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  • 特許-ボタンのヒンジ構造及び電子機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】ボタンのヒンジ構造及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01H 3/12 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
H01H3/12 A
H01H3/12 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019057481
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020161252
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下山 峻
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-174724(JP,A)
【文献】実開平3-57840(JP,U)
【文献】特開2017-33719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 3/12
H01H 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタンを配置する配置部に接触する接触部と、
前記配置部との相対的な位置関係が変化するボタン本体部と、
可撓性を有すると共に、一端が前記ボタン本体部に連結され、他端が前記接触部に連結される第1ヒンジと、
可撓性を有すると共に、一端が前記ボタン本体部における、前記第1ヒンジが前記ボタン本体部に対して連結される反対側の位置に連結され、他端が前記ボタン本体部における前記第1ヒンジが連結される側の位置で前記第1ヒンジに連結される第2ヒンジと、
を有することを特徴とするボタンのヒンジ構造。
【請求項2】
前記ボタンは複数が隣接して前記配置部に配置され、
隣接する前記ボタン同士は、前記接触部を共有する請求項1に記載のボタンのヒンジ構造。
【請求項3】
前記配置部は、前記ボタン本体部が接触するスイッチ素子が配置される基板である請求項1または2に記載のボタンのヒンジ構造。
【請求項4】
前記第1ヒンジと前記第2ヒンジとは、前記ボタン本体部の長手方向における両端側にそれぞれ配置される請求項1~3のいずれか1項に記載のボタンのヒンジ構造。
【請求項5】
前記ボタン本体部の長手方向における両端側にそれぞれ配置される前記第1ヒンジは、前記ボタン本体部に対して、前記ボタン本体部の短手方向において同じ側に連結される請求項4に記載のボタンのヒンジ構造。
【請求項6】
前記接触部は、前記ボタン本体部の長手方向における両端側にそれぞれ配置される前記第1ヒンジの延長線上に配置される請求項5に記載のボタンのヒンジ構造。
【請求項7】
正面に表示面を有する表示パネルと、
前記表示パネルの周りを囲む正面パネルと、
前記正面パネルに囲まれた請求項1~6のいずれか1項に記載のボタンのヒンジ構造と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタンのヒンジ構造及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者が押すことによって入力操作を行うプッシュ式のボタンの中には、弾性変形をするヒンジによって支持され、ヒンジが弾性変形をすることにより、ボタンを押下することが可能となっているものがある。例えば、特許文献1には、ボタンの長手方向における一端側をヒンジで支持することが開示されており、特許文献2には、ボタンの長手方向における両端側をヒンジで支持することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-123669号公報
