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特許7103544着色層形成用組成物、光学フィルム、および表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】着色層形成用組成物、光学フィルム、および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
G02B5/22
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022078418
(22)【出願日】2022-05-11
【審査請求日】2022-05-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】二俣 開
(72)【発明者】
【氏名】石丸 佳子
(72)【発明者】
【氏名】石川 真也
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/162115(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/066082(WO,A1)
【文献】特開2016-177220(JP,A)
【文献】特開2016-001302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/22
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
色素(A)と、活性エネルギー線硬化性樹脂(B)と、光重合開始剤(C)と、溶剤(D)と、添加剤(E)とを含有し、
前記色素(A)は、第一の色材、第二の色材、および第三の色材のうち少なくとも一つを含有し、
前記第一の色材は、吸収極大波長が470~530nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~45nmであり、
前記第二の色材は、吸収極大波長が560~620nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~55nmであり、
前記第三の色材は、380~780nmの波長の範囲において最も透過率の低い波長が650~780nmの範囲内にあり、
前記添加剤(E)は、下記式(i)で表される化合物Aと、イオウ系酸化防止剤とを含み、
前記イオウ系酸化防止剤の含有量を1としたとき、前記化合物Aの含有量が0.01~2である、
着色層形成用組成物。
【化1】
[上記式(i)において、R1は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、RCO-、R10SO-、およびR11NHCO-で表される基のいずれかである(R、R10、R11は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、およびへテロ環基のいずれかである。)。RおよびRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、およびアルケニルオキシ基のいずれかである。R~Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、およびアリール基のいずれかである。]
【請求項2】
前記イオウ系酸化防止剤は、ジアルキルジチオホスフェート、ジアルキルジチオカルバネート、ベンゼンジチオール、およびこれらの遷移金属錯体のいずれかである、
請求項1に記載の着色層形成用組成物。
【請求項3】
前記活性エネルギー線硬化性樹脂(B)が、下記式(ii)で表される構造単位を含むポリマーである、
請求項1に記載の着色層形成用組成物。
【化2】
[式(ii)において、R12は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ヒドロキシ基、炭素数10以下のアルキル基、炭素数10以下のアルコキシカルボニル基、炭素数10以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、炭素数10以下のアシルアミノスルホニル基、炭素数10以下のアルコキシ基、炭素数10以下のアルキルチオ基、炭素数10以下のアリールオキシ基、ニトロ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、炭素数10以下のアシルオキシ基、炭素数10以下のアシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、炭素数10以下のアリール基、置換アミノ基、置換ウレイド基、置換ホスホノ基、又は複素環基を表し、R13は、水素原子又は炭素数30以下のアルキル基を表し、Xは、単結合、エステル基、炭素数30以下の脂肪族アルキル鎖、芳香族鎖、ポリエチレングリコール鎖、又はこれらを組み合わせてなる連結基を表し、いずれもスピロジオキサン環を含むことができる。]
【請求項4】
前記色素(A)が、ポルフィリン構造、メロシアニン構造、フタロシアニン構造、アゾ構造、シアニン構造、スクアリリウム構造、クマリン構造、ポリエン構造、キノン構造、テトラジポルフィリン構造、ピロメテン構造及びインジゴ構造のいずれかを有する化合物並びにその金属錯体からなる群から選択される1種以上の化合物を含む、
請求項1に記載の着色層形成用組成物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の着色層形成用組成物の硬化物である着色層と、
前記着色層の一方の面に位置する透明基材と、
前記着色層の一方又は他方の面に位置する機能層と、を有し、
前記透明基材及び前記機能層の一方又は双方が、JIS L1925に記載の方法に準じて測定される紫外線遮蔽率が85%以上であり、
前記機能層が、反射防止層又は防眩層として機能する、
光学フィルム。
【請求項6】
前記機能層として、帯電防止層又は防汚層をさらに有する、
請求項5に記載の光学フィルム。
【請求項7】
請求項5に記載の光学フィルムを備える、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色層形成用組成物、光学フィルム、および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、室内外を問わず、外光が入射する環境下で使用されることが多い。表示装置に入射した外光は、表示装置の表面で反射され、表示品質の低下を引き起こす。中でも有機発光表示装置等の自発光表示装置は、電極及びその他の多くの金属配線が外光を強く反射し、表示品位が低下しやすい問題がある一方、小型化に優れ、低い消費電力、高い輝度、及び高い反応速度等の高品位特性を有するため、次世代表示装置として期待されている。
【0003】
このような外光反射での表示品位低下の問題を解決するために、偏光板及び位相遅延板を表示面側に配置して、外部光反射を抑制する構成がある。
しかし、偏光板及び位相遅延板を用いた方法には、表示装置から出射した光が偏光板及び位相遅延板を通過して外部に放出されるときに、その相当部分がともに損失され、素子寿命の低下を招きやすかった。
【0004】
特許文献1には、有機発光素子を含む表示基板と、表示基板と離間配置された封止基板と、を備え、表示基板と封止基板との間の空間に、外部光を波長帯域ごとに選別的に吸収して透過率を調節する充填剤が埋められた有機発光表示装置が提案されている。特許文献1の発明によれば、外部光反射を抑制して視認性を向上させるとともに、表示装置から出射した光の中で特に色純度を低下させる波長帯域の光を選択的に吸収するため、色純度の向上も図られている。
【0005】
色純度の向上に関して、特許文献2には、少なくとも480~510nm、580~610nmのそれぞれの波長領域に対し吸収極大波長を有する色素を含有した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5673713号公報
【文献】特開2019-56865号公報
【文献】国際公開第2021/066082号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
波長選択吸収色素には、耐光性、耐熱性が低いものが多く、時間経過とともに色素の機能が低下して色純度向上効果を十分に発揮できなくなる場合がある。
この問題に関連して、特許文献3には、所定の化合物を褪色防止剤として色素に添加し、かつガスバリア層を設ける構成が示されているが、ガスバリア層の付与は厚膜化、コストアップとなり、ガスバリア層欠陥部分から色素の劣化が生じる可能性がある。さらに、発明者ら の検討では、ガスバリア層を設けずに上記褪色防止剤のみを添加した場合、耐光性の向上は見られるものの、逆に耐熱性が低下してしまう現象を認めた。
【0008】
上述の事情を踏まえ、本発明は、ガスバリア層を必要とせずに長期間の使用に耐える着色層を形成できる着色層形成用組成物を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、ガスバリア層を必要とせずに長期間の使用においても高い表示品位を維持できる光学フィルムおよび表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様は、色素(A)と、活性エネルギー線硬化性樹脂(B)と、光重合開始剤(C)と、溶剤(D)と、添加剤(E)とを含有する着色層形成用組成物である。
