(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】ビームスプリッタ組立品およびこれを備える分析装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/00 20210101AFI20220712BHJP
G01N 21/35 20140101ALI20220712BHJP
G01N 21/45 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
G02B7/00 F
G02B7/00 G
G01N21/35
G01N21/45 A
(21)【出願番号】P 2019015999
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬路 健
(72)【発明者】
【氏名】和久田 真也
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/203363(WO,A1)
【文献】特開2003-227993(JP,A)
【文献】特開2015-045745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00
G02B 7/18 - 7/24
G01N 21/00 - 21/01
G01N 21/17 - 21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタを保持するホルダと、
前記ビームスプリッタおよび前記ホルダの間に配置される第1スペーサ群とを備え、
前記第1スペーサ群は3つの第1種スペーサ片を含み、
前記3つの第1種スペーサ片の各々は、第1種光学素子保持部と、第1種位置決め部とを含み、
前記ホルダは、3つの第1種スペーサ片受入れ凹部を有し、前記第1種スペーサ片受入れ凹部の各々は、前記第1種位置決め部に対応する形状を有し、
前記3つの第1種スペーサ片は、前記3つの第1種スペーサ片受入れ凹部にそれぞれ収まっており、
前記3つの第1種スペーサ片の各々の前記第1種光学素子保持部が前記ビームスプリッタに当接している、ビームスプリッタ組立品。
【請求項2】
前記第1種位置決め部は、平面的に見たときに左右非対称な形状を有する、請求項1に記載のビームスプリッタ組立品。
【請求項3】
前記ホルダによって保持される補償板と、
前記補償板および前記ホルダの間に配置される第2スペーサ群とをさらに備え、
前記第2スペーサ群は2つの第2種スペーサ片と、1つの第3種スペーサ片とを含み、
前記第2種スペーサ片の各々は、第2種光学素子保持部と、第2種位置決め部とを含み、
前記第3種スペーサ片は、第3種光学素子保持部と、第3種位置決め部とを含み、
前記第2種光学素子保持部と前記第3種光学素子保持部とは、厚みが異なり、
前記第2種スペーサ片と前記第3種スペーサ片とは、平面的に見たときの形状が異なり、
前記ホルダは、2つの第2種スペーサ片受入れ凹部と、1つの第3種スペーサ片受入れ凹部とを有し、
前記2つの第2種スペーサ片受入れ凹部の各々は、前記第2種位置決め部に対応する形状を有し、
前記第3種スペーサ片受入れ凹部は、前記第3種位置決め部に対応する形状を有し、
前記2つの第2種スペーサ片は、前記2つの第2種スペーサ片受入れ凹部にそれぞれ収まっており、前記1つの第3種スペーサ片は、前記1つの第3種スペーサ片受入れ凹部に収まっており、
前記2つの第2種スペーサ片の前記第2種光学素子保持部と、前記1つの第3種スペーサ片の前記第3種光学素子保持部とは、前記補償板に当接している、請求項1または2に記載のビームスプリッタ組立品。
【請求項4】
前記第2種位置決め部は、平面的に見たときに左右非対称な形状を有する、請求項3に記載のビームスプリッタ組立品。
【請求項5】
前記第3種位置決め部は、平面的に見たときに左右非対称な形状を有する、請求項3または4に記載のビームスプリッタ組立品。
【請求項6】
