(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】コネクタ構造体
(51)【国際特許分類】
H01R 13/655 20060101AFI20220712BHJP
H01R 13/6473 20110101ALI20220712BHJP
【FI】
H01R13/655
H01R13/6473
(21)【出願番号】P 2018239932
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 敦
(72)【発明者】
【氏名】小野 純一
(72)【発明者】
【氏名】浜田 和明
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0252265(US,A1)
【文献】実開平02-069484(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 24/00-24/86
H01R 13/631
H01R 13/40-13/533
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線の外周を絶縁被覆で包囲してなる被覆電線の外周がシールド部で包囲されたシールド電線と、
前記芯線に接続される芯線接続部を有すると共に前記芯線接続部に連なって相手方端子と接続する接続部を有する内導体と、
少なくとも、前記内導体のうち前記接続部の外周を包囲する絶縁性の誘電体と、
前記シールド部に電気的に接続されるシールド接続部を有すると共に、少なくとも前記シールド部から露出した前記被覆電線を包囲する外導体と、を備え、
前記外導体のうち、前記シールド部から露出した前記被覆電線に対応する部分には、前記外導体の径方向の内方について前記外導体の内面が他の部分から突出する突出部が形成されており、且つ、前記外導体の外面は前記外導体の前記径方向の内方に陥没していない、コネクタ構造体
であって、
前記突出部は、前記外導体の端縁から突出すると共に、前記外導体の内面に重なるように折り返されて形成されている、コネクタ構造体。
【請求項2】
前記外導体は、
前記シールド部に外方から圧着するシールド接続部を有すると共に、少なくとも前記誘電体の一部に外方から圧着する誘電体圧着部を有し、前記シールド接続部と前記誘電体圧着部との間に前記被覆電線を包囲する後筒部を有する後外導体と、
前記誘電体を包囲する前筒部を有すると共に、前記誘電体圧着部に外方から圧着する後外導体圧着部を有する前外導体と、を有し、
前記後筒部に、前記突出部が形成されている、請求項
1に記載のコネクタ構造体。
【請求項3】
前記外導体は、
前記誘電体を包囲する前筒部を有すると共に、少なくとも前記誘電体の一部に係止する誘電体係止部を有する前外導体と、
前記シールド部に外方から圧着するシールド接続部を有すると共に、少なくとも前記誘電体係止部の外方から圧着する前外導体圧着部を有し、前記シールド接続部と前記前外導体圧着部との間に前記被覆電線を包囲する後筒部を有する後外導体と、
を有し、
前記後筒部に、前記突出部が形成されている、請求項
1に記載のコネクタ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された技術は、シールド電線の端末にコネクタが接続されたコネクタ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタ構造体として、特表2018-505528号公報に記載のものが知られている。このコネクタ構造体は、芯線、絶縁被覆、シールド部、及びシースが内から外に積層されてなるシールド電線と、芯線に接続される内導体と、内導体の外周を包囲する絶縁性の誘電体と、シールド部の外周に圧着されると共に、被覆電線及び誘電体を包囲する外導体と、を有する。被覆電線のシース及びシールド部から露出した被覆電線は、外導体に包囲されていることにより被覆電線は電磁的にシールドされている。
【0003】
上記のコネクタ構造体においては、外導体のうち、シールド部から露出した被覆電線に対応する部分が、外導体の径方向について内方に絞り加工されている。これにより、被覆電線とシールド部との間の距離と、被覆電線と外導体との間の距離と、の差を小さくすることができるので、被覆電線の特性インピーダンスが変化することを抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の技術によると、外導体が絞り加工されているため、外導体に加工歪みが発生する。この加工歪みが過度に大きくなると、外導体にクラックが発生する等の不具合が生じる虞がある。
