-2は、表示名Sを含んだテンプレート画像を示している。また、図6(b)中のb-1,b-2は、表示名Sとマーカ(異形状)Mを含んだテンプレート画像を示している。さらに図6(c)中のc-1,c-2は、表示名Sとマーカ(異色)Mを含んだテンプレート画像を示している。
【0033】
このようなテンプレート画像データは、あらかじめ制御盤4の製造番号などをIDに登録されている。ここではユーザ入力の前記製造番号などをキーにアナログメータ4群の各テンプレート画像データが選択され、制御盤2のアナログメータ群4の撮影位置の確認用に設定される。
【0034】
また、撮影した画像データ内にアナログメータ4群が含まれているか否かを判定するための閾値(テンプレート画像データと誤差の閾値など)や、テンプレート画像データ上のメータ位置などもメータ情報として設定する。なお、閾値は、メータ4a~4dごとに設定でき、工場出荷時のデフォルト値のまま設定してもよく、ユーザ入力の値を設定してもよいものとする。
【0035】
S03:撮影位置確認部13は、入力された撮影画像データおよびメータ情報に基づきアナログメータ群4のすべてのメータが撮影画像データ内に撮影されているか否かを確認する。
【0036】
具体的には撮影画像データと各メータ4a~4dのテンプレート画像とのパターンマッチングを実行し、パターンマッチングで算出された相関値を撮影位置確認結果として記憶部11に出力して保存させる。このパターンマッチングは、アナログメータ群4の各メータ4a~4dのそれぞれに対して実行し、各実行結果の集合を撮影位置確認結果とする。この撮影位置確認結果は、記憶部11に出力されて保存される。
【0037】
S04,S05:撮影位置補正部14は、入力された撮影画像データとメータ情報と撮影位置確認結果とに基づきカメラ3の撮影位置が正常か否かを判定する(S04)。
【0038】
具体的には撮影位置確認結果に示されたすべての相関値が前記閾値よりも小さくなければ、カメラ3の撮影位置が正常と判定され、S06に進む。一方、撮影位置確認結果に示されたいずれかの相関値が、前記閾値よりも小さい場合にはカメラ3の撮影位置が異常(ずれている)と判定され、カメラ3に撮影位置の補正指令が出力される。
【0039】
この補正指令が出力された場合には、例えば非特許文献1に記載されたパン(表示可能範囲:最大360度)・チルト(表示可能範囲:最大162度)・ズーム(18倍光学ズーム,2倍EXズーム)などの画角調整機能により撮影位置の補正処理が行われる(S05)。
【0040】
この補正処理後に撮影した補正データが、画像入力部10により入力され(S01)、S02およびS03の処理を経た後にS04の再判定が行われる(ただし、S04は前回の設定を用いることができる。)。
【0041】
その際、補正データが正常と判定されれば記録部11に出力されてS07に進む一方、異常と判定されれば補正指示が出力され、再補正を行う(S05)。このS01~S05の処理を正常と判定されるまで繰り返す。
【0042】
S06,S07:メータ読取部15は、S04の判定が正常の撮影画像データ(補正データを含む。)に基づき各メータ4a~4dのメータ表示情報の読み取りを実行する(S06)。このメータ表示情報の読み取りには、例えば特許文献4の方法を用いることができる。
【0043】
なお、読取結果伝送部16は、S06の読み取り結果を監視制御システムやクラウドなどに伝送するために、メータ読取結果の伝送処理を実行する(S07)。
【0044】
≪実施例≫
以下、実施例1~4に基づき前記読取装置1による撮影画像データの補正処理を説明する。この実施例1,2は、アナログメータ群(横一列)4の一部が見切れている場合の補正処理を示している。また、実施例3は、同アナログメータ群4の全部が見切れている場合の補正処理を示している。さらに実施例4は、アナログメータ群(3行×3列)4の一部が見切れている場合の補正処理を示している。
【0045】
(1)実施例1
図7(a)(b)に基づき実施例1を説明する。この図7(a)は正常判定された撮影画像データと相関値の評価とを示し、図7(b)は実施例1の撮影画像と相関値の評価とを示し、相関値表E中のメータ1~4はアナログメータ群4のメータ4a~4dを示している。
【0046】
この相関値表Eは、各メータ1~4の相関値を二つの閾値1,2(閾値1>閾値2≠0)を用いて比較した結果を示し、各メータ1~4の相関値を三段階で評価している。この閾値1,2は、経験則に基づき定められた値が好ましく、例えば「閾値1=0.7~0.8」程度・「閾値2=0.3~0.5」程度を目安に値を定めることができる。
【0047】
