(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】元素分析計
(51)【国際特許分類】
G01N 31/12 20060101AFI20220712BHJP
G01N 31/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
G01N31/12 A
G01N31/00 D
(21)【出願番号】P 2021542680
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2020029783
(87)【国際公開番号】W WO2021039305
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-08-16
(31)【優先権主張番号】P 2019156869
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】居原田 健志
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-160303(JP,A)
【文献】特開2013-185884(JP,A)
【文献】特開2000-221183(JP,A)
【文献】特開2013-036992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 31/12
G01N 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口した試料注入口を有し、内部で液体の試料を燃焼させるための燃焼管と、
前記燃焼管に試料を注入するためのノズル、及び
前記燃焼管の上部において第1の位置と第2の位置との間で摺動し、前記第1の位置にあるときは前記燃焼管の前記試料注入口を封止し、前記第2の位置にあるときは前記試料注入口の封止を解除し且つ前記ノズルを前記試料注入口の上方へ位置させるように構成されたスライダ、を有する試料注入機構と、
前記燃焼管の内部と連通し、前記燃焼管内へキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給流路と、
前記キャリアガス供給流路内の圧力を検出する圧力センサと、
前記燃焼管から流出した試料ガス中の成分を検出するための検出部と、
前記試料注入機構の前記スライダが前記第1の位置から前記第2の位置まで摺動する際の前記圧力センサの検出圧力の変化に基づいて前記燃焼管から前記検出部までの間の系内の状態の異常度について判定を行なうように構成された演算部と、を備えている元素分析計。
【請求項2】
前記スライダが前記第1の位置から前記第2の位置への摺動を開始する直前の圧力を基準に前記判定のためのしきい値を設定するように構成されたしきい値設定部を備え、
前記演算部は、前記スライダが前記第1の位置から前記第2の位置まで摺動するまでの間に、前記圧力センサの検出圧力が前記しきい値設定部により設定された前記しきい値を下回ったときに正常と判定するように構成されている、請求項1に記載の元素分析計。
【請求項3】
前記演算部は、前記元素分析計が起動した後で前記燃焼管への試料注入が実行される前に、前記摺動を前記第1の位置から前記第2の位置まで摺動させて前記判定を実行するように構成されている、請求項1に記載の元素分析計。
【請求項4】
前記演算部は、前記判定を実行すべき指示がユーザによって入力されたときに、前記スライダを前記第1の位置から前記第2の位置まで摺動させて前記判定を実行するように構成されている、請求項1に記載の元素分析計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、元素分析計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃焼酸化式の全有機体炭素測定装置(TOC計)が知られている(特許文献1参照。)。TOC計は、酸化触媒が内部に配置されている燃焼管を電気炉によって高温(例えば、680℃程度)に加熱し、燃焼管にキャリアガスを一定流量で供給する。燃焼管に液体の試料が注入されると、酸化触媒の作用によって試料に含まれる炭素成分が二酸化炭素に変換される。燃焼管には赤外線式二酸化炭素検出部(NDIR)などの検出部が接続されており、燃焼管において生成された二酸化炭素がキャリアガスとともに検出部へ導かれて濃度が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-185884号公報
【文献】特開2002-031629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃焼管に経年劣化等による亀裂や割れが生じている場合、燃焼管への配管の接続不良によって気密が保持されていない場合などは、燃焼管から検出部までの間で流体が漏れるため、燃焼管内で生成された二酸化炭素が検出部へ正常に導かれない。その結果、正確な測定値を得ることができない(例えば、測定値がゼロ又はゼロに近いに値になる)。
【0005】
