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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】電池パック及び電気機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/20 20210101AFI20220712BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
H01M50/20
H01M10/48 P
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019536719
(86)(22)【出願日】2018-07-27
(86)【国際出願番号】 JP2018028262
(87)【国際公開番号】W WO2019035338
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-02-12
(31)【優先権主張番号】P 2017156314
(32)【優先日】2017-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017156315
(32)【優先日】2017-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】山口 聡史
(72)【発明者】
【氏名】中野 恭嗣
(72)【発明者】
【氏名】塙 浩之
(72)【発明者】
【氏名】船橋 一彦
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-073020(JP,A)
【文献】米国特許第05939856(US,A)
【文献】国際公開第2017/043248(WO,A1)
【文献】特開2009-037760(JP,A)
【文献】特開2007-104745(JP,A)
【文献】特開2005-235676(JP,A)
【文献】特開2009-118440(JP,A)
【文献】特開2011-055620(JP,A)
【文献】特開平04-147076(JP,A)
【文献】特開2015-133887(JP,A)
【文献】特開2014-079091(JP,A)
【文献】特開2013-050358(JP,A)
【文献】特開2008-278745(JP,A)
【文献】特開2008-206272(JP,A)
【文献】特開2014-103717(JP,A)
【文献】特開2013-106372(JP,A)
【文献】特開2012-060833(JP,A)
【文献】国際公開第2010/029942(WO,A1)
【文献】特開2012-181043(JP,A)
【文献】国際公開第2016/006152(WO,A1)
【文献】特開2014-144699(JP,A)
【文献】特開2014-73020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器に接続可能な電池パックであって、
電池側制御部と、
前記電池側制御部に接続された第1デジタル通信回路であり、前記電気機器とのデジタル通信のための第1デジタル通信回路と、
前記電池パックの第1情報を直流電圧値で示すアナログ電圧を前記電気機器に出力するための第1アナログ通信回路と、
前記第1デジタル通信回路及び前記第1アナログ通信回路のいずれかに択一的に接続される、前記電気機器との接続用の第1電池側通信端子と、
前記第1デジタル通信回路及び前記第1アナログ通信回路と、前記第1電池側通信端子と、の間に設けられる第1切替回路と、
前記第1切替回路に接続される、前記電気機器との接続用の電池側切替端子と、を備え、
前記第1切替回路は、接続した前記電気機器から前記電池側切替端子を介して入力される所定の信号に応じて、前記第1デジタル通信回路及び前記第1アナログ通信回路のいずれを前記第1電池側通信端子に接続するかを切り替える、電池パック。
【請求項2】
前記所定の信号に応じて、前記第1電池側通信端子を介して前記電気機器へ前記第1情報を示すアナログ電圧を出力するか、前記第1電池側通信端子を介して前記電気機器からデジタル信号を入力するかを切り替える、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記電池側制御部に接続された第2デジタル通信回路と、
前記電池パックの第2情報を直流電圧値で示すアナログ電圧を前記電気機器に出力するための第2アナログ通信回路と、
前記第2デジタル通信回路及び前記第2アナログ通信回路のいずれかに択一的に接続される、前記電気機器との接続用の第2電池側通信端子と、
前記第2デジタル通信回路及び前記第2アナログ通信回路と、前記第2電池側通信端子と、の間に設けられる第2切替回路と、を備え、
前記電池側制御部は、前記第1デジタル通信回路を介して前記電気機器からデジタル信号を受信すると、前記第2切替回路を、前記第2デジタル通信回路を前記第2電池側通信端子に接続するように制御する、請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記第1デジタル通信回路は、電気機器からのデジタル信号を受信する受信用回路であり、
前記第2デジタル通信回路は、電気機器にデジタル信号を送信する送信用回路であり、
前記電池側制御部は、前記受信用回路を介して受信した信号に応じて、前記第2切替回路に入力する電圧を決定する、請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
接続した前記電気機器から受信したデジタル信号に応じて、制御の閾値を切り替えるよう構成され、
前記閾値は、過放電閾値、過電流閾値、及び電池セルの高温保護閾値の少なくともいずれかを含む異常検出用の閾値、又は、前記電池パックの残容量報知を切り替える閾値である、請求項からのいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電池パックと、前記電池パックに接続される機器本体と、を備える電気機器であって、
前記機器本体は、
本体側制御部と、
前記第1電池側通信端子に接続される第1本体側通信端子と、
前記電池側切替端子に接続される本体側切替端子と、を有し、
前記本体側制御部は、前記本体側切替端子及び前記電池側切替端子を介して、前記第1切替回路に前記所定の信号を入力する、電気機器。
【請求項7】
前記機器本体は、異常を検出した場合に異常検出信号、又は、異常を検出して停止した場合に停止した旨の信号、又は、自身の異常情報を前記電池パックに送信し、
前記電池パックは、前記所定の信号又は前記異常情報を受信すると、その旨を報知する、請求項6に記載の電気機器。
【請求項8】
前記機器本体と前記電池パックとで、異常判別の基準値が異なる、請求項7に記載の電気機器。
【請求項9】
前記電池パック及び前記機器本体の一方で異常を検出した場合に、前記一方又は他方で報知する、又は、
