(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20220712BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20220712BHJP
G01N 30/72 20060101ALI20220712BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20220712BHJP
【FI】
G01N35/00 E
G01N35/02 C
G01N35/00 F
G01N30/72 C
G01N27/62 X
(21)【出願番号】P 2018193577
(22)【出願日】2018-10-12
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 光
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 彰
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-247392(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159359(WO,A1)
【文献】特開2010-175395(JP,A)
【文献】特開2010-006535(JP,A)
【文献】特表2013-541718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00
G01N 35/02
G01N 30/72
G01N 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試料を連続して分析する自動分析装置であって、
前記複数の試料をそれぞれ収納することが可能な複数の収納位置を含む収納部と、
前記複数の収納位置にそれぞれ収納された前記複数の試料の識別情報を検出する検出部と、
前記検出部による前記複数の試料の前記識別情報の検出の後に、前記複数の試料を分析する分析部と、
前記検出部および前記分析部を制御する制御部とを備え、
前記検出部は、検出した前記識別情報を前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記検出部から受信した前記複数の試料の識別情報を、検出識別情報として保持するように構成され、
前記制御部は、さらに、分析対象に指定された複数の試料の識別情報を受信し、指定識別情報として保持するように構成され、
前記制御部は、前記指定識別情報と前記検出識別情報とを比較し、両者が一致しないと判定した場合、前記分析部により分析が開始される前に警告を出力するように構成された報知手段を含
み、
前記報知手段は、前記指定識別情報が存在する試料に対して、前記検出部において前記識別情報が検出できなかった場合、該試料の前記指定識別情報と共に該試料の前記検出識別情報が存在しないことを示す前記警告を報知する、自動分析装置。
【請求項2】
複数の試料を連続して分析する自動分析装置であって、
前記複数の試料をそれぞれ収納することが可能な複数の収納位置を含む収納部と、
前記複数の収納位置にそれぞれ収納された前記複数の試料の識別情報を検出する検出部と、
前記検出部による前記複数の試料の前記識別情報の検出の後に、前記複数の試料を分析する分析部と、
前記検出部および前記分析部を制御する制御部とを備え、
前記検出部は、検出した前記識別情報を前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記検出部から受信した前記複数の試料の識別情報を、検出識別情報として保持するように構成され、
前記制御部は、さらに、分析対象に指定された複数の試料の識別情報を受信し、指定識別情報として保持するように構成され、
前記制御部は、前記指定識別情報と前記検出識別情報とを比較し、両者が一致しないと判定した場合、前記分析部により分析が開始される前に警告を出力するように構成された報知手段を含み、
前記報知手段は、前記検出部により前記識別情報が検出された試料に対して、前記指定識別情報が存在しない場合、該試料の前記検出識別情報と共に該試料の前記指定識別情報が存在しないことを示す前記警告を報知する、自動分析装置。
【請求項3】
前記分析部は、前記分析の前に前記複数の試料を前記分析に適した状態に前処理する前処理部を含み、
前記報知手段は、前記前処理部により前記前処理が開始される前に前記警告を出力する、請求項1
または2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記識別情報は、前記試料が収納される試料容器に付された識別子を含む、請求項1~
3のいずれか1項に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記試料
が収納
される試料容器に照射された光の反射光または透過光を検出し、
前記検出部は、前記反射光または透過光に基づいて、前記試料の有無または種類を検出するように構成される、請求項1~
4のいずれか1項に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記試料が液体である場合、
前記検出部は、前記試料の液面の状態を検出し、
