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特許7103513ろ過特性予測による造水装置の制御方法、造水装置のトラブル判定方法、造水装置、造水装置の運転プログラム、造水装置のトラブル判定プログラム、および記録媒体
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  • 特許-ろ過特性予測による造水装置の制御方法、造水装置のトラブル判定方法、造水装置、造水装置の運転プログラム、造水装置のトラブル判定プログラム、および記録媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】ろ過特性予測による造水装置の制御方法、造水装置のトラブル判定方法、造水装置、造水装置の運転プログラム、造水装置のトラブル判定プログラム、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20220712BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20220712BHJP
   B01D 65/02 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
C02F1/44 D
C02F1/44 A
B01D61/58
B01D65/02
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021517731
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2021005268
(87)【国際公開番号】W WO2021162093
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】P 2020023071
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020057377
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富岡 一憲
(72)【発明者】
【氏名】羽川 和希
(72)【発明者】
【氏名】濱田 浩志
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-129365(JP,A)
【文献】特開2014-161797(JP,A)
【文献】国際公開第2009/054506(WO,A1)
【文献】特開2001-062255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
B01D 61/00-71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法であって、離膜法段階的にろ過処理する造水装置の制御方法であって、
分離膜法であるn段(nは2~Nのいずれかの自然数)の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件からn段の水処理法のろ過特性を予測するn段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
分離膜法である(n-1)段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過特性を予測する(n-1)段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離を判定するn段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップと、
(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離を判定する(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップとを備え、
(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップで乖離があった場合に、(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと、
前記(n-1)段の水処理法の制御条件から前記n段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件を変更し、前記n段の水処理法ろ過特性予測と前記n段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す前記n段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記n段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から前記n段の水処理法のろ過条件または洗浄条件の制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録ステップをさらに有し、
前記(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと前記n段の水処理法制御条件記録ステップで記録された制御条件に基づいて造水装置の水処理法のろ過条件または洗浄条件を制御することを特徴とする造水装置の制御方法。
【請求項2】
被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法であって、離膜法段階的にろ過処理する造水装置の制御方法であって、
分離膜法であるn段(nは2~Nのいずれかの自然数)の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件からn段の水処理法のろ過特性を予測するn段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
分離膜法である(n-1)段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過特性を予測する(n-1)段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離を判定するn段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップと、
(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離を判定する(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップとを備え、
n段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップで乖離があった場合に、n段の水処理法の予測入力条件を変更し、n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記n段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件からn段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録ステップと、
前記n段の水処理法の制御条件から前記(n-1)段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件を変更し、前記(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と前記(n-1)段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から前記(n-1)段の水処理法のろ過条件または洗浄条件の制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップをさらに有し、
前記(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと前記n段の水処理法制御条件記録ステップで記録された制御条件に基づいて造水装置の水処理法のろ過条件または洗浄条件を制御することを特徴とする造水装置の制御方法。
【請求項3】
前記造水装置の制御方法が運転モードを選択する運転モード選択ステップをさらに有し、前記運転モード選択ステップで選択された運転モードに基づいて、前記N段各段の水処理法ろ過特性予測の入力条件を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の造水装置の制御方法。
【請求項4】
前記(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップと前記n段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップで同時に乖離が発生した場合に、前記(n-1)段の水処理法の制御条件算出を優先することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の造水装置の制御方法。
【請求項5】
前記造水装置の処理フローが下記のいずれかであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の造水装置の制御方法。
・前記(n-1)段の水処理法の処理水の一部を前記n段の水処理法の処理水に混合する。
・前記n段の水処理法の処理水の一部を前記被処理水または前記(n-1)段の水処理法の処理水に混合する。
・前記n段の水処理法の排水の一部または全量を前記被処理水または前記(n-1)段の水処理法の処理水に混合する。
・前記n段の水処理法の排水の一部または全量を前記(n-1)段の水処理法の洗浄水に使用する。
【請求項6】
前記N段の水処理法のうち少なくともいずれかが、膜分離法であり、前記膜分離法に用いられる分離膜が、精密ろ過膜、限外ろ過膜および逆浸透膜からなる群より選ばれる少なくとも一種の分離膜であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の造水装置の制御方法。
【請求項7】
前記ろ過特性が、差圧、純水透水性能および塩透水性能からなる群より選ばれる少なくとも一つの指標であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の造水装置の制御方法。
【請求項8】
前記(n-1)段の水処理法が膜分離法であって、(n-1)段の分離膜が精密ろ過膜または限外ろ過膜である場合に前記(n-1)段の水処理法制御条件が、下記A~Cからなる群より選ばれる少なくとも一つの条件であり、また前記n段の水処理法が膜分離法であって、n段の分離膜が逆浸透膜である場合に前記n段の水処理法制御条件が、下記F~Iからなる群より選ばれる少なくとも一つの条件であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の造水装置の制御方法。
A.ろ過工程の時間、ろ過流量、循環流量(クロスフローろ過の場合)
B.物理洗浄各工程・CEB工程の時間、各工程回数、各洗浄流量、各工程の組み合わせ、洗浄薬液注入濃度、洗浄薬液種類
C.凝集剤添加濃度
F.供給水流量、濃縮水流量、透過水流量の少なくともいずれか、または回収率
G.透過水前後抜き出し流量の比率(スプリットの場合)
H.供給水スケール防止剤、殺菌剤、pH調整剤または還元剤の注入濃度
I.物理洗浄(フラッシング)の流量、圧力、時間、頻度
【請求項9】
前記n段の水処理法循環予測計算ステップにおいて、前記n段の予測入力条件の変更を、オフラインで取得する条件を優先して変更することを特徴とする請求項1または2に記載の造水装置の制御方法。
【請求項10】
前記n段の水処理法循環予測計算ステップにおいて、前記n段の予測入力条件の変更を、造水装置の運転工程に細分化してろ過特性変化を解析して、各工程においてオフラインで取得する条件を優先して変更することを特徴とする請求項9に記載の造水装置の制御方法。
【請求項11】
被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法であって、離膜法段階的にろ過処理する造水装置であって、
分離膜法であるn段(nは2~Nのいずれかの自然数)の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件からn段の水処理法のろ過特性を予測する水処理法ろ過特性予測手段と、
分離膜法である(n-1)段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過特性を予測する水処理法ろ過特性予測手段と、
n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離を判定するn段の水処理法ろ過特性乖離判定手段と、
(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離を判定する(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定手段とを備え、
(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定手段で乖離があった場合に、(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算手段と、
前記(n-1)段の水処理法循環予測計算手段の最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録手段と、
