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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】スイッチング回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021567281
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2020046593
(87)【国際公開番号】W WO2021131863
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2019238198
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】石倉 祐樹
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-177951(JP,A)
【文献】特開2011-061883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M3/00-3/44
H02M7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電圧が印加される一対の第1入出力部と、
前記第1入出力部間に直列接続されており、複数のスイッチ素子が直列接続されて構成される第1スイッチ回路および第2スイッチ回路と、
前記第1スイッチ回路の両端に接続され、前記第1電圧よりも低い第2電圧が印加される一対の第2入出力部と、
を有し、
前記第2入出力部に印加される前記第2電圧に基づいて、前記第1スイッチ回路および前記第2スイッチ回路のオンオフに応じた電圧を前記第1入出力部に生成するため、または、前記第1入出力部に印加される前記第1電圧に基づいて、前記第1スイッチ回路および前記第2スイッチ回路のオンオフに応じた電圧を前記第2入出力部に生成するためのスイッチング回路であって、
前記第1スイッチ回路の複数のスイッチ素子をそれぞれオンオフ制御する複数の第1駆動回路と、
前記第2スイッチ回路の複数のスイッチ素子をそれぞれオンオフ制御する複数の第2駆動回路と、
前記複数の第1駆動回路のうち最も低電位の第1駆動回路に接続されており、その第1駆動回路に電圧を供給する第1電源部と、
前記複数の第1駆動回路のうち最も低電位の第1駆動回路以外の第1駆動回路にそれぞれ接続されるとともに前記第1電源部に接続された複数の第1ブートコンデンサを有しており、前記最も低電位の第1駆動回路以外の第1駆動回路に対してその第1駆動回路に接続された第1ブートコンデンサから電圧を供給する第1ブートストラップ回路と、
前記複数の第2駆動回路のうち最も低電位の第2駆動回路に接続されており、その第2駆動回路に電圧を供給する第2電源部と、
前記複数の第2駆動回路のうち最も低電位の第2駆動回路以外の第2駆動回路にそれぞれ接続されるとともに前記第2電源部に接続された複数の第2ブートコンデンサを有しており、前記最も低電位の第2駆動回路以外の第2駆動回路に対してその第2駆動回路に接続された第2ブートコンデンサから電圧を供給する第2ブートストラップ回路と、
前記第1スイッチ回路の各スイッチ素子の両端および前記第2スイッチ回路の各スイッチ素子の両端に接続され、同一の抵抗値に設定された複数の抵抗回路と、
を有し、
前記複数の抵抗回路のうち、最も低電位側の抵抗回路を除く抵抗回路はそれぞれ、低電位側の第1抵抗素子と、前記第1抵抗素子に直列接続された第2抵抗素子とを有し、
前記スイッチング回路は、前記第1ブートコンデンサまたは前記第2ブートコンデンサにカソードがそれぞれ接続され、前記第1抵抗素子と前記第2抵抗素子との間にアノードがそれぞれ接続されたダイオードを有する
スイッチング回路。
【請求項2】
前記第1スイッチ回路および前記第2スイッチ回路を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記第1スイッチ回路の複数のスイッチ素子の動作が同期し、前記第2スイッチ回路の複数のスイッチ素子の動作が同期し、かつ、前記第1電源部の電圧が前記複数の第1ブートストラップ回路のうち前記第1入出力部に最も近い第1ブートストラップ回路によって駆動される前記第1スイッチ回路のスイッチ素子の両端に接続された抵抗回路の電圧よりも高くなる状態で、前記第1スイッチ回路の複数のスイッチ素子および前記第2スイッチ回路の複数のスイッチ素子を相補的にオンオフする第1動作を行い、
前記第1電圧が前記第1入出力部に供給されているときに、前記第1動作に先立って、前記第1電圧に基づいて前記複数の抵抗回路および前記複数のダイオードを介して前記複数の第1ブートコンデンサおよび前記複数の第2ブートコンデンサがそれぞれ充電される第2動作を行う
請求項1に記載のスイッチング回路。
【請求項3】
前記第1電源部は直流電源であり、
前記第2電源部は、前記第1電源部に接続された電荷蓄電素子を有しており、前記第1電源部の電圧に基づいて、前記複数の第2駆動回路に電圧を供給する
請求項1または2に記載のスイッチング回路。
【請求項4】
前記電荷蓄電素子の静電容量は、前記第2ブートコンデンサの静電容量よりも大きい
請求項3に記載のスイッチング回路。
【請求項5】
前記第1スイッチ回路は、n個(ただし、nは2以上の整数)の前記スイッチ素子が直列接続された第1スイッチ群および第2スイッチ群を有し、前記第1スイッチ群および前記第2スイッチ群は、前記第1スイッチ群および前記第2スイッチ群の順で、前記第1入出力部間に直列接続されており、
前記第2スイッチ回路は、n個(ただし、nは2以上の整数)の前記スイッチ素子が直列接続された第3スイッチ群および第4スイッチ群を有し、前記第3スイッチ群および前記第4スイッチ群は、前記第3スイッチ群および前記第4スイッチ群の順で、前記第2入出力部の高電位側と前記第1入出力部の高電位側との間に直列接続されており、
前記第1スイッチ回路および前記第2スイッチ回路を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記第1スイッチ群の複数のスイッチ素子のそれぞれの動作を同期させ、前記第2スイッチ群の複数のスイッチ素子のそれぞれの動作を同期させ、前記第3スイッチ群の複数のスイッチ素子のそれぞれの動作を同期させ、前記第4スイッチ群のスイッチ素子のそれぞれの動作を同期させ、かつ、前記第1電源部の電圧が前記複数の第1ブートストラップ回路のうち最も低電位の第1ブートストラップ回路によって駆動される前記第1スイッチ回路のスイッチ素子の両端に接続された抵抗回路の電圧よりも高くなる状態で、前記第1スイッチ群と前記第4スイッチ群とは相補的にオンオフし、前記第2スイッチ群と前記第3スイッチ群とは相補的にオンオフする第1動作を行い、
前記第1電圧が前記第1入出力部に供給されているときに、前記第1動作に先立って、前記第1電圧に基づいて前記複数の抵抗回路および前記複数のダイオードを介して前記複数の第1ブートコンデンサおよび前記複数の第2ブートコンデンサがそれぞれ充電される
請求項1に記載のスイッチング回路。
【請求項6】
前記第2スイッチ群のうち最も低電位側のスイッチ素子を駆動する第1駆動回路に接続された第1ブートストラップ回路の第1ブートコンデンサと、前記第3スイッチ群のうち最も低電位側のスイッチ素子を駆動する第2駆動回路に接続された第2ブートストラップ回路の第2ブートコンデンサと、前記第4スイッチ群のうち最も低電位側のスイッチ素子を駆動する第2駆動回路に接続された第2ブートストラップ回路の第2ブートコンデンサとの3つが、他の前記第1ブートコンデンサおよび前記第2ブートコンデンサよりも大容量であり、
前記第2スイッチ群のうち最も低電位側のスイッチ素子を駆動する第1駆動回路に接続された第1ブートストラップ回路の第1ブートコンデンサの容量をA1、前記第3スイッチ群のうち最も低電位側のスイッチ素子を駆動する第2駆動回路に接続された第2ブートストラップ回路の第2ブートコンデンサの容量をA2、および前記第4スイッチ群のうち最も低電位側のスイッチ素子を駆動する第2駆動回路に接続された第2ブートストラップ回路の第2ブートコンデンサの容量をA3とした場合、A1>A2>A3の関係を満たす
請求項5に記載のスイッチング回路。
【請求項7】
前記第1電源部の端子間電圧は、前記第1電圧によって生じる前記第1抵抗素子の端子間電圧よりも大きい
請求項1~6のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
【請求項8】
前記第2電源部の端子間電圧は、前記第1電圧によって生じる前記第1抵抗素子の端子間電圧よりも大きい
請求項1~7のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
【請求項9】
前記第1スイッチ回路と前記第2スイッチ回路との間の接続点を基準として、前記第1スイッチ回路の各スイッチ素子間の接続点および前記第2スイッチ回路の各スイッチ素子間の接続点のうちでm番目(ただし、1≦m≦n-1)の接続点同士の間に接続されたコンデンサを有する
請求項5または6に記載のスイッチング回路。
【請求項10】
前記第1スイッチ群と前記第2スイッチ群との間の第1の接続点と、前記第3スイッチ群と前記第4スイッチ群との間の第2の接続点との間に接続されたコンデンサを有する
請求項5または6に記載のスイッチング回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチング回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のスイッチ素子を用いたマルチレベル電力変換装置は、第1スイッチ~第(2m-2)スイッチからなる(2m-2)個のスイッチ素子(mは電力変換回路のレベルに相当する)が直列接続された電力変換回路と、複数個の第1スイッチ素子に対応して接続される複数個の駆動回路と、複数個の駆動回路に電力を供給する共用電源とを備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-33614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば2レベルの電力変換回路において、出力端子と第1電線との間、出力端子と第2電線との間のスイッチ素子を、それぞれ複数のスイッチ素子で構成することが考えられる。このような電力変換回路では、各スイッチ素子を制御する駆動回路にそれぞれ個別の電源を接続する必要があり、大型化するおそれがある。特許文献1のようにブートストラップ回路を設けて駆動回路に電源供給する構成では、電力変換回路の起動時に高電位側のブートストラップ回路におけるブートコンデンサが充電されていないため、駆動回路が動作せず、スイッチ素子を制御できない。
【0005】
本開示の目的は、回路の大型化を抑制するとともに起動時に複数のスイッチ素子を同期して制御できるスイッチング回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態であるスイッチング回路は、第1電圧が印加される一対の第1入出力部と、前記第1入出力部間に直列接続されており、複数のスイッチ素子が直列接続されて構成される第1スイッチ回路および第2スイッチ回路と、前記第1スイッチ回路の両端に接続され、前記第1電圧よりも低い第2電圧が印加される一対の第2入出力部と、を有し、前記第2入出力部に印加される前記第2電圧に基づいて、前記第1スイッチ回路および前記第2スイッチ回路のオンオフに応じた電圧を前記第1入出力部に生成するため、または、前記第1入出力部に印加される前記第1電圧に基づいて、前記第1スイッチ回路および前記第2スイッチ回路のオンオフに応じた電圧を前記第2入出力部に生成するためのスイッチング回路であって、前記第1スイッチ回路の複数のスイッチ素子をそれぞれオンオフ制御する複数の第1駆動回路と、前記第2スイッチ回路の複数のスイッチ素子をそれぞれオンオフ制御する複数の第2駆動回路と、前記複数の第1駆動回路のうち最も低電位の第1駆動回路に接続されており、その第1駆動回路に電圧を供給する第1電源部と、前記複数の第1駆動回路のうち最も低電位の第1駆動回路以外の第1駆動回路にそれぞれ接続されるとともに前記第1電源部に接続された複数の第1ブートコンデンサを有しており、前記最も低電位の第1駆動回路以外の第1駆動回路に対してその第1駆動回路に接続された第1ブートコンデンサから電圧を供給する第1ブートストラップ回路と、前記複数の第2駆動回路のうち最も低電位の第2駆動回路に接続されており、その第2駆動回路に電圧を供給する第2電源部と、前記複数の第2駆動回路のうち最も低電位の第2駆動回路以外の第2駆動回路にそれぞれ接続されるとともに前記第2電源部に接続された複数の第2ブートコンデンサを有しており、前記最も低電位の第2駆動回路以外の第2駆動回路に対してその第2駆動回路に接続された第2ブートコンデンサから電圧を供給する第2ブートストラップ回路と、前記第1スイッチ回路の各スイッチ素子の両端および前記第2スイッチ回路の各スイッチ素子の両端に接続され、同一の抵抗値に設定された複数の抵抗回路と、を有し、前記複数の抵抗回路のうち、最も低電位側の抵抗回路を除く抵抗回路はそれぞれ、低電位側の第1抵抗素子と、前記第1抵抗素子に直列接続された第2抵抗素子とを有し、前記スイッチング回路は、前記第1ブートコンデンサまたは前記第2ブートコンデンサにカソードがそれぞれ接続され、前記第1抵抗素子と前記第2抵抗素子との間にアノードがそれぞれ接続されたダイオードを有する。
【0007】
この構成によれば、第1電圧によって抵抗回路の第1抵抗素子の両端子間に生じる電圧によって第1ブートストラップ回路のブートコンデンサおよび第2ブートストラップ回路のブートコンデンサがそれぞれ充電される。これにより、各スイッチ素子が駆動する前に第1ブートストラップ回路のブートコンデンサおよび第2ブートストラップ回路のブートコンデンサをそれぞれ充電することによって、第1駆動回路および第2駆動回路が動作可能な状態となる。したがって、起動時に複数の第1スイッチ素子または複数の第2スイッチ素子を同時にオンすることができる。また、駆動回路ごとに個別の電源を用いていないため、スイッチング回路の大型化を抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一形態であるスイッチング回路によれば、回路の大型化を抑制するとともに起動時に複数のスイッチ素子を同期して制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態のスイッチング回路が用いられる電力管理システムの構成図。
図2】第1実施形態のスイッチング回路の回路図。
図3図2のスイッチング回路の動作の一例を示すタイムチャート。
図4図2のスイッチング回路について、初期充電回路による第1ブートストラップ回路のブートコンデンサおよび第2ブートストラップ回路のブートコンデンサへの充電態様を示す回路図。
図5図2のスイッチング回路について、スイッチ素子が駆動しているときの第1ブートストラップ回路のブートコンデンサへの充電態様の一例を示す回路図。
図6図2のスイッチング回路について、スイッチ素子が駆動しているときの第2ブートストラップ回路のブートコンデンサへの充電態様の一例を示す回路図。
図7】比較例のスイッチング回路の動作を示すタイムチャート。
図8】第2実施形態のスイッチング回路の回路図。
図9図8のスイッチング回路の第1モードにおける各スイッチ素子の状態を示す回路図。
図10図8のスイッチング回路の第2モードにおける各スイッチ素子の状態を示す回路図。
図11図8のスイッチング回路の第3モードにおける各スイッチ素子の状態を示す回路図。
図12図8のスイッチング回路の第4モードにおける各スイッチ素子の状態を示す回路図。
図13図8のスイッチング回路の動作の一例を示すタイムチャート。
図14図8のスイッチング回路について、初期充電回路による各ブートストラップ回路のブートコンデンサへの充電態様を示す回路図。
図15図8のスイッチング回路について、各スイッチ素子が第1モードで駆動しているときの各ブートストラップ回路のブートコンデンサへの充電態様の一例を示す回路図。
図16図8のスイッチング回路について、各スイッチ素子が第3モードで駆動しているときの各ブートストラップ回路のブートコンデンサへの充電態様の一例を示す回路図。
図17図8のスイッチング回路について、各スイッチ素子が第2モードで駆動しているときの各ブートストラップ回路のブートコンデンサへの充電態様の一例を示す回路図。
図18図8のスイッチング回路の動作の一例を示すタイムチャート。
図19図8のスイッチング回路について、各スイッチ素子が第4モードで駆動しているときの各ブートストラップ回路のブートコンデンサへの充電態様の一例を示す回路図。
図20】変更例のスイッチング回路の回路図。
図21】変更例のスイッチング回路の回路図。