前記検出部は、前記検出した前記液面の状態に基づいて、前記試料の有無または種類を検出するように構成される、請求項1~
5のいずれか1項に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記報知手段は、表示、音声出力および装置の物理的動作の少なくとも1つを用いて警告を出力するよう構成される、請求項1~
6のいずれか1項に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記報知手段は、前記警告を出力した後の前記自動分析装置の動作を決定するための選
択肢を提示するように構成され、
前記制御部は、前記選択に基づいて前記自動分析装置の動作を制御する、請求項1~
7のいずれか1項に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記動作は、分析開始、一時停止および分析中止という3つの状態を含む、請求項
8に記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記自動分析装置は、液体クロマトグラフにより分離された試料成分をイオン化し、得られたイオンを開裂させて質量分析を行なうように構成された液体クロマトグラフ質量分析計である、請求項1~
9のいずれか1項に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の定性・定量分析を行なう自動分析装置に関し、特に複数の試料を連続して分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院等での臨床検査において、血液、尿などの生体試料の検査や分析などを行なう際には、複数の患者から得られる複数の試料を連続して分析するように構成された自動分析装置が用いられている。そのような臨床検査用の自動分析装置として、たとえば液体クロマトグラフ質量分析計の一形態であるLC-MS/MS(特開2015-148461号公報(特許文献1)参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような自動分析装置における試料の分析は、たとえば以下の手順で行なわれる。まず依頼者(たとえば医者)によって、分析対象に指定された試料の識別情報が、コンピュータ上のソフトウェアに入力される。次にソフトウェア上の指定に基づいて、作業者(たとえば検査技師)が、試料容器(以下、単に容器とも称する)に収納された試料を自動分析装置に収納する。続いて、自動分析装置内では、各種センサ(たとえばバーコードリーダ)を含む検出部によって試料(または容器)の識別子(たとえば容器に付されたバーコード)が読み取られ、識別情報が検出される。その後、自動分析装置は、収納された試料の分析(分析の前処理を含む)を開始する。
【0005】
このような構成の自動分析装置において、分析対象に指定された試料を過不足なく収納することが、正しく分析を行なう上で重要である。しかしながら、従来の自動分析装置では、たとえば作業者の誤操作が原因で、分析対象に指定された試料と自動分析装置内に収納された試料とが一致しない場合における対策は定義されていなかった。このような構成において依頼者または作業者が上記試料の不一致に気づくのは、分析後に分析結果を確認する段階となり、追加の作業が生じ、作業効率が低下する虞があった。
【0006】
この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の試料を連続して分析する自動分析装置において、作業効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のある局面に従う自動分析装置は、複数の試料を連続して分析する自動分析装置であって、収納部と、検出部と、分析部と、制御部とを備える。収納部は、複数の試料をそれぞれ収納することが可能な複数の収納位置を含む。検出部は、複数の収納位置にそれぞれ収納された複数の試料の識別情報を検出する。分析部は、検出部による複数の試料の識別情報の検出の後に、複数の試料を分析する。制御部は、検出部および分析部を制御する。検出部は、検出した識別情報を制御部に出力する。制御部は、検出部から受信した複数の試料の識別情報を、検出識別情報として保持する。制御部は、さらに、分析対象に指定された複数の試料の識別情報を受信し、指定識別情報として保持するように構成される。制御部は、指定識別情報と検出識別情報とを比較し、両者が一致しないと判定した場合、分析部により分析が開始される前に警告を出力するように構成された報知手段を含む。
【0008】
上記自動分析装置によれば、収納部に収納された試料の識別情報が、分析対象に指定された試料の識別情報と一致しない場合、すなわち分析対象に指定された試料と収納部に収納された試料が一致しない場合には、分析開始前に警告が出力されるので、作業者は分析開始前に当該不一致に対応できる。したがって、誤って不適切な分析が行なわれる可能性を減らすことができる。また、この種の自動分析装置は、たとえば数百個レベルの試料を連続して分析することが想定されるため、すべての試料の分析後に誤った試料のみ分析しなおすことに比べ、作業時間のロス(たとえば数時間)を大幅に削減できることが期待される。
【0009】