前記電池パック及び前記機器本体は、前記電池パックの残容量を表示する残容量表示部を有し、双方の残容量表示部の表示状態を一致させる、請求項6から8のいずれか一項に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パック、及び電池パックを接続可能な電動工具等の電気機器に関する。また、本発明は、電気機器に接続可能な通信機能を有する電池パック、及び電池パックと機器本体との間で通信を行う電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、電池パックにマイクロコンピュータ(以下「マイコン」)を内蔵することで様々な機能(例えば充電装置との通信機能)を付加した電池パック、及び前記電池パックに対応した充電装置を開示する。電池パックのマイコンは、電池パックが充電装置に装着されると、電池組の充電条件を表すパルス信号を充電装置に向けて出力し、充電装置は、前記充電条件に基づいて電池組の充電を行う。また、一般に、電池パックは、過放電保護機能を有し、過放電(低電圧)状態になると電流供給を停止する。一方、電池パックに接続される電気機器の本体も電池パックの過放電保護機能を有する場合があり、どのような電圧値になったときに過放電と判断するかは、電気機器ごとに設定される(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-72945号公報
【文献】特開2011-211861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池パック機器本体デジタル通信のタイミングは、電池パックが機器本体に接続された直後が最適とは限らない。最適なタイミングは、機器本体の種類によっても異なるため、電池パック側で特定することは困難である。また、電気機器の本体が電池パックを過放電と判断する電圧は、電池パックが自身を過放電と判断する電圧よりも低いことがある。この場合、電池パックでの過放電検出より先に機器本体で過放電検出が行われる。過放電検出に限らず、電池パックの各種制御の閾値は、接続した電気機器によらず一定であると、適切な制御ができないことがある。また、機器本体や電池パックに残量表示部がある場合、機器本体が過放電検出で停止しているにも関わらず、電池パックの残量表示は残量ありの表示となり、動作と表示が整合しないという課題がある。
【0005】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、電池パック機器本体との間で適切なタイミングでデジタル通信することの可能な電池パック及び電気機器を提供することにある。また、本発明の他の目的は、接続した電気機器に応じた適切な制御が可能な電池パック、及び電池パックの制御を適切化することの可能な電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様は、
電気機器に接続可能な電池パックであって、
電池側制御部と、
前記電池側制御部に接続された第1デジタル通信回路であり、前記電気機器とのデジタル通信のための第1デジタル通信回路と、
前記電池パックの第1情報を直流電圧値で示すアナログ電圧を前記電気機器に出力するための第1アナログ通信回路と、
前記第1デジタル通信回路及び前記第1アナログ通信回路のいずれかに択一的に接続される、前記電気機器との接続用の第1電池側通信端子と、
前記第1デジタル通信回路及び前記第1アナログ通信回路と、前記第1電池側通信端子と、の間に設けられる第1切替回路と、
前記第1切替回路に接続される、前記電気機器との接続用の電池側切替端子と、を備え、
前記第1切替回路は、接続した前記電気機器から前記電池側切替端子を介して入力される所定の信号に応じて、前記第1デジタル通信回路及び前記第1アナログ通信回路のいずれを前記第1電池側通信端子に接続するかを切り替える。
【0011】
前記所定の信号に応じて、前記第1電池側通信端子を介して前記電気機器へ前記第1情報を示すアナログ電圧を出力するか、前記第1電池側通信端子を介して前記電気機器からデジタル信号を入力するかを切り替えてもよい。
【0012】
前記電池側制御部に接続された第2デジタル通信回路と、
前記電池パックの第2情報を直流電圧値で示すアナログ電圧を前記電気機器に出力するための第2アナログ通信回路と、
前記第2デジタル通信回路及び前記第2アナログ通信回路のいずれかに択一的に接続される、前記電気機器との接続用の第2電池側通信端子と、
前記第2デジタル通信回路及び前記第2アナログ通信回路と、前記第2電池側通信端子と、の間に設けられる第2切替回路と、を備え、
前記電池側制御部は、前記第1デジタル通信回路を介して前記電気機器からデジタル信号を受信すると、前記第2切替回路を、前記第2デジタル通信回路を前記第2電池側通信端子に接続するように制御してもよい。
【0013】
前記第1デジタル通信回路は、電気機器からのデジタル信号を受信する受信用回路であり、
前記第2デジタル通信回路は、電気機器にデジタル信号を送信する送信用回路であり、
前記電池側制御部は、前記受信用回路を介して受信した信号に応じて、前記第2切替回路に入力する電圧を決定してもよい。
【0014】
接続した前記電気機器から受信したデジタル信号に応じて、制御の閾値を切り替えるよう構成され、
前記閾値は、過放電閾値、過電流閾値、及び電池セルの高温保護閾値の少なくともいずれかを含む異常検出用の閾値、又は、前記電池パックの残容量報知を切り替える閾値であってもよい。
【0015】
本発明の第態様は、電気機器である。この電気機器は、
第2態様の電池パックと、前記電池パックに接続される機器本体と、を備える電気機器であって、
前記機器本体は、
本体側制御部と、
前記第1電池側通信端子に接続される第1本体側通信端子と、
前記電池側切替端子に接続される本体側切替端子と、を有し、
前記本体側制御部は、前記本体側切替端子及び前記電池側切替端子を介して、前記第1切替回路に前記所定の信号を入力する。
【0016】
前記機器本体は、異常を検出した場合に異常検出信号、又は、異常を検出して停止した場合に停止した旨の信号、又は、自身の異常情報を前記電池パックに送信し、
前記電池パックは、前記所定の信号又は前記異常情報を受信すると、その旨を報知してもよい。
【0017】
前記機器本体と前記電池パックとで、異常判別の基準値が異なってもよい。
【0018】
前記電池パック及び前記機器本体の一方で異常を検出した場合に、前記一方又は他方で報知する、又は、
前記電池パック及び前記機器本体は、前記電池パックの残容量を表示する残容量表示部を有し、双方の残容量表示部の表示状態を一致させてもよい。
【0034】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、電池パックから機器本体に適切なタイミングで情報を送信することの可能な電池パック及び電気機器を提供することができる。また、本発明によれば、接続した電気機器に応じた適切な制御が可能な電池パック、及び電池パックの制御を適切化することの可能な電気機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の実施の形態のブロック図であり、電池パック10を電動工具50に接続した状態のブロック図。
図2】本発明の実施の形態のブロック図であり、電池パック10を充電器70に接続した状態のブロック図。
図3】電動工具50の制御フローチャート。
図4】電動工具50の図3に示す通信制御(S15)の第1例を示すフローチャート。
図5】電池パック10の制御フローチャート。
図6】電池パック10の図5に示す過放電判定(S30)の第1例を示すフローチャート。
図7】電池パック10の図5に示す通信制御(S59)の第1例を示すフローチャート。
図8】電池パック10の図5に示す残容量表示制御(S60)のフローチャート。
図9】電動工具50の図3に示す通信制御(S15)の第2例を示すフローチャート。
図10】電池パック10の図5に示す過放電判定(S30)の第2例を示すフローチャート。