燃焼管は電気炉内に配置されるため、このような不具合を外部から目視によって確認することが難しく、ゼロ又はゼロに近い測定値が得られたときには、燃焼管を電気炉から取り出して確認しない限り、その結果が正確なものであるのか燃焼管の不具合によるものであるのかを判断することは困難である。燃焼管と検出部との間を接続している流路内の流体流量をフローセンサによって監視すれば、燃焼管から検出部までの間の系内の異常を検知することは可能であるが、そのようなフローセンサを設置することは、装置コストの増大に繋がり好ましくない。
【0006】
本発明は、装置コストを増大させることなく、燃焼管から検出部までの間の系内の状態の異常度を検知できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
燃焼管への試料を注入する試料注入機構として、試料注入用のノズルを保持したスライダを燃焼管の上方で摺動させる機構がある(特許文献2参照。)。この試料注入機構は、スライダを摺動させることによって、燃焼管に設けられた試料注入口を封止した状態、及び、試料注入用のノズルを試料注入口の上方に位置させた状態のいずれかの状態に切り替えられる。
【0008】
燃焼管の試料注入口が封止されている状態では、燃焼管から検出部までの間の系内で流体漏れの異常が発生していない限り、燃焼館内の酸化触媒や燃焼管の下流に接続されているカラム等の部品による背圧によって、燃焼管内の圧力が大気圧よりも高い状態となる。この状態で、試料注入用のノズルを試料注入口の上方に位置させるように試料注入機構のスライダを摺動させると、試料注入口の封止が一時的に解除され、燃焼管内の圧力の一時的な低下が観測される。一方で、燃焼管の不具合等によって燃焼管から前記検出部までの間の系内で流体漏れが発生している場合、試料注入口が封止されている状態でも燃焼管内の圧力がほぼ大気圧になるため、試料注入機構のスライダの摺動に伴う燃焼管内の圧力の一時的な低下はほとんど観測されない。
【0009】
本発明では、上記現象を利用して、燃焼管から検出部までの間の系内の異常度を検知する。すなわち、本発明に係る元素分析計は、上方が開口した試料注入口を有し、内部で液体の試料を燃焼させるための燃焼管と、前記燃焼管に試料を注入するためのノズル、及び、前記燃焼管の上部において第1の位置と第2の位置との間で摺動し、前記第1の位置にあるときは前記燃焼管の前記試料注入口を封止し、前記第2の位置にあるときは前記試料注入口の封止を解除し且つ前記ノズルを前記試料注入口の上方へ位置させるように構成されたスライダ、を有する試料注入機構と、前記燃焼管の内部と連通し、前記燃焼管内へキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給流路と、前記キャリアガス供給流路内の圧力を検出する圧力センサと、前記燃焼管から流出した試料ガス中の成分を検出するための検出部と、前記試料注入機構の前記スライダが前記第1の位置から前記第2の位置まで摺動する際の前記圧力センサの検出圧力の変化に基づいて前記燃焼管から前記検出部までの間の系内の状態の異常度について判定を行なうように構成された演算部と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る元素分析計によれば、試料注入機構のスライダが第1の位置から第2の位置へ摺動する際の燃焼管内の圧力変化に基づいて燃焼管から前記検出部までの間の系内の状態の異常度について判定を行なうので、装置コストを増大させることなく、燃焼管から検出部までの間の系内の異常を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】元素分析計の一実施例を示す概略構成図である。
【
図2】試料注入機構のスライダを第1の位置へ摺動させたときの状態を示す断面図である。
【
図3】試料注入機構のスライダを第2の位置へ摺動させたときの状態を示す断面図である。
【
図4】同実施例における状態判定の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】同実施例における状態判定の際の燃焼管内の圧力の変動の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る元素分析計の一実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1に、元素分析計の1つである燃焼酸化式TOC計の概略的構成を示す。
【0014】
この実施例のTOC計は、主として、燃焼管2、電気炉4、試料注入機構6、切替バルブ14、シリンジポンプ16、除湿部20、検出部22及び制御装置44を備えている。
【0015】
燃焼管2は、例えば石英ガラスからなるものであり、内部に酸化触媒が配置されている。燃焼管2は、電気炉4によって高温(例えば、680℃)に加熱され、内部に注入された液体の試料を燃焼させて試料ガスを生成するためのものである。燃焼管2は上方が開口した試料注入口3を備えている。
【0016】
試料注入機構6は、燃焼管2の上部に設けられている。試料注入機構6は、燃焼管2へ試料を注入するためのノズル10を保持し、燃焼管2の上部において第1の位置と第2の位置との間で水平方向へ摺動するスライダ8を備えている。スライダ8が第1の位置にあるときは、
図2に示されているように、ノズル10の先端がドレイン管7の上方に配置され、かつ、燃焼管2の試料注入口3が封止される。スライダ8が第2の位置にあるときは、