上記自動分析装置において好ましくは、分析部は、分析の前に複数の試料を分析に適した状態に前処理する前処理部を含む。報知手段は、前処理部により前処理が開始される前に警告を出力する。
【0010】
上記自動分析装置によれば、収納部に収納された試料の識別情報が、分析対象に指定された試料の識別情報と一致しない場合、試料の前処理開始前に警告が出力されるので、作業者は前処理開始前に当該不一致に対応できる。したがって、誤って不適切な前処理およびそれに続く分析が行なわれる可能性が低減する。
【0011】
上記自動分析装置において好ましくは、報知手段は、指定識別情報が存在する試料に対して、検出部において識別情報が検出できなかった場合、該試料の指定識別情報と共に該試料の検出識別情報が存在しないことを示す警告を報知する。
【0012】
上記自動分析装置によれば、たとえばそもそも試料が収納部に収納されていない、または、容器の汚れ等により識別情報の検出が難しい場合に、分析開始前に作業者に警告するので、作業者は上記異常について分析開始前に対応できるため、作業効率が良くなる。
【0013】
上記自動分析装置において好ましくは、報知手段は、検出部により識別情報が検出された試料に対して、指定識別情報が存在しない場合、該試料の検出識別情報と共に該試料の指定識別情報が存在しないことを示す警告を報知する。
【0014】
上記自動分析装置によれば、たとえば分析対象に指定されていない試料が誤って収納部に収納されている場合に、分析開始前に作業者に警告するので、作業者は上記異常について分析開始前に対応できるため、作業効率が良くなる。
【0015】
上記自動分析装置において好ましくは、複数の試料の識別情報は、試料が収納される試料容器に付された識別子を含む。
【0016】
上記自動分析装置によれば、試料の識別子(たとえばバーコード)に1つまたは複数の情報をエンコードでき、該情報の読み出しも簡単であるので、情報管理がしやすい。
【0017】
上記自動分析装置において好ましくは、検出部は、試料を収納した試料容器に照射された光の反射光または透過光を検出する。検出部は、反射光または透過光に基づいて、試料の有無または種類を検出するように構成される。
【0018】
上記自動分析装置によれば、検出部(たとえばフォトセンサを含む)は、試料または試料容器の色、形状、大きさ等が反映された反射光または透過光を受け付ける。検出部は、反射光または透過光のパターンに基づいて、そこから試料の有無または試料の種類を検出することが可能である。
【0019】
上記自動分析装置において好ましくは、試料が液体である場合、検出部は、試料の液面の状態を検出する。検出部は、検出した液面の状態に基づいて、試料の有無または種類を検出するように構成される。
【0020】
上記自動分析装置によれば、たとえば液面検出センサを含む検出部は、液体の試料の液面を計測(たとえば静電容量または電気抵抗の計測、超音波による計測)し、検出結果に基づく信号を基に、試料の有無または試料の種類を自動で検出することが可能である。
【0021】
上記自動分析装置において好ましくは、報知手段は、表示、音声出力および装置の物理的動作の少なくとも1つを用いて警告を出力するよう構成される。
【0022】
上記自動分析装置によれば、作業者は視覚または聴覚に訴える警告を受けることができるので、容易かつ迅速に分析対象に指定された試料と収納部に収納された試料の不一致に気づくことができる。
【0023】
上記自動分析装置において好ましくは、報知手段は、警告を出力した後の自動分析装置の動作を決定するための選択肢を提示するように構成される。制御部は、選択に基づいて自動分析装置の動作を制御する。
【0024】
上記自動分析装置によれば、作業者は警告の内容に応じて警告を受けた後の自動分析装置の動作を、限られた適切な選択肢から選ぶことが可能であるため、効率的に作業を行なうことができる。
【0025】
上記自動分析装置において好ましくは、動作は、分析開始、一時停止および分析中止という3つの状態を含む。
【0026】
上記自動分析装置によれば、作業者は分析対象に指定された試料と収納部に収納された試料との不一致が訂正すべきであるが、容易に訂正できることが見込まれる場合(たとえば少数の試料において、不一致が生じている場合等)、一時停止を選択して該不一致を解消した後、分析を開始できる。一方、作業者は該不一致が訂正すべきであり、かつ、容易には訂正できないと見込まれる場合(たとえば大部分の試料において、不一致が生じている場合等)、分析を中止する。さらに、該不一致が非常に軽微であり訂正しなくてもよいと見込まれる場合(たとえば分析指定はされていなかったが、状況からして分析しても差し支えない試料が少数収納されている等)、自動分析装置の運転を継続して、分析を開始する。以上のように、作業者は状況に応じて簡単にその後の行動を決めることができるので、作業を効率的に行なうことができる。
【0027】
上記自動分析装置において好ましくは、自動分析装置は、液体クロマトグラフにより分離された試料成分をイオン化し、得られたイオンを開裂させて質量分析を行なうように構成された液体クロマトグラフ質量分析計である。
【0028】