図11】電池パック10の図5に示す通信制御(S59)の第2例を示すフローチャート。
図12】電動工具50の図3に示す通信制御(S15)の第3例を示すフローチャート。
図13】電池パック10の図5に示す過放電判定(S30)の第3例を示すフローチャート。
図14】電池パック10の図5に示す通信制御(S59)の第3例を示すフローチャート。
図15】電池パック10の残容量表示手段17の表示例を示す説明図。
図16図2に示すブロック図における動作の一例を示すタイムチャート。
図17】充電器70の制御フローチャート。
図18】本発明の他の実施の形態のブロック図であり、電池パック10を電動工具50に接続した状態のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0039】
図1は、本発明の実施の形態のブロック図であり、電池パック10を電動工具50に接続した状態のブロック図である。図2は、本発明の実施の形態のブロック図であり、電池パック10を充電器70に接続した状態のブロック図である。図1に示すように、電池パック10及び電動工具50はそれぞれ、プラス端子、LS端子、V端子、T端子、LD端子、及びマイナス端子を備える。電池パック10及び電動工具50の同名の端子同士が互いに電気的に接続される。図2に示すように、充電器70は、プラス端子、LS端子、V端子、T端子、及びマイナス端子を備える。電池パック10及び充電器70の同名の端子同士が互いに電気的に接続される。電池パック10のLS端子は第1電池側通信端子の例示であり、電動工具50及び充電器70のLS端子は第1本体側通信端子の例示である。電池パック10のT端子は第2電池側通信端子の例示であり、電動工具50及び充電器70のT端子は第2本体側通信端子の例示である。電池パック10のV端子は電池側切替端子の例示であり、電動工具50及び充電器70のV端子は本体側切替端子の例示である。
【0040】
電池パック10は、自身のプラス端子とマイナス端子との間に直列接続された複数の(ここでは5つの)二次電池セル11を備える。セル電圧監視IC12は、各々の二次電池セル11の電圧を監視し、少なくとも1つの二次電池セル11の電圧が所定値以下になると、過放電と判断し、また、少なくとも1つの二次電池セル11の電圧が過充電の所定値を超えると、過充電と判断し、制御部(電池側制御部)15に過放電検出信号または過充電検出信号を送信する。二次電池セル11には電流検出用の抵抗R1が直列接続される。電流検出回路14は、抵抗R1の両端の電圧により二次電池セル11の出力電流を検出し、制御部15に検出結果を送信する。電源回路13は、二次電池セル11の出力電圧からセル電圧監視IC12及び制御部15の電源電圧VDD1を生成する。電池電圧検出回路16は、二次電池セル11の出力電圧を検出し、制御部15に検出結果を送信する。残容量表示手段17は、例えばLEDであり、制御部15の制御により電池パック10の残容量を使用者に表示(報知)する。セル温度検出手段18は、二次電池セル11の近傍に配置されたサーミスタTHの電圧により二次電池セル11の温度を検出し、温度に対応した電圧値を制御部15に出力する。残容量表示スイッチ19は、使用者が残容量表示手段17への残容量表示を指示するためのスイッチである。
【0041】
電池パック10は、電動工具50から送信されるシリアル通信信号(デジタル信号)を制御部15に受信させるための経路を成すシリアル通信用受信回路31と、サーミスタTHの一端のアナログ電圧(二次電池セル11の温度情報)を電動工具50に送信するための経路を成す温度情報送信回路32と、を有する。シリアル通信用受信回路31及び温度情報送信回路32は、それぞれ第1通信回路の例示である。電池パック10のLS端子は、第1切替回路21を介して、シリアル通信用受信回路31及び温度情報送信回路32のいずれかに択一的に接続される。第1切替回路21は、一端がLS端子に接続され、制御端子がV端子に接続され、V端子から入力される信号に応じて、他端がシリアル通信用受信回路31及び温度情報送信回路32のいずれかに択一的に接続される。ここでは、V端子からの信号がローレベルのとき、第1切替回路21の他端はシリアル通信用受信回路31に接続され、V端子からの信号がハイレベルのとき、第1切替回路21の他端は温度情報送信回路32に接続される。サーミスタTHの一端は、第1切替回路21の他端に接続される。サーミスタTHの他端とグランドとの間に、FET等のスイッチング素子Q1が設けられる。第3切替回路23は、一端がV端子に接続され、制御端子が制御部15に接続され、制御部15から入力される信号に応じて、他端がスイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)及びサーミスタTHの一端(第1切替回路21の他端)に択一的に接続される。
【0042】
電池パック10は、識別抵抗Raの一端のアナログ電圧(電池パック10の識別情報)を電動工具50に送信するための経路を成す識別情報送信回路35と、制御部15から電動工具50に向けたシリアル通信信号(デジタル信号)を送信するための経路を成すシリアル通信用送信回路36と、を有する。識別情報送信回路35及びシリアル通信用送信回路36は、それぞれ第2通信回路の例示である。電池パック10のT端子は、第2切替回路22を介して、識別情報送信回路35及びシリアル通信用送信回路36のいずれかに択一的に接続される。第2切替回路22は、一端がT端子に接続され、制御端子が制御部15に接続され、制御部15から入力される信号に応じて、他端が識別情報送信回路35及びシリアル通信用送信回路36のいずれかに択一的に接続される。識別抵抗Raの一端は、第2切替回路22の他端に接続される。識別抵抗Raの他端とグランドとの間に、識別抵抗Rb及びFET等のスイッチング素子Q2が並列接続される。スイッチング素子Q2の制御端子(ゲート)は、V端子に接続される。V端子から入力される信号がハイレベルのとき、スイッチング素子Q2はオンとなり、識別抵抗Rbには電流が流れない。V端子から入力される信号がローレベルのとき、スイッチング素子Q2はオフとなり、識別抵抗Rbに電流が流れる。
【0043】
電池パック10において、LD端子とグランドとの間には、FET等のスイッチング素子Q3が設けられる。スイッチング素子Q3の制御端子(ゲート)は、制御部15に接続される。制御部15から制御端子に入力される信号がハイレベルのとき、スイッチング素子Q3はオンとなり、同信号がローレベルのとき、スイッチング素子Q3はオフとなる。
【0044】
電気機器の例示である電動工具50は、自身のプラス端子とマイナス端子との間に直列接続された、駆動源となるモータ51、トリガスイッチ52、FET等のスイッチング素子Q5、及び抵抗R5を備える。モータ51は、ここではブラシ付きモータであるが、ブラシレスモータとしてもよい。スイッチング素子Q5の制御端子(ゲート)は、制御部(本体側制御部)55に接続される。スイッチ状態検出回路53は、トリガスイッチ52のモータ51側の端子電圧によりトリガスイッチ52のオンオフを検出し、制御部55に検出結果を送信する。制御部55は、トリガスイッチ52がオンになると、スイッチング素子Q5を連続的ないし断続的にオンし、モータ51に駆動電流を供給する。なお、断続的なオンは、例えばPWM制御である。電流検出回路54は、抵抗R5の両端の電圧によりモータ51に流れる電流を検出し、制御部55に検出結果を送信する。電源回路56は、プラス端子からの入力電圧(二次電池セル11の出力電圧)から制御部55の電源電圧VDD2を生成する。電池電圧検出回路57は、プラス端子の電圧により二次電池セル11の出力電圧を検出し、制御部55に検出結果を送信する。残容量表示手段58は、例えばLEDであり、制御部55の制御により電池パック10の残容量を使用者に表示(報知)する。残容量表示スイッチ59は、使用者が残容量表示手段58への残容量表示を指示するためのスイッチである。