前記第2種スペーサ片および前記第3種スペーサ片のうち一方は、前記第1種スペーサ片に比べて、同じ厚みであり、平面的に見たときに同じ形状である、請求項3から5のいずれかに記載のビームスプリッタ組立品。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のビームスプリッタ組立品を備える、分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビームスプリッタ組立品およびこれを備える分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
FT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)などの分光光度計では、ビームスプリッタが用いられている。FT-IRでは、光源から出射した光が、ビームスプリッタを介して固定鏡および移動鏡で反射する。固定鏡で反射した光と、移動鏡で反射した光とが干渉し、干渉した光が試料に向けて照射される。
【0003】
ビームスプリッタは、反射光の波面が乱れないように、使用する波長の1/10以下の面精度が必要である。たとえば1μmの波長を使用する場合、面精度は0.1μm以下である必要がある。ビームスプリッタは、通常、ホルダによって一定位置に保持されている。ホルダは、一般的に切削加工で作られるが、切削加工の面精度は数十μmであって、面精度が低い。したがって、ビームスプリッタをホルダに面接触させて固定すると、ビームスプリッタが素子ホルダにならって変形して面精度が悪化してしまう。切削加工で作られたホルダを使用するために、ホルダとビームスプリッタとの間にフィルム状の樹脂製のスペーサを挟み、ビームスプリッタを疑似的に3点支持することで、ホルダの低い面精度の影響を受けず、ビームスプリッタの面精度を維持するという技術が従来から採用されていた。そのような技術の一例が国際公開WO2018/203363A1(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたフィルム状のスペーサは、ホルダに対する疑似3点支持を実現するために、円環状の本体において内周に向かって3つの突起を設けた構成となっていた。この円環状の本体の内径はビームスプリッタより大きい必要があった。したがって、ホルダを含むビームスプリッタ組立品の外形が大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
また、ビームスプリッタ組立品を組み立てる際の作業の容易さにも配慮する必要がある。ビームスプリッタ組立品を用いてFT-IRなどの分析装置を実現することができる。
【0007】
そこで、本発明は、ビームスプリッタ組立品の外形を大きくする必要がなく、かつ、組立てが容易であるビームスプリッタ組立品およびこれを備える分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に基づくビームスプリッタ組立品は、ビームスプリッタと、上記ビームスプリッタを保持するホルダと、上記ビームスプリッタおよび上記ホルダの間に配置される第1スペーサ群とを備え、上記第1スペーサ群は3つの第1種スペーサ片を含み、上記3つの第1種スペーサ片の各々は、第1種光学素子保持部と、第1種位置決め部とを含み、上記ホルダは、3つの第1種スペーサ片受入れ凹部を有し、上記第1種スペーサ片受入れ凹部の各々は、上記第1種位置決め部に対応する形状を有し、上記3つの第1種スペーサ片は、上記3つの第1種スペーサ片受入れ凹部にそれぞれ収まっており、上記3つの第1種スペーサ片の各々の上記第1種光学素子保持部が上記ビームスプリッタに当接している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ビームスプリッタ組立品の外形を大きくする必要がなく、かつ、組立てが容易であるビームスプリッタ組立品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明に基づく実施の形態1におけるビームスプリッタ組立品の斜視図である。
【
図3】本発明に基づく実施の形態1におけるビームスプリッタ組立品の分解斜視図である。
【
図4】本発明に基づく実施の形態1におけるビームスプリッタ組立品に含まれる第1種スペーサ片の平面図である。
【
図5】本発明に基づく実施の形態1におけるビームスプリッタ組立品に含まれるホルダを第1面が手前となる向きで見た図である。