上記自動分析装置によれば、通常、一度に多数の試料(たとえば100個程度)を質量分析する。従って、1個あたりの試料の分析が比較的時間のかからないもの(たとえば約3分)であっても、一回の分析(たとえば300分程度)にかかる時間は長時間となる。従って、分析を開始する前に分析対象に指定された試料と収納部に収納された試料との一致を確認することで、もし不一致があった場合に再度長時間の分析を行なうことを避けることができ、作業を効率的に行なうことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、複数の試料を連続して分析する自動分析装置において、分析対象に指定された試料と、実際に自動分析装置に収納された試料の不一致が生じた際に、分析開始前に警告を出すことで、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施の形態に係る自動分析装置の構成を示す概略図である。
【
図2】バーコードリーダを用いた識別情報の検出態様を説明する図である。
【
図3】QRコードリーダを用いた識別情報の検出態様を説明する図である。
【
図4】フォトセンサを用いた識別情報の検出態様を説明する図である。
【
図5】液面検出センサを用いた識別情報の検出態様を説明する図である。
【
図6】収納部の収納位置に試料容器が収納されてない状態を説明する図である。
【
図7】制御部による識別情報の確認処理を説明するフローチャートである。
【
図8】検出識別情報と指定識別情報の不一致を警告する画面表示を説明するための図である。
【
図9】自動分析装置の一時停止後に表示される画面表示を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一の符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0032】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態に係る自動分析装置100の構成を示す概略図である。本実施の形態では、臨床検査において複数の試料を連続して分析するために用いられる自動分析装置の一例として、液体クロマトグラフ質量分析計の一形態であるLC-MS/MSを、自動分析装置100として示す。
【0033】
図1を参照して、自動分析装置100は、コントローラ1、収納部2、前処理部6、検出部30、液体クロマトグラフ7および質量分析部8を備える。
【0034】
収納部2は、複数の収納位置22を含む。各収納位置22は、所定の容器40(以下、試料容器とも称する)に収納される血液、尿などの試料を、作業者(たとえば検査技師)により1つずつ収納することが可能なように構成される。以降、説明の簡単のため、単に「試料」と表記すると、容器を含めた試料のことを指す。また、上記収納位置22への試料の収納は、機械(搬送システム)で自動的に行なうように構成してもよく、その場合は上記機械を監督する者は作業者となる。
【0035】
収納部2は円盤状の回転体であり、1つの試料に対する操作(たとえば、後述する識別情報の抽出、試料の採取、試薬の追加)行なわれると、次の試料の操作を行なうために、所定の角度だけ回転(矢印23参照)するように構成される。収納部2は、後述するコントローラ1の制御部13により制御される。なお、収納部の形状および動作は円盤状の回転体に限定されず、連続して複数の試料を分析するのに適したものであればよい。
【0036】
検出部30は、複数の収納位置22の各々に収納された試料の識別情報を検出する。試料の識別情報とは、試料を特定するための情報であり、試料が採取された分析対象(たとえば患者)のID、試料を採取した日時、試料の種類(たとえば、尿、血液)および分析項目のうちの少なくとも1つを含めることができる。
【0037】
試料の識別情報は、たとえば、容器40に付された識別子(例えば、バーコード、QRコード(登録商標)、ICチップ)を基に検出することができる。
【0038】
なお、試料の種類については、試料に光を照射したときの反射光または透過光の情報を基に特定することもできる。これは、反射光または透過光は、試料の色、形、大きさなどを反映するためである。
【0039】
検出部30は、検出器3と識別情報検出部35とを有する(
図2参照)。
検出器3は後述の態様で試料の情報を検出する。識別情報検出部35は、該試料の情報から、識別情報を検出し、コントローラ1に出力する。コントローラ1は、後述するように、検出部30から受信した試料の識別情報を「検出識別情報」として保持する。検出識別情報は、依頼者または作業者によって、収納部2に収納された試料を特定するために用いられる識別情報である。なお、識別情報検出部35は、検出部30ではなく、コントローラ1(制御部)に含まれるように構成してもよい。
【0040】
以下に、
図2から
図5を参照して、検出器3の典型的な例として、バーコードリーダ3A(
図2)、QRコードリーダ3B(
図3)、フォトセンサ3C(
図4)、液面検出センサ3D(
図5)を用いた例を示す。なお、これら検出器の構成はいずれも公知であるため、その詳細は説明しない。
【0041】
図2は、バーコードリーダを用いた識別情報の検出態様を説明する図である。