【0045】
電動工具50において、制御部55は、LS端子、V端子、T端子、及びLD端子にそれぞれ接続する端子を有する。抵抗R6の一端は、電源ラインに接続される。抵抗R6の他端とグランドとの間に、抵抗R7及びFET等のスイッチング素子Q6が直列接続される。抵抗R6及び抵抗R7の相互接続点は、LS端子に接続される。スイッチング素子Q6の制御端子(ゲート)は、制御部55に接続される。抵抗R8は、電源ラインとT端子との間に設けられる。抵抗R9は、電源ラインとLD端子との間に設けられる。
【0046】
電気機器の例示である充電器70は、自身のプラス端子とマイナス端子との間に充電回路71を備える。充電回路71は、制御部(本体側制御部)75の制御により、交流電源72からの供給電力から二次電池セル11の充電電力を生成する。抵抗R11は、充電回路71に直列接続される。電流検出回路74は、抵抗R11の両端の電圧により充電回路71の出力電流(二次電池セル11への充電電流)を検出し、制御部75に検出結果を送信する。電池電圧検出回路77は、プラス端子の電圧により二次電池セル11の出力電圧を検出し、制御部75に検出結果を送信する。
【0047】
充電器70において、制御部75は、LS端子、V端子、及びT端子にそれぞれ接続する端子を有する。抵抗R12の一端は、電源ラインに接続される。抵抗R12の他端とグランドとの間に、抵抗R13及びFET等のスイッチング素子Q8が直列接続される。抵抗R12及び抵抗R13の相互接続点は、LS端子に接続される。スイッチング素子Q8の制御端子(ゲート)は、制御部75に接続される。抵抗R14は、電源ラインとT端子との間に設けられる。
【0048】
電動工具50の制御部55は、V端子を介して電池パック10に送信する信号により、LS端子の機能を切り替えることができる。具体的には、制御部55は、V端子からハイレベルの信号を送信すると、第1切替回路21の他端の接続先が温度情報送信回路32となり、第1切替回路21及びLS端子を介して、サーミスタTHの一端の電圧を受信することができる。なお、電池パック10の制御部15は、通常時は第3切替回路23の他端の接続先をスイッチング素子Q1の制御端子としているため、V端子の信号がハイレベルのときはスイッチング素子Q1はオンとなり、サーミスタTHの一端(温度情報送信回路32)には二次電池セル11の温度に応じたアナログ電圧が出力される。また、V端子の信号がハイレベルのときは、スイッチング素子Q2はオンとなり、T端子の電圧は、電動工具50の電源電圧VDD2を抵抗R8及び抵抗Raで分圧した第1識別電圧となる。
【0049】
一方、制御部55は、V端子からローレベルの信号を送信すると、第1切替回路21の他端の接続先がシリアル通信用受信回路31となり、LS端子を介して電池パック10の制御部15にシリアル通信信号を送信することができる。シリアル通信信号は、スイッチング素子Q6のオンオフにより作成される。また、V端子の信号がローレベルのときは、スイッチング素子Q2はオフとなり、T端子の電圧は、電動工具50の電源電圧VDD2を、抵抗R8と、抵抗Ra及び抵抗Rbの直列合成抵抗と、で分圧した第2識別電圧となる。制御部55は、第1及び第2識別電圧の双方を基に、電池パック10の情報を得ることができる。
【0050】
充電器70の制御部75も、電動工具50の制御部55と同様に、V端子を介して電池パック10に送信する信号によりLS端子の機能を切り替えることができ、またT端子から受信する電圧を第1及び第2識別電圧のいずれにするかを切り替えることができる。
【0051】
電池パック10の制御部15は、第2切替回路22の他端の接続先を切り替えることにより、T端子の機能を切り替えることができる。具体的には、制御部15は、第2切替回路22の他端の接続先をシリアル通信用送信回路36とすれば、第2切替回路22及びT端子を介して、電動工具50又は充電器70に、シリアル通信信号を送信することができる。一方、制御部15は、第2切替回路22の接続先を識別情報送信回路35とすれば、第2切替回路22及びT端子を介して、電動工具50又は充電器70に、識別抵抗Raの一端のアナログ電圧を出力することができる。
【0052】
電動工具50から電池パック10に送信されるシリアル通信信号の中身は、例えば、電動工具50の種類や型番、過放電停止の通知、過放電表示の指示、異常検出用の閾値(例えば過放電閾値、過電流閾値、二次電池セル11の高温保護閾値)、残容量表示の表示閾値(残容量表示を切り替える閾値)、エラーログ、使用履歴情報、電池パック10に要求する情報などである。なお、電動工具50から電池パック10に、全ての情報を送信してもよいし、電池パック10から要求された情報のみを送信してもよい。充電器70から電池パック10に送信されるシリアル通信信号の中身は、例えば、充電器70の種類や型番、エラーログ、使用履歴情報、電池パック10に要求する情報などである。なお、充電器70から電池パック10に、全ての情報を送信してもよいし、電池パック10から要求された情報のみを送信してもよい。電池パック10から電動工具50に送信されるシリアル通信信号の中身は、例えば、電池パック10の種類や型番、二次電池セル11の種別、エラーログ、使用履歴情報、電動工具50に要求する情報などである。なお、電池パック10から電動工具50に、全ての情報を送信してもよいし、電動工具50から要求された情報のみを送信してもよい。電池パック10から充電器70に送信されるシリアル通信信号の中身は、例えば、電池パック10の種類や型番、二次電池セル11の種別、充電条件、エラーログ、使用履歴情報、充電器70に要求する情報などである。なお、電池パック10から充電器70に、全ての情報を送信してもよいし、充電器70から要求された情報のみを送信してもよい。シリアル通信では、識別抵抗Ra、Rbの電圧よりも、電池パック10の識別情報を、より多く乃至より詳細に通知することができる。シリアル(デジタル)通信は、一方の制御部(マイコン)から出力するハイ信号又はロー信号を、他方の制御部(マイコン)へ入出力することで、一方の信号を他方に出力するものである。
【0053】
電池パック10の制御部15は、電池パック10が充電器70に接続されていて充電停止条件が満たされた場合に、第3切替回路23の他端の接続先をサーミスタTHの一端(第1切替回路21の他端)とする。後述のように充電器70の制御部75は、充電中にはV端子の信号をハイレベルとしているため、第1切替回路21の他端の接続先は温度情報送信回路32である。したがって、V端子の信号(ハイレベル)は、第3切替回路23、第1切替回路21及びLS端子を介して、充電器70の制御部75に送信され、制御部75に充電停止の旨が通知されることになる。
【0054】
電池パック10の制御部15は、過電流、過放電、及び二次電池セル11の異常高温のいずれかを検出すると、スイッチング素子Q3をターンオンする。これにより、LD端子の電圧が電動工具50の電源電圧VDD2からグランド電位に低下し、制御部55に放電禁止の旨が通知されることになる。
【0055】