前記(n-1)段の水処理法の制御条件から前記n段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件を変更し、n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算手段と、
前記n段の水処理法循環予測計算手段の最終的な入力条件からn段の水処理法のろ過条件または洗浄条件の制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録手段とをさらに備え、
前記(n-1)段の水処理法制御条件記録手段で記録された制御条件と前記n段の水処理法制御条件記録手段で記録された制御条件に基づいて造水装置の水処理法のろ過条件または洗浄条件を制御する制御手段を備えることを特徴とする造水装置。
【請求項12】
被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法であって、離膜法段階的にろ過処理する造水装置であって、
分離膜法であるn段(nは2~Nのいずれかの自然数)の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件からn段の水処理法のろ過特性を予測する水処理法ろ過特性予測手段と、
分離膜法である(n-1)段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過特性を予測する水処理法ろ過特性予測手段と、
n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離を判定するn段の水処理法ろ過特性乖離判定手段と、
(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離を判定する(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定手段とを備え、
n段の水処理法ろ過特性乖離判定手段で乖離があった場合に、n段の水処理法の予測入力条件を変更し、n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算手段と、
前記n段の水処理法循環予測計算手段の最終的な入力条件からn段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録手段と、
前記n段の水処理法の制御条件から前記(n-1)段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件を変更し、前記(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と前記(n-1)段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算手段と、
前記(n-1)段の水処理法循環予測計算手段の最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過条件または洗浄条件の制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録手段とをさらに備え、
前記(n-1)段の水処理法制御条件記録手段で記録された制御条件と前記n段の水処理法制御条件記録手段で記録された制御条件に基づいて造水装置の水処理法のろ過条件または洗浄条件を制御する制御手段を備えることを特徴とする造水装置。
【請求項13】
前記造水装置が運転モードを選択する運転モード選択手段を有し、前記運転モード選択手段で選択された運転モードに基づいて、前記N段各段の水処理法ろ過特性予測の入力条件を変更し、前記N段各段の水処理法ろ過特性予測と水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すN段各段の水処理法循環予測計算手段と、前記N段各段の水処理法循環予測計算手段の最終的な入力条件からN段各段の水処理法の制御条件を決定し記録するN段各段の水処理法制御条件記録手段に基づいて制御する制御手段を有することを特徴とする請求項11または12に記載の造水装置。
【請求項14】
前記造水装置の処理フローが下記のいずれかであることを特徴とする請求項11~13のいずれか一項に記載の造水装置。
・前記(n-1)段の水処理法の処理水の一部を前記n段の水処理法の処理水に混合する。
・前記n段の水処理法の処理水の一部を前記被処理水または前記(n-1)段の水処理法の処理水に混合する。
・前記n段の水処理法の排水の一部または全量を前記被処理水または前記(n-1)段の水処理法の処理水に混合する。
・前記n段の水処理法の排水の一部または全量を前記(n-1)段の水処理法の洗浄水に使用する。
【請求項15】
前記N段の水処理法のうち少なくともいずれかが、膜分離法であり、前記膜分離法に用いられる分離膜が、精密ろ過膜、限外ろ過膜および逆浸透膜からなる群より選ばれる少なくとも一種の分離膜であることを特徴とする請求項11~14のいずれか一項に記載の造水装置。
【請求項16】
前記(n-1)段の水処理法が膜分離法であって、(n-1)段の分離膜が精密ろ過膜または限外ろ過膜である場合に前記(n-1)段の水処理法制御条件が、下記A~Cからなる群より選ばれる少なくとも一つの条件であり、また前記n段の水処理法が膜分離法であって、前記n段の分離膜が逆浸透膜である場合に前記n段の水処理法制御条件が、下記F~Iからなる群より選ばれる少なくとも一つの条件であることを特徴とする請求項11~15のいずれか一項に記載の造水装置。
A.ろ過工程の時間、ろ過流量、循環流量(クロスフローろ過の場合)
B.物理洗浄各工程・CEB工程の時間、各工程回数、各洗浄流量、各工程の組み合わせ、
洗浄薬液注入濃度、洗浄薬液種類
C.凝集剤添加濃度
F.供給水流量、濃縮水流量、透過水流量の少なくともいずれか、または回収率
G.透過水前後抜き出し流量の比率(スプリットの場合)
H.供給水スケール防止剤、殺菌剤、pH調整剤または還元剤の注入濃度
I.物理洗浄(フラッシング)の流量、圧力、時間、頻度
【請求項17】
請求項11~16のいずれか一項に記載の造水装置であって、
前記N段各段の水処理法循環予測計算手段の最終入力条件からトラブルを判定するトラブル判定手段を備えることを特徴とする造水装置。
【請求項18】
請求項17のN段各段のトラブル判定手段により得られた結果から、トラブル要因の異常警報出力またはトラブル要因を制御する異常警報出力・制御手段を備えることを特徴とする造水装置。
【請求項19】
被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法であって、離膜法段階的にろ過処理する造水装置を運転するためにコンピュータに、
分離膜法であるn段(nは2~Nのいずれかの自然数)の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件からn段の水処理法のろ過特性を予測するn段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
分離膜法である(n-1)段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過特性を予測する(n-1)段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離を判定するn段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップと、
(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離を判定する(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップとを備え、
前記(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップで乖離があった場合に、前記(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、前記(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と前記(n-1)段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと、
前記(n-1)段の水処理法制御条件から前記n段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件を変更し、前記n段の水処理法ろ過特性予測と前記n段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記n段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件からn段の水処理法の過条件または洗浄条件の制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録ステップと、
をさらに備え、
前記(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップで記録された制御条件と前記n段の水処理法制御条件記録ステップで記録された制御条件に基づいて造水装置の水処理法のろ過条件または洗浄条件を制御する制御ステップを実行させるための造水装置の運転プログラム。
【請求項20】
被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法であって、離膜法段階的にろ過処理する造水装置を運転するためにコンピュータに、
分離膜法であるn段(nは2~Nのいずれかの自然数)の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件からn段の水処理法のろ過特性を予測するn段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
分離膜法である(n-1)段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過特性を予測する(n-1)段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離を判定するn段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップと、
(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離を判定する(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップとを備え、
前記n段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップで乖離があった場合に、前記n段の水処理法の予測入力条件を変更し、n段の水処理法ろ過特性予測と前記n段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記n段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件からn段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録ステップと、
前記n段の水処理法制御条件から前記(n-1)段の水処理法のろ過条件または洗浄条件に関する予測入力条件を変更し、前記(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と前記(n-1)段の水処理法ろ過特性の実測値の乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法の過条件または洗浄条件の制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと、をさらに備え、
前記(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップで記録された制御条件と前記n段の水処理法制御条件記録ステップで記録された制御条件に基づいて造水装置の水処理法のろ過条件または洗浄条件を制御する制御ステップを実行させるための造水装置の運転プログラム。
【請求項21】
被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法で段階的に処理する造水装置を運転するためにコンピュータに、
前記造水装置の運転プログラムが運転モードを選択する運転モード選択ステップを有し、
前記運転モード選択ステップで選択された運転モードに基づいて、
前記(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、前記(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と、前記(n-1)段の水処理法ろ過特性との乖離がなくなるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと、運転モード選択手段で選択された運転モードに基づいて前記n段の水処理法の予測入力条件を変更し、前記n段の水処理法ろ過特性予測と前記n段の水処理法ろ過特性との乖離がなくなるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算ステップと、前記(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと前記n段の水処理法循環予測計算ステップのうち少なくとも前記(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法の制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと、前記(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップに基づいて造水装置を制御する制御ステップを実行させるための請求項19に記載の造水装置の運転プログラム。
