(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】文書作成支援装置、文書作成支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 40/166 20200101AFI20220712BHJP
G06F 40/242 20200101ALI20220712BHJP
G06F 40/253 20200101ALI20220712BHJP
【FI】
G06F40/166
G06F40/242
G06F40/253
(21)【出願番号】P 2021077338
(22)【出願日】2021-04-30
(62)【分割の表示】P 2019230632の分割
【原出願日】2019-12-20
【審査請求日】2021-04-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [1]発行日 平成31年 1月 4日 刊行物 ideanote vol.126 P.18-P.19 <資料> ideanote vol.126 [2] 公開日(ウェブサイトの掲載日) 令和元年10月18日 ウェブサイトのアドレス https://www.toppan.co.jp/news/2019/10/newsrelease191018.html <資料> 凸版印刷株式会社・ウェブサイト プリントアウト [3] 公開日(ウェブサイトの掲載日) 令和元年10月18日 ウェブサイトのアドレス https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1910/18/news126.html <資料> ITmediaNEWS・ウェブサイト プリントアウト [4] 開催日 令和元年10月24日~10月25日 開催名 FIT2019 金融国際情報技術展 <資料> FIT2019・ウェブサイト プリントアウト [5] 発行日 令和元年10月24日 刊行物 FIT Solution Catalogue 2019 P.23-P.24 <資料> FIT Solution Catalogue 2019
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平野 雄大
(72)【発明者】
【氏名】金山 尚徳
【審査官】成瀬 博之
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2003/067485(JP,A1)
【文献】特開2004-199545(JP,A)
【文献】特開2009-205346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 40/00-40/58
G06T 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物に対応する文書の作成を支援する文書作成支援装置であって、
前記印刷物に対応する制作文書を制作する制作側端末、及び前記制作文書に基づく確認文書を確認する確認側端末と通信する通信部と、
前記通信部を介して前記制作側端末から受信した前記確認文書に記載された文字列を、校正の対象となる校正対象として抽出する確認側IF部と、
前記確認文書を確認する確認側が関係する業界において修正の対象となり得る記載が示された校正ルールを用いて、前記校正対象から、前記業界において修正の対象となり得る記載であって修正するか否かを前記確認側の確認作業者に判断させる校正候補を選択する校正候補選択部と、
を備え、
前記通信部は、前記校正候補に関する情報を前記確認側端末に送信し、前記校正候補を確認した確認結果を前記確認側端末から受信し、前記受信した前記確認結果を前記制作側端末に送信
し、前記確認文書において前記校正対象を校正するか否かを示す要不要情報を、前記確認結果として前記確認側端末から受信し、前記確認結果に基づいて編集された前記制作文書を前記制作側端末から受信し、
前記校正候補選択部は、前記業界において修正の対象となり得る記載を前記校正候補として選択し、前記通信部を介して前記確認側端末から受信した前記確認結果に基づいて前記校正ルールを更新し、前記更新された前記校正ルールを用いて、前記確認結果に基づいて編集された前記制作文書から、前記校正候補を選択する、
文書作成支援装置。
【請求項2】
前記校正候補選択部は、前記通信部を介して前記制作側端末から受信した前記制作文書から、前記校正ルールを用いて、前記制作文書における前記校正候補を選択し、
前記通信部は、前記制作文書における前記校正候補に関する情報を、前記制作文書における校正結果として前記制作側端末に送信し、前記校正結果に基づいて編集された前記制作文書に基づく前記確認文書を前記制作側端末から受信し、
前記校正候補選択部は、前記制作文書に適用した前記校正ルールと同じ前記校正ルールを用いて、前記確認文書における前記校正候補を選択する、
請求項
1に記載の文書作成支援装置。
【請求項3】
前記制作文書はPDF(Portable Document Format)形式とは異なる形式による文書であり、前記確認文書は前記制作文書をPDF形式に変換した文書である、
請求項1
又は請求項2に記載の文書作成支援装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記制作側端末又は前記確認側端末である通信端末から、前記制作文書又は前記確認文書に関する処理の実行を依頼する依頼通知を受信し、
前記依頼通知をした前記通信端末を認証し、前記依頼通知をした前記通信端末が正当な端末であると判定した場合、前記依頼通知に係る処理を実行させる案件管理部を更に備える、
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の文書作成支援装置。
【請求項5】
前記案件管理部は、前記依頼通知をした前記通信端末に応じて前記依頼通知に係る処理の全部を実行させるか、一部を実行させるかを判定する、
請求項
4に記載の文書作成支援装置。
【請求項6】
印刷物に対応する文書の作成を支援する文書作成支援方法であって、
通信部が、前記印刷物に対応する制作文書を制作する制作側端末、及び前記制作文書に基づく確認文書を確認する確認側端末と通信し、
確認側IF部が、前記通信部を介して前記制作側端末から受信した前記確認文書に記載された文字列を、校正の対象となる校正対象として抽出し、
校正候補選択部が、前記確認文書を確認する確認側が関係する業界において修正の対象となり得る記載が示された校正ルールを用いて、前記校正対象から、前記業界において修正の対象となり得る記載であって修正するか否かを前記確認側の確認作業者に判断させる校正候補を選択し、
前記通信部は、前記校正候補に関する情報を前記確認側端末に送信し、前記校正候補を確認した確認結果を前記確認側端末から受信し、前記受信した前記確認結果を前記制作側端末に送信
し、前記確認文書において前記校正対象を校正するか否かを示す要不要情報を、前記確認結果として前記確認側端末から受信し、前記確認結果に基づいて編集された前記制作文書を前記制作側端末から受信し、
前記校正候補選択部は、前記業界において修正の対象となり得る記載を前記校正候補として選択し、前記通信部を介して前記確認側端末から受信した前記確認結果に基づいて前記校正ルールを更新し、前記更新された前記校正ルールを用いて、前記確認結果に基づいて編集された前記制作文書から、前記校正候補を選択する、
文書作成支援方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の文書作成支援装置として動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを前記文書作成支援装置が備える各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書作成支援装置、文書作成支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カタログ、チラシ、冊子などの印刷物を作成する場合、これらの原稿の制作が制作会社に依頼されることが行われている。発注を受けた制作側では、発注側からの指示に従い、原稿を作成する。制作側は、ワープロソフトなどと呼ばれる原稿文書を作成するためのソフトウェア、例えば、マイクロソフト社のWord(登録商標)、Excel(登録商標)、PPT(Power Point)(登録商標)、アドビシステムズ社のイラストレータ(登録商標)等を用いて原稿を作成する。制作の過程において、人手により、或いは原稿作成に用いられたワープロソフトの機能などにより、文字の誤りや不備などを正す校正が行われる。
【0003】