図22】変更例のスイッチング回路の一部を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、各実施形態について説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図1に示すように、電力管理システム1は、パワーコンディショナ10と、パワーコンディショナ10に電気的に接続された太陽光発電装置2および蓄電装置3と、を備えている。パワーコンディショナ10は、交流母線4と系統連系保護リレー5を介して電力系統6に接続される。交流母線4には、パワーコンディショナ10側から視て系統連系保護リレー5の外側に、図示しない分電盤等を介して負荷7が接続されている。系統連系保護リレー5は、電力系統6とパワーコンディショナ10とを解列可能である。負荷7は、たとえば屋内負荷であり、照明、冷蔵庫、洗濯機、空気調和機、電子レンジ等が挙げられる。電力管理システム1は、パワーコンディショナ10によって太陽光発電装置2、蓄電装置3、電力系統6および負荷7の間の電力の調整を行う。この調整の一例としては、太陽光発電装置2が発電した電力の電力系統6への逆潮流、蓄電装置3への蓄電および負荷7への供給の調整と、電力系統6の電力の蓄電装置3への蓄電および負荷7への供給の調整とが挙げられる。なお、発電装置としては、太陽光発電装置のほか、たとえば、風力発電装置、ガス発電装置、地熱発電装置等を用いることができる。
【0012】
太陽光発電装置2は、光発電パネル(図示略)を有しており、光発電パネルが発電した直流電力をパワーコンディショナ10に供給する。太陽光発電装置2は、たとえば光発電パネルが出力する電力が最大となる出力電圧で電流を取り出すMPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力点追従)制御を実行する。
【0013】
蓄電装置3は、直列に接続された複数の蓄電池を含む。パワーコンディショナ10は、蓄電装置3の充電と放電とを制御する。
【0014】
パワーコンディショナ10は、PVコンバータ11、直流交流変換装置(DC/ACコンバータ)12、制御部13および電力変換装置20を有している。PVコンバータ11、直流交流変換装置12および電力変換装置20はそれぞれ、高圧直流バス14に接続される。換言すると、PVコンバータ11と直流交流変換装置12と電力変換装置20とは、高圧直流バス14を介して互いに接続される。
【0015】
太陽光発電装置2は、PVコンバータ11に接続されている。PVコンバータ11は、季節や天候、時間帯等の日照条件によって変化する太陽光発電装置2の直流電力を最大電力点追従制御によって高圧直流バス14に出力する。PVコンバータ11が高圧直流バス14に出力する設定電圧の一例は、360Vである。直流交流変換装置12は、交流母線4に接続されている。直流交流変換装置12は、高圧直流バス14の直流電力をたとえば実効値で200Vの交流電力に変換して交流母線4に出力する。また、直流交流変換装置12は、交流母線4の交流電力を設定電圧の直流電力に変換して高圧直流バス14に出力する。
【0016】
電力変換装置20は、高圧直流バス14の直流電力を蓄電装置3に充電される直流電力に変換する。また電力変換装置20は、蓄電装置3から放電される直流電力を、高圧直流バス14に応じた設定電圧の直流電力に変換する。本実施形態では、電力変換装置20は、2レベルの電圧を生成する双方向DC/DCコンバータである。
【0017】
制御部13は、PVコンバータ11、直流交流変換装置12および電力変換装置20と通信可能に接続されており、PVコンバータ11、直流交流変換装置12および電力変換装置20の動作をそれぞれ制御する。制御部13は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、たとえばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部13は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部13は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。制御部13は、記憶部をさらに含む。記憶部には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部は、たとえば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。
【0018】
図2に示すように、電力変換装置20は、スイッチング回路20Aを有している。スイッチング回路20Aは、図1に示す高圧直流バス14に接続される一対の第1入出力部22と、図1に示す蓄電装置3に接続される一対の第2入出力部23と、を有している。
【0019】
スイッチング回路20Aは、第1電線21L、第2電線21Hおよび第3電線21Mを有している。一対の第1入出力部22のうち低電位側と一対の第2入出力部23のうち低電位側は共通の第1電線21Lに接続されており、たとえば接地電位に接続されている。一対の第1入出力部22は、図1に示す高圧直流バス14に接続されている。一対の第2入出力部23は、図1に示す蓄電装置3に接続されている。一対の第1入出力部22に印加される第1電圧V1は、高圧直流バス14の電圧(たとえば360V)であり、一対の第2入出力部23に印加される第2電圧V2は、蓄電装置3の端子電圧(たとえば200V)である。したがって、一対の第2入出力部23に印加される第2電圧V2は、一対の第1入出力部22の両端に印加される第1電圧V1よりも低い。
【0020】
電力変換装置20は、第1電線21Lと第2電線21Hとの間に直列接続された第1スイッチ回路30および第2スイッチ回路40と、第1スイッチ回路30を駆動する第1駆動回路24と、第2スイッチ回路40を駆動する第2駆動回路25と、各駆動回路24,25に動作電圧を供給する電源回路26と、を有している。制御部13は、第1スイッチ回路30と第2スイッチ回路40とを相補的にオンオフ制御する制御信号を各駆動回路24,25に出力する。
【0021】
第1スイッチ回路30と第2スイッチ回路40との間の接続点であるノードNは、第3電線21Mに接続されている。第3電線21Mは、インダクタ27を介して一対の第2入出力部23の一方に接続されている。一対の第2入出力部23の他方は、第1電線21Lに接続されている。つまり、一対の第2入出力部23は、第1スイッチ回路30の両端に接続されている。
【0022】
第1スイッチ回路30は、ノードNと第1電線21Lとの間に直列接続された複数(本実施形態では、4個)のスイッチ素子である複数の第1スイッチ素子31~34を有している。第1スイッチ素子31~34はそれぞれ、たとえばN型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)が用いられる。本実施形態では、第1スイッチ素子31~34は、Si(シリコン)基板によって形成されたMOSFETが用いられる。第1スイッチ素子31~34は、ボディダイオード31a~34aを有している。第1スイッチ素子31~34は、低電位側から高電位側に向けて第1スイッチ素子31、第1スイッチ素子32、第1スイッチ素子33および第1スイッチ素子34の順に配置されている。より詳細には、第1スイッチ素子31のソース端子は第1電線21Lに接続されており、第1スイッチ素子31のドレイン端子は第1スイッチ素子32のソース端子に接続されており、第1スイッチ素子32のドレイン端子は第1スイッチ素子33のソース端子に接続されており、第1スイッチ素子33のドレイン端子は第1スイッチ素子34のソース端子に接続されており、第1スイッチ素子34のドレイン端子はノードNに接続されている。
【0023】
第2スイッチ回路40は、ノードNと第2電線21Hとの間に直列接続された複数(本実施形態では、4個)のスイッチ素子である複数の第2スイッチ素子41~44を有している。第2スイッチ素子41~44はそれぞれ、たとえばN型のMOSFETが用いられている。本実施形態では、第2スイッチ素子41~44は、Si基板によって形成されたMOSFETが用いられる。第2スイッチ素子41~44は、ボディダイオード41a~44aを有している。第2スイッチ素子41~44は、低電位側から高電位側に向けて第2スイッチ素子41、第2スイッチ素子42、第2スイッチ素子43および第2スイッチ素子44の順に配置されている。より詳細には、第2スイッチ素子41のソース端子はノードNに接続されており、第2スイッチ素子41のドレイン端子は第2スイッチ素子42のソース端子に接続されており、第2スイッチ素子42のドレイン端子は第2スイッチ素子43のソース端子に接続されており、第2スイッチ素子43のドレイン端子は第2スイッチ素子44のソース端子に接続されており、第2スイッチ素子44のドレイン端子は第2電線21Hに接続されている。
【0024】
第1駆動回路24は、第1スイッチ回路30の第1スイッチ素子31~34をそれぞれ駆動する複数(本実施形態では、4個)の第1駆動回路24A~24Dを有している。第2駆動回路25は、第2スイッチ回路40の第2スイッチ素子41~44をそれぞれ駆動する複数(本実施形態では、4個)の第2駆動回路25A~25Dを有している。
【0025】
第1駆動回路24A~24Dおよび第2駆動回路25A~25Dはそれぞれ、制御部13に接続されている。制御部13は、各駆動回路24A~24D,25A~25Dのそれぞれに制御信号を出力する。このように、本実施形態では、図2に示すように、スイッチング回路20Aは、制御部13を有しているともいえる。各駆動回路24A~24D,25A~25Dはそれぞれ、たとえばプッシュプル回路を有しており、制御信号に基づいてプッシュプル回路が動作するように構成されている。
【0026】
第1駆動回路24Aは、第1スイッチ素子31のゲート端子に接続されており、制御部13からの制御信号に基づいて第1スイッチ素子31をオンオフ制御する。第1駆動回路24Bは、第1スイッチ素子32のゲート端子に接続されており、制御部13からの制御信号に基づいて第1スイッチ素子32をオンオフ制御する。第1駆動回路24Cは、第1スイッチ素子33のゲート端子に接続されており、制御部13からの制御信号に基づいて第1スイッチ素子33をオンオフ制御する。第1駆動回路24Dは、第1スイッチ素子34のゲート端子に接続されており、制御部13からの制御信号に基づいて第1スイッチ素子34をオンオフ制御する。
【0027】
第2駆動回路25Aは、第2スイッチ素子41のゲート端子に接続されており、制御部13からの制御信号に基づいて第2スイッチ素子41をオンオフ制御する。第2駆動回路25Bは、第2スイッチ素子42のゲート端子に接続されており、制御部13からの制御信号に基づいて第2スイッチ素子42をオンオフ制御する。第2駆動回路25Cは、第2スイッチ素子43のゲート端子に接続されており、制御部13からの制御信号に基づいて第2スイッチ素子43をオンオフ制御する。第2駆動回路25Dは、第2スイッチ素子44のゲート端子に接続されており、制御部13からの制御信号に基づいて第2スイッチ素子44をオンオフ制御する。
【0028】
第1駆動回路24A~24Dは、高電位電源端子24HA~24HDと低電位電源端子24LA~24LDとを有している。第2駆動回路25A~25Dは、高電位電源端子25HA~25HDと低電位電源端子25LA~25LDとを有している。
【0029】
第1駆動回路24Aの低電位電源端子24LAは、第1スイッチ素子31のソース端子に接続されている。第1駆動回路24Bの低電位電源端子24LBは、第1スイッチ素子31と第1スイッチ素子32との接続点であるノードN1に接続されている。第1駆動回路24Cの低電位電源端子24LCは、第1スイッチ素子32と第1スイッチ素子33との接続点であるノードN2に接続されている。第1駆動回路24Dの低電位電源端子24LDは、第1スイッチ素子33と第1スイッチ素子34との接続点であるノードN3に接続されている。
【0030】
第2駆動回路25Aの低電位電源端子25LAは、ノードNに接続されている。第2駆動回路25Bの低電位電源端子25LBは、第2スイッチ素子41と第2スイッチ素子42との接続点であるノードN4に接続されている。第2駆動回路25Cの低電位電源端子25LCは、第2スイッチ素子42と第2スイッチ素子43との接続点であるノードN5に接続されている。第2駆動回路25Dの低電位電源端子25LDは、第2スイッチ素子43と第2スイッチ素子44との接続点であるノードN6に接続されている。
【0031】
電源回路26は、低電位側の第1駆動回路24Aに電力を供給する第1電源部26Lと、高電位側の第2駆動回路25Aに電力を供給する第2電源部26Hと、を有している。また、電源回路26は、第1電源部26Lの電力(電圧)に基づいて低電位側の第1駆動回路24B~24Dに電力(電圧)を供給する複数(本実施形態では、2個)の第1ブートストラップ回路50A~50Cと、第2電源部26Hの電力(電圧)に基づいて高電位側の第2駆動回路25B~25Dに電力(電圧)を供給する複数(本実施形態では、2個)の第2ブートストラップ回路50D~50Fと、を有している。
【0032】
第1電源部26Lは、たとえば直流電源が用いられている。第1電源部26Lは、第1駆動回路24A~24Dのうち第1電線21Lに最も近い第1駆動回路24A、すなわち第1駆動回路24A~24Dのうち最も低電位の第1駆動回路24Aに接続されている。より詳細には、第1電源部26Lのマイナス端子は、第1電線21Lに接続されており、第1電源部26Lのプラス端子は、第1駆動回路24Aの高電位電源端子24HAに接続されている。
【0033】
第2電源部26Hは、第2駆動回路25A~25Dのうち第3電線21Mに最も近い第2駆動回路25A、すなわち第2駆動回路25A~25Dのうち最も低電位の第2駆動回路25Aに接続されている。より詳細には、第2電源部26Hは、電荷蓄電素子26Aおよびダイオード26Bを有している。電荷蓄電素子26Aは、第1電源部26Lの電荷を蓄電することができる部品が用いられている。電荷蓄電素子26Aは、たとえばブートストラップ回路50A~50Fの後述するブートコンデンサ52A~52Fのそれぞれの静電容量よりも大きい静電容量を有している。本実施形態では、電荷蓄電素子26Aは、コンデンサが用いられている。なお、電荷蓄電素子26Aは、電気二重層コンデンサやリチウムイオン電池等の二次電池が用いられてもよい。
【0034】
電荷蓄電素子26Aの第1端子は、第2駆動回路25Aの低電位電源端子25LAおよび第2スイッチ素子41のソース端子に接続されている。電荷蓄電素子26Aの第2端子は、第2駆動回路25Aの高電位電源端子25HAおよび第2ブートストラップ回路50D~50Fの後述するブートダイオード51D~51Fのアノード端子に接続されている。ダイオード26Bのアノード端子は、第1電源部26Lのプラス端子に接続されており、ダイオード26Bのカソード端子は、電荷蓄電素子26Aの第2端子に接続されている。このように、電荷蓄電素子26Aは、ブートコンデンサとして機能し、第2電源部26Hは、第2駆動回路25Aに電圧を供給するブートストラップ回路を構成しているともいえる。以下の説明において、電荷蓄電素子26Aをブートコンデンサ26Aという場合がある。
【0035】
第1ブートストラップ回路50Aは、第1電源部26Lのプラス端子と、第1駆動回路24Bとの間に接続されている。第1ブートストラップ回路50Bは、第1電源部26Lのプラス端子と、第1駆動回路24Cとの間に接続されている。第1ブートストラップ回路50Cは、第1電源部26Lのプラス端子と、第1駆動回路24Dとの間に接続されている。すなわち第1電源部26Lのプラス端子は、第1ブートストラップ回路50A~50Cを介して第1駆動回路24B~24Dの高電位電源端子24HB~24HDに接続されている。
【0036】
第2ブートストラップ回路50Dは、第2電源部26Hのプラス端子と、第2駆動回路25Bとの間に接続されている。第2ブートストラップ回路50Eは、第2電源部26Hのプラス端子と、第2駆動回路25Cとの間に接続されている。第2ブートストラップ回路50Fは、第2電源部26Hのプラス端子と、第2駆動回路25Dとの間に接続されている。すなわち第2電源部26Hのプラス端子は、第2ブートストラップ回路50D~50Fを介して第2駆動回路25B~25Dの高電位電源端子25HB~25HDに接続されている。
【0037】
各ブートストラップ回路50A~50Fは、同じ構成であり、ブートダイオード51A~51Fと、ブートコンデンサ52A~52Fと、を有している。ここで、第1ブートストラップ回路50A~50Cのブートコンデンサ52A~52Cは第1ブートコンデンサに対応しており、第2ブートストラップ回路50D~50Fのブートコンデンサ52D~52Fは第2ブートコンデンサに対応している。ブートダイオード51A~51Fは、互いに同じ電気的特性を有している。換言すると、ブートダイオード51A~51Fは、同じ種類のダイオードが用いられている。ブートコンデンサ52A~52Fは、互いに同じ電気的特性を有している。たとえばブートコンデンサ52A~52Fは、互いに同じ静電容量を有している。
【0038】
第1ブートストラップ回路50Aは、第1スイッチ素子32をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第1駆動回路24Bに供給するための回路である。第1ブートストラップ回路50Aのブートダイオード51Aのアノード端子は、第1電源部26Lのプラス端子に接続されており、ブートダイオード51Aのカソード端子は、第1駆動回路24Bの高電位電源端子24HBに接続されている。第1ブートストラップ回路50Aのブートコンデンサ52Aの第1端子は、ブートダイオード51Aのカソード端子および第1駆動回路24Bの高電位電源端子24HBに接続されており、ブートコンデンサ52Aの第2端子は、第1駆動回路24Bの低電位電源端子24LBに接続されている。