【0006】
外導体の加工歪みを抑制するために、外導体のうち絞り加工する部分の前後長を長く設定すると、コネクタ構造体が大型化するために好ましくない。
【0007】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、大型化を抑制しつつ、特性インピーダンスの変化が抑制されたコネクタ構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示された技術は、コネクタ構造体であって、芯線の外周を絶縁被覆で包囲してなる被覆電線の外周がシールド部で包囲されたシールド電線と、前記芯線に接続される芯線接続部を有すると共に前記芯線接続部に連なって相手方端子と接続する接続部を有する内導体と、少なくとも、前記内導体のうち前記接続部の外周を包囲する絶縁性の誘電体と、前記シールド部に電気的に接続されるシールド接続部を有すると共に、少なくとも前記シールド部から露出した前記被覆電線を包囲する外導体と、を備え、前記外導体のうち、前記シールド部から露出した前記被覆電線に対応する部分には、前記外導体の径方向の内方について前記外導体の内面が他の部分から突出する突出部が形成されており、且つ、前記外導体の外面は前記外導体の前記径方向の内方に陥没していない。
【0009】
上記の構成によれば、外導体を絞り加工することなく、外導体の内面を被覆電線に接近させることができる。これにより、外導体が大型化することなく、被覆電線の特性インピーダンスが変化することを抑制することができる。
【0010】
本明細書に開示された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0011】
前記突出部は、前記外導体の端縁から突出すると共に、前記外導体の内面に重なるように折り返して形成されている。
【0012】
上記の構成によれば、突出部を折り返すという簡易な加工方法により、被覆電線に外導体の内面を接近させることができるので、コネクタ構造体の製造コストを低減させることができる。
【0013】
前記外導体は、前記シールド部に外方から圧着するシールド接続部を有すると共に、少なくとも前記誘電体の一部に外方から圧着する誘電体圧着部を有し、前記シールド接続部と前記誘電体圧着部との間に前記被覆電線を包囲する後筒部を有する後外導体と、前記誘電体を包囲する前筒部を有すると共に、前記誘電体圧着部に外方から圧着する後外導体圧着部を有する前外導体と、を有し、前記後筒部に、前記突出部が形成されている。
【0014】
上記の構成によれば、熱を加えることなく後外導体と前外導体とを接続することができるので、熱によって誘電体に不具合が生じることを抑制することができる。
【0015】
前記外導体は、前記誘電体を包囲する前筒部を有すると共に、少なくとも前記誘電体の一部に係止する誘電体係止部を有する前外導体と、前記シールド部に外方から圧着するシールド接続部を有すると共に、少なくとも前記誘電体係止部の外方から圧着する前外導体圧着部を有し、前記シールド接続部と前記前外導体圧着部との間に前記被覆電線を包囲する後筒部を有する後外導体と、前記後筒部に、前記突出部が形成されている。
【0016】
上記の構成によれば、熱を加えることなく後外導体と前外導体とを接続することができるので、熱によって誘電体に不具合が生じることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本明細書に開示された技術によれば、コネクタ構造体について、外導体を大型化させることなく、特性インピーダンスの変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態1に係る雌コネクタ構造体を示す断面図
【
図2】シールド電線にスリーブを外嵌させる工程を示す断面図
【
図3】シールド電線のシースを皮剥ぎする工程を示す断面図
【
図4】編組線をスリーブの上に折り返す工程を示す断面図
【
図6】誘電体に雌端子が挿入された状態を示す斜視図
【
図7】突出部が折り返された状態の後外導体を、編組線及び誘電体に圧着する工程を示す斜視図
【
図8】突出部が折り返された状態の後外導体を、編組線及び誘電体に圧着する工程を示す断面図
【
図11】実施形態2に係る雌コネクタ構造体を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術の実施形態1を