色素(A)は、第一の色材、第二の色材、および第三の色材のうち少なくとも一つを含有する。第一の色材は、吸収極大波長が470~530nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~45nmである。第二の色材は、吸収極大波長が560~620nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~55nmである。第三の色材は、380~780nmの波長の範囲において最も透過率の低い波長が650~780nmの範囲内にある。
添加剤(E)は、下記式(i)で表される化合物Aと、イオウ系酸化防止剤とを含み、イオウ系酸化防止剤の含有量を1としたとき、化合物Aの含有量は0.01~2である。
【化1】
上記式(i)において、R1は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基又はRCO、R10SO 若しくはR11NHCOで表される基を示し、R、R10及びR11は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はへテロ環基を示す。R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基又はアルケニルオキシ基を示し、R~Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基を示す。
【0010】
本発明の第二の態様は、第一の態様に係る着色層形成用組成物の硬化物である着色層と、着色層の一方の面に位置する透明基材と、着色層の一方又は他方の面に位置する機能層とを有する光学フィルムである。
透明基材及び機能層の一方又は双方は、JIS L1925に記載の方法に準じて測定される紫外線遮蔽率が85%以上であり、機能層が、反射防止層又は防眩層として機能する。
本発明の第三の態様は、第二の態様に係る光学フィルムを備える表示装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ガスバリア層を必要とせずに長期間の使用に耐える着色層を形成できる着色層形成用組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る光学フィルムの断面図である。
図2】本発明の他の態様に係る光学フィルムの断面図である。
図3】本発明の他の態様に係る光学フィルムの断面図である。
図4】本発明の他の態様に係る光学フィルムの断面図である。
図5】本発明の他の態様に係る光学フィルムの断面図である。
図6】本発明の他の態様に係る光学フィルムの断面図である。
図7】実施例において有機EL光源及びカラーフィルタを通して出力された白色表示のスペクトルを示したグラフである。
図8】実施例において有機EL光源及びカラーフィルタを通して出力された赤色表示時、緑色表示時、青色表示時の各々のスペクトルのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。全ての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一又は相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0014】
[光学フィルム]
以下、本発明の一実施形態に係る光学フィルムについて、図1に基づき詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、光学フィルム1は、着色層10と、透明基材20と、機能層30と、を有する。機能層30は、低屈折率層31と、ハードコート層32と、を有する。すなわち、光学フィルム1は、着色層10の一方の面に位置する透明基材20を有し、着色層10、透明基材20、ハードコート層32、低屈折率層31が、この順で積層された積層体である。
【0016】
光学フィルム1の厚さは、例えば、10~140μmが好ましく、15~120μmがより好ましく、20~100μmがさらに好ましい。光学フィルム1の厚さが上記下限値以上であると、光学フィルム1の強度をより高められる。光学フィルム1の厚さが上記上限値以下であると、光学フィルム1をより軽量にできるだけでなく、表示装置の薄型化に有利である。
以下、光学フィルム1を構成する各層について説明する。
【0017】
≪着色層≫
着色層10は、本発明の着色層形成用組成物の硬化物である。本発明の着色層形成用組成物は、色素(A)と、活性エネルギー線硬化性樹脂(B)と、光重合開始剤(C)と、溶剤(D)と、添加剤(E)とを含有する。
【0018】
着色層10の厚さは、例えば、0.5~10μmが好ましい。着色層10の厚さが上記下限値以上であると、着色層10の外観に異常を発生させることなく色素を含有でき、色素の光吸収性により反射特性や色再現性を向上させることができる。着色層10の厚さが上記上限値以下であると、表示装置の薄型化に有利である。
着色層10の厚さは、光学フィルム1の厚さ方向の断面を顕微鏡等で観察することにより求められる。
【0019】
<色素(A)>
色素(A)は、以下に示す第一の色材、第二の色材、および第三の色材のうち、少なくとも一つを含有する。
第一の色材の吸収極大波長は、470~530nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅は、15~45nmである。吸収極大波長は、上記下限値未満であると青色発光の輝度効率を低下させやすく、上記上限値超であると緑色発光の輝度効率を低下させやすい。吸光スペクトルの半値幅は、上記下限値未満であると外光に対する反射特性への抑制効果が小さく、上記上限値超であると外光に対する反射特性は向上しやすいが、輝度効率を低下させやすい。
【0020】
第二の色材の吸収極大波長は、560~620nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅は、15~55nmである。吸収極大波長は、上記下限値未満であると緑色発光の輝度効率を低下させやすく、上記上限値超であると赤色発光の輝度効率を低下させやすい。吸光スペクトルの半値幅は、上記下限値未満であると外光に対する反射特性への抑制効果が小さく、上記上限値超であると外光に対する反射特性は向上しやすいが、輝度効率を低下させやすい。
【0021】
第三の色材は、380~780nmの波長の範囲において最も透過率の低い波長が650~780nmの範囲内にある。第三の色材の380~780nmの波長の範囲において最も透過率の低い波長が、上記下限値未満であると赤色発光の輝度効率を低下させやすく、上記上限値超であると外光に対する反射特性への抑制効果が小さくなる。
【0022】
色素(A)は、ポルフィリン構造、メロシアニン構造、フタロシアニン構造、アゾ構造、シアニン構造、スクアリリウム構造、クマリン構造、ポリエン構造、キノン構造、テトラジポルフィリン構造、ピロメテン構造、インジゴ構造のいずれかを有する化合物、又はその金属錯体を含有することが好ましい。特に、ポルフィリン構造やピロメテン構造、フタロシアニン構造を有する金属錯体や、スクアリリウム構造を有する化合物を用いることが、信頼性に優れるため、より好ましい。色素(A)は、これらの化合物又はその金属錯体を1種単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。これらの化合物又はその金属錯体は、第一の色材に含まれていてもよく、第二の色材に含まれていてもよく、第三の色材に含まれていてもよく、これらの色材の2種以上に含まれていてもよい。
【0023】
<活性エネルギー線硬化性樹脂(B)>
活性エネルギー線硬化性樹脂(B)は、紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射により重合して硬化する樹脂である。例えば、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート等を使用できるが、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂(B)としては、少なくともラジカルを捕捉する能力(ラジカル捕捉能)を有する樹脂を含む。ここで、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の双方又はいずれか一方を意味するものとする。
活性エネルギー線硬化性樹脂(B)に含まれるラジカル捕捉能を有する樹脂としては、アミン構造を有する樹脂が挙げられる。ここで、「アミン構造」とは、アンモニアの水素原子を炭化水素基又は芳香族原子団で置換した構造をいう。アミン構造としては、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンが挙げられ、第四級アンモニウムカチオンであってもよい。
【0024】
ラジカル捕捉能を有する樹脂は、色素(A)が酸化劣化する際のラジカルを捕捉し、自動酸化を抑制する働きを持ち、色素劣化(退色)を抑制する。ラジカル捕捉能を有するアミン構造を有する樹脂としては、分子量が2000以上のヒンダードアミン構造を有する樹脂が挙げられる。ヒンダードアミン構造を有する樹脂の分子量が2000以上であると、高い退色抑制効果が得られる。これは、着色層10内に留まる分子が多く、充分な退色抑制効果が得られるためであると考えられる。