【0039】
第1ブートストラップ回路50Bは、第1スイッチ素子33をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第1駆動回路24Cに供給するための回路である。第1ブートストラップ回路50Bのブートダイオード51Bのアノード端子は、第1電源部26Lのプラス端子に接続されており、ブートダイオード51Bのカソード端子は、第1駆動回路24Cの高電位電源端子24HCに接続されている。第1ブートストラップ回路50Bのブートコンデンサ52Bの第1端子は、ブートダイオード51Bのカソード端子および第1駆動回路24Cの高電位電源端子24HCに接続されており、ブートコンデンサ52Bの第2端子は、第1駆動回路24Cの低電位電源端子24LCに接続されている。
【0040】
第1ブートストラップ回路50Cは、第1スイッチ素子34をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第1駆動回路24Dに供給するための回路である。第1ブートストラップ回路50Cのブートダイオード51Cのアノード端子は、第1電源部26Lのプラス端子に接続されており、ブートダイオード51Cのカソード端子は、第1駆動回路24Dの高電位電源端子24HDに接続されている。第1ブートストラップ回路50Cのブートコンデンサ52Cの第1端子は、ブートダイオード51Cのカソード端子および第1駆動回路24Dの高電位電源端子24HDに接続されており、ブートコンデンサ52Cの第2端子は、第1駆動回路24Dの低電位電源端子24LDに接続されている。
【0041】
第2ブートストラップ回路50Dは、第2スイッチ素子42をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第2駆動回路25Bに供給するための回路である。第2ブートストラップ回路50Dのブートダイオード51Dのアノード端子は、第2電源部26Hのプラス端子に接続されており、ブートダイオード51Dのカソード端子は、第2駆動回路25Bの高電位電源端子25HBに接続されている。第2ブートストラップ回路50Dのブートコンデンサ52Dの第1端子は、ブートダイオード51Dのカソード端子および第2駆動回路25Bの高電位電源端子25HBに接続されており、ブートコンデンサ52Dの第2端子は、第2駆動回路25Bの低電位電源端子25LBに接続されている。
【0042】
第2ブートストラップ回路50Eは、第2スイッチ素子43をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第2駆動回路25Cに供給するための回路である。第2ブートストラップ回路50Eのブートダイオード51Eのアノード端子は、第2電源部26Hのプラス端子に接続されており、ブートダイオード51Eのカソード端子は、第2駆動回路25Cの高電位電源端子25HCに接続されている。第2ブートストラップ回路50Eのブートコンデンサ52Eの第1端子は、ブートダイオード51Eのカソード端子および第2駆動回路25Cの高電位電源端子25HCに接続されており、ブートコンデンサ52Eの第2端子は、第2駆動回路25Cの低電位電源端子25LCに接続されている。
【0043】
第2ブートストラップ回路50Fは、第2スイッチ素子44をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第2駆動回路25Dに供給するための回路である。第2ブートストラップ回路50Fのブートダイオード51Fのアノード端子は、第2電源部26Hのプラス端子に接続されており、ブートダイオード51Fのカソード端子は、第2駆動回路25Dの高電位電源端子25HDに接続されている。第2ブートストラップ回路50Fのブートコンデンサ52Fの第1端子は、ブートダイオード51Fのカソード端子および第2駆動回路25Dの高電位電源端子25HDに接続されており、ブートコンデンサ52Fの第2端子は、第2駆動回路25Dの低電位電源端子25LDに接続されている。
【0044】
スイッチング回路20Aは、第1スイッチ回路30と第2スイッチ回路40との間の接続点(ノードN)を基準として、第1スイッチ回路30の各スイッチ素子31~34の接続点(ノードN1~N3)および第2スイッチ回路40の各スイッチ素子41~44の接続点(ノードN4~N6)のうちでm番目(ただし、1≦m≦n-1)の接続点(ノード)同士の間に接続されたコンデンサを有している。ここで、nは、第1スイッチ回路30のスイッチ素子の個数および第2スイッチ回路40のスイッチ素子の個数であり、かつ2以上の整数である。本実施形態では、スイッチング回路20Aは、コンデンサ28A~28Dを有している。コンデンサ28A~28Dは、スナバ用のコンデンサである。コンデンサ28Aの第1端子は、第1電線21Lに接続されており、コンデンサ28Aの第2端子は、第2電線21Hに接続されている。コンデンサ28Aは、各スイッチ素子31~34,41~44の直列回路と並列接続されている。コンデンサ28Bの第1端子は、ノードN1に接続されており、コンデンサ28Bの第2端子は、ノードN6に接続されている。コンデンサ28Cの第1端子は、ノードN2に接続されており、コンデンサ28Cの第2端子は、ノードN5に接続されている。コンデンサ28Dの第1端子は、ノードN3に接続されており、コンデンサ28Dの第2端子は、ノードN4に接続されている。
【0045】
スイッチング回路20Aは、第1入出力部22に印加される第1電圧V1によって各ブートストラップ回路50A~50Fのブートコンデンサ52A~52Fを充電する初期充電回路60を有している。
【0046】
初期充電回路60は、各スイッチ素子31~34,41~44に対応して設けられた複数(本実施形態では8個)の抵抗回路60A~60Hと、複数の抵抗回路60B~60Hに対応して設けられたダイオード63B~63Hと、を有している。
【0047】
抵抗回路60A~60Hは、一対の第1入出力部22間において直列接続されている。抵抗回路60A~60Hは、低電位側から高電位側に向けて抵抗回路60A、抵抗回路60B、抵抗回路60C、抵抗回路60D、抵抗回路60E、抵抗回路60F、抵抗回路60Gおよび抵抗回路60Hの順に接続されている。また、各抵抗回路60A~60Hは、各スイッチ素子31~34,41~44に対して並列接続されている。つまり、抵抗回路60Aの低電位側の端子(接続ノード)は第1スイッチ素子31のソース端子に接続されており、抵抗回路60Aの高電位側の端子(接続ノード)は第1スイッチ素子31のドレイン端子に接続されている。同様に、抵抗回路60B~60Hの低電位側の端子(接続ノード)は、各スイッチ素子32~34,41~44のソース端子に接続されており、抵抗回路60B~60Hの高電位側の端子(接続ノード)は、各スイッチ素子32~34,41~44のドレイン端子に接続されている。
【0048】
抵抗回路60A~60Hは、同じ構成であり、低電位側の第1抵抗素子61と、第1抵抗素子61に直列接続された第2抵抗素子62と、を有している。抵抗回路60A~60Hにおける第1抵抗素子61の抵抗値は互いに等しく、抵抗回路60A~60Hにおける第2抵抗素子62の抵抗値は互いに等しい。このため、抵抗回路60A~60Hは、一対の第1入出力部22間において同一の抵抗値に設定されている。したがって、抵抗回路60A~60Hは、第1入出力部22に印加される第1電圧V1を、抵抗回路60A~60Hの個数N(本実施形態ではN=8)で等分に分圧する。
【0049】
上述したように、各抵抗回路60A~60Hは、直列に接続された第1抵抗素子61と第2抵抗素子62とを有している。第1抵抗素子61は、第2抵抗素子62よりも低電位側に接続されている。したがって、各抵抗回路60A~60Hは、抵抗回路60A~60Hの端子間の電圧を、第1抵抗素子61と第2抵抗素子62とで分圧した分圧電圧を生成する分圧回路であるともいえる。
【0050】
抵抗回路60Aの低電位側の端子(接続ノード)は、第1電線21Lに接続されている。抵抗回路60Aの高電位側の端子(接続ノード)は、第1スイッチ素子31と第1スイッチ素子32との間のノードN1に接続されている。
【0051】
抵抗回路60A~60Hのうち最も低電位側の抵抗回路60Aを除く抵抗回路60B~60Hにおいて、第1抵抗素子61と第2抵抗素子62との間の接続ノード(ノードNB~NH)は、ダイオード63B~63Hを介して、ブートコンデンサ52A~52C,26A,52D~52Fに接続されている。スイッチング回路20Aが駆動する前、すなわち各スイッチ素子31~34,41~44が開状態(本実施形態では、各スイッチ素子31~34,41~44がオフ状態)において、抵抗回路60B~60Hは、第1入出力部22に印加される第1電圧V1に基づいて、ブートコンデンサ52A~52C,26A,52D~52Fを充電する。
【0052】
詳述すると、抵抗回路60Bの低電位側の端子(接続ノード)は、ブートコンデンサ52Aの第2端子に接続されている。第1抵抗素子61と第2抵抗素子62との間のノードNBは、ダイオード63Bを介してブートコンデンサ52Aの第1端子に接続されている。ダイオード63Bは、抵抗回路60Bからブートコンデンサ52Aに向けて順方向に接続されている。つまり、ダイオード63Bのアノード端子は第1抵抗素子61と第2抵抗素子62との間のノードNBに接続されており、ダイオード63Bのカソード端子はブートコンデンサ52Aの第1端子に接続されている。第1抵抗素子61および第2抵抗素子62は、抵抗回路60Bの両端子間の電圧を、第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値とに応じて分圧する。第1抵抗素子61と第2抵抗素子62とによってノードNBに生じる分圧電圧は、ダイオード63Bを介してブートコンデンサ52Aに供給され、ブートコンデンサ52Aは充電される。
【0053】
ブートコンデンサ52Aは、第1駆動回路24Bの高電位電源端子24HBと低電位電源端子24LBとの間に接続されている。第1駆動回路24Bは、ブートコンデンサ52Aの端子間電圧を駆動電圧として動作可能となる。駆動電圧が供給される第1駆動回路24Bは、制御信号に基づいて、第1スイッチ素子32をオンオフする。したがって、初期充電回路60の抵抗回路60Bおよびダイオード63Bは、第1スイッチ素子32をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第1駆動回路24Bに供給するための回路である。
【0054】
上述したように、ブートコンデンサ52Aは、第1ブートストラップ回路50Aに含まれる。そして、ブートコンデンサ52Aは、スイッチング回路20Aが駆動する前、すなわち各スイッチ素子31~34,41~44が開状態(本実施形態では、各スイッチ素子31~34,41~44がオフ状態)において、第1入出力部22に印加される第1電圧V1に基づいて、抵抗回路60Bとダイオード63Bを介して、充電される。その後、スイッチング回路20Aが駆動し、各スイッチ素子31~34,41~44がオンオフ制御された状態において、ブートコンデンサ52Aには、低電位側の第1スイッチ素子31がオンしているときにブートダイオード51Aを介して第1電源部26Lから第1駆動回路24Bの駆動電圧が供給される。ブートコンデンサ52Aの端子間電圧は、ブートストラップによって、第1スイッチ素子32のオンに必要な電圧まで上昇する。抵抗回路60Bは、この上昇したブートコンデンサ52Aの第1端子の電圧よりも、抵抗回路60BのノードNBの電圧が低くなるように、第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値とが設定されている。これにより、ブートコンデンサ52Aに向けて抵抗回路60Bから電流が流れることを防止する。なお、ダイオード63Bは、ブートストラップによって上昇したブートコンデンサ52Aの第1端子から抵抗回路60Bに向かって電流が流れることを阻止する。
【0055】
抵抗回路60Cの低電位側の端子(接続ノード)は、ブートコンデンサ52Bの第2端子に接続されている。第1抵抗素子61と第2抵抗素子62との間のノードNCは、ダイオード63Cを介してブートコンデンサ52Bの第1端子に接続されている。ダイオード63Cは、抵抗回路60Cからブートコンデンサ52Bに向けて順方向に接続されている。つまり、ダイオード63Cのアノード端子は第1抵抗素子61と第2抵抗素子62との間のノードNCに接続されており、ダイオード63Cのカソード端子はブートコンデンサ52Bの第1端子に接続されている。第1抵抗素子61および第2抵抗素子62は、抵抗回路60Cの両端子間の電圧を、第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値とに応じて分圧する。第1抵抗素子61と第2抵抗素子62とによってノードNCに生じる分圧電圧は、ダイオード63Cを介してブートコンデンサ52Bに供給され、ブートコンデンサ52Bは充電される。
【0056】
ブートコンデンサ52Bは、第1駆動回路24Cの高電位電源端子24HCと低電位電源端子24LCとの間に接続されている。第1駆動回路24Cは、ブートコンデンサ52Bの端子間電圧を駆動電圧として動作可能となる。駆動電圧が供給される第1駆動回路24Cは、制御信号に基づいて、第1スイッチ素子33をオンオフする。したがって、初期充電回路60の抵抗回路60Cおよびダイオード63Cは、第1スイッチ素子33をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第1駆動回路24Cに供給するための回路である。
【0057】
上述したように、ブートコンデンサ52Bは、第1ブートストラップ回路50Bに含まれる。そして、ブートコンデンサ52Bは、スイッチング回路20Aが駆動する前、すなわち各スイッチ素子31~34,41~44が開状態(本実施形態では、各スイッチ素子31~34,41~44がオフ状態)において、第1入出力部22に印加される第1電圧V1に基づいて、抵抗回路60Cとダイオード63Cを介して、充電される。その後、スイッチング回路20Aが駆動し、各スイッチ素子31~34,41~44がオンオフ制御された状態において、ブートコンデンサ52Bには、低電位側の第1スイッチ素子31および第1スイッチ素子32がオンしているときにブートダイオード51Bを介して第1電源部26Lから第1駆動回路24Cの駆動電圧が供給される。ブートコンデンサ52Bの端子間電圧は、ブートストラップによって、第1スイッチ素子33のオンに必要な電圧まで上昇する。抵抗回路60Cは、この上昇したブートコンデンサ52Bの第1端子の電圧よりも、抵抗回路60CのノードNCの電圧が低くなるように、第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値とが設定されている。これにより、ブートコンデンサ52Bに向けて抵抗回路60Cから電流が流れることを防止する。なお、ダイオード63Cは、ブートストラップによって上昇したブートコンデンサ52Bの第1端子から抵抗回路60Cに向かって電流が流れることを阻止する。
【0058】
抵抗回路60Dの低電位側の端子(接続ノード)は、ブートコンデンサ52Cの第2端子に接続されている。第1抵抗素子61と第2抵抗素子62との間のノードNDは、ダイオード63Dを介してブートコンデンサ52Cの第1端子に接続されている。ダイオード63Dは、抵抗回路60Dからブートコンデンサ52Cに向けて順方向に接続されている。つまり、ダイオード63Dのアノード端子は第1抵抗素子61と第2抵抗素子62との間のノードNDに接続されており、ダイオード63Dのカソード端子はブートコンデンサ52Cの第1端子に接続されている。第1抵抗素子61および第2抵抗素子62は、抵抗回路60Dの両端子間の電圧を、第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値とに応じて分圧する。第1抵抗素子61と第2抵抗素子62とによってノードNDに生じる分圧電圧は、ダイオード63Dを介してブートコンデンサ52Cに供給され、ブートコンデンサ52Cは充電される。
【0059】
ブートコンデンサ52Cは、第1駆動回路24Dの高電位電源端子24HDと低電位電源端子24LDとの間に接続されている。第1駆動回路24Dは、ブートコンデンサ52Cの端子間電圧を駆動電圧として動作可能となる。駆動電圧が供給される第1駆動回路24Dは、制御信号に基づいて、第1スイッチ素子34をオンオフする。したがって、初期充電回路60の抵抗回路60Dおよびダイオード63Dは、第1スイッチ素子34をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第1駆動回路24Dに供給するための回路である。
【0060】