【
図6】本発明に基づく実施の形態1におけるビームスプリッタ組立品に含まれるホルダを第2面が手前となる向きで見た図である。
【
図7】本発明に基づく実施の形態1におけるビームスプリッタ組立品に含まれる第1種スペーサ片の変形例の平面図である。
【
図8】本発明に基づく実施の形態1におけるビームスプリッタ組立品に含まれる第2種スペーサ片の平面図である。
【
図9】本発明に基づく実施の形態1におけるビームスプリッタ組立品に含まれる第3種スペーサ片の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(分析装置の構成)
本発明に基づく実施の形態1におけるビームスプリッタ組立品について説明する前に、このビームスプリッタ組立品を備える分析装置の構成について説明する。この分析装置1の概略を
図1に示す。
【0012】
分析装置1は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)である。分析装置1は、筐体2と、ヒータ3と、干渉部4と、試料室5と、検出器6とを備えている。筐体2は、中空状のボックス形状に形成されている。ヒータ3は、筐体2内に配置されている。ヒータ3は、たとえば、セラミックヒータであってよい。ヒータ3は、たとえば通電されることにより、測定光としての赤外光測定光を出射する。
【0013】
干渉部4は、筐体2内に配置されている。干渉部4は、赤外干渉光を生成するための機構であって、光路において、ヒータ3の下流側に配置されている。干渉部4は、ビームスプリッタ組立品7と、固定鏡8と、移動鏡9と、駆動部10とを備えている。
【0014】
ビームスプリッタ組立品7は、ヒータ3と間隔を隔てて配置されている。ビームスプリッタ組立品7は、ビームスプリッタ22を備えている。ビームスプリッタ22は、入射する光の一部を反射しつつ、入射する光の残りを透過するように構成されている。なお、ビームスプリッタ組立品7の詳細な構成については、後述する。
【0015】
固定鏡8は、ビームスプリッタ組立品7を挟んで、ヒータ3と反対側に配置されている。固定鏡8は、一定の位置に固定されるように配置されている。移動鏡9は、ビームスプリッタ組立品7および固定鏡8から離隔して配置されている。移動鏡9は、ビームスプリッタ組立品7と移動鏡9とを結ぶ方向において移動可能に構成されている。駆動部10は、たとえばボイスコイルモータなどからなり、移動鏡9に駆動力を付与するように構成されている。
【0016】
なお、筐体2のうち干渉部4と対向する部分には、光が通過するための通過窓11が形成されている。
【0017】
試料室5は、筐体2から離隔して配置されている。試料室5は、中空状のボックス形状に形成されている。試料室5の内部には試料が収容されている。光路において、試料室5の上流側には、反射鏡12が配置されている。
【0018】
検出器6は、試料室5から離隔して配置されている。検出器6は、たとえば、MCT(Hgcdte)検出器、DLaTGS(Deuterated L-Alanine Triglycine Sulphate)検出器、TGS(硫酸三グリシン:Triglycine Sulfate)検出器、DTGS(水素を重水素化したTGS:Deuterium Tri-Glycine Sulfate)検出器などからなる。
【0019】
(分析装置の動作)
分析装置1における試料の分析では、ヒータ3から赤外光が出射される。そして、赤外光は、ビームスプリッタ22に入射する。ビームスプリッタ22に入射した赤外光は、一部がビームスプリッタ22を透過して固定鏡8に入射し、残りがビームスプリッタ22で反射されて移動鏡9に入射する。このとき、移動鏡9は、駆動部10から駆動力が付与されることにより移動する。
【0020】
固定鏡8で反射された赤外光は、ビームスプリッタ22で反射されて反射鏡12に向かう。また、移動鏡9で反射された赤外光は、ビームスプリッタ22を透過して反射鏡12に向かう。これにより、固定鏡8で反射された赤外光と、移動鏡9で反射された赤外光とが合成されて赤外干渉光15となる。赤外干渉光15は、通過窓11を経由して筐体2の外部に出射して反射鏡12に向かう。赤外干渉光15は、反射鏡12で反射されて、試料室5に入射する。これにより、試料室5内の試料に赤外干渉光15が照射される。試料からの反射光または透過光が試料室5から出射して、検出器6に入射する。