制作側で制作された原稿は、PDF(Portable Document Format)形式のドキュメントファイルに変換され、発注側に提出される。発注側では、制作側で作成された原稿を目視により、或いは文書校正ソフトなどによりチェックしてやり取りを行い、最終原稿を完成させる。例えば、特許文献1には、文書校正ソフトの一例として、文書において校正が必要な箇所を提示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、校正の際に、制作側と発注側とで認識にずれが生じる場合があった。例えば、発注側の業界において業界特有の表現や禁止語句が存在し、明らかな誤りではないため制作側にて使用されていた表現が、業界特有の事情により修正される場合があった。修正作業では、例えば発注側から、文書校正ソフトなどを使用して校正した結果を基に、口頭や、PDF原稿に赤字入れなどにより修正指示が行われる。制作側ではPDF原稿に赤字入れなどがなされた修正指示に従ってWord等の原稿が修正され、修正後の原稿をPDFに変換して提出する。このような修正に係る制作側と発注側のやりとりは煩雑であり、修正が何回も繰り返されると、制作側と発注側の業務負担が大きいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、印刷物を作成する際における制作側と発注側の業務負担を軽減させることができる文書作成支援装置、文書作成支援方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の、文書作成支援装置は、印刷物に対応する文書の作成を支援する文書作成支援装置であって、前記印刷物に対応する制作文書を制作する制作側端末、及び前記制作文書に基づく確認文書を確認する確認側端末と通信する通信部と、前記通信部を介して前記制作側端末から受信した前記確認文書に記載された文字列を、校正の対象となる校正対象として抽出する確認側IF部と、前記確認文書を確認する確認側が関係する業界において修正の対象となり得る記載が示された校正ルールを用いて、前記校正対象から、前記業界において修正の対象となり得る記載であって修正するか否かを前記確認側の確認作業者に判断させる校正候補を選択する校正候補選択部と、を備え、前記通信部は、前記校正候補に関する情報を前記確認側端末に送信し、前記校正候補を確認した確認結果を前記確認側端末から受信し、前記受信した前記確認結果を前記制作側端末に送信する。
【0008】
本発明の、文書作成支援方法は、印刷物に対応する文書の作成を支援する文書作成支援方法であって、通信部が、前記印刷物に対応する制作文書を制作する制作側端末、及び前記制作文書に基づく確認文書を確認する確認側端末と通信し、確認側IF部が、前記通信部を介して前記制作側端末から受信した前記確認文書に記載された文字列を、校正の対象となる校正対象として抽出し、校正候補選択部が、前記確認文書を確認する確認側が関係する業界において修正の対象となり得る記載が示された校正ルールを用いて、前記校正対象から、前記業界において修正の対象となり得る記載であって修正するか否かを前記確認側の確認作業者に判断させる校正候補を選択し、前記通信部は、前記校正候補に関する情報を前記確認側端末に送信し、前記校正候補を確認した確認結果を前記確認側端末から受信し、前記受信した前記確認結果を前記制作側端末に送信する。
【0009】
本発明の、プログラムは、上記に記載の文書作成支援装置として動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを前記文書作成支援装置が備える各部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、印刷物を作成する際における制作側と発注側の業務負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態による文書作成支援システムの適用例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態による文書作成支援装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態による記憶部に記憶される情報の構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態による辞書情報の構成例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態による校正ルールの構成例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態による案件情報の構成例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態による制作側端末の表示例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態による確認側端末の表示例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態による文書作成支援システムの動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図10】本発明の実施形態による文書作成支援システムの動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図11】本発明の実施形態の変形例1による文書作成支援システムの適用例を示すブロック図である。
【
図12】本発明の実施形態の変形例2による文書作成支援システムの適用例を示すブロック図である。
【
図13】本発明の実施形態の変形例による動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図14】本発明の実施形態の変形例による動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
文書作成支援システム1は、カタログ、チラシ、冊子などの印刷物を作成する業務に適用される。係る業務では、原稿の制作が制作会社に依頼される。発注を受けた制作側は、発注側からの指示に従い、原稿を作成する。制作側により制作された文書は発注側に提出される。発注側は、制作側で作成された原稿をチェックして制作側とやり取りを行い、最終原稿を完成させる。
【0014】
以下では、制作側により制作された文書であって発注側に提出される前の文書を、「制作文書」と称する。発注側に提出され、発注側で確認される文書を、「確認文書」と称する。また、発注側で確認を行うことから、発注側を「確認側」とも称する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態による文書作成支援システム1の構成例を示すブロック図である。文書作成支援システム1は、例えば、制作側端末10と、文書作成支援装置20と、確認側端末30とを備える。制作側端末10と文書作成支援装置20とは通信可能に接続される。文書作成支援装置20と確認側端末30とは通信可能に接続される。
【0016】
文書作成支援システム1において、制作側端末10、文書作成支援装置20、及び確認側端末30が複数であってもよい。また、制作側端末10と確認側端末30とが通信可能に接続されていてよい。文書作成支援装置20の機能が、複数の装置(例えば、分散型のクラウドサーバなど)に分散されて実装されていてもよい。この場合、複数のクラウドサーバを互いに連携させることにより文書作成支援装置20の機能が実現される。
【0017】
制作側端末10は、制作文書を制作する制作側のコンピュータ装置である。制作側端末10は、例えば、通信部11と、入力部12と、表示部13と、制御部14と、記憶部15とを備える。通信部11は文書作成支援装置20と通信する。入力部12は、マウスやキーボードなどの入力装置に操作入力される情報を取得する。表示部13は、制作文書などを表示する。制御部14は制作側端末10を統括的に制御する。記憶部15は、制作側端末10の機能を実現するためのプログラムや変数などを記憶する。
【0018】
通常、制作文書は編集機能を有するWORD形式などで作成される。しかしながら、WORD形式により作成された制作文書を、確認側端末30に表示させた場合、文書が文字化けしてしまう可能性がある。制作側端末10と確認側端末30のマシン環境が常に同等であるとは限らないためである。例えば、制作文書に使用したフォント情報を、確認側端末30が有していない場合には、WORD形式により作成された制作文書が文字化けしてしまう可能性がある。このため、制作側端末10は、確認側端末30に提出する文書を、マシン環境よらず、同じように表示や印刷が可能な電子文書のファイル形式であるPDF形式に変換する。制作側端末10は、制作文書をPDF形式に変換した確認文書を、文書作成支援装置20を介して、確認側端末30に提出する。
【0019】