【文献】特開2000-306461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、ボタンの長手方向における一端側をヒンジで支持した場合、ボタンは一箇所で支持されることになるため、ボタンはヒンジを軸として回転し易くなる。このため、ボタンを押した際に、ボタンがぐらつき易くなる虞がある。また、特許文献2に記載されているように、ボタンの長手方向における両端側をヒンジで支持した場合、ボタンは安定し易くなるものの、ボタンを押圧した際における反力が大きくなり、特に、ボタンの4隅にヒンジを配置した場合、反力は非常に大きくなる。この場合、ボタンを押した際における押圧感が悪くなり易くなる虞がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ボタンを押した際における反力を抑えつつ、ボタンのぐらつきを抑制することのできるボタンのヒンジ構造及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るボタンのヒンジ構造は、ボタンを配置する配置部に接触する接触部と、前記配置部との相対的な位置関係が変化するボタン本体部と、可撓性を有すると共に、一端が前記ボタン本体部に連結され、他端が前記接触部に連結される第1ヒンジと、可撓性を有すると共に、一端が前記ボタン本体部における、前記第1ヒンジが前記ボタン本体部に対して連結される反対側の位置に連結され、他端が前記ボタン本体部における前記第1ヒンジが連結される側の位置で前記第1ヒンジに連結される第2ヒンジと、を有する。
【0007】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、正面に表示面を有する表示パネルと、前記表示パネルの周りを囲む正面パネルと、前記正面パネルに囲まれた上記ボタンのヒンジ構造と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るボタンのヒンジ構造及び電子機器は、ボタンを押した際における反力を抑えつつ、ボタンのぐらつきを抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る電子機器を示す正面図である。
図2図2は、図1のA-A断面図である。
図3図3は、図2に示すボタン本体部及びヒンジの斜視図である。
図4図4は、図1のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係るボタンのヒンジ構造及び電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る電子機器1を示す正面図である。図2は、図1のA-A断面図である。図1図2に示すように、本実施形態に係る電子機器1は、車両の内部に搭載される、例えば、AV(Audio Visual)一体型のカーナビゲーション装置である。電子機器1は、表示パネル2と、正面パネル3と、ボタン4と、基板5と、ホルダ部6と、を有する。
【0012】
なお、以下の説明では、電子機器1の通常の使用時における上側を、電子機器1においても上側として説明し、電子機器1の通常の使用時における下側を、電子機器1においても下側として説明する。また、以下の説明では、電子機器1を正面パネル3側から見た際における左右方向を、電子機器1においても左右方向として説明する。
【0013】
表示パネル2は、矩形状に形成され、正面に表示面2Aを有している。正面とは、オペレータが視る面であって、カーナビゲーション装置の場合は車内前方に配置されるため、車内の後方に向く面となる。表示面2Aは、表示パネル2の矩形状よりも小さい矩形状をなし、表示パネル2の外縁2Bより内側に配置されている。表示パネル2は、本実施形態では、表示面2Aが感圧式のタッチパネルとして構成されている。
【0014】
正面パネル3は、表示パネル2の周りを囲むように、矩形状に形成されている。正面パネル3は、表示パネル2の周りを囲む矩形状の枠部3Aと、枠部3Aの内側において表示パネル2の表示面2Aを開放する矩形状の窓部3Bと、を有している。
【0015】
ボタン4は、図1に示すように、正面パネル3の下側であって、正面パネル3の正面側において左右方向に複数並んで配置されている。ボタン4は、図2に示すように、キー4Aと、ボタン本体部4Bと、ヒンジ4Cと、を有している。キー4Aは、正面パネル3の正面側であって外側に現れる部分であり、オペレータが押す操作をする部分である。ボタン本体部4Bは、キー4Aの背面側に配置され、その背面側にヒンジ4Cが一体に接続されている。ボタン本体部4B及びヒンジ4Cは、樹脂材で形成され、ヒンジ4Cは、弾性変形するように、棒状や板状に形成され、且つ、湾曲や屈曲して形成されている。従って、オペレータによりキー4Aが背面側に押された場合、ヒンジ4Cの変形によって、キー4Aと共にボタン本体部4Bが背面側に移動可能に設けられている。また、オペレータによるキー4Aの操作がされていない場合、ヒンジ4Cの弾性によって、キー4Aと共にボタン本体部4Bが正面側に移動した位置に付勢される。