図3は、電動工具50の制御フローチャートである。制御部55は、電動工具50が運転可能状態であり(S1のYES)、かつトリガスイッチ52がオンであれば(S3のYES)、スイッチング素子Q5を連続的ないし断続的にオンすることでモータ51に駆動電流を供給する(S5)。運転可能状態とは、電池パック10からの信号が放電許可であること(LD端子からの信号がハイレベルであること)、過放電でないこと、過電流でないこと、二次電池セル11が異常高温でないこと、という条件が全て満たされている状態である。
【0056】
制御部55は、モータ51の駆動中に、電動工具50が運転可能状態でなくなり(S7のNO)、又はトリガスイッチ52がオフになると(S9のNO)、スイッチング素子Q5をオフにしてモータ51への駆動電流の供給を停止し、モータ51を停止する(S11)。運転可能状態でなくなることは、運転可能状態になる条件の少なくとも一つが満たされなくなることの他に、スイッチ状態検出回路53がトリガスイッチ52のオンを検出している状態で制御部15がモータ電流の立ち下り(モータ電流が流れなくなったこと)を検出することも含む。制御部55は、電池パック10を接続した際にはV端子に出力する信号をハイレベルとしているが、ステップS11においてモータ51を停止した後、V端子に出力する信号をローレベルに切り替える(S13)。これにより、電池パック10は、LS端子に温度情報を出力するモードから、LS端子を介してシリアル通信信号を受信するモードに切り替わる。制御部55は、通信制御を実行する(S15)。制御部55は、通信制御実行中に、所定時間通信信号を受信しない場合(S17のYES)、シリアル通信を中断し(S20)、V端子に出力する信号をハイレベルに切り替え(S23)、ステップS1に戻る。制御部55は、通信制御実行中(S17のNO)に、トリガスイッチ52がオンになると(S18のYES)、シリアル通信を中断し(S19)、V端子に出力する信号をハイレベルに切り替え(S21)、電動工具50が運転可能状態であれば(S25のYES)、ステップS5に戻り、運転可能状態でなければ(S25のNO)、ステップS13に戻る。ステップS21及びS23において、V端子に出力する信号をハイレベルに切り替えると、電池パック10は、LS端子を介してシリアル通信信号を受信するモードから、LS端子に温度情報を出力するモードに切り替わる。
【0057】
図4は、電動工具50の図3に示す通信制御(S15)の第1例を示すフローチャートである。制御部55は、過放電停止コマンド通信中フラグが立っていない(セットされていない)場合において(S151のNO)、モータ51を停止した原因が過放電であり(S153のYES)、過放電停止コマンド通信終了フラグが立っていなければ(S155のNO)、LS端子を介して電池パック10に過放電停止コマンドを送信し(S157)、過放電停止コマンド通信中フラグを立て(セットし)(S159)、電池パック10からの信号を待つ(S17)。制御部55は、過放電停止コマンド通信中フラグが立っている場合において(S151のYES)、T端子を介して電池パック10から過放電停止コマンドに対するOK応答を受信すると(S161のYES)、過放電停止コマンド通信終了フラグを立て(S163)、過放電停止コマンド通信中フラグをクリアする(S165)。制御部55は、モータ51を停止した原因が過放電でない場合(S153のNO)、過放電停止コマンド通信終了フラグが立っている場合(S155のYES)、又は電池パック10から過放電停止コマンドに対するOK応答を受信しない場合(S161のNO)、電池パック10からの信号を待つ(S17)。制御部55は、所定時間通信信号を受信しない場合(S17のYES)、過放電停止コマンド通信中フラグをクリアしてシリアル通信を中断する(S20)。制御部55は、トリガスイッチ52がオンになると(S18のYES)、過放電停止コマンド通信中フラグをクリアしてシリアル通信を中断する(S19)。なお、制御部55は、モータ51を停止した原因が過電流である場合に、過電流停止コマンドを電池パック10に送信する機能を有してもよい。この場合、図4及びそれに関する上記説明の「過放電」を「過電流」と読み替えて適用することができる。また、例えば、シリアル通信が不可能な構成であっても、電池パック10の制御部15によって、電動工具50が運転可能状態でなくなったことを判別することができる。具体的には、電池パック10から異常信号(LD端子からの信号)が入力されていない場合において、スイッチ状態検出回路53がトリガスイッチ52のオンを検出しているにもかかわらず、電流検出回路54や電流検出回路14によって抵抗R5や抵抗R1に電流が検出されなくなった場合、電動工具50が異常になった(運転可能状態でなくなった)と電動工具50の制御部55や電池パック10の制御部15で判断することができる。或いは、電池パック10側に電動工具50のトリガスイッチ状態検出手段(図示していない)を設け、トリガスイッチ52のオン状態が継続されている状態でモータ51に流れるモータ電流の立ち下り(モータ電流が流れなくなったこと)を電流検出回路14を介して制御部15が検出すると、電動工具50が運転可能状態でなくなったと、電池パック10側で判別することができる。このとき、残容量表示手段17や58を用いて電動工具50が何らかの要因で運転可能状態でなくなったことを報知することもできる。また、制御部55は、モータ51を停止した原因が二次電池セル11の高温異常である場合に、高温異常停止コマンドを電池パック10に送信する機能を有してもよい。この場合、図4及びそれに関する上記説明の「過放電」を「高温異常」と読み替えて適用する。
【0058】
図5は、電池パック10の制御フローチャートである。制御部15は、過放電でなく(S30のNO)、過電流でなく(S41のNO)、かつ二次電池セル11が異常高温でなければ(S43のNO)、スイッチング素子Q3の制御端子に印加する信号をローレベルにする(放電停止信号を解除する)(S45)。制御部15は、過放電である場合(S30のYES)、過電流である場合(S41のYES)、又は二次電池セル11が異常高温である場合(S43のYES)、スイッチング素子Q3の制御端子に印加する信号をハイレベルにする(放電停止信号を出力する)(S47)。制御部15は、過電流か否かの判定(S41)において、モータ電流が自身の設定している過電流閾値を超えた場合に加え、電動工具50の制御部55から過電流停止コマンドを受信した場合も、過電流と判定してもよい。制御部15は、二次電池セル11が異常高温であるか否かの判定(S43)において、二次電池セル11の温度が自身の設定している高温保護閾値を超えた場合に加え、電動工具50の制御部55から高温異常停止コマンドを受信した場合も、二次電池セル11が異常高温であると判定してもよい。
【0059】
制御部15は、充電可能状態であれば(S49のYES)、第3切替回路23の他端の接続先をスイッチング素子Q1の制御端子として、LS端子から充電停止信号を出力しない状態となる(S51)。充電可能状態とは、過充電でないこと、過電流でないこと、及び二次電池セル11が異常高温でないこと、という条件が全て満たされている状態である。制御部15は、充電可能状態でなければ(S49のNO)、第3切替回路23の他端の接続先をサーミスタTHの一端(第1切替回路21の他端)として、LS端子から充電停止信号を出力する(S53)。
【0060】