【請求項22】
被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法で段階的に処理する造水装置を運転するためにコンピュータに、
前記造水装置の運転プログラムが運転モードを選択する運転モード選択ステップを有し、
前記運転モード選択ステップで選択された運転モードに基づいて、
前記(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、前記(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と前記(n-1)段の水処理法ろ過特性との乖離がなくなるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと、運転モード選択手段で選択された運転モードに基づいて前記n段の水処理法の予測入力条件を変更し、前記n段の水処理法ろ過特性予測と前記n段の水処理法ろ過特性との乖離がなくなるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算ステップと、前記(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと前記n段の水処理法循環予測計算ステップのうち少なくとも前記n段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件からn段の水処理法の制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録ステップと、前記n段の水処理法制御条件記録ステップに基づいて造水装置を制御する制御ステップを実行させるための請求項20に記載の造水装置の運転プログラム。
【請求項23】
被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法で段階的に処理する造水装置を運転するためにコンピュータに、
前記(n-1)段の水処理法が膜分離法であって、(n-1)段の分離膜が精密ろ過膜または限外ろ過膜である場合に前記(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップに記録される制御条件が、下記A~Cからなる群より選ばれる少なくとも一つの条件であり、また前記n段の水処理法が膜分離法であって、n段の分離膜が逆浸透膜である場合に前記n段の水処理法制御記録ステップに記録される制御条件が、下記F~Iからなる群より選ばれる少なくとも一つの条件であり、前記(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと前記n段の水処理法制御条件記録ステップに基づいて造水装置を制御する制御ステップを実行させるための請求項19~22のいずれか一項に記載の造水装置の運転プログラム。
A.ろ過工程の時間、ろ過流量、循環流量(クロスフローろ過の場合)
B.物理洗浄各工程・CEB工程の時間、各工程回数、各洗浄流量、各工程の組み合わせ、
洗浄薬液注入濃度、洗浄薬液種類
C.凝集剤添加濃度
F.供給水流量、濃縮水流量、透過水流量の少なくともいずれか、または回収率
G.透過水前後抜き出し流量の比率(スプリットの場合)
H.供給水スケール防止剤、殺菌剤、pH調整剤または還元剤の注入濃度
I.物理洗浄(フラッシング)の流量、圧力、時間、頻度
【請求項24】
前記n段の循環予測計算ステップにおいて、前記予測入力条件を変更するためにコンピュータに、オフラインで取得する条件を優先して変更する条件変更ステップを実行させるための請求項19または20に記載の造水装置の運転プログラム。
【請求項25】
前記n段の循環予測計算ステップにおいて、前記予測入力条件を変更するためにコンピュータに、造水装置の運転工程に細分化してろ過特性変化を解析するろ過特性解析ステップを実行させるための請求項24に記載の造水装置の運転プログラム。
【請求項26】
請求項19~25のいずれか一項に記載のプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川水・湖水・海水などの自然水や下廃水・工業排水を処理して処理水を得る造水装置のろ過特性予測による造水装置の制御方法、造水装置のトラブル判定方法、造水装置、造水装置の運転プログラム、造水装置のトラブル判定プログラム、および記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水処理法としては、沈殿・浮上分離、嫌気処理法、砂ろ過法、膜分離法、イオン交換法、物理吸着法、酸化・消毒法などがあり、原水性状および生産水用途に合わせて、これらの水処理法を選択または組み合わせて使用している。
【0003】
また近年、膜分離法が、省エネルギー・省スペース、および処理水質向上等の特長を有するため、様々な分野で拡大している。例えば、精密ろ過膜や限外ろ過膜を、河川水や地下水や下水処理水から工業用水や水道水を製造する浄水プロセスへの適用や、海水淡水化への逆浸透膜適用などがあげられる。またこれらの分離膜を組み合わせて、例えば限外ろ過膜でろ過し、そのろ過水を逆浸透膜で処理することで更に清涼な生産水を得るといった膜分離方法も増加してきている。
【0004】
被処理水を膜ろ過すると、処理水量に伴って、膜表面や膜細孔内に汚染物質の蓄積量が増大していき(膜ファウリング)、ろ過速度の低下あるいはろ過圧力の上昇などのろ過特性変化が生じる。
【0005】
そこで、分離膜が中空糸のモジュール型の場合は、分離膜の被処理水側に気泡を導入し、分離膜を揺動させ、膜同士を触れ合わせることにより分離膜表面の汚染物質を掻き落とす空気洗浄(空洗)や、分離膜のろ過方法とは逆方向に処理水あるいは清澄水を圧力で押し込み、分離膜表面や膜細孔内に付着していた汚染物質を排除する逆圧洗浄(逆洗)などの物理洗浄を行う。さらに、1日~数日に1回の頻度で、薬品を添加した水を用いて逆洗を行った後、分離膜を数十分程度薬品に浸漬する薬液強化逆洗(CEB)が行われる。
【0006】
また、主に下水処理に適用される膜分離活性汚泥法においては、生物反応槽内で、生物処理を行い反応槽内に浸漬させたろ過膜等を用いて活性汚泥を固液分離し、清澄な処理水を得る処理過程で、活性汚泥自体や反応槽に流入する被処理液中の夾雑物などの固形分が分離膜表面に付着し、付着した物質が膜ろ過抵抗増加を引き起こすこととなる。そのため、膜分離活性汚泥法では、ろ過効率が低下しないようにろ過膜の下部に設置した散気管によって空気等を散気し、気泡および上昇流による分離膜の振動効果と撹拌効果によって、分離膜表面の付着物を剥離させながらろ過している。
【0007】
さらに、主に海水淡水化や上記膜処理水を更にろ過処理する場合に使用される逆浸透膜においてもファウリング対策としてスケール防止剤や殺菌剤などの薬液を注入したり、ろ過をさせずに分離膜一次側の物理洗浄(フラッシング)するなどによりファウリングを防止・抑制しながら運転するのが一般的である。
【0008】
しかしながら、上記のような対策を実施したとしても除去されなかった汚染物質が蓄積し、ろ過特性が基準値に達した場合には、運転を停止して、高濃度の薬液にて長い浸漬時間で分離膜を洗浄する薬品洗浄を実施する必要がある。
【0009】
薬品洗浄のためには、運転を停止して、高濃度の薬液にて浸漬時間で分離膜を洗浄する薬品洗浄を実施する必要がある。この薬品洗浄の頻度が高いと運転の停止により生産水量が減少し、かつ薬品による分離膜の劣化および薬品洗浄による費用増加などの問題が発生するため、薬品洗浄の間隔をできるだけ長期間とするように造水装置を運転するのが一般的である。
【0010】
そこで特許文献1には被処理水の変化に応じて複数の運転値を用いてろ過流束の変化を予測する手法が記載されている。また薬品洗浄を実施するタイミングを予測するため特許文献2には、被処理液の構成成分量を用いて分離膜のろ過特性を予測することで薬品洗浄のタイミングを予測する手法が記載されている。
【0011】
しかしながら、いずれの手法も被処理水のファウリングの程度を評価し造水装置本体のろ過特性の変化を予測して薬品洗浄のタイミングを推定するものであり、運転中に被処理水の水質変動や運転条件が適正でなかった場合に発生するろ過特性変動に対してのトラブル判定方法およびトラブル対策方法については記載されておらず、状況に併せた長期安定運転を継続することは困難である場合があった。
【0012】
また分離膜を組み合わせた造水装置にておいては、各々のろ過特性を判断しながら運転する必要があり、特許文献3には、被処理水の水質により前段の分離膜のろ過時間を変更し、ろ過時間の変更比率に伴い後段の分離膜のろ過流量を制御する手法の記載があるが、被処理水の水質によって変更するのみであり、ろ過特性および薬品洗浄まで予測しながら運転するものではなく、有用な運転方法とは言い難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】日本国特開2019-18191号公報
【文献】国際公開第2009/054506号公報
【文献】日本国特開2006-326473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、河川水・湖水・海水などの自然水や下廃水・工業排水を処理して処理水を得る造水装置において、分離膜のろ過特性予測を用いた造水装置の制御方法、造水装置のトラブル判定方法、および造水装置、造水装置の運転プログラム、造水装置のトラブル判定プログラム、および記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法で段階的に処理する造水装置の制御方法であって、
n段(nは2~Nのいずれかの自然数)の予測入力条件からn段の水処理法のろ過特性を予測するn段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
(n-1)段の予測入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過特性を予測する(n-1)段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の乖離を判定するn段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップと、
(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の乖離を判定する(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップとを備え、
(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップで乖離があった場合に、(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法の制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと、
前記(n-1)段の水処理法の制御条件から前記n段の水処理法の予測入力条件を変更し、前記n段の水処理法ろ過特性予測と前記n段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す前記n段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記n段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から前記n段の水処理法の制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録ステップをさらに有し、
前記(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと前記n段の水処理法制御条件記録ステップに基づいて造水装置を制御することを特徴とする造水装置の制御方法。
(2)被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法で段階的に処理する造水装置の制御方法であって、
n段(nは2~Nのいずれかの自然数)の予測入力条件からn段の水処理法のろ過特性を予測するn段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
(n-1)段の予測入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過特性を予測する(n-1)段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の乖離を判定するn段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップと、
(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の乖離を判定する(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップとを備え、