上述したように、ブートコンデンサ52Cは、第1ブートストラップ回路50Cに含まれる。そして、ブートコンデンサ52Cは、スイッチング回路20Aが駆動する前、すなわち各スイッチ素子31~34,41~44が開状態(本実施形態では、各スイッチ素子31~34,41~44がオフ状態)において、第1入出力部22に印加される第1電圧V1に基づいて、抵抗回路60Dとダイオード63Dを介して、充電される。その後、スイッチング回路20Aが駆動し、各スイッチ素子31~34,41~44がオンオフ制御された状態において、ブートコンデンサ52Cには、低電位側の第1スイッチ素子31~33がオンしているときにブートダイオード51Cを介して第1電源部26Lから第1駆動回路24Dの駆動電圧が供給される。ブートコンデンサ52Cの端子間電圧は、ブートストラップによって、第1スイッチ素子34のオンに必要な電圧まで上昇する。抵抗回路60Dは、この上昇したブートコンデンサ52Cの第1端子の電圧よりも、抵抗回路60DのノードNDの電圧が低くなるように、第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値とが設定されている。これにより、ブートコンデンサ52Cに向けて抵抗回路60Dから電流が流れることを防止する。なお、ダイオード63Dは、ブートストラップによって上昇したブートコンデンサ52Cの第1端子から抵抗回路60Dに向かって電流が流れることを阻止する。
【0061】
抵抗回路60Eの低電位側の端子(接続ノード)は、電荷蓄電素子26A(ブートコンデンサ26A)の第2端子に接続されている。第1抵抗素子61と第2抵抗素子62との間のノードNEは、ダイオード63Eを介して電荷蓄電素子26Aの第1端子に接続されている。ダイオード63Eは、抵抗回路60Eから電荷蓄電素子26Aに向けて順方向に接続されている。つまり、ダイオード63Eのアノード端子は第1抵抗素子61と第2抵抗素子62との間のノードNEに接続されており、ダイオード63Eのカソード端子は電荷蓄電素子26Aの第1端子に接続されている。第1抵抗素子61および第2抵抗素子62は、抵抗回路60Eの両端子間の電圧を、第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値とに応じて分圧する。第1抵抗素子61と第2抵抗素子62とによってノードNEに生じる分圧電圧は、ダイオード63Eを介して電荷蓄電素子26Aに供給され、電荷蓄電素子26Aは充電される。
【0062】
電荷蓄電素子26Aは、第2駆動回路25Aの高電位電源端子25HAと低電位電源端子25LAとの間に接続されている。第2駆動回路25Aは、電荷蓄電素子26Aの端子間電圧を駆動電圧として動作可能となる。駆動電圧が供給される第2駆動回路25Aは、制御信号に基づいて、第2スイッチ素子41をオンオフする。したがって、初期充電回路60の抵抗回路60Eおよびダイオード63Eは、第2スイッチ素子41をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第2駆動回路25Aに供給するための回路である。
【0063】
上述したように、電荷蓄電素子26Aは、スイッチング回路20Aが駆動する前、すなわち各スイッチ素子31~34,41~44が開状態(本実施形態では、各スイッチ素子31~34,41~44がオフ状態)において、第1入出力部22に印加される第1電圧V1に基づいて、抵抗回路60Eとダイオード63Eを介して、充電される。その後、スイッチング回路20Aが駆動し、各スイッチ素子31~34,41~44がオンオフ制御された状態において、電荷蓄電素子26Aには、低電位側の第1スイッチ素子31~34がオンしているときにダイオード26Bを介して電荷蓄電素子26Aから第2駆動回路25Aの駆動電圧が供給される。電荷蓄電素子26Aの端子間電圧は、ブートストラップによって、第2スイッチ素子41のオンに必要な電圧まで上昇する。抵抗回路60Eは、この上昇した電荷蓄電素子26Aの第1端子の電圧よりも、抵抗回路60EのノードNEの電圧が低くなるように、第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値とが設定されている。これにより、電荷蓄電素子26Aに向けて抵抗回路60Eから電流が流れることを防止する。なお、ダイオード63Eは、ブートストラップによって上昇した電荷蓄電素子26Aの第1端子から抵抗回路60Eに向かって電流が流れることを阻止する。
【0064】
抵抗回路60Fの低電位側の端子(接続ノード)は、ブートコンデンサ52Dの第2端子に接続されている。第1抵抗素子61と第2抵抗素子62との間のノードNFは、ダイオード63Fを介してブートコンデンサ52Dの第1端子に接続されている。ダイオード63Fは、抵抗回路60Fからブートコンデンサ52Dに向けて順方向に接続されている。つまり、ダイオード63Fのアノード端子は第1抵抗素子61と第2抵抗素子62との間のノードNFに接続されており、ダイオード63Fのカソード端子はブートコンデンサ52Dの第1端子に接続されている。第1抵抗素子61および第2抵抗素子62は、抵抗回路60Fの両端子間の電圧を、第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値とに応じて分圧する。第1抵抗素子61と第2抵抗素子62とによってノードNFに生じる分圧電圧は、ダイオード63Fを介してブートコンデンサ52Dに供給され、ブートコンデンサ52Dは充電される。
【0065】
ブートコンデンサ52Dは、第2駆動回路25Bの高電位電源端子25HBと低電位電源端子25LBとの間に接続されている。第2駆動回路25Bは、ブートコンデンサ52Dの端子間電圧を駆動電圧として動作可能となる。駆動電圧が供給される第2駆動回路25Bは、制御信号に基づいて、第2スイッチ素子42をオンオフする。したがって、初期充電回路60の抵抗回路60Fおよびダイオード63Fは、第2スイッチ素子42をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第2駆動回路25Bに供給するための回路である。
【0066】
上述したように、ブートコンデンサ52Dは、第2ブートストラップ回路50Dに含まれる。そして、ブートコンデンサ52Dは、スイッチング回路20Aが駆動する前、すなわち各スイッチ素子31~34,41~44が開状態(本実施形態では、各スイッチ素子31~34,41~44がオフ状態)において、第1入出力部22に印加される第1電圧V1に基づいて、抵抗回路60Fとダイオード63Fを介して、充電される。その後、スイッチング回路20Aが駆動し、各スイッチ素子31~34,41~44がオンオフ制御された状態において、ブートコンデンサ52Dには、低電位側の第2スイッチ素子41がオンしているときにブートダイオード51Dを介して電荷蓄電素子26Aから第2駆動回路25Bの駆動電圧が供給される。ブートコンデンサ52Dの端子間電圧は、ブートストラップによって、第2スイッチ素子42のオンに必要な電圧まで上昇する。抵抗回路60Fは、この上昇したブートコンデンサ52Dの第1端子の電圧よりも、抵抗回路60FのノードNFの電圧が低くなるように、第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値とが設定されている。これにより、ブートコンデンサ52Dに向けて抵抗回路60Fから電流が流れることを防止する。なお、ダイオード63Fは、ブートストラップによって上昇したブートコンデンサ52Dの第1端子から抵抗回路60Fに向かって電流が流れることを阻止する。
【0067】
抵抗回路60Gの低電位側の端子(接続ノード)は、ブートコンデンサ52Eの第2端子に接続されている。第1抵抗素子61と第2抵抗素子62との間のノードNGは、ダイオード63Gを介してブートコンデンサ52Eの第1端子に接続されている。ダイオード63Gは、抵抗回路60Gからブートコンデンサ52Eに向けて順方向に接続されている。つまり、ダイオード63Gのアノード端子は第1抵抗素子61と第2抵抗素子62との間のノードNGに接続されており、ダイオード63Gのカソード端子はブートコンデンサ52Eの第1端子に接続されている。第1抵抗素子61および第2抵抗素子62は、抵抗回路60Gの両端子間の電圧を、第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値とに応じて分圧する。第1抵抗素子61と第2抵抗素子62とによってノードNGに生じる分圧電圧は、ダイオード63Gを介してブートコンデンサ52Eに供給され、ブートコンデンサ52Eは充電される。
【0068】
ブートコンデンサ52Eは、第2駆動回路25Cの高電位電源端子25HCと低電位電源端子25LCとの間に接続されている。第2駆動回路25Cは、ブートコンデンサ52Eの端子間電圧を駆動電圧として動作可能となる。駆動電圧が供給される第2駆動回路25Cは、制御信号に基づいて、第2スイッチ素子43をオンオフする。したがって、初期充電回路60の抵抗回路60Gおよびダイオード63Gは、第2スイッチ素子43をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第2駆動回路25Cに供給するための回路である。
【0069】
上述したように、ブートコンデンサ52Eは、第2ブートストラップ回路50Eに含まれる。そして、ブートコンデンサ52Eは、スイッチング回路20Aが駆動する前、すなわち各スイッチ素子31~34,41~44が開状態(本実施形態では、各スイッチ素子31~34,41~44がオフ状態)において、第1入出力部22に印加される第1電圧V1に基づいて、抵抗回路60Gとダイオード63Gを介して、充電される。その後、スイッチング回路20Aが駆動し、各スイッチ素子31~34,41~44がオンオフ制御された状態において、ブートコンデンサ52Eには、低電位側の第2スイッチ素子41および第2スイッチ素子42がオンしているときにブートダイオード51Eを介して電荷蓄電素子26Aから第2駆動回路25Dの駆動電圧が供給される。ブートコンデンサ52Eの端子間電圧は、ブートストラップによって、第2スイッチ素子43のオンに必要な電圧まで上昇する。抵抗回路60Gは、この上昇したブートコンデンサ52Eの第1端子の電圧よりも、抵抗回路60GのノードNGの電圧が低くなるように、第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値とが設定されている。これにより、ブートコンデンサ52Eに向けて抵抗回路60Gから電流が流れることを防止する。なお、ダイオード63Gは、ブートストラップによって上昇したブートコンデンサ52Eの第1端子から抵抗回路60Gに向かって電流が流れることを阻止する。
【0070】
抵抗回路60Hの低電位側の端子(接続ノード)は、ブートコンデンサ52Fの第2端子に接続されている。第1抵抗素子61と第2抵抗素子62との間のノードNHは、ダイオード63Hを介してブートコンデンサ52Fの第1端子に接続されている。ダイオード63Hは、抵抗回路60Hからブートコンデンサ52Fに向けて順方向に接続されている。つまり、ダイオード63Hのアノード端子は第1抵抗素子61と第2抵抗素子62との間のノードNHに接続されており、ダイオード63Hのカソード端子はブートコンデンサ52Fの第1端子に接続されている。第1抵抗素子61および第2抵抗素子62は、抵抗回路60Hの両端子間の電圧を、第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値とに応じて分圧する。第1抵抗素子61と第2抵抗素子62とによってノードNHに生じる分圧電圧は、ダイオード63Hを介してブートコンデンサ52Fに供給され、ブートコンデンサ52Fは充電される。
【0071】
ブートコンデンサ52Fは、第2駆動回路25Dの高電位電源端子25HDと低電位電源端子25LDとの間に接続されている。第2駆動回路25Dは、ブートコンデンサ52Fの端子間電圧を駆動電圧として動作可能となる。駆動電圧が供給される第2駆動回路25Dは、制御信号に基づいて、第2スイッチ素子44をオンオフする。したがって、初期充電回路60の抵抗回路60Hおよびダイオード63Hは、第2スイッチ素子44をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第2駆動回路25Dに供給するための回路である。
【0072】
上述したように、ブートコンデンサ52Fは、第2ブートストラップ回路50Fに含まれる。そして、ブートコンデンサ52Fは、スイッチング回路20Aが駆動する前、すなわち各スイッチ素子31~34,41~44が開状態(本実施形態では、各スイッチ素子31~34,41~44がオフ状態)において、第1入出力部22に印加される第1電圧V1に基づいて、抵抗回路60Hとダイオード63Hを介して、充電される。その後、スイッチング回路20Aが駆動し、各スイッチ素子31~34,41~44がオンオフ制御された状態において、ブートコンデンサ52Fには、低電位側の第2スイッチ素子41~43がオンしているときにブートダイオード51Fを介して電荷蓄電素子26Aから第2駆動回路25Dの駆動電圧が供給される。ブートコンデンサ52Fの端子間電圧は、ブートストラップによって、第2スイッチ素子44のオンに必要な電圧まで上昇する。抵抗回路60Hは、この上昇したブートコンデンサ52Fの第1端子の電圧よりも、抵抗回路60HのノードNHの電圧が低くなるように、第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値とが設定されている。これにより、ブートコンデンサ52Fに向けて抵抗回路60Hから電流が流れることを防止する。なお、ダイオード63Hは、ブートストラップによって上昇したブートコンデンサ52Fの第1端子から抵抗回路60Hに向かって電流が流れることを阻止する。
【0073】
次に、電力変換装置20の動作について説明する。
【0074】
制御部13は、たとえば電力変換装置20の駆動を第1動作で制御する。なお、制御部13における動作は、後述する比較例のスイッチング回路における第1動作と同じであるため、「第1動作」として説明している。
【0075】
一例では、制御部13は、第1動作として、スイッチング回路20Aにおける第1スイッチ素子31~34の動作を同期させ、第2スイッチ素子41~44の動作を同期させ、かつ第1スイッチ素子31~34と第2スイッチ素子41~44とを相補的にオンオフさせる。換言すると、制御部13は、第1動作として、スイッチング回路20Aにおける第1スイッチ素子31~34を同時にオンオフさせ、第2スイッチ素子41~44を同時にオンオフさせ、かつ第1スイッチ素子31~34と第2スイッチ素子41~44とを相補的にオンオフさせる。ここで、相補的とは、第1スイッチ素子31~34が同時にオフになった後に、第2スイッチ素子41~44が同時にオンする、もしくは、第1スイッチ素子31~34が同時にオンとなる前に第2スイッチ素子41~44が同時にオフする動作を示す。また、第1スイッチ素子31~34の動作と第2スイッチ素子41~44の動作との間に、各スイッチ素子31~34,41~44がオフとなるデッドタイムが設けられている。このように、第1動作は、電力変換装置20による電力変換動作である。すなわち、電力変換装置20が第1動作を行うことによって、高圧直流バス14の直流電力を、蓄電装置3に充電される直流電力に変換したり、蓄電装置3から放電される直流電力を、高圧直流バス14に応じた設定電圧の直流電力に変換したりする。
【0076】
本実施形態では、第1動作において、たとえば第1スイッチ回路30の各第1スイッチ素子31~34がオフ、第2スイッチ回路40の各第2スイッチ素子41~44がオンしているとき、第1スイッチ回路30のノードN1,N2,N3の電圧は、それぞれV1×1/4,V1×2/4,V1×3/4となる。ブートコンデンサ52Aは、第1電源部26Lによって充電されているため、ブートコンデンサ52Aの端子間電圧は、第1電源部26Lの端子間電圧V26Lと等しい。したがって、第1動作におけるブートコンデンサ52Aの第1端子における電圧は、ノードN1の電圧に、第1電源部26Lの端子間電圧V26Lを加えた電圧(=V1×1/4+V26L)となる。そして、抵抗回路60Bにおいて、ノードNBの電圧は、ノードN1の電圧に、第1抵抗素子61の端子間電圧を加えた電圧となる。したがって、第1抵抗素子61の端子間電圧を、第1電源部26Lの端子間電圧V26Lよりも小さくすることによって、ブートコンデンサ52Aの第1端子から抵抗回路60Bに向かって流れる電流を阻止することができる。また、ブートコンデンサ52Bは、第1電源部26Lによって充電されているため、ブートコンデンサ52Bの端子間電圧は、第1電源部26Lの端子間電圧V26Lと等しい。したがって、第1動作におけるブートコンデンサ52Bの第1端子における電圧は、ノードN2の電圧に、第1電源部26Lの端子間電圧V26Lを加えた電圧(=V1×1/2+V26L)となる。そして、抵抗回路60Cにおいて、ノードNCの電圧は、ノードN2の電圧に、第1抵抗素子61の端子間電圧を加えた電圧となる。したがって、第1抵抗素子61の端子間電圧を、第1電源部26Lの端子間電圧V26Lよりも小さくすることによって、ブートコンデンサ52Bの第1端子から抵抗回路60Cに向かって流れる電流を阻止することができる。また、ブートコンデンサ52Cは、第1電源部26Lによって充電されているため、ブートコンデンサ52Bの端子間電圧は、第1電源部26Lの端子間電圧V26Lと等しい。したがって、第1動作におけるブートコンデンサ52Cの第1端子における電圧は、ノードN3の電圧に、第1電源部26Lの端子間電圧V26Lを加えた電圧(=V1×3/4+V26L)となる。そして、抵抗回路60Dにおいて、ノードNDの電圧は、ノードN3の電圧に、第1低控訴し61の端子間電圧を加えた電圧となる。したがって、第1抵抗素子61の端子間電圧を、第1電源部26Lの端子間電圧V26Lよりも小さくすることによって、ブートコンデンサ52Cの第1端子から抵抗回路60Dに向かって流れる電流を阻止することができる。