ヒンダードアミン構造を有する樹脂の分子量は、例えば20万程度であるが、上限値は特に限定されない。
本明細書において、「分子量」とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)でポリスチレンを標準物質として測定される「質量平均分子量」を意味する。
【0025】
本実施形態において、ラジカル捕捉能を有するアミン構造を有する樹脂は、下記式(ii)で表される構造単位を含む。
【0026】
【化2】
【0027】
上記式(ii)において、R12は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ヒドロキシ基、炭素数10以下のアルキル基、炭素数10以下のアルコキシカルボニル基、炭素数10以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、炭素数10以下のアシルアミノスルホニル基、炭素数10以下のアルコキシ基、炭素数10以下のアルキルチオ基、炭素数10以下のアリールオキシ基、ニトロ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、炭素数10以下のアシルオキシ基、炭素数10以下のアシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、炭素数10以下のアリール基、置換アミノ基、置換ウレイド基、置換ホスホノ基、又は複素環基を表し、R13は、水素原子又は炭素数30以下のアルキル基を表し、Xは、単結合、エステル基、炭素数30以下の脂肪族アルキル鎖、芳香族鎖、ポリエチレングリコール鎖、又はこれらを組み合わせてなる連結基を表し、いずれもスピロジオキサン環を含んでもよい。
【0028】
12としては、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数10以下のアルキル基が好ましい。アルキル基の炭素数としては、1~6が好ましく、1~3がより好ましい。
13としては、水素原子、炭素数10以下のアルキル基が好ましい。アルキル基の炭素数としては、1~6が好ましく、1~3がより好ましい。
Xとしては、単結合又は炭素数30以下の脂肪族アルキル鎖が好ましい。脂肪族アルキル鎖の炭素数としては、10以下が好ましく、1~6が好ましく、2~4がより好ましい。
【0029】
本実施形態において、ラジカル捕捉能を有するアミン構造を有する樹脂は、上記式(ii)で表される構造単位と、以下に記す繰り返し単位のいずれかを有する共重合成分との共重合体を主な成分(成分のうち、質量%が最も多いもの)とする。共重合体であることにより、その他成分との相溶性を制御することができる。
【0030】
繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリレート系繰り返し単位、オレフィン系繰り返し単位、ハロゲン原子含有繰り返し単位、スチレン系繰り返し単位、酢酸ビニル系繰り返し単位、ビニルアルコール系繰り返し単位等が挙げられる。
【0031】
(メタ)アクリレート系繰り返し単位としては、例えば、直鎖または分岐アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位、水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位等が挙げられる。
【0032】
上記直鎖または分岐アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等のモノマー由来成分が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上併用してもよい。上記の中でも炭素数が1以上4以下の直鎖または分岐アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位を好適に用いることができる。
【0033】
上記水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリル系モノマー由来の繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシフェニル等のモノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
オレフィン系繰り返し単位としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等のオレフィン系モノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
ハロゲン原子含有繰り返し単位としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のモノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
スチレン系繰り返し単位としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酢酸ビニル系の繰り返し単位としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの飽和カルボン酸とビニルアルコールのエステル体が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ビニルアルコール系繰り返し単位としては、例えば、ビニルアルコールが挙げられ、側鎖に1,2-グリコール結合を有していてもよい。
【0037】
共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、および、グラフト共重合体のいずれの構造を有していてもよい。共重合体の構造がランダム共重合体であれば、製造工程およびその他成分との調製が容易である。そのため、ランダム共重合体は、他の共重合体よりも好ましい。
【0038】
共重合体を得るための重合方法には、ラジカル重合を用いることができる。ラジカル重合は、工業的な生産が容易である点で好ましい。ラジカル重合は、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、および、懸濁重合法などであってよい。ラジカル重合には、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いることによって、共重合体における分子量の制御が容易である。
【0039】
ラジカル重合では、上述したモノマーを重合溶剤によって希釈した後に、重合開始剤を加えてモノマーの重合を行ってもよい。
重合溶剤は、例えば、エステル系溶剤、アルコールエーテル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族系溶剤、アミド系溶剤、および、アルコール系溶剤などであってよい。エステル系溶剤は、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t-ブチル、乳酸メチル、および、乳酸エチルなどであってよい。アルコールエーテル系溶剤は、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、および、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールなどであってよい。ケトン系溶剤は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、および、シクロヘキサノンなどであってよい。芳香族系溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、および、キシレンなどであってよい。アミド系溶剤は、例えば、ホルムアミド、および、ジメチルホルムアミドなどであってよい。アルコール系溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、s-ブタノール、t-ブタノール、ジアセトンアルコール、および、2-メチル-2-ブタノールなどであってよい。なお、上述した重合溶剤において、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0040】
ラジカル重合開始剤は、例えば、過酸化物およびアゾ化合物などであってよい。過酸化物は、例えば、ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、および、ジ-t-ブチルパーオキシドなどであってよい。アゾ化合物は、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスアミジノプロパン塩、アゾビスシアノバレリックアシッド(塩)、および、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]などであってよい。
【0041】
ラジカル重合開始剤の使用量は、モノマーの合計を100質量部に設定した場合に、0.0001質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.001質量部以上15質量部以下であることがより好ましく、0.005質量部以上10質量部以下であることがさらに好ましい。ラジカル重合開始剤は、モノマーおよび重合溶剤に対して、重合開始前に添加されてもよいし、重合反応系中に滴下されてもよい。ラジカル重合開始剤をモノマーおよび重合溶剤に対して重合反応系中に滴下することは、重合による発熱を抑制することができる点で好ましい。