図2において、検出器3Aはバーコードリーダであって、容器40に付されたバーコード41を読み取るように構成される。具体的には、バーコードリーダ3Aの光源33からバーコード41に光31が照射され、その反射光32がバーコードリーダ3Aの受光素子34に受け取られることで、バーコードのパターンが読み取られる。バーコードは「試料容器に付された識別子」の一実施例に対応する。受光素子34は、該バーコードのパターンの情報を識別情報検出部35に出力し、識別情報検出部35は該バーコードのパターンの情報を識別情報に変換する。
【0042】
図3は、QRコードリーダを用いた識別情報の検出態様を説明する図である。
図3において、検出器3BはQRコードリーダであって、容器40に付された識別子であるQRコード(登録商標)を読み取るように構成される。
【0043】
図4は、フォトセンサを用いた識別情報の検出態様を説明する図である。
図4において、検出器3Cはフォトセンサであって試料に光を照射し、試料45または容器40の色、形、大きさ等の情報を反映した反射光または透過光を検出する。検出器3は、該検出した反射光または透過光に基づく信号を、識別情報検出部35に出力する。識別情報検出部35は、上記信号を基に、試料45の有無または種類を検出する。たとえば、制御部13は、試料45の色に基づく信号から、試料45の種類(たとえば尿、血液等)または有無を検出することができる。
【0044】
図5は、液面検出センサを用いた識別情報の検出態様を説明する図である。
図5において、検出器3Dは液面検出センサであって、電気的特性の計測、または、超音波等を用いて、試料45の液面の状態を検知する。たとえば検出器3Dが超音波式液面検出センサである場合、検出器3Dは、試料の液面に対して超音波を発信し、液面からの反射波の有無や到達時間により、試料の有無および量を判定できる。検出器3Dは、検知した該液面の状態に基づく信号を、識別情報検出部35に出力する。識別情報検出部35は、該信号を基に、試料45の有無または種類を検出する。たとえば、識別情報検出部35は、該液面が検知されなかったことを示す信号から、容器40内に試料が存在しないことを検出する。
【0045】
再び
図1を参照して、前処理部6は、検出部30による上記識別情報の検出の後、後述する液体クロマトグラフ7および質量分析部8による分析の前に、試料を分析に適した状態に前処理する。たとえば、試料中のタンパク質の変性、不純物の除去、目的成分の抽出、誘導体化、希釈、濃縮、酵素処理、遠心分離が行なわれる。前処理部6は後述する液体クロマトグラフ7および質量分析部8と同様に、「分析部」の一実施例に対応する。よって、本願明細書の「分析」には、前処理部6による前処理も含まれることとする。
【0046】
液体クロマトグラフ7は、図示しないカラムを備えた公知の構成である。液体クロマトグラフ7のカラムに供給された試料は、当該カラムを通過する過程で試料成分ごとに分離され、真空状態の質量分析部8に順次導かれて質量分析が行なわれる。これにより、カラムに保持される時間に応じて異なるクロマトグラムが得られる。
【0047】
質量分析部8は、液体クロマトグラフ7からの各試料成分をイオン化し、当該イオンを電場をかけた真空空間を飛行させ質量電荷比に応じて選択的に選別し、CID(衝突誘起解離)により通過してきたイオンを開裂させ、さらに電場をかけた真空空間を飛行させてCIDで生成されたイオンを選別し、イオンの数を連続的に検出し、クロマトグラムを形成する。クロマトグラムから試料に含まれる成分を定量的に測定する。また、電場空間に加える電流、電圧を素早く切り替えることで質量電荷比と検出強度のスペクトルを測定し、スペクトルのパターンをデータベースと照合し試料成分を同定することができる。
【0048】
コントローラ1は、「制御部」の一実施例に対応し、検出部30、および分析部に含まれる前処理部6、液体クロマトグラフ7および質量分析部8を制御する。コントローラ1は、制御部13、記憶部15、表示部11、音声出力部12および検出器コントローラ14を含む。
【0049】
表示部11は、作業者への情報を画像および文字で表示するように構成され、たとえば液晶ディスプレイである。音声出力部12は、作業者への情報を音声で出力し、たとえばスピーカである。表示部11および音声出力部12は、後述する「報知手段」の一実施例に対応する。
【0050】
記憶部15は、制御部13から入力される情報を保持し、保持した情報を制御部13へ出力することが可能なように構成される。記憶部15は、たとえば不揮発性メモリで構成される。
【0051】
検出器コントローラ14は、検出部30から入力された試料の識別情報を示す電気信号を制御部13に出力するように構成される。この際、検出器コントローラ14は、該電気信号を制御部13への送信に適した形に適宜変換するように構成してもよい。また、検出器コントローラ14は、制御部13の信号を受けて、検出部30を制御する。
【0052】
制御部13は、収納部2、検出部30、前処理部6、液体クロマトグラフ7、質量分析部8、表示部11、音声出力部12、記憶部15および検出器コントローラ14を制御する。制御部13は、たとえばCPU(Central Processing Unit)およびメモリで構成される。
【0053】
制御部13は、検出器コントローラ14からの上記信号を受信した後、当該信号を検出識別情報に変換し保持する。検出識別情報は、たとえば試料を採取した個人のID、試料を採取した日時、試料の種類(たとえば尿、血液)および分析項目のうちの少なくとも1つを含めることができる。また、制御部13は、当該検出識別情報を必要に応じて記憶部15に出力し、記憶させる。