【0077】
また、第1動作において、たとえば第1スイッチ回路30の各第1スイッチ素子31~34がオン、第2スイッチ回路40の各第2スイッチ素子41~44がオフしているとき、第2スイッチ回路40のノードN4,N5,N6の電圧は、それぞれV2×1/4,V2×2/4,V2×3/4となる。ブートコンデンサ52Dは、第2電源部26Hによって充電されているため、ブートコンデンサ52Dの端子間電圧は、第2電源部26Hの電荷蓄電素子26Aの端子間電圧V26Aと等しい。したがって、第1動作におけるブートコンデンサ52Dの第1端子における電圧は、ノードN4の電圧に、電荷蓄電素子26Aの端子間電圧V26Aを加えた電圧(=V2×1/4+V26A)となる。そして、抵抗回路60Fにおいて、ノードNFの電圧は、ノードN4の電圧に、第1抵抗素子61の端子間電圧を加えた電圧となる。したがって、第1抵抗素子61の端子間電圧を、第2電源部26Hの端子間電圧(電荷蓄電素子26Aの端子間電圧V26A)よりも小さくすることによって、ブートコンデンサ52Dの第1端子から抵抗回路60Fに向かって流れる電流を阻止することができる。また、ブートコンデンサ52Eは、第2電源部26Hによって充電されているため、ブートコンデンサ52Eの端子間電圧は、第2電源部26Hの電荷蓄電素子26Aの端子間電圧V26Aと等しい。したがって、第1動作におけるブートコンデンサ52Eの第1端子における電圧は、ノードN5の電圧に、電荷蓄電素子26Aの端子間電圧V26Aを加えた電圧(=V2×1/2+V26A)となる。そして、抵抗回路60Gにおいて、ノードNFの電圧は、ノードN5の電圧に、第1抵抗素子61の端子間電圧を加えた電圧となる。したがって、第1抵抗素子61の端子間電圧を、第2電源部26Hの端子間電圧(電荷蓄電素子26Aの端子間電圧V26A)よりも小さくすることによって、ブートコンデンサ52Eの第1端子から抵抗回路60Gに向かって流れる電流を阻止することができる。また、ブートコンデンサ52Fは、第2電源部26Hによって充電されているため、ブートコンデンサ52Fの端子間電圧は、第2電源部26Hの電荷蓄電素子26Aの端子間電圧V26Aと等しい。したがって、第1動作におけるブートコンデンサ52Fの第1端子における電圧は、ノードN6の電圧に、電荷蓄電素子26Aの端子間電圧V26Aを加えた電圧(=V2×3/4+V26A)となる。そして、抵抗回路60Hにおいて、ノードNHの電圧は、ノードN6の電圧に、第1抵抗素子61の端子間電圧を加えた電圧となる。したがって、第1抵抗素子61の端子間電圧を、第2電源部26Hの端子間電圧(電荷蓄電素子26Aの端子間電圧V26A)よりも小さくすることによって、ブートコンデンサ52Fの第1端子から抵抗回路60Hに向かって流れる電流を阻止することができる。
【0078】
本実施形態の電力変換装置20は、一対の第1入出力部22に接続された初期充電回路60を有している。初期充電回路60は、第1入出力部22に第1電圧V1が印加されているとき、第1電圧V1に基づいて、各ブートコンデンサ52A~52F,26Aを一斉に充電する。この充電を「第2動作」とする。第2動作は、第1動作を実行するために行われる動作であり、第1動作に先立って行われる。
【0079】
本実施形態の電力変換装置20の一実行態様について、図3図6を用いて説明する。
【0080】
図3の時刻t11において第1電圧V1が電力変換装置20に印加される。そして、時刻t12において、制御部13によって電力変換装置20が起動される。したがって、図3に示すように、時刻t11~t12の期間において電力変換装置20の第2動作が実施され、時刻t12以降において電力変換装置20が第1動作する。
【0081】
まず、各スイッチ素子31~34,41~44はいずれもオフ状態である。時刻t11において第1入出力部22に第1電圧V1が印加されると、図4に示すように、第1電圧V1が抵抗回路60A~60Fによって分圧され、各スイッチ素子31~34,41~44に印加される。本実施形態では、第1電圧V1は360Vである。このため、各抵抗回路60A~60Hの端子間電圧は、45Vである。また、本実施形態では、抵抗回路60A~60Fにおける第1抵抗素子61の端子間電圧は10Vであり、第2抵抗素子62の端子間電圧は35Vである。すなわち、第1抵抗素子61および第2抵抗素子62の端子間電圧の関係が上記の端子間電圧の関係となるように、第1抵抗素子61の抵抗値および第2抵抗素子62の抵抗値がそれぞれ設定されている。
【0082】
その結果、各ブートストラップ回路50A~50Fのブートコンデンサ52A~52Fおよび第2電源部26Hの電荷蓄電素子26Aが一斉に充電される。
【0083】
具体的には、抵抗回路60Bの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNBに生じる分圧電圧)が第1ブートストラップ回路50Aのブートコンデンサ52Aに供給される。これにより、抵抗回路60Bの第1抵抗素子61およびダイオード63Bを介して第1ブートストラップ回路50Aのブートコンデンサ52Aが充電される。ブートコンデンサ52Aは、時刻t11において充電が開始され、抵抗回路60Bの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNBに生じる分圧電圧)まで充電される。抵抗回路60Cの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNCに生じる分圧電圧)が第1ブートストラップ回路50Bのブートコンデンサ52Bに供給される。これにより、抵抗回路60Cの第1抵抗素子61およびダイオード63Cを介して第1ブートストラップ回路50Bのブートコンデンサ52Bが充電される。ブートコンデンサ52Bは、時刻t11において充電が開始され、抵抗回路60Cの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNCに生じる分圧電圧)まで充電される。抵抗回路60Dの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNDに生じる分圧電圧)が第1ブートストラップ回路50Cのブートコンデンサ52Cに供給される。これにより、抵抗回路60Dの第1抵抗素子61およびダイオード63Dを介して第1ブートストラップ回路50Cのブートコンデンサ52Cが充電される。ブートコンデンサ52Cは、時刻t11において充電が開始され、抵抗回路60Dの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNDに生じる分圧電圧)まで充電される。
【0084】
また、抵抗回路60Eの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNEに生じる分圧電圧)が電荷蓄電素子26Aに供給される。これにより、抵抗回路60Eの第1抵抗素子61およびダイオード63Eを介して第2電源部26Hの電荷蓄電素子26Aが充電される。電荷蓄電素子26Aは、時刻t11において充電が開始され、抵抗回路60Eの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNEに生じる分圧電圧)まで充電される。抵抗回路60Fの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNFに生じる分圧電圧)が第2ブートストラップ回路50Dのブートコンデンサ52Dに供給される。これにより、抵抗回路60Fの第1抵抗素子61およびダイオード63Fを介して第2ブートストラップ回路50Dのブートコンデンサ52Dが充電される。ブートコンデンサ52Dは、時刻t11において充電が開始され、抵抗回路60Fの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNFに生じる分圧電圧)まで充電される。抵抗回路60Gの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNGに生じる分圧電圧)が第2ブートストラップ回路50Eのブートコンデンサ52Eに供給される。これにより、抵抗回路60Gの第1抵抗素子61およびダイオード63Gを介して第2ブートストラップ回路50Eのブートコンデンサ52Eが充電される。ブートコンデンサ52Eは、時刻t11において充電が開始され、抵抗回路60Gの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNGに生じる分圧電圧)まで充電される。抵抗回路60Hの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNHに生じる分圧電圧)が第2ブートストラップ回路50Fのブートコンデンサ52Fに供給される。これにより、抵抗回路60Hの第1抵抗素子61およびダイオード63Hを介して第2ブートストラップ回路50Fのブートコンデンサ52Fが充電される。ブートコンデンサ52Fは、時刻t11において充電が開始され、抵抗回路60Hの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNHに生じる分圧電圧)まで充電される。
【0085】
次に、時刻t12において電力変換装置20が起動されると、図3に示すように、制御部13によって第1動作が実施される。
【0086】
時刻t12において第1スイッチ素子31~34がオンし、時刻t13において第1スイッチ素子31~34がオフする。時刻t12~t13の期間は、第1動作における第1スイッチ素子31~34の周期的なオンオフ制御のオン期間である。また時刻t12~t13において、第1スイッチ素子31~34がオンすることによって、図5に示すように、第1電源部26Lによって第1ブートストラップ回路50A~50Cのブートコンデンサ52A~52Cおよび第2電源部26Hの電荷蓄電素子26Aが充電される。ブートコンデンサ52A~52Cおよび電荷蓄電素子26Aはそれぞれ、時刻t12において各第1スイッチ素子31~34がオンすることによって充電され、第1電源部26Lの端子間電圧V26Lまで充電される。なお、「端子間電圧V26Lまで充電される」とは、各抵抗回路60B~60Hにおける端子間電圧によって充電される電圧よりも高く、第1電源部26Lの端子間電圧V26L以下の電圧まで充電されることを意図している。
【0087】
図3に示すように、時刻t14において第2スイッチ素子41~44がオンし、時刻t15において第2スイッチ素子41~44がオフする。時刻t14~t15の期間は、第1動作における第2スイッチ素子41~44の周期的なオンオフ制御のオン期間である。また時刻t14~t15において、第2スイッチ素子41~44がオンすることによって、図6に示すように、第2電源部26Hの電荷蓄電素子26Aによって第2ブートストラップ回路50D~50Fのブートコンデンサ52D~52Fが充電される。ブートコンデンサ52D~52Fはそれぞれ、時刻t14において各第2スイッチ素子41~44がオンすることによって再び充電され、電荷蓄電素子26Aの端子間電圧V26Aまで充電される。なお、「端子間電圧V26Aまで充電される」とは、各抵抗回路60B~60Hにおける端子間電圧によって充電される電圧よりも高く、電荷蓄電素子26Aの端子間電圧V26A以下の電圧まで充電されることを意図している。この場合、電荷蓄電素子26Aの端子間電圧V26Aは、各抵抗回路60B~60Hにおける端子間電圧によって充電される電圧よりも高く、たとえば第1電源部26Lの端子間電圧V26Lと等しい。
【0088】
このように、第1スイッチ素子31~34のオン期間においてブートコンデンサ52A~52Cおよび電荷蓄電素子26Aが充電され、第2スイッチ素子41~44のオン期間においてブートコンデンサ52D~52Fが充電されるため、第1動作開始後には、初期充電回路60からブートコンデンサ52A~52Fおよび電荷蓄電素子26Aに充電されることはなくなる。
【0089】
(作用)
本実施形態の作用について説明する。
【0090】
図7は、比較例のスイッチング回路を備える電力変換装置(以下、「比較例の電力変換装置」)の動作を示すタイムチャートである。比較例のスイッチング回路は、スイッチング回路20Aから初期充電回路60を省略した構成である。比較例の電力変換装置では、第1動作が本実施形態の第1動作と同じであり、第2動作が本実施形態の第2動作と異なる。なお、比較例のスイッチング回路において、スイッチング回路20Aと共通する構成要素には同一符号を用いて、その説明を省略する。
【0091】
図7に示すように、比較例のスイッチング回路においては、時刻t21~t29の期間において第2動作が実施される。
【0092】
比較例のスイッチング回路の制御部(以下、単に「比較例の制御部」)は、時刻t21において第1スイッチ素子31のみをオンする。このとき、第1スイッチ素子31を通じて第1スイッチ素子32のソースと第1電線21Lとが同じ電位となるため、第1電源部26Lによって第1ブートストラップ回路50Aのブートコンデンサ52Aが充電される。このため、ブートコンデンサ52Aの電位が時刻t21から時間の経過とともに上昇し、ブートコンデンサ52Aが第1電源部26Lの端子間電圧まで充電される。
【0093】
比較例の制御部は、時刻t22において第1スイッチ素子32をオンする。このとき、第1スイッチ素子31はオン状態が維持されている。第1スイッチ素子32がオンすることによって、第1スイッチ素子31および第1スイッチ素子32を通じて第1スイッチ素子33のソースと第1電線21Lとが同じ電位となる。このため、第1電源部26Lによって第1ブートストラップ回路50Bのブートコンデンサ52Bが充電される。これにより、ブートコンデンサ52Bの電位が時刻t22から時間の経過とともに上昇し、ブートコンデンサ52Bが第1電源部26Lの端子間電圧まで充電される。
【0094】
比較例の制御部は、時刻t23において第1スイッチ素子33をオンする。このとき、第1スイッチ素子31,32はオン状態が維持されている。第1スイッチ素子33がオンすることによって、第1スイッチ素子31~33を通じて第1スイッチ素子34のソースと第1電線21Lとが同じ電位となる。このため、第1電源部26Lによって第1ブートストラップ回路50Cのブートコンデンサ52Cが充電される。これにより、ブートコンデンサ52Cの電位が時刻t23から時間の経過とともに上昇し、ブートコンデンサ52Cが第1電源部26Lの端子間電圧まで充電される。
【0095】
比較例の制御部は、時刻t24において第1スイッチ素子34をオンする。このとき、第1スイッチ素子31~33はオン状態が維持されている。第1スイッチ素子34がオンすることによって、第1スイッチ素子31~34を通じて第2スイッチ素子41のソースと第1電線21Lとが同じ電位となる。このため、第1電源部26Lによって電荷蓄電素子26Aが充電される。これにより、電荷蓄電素子26Aの電位が時刻t24から時間の経過とともに上昇し、電荷蓄電素子26Aが第1電源部26Lの端子間電圧まで充電される。
【0096】
比較例の制御部は、時刻t25において第1スイッチ素子31~34をオフし、時刻t26において第2スイッチ素子41をオンする。このとき、第2スイッチ素子41を通じて第2スイッチ素子42のソースとノードNとが同じ電位となる。このため、電荷蓄電素子26Aによって第2ブートストラップ回路50Dのブートコンデンサ52Dが充電される。このため、ブートコンデンサ52Dの電位が時刻t26から時間の経過とともに上昇し、ブートコンデンサ52Dが第1電源部26Lの端子間電圧まで充電される。
【0097】
比較例の制御部は、時刻t27において第2スイッチ素子42をオンする。このとき、第2スイッチ素子41はオン状態が維持されている。第2スイッチ素子42がオンすることによって、第2スイッチ素子41,42を通じて第2スイッチ素子43のソースとノードNとが同じ電位となる。このため、電荷蓄電素子26Aによって第2ブートストラップ回路50Eのブートコンデンサ52Eが充電される。これにより、ブートコンデンサ52Eの電位が時刻t27から時間の経過とともに上昇し、ブートコンデンサ52Eが第1電源部26Lの端子間電圧まで充電される。
【0098】
比較例の制御部は、時刻t28において第2スイッチ素子43をオンする。このとき、第2スイッチ素子41,42はオン状態が維持されている。第2スイッチ素子43がオンすることによって、第2スイッチ素子41~43を通じて第2スイッチ素子44のソースとノードNとが同じ電位となる。このため、電荷蓄電素子26Aによって第2ブートストラップ回路50Fのブートコンデンサ52Fが充電される。これにより、ブートコンデンサ52Fの電位が時刻t28から時間の経過とともに上昇し、ブートコンデンサ52Fが第1電源部26Lの端子間電圧まで充電される。そして時刻t29においては、ブートコンデンサ52A~52F,26Aがそれぞれ、第1電源部26Lの端子間電圧まで充電されている。その後、比較例の制御部は、第1動作で比較例の電力変換装置を動作させる。