制御部15は、通信フラグが立っていない場合(S55のNO)において、LS端子を介して電動工具50又は充電器70からシリアル通信信号を受信すると(S71)、通信フラグを立て(S73)、第2切替回路22の他端の接続先をシリアル通信用送信回路36として、T端子に電池パック10の識別情報を出力するモードから、T端子を介してシリアル通信信号を送信するモードに切り替わり(S75)、通信制御を実行する(S59)。制御部15は、通信フラグが立っている場合(S55のYES)、所定時間通信信号を受信しない状態が継続しなければ(S57のNO)、通信制御を実行する(S59)。制御部15は、所定時間通信信号を受信しない状態が継続すると(S57のYES)、通信フラグをクリアし(S77)、第2切替回路22の他端の接続先を識別情報送信回路35として、T端子を介してシリアル通信信号を送信するモードから、T端子に電池パック10の識別情報を出力するモードに切り替わる(S79)。制御部15は、通信制御(S59)の後、又はステップS79におけるモード切替の後、残容量表示制御を実行する(S60)。
【0061】
図6は、電池パック10の図5に示す過放電判定(S30)の第1例を示すフローチャートである。制御部15は、二次電池セル11の電圧が過放電検知電圧VLO未満でなく(S301のNO)、かつ二次電池セル11の電圧が過放電復帰電圧VL1より大きければ(S303のYES)、過放電(電圧)フラグをクリアする(S305)。制御部15は、二次電池セル11の電圧が過放電検知電圧VLO未満の場合(S301のYES)、過放電(電圧)フラグを立てる(S307)。制御部15は、充電電流を検出した場合(S309のYES)、過放電(通信)フラグをクリアする(S311)。制御部15は、過放電(電圧)フラグが立っている場合(S313のYES)、又は過放電(通信)フラグが立っている場合(S315のYES)、過放電と判断する。制御部15は、過放電(電圧)フラグが立っていない場合(S313のNO)かつ過放電(通信)フラグが立っていない場合(S315のNO)、過放電でないと判断する。
【0062】
図7は、電池パック10の図5に示す通信制御(S59)の第1例を示すフローチャートである。制御部15は、LS端子を介して電動工具50から過放電停止コマンドを受信すると(S591のYES)、過放電(通信)フラグを立て(S592)、T端子を介してOK応答を送信する(S593)。
【0063】
図8は、電池パック10の図5に示す残容量表示制御(S60)のフローチャートである。残容量表示手段17が4つのLEDを有する場合として説明する。制御部15は、残容量表示スイッチ19がオンの場合(S601のYES)、表示ONフラグを立てる(S603)。制御部15は、残容量表示スイッチ19がオンでない場合(S601のNO)において残容量表示スイッチ19がオフになってから3秒以上が経過した場合(S605のYES)、表示ONフラグをクリアする(S607)。制御部15は、表示ONフラグが立っていない場合(S609のNO)、残容量表示手段17のLEDを消灯する(S611)。制御部15は、表示ONフラグが立っている場合(S609のYES)において、過放電である場合(S613のYES)は残容量表示手段17のLEDを1個点滅する(S615)。制御部15は、過放電でない場合(S613のNO)において、二次電池セル11の電圧がV4より大きければ(S617のYES)、残容量表示手段17のLEDを4個点灯する(S619)。制御部15は、二次電池セル11の電圧が第1表示閾値V4以下(S617のNO)かつ第2表示閾値V3より大きければ(S621のYES)、残容量表示手段17のLEDを3個点灯する(S623)。制御部15は、二次電池セル11の電圧が第2表示閾値V3以下(S621のNO)かつ第3表示閾値V2より大きければ(S625のYES)、残容量表示手段17のLEDを2個点灯する(S627)。制御部15は、二次電池セル11の電圧が第3表示閾値V2以下であれば(S625のNO)、残容量表示手段17のLEDを1個点灯する(S629)。図示は省略したが、制御部15は、過電流と判定した場合(図5のS41のYES)に、残容量表示スイッチ19の操作によらず、残容量表示手段17のLEDを過放電時(S615)とは異なる態様で点滅させてもよいし、異なる個数点滅させてもよい。また、制御部15は、二次電池セル11が異常高温と判定した場合(図5のS43のYES)に、残容量表示スイッチ19の操作によらず、残容量表示手段17のLEDを過放電時(S615)及び過電流時とは異なる態様で点滅させてもよいし、異なる個数点滅させてもよい。
【0064】
図9は、電動工具50の図3に示す通信制御(S15)の第2例を示すフローチャートである。制御部55は、過放電閾値通信中フラグが立っていない(セットされていない)場合において(S151aのNO)、過放電閾値通信終了フラグが立っていなければ(S155aのNO)、LS端子を介して電池パック10に過放電閾値を送信し(S157a)、過放電閾値通信中フラグを立て(セットし)(S159a)、電池パック10からの信号を待つ(S17)。制御部55は、過放電閾値通信中フラグが立っている場合において(S151aのYES)、T端子を介して電池パック10から過放電閾値に対するOK応答を受信すると(S161aのYES)、過放電閾値通信終了フラグを立て(S163a)、過放電閾値通信中フラグをクリアし(S165a)、電池パック10からの信号を待つ(S17)。制御部55は、過放電閾値通信終了フラグが立っている場合(S155aのYES)、又は電池パック10から過放電閾値に対するOK応答を受信しない場合(S161aのNO)、電池パック10からの信号を待つ(S17)。制御部55は、所定時間通信信号を受信しない場合(S17のYES)、過放電閾値通信中フラグをクリアしてシリアル通信を中断する(S20)。制御部55は、トリガスイッチ52がオンになると(S18のYES)、過放電閾値通信中フラグをクリアしてシリアル通信を中断する(S19)。なお、制御部55は、電池パック10に過電流閾値を送信してもよい。この場合、図9及びそれに関する上記説明の「過放電」を「過電流」と読み替えて適用する。電池パック10の制御部15は、過電流か否かの判定(図5のS41)において、モータ電流が自身の設定している過電流閾値を超えた場合に加え、モータ電流が電動工具50の制御部55から受信した過電流閾値を超えた場合も、過電流と判定してもよい。制御部55は、電池パック10に高温保護閾値を送信してもよい。この場合、図9及びそれに関する上記説明の「過放電」を「高温保護」と読み替えて適用する。電池パック10の制御部15は、二次電池セル11が異常高温であるか否かの判定(図5のS43)において、二次電池セル11の温度が自身の設定している高温保護閾値を超えた場合に加え、二次電池セル11の温度が電動工具50の制御部55から受信した高温保護閾値を超えた場合も、二次電池セル11が異常高温であると判定してもよい。例えば高出力工具の場合、電動工具50において電池パック10よりも高温保護閾値を低く設定することで、サーミスタTHの電圧のタイムラグにも好適に対応できる。
【0065】
図10は、電池パック10の図5に示す過放電判定(S30)の第2例を示すフローチャートである。このフローチャートは、図6に示す第1例と比較して、二次電池セル11の電圧が過放電検知電圧VLO'未満である場合(S308のYES)に、過放電(通信)フラグを立てる(S310)という処理が加わり、かつ、充電電流を検出した場合(S309のYES)に過放電検知電圧VLO'に0を代入する(S312)処理が加わった点で相違し、その他の点で一致する。過放電検知電圧VLO,VLO'は、共に電池パック10が過放電であるか否かを判定するための閾値であるが、VLOは電池パック10自身が予め保持している閾値であるのに対し、VL0'は電動工具50から送信された閾値である。