【0054】
制御部13は、外部から分析する試料の指定を受け付けるように構成される。
図1では、制御部13は、外部のコンピュータ91と有線または無線で通信を行なうように構成される。コンピュータ91はさらにサーバ92と有線または無線で通信するように構成してもよい。分析を指定する依頼者(たとえば医者)は、パソコンまたは電子カルテ上のソフトウェアを用いて、分析したい試料および分析項目を指定する。ソフトウェア上で指定された試料の識別情報は「指定識別情報」として、サーバ92を介してコンピュータ91に送信される。
【0055】
指定識別情報は、依頼者または作業者によって、分析対象に指定された試料を特定するために用いられる識別情報である。
【0056】
そして、分析を実行する作業者は、コンピュータ91上の指定識別情報を基に、自動分析装置100の収納部2に、分析する試料を収納する。この収納部2への分析する試料の収納は、作業者が手作業で行なう構成にしてもよいし、機械(搬送システム)が自動的に行なう構成にしてもよい。また、コンピュータ91は、コントローラ1の制御部13にも、指定識別情報を送信する。
【0057】
なお、制御部13が、指定識別情報を受け付ける態様は、上記の例に限定されず、たとえば、サーバ92から制御部13に直接指定識別情報を送信するように構成してもよい。または、自動分析装置100にタッチパネル等の情報入力手段を設けて、指定識別情報を依頼者または作業者が直接入力し、制御部13に指定識別情報を送信するようにしてもよい。また、たとえば、依頼者の指定した試料の識別情報をリスト化した指定識別情報リストを、ファイルとしてコンピュータ91または制御部13に読み込むように構成してもよい。
【0058】
このような構成の自動分析装置において、正しく分析を行なうためには、分析対象に指定された試料が、作業者により収納部2に漏れなく、かつ、適切に収納されていることが重要である。換言すると、試料の指定識別情報と検出識別情報とが一致(以下、「識別情報一致」とも称する)していることが重要である。
【0059】
しかし、以下のような場合は、試料の指定識別情報と検出識別情報の不一致(以下、「識別情報不一致」とも称する)が生じてしまう。
【0060】
まず、指定識別情報に対応する検出識別情報が存在しないことによる、識別情報不一致が生じる場合を説明する。このような場合は、分析対象に指定された試料が収納部2に収納されていないケースであり、たとえば、作業者が収納部2に、依頼者に分析を指定されている試料を収納し忘れることで生じる。
【0061】
図6は、
図2と対比される図であり、収納部2の収納位置22に試料が収納されてない状態を説明する図である。
図6においては、収納位置22に試料容器40に付されたバーコード41が存在しないため、検出器3Aはバーコード41の読み取りが行なえない。また、検出器3Aは、容器40の収納位置がずれていてバーコード41が読めないとき、または、容器40が正しく収納されていてもバーコード41が付されていない、もしくはバーコード41の位置がずれている、汚れている、歪んでいるときにも、バーコード41を読み取れない。換言すると、検出部30により試料の識別情報が検出できない事態が生じる。このような場合、指定識別情報に対応する検出識別情報は存在しない。よって、指定識別情報と検出識別情報は一致しないので、識別情報不一致となる。
【0062】
次に、検出識別情報に対応する指定識別情報が存在しないことによる、識別情報不一致が生じる場合を説明する。このような場合は、分析対象に指定されていない試料が収納部2に収納されているケースであり、たとえば作業者が収納部2に、本来分析を指定されていない試料を誤って収納してしまうことで生じる。このような場合、誤って収納された試料の識別情報が、検出部30によって読み取られるため、検出識別情報に対応する指定識別情報は存在しない。換言すると、検出部30により識別情報が検出された複数の試料のうち1つまたは複数の試料に対して、指定識別情報が存在しない事態が生じる。このような場合、指定識別情報と検出識別情報は一致しないので、「識別情報不一致」となる。
【0063】
従来の自動分析装置では、このような識別情報不一致が生じたときの対策は特にとられていなかった。そのため、分析依頼者または作業者が識別情報不一致に気づくのが、分析終了後に分析結果を見直す段階となる場合があった。このような場合、全ての試料の分析の終了後に、識別情報不一致が生じた試料の再分析が必要となり、余分な時間と手間が生じる虞があった。さらには、作業者および依頼者のいずれもが識別情報不一致に気づかず、必要な分析が行なわれない虞もあった。
【0064】
そこで、本実施の形態に係る自動分析装置100では、試料の収納の場面で、指定識別情報と検出識別情報の不一致が生じたときには、作業者に警告する。このような構成により、作業者が分析開始前に当該不一致に対応することを可能にし、作業効率を向上させる。
【0065】
以下、
図7を用いて、本発明の実施の形態に係る自動分析装置100のコントローラ1の制御部13における、指定識別情報と検出識別情報との一致の確認の処理を説明する。
図7は、制御部13による識別情報の確認処理を説明するフローチャートである。
図7のフローチャートは、収納部2への試料の収納が全て完了した後に実行される。