図1から
図10を参照しつつ説明する。本実施形態に係る雌コネクタ構造体10は、シールド電線11の端末に雌コネクタ12が接続されてなる。雌コネクタ12は、雌端子18(内導体の一例)と、誘電体19と、後外導体33と、前外導体34と、を備える。以下の説明では、シールド電線11の延びる方向(矢線Aで示す方向)を前方とする。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0020】
シールド電線11
図7に示すように、シールド電線11は、複数(本実施形態では2本)の被覆電線13の外周を、金属細線からなる編組線14(シールド部の一例)で包囲すると共に、編組線14の外周を絶縁材料からなるシース15で包囲してなる。各被覆電線13は、芯線16と、芯線16の外周を包囲する絶縁被覆17と、を備える。芯線16を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を選択することができる。芯線16は、1本の金属素線からなるものであってもよく、また、複数本の金属素線が撚り合わされた撚り線からなるものであってもよい。絶縁被覆17、及びシース15は、絶縁性の合成樹脂からなる。
【0021】
シールド電線11の端末においては、皮剥ぎ等の端末処理が施され、芯線16、絶縁被覆17、及び編組線14のそれぞれの端末が露出している。
【0022】
雌コネクタ12
雌コネクタ12は、雌端子18(内導体の一例)と、雌端子18の外周を包囲する絶縁性の誘電体19と、誘電体19の外周を包囲する外導体20と、を備える。外導体20は、後外導体33と、後外導体33の前端部に電気的に接続された前外導体34とを、有する。
【0023】
雌端子18
図5に示すように、雌端子18は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。雌端子18を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を選択することができる。雌端子18は、各被覆電線13の端末に接続されている。雌端子18は、芯線16の外周に巻き付くように圧着するワイヤーバレル22(芯線接続部の一例)と、ワイヤーバレル22の前方に連なって、図示しない相手側端子が挿入される接続筒部23(接続部の一例)と、を有する。
【0024】
接続筒部23には、接続筒部23の前端部から後方に向かって延びる複数のスリットが形成されることにより、前後方向に延びる複数の弾性接触片24が設けられている。複数の弾性接触片24は、前方に向かうに従って縮径しており、接続筒部23の径方向について弾性変形可能に形成されている。相手側端子が接続筒部23内に挿入されることにより、相手側端子と弾性接触片24とが弾性的に接触し、これにより、相手側端子と雌端子18とが電気的に接続されるようになっている。
【0025】
編組線14
編組線14は、複数の金属細線を筒状に編んでなる。編組線14のうちシース15の端末から露出した部分は、シース15の端末側に折り返されて、後述するスリーブ27の外側に重ねられている。
【0026】
スリーブ27
シース15の端末の外側には、環状をなすスリーブ27が外嵌されている、スリーブ27の外側には、上記したように編組線14が重ねられている。本実施形態に係るスリーブ27は、細長く延びた金属板材を、シース15の外周に巻き付くように圧着させることにより、略環状に形成してなる。
【0027】
誘電体19
図1に示すように、雌端子18のうち接続筒部23の周囲は、誘電体19によって包囲されるようになっている。誘電体19は絶縁性の合成樹脂を射出成型してなる。誘電体19の後端部からは、ワイヤーバレル22が後方に突出している。
図5及び
図6に示すように、誘電体19は、全体として前後方向に延びると共に、断面形状が、左右方向に細長い長円形状をなしている。
【0028】
誘電体19は、前後方向に開口すると共に、内部に雌端子18の接続筒部23がそれぞれ収容される複数(本実施形態では2つ)のキャビティ32が、左右方向に並んで形成されている。キャビティ32の前側の開口からは、相手側端子が挿入されるようになっている。キャビティ32の後側の開口からは、上記したように、ワイヤーバレル22が後方に導出されている。
【0029】
誘電体19のうち、前後方向について後端部から略三分の一の部分には、誘電体19の径方向について外方に突出したフランジ28が形成されている。
【0030】
後外導体33
図1及び