制作側端末10は、文書作成支援装置20により提供される「校正サービス」を利用して、制作文書を校正する。「校正サービス」がWebサービスである場合、制作側端末10は、文書作成支援装置20により提供される「校正サービス」のサイトに対応するURL(Uniform Resource Locator)アクセスする。或いは、「校正サービス」がWebサービスでない場合、制作側端末10には「校正サービス」のアプリケーションソフトウェア(以下、校正ソフトという)がインストールされる。例えば、制作側端末10の作業者などにより「校正サービス」のアカウントが登録されることにより、当該サービスを受けられるようになる。例えば、制作側端末10が、制作文書を、所定の領域にアップロードすると、「校正サービス」の機能として、制作文書が読み込まれ、制作文書において校正の候補が表示される(
図7参照)。
【0020】
文書作成支援装置20は、「校正サービス」を提供するコンピュータ装置である。「校正サービス」では、サービスの提供を依頼する依頼者(制作側端末10、又は確認側端末30)の依頼に応じて、発注された印刷物に対応する案件ごとに、制作文書及び確認文書の校正を支援する。
【0021】
例えば、文書作成支援装置20は、案件ごとに、案件に対応するURLを発行する等してメモリ領域を確保する。メモリ領域には、校正プログラムや、校正に使用される辞書情報、及び校正ルールなどの情報が記憶される。文書作成支援装置20が備えるハードウェアとしてのCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のProcessing Unit(プロセッシングユニット)がメモリ領域に記憶された校正プログラムを実行することにより、校正を支援する機能が実現される。校正を支援する具体的な内容は後で詳しく説明する。
【0022】
確認側端末30は、確認文書を確認する確認側のコンピュータ装置である。確認側端末30は、例えば、通信部31と、入力部32と、表示部33と、制御部34と、記憶部35とを備える。通信部31は文書作成支援装置20と通信する。入力部32は、マウスやキーボードなどの入力装置に操作入力される情報を取得する。表示部33は、確認文書や、などを表示する。制御部34は確認側端末30を統括的に制御する。記憶部35は、確認側端末30の機能を実現するためのプログラムや変数などを記憶する。
【0023】
確認側端末30は、文書作成支援装置20により提供される「校正サービス」を利用して、確認文書を確認する。「校正サービス」がWebサービスである場合、確認側端末30は、文書作成支援装置20により提供される「校正サービス」のサイトに対応するURLアクセスする。或いは、「校正サービス」がWebサービスでない場合、確認側端末30には、制作側端末10と同様に、「校正サービス」の校正ソフトがインストールされる。確認側端末30は、文書作成支援装置20を介して、確認文書を取得する。確認側端末30には、「校正サービス」の機能として、校正用の画面に確認文書が表示される形態にて確認文書が通知される(
図8参照)。
【0024】
図2は、本発明の実施形態による文書作成支援装置20の構成例を示すブロック図である。文書作成支援装置20は、例えば、通信部21と、制作側IF部22と、確認側IF部23と、校正候補選択部24と、校正部25と、案件管理部26と、記憶部28とを備える。通信部21は、制作側端末10及び確認側端末30と通信する。制作側IF部22は、制作側端末10と文書作成支援装置20との校正に関するやり取りを仲介する。確認側IF部23は、確認側端末30と文書作成支援装置20との校正に関するやり取りを仲介する。
【0025】
制作側IF部22の具体的な機能を説明する前に、まず、文書作成支援装置20が校正する方法を説明する。本実施形態において、文書作成支援装置20は、制作文書の校正、及び確認文書の校正を行う。文書作成支援装置20は、制作文書の校正を制作側端末10との間で行い、確認文書の校正を確認側端末30との間で行う。文書作成支援装置20は、辞書情報や校正ルールを用いて文書の校正を行う。辞書情報は、例えば、単語がその用法と対応づけられた情報である。辞書情報は、単語とその用法との対応関係を機械学習により学習した学習済みモデルであってもよい。校正ルールは、明らかな誤りではないが、業界などにおける特有の記載、例えば、使用が禁止されている語句や用法、統一すべき表示などに関する情報である。文書作成支援装置20は、例えば、単語の記載誤りや助詞などの用法誤りなどに辞書情報を用いる。文書作成支援装置20は、例えば、禁止されている語句や用法を用いていないか、統一すべき表示が統一されているか等の確認に校正ルールを用いる。
【0026】
文書作成支援装置20は、制作文書の校正、及び確認文書の校正に、同じ辞書情報と校正ルールとを用いる。これにより、制作側にて制作文書を制作する段階において、確認側が意図する表現がなされた文書を作成することが可能となる。確認側では、確認側の意図が反映された確認文書を確認すればよいため、確認側の意図が反映されていない場合と比較して、確認作業に係る負担を軽減できる。
【0027】
また、文書作成支援装置20は、確認側の確認状況に応じて、辞書情報や校正ルールを更新する。確認文書を確認する際に、校正ルールを厳格に適用するか否かは、その時どきの業界の状況や案件に応じて決定される。例えば、法律文書であれば正確な法律用語を使用することが求められる。一方、チラシやパンフレットであればさほど正確な表現が必要とされない場合もある。また、流行語を取り入れたい場合もあるし、あえて業界の常識を覆すような表現を使った文書を作成したい場合も考えられる。このような場合、予め定めた校正ルールでは、確認側が望むような校正の候補(以下、校正候補という)を抽出することが困難となる。
【0028】
この対策として、文書作成支援装置20は、確認側の確認状況に応じて、辞書情報や校正ルールを更新する。これにより制作側にて、今回作成している制作文書における確認側の意図を詳細に把握することが可能となり、確認側の意図を反映させた文書を作成することができる。確認側でも、案件に応じて校正の意図が微妙に異なる場合であっても、その意図が反映されるため確認作業に係る負担を軽減できる。
【0029】
このように、文書作成支援装置20は、制作文書の校正、及び確認文書の校正に、同じ辞書情報と校正ルールとを用いる。一方、制作側端末10は、制作段階において、WORD形式などで制作した文書を校正する。文書作成支援装置20は、制作側端末10により提出されたPDF形式の確認文書を校正し、校正候補と共に確認文書を確認側端末30にて確認できるように通知する。このような互いに異なる形式の電子文書に、同じ辞書情報と校正ルールを適用するためには、ファイル形式の差異を吸収する機能が必要となる。また、校正した結果を異なる形式の電子文書に対応づけて表示するためには、校正結果をそれぞれのファイル形式に対応させる機能が必要となる。制作側IF部22、及び確認側IF部23は、このようなファイル形式の差異を吸収したり、校正結果をそれぞれのファイル形式に対応させたりする機能部である。
【0030】
制作側IF部22は、例えば、前処理部220と、後処理部221とを備える。前処理部220は、制作文書が後述する校正候補選択部24により制作文書の校正候補を選択する処理が可能となるように前処理を行う。
【0031】
前処理部220は、例えば、制作文書から校正候補を精度よく抽出し得る態様にて文字列を抽出する。例えば、前処理部220は、制作文書から文字列を抽出する際に、文章或いは段落単位で文字列を抽出する。前処理部220は、文字列を抽出する際に、文字列の属性情報を抽出するようにしてもよい。属性情報には、例えば、見出しや、本文、注釈など用途種別を示す情報、或いはフォント、文字サイズなどの文字種別を示す情報が含まれる。
【0032】
前処理部220は、例えば、制作文書に画像等が含まれる場合には、画像や文章或いは段落(以下、画像等という)を、そのレイアウト情報などと共に抽出する。レイアウト情報には、例えば、画像等の記載位置、記載領域の大きさ、色、他の画像等との間隔、などを示す情報が含まれる。前処理部220は、制作文書から抽出した文字列や画像等を、校正候補を選択する対象として、校正候補選択部24に出力する。
【0033】
後処理部221は、校正候補選択部24により選択された制作文書の校正候補を、制作側端末10にて必要に応じて校正できるように後処理を行う。後処理部221は、制作文書の校正候補に関する情報を生成する。制作文書の校正候補に関する情報は、例えば、制作文書、校正対象、校正候補、及び校正候補に対する校正の示唆などを示す情報である。後処理部221により生成された校正候補に関する情報は、通信部21を介して制作側端末10に通知される。制作側端末10では、予め作成された校正用のテンプレート画面に、校正候補に関する情報が対応付けられて表示される。制作側端末10の制作作業者は、表示された画面を確認し、制作文書と照らし合わせて校正候補や校正の示唆などを確認し、示唆通りに校正する場合には、「校正する」などと記載された選択ボタンをクリックする。これにより、後述する25により校正候補が示唆通りに修正される。文書作成支援システム1では、このように校正作業をワンクリックで可能とする。したがって、制作側の業務負担を軽減させることができる。