【0066】
図7を参照して、コントローラ1の制御部13は、ステップS01により、検出器コントローラ14から、検出部30により検出された試料の識別情報を示す信号を受信する。制御部13は、さらに、ステップS02で、該信号から識別情報が適切に読み取られているかを判定する。
【0067】
制御部13は、なんらかの原因(たとえば、バーコードが汚れている、はがれている)で、識別情報が適切に読み取られていないと判定すると(ステップS02にてNO)、ステップS03に進む。ステップS03において、制御部13は、記憶部15に識別情報が適切に読み取られなかったこと、および、その結果として識別情報不一致が生じたことを記憶させる。制御部13は、続いて、ステップS08に進む。
【0068】
一方、制御部13は、識別情報が適切に読み取られていると判定すると(ステップS02にてYES)、ステップS04に進み、読み取った識別情報を検出識別情報として、記憶部15に記憶させる。
【0069】
制御部13は、続いて、ステップS05で、該検出識別情報に対応する指定識別情報の有無を判定する。制御部13は、識別情報が検出された試料が、依頼者によって分析対象に指定されていなかった場合、対応する指定識別情報が存在しないので(ステップS05にてNO)、ステップS06に進む。ステップS06において、制御部13は記憶部15に、当該試料の検出識別情報、対応する指定識別情報が存在しないこと、および、その結果として識別情報不一致が生じたことを記憶するように制御する。制御部13は、続いてステップS08に進む。
【0070】
一方、制御部13は、検出された試料が、依頼者によって分析対象に指定されていた場合、対応する指定識別情報が存在するので(ステップS05にてYES)、制御部13はステップS07に進む。制御部13は、ステップS07において、記憶部15に、識別情報一致を記憶するように制御する。制御部13は、続いてステップS08に進む。
【0071】
制御部13は、ステップS08において、収納部2の全ての収納位置22において試料の識別情報の検出が実行されたかを判定する。未だ検出が実行されていない収納位置22が有る場合(ステップS08にてNO)、制御部13は、ステップS01に戻り、次の試料に対して処理を繰り返す。
【0072】
一方、収納部2の全ての収納位置22において試料の識別情報の検出が実行された場合(ステップS08にてYES)、制御部13は、ステップS09に進む。ステップS09において、制御部13は、依頼者から分析を指定された試料45の中に、いまだ検出部30により識別情報を検出されていない試料は有るか、すなわち未検出の指定識別情報はあるか否かを判定する。未検出の指定識別情報が無い場合(ステップS09にてNO)、制御部13はステップS11に進む。
【0073】
一方、未検出の指定識別情報がある場合(ステップS09にてYES)、制御部13はステップS10に進む。ステップS10において、制御部13は、当該未検出の試料の識別情報と、識別情報不一致が生じたことを記憶する。続いて、制御部13は、ステップS11に進む。
【0074】
制御部13は、ステップS11において、識別情報不一致が生じたか否かを判定する。識別情報不一致が生じていない場合、すなわち分析対象に指定された試料の全てが適切に収納されており、分析対象に指定されていない試料は全く収納されていない場合(ステップS11にてNO)、制御部13は、ステップS16にて分析開始を指令し、処理を終了する。
【0075】
一方、制御部13は、識別情報不一致が生じた場合(ステップS11にてYES)、作業者に識別情報不一致が生じたことを警告する。続いて、制御部13は、ステップS13で、作業者に続く自動分析装置100の動作の選択(たとえば、一時停止、分析中止、分析開始)を促す報知を表示部11で行なうように制御する。
【0076】
図8は、検出識別情報と指定識別情報の不一致を警告する画面表示を説明するための図である。
図8では、コントローラ1の表示部11で識別情報の不一致が生じたことの警告が表示されている。また、不一致が生じたケースNo.1~No.3に対して、それぞれ、不一致が生じた容器40を収納する収納位置22の番号、検出識別情報、指定識別情報、不一致の内容が記載されている。なお、該当する情報が存在しない欄には、情報が表示されていない。
【0077】
ケースNo.1では、検出部30により識別情報が検出された試料に対して、指定識別情報が存在しない場合、該試料の検出識別情報と共に該試料の指定識別情報が存在しないことを示す警告が報知されている。ケースNo.2では、指定識別情報が存在する試料に対して、検出部30において識別情報が検出できなかった場合、該試料の指定識別情報と共に該試料の検出識別情報が存在しないことを示す警告が報知されている。
【0078】
また、
図8では、警告を出力した後の自動分析装置100の動作を決定するためのの選択肢を提示し、作業者に選択を促す報知も提示されている。当該報知を基に、作業者は、自動分析装置100の運転の一時停止、分析中止、分析開始のいずれかを選択できる。制御部13は、上記選択に基づいて自動分析装置100の動作を制御する。
【0079】
なお、識別情報不一致の警告、および、動作の選択を促す報知は