【0042】
ラジカル重合の反応温度は、ラジカル重合開始剤および重合溶剤の種類によって適宜選択される。反応温度は、製造上の容易性、および、反応制御性の観点から、60℃以上110℃以下であることが好ましい。
【0043】
ラジカル捕捉能を有するアミン構造を有する樹脂が式(ii)で表される構造単位を含むポリマーである場合、式(ii)で表される構造単位の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂(B)を構成するモノマーの総モル量に対して、1~95モル%が好ましく、10~90モル%がより好ましい。式(ii)で表される構造単位の含有量が上記数値範囲内であると、色素(A)の耐光性及び耐熱性が向上し、退色を抑制しやすい。
【0044】
その他、活性エネルギー線硬化性樹脂(B)に含むことができる単官能の(メタ)アクリレート化合物の例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-アダマンタン、アダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレート等のアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の双方又はいずれか一方を意味するものとする。
【0045】
その他、活性エネルギー線硬化性樹脂(B)に含むことができる2官能の(メタ)アクリレート化合物の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0046】
その他、活性エネルギー線硬化性樹脂(B)に含むことができる3官能以上の(メタ)アクリレート化合物の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε-カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0047】
その他、活性エネルギー線硬化性樹脂(B)に含むことができる樹脂として、ウレタン(メタ)アクリレートも使用できる。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーを反応させることによって得られるものを挙げることができる。
【0048】
ウレタン(メタ)アクリレートの例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。
【0049】
上述したその他活性エネルギー線硬化性樹脂(B)に含むことができる単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート等は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、一部が重合したオリゴマーであってもよい。
【0050】
活性エネルギー線硬化性樹脂(B)の含有量は、着色層形成用組成物の総質量に対して、20~80質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂(B)の含有量が上記下限値以上であると、退色抑制効果をより高められる。活性エネルギー線硬化性樹脂(B)の含有量が上記上限値以下であると、着色層形成用組成物の取扱い性をより高められる。
【0051】
<光重合開始剤(C)>
光重合開始剤(C)は、例えば、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、紫外線が照射された際にラジカルを発生するものである。
光重合開始剤(C)としては、例えば、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類等)、フェニルケトン類[例えば、アセトフェノン類(例えば、アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン等)、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン等のアルキルフェニルケトン類;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のシクロアルキルフェニルケトン類等]、アミノアセトフェノン類{2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノアミノプロパノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1等}、アントラキノン類(アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン等)、チオキサントン類(2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等)、ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等)、ベンゾフェノン類(ベンゾフェノン等)、キサントン類、ホスフィンオキサイド類(例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
光重合開始剤(C)の含有量は、着色層形成用組成物の固形分に対して、0.01~20質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。光重合開始剤(C)の含有量が上記下限値未満であると、硬化性が不足する。光重合開始剤(C)の含有量が上記上限値超であると、未反応の光重合開始剤(C)が残留し、耐熱性等の信頼性が悪化する。
【0053】
<溶剤(D)>
溶剤(D)としては、エーテル類、ケトン類、エステル類、セロソルブ類等が挙げられる。エーテル類としては、例えば、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、1,3,5-トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール又はフェネトール等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン又はエチルシクロヘキサノン等が挙げられる。エステル類としては、例えば、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n-ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n-ペンチル又はγ-ブチロラクトン等が挙げられる。セロソルブ類としては、例えば、メチルセロソルブ、セロソルブ(エチルセロソルブ)、ブチルセロソルブ又はセロソルブアセテート等が挙げられる。溶剤(D)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0054】
溶剤(D)の含有量は、着色層形成用組成物の総質量に対して、20~80質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましい。溶剤(D)の含有量が上記下限値以上であると、着色層形成用組成物の取扱い性をより高められる。溶剤(D)の含有量が上記上限値以下であると、着色層を形成するための時間を短縮できる。
【0055】
<添加剤(E)>
添加剤(E)には、少なくとも下記式(i)で示される構造を有する化合物(以下「化合物A」と称する。)と、イオウ系酸化防止剤とが含まれる。
【0056】
【化3】
【0057】
式(i)において、R1は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、RCO-、R10SO-、およびR11NHCO-で表される基のいずれかである(R、R10、R11は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、およびへテロ環基のいずれかである。)。RおよびRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、およびアルケニルオキシ基のいずれかである。R~Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、およびアリール基のいずれかである。
【0058】
イオウ系酸化防止剤としては、ジアルキルジチオホスフェート、ジアルキルジチオカルバネート、ベンゼンジチオール、およびこれらの遷移金属錯体を例示できる。
【0059】
発明者らは、着色層形成用組成物に上記化合物Aとイオウ系酸化防止剤とを所定の割合で混合することにより、色素(A)の耐光性および耐熱性を大幅に向上できることを見出した。
所定の割合は、イオウ系酸化防止剤の質量を1としたときに、化合物Aの質量を0.01以上2以下とする範囲である。
【0060】
添加剤(E)には、その他の添加剤として、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、光増感剤、導電材料等が含まれてもよい。
【0061】