図3に示されているように、ノズル10の先端が燃焼管2の試料注入口3の上方に配置される。ノズル10には試料流入流路12の一端が接続されている。試料注入流路12の他端は、後述の切替バルブ14の1つの選択ポートに接続されている。
【0017】
切替バルブ14は1つの中央ポートと複数の選択ポートを備えている。切替バルブ14の複数の選択ポートには、試料注入流路12のほか、試料槽へ通じる流路、希塩酸容器へ通じる流路、洗浄液容器へ通じる流路、ドレインへ通じる流路が接続されている。切替バルブ14の中央ポートにシリンジポンプ16の吸入吐出口が接続されており、切替バルブ14によってシリンジポンプ16の吸入吐出口の接続先が切り替えられるようになっている。燃焼管2への試料の注入は、シリンジポンプ16が試料槽に接続され、試料槽内の試料がシリンジポンプ16内に採取され、必要に応じて試料への酸の添加や通気といった処理がシリンジポンプ16内で行なわれた後、試料注入機構6のスライダ8が第2の位置へ摺動させられ、ノズル10が試料注入口3に接続され、シリンジポンプ16から試料が吐出されることによって行なわれる。
【0018】
燃焼管2には、キャリアガス供給流路26が接続されている。キャリアガス供給流路26は、高純度空気源24から供給される高純度空気をキャリアガスとして燃焼管2へ供給するための流路である。キャリアガス供給流路26上には、抵抗管28、圧力センサ30及び流量制御弁32が設けられている。圧力センサ30はキャリアガス供給流路26内の圧力を検出するためのものである。圧力センサ30の検出信号は制御装置42に取り込まれる。流量制御弁32は、キャリアガス供給流路26を流れるキャリアガスの流量を制御するためのものである。流量制御弁32は、圧力センサ30の検出信号に基づいて制御装置42により開度が制御される。
【0019】
燃焼管2の出口は試料ガス流路18を介して検出部22に通じている。検出部22は、燃焼管2内において生成された試料ガス中の二酸化炭素濃度を測定するためのものであり、例えばNDIRである。試料ガス流路18上に除湿部20が設けられており、燃焼管2の出口から流出した試料ガス中の水分が除湿部20において除去される。
【0020】
シリンジポンプ16のシリンジには通気ガス供給流路34が接続されており、シリンジポンプ16のシリンジ内において通気ガスによる試料の通気処理を行なうことができるようになっている。通気ガス供給流路34は、高純度空気源24からの高純度空気を通気ガスとしてシリンジポンプ16のシリンジ内へ供給するための流路である。通気ガス供給流路34上には、抵抗管36、圧力センサ38及び流量制御弁40が設けられている。圧力センサ38は通気ガス供給流路34内の圧力を検出するためのものである。圧力センサ38の検出信号は制御装置42に取り込まれる。流量制御弁40は、通気ガス供給流路34を流れる通気ガスの流量を制御するためのものである。流量制御弁40は、圧力センサ38の検出信号に基づいて制御装置42により開度が制御される。なお、通気ガス供給流路34は必ずしも設けられている必要はない。
【0021】
制御装置24は、試料注入機構6、切替バルブ14、シリンジポンプ16、流量制御弁42及び流量制御弁40の動作を制御するためのものである。制御装置42は、例えば、CPU(中央演算装置)などの演算素子や記憶装置を備える電子回路によって実現することができる。
【0022】
制御装置42は、演算部44及びしきい値設定部46を備えている。演算部44及びしきい値設定部46は、制御装置42を実現する電子回路において、CPUがプログラムを実行することによって得られる機能である。
【0023】
演算部44は、燃焼管2から検出部22までの間の系内の状態の異常度についての判定を実行するように構成されている。状態の異常度の判定は、試料注入機構6のスライダ8を第1の位置(
図2参照)から第2の位置(
図3参照)まで移動させ、そのときの圧力センサ30の検出圧力の変動に基づいて行なう。この実施例では、試料注入機構6のスライダ8を第1の位置から第2の位置まで移動させたときの圧力変動の有無によって燃焼管2から検出部22までの間の系内の状態が正常か否かを判定する。ただし、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、試料注入機構6のスライダ8を第1の位置から第2の位置まで移動させたときの圧力変動の度合いを判定し、その度合いに基づいて燃焼管2から検出部22までの間の系内の状態の異常度(例えば、正常、異常レベル1、異常レベル2等)を決定してもよい。
【0024】
図2及び
図3に示されているように、試料注入機構6のスライダ8の下面には、スライダ8が第1の位置から第2の位置へ摺動する際に、ノズル10よりも先に試料注入口3の上方に到達して燃焼管2の内外を連通させる溝9が設けられている。燃焼管2内には、キャリアガスが一定流量で供給されるため、スライダ8が第1の位置にあるときは、燃焼管2内の圧力が大気圧よりも高い圧力でほぼ一定に維持される。この状態で、試料注入機構6のスライダ8を第2の位置へ向かって摺動させると、スライダ8の溝9が試料注入口3上に到達したときに、燃焼管2内の流体が溝9を介して外部へ放出され、
図5に示されているように、燃焼管2内の圧力がほぼ大気圧にまで一時的に低下する。一方で、燃焼管2から検出部22までの間の系内において流体漏れがある場合、燃焼管2内にキャリアガスが一定流量で供給されていても、燃焼管2内の圧力はほとんど上昇しない。そのため、試料注入機構6のスライダ8が第1の位置から第2の位置へ移動しても、燃焼管2内の圧力にほとんど変動は見られない。