【0034】
確認側IF部23は、例えば、前処理部230と、後処理部231とを備える。前処理部230は、制作側端末10から取得した確認文書を、後述する校正候補選択部24が、制作文書の校正候補を選択できるように前処理を行う。例えば、前処理部230は、確認文書が校正候補選択部24により校正候補を選択する処理が可能となるように前処理を行う。前処理部230は確認文書に基づいて、前処理部220と同様な文字列や画像等を抽出する。前処理部230は、確認文書から抽出した文字列や画像等を、校正候補を選択する対象として、校正候補選択部24に出力する。
【0035】
後処理部231は、校正候補選択部24により選択された確認文書の校正候補を、確認側端末30にて確認したり、必要に応じて修正指示をしたりできるように後処理を行う。後処理部231は、確認文書の校正候補に関する情報を生成する。確認文書の校正候補に関する情報は、確認文書、校正対象、校正候補、及び校正候補に対する校正の示唆、修正指示を入力する欄などを示す情報である。後処理部231により作成された校正候補に関する情報は、通信部21を介して確認側端末30に通知される。確認側端末30では、予め作成された校正用のテンプレート画面に、校正候補に関する情報が対応付けられて表示される。確認側端末30の確認作業者は、表示された画面で確認文書と照らし合わせて校正候補や校正の示唆などを確認し、示唆通りに修正指示する必要がないと判断した場合には、「不要」などと記載された選択ボタンをクリックする。また、確認側端末30の確認作業者は、表示された確認文書を確認し、修正指示をする箇所をクリックして当該箇所に対応づけて修正指示を書込む。これにより、選択された箇所に対応づけて修正指示が記憶される。文書作成支援システム1では、このように確認作業や修正指示を簡単なマウス操作及びキーボード入力などにより可能とする。したがって、確認側の業務負担を軽減させることができる。
【0036】
校正候補選択部24は、制作文書における校正候補を選択する。校正候補選択部24は、例えば、抽出部240と、削除部241と、復活部242とを備える。校正候補選択部24は、まず、抽出部240により辞書情報及び校正ルールを用いて抽出できる全ての校正候補を抽出する。次に校正候補選択部24は、削除部241及び復活部242により、抽出した校正候補を所定条件に基づいて削除したり、一旦削除した校正候補を復活させたりして、校正候補を選択する。
【0037】
抽出部240は、辞書情報及び校正ルールを用いて、校正対象から校正候補を抽出する。校正対象は、前処理部220により制作文書から抽出された、校正候補を選択する対象とする文字列や画像等である。或いは、校正対象は、前処理部230により確認文書から抽出された、校正候補を選択する対象とする文字列や画像等である。校正候補は、校正の候補であって、文字列や文章などにおける、記載誤りや用法誤り、校正ルールに反した記載がなされている箇所である。
【0038】
削除部241は、抽出部240によって抽出された校正候補から、所定の校正候補を削除する。上述したとおり、文書作成支援装置20は確認側に確認文書の校正候補及び校正の示唆を提示し、確認側に校正候補を修正する必要があるか否かを判断させる。このため、修正不要と判断された校正候補に修正指示がなされず、その他の箇所において指摘された修正指示が制作側端末10に通知される。制作側では、修正指示に従って修正稿が作成され、文書作成支援装置20に提出される。抽出部240がこの修正稿に、前回と同じ辞書情報及び校正ルールを適用して校正候補を抽出すると、前回、確認側で修正不要と判断された事項が、再度、校正候補として抽出されてしまう。このため、確認側では、既に修正不要と判断した校正候補に、再度、修正不要である旨を入力させなければならなくなる。このため、確認側の業務負担を増加させてしまう可能性がある。
【0039】
この対策として、削除部241は、所定の削除条件を満たす場合に、抽出部240によって抽出された校正候補を削除する。例えば、削除部241は、過去に確認側により修正不要と判断された校正候補を削除する。
【0040】
削除条件は任意に設定されてよい。例えば、削除部241は、複数回に渡り繰り返し修正不要と判断された校正候補を削除するようにしてもよい。これにより、たまたま判断ミスで修正不要と判断された可能性がある校正候補を削除せずに残すことができる。また、削除部241は、ある特定の校正ルールに基づいて抽出された校正候補が複数ある場合、その複数の校正候補について所定の割合以上の候補が修正不要と判断された場合に、当該不要と判断された校正候補を削除するようにしてもよい。また、削除部241は、確認作業が、複数の確認作業者、或いは複数回に渡りダブルチェック、トリプルチェックが行われる場合、毎回(或いは所定の割合以上の回数)修正不要と判断された校正候補のみを削除するようにしてもよい。また、削除部241は、校正候補を複数段階のレベルに分類し、校正候補のレベルに応じて、互いに異なる削除条件を設定するようにしてもよい。また、削除条件は、案件ごとに設定されてもよいし、案件のカテゴリごとに設定されてもよい。案件のカテゴリとは、確認文書のカテゴリであって、例えばカタログ、チラシ、冊子などの印刷物の区分である。
【0041】
復活部242は、削除部241によって削除された校正候補を、復活させる。上述したとおり、削除部241によって削除された校正候補は、以降、確認側に提示されなくなる。このため、削除された以降の修正稿の確認において、確認側にて削除済みの校正候補について修正が必要か否か判断される機会がなくなる。しかしながら、確認側の認識が変化することがあり得る。例えば、初稿において、ある校正候補に修正不要と判断したが、その後の修正稿において、当該校正候補を修正した方がよいと判断し直される場合があり得る。このような場合、校正候補が提示されないために確認側にて確認作業者の入力操作等により修正指示を行わなければならない。このため、確認側の業務負担を増加させてしまう可能性がある。
【0042】
この対策として、復活部242は、所定の復活条件を満たす場合に、削除部241によって削除された校正候補を復活させる。所定の復活条件とは、例えば、所定期間の経過である。復活部242は、校正候補が削除されてから所定期間が経過した場合に、当該削除された校正候補を復活させる。これにより確認側では、削除した校正候補について、後で削除が妥当であるかの見直しを行うことが可能である。
【0043】
復活条件は任意に設定されてよい。例えば、復活部242は、削除後の版数が所定数以上となった場合に、削除済みの校正候補を復活させるようしにてもよい。また、過去に削除した候補に対応する校正ルールに基づいて抽出された校正候補が複数ある場合、まだ削除されていないそれらの候補について修正指示がなされた場合に、既に削除した校正候補を次回から復活させるようにしてもよい。また、復活部242は、校正候補を複数段階のレベルに分類し、校正候補のレベルに応じて、互いに異なる復活条件を設定するようにしてもよい。また、復活条件は、案件ごとに設定されてもよいし、案件のカテゴリごとに設定されてもよい。
【0044】
また、校正候補選択部24は、確認文書を確認側端末30に提示する前に、確認文書における校正候補を選択する。校正候補選択部24が確認文書における校正候補を選択する方法は、校正候補選択部24が制作文書における校正候補を選択する方法と同様である。
【0045】
校正部25は、制作文書の校正を行う。校正部25は、制作側端末10に表示された校正ソフトの校正画面において校正作業者により操作入力された情報を取得する。校正ソフトの校正画面は、
図7に示すような、校正用のテンプレート画面に校正候補に関する情報すなわち、制作文書、校正候補、校正の示唆などが示された画面である。校正作業者により操作入力される情報は、校正候補における校正の示唆通りに校正するか否かを示す情報である。この情報は、例えば、「校正する」などと記載された選択ボタンがクリックされることにより入力される。校正部25は、通信部21を介して、校正作業者により操作入力された情報を取得し、取得した情報に基づいて制作文書を修正する。
【0046】
案件管理部26は、案件ごとに、案件情報282を管理する。案件情報282は、案件に関する情報であって、記憶部28に記憶される情報である。辞書情報280には、校正候補の削除履歴、及び削除した校正候補の復活履歴が含まれる。案件管理部26は、確認側から通知された確認結果などに基づいて削除部241により校正候補が削除される度に、或いは定期的に、削除履歴を更新する。案件管理部26は、確認側から通知された確認結果などに基づいて復活部242により校正候補が復活される度に、或いは定期的に、復活履歴を更新する。