【0016】
なお、正面パネル3は、図2に示すように、ボタン本体部4Bの上下左右を囲むように案内部3Cが設けられ、案内部3Cによって、ボタン本体部4Bの移動を案内するように構成されている。キー4Aは、ボタン本体部4Bの移動を阻害しないように案内部3Cの正面側を覆って配置されている。
【0017】
基板5は、表示パネル2の下部において、表示パネル2の正面に沿って配置されている。本実施形態において、基板5は、左右方向に連続して設けられている。基板5は、図2に示すように、正面にタクトスイッチであるスイッチ素子5Aが実装されている。また、基板5の正面側には、複数のボタン4が隣接して配置されており、スイッチ素子5Aは、複数のボタン4におけるボタン本体部4Bの背面側に対向して配置されている。従って、スイッチ素子5Aは、オペレータによりキー4Aが背面側に押された場合、ヒンジ4Cの変形によって、キー4Aと共にボタン本体部4Bが背面側に移動することで、動作する。なお、スイッチ素子5Aは、1つのボタン4における背面側に、1つに限らず、複数配置されていてもよい。この基板5は、正面パネル3に収容されている。具体的に、正面パネル3は、上述した案内部3Cより背面に延びて上下左右を囲むケース部3Dが形成されている。基板5は、このケース部3Dに収容されている。
【0018】
ホルダ部6は、図2に示すように、表示パネル2の下部において、表示パネル2の正面と基板5の背面との間に挟まれるように設けられている。ホルダ部6は、板状に形成され、基板5が収容されている正面パネル3のケース部3Dにおける背面側を塞ぐように設けられ、正面パネル3に取り付けられている。具体的に、ホルダ部6は、正面パネル3の底部に形成された貫通穴3Eに挿入される突起6Aを有し、この貫通穴3Eへの突起6Aの嵌合により正面パネル3に取り付けられる。
【0019】
また、ホルダ部6は、正面パネル3に取り付けられることで、基板5の背面に当接して設けられる。上述したように、オペレータによりキー4Aが背面側に押された場合、ヒンジ4Cの変形によって、キー4Aと共にボタン本体部4Bが背面側に移動することで、基板5のスイッチ素子5Aが動作するが、この際、ホルダ部6は、基板5の背面に当接することで、基板5が背面側へ押されることへの反力を生じる。
【0020】
次に、ボタン4のヒンジ構造について説明する。図3は、図2に示すボタン本体部4B及びヒンジ4Cの斜視図である。図4は、図1のB-B断面図である。ボタン4は、ボタン4を配置する配置部である基板5の正面側に配置されており、キー4Aと、ボタン本体部4Bと、ヒンジ4Cと、接触部4Gとを含んでいる。
【0021】
ボタン本体部4Bは、上述したように、ボタン4においてキー4Aの背面側に配置され、オペレータによりキー4Aが背面側に押された場合、スイッチ素子5Aを動作させるものである。つまり、ボタン本体部4Bは、基板5との相対的な位置関係が変化することができるように配設されている。このため、ボタン本体部4Bは、オペレータによりキー4Aが背面側に押された場合、基板5に近付くことにより、基板5に配置されるスイッチ素子5Aに接触し、スイッチ素子5Aを動作させることが可能になっている。ボタン本体部4Bは、例えば、略直方体の形状をしたブロックとして構成され、樹脂材で形成されている。ボタン本体部4Bは、直方体の長手方向が電子機器1の左右方向になり、短手方向が電子機器1の上下方向になり、高さ方向が電子機器1の正面と背面の方向になる向きで配置されている。
【0022】
図3は、3つのボタン本体部4Bが左右方向に並んだ形態を示しており、一番左のボタン本体部4Bは、キー4Aが取り付けられた状態になっており、右側の2つのボタン本体部4Bは、キー4Aが取り外された状態で図示されている。
【0023】
ヒンジ4Cは、上述したように、樹脂材で形成されて、ボタン本体部4Bに一体に接続され、自身の弾性変形によりキー4Aと共にボタン本体部4Bを移動可能にする。ボタン本体部4Bは、背面側において上下左右の4箇所に背面側に延びる腕部4Fが設けられており、4箇所の腕部4Fは、ボタン本体部4Bの背面側における4つの角部付近にそれぞれ配置されている。ヒンジ4Cは、このように形成される腕部4Fに接続されており、腕部4Fを介してボタン本体部4Bに連結されている。ヒンジ4Cは、第1ヒンジ4Dと第2ヒンジ4Eとを有しており、第1ヒンジ4Dと第2ヒンジ4Eとは、1つのボタン本体部4Bに対して2本ずつが設けられている。これらの第1ヒンジ4Dと第2ヒンジ4Eとは、いずれも角棒の形状で形成され、端部が腕部4Fに連結されている。また、第1ヒンジ4Dと第2ヒンジ4Eとは、ボタン本体部4Bの長手方向における両端側にそれぞれ配置されている。