n段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップで乖離があった場合に、n段の水処理法の予測入力条件を変更し、n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記n段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件からn段の水処理法の制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録ステップと、
前記n段の水処理法の制御条件から前記(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、前記(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と前記(n-1)段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から前記(n-1)段の水処理法の制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップをさらに有し、
前記(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと前記n段の水処理法制御条件記録ステップに基づいて造水装置を制御することを特徴とする造水装置の制御方法。
(3)前記造水装置の制御方法が運転モードを選択する運転モード選択ステップをさらに有し、前記運転モード選択ステップで選択された運転モードに基づいて、前記N段各段の水処理法ろ過特性予測の入力条件を変更することを特徴とする(1)または(2)に記載の造水装置の制御方法。
(4)前記(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップと前記n段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップで同時に乖離が発生した場合に、前記(n-1)段の水処理法の制御条件算出を優先することを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の造水装置の制御方法。
(5)前記造水装置の処理フローが下記のいずれかであることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の造水装置の制御方法。
・前記(n-1)段の水処理法の処理水の一部を前記n段の水処理法の処理水に混合する。
・前記n段の水処理法の処理水の一部を前記被処理水または前記(n-1)段の水処理法の処理水に混合する。
・前記n段の水処理法の排水の一部または全量を前記被処理水または前記(n-1)段の水処理法の処理水に混合する。
・前記n段の水処理法の排水の一部または全量を前記(n-1)段の水処理法の洗浄水に使用する。
(6)前記N段の水処理法のうち少なくともいずれかが、膜分離法であり、前記膜分離法に用いられる分離膜が、精密ろ過膜、限外ろ過膜および逆浸透膜からなる群より選ばれる少なくとも一種の分離膜であることを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載の造水装置の制御方法。
(7)前記ろ過特性が、差圧、純水透水性能および塩透水性能からなる群より選ばれる少なくとも一つの指標であることを特徴とする(1)~(6)のいずれかに記載の造水装置の制御方法。
(8)前記(n-1)段の水処理法が膜分離法であって、(n-1)段の分離膜が精密ろ過膜または限外ろ過膜である場合に前記(n-1)段の水処理法制御条件が、下記A~Cからなる群より選ばれる少なくとも一つの条件であり、また前記n段の水処理法が膜分離法であって、n段の分離膜が逆浸透膜である場合に前記n段の水処理法制御条件が、下記F~Iからなる群より選ばれる少なくとも一つの条件であることを特徴とする(1)~(7)のいずれかに記載の造水装置の制御方法。
A.ろ過工程の時間、ろ過流量、循環流量(クロスフローろ過の場合)
B.物理洗浄各工程・CEB工程の時間、各工程回数、各洗浄流量、各工程の組み合わせ、洗浄薬液注入濃度、洗浄薬液種類
C.凝集剤添加濃度
F.供給水流量、濃縮水流量、透過水流量の少なくともいずれか、または回収率
G.透過水前後抜き出し流量の比率(スプリットの場合)
H.供給水スケール防止剤、殺菌剤、pH調整剤または還元剤の注入濃度
I.物理洗浄(フラッシング)の流量、圧力、時間、頻度
(9)N段の水処理法において、N段各段の水処理法循環予測計算ステップの最終予測入力条件からN段各段のトラブルを判定するトラブル判定ステップを備えることを特徴とする造水装置のトラブル判定方法。
(10)前記N段各段の水処理法循環予測計算ステップにおいて、前記N段各段の予測入力条件の変更を、オフラインで取得する条件を優先して変更することを特徴とする(9)に記載の造水装置のトラブル判定方法。
(11)前記N段各段の水処理法循環予測計算ステップにおいて、前記N段各段の予測入力条件の変更を、造水装置の運転工程に細分化してろ過特性変化を解析して、各工程においてオフラインで取得する条件を優先して変更することを特徴とする(10)に記載の造水装置のトラブル判定方法。
(12)(9)~(11)いずれかのトラブル判定方法により得られた結果により、少なくとも下記AおよびBのいずれかを実施しながら造水することを特徴とする造水方法。
A.トラブル判定要因について警報を出力する。
B.トラブル判定要因を制御する。
(13)被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法で段階的に処理する造水装置であって、
n段(nは2~Nのいずれかの自然数)の水処理法の予測入力条件からn段の水処理法のろ過特性を予測する水処理法ろ過特性予測手段と、
(n-1)段の水処理法の予測入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過特性を予測する水処理法ろ過特性予測手段と、
n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の乖離を判定するn段の水処理法ろ過特性乖離判定手段と、
(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の乖離を判定する(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定手段とを備え、
(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定手段で乖離があった場合に、(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算手段と、
前記(n-1)段の水処理法循環予測計算手段の最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法の制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録手段と、
前記(n-1)段の水処理法の制御条件から前記n段の水処理法の予測入力条件を変更し、n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算手段と、
前記n段の水処理法循環予測計算手段の最終的な入力条件からn段の水処理法の制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録手段とをさらに備え、
前記(n-1)段の水処理法制御条件記録手段と前記n段の水処理法制御条件記録手段に基づいて造水装置を制御する制御手段を備えることを特徴とする造水装置。
(14)被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法で段階的に処理する造水装置であって、
n段(nは2~Nのいずれかの自然数)の水処理法の予測入力条件からn段の水処理法のろ過特性を予測する水処理法ろ過特性予測手段と、
(n-1)段の水処理法の予測入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過特性を予測する水処理法ろ過特性予測手段と、
n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の乖離を判定するn段の水処理法ろ過特性乖離判定手段と、
(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の乖離を判定する(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定手段とを備え、
n段の水処理法ろ過特性乖離判定手段で乖離があった場合に、n段の水処理法の予測入力条件を変更し、n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算手段と、
前記n段の水処理法循環予測計算手段の最終的な入力条件からn段の水処理法の制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録手段と、
前記n段の水処理法の制御条件から前記(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、前記(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と前記(n-1)段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算手段と、
前記(n-1)段の水処理法循環予測計算手段の最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法の制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録手段とをさらに備え、
前記(n-1)段の水処理法制御条件記録手段と前記n段の水処理法制御条件記録手段に基づいて造水装置を制御する制御手段を備えることを特徴とする造水装置。
(15)前記造水装置が運転モードを選択する運転モード選択手段を有し、前記運転モード選択手段で選択された運転モードに基づいて、前記N段各段の水処理法ろ過特性予測の入力条件を変更し、前記N段各段の水処理法ろ過特性予測と水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すN段各段の水処理法循環予測計算手段と、前記N段各段の水処理法循環予測計算手段の最終的な入力条件からN段各段の水処理法の制御条件を決定し記録するN段各段の水処理法制御条件記録手段に基づいて制御する制御手段を有することを特徴とする(13)または(14)に記載の造水装置。
(16)前記造水装置の処理フローが下記のいずれかであることを特徴とする(13)~(15)のいずれかに記載の造水装置。
・前記(n-1)段の水処理法の処理水の一部を前記n段の水処理法の処理水に混合する。
・前記n段の水処理法の処理水の一部を前記被処理水または前記(n-1)段の水処理法の処理水に混合する。
・前記n段の水処理法の排水の一部または全量を前記被処理水または前記(n-1)段の水処理法の処理水に混合する。
・前記n段の水処理法の排水の一部または全量を前記(n-1)段の水処理法の洗浄水に使用する。
(17)前記N段の水処理法のうち少なくともいずれかが、膜分離法であり、前記膜分離法に用いられる分離膜が、精密ろ過膜、限外ろ過膜および逆浸透膜からなる群より選ばれる少なくとも一種の分離膜であることを特徴とする(13)~(16)のいずれかに記載の造水装置。
(18)前記(n-1)段の水処理法が膜分離法であって、(n-1)段の分離膜が精密ろ過膜または限外ろ過膜である場合に前記(n-1)段の水処理法制御条件が、下記A~Cからなる群より選ばれる少なくとも一つの条件であり、また前記n段の水処理法が膜分離法であって、前記n段の分離膜が逆浸透膜である場合に前記n段の水処理法制御条件が、下記F~Iからなる群より選ばれる少なくとも一つの条件であることを特徴とする(13)~(17)のいずれかに記載の造水装置。
A.ろ過工程の時間、ろ過流量、循環流量(クロスフローろ過の場合)
B.物理洗浄各工程・CEB工程の時間、各工程回数、各洗浄流量、各工程の組み合わせ、
洗浄薬液注入濃度、洗浄薬液種類
C.凝集剤添加濃度
F.供給水流量、濃縮水流量、透過水流量の少なくともいずれか、または回収率
G.透過水前後抜き出し流量の比率(スプリットの場合)
H.供給水スケール防止剤、殺菌剤、pH調整剤または還元剤の注入濃度
I.物理洗浄(フラッシング)の流量、圧力、時間、頻度
(19)(13)~(18)のいずれかに記載の造水装置であって、
前記N段各段の水処理法循環予測計算手段の最終入力条件からトラブルを判定するトラブル判定手段を備えることを特徴とする造水装置。
(20)(19)のN段各段のトラブル判定手段により得られた結果から、トラブル要因の異常警報出力またはトラブル要因を制御する異常警報出力・制御手段を備えることを特徴とする造水装置。
(21)被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法で段階的に処理する造水装置を運転するためにコンピュータに、
n段(nは2~Nのいずれかの自然数)の水処理法の予測入力条件からn段の水処理法のろ過特性を予測するn段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