【0047】
記憶部28は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。記憶部28は、文書作成支援装置20の各種の処理を実行するためのプログラム、及び各種の処理を行う際に利用される一時的なデータを記憶する。
【0048】
図3は、本発明の実施形態による記憶部28に記憶される情報の構成例を示すブロック図である。記憶部28は、複数の辞書情報280(辞書情報280-1、280-2、…、280-N)、複数の校正ルール281(校正ルール281-1、281-2、…、281-M)、及び案件情報282を記憶する。
【0049】
図4は、本発明の実施形態による辞書情報280の構成例を示す図である。辞書情報は、単語がその用法と対応づけられた情報、或いは、単語とその用法との対応関係を機械学習により学習した学習済みモデルである。辞書情報280は、抽出部240によって校正候補が抽出される際に用いられる。辞書は、業界や印刷物のカテゴリなどに応じて複数作成されてよい。辞書が複数ある場合、辞書情報280は、それぞれの辞書ごとに作成される。この場合、校正候補を抽出する際に複数の辞書情報の全部又は一部が用いられる。
【0050】
辞書情報280は、例えば、辞書ID、カテゴリ、更新年月日などの項目を備える。辞書IDは辞書を一意に識別する識別情報である。カテゴリは辞書が適用される業界や印刷物の区分を示す。更新年月日は、辞書が更新された年月日を示す。このように、辞書情報280は定期的に、或いは任意のタイミングで更新されてよい。また、辞書情報280が単語と用法とを対応づけた情報である場合には、単語とその用法を示すテーブル情報が辞書情報280に含まれる。辞書情報280が学習済みモデルである場合には、そのパラメータが辞書情報280に含まれる。学習済みモデルのパラメータとは、例えば、学習済みモデルがRNN(Recurrent Neural Network)の学習モデルを適用したモデルであれば、入力層のノード数、中間層の数及びノード数、ノード間の結合係数に応じた重みや、バイアス成分などを示す情報である。
【0051】
図5は、本発明の実施形態による校正ルール281の構成例を示す図である。校正ルール281は、明らかな誤りではないが、業界などにおける特有の記載、例えば、使用が禁止されている語句や用法、統一すべき表示などに関する情報である。校正ルール281は、抽出部240によって校正候補が抽出される際に用いられる。校正ルールは、業界や印刷物のカテゴリなどに応じて複数作成されてよい。校正ルールが複数ある場合、校正ルール281は、それぞれのルールごとに作成される。この場合、校正候補を抽出する際に複数の校正ルールの全部又は一部が用いられる。
【0052】
校正ルール281は、校正ルールID、カテゴリ、更新年月日などの項目を備える。校正ルールIDは校正ルールを一意に識別する識別情報である。カテゴリは校正ルールが適用される業界や印刷物の区分を示す。更新年月日は、校正ルールが更新された年月日を示す。このように、校正ルール281は定期的に、或いは任意のタイミングで更新されてよい。また、校正ルール281には、使用が禁止されている語句や用法、統一すべき表示などの情報が含まれる。
【0053】
図6は、本発明の実施形態による案件情報282の構成例を示す図である。案件情報282は、案件ごとに作成される。案件情報282は、例えば、案件ID、使用辞書、使用校正ルールなどの項目を備える。案件IDは案件を一意に識別する識別情報である。使用辞書は、案件に係る文書(制作文書及び確認文書)から校正候補を抽出する際に用いられる辞書である。使用辞書は、1つであってもよいし複数あってもよい。使用校正ルールは案件に係る文書から校正候補を抽出する際に用いられる校正ルールである。使用校正ルールは、1つであってもよいし複数あってもよい。使用校正ルールは、削除履歴と、更新履歴とを備える。削除履歴と、更新履歴とは1つであってもよいし複数あってもよい。
【0054】
削除履歴は、校正ルールを用いて抽出した校正候補のうち削除した候補を示す情報である。削除履歴は、例えば、年月日と項目とを備える。年月日は校正候補が削除された年月日である。項目は削除された校正候補を示す情報である。復活履歴は、校正ルールを用いて抽出した校正候補のうち、一旦削除した後に復活させた候補を示す情報である。復活履歴は、例えば、年月日と項目とを備える。年月日は校正候補が復活させた年月日である。項目は復活させた校正候補を示す情報である。
【0055】
図7は、本発明の実施形態による制作側端末10の表示例を示す図である。
図7に示すように、制作側端末10には、制作文書を表示させる表示窓42の枠で囲まれた番号、或いは、アラーム表示窓43が表示部13に表示される。例えば、制作側端末10は、制作作業者によりアラート番号がクリック操作された場合、その番号に該当する制作文書の記載、校正候補、校正の示唆を拡大した画像46Aを、画面中央付近に表示する。この場合、画像46Aには、校正の示唆どおりに修正するための選択ボタン431が表示される。この例では、文書420における助詞「を」の記載を助詞「は」に修正する選択ボタン431が示されている。例えば、選択ボタン431が制作作業者によりクリック操作されると、その操作の情報が制作側端末10の入力部12に入力される。すると、文書作成支援装置20の校正部25によって、制作文書が修正される。
【0056】
図8は、本発明の実施形態による確認側端末30の表示例を示す図である。
図8に示すように、確認側端末30には画面左側に確認文書が、画面右側にコメント欄が、それぞれ表示される。この例では、確認文書に画像330、文章332、及び文字列334が含まれている。画像330に対する修正指示331がコメント欄に記載されている。文章332に対する修正指示333がコメント欄に記載されている。修正指示331は、例えば、修正を指摘した作業者の氏名や指摘の内容が表示される。このように、確認側では、例えば、あたかも赤入れをするような感覚で「校正サービス」により提供される画面に修正指示を入力することが可能である。文字列334は、校正候補選択部24によって選択された校正候補の文字列である。文字列334に対する校正の示唆がコメント欄に表示されている。校正の示唆は、「自動指摘」などと表示され、確認作業者ではない機械(文書作成支援装置20)により自動的に選択された校正候補であることが表示される。また、コメント欄には、校正の示唆に対して修正が不要である旨を入力するための選択ボタン335が表示される。例えば、操作ボタン225が確認作業者によりクリック操作されると、その操作の情報が確認側端末30の入力部32に入力される。すると、文書作成支援装置20の削除部241によって、文字列334に対応する校正候補が次回以降、コメント欄に表示されなくなる。
【0057】
図9及び
図10は、本発明の実施形態による文書作成支援システム1の動作の流れを示すシーケンスチャートである。
図9では、制作段階において制作文書を校正する処理の流れが示されている。
図10では、確認段階において確認文書を確認する処理の流れが示されている。
【0058】
ステップS1:
制作側端末10は、制作文書を作成する。制作側端末10は、例えば、確認側からの発注に応じた制作文書をWORD形式などで作成する。
ステップS10:
制作側端末10は、作成した制作文書を文書作成支援装置20に送信する。制作文書は、文書作成支援装置20にアップロードされる。
ステップS11:
文書作成支援装置20は、アップロードされた制作文書から校正候補を選択する。文書作成支援装置20は、制作文書から校正の対象となる文字列などを抽出する。文書作成支援装置20は、抽出した文字列から、辞書情報280及び校正ルール281を用いて校正候補を抽出する。文書作成支援装置20は、案件情報282を用いて抽出した校正候補から所定の候補を削除したり、過去に削除した候補を復活させたりする。文書作成支援装置20は、選択した校正候補を示す情報を制作側端末10に通知する。
ステップS12:
制作側端末10は、校正候補を示す情報を受信する。制作側端末10には、
図7に示すような校正画面が表示される。制作作業者などによって校正画面に対する操作入力がなされることにより、校正操作がなされる。校正操作は、校正候補を校正の示唆通りに修正する旨などを示す情報である。校正操作を示す情報が文書作成支援装置20に送信される。
ステップS13:
文書作成支援装置20は、校正操作を示す情報を受信し、受信した情報に基づいて、制作文書を校正する。文書作成支援装置20は、校正後の制作文書を制作側端末10に送信する。
ステップS14:
制作側端末10は、校正後の制作文書を受信する。制作側端末10の表示画面には、校正後の制作文書が表示される。
ステップS15:
制作作業者などにより必要に応じて校正後の制作文書がダウンロードされ、制作文書が編集される。