図7に示すように、後外導体33は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。後外導体33を構成する金属は銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を必要に応じて選択できる。後外導体33は、スリーブ27の上に折り返された編組線14に外方から圧着するシールド接続部35と、シールド接続部35の前方に連なって、編組線14から露出した被覆電線13の外周を包囲する後筒部36と、後筒部36の前方に連なって、誘電体19の後端部寄りの位置に外方から圧着する誘電体圧着部37と、を有する。
【0031】
後外導体33は、左右の両側縁が付き合わされた形態で、編組線14の外周に圧着すると共に、誘電体19の後端部寄りの位置に外方から圧着している。誘電体圧着部37は、誘電体19のうちフランジ28よりも後方の部分に圧着している。誘電体圧着部37の前端部が、フランジ28に後方から当接することにより、後外導体33と、誘電体19との、前後方向の位置決めを行うことができる。
【0032】
後外導体33が編組線14の外周に圧着すると共に誘電体19の後端部寄りの位置に圧着した状態で、シールド接続部35の外径寸法は、誘電体圧着部37の外径寸法よりも大きく設定されている。シールド接続部35と誘電体圧着部37との間に位置する後筒部36は、前方に向かうに従って縮径した形状に形成されている。
【0033】
後筒部36には編組線14から前方に露出した被覆電線13に対応する位置に、後筒部36の内壁から後筒部の径方向について内方に突出する突出部40が形成されている。突出部40は、編組線14から露出した被覆電線13の少なくとも一部と対向している。突出部40は、編組線14から露出した被覆電線13の全ての部分と対向していてもよい。
【0034】
図7及び
図8に示すように、突出部40は、後筒部36の左右両側縁から突出した後、後筒部36の内面に沿うように折り返して形成されている。
【0035】
前外導体34
図1に示すように、前外導体34は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。前外導体34を構成する金属は銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を必要に応じて選択できる。前外導体34は、誘電体19の外周を包囲する前筒部38と、前筒部38の後方に連なって、誘電体19の後端部寄りの部分に圧着した誘電体圧着部37の上に圧着する後外導体圧着部39を有する。前筒部38の前端部は、誘電体19の前端部よりも前方に延びて形成されている。後外導体圧着部39は、誘電体19のフランジ28よりも後方において、後外導体33の誘電体圧着部37の上に圧着している。後外導体圧着部39は、前筒部38よりも縮径されている。
【0036】
雌コネクタ構造体10の製造工程
続いて、本実施形態に係る雌コネクタ構造体10の製造工程の一例について説明する。なお、雌コネクタ構造体10の製造工程は以下の記載に限定されない。
【0037】
図2に示すように、シールド電線11の端末部分から所定の長さ寸法だけ後退した位置に、シース15の外周にスリーブ27を外嵌させる。
図3に示すように、シース15のうち、スリーブ27の前端部よりも前方の部分を皮剥ぎすることにより、編組線14をシース15から露出させる。編組線14を所定の長さに切断し、編組線14から被覆電線13を露出させる。スリーブ27は、シース15を皮剥ぎする位置の目印となっている。
図4に示すように、編組線14を後方に折り返して、スリーブ27の上に重ねる。被覆電線13の端末において、所定の長さで絶縁被覆17を皮剥ぎすることにより、芯線16を絶縁被覆17から露出させる。
【0038】
図5に示すように、誘電体19のキャビティ32内に、雌端子18を後方から挿入する。
図6に示すように、誘電体19の後端部からは、雌端子18のワイヤーバレル22が後方に突出している。絶縁被覆17の前端部から露出した芯線16の外周にワイヤーバレル22を圧着させることにより、被覆電線13の端末に雌端子18を接続する(
図7参照)。
【0039】
図7及び
図8に示すように、後外導体33に設けられた後筒部36の左右両側縁から突出した突出部40を、後筒部36の内面に沿うように折り返す。
【0040】
図7に示すように、後外導体33のシールド接続部35を、スリーブ27の上に折り返された編組線14に、外方から圧着する。また、後外導体33の誘電体圧着部37を誘電体19のうちフランジ28よりも後方の部分に、外方から圧着する。