図8のように同時に行なわれてもよいし、時間的に連続して行なわれてもよい。また当該警告および当該報知を行なう手段(報知手段)は画面表示に限らず、たとえばコントローラ1の音声出力部12からの聴覚的報知であってもよい。さらに報知手段は、たとえば自動分析装置100の各部の物理的動作(たとえば、収納部2のカバーが開き、試料の確認を促す)であってもよい。すなわち、報知手段は、表示、音声出力、および装置の物理的動作の少なくとも1つで警告を出力するよう構成される。
【0080】
さらに、該報知手段による、当該警告および当該報知を実施する実体は、コントローラ1の各部に限らず、たとえば、自動分析装置100のその他の部分、コンピュータ91のように制御部13と通信可能な部分であればどこでもよい。
【0081】
このように、本実施の形態に従う制御部13は、指定識別情報と検出識別情報とを比較し、両者が一致しないと判定した場合、分析部により分析が開始される前に警告を出力する報知手段を含む。さらに、報知手段は、警告を出力した後の自動分析装置100の動作を決定するために、一時停止、分析中止、分析開始を含む選択肢を提示する。コントローラ1は、選択に基づいて自動分析装置100の動作を制御する。
【0082】
ここで、作業者が自動分析装置100の運転の一時停止、分析中止、分析開始を選択できることで生じる利点を説明する。
【0083】
識別情報不一致が訂正すべきであるが、該訂正が容易である場合、作業者は一時停止を選択し該訂正を行なうことができる。たとえば分析を指定されていない試料の収納が検出されている場合、作業者は該試料を取り除くことができる。また、分析を指定された試料の自動分析装置100への収納が検出されなかったが、作業者に該試料が存在する場所に心当たりがある場合、作業者は該試料を容易に入手し、収納部に収納することができる。以上のように、識別情報不一致の訂正が容易である場合、自動分析装置100を一時停止して該訂正を行なうことで、短い時間で正しく試料の分析を行なうことができる。
【0084】
なお、一時停止後には、自動分析装置100において運転を再開して分析を開始する、または分析を中止することが想定されるので、一時停止が選択された場合、
図9のように、分析開始または分析中止を選択する手段を提示してもよい。
図9は、自動分析装置100の一時停止後に表示される画面表示を説明するための図である。分析作業者は、一時停止中に識別情報不一致を訂正した後、分析開始するか、分析中止するかを選択することができる。
【0085】
一方、識別情報不一致が訂正すべきであるが、該訂正が容易でない場合、または、分析を中止する必要が生じるほど重大なものであった場合、作業者は分析を中止できる。たとえば、大部分の試料に不一致が生じていて訂正することに時間がかかる場合、および、該大規模な不一致の根本的な原因を探る必要がある場合がこれにあたる。
【0086】
さらに、試料の不一致が必ずしも訂正すべき不一致でないと考えられる場合、作業者は分析開始を選択することで、そのまま分析を開始することができる。たとえば、予め遅れて当該自動分析装置100に搬送されてくることがわかっており、同時に分析を指定されていた試料と順序を逆にしても差支えが無い場合が考えられる。他の例としては、収納部2の容量に余裕があり、次の(追加の)分析指定に含まれる可能性のある試料である場合が考えられる。
【0087】
再び
図7を参照して、ステップS13で動作の選択を促す報知を指令した後、制御部13は、ステップS14において、作業者の選択を示す信号を入力される。続いて、ステップS15において、制御部13は、分析開始が選択されたか否かを判定する。分析開始が選択された場合(ステップS15にてYES)、制御部13はステップS16において、分析を開始し、処理を終了する。
【0088】
一方、分析開始以外が選択された場合(ステップS15にてNO)、制御部13は、ステップS17において一時停止が選ばれたか否かを判定する。一時停止が選ばれた場合(ステップS17にてYES)、制御部13は、ステップS15に処理を戻す。制御部13は、一時停止が解除されるまで、ステップS15とステップS17のループを繰り返す。
【0089】
一方、一時停止が選択されなかった場合(ステップS17にてNO)、分析中止が選択されたことになるので、制御部13は、自動分析装置100において分析を実行することなく、処理を終了する。
【0090】
以上に説明したように、本実施の形態に係る自動分析装置100は、分析を指定された試料と、実際に自動分析装置100に収納された試料とが一致しない場合、分析を開始する前に作業者に警告することができる。よって、作業者は、該不一致に分析開始前に対応できるので、作業効率を向上させることができる。
【0091】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
1 コントローラ、2 収納部、3 検出器、3A バーコードリーダ、3B QRコードリーダ、3C フォトセンサ、3D 液面検出センサ、6 前処理部、7 液体クロマトグラフ、8 質量分析部、11 表示部、12 音声出力部、13 制御部、14 検出器コントローラ、15 記憶部、22 収納位置、23 矢印、30 検出部、31 光、32 反射光、33 光源、34 受光素子、35 識別情報検出部、40 試料容器、41 バーコード、45 試料、91 コンピュータ、92 サーバ、100 自動分析装置。