【0059】
ステップS100:
文書作成支援システム1では、制作文書に記載した文字列を校正する都度、ステップS10~S15に示す処理が繰返される。制作文書に記載した文字列を校正が終了すると制作文書が完成する。制作側端末10は、完成させた制作文書をPDFに変換することにより確認文書を作成する。
【0060】
ステップS20:
制作側端末10は、確認文書を文書作成支援装置20に送信する。確認文書は、文書作成支援装置20にアップロードされる。
ステップS21:
文書作成支援装置20は、アップロードされた確認文書から校正候補を選択する。文書作成支援装置20は、確認文書から校正の対象となる文字列などを抽出する。文書作成支援装置20は、抽出した文字列から、辞書情報280及び校正ルール281を用いて校正候補を抽出する。文書作成支援装置20は、案件情報282を用いて抽出した校正候補から所定の候補を削除したり、過去に削除した候補を復活させたりする。文書作成支援装置20は、選択した校正候補を示す情報を含めた確認文書に関する情報を確認側端末30に通知する。
ステップS22:
確認側端末30は、校正候補を示す情報を含む確認文書を受信する。確認側端末30には、
図8に示すような校正画面が表示される。確認作業者などによって校正画面に対する操作入力がなされることにより、確認操作がなされる。確認操作は、校正候補を構成の示唆どおりには修正しないつまり修正不要である旨を示す情報などである。確認操作を示す情報が文書作成支援装置20に送信される。
ステップS23:
文書作成支援装置20は、確認操作を示す情報を受信し、受信した情報に基づいて、校正候補を削除或いは復活させる情報を更新し、文書に適用される校正ルール等が更新される。文書作成支援装置20は、確認後の確認文書を制作側端末10に送信する。確認後の確認文書には、例えば、文書における文字列、文章、及び画像などに、修正指示が赤入れされている。
ステップS24:
制作側端末10は、確認後の確認文書を受信する。制作側端末10は、確認後の確認文書を「校正サービス」の画面に表示させる。或いは、制作側端末10は、確認後の確認文書をダウンロードする等して表示させる。
【0061】
ステップS30:
制作側端末10は、確認文書の確認結果に基づいて、制作文書を編集する。編集後の制作文書を校正する都度、ステップS100に示す処理が繰返される。編集後の制作文書における校正が終了すると制作文書が完成する。制作側端末10は、完成させた制作文書をPDFに変換することにより確認文書を作成する。
ステップS200:
編集後の確認文書に対して、ステップS20~S24に示す処理が繰り返される。編集後の確認文書における確認が終了して確認文書が確認側に承認すると確認文書が完成する。完成した確認文書が印刷されることにより印刷物が作成される。
【0062】
以上説明したように、実施形態の文書作成支援装置20は、印刷物に対応する文書の作成を支援する文書作成支援装置である。文書作成支援装置20は、通信部21と、制作側IF部22と、確認側IF部23と、校正候補選択部24とを備える。通信部21は、制作側端末10と確認側端末30と通信する。制作側IF部22は、制作文書に基づいて、制作文書における校正対象(「第1校正対象」の一例)を抽出する。確認側IF部23は、確認文書に基づいて、確認文書における校正対象(「第2校正対象」の一例)を抽出する。校正候補選択部24は、所定の校正ルールを用いて、確認文書における校正対象から校正候補を選択し、確認文書における校正対象に用いられた校正ルールを用いて、制作文書の校正対象から校正の候補となる校正候補を選択する。制作側IF部22は、校正候補選択部24により選択された制作文書の校正対象に関する情報を生成する。確認側IF部23は、校正候補選択部24により選択された確認文書の校正対象に関する情報を生成する。通信部21は、制作側IF部22によって生成された情報を制作側端末10に送信し、確認側IF部23によって生成された情報を確認側端末30に送信する。
【0063】
これにより、実施形態の文書作成支援装置20は、確認文書における校正候補の抽出に用いた校正ルールを用いて、制作文書における校正候補を抽出することができる。このため、確認文書に適用される制作段階から確認側の意図に沿った校正を行うことができる。したがって、印刷物を作成する際における制作側と発注側の業務負担を軽減させることができる。
【0064】
また、実施形態の文書作成支援装置20では、通信部21は、確認側端末30から、確認文書の校正候補を校正するか否かを示す要不要情報を受信する。校正候補選択部24は、抽出部240と削除部241とを有する。抽出部240は校正ルールを用いて文書から校正候補を抽出する。削除部241は要不要情報に基づいて、前記校正候補を削除する。これにより実施形態の文書作成支援装置20は、全ての校正候補のうち、確認側端末30に提示するものと、提示しないものとを選択することができる。このため、確認側の確認状況に応じた適切な校正候補のみを確認側端末30に提示することが可能となる。したがって、確認側の業務負担を軽減させることが可能となる。
【0065】
また、実施形態の文書作成支援装置20では、校正候補選択部24は、復活部242を更に備える。復活部242は、所定の復活条件を充足する場合に、削除部241によって削除された校正候補を復活させる。これにより実施形態の文書作成支援装置20は、一度削除した校正候補を復活させることができる。このため、削除した校正候補について本当に修正不要なのか、確認側に再確認させることができる。したがって、過去に修正不要とした判断を見直し、校正候補を修正しようとする場合に修正指示を行い易くなり、確認側の業務負担を軽減させることが可能となる。
【0066】
また、実施形態の文書作成支援装置20は、案件管理部26を備える。案件管理部26は、削除部241による校正候補の削除の履歴を案件情報282に記憶させる。復活部242は、削除の履歴に基づいて、削除部241によって削除された校正候補を復活させる。これにより実施形態の文書作成支援装置20は、一度削除した校正候補を、一定時間が経過した後などに復活させることができる。このため、上述した効果を奏する。
【0067】
また、実施形態の文書作成支援装置20では、前記制作文書はPDF(Portable Document Format)形式とは異なる形式による文書であり、前記確認文書は前記制作文書をPDF形式に変換した文書である。これにより実施形態の文書作成支援装置20は、制作段階において編集機能が充実したWORD形式などを使用し、確認段階において、印刷物の見た目に相当するPDF形式での確認を行うことが可能である。したがって、制作段階での編集が容易となり、確認段階における確認を印刷物のイメージで行うことができ、効率よく制作と確認とを進めることが可能である。
【0068】
次に、実施形態の変形例について説明する。変形例では案件ごとに、文書作成支援装置20を利用する通信端末を認証する点において上述した実施形態と相違する。ここでの認証とは、文書作成支援装置20を利用しようとする通信端末が、正当な装置であるか否かを確認することである。これにより、正当な制作側端末10や確認側端末30のみが案件に係る文書(制作文書や確認文書)を参照したり編集したりすることができるようにする。すなわち、正当でない他の通信端末が案件に係る文書(制作文書や確認文書)を参照したり編集したりすることができないようにする。こうすることで、案件に係る文書の安全性を担保する。以下、実施形態の変形例について、変形例1、及び変形例2の二つの例を順に説明する。
【0069】
(変形例1)
図11は、本発明の実施形態の変形例1による文書作成支援システムの適用例を示すブロック図である。本変形例の文書作成支援システム100は、複数の制作側端末10(制作側端末10-1、10-2、…)、複数の文書作成支援装置20(文書作成支援装置20-1、20-2、…)、及び複数の確認側端末30(確認側端末30-1、30-2、…)を備える。
【0070】
文書作成支援システム100において、A案件、及びA案件とは異なるB案件とが扱われている。文書作成支援装置20-1はA案件に割り当てられた装置である。制作側端末10-1は、A案件に係る制作文書を制作する装置である。確認側端末30-1は、A案件に係る確認文書を確認する装置である。文書作成支援装置20-2はB案件に割り当てられた装置である。制作側端末10-2は、B案件に係る制作文書を制作する装置である。確認側端末30-2は、B案件に係る確認文書を確認する装置である。このように、変形例1では、案件毎に文書作成支援装置20が割り当てられる。
【0071】