添加剤(E)における化合物Aとイオウ系酸化防止剤の質量は、着色層形成用組成物の固形分に対して、0.1~15質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましい。含有量が上記下限値未満であると、色素(A)の耐光性、耐熱性での退色抑制効果が発現しない。添加剤(E)の含有量が上記上限値超であると、添加剤(E)による硬化阻害や硬化成分の減少に伴い、硬化不足が生じやすい。
【0062】
着色層10は、本発明の着色層形成用組成物を含有することで、ガスバリア層を必要とせずに耐光性及び耐熱性を向上させ、反射抑制と輝度効率とを両立でき、表示品位を向上でき、発光素子を長寿命化でき、色再現性を向上できる。
【0063】
≪透明基材≫
透明基材20は、着色層10の一方の面に位置し、光学フィルム1を形成するシート状部材である。
透明基材20の材質としては、透光性を有する樹脂フィルムを採用することができる。透明基材20の形成材料としては、透明樹脂や無機ガラスを利用できる。透明樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンコポリマー、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン等が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。ポリアクリレートとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン66等が挙げられる。この中でも、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム(PET)、トリアセチルセルロースからなるフィルム(TAC)、ポリメチルメタクリレートからなるフィルム(PMMA)、PETを除くポリエステルからなるフィルムを好適に利用できる。
透明基材20の厚さは、特に限定されないが、例えば、10~100μmが好ましい。
透明基材20の透過率としては、例えば、90%以上であることが好ましい。
【0064】
透明基材20には、紫外線吸収能を付与してもよい。透明基材20の原料となる樹脂に、紫外線吸収剤を添加することで、透明基材20に紫外線吸収能を付与できる。
【0065】
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾトリアジン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0066】
透明基材20に紫外線吸収能を付与する場合、紫外線遮蔽率は、85%以上であることが好ましい。ここで、紫外線遮蔽率は、JIS L1925に準拠して測定される値であり、下記式により算出される。
紫外線遮蔽率(%)=100-波長290~400nmの紫外線の平均透過率(%)
紫外線遮蔽率が85%未満の場合、色素(A)の耐光性での退色抑制効果が低くなる。
【0067】
≪機能層≫
機能層30は、着色層10の一方又は他方の面に位置する。光学フィルムは、機能層30を有することで、種々の機能を発揮できる。
機能層30の機能としては、反射防止機能、防眩機能、帯電防止機能、防汚機能、強化機能、紫外線吸収機能(紫外線吸収能)等が挙げられる。
機能層30は、単層であってもよく、複数の層であってもよい。機能層30は、1種の機能を有していてもよく、2種以上の機能を有していてもよい。
【0068】
光学フィルム1が反射防止機能を有する場合、機能層30は、反射防止層として機能する。反射防止層としては、後述するハードコート層32や防眩層34、透明基材20よりも低い屈折率を呈する低屈折率層31が挙げられる。低屈折率層31は、ハードコート層32や防眩層34、透明基材20の材質よりも屈折率が低い材質を機能層に採用することで形成できる。
低屈折率層31の屈折率調整のため、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF)、ヘキサフルオロアルミニウムナトリウム(氷晶石、クリオライト、3NaF・AlF、NaAlF)、フッ化アルミニウム(AlF)等の微粒子や、シリカ微粒子等を配合してもよい。シリカ微粒子としては、多孔質シリカ微粒子や中空シリカ微粒子等の粒子内部に空隙を有するものを用いることが、低屈折率層31の低屈折率化に有効である。また、低屈折率層31を形成する組成物(低屈折率層形成用組成物)には、着色層10で説明した光重合開始剤(C)や溶剤(D)、添加剤(E)を適宜配合してもよい。
低屈折率層31の屈折率は、1.20~1.55とすることが好ましい。
低屈折率層31の厚さは、特に限定されないが、例えば、40nm~1μmが好ましい。
【0069】
光学フィルム1が防眩機能を有する場合、機能層30は、防眩層34として機能する。防眩層34は、表面に微細な凹凸を有し、この凹凸で外光を散乱させ、映り込みを抑えて表示品位を向上させる層である。低屈折率層31と組み合わされる場合、低屈折率層31と防眩層34とで反射防止層を構成する。
防眩層34には、必要に応じて有機微粒子及び無機微粒子から選択される1種以上が含まれる。有機微粒子は、表面に微細な凹凸を形成し、外光を散乱させる機能を付与する材料である。有機微粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン系樹脂等の透光性樹脂材料からなる樹脂粒子が挙げられる。屈折率や樹脂粒子の分散性を調整するために、材質(屈折率)の異なる2種類以上の樹脂粒子を混合して使用してもよい。
無機微粒子は、有機微粒子の沈降や凝集を調整する材料である。無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子や、金属酸化物微粒子、各種の鉱物微粒子等を使用することができる。シリカ微粒子としては、例えば、コロイダルシリカや(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基で表面修飾されたシリカ微粒子等を使用することができる。金属酸化物微粒子としては、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)や酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタニア(二酸化チタン)、ジルコニア(二酸化ジルコニウム)等を使用することができる。鉱物微粒子としては、例えば、雲母、合成雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ノントロナイト、マガディアイト、アイラライト、カネマイト、層状チタン酸、スメクタイト、合成スメクタイト等を使用することができる。鉱物微粒子は、天然物及び合成物(置換体、誘導体を含む)のいずれであってもよく、両者の混合物を使用してもよい。鉱物微粒子の中でも、層状有機粘土がより好ましい。層状有機粘土とは、膨潤性粘土の層間に有機オニウムイオンを導入したものをいう。有機オニウムイオンは、膨潤性粘土の陽イオン交換性を利用して有機化することができるものであれば制限されない。鉱物微粒子として、層状有機粘土鉱物を用いる場合、上述した合成スメクタイトを好適に使用できる。合成スメクタイトは、防眩層形成用の塗工液の粘性を増加させ、樹脂粒子及び無機微粒子の沈降を抑制して、防眩層34(機能層30)の表面の凹凸形状を調整する機能を有する。
【0070】
光学フィルム1が帯電防止機能を有する場合、機能層30は、帯電防止層として機能する。帯電防止層としては、例えば、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、スズをドープした酸化インジウム(ITO)等の金属酸化物微粒子、高分子型導電性組成物、4級アンモニウム塩等の帯電防止剤を含有する層が挙げられる。
帯電防止層は、機能層30の最表面に設けられてもよいし、機能層30と透明基材20との間に設けられてもよい。あるいは、上述した機能層30を構成するいずれかの層に帯電防止剤を配合することにより、帯電防止層を形成してもよい。帯電防止層を設ける場合、光学フィルムの表面抵抗値は、1.0×10~1.0×1012(Ω/cm)であることが好ましい。
【0071】
光学フィルム1が防汚機能を有する場合、機能層30は、防汚層として機能する。防汚層は、撥水性及び撥油性の双方又はいずれか一方を付与することにより、防汚性を高めるものである。防汚層としては、珪素酸化物、フッ素含有シラン化合物、フルオロアルキルシラザン、フルオロアルキルシラン、フッ素含有珪素系化合物、パーフルオロポリエーテル基含有シランカップリング剤等の防汚剤を含有する層が挙げられる。
防汚層は、機能層30の最表面に設けられてもよく、上述した機能層30のうち、最表面となる層に防汚剤を配合することにより、防汚層を形成してもよい。
【0072】
光学フィルム1が強化機能を有する場合、機能層30は、強化層として機能する。強化層は、光学フィルムの強度を高める層である。強化層としては、例えば、ハードコート層32が挙げられる。ハードコート層32としては、例えば、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートを含むハードコート剤で形成された層が挙げられる。
【0073】