【0024】
ボタン本体部4Bの長手方向における両端側にそれぞれ配置される第1ヒンジ4Dは、ボタン本体部4Bに対して、ボタン本体部4Bの短手方向において同じ側に連結されている。詳しくは、2つの第1ヒンジ4Dは、ボタン本体部4Bに設けられる4つの腕部4Fのうち、電子機器1の上下方向におけるボタン本体部4Bの上側寄りに位置する2箇所の腕部4F(図4参照)に、それぞれ一端が連結され、腕部4Fから、ボタン本体部4Bの長手方向における、他方の第1ヒンジ4Dが位置する側の反対方向に延びている。即ち、1つのボタン本体部4Bに連結される2つの第1ヒンジ4Dは、ボタン本体部4Bの長手方向における異なる端部付近で、且つ、ボタン本体部4Bの短手方向における電子機器1の上側寄りの位置にそれぞれ連結され、ボタン本体部4Bの長手方向に延びている。このように腕部4Fを介してボタン本体部4Bに連結される第1ヒンジ4Dは、可撓性を有しており、ボタン本体部4Bに連結される側の端部を支点として、撓むことが可能になっている。
【0025】
また、ボタン本体部4Bの長手方向における両端側にそれぞれ配置される第2ヒンジ4Eは、ボタン本体部4Bに対して、ボタン本体部4Bの短手方向において、第1ヒンジ4Dが連結される側の反対側に連結されている。詳しくは、ボタン本体部4Bに連結される2つの第2ヒンジ4Eは、ボタン本体部4Bに設けられる4つの腕部4Fのうち、電子機器1の上下方向におけるボタン本体部4Bの下側寄りに位置する2箇所の腕部4F(図3参照)に、それぞれ一端が連結されている。また、第2ヒンジ4Eの他端は、ボタン本体部4Bにおける第1ヒンジ4Dが連結される側の位置、つまり、ボタン本体部4Bの短手方向における電子機器1の上側の位置で、第1ヒンジ4Dに連結されている。
【0026】
詳しくは、第2ヒンジ4Eは、腕部4Fに連結されている位置から、ボタン本体部4Bの長手方向における、他方の第2ヒンジ4Eが位置する側の反対方向に延びており、所定の位置で、ボタン本体部4Bの短手方向において第1ヒンジ4Dに位置する方向に屈曲している。即ち、第2ヒンジ4Eは、屈曲部4Eaを有しており、屈曲部4Eaで、約90°屈曲している。このため、第2ヒンジ4Eは、腕部4Fに連結される側の端部と屈曲部4Eaとの間の部分は、ボタン本体部4Bの長手方向に延び、第1ヒンジ4Dに連結される側の端部と屈曲部4Eaとの間の部分は、ボタン本体部4Bの短手方向に延びている。
【0027】
また、第2ヒンジ4Eは、第1ヒンジ4Dと同様に可撓性を有しており、腕部4Fを介してボタン本体部4Bに連結される側の端部を支点として、撓むことが可能になっている。このため、ボタン本体部4Bの長手方向において同じ側に位置し、且つ、第2ヒンジ4Eの端部が第1ヒンジ4Dに連結されることにより互いに連結される第1ヒンジ4Dと第2ヒンジ4Eとは、一体となって撓むことが可能になっている。即ち、第1ヒンジ4Dと第2ヒンジ4Eとを有するヒンジ4Cは、第1ヒンジ4Dと第2ヒンジ4Eとが一体となって撓むことが可能になっている。
【0028】
接触部4Gは、第1ヒンジ4Dにおける、腕部4Fを介してボタン本体部4Bに連結される側の端部の反対側の端部に連結されており、ボタン本体部4Bの長手方向に延びる第1ヒンジ4Dの延長線上に配設されている。即ち、一端がボタン本体部4Bに連結される第1ヒンジ4Dは、他端が、接触部4Gに連結されている。接触部4Gは、電子機器1の上下方向に見た場合、即ち、ボタン本体部4Bの短手方向に見た場合に、電子機器1の正面側が開放側となるコ字形状で形成されており、第1ヒンジ4Dは、接触部4Gのコ字形状の開放側の2つの端部のうちの一方の端部に連結されている。このように、第1ヒンジ4Dが連結される接触部4Gは、ボタン4において、ボタン4を配置する配置部である基板5に接触する部位になっている。接触部4Gは、コ字形状の閉塞側の部分における、開放側の端部の反対側に位置する側の面が基板5に接触する。
【0029】
基板5の正面側に配置される複数のボタン4は、ボタン本体部4Bの短手方向においてボタン本体部4Bに対して第1ヒンジ4Dが連結される側、及び第2ヒンジ4Eが連結される側が、全て同じ側になっている。本実施形態では、複数のボタン4のうちの全てのボタン4で、第1ヒンジ4Dは、ボタン本体部4Bに対して、ボタン本体部4Bの短手方向における電子機器1の上側に連結され、第2ヒンジ4Eは、ボタン本体部4Bの短手方向における電子機器1の下側に連結されている。