【0099】
このように、比較例の電力変換装置では、第1動作を行う前の第2動作において、第1ブートストラップ回路50A~50Cのブートコンデンサ52A~52Cを順に充電し、第2ブートストラップ回路50D~50Fのブートコンデンサ52D~52Fを順に充電している。このため、第2動作の期間(時刻t21~時刻t29)が長くなり、比較例の電力変換装置を速やかに第1動作で動作させることができない。
【0100】
その点、本実施形態では、図3および図4に示すように、初期充電回路60によって各ブートストラップ回路50A~50Fのブートコンデンサ52A~52Fを一斉に充電するため、比較例の電力変換装置と比較して、制御部13は、比較例のような第2動作を行うことなく、第1動作を行うことができる。したがって、電力変換装置20を速やかに第1動作で動作させることができる。
【0101】
(効果)
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0102】
(1-1)スイッチング回路20Aは、初期充電回路60を備えている。この構成によれば、第2動作において第1入出力部22に第1電圧V1が印加されることによって、各ブートストラップ回路50A~50Fのブートコンデンサ52A~52Fが一斉に充電される。これにより、第1スイッチ回路30および第2スイッチ回路40がそれぞれ第1動作を可能な状態となることができるため、電力変換装置20は、起動後に速やかに各スイッチ素子31~34,41~44を同期動作させて電力変換動作を行うことができる。
【0103】
(1-2)制御部13が電力変換装置20を第1動作で動作させている場合に、第1電源部26Lの端子間電圧よりも、抵抗回路60B~60Dの第1抵抗素子61の端子間電圧が小さい。この構成によれば、電力変換装置20が第1動作で動作している期間において第1ブートストラップ回路50A~50Cのブートコンデンサ52A~52Cは第1電源部26Lから充電される。すなわち、抵抗回路60B~60Dの各第1抵抗素子61およびダイオード63B~63Dを介してブートコンデンサ52A~52Cが充電されることを抑制できる。一対の第1入出力部22に接続された複数の抵抗回路60A~60Hを構成する第1抵抗素子61および第2抵抗素子62は高抵抗素子であるため、第1入出力部22に定常的に流れる電流は極めて小さい。ダイオード63B~63Dを介してブートコンデンサ52A~52Cが充電されると、その分、無駄な電流が流れ、スイッチング回路20Aの損失が増加する。したがって、電力変換装置20が第1動作で動作している場合におけるスイッチング回路20Aの損失を低減できる。
【0104】
(1-3)制御部13が電力変換装置20を第1動作で動作させている場合に、第2電源部26Hの端子間電圧は、抵抗回路60F~60Hの第1抵抗素子61の端子間電圧よりも大きい。この構成によれば、電力変換装置20が第1動作で動作している期間において第2ブートストラップ回路50D~50Fのブートコンデンサ52D~52Fは第2電源部26Hの電荷蓄電素子26Aから充電される。すなわち、抵抗回路60E~60Hの各第1抵抗素子61およびダイオード63E~63Hを介してブートコンデンサ52D~52Fが充電されることを抑制できる。したがって、電力変換装置20が第1動作で動作している場合におけるスイッチング回路20Aの損失を低減できる。
【0105】
(1-4)制御部13は、第1動作よりも前に第2動作が実施されることによって各ブートストラップ回路50A~50Fのブートコンデンサ52A~52Fが充電されるため、各スイッチ素子31~34,41~44をオンできる。より具体的には、たとえば第1スイッチ素子31~34を同時にオンできる。また第2スイッチ素子41~44を同時にオンできる。
【0106】
(1-5)電荷蓄電素子26Aの静電容量は、第2ブートストラップ回路50D~50Fのブートコンデンサ52D~52Fの静電容量のそれぞれよりも大きい。この構成によれば、電荷蓄電素子26Aによって、ブートコンデンサ52D~52Fをそれぞれ、第1電源部26Lの端子間電圧V26Lまで充電することができる。
【0107】
[第2実施形態]
図8図19を参照して、第2実施形態のスイッチング回路20Bについて説明する。本実施形態のスイッチング回路20Bは、第1実施形態のスイッチング回路20Aと比較して、電源回路26の一部の構成および3レベルコンバータとして動作する点が主に異なる。以下の説明において、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0108】
図8に示すように、スイッチング回路20Bは、低電位側の第1スイッチ回路30および高電位側の第2スイッチ回路40を有している。本実施形態のスイッチ素子31~34,41~44の構成および接続態様は第1実施形態と同様である。一方、本実施形態では、スイッチ素子31~34,41~44の区分の仕方が第1実施形態とは異なる。
【0109】
第1スイッチ回路30は、n個(ただし、nは2以上の整数、本実施形態では4個)のスイッチ素子が直列接続された第1スイッチ群30Aおよび第2スイッチ群30Bが第1スイッチ群30Aおよび第2スイッチ群30Bの順で、一対の第2入出力部23間に直列接続されている。換言すると、第1スイッチ群30Aおよび第2スイッチ群30Bは、第1スイッチ群30Aおよび第2スイッチ群30Bの順で、第1電線21Lと第3電線21Mとの間に直列接続されている。本実施形態では、第1スイッチ群30Aは、第1スイッチ素子31および第1スイッチ素子32の2個のスイッチ素子が直列接続されて構成されている。第2スイッチ群30Bは、第1スイッチ素子33および第1スイッチ素子34の2個のスイッチ素子が直列接続されて構成されている。
【0110】
第2スイッチ回路40は、n個(ただし、nは2以上の整数、本実施形態では4個)のスイッチ素子が直列接続された第3スイッチ群40Aおよび第4スイッチ群40Bが第3スイッチ群40Aおよび第4スイッチ群40Bの順で、一対の第2入出力部23のうち高電位側と一対の第1入出力部22のうち高電位側との間に直列接続されている。換言すると、第3スイッチ群40Aおよび第4スイッチ群40Bは、第3スイッチ群40Aおよび第4スイッチ群40Bの順で、第2電線21Hと第3電線21Mとの間に直列接続されている。本実施形態では、第3スイッチ群40Aは、第2スイッチ素子41および第2スイッチ素子42の2個のスイッチ素子が直列接続されて構成されている。第4スイッチ群40Bは、第2スイッチ素子43および第2スイッチ素子44が直列接続されて構成されている。
【0111】
電源回路26は、第1電源部26Lと、複数(本実施形態では7個)のブートストラップ回路70A~70Gと、を有している。すなわち本実施形態では、第2電源部26Hとしてブートストラップ回路が設けられている。第1電源部26Lは、第1実施形態と同様の構成であり、低電位側の第1駆動回路24Aに電力を供給する。ブートストラップ回路70A~70Gは、第1電源部26Lの電力(電圧)に基づいて第1駆動回路24B~24Dおよび第2駆動回路25A~25Dに電力(電圧)を供給する。ブートストラップ回路70A~70Gは、同じ構成であり、ブートダイオード71A~71Gと、ブートコンデンサ72A~72Gと、を有している。
【0112】
ブートストラップ回路70Aは、第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子32をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第1駆動回路24Bに供給するための回路である。ブートストラップ回路70Aは、第1電源部26Lのプラス端子と、第1駆動回路24Bとの間に接続されている。
【0113】
ブートストラップ回路70Aのブートダイオード71Aのアノード端子は、第1電源部26Lのプラス端子に接続されており、ブートダイオード71Aのカソード端子は、第1駆動回路24Bの高電位電源端子24HBに接続されている。ブートストラップ回路70Aのブートコンデンサ72Aの第1端子は、ブートダイオード71Aのカソード端子および第1駆動回路24Bの高電位電源端子24HBに接続されており、ブートコンデンサ72Aの第2端子は、第1駆動回路24Bの低電位電源端子24LBに接続されている。
【0114】
ブートストラップ回路70Bは、第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第1駆動回路24Cに供給するための回路である。ブートストラップ回路70Bは、第1電源部26Lのプラス端子と、第1駆動回路24Cとの間に接続されている。
【0115】
ブートストラップ回路70Bのブートダイオード71Bのアノード端子は、第1電源部26Lのプラス端子に接続されており、ブートダイオード71Bのカソード端子は、第1駆動回路24Cの高電位電源端子24HCに接続されている。ブートストラップ回路70Bのブートコンデンサ72Bの第1端子は、ブートダイオード71Bのカソード端子および第1駆動回路24Cの高電位電源端子24HCに接続されており、ブートコンデンサ72Bの第2端子は、第1駆動回路24Cの低電位電源端子24LCに接続されている。
【0116】
ブートストラップ回路70Cは、第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子34をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第1駆動回路24Dに供給するための回路である。ブートストラップ回路70Cは、ブートストラップ回路70Bと、第1駆動回路24Dとの間に接続されている。
【0117】
ブートストラップ回路70Cのブートダイオード71Cのアノード端子は、ブートダイオード71Bのカソード端子に接続されており、ブートダイオード71Cのカソード端子は、第1駆動回路24Dの高電位電源端子24HDに接続されている。ブートストラップ回路70Cのブートコンデンサ72Cの第1端子は、ブートダイオード71Cのカソード端子および第1駆動回路24Dの高電位電源端子24HDに接続されており、ブートコンデンサ72Cの第2端子は、第1駆動回路24Dの低電位電源端子24LDに接続されている。
【0118】
ブートストラップ回路70Dは、第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第2駆動回路25Aに供給するための回路である。ブートストラップ回路70Cは、ブートストラップ回路70Bと、第2駆動回路25Aとの間に接続されている。
【0119】
ブートストラップ回路70Dのブートダイオード71Dのアノード端子は、ブートダイオード71Bのカソード端子に接続されており、ブートダイオード71Dのカソード端子は、第2駆動回路25Aの高電位電源端子25HAに接続されている。ブートストラップ回路70Dのブートコンデンサ72Dの第1端子は、ブートダイオード71Dのカソード端子および第2駆動回路25Aの高電位電源端子25HAに接続されており、ブートコンデンサ72Dの第2端子は、第2駆動回路25Aの低電位電源端子25LAに接続されている。
【0120】
ブートストラップ回路70Eは、第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子42をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第2駆動回路25Bに供給するための回路である。ブートストラップ回路70Eは、ブートストラップ回路70Bと、第2駆動回路25Bとの間に接続されている。
【0121】
ブートストラップ回路70Eのブートダイオード71Eのアノード端子は、ブートダイオード71Dのカソード端子およびブートコンデンサ72Dの第1端子に接続されており、ブートダイオード71Eのカソード端子は、第2駆動回路25Bの高電位電源端子25HBに接続されている。ブートストラップ回路70Eのブートコンデンサ72Eの第1端子は、ブートダイオード71Eのカソード端子および第2駆動回路25Bの高電位電源端子25HBに接続されており、ブートコンデンサ72Eの第2端子は、第2駆動回路25Cの低電位電源端子25LCに接続されている。
【0122】
ブートストラップ回路70Fは、第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第2駆動回路25Cに供給するための回路である。ブートストラップ回路70Fは、ブートストラップ回路70Dと、第2駆動回路25Cとの間に接続されている。
【0123】
ブートストラップ回路70Fのブートダイオード71Fのアノード端子は、ブートダイオード71Dのカソード端子およびブートコンデンサ72Eの第1端子に接続されており、ブートダイオード71Fのカソード端子は、第2駆動回路25Cの高電位電源端子25HCに接続されている。ブートストラップ回路70Fのブートコンデンサ72Fの第1端子は、ブートダイオード71Eのカソード端子および第2駆動回路25Cの高電位電源端子25HCに接続されており、ブートコンデンサ72Fの第2端子は、第2駆動回路25Dの低電位電源端子25LDに接続されている。
【0124】
ブートストラップ回路70Gは、第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子44をオンさせるために必要な電圧(駆動電圧)を、第2駆動回路25Dに供給するための回路である。ブートストラップ回路70Gは、ブートストラップ回路70Fと、第2駆動回路25Dとの間に接続されている。
【0125】
ブートストラップ回路70Gのブートダイオード71Gのアノード端子は、ブートダイオード71Fのカソード端子に接続されており、ブートダイオード71Gのカソード端子は、第2駆動回路25Dの高電位電源端子25HDに接続されている。ブートストラップ回路70Gのブートコンデンサ72Gの第1端子は、ブートダイオード71Gのカソード端子および第2駆動回路25Dの高電位電源端子25HDに接続されており、ブートコンデンサ72Gの第2端子は、第2駆動回路25Dの低電位電源端子25LDに接続されている。
【0126】
本実施形態では、ブートストラップ回路70A~70Gのブートコンデンサ72A~72Gのうちブートコンデンサ72B,72D,72Fの静電容量は、ブートコンデンサ72A,72C,72E,72Gの静電容量よりも大きい。
【0127】
また、第2スイッチ群30Bのうち最も低電位側の第1スイッチ素子33を駆動する第1駆動回路24Cに接続されたブートコンデンサ72Bの静電容量をA1、第3スイッチ群40Aのうち最も低電位側の第2スイッチ素子41を駆動する第2駆動回路25Aに接続されたブートコンデンサ72Dの静電容量をA2、および、第4スイッチ群40Bのうち最も低電位側の第2スイッチ素子43を駆動する第2駆動回路25Cに接続されたブートコンデンサ72Fの静電容量をA3とする。この場合、これら静電容量の関係は、A1>A2>A3となる。
【0128】
スイッチング回路20Bは、第1スイッチ群30Aと第2スイッチ群30Bとの間の第1の接続点(ノードN2)と、第3スイッチ群40Aと第4スイッチ群40Bとの間の第2の接続点(ノードN5)との間に接続されたコンデンサ28Cを有している。本実施形態では、コンデンサ28Cは、フライングキャパシタとして機能する。また、スイッチング回路20Bは、スナバ用のコンデンサ28A,28B,28Dを有している。なお、本実施形態では、コンデンサ28Cは、スナバ用のコンデンサとしても機能する。コンデンサ28Aは、第1電線21Lと第2電線21Hとに接続されている。コンデンサ28Bは、第1スイッチ群30Aの各スイッチ素子31,32の接続点(ノードN1)と第4スイッチ群40Bの各スイッチ素子43,44の接続点(ノードN6)との間に接続されている。コンデンサ28Dは、第2スイッチ群30Bの各スイッチ素子33,34の接続点(ノードN3)と第3スイッチ群40Aの各スイッチ素子41,42の接続点(ノードN4)との間に接続されている。
【0129】
スイッチング回路20Bは、スイッチング回路20Aと同様に、初期充電回路60を有している。図8に示すとおり、初期充電回路60の構成および各スイッチ素子31~34,41~44および電源回路26への接続構成は第1実施形態と同様である。
【0130】
次に、電力変換装置20の動作について説明する。
【0131】
制御部13は、たとえば電力変換装置20の駆動を第1動作および第2動作で制御する。第2動作は、第1実施形態の第2動作と同様であるため、その説明を省略する。
【0132】
制御部13は、たとえば電力変換装置20が3レベルコンバータとして動作する場合、第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32と第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44とを相補的、かつ、第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34と第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42とを相補的に駆動する。