具体的には前記相関値表Eは、「相関値≧閾値1」を「高」と評価し、「閾値1>相関値≧閾値2」を「中」と評価し、「閾値2>相関値≧0」を「低」と評価している(実施例2~4も同じ評価とする。)。
【0048】
図7(a)の撮影画像データは、メータ1~4のすべての相関値が「高」と評価されているため、S04の処理時にカメラ3の撮影位置が正常と判定され(S04)、補正処理が行われない。
【0049】
一方、図7(b)の撮影画像データは、メータ3,4の相関値が「高」と評価されているものの、メータ2の相関値が「中」と評価され、かつメータ1の相関値が「低」と評価されている。したがって、図7(b)の撮影画像データは、S04の処理時にカメラ3の撮影位置が異常(ずれている)と判定される。
【0050】
このとき図7(b)の撮影画像データは、前記相関値の評価によればメータ1~4群の一部が見切れた状態、即ちメータ1が完全に見切れ、メータ2の一部が見切れた状態と想定される。
【0051】
したがって、カメラ3を相関値の評価が低い水平方向、即ち矢印L方向に補正する補正指令が出力され、該補正指令に応じた補正処理が行われる(S05)。この場合の各メータ1~4の位置はS02で設定されたテンプレート画像上のメータ位置を参照すればよく、該メータ位置に応じた長さ分だけ矢印L方向に補正される。
【0052】
その結果、実施例1の補正処理によれば、アナログメータ群4の水平方向の一部が見切れた状態、例えば水平方向の一方側のメータが完全に見切れた状態/一部のメータの水平方向の大半が見切れた状態であっても、カメラ3が適切な撮影位置に自動的に補正され、この点でメータ表示情報を確実に読み取ることが可能となる。
【0053】
(2)実施例2
図7(c)に基づき実施例2を説明する。この図7(c)の撮影画像データは、メータ1~2のすべての相関値が「中」と評価されているため、S04の処理時にカメラ3の撮影位置が異常と判定される。
【0054】
また、前記相関値の評価によれば、図7(c)の撮影画像データは、各メータ1~4の垂直方向の上下の一方が見切れている状態と想定される。したがって、カメラ3の撮影位置を垂直方向に沿って上下に補正する補正指示が順に出力される。この上下方向の補正を実施する順番は、事前に定めておくものとする。
【0055】
ここでは最初にカメラ3の撮影位置を垂直方向に沿って矢印U方向(上方向)に補正する補正指示が出力されるものとする。この補正指令に応じて第1次補正が行われ(S05)、第1次補正後の補正データが画像入力部10により入力される。
【0056】
この補正データの再判定(S04)は、異常(すべての相関値の評価=中or低)となるため、続いてカメラ3の撮影位置を垂直方向に沿って矢印D方向(下方向)に補正する補正指示が出力される。
【0057】
この補正指令に応じて第2次補正が行われ(S05)、該第2次補正後の補正データが画像入力部10により入力される。この補正データの再判定(S04)は正常(すべての相関値の評価=「高」)となるため、その後にS06の読み取り処理が実行される。なお、撮影位置を調整する際の補正量は、実施例1と同様にテンプレート画像上のメータ位置を参照すればよい。
【0058】
このように実施例2の補正処理によれば、アナログメータ群4の垂直方向の一部が見切れた状態の場合、即ち全メータ4a~4cの上下の一方がそれぞれ見切れた場合であっても、カメラ3を適切な撮影位置に自動的に補正することが可能となる。
【0059】
(3)実施例3
図8に基づき実施例3を説明する。この図8(a)は、撮影位置Fの撮影画像データおよび相関値の評価を示している。この撮影画像データは、メータ1~4のすべての相関値が「低」と評価され、S04の処理時にカメラ3の撮影位置が異常と判定される。また、メータ1~4(4a~4d)のすべてが写っていないため、どの方向にずれているのか不明な状態となっている。
【0060】
そこで、撮影位置Fの周辺にメータ1~4が存在するか否かを補正により探索する。ここでは撮影位置Fの四隅f1~f4を特徴部分とし、各特徴部分f1~f4を中心にする撮影位置に順に補正する。このとき評価の高くなる撮影位置を探索し、最終的には実施例1,2と同様な補正を実行することで撮影位置の補正を完了させる。以下、詳細を説明する。
【0061】
まず、図8(b)に示すように、特徴部分f1を中心とする撮影位置F1に補正する補正指令がカメラ3に出力される。この補正指令に基づき第1次補正が行われ(S05)、撮影位置F1の補正データについて相関値が再計算される。この再結果1によれば、すべての相関値が「低」と評価され、撮影位置F1も異常と判定される(S04)。
【0062】