(n-1)段の水処理法の予測入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過特性を予測する(n-1)段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の乖離を判定するn段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップと、
(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の乖離を判定する(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップとを備え、
前記(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップで乖離があった場合に、前記(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、前記(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と前記(n-1)段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法の制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと、
前記(n-1)段の水処理法制御条件から前記n段の水処理法の予測入力条件を変更し、前記n段の水処理法ろ過特性予測と前記n段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記n段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件からn段の水処理法の制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録ステップとをさらに備え、
前記(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと前記n段の水処理法制御条件記録ステップに基づいて造水装置を制御する制御ステップを実行させるための造水装置の運転プログラム。
(22)被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法で段階的に処理する造水装置を運転するためにコンピュータに、
n段(nは2~Nのいずれかの自然数)の水処理法の予測入力条件からn段の水処理法のろ過特性を予測するn段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
(n-1)段の水処理法の予測入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過特性を予測する(n-1)段の水処理法ろ過特性予測ステップと、
n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の乖離を判定するn段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップと、
(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の乖離を判定する(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップとを備え、
前記n段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップで乖離があった場合に、前記n段の水処理法の予測入力条件を変更し、n段の水処理法ろ過特性予測と前記n段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記n段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件からn段の水処理法の制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録ステップと、
前記n段の水処理法制御条件から前記(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、前記(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と前記(n-1)段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと、
前記(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法の制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップとをさらに備え、
前記(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと前記n段の水処理法制御条件記録ステップに基づいて造水装置を制御する制御ステップを実行させるための造水装置の運転プログラム。
(23)被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法で段階的に処理する造水装置を運転するためにコンピュータに、
前記造水装置の運転プログラムが運転モードを選択する運転モード選択ステップを有し、
前記運転モード選択ステップで選択された運転モードに基づいて、
前記(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、前記(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と、前記(n-1)段の水処理法ろ過特性との乖離がなくなるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと、運転モード選択手段で選択された運転モードに基づいて前記n段の水処理法の予測入力条件を変更し、前記n段の水処理法ろ過特性予測と前記n段の水処理法ろ過特性との乖離がなくなるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算ステップと、前記(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと前記n段の水処理法循環予測計算ステップのうち少なくとも前記(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法の制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと、前記(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップに基づいて造水装置を制御する制御ステップを実行させるための(21)に記載の造水装置の運転プログラム。
(24)被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法で段階的に処理する造水装置を運転するためにコンピュータに、
前記造水装置の運転プログラムが運転モードを選択する運転モード選択ステップを有し、
前記運転モード選択ステップで選択された運転モードに基づいて、
前記(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、前記(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と前記(n-1)段の水処理法ろ過特性との乖離がなくなるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと、運転モード選択手段で選択された運転モードに基づいて前記n段の水処理法の予測入力条件を変更し、前記n段の水処理法ろ過特性予測と前記n段の水処理法ろ過特性との乖離がなくなるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算ステップと、前記(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと前記n段の水処理法循環予測計算ステップのうち少なくとも前記n段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件からn段の水処理法の制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録ステップと、前記n段の水処理法制御条件記録ステップに基づいて造水装置を制御する制御ステップを実行させるための(22)に記載の造水装置の運転プログラム。
(25)被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法で段階的に処理する造水装置を運転するためにコンピュータに、
前記(n-1)段の水処理法が膜分離法であって、(n-1)段の分離膜が精密ろ過膜または限外ろ過膜である場合に前記(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップに記録される制御条件が、下記A~Cからなる群より選ばれる少なくとも一つの条件であり、また前記n段の水処理法が膜分離法であって、n段の分離膜が逆浸透膜である場合に前記n段の水処理法制御記録ステップに記録される制御条件が、下記F~Iからなる群より選ばれる少なくとも一つの条件であり、前記(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと前記n段の水処理法制御条件記録ステップに基づいて造水装置を制御する制御ステップを実行させるための(21)~(24)のいずれかに記載の造水装置の運転プログラム。
A.ろ過工程の時間、ろ過流量、循環流量(クロスフローろ過の場合)
B.物理洗浄各工程・CEB工程の時間、各工程回数、各洗浄流量、各工程の組み合わせ、
洗浄薬液注入濃度、洗浄薬液種類
C.凝集剤添加濃度
F.供給水流量、濃縮水流量、透過水流量の少なくともいずれか、または回収率
G.透過水前後抜き出し流量の比率(スプリットの場合)
H.供給水スケール防止剤、殺菌剤、pH調整剤または還元剤の注入濃度
I.物理洗浄(フラッシング)の流量、圧力、時間、頻度
(26)被処理水をN段(Nは2以上の自然数)の水処理法で段階的に処理する造水装置を運転するためにコンピュータに、
前記N段各段の水処理法循環予測計算ステップの最終予測入力条件からトラブルを判定するトラブル判定ステップを実行させるための造水装置のトラブル判定プログラム。
(27)前記N段各段の循環予測計算ステップにおいて、前記予測入力条件を変更するためにコンピュータに、オフラインで取得する条件を優先して変更する条件変更ステップを実行させるための(26)に記載の造水装置のトラブル判定プログラム。
(28)前記N段各段の循環予測計算ステップにおいて、前記予測入力条件を変更するためにコンピュータに、造水装置の運転工程に細分化してろ過特性変化を解析するろ過特性解析ステップを実行させるための(27)に記載の造水装置のトラブル判定プログラム。
(29)(26)~(28)いずれかのトラブル判定プログラムで得られた結果により、造水装置を運転するためにコンピュータに、少なくとも下記AおよびBのいずれかのステップを実行させるための造水装置の運転プログラム。
A.トラブル判定要因について警報を出力する警報出力ステップ
B.トラブル判定要因を制御する制御ステップ
(30)(21)~(29)のいずれか一項に記載のプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、造水装置トラブルを極めて簡便に把握することが可能であり、それに伴い早期の異常対策を講じ得ることで、造水装置のトラブルに対して効率良く対策しつつ、安定的に運転を継続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の造水装置の一例を示すフロー図である。
図2図2は本発明の形態を示す概略図である。
図3図3は本発明の形態を示す概略図である。
図4図4は本発明の形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に示す実施態様に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下説明では、膜分離法および水処理法を2段として段階的に処理する方法について記載するが、本発明は以下の実施態様に限定されるものではない。
【0019】
本発明の造水装置は、例えば、図1に示すように、被処理水を貯留する原水槽1と、第1水処理法が膜分離法である場合、被処理水を第1分離膜で処理して処理水を製造する第1分離膜装置3と、被処理水を第1分離膜装置3に送液する供給ポンプ2と、第1分離膜装置3でろ過されたろ過水を貯留するろ過水タンク4と、第2水処理法が膜分離法である場合、該ろ過水を第2分離膜で更に処理する第2分離膜装置6と、該ろ過水を第2分離膜装置6に送液する高圧ポンプ5が設けられている造水装置7である。
【0020】
被処理水とは水処理法を用いて処理する溶液のことであり、河川水、地下水、海水、下水処理水、工場廃水、培養液などが例として挙げられる。
【0021】