【0133】
相補的に駆動する各スイッチ群30A,30B,40A,40Bの組み合わせによって、スイッチング回路20Bは、4つの状態(モード)を取り得る。
【0134】
図9図12は、第1動作においてスイッチング回路20Bが取り得る第1~第4モードを示している。
【0135】
図9に示すように、第1モードでは、第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32がオン、第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34がオフ、第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42がオン、第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44がオフの状態である。
【0136】
図10に示すように、第2モードでは、第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32がオフ、第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34がオン、第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42がオフ、第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,43がオンの状態である。
【0137】
図11に示すように、第3モードでは、第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32がオフ、第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34がオフ、第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42がオン、第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44がオンの状態である。
【0138】
図12に示すように、第4モードでは、第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32がオン、第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34がオン、第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42がオフ、第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44がオフの状態である。
【0139】
本実施形態では、第1動作において、要求電力に応じてデューティ比を制御し、出力電力を制御する。デューティ比が50%よりも小さい場合に第1モード、第2モードおよび第3モードで動作し、デューティ比が50%よりも大きい場合に第1モード、第2モードおよび第4モードで動作する。デューティ比が50%の場合は、第1モードおよび第2モードのみで動作する。すなわちどのようなデューティ比の場合であっても第1モードおよび第2モードが含まれており、デューティ比が50%よりも小さいか大きいかによって、第3モードおよび第4モードのいずれかが選択される。この第1動作は、電力変換装置20による電力変換動作であり、本実施形態では、3レベルの電圧によって電力変換する。
【0140】
また本実施形態においても、第1動作における各スイッチ群30A,30B,40A,40Bの相補的な駆動において、各スイッチ素子31~34,41~44がターンオンまたはターンオフする瞬間の前後に、貫通電流が流れることを防ぐために全てのスイッチ素子がオフになるデッドタイムが設けられている。
【0141】
次に、本実施形態の電力変換装置20の一実行態様について、図13図19を用いて説明する。
【0142】
図13に示すように、時刻t31において第1電圧V1が電力変換装置20に印加される。そして、時刻t33において、制御部13によって電力変換装置20が起動される。したがって、時刻t31~t32の期間において電力変換装置20の第2動作が実施され、時刻t33以降において電力変換装置20が第1動作する。
【0143】
図13に示すように、各スイッチ素子31~34,41~44がいずれもオフである状態であり、時刻t31において第1入出力部22に第1電圧V1を印加する。これにより、図14に示すように、第1電圧V1が抵抗回路60A~60Fによって分圧され、各スイッチ素子31~34,41~44に印加される。本実施形態では、第1電圧V1は360Vである。このため、各スイッチ素子31~34,41~44のドレイン‐ソース間電圧は、45Vである。また、本実施形態では、抵抗回路60A~60Fにおける第1抵抗素子61の端子間電圧は10Vであり、第2抵抗素子62の端子間電圧は35Vである。すなわち、第1抵抗素子61の端子間電圧と第2抵抗素子62の端子間電圧との関係が上記の関係となるように、第1抵抗素子61の抵抗値および第2抵抗素子62の抵抗値がそれぞれ設定されている。
【0144】
その結果、各ブートストラップ回路70A~70Gのブートコンデンサ72A~72Gが一斉に充電される。この充電態様は、第1実施形態と同様である。つまり、ブートコンデンサ72Aは、時刻t31において充電が開始され、時刻t32よりも前の時刻において抵抗回路60Bの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNBに生じる分圧電圧)まで充電される。ブートコンデンサ72Bは、時刻t31において充電が開始され、時刻t32よりも前の時刻において抵抗回路60Cの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNCに生じる分圧電圧)まで充電される。ブートコンデンサ72Cは、時刻t31において充電が開始され、時刻t32よりも前の時刻において抵抗回路60Dの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNDに生じる分圧電圧)まで充電される。ブートコンデンサ72Dは、時刻t31において充電が開始され、時刻t32よりも前の時刻において抵抗回路60Eの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNEに生じる分圧電圧)まで充電される。ブートコンデンサ72Eは、時刻t31において充電が開始され、時刻t32よりも前の時刻において抵抗回路60Fの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNFに生じる分圧電圧)まで充電される。ブートコンデンサ72Fは、時刻t31において充電が開始され、時刻t32よりも前の時刻において抵抗回路60Gの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNGに生じる分圧電圧)まで充電される。ブートコンデンサ72Gは、時刻t31において充電が開始され、時刻t32よりも前の時刻において抵抗回路60Hの第1抵抗素子61による分圧電圧(ノードNHに生じる分圧電圧)まで充電される。
【0145】
次に、図13に示すように、制御部13は、時刻t33以降で電力変換装置20を第1動作で動作させる。
【0146】
制御部13は、時刻t33において第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32および第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42をオンする。時刻t33では、第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34および第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44はオフ状態である。そして制御部13は、時刻t34において第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32をオフする。つまり、第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42はオン状態が維持される。このように、制御部13は、時刻t33~t34の期間において、電力変換装置20を第1モードで動作させている。
【0147】
この場合、時刻t33~t34の期間において、第1スイッチ素子31,32がオンすることによって、図15に示すように、第1電源部26Lが第1ブートストラップ回路70A,70Bのブートコンデンサ72A,72Bを充電する。ブートコンデンサ72A,72Bはそれぞれ、時刻t33において第1スイッチ素子31,32がオンすることによって第1電源部26Lによる充電が開始され、時刻t34よりも前の時刻において第1電源部26Lの端子間電圧V26Lまで充電される。一方、時刻t33~t34の期間においては、ブートコンデンサ72Dの端子間電圧と第2ブートストラップ回路70E,70Fのブートコンデンサ72E,72Fの端子間電圧とが互いに等しいため、第2スイッチ素子41,42がオンしても、ブートコンデンサ72Dがブートコンデンサ72E,72Fを充電していない。
【0148】
図13に示すように、制御部13は、時刻t35において第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44をオンする。時刻t35では、第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32および第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34がオフ状態であり、第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42がオン状態である。そして制御部13は、時刻t36において第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42をオフする。つまり、第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44はオン状態が維持される。このように、制御部13は、時刻t35~t36の期間において、電力変換装置20を第3モードで動作させている。
【0149】
この場合、時刻t35~t36の期間においては、ブートコンデンサ72D~72Gの端子間電圧が互いに等しいため、第2スイッチ素子41~44がオンしても、ブートコンデンサ72Dがブートコンデンサ72E~72Gを充電していない。
【0150】
図13に示すように、制御部13は、時刻t37において第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34をオンする。時刻t37では、第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32および第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42がオフ状態であり、第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44がオン状態である。そして制御部13は、時刻t38において第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34をオフする。つまり、第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44はオン状態が維持される。このように、制御部13は、時刻t37~t38の期間において、電力変換装置20を第2モードで動作させている。
【0151】
この場合、時刻t37~t38の期間において、第1スイッチ素子33,34がオンすることによって、図17に示すように、第1ブートストラップ回路70Bのブートコンデンサ72Bが第1ブートストラップ回路70Cのブートコンデンサ72Cおよび第2ブートストラップ回路70Dのブートコンデンサ72Dを充電する。ブートコンデンサ72C,72Dはそれぞれ、時刻t37において第1スイッチ素子33,34がオンすることによってブートコンデンサ72Bからの充電が開始され、時刻t38よりも前の時刻において第1電源部26Lの端子間電圧V26Lまで充電される。時刻t37において、第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42がオフ状態であるため、ブートコンデンサ72Dがブートコンデンサ72E,72Fに充電しない。また、時刻t37において、ブートコンデンサ72F,72Gの端子間電圧が互いに等しいため、第2スイッチ素子43,44がオンしても、ブートコンデンサ72Fがブートコンデンサ72Gを充電していない。
【0152】
制御部13は、時刻t39において第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42をオンする。時刻t39では、第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32および第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34がオフ状態であり、第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44がオン状態である。そして制御部13は、時刻t40において第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,43をオフする。つまり、第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42はオン状態が維持される。このように、制御部13は、時刻t39~t40の期間において、電力変換装置20を第3モードで動作させている。
【0153】
この場合、時刻t39~t40の期間において、第2スイッチ素子41~44がオンすることによって、図16に示すように、第2ブートストラップ回路70Dのブートコンデンサ72Dが第2ブートストラップ回路70E~70Gのブートコンデンサ72E~72Gを充電する。ブートコンデンサ72E~72Gはそれぞれ、時刻t39において第2スイッチ素子41~44がオンすることによってブートコンデンサ72Dからの充電が開始され、時刻t40よりも前の時刻において第1電源部26Lの端子間電圧V26Lまで充電される。
【0154】
制御部13は、時刻t41以降において、時刻t33~t40の動作を繰り返す。このときの第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32および第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34のデューティ比は常に50%よりも小さい。
【0155】
ブートコンデンサ72A~72Gの端子間電圧がそれぞれ第1電源部26Lの端子間電圧V26Lまで充電された状態となった時刻t41以降において、制御部13が電力変換装置20を第1モード、第2モードおよび第3モードで動作させる場合、図15図17に示す充電動作が実施される。
【0156】
制御部13が電力変換装置20を第1モードで動作させる場合、図15に示すように、第1スイッチ素子31,32がオンすることによって、第1電源部26Lが第1ブートストラップ回路70A,70Bのブートコンデンサ72A,72Bを充電する。また、第2スイッチ素子42,43がオンすることによって、第2ブートストラップ回路70Dのブートコンデンサ72Dが第2ブートストラップ回路70E,70Fのブートコンデンサ72E,72Fを充電する。
【0157】
制御部13が電力変換装置20を第2モードで動作させる場合、図17に示すように、第1スイッチ素子33,34がオンすることによって、第1ブートストラップ回路70Bのブートコンデンサ72Bが第1ブートストラップ回路70Cのブートコンデンサ72Cおよび第2ブートストラップ回路70Dのブートコンデンサ72Dを充電する。また第2スイッチ素子43,44がオンすることによって、第2ブートストラップ回路70Fのブートコンデンサ72Fが第2ブートストラップ回路70Gのブートコンデンサ72Gを充電する。
【0158】
制御部13が電力変換装置20を第3モードで動作させる場合、図16に示すように、第2スイッチ素子41~44がオンすることによって、第2ブートストラップ回路70Dのブートコンデンサ72Dが第2ブートストラップ回路70E~70Gのブートコンデンサ72E~72Gを充電する。
【0159】
次に、第1スイッチ素子31~34のデューティ比が50%よりも大きい場合における制御部13による電力変換装置20の一連の駆動シーケンスの一実行態様について、図18を主に用いて説明する。なお、図18に示す例では、図13に示す例と比較して第1動作が異なる。
【0160】