【0021】
検出器6は、入射した赤外光に応じたインターフェログラムを、検出信号として出力する。分析装置1では、検出器6からの検出信号がフーリエ変換されることにより、スペクトルの強度分布データが作成される。そして、そのデータに基づいて、試料が分析される。
【0022】
(実施の形態1)
(構成)
図1~
図6を参照して、本発明に基づく実施の形態1におけるビームスプリッタ組立品について説明する。
【0023】
ビームスプリッタ組立品7の斜視図を
図2に示す。ビームスプリッタ組立品7の分解斜視図を
図3に示す。
【0024】
ビームスプリッタ組立品7は、ホルダ21と、ビームスプリッタ22と、補償板23と、1対の固定板26a,26bとを備える。ホルダ21は、所定の厚みを有する平板状に形成されている。ホルダ21は、互いに表裏の関係をなす第1面21aと第2面21bとを有する。ホルダ21の内部には開口部210が見えている。ビームスプリッタ22および補償板23は、開口部210に収められる。ビームスプリッタ22は、たとえばKBr、ガラスなどのような透光性の材料で形成されている。ビームスプリッタ22は円板形状を有する。ビームスプリッタ22の厚みは、ホルダ21の厚みより小さい。ビームスプリッタ22の径は、ホルダ21の開口部210の径よりもわずかに小さい。
図3に示すように、ビームスプリッタ22は略円環状の固定板26aによって固定されている。固定板26aはねじ242によってホルダ21の第1面21aに固定されている。補償板23は略円環状の固定板26bによって固定されている。固定板26bはねじ242によってホルダ21の第2面21bに固定されている。固定板26a,26bの各々は、1つの取付部261と、内側に向かって突出する3つの突出部262とを備える。取付部261は環状を有する。
【0025】
ビームスプリッタ22とホルダ21との間には第1スペーサ群51として3つの第1種スペーサ片41が配置されている。第1種スペーサ片41を単独で取り出したときの平面図を
図4に示す。ホルダ21を第1面21aが手前となる向きで見たところを
図5に示す。
図5に示すように、第1面21aには凹部211aが形成されている。凹部211aは固定板26aを受け入れる。
【0026】
ホルダ21を第2面21bが手前となる向きで見たところを
図6に示す。
図6に示すように、第2面21bには凹部211bが形成されている。凹部211bは固定板26bを受け入れる。
図3に示すように、凹部211aの底面と凹部211bの底面とをつなぐように開口部210が形成されている。開口部210は、ホルダ21の中央部を厚み方向に貫通している。開口部210の内周面にはフランジ214が設けられている。フランジ214は、円環状である。フランジ214は、開口部210の内周面の中央部から、開口部210の中心に向かって突出している。フランジ214は、ビームスプリッタ22と補償板23とによって挟まれる。
【0027】
ここまで述べた事項と重複する部分もあるが、ビームスプリッタ組立品7の構成を整理すると、以下のように表現することができる。
【0028】
ビームスプリッタ組立品7は、ビームスプリッタ22と、ビームスプリッタ22を保持するホルダ21と、ビームスプリッタ22およびホルダ21の間に配置される第1スペーサ群51とを備える。第1スペーサ群51は3つの第1種スペーサ片41を含み、3つの第1種スペーサ片41の各々は、第1種光学素子保持部411と、第1種位置決め部412とを含む。ホルダ21は、3つの第1種スペーサ片受入れ凹部415を有する。前記第1種スペーサ片受入れ凹部415の各々は、第1種位置決め部412に対応する形状を有する。前記3つの第1種スペーサ片41は、前記3つの第1種スペーサ片受入れ凹部415にそれぞれ収まっている。前記3つの第1種スペーサ片41の各々の第1種光学素子保持部411がビームスプリッタ22に当接している。3つの第1種スペーサ片受入れ凹部415は、等間隔、すなわち120°間隔で設けられている。
【0029】
(作用・効果)