【0041】
シールド接続部35を編組線14に圧着する工程と、誘電体圧着部37を誘電体19に圧着する工程は、同一の工程内で実行してもよい。また、シールド接続部35を編組線14に圧着する工程と、誘電体圧着部37を誘電体19に圧着する工程は、別々に実行してもよい。例えば、先にシールド接続部35を編組線14に圧着した後に誘電体圧着部37を誘電体19に圧着してもよいし、先に誘電体圧着部37を誘電体19に圧着した後にシールド接続部35を編組線14に圧着してもよい。
【0042】
前外導体34を筒状に形成する。
図1に示すように、筒状に形成された前外導体34を、誘電体19の前方から、誘電体19に組み付ける。前外導体34の後外導体圧着部39を、誘電体19に圧着した後外導体33の誘電体圧着部37に、外方から圧着させる。以上により、雌コネクタ構造体10が完成する(
図1参照)。
【0043】
本実施形態の作用効果
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、雌コネクタ構造体10は、芯線16の外周を絶縁被覆17で包囲してなる被覆電線13の外周が編組線14で包囲されたシールド電線11と、芯線16に接続されるワイヤーバレル22を有すると共にワイヤーバレル22に連なって相手方端子と接続する接続筒部23を有する雌端子18と、少なくとも、雌端子18のうち接続筒部23の外周を包囲する絶縁性の誘電体19と、編組線14に電気的に接続されるシールド接続部35を有すると共に、少なくとも編組線14から露出した被覆電線13を包囲する外導体20と、を備え、外導体20のうち、編組線14から露出した被覆電線13に対応する部分には、外導体20の径方向の内方について外導体20の内面が他の部分から突出する突出部40が形成されており、且つ、外導体20の外面は外導体20の径方向の内方に陥没していない。
【0044】
上記の構成によれば、外導体20を絞り加工することなく、外導体20の内面を被覆電線13に接近させることができる。これにより、外導体20が大型化することなく、被覆電線13の特性インピーダンスが変化することを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、突出部40は、外導体20の端縁から突出すると共に、外導体20の内面に重なるように折り返されて形成されている。
【0046】
上記の構成によれば、外導体20の端縁から突出した突出部40を折り返すという簡易な加工方法により、被覆電線13に外導体20の内面を接近させることができるので、雌コネクタ構造体10の製造コストを低減させることができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、外導体20は、編組線14に外方から圧着するシールド接続部35を有すると共に、少なくとも誘電体19の一部に外方から圧着する誘電体圧着部37を有し、シールド接続部35と誘電体圧着部37との間に被覆電線13を包囲する後筒部36を有する後外導体33と、誘電体19を包囲する前筒部38を有すると共に、誘電体圧着部37に外方から圧着する後外導体圧着部39を有する前外導体34と、を有し、後筒部36に、突出部40が形成されている。
【0048】
上記の構成によれば、後外導体33と前外導体34を溶接しなくてもよいので、熱を加えることなく後外導体33と前外導体34とを接続することができる。この結果、熱によって誘電体19に不具合が生じることを抑制することができる。
【0049】
<実施形態2>
次に、本明細書に開示された技術を雌コネクタ構造体50に適用した実施形態2を
図11を参照しつつ説明する。本実施形態に係る前外導体34は、前筒部38の後方に連なると共に前筒部38よりも縮径された誘電体係止部51を有する。前筒部38の内径寸法は、フランジ28の外径寸法と同じか、やや大きく設定されている。前筒部38の前端部は、誘電体19の前端部よりも前方に延びて形成されている。誘電体係止部51の内壁面は、誘電体19のフランジ28、及びフランジ28よりも後方の部分と係止している。これにより、前筒部38の前側の開口から挿入された誘電体19は、前外導体34に対して、後方へ抜け止めされた状態で保持されるようになっている。
【0050】
本実施形態に係る後外導体33は、後筒部36の前方に連なって、誘電体19の後端部寄りの位置に係止した誘電体係止部51に外方から圧着する前外導体圧着部52を有する。突出部40は後筒部36に形成されている。