第1分離膜装置3で使用される分離膜の孔径としては、多孔質であれば特に限定しないが、所望の被処理水の性質や水量によって、精密ろ過膜(MF膜)を用いたり、限外ろ過膜(UF膜)を用いたり、あるいは両者を併用したりする。例えば、濁質成分、大腸菌、クリプトスポリジウム等を除去したい場合はMF膜とUF膜のどちらを用いても構わないが、ウィルスや高分子有機物等も除去したい場合は、UF膜を用いるのが好ましい。分離膜の形状としては、中空糸膜、平膜、管状膜、モノリス膜等があるが、いずれでも構わない。また、分離膜の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、およびクロロトリフルオロエチレン-エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリビニルアルコールおよびポリエーテルスルホンやセラミック等の無機素材からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含んでいると好ましく、さらに膜強度や耐薬品性の点からはポリフッ化ビニリデン(PVDF)がより好ましく、親水性が高く耐汚れ性が強いという点からはポリアクリロニトリルがより好ましい。また膜ろ過方式としては全量ろ過型モジュールでもクロスフローろ過型であっても差し支えないが、エネルギー消費量が少ないという点から全量ろ過型である方が好ましい。さらに加圧型であっても浸漬型であっても差し支えないが、高流束運転が可能であるという点から加圧型である方が好ましい。また、膜の外側から原水を供給し、内側から透過水を得る外圧式であっても、膜の内側から原水を供給し、外側から透過水を得る内圧式であっても差し支えないが、前処理の簡便さの観点から外圧式である方が好ましい。
【0022】
第1分離膜が装填される第1分離膜装置3において、ろ過時、被処理水は供給ポンプ2により、第1分離膜装置3の一次側に供給され、二次側からろ過水を得るが、ろ過時間経過に従って、分離膜のろ過抵抗、すなわち第1分離膜の一次側と二次側の圧力差(以後、差圧)が上昇する。この差圧上昇を押さえるために、定期的には物理洗浄を行い、ろ過と物理洗浄を繰り返しながら運転するのが一般的である。
【0023】
物理洗浄はろ過を一次停止し、逆洗工程、空洗工程、排水工程、給水工程の順に実施するのが一般的であるが、逆洗工程と空洗工程を同時に実施する、排水工程後に逆洗工程を実施する、もしくはいずれかの工程を省略あるいは複数回実施しても問題無い。
【0024】
逆洗工程は、ろ過水タンクに貯蓄されたろ過水を、図示はしないが逆洗ポンプにより、第1分離膜の二次側から一次側へと、ろ過とは反対方向にろ過水を逆流させて第1分離膜を洗浄するものであり、一次側から出てくる逆洗液は逆洗排水配管より系外に排出され、所定時間逆洗後、逆洗ポンプを停止して逆洗工程は終了となる。
【0025】
空洗工程は、図示はしないが空洗ブロアより、第1分離膜の下部に加圧空気を供給し、分離膜を揺動するように洗浄する工程のことであり、所定時間空洗後、空洗ブロアを停止して空洗工程は終了となる。なお空気発生源は、ブロアであってもコンプレッサーであっても構わないが、コンプレッサーの場合は、空気中の油分が分離膜に供給されないようオイルフリータイプであることが好ましい。
【0026】
排水工程は、逆洗工程および空洗工程にて第1分離膜より取り除かれた濁質成分を系外に排出するものであり、第1分離膜の下部に接続される排水配管より系外に排出され、所定排水時間後、排水工程は終了となる。
【0027】
給水工程は、排水工程後に、第1分離膜の一次側に被処理水を供給する工程であり、供給ポンプ2により、第1分離膜の一次側へと被処理水が供給され、一次側が満水状態となると過剰分は洗浄配管よりオーバーフローされ、所定給水時間後、給水工程は終了となる。
【0028】
また、ろ過と物理洗浄を複数回繰り返した後、薬液強化逆洗(CEB)を行うことが好ましい。CEBは、逆洗時に図示はしないが逆洗水薬液注入ポンプを用いて、逆洗水に薬液を供給することによって行われる。
【0029】
薬液としては、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム等の薬剤を含有する水溶液が使用できる。とりわけ、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤は、海水、河川水、下廃水処理水などの有機物を含んだ汚染物質を除去するのに効果的であり有効である。次亜塩素酸ナトリウムの濃度は10mg/Lから10000mg/Lであることが好ましい。10mg/Lより薄くなると洗浄効果が十分で無く、10000mg/Lより濃くなると薬剤のコストが高くなり不経済となるからである。このような点から、次亜塩素酸ナトリウムの濃度は100mg/Lから5000mg/Lであることがより好ましい。
【0030】
薬液を添加した後は、一定時間の接触時間を設けたほうが、洗浄効果は高くなる。膜と薬液を接触させる時間は5分~3時間程度が好ましい。あまり接触時間が短いと洗浄力が弱く、長すぎると装置を止めている時間が長くなり、装置の運転効率が落ちるため経済的に不利となるためである。
【0031】
図1では精密ろ過膜または限外ろ過膜の加圧型について図示したが、浸漬型分離膜の場合は、図示はしないが、被処理液を浸漬型分離膜でろ過するために、浸漬型膜分離の二次側にポンプ等を設けて吸引してもかまわないし、水頭圧力差を駆動力としてろ過をするため、ろ過水槽の液面が、被処理液槽の液面よりも低くなるようにしていてもよい。
【0032】
浸漬型膜分離の場合は、連続的または間欠的にエアブロワーから供給される空気によって空気洗浄を行う。エアブロワーから浸漬型分離膜下部に設置される散気管を通して浸漬膜に空気を供給する。これらによって生じる液体または気液混相の膜面に平行な流れが膜面に付着した懸濁物を膜面から剥離する。また通常運転シーケンスは、ろ過工程と停止工程からなり、両工程中もエアーブロアによる空洗は維持したまま、ろ過工程で蓄積した懸濁物を停止工程で膜面から剥離しながら運転するのが一般的である。
【0033】
ここで、浸漬型分離膜を構成する膜エレメントに用いられる膜は、特に限定されるものではなく、平膜、中空糸膜のいずれでもよい。膜の構造は、特に限定されるものではなく、例えば、平膜エレメント構造や、平膜がスパイラル状に巻かれた平膜エレメント構造、透過側の面が互いに対向するように配置された2枚の平膜と、前記平膜間に設けられた集水流路とを有する平膜対、および前記平膜の周縁部において平膜間を封止する封止部を含み、可とう性を有する平膜エレメント構造、さらには中空糸膜を複数本束ねた中空糸膜エレメント構造、のいずれを用いてもよい。
【0034】
本発明が適用される第2分離膜として、図示はしないが、逆浸透膜があげられる。本形態では、逆浸透膜に被処理水を供給する高圧ポンプにより被処理液の圧力が昇圧され、昇圧された被処理液は逆浸透膜により透過水と濃縮水に分離される。高圧ポンプの吐出側には、高圧ポンプから吐出され逆浸透膜に供給される被処理液の供給流量を制御する供給流量制御弁または高圧ポンプの周波数を制御して高圧ポンプから吐出される供給流量を制御するインバータが設置され、および濃縮水側にも濃縮水流量を制御する濃縮流量制御弁が設置され、供給水と濃縮水の流量を制御しながら運転するのが一般的である。
【0035】
また、ファウラント防止として被処理液にスケール防止剤や殺菌剤などの薬液を注入したり、運転を一時的に停止して一次側に蓄積した懸濁物を排出するフラッシング工程を設けて運転することもある。
【0036】
逆浸透膜は、逆浸透膜エレメントとして加工され装置に設置され、平膜状の膜を集水管の周囲に巻囲したスパイラル型エレメントや、プレート型支持板の両面に平膜を貼ったものをスペーサーを介して一定の間隔で積層してモジュール化したプレート・アンド・フレーム型エレメント、さらには、管状膜を用いたチューブラー型エレメント、中空糸膜を束ねてケースに収納した中空糸膜エレメントがある。エレメントの形態としては、いずれの形態であってもよいが、操作性や互換性の観点からはスパイラル型エレメントを使用するのが好ましい。なお、エレメント本数は、膜性能に応じて任意に設定することができる。素材としては例えば、ポリアミド系、ポリピペラジンアミド系、ポリエステルアミド系、あるいは水溶性のビニルポリマーを架橋したものなどを使用することができ、その膜構造としては、膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片面の膜に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有するもの(非対称膜)や、このような非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い分離機能層を有するもの(複合膜)などを使用することができる。しかしながら、高造水量のためには複合膜であることが好ましく、中でも、透過水量、耐薬品性等の点からポリアミド系複合膜が、さらにはピペラジンポリアミド系複合膜が好ましい。
【0037】
図1に関しては、上記のように第1分離膜は、精密ろ過膜または限界ろ過膜、第2分離膜は逆浸透膜として記載したが、第1分離膜を精密ろ過膜、第2分離膜を限界ろ過膜としても良いし、第1分離膜を塩濃度が高濃度の被処理水に対応する逆浸透膜、第2分離膜を塩濃度が低濃度の被処理に対応する逆浸透膜としても構わない。また膜分離法だけでなく、沈殿・浮上分離、嫌気処理法、砂ろ過法、イオン交換法、物理吸着法、酸化・消毒法を第1水処理法および第2水処理法に組み合わせても構わないし、2段以上にこれらの水処理法を組み合わせても構わない。具体的には、第1水処理法に砂ろ過法、第2水処理法に膜分離法の精密ろ過膜を使用した造水装置や、第1水処理法に膜分離法の逆浸透膜、第2水処理法にイオン交換法を使用した造水装置などでも構わない。
【0038】
この様な造水装置において、図1に示す精密ろ過膜または限外ろ過膜の加圧型分離膜については、物理洗浄やCEBを実施しながら、また逆浸透膜についてはスケール防止剤や殺菌剤などの薬液を注入したり、運転を一時的に停止して一次側に蓄積した懸濁物を排出するフラッシング工程を設けて運転したとしても膜ファウリングによって、ろ過特性が悪化した場合は、運転を停止して、高濃度の薬液にて長い浸漬時間で分離膜を洗浄する薬品洗浄を実施する必要がある。この薬品洗浄の頻度が高いと運転の停止により生産水量が減少し、かつ薬品による分離膜の劣化および薬品洗浄による費用増加などの問題が発生するため、特許文献1や特許文献2に記載があるようにろ過特性の上昇を予測しながら運転する場合もある。
【0039】
しかし、何らかの影響により予測と実差圧に乖離が出たとしても、予測との差異について警報を出力するか、その状態で新たに予測計算を実施しその状態での差圧上昇を予測するのみであり、トラブル要因が何であるのかトラブルを抑制するにはどうしたら良いか等の対策は実施されていなかった。かつ分離膜が組み合わされた造水装置においては、各々のろ過特性を踏まえて運転制御する必要があるが効果的な手法は確立されていなかった。
【0040】
そこで本発明は、造水装置のろ過特性予測による制御方法に関するものであり、図2に示す下記のステップを有することを特徴する。
【0041】
図1に示すような被処理水を(n-1)段の水処理法で処理して、(n-1)段の水処理法の処理水を更にn段の水処理法で処理する造水装置の制御方法であって、(n-1)段の水処理法の予測入力条件11から(n-1)段の水処理法のろ過特性を予測する(n-1)段の水処理法ろ過特性予測ステップ12と、n段の水処理法の予測入力条件21からn段の水処理法のろ過特性を予測するn段の水処理法ろ過特性予測ステップ22と、(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の乖離を判定する(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップ13と(n-1)段の水処理法ろ過特性で乖離があった場合に、(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップ14と、(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法の制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップ15と、(n-1)段の水処理法制御条件からn段の水処理法の予測入力条件を変更し、n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算ステップ24と、n段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件からn段の水処理法の制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録ステップ25を有し、(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップ15とn段の水処理法制御条件記録ステップ25に基づいて造水装置を制御することを特徴とする造水方法である。
【0042】
上記は(n-1)段の水処理法で、(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップと(n-1)段の水処理法ろ過特性で乖離があった場合について記載したが、n段の水処理法ろ過特性予測ステップ22とn段の水処理法ろ過特性の乖離を判定するn段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップ23とn段の水処理法ろ過特性で乖離があった場合に、n段の水処理法の予測入力条件21を変更し、n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算ステップ24と、n段の水処理法循環予測計算ステップ24の最終的な入力条件からn段の水処理法の制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録ステップ25と、n段の水処理法制御条件記録ステップ25から(n-1)段の水処理法の予測入力条件11を変更し、(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップ14と、(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法の制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップ15を有し、(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップ15とn段の水処理法制御条件記録ステップ25に基づいて造水装置を制御しても好適である。