本実施の形態では、ホルダ21が3つの第1種スペーサ片受入れ凹部415を有し、3つの第1種スペーサ片41が3つの第1種スペーサ片受入れ凹部415にそれぞれ収まっているので、各第1種スペーサ片41が備える第1種光学素子保持部411によってビームスプリッタ22を三点支持することができる。したがって、ビームスプリッタ組立品の外形を大きくする必要がなく、かつ、このビームスプリッタ組立品は組立てが容易である。
【0030】
本実施の形態で
図4に示したように、第1種位置決め部412は、平面的に見たときに左右非対称な形状を有することが好ましい。この構成を採用することにより、第1種スペーサ片41を第1種スペーサ片受入れ凹部415に挿入する際に、表裏を間違えることを防止することができる。第1種スペーサ片41は一般的にシート状の材料から打抜き加工で形成すると思われるが、打抜き加工の向きによってオモテとウラとで仕上がり形状がわずかに異なる場合がある。左右非対称な形状としておけば、もし表裏を間違えて第1種スペーサ片受入れ凹部415に挿入しようとした場合には、形状が合わないこととなり、作業者は間違いに気づくことができる。したがって、表裏を間違えた状態で組み立ててしまうことを防止することができる。
【0031】
第1種スペーサ片は、
図7に示す第1種スペーサ片41iのように左右対称な形状であってもよい。この場合もビームスプリッタ22を三点支持すること自体は可能であるので、有用である。しかし、第1種スペーサ片41iのように左右対称な形状である場合には、組立作業時に表裏を間違えても気づきにくい。その観点からは、
図4に示した第1種スペーサ片41のように、左右非対称な形状である方が好ましい。
【0032】
本実施の形態で示したように、ビームスプリッタ組立品7は以下の構成を備えることが好ましい。すなわち、ビームスプリッタ組立品7は、ホルダ21によって保持される補償板23と、補償板23およびホルダ21の間に配置される第2スペーサ群52とをさらに備える。補償板23は、たとえばKBr、ガラスなどのような透光性の材料で形成されている。補償板23は円板形状を有する。補償板23の厚みは、ホルダ21の厚みより小さい。補償板23の径は、ホルダ21の開口部210の径よりもわずかに小さい。補償板23の径は、ビームスプリッタ22の径とほぼ同一である。第2スペーサ群52は2つの第2種スペーサ片42と、1つの第3種スペーサ片43とを含む。第2種スペーサ片42を単独で取り出したときの平面図を
図8に示す。第3種スペーサ片43を単独で取り出したときの平面図を
図9に示す。
【0033】
第2種スペーサ片42の各々は、第2種光学素子保持部421と、第2種位置決め部422とを含む。第3種スペーサ片43は、第3種光学素子保持部431と、第3種位置決め部432とを含む。第2種光学素子保持部421と第3種光学素子保持部431とは、厚みが異なる。第2種スペーサ片42と第3種スペーサ片43とは、平面的に見たときの形状が異なる。
図8と
図9とを見比べれば明らかなように、第3種スペーサ片43の第3種位置決め部432の方が第2種スペーサ片42の第2種位置決め部422より左右方向の長さが長くなっている。ここでいう「左右方向」とは、
図6における凹部211bの周方向に相当する。
【0034】
ホルダ21は、2つの第2種スペーサ片受入れ凹部425と、1つの第3種スペーサ片受入れ凹部435とを有する。前記2つの第2種スペーサ片受入れ凹部425の各々は、第2種位置決め部422に対応する形状を有する。第3種スペーサ片受入れ凹部435は、第3種位置決め部432に対応する形状を有する。前記2つの第2種スペーサ片42は、前記2つの第2種スペーサ片受入れ凹部425にそれぞれ収まっている。前記1つの第3種スペーサ片43は、前記1つの第3種スペーサ片受入れ凹部435に収まっている。前記2つの第2種スペーサ片42の第2種光学素子保持部421と、前記1つの第3種スペーサ片43の第3種光学素子保持部431とは、補償板23に当接している。
【0035】