案件管理部26は、文書作成支援装置20に割り当てられた案件が、正当でない通信端末より編集されたり参照されたりしないように管理する。具体的に、案件管理部26は、案件の発生に伴い、当該案件の案件管理情報を生成する。案件は、例えば、確認側端末30によって、案件が文書作成支援装置20に登録されることにより発生する。案件管理情報は、案件を管理するために用いられる情報である。案件管理情報は、例えば、案件ID、確認側ID、確認側PW、制作側ID、及び制作側PWである。案件IDは案件を一意に識別する識別情報である。確認側IDは、案件を登録した確認側端末30を一意に識別する識別情報である。確認側PWは、確認側端末30を認証するための情報である。制作側IDは、案件を依頼された制作側端末10を一意に識別する識別情報である。制作側PWは、制作側端末10を認証するための情報である。
【0072】
案件管理部26は、生成した案件管理情報を案件に対応づけて記憶部28に記憶させる。案件管理部26は、通信部21を介して、当該案件に係る制作文書を制作する制作側端末10に、案件管理情報、すなわち案件ID、制作側ID及び制作側PWを通知する。案件管理部26は、通信部21を介して、当該案件に係る確認文書を確認する確認側端末30に、案件管理情報、すなわち、案件ID、確認側ID及び確認側PWを通知する。
【0073】
案件管理部26は、「校正サービス」を提供するにあたり、当該サービスを利用しようとする通信端末の認証を行う。例えば、案件管理部26は、「校正サービス」のURLにログイン画面を表示させる。つまり、制作側端末10や確認側端末30などの通信端末が「校正サービス」のURLにアクセスすると、ログイン画面が表示されるようにする。ログイン画面には、例えば、案件ID、利用端末ID及びパスワードを入力するための入力フォームが表示される。利用端末IDは、「校正サービス」を利用する通信端末の識別情報であって、文書作成支援装置20が予め発行した案件管理情報である。利用端末IDは、「校正サービス」を利用する通信端末が制作側端末10であれば制作側IDであり、確認側端末30であれば確認側IDである。「校正サービス」を利用しようとする通信端末は、「校正サービス」のURLに表示されたログイン画面の入力フォームに従い、案件IDなどを入力する。ここで、ログイン画面に入力された情報は、「依頼通知」の一例である。また、校正サービスの提供は、「制作文書、又は確認文書に関する処理の実行」の一例である。
【0074】
案件管理部26は、ログイン画面に入力された情報に基づいて、「校正サービス」を利用する通信端末を認証する。案件管理部26は、ログイン画面に入力された案件ID等が、予め発行した案件管理情報と一致する場合に、通信端末が正当な装置であると判定する。一方、案件管理部26は、ログイン画面に入力された案件ID等が、予め発行した案件管理情報と一致しない場合、通信端末が正当な装置でないと判定する。
【0075】
案件管理部26は、通信端末が正当な装置であると判定した場合に、「校正サービス」を提供する。具体的には、案件管理部26は、正当な装置であると判定した制作側端末10に、
図7に示すような画面を表示させ、制作文書を編集したり校正したりすることができるようにする。案件管理部26は、正当な装置であると判定した確認側端末30に、
図8に示すような画面を表示させ、確認文書を確認したり、コメントしたり、承認したりすることができるようにする。
【0076】
一方、案件管理部26は、通信端末が正当な装置でないと判定した場合、「校正サービス」を提供しない。具体的には、ログイン画面に入力された案件ID等が予め発行した案件管理情報と一致しない旨を表示して、
図7や
図8に係る画面を表示させないようにする。
【0077】
ここで、
図11の例を用いて、案件管理部26-1と、通信端末(制作側端末10-1、10-2、確認側端末30-1、及び30-2)との関係について説明する。
【0078】
案件管理部26-1は、ログインしてきた制作側端末10-1が案件Aに係る正当な通信端末であると判定した場合、制作側IF部22-1の機能を実行させる。これにより、案件管理部26は、制作側端末10が案件Aに係る制作文書を校正できるようにする。一方、案件管理部26-1は、制作側端末10-2が案件Bに係る案件ID等を入力してログインした場合など、ログインしてきた制作側端末10-2が案件Aに係る正当な通信端末でないと判定した場合、制作側IF部22-1、及び確認側IF部23-1の機能を実行させず、制作側端末10-2が案件Aに係る制作文書を校正したり、及び、確認文書を確認したりすることができないようにする。
【0079】
案件管理部26-1は、ログインしてきた制作側端末10-1が案件Aに係る正当な通信端末であると判定した場合において、確認側IF部23-1の機能の一部を実行させるようにしてもよい。つまり、案件管理部26-1は、案件Aに係る正当な通信端末に、文書作成支援装置20が提供するサービスの一部のみを提供するようにしてもよい。案件管理部26-1は、案件Aに係る正当な通信端末に、どのようなサービスを提供するかを、案件の内容や案件が登録された際の条件などに応じて任意に決定してよい。例えば、案件管理部26-1は、制作側端末10-1が、案件Aに係る制作文書を校正すること、確認文書を確認する機能の一部を実行できるようにしてもよい。例えば、案件管理部26-1は、制作側端末10-1が確認文書を承認したりコメントを入れたりすることはできないが、確認の状況を参照できるようにしてもよい。
【0080】
案件管理部26-1は、ログインしてきた確認側端末30-1が案件Aに係る正当な通信端末であると判定した場合、確認側IF部23-1の機能を実行させることにより、確認文書を確認することができるようにする。一方、案件管理部26-1は、確認側端末30-2が案件Bに係る案件ID等を入力してログインした場合など、確認側端末30-2が案件Aに係る正当な通信端末ではないと判定した場合、及び確認側IF部23-1の機能を実行させず、確認側端末30-2が案件Aに係る制作文書を校正したり、確認文書を確認したりすることができないようにする。
【0081】
案件管理部26-1は、ログインしてきた確認側端末30-1が案件Aに係る正当な通信端末であると判定した場合において、制作側IF部22-1の機能の一部を実行させるようにしてもよい。例えば、案件管理部26-1は、確認側端末30-1が、案件Aに係る確認文書を確認することができ、制作文書を校正することはできないが、校正文書を閲覧することができるようにしてもよい。
【0082】
案件管理部26-2と通信端末との関係についても、案件管理部26-1と通信端末との関係と同様である。すなわち、案件管理部26-2は、制作側端末10-2が案件Bに係る正当な通信端末であると判定した場合、制作側端末10-2が案件Bに係る制作文書を校正できるようにする。一方、案件管理部26-2は、制作側端末10-1が案件Aに係る案件ID等を入力してログインした場合など、案件Bに係る正当な通信端末でないと判定した場合、制作側端末10-1が案件Bに係る制作文書を校正したり、確認文書を確認したりすることができないようにする。また、案件管理部26-2は、制作側端末10-2が案件Bに係る正当な通信端末であると判定した場合において、案件Bに係る制作文書の校正、及び、確認文書の確認に係る一部の機能(例えば、閲覧機能)を実行可能としてもよい。また、案件管理部26-2は、確認側端末30-2が案件Bに係る正当な通信端末であると判定した場合、確認文書を確認できるようにする。一方、案件管理部26-2は、確認側端末30-1が案件Aに係る案件ID等を入力してログインした場合など、確認側端末30-1が案件Bに係る正当な通信端末でないと判定した場合、確認側端末30-1が案件Bに係る制作文書を校正したり、確認文書を確認したりすることができないようにする。案件管理部26-2は、確認側端末30-2が案件Bに係る正当な通信端末であると判定した場合において、案件Bに係る確認文書の確認、及び、制作文書の校正に係る一部の機能(例えば、閲覧機能)を実行可能としてもよい。
【0083】
(変形例2)
図12は、本発明の実施形態の変形例2による文書作成支援システムの適用例を示すブロック図である。本変形例の文書作成支援システム100は、複数の制作側端末10(制作側端末10-1、10-2、…)、文書作成支援装置20、及び複数の確認側端末30(確認側端末30-1、30-2、…)を備える。
【0084】
文書作成支援装置20では、案件ごとに、制作側IF部22の機能部、及び確認側IF部23の機能部が割り当てられる。ここでの制作側IF部22の機能部は、前処理部220及び後処理部221である。確認側IF部23の機能部は、前処理部230及び後処理部231である。すなわち、制作側IF部22は、A案件用の機能部(
図12では「A案件用」と記載)、及び、B案件用の機能部(
図12では「B案件用」と記載)を備える。確認側IF部23は、A案件用の機能部(
図12では「A案件用」と記載)、及び、B案件用の機能部(
図12では「B案件用」と記載)を備える。
【0085】