図18に示すように、時刻t31~t32の期間において電力変換装置20の第2動作が実施される。
【0161】
制御部13は、時刻t33以降において電力変換装置20を第1動作で動作させる。
【0162】
制御部13は、時刻t33において第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32および第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34をオンする。時刻t33では、第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42および第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44はオフ状態である。そして制御部13は、時刻t34において第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34をオフする。つまり、時刻t34では、第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32はオン状態が維持される。このように、制御部13は、時刻t33~t34の期間において、電力変換装置20を第4モードで動作させている。
【0163】
この場合、時刻t33~t34の期間において、第1スイッチ素子31~34がオンすることによって、図19に示すように、第1電源部26Lが第1ブートストラップ回路70A~70Cのブートコンデンサ72A~72C、および、第2ブートストラップ回路70Dのブートコンデンサ72Dを充電する。ブートコンデンサ72A~72Dはそれぞれ、時刻t33において第1スイッチ素子31~34がオンすることによって第1電源部26Lによる充電が開始され、時刻t34よりも前の時刻において第1電源部26Lの端子間電圧V26Lまで充電される。
【0164】
図18に示すように、制御部13は、時刻t35において第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42をオンする。時刻t35では、第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34および第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44がオフ状態であり、第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32がオン状態である。そして制御部13は、時刻t36において第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42をオフする。つまり、時刻t36では、第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32はオン状態が維持される。このように、制御部13は、時刻t35~t36の期間において、電力変換装置20を第1モードで動作させている。
【0165】
この場合、時刻t35~t36の期間において、第1スイッチ素子31,32がオンすることによって、図15に示すように、第1電源部26Lが第1ブートストラップ回路70A,70Bのブートコンデンサ72A,72Bを充電する。これにより、ブートコンデンサ72A,72Bの電圧が第1電源部26Lの端子間電圧V26Lに維持される。また、第2スイッチ素子41,42がオンすることによって、図15に示すように、第2ブートストラップ回路70Dのブートコンデンサ72Dが第2ブートストラップ回路70E,70Fのブートコンデンサ72E,72Fを充電する。ブートコンデンサ72E,72Fはそれぞれ、時刻t35において第2スイッチ素子41,42がオンすることによってブートコンデンサ72Dによる充電が開始され、時刻t36よりも前の時刻においてブートコンデンサ72Dの端子間電圧、つまり第1電源部26Lの端子間電圧V26Lまで充電される。
【0166】
制御部13は、時刻t37において第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34をオンする。時刻t37では、第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42および第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44がオフ状態であり、第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32がオン状態である。そして制御部13は、時刻t38において第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32をオフする。つまり、時刻t38では、第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34はオン状態が維持される。このように、制御部13は、時刻t37~t38の期間において、電力変換装置20を第4モードで動作させている。
【0167】
この場合、時刻t37~t38の期間において、第1スイッチ素子31~34がオンすることによって、図19に示すように、第1電源部26Lが第1ブートストラップ回路70A~70Cのブートコンデンサ72A~72Cを充電し、第2ブートストラップ回路70Dのブートコンデンサ72Dを充電する。これにより、ブートコンデンサ72A~72Dの電圧が第1電源部26Lの端子間電圧V26Lに維持される。
【0168】
制御部13は、時刻t39において第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44をオンする。時刻t39では、第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32および第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42がオフ状態であり、第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34がオン状態である。そして制御部13は、時刻t40において第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44をオフする。つまり、時刻t40では、第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34はオン状態が維持される。このように、制御部13は、時刻t39~t40の期間において、電力変換装置20を第2モードで動作させている。
【0169】
この場合、時刻t39~t40の期間において、第1スイッチ素子33,34がオンすることによって、図17に示すように、第1ブートストラップ回路70Bのブートコンデンサ72Bが第1ブートストラップ回路70Cのブートコンデンサ72Cおよび第2ブートストラップ回路70Dのブートコンデンサ72Dを充電する。これにより、ブートコンデンサ72C,72Dの電圧が第1電源部26Lの端子間電圧V26Lに維持される。また、第2スイッチ素子43,44がオンすることによって、図17に示すように、第2ブートストラップ回路70Fのブートコンデンサ72Fが第2ブートストラップ回路70Gのブートコンデンサ72Gを充電する。ブートコンデンサ72Gはそれぞれ、時刻t39において第2スイッチ素子43,44がオンすることによって充電が開始され、時刻t40よりも前の時刻において第1電源部26Lの端子間電圧V26Lまで充電される。そして、制御部13は、時刻t41以降において、上述した時刻t33~t40の動作を繰り返す。
【0170】
(効果)
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0171】
(2-1)低電位側のブートストラップ回路70B,70D,70Fのブートダイオード71B,71D,71Fのカソード端子に、高電位側のブートストラップ回路70C,70E,70Gのブートダイオード71C,71E,71Gのアノード端子が接続されている。この構成によれば、たとえば第1スイッチ素子31~34および第2スイッチ素子41~44のうち4つのスイッチ素子と残りの4つのスイッチ素子とを相補的にオンオフさせる場合に、第1電源部26Lからの電力供給が途絶える状況であってもブートストラップ回路70C,70E,70Gのブートコンデンサ72C,72E,72Gに電力供給できる。このため、第1~第4スイッチ群30A,30B,40A,40Bを有するスイッチング回路20Bで3レベルの出力を得ることができる。
【0172】
(2-2)ブートコンデンサ72A~72Gのうちブートコンデンサ72B,72D,72Fは、その静電容量が他のブートコンデンサ72A,72C,72E,72Gよりも大容量である。さらに、ブートコンデンサ72Bの容量A1>ブートコンデンサ72Dの容量A2>ブートコンデンサ72Fの容量A3の関係とすることによって、他のブートコンデンサ72C,72E,72Gに電力供給してブートコンデンサ72C,72E,72Gを充電することができる。
【0173】
(2-3)制御部13は、第1動作よりも前に第2動作を行うことによって、ブートストラップ回路70A~70Gのブートコンデンサ72A~72Gが充電されるため、各スイッチ素子31~34,41~44をオンできる。より具体的には、たとえば第1スイッチ群30Aの第1スイッチ素子31,32を同時にオンできる。同様に第2スイッチ群30Bの第1スイッチ素子33,34を同時にオンできる。また、第3スイッチ群40Aの第2スイッチ素子41,42を同時にオンできる。さらに、第4スイッチ群40Bの第2スイッチ素子43,44を同時にオンできる。
【0174】
[変更例]
上記各実施形態は本開示に関するスイッチング回路が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に関するスイッチング回路は上記各実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、上記各実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または上記各実施形態に新たな構成を付加した形態である。なお、以下の各変更例について、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合わせることができる。また以下の各変更例において、上記各実施形態と共通する部分については、上記各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0175】
・第1実施形態において、第2電源部26Hの構成は任意に変更可能である。一例では、図20に示すように、第2電源部26Hは、直流電源から構成されてもよい。この場合、第2電源部26Hのプラス端子は、第2駆動回路25Aの高電位電源端子25HA、および第2ブートストラップ回路50D~50Fのブートダイオード51D~51Fのアノード端子に接続されている。第2電源部26Hのマイナス端子は、第2駆動回路25Aの低電位電源端子25LAに接続されている。また、第2電源部26Hのマイナス端子は、第1ブートストラップ回路50Cのブートダイオード51Cのアノード端子には接続されていない。このように、第2ブートストラップ回路50D~50Fのブートコンデンサ52D~52Fは、電力変換装置20が第1動作しているときに第2電源部26Hによって充電される。
【0176】
・第2実施形態において、スイッチング回路20Bは、ブートストラップ回路70Dに代えて、図21に示すように、直流電源である第2電源部26Hを備えていてもよい。この場合、第2電源部26Hのプラス端子は、第2駆動回路25Aの高電位電源端子25HA、およびブートストラップ回路70D,70Eのブートダイオード71D,71Eのアノード端子に接続されている。第2電源部26Hのマイナス端子は、第2駆動回路25Aの低電位電源端子25LAに接続されている。また、第2電源部26Hのマイナス端子は、ブートストラップ回路70Cのブートダイオード71Cのアノード端子には接続されていない。このように、ブートストラップ回路70E~70Gのブートコンデンサ72E~72Gは、電力変換装置20が第1動作しているときに第2電源部26Hによって充電される。
【0177】
・上記各実施形態において、初期充電回路60のうち抵抗回路60Aの構成は任意に変更可能である。一例では、抵抗回路60Aは、1個の抵抗素子からなる。この場合、この抵抗素子の抵抗値は、抵抗回路60B~60Hの第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値との合計の抵抗値と同じである。また別例では、抵抗回路60Aは、3個以上の抵抗素子からなる。この場合、3個以上の抵抗素子の合計の抵抗値は、抵抗回路60B~60Hの第1抵抗素子61の抵抗値と第2抵抗素子62の抵抗値との合計の抵抗値と同じである。
【0178】
・上記各実施形態において、初期充電回路60のうち抵抗回路60B~60Hの構成は任意に変更可能である。一例では、抵抗回路60B~60Hは、3個以上の抵抗素子からなる。この場合、第1抵抗素子61および第2抵抗素子62の少なくとも一方が複数の抵抗素子からなる。第1抵抗素子61が複数の抵抗素子からなる場合、複数の抵抗素子は互いに直列接続されてもよいし、並列接続されてもよい。第2抵抗素子62が複数の抵抗素子からなる場合、複数の抵抗素子は互いに直列接続されてもよいし、並列接続されてもよい。
【0179】
・上記各実施形態において、第1ブートストラップ回路50B,50Cおよび第2ブートストラップ回路50E,50F(ブートストラップ回路70B,70C,70E,70F)の構成はそれぞれ任意に変更可能である。一例では、図22に示すように、第1ブートストラップ回路50Aのブートダイオード51Aのカソード端子が第1ブートストラップ回路50Bのブートダイオード51Bのアノード端子に接続されている。なお、図22は第1ブートストラップ回路50Aのブートダイオード51Aの接続構成の説明するための図であるため、図22では、便宜上、初期充電回路60を省略して示している。
【0180】
・上記各実施形態において、各スイッチ素子31~34,41~44のそれぞれに、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いてもよい。この場合、IGBTに並列に接続される還流ダイオードが設けられる。また、各スイッチ素子31~34,41~44はそれぞれ、IGBTやMOSFETに代えて、バイポーラトランジスタ等の他のトランジスタが用いられてもよい。
【0181】
・上記各実施形態のスイッチング回路20A,20Bは、一対の第1入出力部22間と一対の第2入出力部23間との少なくとも一方に平滑コンデンサが設けられてもよい。
【0182】
・上記各実施形態のスイッチング回路20A,20Bは、双方向の電力変換装置に適用されたが、これに限られず、一方向の電力変換装置に適用されてもよい。
【0183】
・上記各実施形態のスイッチング回路20A,20Bは、単相2線式の電力管理システム1の電力変換装置20に適用されたが、これに限られず、単相3線式の電力管理システム1の電力変換装置20に適用されてもよい。
【0184】
(付記)
上記各実施形態および上記各変更例から把握される技術的思想について以下に記載する。
【0185】
(付記1)前記複数の抵抗回路のうち最も低電位側の抵抗回路は、前記第1抵抗素子と前記第2抵抗素子とを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
【0186】
この構成によれば、複数の抵抗回路の抵抗値が同一となるため、第1電圧を複数の抵抗回路によって互いに等しく分圧することができる。
【符号の説明】
【0187】
13…制御部
20A,20B…スイッチング回路
22…一対の第1入出力部
23…一対の第2入出力部
24,24A~24D…第1駆動回路
25,25A~25D…第2駆動回路
26L…第1電源部
26H…第2電源部
26A…電荷蓄電素子
28A,28B,28C、28D…コンデンサ
30…第1スイッチ回路
30A…第1スイッチ群
30B…第2スイッチ群
31~34…第1スイッチ素子
40…第2スイッチ回路
40A…第3スイッチ群
40B…第4スイッチ群
41~44…第2スイッチ素子
50A~50C…第1ブートストラップ回路
52A~52C…ブートコンデンサ(第1ブートコンデンサ)
50D~50F…第2ブートストラップ回路
52D~52F…ブートコンデンサ(第2ブートコンデンサ)
60…初期充電回路
60A~60H…抵抗回路
61…第1抵抗素子
62…第2抵抗素子
63B~63H…ダイオード
70A~70G…ブートストラップ回路
72A~72C…ブートコンデンサ(第1ブートコンデンサ)
72D~72G…ブートコンデンサ(第2ブートコンデンサ)
A1,A2,A3…容量
N…ノード(第1スイッチ回路と第2スイッチ回路との接続点)
N1~N6…ノード(各スイッチ素子間の接続点)
N2…ノード(第1の接続点)
N5…ノード(第2の接続点)
図1
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