【0043】
(n-1)段の水処理法の予測入力条件11とn段の水処理法の予測入力条件21について、限定はしないが、(n-1)段の水処理法およびn段の水処理法が膜分離法である場合は、表1に示すように造水装置のろ過工程の時間やろ過流量、また加圧型分離膜の場合は、物理洗浄各工程の時間や各工程の流量、物理洗浄内の各工程の組み合わせ、CEB各工程の時間や各工程の流量、CEB工程内の各工程の組み合わせ、浸漬型分離膜の場合は、ろ過・停止各工程の時間、空洗工程の流量、逆浸透膜の場合は、スケール防止剤や殺菌剤などの薬液注入の濃度や時間などの注入方法、フラッシング工程の周期や時間・強度などが挙げられる。
【0044】
【表1】
【0045】
更にオンラインで取得できる運転データは、センサ異常等でオンライン値が正確でない可能性はあるが、確率的にはセンサ異常が発生する確率は低いため、予測入力条件変更において、予測入力条件を変更する際にオンラインで取得できない入力条件を優先して予測を循環計算することで、トラブル判定の精度を向上することができる。具体的には表1のようにオンラインとオフラインと区別されるのが好適である。
【0046】
例えば、図1に示す(n-1)段の水処理法が膜分離法であって、分離膜が加圧型分離膜の場合、表1の1.2項の物理洗浄各工程の流量としては、逆洗流量および空洗流量が挙げられるが、これらにはオンライン計器が設置されない場合があり、オンラインでは運転データを検知できない。よって何らかの理由によりこれらの流量が低い場合には、ろ過特性が悪化し、予測との乖離が発生するため、オンラインで取得できている予測入力条件よりもオンラインで取得できていない予測入力条件を優先的に変更して循環予測計算することで、確実な制御条件を算出することができる。
【0047】
これらの予測入力条件から、ろ過特性を予測する(n-1)段の水処理法ろ過特性予測ステップ12およびn段の水処理法ろ過特性予測ステップ22にてろ過特性を予測するが、ろ過特性の経時変化から例えば近似線を引いてろ過特性を予測しても良いが、分離膜が精密ろ過膜または限外ろ過膜の場合は、ろ過工程中のろ過抵抗上昇速度や物理洗浄では剥離しなかった不可逆ファウリングによる物理洗浄間のろ過抵抗速上昇度をパラメータとして、予測入力条件を加味したうえでろ過特性を予測し、分離膜が逆浸透膜の場合は日間平均のろ過特性からろ過特性を予測しても良い。
【0048】
(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップ13およびn段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップ23においては、規定値を設け乖離値がその規定値以上となった場合に乖離ありと判定しても良いし、経時変化の移動平均値または変化率を対象値として乖離を判定しても良い。
【0049】
また(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップ14およびまたはn段の水処理法循環予測計算ステップ24を複数回実施して、循環計算にてろ過特性の乖離値が規定値以内になる予測入力条件を複数個算出し、それらを制御要素として(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップ15およびまたはn段の水処理法制御条件記録ステップ25に記録しても良いし、それらの制御要素を制御履歴から優先順位を付けて効果的な可能性が高いものから制御すると更に好適である。
【0050】
ただし上記に記載した予測入力条件は、制御できない項目もある。例えば、被処理水の水質などは制御することができず、そのような水質でも当初の予測値と乖離のないように制御する要因を算出する必要がある。そこで制御できる要因を水処理法が膜分離法である場合を例に表2に示す。その中でも分離膜に使用される膜種に伴って、制御条件を変更する必要があり、例えば(n-1)段の水処理法に用いられる分離膜が、精密ろ過膜または限外ろ過膜である場合に(n-1)段の水処理法制御条件が、下記A~Cの少なくともいずれかであり、またn段の水処理法に用いられる分離膜が、逆浸透膜である場合にn段の水処理法制御条件が、下記F~Iの少なくともいずれかとすると好適である。
【0051】
A.ろ過工程の時間、ろ過流量、循環流量(クロスフローろ過の場合)
B.物理洗浄各工程・CEB工程の時間、各工程回数、各洗浄流量、各工程の組み合わせ、洗浄薬液注入濃度、洗浄薬液種類
C.凝集剤添加濃度
F.供給水流量、濃縮水流量、透過水流量の少なくともいずれか、または回収率
G.透過水前後抜き出し流量の比率(スプリットの場合)
H.供給水スケール防止剤、殺菌剤、pH調整剤または還元剤の注入濃度
I.物理洗浄(フラッシング)の流量、圧力、時間、頻度
【0052】
【表2】
【0053】
なお、前記G.透過水前後の抜き出し流量の比率(スプリットの場合)についてであるが、逆浸透膜の場合、通常逆浸透膜をモジュール化し、それを圧力容器に複数本装填して運転するのが一般的である。この場合、供給水側に近い逆浸透膜モジュールから順に透過水が流出するので、後段の逆浸透膜モジュールほど原水塩濃度が上昇し、それに伴って透過水の塩濃度も上昇する。よって、透過水の抜き出しを圧力容器の前(供給水側)後(濃縮水側)各々から排出し、透過水前後の抜き出し量を制御して総合的な透過水の塩濃度を一定にすることがある。この前後の抜き出し量を当初の予測と乖離がないように制御すると好適である。
【0054】
更に本発明では図3に示すように運転モードを備えていることが好ましい。運転モードについて、限定はしないが、「生産水量優先」、「生産水質優先」、「電力費用優先」、「薬液費用優先」、また水処理法が膜分離法である場合は「分離膜薬液洗浄周期維持優先」または「分離膜交換周期維持優先」のいずれかであることが好適である。これらの運転モードを選択できる運転モード選択ステップ32を有し、その選択された運転モード毎に表2のとおり制御項目を制御すると効果的であり、かつ運転モード毎に制御項目の制御範囲を予め設定しておくとなお好適である。
【0055】
また本発明では、(n-1)段の水処理法乖離判定ステップとn段の水処理法乖離判定ステップで同時に乖離が発生した場合は、(n-1)段の水処理法の制御条件算出を優先することが好ましい。これは(n-1)段の水処理法とn段の水処理法が、各々膜分離法で、分離膜が直列に接続された造水装置においては、前処理となる(n-1)段の水処理法の分離膜のトラブルに引きずられて、n段の水処理法の分離膜のトラブルが発生する可能性が高く、(n-1)段の水処理法の分離膜のトラブル対応を優先的に処理することで、造水装置全体の運転性を向上できる。
【0056】
また本発明においてろ過特性は、差圧、純水透水性能、塩透過率の少なくともいずれかであることが好ましい。特に水処理法は膜分離法であって、その分離膜が逆浸透膜の場合は、ろ過特性が差圧だけでなく、純水透水性能、塩透水性能各々の経時変化を監視しながら運転することが重要であり、これらの経時変化の組み合わせからトラブル判定し、その結果により制御すると更に好適である。
【0057】
更に(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップ13およびまたはn段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップ23において、例えば被処理水の性状が好転し、予測したろ過特性よりも実運転のろ過特性の方が良化したことで乖離が発生した場合、上記造水方法にて算出される要因は、例えば(n-1)段の水処理法が膜分離法であって、分離膜が精密ろ過膜または限外ろ過膜であれば、ろ過時間の延長や物理洗浄およびCEB時間の短縮といった要因になる。これらの要因についても本発明により制御することで、生産水量の増加、物理洗浄やCEBに必要な動力費や薬品費を削減することも可能となる。
【0058】
また、N段各段のろ過特性乖離判定ステップで乖離があった場合に、予測入力条件を変更し、ろ過特性予測が造水装置のろ過特性と乖離がなくなるまで予測計算を繰り返す循環予測計算ステップを機能させれば、前記循環予測計算ステップの最終入力条件に含まれる項目は、トラブル要因であることになり、本発明によりトラブルを判定することも可能となる。
【0059】
また前記ろ過特性乖離判定ステップを複数回実施して、循環計算にてろ過特性の乖離値が規定値以下になる予測入力条件を複数個算出し、それらをトラブル要因として判定しても良いし、それらのトラブル要因を過去のトラブル履歴から優先順位を付けてトラブルの可能性が高いものからトラブルと判定すると更に好適である。
【0060】
更にオンラインで取得できる運転データは、センサ異常等でオンライン値が正確でない可能性はあるが、確率的にはセンサ異常が発生する確率は低いため、予測入力条件変更において、予測入力条件を変更する際にオンラインで取得できないオフラインで取得する予測入力条件を優先して予測を循環計算することで、トラブル判定の精度を向上することができる。
【0061】
例えば、水処理法が加圧型分離膜造水装置の場合、表1の1.2項の物理洗浄各工程の流量としては、逆洗流量および空洗流量が挙げられるが、これらにはオンライン計器が設置されない場合があり、オンラインでは運転データを検知できない。よって何らかの理由によりこれらの流量が低い場合には、ろ過特性が悪化し、予測との乖離が発生するため、オンラインで取得できている予測入力条件よりもオンラインで取得できていないオフラインで取得する予測入力条件を優先的に変更してトラブル判定することでトラブル判定の精度を向上することができる。
【0062】
さらにトラブル判定にて抽出されたトラブル要因については、異常として警報を出力しても良い。異常時の警報については、段階的に出力できるようにするのが好ましく、その警報からメールなどの通知機能を活用して、発報しても良い。またトラブル判定にて抽出された項目を制御することで造水装置を安定的に運転することが可能である。
【0063】
ここで、具体的な本実施形態の事例について、(n-1)段の水処理法が膜分離法であって分離膜が限外ろ過膜であり、n段の水処理法が膜分離法であって分離膜が逆浸透膜である場合について記載する。実運転のろ過特性が悪化し(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップ13において乖離が発生した場合、表1に示す制御項目の中から、物理洗浄各工程の時間の変更が選択されたと仮定すると、(n-1)段の水処理法の入力条件11において物理洗浄各条件の時間を延長して、(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップ14にて、当初のろ過特性予測と乖離がなくなった時点で循環計算が終了し、(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップ15にその制御条件が記憶される。ここで、物理洗浄各工程の時間が延長されるということは、ろ過工程と物理洗浄工程とを繰り返しながら運転する限外ろ過膜にとって、ろ過工程の割合が減少するということになり、つまり(n-1)段の水処理法の分離膜でのろ過水量が減少する。さらに、運転モード選択ステップ32において表2に記載の生産水量優先が選択されかつn段の水処理法の分離膜では物理洗浄が組み込まれていない装置だとすると、生産水量を優先的にするためには、n段の水処理法の分離膜への供給水流量((n-1)段の水処理法の分離膜のろ過水)が減少するものの透過水流量は規定値のとおりにする必要があり、すなわちn段の水処理法の分離膜の回収率を増加させることになる。この回収率の増加について、n段の水処理法の分離膜の予測入力条件を変更し、n段の水処理法循環予測計算ステップ24にて、回収率を変更しても当初のろ過特性予測と乖離がないかを判断する。乖離がなければ、循環計算が終了し、n段の水処理法制御条件記録ステップ25にその制御条件が記憶される。これにより、造水装置7の(n-1)段の水処理法の分離膜およびn段の水処理法の分離膜の制御条件が決定され、それに基づいて造水装置を制御することで、(n-1)段の水処理法の分離膜にトラブルが発生したとしても、(n-1)段の水処理法の分離膜およびn段の水処理法の分離膜ともに安定的に運転でき、かつ運転モード選択ステップ32で選択された生産水量を優先して運転することができるようになる。
【0064】