光学フィルム1が紫外線吸収能を有する場合、機能層30は、紫外線吸収層として機能する。紫外線吸収層としては、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノール等のトリアジン系、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を含有する層が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収層を形成する材料の総質量に対して、0.1~5質量%が好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記下限値以上であると、機能層30に充分な紫外線吸収能を付与できる。紫外線吸収剤の含有量が上記上限値以下であると、硬化成分の減少に伴う硬度不足を回避できる。
【0074】
光学フィルム1において、透明基材20及び機能層30の一方又は双方は、紫外線遮蔽率が85%以上であり、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、100%であってもよい。紫外線遮蔽率が上記下限値以上であると、耐光性及び耐熱性をより向上できる。
紫外線遮蔽率は、JIS L1925に記載の方法に準じて測定できる。
紫外線遮蔽率は、透明基材20及び機能層30の一方又は双方に紫外線吸収能を付与することにより調節できる。
【0075】
機能層30の厚さは、例えば、0.04~25μmが好ましく、0.1~20μmがより好ましく、0.2~15μmがさらに好ましい。機能層30の厚さが上記下限値以上であると、光学フィルム1に種々の機能を付与しやすい。機能層30の厚さが上記上限値以下であると、表示装置の薄型化に有利である。
【0076】
[光学フィルムの製造方法]
本実施形態の光学フィルム1は、従来公知の方法により製造できる。
例えば、透明基材20の一方の面に着色層形成用組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して着色層形成用組成物を硬化することにより着色層10を得る。
活性エネルギー線を照射して着色層形成用組成物を硬化させ、着色層10を形成するための光源は、活性エネルギー線を発生する光源であれば制限なく使用できる。活性エネルギー線としては、放射線(ガンマ線、X線等)、紫外線、可視光線、電子線(EB)等の光エネルギー線が使用でき、通常、紫外線、電子線である場合が多い。例えば、紫外線を放射するランプとして低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電管等を使用できる。照射条件として紫外線照射量は、通常100~1000mJ/cmである。
【0077】
次に、透明基材20の他方の面にハードコート剤を塗布し、着色層10と同様に活性エネルギー線を照射してハードコート剤を硬化することによりハードコート層32を得る。
【0078】
ハードコート層32上に低屈折率層31を形成することにより、透明基材20の他方の面に機能層30が位置する光学フィルム1が得られる。
低屈折率層31の形成方法に制限はなく、低屈折率層形成用組成物をハードコート層32に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させる方法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、プラズマ気相成長法等を使用できる。
【0079】
[その他の実施形態]
光学フィルムは、図2に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20を有し、着色層10、透明基材20、防眩層34が、この順で積層された光学フィルム3であってもよい。光学フィルム3では、防眩層34が機能層30を構成する。
本実施形態の光学フィルム3は、防眩層34を有するため、反射抑制に優れる。
【0080】
光学フィルムは、図3に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20を有し、着色層10、透明基材20、防眩層34、低屈折率層31が、この順で積層された光学フィルム4であってもよい。光学フィルム4では、防眩層34、低屈折率層31が機能層30を構成する。
本実施形態の光学フィルム4は、低屈折率層31と防眩層34とを有するため、反射抑制により優れる。
【0081】
光学フィルムは、図4に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20と、着色層10の他方の面に位置する機能層30とを有し、透明基材20、着色層10、ハードコート層32、低屈折率層31が、この順で積層された光学フィルム5であってもよい。光学フィルム5では、ハードコート層32、低屈折率層31が機能層30を構成する。
本実施形態の光学フィルム5は、透明基材20の一方の面に着色層10と紫外線吸収機能及び反射防止機能を有する機能層30とを有する。紫外線吸収機能は、機能層を構成する層のいずれに付与されてもよい。
【0082】
光学フィルムは、図5に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20と、着色層10の他方の面に位置する防眩層34とを有し、透明基材20、着色層10、防眩層34が、この順で積層された光学フィルム7であってもよい。光学フィルム7では、防眩層34が機能層30を構成する。
本実施形態の光学フィルム7は、防眩層34を有するため、反射抑制に優れる。
光学フィルム7においては、防眩層34に紫外線吸収機能を付与することが好ましい。
【0083】
光学フィルムは、図6に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20と、着色層10の他方の面に位置する機能層30とを有し、透明基材20、着色層10、防眩層34、低屈折率層31が、この順で積層された光学フィルム8であってもよい。光学フィルム8では、防眩層34、低屈折率層31が機能層30を構成する。
本実施形態の光学フィルム8は、低屈折率層31と防眩層34とを有するため、反射抑制により優れる。
光学フィルム8においては、機能層30を構成する層のいずれかに紫外線吸収機能を付与することが好ましい。
【0084】
[表示装置]
本発明の表示装置は、本発明の光学フィルムを備える。表示装置の具体例としては、例えば、テレビ、モニタ、携帯電話、携帯型ゲーム機器、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ヘッドマウントディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤ等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、自動販売機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、個人認証機器、光通信機器、ICカード等が挙げられる。中でも、金属製の電極や配線により、外光反射の影響を受けやすいLED、有機EL、無機蛍光体、量子ドット等の自発光素子を備える表示装置に好適に用いられる。
【0085】
上述した各実施形態に係る光学フィルムによれば、本発明の着色層形成用組成物を含有する着色層を有するため、ガスバリア層を設けずに耐光性及び耐熱性を向上させ、反射抑制と輝度効率とを両立できる。このため、本実施形態の光学フィルムを備える表示装置は、表示品位を向上でき、発光素子を長寿命化できる。
【0086】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ等も含まれる。
【0087】
例えば、上述した各光学フィルムは、いずれも着色層の数が1つであるが、着色層の数は、2以上であってもよい。
各実施形態に係る光学フィルムにおいて、紫外線吸収能は、透明基材20に付与してもよく、ハードコート層32等の機能層30に付与してもよい。重要なことは、表示装置に取り付けた際に、着色層10よりも使用者が見る画面に近い層に紫外線吸収能を付与することである。
【実施例
【0088】
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。本発明の技術的範囲は、これら実施例の具体的内容のみを根拠として何ら限定されるものではない。
【0089】
[実施例1~8、比較例1~6]
以下の実施例及び比較例では、表1、表2に示す層構成の光学フィルムA~Nを作製した。作製した光学フィルムA~Nについて、光学フィルム特性、及び有機ELパネルでの表示装置特性をシミュレーションにより評価した。表中、「-」は、その層を有しないことを示す。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
≪光学フィルムの作製≫
以下、各層の形成方法を説明する。
【0093】
[着色層の形成]
(着色層形成用組成物 使用材料)
着色層の形成に用いる着色層形成用組成物の使用材料としては、以下のものを用いた。
なお、色材の吸収極大波長、半値幅、及び規定波長範囲での最小透過率波長は、硬化塗膜での特性値である。
【0094】
<色素(A)>
・第一の色材
Dye-1:ピロメテンコバルト錯体染料(吸収極大波長493nm、半値幅26nm)
<Dye-1の製造例>