【0025】
上記の現象を利用し、演算部44は、スライダ8が第1の位置から第2の位置まで移動する間に、
図5に示されているような燃焼管2内の一時的な圧力変動が検出されるか否かを判定する。圧力変動が発生したか否かは、圧力センサ30によって検出される圧力が所定のしきい値を下回ったか否かによって判定することができる。
【0026】
演算部44は、このTOC計を起動させて燃焼管2への試料注入が実行される前であって燃焼管2に供給されるキャリアガスの流量が安定したタイミングで、上記判定動作を実行するように構成されていてもよい。また、演算部44は、ユーザによって判定動作を実行すべき指示が入力されたときに、上記判定動作を実行するように構成されていてもよい。
【0027】
しきい値設定部46は、演算部44が判定に用いるしきい値を設定するように構成されている。しきい値は、例えば、上記判定動作が実行される直前の圧力センサ30の検出圧力に基づいて設定することができる。例えば、上記判定動作が実行される直前の圧力センサ30の検出圧力(大気圧を0とする)よりも一定割合だけ低い値をしきい値とすることができる。
【0028】
演算部44による状態の判定動作について、
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0029】
判定動作を開始すると、演算部44は、試料注入機構6のスライダ8を第1の位置から第2の位置へ向かって摺動させる(ステップ101)。演算部44は、スライダ8を第1の位置から第2の位置へ摺動させている間に制御装置42によって読み取られる圧力センサ30の検出圧力をしきい値と常に比較し、検出圧力がしきい値を下回ったか否かを判定する(ステップ102)。スライダ8が第2の位置に到達するまでの間に、検出圧力がしきい値を下回れば正常と判定し(ステップ103、104)、スライダ8が第2の位置に到達するまでの間に検出圧力がしきい値を下回ることがなければ異常と判定する(ステップ103、105)。
【0030】
なお、上記実施例は、本発明に係る元素分析計の実施形態の一例を示したに過ぎない。本発明に係る元素分析計の実施形態は以下に示すとおりである。
【0031】
本発明に係る元素分析計の実施形態では、上方が開口した試料注入口を有し、内部で液体の試料を燃焼させるための燃焼管と、前記燃焼管に試料を注入するためのノズル、及び、前記燃焼管の上部において第1の位置と第2の位置との間で摺動し、前記第1の位置にあるときは前記燃焼管の前記試料注入口を封止し、前記第2の位置にあるときは前記試料注入口の封止を解除し且つ前記ノズルを前記試料注入口の上方へ位置させるように構成されたスライダ、を有する試料注入機構と、前記燃焼管の内部と連通し、前記燃焼管内へキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給流路と、前記キャリアガス供給流路内の圧力を検出する圧力センサと、前記燃焼管から流出した試料ガス中の成分を検出するための検出部と、前記試料注入機構の前記スライダが前記第1の位置から前記第2の位置まで摺動する際の前記圧力センサの検出圧力の変化に基づいて前記燃焼管から前記検出部までの間の系内の状態の異常度について判定を行なうように構成された演算部と、を備えている。
【0032】
本発明に係る元素分析計の実施形態の第1態様では、前記スライダが前記第1の位置から前記第2の位置への摺動を開始する直前の圧力を基準に前記判定のためのしきい値を設定するように構成されたしきい値設定部を備え、前記演算部は、前記スライダが前記第1の位置から前記第2の位置まで摺動するまでの間に、前記圧力センサの検出圧力が前記しきい値設定部により設定された前記しきい値を下回ったときに正常と判定するように構成されている。このような態様により、前記燃焼管内の圧力の変動の有無を容易に判定することができる。
【0033】
本発明に係る元素分析計の実施形態の第2態様では、前記演算部は、前記元素分析計が起動した後で前記燃焼管への試料注入が実行される前に、前記スライダを前記第1の位置から前記第2の位置まで摺動させて前記判定を実行するように構成されている。このような態様により、元素分析計を起動させたときに、燃焼管等に異常があるか否かの判定が自動的に行なわれるので、燃焼管等に異常がある状態で分析が開始されることを防止できる。この第2の態様は、上記第1態様と組み合わせることができる。
【0034】
本発明に係る元素分析計の実施形態の第3態様では、前記演算部は、前記判定を実行すべき指示がユーザによって入力されたときに、前記スライダを前記第1の位置から前記第2の位置まで摺動させて前記判定を実行するように構成されている。このような態様により、ユーザが所望するタイミングで燃焼管等に異常があるか否かの判定を行なうことができる。
【符号の説明】
【0035】
2 燃焼管
3 試料注入口
4 電気炉
6 試料注入機構
8 スライダ
10 ノズル
12 試料注入流路
14 切替バルブ
16 シリンジポンプ
18 試料ガス流路
20 除湿部
22 検出部
24 高純度空気源
26 キャリアガス供給流路
28,36 抵抗管
30,38 圧力センサ
32,40 流量制御弁
34 通気ガス供給流路
42 制御装置
44 演算部
46 しきい値設定部