【0030】
さらに、複数のボタン4のうち隣接するボタン4同士は、接触部4Gを共有している。隣接するボタン4同士のうち、一方のボタン4は、第1ヒンジ4Dが、接触部4Gのコ字形状の開放側の2つの端部のうち、一方の端部に連結されており、他方のボタン4は、第1ヒンジ4Dが、接触部4Gのコ字形状の開放側の2つの端部のうち、他方の端部に連結されている。これにより、隣接するボタン4同士は、接触部4Gを共有し、接触部4Gを介して連結されている。
【0031】
これらのように形成されるボタン本体部4B、ヒンジ4C、腕部4F、接触部4Gは、樹脂材によりモールド成形などで一体に形成されている。
【0032】
ボタン本体部4Bの上下左右を囲む案内部3Cが設けられる正面パネル3には、支持部3Fが形成されている(図4参照)。支持部3Fは、正面パネル3において、基板5を収容するケース部3Dの内側にて、基板5に向かって背面側に延びたリブ状の形状で形成されている。支持部3Fは、背面側に延びた先端がボタン4の接触部4Gに当接する。詳しくは、支持部3Fは、背面側に向く先端が、接触部4Gのコ字形状における開放側の部分に挿入されており、接触部4Gに嵌合している。また、支持部3Fは、背面側に向く先端に溝3Faが形成されている。この溝3Faは、支持部3Fの左右方向に貫通し、背面側に開放して形成されており、接触部4Gが入り込むことにより接触部4Gと嵌合する。接触部4Gは、支持部3Fの溝3Faと嵌合することにより、基板5に押し付けられる。接触部4Gは、支持部3Fの溝3Faが嵌合した状態で支持部3Fによって支持されることにより、上下方向及び左右方向の移動が規制された状態で、基板5の正面に当接して支持される。即ち、ボタン4は、接触部4Gを基板5に接触させた状態で固定される。
【0033】
本実施形態に係るボタン4のヒンジ構造及び電子機器1は、以上のような構成を含み、以下、その作用について説明する。ボタン4に対して入力操作を行う際には、オペレータが、例えば指によってボタン4のキー4Aに対して押圧操作を行う。これにより、ボタン4には、正面側から背面方向への力が入力される。ボタン4は、可撓性を有するヒンジ4Cがボタン本体部4Bに連結され、ボタン本体部4Bは、ヒンジ4Cによって支持されているため、ボタン4に背面方向への力が入力された際には、ヒンジ4Cは、この力によって撓む。これにより、ボタン本体部4Bは、背面方向へ移動し、ボタン本体部4Bと基板5との間で基板5に配置されるスイッチ素子5Aに接触する。これにより、スイッチ素子5Aは動作し、当該ボタン4に対して入力操作が行われたことを検知して、電子機器1の制御部(図示省略)に対してボタン4に対して入力操作が行われたことを伝達する。これにより、制御部は、当該ボタン4に割り当てられている動作、つまり、当該ボタン4に対して入力操作が行われた際における動作を行うように、電子機器1を制御する。
【0034】
ボタン4に対して入力操作を行った後、オペレータがボタン4から指を離した場合は、ボタン本体部4Bは、ヒンジ4Cの弾力性により、基板5から離れる方向、即ち、正面方向に移動する。これにより、ボタン本体部4Bはスイッチ素子5Aから離間し、ボタン4は、入力操作が行われる前の状態に戻る。
【0035】
ボタン4に対して入力操作が行われた際には、このようにヒンジ4Cが撓んでボタン本体部4Bが基板5に近付く方向に移動するが、ヒンジ4Cは、接触部4Gに連結される第1ヒンジ4Dと、屈曲部4Eaを有して第1ヒンジ4Dに連結される第2ヒンジ4Eとにより構成されている。つまり、第2ヒンジ4Eは、ボタン本体部4Bに連結される位置と屈曲部4Eaとの間でボタン本体部4Bの長手方向に延びる部分と、第1ヒンジ4Dに連結される位置と屈曲部4Eaとの間でボタン本体部4Bの短手方向に延びる部分とを有しており、第1ヒンジ4Dに比べて全長が長くなっている。換言すると、第2ヒンジ4Eは、屈曲部4Eaを有し、屈曲部4Eaの位置からボタン本体部4Bの短手方向に延びる部分を有しているため、屈曲部4Eaを有さずにボタン本体部4Bの長手方向にのみ延びて形成される場合と比較して、全長が長くなっている。このため、第2ヒンジ4Eは、外部から入力される力によって撓み易くなっており、その分、ヒンジ4C全体としても撓み易くなっている。これにより、ボタン4は、入力操作時に、大きな力を付与することなくボタン本体部4Bが背面方向に移動することができ、入力操作を行う際における反力が小さくなっている。
【0036】