この構成を採用することにより、2つの第2種スペーサ片42と、1つの第3種スペーサ片43とで補償板23を三点支持することができ、しかも、第2種スペーサ片42の第2種光学素子保持部421と第3種スペーサ片43の第3種光学素子保持部431とは厚みが異なるので、このビームスプリッタ組立品7においては、補償板23をホルダ21の中心軸からわずかに傾斜させて保持することができる。これにより、簡単な構造でありながら、補償板23を、ビームスプリッタ22に対して、完全に平行な状態からわずかに傾斜した状態で位置決めすることができる。
【0036】
ここでは、第3種スペーサ片43の第3種位置決め部432の方が第2種スペーサ片42の第2種位置決め部422より左右方向の長さが長くなっている例を示したが、逆であってもよい。すなわち、第3種スペーサ片43の第3種位置決め部432の方が第2種スペーサ片42の第2種位置決め部422より左右方向の長さが短くなっていてもよい。また、左右方向の長さに差を付けるだけでなく、折れ曲がった形状にしたり、識別用の突起を設けたりしてもよい。第2種スペーサ片42と第3種スペーサ片43とは、平面的に見たときの形状が異なるものであればよい。異なる形状であることにより、組立作業時には、作業者にとって第2種スペーサ片42と第3種スペーサ片43との見分けがつきやすくなり、組立作業が容易となる。
【0037】
本実施の形態で
図8に示したように、第2種位置決め部422は、平面的に見たときに左右非対称な形状を有することが好ましい。この構成を採用することにより、第2種スペーサ片42を第2種スペーサ片受入れ凹部425に挿入する際に、表裏を間違えることを防止することができる。
【0038】
本実施の形態で
図9に示したように、第3種位置決め部432は、平面的に見たときに左右非対称な形状を有することが好ましい。この構成を採用することにより、第3種スペーサ片43を第3種スペーサ片受入れ凹部435に挿入する際に、表裏を間違えることを防止することができる。
【0039】
第2種スペーサ片42および第3種スペーサ片43のうち一方は、第1種スペーサ片41に比べて、同じ厚みであり、平面的に見たときに同じ形状であることが好ましい。この構成を採用することにより、用意すべきスペーサ片の種類を減らすことができ、生産効率が良くなる。第1種スペーサ片41と第2種スペーサ片42と第3種スペーサ片43とは同一種類の材料で形成されていてよい。
【0040】
なお、3つの第1種スペーサ片41の各々が備える第1種光学素子保持部411によってビームスプリッタ22を三点支持する際には、3つの第1種光学素子保持部411によって構成される三角形の内部にビームスプリッタ22の重心が入っていさえすればよい。この条件さえ満たされていれば、3つの第1種光学素子保持部411がビームスプリッタ22を支持する3点の位置関係は自由であり、必ずしも等間隔でなくてもよい。
【0041】
2つの第2種スペーサ片42と、1つの第3種スペーサ片43とで補償板23を三点支持することに関しても同様である。すなわち、2つの第2種スペーサ片42と、1つの第3種スペーサ片43とで構成される三角形の内部に補償板23の重心が入っていさえすればよい。この条件さえ満たされていれば、補償板23を支持する3点の位置関係は自由であり、必ずしも等間隔でなくてもよい。
【0042】
ここまで説明したように、分析装置1は、上述のいずれかのビームスプリッタ組立品を備えることが好ましい。
【0043】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0044】
1 分析装置、2 筐体、3 ヒータ、4 干渉部、5 試料室、6 検出器、7 ビームスプリッタ組立品、8 固定鏡、9 移動鏡、10 駆動部、11 通過窓、12 反射鏡、15 赤外干渉光、21 ホルダ、21a 第1面、21b 第2面、22 ビームスプリッタ、23 補償板、26a,26b 固定板、41,41i 第1種スペーサ片、42 第2種スペーサ片、43 第3種スペーサ片、51 第1スペーサ群、52 第2スペーサ群、210 開口部、211a,211b 凹部、214 フランジ、242 ねじ、261 取付部、262 突出部、411 第1光学素子保持部、412 第1種位置決め部、415 第1種スペーサ片受入れ凹部、421 第2光学素子保持部、422 第2種位置決め部、425 第2種スペーサ片受入れ凹部、435 第3種スペーサ片受入れ凹部。