案件管理部26は、「校正サービス」を提供するにあたり、当該サービスを利用しようとする通信端末の認証を行う。例えば、案件管理部26は、変形例1の場合と同様に、事前に生成した案件ごとの案件管理情報を、該当する制作側端末10、及び確認側端末30に通知する。そして、案件管理部26は、「校正サービス」のログイン画面に入力された情報に基づいて、ログインしてきた通信端末が正当な装置であるか否かを判定する。案件管理部26は、通信端末が正当な装置であると判定した場合に、「校正サービス」を提供する。
【0086】
図12に示すように、案件管理部26は、ログインしてきた制作側端末10-1が案件Aに係る正当な通信端末であると判定した場合、制作側IF部22におけるA案件用の機能部が行う処理を実行させることにより、制作側端末10-1が案件Aに係る制作文書を校正できるようにする。一方、案件管理部26-1は、制作側端末10-2が案件Bに係る案件ID等を入力してログインした場合など、ログインしてきた制作側端末10-2が案件Aに係る正当な通信端末でないと判定した場合、制作側IF部22におけるA案件用の機能部、及び確認側IF部23におけるA案件用の機能部を実行させず、制作側端末10-2が案件Aに係る制作文書を校正したり、及び、確認文書を確認したりすることができないようにする。
【0087】
案件管理部26は、ログインしてきた制作側端末10-1が案件Aに係る正当な通信端末であると判定した場合において、確認側IF部23における案件A用の機能部の一部を実行させるようにしてもよい。つまり、案件管理部26は、案件Aに係る正当な通信端末に、文書作成支援装置20が提供するサービスの一部のみを提供するようにしてもよい。案件管理部26は、案件Aに係る正当な通信端末に、どのようなサービスを提供するかを、案件の内容や案件が登録された際の条件などに応じて任意に決定してよい。例えば、案件管理部26は、制作側端末10-1が、案件Aに係る制作文書を校正することができ、確認文書を承認したりコメントを入れたりすることはできないが、確認の状況を参照できるようにしてもよい。
【0088】
案件管理部26は、ログインしてきた確認側端末30-1が案件Aに係る正当な通信端末であると判定した場合、確認側IF部23におけるA案件用の機能部が行う処理を実行させることにより、確認側端末30-1が案件Aに係る確認文書を確認できるようにする。一方、案件管理部26は、確認側端末30-2が案件Bに係る案件ID等を入力してログインした場合など、ログインしてきた確認側端末30-2が案件Aに係る正当な通信端末でないと判定した場合、制作側IF部22におけるA案件用の機能部、及び確認側IF部23におけるA案件用の機能部を実行させず、確認側端末30-2が案件Aに係る制作文書を校正したり、及び、確認文書を確認したりすることができないようにする。
【0089】
案件管理部26は、ログインしてきた確認側端末30-1が案件Aに係る正当な通信端末であると判定した場合において、制作側IF部22における案件A用の機能部の一部を実行させるようにしてもよい。例えば、案件管理部26は、確認側端末30-1が、案件Aに係る確認文書を確認することができ、制作文書を校正することはできないが、制作文書を参照できるようにしてもよい。案件管理部26と、制作側端末10-2及び確認側端末30-2の関係は、上述した案件管理部26と制作側端末10-1及び確認側端末30-1の関係と同様である。
【0090】
ここで、実施形態の変形例において、制作側端末10及び確認側端末30に案件管理情報を通知する方法について、
図13及び
図14を用いて説明する。
図13及び
図14は、本発明の実施形態の変形例による動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【0091】
ステップS40:
図13に示す通り、まず、案件が発生する。案件は、例えば、確認側端末30によって、案件が文書作成支援装置20に登録されることにより発生する。
ステップS41:
文書作成支援装置20は、案件の発生に伴い、案件管理部26により案件管理情報(この例では制作側IDと記載)を生成する。
ステップS42:
文書作成支援装置20は、生成した制作側IDを、まず、確認側端末30に通知する。この場合において、文書作成支援装置20は、確認側端末30に案件ID及び確認側IDを、制作側ID共に通知するようにしてもよいし、案件ID及び確認側IDを、制作側IDとは別に通知するようにしてもよい。また、文書作成支援装置20は、制作側IDと共に制作側PWを通知するようにしてもよいし、制作側IDとは別のタイミングで制作側PWを通知するようにしてもよい。
ステップS42:
確認側端末30は、文書作成支援装置20から制作側IDを取得する。
ステップS43:
案件に係る制作文書を制作する制作側端末10に、制作側IDを通知する。
ステップS44:
制作側端末10は制作側IDを取得する。
【0092】
図13のような流れで制作側IDが制作側端末10に通知されることにより、案件が文書作成支援装置20に登録される際において、案件に係る制作文書を制作する制作側端末10を文書作成支援装置20に登録せずとも、制作側端末10に制作側IDを通知することができる。したがって、制作側端末10を文書作成支援装置20に登録する場合と比較して、案件を担当する制作側端末10を増設したり変更したりすることが容易となり、案件に係る文書の作成に柔軟に対応することが可能である。
【0093】
ステップS50:
図14に示す通り、まず、案件が発生する。
ステップS51:
文書作成支援装置20は、案件の発生に伴い、案件管理部26により案件管理情報(この例では確認側IDと記載)を生成し、生成した制作側IDを、確認側端末30に通知する。この場合において、文書作成支援装置20は、確認側端末30に案件ID及び確認側PWを、確認側ID共に通知するようにしてもよいし、案件ID及び確認側PWを、確認側IDとは別に通知するようにしてもよい。
ステップS52:
確認側端末30は、文書作成支援装置20から確認側IDを取得する。
ステップS53:
確認側端末30は、案件に係る制作文書を制作する制作側端末10に関する情報(この例では制作側情報と記載)を、文書作成支援装置20に通知する。
ステップS54:
文書作成支援装置20は制作側情報を取得する。
ステップS55:
文書作成支援装置20は、取得した制作側情報に基づいて、制作側IDを生成し、生成した制作側IDを制作側端末10に通知する。
ステップS56:
制作側端末10は制作側IDを取得する。
【0094】
図14のような流れで制作側IDが制作側端末10に通知されることにより、文書作成支援装置20が案件に係る制作文書を制作する制作側端末10を認識することができる。したがって、制作側端末10を文書作成支援装置20に登録しない場合と比較して、案件を担当する制作側端末10を強固に管理することが可能である。
【0095】
以上説明した通り、実施形態の変形例の文書作成支援装置20では、通信部21は、制作側端末10又は確認側端末30である通信端末から、ログイン画面に入力された案件ID等の情報(「依頼通知」の一例)を受信する。案件管理部26は、ログイン画面に入力された案件ID等の情報に基づいて、ログインしてきた通信端末を認証する。案件管理部26は、ログインしてきた通信端末が正当な通信端末であると判定した場合、校正サービスを提供する。これにより、案件を担当する正当な制作側端末10又は確認側端末30のみが案件に係る文書を扱うことができる。したがって、他の正当でない通信端末が案件に係る文書をアクセスできないようにして、文書が故意に改ざんされないようにして文書の安全性を担保することが可能である。
【0096】
また、実施形態の変形例の文書作成支援装置20では、案件管理部26は、ログインしてきた通信端末に応じて、校正サービスの全部を提供するか、一部のみを提供するかを判定する。これにより、案件を担当する正当な制作側端末10又は確認側端末30と判定した場合において、校正サービスの一部の機能をアクセスできないようにして、制作側が確認文書を確認したり、確認側が制作文書を確認したりすることができないようにし、文書が誤って改ざんされないようにすることが可能である。
【0097】
上述した実施形態における文書作成支援装置20の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0098】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0099】
1…文書作成支援システム
10…制作側端末
20…文書作成支援装置
21…通信部
22…制作側IF部
220…前処理部
221…後処理部
23…確認側IF部
230…前処理部
231…後処理部
24…校正候補選択部
240…抽出部
241…削除部
242…復活部
25…校正部
26…案件管理部
28…記憶部
280…辞書情報
281…校正ルール
282…案件情報
30…確認側端末