【0051】
後外導体33は、左右の両側縁が付き合わされた形態で、編組線14の外周に圧着すると共に、誘電体係止部51の後端部寄りの位置に外方から圧着している。前外導体圧着部52は、誘電体19のうちフランジ28よりも後方の部分に圧着している。前外導体圧着部52が誘電体係止部51の外方から圧着することにより、前外導体圧着部52及び誘電体係止部51が、誘電体19に対して固定されると共に、前外導体34と後外導体33とが電気的に接続されるようになっている。
【0052】
後外導体33が編組線14の外周に圧着すると共に誘電体19の後端部寄りの位置に圧着した状態で、シールド接続部35の外径寸法は、前外導体圧着部52の外径寸法よりも大きく設定されている。シールド接続部35と前外導体圧着部52との間に位置する後筒部36は、前方に向かうに従って縮径した形状に形成されている。
【0053】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0054】
本実施形態によれば、外導体20は、誘電体19を包囲する前筒部38を有すると共に、少なくとも誘電体19の一部に係止する誘電体係止部51を有する前外導体34と、編組線14に外方から圧着するシールド接続部35を有すると共に、少なくとも誘電体係止部51の外方から圧着する前外導体圧着部52を有し、シールド接続部35と前外導体圧着部52との間に被覆電線13を包囲する後筒部36を有する後外導体33と、を備え、後筒部36に、突出部40が形成されている。
【0055】
上記の構成によれば、後外導体33と前外導体34を溶接しなくてもよいので、熱を加えることなく後外導体33と前外導体34とを接続することができる。この結果、熱によって誘電体19に不具合が生じることを抑制することができる。
【0056】
<実施形態3>
次に、本明細書に開示された技術の実施形態3
について
図12から
図13を参照しつつ説明する。本実施形態に係る後外導体60の後筒部61においては、後筒部61の左右両側縁の一方から突出した突出部62Aは、後筒部61の内壁面に沿うように折り返されている。また、後筒部61の左右両側縁の他方から突出した突出部62Bは、突出部62Aの上に重なるように折り返されている。これにより、突出部62A及び突出部62Bの、後筒部61からの内方への突出寸法は、後筒部61の厚さ寸法の2倍となっている。これにより、被覆電線13に対して、後筒部61の内面をより接近させることができるので、被覆電線13の特性インピーダンスが変化することを抑制することができる。
【0057】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。
【0058】
(1)シールド電線は、1本、又は3本以上の被覆電線を有する構成としてもよい。
【0059】
(2)シールド層は編組線14に限られず、金属箔、又は、樹脂テープに金属箔が貼着されたもの等、任意の材料を適宜に選択することができる。
【0060】
(3)シースは省略してもよい。
【0061】
(4)シースを皮剥ぎして露出させた編組線14は、シースの端末に折り返さなくてもよい。
【0062】
(5)編組線14の外周にシールド接続部35が外嵌された状態で、後外導体33と別体に形成された圧着部材が、シールド接続部の外方からシールド接続部に圧着することにより、編組線14とシールド接続部35とが電気的に接続される構成としてもよい。
【0063】
(6)コネクタ構造体は、雄端子を備えた雄コネクタ構造体としてもよい。
【0064】
(7)突出部は、後外導体を構成する金属板材の一部のみが径方向の内方に突出して形成される構成としてもよい。
【0065】
(8)実施形態2においては、突出部62Aと突出部62Bとが重なる構成としたが、これに限られず、3つ以上の突出部が重なる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10,50:雌コネクタ構造体(コネクタ構造体の一例)
11:シールド電線
13:被覆電線
14:編組線(シールド部の一例)
16:芯線
17:絶縁被覆
18:雌端子(内導体の一例)
19:誘電体
22:ワイヤーバレル(芯線接続部の一例)
23:接続筒部(接続部の一例)
33,60:後外導体
34:前外導体
35:シールド接続部
36,61:後筒部
37:誘電体圧着部
38:前筒部
39:後外導体圧着部
40,62A,62B:突出部
51:誘電体係止部
52:前外導体圧着部