また、n段の水処理法の分離膜である逆浸透膜において、実運転の差圧およびまたは塩透水性能が悪化しn段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップ23において乖離が発生した場合、表1に示す制御項目の中から、供給水のスケール防止剤または殺菌剤の注入濃度増加が選択されたと仮定すると、n段の水処理法の入力条件21において供給水のスケール防止剤または殺菌剤の注入濃度を増加して、n段の水処理法循環予測計算ステップ24にて、当初のろ過特性予測と乖離がなくなった時点で循環計算が終了し、n段の水処理法制御条件記録ステップ25にその制御条件が記憶される。ここで、薬液注入濃度が増加されるということは、n段の水処理法の逆浸透膜にとって、薬品費用が増加するということになる。さらに、運転モード選択ステップ32において表2に記載の薬品費用優先が選択されているとすると、n段の水処理法の分離膜で増加した薬品費用を低減するためには、(n-1)段の水処理法の分離膜のCEB工程や物理洗浄工程で使用される薬液注入濃度を低減する必要がある。この薬液注入濃度低減について、(n-1)段の水処理法の分離膜の予測入力条件を変更し、(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップ14にて、薬液濃度を低減しても当初のろ過特性予測と乖離がないかを判断する。乖離がなければ、循環計算が終了し、(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップ15にその制御条件が記憶される。これにより、造水装置7の(n-1)段の水処理法の分離膜およびn段の水処理法の分離膜の制御条件が決定され、それに基づいて造水装置を制御することで、n段の水処理法の分離膜にトラブルが発生したとしても、(n-1)段の水処理法の分離膜およびn段の水処理法の分離膜ともに安定的に運転でき、かつ運転モード選択ステップ32で選択された薬品費用を優先して運転することができるようになる。
【0065】
なお、上記の各予測条件の変更に関しては、予測条件を変更した場合の影響を実験式や過去の実績から求めても良いし、本発明が適用される造水装置において予測入力条件を変更した場合の影響を記録しておき、その記録を参照して入力条件を変更するとなお好適である。
【0066】
さらに上記では、運転モード選択ステップにおいて生産水量優先または薬品費用優先が選択された場合について記載したが、その他のモードが選択された場合には表2に示す制御条件について変更することが好ましい。
【0067】
全ての実施形態について記載はしないが、水処理法が膜処理法であり例えば生産水質優先が選択された場合には、(n-1)段の水処理法の分離膜において、ろ過工程の時間やろ過流量およびクロスフロー運転の場合は、循環流量を制御することでn段の分離膜への供給水質が改善され、これに伴いn段の水処理法の分離膜での生産水質(透過水水質)も改善される。また、n段の水処理法の分離膜においても例えば透過水前後の抜き出し量において、供給水の塩濃度が低く透過水塩濃度が低い前方の抜き出し量を増加、逆に後方の抜き出し量を削減すれば、生産水質は向上する。
【0068】
また、電力費用優先が選択された場合には、(n-1)段の水処理法の分離膜において、物理洗浄工程の時間や各流量を削減することで、逆洗ポンプなどの電力費用が削減でき、n段の水処理法の分離膜においても例えば回収率を削減すれば、n段の水処理法の分離膜への供給圧力つまりは高圧ポンプの供給圧を下げることができるので、電力費用を削減することができる。
【0069】
また、分離膜洗浄周期維持優先が選択された場合には、(n-1)段の水処理法の分離膜においては、ろ過工程の時間や流量を減少することで、ろ過工程中に分離膜に蓄積されるファウラント量を削減し分離膜の洗浄周期を維持することができるようになる。n段の水処理法の分離膜においても物理洗浄を取り入れている装置では、分離洗浄の流量などを増加させ、物理洗浄を強化することでファウラントを物理洗浄で排出し、分離膜の洗浄周期を維持することができる。
【0070】
さらに、分離膜交換周期維持優先が選択された場合には、分離膜は物理劣化や化学劣化により損傷して交換が必要になるため、(n-1)段の水処理法の分離膜においては、例えばCEB工程中の洗浄薬液注入濃度を低減することで、化学劣化を削減し分離膜の交換周期を延長でき、n段の水処理法の分離膜においても供給水の殺菌剤やpH調整剤を削減することで化学劣化を削減して分離膜の交換周期を延長することができる。
【0071】
また本発明は、これまでに記載の通り(n-1)段の水処理法とn段の水処理法を組み合わせた造水装置に関するものであり、各々の水処理法が下記のように相互影響を与えるようなフローに適用するとなお好適である。
・(n-1)段の水処理法の処理水の一部をn段の水処理法の処理水に混合する。
・n段の水処理法の処理水の一部を被処理水または(n-1)段の水処理法の処理水に混合する。
・n段の水処理法の排水の一部または全量を被処理水または(n-1)段の水処理法の処理水に混合する。
・n段の水処理法の排水の一部または全量を(n-1)段の水処理法の洗浄水に使用する。
【0072】
上記について、(n-1)段の水処理法が膜分離法であって、分離膜が精密ろ過膜であり、n段の水処理法も同じく膜分離法であって、分離膜が逆浸透膜である場合を例にして具体的に示す。
【0073】
被処理水の性状が季節変動等や負荷変動で変動があり、かつ生産水質が規定されている場合に、精密ろ過膜の処理水の一部のみを逆浸透膜で処理し、精密ろ過膜の残りの処理水は逆浸透膜の処理水と混合して生産水とすることがある。またこのようなフローにおいては、被処理水の水質が良好である場合や逆浸透膜の処理水が良好である場合(例えば冬期など)などには、逆浸透膜での負荷を下げるため逆浸透膜での処理水量を下げて、精密ろ過膜の処理水の生産水への混合量を増加させて、生産水の水量と水質を規定値以内とするといった制御をする時もある。
【0074】
また、規定された生産水質が厳しい場合は、逆浸透膜の処理水の一部を被処理水または精密ろ過膜の処理水(逆浸透膜の供給水)に循環することで、逆浸透膜供給水の水質を向上し、これにより逆浸透膜のろ過水質も向上するようなフローとすることもある。
【0075】
さらに、逆浸透膜の排水の一部または全量を、被処理水や精密ろ過膜の処理水もしくは精密ろ過膜の逆洗水などの洗浄水に用いることで、造水装置全体での被処理水量に対する生産水量(全体回収率)を向上するようなフローとすることもある。
【0076】
このように造水装置全体で、(n-1)段の水処理法およびn段の水処理法の処理水が、各々の運転性能に影響を与えるようなフローにおいて、本発明を採用するとさらに好適である。
【0077】
本発明の形態は、図4に示す通り、トラブル判定方法を、コンピュータで読み取れるプログラムとして、当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体で保存し、運転管理装置41として造水装置7の運転に活用しても良い。その場合プログラム44は、コンピュータ42のハードディスクなどの記録媒体43や、造水装置に通常設置されているPLCやDCSなどの制御管理システムの記録媒体に記録可能であり、制御管理システムから遠方監視装置を用いて、運転データをインターネット経由で取り出し、任意の場所に設置されるオンプレミスサーバーもしくは、クラウドサーバーの記録媒体に保存しても差し支えない。
【0078】
なお図4は、ろ過特性予測によって造水装置7の運転をコンピュータで実行するための運転プログラムである。運転プログラムについては、下記のステップを有することを特徴とする。(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性の乖離を判定する(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップと(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップで乖離があった場合に、(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと、(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法の制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと、(n-1)段の水処理法制御条件からn段の水処理法の予測入力条件を変更し、n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算ステップと、n段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件からn段の水処理法の制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録ステップと、(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップとn段の水処理法制御条件記録ステップに基づいて造水装置を制御する制御ステップを実行するための造水装置の運転プログラムである。
【0079】
また上記は(n-1)段の水処理法において、(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップで乖離があった場合であるが、n段の水処理法ろ過特性解離判定ステップで乖離があった場合には、(n-1)段の水処理法の予測入力条件から(n-1)段の水処理法のろ過特性を予測する(n-1)段の水処理法ろ過特性予測ステップと、n段の水処理法の予測入力条件からn段の水処理法のろ過特性を予測するn段の水処理法ろ過特性予測ステップと、n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性の乖離を判定するn段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップとn段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップで乖離があった場合に、n段の水処理法の予測入力条件を変更し、n段の水処理法ろ過特性予測とn段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返すn段の水処理法循環予測計算ステップと、n段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件からn段の水処理法の制御条件を決定し記録するn段の水処理法制御条件記録ステップと、n段の水処理法制御条件から(n-1)段の水処理法の予測入力条件を変更し、(n-1)段の水処理法ろ過特性予測と(n-1)段の水処理法ろ過特性との乖離が規定値以内になるまで予測計算を繰り返す(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップと、(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップの最終的な入力条件から(n-1)段の水処理法の制御条件を決定し記録する(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップと、(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップとn段の水処理法制御条件記録ステップに基づいて造水装置を制御する制御ステップを実行するための造水装置の運転プログラムにより対応可能である。
【0080】
さらに、本発明では、運転モード選択手段で選択された例えば表2に記載の運転モードに基づいて(n-1)段の水処理法ろ過特性予測の入力条件の変更ステップおよびまたはn段の水処理法ろ過特性予測の入力条件の変更ステップと、(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップとn段の水処理法制御条件記録ステップに基づいて造水装置を制御する制御ステップを実行するための造水装置の運転プログラムとするとなお好適である。
【0081】
また水処理法が膜分離法であって分離膜に使用される膜種に伴って、制御条件記録ステップに記録される制御条件を例えば(n-1)段の水処理法の分離膜が、精密ろ過膜または限外ろ過膜である場合に(n-1)段の水処理法制御条件が、下記A~Cの少なくともいずれかであり、またn段の水処理法の分離膜が逆浸透膜である場合にn段の水処理法制御条件が、下記F~Iの少なくともいずれかとすると好適である。
A.ろ過工程の時間、ろ過流量、循環流量(クロスフローろ過の場合)
B.物理洗浄各工程・CEB工程の時間、各工程回数、各洗浄流量、各工程の組み合わせ、洗浄薬液注入濃度、洗浄薬液種類
C.凝集剤添加濃度
F.供給水流量、濃縮水流量、透過水流量の少なくともいずれか、およびまたは回収率
G.透過水前後抜き出し流量の比率(スプリットの場合)
H.供給水スケール防止剤、殺菌剤、pH調整剤または還元剤の注入濃度
I.物理洗浄(フラッシング)の流量、圧力、時間、頻度
【0082】
本出願は、2020年2月14日出願の日本国特許出願2020-023071および2020年3月27日出願の日本国特許出願2020-057377に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0083】
1:原水槽
2:供給ポンプ
3:第1分離膜装置
4:ろ過水タンク
5:高圧ポンプ
6:第2分離膜装置
7:造水装置
11:(n-1)段の水処理法予測入力条件
12:(n-1)段の水処理法ろ過特性予測ステップ
13:(n-1)段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップ
14:(n-1)段の水処理法循環予測計算ステップ
15:(n-1)段の水処理法制御条件記録ステップ
21:n段の水処理法予測入力条件
22:n段の水処理法ろ過特性予測ステップ
23:n段の水処理法ろ過特性乖離判定ステップ
24:n段の水処理法循環予測計算ステップ
25:n段の水処理法制御条件記録ステップ
31:制御出力
32:運転モード選択ステップ
41:運転管理装置
42:コンピュータ
43:記録媒体
44:プログラム
図1
図2
図3
図4