【0066】
図11は、電池パック10の図5に示す通信制御(S59)の第2例を示すフローチャートである。制御部15は、LS端子を介して電動工具50から過放電閾値を受信すると(S591aのYES)、VL0'に受信した過放電閾値を代入し(S592a)、T端子を介してOK応答を送信する(S593a)。
【0067】
図12は、電動工具50の図3に示す通信制御(S15)の第3例を示すフローチャートである。このフローチャートは、図9に示す第2例と比較して、電動工具50から電池パック10に、過放電閾値に加えて残容量表示を切り替える表示閾値も送信する点で相違し、その他の点で一致する。制御部55は、表示・過放電閾値通信中フラグが立っていない(セットされていない)場合において(S151bのNO)、表示・過放電閾値通信終了フラグが立っていなければ(S155bのNO)、LS端子を介して電池パック10に表示・過放電閾値を送信し(S157b)、表示・過放電閾値通信中フラグを立て(セットし)(S159b)、電池パック10からの信号を待つ(S17)。制御部55は、表示・過放電閾値通信中フラグが立っている場合において(S151bのYES)、T端子を介して電池パック10から表示・過放電閾値に対するOK応答を受信すると(S161bのYES)、表示・過放電閾値通信終了フラグを立て(S163b)、表示・過放電閾値通信中フラグをクリアし(S165b)、電池パック10からの信号を待つ(S17)。制御部55は、表示・過放電閾値通信終了フラグが立っている場合(S155bのYES)、又は電池パック10から表示・過放電閾値に対するOK応答を受信しない場合(S161bのNO)、電池パック10からの信号を待つ(S17)。制御部55は、所定時間通信信号を受信しない場合(S17のYES)、表示・過放電閾値通信中フラグをクリアしてシリアル通信を中断する(S20)。制御部55は、トリガスイッチ52がオンになると(S18のYES)、表示・過放電閾値通信中フラグをクリアしてシリアル通信を中断する(S19)。
【0068】
図13は、電池パック10の図5に示す過放電判定(S30)の第3例を示すフローチャートである。このフローチャートは、図10に示す第2例と比較して、充電電流を検出して(S309のYES)過放電検知電圧VLO'に0を代入した(S312)後に、第1表示閾値V4、第2表示閾値V3、第3表示閾値V2に、それぞれ初期値であるV4bat、V3bat、V2batを代入する処理(S312a)が加わった点で相違し、その他の点で一致する。
【0069】
図14は、電池パック10の図5に示す通信制御(S59)の第3例を示すフローチャートである。制御部15は、LS端子を介して電動工具50から表示・過放電閾値を受信すると(S591bのYES)、VL0'に受信した過放電閾値を代入し(S592b)、かつV4、V3、V2に受信した表示閾値を代入し(同)、T端子を介してOK応答を送信する(S593b)。
【0070】
図15は、電池パック10の残容量表示手段17の表示例を示す説明図である。図15に示す5つの表示例は、残容量が多い順に上から並んでいる。最も上のLED4個点灯は、二次電池セル11の電圧がV4より大きい場合であり、残容量は100~75%である。上から2つ目のLED3個点灯は、二次電池セル11の電圧が第1表示閾値V4以下かつ第2表示閾値V3より大きい場合であり、残容量は75~50%である。上から3つ目のLED2個点灯は、二次電池セル11の電圧が第2表示閾値V3以下かつ第3表示閾値V2より大きい場合であり、残容量は50~25%である。上から4つ目のLED1個点灯は、二次電池セル11の電圧が第3表示閾値V2以下ではあるが過放電ではない場合であり、残容量は25%以下である。上から5つ目のLED1個点滅(オンオフとも例えば0.5秒間隔)は、過放電の場合であり、放電禁止状態である。
【0071】
図16は、図1に示すブロック図における動作の一例を示すタイムチャートである。時刻t1においてトリガスイッチ52がオンになると、モータ51に電流が流れ始める。また、V端子の信号がハイレベルのため、電池パック10のLS端子は温度検出モードであり、LS端子からは二次電池セル11の温度情報を示すアナログ電圧が出力され、当該アナログ電圧は、モータ51に電流が流れ始めると共に上昇を開始する。また、電池パック10のT端子は電池判別モードであり、T端子からは電池パック10の識別情報を示すアナログ電圧が出力される。時刻t2において電動工具50の制御部55が過放電を検出すると、制御部55は、モータ51と直列接続されたスイッチング素子Q5をターンオフし、モータ51に流れる電流を遮断する。モータ51が停止した時刻t3において、制御部55は、V端子の信号をローレベルに切り替える。これによりLS端子は通信モードに切り替わる。制御部55は、LS端子を介して電池パック10の制御部15にシリアル通信信号を送信する。このシリアル通信信号には、電動工具50が過放電を検出してモータ51を停止したことを示す過放電停止コマンドが含まれる。それに応える形で、制御部15は、T端子を通信モードに切替、T端子を介して電動工具50の制御部55にシリアル通信信号を送信する。その後の時刻t5において、電池パック10の制御部15は、LD端子に繋がるスイッチング素子Q3の制御端子の電圧をハイレベルとすることでLD端子の信号をハイレベルからローレベルに切り替える。これは、電動工具50の制御部55からのシリアル通信信号により過放電を報知されたことに起因する。シリアル通信信号の送信が終了した時刻t4から所定時間が経過した時刻t6において、電動工具50の制御部55はV端子の信号をハイレベルに切り替え、電池パック10のLS端子は温度検出モードとなり、T端子は電池判別モードとなる。モータ51が回転していない状態でシリアル通信を行う。図16では過放電を検知した後にシリアル通信を行っているが、トリガスイッチ52をオフした後や、シリアル通信開始用のスイッチを設けた場合には当該スイッチを操作したときに、V端子の電圧をローレベルに切り替える構成でもよい。
【0072】
図17は、充電器70の制御フローチャートである。制御部75は、電池パック10が接続されると(S81のYES)、V端子にローレベルの信号を出力し、LS端子を通信モードに切り替え(S83)、通信制御を実行する(S85)。制御部75は、充電器70に対する電池パック10の接続を、LS端子の電圧又はT端子の電圧により知ることができる。制御部75は、所定時間通信信号を受信しない場合(S87のYES)、V端子にハイレベルの信号を出力し、LS端子を温度検出モードに切り替える(S89)。制御部75は、充電可能状態であれば(S90のYES)、T端子の電圧(電池パック10の識別情報を示すアナログ電圧)又はシリアル通信によって得られた電池パック10の識別情報を基に、充電電圧を設定し(S91)、充電電流を設定し(S92)、充電出力をオンする(充電電流の供給を開始する)(S93)。充電可能状態とは、電池パック10が実装されていること(LS端子、T端子の電圧から判別)、電池パック10から充電停止信号が送信されていないこと(LS端子の電圧から判別)、二次電池セル11が異常高温でないこと(LS端子の電圧から判別)、二次電池セル11が充電器70により充電可能な電池種類であること(T端子の電圧から判別)、電池パック10が満充電でないこと(プラス端子の電圧から判別)、という条件が全て満たされている状態である。制御部75は、電池パック10の充電中に充電可能状態でなくなった場合(S94のNO)、充電出力をオフにする(充電電流の供給を停止する)(S95)。なお、ステップS94における充電可能状態の判断においては、ステップS90における判別と異なり、二次電池セル11が充電器70により充電可能な電池種類であるか否かの確認は不要である。制御部75は、電池パック10が外されると(S96のYES、S97のYES、又はS98のYES)、ステップS81に戻る。