5-ホルミル-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボン酸エチル(2.5g)を反応容器に封入し、メタノール(50mL)に溶解させた後、47%臭化水素酸(45g)を添加して、1時間還流を行った。析出した固体を濾別することで、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジ-エトキシカルボニル-2,2’-ジピロメテン臭化水素酸塩(2.6g)を得た。
3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジ-エトキシカルボニル-2,2’-ジピロメテン臭化水素酸塩(0.6g)を反応容器に封入し、メタノール(5mL)、トリエチルアミン(0.17g)、酢酸コバルト四水和物(0.18g)を添加し、2時間還流を行った。析出した固体を濾別することで、Dye-1(0.42g)を得た。
・第二の色材
Dye-2:テトラアザポルフィリン銅錯体染料(山田化学工業(株)製、FDG-007、吸収極大波長595nm、半値幅22nm)
Dye-3:テトラアザポルフィリン銅錯体染料(山本化成(株)製、PD-311S、吸収極大波長586nm、半値幅22nm)
・第三の色材
Dye-4:フタロシアニン銅錯体染料(山田化学工業(株)製、FDN-002、400~780nmでの最小透過率波長 780nm)
【0095】
<活性エネルギー線硬化性樹脂(B)>
・樹脂1:上記式(ii)で表される構造単位を含むポリマー
・UA-306H:ペンタエリスリトールトリアクリレート ヘキサメチレンジイソシアネート ウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製、UA-306H)
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
【0096】
<樹脂1の製造例>
メタクリル酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル(昭和電工マテリアルズ(株)製、FA-711MM)2.4g、メタクリル酸メチル(関東化学(株)製)5.6g、シクロヘキサノン(関東化学(株)製)31g、2,2‘-アゾビス(イソブチロニトリル)(富士フイルム和光純薬(株)製)0.11gを反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下、70℃で8時間加熱攪拌した。その後、100℃で1時間加熱攪拌を行うことでポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をメタノール(関東化学(株)製)400mL中へ注ぐことで生じた析出物をろ過、乾燥することでメタクリル酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル:メタクリル酸メチル=15:85[mоl%]で共重合された樹脂1を得た。
【0097】
100℃で1時間の追加加熱攪拌を行うことで、開始剤である2,2‘-アゾビス(イソブチロニトリル)を完全に分解させることができ、残存開始剤による光学フィルムの劣化を抑制することができる。
また、ポリマー溶液をメタノール中へ注ぐことで、未反応のモノマーや重合溶媒、開始剤の分解物などを除くことができ、光学フィルムの劣化を抑制することができる。
【0098】
<光重合開始剤(C)>
・Omnirad TPO:アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製)
【0099】
<溶剤(D)>
・MEK:メチルエチルケトン
・酢酸メチル
【0100】
<添加剤(E)>
・化合物A:T1477
:C、R~R:H
・イオウ系酸化防止剤:ビス(ジブチルジチオカルバミン酸)ニッケル(II):(東京化成工業(株)製 D1781)
・Tinuvin479:ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、Tinuvin(登録商標)479(BASFジャパン(株)製)
・LA-36:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アデカスタブ(登録商標)LA-36((株)ADEKA製)
【0101】
(透明基材)
透明基材としては、下記のものを用いた。
・TAC:トリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム(株)製、TG60UL、基材厚60μm、紫外線遮蔽率92.9%)
・PMMA:ポリメチルメタクリレートフィルム(住友化学(株)製、W002N80、基材厚80μm、紫外線遮蔽率13.9%)
【0102】
(着色層の形成)
表1、表2に示す透明基材上に、表3に示す組成の着色層形成用組成物を塗布し、80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置を用いて照射線量150mJ/cm(フュージョンUVシステムズジャパン(株)製、光源Hバルブ)で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が5.0μmとなるよう着色層を形成した。なお、添加量は質量比(質量%)である。表中、「-」は、その成分を含有しないことを示す。
【0103】
【表3】
【0104】
[機能層の形成:ハードコート層]
(ハードコート層形成用組成物 使用材料)
ハードコート層の形成に用いるハードコート層形成用組成物の使用材料として、下記のものを用いた。
・活性エネルギー線硬化性樹脂
UA-306H:ペンタエリスリトールトリアクリレート ヘキサメチレンジイソシアネート ウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製、UA-306H)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
・光重合開始剤
Omnirad TPO:アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製)
・添加剤(紫外線(UV)吸収剤)
Tinuvin479:ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、Tinuvin(登録商標)479(BASFジャパン(株)製)
LA-36:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アデカスタブ(登録商標)LA-36((株)ADEKA製)
・溶剤
MEK:メチルエチルケトン
酢酸メチル
【0105】
(ハードコート層の形成)
表1、表2に示す透明基材又は着色層上に、表4に示すハードコート層形成用組成物を塗布し、80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置を用いて照射線量150mJ/cm(フュージョンUVシステムズジャパン(株)製、光源Hバルブ)で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が5.0μmとなるようハードコート層を形成した。なお、添加量は質量比(質量%)である。表中、「-」は、その成分を含有しないことを示す。
【0106】
【表4】
【0107】
[機能層の形成:防眩層]
(防眩層形成用組成物)
防眩層の形成に用いる防眩層形成用組成物として、下記のものを用いた。
・活性エネルギー線硬化性樹脂
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ライトアクリレートPE-3A(共栄社化学(株)製、屈折率1.52) 43.7質量部
・光重合開始剤
Omnirad TPO(IGM Resins B.V.社製) 4.55質量部
・樹脂粒子
スチレン-メタクリル酸メチル共重合体粒子(屈折率1.515、平均粒径2.0μm) 0.5質量部
・無機微粒子
合成スクメタイト 0.25質量部
アルミナナノ粒子(平均粒径40nm) 1.0質量部
・溶剤
トルエン 15質量部
イソプロピルアルコール 35質量部
【0108】
(防眩層の形成)
表1に示す透明基材上に、上記の防眩層形成用組成物を塗布し、80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置を用いて照射線量150mJ/cm(フュージョンUVシステムズジャパン(株)製、光源Hバルブ)で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が5.0μmとなるよう防眩層を形成した。
【0109】
[機能層の形成:低屈折率層]
(低屈折率層形成用組成物)
低屈折率層の形成に用いる低屈折率層形成用組成物として、下記のものを用いた。
・屈折率調整剤
多孔質シリカ微粒子(平均粒径75nm、固形分20%)メチルイソブチルケトン分散液 8.5質量部
・防汚付与剤
オプツール(登録商標)AR-110(ダイキン工業(株)製、固形分15%、溶剤:メチルイソブチルケトン) 5.6質量部
・活性エネルギー線硬化性樹脂
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) 0.4質量部
・光重合開始剤
Omnirad TPO(IGM Resins B.V.社製) 0.07質量部
・レベリング剤
RS-77(DIC(株)製) 1.7質量部
・溶剤
メチルイソブチルケトン 83.73質量部
【0110】
(低屈折率層の形成)