一方で、ヒンジ4Cは、第1ヒンジ4Dが、ボタン本体部4Bの短手方向における一方側からボタン本体部4Bに連結されてボタン本体部4Bを支持し、第2ヒンジ4Eがボタン本体部4Bの短手方向における他方側からボタン本体部4Bに連結されてボタン本体部4Bを支持している。これにより、ヒンジ4Cは、ボタン本体部4Bを長手方向における両端側と、短手方向における両端側とで支持しており、ボタン本体部4Bがぐらつくことなく安定して支持している。
【0037】
以上の実施形態に係るボタン4のヒンジ構造及び電子機器1は、ボタン本体部4Bを支持するヒンジ4Cが、ボタン本体部4Bに対して互い反対側に連結される第1ヒンジ4Dと第2ヒンジ4Eとを有しているため、ボタン本体部4Bを安定して支持することができる。また、第1ヒンジ4Dと第2ヒンジ4Eとは、それぞれ可撓性を有し、且つ、第2ヒンジ4Eは、ボタン本体部4Bに連結される側の反対側の端部が、ボタン本体部4Bにおける第1ヒンジ4Dが連結される側の位置で第1ヒンジ4Dに連結されるため、第1ヒンジ4Dに比べて第2ヒンジ4Eの全長を長くすることができる。これにより、第2ヒンジ4Eを撓ませ易くすることができ、ボタン4への入力操作時の押圧力によってボタン本体部4Bを移動させる際の反力を低減することができる。これらの結果、ボタン4を押した際における反力を抑えつつ、ボタン4のぐらつきを抑制することができる。
【0038】
また、隣接するボタン4同士は、接触部4Gを共有するため、隣接するボタン4同士の距離を小さくすることができる。この結果、複数のボタン4を並べて配置する際にコンパクト化を図ることができ、狭い領域に複数のボタン4を配置することができる。
【0039】
また、ボタン4は、スイッチ素子5Aが配置される基板5に配置するため、ボタン4周りの部位の小型化を図ることが出来ると共に、ボタン4の配置に用いる部材の簡素化を図ることができる。この結果、ボタン4を用いる装置の小型化を図ることが出来ると共に、製造コストを低減することができる。
【0040】
また、第1ヒンジ4Dと第2ヒンジ4Eとは、ボタン本体部4Bの長手方向における両端側にそれぞれ配置されるため、ボタン本体部4Bを、長手方向における両端側の第1ヒンジ4Dと第2ヒンジ4Eとで、適切に支持することができる。この結果、より確実にボタン4を押した際における反力を抑えつつ、ボタン4のぐらつきを抑制することができる。
【0041】
また、ボタン本体部4Bの長手方向における両端側にそれぞれ配置される第1ヒンジ4Dは、ボタン本体部4Bに対して、ボタン本体部4Bの短手方向において同じ側に連結されるため、ボタン4に対して押圧操作を行った際におけるボタン4からの反力を、ボタン4の長手方向で一定にすることができる。この結果、ボタン4に対して入力操作を行った際における操作感を向上させることができ、ボタン4の品質を向上させることができる。
【0042】
また、接触部4Gは、ボタン本体部4Bの長手方向における両端側にそれぞれ配置される第1ヒンジ4Dの延長線上に配置されるため、ボタン本体部4Bを、接触部4Gと第1ヒンジ4Dとによってボタン本体部4Bの長手方向における両側から支持することができる。これにより、ボタン4に対して押圧操作を行った際におけるボタン4からの反力を、ボタン4の長手方向でより確実に一定にすることができる。この結果、ボタン4に対して入力操作を行った際における操作感をより確実に向上させることができ、より確実にボタン4の品質を向上させることができる。
【0043】
[変形例]
なお、上述した実施形態では、ボタン本体部4Bの長手方向における両端側に配置される第1ヒンジ4Dは、ボタン本体部4Bに対して、ボタン本体部4Bの短手方向において同じ側に連結されているが、ボタン本体部4Bの両端側に配置される第1ヒンジ4Dは、ボタン本体部4Bの短手方向において互いに異なる側に連結されていてもよい。また、上述した実施形態では、ボタン本体部4Bの短手方向においてボタン本体部4Bに対して第1ヒンジ4Dが連結される側と第2ヒンジ4Eが連結される側とが、複数のボタン4で全て同じ側になっているが、第1ヒンジ4Dや第2ヒンジ4Eが連結される側は、ボタン4同士で異なっていてもよい。ボタン本体部4Bに対して、ボタン本体部4Bの短手方向において第1ヒンジ4Dや第2ヒンジ4Eを連結する側は、ボタン4の大きさやボタン4の割り当てられる機能等に応じて、適宜設定するのが好ましい。
【符号の説明】
【0044】
1 電子機器
2 表示パネル
3 正面パネル
4 ボタン
4A キー
4B ボタン本体部
4C ヒンジ
4D 第1ヒンジ
4E 第2ヒンジ
4Ea 屈曲部
4G 接触部
5 基板(配置部)
5A スイッチ素子
6 ホルダ部
図1
図2
図3
図4