つぎに図8(c)に示すように、特徴部分f2を中心とする撮影位置F2に補正する補正指令が出力される。この補正指令に基づき第2次補正が行われ(S05)、撮影位置F2の補正データについて相関値が再計算される。この再計算結果2によれば、メータ1,2の相関値が「高」と評価されているものの、メータ3の相関値が「中」と評価され、かつメータ4の相関値が「低」と評価されていることから、撮影位置F2も異常と判定される(S04)。
【0063】
もっとも、前述した再計算結果2の評価によれば、撮影位置F2の補正データは、メータ1~4群の一部が見切れた状態、即ちメータ4が完全に見切れ、メータ3の一部が見切れた状態と想定される。
【0064】
したがって、カメラ3を相関値の低い方向、即ち矢印R方向に補正する補正指令が出力され、該補正指令に基づき撮影位置F3への第3次補正が行われる(S05)。この第3次補正後の補正データは、図8(d)の再計算結果3によれば、すべての相関値が「高」と評価されるため、正常と判定され(S04)、S07の処理に移行する。
【0065】
そうすると実施例3の補正処理によれば、アナログメータ群4の一部が見切れた場合だけでなく、その全部が見切れた場合であっても、カメラ3を適切な撮影位置に自動的に補正することが可能となる。
【0066】
(4)実施例4
図9に基づき実施例4を説明する。ここでは制御盤2の正面には、メータ4a~4iを「3行×3列」に配列したアナログメータ群4が配置されている。また、相関値表Eのメータ1~9は、アナログメータ群4のメータ4a~4iを示している。
【0067】
図9(a)は、撮影位置F11の撮影画像データおよび相関値の評価を示している。この撮影画像データは、メータ7の相関値が「高」と評価されているものの、メータ4,5,8の相関値が「中」と評価され、かつメータ1~3,6,9の相関値が「低」と評価されている。
【0068】
したがって、撮影位置F11の撮影画像データは、アナログメータ4群の一部が見切れた状態と想定され、S04の処理時にカメラ3の撮影位置が異常と判定され、補正指令が出力される。
【0069】
この場合にはカメラ3を相関値の低い方向に補正すればよく、水平方向(矢印R方向)と垂直方向(矢印U方向)の二段階の補正が行われる。この水平方向の補正と垂直方向の補正の順番は事前に定めておくものとする。
【0070】
ここでは最初に撮影位置F11を矢印R方向に補正する補正指示が出力され、第1次補正が行われるものとする(S05)。この第1次補正後は、図9(b)に示すように、撮影位置F12の補正データがカメラ3で撮影され、該補正データにS04の判定が行われる。
【0071】
このとき撮影位置F12の補正データは、相関値表Eに示すように、メータ7~9の相関値が「高」と評価され、メータ4~6の相関値が「中」と評価され、メータ1~3の相関値が「低」と評価されている。
【0072】
この評価によれば、撮影位置F12の補正データは、S04の処理時に異常と判定されるものの、実施例2とは逆に上方向に移動させればよく、続いて撮影位置を矢印U方向(上方向)に補正する補正指示が出力され、第2次補正が行われる(S05)。
【0073】
すなわち、図9(c)に示すように、撮影位置F13の補正データがカメラ3で撮影され、その後に該補正データについてS04の判定が行われる。このとき撮影位置F13の補正データは、相関値表Eに示すように、すべての相関値が「高」と評価されているため、正常と判定され(S04)、S07の処理に移行する。
【0074】
このように実施例4の補正処理によれば、アナログメータ群(横一列)4が見切れている場合だけでなく、アナログメータ群(3行×3列)が見切れている場合にも、カメラ3を適切な撮影位置に自動的に補正することが可能となる。
【0075】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載された範囲内で変形して実施することができる。例えばカメラ3の設置状況は、図2(a)(b)に限定されず、制御盤2,7間に配置された設置台上に一対のカメラ3を設置してもよい。この場合に一方のカメラ3は制御盤2のアナログメータ群4を撮影し、他方のカメラ3は制御盤7のアナログメータ群4を撮影することができる。
【符号の説明】
【0076】
1…メータ読取装置(撮影位置の補正装置)
2,7…制御盤
2a,7a…平面
3…カメラ
4…アナログメータ群
4a~4i…メータ
5…天井
10…画像入力部
11…記憶部
12…処理設定部
13…撮影位置確認部
14…撮影位置補正部
15…メータ読取部
16…読取結果伝送部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9