表1、表2に示すハードコート層上又は防眩層上に、上記の低屈折率層形成用組成物を塗布し、80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置を用いて照射線量200mJ/cm(フュージョンUVシステムズジャパン(株)製、光源Hバルブ)で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が100nmである低屈折率層を形成した。
【0111】
[フィルム特性評価]
<着色層上の紫外線遮蔽率>
着色層より上層に透明基材となる場合は、基材を自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて透過率を測定した。また、着色層が基材より上層にくる場合は、JIS-K5600-5-6:1999付着性試験準拠の透明感圧付着テープを用いて着色層より上層を剥離し、自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用い、粘着テープをリファレンスとして着色層上層の透過率を測定した。これらの透過率を用いて、紫外域(290nm~400nm)の平均透過率[%]を算出し、紫外線遮蔽率[%]を100%から紫外域(290nm~400nm)の平均透過率[%]を引いた値として算出した。
【0112】
<耐光性試験>
得られた光学フィルムの耐光性試験として、キセノンウェザーメーター試験機(スガ試験機株式会社製、X75)を用い、キセノンランプ照度60W/m(300nm~400nm)、試験機内温度45℃・湿度50%RH条件にて120時間試験し、試験前後に自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて透過率測定を行い、波長範囲470nm~530nmにて試験前の最小透過率を示す波長λ1での試験前後透過率差ΔTλ1、波長範囲560nm~620nmにて試験前の最小透過率を示す波長λ2での試験前後透過率差ΔTλ2を算出した。透過率差はゼロに近い方が良好であり、|ΔTλN|≦20(N=1~3)となるものが好ましく、|ΔTλN|≦10(N=1~3)となるものがさらに好ましい。
【0113】
<耐熱性試験>
得られた光学フィルムの耐熱性試験として、90℃にて500時間試験し、試験前後に自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて透過率測定を行い、波長範囲470nm~530nmにて試験前の最小透過率を示す波長λ1での試験前後透過率差ΔTλ1、波長範囲560nm~620nmにて試験前の最小透過率を示す波長λ2での試験前後透過率差ΔTλ2を算出した。透過率差はゼロに近い方が良好であり、|ΔTλN|≦20(N=1~3)となるものが好ましく、|ΔTλN|≦10(N=1~3)となるものがさらに好ましい。
【0114】
[表示装置特性評価]
<白表示透過特性>
得られた光学フィルムの透過率を自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて測定し、この透過率を用いて、白表示時に光学フィルムを透過した光の効率を算出し、白表示透過特性として評価した。基準として、図7に示すスペクトルの白色有機EL光源とカラーフィルタを通して出力される白表示時のスペクトルの効率を100とした。100に近いほど白表示透過率が高く、輝度効率に優れる。
【0115】
<表示装置反射特性>
得られた光学フィルムの透過率T(λ)及び表面反射率R2(λ)を自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて測定した。表面反射率R2(λ)の測定については、透明基材の着色層および機能層が形成されていない面につや消し黒色染料を塗布して反射防止の処理を行い、入射角5°の分光反射率を測定して表面反射率R2(λ)とした。電極反射率R(λ)を波長380nmから780nmまで全て100%として、各層での界面反射及び表面反射は考慮せず、光学フィルムの無い状態でのD65光源(CIE(国際照明委員会)標準光源D65)に対する表示装置反射値を100とした際の相対反射値を下記式(1)から(4)に基づいて算出し、観測者側最表層の表面反射率R(λ)を表示装置反射特性として評価した。表示装置反射特性の値が低いほど、外光反射を低減可能で、反射特性に優れる。なお、式(1)から(4)において、R1(λ)は内部反射成分を、YはD65光源の白色点における3刺激値のうちの一つを、PD65(λ)はD65光源のスペクトルを、y(λ)はCIE1931等色関数を、それぞれ表す。
【0116】
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【0117】
<色再現性>
得られた光学フィルムの透過率を自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて測定し、図7に示すスペクトルの、白色EL光源とカラーフィルタを通して出力される図8の赤色表示、緑色表示、青色表示スペクトルを測定した。図7および図8のグラフの縦軸は、発光強度[a.u.](任意単位:arbitrary unit)を表す。測定した透過率と図8の赤色表示、緑色表示、青色表示スペクトルとを用いて算出されるCIE1931色度値からNTSC(全米テレビジョン放送方式標準化委員会)比を算出し、NTSC比を色再現性の指標として評価した。NTSC比が高いほど色再現性に優れる。
【0118】
光学フィルム特性評価として、着色層上の紫外線遮蔽率、耐光性試験、耐熱性試験の結果を表5、表6に示した。表示装置特性評価として、白表示透過特性、表示装置反射特性、色再現性の結果を表5、表6に示した。なお、着色層を有しない光学フィルムMを用いた比較例6では、着色層上の紫外線遮蔽率の測定、耐光性試験、耐熱性試験を行っていないため、表6中「-」で示した。また、比較例6における白表示透過特性を基準とした白表示透過特性の割合(比較例6比)、比較例6における表示装置反射特性を基準とした表示装置反射特性の割合(比較例6比)をそれぞれ表5、表6に示した。
【0119】
【表5】
【0120】
【表6】
【0121】
実施例2および比較例1の結果より、化合物Aとイオウ系酸化防止剤の添加により着色層の退色を軽減できることがわかる。
実施例2、および比較例2から3の結果より、化合物Aおよびイオウ系酸化防止剤のみでは退色軽減効果が充分でないことがわかる。
実施例2および4の結果より、前記式(ii)で表される構造単位を含むポリマーを添加することで退色軽減効果がさらに向上することがわかる。
実施例4、5、および比較例4の結果より、化合物Aとイオウ系酸化防止剤との比率が所定範囲内にあることで良好な退色軽減効果が得られることがわかる。
実施例4、および比較例2から3の結果より、化合物Aおよびイオウ系酸化防止剤のみでは退色軽減効果が充分でないことがわかる。
実施例6および7の結果より、機能層に防眩層を含む場合でも同様の退色軽減効果が得られることがわかる。
実施例8の結果より、着色層上の紫外線吸収層が透明基材でない場合でも同様の退色軽減効果が得られることがわかる。
実施例8および比較例5の結果より、着色層上に紫外線吸収物質を混合しても充分な退色軽減効果は得られず、着色層上に紫外線吸収層が存在する場合にのみ良好な退色軽減効果が得られることがわかる。
【0122】
本発明の着色層を備える各実施例の表示装置は、着色層を有さない比較例6の表示装置に比べ大幅に表面反射を低減できた。さらに、円偏光板を用いた場合は透過率が大きく低下するのに対し、各実施例の表示装置は白表示透過性の評価値に示されるように輝度効率にも優れ、さらに色再現性も向上した。
実施例1、2、3ではそれぞれ1波長吸収、2波長吸収、2波長及び近赤外領域吸収を志向した光学設計をしており、吸収領域が多いほど反射特性は優れた結果を示した。
【0123】
以上、本発明の一実施形態および実施例について詳述したが、本発明は特定の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。
【符号の説明】
【0124】
1、3、4、5、7、8 光学フィルム
10 着色層
20 透明基材
30 機能層
31 低屈折率層
32 ハードコート層
34 防眩層
【要約】
【課題】ガスバリア層を必要とせずに長期間の使用に耐える着色層を形成できる着色層形成用組成物を提供する。
【解決手段】着色層形成用組成物は、色素(A)と、活性エネルギー線硬化性樹脂(B)と、光重合開始剤(C)と、溶剤(D)と、添加剤(E)とを含有する。色素(A)は、第一の色材、第二の色材、および第三の色材のうち少なくとも一つを含有する。第一の色材は、吸収極大波長が470~530nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~45nmである。第二の色材は、吸収極大波長が560~620nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~55nmである。第三の色材は、380~780nmの波長の範囲において最も透過率の低い波長が650~780nmの範囲内にある。添加剤(E)は、化合物Aと、イオウ系酸化防止剤とを含み、イオウ系酸化防止剤の含有量を1としたとき、化合物Aの含有量が0.01~2である。
【選択図】なし
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8