【0073】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0074】
(1) 電池パック10と電動工具50又は充電器70との間でシリアル通信を行うため、サーミスタの電圧や識別抵抗の電圧を電池パック10から電動工具50又は充電器70に送信するだけの場合と比較して、より多くの、より詳細な情報を送受信することができる。
【0075】
(2) シリアル通信には、電池パック10から電動工具50又は充電器70に温度情報を送信するためのLS端子、及び電池パック10の識別情報を送信するためのT端子を兼用しているため、シリアル通信のための専用端子を設ける必要がなく、端子数の増大を抑制することができると共に、シリアル通信機能を有さない電池パックや電気機器との互換性を確保できる。
【0076】
(3) 電動工具50又は充電器70がV端子の信号をハイレベルにするかローレベルにするかにより、電池パック10のLS端子の機能を温度情報送信とシリアル通信信号受信との間で切り替えることができるため、電動工具50又は充電器70にとって都合の良いタイミング(他の制御の邪魔にならないタイミングや、電動工具50であればモータ51のノイズが乗らないタイミング等)で通信を開始することができる。電池パック10は様々な電気機器に対して使われるため、電気機器によって異なるタイミングで通信を開始できる有意義性は大きい。なお、V端子は、シリアル通信機能がない場合においても、識別抵抗Ra、Rbの切替(スイッチング素子Q2のオンオフの切替)用の端子、及び充電停止指示用にLS端子の電圧をハイレベルにするための端子として利用していた端子であり、LS端子の機能を切り替えるための専用端子ではないため、端子数の増大を抑制できる。
【0077】
(4) 例えばアクセサリ機器(ラジオやランタン等)のように低負荷の電気機器では、電動工具のような高負荷の電気機器と同じ電圧まで放電すると深い放電になってしまうため、電池パック10で設定される過放電閾値よりも高い過放電閾値を設定しており、電池パック10よりも先に過放電を検出することになる。インパクト工具や釘打ち機のように電圧が低くなると動作上の不都合が生じる電動工具においても、電池パック10で設定される過放電閾値よりも高い過放電閾値を設定しており、電池パックよりも先に過放電を検出することになる。このような場合において、図4に示すように電動工具50から電池パック10に過放電による停止を通知し、電池パック10では自身の過放電閾値によらず残容量表示を過放電とする場合、電動工具50が過放電を検出して停止したにも関わらず電池パック10の残容量表示手段17が残容量ありの表示をするという不整合の発生を抑制できる。また、図9に示すように電動工具50から電池パック10に過放電閾値を送信し、電池パック10では自身の過放電閾値によらず電動工具から送信された過放電閾値により残容量表示を行う場合も、同様に不整合の発生を抑制できる。また、図12に示すように電動工具50から電池パック10に過放電閾値及び表示閾値を送信し、電池パック10では自身の過放電閾値及び表示閾値によらず電動工具から送信された過放電閾値及び表示閾値により残容量表示を行う場合、過放電になる前においても、電池パック10の残容量表示手段17の残容量表示と電動工具50の残容量表示手段58の残容量表示とを互いに一致させることができる。図示は省略したが、電動工具50から電池パック10に残容量表示そのもの(例えばLED点灯数)を送信し、それに応じた残容量表示を電池パック10で行ってもよく、この場合も電池パック10の残容量表示手段17の残容量表示と電動工具50の残容量表示手段58の残容量表示とを互いに一致させることができる。
【0078】
図18は、本発明の他の実施の形態のブロック図であり、電池パック10を電動工具50に接続した状態のブロック図である。以下、図1との相違点を中心に説明する。電池パック10は、T端子とグランドとの間にFET等のスイッチング素子Q9を有する。スイッチング素子Q9の制御端子(ゲート)は、制御部15に接続される。電動工具50において、LD端子は、第4切替回路60を介して、シリアル通信用受信回路62及び放電許可/禁止信号受信回路61のいずれかに択一的に接続される。第4切替回路60は、一端がLD端子に接続され、制御端子がT端子に接続され、T端子から入力される信号に応じて、他端がシリアル通信用受信回路62及び放電許可/禁止信号受信回路61のいずれかに択一的に接続される。ここでは、T端子からの信号がローレベルのとき、第4切替回路60の他端はシリアル通信用受信回路62に接続され、T端子からの信号がハイレベルのとき、第4切替回路60の他端は放電許可/禁止信号受信回路61に接続される。
【0079】
制御部15がスイッチング素子Q9の制御端子に入力する信号をハイレベルにすると、T端子の電圧はローレベル(グランドレベル)となり、電動工具50のLD端子の回路が通信モードへ切り替わる(第4切替回路60の他端の接続先がシリアル通信用受信回路62となる)。ここで、通信モードの場合、放電許可/禁止信号受信回路61の電圧が不定となるが、制御部55は放電許可として制御する。制御部55は、シリアル通信信号を受信し、応答が必要ならば、V端子に出力する信号をローレベルにしてLS端子を通信モードに切り替えて応答する。放電許可/禁止を伝えたいのは電池パック10であり、放電許可状態ならば任意のタイミングで通信を開始できる。放電を禁止したい場合でも、通信を開始し、トリガスイッチ52のオンあるいはモータ電流を検出したら、通信を中断し放電禁止信号を出力すれば問題はない。例えば、二次電池セル11の温度が高い場合、電流が流れている場合、又は二次電池セル11の電圧が低い若しくは高い場合は通信しないことを制御部15が決めることができる(制御部15で設定することができる)。
【0080】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【符号の説明】
【0081】
10…電池パック、11…二次電池セル、12…セル電圧監視IC、13…電源回路、14…電流検出回路、15…制御部(電池側制御部)、16…電池電圧検出回路、17…残容量表示手段、18…セル温度検出手段、19…残容量表示スイッチ、21…第1切替回路、22…第2切替回路、23…第3切替回路、31…シリアル通信用受信回路、32…温度情報送信回路、35…識別情報送信回路、36…シリアル通信用送信回路、50…電動工具、51…モータ、52…トリガスイッチ、53…スイッチ状態検出回路、54…電流検出回路、55…制御部(本体側制御部)、56…電源回路、57…電池電圧検出回路、58…残容量表示手段、59…残容量表示スイッチ、70…充電器、71…充電回路、72…交流電源、74…電流検出回路、75…制御部(本体側制御部)、77…電池電圧検出回路
図1
図2
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図4
図5
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